説明

膨張率が低く耐食性が高い電極を含むスパークプラグ

スパークプラグ(20)は中心電極(24)と接地電極(22)とを含む。この電極(22、24)は、銅(Cu)合金で形成されたコア(26)とコア(26)を覆うニッケル(Ni)合金で形成されたクラッド(28)とを含む。Cu合金は、少なくとも98.5重量パーセントのCuと、少なくとも0.05重量パーセントのZrおよびCrのうち少なくとも一方とを含む。Cu合金はCuのマトリクスとこのCuマトリクスに分散したZrおよびCuの析出物とを含む。クラッド(28)のNi合金は、少なくとも90.0重量パーセントのNiを含む。Ni合金はまた、総量がNi合金の強度に影響を及ぼすのに十分である、第3族元素、第4族元素、第13族元素、クロム(Cr)、シリコン(Si)、およびマンガン(Mn)のうち少なくとも1つとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2009年8月12日に提出された出願第61/233,323号の優先権を主張する。
【0002】
発明の背景
1.発明の分野
この発明は、概してスパークプラグ電極用の材料に関し、特に電極の材料に関する。
【背景技術】
【0003】
2.先行技術の説明
スパークプラグは、内燃機関内で燃焼を開始させるために広く使用されている。スパークプラグは、典型的に、セラミック絶縁体と、セラミック絶縁体を囲む導電性シェルと、セラミック絶縁体内に配置された中心電極と、導電性シェルに機能的に装着された接地電極とを含む。これら電極はそれぞれ点火端を有し、これらの点火端は互いに近接しその間にスパークギャップを定める。このようなスパークプラグは、中心電極と接地電極との間のスパークギャップに電気火花を飛ばすことにより、エンジンシリンダ内のガスに着火する。このガスの着火によってエンジン内でパワーストロークが生じる。内燃機関の性質上、スパークプラグは、高温およびさまざま腐食性燃焼ガスという厳しい環境の中で動作するため、適切な材料で作らねばならない。電極が適切な材料で作られていない場合、厳しい運転条件のために、中心電極と接地電極との間のスパークギャップの幅が徐々に増すことがあり、スパークプラグの点火不良を引き起こしその後のエンジン出力および性能の損失を生じさせることがある。
【0004】
スパークプラグ電極は、銅(Cu)で形成されたコアと、ニッケル(Ni)合金で形成されたクラッドとを含むことが多い。これはCuおよびNiの高温性能のためである。Ni合金は浸食および腐食に対する耐性があり、Cuは熱伝導率が高いので制御された電極動作温度をもたらす。既存の電極の一例は、100wt%のCuで形成されたコアと、Ni合金で形成されたクラッドとを含み、このNi合金は、14.5〜15.5wt%のCrと、7.0〜8.0wt%のFeと、0.2〜0.5wt%のMnと、0.2〜0.5wt%のSiと、残余のNiとを含む。
【0005】
CuコアとNi合金クラッドとを含む既存の電極は、エンジンがフルスロットルとアイドリングとの間で運転する間に、大きな温度勾配に晒される。CuコアとNiクラッドとの間には熱膨張に著しい差があるので、望ましくない膨張および熱機械応力が生じる。この膨張によってスパークギャップの幅が突然増すことがある。500℃超といった高温では、熱による圧縮軸応力がCuコアに蓄積する。これはCuの熱膨張係数がNiよりも高いからである。Cuには、圧縮軸応力が作用して、時間依存性のクリープ変形が生じる可能性がある。Cuコアは、軸方向に収縮し径方向に膨張してNiクラッドを圧縮する。Niクラッドは方位角方向に沿って引張応力を有し、これがNiクラッドおよび絶縁体に亀裂を生じさせることがある。図5および図6は、スパークプラグの性能を妨げることがある、熱応力およびクリープを原因とする電極の変形および亀裂を示す。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の概要および利点
本発明のある局面において提供されるスパークプラグは、中心電極と接地電極とを備え、これら電極のうち少なくとも一方は、銅(Cu)合金で形成されたコアとこのコアを覆うニッケル(Ni)合金で形成されたクラッドとを含む。Cu合金は、Cu合金の重量パーセントにして、少なくとも95.0重量パーセントのCuと、総量がCu合金の強度に影響を及ぼすのに十分であるZrおよびCrのうち少なくとも一方とを含む。クラッドのNi合金は、Ni合金の重量パーセントにして、少なくとも90.0重量パーセントのNiと、総量がNi合金の強度に影響を及ぼすのに十分である、第3族元素、第4族元素、第13族元素、クロム(Cr)、シリコン(Si)、およびマンガン(Mn)のうち少なくとも1つとを含む。
【0007】
本発明の別の局面において、銅(Cu)合金で形成されたコアとこのコアを覆うニッケル(Ni)合金で形成されたクラッドとを備える、スパークプラグで使用するための電極が提供される。Cu合金は、Cu合金の重量パーセントにして、少なくとも95.0重量パーセントのCuと、総量がCu合金の強度に影響を及ぼすのに十分であるZrおよびCrのうち少なくとも一方とを含む。クラッドのNi合金は、Ni合金の重量パーセントにして、少なくとも90.0重量パーセントのNiと、総量がNi合金の強度に影響を及ぼすのに十分である、第3族元素、第4族元素、第13族元素、クロム(Cr)、シリコン(Si)、およびマンガン(Mn)のうち少なくとも1つとを含む。
【0008】
