説明

臨床分析装置

【課題】臨床分析装置において、装置を大きくしたり複雑化することなく試薬およびサンプルをより正確に温調する。
【解決手段】マイクロ流路が形成されたマイクロチップ100′への試薬およびサンプルの分注が行われる分注ステーション42、上記マイクロチップに分注されたサンプル中の測定対象物質を検出する検出ステーション46等が配置された測定部10を備え、マイクロチップ100′を分注ステーション42や検出ステーション46に対し相対的に工程の上流側から下流側へ連続的に周回させて繰返し測定対象物質の測定が行なわれるようにし、温調部201により上記試薬およびサンプルが注入された状態のマイクロチップ100′をこのマイクロチップが検出ステーション46に配される前に温調可能として、このマイクロチップに分注されたサンプルに含まれる測定対象物質を測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は臨床分析装置、特に試薬およびサンプルをマイクロ流路に導入したマイクロチップを用いて、例えば、サンプルを電気泳動させてサンプル中の分離された測定対象物質を分析する、μTAS−イムノアッセイシステム(微細総分析システム(Micro Total Analysis System)−酵素免疫測定法(ELISA=Enzyme Linked Immuno-Sorbent Assay))等に使用される臨床分析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、分析装置として、極めて微小な幅と深さのマイクロ流路が形成されたマイクロチップを有するマイクロチップ電気泳動装置が知られている(特許文献1)。この電気泳動装置においては、マイクロチップの流路に泳動液(緩衝液)が注入されるとともにサンプルがマイクロ流路に注入され、高電圧(泳動電圧)が印加されて電気泳動によってサンプル中の測定対象物質が分離される。この分離された、例えば、たんぱく質や核酸等が、マイクロ流路の検出点において検出部により検出されるようになっている。
【0003】
また、他の同様なマイクロチップ電気泳動装置として、泳動液の充填からサンプルを含む試料注入、分離流路への試料の注入、電気泳動、分離および検出に至るまでの一連の作業を自動的に処理するものが知られている(特許文献2)。このマイクロチップ電気泳動装置では、同じマイクロチップを使用して分析を繰り返す場合には、流路に残留した試料を泳動液で押し流した後、次のサンプルを含む試料を注入して同じ工程を繰り返し実行するようになっている。また、マイクロチップを使い捨てにする場合は、流路に残留した試料を泳動液で押し流すような洗浄を行うことなく廃棄される。
【0004】
また、マイクロチップと、このマイクロチップのマイクロ流路に注入する試薬やサンプル等からなる液体を個別に略同じ温度に温調した後、上記マイクロチップ中に上記液体を注入して測定を行うマイクロチップ電気泳動装置も知られている(特許文献3)。
【特許文献1】特開平10−148628号公報
【特許文献2】特開平10−246721号公報
【特許文献3】特開2006−250622号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のようにマイクロチップと、このマイクロチップに注入される試薬やサンプルを含む試料液とを個別に温調するには、それぞれ専用の温調装置が必要となり、マイクロチップの温度と上記試料液の温度とに温度差が生じるおそれがある。また、マイクロチップの温度と上記試料液の温度とを目標温度に一致させるように調節するには、2つの温調装置それぞれを高精度に温調する必要があり、温調の制御が複雑になるとともに装置サイズが大きくなるという問題がある。
【0006】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、装置を大きくしたり複雑化することなく試薬およびサンプルをより正確に温調することができる臨床分析装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の臨床分析装置は、マイクロ流路が形成されたマイクロチップを用い、前記マイクロ流路に試薬およびサンプルを導入し、このサンプルに含まれる測定対象物質を分析する臨床分析装置において、筐体と、この筐体に配置された、試薬およびサンプルを配置するための配置部と、この配置部に配置された試薬およびサンプルをマイクロチップに分注する分注機構部と、マイクロチップが所定ピッチで配置される搬送機構部を有する、マイクロ流路に分注されたサンプル中の測定対象物質を測定する測定部とを備え、測定部には、分注機構部による前記マイクロチップへの試薬およびサンプルの分注が行われる分注ステーション、マイクロチップに分注されたサンプル中の測定対象物質を検出する検出ステーションが、この順に工程の上流側から下流側へ前記所定ピッチに対応するように配置されて、マイクロチップを各ステーションに対し相対的に前記工程の上流側から下流側へ予め定められた所定ピッチで移動させて前記測定対象物質の測定が行なわれるように前記臨床分析装置が構成されたものであり、マイクロチップが検出ステーションに配される前に、試薬およびサンプルが注入された状態のマイクロチップを温調可能な温調部を備えていることを特徴とするものである。
【0008】
前記所定ピッチは、各ステーション間でのマイクロチップの移動に対応するピッチを意味するものである。
【0009】
なお、前記所定ピッチは、角度における所定ピッチ、すなわち所定ピッチ角度とすることができる。
【0010】
また、前記マイクロチップは、微細なキャピラリー(毛細管)が形成されたガラス等からなるチップ基板を有し、キャピラリーに試料が導入されるものをいう。また、このキャピラリーを「マイクロ流路」という。また、前記試薬は、緩衝液、各種標識抗体等を含むものとする。
【0011】
前記温調部は、試薬およびサンプルが注入された状態のマイクロチップを、そのマイクロチップが検出ステーションに配される前からこの検出ステーションでの測定対象物質の検出が終了するまでの間、温調可能なものとすることができる。
【0012】
