膨張可能部材を含む保護デバイス
使用者を保護するための保護デバイス(1、100、110、1110)であって、それぞれの外周縁部(23、24、120)に沿って一体に固定された第1の壁(7、115)と第2の壁(8)を含む膨張可能部材(2;200、102、202、302、402、502、602;205、210、211、212)を備える保護デバイス(1、100、110、1110)。また、膨張可能部材(2;200、102、202、302、402、502、602;205、210、211、212)は、第1のメッシュ(10)、第2のメッシュ(11)、および複数の連結部材(12)を含む織物構造(5)とを含み、前記第1のメッシュ(10)が、第2のメッシュ(11)と向かい合わせて位置され、連結部材(12)が、それぞれ前記第1のメッシュ(10)および前記第2のメッシュ(11)に固定された両端部(12a、12b)を有する。
第1のメッシュ(10)が、少なくとも部分的に前記第1の壁(7、115)の内側に裏張りされ、前記第2のメッシュ(11)が、少なくとも部分的に前記第2の壁(8、116)の内側に裏張りされる。前記保護デバイス(1、100、110、1110)が、少なくとも1つの縫い目(3、300)を含み、縫い目(3、300)が、前記第1のメッシュ(10)の表面部分を、前記第2のメッシュ(11)の表面部分に接続し、前記少なくとも1つの縫い目(3、300)が、前記膨張可能部材(2;200、102、202、302、402、502、602;205、210、211、212)の折曲げ区域(P、P’)に沿って配置される。
第1のメッシュ(10)が、少なくとも部分的に前記第1の壁(7、115)の内側に裏張りされ、前記第2のメッシュ(11)が、少なくとも部分的に前記第2の壁(8、116)の内側に裏張りされる。前記保護デバイス(1、100、110、1110)が、少なくとも1つの縫い目(3、300)を含み、縫い目(3、300)が、前記第1のメッシュ(10)の表面部分を、前記第2のメッシュ(11)の表面部分に接続し、前記少なくとも1つの縫い目(3、300)が、前記膨張可能部材(2;200、102、202、302、402、502、602;205、210、211、212)の折曲げ区域(P、P’)に沿って配置される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば事故の際に車両の使用者または乗員が固い物体および/または車両もしくは車両の一部に衝突するのを保護するために、使用者が着用して使用するのに適したおよび/または車両と共に使用するのに適した保護デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両運転中の安全性の絶え間ない研究の結果、車両に乗車している使用者のための多くの保護デバイスが開発された。1つの解決策は、例えば膨張可能部材または膨張可能バッグを含む保護デバイスであり、そのような膨張可能部材は、非作動状態では、使用者の衣類の中のハウジング内、および/または使用者の身体部位に面して車両内部に位置されたハウジング内、および/または衝突により被害を受ける可能性がある車両部分、すなわち事故の際に使用者が接触する可能性がある車両部分に位置されたハウジング内で、収縮されて折り畳まれて配置されている。
【0003】
さらに、膨張可能バッグは、一般に衝突、スリップ、または事故の際に、キャニスタなど圧縮ガス源と流体連絡するように配置される。一般に、ガス源は、例えば膨張された丸い形状のバルーン状ケーシングを形成するように膨張可能部材を膨張させる、したがって張力をかけるために、所定量の圧縮ガスを膨張可能バッグ内に導入することができる。したがって、導入されるガスの量は、十分な膨張および効果的な保護を保証するために膨張可能バッグの体積に厳密に関係付けられる。
【0004】
基本的には、これらのバッグは、膨張状態で、いくぶん体積が大きく、大きな断面積を有するある種のバルーンを形成し、前記バルーンが、膨張状態で使用者と車両の一部分または一般に固い物体の間に配置される。
【0005】
既知の膨張可能バッグの1つの欠点は、膨張可能バッグの形状を使用者の身体の解剖学的形態、または膨張可能バッグが関連付けられる車両内の区域の形状に適合させることが自由にはできないことである。
【0006】
すなわち、既知の膨張可能バッグの欠点は、それが配置される車両の区域、またはそれが使用される使用者の身体部位に簡単に適合させることができないことである。
【0007】
したがって、最大限の保護を保証するために、対象の使用者の身体および車両の各区域にこの種の膨張バルーンが配置されることが簡便である。しかし、この要件は、多数の膨張可能バッグおよび多数の圧縮ガス源、またはより一般には加圧流体源を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示の根底にある技術的な課題は、前記欠点を克服することができ、かつ/またはさらなる利点を実現することができる保護デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、独立請求項1に開示される保護デバイスによって解決される。
【0010】
本開示の主題の副次的な特徴は、対応する従属請求項で定義される。
【0011】
本開示の文脈において、用語「メッシュ」は、メッシュ状の外観を有する有孔の継ぎ当てまたは布片を意味する。
【0012】
本開示の文脈において、用語「壁」または「シート」は、それぞれのメッシュのためのカバー部材を意味し、ここで、第1および第2の壁が互いに関連付けられて内腔を画定し、その内部に、第1および第2のメッシュと、第1および第2のメッシュを一体につなぐ連結部材とが配置される。
【0013】
用語「連結部材」は、膨張可能部材が膨張状態のときに、引張応力を受けながら、膨張可能部材、特にメッシュの2つ以上の対面部分を一体に接合させる、または結び付ける、または動かないように保つ機能を有する部品または物体を意味するものと理解される。
【0014】
本開示の主題には、複数の重要な利点がある。
【0015】
第1の利点は、膨張可能部材を、少なくとも1つの縫い目の領域で、ある角度を成すように折り曲げることができ、かつ膨張状態でも折り曲げた状態を保つことができることである。基本的には、縫い目は、局所的に膨張可能部材の伸張を制限し、伸張が制限された区域での膨張可能部材の折り曲げを可能にする。
【0016】
さらに、縫い目は、2つの向かい合うメッシュを一体に接合するが、それぞれの壁またはシートは一体にステッチしないので、膨張流体が壁を通過して、膨張可能部材を膨張させたまま保つことができる可能性に影響を及ぼすおそれがない。好ましくは、縫い目は、1センチメートル当たり2〜3ステッチを含む(すなわち、約3〜5mmのステッチ間隔を有する)。
【0017】
別の利点は、2つのメッシュを一体に接続する連結部材の使用である。特に、この利点は、膨張可能部材が膨張されたときに連結部材が十分に張力をかけられた状態および/または十分に伸張された状態になるように2つのメッシュ間の連結部材の長さを予め調節して、2つのメッシュを含む構造を内腔の内部に配置するのに十分な任意の形状およびサイズで膨張可能部材を形成することができることにある。基本的には、連結部材の長さおよび最大伸張を適切に選択することによって膨張可能部材の最大伸張およびその局所厚さを制御することができるので、膨張可能部材の形状およびサイズは予め制御および決定することができる。
【0018】
したがって、連結部材を備える2つのメッシュを含む構造または本体を適切に形作り、折曲げ区域の領域内に1つまたは複数の縫い目を形成し、必要な場合には、内腔の内部での位置に応じて異なる長さの連結部材を提供することによって、(2つのメッシュ間の距離に関して、および2つのメッシュの外周形状に関して)膨張状態で膨張可能部材が取る形状、およびまた膨張可能部材の折曲げに関する形状を予め決定することができる。
【0019】
したがって、膨張可能部材を折り曲げることができ、それと同時に任意の形態、輪郭、および形状の膨張可能部材、好ましくは平坦な形状の膨張可能部材を提供することができることにより、膨張可能部材は、膨張状態で、適切に折り曲がった状態で使用者を少なくとも一部取り囲むように、および/または使用者の周りに位置されるように設計することができる。
【0020】
このような設計可能性は、特に、使用者の身体の一部に膨張可能部材を配置できるようにしたり、身体部分の解剖学的形態または自動車の内部に膨張可能部材を適合させたり、膨張可能部材が配置される車両の区域に膨張可能部材を適合させたりするのに有用である。したがって、対象の保護デバイスは、本質的には着用可能な保護デバイスである。
【0021】
例えば、保護デバイスは、使用者の肘または肩の領域で折り曲げることができる。
【0022】
あるいは、自動車の内部で、膨張可能部材を、乗員室の側壁と屋根の間の角度を成すように折り曲げて配置する、または使用者の頭部を横方向で保護するためにヘッドレストの側部に沿って挿入する、または使用者の胴部、足、および膝を保護するために座席の側部に沿って、またはダッシュボードもしくはハンドルの下に挿入することができる。
【0023】
さらなる代替形態によれば、モータサイクルにおいて、膨張可能部材をモータサイクルのハンドルバーに配置することができ、膨張可能部材は、膨張時にも、モータサイクルのハンドルバーの形状にほぼ適合してモータサイクルのハンドルバーの周りで折り曲げられたままである。
【0024】
本質的には、本開示による膨張可能部材は、膨張状態でさえ折り曲げられた形状を与えられているので、従来技術によるエアバックを位置させることができない、またはそれらが効果的に機能しない領域にも容易に配置することができる。
【0025】
別の利点は、膨張流体の流量が高い区域内に少なくとも1つの縫い目を提供することができることである。これに関連して、縫い目は、メッシュの限られた区域のみを占有し、流体が通過できるように隣接区域を空けておく。
【0026】
さらに、本発明による別の利点は、層状構造を成すように(例えば一連の相次ぐ折畳みを含めて)膨張可能部材を複数回折り畳むことができることである。
【0027】
このようにして、膨張状態で3次元形状を有するように膨張可能部材を予め設計することができる。例えば、立方体形状または同様の三次元本体を提供することができる。
【0028】
好ましくは、各メッシュは、付着剤の層によってそれぞれの壁と接着され、それによりこの接着剤層も縫い目を覆う。
【0029】
一実施形態では、縫い目は、閉じたラインを成し、すなわち好ましくは例えば長方形状の閉ループを成す。
【0030】
前記閉じたラインの形状により、膨張可能部材の一区域または一領域を完全に平坦にすることができ、それにより、折曲げ領域において膨張可能部材の厚さを最小にすることができる。
【0031】
前記閉ループ形状により、膨張中に、加圧流体の力に対する適切な耐性を実現することができる。実際、縫い目に達する流体は、閉ループの左右に横方向へ逸らされ、それにより流体の力の横方向分散が実現される。このようにすると、縫い目が緩む危険が少なく、または縫い目の領域内でのメッシュの破断および引裂けの危険が少ない。
【0032】
一実施形態では、閉ループの縫い目が、互いに交差する末端部分を有する。基本的には、閉ループの末端部分が交差し、交差点でのみ重ね合わされる。
【0033】
交差により、縫い目は、交差点でのみ比較的厚く、縫い目の残りの部分は限られた厚さしかない。一実施形態では、縫い目の末端部分は、内側に向かって交差し、したがって閉ループの内部に配置された自由端部を有する。自由端部は、本質的には閉ループの内部で保護される。この実施形態により、加圧流体の流れにより縫い目が緩められる危険、および破断の危険をさらに減少させることができる。
【0034】
また、一実施形態では、デバイスが、メッシュのそれぞれの表面部分に関連付けられ、前記少なくとも1つの縫い目に重ね合わされた補強要素も備える。基本的には、補強要素は、メッシュとそれぞれの壁の間に配置される。
【0035】
