説明

膜厚組成計測装置付き混合薄膜形成装置

【課題】複数材料の同時蒸着により形成される混合薄膜の膜厚及び組成を同時に検出するための計測装置を備えた混合薄膜形成装置を提供する。
【解決手段】被蒸着体にn個の材料からなる混合薄膜を形成する装置において、被蒸着体側から斜めに複数の波長λ1、λ2・・・λnの光が入射し、入射光の一部に混合薄膜中で光吸収が起こり、混合薄膜の表面で全反射した後、再度被蒸着体側に出斜してくる光の減衰率は、元の光強度に対して、Rλ1=f1(d1,d2・・・dn)、Rλ2=f2(d1,d2・・・dn)、Rλn=fn(d1,d2・・・dn)と表されるので、Rλ1、Rλ2・・・Rλnを測定し、上記式を連立して解いて、d1,d2・・・dnを求めることにより、被蒸着体上に堆積する混合薄膜の組成と膜厚の時間に対する推移を同時に計測しながら混合薄膜を形成する混合薄膜形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機ELなどの基板(被蒸着体)上に複数の材用からなる混合薄膜を真空蒸着で作製する際の膜厚並びに組成、各材料の蒸着レートを計測する膜厚組成計測装置付き混合薄膜形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
真空蒸着は、真空チャンバ内に蒸発源と被蒸着体である基板とを配置し、蒸発源を加熱して気化させ、この気化させた物質を基板の表面に堆積させて薄膜を作製するものとして従来から知られている。加熱により蒸発源から気化した物質は蒸発源から放射状に射出され、基板に付着することで、基板上に薄膜を形成する。この真空蒸着を用いて、複数の材料の混合薄膜を作成する場合は、それぞれの材料の蒸着源を1つずつ用意し、それら複数の材料を同時に気化させることで、基板上に混合薄膜を形成する方法が用いられる。このとき、混合薄膜の膜厚並びに組成は、一般に水晶振動子式膜厚計を用いて測定される。ところが、水晶振動子式膜厚計は、複数の材料の混合薄膜の膜厚は測定できるが、組成は測定できない。
【0003】
そこで、真空蒸着装置側に、それぞれの材料の蒸発源近傍に、1種類の材料のみが到達し、それ以外の材料が到達しないような構造を作製し、その構造内に膜厚計を導入することで、その1種類の材料の蒸発源近傍での蒸着速度を検知する。このような構造を、混合薄膜を構成する材料の数だけ作成し、各材料の蒸発源近傍の蒸着速度を別々に計測し、その計測値を元に、被蒸着体に堆積する混合薄膜の組成並びに膜厚を算出する方法が一般的である(特許文献1参照)。
また、これとは別の方法として、複数の材料を同時に蒸着し混合薄膜を作成する際に、蒸発源内の熱伝導度を改善した蒸発源を用いて、蒸発源の温度を正確に制御することで、材料の蒸着レートを制御し、材料の組成を制御する手法などもある(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−169456号公報
【特許文献2】特開2005−82872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術(特許文献1)では、複数の材料を真空蒸着で同時に蒸発させ被蒸着体である基板に堆積させる場合、それぞれの材料の蒸発源近傍に、その材料のみが到達する構造を作製し、その構造内に膜厚計を設置することで、その1種類の材料の蒸発源近傍での蒸着速度を検知する。こうして、混合薄膜を構成する材料それぞれの蒸着速度を計測し、その計測値を元に、被蒸着体に堆積する混合薄膜の組成並びに膜厚を算出する方法が用いられる。この方法の場合、被蒸着体に付着するその材料の蒸着レートは蒸発源近傍での単独の材料の蒸着レートを元に換算した値であり、正確な基板近傍の蒸着レートを必ずしも示していない。従って、基板に付着する複数の材料の混合薄膜の膜厚及び組成を正確に計測できていることにはならない。また、混合薄膜を構成する材料の数だけ、各材料の蒸着源の近傍に、その材料だけしか飛来しないような構造を蒸着装置内に設け、また、混合薄膜を構成する材料の数だけ膜厚計が必要となるため、煩雑な装置と成り、装置の製造コストも高くなる。
【0006】