前記温調部は、試薬およびサンプルが注入された状態のマイクロチップを、そのマイクロチップが分注ステーションに配されてから検出ステーションでの測定対象物質の検出が終了するまでの間、温調可能なものとすることができる。
【0013】
前記温調部は、マイクロチップを、マイクロチップが分注ステーションに配される前にそのマイクロチップのみを温調可能なものとすることができる。
【0014】
前記温調部は、測定部において測定する測定内容に応じて試薬およびサンプルが注入された状態のマイクロチップの温調の目標温度を定めるものとすることができる。
【0015】
前記温調部は、試薬およびサンプルが注入された状態のマイクロチップの温調を、各ステーション毎に個別に行うものとすることができる。
【0016】
前記温調部は、試薬およびサンプルが注入された状態の前記マイクロチップの温調を、複数のステーションについてまとめて行うものとすることができる。
【0017】
また、分注ステーションと検出ステーションの間に、マイクロチップのマイクロ流路に試薬およびサンプルを加圧および/または吸入して導入する導入ステーションが配置されるようにしてもよい。
【0018】
なお、前記マイクロチップは使い捨てのマイクロチップとすることができる。
【0019】
前記臨床分析装置は、マイクロチップを各ステーションに対し相対的に前記工程の上流側から下流側へ予め定められた所定ピッチで1方向へ移動させて測定対象物質の測定が行なわれるように構成されたものとしてもよい。
【0020】
前記臨床分析装置は、マイクロチップを各ステーションに対し相対的に前記工程の上流側から下流側へ連続的に予め定められた所定ピッチで周回させて繰返し前記測定対象物質の測定が行なわれるように構成されたものとしてもよい。
【0021】
マイクロチップを各ステーションに対し周回させて繰返し前記測定対象物質の測定が行なわれるように構成された臨床分析装置は、以下のような構成とすることができる。
【0022】
マイクロチップを脱着する脱着ステーションを任意の位置に配置するようにしてもよい。
【0023】
また、測定対象物質が検出された後にマイクロチップを洗浄する洗浄ステーションを配置することもできる。
【0024】
ここで、前記測定部には、前記分注ステーション、前記検出ステーション、前記洗浄ステーションが、工程の上流側から順に所定ピッチに対応するように配置することができる。
【0025】
さらに、前記洗浄ステーションは、マイクロチップに付着した薬品を洗浄する薬品洗浄工程、上記薬品洗浄工程による薬品洗浄後にマイクロチップを水洗浄する水洗浄工程、上記水洗浄工程で残った残液を吸引する残液吸引工程それぞれを有するように構成することができる。前記洗浄ステーションの各工程は、それぞれステーションとして独立していることが好ましい。
【0026】
前記搬送機構部は、マイクロチップを配置する回転テーブルを有することが好ましい。
【0027】
前記臨床分析装置は、各ステーションの数と回転テーブルに搭載されるマイクロチップの数が同数であることが好ましい。
【0028】
前記回転テーブルは、回転テーブルが1回転すると1つのマイクロチップに対する一連の動作が終了するように構成することができる。
【0029】
前記回転テーブルは、1回転してマイクロチップに対する一連の動作が終了したことをマイクロチップに記録する記録部を有するものとすることが好ましい。
【0030】
なお、マイクロチップを各ステーションに対し1方向へ移動させて測定対象物質の測定が行なわれるように構成された臨床分析装置や、マイクロチップを各ステーションに対し周回させて繰返し前記測定対象物質の測定が行なわれるように構成された臨床分析装置等において、前記マイクロチップは、処理上の情報を記録する記録部を有するものとすることが好ましい。この記録部は、無線タグとすることができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の臨床分析装置は、マイクロチップを各ステーションに対し相対的に工程の上流側から下流側へ連続的に周回させて繰返し測定対象物質の測定が行なわれるように構成されたものであり、マイクロチップが検出ステーションに配される前に、試薬およびサンプルが注入された状態の上記マイクロチップを温調可能な温調部を備えるようにしたので、装置を大きくしたり複雑化することなく、検出ステーションで測定対象物質を検出するときの試薬およびサンプルをより正確に温調することができる。
【0032】
すなわち、試薬およびサンプル(以後、まとめて試料液ともいう)をマイクロチップへ注入した状態で温調を行うことができるので、従来のようにマイクロチップと試料液とを個別に温調する場合に比して、マイクロチップと試料液の温度を一致させることがより容易となる。また、試料液をマイクロチップに収容した状態で上試料液を温調するので、マイクロチップと試料液とを個別に温調する場合に比して装置の複雑化を抑制することができる。さらに、検出ステーションにおける検出よりも前の工程から上記温調を開始することができるので、マイクロチップに試料液が注入された状態での温調時間をより長くすることができる。上記のことにより、装置を大きくしたり複雑化することなく、検出ステーションで測定対象物質を検出するときの試料液の温度をより正確に定めて測定を行うことができる。
【0033】
なお、温調部を、試薬およびサンプルが注入された状態のマイクロチップに対し、そのマイクロチップが検出ステーションに配される前からこの検出ステーションでの測定対象物質の検出が終了するまでの間、温調可能なものとすれば、検出ステーションで測定対象物質を検出するときの試料液の温度をより正確に定める効果をより確実に奏することができる。
【0034】
また、温調部を、試薬およびサンプルが注入された状態のマイクロチップに対し、そのマイクロチップが分注ステーションに配されてから検出ステーションでの測定対象物質の検出が終了するまでの間、温調可能なものとすれば、検出ステーションで測定対象物質を検出するときの試料液の温度をより正確に定める効果をより確実に奏することができる。
【0035】
また、温調部を、測定部において測定する測定内容に応じて試薬およびサンプルが注入された状態のマイクロチップの温調の目標温度を定めるものとすれば、検出ステーションで測定対象物質を検出するときの試料液の温度をより早く目標温度に定めることができるので、より効率良く測定対象物質の検出を行うことができる。