本発明のさらに他の局面において、少なくとも1つの電極を有するスパークプラグを形成する方法が提供され、この方法は、Cuと、ZrおよびCrのうち少なくとも一方とを含む第1の粉末金属材料を準備するステップと、第1の粉末金属材料を加熱することによりCu合金を準備するステップとを含み、Cu合金は、Cu合金の重量パーセントにして、少なくとも98.50重量パーセントのCuと、総量がCu合金の強度に影響を及ぼすのに十分であるZrおよびCrのうち少なくとも一方とを含み、さらに、Cu合金を成形してコアにするステップを含む。この方法はまた、Niと、第3族元素、第4族元素、第13族元素、クロム(Cr)、シリコン(Si)、およびマンガン(Mn)のうち少なくとも1つとを含む第2の粉末金属材料を準備するステップと、第2の粉末金属材料を加熱することによりNi合金を準備するステップとを含み、Ni合金は、Ni合金の重量パーセントにして、少なくとも90.0重量パーセントのNiと、総量がNi合金の強度に影響を及ぼすのに十分である、第3族元素、第4族元素、第13族元素、クロム(Cr)、シリコン(Si)、およびマンガン(Mn)のうち少なくとも1つとを含み、さらに、Ni合金を成形してコアを覆うクラッドにするステップを含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明の電極およびスパークプラグのCu合金とNi合金との組合せは、先行技術の電極およびスパークプラグと比較して、熱伝導率が高くかつ膨張率が低い。本発明の電極およびスパークプラグは、先行技術の電極およびスパークプラグと比較して、酸化、浸食、および腐食に対する耐性があり、動作温度が適切で、耐クリープ性が向上し、亀裂が減少している。したがって、上記Cu合金およびNi合金を含む本発明のスパークプラグは、先行技術のスパークプラグよりも、動作中の性能が向上している。
【0010】
本発明の他の利点は、以下の詳細な説明を添付の図面と関連付けて考慮しながら参照することによってさらに理解が深まることで容易にわかるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施の形態に従うスパークプラグの長手方向の断面図である。
【図2】図1のスパークプラグの一部の長手方向の断面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に従う中心電極の長手方向の断面図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態に従う接地電極の長手方向の断面図である。
【図5】中心電極における熱応力を原因とする膨張のメカニズムを示す先行技術のスパークプラグの一部の断面図である。
【図6】中心電極の膨張を原因とするNiクラッドに形成された亀裂を示す先行技術の中心電極の横断面図である。
【図7】本発明の実施の形態のいくつかの実施例と、比較例における、スパークギャップの幅の増加を示すグラフである。
【図8】本発明の実施の形態のいくつかの実施例と、比較例における、膨張率を示すグラフである。
【図9】エンジンテスト前に測定された電極の長さを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
発明の詳細な説明
図1および図2を参照して、接地電極22と中心電極24とを含むスパークプラグ20が示されている。図2に示されているように、電極22、24は各々、Cu合金で形成されたコア26と、コア26を覆うNi合金で形成されたクラッド28とを含む。Cu合金の組成は、高い熱伝導率をもたらし、したがって電極22、24の耐浸食性、耐酸化性、および適切な動作温度をもたらす。このCu合金はまた、先行技術の電極22、24と比較して、向上した耐クリープ性、小さい膨張、および少ない亀裂をもたらす。Ni合金の組成も、高い熱伝導率をもたらし、したがって耐浸食性、耐酸化性、および適切な動作温度をもたらす。Cu合金で形成されたコア26とNi合金で形成されたクラッド28とを組合せることにより、電極22、24に高い耐浸食性を与えるとともに電極22、24の膨張および亀裂を減じる。電極22、24により、スパークプラグ20は、先行技術のスパークプラグと比較して、内燃機関における動作中、改善された性能を示す。
【0013】
上記のように、電極22、24のコア26はCu合金で形成されている。このCu合金は、Cu合金の熱伝導率に影響を及ぼすのに十分な量のCuを含む。ある実施の形態では、Cu合金の熱伝導率は少なくとも320W/mKである。別の実施の形態では、Cu合金の熱伝導率は少なくとも330W/mKである。さらに他の実施の形態では、Cu合金の熱伝導率は320W/mKから360W/mKである。Cu合金は熱伝導率が高いので低い動作温度をもたらし、これにより、スパークプラグ20は、500℃を超える温度で優れた性能を保つことができる。
【0014】
Cu合金はまた、総量がCu合金の強度に影響を及ぼすのに十分であるZrおよびCrのうち少なくとも一方を含む。ZrおよびCrは、Cuに対する溶解度が低い。このため、Cuの中において比較的少量のZrおよびCrによって、飽和または過飽和溶液を形成することができる。加熱すると、ZrおよびCrはCuから析出してCu合金を強化する。言い換えれば、Cu合金は、CuのマトリクスとこのCuマトリクスに分散したZrおよびCrの析出物とを含む。このZrおよびCrの析出物がCu合金を強化する。Cu合金の強度が高いことにより、スパークプラグ20の動作中の耐クリープ性が改善されCu合金の膨張が減少する。表1は、室温19.85℃における、Cuに対するZrおよびCrの溶解度を、Cu合金の重量パーセントで示す。このZrまたはCrといった元素の溶解度は、Cuマトリクスに溶けて飽和または過飽和溶液を生み出すことができる元素の量をCu合金の重量パーセントで表わしたものである。