この補強要素は、縫い目を包み込んで、対応する壁から隔離することができ、それにより、膨張流体がメッシュとそれぞれの壁の間を通過せず、膨張可能部材の外面での望ましくない泡の発生を引き起こさないことを保証する。
【0036】
さらに、この補強要素により、流体の圧力によって生成される応力から縫い目を保護できるようになる。実際、膨張部材が膨張されるとき、補強要素は、膨張可能部材自体によって張力をかけられ、したがって収縮状態よりも剛性の挙動を示し、それにより縫い目をより強くする。
【0037】
さらに、補強要素があると、貫通に対する耐性を高めることができるので有利である。すなわち、(例えば鋭利な物体に対する衝突による)縫い目の領域内での力集中は、補強要素によって、膨張可能部材のより広い領域にわたって再分散される。
【0038】
すなわち、流体の力または鋭利な物体の力集中による膨張可能部材の局所変形が減少され、したがって、この点で流体および/または前記鋭利な物体が縫い目を断裂点まで変形することができる可能性が低くなるので、保護能力が高められる。
【0039】
一実施形態では、デバイスは、1対の補強要素を備え、各補強要素がそれぞれのメッシュ上にあり、したがって両側で縫い目を保護する。
【0040】
一実施形態では、補強要素は不透過性材料からなり、縫い目の上に継ぎ当てのように配置されるシート状部品である。例えば、補強要素はポリウレタンシートであり、これもまた可撓性があり、したがって保護デバイスの取扱いを妨げるものとはならない。
【0041】
一実施形態では、保護デバイスは、互いに並べて配置された少なくとも2つの縫い目を備え、各縫い目に沿って折曲げが可能にされる。2つの縫い目の使用は、ほぼ平行な連続する折曲げを行うのに有利であり、折曲げは、同一平面にある状態に対して90°よりも大きい角度で、膨張可能部材の2つの隣接部分が相対変位できるようにする。このとき、実際には、このような折曲げにより、膨張状態の膨張可能部材の隣接部分が普通であれば互いに干渉し合って、折曲げを妨げる危険がある。
【0042】
好ましくは、膨張可能部材の隣接部分どうしの干渉をできるだけ減少させるために、互いに並べて配置された前記2つの縫い目間の距離が、メッシュに接続する連結部材の長さに少なくとも等しい。
【0043】
本開示の主題のさらなる利点、特徴、および使用形態は、単に非限定の例として提供するそのいくつかの好ましい実施形態の以下の詳細な説明から明らかになる。しかし、各実施形態が、上に列挙した利点の1つまたは複数を備えることができることは明らかである。いずれにせよ、各実施形態が、列挙した利点をすべて同時に備える必要はない。
【0044】
添付図面の各図を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】折り曲げられた状態での本開示による保護デバイスの横方向断面図である。
【図2】第1の処理ステップ中の本開示による保護デバイスの一部分の斜視図である。
【図3】第2の処理ステップ中の本開示による保護デバイスの一部分の斜視図である。
【図4】第3の処理ステップ中の本開示による保護デバイスの一部分の斜視図である。
【図5】第4の処理ステップ中の本開示による保護デバイスの一部分の側面図である。
【図6】図4の詳細VIの断面図である。
【図7】図4の詳細VIIを示す図である。
【図8】図1の詳細VIIIを示す図である。
【図9】図1の詳細IXを示す図である。
【図10】処理ステップ中の本開示による保護デバイスの一部分の拡大斜視図である。
【図10A】折り曲げられた状態での本開示による保護デバイスの横方向側断面図である。
【図11】収縮状態での本開示による保護デバイスの部分断面上面図である。
【図12】図11の詳細XIIの拡大図である。
【図13】図11の詳細XIIIの拡大図である。
【図14】図11の詳細XIVの拡大図である。
【図15】本開示によるデバイスの部分断面斜視図である。
【図16】処理ステップ中の図15による詳細XVIを示す図である。
【図17】図15による詳細XVIIを示す図である。
【図18】図15による詳細XVIIIを示す図である。
【図19】膨張された状態での本発明による保護デバイスの別の実施形態を示す図である。
【図20】図19のXX−XX線に沿った断面図である。
【図21】それぞれのハウジング内部に含まれた、収縮状態での保護デバイスを含む車両の前面図である。
【図22】保護デバイスが膨張された状態での図21による車両の前面図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
添付の図1〜図9を参照すると、参照番号1は、本開示による保護デバイスの第1の実施形態を示す。
【0047】
保護デバイス1は、流体、例えばヘリウムなど加圧低温ガスによって膨張させることができる膨張可能部材2を備える。
【0048】
膨張可能部材2は、多層タイプのものであり、向かい合わせに配置された2つの壁7、8を含み、これらの壁7、8は、この例では前記ガスに対して不透過性の材料からなり、一体に接合され、この例ではガスタイプ様式で固定されて、前記壁7、8の間に取り囲まれた内腔9を形成する。
【0049】
また、膨張可能部材2は、内腔9の内部に収容されるいわゆる二層構造(図2、図3、および図4に参照番号5で示される)を含む。
【0050】
構造5は、基本的には、互いに向かい合わせて配置され、複数の部材12によって一体に接続された2つの層を形成する2つのメッシュ10、11を含み、部材12は、この例では糸状の形態を有する可撓性の連結部材である。基本的には、2つの壁7、8が、2つのメッシュ10、11および連結部材12を含む構造5を中に収容するケーシングを形成する。特に、各メッシュ10、11は、接着剤または同様の固定系を使用して、それぞれの壁7、8に内腔9側で付着するように接合される。
【0051】
より詳細には、保護デバイス1は、少なくとも1つの第1の縫い目3を含み、縫い目3は、膨張可能部材2の2つのメッシュ10、11を直接接触させてつなぎ、一体に接合させ、膨張時のこの区域内での膨張可能部材2の厚さを小さく定める。図1で見ることができるように、この縫い目3は、膨張可能部材2の折曲げ区域Pと関連付けられ、すなわち折曲げ区域P内に形成される。
【0052】
この折曲げPを実現するために、ステッチ糸Cが、メッシュ10、11の向かい合う表面部分を通過する。特に、(ポリアミドからなる)ステッチ糸Cは、それぞれメッシュ10、11の向かい合う表面部分を上下に連続的に通る。この例での対象の縫い目は、1センチメートル当たり2〜3ステッチの直線縫い目からなる。
【0053】
より詳細には、縫い目3は、2つのメッシュ10、11のみをステッチし合わせて、横方向で接続するように意図され、連結部材12(図6)の局所圧縮を生み出すが、メッシュ10、11が付着して接着される壁7、8には影響を及ぼさない。したがって、折曲げ区域P内では、膨張可能部材2は膨張しないか、またはいずれにしても膨張の度合いが限られており、厚さが限られているのである角度での折曲げが可能になり、容易になる。同時に、膨張可能部材2の内部でのガスの拡散または流動が可能にされる。これに関連して、縫い目3に沿って、膨張流体が通過できるように側部区域26を空けておくために、縫い目3が構造5の限られた区域のみを占有することが好ましいことを指摘すべきである。
【0054】
すなわち、第1の縫い目3は、膨張可能部材2が膨張状態にあるときでさえ、膨張流体の通過を妨げずに、膨張可能部材2を折曲げ区域Pに沿って折り曲げることができるようにし、すなわち、膨張可能部材2の部分2a、2bが回動軸周りで互いに対して回動できるようにする。
【0055】
また、連結部材12があることで膨張状態での折曲げPの安定性が保証され、連結部材12は、膨張可能部材2全体にある程度の頑丈性を与える。
【0056】
この例では、連結部材12は糸状の形態を有し、可撓性があり非伸張性の部材からなる。したがって、連結部材12は、膨張可能部材2が非作動状態にあるときには、好ましくは張力がかかっておらず、内腔9内部で弛まされており、一方、膨張可能部材2が膨張状態にあるときには、例えば縫い目3が位置される区域以外で張力下にあるように、適切に寸法設定される。
【0057】
特に、連結部材12は、膨張可能部材2内部に高密度で分散され、その密度は、例えば膨張可能部材2の表面で1cm2当たり少なくとも1つの連結部材12、より好ましくは、やはり例として膨張可能部材2の表面で1cm2当たり1本〜15本、好ましくは1cm2当たり4本〜6本の糸といったものである。
【0058】
連結部材12は、内腔9内部でほぼ一様に分散され、すなわちそれらの表面密度が膨張可能部材2全体を通じてほぼ同じであることが分かる。
【0059】
上述したように、この例では、連結部材12は、例えば厚さが約500〜約1000デシテックス(連続糸またはヤーンの長さの単位)のポリエステルまたはポリアミド糸であり、端部12a、12bを有し、それらの端部12a、12bは、連結部材12が一体に接続されるメッシュ10、11のそれぞれの部分に固定される。より詳細には、各糸12は、それぞれのメッシュ10、11上の一点から延び出ている撚り合わせていない連続する繊維の束を含む。
【0060】
図示される例では、各メッシュ10、11は、それぞれの壁7、8のほぼ全体に裏張りされるように広がっている。より詳細には、各メッシュ10、11は、(例えば図4に参照番号30、31で示される)接着剤フィルムによって、それぞれの壁7、8の表面に安定に固定される。
【0061】
基本的には、膨張可能部材2は、2つのメッシュ10、11および連結部材12を含む事前製造された織物構造5を備え、かつ2つの壁7、8またはシートも備え、壁7、8は、この例では気密であり、互いに外周で固定され、織物構造5を受け取る。2つの壁7、8は、それぞれのメッシュ10、11に付着するようにそれぞれ構成される。
【0062】
壁7、8は、ポリアミドまたはポリウレタンからなる。さらなる実施形態では、壁7、8は積層からなり、積層は、(積層の約65重量%を成す)布地層7a、この例では100%ナイロンの層と、(積層の約35重量%を成す)接着剤層7b、この例では接着剤フィルム、例えばポリウレタン接着剤フィルムとを備え、接着剤は、ローラ(図7)によって延ばすことによって布地層7aの上に分散される。
【0063】
積層が使用される場合、上述した接着剤フィルム30、31が、積層の接着剤層7bと接触して配置される。
【0064】
連結部材12をそれ自体の両端部12a、12bでメッシュ10、11に固定することは、例えば、メッシュ10、11の緯糸間に連結部材12を単に挿入する、または編み込むことによって実現される。基本的には、図面に示される例では、連結部材12は所与の本数の糸によって形成され、これらの糸は、編み込みによって、または連結もしくは同様の固定方式によって、一方のメッシュ10に固定され、次いで他方のメッシュ11に固定される。
【0065】
あるいは、各連結部材12は、前記第1および第2のメッシュ10、11の両方と一体に織り合わされた、またはメッシュから連続的に延びる糸である。基本的には、糸/連結部材12は、前記第1および第2のメッシュ10、11の一方から延在し、前記第1および第2のメッシュ10、11の他方と一体に織り合わされる。
【0066】
2つのメッシュ10および11と連結部材12から構成されるアセンブリが、いわゆる3次元またはダブルニット布地を形成する。
【0067】
メッシュ10および11は、ポリエステルまたはポリアミドからなる。
【0068】
図2〜図8を参照すると、上述したような本開示による保護デバイス1が、以下に示すように製造される。特に、図2〜図8では、説明をより簡単に理解できるように、連結部材12にいくらか張力がかかった状態で構造5が示されている。しかし、メッシュ10、11を互いにできるだけ近づけて付着し、連結部材12をメッシュ10、11の間で弛ませた状態で縫い目3が形成されることを理解されたい。
【0069】
まず、1対のメッシュ10、11が、所定の距離で互いに面して配置され、それらに連結部材12の端部12a、12bが連結または何らかの他の方法で固定される。前記連結部材12の長さは、膨張状態での膨張可能部材2の最大局所伸張に対応するメッシュ10、11間の最大相対距離を定義するように選択される。