【0036】
分注ステーションと検出ステーションの間に、マイクロチップのマイクロ流路に試薬およびサンプルを加圧および/または吸入して導入する導入ステーションが配置されている場合は、試薬およびサンプルを短時間に且つ十分にマイクロ流路に導入することができる。
【0037】
脱着ステーションが任意の位置に配置されている場合は、マイクロチップを必要に応じて容易に交換することができる。換言すると、マイクロチップは寿命が来るまで繰返し使用でき、寿命が来たときは、この脱着ステーションで新しいマイクロチップと容易に交換することができる。
【0038】
洗浄ステーションが、薬品洗浄工程、水洗浄工程および水洗浄後の残液を吸引する残液吸引工程を有するように構成されている場合は、薬品洗浄工程で化学的な洗浄を行ない、水洗浄工程で薬品洗浄に使用された薬品の排出を行うとともにさらに洗浄し、残液吸引工程で残液を吸引するので、マイクロ流路を極めて高度に洗浄でき、次の測定への影響をほとんど生じさせない。従って、極めて信頼性の高い分析結果を得ることができるという効果を奏する。
【0039】
搬送機構部が、マイクロチップを配置する回転テーブルを有する場合は、容易に搬送機構部を構成することができる。
【0040】
各ステーションの数と回転テーブルに搭載されるマイクロチップの数が同数である場合は、1ピッチ毎に各ステーションで作業がなされるので効率的に測定を行うことができる。
【0041】
回転テーブルが1回転すると、1つのマイクロチップの一連の動作が終了するように構成されている場合は、回転テーブルが1ピッチ回動するごとに1つのマイクロチップの測定が終了するので、短時間で効率的に測定を行うことができる。
【0042】
マイクロチップが処理上の情報を記録する記録部を有する場合は、マイクロチップを個別に管理することができ、間違いの生じにくい信頼性の高いデータを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下、本発明の臨床分析装置の一例について、添付図を参照して詳細に説明する。まず、最初にこの臨床分析装置(以下、単に装置1という;図3参照)で使用される、例えば肝臓癌マーカーの検出に使用されるマイクロチップについて、図1〜図2を参照して説明する。
【0044】
図1は、装置1に使用されるマイクロチップの一例を示し、図1(a)はマイクロチップ100の表面側から見た斜視図、図1(b)は裏面側から見た斜視図をそれぞれ示す。
【0045】
マイクロチップ100は、合成樹脂から成形された略矩形乃至矢形形状を呈しており、マイクロチップ100の裏面の凹所100bの中央部に、略矩形のチップ基板として、例えばガラス板(透明な板状部材)102が取付けられている。このガラス板102は、2枚のガラス板から構成されており、一方のガラス板に形成された、後述するマイクロ流路(キャピラリー)(以下、単に流路という)110(図2)を内側にして、互いに貼り合わせて1枚のガラス板102として構成されている。2枚のガラス板は、両方とも透明であってもよいし、後述する光学測定をする側となる片方だけ透明であってもよい。
【0046】
他方、マイクロチップ100の表面すなわち主面100aには、図1(a)に示すように、流路110に位置合わせして、例えば、内径1.2mmの穴106aを有する複数の筒状突起すなわちウェル106が形成されている。ウェル106の穴106aは、前述の2枚のガラス板のうち1枚を貫通して流路110に達している。
【0047】
従って、このウェル106に試薬およびサンプルを含む試料液を滴下すると、この試料液が流路110に導かれるようになっている。なお、チップ基板として、ガラス製の他、合成樹脂であってもよい。
【0048】
次に、図2を参照して、上記流路110について説明する。図2は、マイクロチップ100に形成された流路110の一例を示す平面図である。この流路110は、例えば、幅100μm、深さ15μmの寸法で、エッチングやフォトリソグラフィー等の微細加工技術により形成されている。マイクロチップ100には、この流路110が、例えば2セット独立して形成されている。流路110は、図2において、横長に一直線に延びる主流路110aと、この主流路110aに対し直角に短距離延びる支流路110b〜110eを有する。主流路110aの両端および支流路110b〜110eの端部には、前述のウェル106が位置している。なお、これらのウェル106を識別のためA〜Gでそれぞれ示す。すなわちウェルA〜Gを総括してウェル106という。
【0049】
支流路110b、110c、110dは、主流路110aの一方側(図2において上側)に、間隔をおいてウェルA側から順次形成されている。各支流路110b、110c、110dの端部は、ウェルB、E、Fとそれぞれ連通している。
【0050】
また、主流路110aの他方側(図2において下側)には支流路110eが形成されている。この支流路110eは支流路110b、110cの間に形成されている。支流路110eの先端は、T字状の上記主流路110aと平行に両側へ伸びる流路が形成されておりこの流路の両端はそれぞれウェルC、Dと連通している。
【0051】
なお、図2に示すように、流路110の近傍には試料液に含まれる上記サンプル中の測定対象物質を検出するための光学系を有する検出装置6が設置されている。上記流路中に収容された試料液は、この主流路110aの所定の位置で測定がなされる。試料液中の測定対象物質は、外部から光を受けると励起されて蛍光を発するように処理されている。この測定対象物質の蛍光を励起するためには、検出装置6のレーザーダイオード138から照射されるレーザー光140が用いられる。このレーザー光140は、BPFすなわちバンドパスフィルター142を通過してダイクロイックミラー144により反射され、集光レンズ146を通過して試料液に達する。これにより試料液中の測定対象物質が励起されて蛍光を発する。この蛍光は、集光レンズ146、ダイクロイックミラー144、バンドパスフィルター148、集光レンズ150を経て光検出器152により検出されるようになっている。