【0015】
【表1】

【0016】
Cuと、ZrおよびCrのうち少なくとも一方とを準備した後、これらを加熱、好ましくは焼結することにより、Cu合金を準備する。Cu、Zr、およびCrは典型的には粉末金属の形態で準備される。ある実施の形態では、Cu合金は、量が98.50重量パーセントから99.95重量パーセントであるCuを含む。別の実施の形態では、Cu合金は、量が98.70重量パーセントから99.92重量パーセントであるCuを含む。さらに他の実施の形態では、Cu合金は、量が99.75重量パーセントから99.85重量パーセントであるCuを含む。Cu合金中のCuの重量パーセントは、Cu合金中のCuの質量をCu合金の総質量で割ることによって求める。Cu合金のCuの存在および量は、加熱または焼結後のコア26の、化学分析によって、またはエネルギ分散スペクトル(EDS)を観察することによって、検出してもよい。EDSは走査型電子顕微鏡検査(SEM)機器によって生成してもよい。
【0017】
ある実施の形態では、Cu合金は量が少なくとも98.50重量パーセントであるCuを含む。別の実施の形態では、Cu合金は量が少なくとも98.59重量パーセントであるCuを含む。さらに他の実施の形態では、Cu合金は量が少なくとも98.70重量パーセントであるCuを含む。
【0018】
ある実施の形態では、Cu合金は量が99.95重量パーセント未満であるCuを含む。別の実施の形態では、Cu合金は量が99.91重量パーセント未満であるCuを含む。さらに他の実施の形態では、Cu合金は量が99.78重量パーセント未満であるCuを含む。
【0019】
上記のように、Cu合金は、総量がCu合金の強度に影響を及ぼすのに十分であるZrおよびCrのうち少なくとも一方を含む。ある実施の形態では、Cu合金は、総量が0.05重量パーセントから1.5重量パーセントであるZrおよびCrのうち少なくとも一方を含む。別の実施の形態では、Cu合金は、総量が0.13重量パーセントから1.3重量パーセントであるZrおよびCrのうち少なくとも一方を含む。さらに他の実施の形態では、Cu合金は、総量が0.5重量パーセントから1.0重量パーセントであるZrおよびCrのうち少なくとも一方を含む。Cu合金の重量パーセントで表わされるZrおよびCrの総量は、ZrおよびCrの質量を加算しその和をCu合金の総質量で割ることによって求める。Cu合金中のZrおよびCrの存在および量は、加熱または焼結後のコア26の、化学分析によって、またはエネルギ分散スペクトル(EDS)を観察することによって、検出してもよい。EDSは走査型電子顕微鏡検査(SEM)機器によって生成してもよい。
【0020】
ある実施の形態では、Cu合金は総量が少なくとも0.05重量パーセントであるZrおよびCrのうち少なくとも一方を含む。別の実施の形態では、Cu合金は総量が少なくとも0.09重量パーセントであるZrおよびCrのうち少なくとも一方を含む。さらに他の実施の形態では、Cu合金は総量が少なくとも0.8重量パーセントであるZrおよびCrのうち少なくとも一方を含む。
【0021】
ある実施の形態では、Cu合金は総量が1.5重量パーセント未満であるZrおよびCrのうち少なくとも一方を含む。別の実施の形態では、Cu合金は総量が1.3重量パーセント未満であるZrおよびCrのうち少なくとも一方を含む。さらに他の実施の形態では、Cu合金は総量が1.0重量パーセント未満であるZrおよびCrのうち少なくとも一方を含む。
【0022】
ある実施の形態では、Cu合金はZrを含むがCrは含まない。別の実施の形態では、Cu合金はCrを含むがZrは含まない。さらに他の実施の形態では、Cu合金はCrおよびZr双方を含む。
【0023】
コア26のCu合金はまた、総量がCu合金の強度に影響を及ぼすのに十分である少なくとも1つの耐溶解性元素を含んでいてもよい。この耐溶解性元素は、テルル(Te)、セレン(Se)、鉄(Fe)、銀(Ag)、ホウ素(B)、ベリリウム(Be)、リン(P)、チタン(Ti)、および硫黄(S)を含む。この耐溶解性元素は、Cuに対する溶解度が低い。このため、Cuの中において比較的少量の耐溶解性元素によって、飽和または過飽和溶液を形成することができる。加熱すると、耐溶解性元素は、Cuから析出しCrおよびZrとともに、Cu合金を強化する。言い換えれば、Cu合金は、Cuのマトリクスと、このCuマトリクスに分散した耐溶解性元素Te、Se、Fe、Ag、B、Be、P、Ti、およびSの析出物とを含む。上記表1は、耐溶解性元素のCuに対する溶解度を示す。Cu合金の強度が高いことにより、スパークプラグ20の動作中の耐クリープ性が改善され500℃を超える温度におけるCu合金の膨張率が減少する。
【0024】
Te、Se、Fe、Ag、B、Be、P、Ti、およびSのうち少なくとも1つを含む耐溶解性元素を、Cu、Zr、およびCrとともに準備した後、加熱、好ましくは焼結することにより、Cu合金を準備する。耐溶解性元素も典型的には粉末金属の形態で準備される。Cu合金のTe、Se、Fe、Ag、B、Be、P、Ti、およびSの重量パーセントは、Te、Se、Fe、Ag、B、Be、P、Ti、およびSの質量を加算しその和をCu合金の総質量で割ることによって求める。Cu合金のTe、Se、Fe、Ag、B、Be、P、Ti、およびSの存在および量は、加熱または焼結後のコア26の、化学分析によって、またはエネルギ分散スペクトル(EDS)を観察することによって、検出してもよい。EDSは走査型電子顕微鏡検査(SEM)機器によって生成してもよい。
【0025】
