臨床検体処理装置
【課題】装置の停止回数を減少させることが可能な臨床検体処理装置を提供する。
【解決手段】この臨床検体処理装置1は、血液検体の塗抹標本作製動作に伴って排出ピペット71aおよび供給ピペット71bの上昇動作を行うとともに、その上昇動作を正常に実行できなかったときに上昇動作を再度実行するリトライ動作可能な排出ピペット71aおよび供給ピペット71bを含む血液塗抹標本作製装置2と、血液塗抹標本作製装置2の排出ピペット71aおよび供給ピペット71bがリトライ動作(再上昇動作)を正常に実行できなかった場合に、排出ピペット71aおよび供給ピペット71bの上昇動作が異常状態にあることを示す異常情報をユーザに通知する表示操作部2bとを備えている。
【解決手段】この臨床検体処理装置1は、血液検体の塗抹標本作製動作に伴って排出ピペット71aおよび供給ピペット71bの上昇動作を行うとともに、その上昇動作を正常に実行できなかったときに上昇動作を再度実行するリトライ動作可能な排出ピペット71aおよび供給ピペット71bを含む血液塗抹標本作製装置2と、血液塗抹標本作製装置2の排出ピペット71aおよび供給ピペット71bがリトライ動作(再上昇動作)を正常に実行できなかった場合に、排出ピペット71aおよび供給ピペット71bの上昇動作が異常状態にあることを示す異常情報をユーザに通知する表示操作部2bとを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、臨床検体処理装置に関し、特に、検体処理動作に伴って所定の動作を行う機構部を備えた臨床検体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、臨床検体処理装置として、血液検体に対して塗抹標本を作製する塗抹標本作製装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。上記特許文献1には、スライドガラスへの血液の塗抹から染色工程までを複数の機構部を用いて自動的に行う自動標本作製装置が開示されている。この特許文献1に開示されたような従来の自動標本作製装置では、たとえば、染色部における染色処理の際に、染色液や洗浄液を吸引・排出するためのピペット(機構部)の上昇動作が何らかの原因により正常に行われなかった場合には、動作異常であると判断し、直ちに装置を停止するのが一般的である。
【特許文献1】特開平8−271390号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のように、機構部の動作異常の場合に直ちに装置を停止すると、装置の停止回数が多くなるため、迅速に血液検体に対して塗抹標本を作製するのが困難であった。また、装置の停止回数が増加すると、ユーザによる復帰操作の回数も増加するので、ユーザの負担が大きくなるということもある。
【0004】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、装置の停止回数を減少させることが可能な臨床検体処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0005】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面による臨床検体処理装置は、検体処理動作に伴って所定の動作を行うとともに、所定の動作を正常に実行できなかったときに所定の動作を再度実行するリトライ動作可能な機構部を含む装置本体と、装置本体の機構部がリトライ動作を正常に実行できなかった場合に、機構部の所定の動作が異常状態にあることを示す異常情報をユーザに通知する通知手段とを備えている。
【0006】
この一の局面による臨床検体処理装置では、上記のように、検体処理動作に伴う所定の動作を正常に実行できなかったときに所定の動作を再度実行するリトライ動作可能な機構部を含む装置本体を備えることによって、機構部のリトライ動作(2回目の所定の動作)により1回目の所定の動作が正常に実行できなかった原因を取り除くことができる場合があるので、その場合には、リトライ動作(2回目の所定の動作)を正常に実行することができる。これにより、臨床検体処理装置の検体処理動作を停止させることなく継続して行うことができるので、機構部の1回目の所定の動作が正常に行われなかったときに直ちに装置を停止させる場合に比べて、装置の停止回数を減少させることができる。その結果、迅速な検体処理を行うことができるとともに、ユーザの復帰処理の負担を軽減することができる。また、機構部がリトライ動作(2回目の所定の動作)を正常に実行できなかった場合に、機構部の所定の動作が異常状態にあることを示す異常情報をユーザに通知する通知手段を備えることによって、その通知手段により、ユーザは、リトライ動作(2回目の所定の動作)によっても正常に動作が行われなかったことを速やかに認識することができる。これにより、ユーザは、迅速に復帰処理などを行うことができる。
【0007】
この一の局面による臨床検体処理装置において、好ましくは、通知手段は、装置本体に設けられた表示部を含む。このように構成すれば、容易に、装置本体の表示部を用いて、異常情報をユーザに通知することができる。
【0008】
この場合、好ましくは、装置本体は、機構部のリトライ動作を制御するとともに、表示部に異常情報を表示させる制御部を含む。このように構成すれば、制御部および表示部を用いて、容易に、機構部の異常情報をユーザに通知することができる。
【0009】
上記一の局面による臨床検体処理装置において、好ましくは、臨床検体処理装置には、ネットワークを介して、外部に設置されたメンテナンス用管理装置が接続されており、異常情報を、ネットワークを介して、メンテナンス用管理装置に送信する送信手段をさらに備える。このように構成すれば、送信手段により、容易に、異常情報を外部に設置されたメンテナンス会社のメンテナンス用管理装置に送信することができる。
【0010】
上記送信手段を含む構成において、好ましくは、送信手段は、機構部がリトライ動作を実行したことを示すリトライ動作履歴情報を、ネットワークを介して、メンテナンス用管理装置に送信する。このように構成すれば、送信手段により、容易に、リトライ動作履歴情報を外部に設置されたメンテナンス会社のメンテナンス用管理装置に送信することができる。
【0011】
この場合、好ましくは、送信手段は、異常情報およびリトライ動作履歴情報の少なくとも一方を、電子メールを用いて、メンテナンス用管理装置に送信する。このように構成すれば、外部のメンテナンス用管理装置に対する異常情報やリトライ動作履歴情報の送信を、取扱いが容易な電子メールにより行うことができる。
【0012】
上記リトライ動作履歴情報を送信する送信手段を含む構成において、好ましくは、装置本体に接続され、装置本体の少なくとも異常情報およびリトライ動作履歴情報を収集するコンピュータをさらに備え、送信手段は、コンピュータに設けられている。このように構成すれば、コンピュータを用いて、容易に、装置本体の異常情報およびリトライ動作履歴情報を外部のメンテナンス会社のメンテナンス用管理装置に送信することができる。
【0013】
上記コンピュータを含む構成において、好ましくは、コンピュータに設けられた送信手段は、異常情報およびリトライ動作履歴情報を、所定のタイミングで、メンテナンス用管理装置に電子メールにより送信するとともに、異常情報の中の緊急を要する情報である緊急情報を、所定のタイミングを待たずに、ネットワークを介して、電子メールによりメンテナンス用管理装置に送信する。このように構成すれば、メンテナンス用管理装置が設置されるメンテナンス会社が臨床検体処理装置の緊急を要する緊急情報を直ちに知ることができるので、迅速なメンテナンスを行うことができる。
【0014】
この場合、好ましくは、コンピュータに設けられた送信手段は、異常情報およびリトライ動作履歴情報を、装置本体の起動時またはシャットダウン時に、メンテナンス用管理装置に電子メールにより送信する。このように構成すれば、臨床検体処理装置の異常情報およびリトライ動作履歴情報を定期的にメンテナンス用管理装置に送信することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態による臨床検体処理装置を示したブロック図である。図2は、図1に示した臨床検体処理装置の血液塗抹標本作製装置および搬送装置を示した斜視図であり、図3は、図2に示した血液塗抹標本作製装置の内部構造を示した平面図である。また、図4〜図7は、血液塗抹標本作製装置の染色部の第3吸引排出機構部の構造および動作を説明するための図であり、図8〜図11は、血液塗抹標本作製装置の保管部の送り込み機構部の構造および動作を説明するための図である。
【0017】
まず、図1および図2を参照して、第1実施形態による臨床検体処理装置1の全体構成について説明する。この臨床検体処理装置1は、図1に示すように、血液塗抹標本作製装置2と、搬送装置3とを備えている。
【0018】
ここで、本発明の第1実施形態による血液塗抹標本作製装置2は、血液検体の塗抹標本を作製するために設けられており、制御部2aと、タッチパネルからなる表示操作部2bとを含んでいる。なお、血液塗抹標本作製装置2は、本発明の「装置本体」の一例であり、表示操作部2bは、本発明の「通知手段」および「表示部」の一例である。この血液塗抹標本作製装置2の制御部2aは、血液塗抹標本作製装置2の通常の塗抹標本作製動作の制御を行う機能と、血液塗抹標本作製装置2の通常の塗抹標本作製動作に伴うリトライ動作および原点復帰動作の制御を行う機能と、血液塗抹標本作製装置2が異常(エラー)状態にあることを判断する機能と、血液塗抹標本作製装置2が異常(エラー)状態にあることを表示操作部2bに表示する機能とを有する。この制御部2aは、CPU、ROM、RAMなどからなる。また、表示操作部2bは、血液塗抹標本作製装置2が異常(エラー)状態にあることを示す異常情報をユーザに通知するために設けられている。
【0019】
また、搬送装置3は、図2に示すように、血液塗抹標本作製装置2の前面に設置されており、搬入部3aおよび取り出し部3bを有している。この搬送装置3は、血液が収容された試験管101を収納する検体ラック100を血液塗抹標本作製装置2に自動的に搬送するために設けられている。
【0020】
次に、図2〜図11を参照して、血液塗抹標本作製装置2および搬送装置3の全体構成について説明する。まず、図2に示すように、血液塗抹標本作製装置2には、制御部2aおよび表示操作部2bに加えて、血液が収容された試験管101を搬送装置3側から血液塗抹標本作製装置2側に搬送するためのハンド部材2cが設けられている。また、血液塗抹標本作製装置2は、図3に示すように、吸引分注機構部21と、塗抹部22と、樹脂製のカセット23と、カセット収容部24と、カセット搬送部25と、スライドガラス挿入部26と、染色部27と、保管部28とを備えている。
【0021】
吸引分注機構部21は、ハンド部材2c(図2参照)によって血液塗抹標本作製装置2側に搬送された試験管101から血液を吸引するとともに、吸引した血液をスライドガラス10に滴下する機能を有する。この吸引分注機構部21は、図3に示すように、試験管101から血液を吸引するためのピアサ(吸引針)21aと、吸引した血液をスライドガラス10に分注するための分注ピペット21bとを含んでいる。
【0022】
また、塗抹部22は、図3に示すように、スライドガラス10を分注・塗抹位置90に供給するとともに、スライドガラス10に滴下された血液を塗抹して乾燥し、かつ、スライドガラス10に印字を行うために設けられている。また、樹脂製のカセット23は、塗抹が施されたスライドガラス10および染色工程で用いる液体(染色液)を収容することが可能なように構成されている。このカセット23は、図3に示すように、スライドガラス収納孔23aと、染色液吸引分注孔23bとを含んでいる。スライドガラス収納孔23aと、染色液吸引分注孔23bとは、図4に示すように、内部で繋がっている。
【0023】
また、カセット収容部24は、図3に示すように、カセット23をカセット搬送部25に搬入するために設けられており、送りベルト24aを含んでいる。また、カセット搬送部25は、カセット収容部24から搬入されたカセット23をスライドガラス挿入部26および染色部27に搬送するために設けられている。このカセット搬送部25は、図3に示すように、水平方向に移動可能なカセット搬送部材25aと、カセット収容部24から供給されたカセット23を搬送するための搬送路25bとを含んでいる。また、スライドガラス挿入部26は、図3に示すように、塗抹および印字が施されたスライドガラス10をカセット23のスライドガラス収納孔23aに収納するために設けられている。