また、上記従来技術(特許文献2)では、蒸発源内の熱伝導度を改善した蒸発源を用いて、蒸発源の温度を正確に制御することで、材料の組成を制御する手法を用いた場合でも、蒸発源の残量や材料の性質などの要因から、基板への蒸着レートを正確に制御できているかは明らかでない。特に有機ELなどの有機半導体デバイスでは、0.1%程度以下の誤差での組成の制御が求められるため、高度な組成並びに膜厚の制御が求められる。また、蒸発源の温度を正確に制御した場合でも蒸着レートが設定値からずれる可能性もあることから、混合薄膜の膜厚並びに組成を検知する計測装置は取り付けてあった方が好ましい。
【0007】
上記のように、複数の材料を同時に真空蒸着して混合薄膜を形成する場合、蒸発源近傍の蒸着レート、または、蒸発源の温度を通じて、間接的に被蒸着体である基板近傍の各材料の蒸着レートを測定しているのが現状である。しかしながら、基板上へ正確な組成と膜厚の混合薄膜を蒸着するためには、基板近傍の各材料の蒸着レートを正確に計測する必要がある。この問題は、現在膜厚測定に用いられている水晶振動子式膜厚計が蒸着物質の組成を計測できないために生じている。この問題を解決するために、本発明は、複数の材料を同時に真空蒸着した際、混合薄膜の膜厚並びに組成を同時に検出できる計測機器を被蒸着体である基板近傍に設置し、この計測機器を蒸着中に用いて、組成及び膜厚の時間変化から、基板近傍の各材料の蒸着レートを正確に計測できる混合薄膜形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の混合薄膜形成装置は、真空あるいは大気よりも高屈折率を有する被蒸着体に、n種類の異なる材料を同時に蒸着させて混合薄膜を形成する装置において、λ1、λ2・・・λnの異なる波長で、かつ、上記混合薄膜を構成する材料の少なくとも1つに光吸収を有する波長の光を、被蒸着体側から斜めに照射する光源と、光の一部が被蒸着体/混合薄膜界面で反射し、残りは混合薄膜表面で全反射するようにした場合の被蒸着体からの出射光を検出して、各波長の光の減衰率Rλ1、Rλ2・・・Rλnを求める計測装置とを備え、
混合薄膜の膜厚をdとし、そのうち、材料xからなる部分を厚みにして表したものをdx、ここで、x=1、2・・・n、d=d1+d2+・・・+dnとしたとき、
Rλx=rλx・rλx
λx={aλx+exp(−2iβλx−4πdkλx/λxcos(θλx))}/{1+aλxexp(−2iβλx−4πdkλx/λxcos(θx)))}
λx=(k1λxd1+k2λxd2+・・・+knλxdn)/(d1+d2+・・・dn)
ただし、iは虚数単位、rλxはrλxの共役複素数、aλxは波長λxの光の被蒸着体/混合薄膜界面での振幅反射係数、βλxは波長λxの光の被蒸着体/混合薄膜界面で反射した光と、混合薄膜に浸入した光の位相差、kλxは波長λxの光に対する上記混合薄膜の消衰係数、kxλxは上記混合薄膜を構成する材料xの波長λxの光に対する消衰係数、θλxは波長λxの光の混合薄膜表面への入射角であり、前記の式を連立してd1、d2・・・dnについて解くことによりdxを求め、被蒸着体上に堆積する混合薄膜の組成と膜厚の時間に対する推移を同時に計測することを特徴とする。
また、本発明の混合薄膜形成装置は、さらに、上記d1、d2・・・dnについて解くことにより求めたdxにより、混合薄膜の膜厚および組成を算出し、その値を元に蒸着レートにフィードバックをかけて制御することを特徴とする。
また、本発明の混合薄膜形成装置は、さらに、上記光源と上記被蒸着体との間の光強度を検知し、入射する光の強度を補正することを特徴とする。
また、本発明の混合薄膜形成装置は、さらに、上記被蒸着体上に上記混合薄膜以外の材料から成る薄膜が予め堆積した被蒸着体上に上記混合薄膜を積層するに場合には、前記混合薄膜を積層する前に被蒸着体上に堆積していた薄膜の光吸収量と屈折率を予め測定しておき補正することを特徴とする。
また、本発明の混合薄膜形成装置は、さらに、上記被蒸着体に付着した薄膜を、加熱することにより再蒸発させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、複数の材料を同時に真空蒸着した場合、膜厚のみならず、組成、各材料の蒸着レートも同時に計測できるようになる。