【0070】
次いで、メッシュ10、11および連結部材12を含む構造5にステッチまたは縫合せが施される。ステッチステップは、例として針35、36、37の形で示されている。
【0071】
特に、折曲げ区域Pとして使用されるように意図された膨張可能部材2の中央区域に少なくとも1つの縫い目3が形成され、また好ましくは、前記メッシュ10、11の外周42に沿って外周縫い目40が形成される。
【0072】
次いで、図4に見られるように、構造5が、2つの接着剤フィルム30、31の間および2つの壁7、8の間に挟まれる。
【0073】
2つの壁7、8は、メッシュ10、11の全周42よりも広がり出た外周部分23、24を有する。基本的には、参照番号7、8での2つの壁は、それぞれのメッシュ10、11よりも大きい表面広がりを有する。
【0074】
この方法を実施する一形態によれば、各壁7、8は、それぞれの接着剤フィルム30、31と予め一体に接合されており、さらに、ホットプレス25によって構造5のそれぞれのメッシュ10、11に接着される(図5)。その結果、各メッシュ10、11は、壁7、8の自由外周部分23、24を残して、それぞれの壁7、8に裏張りされて付着し、自由外周部分23、24は互いに直接接着される。
【0075】
この製造方法の説明から明らかに理解することができるように、一方では、縫い目3が、膨張時でさえ膨張可能部材2のより簡単な折り曲げを可能にする。なぜなら、縫い目3は、折曲げ区域Pでの膨張可能部材2の厚さを最小にすると同時に、壁7、8の膨張は妨げないからである。
【0076】
他方では、外周縫い目40が、膨張可能部材2が膨張されたときに膨張可能部材2の強度を高めるように意図され、縁部23、24に沿った壁7、8の過負荷および破断を防止する。
【0077】
図10を参照すると、実施形態の一変形形態によれば、二層構造5が、上述した直線縫い目3ではなく、閉じたラインをたどる、すなわち閉ループ、この例では閉じた多角形ラインの形を有する縫い目300を含む。
【0078】
この実施形態では、前述した実施形態と同じ機能および構造を有する部分には同じ参照番号を付してあり、したがって繰り返し詳細には説明しない。
【0079】
より詳細には、縫い目300は、ほぼ長方形の部分103と、互いに交差する末端部分203、303とを含む。より詳細には、前記末端部分203、303は、前記末端部分203、303の自由端部203a、303aが閉ループ内に配置されるように互いに交差する。
【0080】
基本的には、縫い目300は、縫い目自体によって保護された自由端部203a、303aを有する。なぜなら、自由端部203a、303aは、正にそれらを取り囲む閉ループの縫い目300により、縫い目300の残りの部分よりもはるかに小さい応力しか受けない領域内に位置されるからである。
【0081】
末端部分203、303の1回のみの交差により、縫い目部分を余剰に繰り返して重ね合わせることが避けられる。そのような重ね合わせは通常、余剰の厚さをもたらし、それぞれの壁7、8へのメッシュ10、11の付着を妨げる。
【0082】
さらに、閉ループ内部に自由端部203a、303aを配置することは、縫い目300の自由端部203a、303aが、そこを通過する流体に直接は露出されないという効果を有する。
【0083】
メッシュ10、11を一体に接合する縫い目300は、前の実施形態に関して使用された縫い目とほぼ同様に、図2、図3、図4、および図5に示される同じ加工ステップを使用して形成される。
【0084】
より好ましくは、折曲げP’に好都合となるように2つの閉ループの縫い目300が形成され、それにより各折曲げP’は、各縫い目300を通って延びるラインにほぼ沿って行われる。本質的には、図10の破線によって示される2つのほぼ平行な折曲げ区域P’が存在する。
【0085】
互いに並べて配置される2つの縫い目300の使用は、折曲げP’を成すのに有利であり、図10Aに示されるように、膨張可能部材2の2つの隣接する部分2a、2bの相対変位Aは、同一平面にある状態に対して90°よりも大きい。好ましくは、膨張可能部材2の隣接部分2a、2bどうしの干渉をできるだけ減少させるために、前記2つの縫い目300間の距離は、メッシュ10、11を一体に接続する連結部材の長さに少なくとも等しい。
【0086】
図11〜図18を参照して、本開示による保護デバイス100の別の実施形態を説明する。この実施形態では、前述した実施形態と同じ機能および構造を有する部分には同じ参照番号を付してあり、したがって繰り返し詳細には説明しない。
【0087】
特に、保護デバイス100は、使用者の身体の上部を保護するように意図され、前述した加工ステップによって製造される膨張可能部材200を含む。
【0088】
より詳細には、膨張可能部材200は、開いた環の形態であり、使用者の首の周りに位置決めされるように意図された中央部分102を含む。また、膨張可能部材200は、肩の上に配置されるように意図された2つの前側横方向付属部202、302と、肩甲骨の上に位置決めされるように意図された2つの後側横方向付属部402、502と、背骨の上に位置決めされるように意図された後側中央付属部602とを含む。
【0089】
中央部分103および付属部202、302、402、502、602は、空気圧式に互いに連絡し、織物構造5および壁7、8によって形成される。
【0090】
この例では、低温ヘリウムキャニスタ20が、パイプ21を介して、膨張可能部材200の後側中央付属部602と流体連絡して接続される。
【0091】
上述した膨張可能部材200の形態から、かつ上述した所期の使用法から、使用中、後側横方向付属部402、502および後側中央付属部602が中央部分102に対して折り曲げられることを理解することができる。
【0092】
さらに、前側横方向付属部202、203はそれぞれ、使用者の肩の傾いた解剖学的形態に従って、中央部分102に対してわずかに折り曲げられる。
【0093】
膨張可能部材200は複数の縫い目300を備え、縫い目300は、閉ループとして形成され、流体Fの流れに露出され、膨張可能部材200の上述したメッシュ10、11の向かい合う表面部分を互いに対して保定するように意図されて、膨張可能部材200の伸張を局所的に制限し、したがって簡単な折曲げを可能にする。
【0094】
より詳細には、膨張可能部材200は、中央部分102と横方向後側付属部402、502および後側中央付属部602とが互いに接続される区域で、対として配置された6つの縫い目300を含む。膨張可能部材200のそれぞれの折曲げは、縫い目300の各対の領域内で行われる。
【0095】
より詳細には、中央部分102と各横方向後側付属部402、502の間に提供される縫い目300の対に沿って、各横方向後側属部402、502を中央部分102のそれぞれの部分に対して完全に重ね合わせた状態でほぼ180°の角度に折り曲げることができる。したがって、膨張可能部材200の層状構成が得られる。
【0096】
また、膨張可能部材200は2つの副次縫い目400を含み、副次縫い目400も縫い目3、300と同様に形成され、すなわちメッシュ10、11の向かい合う部分を一体に接合する。
【0097】
特定の場合には、副次縫い目400は、ガス発生器20を横方向で保定するように意図され、ガス発生器20を膨張可能部材200の後側中央付属部602の内部に位置決めすることができ、それにより、横方向の隙間の大きさを制限してガス発生器20が内部に受け取られるハウジングを形成する。
【0098】
各副次縫い目400は細長い形状であり、直線区域204と湾曲区域104を含む。前記副次縫い目400の場合、湾曲区域104は、実質的に折り曲げられて、前記直線区域204に対する曲がりを形成する。
【0099】
より詳細には、直線区域204は、外周縫い目40の延長として形成される。
【0100】
湾曲区域104は末端部分105を備え、末端部分105は、メッシュ10、11のそれぞれの外周42の側に向けて延び、それにより、副次縫い目400の自由端部105aは、それぞれの直線区域204と、直線区域204が延長部を成している外周縫い目40との間に位置決めされる。
【0101】
中央部分102に対する前側横方向付属部202、302のさらなる相対回動に好都合となるように、膨張可能部材200は、外周に沿って形成され、それぞれの横方向後側付属部402、502に向けられた凹部を有するV字形の切欠22を含む。切欠22は、各前側横方向付属部202、203と中央部分102の間に位置決めされる。
【0102】
本開示の別の態様によれば、保護デバイス100は、複数の補強要素50、52、54を備え(図15〜図18参照)、各補強要素は、好ましくは閉ループの縫い目300、副次縫い目400、および外周縫い目40のいくつかの区域の上で、それぞれの縫い目に沿って膨張可能部材200に固定することができる。
【0103】
特に、保護デバイス1は、12個のほぼ楕円形状の補強要素50を備え、そのうちの6つが図15で見られ、各補強要素50が、メッシュ10およびメッシュ11上で直接、それぞれの環状縫い目300に沿って固定される。
【0104】
図15および図18で一方が見えている1対の長方形状の補強要素54は、膨張可能部材200の後側中央縫い目602に固定され、メッシュ10およびメッシュ11上で直接、2つの副次縫い目400の両方を部分的に覆い、各副次縫い目400の直線区域204を露出させて残す(図18)。
【0105】
さらに、4つの補強要素52(図15および図17でそのうちの2つが見えている)が、外周縫い目40の一部分に沿って提供され、特に膨張可能部材200の中央部分102が横方向前側付属部202、302につながる場所に提供され、特に膨張可能部材200の各側にある上述したV字形切欠22に向かい合う。
【0106】
この例での前記補強要素50、52、54はそれぞれ、厚さが数ミリメートル(例えば2mm)であり、保護すべき縫い目の面積に匹敵する表面積の可撓性複合材料(例えばポリウレタンベースの炭素またはガラス繊維)のシートまたはフォイルによって形成される。補強要素50、52、54は、2つの壁7、8の間に構造5を挟んで付着して固定する前に、例えば図16に示されるようにポリウレタン接着剤を使用して、それぞれ構造5のメッシュ10およびメッシュ11に予め固定される。したがって、各補強要素50、52、54は、メッシュ10、11とそれぞれの壁7、8の間に位置決めされる。
【0107】
これらの補強要素50、52、54は、加圧ガスによって作用されるときに、閉ループの縫い目300と、副次縫い目400と、膨張可能部材200の外周縫い目40とに対して、より大きい安定性を与える。さらに、これらの補強要素50、52、54は、縫い目300、400、および40のより大きな隔離を保証し、それぞれのメッシュ10、11への壁7、8の完璧な接着に好都合となる。
【0108】
図19を参照すると、本開示による保護デバイスのさらなる例が示されており、参照番号110によって表される。
【0109】
このさらなる実施形態では、前述した実施形態と同じ機能および構造を有する部分には同じ参照番号が付してあり、したがって繰り返し詳細には説明しない。
【0110】
保護デバイス110は、涎掛けのような形状を有し、使用者のそれぞれ胸部および背中にかけて位置決めされるように意図された1対の膨張可能部材210、211を備える。前記膨張可能部材210、211は、ほぼ円環形の部材212またはカラーによって一体に接続され、この部材212も膨張させることができ、膨張可能部材210および211と空気圧式に連絡する。本質的には、膨張可能部材210、211、212は、単一の膨張可能バッグ205を画定する。
【0111】
部材212は、使用者の首を受け取るように意図された中央領域213または穴を画定し、首の周りに膨張可能な円環形部材212が配置される。
【0112】
この円環形部材212は、開いた環の形状であり、実際には開口214を有し、使用者が中央領域213に頭部(したがって首)を容易に挿入できるようにする。さらに、この開いた環により、使用者の胸部に沿って衣類を開閉するための手段(例えばジップファスナ)を備える衣類、例えばモータサイクル運転者のジャケットまたはライディングスーツにデバイス110を組み込むことができる。これは、開口214と膨張可能部材210の隣接する縁部とに沿って延びるように前記開閉手段を配置することによって実現される。