【0024】
また、染色部27は、カセット搬送部材25aにより搬送されたカセット23の染色液吸引分注孔23bに対して染色液の供給および排出を行うことにより、塗抹済みのスライドガラス10に染色処理を施すために設けられている。この染色部27は、図3に示すように、カセット搬送部材25aにより搬送されたカセット23を染色部27に送り込むための送り込み機構部27aと、送り込み機構部27aから送り込まれたカセット23を搬送するための送りベルト27bと、カセット23に対して染色液の供給および排出などを行うための第1〜第5吸引排出部27c〜27gと、カセット23を送りベルト27bから保管部28の搬送ベルト28b側へ送り出すための送り出し機構部27hとを含んでいる。なお、染色部27の送り込み機構部27aは、後述する保管部28の送り込み機構部28aと同様の構造を有している。
【0025】
ここで、図4〜図7を参照して、染色部27の第1吸引排出部27c〜第5吸引排出部27gのうち、第3吸引排出部27eを例にとって、その構造について説明する。第3吸引排出部27eは、図4〜図7に示すように、カセット23内の染色液の吸引および排出を行う排出ピペット71aと、カセット23内に染色液の供給を行う供給ピペット71bと、排出ピペット71aおよび供給ピペット71bを支持するピペット支持部材72と、ピペット支持部材72が直動ガイド73を介して取り付けられるフレーム74と、垂直方向に所定の間隔を隔ててフレーム74に取り付けられた一対のプーリ75aおよび75bと、一対のプーリ75aおよび75bに装着される駆動ベルト76と、駆動ベルト76とピペット支持部材72とを連結するための連結部材77と、プーリ75bを回転駆動するためのパルスモータ78(図5および図7参照)とを含んでいる。なお、排出ピペット71aおよび供給ピペット71bは、本発明の「機構部」の一例である。
【0026】
また、図5および図7に示すように、駆動ベルト76とピペット支持部材72とを連結するための連結部材77には、フレーム74の背面側に延びるように、ピペット支持部材72の上端位置および下端位置を検出するための検出片77aが一体的に設けられている。また、フレーム74の背面側には、検出片77aが上端位置に到達したことを検出する光透過型の上部センサ79aと、検出片77aが下端位置に到達したことを検出する光透過型の下部センサ79bとが取り付けられている。第3吸引排出部27eは、排出ピペット71aおよび供給ピペット71bを下方向に移動させた後、カセット23に対して染色液の吸引排出および供給を行うように構成されている。
【0027】
また、保管部28は、染色部27により染色されたスライドガラス10が収納されたカセット23を保管するために設けられている。この保管部28には、図3に示すように、染色部27の送り出し機構部27hにより送りベルト27bから送り出されたカセット23を保管部28の搬送ベルト28bに送り込むための送り込み機構部28aと、送り込み機構部28aから送り込まれたカセット23を搬送するための搬送ベルト28bとが設けられている。
【0028】
ここで、図8〜図11を参照して、保管部28の送り込み機構部28aの構造について説明する。送り込み機構部28aは、図8に示すように、揺動部材81と、揺動部材81を支持する支持軸82と、揺動部材81を支持軸82に取り付けるための取付部材83と、支持軸82の一方端に取り付けられたプーリ84aと、プーリ84aと所定の間隔を隔てて設けられたプーリ84bと、一対のプーリ84aおよび84bに装着される駆動ベルト85と、プーリ84bを回転駆動するためのパルスモータ86と、支持軸82およびパルスモータ86が取り付けられたフレーム87とを含んでいる。なお、揺動部材81は、本発明の「機構部」の一例である。
【0029】
揺動部材81は、図9〜図11に示すように、揺動しながらカセット23の背面を押圧するために設けられている。この揺動部材81には、図8に示すように、カセット23の背面上部を押圧する押圧部81aと、揺動部材81が原点位置(非揺動位置)にあることを検出するための検出片81bとが一体的に設けられている。また、フレーム87には、図8に示すように、揺動部材81の検出片81bを検出するための光透過型のセンサ88と、送り込み機構部28aによりカセット23(図9参照)が搬送ベルト28b上に正常に送り込まれたか否かを検知するための光反射型のセンサ89とが取り付けられている。また、フレーム87には、図8に示すように、揺動部材81が揺動して搬送ベルト28b側に突出するための開口部87aと、光反射型のセンサ89の光が通過するための開口部87bとが設けられている。
【0030】
次に、図1〜図13を参照して、第1実施形態による臨床検体処理装置1の動作について説明する。まず、検体の提供者(患者)のカルテ情報が、図示しないホストコンピュータに入力される。そして、図1および図2に示した血液塗抹標本作製装置2は、ホストコンピュータの情報に従って、搬送装置3により搬送される検体ラック100に載置された試験管101から血液検体を採取して血液塗抹標本を作製する。
【0031】
血液塗抹標本作製装置2により血液検体の塗抹標本を作製する際には、まず、吸引分注動作として、図2に示すように、血液塗抹標本作製装置2のハンド部材2cが、搬送装置3の搬入部3aから取り出し部3bに搬送された検体ラック100の試験管101を持ち上げて攪拌した後、図3に示す吸引分注機構部21に試験管101を配置する。そして、ピアサ21aにより試験管101内の血液を吸引する。血液の吸引動作を終了した後、分注ピペット21bを図3に示した分注・塗抹位置90に移動させて、分注ピペット21bからスライドガラス10に血液を滴下(分注)する。
【0032】
上記した吸引分注機構部21による吸引分注動作と並行して、または、吸引分注動作の後、塗抹部22による塗抹動作が行われる。この塗抹部22では、スライドガラス10を分注・塗抹位置90(図3参照)に供給するとともに、スライドガラス10に滴下された血液を塗抹して乾燥する。そして、スライドガラス10に血液検体の情報の印字を行った後、印字後のスライドガラス10を、スライドガラス挿入部26側に移動する。
【0033】
次に、図3に示したカセット収容部24にセットされたカセット23が送りベルト24aによってカセット搬送部25の搬送路25bに送り込まれる。そして、カセット23は、カセット搬送部25のカセット搬送部材25aによってスライドガラス挿入部26へ搬送される。そして、スライドガラス挿入部26によるカセット23へのスライドガラス10の挿入動作が行われた後、塗抹済みのスライドガラス10が収納されたカセット23が、カセット搬送部材25aにより染色部27に搬送される。
【0034】
第1実施形態による染色部27では、まず、カセット搬送部材25aにより搬送されたカセット23が送り込み機構部27aにより送りベルト27b上に送り込まれ、送りベルト27bにより搬送される。そして、第1吸引排出部27c〜第5吸引排出部27gにおいて、染色液や洗浄用の水を、順次、カセット23の染色液吸引分注孔23bに対して分注および吸引排出することにより、カセット23の塗抹済みのスライドガラス10に染色処理を施す。なお、送り込み機構部27aによるカセット23の送り込み動作の詳細は、後述する保管部28の送り込み機構部28aによるカセット23の送り込み動作と同様である。
【0035】
ここで、図4〜図7を参照して、上記した第1吸引排出部27c〜第5吸引排出部27gの動作のうち、第3吸引排出部27eの動作において、ピペット支持部材72に取り付けられた排出ピペット71aおよび供給ピペット71bの下降動作および上昇動作について説明する。まず、図4および図5に示す状態から、制御部2aからパルス信号をパルスモータ78に与えることにより、パルスモータ78を所定の方向に回転駆動させる。これにより、パルスモータ78の駆動力がプーリ75bおよび駆動ベルト76を介して連結部材77に伝達され、連結部材77およびピペット支持部材72が下方(図4および図5の矢印A方向)へ移動される。このとき、排出ピペット71aおよび供給ピペット71bは、ピペット支持部材72とともに下方に移動しながら、カセット23の染色液吸引分注孔23bからカセット23内に挿入される。そして、パルスモータ78に与えられる制御部2aからのパルス信号が規定パルス数に達するとパルスモータ78の駆動が停止し、図6および図7に示すように、連結部材77の検出片77aが下部センサ79bによって検出されることにより、排出ピペット71aおよび供給ピペット71bが下方位置にあることが確認される。これによって、ピペット支持部材72に取り付けられた排出ピペット71aおよび供給ピペット71bの下降動作が終了する。
【0036】
その後、排出ピペット71aによって、カセット23内の染色液が吸引されて排出された後、供給ピペット71bによって、カセット23内に別の染色液が供給される。次に、制御部2aからパルスモータ78にパルス信号を与えることにより、パルスモータ78を上記した所定の方向とは反対の方向に回転駆動させることによって、図6および図7に示す状態から、ピペット支持部材72を上方(図6および図7の矢印B方向)に移動させる。これにより、排出ピペット71aおよび供給ピペット71bがカセット23内から取り出される。そして、図4および図5に示すように、連結部材77の検出片77aが上部センサ79aによって検出されることにより、パルスモータ78の駆動が停止する。これによって、ピペット支持部材72に取り付けられた排出ピペット71aおよび供給ピペット71bの上昇動作が終了する。なお、この排出ピペット71aおよび供給ピペット71bの下降動作および上昇動作は、血液塗抹標本作製装置2の制御部2aによって制御される。
【0037】
ここで、第1実施形態では、排出ピペット71aおよび供給ピペット71bの上昇動作が正常に行われなかった場合に、もう一度同じ上昇動作を繰り返すリトライ動作を行う。以下、このリトライ動作を、図12に示したフローチャートを参照して詳細に説明する。なお、以下のリトライ動作は、血液塗抹標本作製装置2の制御部2aにより制御される。まず、ステップS1において、制御部2aからパルスモータ78にパルス信号を与えることにより、排出ピペット71aおよび供給ピペット71bの上昇動作を行う。その後、ステップS2において、排出ピペット71aおよび供給ピペット71bの上昇動作の開始から第1所定時間(約1.7秒)後に上部センサ79aがオン状態になっているか否かが判断される。そして、ステップS2において、上昇動作の開始から第1所定時間(約1.7秒)後に上部センサ79aがオン状態になっていると判断された場合には、そのまま塗抹標本作製動作を継続する。
【0038】
一方、ステップS2において、上昇動作の開始から第1所定時間(約1.7秒)後に上部センサ79aがオン状態になっていないと判断された場合には、ステップS3において、再度、排出ピペット71aおよび供給ピペット71bの上昇動作(リトライ動作)を行う。具体的には、制御部2aからパルスモータ78に再度パルス信号を与えることにより、排出ピペット71aおよび供給ピペット71bの再上昇動作を行う。その後、ステップS4において、再上昇動作(リトライ動作)の開始から第1所定時間(約1.7秒)後に上部センサ79aがオン状態になっているか否かが判断される。そして、ステップS4において、再上昇動作(リトライ動作)の開始から第1所定時間(約1.7秒)後に上部センサ79aがオン状態になっていると判断された場合には、そのまま塗抹標本作製動作を継続する。ここで、第1実施形態では、ステップS4において、再上昇動作(リトライ動作)の開始から第1所定時間(約1.7秒)後に上部センサ79aがオン状態になっていないと判断された場合には、ステップS5において、排出ピペット71aおよび供給ピペット71bの上昇動作が異常(エラー)状態にあると判断されて血液塗抹標本作製装置2の表示操作部2bに、排出ピペット71aおよび供給ピペット71bの上昇動作のエラー表示が行われる。
【0039】
