説明

自動または手動血液ドージング用統合ディスポーザブル用具

統合採取用具が、第一の開口部と第二の開口部とを形成している。第一の開口部は、切り込み部によって、切り込み形成時に被検媒体に体液を自動採取するためのチャネルに接続されている。第二の開口部は、被検媒体上に配置されており、チャネルが被検媒体上に十分な量の体液を導入するのに失敗した場合に、体液を手動採取できるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、体液採取用具に使用するランセットに関し、さらに詳しくは、体液の自動採取または手動採取を可能にする複数の開口部を含む、統合採取用具に関する。
【背景技術】
【0002】
切開により切り口を形成し、形成した切り口から採取した体液を分析することを目的とした、血糖測定器などの多種多様な体液採取用具が開発されてきた。このような用具の一種類として、ランセットが切り口を形成するのに使用され、その切り口の形成後に、ユーザーがテストストリップを皮膚上に手動で配置し、配置されたテストストリップ中に体液標本を導入する。場合によっては、テストストリップ中に導入した体液の量が不十分で、正確な検査結果を得られないことがある。テストストリップ内で血液またはその他の体液が凝固すると、以後、テストスリップのドージングが阻害される可能性がある。このような場合、ユーザーは、テストストリップを廃棄するか、あるいは同じ切り口から、新しいテストストリップに追加分の体液を導入するか、もしくはこのプロセスを繰り返すことができるように、別の切り口を形成しなくてはならない。
【0003】
このような事態に及んだ場合、無駄なだけでなく、痛みも伴う可能性があることを理解すべきである。テストストリップは、本来、導入した体液の量の充足度を判断することを目的として開発されたものであるが、テストストリップは廃棄しなくてはならないにもかかわらず、充足度試験は、テストストリップ中に体液を採取した後に行われるので、遅すぎてしまう。
【0004】
このように当技術分野における、さらなる寄与が必要である。
【発明の開示】
【0005】
本発明のひとつの態様は、体液を分析するための統合採取用具に関する。この用具は、第一の開口部とともにチャネルを形成する採取部を具備している。被検媒体は、体液を分析するため、チャネル沿いに配置される。採取部は、第一の開口部を介した体液のドージングに失敗したときに、第二の開口部を介して被検媒体に体液をドージングするため、第一の開口部より被検媒体に近い位置に配置された、第二の開口部を形成している。
【0006】
もうひとつの態様は、採取用具の第一の開口部に体液を導入する方法に関する。採取用具は、被検媒体に体液を輸送するためのチャネルを具備している。第一の開口部から導入された体液は、量が不十分であると判定される。すると、第一の開口部より被検媒体に近い位置に配置された、採取用具の第二の開口部を介して、体液が採集される。
【0007】
さらにもうひとつの態様は、皮膚上に切り口を形成するための手段と、その切り口から体液を自動的に採取するための手段とを具備した、統合採取用具に関する。この用具はさらに、体液の自動採集に失敗したときに、体液を切り口から手動で採取するための手段と、採集した体液を分析するための手段とを具備している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の原理を理解しやすくすることを目的として、図に示されている実施例を参照し、これらの実施例について説明する際に、特定の用語を使用する。ただし、これにより、本発明の適用範囲を制限することは目的としないことは理解されよう。本発明が関連する技術分野における当業者が通常行なうような、図に示す本発明の原理に対するこのような改変、修正、およびさらなる適用が予想される。
【0009】
本発明の適用は、一般に、体液を導入するための2個の開口部を具備する、統合採集用具に関する。ひとつの開口部は、テストストリップまたは体液を分析するための他の被検媒体にいたるまで、チャネルを介して体液を自動的に導入するため、そのチャネルに動作可能なように連結されている。チャネルが十分な量の体液を導入できなかった場合には、テストストリップのすぐ反対側または脇に第二の開口部が形成されているので、ユーザーは、その第二の開口部を介して、切り口の部位から手動で体液標本をアプライできる。2箇所の開口部が設けられていることにより、テストストリップが無駄にならず、新しい切り口を形成する必要もない。
【0010】