【0052】
測定するサンプルとしては血清、リンパ液等の体液、尿等の排泄物、膿等の生体由来物質、その他、飲料、河川水等、種々の液体等が考えられる。また、試薬も前述の種類に限定されるものではなく、サンプル中の測定対象物質の種類に応じて、様々なものが使用されることはいうまでもない。
【0053】
次に、図3〜図8を参照し、本発明の装置1について詳しく説明する。図3は、装置1の外観を示す斜視図である。装置1は、筐体2と、この筐体2に配置された配置部8と、この配置部8の近傍に並設された測定部10と、配置部8と測定部10の間を往復移動する分注機構部12とを有する。また、筐体2に開閉可能に設けられたカバー4、5は、それぞれ測定部10、配置部8を覆うためのものである。図3では、これらのカバー4、5は開いた状態を示す。これらのカバー4、5は、試料の検出中と洗浄動作中は開けることができないようになっている。
【0054】
配置部8には、円形の試薬庫8aおよびサンプル保持部8bがある。サンプル保持部8bは、試薬庫8aの周囲を取り巻くように配置された環状部材14を有する。なお、試薬庫8aおよびサンプル保持部8bの環状部材14は回動するが、回動させるためのモータ等の動力源については、図示を省略する。この環状部材14には、サンプルの容器3bが配置される複数の切欠14aが所定の間隔で形成されている。なお、配置部8は、図示しない冷蔵装置により内部が冷却されている。
【0055】
また、筐体2の上面2aには、例えば液晶等の表示パネル16が設けられている。この表示パネル16には、試験の名称が表示され、サンプルの容器3bに収容されたサンプルごとに測定内容(測定項目)を選択できるようになっている。また、表示パネル16の近傍にはプリンタ18が配置され、検出ステーション46での検出結果がプリントアウトされるようになっている。筐体2の外側且つ配置部8の近傍には、2つの直方形の洗浄水容器20、廃液容器22が取り付けられている。洗浄水容器20は、マイクロチップ100等を洗浄する洗浄水を収容するためのものであり、廃液容器22は全ての廃液を収容するためのものである。
【0056】
分注機構部12は、移動体12aと、この移動体12aに取付けられたプローブ12bを有する。本発明では、プローブ12bは1本使用されるが、サンプル或いは複数種類の試薬を吸引して運搬するので、異なる液体を運搬する度に洗浄される。この洗浄は、測定部10と配置部8の間に位置するプローブ洗浄部66で行われる。すなわちプローブ洗浄部66の開口66aにプローブ12bが挿入されて、プローブ洗浄部66内の洗浄液(図示せず)により洗浄される。
【0057】
次に、図3を再び参照するとともに、図4〜7を併せて参照して測定部10について詳細に説明する。図4は、測定部10に、マイクロチップ100’を配置した状態を示す拡大斜視図である。なお、ここで使用されているマイクロチップ100’は、前述のマイクロチップ100と形状は異なるが原理的には同じものである。マイクロチップ100’の各部については、マイクロチップ100の対応する各部に「’」を付して説明する。上記図5は、配置部8および測定部10を模式的に示す装置1の要部概略平面図である。
【0058】
また、図6は、マイクロチップ100´が検出ステーションに配される前に試薬およびサンプルが注入された状態で後述する温調部201上に配置された様子を示す斜視図である。このマイクロチップ100′は、上述のマイクロチップ100のガラス板102(図1(b)参照)に対応する上記ガラス板102′(図2、図6参照)を有しており、このガラス板102′が温調部201上に接触するように上記温調部201上に配置されている。図7は、図6において図中からマイクロチップ100′を取り除いて温調部201が最上部に見えるようにした状態を示す斜視図である。
【0059】
測定部10には、マイクロチップ100’を移動させるための搬送機構部として図示しない動力源と、この動力源により反時計回りに回転駆動される回転テーブル40が配置されている。回転方向は、反時計回りに一方向だけであり、逆回転はしないようになっている。
【0060】
上記回転テーブル40には所定のピッチで8個の基台部200が配置されており、この基台部200上に温調部201が配置されている。この回転テーブル40を上方から見ると、図4に示すように、所定のピッチ(ピッチ角度)で8個の凹所42aが形成されており、この凹所42a内に上記温調部201および基台部200が収容されている。したがって、マイクロチップ100’が凹所42a内に配置されるときには、この凹所42aに対応して配置されている温調部201の上面201U上に上記マイクロチップ100’が接触するように載置される。
【0061】
また、筐体2の側には、上記と同様の所定のピッチ(ピッチ角度)で8個のステーション42〜56が配置されている。したがって、各ステーション42〜56に対応するようにマイクロチップ100’が1個ずつ配置されるようになっている。
【0062】
測定の工程が開始される最初のステーションは、分注機構部12の移動体12aが移動して試料等が分注される分注ステーション42である。これは、第1段階の工程を行う部分である。
【0063】
次に、反時計回りに導入ステーション44、検出ステーション46、洗浄ステーション47、マイクロチップ100’を脱着する脱着ステーション56の順で配置されている。なお、本実施形態において洗浄ステーション47は、4つの部分すなわち薬品洗浄ステーション48、水洗浄ステーション50、52、残液吸引ステーション54から構成されている。これらの4つの洗浄ステーション48、50、52,54では、それぞれ薬品洗浄工程、水洗浄工程、水洗浄工程および残液吸引工程がなされる。なお、図5中13で示すUI部(ユーザーインターフェース部)は、いわゆる操作パネルである。
【0064】
次に、図4を参照して、各ステーション42、44、46、47(48、50、52、54)、56についてさらに説明する。
【0065】
カバー部材44b、46b、52bは、回転テーブル40に対し接近し或いは離隔するように開閉可能に筐体2側に取付けられている。従って、回転テーブル40のみが回転移動し、カバー部材44b〜52bが、回転テーブル40と平行な平面内で回転移動することはない。