ある実施の形態では、Zr、Cr、および耐溶解性元素の総量は1.5重量パーセント未満である。別の実施の形態では、Zr、Cr、および耐溶解性元素は1.3重量パーセント未満である。さらに他の実施の形態では、Zr、Cr、および耐溶解性元素は0.9重量パーセント未満である。
【0026】
ある実施の形態では、Cu合金は、総量が0.01重量パーセントから1.45重量パーセントである、Cu合金のTe、Se、Fe、Ag、B、Be、P、Ti、およびSのうち少なくとも1つを含む。別の実施の形態では、Cu合金は、総量が0.05重量パーセントから1.40重量パーセントであるTe、Se、Fe、Ag、B、Be、P、Ti、およびSのうち少なくとも1つを含む。さらに他の実施の形態では、Cu合金は、総量が0.1重量パーセントから0.9重量パーセントであるTe、Se、Fe、Ag、B、Be、P、Ti、およびSのうち少なくとも1つを含む。
【0027】
ある実施の形態では、Cu合金は総量が少なくとも0.001重量パーセントである、Cu合金のTe、Se、Fe、Ag、B、Be、P、Ti、およびSのうち少なくとも1つを含む。別の実施の形態では、Cu合金は総量が少なくとも0.2重量パーセントであるTe、Se、Fe、Ag、B、Be、P、Ti、およびSのうち少なくとも1つを含む。さらに他の実施の形態では、Cu合金は総量が少なくとも0.3重量パーセントであるTe、Se、Fe、Ag、B、Be、P、Ti、およびSのうち少なくとも1つを含む。
【0028】
ある実施の形態では、Cu合金は総量が1.45重量パーセント未満である、Cu合金のTe、Se、Fe、Ag、B、Be、P、Ti、およびSのうち少なくとも1つを含む。別の実施の形態では、Cu合金は総量が1.0重量パーセント未満であるTe、Se、Fe、Ag、B、Be、P、Ti、およびSのうち少なくとも1つを含む。さらに他の実施の形態では、Cu合金は総量が0.7重量パーセント未満であるTe、Se、Fe、Ag、B、Be、P、Ti、およびSのうち少なくとも1つを含む。
【0029】
上記のように、電極22、24はまた、コア26を覆うNi合金で形成されたクラッド28を含む。このNi合金は、Ni合金の熱伝導率に影響を及ぼすのに十分な量のNiを含む。Ni合金は熱伝導率が高いので低い動作温度ならびに高い耐酸化性および耐浸食性をもたらし、これにより、スパークプラグ20は、500℃を超える温度で優れた性能を保つことができる。ある実施の形態では、Ni合金の熱伝導率は少なくとも25W/mKである。別の実施の形態では、Ni合金の熱伝導率は少なくとも35W/mKである。さらに他の実施の形態では、Ni合金の熱伝導率は25W/mKから100W/mKである。Ni合金はまた、総量がNi合金を強化するのに十分である、第3族元素、第4族元素、第13族元素、クロム(Cr)、シリコン(Si)、およびマンガン(Mn)のうち少なくとも1つを含む。Niと、第3族元素、第4族元素、第13族元素、クロム(Cr)、シリコン(Si)、およびマンガン(Mn)のうち少なくとも1つとを準備した後、これらを加熱、好ましくは焼結することにより、Ni合金を形成する。
【0030】
ある実施の形態では、Ni合金は量が90.0重量パーセントから99.99重量パーセントであるNiを含む。別の実施の形態では、Ni合金は量が91.0重量パーセントから99.92重量パーセントであるNiを含む。さらに他の実施の形態では、Ni合金は量が92.5重量パーセントから97.0重量パーセントであるNiを含む。Ni合金のNiの重量パーセントは、Niの質量をNi合金の総質量で割ることによって求める。Ni合金のNiの存在および量は、加熱または焼結後のクラッド28の、化学分析によって、またはエネルギ分散スペクトル(EDS)を観察することによって、検出してもよい。EDSは走査型電子顕微鏡検査(SEM)機器によって生成してもよい。
【0031】
ある実施の形態では、Ni合金は量が少なくとも90.0重量パーセントであるNiを含む。別の実施の形態では、Ni合金は量が少なくとも91.0重量パーセントであるNiを含む。さらに他の実施の形態では、Ni合金は量が少なくとも95.0重量パーセントであるNiを含む。
【0032】
ある実施の形態では、Ni合金は量が99.99重量パーセント未満であるNiを含む。別の実施の形態では、Ni合金は量が98.3重量パーセント未満であるNiを含む。さらに他の実施の形態では、Ni合金は量が95.0重量パーセント未満であるNiを含む。
【0033】
上記のように、Ni合金は、総量がNi合金の強度に影響を及ぼすのに十分である、第3族元素、第4族元素、第13族元素、クロム(Cr)、シリコン(Si)、およびマンガン(Mn)のうち少なくとも1つを含む。第3族元素、第4族元素、第13族元素、ならびにSi、Cr、およびMnは、Ni合金を強化し、したがってNi合金の耐酸化性を高める。ある実施の形態では、Ni合金は、総量が0.01重量パーセントから10.0重量パーセントである、第3族元素、第4族元素、第13族元素、クロム(Cr)、シリコン(Si)、およびマンガン(Mn)のうち少なくとも1つを含む。別の実施の形態では、Ni合金は、総量が0.5重量パーセントから7.0重量パーセントである、第3族元素、第4族元素、第13族元素、クロム(Cr)、シリコン(Si)、およびマンガン(Mn)のうち少なくとも1つを含む。さらに他の実施の形態では、Ni合金は、総量が1.0重量パーセントから6.4重量パーセントである、第3族元素、第4族元素、第13族元素、クロム(Cr)、シリコン(Si)、およびマンガン(Mn)のうち少なくとも1つを含む。Ni合金の、第3族元素、第4族元素、第13族元素、クロム(Cr)、シリコン(Si)、およびマンガン(Mn)の重量パーセントは、それぞれの質量を加算しその和をNi合金の総質量で割ることによって求める。Ni合金の、第3族元素、第4族元素、第13族元素、クロム(Cr)、シリコン(Si)、およびマンガン(Mn)の存在および量は、加熱または焼結後のクラッド28の、化学分析によって、またはエネルギ分散スペクトル(EDS)を観察することによって、検出してもよい。EDSは走査型電子顕微鏡検査(SEM)機器によって生成してもよい。