【0113】
各膨張可能部材210、211、212は、互いに面する向かい合う壁(そのうち1つの壁115のみが見える)によって画定される。壁は、例えば、上述した壁7、8と同じ材料からなり、したがって柔軟な気密材料、例えばポリウレタンやポリアミドのシート、または前述した積層からなる。壁は互いに付着し、膨張可能部材210、211、212の外周縁部120に沿って封止される。すなわち、適切に形作られて互いに上下に配置され、外周縁部120全体に沿って一体に接合された2つの壁またはシートによって膨張可能部材210、211、212が画定される。
【0114】
各膨張可能部材210、211、212は、2つの壁の間で、中に内腔9を画定しており、内腔9は、特に既に述べた1対のメッシュ10、11を備え、各メッシュがそれぞれの壁に関連付けられる、または固定/接着される。
【0115】
2つの膨張可能部材210、211、212を所与のライン218に沿って互いに対して折り曲げるまたは回動させることができるように(例えば回動軸218に沿って背中部材211を首部材212に対して折り曲げることができるように)、特別な構成が前記ライン218に沿って提供される。前記構成は、本質的に選択的な折曲げ領域Pからなる。
【0116】
この例では、この構成は、前記回動軸218に沿って位置合わせされた膨張可能バッグ205の部分225を提供することによって得られ、部分225において、向かい合うメッシュ10、11が、それらの相対変位を制限または防止するように一体にステッチされている、またはいずれにしても一体に接合されている(図20に示される)。ステッチされた部分225の間に空いた部分226が画定され、膨張可能バッグ205が伸張できるようにする。このようにして、軸218に沿って、膨張状態での膨張可能バッグ205の厚さが制限され、したがって前記軸218に沿った折曲げおよび膨張可能部材211、212の互いに対する回動に好都合となる。同時に、空いた部分226は、軸218の前後で膨張可能部材211、212の間で空気圧連絡を維持できるようにする。
【0117】
図21および図22を参照すると、本開示による保護デバイスのさらなる例が示され、参照番号1110で表される。特に、この例では、保護デバイス1110は自動車1000用に意図され、車両1000内部の乗員/運転者室の屋根と側壁の間でハウジング1004内部に配置される。保護デバイス1100は、膨張時に外方向に広がり、車両1000の屋根に沿って、かつドアサイドに沿って位置される。
【0118】
特に、保護デバイス1110は、図2〜図5を参照して上述した加工ステップを使用して形成され、(図面では見えない)メッシュのステッチによって得られる中央折曲げ区域Pを含む。
【0119】
基本的には、ステッチにより、車両1000用の保護デバイス1110を乗員室の屋根と側壁の間で折ることができるようにし、さらに膨張状態でも折ったままにすることができる。
【0120】
本開示による膨張可能部材の膨張を行うために、その実施形態の任意の1つにおいて、使用者または走行中の車両の一部において事故および/または落車および/またはスリップおよび/または衝突が発生した場合に、本開示による保護デバイスは、特別な作動および膨張手段と協働することができる。そのような手段のうち、図面には単に例として、例えば膨張可能部材の外部に配置されたヘリウムキャニスタ(低温ガス発生器)が示されている。
【0121】
あるいは、これらの手段は、火薬技術またはハイブリッドタイプ、または当技術分野で知られている他のタイプのガス発生器を備えることができる。
【0122】
前記膨張手段は、制御ユニットによって、車両/使用者システムの状態を感知することによって動作される。例えば、モータサイクルの場合、前記制御ユニットが落車予測システムを作動させることができ、この落車予測システムは、車両(または使用者)と一体の速度センサと、前記センサによって生成される信号を処理するためのユニットとによって、落車の適時認識および高い信頼性での落車予測を可能にする。
【0123】
あるいは、本開示による保護デバイスは、モータサイクルに接続された作動ケーブルを使用して適用することもでき、このケーブルは、車両から使用者が離れたときに、例えば落車または衝突時に、膨張可能部材の膨張を作動させる。
【0124】
いずれにせよ、前述の作動および膨張手段は、保護デバイスに組み込むことができ、またはその外部に位置させることができる。
【0125】
保護デバイスが自動車内部に取り付けられる場合、膨張手段は、制御ユニットによって、例えば従来技術のエアバッグの作動のために既に使用されている技法を使用して、自動車の走行または減速の状態を感知することによって操作される。
【0126】
また、作動方法は、デバイスの効果的な動作に特に重要な側面ではあるが、より詳細には説明せず、これらは当業者に本質的に既に知られている方法であることに留意されたい。
【0127】
保護デバイスは、任意選択で、一方の側で内腔と連絡し、他方の側で外部環境と連絡する収縮弁(図示せず)を備え、作動後、保護作用がもはや必要なくなったときに膨張可能デバイスの収縮を可能にする。
【0128】
通常は閉じた位置にあるこの収縮弁は、特に予期せぬ作動または衝突によるデバイスの作動後、使用者が車両を引き続き使用することを望むときに、例えば使用者によって手動で開かれる。実際、収縮弁を開放すると、膨張部材と外部環境の圧力差によりガスが内腔から流出し、膨張可能部材が収縮されるという効果が得られる。あるいは、収縮弁の作動は、電子制御ユニット(図示せず)によって制御することができ、電子制御ユニットは、膨張手段の作動後、所定の時間(例えば15秒)の経過後に収縮弁を開く。
【0129】
実施形態の一変形形態によれば、収縮弁の代わりに、所要の収縮時間に応じて予め定められた直径を有する収縮パイプが使用される。
【0130】
ここまで、本開示の主題を、その好ましい実施形態を参照しながら説明してきた。同じ発明の着想に関係する他の実施形態があり得、それらすべてが添付の特許請求の範囲の保護範囲内に含まれることを理解されたい。
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば事故の際に車両の使用者または乗員が固い物体および/または車両もしくは車両の一部に衝突するのを保護するために、使用者が着用して使用するのに適したおよび/または車両と共に使用するのに適した保護デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両運転中の安全性の絶え間ない研究の結果、車両に乗車している使用者のための多くの保護デバイスが開発された。1つの解決策は、例えば膨張可能部材または膨張可能バッグを含む保護デバイスであり、そのような膨張可能部材は、非作動状態では、使用者の衣類の中のハウジング内、および/または使用者の身体部位に面して車両内部に位置されたハウジング内、および/または衝突により被害を受ける可能性がある車両部分、すなわち事故の際に使用者が接触する可能性がある車両部分に位置されたハウジング内で、収縮されて折り畳まれて配置されている。
【0003】
さらに、膨張可能バッグは、一般に衝突、スリップ、または事故の際に、キャニスタなど圧縮ガス源と流体連絡するように配置される。一般に、ガス源は、例えば膨張された丸い形状のバルーン状ケーシングを形成するように膨張可能部材を膨張させる、したがって張力をかけるために、所定量の圧縮ガスを膨張可能バッグ内に導入することができる。したがって、導入されるガスの量は、十分な膨張および効果的な保護を保証するために膨張可能バッグの体積に厳密に関係付けられる。
【0004】
基本的には、これらのバッグは、膨張状態で、いくぶん体積が大きく、大きな断面積を有するある種のバルーンを形成し、前記バルーンが、膨張状態で使用者と車両の一部分または一般に固い物体の間に配置される。
【0005】
既知の膨張可能バッグの1つの欠点は、膨張可能バッグの形状を使用者の身体の解剖学的形態、または膨張可能バッグが関連付けられる車両内の区域の形状に適合させることが自由にはできないことである。
【0006】
すなわち、既知の膨張可能バッグの欠点は、それが配置される車両の区域、またはそれが使用される使用者の身体部位に簡単に適合させることができないことである。
【0007】
したがって、最大限の保護を保証するために、対象の使用者の身体および車両の各区域にこの種の膨張バルーンが配置されることが簡便である。しかし、この要件は、多数の膨張可能バッグおよび多数の圧縮ガス源、またはより一般には加圧流体源を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示の根底にある技術的な課題は、前記欠点を克服することができ、かつ/またはさらなる利点を実現することができる保護デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、独立請求項1に開示される保護デバイスによって解決される。
【0010】
本開示の主題の副次的な特徴は、対応する従属請求項で定義される。
【0011】
本開示の文脈において、用語「メッシュ」は、メッシュ状の外観を有する有孔の継ぎ当てまたは布片を意味する。
【0012】
本開示の文脈において、用語「壁」または「シート」は、それぞれのメッシュのためのカバー部材を意味し、ここで、第1および第2の壁が互いに関連付けられて内腔を画定し、その内部に、第1および第2のメッシュと、第1および第2のメッシュを一体につなぐ連結部材とが配置される。
【0013】
用語「連結部材」は、膨張可能部材が膨張状態のときに、引張応力を受けながら、膨張可能部材、特にメッシュの2つ以上の対面部分を一体に接合させる、または結び付ける、または動かないように保つ機能を有する部品または物体を意味するものと理解される。
【0014】
本開示の主題には、複数の重要な利点がある。
【0015】
第1の利点は、膨張可能部材を、少なくとも1つの縫い目の領域で、ある角度を成すように折り曲げることができ、かつ膨張状態でも折り曲げた状態を保つことができることである。基本的には、縫い目は、局所的に膨張可能部材の伸張を制限し、伸張が制限された区域での膨張可能部材の折り曲げを可能にする。
【0016】
さらに、縫い目は、2つの向かい合うメッシュを一体に接合するが、それぞれの壁またはシートは一体にステッチしないので、膨張流体が壁を通過して、膨張可能部材を膨張させたまま保つことができる可能性に影響を及ぼすおそれがない。好ましくは、縫い目は、1センチメートル当たり2〜3ステッチを含む(すなわち、約3〜5mmのステッチ間隔を有する)。
【0017】
別の利点は、2つのメッシュを一体に接続する連結部材の使用である。特に、この利点は、膨張可能部材が膨張されたときに連結部材が十分に張力をかけられた状態および/または十分に伸張された状態になるように2つのメッシュ間の連結部材の長さを予め調節して、2つのメッシュを含む構造を内腔の内部に配置するのに十分な任意の形状およびサイズで膨張可能部材を形成することができることにある。基本的には、連結部材の長さおよび最大伸張を適切に選択することによって膨張可能部材の最大伸張およびその局所厚さを制御することができるので、膨張可能部材の形状およびサイズは予め制御および決定することができる。
【0018】
したがって、連結部材を備える2つのメッシュを含む構造または本体を適切に形作り、折曲げ区域の領域内に1つまたは複数の縫い目を形成し、必要な場合には、内腔の内部での位置に応じて異なる長さの連結部材を提供することによって、(2つのメッシュ間の距離に関して、および2つのメッシュの外周形状に関して)膨張状態で膨張可能部材が取る形状、およびまた膨張可能部材の折曲げに関する形状を予め決定することができる。
【0019】
したがって、膨張可能部材を折り曲げることができ、それと同時に任意の形態、輪郭、および形状の膨張可能部材、好ましくは平坦な形状の膨張可能部材を提供することができることにより、膨張可能部材は、膨張状態で、適切に折り曲がった状態で使用者を少なくとも一部取り囲むように、および/または使用者の周りに位置されるように設計することができる。