その後、染色済みのスライドガラス10が収納されたカセット23は、図3に示した送り出し機構部27hにより、送りベルト27bから保管部28の搬送ベルト28b側へ順次送り出される。そして、保管部28の送り込み機構部28aにより、カセット23を保管部28の搬送ベルト28bに送り込む。
【0040】
ここで、図8〜図11を参照して、送り込み機構部28aの揺動部材81によるカセット23の搬送ベルト28bへの送り込み動作について説明する。まず、図8および図9に示す状態から、制御部2aからパルスモータ86にパルス信号を与えることにより、パルスモータ86を図8の矢印C方向に回転させる。これにより、パルスモータ86の駆動力がプーリ84b、駆動ベルト85およびプーリ84aを介して支持軸82に伝達される。このため、支持軸82が図8および図9の矢印D方向に回動されるので、支持軸82に取り付けられた揺動部材81が図9の矢印E方向に回動される。これにより、図10に示すように、揺動部材81の上部の揺動片81aがカセット3の背面上部を押圧する。この揺動部材81の揺動片81aによる押圧動作により、カセット23は、図11に示すように、搬送ベルト28b側に移動されて搬送ベルト28bに載せられる。このとき、フレーム87に取り付けられた光反射型のセンサ89により、カセット23が搬送ベルト28b上に正常に移動されたか否かを検知している。その後、パルスモータ86を図8の矢印C方向とは反対の方向に回転させることにより、支持軸82が図10および図11の矢印F方向に回動される。これにより、支持軸82に取り付けられた揺動部材81が図10および図11の矢印G方向に回動される。そして、図8および図9に示すように、揺動部材81の検出片81bがセンサ88によって検出されることにより、パルスモータ86の回転が停止される。これによって、揺動部材81が原点位置に戻り、送り込み機構部28aの揺動部材81によるカセット23の送り込み動作が終了する。なお、この送り込み機構部28aの揺動部材81によるカセット23の搬送ベルト28bへの送り込み動作は、血液塗抹標本作製装置2の制御部2aによって制御される。
【0041】
ここで、第1実施形態では、送り込み機構部28aの揺動部材81によるカセット23の搬送ベルト28bへの送り込み動作が正常に行われなかった場合に、もう一度同じ送り込み動作を繰り返すリトライ動作を行う。以下、この送り込み機構部28aでのリトライ動作を、図13に示したフローチャートを参照して詳細に説明する。なお、以下のリトライ動作は、血液塗抹標本作製装置2の制御部2aにより行われる。まず、ステップS11において、制御部2aからパルスモータ86にパルス信号を与えることにより、揺動部材81によるカセット23の搬送ベルト28bへの送り込み動作を行う。そして、ステップS12において、カセット23が搬送ベルト28bへ送り込まれたか否かが判断される。そして、ステップS12において、カセット23が搬送ベルト28bへ送り込まれたと判断された場合には、ステップS13において、カセット23の送り込み動作の開始から第1所定時間(約4.5秒)後にセンサ88が揺動部材81の検出片81bを検出することによりオン状態になっているか否かが判断される。そして、ステップS13において、カセット23の送り込み動作の開始から第1所定時間(約4.5秒)後にセンサ88がオン状態になっていると判断された場合には、そのまま塗抹標本作製動作を継続する。一方、ステップS13において、カセット23の送り込み動作の開始から第1所定時間(約4.5秒)後にセンサ88がオン状態になっていないと判断された場合には、ステップS14において、制御部2aからパルスモータ86にパルス信号を与えることにより、揺動部材81の原点位置への復帰動作を行う。そして、ステップS15において、揺動部材81の原点復帰動作の開始から第2所定時間(約4.5秒)後にセンサ88が揺動部材81の検出片81bを検出することによりオン状態になっているか否かが判断される。そして、ステップS15において、揺動部材81の原点復帰動作の開始から第2所定時間(約4.5秒)後にセンサ88がオン状態になっていると判断された場合には、そのまま塗抹標本作製動作を継続する。また、ステップS15において、揺動部材81の原点復帰動作の開始から第2所定時間(約4.5秒)後にセンサ88がオン状態になっていないと判断された場合は、リトライ動作を行うことなく、ステップS22において、揺動部材81によるカセット23の送り込み動作が異常(エラー)状態にあると判断されて血液塗抹標本作製装置2の表示操作部2bに、揺動部材81によるカセット23の送り込み動作のエラー表示が行われる。
【0042】
一方、ステップS12において、カセット23が搬送ベルト28bへ送り込まれていないと判断された場合には、ステップS16において、カセット23の送り込み動作の開始から第1所定時間(約4.5秒)後にセンサ88がオン状態になっているか否かが判断される。そして、ステップS16において、カセット23の送り込み動作の開始から第1所定時間(約4.5秒)後にセンサ88がオン状態になっていると判断された場合は、ステップS19に進み、再度、揺動部材81によるカセット23の搬送ベルト28bへの送り込み動作(リトライ動作)が行われる。具体的には、制御部2aからパルスモータ86に再度パルス信号を与えることにより、揺動部材81によるリトライ動作を行う。そして、ステップS16において、カセット23の送り込み動作の開始から第1所定時間(約4.5秒)後にセンサ88がオン状態になっていないと判断された場合には、ステップS17において、制御部2aからパルスモータ86にパルス信号を与えることにより、揺動部材81の原点位置への復帰動作を行う。そして、ステップS18において、揺動部材81の原点復帰動作の開始から第2所定時間(約4.5秒)後にセンサ88がオン状態になっているか否かが判断される。そして、ステップS18において、揺動部材81の原点復帰動作の開始から第2所定時間(約4.5秒)後にセンサ88がオン状態になっていないと判断された場合には、ステップS22に進み、エラー表示が行われる。また、ステップS18において、揺動部材81の原点復帰動作の開始から第2所定時間(約4.5秒)後にセンサ88がオン状態になっていると判断された場合には、ステップS19において、リトライ動作を行う。
【0043】
その後、ステップS20において、カセット23が搬送ベルト28b上に送り込まれたか否かが判断される。ここで、第1実施形態では、ステップS20において、カセット23が搬送ベルト28b上に送り込まれていないと判断された場合には、ステップS22に進み、エラー表示が行われる。また、ステップS20において、カセット23が搬送ベルト28b上に送り込まれたと判断された場合には、ステップS21において、カセット23の再送り込み動作(リトライ動作)の開始から第1所定時間(約4.5秒)後にセンサ88がオン状態になっているか否かが判断される。そして、ステップS21において、カセット23の再送り込み動作(リトライ動作)の開始から第1所定時間(約4.5秒)後にセンサ88がオン状態になっていると判断された場合には、そのまま塗抹標本作製動作を継続する。一方、ステップS21において、カセット23の再送り込み動作(リトライ動作)の開始から第1所定時間(約4.5秒)後にセンサ88がオン状態になっていないと判断された場合には、ステップS22に進み、エラー表示が行われる。
【0044】
その後、送り込み機構部28aから送り込まれたカセット23は、搬送ベルト28bにより保管部28に搬送されて保管される。
【0045】
第1実施形態では、上記のように、排出ピペット71aおよび供給ピペット71bの上昇動作およびカセット23の搬送ベルト28bへの送り込み動作を正常に実行できなかったときにそれらの動作を再度実行するリトライ動作を行うことによって、リトライ動作により1回目の動作が正常に実行できなかった原因を取り除くことができる場合があるので、その場合には、リトライ動作を正常に実行することができる。これにより、臨床検体処理装置1の血液塗抹標本作製装置2の塗抹標本作製動作を停止させることなく継続して行うことができるので、1回目の動作が正常に行われなかったときに直ちに装置を停止させる場合に比べて、装置の停止回数を減少させることができる。その結果、迅速な検体処理を行うことができるとともに、ユーザの復帰処理の負担を軽減することができる。また、リトライ動作を正常に実行できなかった場合に、その動作が異常状態にあることを表示する表示操作部2bを設けることによって、ユーザは、リトライ動作によっても正常に動作が行われなかったことを速やかに認識することができる。これにより、ユーザは、迅速に復帰処理などを行うことができる。
【0046】
(第2実施形態)
図14は、本発明の第2実施形態による臨床検体処理装置および外部のメンテナンス用管理装置を示したブロック図である。ここで、図14を参照して、本発明の第2実施形態による臨床検体処理装置11は、上記第1実施形態と異なり、臨床検体処理装置11の血液塗抹標本作製装置12にパーソナルコンピュータ(パソコン)14が接続された構成を有する。なお、血液塗抹標本作製装置12は、本発明の「装置本体」の一例であり、パソコン14は、本発明の「コンピュータ」の一例である。このパソコン14は、ネットワークを介して、外部のメンテナンス会社に設置されたメンテナンス用管理装置(サーバ)15に接続されている。なお、ネットワークとしては、電話回線などの専用のネットワーク、インターネット、イントラネット、LANなどのネットワークを用いることが可能である。
【0047】
また、第2実施形態の血液塗抹標本作製装置12および搬送装置13の構造は、血液塗抹標本作製装置12が制御部12aおよびタッチパネルからなる表示操作部12bを含むとともに、血液塗抹標本作製装置12の制御部12aが血液塗抹標本作製装置12の履歴情報(エラー情報および動作履歴情報)をパソコン14に送信する機能を有すること以外、上記第1実施形態と同様である。なお、表示操作部12bは、本発明の「通知手段」および「表示部」の一例である。
【0048】
また、パソコン14は、制御部14aと、メモリ14bとを含んでいる。この制御部14aは、血液塗抹標本作製装置12の制御部12aにより送信されたエラー情報が緊急を要する緊急情報であるか否かを判断する機能と、血液塗抹標本作製装置12の履歴情報(エラー履歴情報および動作履歴情報)および緊急情報(エラー情報のうちの緊急を要する情報)をメンテナンス用管理装置(サーバ)15に送信する機能とを有する。また、メモリ14bは、血液塗抹標本作製装置12のエラー履歴情報および動作履歴情報を保存する機能を有する。なお、制御部14aは、本発明の「送信手段」の一例である。このパソコン14の制御部14aは、CPU、ROM、RAMなどからなる。また、パソコン14の制御部14aには、電子メールの送受信および加工を行うプログラムが格納されている。
【0049】
図15は、図14に示した第2実施形態による臨床検体処理装置における血液塗抹標本作製装置の制御部およびパソコンの制御部による情報送信動作を説明するためのフローチャートである。ここで、図14および図15を参照して、本発明の第2実施形態による臨床検体処理装置11の動作について説明する。この第2実施形態による臨床検体処理装置11の動作では、血液塗抹標本作製装置12のエラー情報を表示操作部12bに表示するとともに、血液塗抹標本作製装置12の履歴情報(エラー情報および動作履歴情報)をパソコン14に送信する。また、パソコン14の制御部14aは、血液塗抹標本作製装置12の履歴情報(エラー履歴情報および動作履歴情報)と、緊急情報(エラー情報のうちの緊急を要する情報)とをメンテナンス用管理装置(サーバ)15に送信する。
【0050】
以下、血液塗抹標本作製装置12の制御部12aおよびパソコン14の制御部14aによる情報送信動作について、図15に示したフローチャートを参照して詳細に説明する。まず、ステップS31において、血液塗抹標本作製装置12の所定部分の動作が各動作毎に予め設定された第1所定時間内に終了しなかったと認識されると、ステップS32において、その所定部分の動作がリトライ項目に属しているか否かが判断される。なお、第2実施形態において、リトライ項目に属する動作とは、たとえば、上記第1実施形態で説明した排出ピペット71aおよび供給ピペット71bの上昇動作や、保管部28の送り込み機構部28aによるカセット23の送り込み動作のことである。そして、ステップS32において、所定部分の動作がリトライ項目に属していると判断された場合には、ステップS33において、所定部分に自動的にリトライ動作を実行させる。そして、ステップS34において、所定部分のリトライ動作が第1所定時間内に終了したか否かが判断される。