【0066】
回転テーブル40は、上記のようにその円周に沿って8個のステーション42〜56に等分に割当てられているため、各ステーション42〜56で作業するのは同じ時間、例えば200秒となる。従って、200秒経過すると、回転テーブル40は回動して次工程に移動するので、1回転すなわち200X8=1600秒で1サイクルが終了し、1番目のマイクロチップ100’の測定が完了する。その後は、200秒ごとに、後続のマイクロチップ100’の測定が順次完了する。
【0067】
上記分注ステーション42に対応する位置にマイクロチップ100’が配置されると、前述の分注機構部12の移動体12aが、このマイクロチップ100’上へ移動して、プローブ12bからマイクロチップ100’の所定のウェル106試薬やサンプルが滴下される。この作業が、試薬やサンプルを必要とする全てのウェル106について反復される(第1段階の工程)。
【0068】
導入ステーション44には、カバー部材44bが開閉可能に配置されている。カバー部材44bには、この導入ステーション44に対してマイクロチップ100’が配置されたときにマイクロチップ100’の所定のウェル106’に連通させるチューブ44cが取り付けられている。加圧気体はこのチューブ44cを通って、図2に記載の所定のウェルC、Dに供給される(第2段階の工程)。
【0069】
検出ステーション46にもカバー部材46bが取付けられている。カバー部材46bの下面には、電気泳動のための電圧を発生する電極(図示せず)が突設されている。これらの電極は、前述の電圧を印加するためのウェルA、F、Gに対応して配置されている。
【0070】
検出ステーション46の測光部58は、前述の検出装置6(図2参照)を内蔵しており、検出時にカバー部材46bの上に位置し、カバー部材46bが開く際には、カバー部材46bと干渉しないように回転テーブル40の外側に退避するようになっている。この検出ステーション46では、電極に泳動電圧が印加されて試料の電気泳動がなされる(第3段階の工程)。上記電気泳動の際には、試料の種類に応じて、低温、例えば試料液の温度を10°Cに保持した状態で電気泳動が行われる。
【0071】
電圧が印加されるウェル106が切替えられる工程(第4段階の工程)では、試料液の温度が上記10°Cに維持された状態で引き続き電気泳動が継続された後、測定対象物の測定が行われる工程(第5段階の工程)が実行される。
【0072】
上記測定が行われる際には、流路110’が2セットあるので、各流路110’への試薬等の滴下を、時間をずらして行うことができ、それぞれの流路110’を電気泳動させる測定対象物質が測定位置に到達する時間をずらすようにして順次測定を行うことができる。
【0073】
2つの流路110’は、ガラス板102’の平面内で僅かにずれているため、測定時には光学系の光軸を1つ目の流路110’に合わせて測定し、その後、上記光学系の光軸を僅かに移動して2つ目の流路110’に光軸を合わせて測定する。
【0074】
ここで、上記温調部201による温調について詳しく説明する。
【0075】
基台部200上に配された温調部201は、例えばペルチェ素子を採用することができ、この温調部201の上面201Uが上記流路の形成されたガラス板102′に接触してこのマイクロチップ100′を下方から支持する。
【0076】
上記のように回転テーブル40には、各ステーション42〜56に対応してマイクロチップ100’が1個ずつ配置されるようになっている。すなわち、回転テーブル40には、8個のステーション42〜56それぞれに対応するように上記基台部200および温調部201が配置され、各温調部が上記マイクロチップ100’を支持しつつ回転搬送される。
【0077】
上記温調部201は、マイクロチップ100’が検出ステーション46に配される前に、試薬およびサンプルを含む試料液が注入された状態の上記マイクロチップ100’を温調可能なものである。
【0078】
この温調部201により、試料液が注入された状態のマイクロチップ100’を、このマイクロチップ100’が検出ステーション46に配される前からこの検出ステーション46での測定対象物質の検出が終了するまでの間、温調するようにしてもよい。
【0079】
また、上記温調部201により、分注ステーション42においてマイクロチップ100’に試料液が注入された状態とされたときから、すなわち、試料液が注入された状態のマイクロチップが分注ステーション42に配されてから検出ステーション46での測定対象物質の検出が終了するまでの間、温調するようにしてもよい。
【0080】
また、温調部201を、測定部10において測定する測定内容(測定項目)に応じて各マイクロチップ100’の温調の目標温度を定めるものとすることもできる。
【0081】
さらに、温調部201は、試料液が注入された状態のマイクロチップ100’の温調を、各ステーション毎に個別に行うものとしてもよい。より具体的には、8個の各ステーション42、44、46、48、50、52、54、56において、各ステーション毎に異なる目標温度を設定して搬送されるマイクロチップ100’を個別に温調するものとしてもよい。
【0082】
なお、温調部201は必ずしも上記のように、流路が形成されたガラス板にペルチェ素子を接触させて温調を行う場合に限らず、如何なる温調方式により上記試料液が注入された状態のマイクロチップを温調するようにしてもよい。
【0083】
次に洗浄ステーション47について詳細に説明する。洗浄ステーション47は、前述の如く、4つの工程を行う4つのステーション48、50、52、54から構成されている。薬品洗浄ステーション48は、例えばNaOH(水酸化ナトリウム)等の薬品(洗剤)を用いて、検出済みのマイクロチップ100’の流路110’を洗浄する工程である。薬品洗浄ステーション48は、試料で汚染されているウェル106’に対し、薬品を吐出、吸引して洗浄するようになっている。この際、同じ薬品洗浄ステーション48で、ウェル106’から、例えば、300g/cmの負圧で薬品等を流路110から吸引することも行われる。
【0084】