【0020】
このような設計可能性は、特に、使用者の身体の一部に膨張可能部材を配置できるようにしたり、身体部分の解剖学的形態または自動車の内部に膨張可能部材を適合させたり、膨張可能部材が配置される車両の区域に膨張可能部材を適合させたりするのに有用である。したがって、対象の保護デバイスは、本質的には着用可能な保護デバイスである。
【0021】
例えば、保護デバイスは、使用者の肘または肩の領域で折り曲げることができる。
【0022】
あるいは、自動車の内部で、膨張可能部材を、乗員室の側壁と屋根の間の角度を成すように折り曲げて配置する、または使用者の頭部を横方向で保護するためにヘッドレストの側部に沿って挿入する、または使用者の胴部、足、および膝を保護するために座席の側部に沿って、またはダッシュボードもしくはハンドルの下に挿入することができる。
【0023】
さらなる代替形態によれば、モータサイクルにおいて、膨張可能部材をモータサイクルのハンドルバーに配置することができ、膨張可能部材は、膨張時にも、モータサイクルのハンドルバーの形状にほぼ適合してモータサイクルのハンドルバーの周りで折り曲げられたままである。
【0024】
本質的には、本開示による膨張可能部材は、膨張状態でさえ折り曲げられた形状を与えられているので、従来技術によるエアバックを位置させることができない、またはそれらが効果的に機能しない領域にも容易に配置することができる。
【0025】
別の利点は、膨張流体の流量が高い区域内に少なくとも1つの縫い目を提供することができることである。これに関連して、縫い目は、メッシュの限られた区域のみを占有し、流体が通過できるように隣接区域を空けておく。
【0026】
さらに、本発明による別の利点は、層状構造を成すように(例えば一連の相次ぐ折畳みを含めて)膨張可能部材を複数回折り畳むことができることである。
【0027】
このようにして、膨張状態で3次元形状を有するように膨張可能部材を予め設計することができる。例えば、立方体形状または同様の三次元本体を提供することができる。
【0028】
好ましくは、各メッシュは、付着剤の層によってそれぞれの壁と接着され、それによりこの接着剤層も縫い目を覆う。
【0029】
一実施形態では、縫い目は、閉じたラインを成し、すなわち好ましくは例えば長方形状の閉ループを成す。
【0030】
前記閉じたラインの形状により、膨張可能部材の一区域または一領域を完全に平坦にすることができ、それにより、折曲げ領域において膨張可能部材の厚さを最小にすることができる。
【0031】
前記閉ループ形状により、膨張中に、加圧流体の力に対する適切な耐性を実現することができる。実際、縫い目に達する流体は、閉ループの左右に横方向へ逸らされ、それにより流体の力の横方向分散が実現される。このようにすると、縫い目が緩む危険が少なく、または縫い目の領域内でのメッシュの破断および引裂けの危険が少ない。
【0032】
一実施形態では、閉ループの縫い目が、互いに交差する末端部分を有する。基本的には、閉ループの末端部分が交差し、交差点でのみ重ね合わされる。
【0033】
交差により、縫い目は、交差点でのみ比較的厚く、縫い目の残りの部分は限られた厚さしかない。一実施形態では、縫い目の末端部分は、内側に向かって交差し、したがって閉ループの内部に配置された自由端部を有する。自由端部は、本質的には閉ループの内部で保護される。この実施形態により、加圧流体の流れにより縫い目が緩められる危険、および破断の危険をさらに減少させることができる。
【0034】
また、一実施形態では、デバイスが、メッシュのそれぞれの表面部分に関連付けられ、前記少なくとも1つの縫い目に重ね合わされた補強要素も備える。基本的には、補強要素は、メッシュとそれぞれの壁の間に配置される。
【0035】
この補強要素は、縫い目を包み込んで、対応する壁から隔離することができ、それにより、膨張流体がメッシュとそれぞれの壁の間を通過せず、膨張可能部材の外面での望ましくない泡の発生を引き起こさないことを保証する。
【0036】
さらに、この補強要素により、流体の圧力によって生成される応力から縫い目を保護できるようになる。実際、膨張部材が膨張されるとき、補強要素は、膨張可能部材自体によって張力をかけられ、したがって収縮状態よりも剛性の挙動を示し、それにより縫い目をより強くする。
【0037】
さらに、補強要素があると、貫通に対する耐性を高めることができるので有利である。すなわち、(例えば鋭利な物体に対する衝突による)縫い目の領域内での力集中は、補強要素によって、膨張可能部材のより広い領域にわたって再分散される。
【0038】
すなわち、流体の力または鋭利な物体の力集中による膨張可能部材の局所変形が減少され、したがって、この点で流体および/または前記鋭利な物体が縫い目を断裂点まで変形することができる可能性が低くなるので、保護能力が高められる。
【0039】
一実施形態では、デバイスは、1対の補強要素を備え、各補強要素がそれぞれのメッシュ上にあり、したがって両側で縫い目を保護する。
【0040】
一実施形態では、補強要素は不透過性材料からなり、縫い目の上に継ぎ当てのように配置されるシート状部品である。例えば、補強要素はポリウレタンシートであり、これもまた可撓性があり、したがって保護デバイスの取扱いを妨げるものとはならない。
【0041】
一実施形態では、保護デバイスは、互いに並べて配置された少なくとも2つの縫い目を備え、各縫い目に沿って折曲げが可能にされる。2つの縫い目の使用は、ほぼ平行な連続する折曲げを行うのに有利であり、折曲げは、同一平面にある状態に対して90°よりも大きい角度で、膨張可能部材の2つの隣接部分が相対変位できるようにする。このとき、実際には、このような折曲げにより、膨張状態の膨張可能部材の隣接部分が普通であれば互いに干渉し合って、折曲げを妨げる危険がある。
【0042】
好ましくは、膨張可能部材の隣接部分どうしの干渉をできるだけ減少させるために、互いに並べて配置された前記2つの縫い目間の距離が、メッシュに接続する連結部材の長さに少なくとも等しい。
【0043】
本開示の主題のさらなる利点、特徴、および使用形態は、単に非限定の例として提供するそのいくつかの好ましい実施形態の以下の詳細な説明から明らかになる。しかし、各実施形態が、上に列挙した利点の1つまたは複数を備えることができることは明らかである。いずれにせよ、各実施形態が、列挙した利点をすべて同時に備える必要はない。
【0044】
添付図面の各図を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】折り曲げられた状態での本開示による保護デバイスの横方向断面図である。
【図2】第1の処理ステップ中の本開示による保護デバイスの一部分の斜視図である。
【図3】第2の処理ステップ中の本開示による保護デバイスの一部分の斜視図である。
【図4】第3の処理ステップ中の本開示による保護デバイスの一部分の斜視図である。
【図5】第4の処理ステップ中の本開示による保護デバイスの一部分の側面図である。
【図6】図4の詳細VIの断面図である。
【図7】図4の詳細VIIを示す図である。
【図8】図1の詳細VIIIを示す図である。
【図9】図1の詳細IXを示す図である。
【図10】処理ステップ中の本開示による保護デバイスの一部分の拡大斜視図である。
【図10A】折り曲げられた状態での本開示による保護デバイスの横方向側断面図である。
【図11】収縮状態での本開示による保護デバイスの部分断面上面図である。
【図12】図11の詳細XIIの拡大図である。
【図13】図11の詳細XIIIの拡大図である。
【図14】図11の詳細XIVの拡大図である。
【図15】本開示によるデバイスの部分断面斜視図である。
【図16】処理ステップ中の図15による詳細XVIを示す図である。
【図17】図15による詳細XVIIを示す図である。
【図18】図15による詳細XVIIIを示す図である。
【図19】膨張された状態での本発明による保護デバイスの別の実施形態を示す図である。
【図20】図19のXX−XX線に沿った断面図である。
【図21】それぞれのハウジング内部に含まれた、収縮状態での保護デバイスを含む車両の前面図である。
【図22】保護デバイスが膨張された状態での図21による車両の前面図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
添付の図1〜図9を参照すると、参照番号1は、本開示による保護デバイスの第1の実施形態を示す。
【0047】
保護デバイス1は、流体、例えばヘリウムなど加圧低温ガスによって膨張させることができる膨張可能部材2を備える。
【0048】
膨張可能部材2は、多層タイプのものであり、向かい合わせに配置された2つの壁7、8を含み、これらの壁7、8は、この例では前記ガスに対して不透過性の材料からなり、一体に接合され、この例ではガスタイプ様式で固定されて、前記壁7、8の間に取り囲まれた内腔9を形成する。
【0049】
また、膨張可能部材2は、内腔9の内部に収容されるいわゆる二層構造(図2、図3、および図4に参照番号5で示される)を含む。
【0050】
構造5は、基本的には、互いに向かい合わせて配置され、複数の部材12によって一体に接続された2つの層を形成する2つのメッシュ10、11を含み、部材12は、この例では糸状の形態を有する可撓性の連結部材である。基本的には、2つの壁7、8が、2つのメッシュ10、11および連結部材12を含む構造5を中に収容するケーシングを形成する。特に、各メッシュ10、11は、接着剤または同様の固定系を使用して、それぞれの壁7、8に内腔9側で付着するように接合される。
【0051】
より詳細には、保護デバイス1は、少なくとも1つの第1の縫い目3を含み、縫い目3は、膨張可能部材2の2つのメッシュ10、11を直接接触させてつなぎ、一体に接合させ、膨張時のこの区域内での膨張可能部材2の厚さを小さく定める。図1で見ることができるように、この縫い目3は、膨張可能部材2の折曲げ区域Pと関連付けられ、すなわち折曲げ区域P内に形成される。
【0052】
この折曲げPを実現するために、ステッチ糸Cが、メッシュ10、11の向かい合う表面部分を通過する。特に、(ポリアミドからなる)ステッチ糸Cは、それぞれメッシュ10、11の向かい合う表面部分を上下に連続的に通る。この例での対象の縫い目は、1センチメートル当たり2〜3ステッチの直線縫い目からなる。
【0053】
より詳細には、縫い目3は、2つのメッシュ10、11のみをステッチし合わせて、横方向で接続するように意図され、連結部材12(図6)の局所圧縮を生み出すが、メッシュ10、11が付着して接着される壁7、8には影響を及ぼさない。したがって、折曲げ区域P内では、膨張可能部材2は膨張しないか、またはいずれにしても膨張の度合いが限られており、厚さが限られているのである角度での折曲げが可能になり、容易になる。同時に、膨張可能部材2の内部でのガスの拡散または流動が可能にされる。これに関連して、縫い目3に沿って、膨張流体が通過できるように側部区域26を空けておくために、縫い目3が構造5の限られた区域のみを占有することが好ましいことを指摘すべきである。
【0054】
すなわち、第1の縫い目3は、膨張可能部材2が膨張状態にあるときでさえ、膨張流体の通過を妨げずに、膨張可能部材2を折曲げ区域Pに沿って折り曲げることができるようにし、すなわち、膨張可能部材2の部分2a、2bが回動軸周りで互いに対して回動できるようにする。
【0055】
また、連結部材12があることで膨張状態での折曲げPの安定性が保証され、連結部材12は、膨張可能部材2全体にある程度の頑丈性を与える。
【0056】
この例では、連結部材12は糸状の形態を有し、可撓性があり非伸張性の部材からなる。したがって、連結部材12は、膨張可能部材2が非作動状態にあるときには、好ましくは張力がかかっておらず、内腔9内部で弛まされており、一方、膨張可能部材2が膨張状態にあるときには、例えば縫い目3が位置される区域以外で張力下にあるように、適切に寸法設定される。
【0057】