従来は、複数の材料を同時に真空蒸着した場合、それぞれの材料の蒸発源近傍に、1種類の材料のみが到達する構造を作製し、その構造内に膜厚計を導入することで、それぞれの材料の蒸着レートを計測していたが、本発明では、このような複雑な構造を真空蒸着装置内に作成する必要がなく、また、材料の個数だけ必要であった膜厚計を1つにできるため、装置製造コストの低減が可能となる。
従来は、複数の材料を同時に真空蒸着した場合、それぞれの材料の蒸発源近傍に、1種類の材料のみが到達する構造を作製し、その構造内に膜厚計を導入することで、それぞれの材料の蒸着レートを計測しており、この方法では、蒸着源近傍の蒸着レートを用いて、間接的に基板近傍の蒸着レートを算出せざるを得なかったが、本発明は、計測装置を基板近傍に設置することで、基板近傍の各材料の蒸着レートを直接的に測定することが可能となる。
従来は、複数の材料を同時に蒸着する場合、上記の方法とは別に、蒸発源内の熱伝導度を改善した蒸発源を用いて、蒸発源の温度を正確に制御することで、それぞれの材料の蒸着レートを制御する手法なども発明されており、この方法では、蒸発源温度を通じて間接的に各材料の蒸発レートを算出する方法であるため、実際に設定した蒸着レートで各材料が蒸着されているか、計測する必要があったが、本発明を導入すると、より正確に、混合薄膜の膜厚、組成及び各材料の蒸着レートを計測できる。
本発明は、直接的に蒸着基板近傍の各材料の蒸着レートを計測し、その値をフィードバックして、蒸発源の温度をコントロールすることで、より精密に複数材料の混合薄膜の組成制御が可能になる。これは、非常に高度な組成の制御が求められる有機ELなどの分野で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の膜厚組成計測装置付き混合薄膜形成装置を、真空蒸着装置を用いて構成した例。
【図2】図1の点線で囲んだ部分の拡大図。
【図3】波長405nmと波長440nmの光の減衰率の時間変化。
【図4】d1とd2の時間に対する推移。
【図5】図4の減衰率の時間変化から算出した混合薄膜の膜厚並びに組成の時間変化。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0011】
図1は、本発明による、複数材料の同時蒸着により形成される混合薄膜の膜厚及び組成を同時に検出するための計測装置を備えた混合薄膜形成装置を説明するために、一例として、2種類の材料を同時に蒸着する混合薄膜形成装置について示した図である。
図1に示すように、405nmと440nmの波長を有するレーザーと偏光ビームスプリッター、2つのプリズム、及び4つのフォトダイオードを配置した薄膜計測装置を、2種類の材料が同時に蒸着できる真空蒸着装置に設置した。図1に示した例において、蒸着材料は波長約300〜420nmに光吸収を持つ有機半導体材料(材料1)と波長約350〜450nmに光吸収を持つ有機半導体材料(材料2)の2種類を用いた。図1の装置構成で、蒸着源から2つの材料を同時に蒸発させた場合、材料1と材料2の混合薄膜が被蒸着体となるプリズムの下部に付着する。ここでは、被蒸着体に石英または光学ガラス(BK7)でできたプリズムを用いたが、真空よりも高屈折率で、ある程度透明な個体であれば、何を用いても良い。波長405nmと440nmのレーザーは偏光ビームスプリッターでp偏光成分のみに絞られ、光ファイバーを通じて2つのプリズムに入射させた。光は、プリズム中に浸入した後、一部はプリズム/混合薄膜界面で反射し、残りはプリズム下部から混合薄膜に浸入し、混合薄膜/真空界面で反射を起こし、再度プリズム中に戻り(図2)、プリズムから出射された後、フォトダイオード1および2に到達する。蒸着材料中を光が通過している過程で、2本の光は光吸収により強度が減少する。フォトダイオード3及び4はプリズムから反射した光の光強度を測定し、入射レーザーの光強度揺らぎを補正するためのものである。
【0012】