【0034】
ある実施の形態では、Ni合金は、総量が少なくとも0.06重量パーセントである、第3族元素、第4族元素、第13族元素、クロム(Cr)、シリコン(Si)、およびマンガン(Mn)のうち少なくとも1つを含む。別の実施の形態では、Ni合金は、総量が少なくとも1.0重量パーセントである、第3族元素、第4族元素、第13族元素、クロム(Cr)、シリコン(Si)、およびマンガン(Mn)のうち少なくとも1つを含む。さらに他の実施の形態では、Ni合金は、総量が少なくとも2.5重量パーセントである、第3族元素、第4族元素、第13族元素、クロム(Cr)、シリコン(Si)、およびマンガン(Mn)のうち少なくとも1つを含む。
【0035】
ある実施の形態では、Ni合金は、総量が10.0重量パーセント未満である、第3族元素、第4族元素、第13族元素、クロム(Cr)、シリコン(Si)、およびマンガン(Mn)のうち少なくとも1つを含む。別の実施の形態では、Ni合金は、総量が9.1重量パーセント未満である、第3族元素、第4族元素、第13族元素、クロム(Cr)、シリコン(Si)、およびマンガン(Mn)のうち少なくとも1つを含む。さらに他の実施の形態では、Ni合金は、総量が5.4重量パーセント未満である、第3族元素、第4族元素、第13族元素、クロム(Cr)、シリコン(Si)、およびマンガン(Mn)のうち少なくとも1つを含む。
【0036】
第3族元素は、元素の周期表の、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、およびランタン(La)を含む第3族の元素である。ある実施の形態では、Ni合金はYを含む。第4族元素は、元素の周期表の、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zi)、ハフニウム(Hf)およびラザホージウム(Rf)を含む第4族の元素である。ある実施の形態では、Ni合金はTiを含む。第13族元素は、元素の周期表の、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、およびタリウム(Tl)を含む第13族の元素である。ある実施の形態では、Ni合金はAlを含む。
【0037】
スパークプラグ20を形成する方法は、Cuと、ZrおよびCrのうち少なくとも一方とを含む第1の粉末金属材料を準備することと、第1の粉末金属材料を加熱することによりCu合金を準備することとを含み、このCu合金は、Cu合金の重量パーセントにして、少なくとも98.50重量パーセントのCuと、Cu合金の強度に影響を及ぼすのに十分な量のZrおよびCrのうち少なくとも一方とを含む。ある実施の形態では、この方法は、第1の粉末金属材料を少なくとも500℃まで加熱してZrおよびCrをCuマトリクスから析出させることを含む。この方法は典型的に、プレスおよび焼結などによりCu合金を成形して円筒形のコア26にすることを含む。
【0038】
次に、この方法は、Niと、第3族元素、第4族元素、第13族元素、クロム(Cr)、シリコン(Si)、およびマンガン(Mn)のうち少なくとも1つとを含む第2の粉末金属材料を準備することと、第2の粉末金属材料を加熱することによりNi合金を準備することとを含み、このNi合金は、Ni合金の重量パーセントにして、少なくとも90.0重量パーセントのNiと、総量がNi合金の強度に影響を及ぼすのに十分である、第3族元素、第4族元素、第13族元素、クロム(Cr)、シリコン(Si)、およびマンガン(Mn)のうち少なくとも1つとを含む。この方法はまた、典型的には、プレスおよび焼結などによりNi合金を成形してコア26を覆うクラッド28にすることを含む。
【0039】
先に述べたように、Cu合金で形成されたコア26とNi合金で形成されたクラッド28とによって、スパークプラグ20の中心電極24および接地電極22を提供する。スパークプラグ20で使用する代表的な中心電極24を図3に示す。スパークプラグ20で使用する代表的な接地電極22を図4に示す。電極22、24は各々、Cu合金で形成されたコア26とNi合金で形成されたクラッド28とを含む。コア26は、典型的には円筒形を有するが、他の形状を有していてもよい。クラッド28は、典型的にはコア26全体を覆い包む中空の円筒形を有する。しかしながら、クラッド28は、他の形状を有していてもよく、コア26全体よりも小さい部分を覆うものであってもよい。
【0040】
また、電極22、24は各々、図3および図4に示されるようにクラッド28の端部に装着されたまたはその一部であるベース30を含む。ベース30は典型的にはベース30のNi合金で形成される。ベース30のNi合金は、クラッド28のNi合金と同じでも異なっていてもよい。電極22、24は各々、図3および図4に示されるように、ベース30に配置され、ベース30からこれを横断する方向に延びる、点火端32も含んでいてもよい。点火端32は、尖端形状、パッド形状、ディスク形状、球形、リベット形状、またはそれ以外の形状の部分であってもよい。点火端32は典型的には貴金属または貴金属の合金で形成される。点火端32は、電極のベース30に、結合、溶着、または接着してもよい。電極22、24それぞれの点火端32は互いに近接しその間にスパークギャップ34を定める。スパークプラグ20は、中心電極24と接地電極22との間のスパークギャップ34に電気火花を飛ばすことにより、エンジンシリンダ内のガスに着火する。