特に、連結部材12は、膨張可能部材2内部に高密度で分散され、その密度は、例えば膨張可能部材2の表面で1cm2当たり少なくとも1つの連結部材12、より好ましくは、やはり例として膨張可能部材2の表面で1cm2当たり1本〜15本、好ましくは1cm2当たり4本〜6本の糸といったものである。
【0058】
連結部材12は、内腔9内部でほぼ一様に分散され、すなわちそれらの表面密度が膨張可能部材2全体を通じてほぼ同じであることが分かる。
【0059】
上述したように、この例では、連結部材12は、例えば厚さが約500〜約1000デシテックス(連続糸またはヤーンの長さの単位)のポリエステルまたはポリアミド糸であり、端部12a、12bを有し、それらの端部12a、12bは、連結部材12が一体に接続されるメッシュ10、11のそれぞれの部分に固定される。より詳細には、各糸12は、それぞれのメッシュ10、11上の一点から延び出ている撚り合わせていない連続する繊維の束を含む。
【0060】
図示される例では、各メッシュ10、11は、それぞれの壁7、8のほぼ全体に裏張りされるように広がっている。より詳細には、各メッシュ10、11は、(例えば図4に参照番号30、31で示される)接着剤フィルムによって、それぞれの壁7、8の表面に安定に固定される。
【0061】
基本的には、膨張可能部材2は、2つのメッシュ10、11および連結部材12を含む事前製造された織物構造5を備え、かつ2つの壁7、8またはシートも備え、壁7、8は、この例では気密であり、互いに外周で固定され、織物構造5を受け取る。2つの壁7、8は、それぞれのメッシュ10、11に付着するようにそれぞれ構成される。
【0062】
壁7、8は、ポリアミドまたはポリウレタンからなる。さらなる実施形態では、壁7、8は積層からなり、積層は、(積層の約65重量%を成す)布地層7a、この例では100%ナイロンの層と、(積層の約35重量%を成す)接着剤層7b、この例では接着剤フィルム、例えばポリウレタン接着剤フィルムとを備え、接着剤は、ローラ(図7)によって延ばすことによって布地層7aの上に分散される。
【0063】
積層が使用される場合、上述した接着剤フィルム30、31が、積層の接着剤層7bと接触して配置される。
【0064】
連結部材12をそれ自体の両端部12a、12bでメッシュ10、11に固定することは、例えば、メッシュ10、11の緯糸間に連結部材12を単に挿入する、または編み込むことによって実現される。基本的には、図面に示される例では、連結部材12は所与の本数の糸によって形成され、これらの糸は、編み込みによって、または連結もしくは同様の固定方式によって、一方のメッシュ10に固定され、次いで他方のメッシュ11に固定される。
【0065】
あるいは、各連結部材12は、前記第1および第2のメッシュ10、11の両方と一体に織り合わされた、またはメッシュから連続的に延びる糸である。基本的には、糸/連結部材12は、前記第1および第2のメッシュ10、11の一方から延在し、前記第1および第2のメッシュ10、11の他方と一体に織り合わされる。
【0066】
2つのメッシュ10および11と連結部材12から構成されるアセンブリが、いわゆる3次元またはダブルニット布地を形成する。
【0067】
メッシュ10および11は、ポリエステルまたはポリアミドからなる。
【0068】
図2〜図8を参照すると、上述したような本開示による保護デバイス1が、以下に示すように製造される。特に、図2〜図8では、説明をより簡単に理解できるように、連結部材12にいくらか張力がかかった状態で構造5が示されている。しかし、メッシュ10、11を互いにできるだけ近づけて付着し、連結部材12をメッシュ10、11の間で弛ませた状態で縫い目3が形成されることを理解されたい。
【0069】
まず、1対のメッシュ10、11が、所定の距離で互いに面して配置され、それらに連結部材12の端部12a、12bが連結または何らかの他の方法で固定される。前記連結部材12の長さは、膨張状態での膨張可能部材2の最大局所伸張に対応するメッシュ10、11間の最大相対距離を定義するように選択される。
【0070】
次いで、メッシュ10、11および連結部材12を含む構造5にステッチまたは縫合せが施される。ステッチステップは、例として針35、36、37の形で示されている。
【0071】
特に、折曲げ区域Pとして使用されるように意図された膨張可能部材2の中央区域に少なくとも1つの縫い目3が形成され、また好ましくは、前記メッシュ10、11の外周42に沿って外周縫い目40が形成される。
【0072】
次いで、図4に見られるように、構造5が、2つの接着剤フィルム30、31の間および2つの壁7、8の間に挟まれる。
【0073】
2つの壁7、8は、メッシュ10、11の全周42よりも広がり出た外周部分23、24を有する。基本的には、参照番号7、8での2つの壁は、それぞれのメッシュ10、11よりも大きい表面広がりを有する。
【0074】
この方法を実施する一形態によれば、各壁7、8は、それぞれの接着剤フィルム30、31と予め一体に接合されており、さらに、ホットプレス25によって構造5のそれぞれのメッシュ10、11に接着される(図5)。その結果、各メッシュ10、11は、壁7、8の自由外周部分23、24を残して、それぞれの壁7、8に裏張りされて付着し、自由外周部分23、24は互いに直接接着される。
【0075】
この製造方法の説明から明らかに理解することができるように、一方では、縫い目3が、膨張時でさえ膨張可能部材2のより簡単な折り曲げを可能にする。なぜなら、縫い目3は、折曲げ区域Pでの膨張可能部材2の厚さを最小にすると同時に、壁7、8の膨張は妨げないからである。
【0076】
他方では、外周縫い目40が、膨張可能部材2が膨張されたときに膨張可能部材2の強度を高めるように意図され、縁部23、24に沿った壁7、8の過負荷および破断を防止する。
【0077】
図10を参照すると、実施形態の一変形形態によれば、二層構造5が、上述した直線縫い目3ではなく、閉じたラインをたどる、すなわち閉ループ、この例では閉じた多角形ラインの形を有する縫い目300を含む。
【0078】
この実施形態では、前述した実施形態と同じ機能および構造を有する部分には同じ参照番号を付してあり、したがって繰り返し詳細には説明しない。
【0079】
より詳細には、縫い目300は、ほぼ長方形の部分103と、互いに交差する末端部分203、303とを含む。より詳細には、前記末端部分203、303は、前記末端部分203、303の自由端部203a、303aが閉ループ内に配置されるように互いに交差する。
【0080】
基本的には、縫い目300は、縫い目自体によって保護された自由端部203a、303aを有する。なぜなら、自由端部203a、303aは、正にそれらを取り囲む閉ループの縫い目300により、縫い目300の残りの部分よりもはるかに小さい応力しか受けない領域内に位置されるからである。
【0081】
末端部分203、303の1回のみの交差により、縫い目部分を余剰に繰り返して重ね合わせることが避けられる。そのような重ね合わせは通常、余剰の厚さをもたらし、それぞれの壁7、8へのメッシュ10、11の付着を妨げる。
【0082】
さらに、閉ループ内部に自由端部203a、303aを配置することは、縫い目300の自由端部203a、303aが、そこを通過する流体に直接は露出されないという効果を有する。
【0083】
メッシュ10、11を一体に接合する縫い目300は、前の実施形態に関して使用された縫い目とほぼ同様に、図2、図3、図4、および図5に示される同じ加工ステップを使用して形成される。
【0084】
より好ましくは、折曲げP’に好都合となるように2つの閉ループの縫い目300が形成され、それにより各折曲げP’は、各縫い目300を通って延びるラインにほぼ沿って行われる。本質的には、図10の破線によって示される2つのほぼ平行な折曲げ区域P’が存在する。
【0085】
互いに並べて配置される2つの縫い目300の使用は、折曲げP’を成すのに有利であり、図10Aに示されるように、膨張可能部材2の2つの隣接する部分2a、2bの相対変位Aは、同一平面にある状態に対して90°よりも大きい。好ましくは、膨張可能部材2の隣接部分2a、2bどうしの干渉をできるだけ減少させるために、前記2つの縫い目300間の距離は、メッシュ10、11を一体に接続する連結部材の長さに少なくとも等しい。
【0086】
図11〜図18を参照して、本開示による保護デバイス100の別の実施形態を説明する。この実施形態では、前述した実施形態と同じ機能および構造を有する部分には同じ参照番号を付してあり、したがって繰り返し詳細には説明しない。
【0087】
特に、保護デバイス100は、使用者の身体の上部を保護するように意図され、前述した加工ステップによって製造される膨張可能部材200を含む。
【0088】
より詳細には、膨張可能部材200は、開いた環の形態であり、使用者の首の周りに位置決めされるように意図された中央部分102を含む。また、膨張可能部材200は、肩の上に配置されるように意図された2つの前側横方向付属部202、302と、肩甲骨の上に位置決めされるように意図された2つの後側横方向付属部402、502と、背骨の上に位置決めされるように意図された後側中央付属部602とを含む。
【0089】
中央部分103および付属部202、302、402、502、602は、空気圧式に互いに連絡し、織物構造5および壁7、8によって形成される。
【0090】
この例では、低温ヘリウムキャニスタ20が、パイプ21を介して、膨張可能部材200の後側中央付属部602と流体連絡して接続される。
【0091】
上述した膨張可能部材200の形態から、かつ上述した所期の使用法から、使用中、後側横方向付属部402、502および後側中央付属部602が中央部分102に対して折り曲げられることを理解することができる。
【0092】
さらに、前側横方向付属部202、203はそれぞれ、使用者の肩の傾いた解剖学的形態に従って、中央部分102に対してわずかに折り曲げられる。
【0093】
膨張可能部材200は複数の縫い目300を備え、縫い目300は、閉ループとして形成され、流体Fの流れに露出され、膨張可能部材200の上述したメッシュ10、11の向かい合う表面部分を互いに対して保定するように意図されて、膨張可能部材200の伸張を局所的に制限し、したがって簡単な折曲げを可能にする。
【0094】
より詳細には、膨張可能部材200は、中央部分102と横方向後側付属部402、502および後側中央付属部602とが互いに接続される区域で、対として配置された6つの縫い目300を含む。膨張可能部材200のそれぞれの折曲げは、縫い目300の各対の領域内で行われる。
【0095】
より詳細には、中央部分102と各横方向後側付属部402、502の間に提供される縫い目300の対に沿って、各横方向後側属部402、502を中央部分102のそれぞれの部分に対して完全に重ね合わせた状態でほぼ180°の角度に折り曲げることができる。したがって、膨張可能部材200の層状構成が得られる。
【0096】
また、膨張可能部材200は2つの副次縫い目400を含み、副次縫い目400も縫い目3、300と同様に形成され、すなわちメッシュ10、11の向かい合う部分を一体に接合する。
【0097】
特定の場合には、副次縫い目400は、ガス発生器20を横方向で保定するように意図され、ガス発生器20を膨張可能部材200の後側中央付属部602の内部に位置決めすることができ、それにより、横方向の隙間の大きさを制限してガス発生器20が内部に受け取られるハウジングを形成する。
【0098】
各副次縫い目400は細長い形状であり、直線区域204と湾曲区域104を含む。前記副次縫い目400の場合、湾曲区域104は、実質的に折り曲げられて、前記直線区域204に対する曲がりを形成する。
【0099】
より詳細には、直線区域204は、外周縫い目40の延長として形成される。
【0100】
湾曲区域104は末端部分105を備え、末端部分105は、メッシュ10、11のそれぞれの外周42の側に向けて延び、それにより、副次縫い目400の自由端部105aは、それぞれの直線区域204と、直線区域204が延長部を成している外周縫い目40との間に位置決めされる。
【0101】