【0051】
ここで、この第2実施形態では、ステップS34において、所定部分のリトライ動作が第1所定時間内に終了しなかったと判断された場合には、ステップS35において、血液塗抹標本作製装置12の表示操作部12bにエラー表示が行われるとともに、エラー情報が血液塗抹標本作製装置12からパソコン14に送信される。また、ステップS32において、所定部分の動作がリトライ項目に属していないと判断された場合にも、ステップS35に進み、上記エラー表示およびエラー情報のパソコン14への送信が行われる。以上のステップS31〜S35の処理は、血液塗抹標本作製装置12の制御部12aにより行われる。
【0052】
そして、ステップS36において、パソコン14の制御部14aにより、所定部分の動作のエラー情報が緊急メール送信項目に属しているか否かが判断される。そして、ステップS36において、所定部分の動作のエラー情報が緊急メール送信項目に属していると判断された場合には、ステップS37において、所定部分の動作のエラー履歴情報および動作履歴情報がパソコン14のメモリ14bに保存されるとともに、パソコン14の制御部14aにより、緊急エラーメール(電子メール)がメンテナンス用管理装置(サーバ)15に送信される。なお、第2実施形態において、緊急メール送信項目に属する動作とは、たとえば、上記第1実施形態で説明した保管部28の送り込み機構部28aによるカセット23の送り込み動作のことである。一方、ステップS36において、所定部分の動作のエラー情報が緊急メール送信項目に属していないと判断された場合には、ステップS38において、所定部分の動作のエラー履歴情報がパソコン14のメモリ14bに保存される。なお、第2実施形態において、緊急メール送信項目に属さない動作とは、たとえば、上記第1実施形態で説明した排出ピペット71aおよび供給ピペット71bの上昇動作のことである。また、ステップS34において、所定部分のリトライ動作が第1所定時間内に終了したと判断された場合には、ステップS39において、血液塗抹標本作製装置12の制御部12aにより、所定部分の動作履歴(リトライ動作履歴および原点復帰動作履歴)情報がパソコン14に送信されるとともに、パソコン14側では、その動作履歴(リトライ動作履歴および原点復帰動作履歴)情報がメモリ14bに保存される。この場合、血液塗抹標本作製装置12は、自動的に動作を継続する。そして、ステップS40において、血液塗抹標本作製装置12のシャットダウン時に、パソコン14のメモリ14bに保存されている履歴情報(動作履歴情報およびエラー履歴情報)が、パソコン14の制御部14aにより、電子メールを用いてメンテナンス用管理装置(サーバ)15に送信される。
【0053】
第2実施形態では、上記のように、リトライ動作(送り込み機構部28aの揺動部材81によるカセット23の再送り込み動作、または、排出ピペット71aおよび供給ピペット71bの再上昇動作)後にエラーと判断された場合に、表示操作部12bにエラー情報の表示が行われることによって、ユーザは、リトライ動作後のエラー(異常)を直ちに認識することができる。
【0054】
また、第2実施形態では、リトライ動作後にエラーと判断されたエラー情報のうち、緊急を要するエラー履歴情報を直ちにネットワークを介してメンテナンス用管理装置(サーバ)15に送信することによって、メンテナンス用管理装置(サーバ)15が設置されるメンテナンス会社がその異常を直ちに知ることができるので、緊急を要する異常に対して迅速なメンテナンスを行うことができる。また、リトライ動作後にエラーと判断されたエラー情報のうち、緊急を要しないエラー履歴情報(排出ピペット71aおよび供給ピペット71bの上昇動作のエラー履歴情報)と、動作履歴(リトライ動作履歴および原点復帰動作履歴)情報とを血液塗抹標本作製装置12のシャットダウン時に、メンテナンス用管理装置(サーバ)15に送信することによって、血液塗抹標本作製装置12の履歴情報を定期的にメンテナンス用管理装置(サーバ)15に送信することができる。
【0055】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0056】
たとえば、上記実施形態では、本発明を、血液塗抹標本作製装置を含む臨床検体処理装置に適用した例について説明したが、本発明はこれに限らず、他の臨床検体処理装置にも適用可能である。たとえば、血液検体に対して、血球数、ヘマトクリットまたはヘモグロビンなどを分析する血球分析装置(血液分析装置)、感染症や癌マーカーの抗原または抗体の濃度を求める免疫測定装置、血清や血漿検体に対して、凝固機能を検査する血液凝固測定装置、血清総蛋白量や臓器機能の指標である酵素活性を測定する生化学分析装置、尿検体に対して、蛋白質、糖、赤血球の有無を判定する尿定性装置、または、赤血球、白血球、上皮細胞、円柱、細菌を定量する尿沈渣検査装置などの臨床検体処理装置にも適用可能である。
【0057】
また、上記実施形態では、保管部の送り込み機構部の揺動部材によるカセットの送り込み動作と、染色部の第3吸引排出部の排出ピペットおよび供給ピペットの上昇動作とについてリトライ動作を行う例を示したが、本発明はこれに限らず、血液塗抹標本作製装置の他の作動部材による動作についてリトライ動作を行うようにしてもよい。たとえば、染色部の第3吸引排出部以外の吸引排出部の排出ピペットおよび供給ピペットの上昇動作および下降動作や、染色部の送り込み機構部の揺動部材によるカセットの送り込み動作についてリトライ動作を行うようにしてもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、リトライ動作後の異常情報をユーザに通知する本発明の通知手段として、表示操作部を用いた例を示したが、本発明はこれに限らず、表示操作部に代えて、音を発するスピーカや光を発する点滅光源などの通知手段を用いてもよい。
【0059】
また、上記第2実施形態では、リトライ動作後にエラーと判断されたエラー情報のうち、緊急を要しないエラー履歴情報と、動作履歴(リトライ動作履歴および原点復帰動作履歴)情報とを血液塗抹標本作製装置のシャットダウン時に、メンテナンス用管理装置(サーバ)に送信する例を示したが、本発明はこれに限らず、緊急を要しないエラー履歴情報および動作履歴情報を血液塗抹標本作製装置の起動時に、メンテナンス用管理装置(サーバ)に送信してもよい。
【0060】
また、上記第2実施形態では、排出ピペットおよび供給ピペットの上昇動作のエラー情報を、緊急エラーメール送信項目に属さないエラー履歴情報としてパソコンのメモリに保存する例を示したが、本発明はこれに限らず、排出ピペットおよび供給ピペットの上昇動作のエラー情報を、緊急エラーメール送信項目に属するエラー履歴情報としてパソコンの制御部により、メンテナンス用管理装置(サーバ)に送信してもよい。
【0061】
また、上記第2実施形態では、緊急情報(緊急エラーメール)をメンテナンス会社のメンテナンス用管理装置(サーバ)に送信するようにしたが、本発明はこれに限らず、緊急情報(緊急エラーメール)をメンテナンス会社のサービスマンの携帯電話やノートパソコンなどに送信するようにしてもよい。この場合は、メンテナンス会社のサービスマンの携帯電話やノートパソコンが、本発明の「メンテナンス用管理装置」に相当する。
【0062】
また、上記第2実施形態では、電子メールを用いて、履歴情報および緊急情報をメンテナンス用管理装置(サーバ)に送信するようにしたが、本発明はこれに限らず、電子メール以外のデータ通信手法により、履歴情報および緊急情報をメンテナンス用管理装置(サーバ)に送信するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の第1実施形態による臨床検体処理装置を示したブロック図である。
【図2】図1に示した第1実施形態による臨床検体処理装置の血液塗抹標本作製装置および搬送装置を示した斜視図である。
【図3】図2に示した血液塗抹標本作製装置の内部構造を示した平面図である。
【図4】図3に示した血液塗抹標本作製装置の染色部の第3吸引排出部を示した平面図である。
【図5】図4に示した染色部の第3吸引排出部の左側面図である。
【図6】図4に示した染色部の第3吸引排出部におけるピペット支持部材が下降した状態を示した平面図である。
【図7】図6に示した染色部の第3吸引排出部の左側面図である。
【図8】図3に示した血液塗抹標本作製装置の保管部の送り込み機構部を示した斜視図である。
【図9】図8に示した保管部の送り込み機構部の動作を説明するための図である。
【図10】図8に示した保管部の送り込み機構部の動作を説明するための図である。
【図11】図8に示した保管部の送り込み機構部の動作を説明するための図である。
【図12】図4に示した染色部のピペット支持部材に取り付けられた排出ピペットおよび供給ピペットの上昇動作における自動リトライを説明するためのフローチャートである。
【図13】図8に示した保管部の送り込み機構部の揺動部材によるカセットの送り込み動作における自動リトライを説明するためのフローチャートである。
【図14】本発明の第2実施形態による臨床検体処理装置および外部のメンテナンス用管理装置を示したブロック図である。
【図15】図14に示した第2実施形態による臨床検体処理装置における血液塗抹標本作製装置の制御部およびパソコンの制御部による情報送信動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0064】
1、11 臨床検体処理装置
2、12 血液塗抹標本作製装置(装置本体)
2a、12a 制御部
2b、12b 表示操作部(表示部、通知手段)
14 パソコン(コンピュータ)
14a 制御部(送信手段)
15 メンテナンス用管理装置(サーバ)
71a 排出ピペット(機構部)
71b 供給ピペット(機構部)
81 揺動部材(機構部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、臨床検体処理装置に関し、特に、検体処理動作に伴って所定の動作を行う機構部を備えた臨床検体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、臨床検体処理装置として、血液検体に対して塗抹標本を作製する塗抹標本作製装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。上記特許文献1には、スライドガラスへの血液の塗抹から染色工程までを複数の機構部を用いて自動的に行う自動標本作製装置が開示されている。この特許文献1に開示されたような従来の自動標本作製装置では、たとえば、染色部における染色処理の際に、染色液や洗浄液を吸引・排出するためのピペット(機構部)の上昇動作が何らかの原因により正常に行われなかった場合には、動作異常であると判断し、直ちに装置を停止するのが一般的である。
【特許文献1】特開平8−271390号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のように、機構部の動作異常の場合に直ちに装置を停止すると、装置の停止回数が多くなるため、迅速に血液検体に対して塗抹標本を作製するのが困難であった。また、装置の停止回数が増加すると、ユーザによる復帰操作の回数も増加するので、ユーザの負担が大きくなるということもある。
【0004】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、装置の停止回数を減少させることが可能な臨床検体処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0005】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面による臨床検体処理装置は、検体処理動作に伴って所定の動作を行うとともに、所定の動作を正常に実行できなかったときに所定の動作を再度実行するリトライ動作可能な機構部を含む装置本体と、装置本体の機構部がリトライ動作を正常に実行できなかった場合に、機構部の所定の動作が異常状態にあることを示す異常情報をユーザに通知する通知手段とを備えている。