この作業は、例えば図8に示すように行われる。図8は、薬品洗浄ステーション48の要部を示す拡大斜視図である。マイクロチップ100’には2つの流路110’が形成されている。プローブ48p、48qは、各流路110’に対応して薬品を吐出したり吸引したりするようになっており、矢印60で示す方向に直線的に移動可能である。この移動は、薬品洗浄ステーション48において、図4に示すようにモータ48cおよびこのモータ48cにより駆動されるねじ軸48dを用いて行われる。すなわちマイクロチップ100’を支持する部材48eがねじ軸48dと係合しており、このねじ軸48dの回転によって、マイクロチップ100’は回転テーブル40の半径方向に往復移動可能になっている。
【0085】
なお、図8中、プローブ48p、48qは、先端部のみを示してあるが、実際は、仮想線で示すように延長しているか、或いはチューブが取付けられている。符号15、17で示すのは、それぞれ薬品(洗剤)容器、プローブ洗浄槽である。薬品容器15には洗剤が収容されており、プローブ48p、48qを介して洗剤がウェル106’に供給される。
【0086】
プローブ48p、48qの先端部は、洗浄時にマイクロチップ100’のウェル106’に挿入されるので、その度にプローブ48p、48qの先端部はプローブ洗浄槽17で洗浄される。また、符号65で示されるシール板は、ウェル106’に対応した位置に、図示しないシリンジポンプと連通する開口65aを有しており、シリンジポンプから供給される空気圧によって、薬品をウェル106’、マイクロ流路110’から押し出すのに使用される。
【0087】
1列に整列した複数のウェル106’には、プローブ48pから薬品が吐出され、また他側の列のウェル106’は、前述の大きさの負圧すなわち300g/cmで吸引される。このときの洗浄の態様について、図9を併せて参照して説明する。図9はウェル106’の洗浄およびウェル106’に負圧をかけたときの概念を示す拡大断面図である。ウェル106’にプローブ48pが挿入され、薬品62がウェル106’から溢れないように、薬品62を吐出、吸引している状態が示されている。また、他のウェル106’では、前述の図4では示されていない、シール部材64と、このシール部材64をウェル106’に対し押圧するシール板65によってウェル106’が封止されるとともに負圧により吸引されている状態が示されている。このようにプローブ48p、48qが移動しながら、ウェル106’および流路110’内の試料、薬品62類も吸引されるので、流路110’は十分に洗浄される。従って、洗浄度は非常に高い。なお、図9中の符号102’で示す部分が上述のガラス板102’に対応している。
【0088】
薬品洗浄後に、水洗浄ステーション50において、すべてのウェル106’に対して、前述の図7に示したのと同様な方法で水の吐出と吸引が繰り返される。さらに、次の工程の水洗浄ステーション52においては、例えば、10Kg/cmの気圧で流路110’内の薬品を水により押し出すことが行われる。このとき押し出される側のウェル106’は大気開放されており、押し出された廃液は廃液容器22に収容される。次に、残液吸引ステーション54において、ウェル106’の残液が吸引される。この作業は負圧源に接続されたプローブ54p(図4)がウェル106’内に挿入されて行われる。
【0089】
次に、洗浄されたマイクロチップ100’は、チップを脱着する脱着ステーション56に送られる。この脱着ステーション56では、繰返し使用されて寿命とみなされる所定の回数、例えば10〜200回に達したマイクロチップ100’を取出して、新たなマイクロチップ100’が回転テーブル40に装填される。この脱着ステーション56は、マイクロチップ100’の交換時のみ機能し通常測定時は機能しない。
【0090】
図10は、脱着ステーション56でマイクロチップ100’を交換する状態を示す部分拡大斜視図である。この脱着ステーション56では、例えば、筐体2に、回転テーブル40の凹所56aに対応して開口56cが形成されている。この開口56cは、開放された状態でもよいし、適切な蓋(図示せず)で開閉可能に閉鎖してもよい。
【0091】
マイクロチップ100’はこの開口56cから、アクセスして寿命に達したマイクロチップ100’を取外し、新たなマイクロチップ100’を装填することができる。マイクロチップ100’の寿命を判定するには、例えば、マイクロチップ100’に取付けられた無線タグ(記録部)101’により、使用された回数が自動的に記録され、所定の回数に達したときに、前述の表示パネル16に、交換を指示する表示がなされるようにすることができる。また、その際、適切な音響信号によって操作者に知らせてもよい。寿命を検出するための使用回数のカウントや無線タグ101’への使用回数は、例えば、装置1の背面側に設けた制御部11(図5)で管理することができる。なお、無線タグ101’は、マイクロチップ100’に貼着、埋め込み等の種々の態様により任意の位置に取付けることができる。
【0092】
以上説明したように、本発明の装置1は、正確な測定を効率的に行うことができるので、臨床的に使用するのに適している。また、マイクロチップ100、100’は、複数の流路110、110’が形成されているので、1個のマイクロチップで同じ測定項目を複数の患者について測定し、或いは、また、1人の患者について複数の測定項目について測定を行うという使い方ができる。さらに、流路110、110’の数を増大させて、必要に応じて、1個のマイクロチップで、複数の患者について複数の測定項目について測定することもできる。
【0093】
なお、上記施形態では、マイクロチップ100、100’を周回させているが、各ステーションを周回させることも可能である。また、洗浄ステーション47を異なる工程を行う複数の洗浄ステーションに分割しているが、洗浄ステーションを1箇所とし、そこで複数の洗浄工程を行わせることも可能である。また、上記実施形態では、試薬およびサンプルを加圧してウェル内に導入した場合について示したが、加圧する代わりに反対側のウェルから吸引して導入することも可能である。このように加圧あるいは吸引を各々単独で行ってもよいし、加圧と吸引を併用して同時に行ってもよい。
【0094】
また、上記施形態では、マイクロ流路110、110’内で試薬およびサンプルを電気泳動させているが、これに限定されるものではなく、加圧および/または吸引等でマイクロ流路110、110’内を移動、分離させることも可能である。