中央部分102に対する前側横方向付属部202、302のさらなる相対回動に好都合となるように、膨張可能部材200は、外周に沿って形成され、それぞれの横方向後側付属部402、502に向けられた凹部を有するV字形の切欠22を含む。切欠22は、各前側横方向付属部202、203と中央部分102の間に位置決めされる。
【0102】
本開示の別の態様によれば、保護デバイス100は、複数の補強要素50、52、54を備え(図15〜図18参照)、各補強要素は、好ましくは閉ループの縫い目300、副次縫い目400、および外周縫い目40のいくつかの区域の上で、それぞれの縫い目に沿って膨張可能部材200に固定することができる。
【0103】
特に、保護デバイス1は、12個のほぼ楕円形状の補強要素50を備え、そのうちの6つが図15で見られ、各補強要素50が、メッシュ10およびメッシュ11上で直接、それぞれの環状縫い目300に沿って固定される。
【0104】
図15および図18で一方が見えている1対の長方形状の補強要素54は、膨張可能部材200の後側中央縫い目602に固定され、メッシュ10およびメッシュ11上で直接、2つの副次縫い目400の両方を部分的に覆い、各副次縫い目400の直線区域204を露出させて残す(図18)。
【0105】
さらに、4つの補強要素52(図15および図17でそのうちの2つが見えている)が、外周縫い目40の一部分に沿って提供され、特に膨張可能部材200の中央部分102が横方向前側付属部202、302につながる場所に提供され、特に膨張可能部材200の各側にある上述したV字形切欠22に向かい合う。
【0106】
この例での前記補強要素50、52、54はそれぞれ、厚さが数ミリメートル(例えば2mm)であり、保護すべき縫い目の面積に匹敵する表面積の可撓性複合材料(例えばポリウレタンベースの炭素またはガラス繊維)のシートまたはフォイルによって形成される。補強要素50、52、54は、2つの壁7、8の間に構造5を挟んで付着して固定する前に、例えば図16に示されるようにポリウレタン接着剤を使用して、それぞれ構造5のメッシュ10およびメッシュ11に予め固定される。したがって、各補強要素50、52、54は、メッシュ10、11とそれぞれの壁7、8の間に位置決めされる。
【0107】
これらの補強要素50、52、54は、加圧ガスによって作用されるときに、閉ループの縫い目300と、副次縫い目400と、膨張可能部材200の外周縫い目40とに対して、より大きい安定性を与える。さらに、これらの補強要素50、52、54は、縫い目300、400、および40のより大きな隔離を保証し、それぞれのメッシュ10、11への壁7、8の完璧な接着に好都合となる。
【0108】
図19を参照すると、本開示による保護デバイスのさらなる例が示されており、参照番号110によって表される。
【0109】
このさらなる実施形態では、前述した実施形態と同じ機能および構造を有する部分には同じ参照番号が付してあり、したがって繰り返し詳細には説明しない。
【0110】
保護デバイス110は、涎掛けのような形状を有し、使用者のそれぞれ胸部および背中にかけて位置決めされるように意図された1対の膨張可能部材210、211を備える。前記膨張可能部材210、211は、ほぼ円環形の部材212またはカラーによって一体に接続され、この部材212も膨張させることができ、膨張可能部材210および211と空気圧式に連絡する。本質的には、膨張可能部材210、211、212は、単一の膨張可能バッグ205を画定する。
【0111】
部材212は、使用者の首を受け取るように意図された中央領域213または穴を画定し、首の周りに膨張可能な円環形部材212が配置される。
【0112】
この円環形部材212は、開いた環の形状であり、実際には開口214を有し、使用者が中央領域213に頭部(したがって首)を容易に挿入できるようにする。さらに、この開いた環により、使用者の胸部に沿って衣類を開閉するための手段(例えばジップファスナ)を備える衣類、例えばモータサイクル運転者のジャケットまたはライディングスーツにデバイス110を組み込むことができる。これは、開口214と膨張可能部材210の隣接する縁部とに沿って延びるように前記開閉手段を配置することによって実現される。
【0113】
各膨張可能部材210、211、212は、互いに面する向かい合う壁(そのうち1つの壁115のみが見える)によって画定される。壁は、例えば、上述した壁7、8と同じ材料からなり、したがって柔軟な気密材料、例えばポリウレタンやポリアミドのシート、または前述した積層からなる。壁は互いに付着し、膨張可能部材210、211、212の外周縁部120に沿って封止される。すなわち、適切に形作られて互いに上下に配置され、外周縁部120全体に沿って一体に接合された2つの壁またはシートによって膨張可能部材210、211、212が画定される。
【0114】
各膨張可能部材210、211、212は、2つの壁の間で、中に内腔9を画定しており、内腔9は、特に既に述べた1対のメッシュ10、11を備え、各メッシュがそれぞれの壁に関連付けられる、または固定/接着される。
【0115】
2つの膨張可能部材210、211、212を所与のライン218に沿って互いに対して折り曲げるまたは回動させることができるように(例えば回動軸218に沿って背中部材211を首部材212に対して折り曲げることができるように)、特別な構成が前記ライン218に沿って提供される。前記構成は、本質的に選択的な折曲げ領域Pからなる。
【0116】
この例では、この構成は、前記回動軸218に沿って位置合わせされた膨張可能バッグ205の部分225を提供することによって得られ、部分225において、向かい合うメッシュ10、11が、それらの相対変位を制限または防止するように一体にステッチされている、またはいずれにしても一体に接合されている(図20に示される)。ステッチされた部分225の間に空いた部分226が画定され、膨張可能バッグ205が伸張できるようにする。このようにして、軸218に沿って、膨張状態での膨張可能バッグ205の厚さが制限され、したがって前記軸218に沿った折曲げおよび膨張可能部材211、212の互いに対する回動に好都合となる。同時に、空いた部分226は、軸218の前後で膨張可能部材211、212の間で空気圧連絡を維持できるようにする。
【0117】
図21および図22を参照すると、本開示による保護デバイスのさらなる例が示され、参照番号1110で表される。特に、この例では、保護デバイス1110は自動車1000用に意図され、車両1000内部の乗員/運転者室の屋根と側壁の間でハウジング1004内部に配置される。保護デバイス1100は、膨張時に外方向に広がり、車両1000の屋根に沿って、かつドアサイドに沿って位置される。
【0118】
特に、保護デバイス1110は、図2〜図5を参照して上述した加工ステップを使用して形成され、(図面では見えない)メッシュのステッチによって得られる中央折曲げ区域Pを含む。
【0119】
基本的には、ステッチにより、車両1000用の保護デバイス1110を乗員室の屋根と側壁の間で折ることができるようにし、さらに膨張状態でも折ったままにすることができる。
【0120】
本開示による膨張可能部材の膨張を行うために、その実施形態の任意の1つにおいて、使用者または走行中の車両の一部において事故および/または落車および/またはスリップおよび/または衝突が発生した場合に、本開示による保護デバイスは、特別な作動および膨張手段と協働することができる。そのような手段のうち、図面には単に例として、例えば膨張可能部材の外部に配置されたヘリウムキャニスタ(低温ガス発生器)が示されている。
【0121】
あるいは、これらの手段は、火薬技術またはハイブリッドタイプ、または当技術分野で知られている他のタイプのガス発生器を備えることができる。
【0122】
前記膨張手段は、制御ユニットによって、車両/使用者システムの状態を感知することによって動作される。例えば、モータサイクルの場合、前記制御ユニットが落車予測システムを作動させることができ、この落車予測システムは、車両(または使用者)と一体の速度センサと、前記センサによって生成される信号を処理するためのユニットとによって、落車の適時認識および高い信頼性での落車予測を可能にする。
【0123】
あるいは、本開示による保護デバイスは、モータサイクルに接続された作動ケーブルを使用して適用することもでき、このケーブルは、車両から使用者が離れたときに、例えば落車または衝突時に、膨張可能部材の膨張を作動させる。
【0124】
いずれにせよ、前述の作動および膨張手段は、保護デバイスに組み込むことができ、またはその外部に位置させることができる。
【0125】
保護デバイスが自動車内部に取り付けられる場合、膨張手段は、制御ユニットによって、例えば従来技術のエアバッグの作動のために既に使用されている技法を使用して、自動車の走行または減速の状態を感知することによって操作される。
【0126】
また、作動方法は、デバイスの効果的な動作に特に重要な側面ではあるが、より詳細には説明せず、これらは当業者に本質的に既に知られている方法であることに留意されたい。
【0127】
保護デバイスは、任意選択で、一方の側で内腔と連絡し、他方の側で外部環境と連絡する収縮弁(図示せず)を備え、作動後、保護作用がもはや必要なくなったときに膨張可能デバイスの収縮を可能にする。
【0128】
通常は閉じた位置にあるこの収縮弁は、特に予期せぬ作動または衝突によるデバイスの作動後、使用者が車両を引き続き使用することを望むときに、例えば使用者によって手動で開かれる。実際、収縮弁を開放すると、膨張部材と外部環境の圧力差によりガスが内腔から流出し、膨張可能部材が収縮されるという効果が得られる。あるいは、収縮弁の作動は、電子制御ユニット(図示せず)によって制御することができ、電子制御ユニットは、膨張手段の作動後、所定の時間(例えば15秒)の経過後に収縮弁を開く。
【0129】
実施形態の一変形形態によれば、収縮弁の代わりに、所要の収縮時間に応じて予め定められた直径を有する収縮パイプが使用される。
【0130】
ここまで、本開示の主題を、その好ましい実施形態を参照しながら説明してきた。同じ発明の着想に関係する他の実施形態があり得、それらすべてが添付の特許請求の範囲の保護範囲内に含まれることを理解されたい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者を保護するための保護デバイス(1、100、110、1110)であって、膨張可能部材(2;200、102、202、302、402、502、602;205、210、211、212)を備え、
内腔(9)を形成するために、それぞれの外周縁部(23、24、120)に沿って一体に固定された第1の壁(7、115)および第2の壁(8)と、
第1のメッシュ(10)、第2のメッシュ(11)、および複数の連結部材(12)を含む織物構造(5)とを含み、前記第1のメッシュ(10)が、前記第2のメッシュ(11)と向かい合わせて位置され、前記連結部材(12)が、それぞれ前記第1のメッシュ(10)および前記第2のメッシュ(11)に固定された両端部(12a、12b)を有し、
前記第1のメッシュ(10)が、少なくとも部分的に前記第1の壁(7、115)の内側に裏張りされ、前記第2のメッシュ(11)が、少なくとも部分的に前記第2の壁(8、116)の内側に裏張りされ、前記保護デバイス(1、100、110、1110)が、少なくとも1つの縫い目(3、300)を含み、前記縫い目(3、300)が、前記第1のメッシュ(10)の表面部分を、前記第2のメッシュ(11)の向かい合う表面部分に接続し、前記少なくとも1つの縫い目(3、300)が、前記膨張可能部材(2;200、102、202、302、402、502、602;205、210、211、212)の折曲げ区域(P、P’)の領域内に配置される
保護デバイス(1、100、110、1110)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの縫い目(3、300)が、前記膨張可能部材(2;200、102、202、302、402、502、602;205、210、211、212)を膨張させるための流体の流路(F)に沿って設けられ、前記少なくとも1つの縫い目(3、300)が、前記構造(5)の限られた区域(225)のみを占有し、前記膨張流体の前記流路(F)のために少なくとも1つの隣接区域(26、226)を空けておく請求項1に記載の保護デバイス(1、100、110、1110)。