【0006】
この一の局面による臨床検体処理装置では、上記のように、検体処理動作に伴う所定の動作を正常に実行できなかったときに所定の動作を再度実行するリトライ動作可能な機構部を含む装置本体を備えることによって、機構部のリトライ動作(2回目の所定の動作)により1回目の所定の動作が正常に実行できなかった原因を取り除くことができる場合があるので、その場合には、リトライ動作(2回目の所定の動作)を正常に実行することができる。これにより、臨床検体処理装置の検体処理動作を停止させることなく継続して行うことができるので、機構部の1回目の所定の動作が正常に行われなかったときに直ちに装置を停止させる場合に比べて、装置の停止回数を減少させることができる。その結果、迅速な検体処理を行うことができるとともに、ユーザの復帰処理の負担を軽減することができる。また、機構部がリトライ動作(2回目の所定の動作)を正常に実行できなかった場合に、機構部の所定の動作が異常状態にあることを示す異常情報をユーザに通知する通知手段を備えることによって、その通知手段により、ユーザは、リトライ動作(2回目の所定の動作)によっても正常に動作が行われなかったことを速やかに認識することができる。これにより、ユーザは、迅速に復帰処理などを行うことができる。
【0007】
この一の局面による臨床検体処理装置において、好ましくは、通知手段は、装置本体に設けられた表示部を含む。このように構成すれば、容易に、装置本体の表示部を用いて、異常情報をユーザに通知することができる。
【0008】
この場合、好ましくは、装置本体は、機構部のリトライ動作を制御するとともに、表示部に異常情報を表示させる制御部を含む。このように構成すれば、制御部および表示部を用いて、容易に、機構部の異常情報をユーザに通知することができる。
【0009】
上記一の局面による臨床検体処理装置において、好ましくは、臨床検体処理装置には、ネットワークを介して、外部に設置されたメンテナンス用管理装置が接続されており、異常情報を、ネットワークを介して、メンテナンス用管理装置に送信する送信手段をさらに備える。このように構成すれば、送信手段により、容易に、異常情報を外部に設置されたメンテナンス会社のメンテナンス用管理装置に送信することができる。
【0010】
上記送信手段を含む構成において、好ましくは、送信手段は、機構部がリトライ動作を実行したことを示すリトライ動作履歴情報を、ネットワークを介して、メンテナンス用管理装置に送信する。このように構成すれば、送信手段により、容易に、リトライ動作履歴情報を外部に設置されたメンテナンス会社のメンテナンス用管理装置に送信することができる。
【0011】
この場合、好ましくは、送信手段は、異常情報およびリトライ動作履歴情報の少なくとも一方を、電子メールを用いて、メンテナンス用管理装置に送信する。このように構成すれば、外部のメンテナンス用管理装置に対する異常情報やリトライ動作履歴情報の送信を、取扱いが容易な電子メールにより行うことができる。
【0012】
上記リトライ動作履歴情報を送信する送信手段を含む構成において、好ましくは、装置本体に接続され、装置本体の少なくとも異常情報およびリトライ動作履歴情報を収集するコンピュータをさらに備え、送信手段は、コンピュータに設けられている。このように構成すれば、コンピュータを用いて、容易に、装置本体の異常情報およびリトライ動作履歴情報を外部のメンテナンス会社のメンテナンス用管理装置に送信することができる。
【0013】
上記コンピュータを含む構成において、好ましくは、コンピュータに設けられた送信手段は、異常情報およびリトライ動作履歴情報を、所定のタイミングで、メンテナンス用管理装置に電子メールにより送信するとともに、異常情報の中の緊急を要する情報である緊急情報を、所定のタイミングを待たずに、ネットワークを介して、電子メールによりメンテナンス用管理装置に送信する。このように構成すれば、メンテナンス用管理装置が設置されるメンテナンス会社が臨床検体処理装置の緊急を要する緊急情報を直ちに知ることができるので、迅速なメンテナンスを行うことができる。
【0014】
この場合、好ましくは、コンピュータに設けられた送信手段は、異常情報およびリトライ動作履歴情報を、装置本体の起動時またはシャットダウン時に、メンテナンス用管理装置に電子メールにより送信する。このように構成すれば、臨床検体処理装置の異常情報およびリトライ動作履歴情報を定期的にメンテナンス用管理装置に送信することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態による臨床検体処理装置を示したブロック図である。図2は、図1に示した臨床検体処理装置の血液塗抹標本作製装置および搬送装置を示した斜視図であり、図3は、図2に示した血液塗抹標本作製装置の内部構造を示した平面図である。また、図4〜図7は、血液塗抹標本作製装置の染色部の第3吸引排出機構部の構造および動作を説明するための図であり、図8〜図11は、血液塗抹標本作製装置の保管部の送り込み機構部の構造および動作を説明するための図である。
【0017】
まず、図1および図2を参照して、第1実施形態による臨床検体処理装置1の全体構成について説明する。この臨床検体処理装置1は、図1に示すように、血液塗抹標本作製装置2と、搬送装置3とを備えている。
【0018】
ここで、本発明の第1実施形態による血液塗抹標本作製装置2は、血液検体の塗抹標本を作製するために設けられており、制御部2aと、タッチパネルからなる表示操作部2bとを含んでいる。なお、血液塗抹標本作製装置2は、本発明の「装置本体」の一例であり、表示操作部2bは、本発明の「通知手段」および「表示部」の一例である。この血液塗抹標本作製装置2の制御部2aは、血液塗抹標本作製装置2の通常の塗抹標本作製動作の制御を行う機能と、血液塗抹標本作製装置2の通常の塗抹標本作製動作に伴うリトライ動作および原点復帰動作の制御を行う機能と、血液塗抹標本作製装置2が異常(エラー)状態にあることを判断する機能と、血液塗抹標本作製装置2が異常(エラー)状態にあることを表示操作部2bに表示する機能とを有する。この制御部2aは、CPU、ROM、RAMなどからなる。また、表示操作部2bは、血液塗抹標本作製装置2が異常(エラー)状態にあることを示す異常情報をユーザに通知するために設けられている。
【0019】
また、搬送装置3は、図2に示すように、血液塗抹標本作製装置2の前面に設置されており、搬入部3aおよび取り出し部3bを有している。この搬送装置3は、血液が収容された試験管101を収納する検体ラック100を血液塗抹標本作製装置2に自動的に搬送するために設けられている。
【0020】
次に、図2〜図11を参照して、血液塗抹標本作製装置2および搬送装置3の全体構成について説明する。まず、図2に示すように、血液塗抹標本作製装置2には、制御部2aおよび表示操作部2bに加えて、血液が収容された試験管101を搬送装置3側から血液塗抹標本作製装置2側に搬送するためのハンド部材2cが設けられている。また、血液塗抹標本作製装置2は、図3に示すように、吸引分注機構部21と、塗抹部22と、樹脂製のカセット23と、カセット収容部24と、カセット搬送部25と、スライドガラス挿入部26と、染色部27と、保管部28とを備えている。
【0021】
吸引分注機構部21は、ハンド部材2c(図2参照)によって血液塗抹標本作製装置2側に搬送された試験管101から血液を吸引するとともに、吸引した血液をスライドガラス10に滴下する機能を有する。この吸引分注機構部21は、図3に示すように、試験管101から血液を吸引するためのピアサ(吸引針)21aと、吸引した血液をスライドガラス10に分注するための分注ピペット21bとを含んでいる。
【0022】
また、塗抹部22は、図3に示すように、スライドガラス10を分注・塗抹位置90に供給するとともに、スライドガラス10に滴下された血液を塗抹して乾燥し、かつ、スライドガラス10に印字を行うために設けられている。また、樹脂製のカセット23は、塗抹が施されたスライドガラス10および染色工程で用いる液体(染色液)を収容することが可能なように構成されている。このカセット23は、図3に示すように、スライドガラス収納孔23aと、染色液吸引分注孔23bとを含んでいる。スライドガラス収納孔23aと、染色液吸引分注孔23bとは、図4に示すように、内部で繋がっている。
【0023】
また、カセット収容部24は、図3に示すように、カセット23をカセット搬送部25に搬入するために設けられており、送りベルト24aを含んでいる。また、カセット搬送部25は、カセット収容部24から搬入されたカセット23をスライドガラス挿入部26および染色部27に搬送するために設けられている。このカセット搬送部25は、図3に示すように、水平方向に移動可能なカセット搬送部材25aと、カセット収容部24から供給されたカセット23を搬送するための搬送路25bとを含んでいる。また、スライドガラス挿入部26は、図3に示すように、塗抹および印字が施されたスライドガラス10をカセット23のスライドガラス収納孔23aに収納するために設けられている。
【0024】
また、染色部27は、カセット搬送部材25aにより搬送されたカセット23の染色液吸引分注孔23bに対して染色液の供給および排出を行うことにより、塗抹済みのスライドガラス10に染色処理を施すために設けられている。この染色部27は、図3に示すように、カセット搬送部材25aにより搬送されたカセット23を染色部27に送り込むための送り込み機構部27aと、送り込み機構部27aから送り込まれたカセット23を搬送するための送りベルト27bと、カセット23に対して染色液の供給および排出などを行うための第1〜第5吸引排出部27c〜27gと、カセット23を送りベルト27bから保管部28の搬送ベルト28b側へ送り出すための送り出し機構部27hとを含んでいる。なお、染色部27の送り込み機構部27aは、後述する保管部28の送り込み機構部28aと同様の構造を有している。
【0025】
ここで、図4〜図7を参照して、染色部27の第1吸引排出部27c〜第5吸引排出部27gのうち、第3吸引排出部27eを例にとって、その構造について説明する。第3吸引排出部27eは、図4〜図7に示すように、カセット23内の染色液の吸引および排出を行う排出ピペット71aと、カセット23内に染色液の供給を行う供給ピペット71bと、排出ピペット71aおよび供給ピペット71bを支持するピペット支持部材72と、ピペット支持部材72が直動ガイド73を介して取り付けられるフレーム74と、垂直方向に所定の間隔を隔ててフレーム74に取り付けられた一対のプーリ75aおよび75bと、一対のプーリ75aおよび75bに装着される駆動ベルト76と、駆動ベルト76とピペット支持部材72とを連結するための連結部材77と、プーリ75bを回転駆動するためのパルスモータ78(図5および図7参照)とを含んでいる。なお、排出ピペット71aおよび供給ピペット71bは、本発明の「機構部」の一例である。
【0026】
また、図5および図7に示すように、駆動ベルト76とピペット支持部材72とを連結するための連結部材77には、フレーム74の背面側に延びるように、ピペット支持部材72の上端位置および下端位置を検出するための検出片77aが一体的に設けられている。また、フレーム74の背面側には、検出片77aが上端位置に到達したことを検出する光透過型の上部センサ79aと、検出片77aが下端位置に到達したことを検出する光透過型の下部センサ79bとが取り付けられている。第3吸引排出部27eは、排出ピペット71aおよび供給ピペット71bを下方向に移動させた後、カセット23に対して染色液の吸引排出および供給を行うように構成されている。
【0027】
また、保管部28は、染色部27により染色されたスライドガラス10が収納されたカセット23を保管するために設けられている。この保管部28には、図3に示すように、染色部27の送り出し機構部27hにより送りベルト27bから送り出されたカセット23を保管部28の搬送ベルト28bに送り込むための送り込み機構部28aと、送り込み機構部28aから送り込まれたカセット23を搬送するための搬送ベルト28bとが設けられている。
【0028】