【0041】
ある実施の形態では、中心電極24および接地電極22はいずれも、Cu合金で形成されたコア26とNi合金で形成されたクラッド28とを含む。別の実施の形態では、中心電極24のみが、Cu合金で形成されたコア26とNi合金で形成されたクラッド28とを含む。さらに他の実施の形態では、接地電極22のみが、Cu合金で形成されたコア26とNi合金で形成されたクラッド28とを含む。
【0042】
上記のように、Cuコア26とNiクラッド28とを含む代表的なスパークプラグ20が図1に示されている。このスパークプラグ20を用いて内燃機関内の燃料と空気の混合気に着火する。代表的なスパークプラグ20は、セラミック絶縁体36と、金属シェル38と、中心電極24と、接地電極22とを含む。セラミック絶縁体36は、一般的には環状であり、金属シェル38がセラミック絶縁体36の一部を囲むように、金属シェル38の内側に支持可能な状態で配置される。中心電極24は、セラミック絶縁体36の軸方向の孔の中に配置される。接地電極22は、金属シェル38の前端面に溶着されて固定される。
【0043】
実施例
表2は、本発明のコア26のCu合金の実施の形態のいくつかの実施例と、比較のための、先行技術の電極で使用されるCu合金の先行技術の実施例とを含む。
【0044】
【表2】

【0045】
表3は、本発明のクラッド28のNi合金の実施の形態の3つの実施例と、比較のための、先行技術の電極で使用されるNi合金の先行技術の実施例とを含む。別の実施の形態において、本発明の実施例5は、0.01重量パーセントから0.1重量パーセントのY、0.01重量パーセントから0.2重量パーセントのZr、および0.05重量パーセントから0.4重量パーセントのTiのうち少なくとも1つと、残余のNiとを含んでいてもよい。言い換えれば、Y、Zr、TiすべてがNi合金に含まれていても、そのうち一部がNi合金に含まれていてもよい。
【0046】
【表3】

【0047】
本発明の電極22、24の一例は、本発明の実施例1か本発明の実施例2いずれかのCu合金で形成されたコア26を含んでいてもよい。本発明の実施例1のCu合金で形成されたコア26を含む電極は、本発明の実施例3、本発明の実施例4、または本発明の実施例5のNi合金で形成されたクラッド28を含むことができる。同様に、本発明の実施例2のCu合金で形成されたコア26を含む電極は、本発明の実施例3または本発明の実施例4のNi合金で形成されたクラッド28を含むことができる。ある実施の形態では、電極は、本発明の実施例1のCu合金で形成されたコア26と、本発明の実施例3のNi合金で形成されたクラッド28とを含む。別の実施の形態では、電極は、本発明の実施例2のCu合金で形成されたコア26と、本発明の実施例4のNi合金で形成されたクラッド28とを含む。
【0048】
実験
性能テストを、本発明の2つの例のスパークプラグ20および比較例のスパークプラグ20に対して実施した。本発明の第1の例のスパークプラグ20は、本発明の実施例1のCu合金で形成されたコア26と、本発明の実施例3のNi合金で形成されたクラッド28とを含む電極を備えていた。本発明の第2の例のスパークプラグ20は、本発明の実施例2のCu合金で形成されたコア26と、本発明の実施例4のNi合金で形成されたクラッド28とを含む電極を備えていた。比較例のスパークプラグは、先行技術の実施例1のCu合金で形成されたコアと、先行技術の実施例2のNi合金で形成されたクラッドとを含む電極を備えていた。
【0049】
スパークプラグ20の電極22、24の熱伝導率を室温でテストした。本発明の第1の例のスパークプラグ20については、電極のCu合金の室温における熱伝導率は360.0W/mK、電極のNi合金の室温における熱伝導率は36.8W/mKであった。本発明の第2の例のスパークプラグ20については、電極のCu合金の室温における熱伝導率は323.4W/mK、電極のNi合金の室温における熱伝導率は26.3W/mKであった。比較例のスパークプラグ20については、電極のCu合金の熱伝導率は401.0W/mK、電極のNi合金の熱伝導率は14.8W/mKであった。
【0050】
このテスト結果は、本発明の例のスパークプラグ20の電極22、24が、先行技術のスパークプラグの電極と同様の熱伝導率を維持し、したがって、少なくとも500℃の内燃機関におけるスパークプラグ20の動作中においてスパークプラグ20の動作温度を十分に制限するとともに浸食に対する耐性があることを、示している。
【0051】
また、実施例のスパークプラグ20のスパークギャップ成長をガソリンエンジンにおいて500時間テストした。スパークギャップ成長とは、ガソリンエンジンにおいて500時間の間にスパークプラグ20の動作条件下でスパークギャップが増加する量をインチで測定したものである。スパークギャップ成長テストの結果を図解したものを図7に示す。このテスト結果は、本発明の実施例のスパークプラグ20のCu合金とNi合金との組合せが、先行技術の比較例のスパークプラグよりも小さいスパークギャップ成長をもたらすことを示している。したがって、このテスト結果は、本発明の実施例のスパークプラグ20が、先行技術のスパークプラグと比較して、内燃機関におけるスパークプラグ20の動作中において改善された性能をもたらすことを示している。
【0052】