【請求項3】
互いに並べて配置された少なくとも2つの縫い目(3、300)を備える請求項1または2に記載の保護デバイス(1、100、110、1110)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの縫い目(300)が、閉じたほぼループ状のライン(103)を画定する請求項1〜3のいずれか一項に記載の保護デバイス(1、100、110、1110)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの縫い目(300)が末端部分(203、303)を有し、前記末端部分(203、303)が、前記ループ(103)の内側に向かって互いに交差して、前記ループ(103)の内側に位置された自由端部(203a、303a)を有する請求項4に記載の保護デバイス(1、100、110、1110)。
【請求項6】
前記第1のメッシュ(10)および第2のメッシュ(11)の一方と、前記膨張可能部材(2;200、102、202、302、402、502、602;205、210、211、212)のそれぞれの第1の壁(7、115)および第2の壁(8)との間に配置され、前記少なくとも1つの縫い目(3、300)に重ね合わされた少なくとも1つの補強要素(50)を備える請求項1〜5のいずれか一項に記載の保護デバイス(1、100、110、1110)。
【請求項7】
前記第1のメッシュ(10)および第2のメッシュ(11)それぞれの上で前記少なくとも1つの縫い目(3、300)に重ね合わされた少なくとも1対の補強要素(50)を含む請求項6に記載の保護デバイス(1、100、110、1110)。
【請求項8】
前記第1のメッシュ(10)の表面部分を前記第2のメッシュ(11)の向かい合う表面部分に接続する少なくとも1つの副次縫い目(400)を含み、前記少なくとも1つの副次縫い目(400)が、前記膨張可能部材(2;200、102、202、302、402、502、602;205、210、211、212)を膨張させるための流体の流路(F)に対して横方向位置に位置され、前記膨張流体を導入するための区域内に位置される請求項1〜7のいずれか一項に記載の保護デバイス(1、100、110、1110)。
【請求項9】
前記第1のメッシュ(10)および第2のメッシュ(7)の各1つと、前記膨張可能部材(2;200、102、202、302、402、502、602;205、210、211、212)のそれぞれの第1の壁(7、115)および第2の壁(8)との間に配置され、前記少なくとも1つの副次縫い目(400)に重ね合わされた少なくとも1つの補強要素(54)を備える請求項8に記載の保護デバイス(1、100、110、1110)。
【請求項10】
前記膨張可能部材(200)の外周(42)に形成された切欠(22)を含む請求項1〜9のいずれか一項に記載の保護デバイス(1、100、110、1110)。
【請求項11】
前記切欠(22)と向かい合わせて配置された少なくとも1つの補強要素(52)を備える請求項10に記載の保護デバイス(1、100、110、1110)。
【請求項12】
前記補強要素(50、52、54)が不透過性シートの一部である請求項6、7、9、または11に記載の保護デバイス(1、100、110、1110)。
【請求項13】
前記連結部材(12)が可撓性タイプのものである請求項1〜12のいずれか一項に記載の保護デバイス(1、100、110、1110)。
【請求項14】
各メッシュ(10、11)とそれぞれの壁(7、8、115、116)の間に配置された接着剤層(30、31)を含み、前記接着剤層(30、31)が、前記少なくとも1つの縫い目(3、300)と前記壁(7、8)の間に配置された請求項1〜13のいずれか一項に記載の保護デバイス(1、100、110、1110)。
【請求項15】
前記膨張可能部材(2;200、102、202、302、402、502、602;205、210、211、212)を膨張させるための手段(20)をさらに備える請求項1〜14のいずれか一項に記載の保護デバイス(1、100、110、1110)。
【請求項1】
使用者を保護するための保護デバイス(1、100、110、1110)であって、膨張可能部材(2;200、102、202、302、402、502、602;205、210、211、212)を備え、
内腔(9)を形成するために、それぞれの外周縁部(23、24、120)に沿って一体に固定された第1の壁(7、115)および第2の壁(8)と、
第1のメッシュ(10)、第2のメッシュ(11)、および複数の連結部材(12)を含む織物構造(5)とを含み、前記第1のメッシュ(10)が、前記第2のメッシュ(11)と向かい合わせて位置され、前記連結部材(12)が、それぞれ前記第1のメッシュ(10)および前記第2のメッシュ(11)に固定された両端部(12a、12b)を有し、
前記第1のメッシュ(10)が、少なくとも部分的に前記第1の壁(7、115)の内側に裏張りされ、前記第2のメッシュ(11)が、少なくとも部分的に前記第2の壁(8、116)の内側に裏張りされ、前記保護デバイス(1、100、110、1110)が、少なくとも1つの縫い目(3、300)を含み、前記縫い目(3、300)が、前記第1のメッシュ(10)の表面部分を、前記第2のメッシュ(11)の向かい合う表面部分に接続し、前記少なくとも1つの縫い目(3、300)が、前記膨張可能部材(2;200、102、202、302、402、502、602;205、210、211、212)の折曲げ区域(P、P’)の領域内に配置される
保護デバイス(1、100、110、1110)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの縫い目(3、300)が、前記膨張可能部材(2;200、102、202、302、402、502、602;205、210、211、212)を膨張させるための流体の流路(F)に沿って設けられ、前記少なくとも1つの縫い目(3、300)が、前記構造(5)の限られた区域(225)のみを占有し、前記膨張流体の前記流路(F)のために少なくとも1つの隣接区域(26、226)を空けておく請求項1に記載の保護デバイス(1、100、110、1110)。
【請求項3】
互いに並べて配置された少なくとも2つの縫い目(3、300)を備える請求項1または2に記載の保護デバイス(1、100、110、1110)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの縫い目(300)が、閉じたほぼループ状のライン(103)を画定する請求項1〜3のいずれか一項に記載の保護デバイス(1、100、110、1110)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの縫い目(300)が末端部分(203、303)を有し、前記末端部分(203、303)が、前記ループ(103)の内側に向かって互いに交差して、前記ループ(103)の内側に位置された自由端部(203a、303a)を有する請求項4に記載の保護デバイス(1、100、110、1110)。
【請求項6】
前記第1のメッシュ(10)および第2のメッシュ(11)の一方と、前記膨張可能部材(2;200、102、202、302、402、502、602;205、210、211、212)のそれぞれの第1の壁(7、115)および第2の壁(8)との間に配置され、前記少なくとも1つの縫い目(3、300)に重ね合わされた少なくとも1つの補強要素(50)を備える請求項1〜5のいずれか一項に記載の保護デバイス(1、100、110、1110)。
【請求項7】
前記第1のメッシュ(10)および第2のメッシュ(11)それぞれの上で前記少なくとも1つの縫い目(3、300)に重ね合わされた少なくとも1対の補強要素(50)を含む請求項6に記載の保護デバイス(1、100、110、1110)。
【請求項8】
前記第1のメッシュ(10)の表面部分を前記第2のメッシュ(11)の向かい合う表面部分に接続する少なくとも1つの副次縫い目(400)を含み、前記少なくとも1つの副次縫い目(400)が、前記膨張可能部材(2;200、102、202、302、402、502、602;205、210、211、212)を膨張させるための流体の流路(F)に対して横方向位置に位置され、前記膨張流体を導入するための区域内に位置される請求項1〜7のいずれか一項に記載の保護デバイス(1、100、110、1110)。
【請求項9】
前記第1のメッシュ(10)および第2のメッシュ(7)の各1つと、前記膨張可能部材(2;200、102、202、302、402、502、602;205、210、211、212)のそれぞれの第1の壁(7、115)および第2の壁(8)との間に配置され、前記少なくとも1つの副次縫い目(400)に重ね合わされた少なくとも1つの補強要素(54)を備える請求項8に記載の保護デバイス(1、100、110、1110)。
【請求項10】
前記膨張可能部材(200)の外周(42)に形成された切欠(22)を含む請求項1〜9のいずれか一項に記載の保護デバイス(1、100、110、1110)。
【請求項11】
前記切欠(22)と向かい合わせて配置された少なくとも1つの補強要素(52)を備える請求項10に記載の保護デバイス(1、100、110、1110)。
【請求項12】
前記補強要素(50、52、54)が不透過性シートの一部である請求項6、7、9、または11に記載の保護デバイス(1、100、110、1110)。
【請求項13】
前記連結部材(12)が可撓性タイプのものである請求項1〜12のいずれか一項に記載の保護デバイス(1、100、110、1110)。
【請求項14】
各メッシュ(10、11)とそれぞれの壁(7、8、115、116)の間に配置された接着剤層(30、31)を含み、前記接着剤層(30、31)が、前記少なくとも1つの縫い目(3、300)と前記壁(7、8)の間に配置された請求項1〜13のいずれか一項に記載の保護デバイス(1、100、110、1110)。
【請求項15】
前記膨張可能部材(2;200、102、202、302、402、502、602;205、210、211、212)を膨張させるための手段(20)をさらに備える請求項1〜14のいずれか一項に記載の保護デバイス(1、100、110、1110)。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図10A】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図10A】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公表番号】特表2012−511458(P2012−511458A)
【公表日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−539178(P2011−539178)
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【国際出願番号】PCT/IT2009/000547
【国際公開番号】WO2010/067393
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(597121038)ダイネーゼ ソシエタ ペル アチオーニ (4)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【国際出願番号】PCT/IT2009/000547
【国際公開番号】WO2010/067393
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(597121038)ダイネーゼ ソシエタ ペル アチオーニ (4)
【Fターム(参考)】
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