ここで、図8〜図11を参照して、保管部28の送り込み機構部28aの構造について説明する。送り込み機構部28aは、図8に示すように、揺動部材81と、揺動部材81を支持する支持軸82と、揺動部材81を支持軸82に取り付けるための取付部材83と、支持軸82の一方端に取り付けられたプーリ84aと、プーリ84aと所定の間隔を隔てて設けられたプーリ84bと、一対のプーリ84aおよび84bに装着される駆動ベルト85と、プーリ84bを回転駆動するためのパルスモータ86と、支持軸82およびパルスモータ86が取り付けられたフレーム87とを含んでいる。なお、揺動部材81は、本発明の「機構部」の一例である。
【0029】
揺動部材81は、図9〜図11に示すように、揺動しながらカセット23の背面を押圧するために設けられている。この揺動部材81には、図8に示すように、カセット23の背面上部を押圧する押圧部81aと、揺動部材81が原点位置(非揺動位置)にあることを検出するための検出片81bとが一体的に設けられている。また、フレーム87には、図8に示すように、揺動部材81の検出片81bを検出するための光透過型のセンサ88と、送り込み機構部28aによりカセット23(図9参照)が搬送ベルト28b上に正常に送り込まれたか否かを検知するための光反射型のセンサ89とが取り付けられている。また、フレーム87には、図8に示すように、揺動部材81が揺動して搬送ベルト28b側に突出するための開口部87aと、光反射型のセンサ89の光が通過するための開口部87bとが設けられている。
【0030】
次に、図1〜図13を参照して、第1実施形態による臨床検体処理装置1の動作について説明する。まず、検体の提供者(患者)のカルテ情報が、図示しないホストコンピュータに入力される。そして、図1および図2に示した血液塗抹標本作製装置2は、ホストコンピュータの情報に従って、搬送装置3により搬送される検体ラック100に載置された試験管101から血液検体を採取して血液塗抹標本を作製する。
【0031】
血液塗抹標本作製装置2により血液検体の塗抹標本を作製する際には、まず、吸引分注動作として、図2に示すように、血液塗抹標本作製装置2のハンド部材2cが、搬送装置3の搬入部3aから取り出し部3bに搬送された検体ラック100の試験管101を持ち上げて攪拌した後、図3に示す吸引分注機構部21に試験管101を配置する。そして、ピアサ21aにより試験管101内の血液を吸引する。血液の吸引動作を終了した後、分注ピペット21bを図3に示した分注・塗抹位置90に移動させて、分注ピペット21bからスライドガラス10に血液を滴下(分注)する。
【0032】
上記した吸引分注機構部21による吸引分注動作と並行して、または、吸引分注動作の後、塗抹部22による塗抹動作が行われる。この塗抹部22では、スライドガラス10を分注・塗抹位置90(図3参照)に供給するとともに、スライドガラス10に滴下された血液を塗抹して乾燥する。そして、スライドガラス10に血液検体の情報の印字を行った後、印字後のスライドガラス10を、スライドガラス挿入部26側に移動する。
【0033】
次に、図3に示したカセット収容部24にセットされたカセット23が送りベルト24aによってカセット搬送部25の搬送路25bに送り込まれる。そして、カセット23は、カセット搬送部25のカセット搬送部材25aによってスライドガラス挿入部26へ搬送される。そして、スライドガラス挿入部26によるカセット23へのスライドガラス10の挿入動作が行われた後、塗抹済みのスライドガラス10が収納されたカセット23が、カセット搬送部材25aにより染色部27に搬送される。
【0034】
第1実施形態による染色部27では、まず、カセット搬送部材25aにより搬送されたカセット23が送り込み機構部27aにより送りベルト27b上に送り込まれ、送りベルト27bにより搬送される。そして、第1吸引排出部27c〜第5吸引排出部27gにおいて、染色液や洗浄用の水を、順次、カセット23の染色液吸引分注孔23bに対して分注および吸引排出することにより、カセット23の塗抹済みのスライドガラス10に染色処理を施す。なお、送り込み機構部27aによるカセット23の送り込み動作の詳細は、後述する保管部28の送り込み機構部28aによるカセット23の送り込み動作と同様である。
【0035】
ここで、図4〜図7を参照して、上記した第1吸引排出部27c〜第5吸引排出部27gの動作のうち、第3吸引排出部27eの動作において、ピペット支持部材72に取り付けられた排出ピペット71aおよび供給ピペット71bの下降動作および上昇動作について説明する。まず、図4および図5に示す状態から、制御部2aからパルス信号をパルスモータ78に与えることにより、パルスモータ78を所定の方向に回転駆動させる。これにより、パルスモータ78の駆動力がプーリ75bおよび駆動ベルト76を介して連結部材77に伝達され、連結部材77およびピペット支持部材72が下方(図4および図5の矢印A方向)へ移動される。このとき、排出ピペット71aおよび供給ピペット71bは、ピペット支持部材72とともに下方に移動しながら、カセット23の染色液吸引分注孔23bからカセット23内に挿入される。そして、パルスモータ78に与えられる制御部2aからのパルス信号が規定パルス数に達するとパルスモータ78の駆動が停止し、図6および図7に示すように、連結部材77の検出片77aが下部センサ79bによって検出されることにより、排出ピペット71aおよび供給ピペット71bが下方位置にあることが確認される。これによって、ピペット支持部材72に取り付けられた排出ピペット71aおよび供給ピペット71bの下降動作が終了する。
【0036】
その後、排出ピペット71aによって、カセット23内の染色液が吸引されて排出された後、供給ピペット71bによって、カセット23内に別の染色液が供給される。次に、制御部2aからパルスモータ78にパルス信号を与えることにより、パルスモータ78を上記した所定の方向とは反対の方向に回転駆動させることによって、図6および図7に示す状態から、ピペット支持部材72を上方(図6および図7の矢印B方向)に移動させる。これにより、排出ピペット71aおよび供給ピペット71bがカセット23内から取り出される。そして、図4および図5に示すように、連結部材77の検出片77aが上部センサ79aによって検出されることにより、パルスモータ78の駆動が停止する。これによって、ピペット支持部材72に取り付けられた排出ピペット71aおよび供給ピペット71bの上昇動作が終了する。なお、この排出ピペット71aおよび供給ピペット71bの下降動作および上昇動作は、血液塗抹標本作製装置2の制御部2aによって制御される。
【0037】
ここで、第1実施形態では、排出ピペット71aおよび供給ピペット71bの上昇動作が正常に行われなかった場合に、もう一度同じ上昇動作を繰り返すリトライ動作を行う。以下、このリトライ動作を、図12に示したフローチャートを参照して詳細に説明する。なお、以下のリトライ動作は、血液塗抹標本作製装置2の制御部2aにより制御される。まず、ステップS1において、制御部2aからパルスモータ78にパルス信号を与えることにより、排出ピペット71aおよび供給ピペット71bの上昇動作を行う。その後、ステップS2において、排出ピペット71aおよび供給ピペット71bの上昇動作の開始から第1所定時間(約1.7秒)後に上部センサ79aがオン状態になっているか否かが判断される。そして、ステップS2において、上昇動作の開始から第1所定時間(約1.7秒)後に上部センサ79aがオン状態になっていると判断された場合には、そのまま塗抹標本作製動作を継続する。
【0038】
一方、ステップS2において、上昇動作の開始から第1所定時間(約1.7秒)後に上部センサ79aがオン状態になっていないと判断された場合には、ステップS3において、再度、排出ピペット71aおよび供給ピペット71bの上昇動作(リトライ動作)を行う。具体的には、制御部2aからパルスモータ78に再度パルス信号を与えることにより、排出ピペット71aおよび供給ピペット71bの再上昇動作を行う。その後、ステップS4において、再上昇動作(リトライ動作)の開始から第1所定時間(約1.7秒)後に上部センサ79aがオン状態になっているか否かが判断される。そして、ステップS4において、再上昇動作(リトライ動作)の開始から第1所定時間(約1.7秒)後に上部センサ79aがオン状態になっていると判断された場合には、そのまま塗抹標本作製動作を継続する。ここで、第1実施形態では、ステップS4において、再上昇動作(リトライ動作)の開始から第1所定時間(約1.7秒)後に上部センサ79aがオン状態になっていないと判断された場合には、ステップS5において、排出ピペット71aおよび供給ピペット71bの上昇動作が異常(エラー)状態にあると判断されて血液塗抹標本作製装置2の表示操作部2bに、排出ピペット71aおよび供給ピペット71bの上昇動作のエラー表示が行われる。
【0039】
その後、染色済みのスライドガラス10が収納されたカセット23は、図3に示した送り出し機構部27hにより、送りベルト27bから保管部28の搬送ベルト28b側へ順次送り出される。そして、保管部28の送り込み機構部28aにより、カセット23を保管部28の搬送ベルト28bに送り込む。
【0040】
ここで、図8〜図11を参照して、送り込み機構部28aの揺動部材81によるカセット23の搬送ベルト28bへの送り込み動作について説明する。まず、図8および図9に示す状態から、制御部2aからパルスモータ86にパルス信号を与えることにより、パルスモータ86を図8の矢印C方向に回転させる。これにより、パルスモータ86の駆動力がプーリ84b、駆動ベルト85およびプーリ84aを介して支持軸82に伝達される。このため、支持軸82が図8および図9の矢印D方向に回動されるので、支持軸82に取り付けられた揺動部材81が図9の矢印E方向に回動される。これにより、図10に示すように、揺動部材81の上部の揺動片81aがカセット3の背面上部を押圧する。この揺動部材81の揺動片81aによる押圧動作により、カセット23は、図11に示すように、搬送ベルト28b側に移動されて搬送ベルト28bに載せられる。このとき、フレーム87に取り付けられた光反射型のセンサ89により、カセット23が搬送ベルト28b上に正常に移動されたか否かを検知している。その後、パルスモータ86を図8の矢印C方向とは反対の方向に回転させることにより、支持軸82が図10および図11の矢印F方向に回動される。これにより、支持軸82に取り付けられた揺動部材81が図10および図11の矢印G方向に回動される。そして、図8および図9に示すように、揺動部材81の検出片81bがセンサ88によって検出されることにより、パルスモータ86の回転が停止される。これによって、揺動部材81が原点位置に戻り、送り込み機構部28aの揺動部材81によるカセット23の送り込み動作が終了する。なお、この送り込み機構部28aの揺動部材81によるカセット23の搬送ベルト28bへの送り込み動作は、血液塗抹標本作製装置2の制御部2aによって制御される。
【0041】
ここで、第1実施形態では、送り込み機構部28aの揺動部材81によるカセット23の搬送ベルト28bへの送り込み動作が正常に行われなかった場合に、もう一度同じ送り込み動作を繰り返すリトライ動作を行う。以下、この送り込み機構部28aでのリトライ動作を、図13に示したフローチャートを参照して詳細に説明する。なお、以下のリトライ動作は、血液塗抹標本作製装置2の制御部2aにより行われる。まず、ステップS11において、制御部2aからパルスモータ86にパルス信号を与えることにより、揺動部材81によるカセット23の搬送ベルト28bへの送り込み動作を行う。そして、ステップS12において、カセット23が搬送ベルト28bへ送り込まれたか否かが判断される。そして、ステップS12において、カセット23が搬送ベルト28bへ送り込まれたと判断された場合には、ステップS13において、カセット23の送り込み動作の開始から第1所定時間(約4.5秒)後にセンサ88が揺動部材81の検出片81bを検出することによりオン状態になっているか否かが判断される。そして、ステップS13において、カセット23の送り込み動作の開始から第1所定時間(約4.5秒)後にセンサ88がオン状態になっていると判断された場合には、そのまま塗抹標本作製動作を継続する。一方、ステップS13において、カセット23の送り込み動作の開始から第1所定時間(約4.5秒)後にセンサ88がオン状態になっていないと判断された場合には、ステップS14において、制御部2aからパルスモータ86にパルス信号を与えることにより、揺動部材81の原点位置への復帰動作を行う。そして、ステップS15において、揺動部材81の原点復帰動作の開始から第2所定時間(約4.5秒)後にセンサ88が揺動部材81の検出片81bを検出することによりオン状態になっているか否かが判断される。そして、ステップS15において、揺動部材81の原点復帰動作の開始から第2所定時間(約4.5秒)後にセンサ88がオン状態になっていると判断された場合には、そのまま塗抹標本作製動作を継続する。また、ステップS15において、揺動部材81の原点復帰動作の開始から第2所定時間(約4.5秒)後にセンサ88がオン状態になっていないと判断された場合は、リトライ動作を行うことなく、ステップS22において、揺動部材81によるカセット23の送り込み動作が異常(エラー)状態にあると判断されて血液塗抹標本作製装置2の表示操作部2bに、揺動部材81によるカセット23の送り込み動作のエラー表示が行われる。