図1の装置構成により、2つの蒸発源から材料1と材料2を同時に蒸着した場合、波長405nmと440nmの光に対する減衰率を、蒸着時間と共に計測すると図3のようになる。今、ある時間での混合薄膜の膜厚をdとし、そのうち、材料1からなる部分を厚みにして表したものをd1、材料2からなる部分を厚みにして表したものをd2とする。すなわち、d=d1+d2となる。このとき、405nmの光の減衰率をR405、440nmの光の減衰率をR440とするとR405及びR440は以下の式で表される。
【0013】
405=r405・r405
405={a405+exp(−2iβ405−4πdk405/405cos(θ405))}/{1+a405exp(−2iβ405−4πdk405/405cos(θ405)))}
440=r440・r440
440={a440+exp(−2iβ440−4πdk440/440cos(θ440))}/{1+a440exp(−2iβ440−4πdk440/440cos(θ440))}
【0014】
ここで、iは虚数単位、r405及びr440はr405及びr440の共役複素数、a405及びa440は波長405nm及び波長440nmの光のプリズム/混合薄膜界面での振幅反射係数、β405及びβ440は波長405nm及び波長440nmの光のプリズム/混合薄膜界面で反射した光と、混合薄膜に浸入した光の位相差である。これらの量は混合薄膜の屈折率を材料1と材料2の屈折率の加重平均として近似すると、通常の光学薄膜の反射理論を用いて容易に計算できるが、あらかじめ実験により求めておいても良い。
また、k405及びk440は波長405nm及び波長440nmにおける混合薄膜の消衰係数である。材料1の波長405nm及び波長440nmにおける消衰係数をk1405、k1440とし、材料2の波長405nm及び波長440nmにおける消衰係数をk2405、k2440とした場合、
405=(k1405d1+k2405d2)/(d1+d2)
440=(k1440d1+k2440d2)/(d1+d2)
と表される。
【0015】
あらかじめ、k1405、k1440及びk2405、k2440を光吸収量から見積もっておくことで、上記のR405及びR440を示す式の未知数はd1及びd2のみとなる。従って、R405及びR440を図3のように測定すれば2元連立方程式を解くことで、d1及びd2が算出できる。
図4は図3を元にd1及びd2の時間に対する推移を表したものである。d1及びd2の単位時間当たりの増加量が材料1及び材料2の蒸着レートとなる。これは、図4より容易に求まる。d1+d2は混合薄膜の膜厚、d1/(d1+d2)は混合薄膜の組成を表すので、図4を元に図5のように混合薄膜の膜厚と組成の変化を同時に計測することが出来る。すなわち、図1の装置構成を用いて、2種類の材料の混合薄膜を蒸着する際の、各材料の蒸着レート、混合薄膜の膜厚、組成を同時に計測することが出来る。
【0016】
上記の例では、2種類の材料の混合薄膜を真空蒸着で作成する場合の例を示したが、混合薄膜を構成する材料の種類は何種類でも良い。例えばn種類の波長λ1、λ2・・・λnに光吸収を有する材料の混合薄膜を蒸着する場合、波長λ1、λ2・・・λnを有するn個の光源を用意し、上記の2成分の混合薄膜と同様にそれぞれの波長の光減衰率から、混合薄膜の膜厚及び組成を同時に測定できる。また、光源は、異なる波長の発光体をn個用意しても良いし、白色光を分光してn個の波長を持つ光源としても良い。また、光検出器も検出器を波長の数だけ用意しても良いし、複数の波長の光を分光して少数の光検出器で光強度を検知しても良い。n種類の材料の混合薄膜の場合には、上記の式は次のように表される。混合薄膜の膜厚をdとし、そのうち、材料xからなる部分を厚みにして表したものをdx、ここで、x=1、2・・・n、d=d1+d2+・・・+dnとすれば、各波長の光の減衰率Rλ1、Rλ2・・・Rλnは、
λx=rλx・rλx
λx={aλx+exp(−2iβλx−4πdkλx/λxcos(θλx))}/{1+aλxexp(−2iβλx−4πdkλx/λxcos(θλx)))}
λx=(k1λxd1+k2λxd2+・・・+knλxdn)/(d1+d2+・・・dn)