【0095】
前記温調部は、試薬およびサンプルが注入された状態のマイクロチップを、マイクロチップが分注ステーションに配される前にそのマイクロチップのみを温調可能なものとすることもできる。
【0096】
前記温調部は、試薬およびサンプルが注入された状態の前記マイクロチップの温調を、複数のステーションについてまとめて行うものとすることができる。
【0097】
図11は、上記装置1とは異なる他の臨床分析装置2の実施の形態を示す図である。
【0098】
既に説明した装置1は、マイクロチップを各ステーションに対し相対的に工程の上流側から下流側へ連続的に予め定められた所定ピッチで周回させて繰返し測定対象物質の測定が行なわれるように構成されたものである。
【0099】
これに対して、臨床分析装置2(以下、単に装置2という)は、マイクロチップを各ステーションに対し相対的に工程の上流側から下流側へ予め定められた所定ピッチで1方向へ移動させて測定対象物質の測定が行なわれるように構成されたものである。
【0100】
より具体的には、装置2は、装置1から洗浄ステーション47、脱着ステーション56を取り除き、分注ステーション42の上流側にチップ供給ステーション72を、検出ステーション46の下流側にチップ廃棄ステーション74を付加したものである。
【0101】
この装置2では、臨床分析に使用された後にマイクロチップが廃棄される。すなわち、装置2では使い捨てのマイクロチップ100″を用いて臨床分析が行われる。
【0102】
また、装置2には、使い捨てのマイクロチップ100″を移動させるための搬送機構部として、上記使い捨てのマイクロチップ100″を1方向に移動させる1方向移動テーブル40´が配置されている。使い捨てのマイクロチップ100″の1方向への移動は上流側から下流側へ向かう1方向である。
【0103】
上記1方向移動テーブル40´は、分注ステーション42から検出ステーション46まで、使い捨てのマイクロチップ100″を、予め定められた所定のピッチで1方向に移動させる。
【0104】
このように装置2は装置1の構成に類似しているので上記装置1と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0105】
以下、臨床分析装置である装置2について説明する。
【0106】
分注ステーション42の下流側に配されたチップ供給ステーション72は、多数の使い捨てのマイクロチップ100″を保管しており、制御部11からの命令により、上記保管された使い捨てのマイクロチップ100″を分注ステーション42に供給するものである。
【0107】
検出ステーション46の後に配されたチップ廃棄ステーション74は、検出ステーション46において検出が終了した使い捨てのマイクロチップ100″を廃棄するものである。このチップ廃棄ステーション74は、制御部11からの命令により、検出が終了した使い捨てのマイクロチップ100″を検出ステーション46から取り出して廃棄する。
【0108】
また、装置2の備える温調部の一部である温調部76aは、使い捨てのマイクロチップ100″を、この使い捨てのマイクロチップ100″が分注ステーション42に配される前にその使い捨てのマイクロチップ100″のみを温調可能なものである。すなわち、温調部76aは、チップ供給ステーション72に配された使い捨てのマイクロチップ100″を温調可能なものである。
【0109】
また、装置2の備える他の温調部76bは、試薬およびサンプルが注入された状態の使い捨てのマイクロチップ100″の温調を、複数のステーション、ここでは分注ステーション42、導入ステーション44、および検出ステーション46についてまとめて行うものである。なお、温調部76bは、試薬およびサンプルが注入された状態の使い捨てのマイクロチップ100″の温調を、分注ステーション42、導入ステーション、および検出ステーション46それぞれについて個別に行うものとしてもよい。
【0110】
装置2の、その他の構成については装置1と同様である。
【0111】
装置2では、温調部76aおよび温調部76bを予め稼動させておき、チップ供給ステーション72から使い捨てのマイクロチップ100″を分注ステーション42へ供給し、その後、使い捨てのマイクロチップ100″を導入ステーション44、検出ステーション46へ順次移動させて検出ステーション46での検出を行う、その後、チップ廃棄ステーション74が、検出ステーション46での検出が終了したマイクロチップ100″を取り出して廃棄する。
【0112】
なお、この装置2における分注ステーション42、導入ステーション44、検出ステーション46、分注機構12、UI部13、制御部11、配置部8等の作用は、上記装置1における分注ステーション42、導入ステーション44、検出ステーション46、分注機構12、UI部13、制御部11、配置部8等の作用と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明の臨床分析装置に使用されるマイクロチップの一例を示し、(a)はマイクロチップの表面側から見た斜視図、(b)は裏面側から見た斜視図をそれぞれ示す。
【図2】図1のマイクロチップに形成されたマイクロ流路の一例を示す平面図
【図3】本発明の臨床分析装置の外観を示す斜視図
【図4】図3の臨床分析装置の測定部に、マイクロチップを配置した状態を示す拡大斜視図
【図5】配置部および測定部を模式的に示す臨床分析装置の要部概略平面図
【図6】試薬およびサンプルの注入された状態のマイクロチップが温調部上に配置された様子を示す斜視図
【図7】図6におけるマイクロチップを取り除いて温調部が最上部に見える状態を示す斜視図である。
【図8】図3の臨床分析装置の薬品洗浄ステーションの要部を示す拡大斜視図
【図9】ウェルの洗浄およびウェルに負圧をかけたときの概念を示す拡大断面図
【図10】図3の臨床分析装置の脱着ステーションでマイクロチップを交換する状態を示す部分拡大斜視図
【図11】他の臨床分析装置の実施の形態を示す図
【符号の説明】
【0114】
1 臨床分析装置
2 筐体
8 配置部
10 測定部
12 分注機構部