【0042】
一方、ステップS12において、カセット23が搬送ベルト28bへ送り込まれていないと判断された場合には、ステップS16において、カセット23の送り込み動作の開始から第1所定時間(約4.5秒)後にセンサ88がオン状態になっているか否かが判断される。そして、ステップS16において、カセット23の送り込み動作の開始から第1所定時間(約4.5秒)後にセンサ88がオン状態になっていると判断された場合は、ステップS19に進み、再度、揺動部材81によるカセット23の搬送ベルト28bへの送り込み動作(リトライ動作)が行われる。具体的には、制御部2aからパルスモータ86に再度パルス信号を与えることにより、揺動部材81によるリトライ動作を行う。そして、ステップS16において、カセット23の送り込み動作の開始から第1所定時間(約4.5秒)後にセンサ88がオン状態になっていないと判断された場合には、ステップS17において、制御部2aからパルスモータ86にパルス信号を与えることにより、揺動部材81の原点位置への復帰動作を行う。そして、ステップS18において、揺動部材81の原点復帰動作の開始から第2所定時間(約4.5秒)後にセンサ88がオン状態になっているか否かが判断される。そして、ステップS18において、揺動部材81の原点復帰動作の開始から第2所定時間(約4.5秒)後にセンサ88がオン状態になっていないと判断された場合には、ステップS22に進み、エラー表示が行われる。また、ステップS18において、揺動部材81の原点復帰動作の開始から第2所定時間(約4.5秒)後にセンサ88がオン状態になっていると判断された場合には、ステップS19において、リトライ動作を行う。
【0043】
その後、ステップS20において、カセット23が搬送ベルト28b上に送り込まれたか否かが判断される。ここで、第1実施形態では、ステップS20において、カセット23が搬送ベルト28b上に送り込まれていないと判断された場合には、ステップS22に進み、エラー表示が行われる。また、ステップS20において、カセット23が搬送ベルト28b上に送り込まれたと判断された場合には、ステップS21において、カセット23の再送り込み動作(リトライ動作)の開始から第1所定時間(約4.5秒)後にセンサ88がオン状態になっているか否かが判断される。そして、ステップS21において、カセット23の再送り込み動作(リトライ動作)の開始から第1所定時間(約4.5秒)後にセンサ88がオン状態になっていると判断された場合には、そのまま塗抹標本作製動作を継続する。一方、ステップS21において、カセット23の再送り込み動作(リトライ動作)の開始から第1所定時間(約4.5秒)後にセンサ88がオン状態になっていないと判断された場合には、ステップS22に進み、エラー表示が行われる。
【0044】
その後、送り込み機構部28aから送り込まれたカセット23は、搬送ベルト28bにより保管部28に搬送されて保管される。
【0045】
第1実施形態では、上記のように、排出ピペット71aおよび供給ピペット71bの上昇動作およびカセット23の搬送ベルト28bへの送り込み動作を正常に実行できなかったときにそれらの動作を再度実行するリトライ動作を行うことによって、リトライ動作により1回目の動作が正常に実行できなかった原因を取り除くことができる場合があるので、その場合には、リトライ動作を正常に実行することができる。これにより、臨床検体処理装置1の血液塗抹標本作製装置2の塗抹標本作製動作を停止させることなく継続して行うことができるので、1回目の動作が正常に行われなかったときに直ちに装置を停止させる場合に比べて、装置の停止回数を減少させることができる。その結果、迅速な検体処理を行うことができるとともに、ユーザの復帰処理の負担を軽減することができる。また、リトライ動作を正常に実行できなかった場合に、その動作が異常状態にあることを表示する表示操作部2bを設けることによって、ユーザは、リトライ動作によっても正常に動作が行われなかったことを速やかに認識することができる。これにより、ユーザは、迅速に復帰処理などを行うことができる。
【0046】
(第2実施形態)
図14は、本発明の第2実施形態による臨床検体処理装置および外部のメンテナンス用管理装置を示したブロック図である。ここで、図14を参照して、本発明の第2実施形態による臨床検体処理装置11は、上記第1実施形態と異なり、臨床検体処理装置11の血液塗抹標本作製装置12にパーソナルコンピュータ(パソコン)14が接続された構成を有する。なお、血液塗抹標本作製装置12は、本発明の「装置本体」の一例であり、パソコン14は、本発明の「コンピュータ」の一例である。このパソコン14は、ネットワークを介して、外部のメンテナンス会社に設置されたメンテナンス用管理装置(サーバ)15に接続されている。なお、ネットワークとしては、電話回線などの専用のネットワーク、インターネット、イントラネット、LANなどのネットワークを用いることが可能である。
【0047】
また、第2実施形態の血液塗抹標本作製装置12および搬送装置13の構造は、血液塗抹標本作製装置12が制御部12aおよびタッチパネルからなる表示操作部12bを含むとともに、血液塗抹標本作製装置12の制御部12aが血液塗抹標本作製装置12の履歴情報(エラー情報および動作履歴情報)をパソコン14に送信する機能を有すること以外、上記第1実施形態と同様である。なお、表示操作部12bは、本発明の「通知手段」および「表示部」の一例である。
【0048】
また、パソコン14は、制御部14aと、メモリ14bとを含んでいる。この制御部14aは、血液塗抹標本作製装置12の制御部12aにより送信されたエラー情報が緊急を要する緊急情報であるか否かを判断する機能と、血液塗抹標本作製装置12の履歴情報(エラー履歴情報および動作履歴情報)および緊急情報(エラー情報のうちの緊急を要する情報)をメンテナンス用管理装置(サーバ)15に送信する機能とを有する。また、メモリ14bは、血液塗抹標本作製装置12のエラー履歴情報および動作履歴情報を保存する機能を有する。なお、制御部14aは、本発明の「送信手段」の一例である。このパソコン14の制御部14aは、CPU、ROM、RAMなどからなる。また、パソコン14の制御部14aには、電子メールの送受信および加工を行うプログラムが格納されている。
【0049】
図15は、図14に示した第2実施形態による臨床検体処理装置における血液塗抹標本作製装置の制御部およびパソコンの制御部による情報送信動作を説明するためのフローチャートである。ここで、図14および図15を参照して、本発明の第2実施形態による臨床検体処理装置11の動作について説明する。この第2実施形態による臨床検体処理装置11の動作では、血液塗抹標本作製装置12のエラー情報を表示操作部12bに表示するとともに、血液塗抹標本作製装置12の履歴情報(エラー情報および動作履歴情報)をパソコン14に送信する。また、パソコン14の制御部14aは、血液塗抹標本作製装置12の履歴情報(エラー履歴情報および動作履歴情報)と、緊急情報(エラー情報のうちの緊急を要する情報)とをメンテナンス用管理装置(サーバ)15に送信する。
【0050】
以下、血液塗抹標本作製装置12の制御部12aおよびパソコン14の制御部14aによる情報送信動作について、図15に示したフローチャートを参照して詳細に説明する。まず、ステップS31において、血液塗抹標本作製装置12の所定部分の動作が各動作毎に予め設定された第1所定時間内に終了しなかったと認識されると、ステップS32において、その所定部分の動作がリトライ項目に属しているか否かが判断される。なお、第2実施形態において、リトライ項目に属する動作とは、たとえば、上記第1実施形態で説明した排出ピペット71aおよび供給ピペット71bの上昇動作や、保管部28の送り込み機構部28aによるカセット23の送り込み動作のことである。そして、ステップS32において、所定部分の動作がリトライ項目に属していると判断された場合には、ステップS33において、所定部分に自動的にリトライ動作を実行させる。そして、ステップS34において、所定部分のリトライ動作が第1所定時間内に終了したか否かが判断される。
【0051】
ここで、この第2実施形態では、ステップS34において、所定部分のリトライ動作が第1所定時間内に終了しなかったと判断された場合には、ステップS35において、血液塗抹標本作製装置12の表示操作部12bにエラー表示が行われるとともに、エラー情報が血液塗抹標本作製装置12からパソコン14に送信される。また、ステップS32において、所定部分の動作がリトライ項目に属していないと判断された場合にも、ステップS35に進み、上記エラー表示およびエラー情報のパソコン14への送信が行われる。以上のステップS31〜S35の処理は、血液塗抹標本作製装置12の制御部12aにより行われる。
【0052】
そして、ステップS36において、パソコン14の制御部14aにより、所定部分の動作のエラー情報が緊急メール送信項目に属しているか否かが判断される。そして、ステップS36において、所定部分の動作のエラー情報が緊急メール送信項目に属していると判断された場合には、ステップS37において、所定部分の動作のエラー履歴情報および動作履歴情報がパソコン14のメモリ14bに保存されるとともに、パソコン14の制御部14aにより、緊急エラーメール(電子メール)がメンテナンス用管理装置(サーバ)15に送信される。なお、第2実施形態において、緊急メール送信項目に属する動作とは、たとえば、上記第1実施形態で説明した保管部28の送り込み機構部28aによるカセット23の送り込み動作のことである。一方、ステップS36において、所定部分の動作のエラー情報が緊急メール送信項目に属していないと判断された場合には、ステップS38において、所定部分の動作のエラー履歴情報がパソコン14のメモリ14bに保存される。なお、第2実施形態において、緊急メール送信項目に属さない動作とは、たとえば、上記第1実施形態で説明した排出ピペット71aおよび供給ピペット71bの上昇動作のことである。また、ステップS34において、所定部分のリトライ動作が第1所定時間内に終了したと判断された場合には、ステップS39において、血液塗抹標本作製装置12の制御部12aにより、所定部分の動作履歴(リトライ動作履歴および原点復帰動作履歴)情報がパソコン14に送信されるとともに、パソコン14側では、その動作履歴(リトライ動作履歴および原点復帰動作履歴)情報がメモリ14bに保存される。この場合、血液塗抹標本作製装置12は、自動的に動作を継続する。そして、ステップS40において、血液塗抹標本作製装置12のシャットダウン時に、パソコン14のメモリ14bに保存されている履歴情報(動作履歴情報およびエラー履歴情報)が、パソコン14の制御部14aにより、電子メールを用いてメンテナンス用管理装置(サーバ)15に送信される。
【0053】
第2実施形態では、上記のように、リトライ動作(送り込み機構部28aの揺動部材81によるカセット23の再送り込み動作、または、排出ピペット71aおよび供給ピペット71bの再上昇動作)後にエラーと判断された場合に、表示操作部12bにエラー情報の表示が行われることによって、ユーザは、リトライ動作後のエラー(異常)を直ちに認識することができる。
【0054】