ただし、iは虚数単位、rλxはrλxの共役複素数、aλxは波長λxの光の被蒸着体/混合薄膜界面での振幅反射係数、βλxは波長λxの光の被蒸着体/混合薄膜界面で反射した光と、混合薄膜に浸入した光の位相差、kλxは波長λxの光に対する上記混合薄膜の消衰係数、kxλxは上記混合薄膜を構成する材料xの波長λxの光に対する消衰係数、θλxは波長λxの光の混合薄膜表面への入射角を表す。
【産業上の利用可能性】
【0017】
上記説明では、複数の材料の同時真空蒸着により混合薄膜を形成する場合を例に挙げて説明したが、例えば、複数の材料の同時スパッタリング等により混合薄膜を形成する場合についても適用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空あるいは大気よりも高屈折率を有する被蒸着体に、n種類の異なる材料を同時に蒸着させて混合薄膜を形成する装置において、λ1、λ2・・・λnの異なる波長で、かつ、上記混合薄膜を構成する材料の少なくとも1つに光吸収を有する波長の光を、被蒸着体側から斜めに照射する光源と、光の一部を被蒸着体/混合薄膜界面で反射させ、残りを混合薄膜表面で全反射させた場合の被蒸着体からの出射光を検出して、各波長の光の減衰率Rλ1、Rλ2・・・Rλnを求める計測装置とを備え、
混合薄膜の膜厚をdとし、そのうち、材料xからなる部分を厚みにして表したものをdx、ここで、x=1、2・・・n、d=d1+d2+・・・+dnとしたとき、
Rλx=rλx・rλx
λx={aλx+exp(−2iβλx−4πdkλx/λxcos(θλx))}/{1+aλxexp(−2iβλx−4πdkλx/λxcos(θx)))}
λx=(k1λxd1+k2λxd2+・・・+knλxdn)/(d1+d2+・・・dn)
ただし、iは虚数単位、rλxはrλxの共役複素数、aλxは波長λxの光の被蒸着体/混合薄膜界面での振幅反射係数、βλxは波長λxの光の被蒸着体/混合薄膜界面で反射した光と、混合薄膜に浸入した光の位相差、kλxは波長λxの光に対する上記混合薄膜の消衰係数、kxλxは上記混合薄膜を構成する材料xの波長λxの光に対する消衰係数、θλxは波長λxの光の混合薄膜表面への入射角であり、
前記の式を連立してd1、d2・・・dnについて解くことによりdxを求め、被蒸着体上に堆積する混合薄膜の組成と膜厚の時間に対する推移を同時に計測することを特徴とする混合薄膜形成装置。
【請求項2】
上記d1、d2・・・dnについて解くことにより求めたdxにより、混合薄膜の膜厚および組成を算出し、その値を元に蒸着レートにフィードバックをかけて制御することを特徴とする請求項1記載の混合薄膜形成装置。
【請求項3】
上記光源と上記被蒸着体との間の光強度を検知し、入射する光の強度を補正することを特徴とする請求項1又は2記載の混合薄膜形成装置。
【請求項4】
上記被蒸着体上に上記混合薄膜以外の材料から成る薄膜が予め堆積した被蒸着体上に上記混合薄膜を積層するに場合には、前記混合薄膜を積層する前に被蒸着体上に堆積していた薄膜の光吸収量と屈折率を予め測定しておき補正することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項記載の混合薄膜形成装置。
【請求項5】
上記被蒸着体に付着した薄膜を、加熱することにより再蒸発させることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項記載の混合薄膜形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−195871(P2011−195871A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−62609(P2010−62609)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構委託研究「次世代大型有機ELディスプレイ基盤技術の開発(グリーンITプロジェクト)」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】