また、実施例のスパークプラグ20の電極の膨張率(ΔS)を、500時間のエンジンテスト後に測定した。膨張率とは、500時間のエンジンテストにおける電極の一部の長さの減少の割合を百分率で示したものである。テストする各電極について、電極の初期長を含むいくつかのパラメータを、スパークプラグをエンジンテストにかける前に記録した。図9は、測定した電極の例の初期長を示す。500時間のエンジンテストの後に、テストしたスパークプラグを解体し電極の最終的な長さを測定した。以下の式に従い、各実施例について膨張率が得られた。
【0053】
ΔS=(Lfinal−L)/L
式中、Lは500時間のエンジンテスト前の電極の長さ、Lfinalは500時間のエンジンテスト後の電極の長さ、ΔSは500時間のエンジンテスト中の電極の膨張率を百分率で示したものである。
【0054】
この膨張率テストの結果を図解したものを図8に示す。このテスト結果は、本発明の実施例のスパークプラグ20の電極22、24が、先行技術のスパークプラグの電極よりも膨張率が低くしたがって耐クリープ性が高いことを示している。したがって、このテスト結果は、本発明の実施例のスパークプラグ20が、先行技術のスパークプラグと比較して、内燃機関におけるスパークプラグ20の動作中において改善された性能をもたらすことを示している。
【0055】
上記教示に照らすと本発明には多くの変更および変形が可能であり、これらを、請求項の範囲の中で、具体的に記載したのと異なるやり方で実施し得ることは明らかである。請求項の参照番号は便宜上付したものに過ぎず限定として解釈されるべきものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スパークプラグ(20)であって、
中心電極(24)と接地電極(22)とを備え、
前記電極(22、24)のうち少なくとも一方は、銅(Cu)合金で形成されたコア(26)と前記コア(26)を覆うニッケル(Ni)合金で形成されたクラッド(28)とを含み、
前記Cu合金は、前記Cu合金の重量パーセントにして、少なくとも98.5重量パーセントのCuと、総量が前記Cu合金の強度に影響を及ぼすのに十分であるZrおよびCrのうち少なくとも一方とを含み、
前記Ni合金は、前記Ni合金の重量パーセントにして、少なくとも90.0重量パーセントのNiと、総量が前記Ni合金の強度に影響を及ぼすのに十分である、第3族元素、第4族元素、第13族元素、クロム(Cr)、シリコン(Si)、およびマンガン(Mn)のうち少なくとも1つとを含む、スパークプラグ。
【請求項2】
前記Cu合金は、前記Cu合金の重量パーセントにして、総量が少なくとも0.05重量パーセントのZrおよびCrのうち少なくとも一方を含む、請求項1に記載のスパークプラグ(20)。
【請求項3】
前記Cu合金は、前記Cuのマトリクスと、前記Cuのマトリクスに分散したZrおよびCuのうち少なくとも一方の析出物とを含む、請求項1に記載のスパークプラグ(20)。
【請求項4】
前記Cu合金は、量が最大99.95重量パーセントであるCuを含む、請求項1に記載のスパークプラグ(20)。
【請求項5】
前記Cu合金は、量が最大1.5重量パーセントであるZrおよびCrのうち少なくとも一方を含む、請求項1に記載のスパークプラグ(20)。
【請求項6】
前記Cu合金は、総量が最大1.45重量パーセントである、テルル(Te)、セレン(Se)、鉄(Fe)、銀(Ag)、ホウ素(B)、ベリリウム(Be)、リン(P)、チタン(Ti)、および硫黄(S)のうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載のスパークプラグ(20)。
【請求項7】
前記Cu合金は、総量が少なくとも0.01重量パーセントである、テルル(Te)、セレン(Se)、鉄(Fe)、銀(Ag)、ホウ素(B)、ベリリウム(Be)、リン(P)、チタン(Ti)、および硫黄(S)のうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載のスパークプラグ(20)。
【請求項8】
前記Cu合金の前記Cuはマトリクスであり、前記テルル(Te)、セレン(Se)、鉄(Fe)、銀(Ag)、ホウ素(B)、ベリリウム(Be)、リン(P)、チタン(Ti)、および硫黄(S)のうち少なくとも1つは、前記Cuのマトリクスに分散した析出物である、請求項6に記載のスパークプラグ(20)。
【請求項9】
前記Cu合金は、量が98.81重量パーセントから99.05重量パーセントであるCuと、量が0.05重量パーセントから0.15重量パーセントであるZrとを含む、請求項1に記載のスパークプラグ(20)。
【請求項10】
前記Cu合金は、量が99.81重量パーセントから99.95重量パーセントであるCuと、量が0.05重量パーセントから0.09重量パーセントであるZrと、量が0.9重量パーセントから1.10重量パーセントであるCrとを含む、請求項1に記載のスパークプラグ(20)。
【請求項11】
前記Ni合金は、量が最大97.9重量パーセントであるNiを含む、請求項1に記載のスパークプラグ(20)。
【請求項12】
前記Ni合金は、総量が最大10.0重量パーセントである、第3族元素、第4族元素、第13族元素、クロム(Cr)、シリコン(Si)、およびマンガン(Mn)のうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載のスパークプラグ(20)。
【請求項13】
前記Ni合金は、総量が少なくとも1.0重量パーセントである、第3族元素、第4族元素、第13族元素、クロム(Cr)、シリコン(Si)、およびマンガン(Mn)のうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載のスパークプラグ(20)。