40 搬送機構部(回転テーブル)
42 分注ステーション
44 導入ステーション
46 検出ステーション
47 洗浄ステーション
48 薬品洗浄ステーション
50、52 水洗浄ステーション
54 残液吸引ステーション
56 脱着ステーション
100、100’ マイクロチップ
102、102’ ガラス板
110、110’ マイクロ流路
101’ 記録部〈無線タグ〉
200 基台部
201 温調部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ流路が形成されたマイクロチップを用い、前記マイクロ流路に試薬およびサンプルを導入し、該サンプルに含まれる測定対象物質を分析する臨床分析装置において、
筐体と、
該筐体に配置された、前記試薬およびサンプルを配置するための配置部と、
該配置部の前記試薬およびサンプルを前記マイクロチップに分注する分注機構部と、
前記マイクロチップが所定ピッチで配置される搬送機構部を有する、前記マイクロ流路に分注された前記サンプル中の前記測定対象物質を測定する測定部とを備え、
前記測定部には、前記分注機構部による前記マイクロチップへの前記試薬およびサンプルの分注が行われる分注ステーション、前記マイクロチップに分注されたサンプル中の測定対象物質を検出する検出ステーションが、この順に工程の上流側から下流側へ前記所定ピッチに対応するように配置されて、前記マイクロチップを前記各ステーションに対し相対的に前記工程の上流側から下流側へ予め定められた所定ピッチで移動させて前記測定対象物質の測定が行なわれるように前記臨床分析装置が構成されたものであり、
前記マイクロチップが前記検出ステーションに配される前に、前記試薬およびサンプルが注入された状態の前記マイクロチップを温調可能な温調部を備えていることを特徴とする臨床分析装置。
【請求項2】
前記温調部は、前記試薬およびサンプルが注入された状態の前記マイクロチップを、該マイクロチップが前記検出ステーションに配される前から前記検出ステーションでの前記測定対象物質の検出が終了するまでの間、温調可能なものであることを特徴とする請求項1記載の臨床分析装置。
【請求項3】
前記温調部は、前記試薬およびサンプルが注入された状態の前記マイクロチップを、該マイクロチップが前記分注ステーションに配されてから前記検出ステーションでの前記測定対象物質の検出が終了するまでの間、温調可能なものであることを特徴とする請求項1記載の臨床分析装置。
【請求項4】
前記温調部は、前記マイクロチップを、該マイクロチップが前記分注ステーションに配される前に前記マイクロチップのみを温調可能なものであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の臨床分析装置。
【請求項5】
前記温調部は、前記測定部において測定する測定内容に応じて前記マイクロチップの温調の目標温度を定めるものであることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の臨床分析装置。
【請求項6】
前記温調部は、前記試薬およびサンプルが注入された状態の前記マイクロチップの温調を、各ステーション毎に個別に行うものであることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の臨床分析装置。
【請求項7】
前記温調部は、前記試薬およびサンプルが注入された状態の前記マイクロチップの温調を、複数の前記ステーションについてまとめて行うものであることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の臨床分析装置。
【請求項8】
前記分注ステーションと前記検出ステーションの間に、前記マイクロチップの前記マイクロ流路に前記試薬およびサンプルを加圧および/または吸入して導入する導入ステーションが配置されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項記載の臨床分析装置。
【請求項9】
前記臨床分析装置は、前記マイクロチップを各ステーションに対し相対的に前記工程の上流側から下流側へ予め定められた所定ピッチで1方向へ移動させて測定対象物質の測定が行なわれるように構成されたものであることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項記載の臨床分析装置。
【請求項10】
前記臨床分析装置は、前記マイクロチップを各ステーションに対し相対的に前記工程の上流側から下流側へ連続的に予め定められた所定ピッチで周回させて繰返し前記測定対象物質の測定が行なわれるように構成されたものであることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項記載の臨床分析装置。
【請求項11】
前記マイクロチップを脱着する脱着ステーションが任意の位置に配置されていることを特徴とする請求項10記載の臨床分析装置。
【請求項12】
前記搬送機構部が、前記マイクロチップを配置する回転テーブルを有するものであることを特徴とする請求項10または11記載の臨床分析装置。
【請求項13】
前記各ステーションの数と前記回転テーブルに搭載される前記マイクロチップの数が同数であることを特徴とする請求項12記載の臨床分析装置。
【請求項14】
前記回転テーブルが1回転すると1つの前記マイクロチップの一連の動作が終了するように構成されたものであることを特徴とする請求項12または13記載の臨床分析装置。
【請求項15】
前記マイクロチップが、処理上の情報を記録する記録部を有するものであることを特徴とする請求項1から14のいずれか1項記載の臨床分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−249542(P2008−249542A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−92252(P2007−92252)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【出願人】(000252300)和光純薬工業株式会社 (105)
【Fターム(参考)】