また、第2実施形態では、リトライ動作後にエラーと判断されたエラー情報のうち、緊急を要するエラー履歴情報を直ちにネットワークを介してメンテナンス用管理装置(サーバ)15に送信することによって、メンテナンス用管理装置(サーバ)15が設置されるメンテナンス会社がその異常を直ちに知ることができるので、緊急を要する異常に対して迅速なメンテナンスを行うことができる。また、リトライ動作後にエラーと判断されたエラー情報のうち、緊急を要しないエラー履歴情報(排出ピペット71aおよび供給ピペット71bの上昇動作のエラー履歴情報)と、動作履歴(リトライ動作履歴および原点復帰動作履歴)情報とを血液塗抹標本作製装置12のシャットダウン時に、メンテナンス用管理装置(サーバ)15に送信することによって、血液塗抹標本作製装置12の履歴情報を定期的にメンテナンス用管理装置(サーバ)15に送信することができる。
【0055】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0056】
たとえば、上記実施形態では、本発明を、血液塗抹標本作製装置を含む臨床検体処理装置に適用した例について説明したが、本発明はこれに限らず、他の臨床検体処理装置にも適用可能である。たとえば、血液検体に対して、血球数、ヘマトクリットまたはヘモグロビンなどを分析する血球分析装置(血液分析装置)、感染症や癌マーカーの抗原または抗体の濃度を求める免疫測定装置、血清や血漿検体に対して、凝固機能を検査する血液凝固測定装置、血清総蛋白量や臓器機能の指標である酵素活性を測定する生化学分析装置、尿検体に対して、蛋白質、糖、赤血球の有無を判定する尿定性装置、または、赤血球、白血球、上皮細胞、円柱、細菌を定量する尿沈渣検査装置などの臨床検体処理装置にも適用可能である。
【0057】
また、上記実施形態では、保管部の送り込み機構部の揺動部材によるカセットの送り込み動作と、染色部の第3吸引排出部の排出ピペットおよび供給ピペットの上昇動作とについてリトライ動作を行う例を示したが、本発明はこれに限らず、血液塗抹標本作製装置の他の作動部材による動作についてリトライ動作を行うようにしてもよい。たとえば、染色部の第3吸引排出部以外の吸引排出部の排出ピペットおよび供給ピペットの上昇動作および下降動作や、染色部の送り込み機構部の揺動部材によるカセットの送り込み動作についてリトライ動作を行うようにしてもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、リトライ動作後の異常情報をユーザに通知する本発明の通知手段として、表示操作部を用いた例を示したが、本発明はこれに限らず、表示操作部に代えて、音を発するスピーカや光を発する点滅光源などの通知手段を用いてもよい。
【0059】
また、上記第2実施形態では、リトライ動作後にエラーと判断されたエラー情報のうち、緊急を要しないエラー履歴情報と、動作履歴(リトライ動作履歴および原点復帰動作履歴)情報とを血液塗抹標本作製装置のシャットダウン時に、メンテナンス用管理装置(サーバ)に送信する例を示したが、本発明はこれに限らず、緊急を要しないエラー履歴情報および動作履歴情報を血液塗抹標本作製装置の起動時に、メンテナンス用管理装置(サーバ)に送信してもよい。
【0060】
また、上記第2実施形態では、排出ピペットおよび供給ピペットの上昇動作のエラー情報を、緊急エラーメール送信項目に属さないエラー履歴情報としてパソコンのメモリに保存する例を示したが、本発明はこれに限らず、排出ピペットおよび供給ピペットの上昇動作のエラー情報を、緊急エラーメール送信項目に属するエラー履歴情報としてパソコンの制御部により、メンテナンス用管理装置(サーバ)に送信してもよい。
【0061】
また、上記第2実施形態では、緊急情報(緊急エラーメール)をメンテナンス会社のメンテナンス用管理装置(サーバ)に送信するようにしたが、本発明はこれに限らず、緊急情報(緊急エラーメール)をメンテナンス会社のサービスマンの携帯電話やノートパソコンなどに送信するようにしてもよい。この場合は、メンテナンス会社のサービスマンの携帯電話やノートパソコンが、本発明の「メンテナンス用管理装置」に相当する。
【0062】
また、上記第2実施形態では、電子メールを用いて、履歴情報および緊急情報をメンテナンス用管理装置(サーバ)に送信するようにしたが、本発明はこれに限らず、電子メール以外のデータ通信手法により、履歴情報および緊急情報をメンテナンス用管理装置(サーバ)に送信するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の第1実施形態による臨床検体処理装置を示したブロック図である。
【図2】図1に示した第1実施形態による臨床検体処理装置の血液塗抹標本作製装置および搬送装置を示した斜視図である。
【図3】図2に示した血液塗抹標本作製装置の内部構造を示した平面図である。
【図4】図3に示した血液塗抹標本作製装置の染色部の第3吸引排出部を示した平面図である。
【図5】図4に示した染色部の第3吸引排出部の左側面図である。
【図6】図4に示した染色部の第3吸引排出部におけるピペット支持部材が下降した状態を示した平面図である。
【図7】図6に示した染色部の第3吸引排出部の左側面図である。
【図8】図3に示した血液塗抹標本作製装置の保管部の送り込み機構部を示した斜視図である。
【図9】図8に示した保管部の送り込み機構部の動作を説明するための図である。
【図10】図8に示した保管部の送り込み機構部の動作を説明するための図である。
【図11】図8に示した保管部の送り込み機構部の動作を説明するための図である。
【図12】図4に示した染色部のピペット支持部材に取り付けられた排出ピペットおよび供給ピペットの上昇動作における自動リトライを説明するためのフローチャートである。
【図13】図8に示した保管部の送り込み機構部の揺動部材によるカセットの送り込み動作における自動リトライを説明するためのフローチャートである。
【図14】本発明の第2実施形態による臨床検体処理装置および外部のメンテナンス用管理装置を示したブロック図である。
【図15】図14に示した第2実施形態による臨床検体処理装置における血液塗抹標本作製装置の制御部およびパソコンの制御部による情報送信動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0064】
1、11 臨床検体処理装置
2、12 血液塗抹標本作製装置(装置本体)
2a、12a 制御部
2b、12b 表示操作部(表示部、通知手段)
14 パソコン(コンピュータ)
14a 制御部(送信手段)
15 メンテナンス用管理装置(サーバ)
71a 排出ピペット(機構部)
71b 供給ピペット(機構部)
81 揺動部材(機構部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体処理動作に伴って所定の動作を行うとともに、前記所定の動作を正常に実行できなかったときに前記所定の動作を再度実行するリトライ動作可能な機構部を含む装置本体と、
前記装置本体の機構部が前記リトライ動作を正常に実行できなかった場合に、前記機構部の所定の動作が異常状態にあることを示す異常情報をユーザに通知する通知手段とを備えた、臨床検体処理装置。
【請求項2】
前記通知手段は、前記装置本体に設けられた表示部を含む、請求項1に記載の臨床検体処理装置。
【請求項3】
前記装置本体は、前記機構部のリトライ動作を制御するとともに、前記表示部に前記異常情報を表示させる制御部を含む、請求項2に記載の臨床検体処理装置。
【請求項4】
前記臨床検体処理装置には、ネットワークを介して、外部に設置されたメンテナンス用管理装置が接続されており、
前記異常情報を、前記ネットワークを介して、前記メンテナンス用管理装置に送信する送信手段をさらに備える、請求項1〜3のいずれか1項に記載の臨床検体処理装置。
【請求項5】
前記送信手段は、前記機構部が前記リトライ動作を実行したことを示すリトライ動作履歴情報を、前記ネットワークを介して、前記メンテナンス用管理装置に送信する、請求項4に記載の臨床検体処理装置。
【請求項6】
前記送信手段は、前記異常情報および前記リトライ動作履歴情報の少なくとも一方を、電子メールを用いて、前記メンテナンス用管理装置に送信する、請求項5に記載の臨床検体処理装置。
【請求項7】
前記装置本体に接続され、前記装置本体の少なくとも前記異常情報および前記リトライ動作履歴情報を収集するコンピュータをさらに備え、
前記送信手段は、前記コンピュータに設けられている、請求項5または6に記載の臨床検体処理装置。
【請求項8】
前記コンピュータに設けられた前記送信手段は、前記異常情報および前記リトライ動作履歴情報を、所定のタイミングで、前記メンテナンス用管理装置に電子メールにより送信するとともに、前記異常情報の中の緊急を要する情報である緊急情報を、前記所定のタイミングを待たずに、前記ネットワークを介して、電子メールにより前記メンテナンス用管理装置に送信する、請求項7に記載の臨床検体処理装置。
【請求項9】
前記コンピュータに設けられた前記送信手段は、前記異常情報および前記リトライ動作履歴情報を、前記装置本体の起動時またはシャットダウン時に、前記メンテナンス用管理装置に電子メールにより送信する、請求項8に記載の臨床検体処理装置。
【請求項1】
検体処理動作に伴って所定の動作を行うとともに、前記所定の動作を正常に実行できなかったときに前記所定の動作を再度実行するリトライ動作可能な機構部を含む装置本体と、
前記装置本体の機構部が前記リトライ動作を正常に実行できなかった場合に、前記機構部の所定の動作が異常状態にあることを示す異常情報をユーザに通知する通知手段とを備えた、臨床検体処理装置。
【請求項2】
前記通知手段は、前記装置本体に設けられた表示部を含む、請求項1に記載の臨床検体処理装置。
【請求項3】
前記装置本体は、前記機構部のリトライ動作を制御するとともに、前記表示部に前記異常情報を表示させる制御部を含む、請求項2に記載の臨床検体処理装置。
【請求項4】
前記臨床検体処理装置には、ネットワークを介して、外部に設置されたメンテナンス用管理装置が接続されており、
前記異常情報を、前記ネットワークを介して、前記メンテナンス用管理装置に送信する送信手段をさらに備える、請求項1〜3のいずれか1項に記載の臨床検体処理装置。
【請求項5】
前記送信手段は、前記機構部が前記リトライ動作を実行したことを示すリトライ動作履歴情報を、前記ネットワークを介して、前記メンテナンス用管理装置に送信する、請求項4に記載の臨床検体処理装置。
【請求項6】
前記送信手段は、前記異常情報および前記リトライ動作履歴情報の少なくとも一方を、電子メールを用いて、前記メンテナンス用管理装置に送信する、請求項5に記載の臨床検体処理装置。
【請求項7】
前記装置本体に接続され、前記装置本体の少なくとも前記異常情報および前記リトライ動作履歴情報を収集するコンピュータをさらに備え、
前記送信手段は、前記コンピュータに設けられている、請求項5または6に記載の臨床検体処理装置。
【請求項8】
前記コンピュータに設けられた前記送信手段は、前記異常情報および前記リトライ動作履歴情報を、所定のタイミングで、前記メンテナンス用管理装置に電子メールにより送信するとともに、前記異常情報の中の緊急を要する情報である緊急情報を、前記所定のタイミングを待たずに、前記ネットワークを介して、電子メールにより前記メンテナンス用管理装置に送信する、請求項7に記載の臨床検体処理装置。
【請求項9】
前記コンピュータに設けられた前記送信手段は、前記異常情報および前記リトライ動作履歴情報を、前記装置本体の起動時またはシャットダウン時に、前記メンテナンス用管理装置に電子メールにより送信する、請求項8に記載の臨床検体処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2006−10615(P2006−10615A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−191107(P2004−191107)
【出願日】平成16年6月29日(2004.6.29)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月29日(2004.6.29)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】
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