【請求項14】
前記Ni合金は、前記少なくとも1つとしての第3族元素を量にして0.01重量パーセントから0.2重量パーセント含む、請求項1に記載のスパークプラグ(20)。
【請求項15】
前記Ni合金は、前記少なくとも1つとしての第4族元素を量にして0.01重量パーセントから0.5重量パーセント含む、請求項1に記載のスパークプラグ(20)。
【請求項16】
前記少なくとも1つとしての第13族元素はAlを含む、請求項1に記載のスパークプラグ(20)。
【請求項17】
前記Ni合金は、Si、Cr、Mn、およびZrのうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載のスパークプラグ(20)。
【請求項18】
前記Ni合金は、量にして96.8重量パーセントから97.9重量パーセントのNiと、量にして1.0重量パーセントから1.5重量パーセントのAlと、量にして1.0重量パーセントから1.5重量パーセントのSiと、量にして0.01重量パーセントから0.2重量パーセントのYとを含む、請求項1に記載のスパークプラグ(20)。
【請求項19】
前記Ni合金は、量にして94.85重量パーセントから95.9重量パーセントのNiと、量にして1.65重量パーセントから1.90重量パーセントのCrと、量にして1.8重量パーセントから2.1重量パーセントのMnと、量にして0.35重量パーセントから0.55重量パーセントのSiと、量にして0.2重量パーセントから0.4重量パーセントのTiと、量にして0.1重量パーセントから0.2重量パーセントのZrとを含む、請求項1に記載のスパークプラグ(20)。
【請求項20】
前記Ni合金は、
量にして91.30重量パーセントから99.69重量パーセントのNiと、
量にして0.1重量パーセントから2.0重量パーセントのAlと、
量にして0.1重量パーセントから2.0重量パーセントのSiと、
量にして0.1重量パーセントから2.0重量パーセントのCrと、
量にして0.1重量パーセントから2.0重量パーセントのMnと、
量にして0.01重量パーセントから0.1重量パーセントのY、量にして0.01重量パーセントから0.2重量パーセントのZr、および量にして0.05重量パーセントから0.4重量パーセントのTiのうち少なくとも1つとを含む、請求項1に記載のスパークプラグ(20)。
【請求項21】
スパークプラグ(20)で使用するための電極(22、24)であって、前記電極は、
銅(Cu)合金で形成されたコア(26)と、
前記コア(26)を覆うニッケル(Ni)合金で形成されたクラッド(28)とを備え、
前記Cu合金は、前記Cu合金の重量パーセントにして、少なくとも98.5重量パーセントのCuと、総量が前記Cu合金の強度に影響を及ぼすのに十分であるZrおよびCrのうち少なくとも一方とを含み、
前記Ni合金は、前記Ni合金の重量パーセントにして、少なくとも90.0重量パーセントのNiと、総量が前記Ni合金の強度に影響を及ぼすのに十分である、第3族元素、第4族元素、第13族元素、クロム(Cr)、シリコン(Si)、およびマンガン(Mn)のうち少なくとも1つとを含む、電極。
【請求項22】
少なくとも1つの電極を有するスパークプラグ(20)を形成する方法であって、
Cuと、ZrおよびCrのうち少なくとも一方とを含む第1の粉末金属材料を準備するステップと、
前記第1の粉末金属材料を加熱することによりCu合金を準備するステップとを含み、前記Cu合金は、前記Cu合金の重量パーセントにして、少なくとも98.50重量パーセントのCuと、総量が少なくとも0.05重量パーセントであるZrおよびCrのうち少なくとも一方とを含み、
前記Cu合金を成形してコア(26)にするステップと、
Niと、第3族元素、第4族元素、第13族元素、クロム(Cr)、シリコン(Si)、およびマンガン(Mn)のうち少なくとも1つとを含む第2の粉末金属材料を準備するステップと、
前記第2の粉末金属材料を加熱することによりNi合金を準備するステップとを含み、前記Ni合金は、前記Ni合金の重量パーセントにして、少なくとも90.0重量パーセントのNiと、総量が前記Ni合金の強度に影響を及ぼすのに十分である、第3族元素、第4族元素、第13族元素、クロム(Cr)、シリコン(Si)、およびマンガン(Mn)のうち少なくとも1つとを含み、
前記Ni合金を成形して前記コア(26)を覆うクラッド(28)にするステップを含む、方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図9】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公表番号】特表2013−502044(P2013−502044A)
【公表日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−524863(P2012−524863)
【出願日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際出願番号】PCT/US2010/045294
【国際公開番号】WO2011/019893
【国際公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(506146389)フェデラル−モーグル・イグニション・カンパニー (38)
【氏名又は名称原語表記】FEDERAL−MOGUL IGNITION COMPANY
【Fターム(参考)】