次に、図1を参照すると、ひとつの実施例による統合採取用具30が描画されている。全体として、統合採取用具30の平坦なデザインが、統合採取用具30の製造可能性を向上させるのに役立っている。さらに、この平坦なデザインにより、ACCU−CHEK(登録商標)ADVANTAGE(登録商標)ブランドの測定器(インディアナ州、インディアナポリスのロッシュ ディアグノスティクス コーポレーション)内のリール−リール型カートリッジのようなカートリッジやドラムなどで使用するために、複数の統合採取用具を一括して接続可能である。ただし、統合採取用具30は、他の実施例では全体的に異なる形状を有する可能性もあることを理解すべきである。たとえば、他の実施例における用具30の形状が、円形または円筒形であることも想定される。統合採取用具30は、体液採取用具に統合採取用具30を接続するための接続部32と、分析のため、切り口部位から体液を導入するための採取部34と体液採取のための切り口を形成するための切り口部36とを具備している。描画されている統合採取用具30は、さまざまな種類の体液採取用具とともに使用できるように、設計されている。さらに、図示されている実施例における統合採取用具30は、衛生上の理由により、一度使用したなら、廃棄することを意図している。ただし、他の実施例では、統合採取用具30は、使用した後に毎回滅菌することにより、複数回使用できることが予期されよう。図に示されているように、接続部32は、切り欠き40によって採取部34から分離されている、接続ループ38を具備している。切り欠き40により、体液採取用具の発射機構を統合採取用具30に取り付けることができる。接続ループ38は、体液採取用具に統合採取用具30を位置づけし、固定するよう設計されている、レジストレーション開口部42を形成している。
【0011】
採取部34は、本体部44と、スペーサー部材46と、毛管チャネルまたは空洞48と、被検媒体50と、採集シート52とを具備している。採集シートは、体液採集を改善するので、好ましい機能である。ただし、採集シートを用いない採取も可能であり、熟練工による代替手段も想定可能である。したがって、可塑性のあるシートというのは、必ずしも必要ではない。本体部44は、採取部34の残りの部品に対する支持機構を備えており、各種部品をすべてその上に実装できる。スペーサー部材46は、検査のため、被検媒体50まで体液を導入する際に通過するチャネル48を形成している。採集シート52はさらに、チャネル48を形成するのに役立つ。
【0012】
図に示されている実施例では、本体部44は、金属製ランセットから形成されている。他の実施例では、本体部44は、高強度のプラスチック、複合材、それらの組み合わせまたは当業者にとって容易に明らかとなるほかの材料で形成することも可能である。実質的に平坦な形状とすることによって、本体部44およびその他の構成要素は、金属またはプラスチックなどといったシート状材料から容易に形成でき、これらのシートは、本体部44およびその他の構成要素を大量生産するため、まとめてサンドイッチ上に形成することもできる。ただし、本体部44は、別の実施例における形状とは異なる形状に成型できることを理解すべきである。
【0013】
図に示されている実施例では、スペーサー部材46は、プラスチックで製造されている。ただし、スペーサー部材46は、2、3の例をあげると、ビーズ状の接着剤または金属片などの他の材料から形成することも可能であることを理解すべきである。ひとつの実施例では、スペーサー部材46の片側には、本体部44にスペーサー部材46固定するために、接着剤が塗布されている。別の実施例では、スペーサー部材46は、粘着テープを用いて本体部44に固定されている。さらに、スペーサー部材46は、当業者にとっては用意に明らかとなる他の方法で、固定してもよいことが想定される。他の実施例では、本体部44およびスペーサー部材46は、相互に接着可能である。
【0014】
図に示されている実施例におけるチャネル48は、矩形の通路である。他の実施例では、この通路が別の形状を形成していることも想定される。中でもひとつの例は、事実上円筒形をした通路である。チャネル48の寸法は、各種実施例によって異なる。図1は、毛管現象を通じて体液を導入するよう、チャネル48のサイズが決定されている実施例を表している。別の実施例は、真空条件下など他の方法で体液を導入することを想定している。
【0015】
図1を参照すると、図に示されている実施例では、被検媒体50が切り口部36とは反対側のチャネル48の末端部に配置されている。ただし、被検媒体48は、チャネル沿いの別の位置に配置することも可能であることを理解すべきである。披見媒体50は、体液標本の検体レベルや他の特性を判断できるように構成されている。体液標本の特性は、2、3の例をあげると、被検媒体50上に採集された体液標本の化学的、電気的、電気化学的および/または光学的特性を通じて、判断することができることを理解すべきである。たとえば、被検媒体50は、化学反応試薬テストストリップとして図に示されている。オプションにより、被検媒体50上に体液を吸い上げるための毛管チャネル48の閉鎖端におけるテストストリップ間に、吸水性パッドを配置してもよい。塗布層または吸上層により、被検媒体50の表面を通過して、体液が確実に均等に吸収される。体液の均等なアプライは、被検媒体50が適正に作用するのに役立つ。体液は、毛管から吸上材へ排出され、分析のための被検媒体50全体に拡散する。被検媒体50が、毛管チャネル48内に配置されているひとつの実施例では、テストストリップが体液と直接接触するので、吸水性パッドは必要ないと考えられる。一つの形態では、体液が血液であり、特性検査対象が血中ブドウ糖血である。他の実施例は、体液の他の性質を測定する、被検媒体50を想定している。ひとつの限定されない例が、血液または腸液のpH値である。
【0016】
図1に描画されているように、採集シート52は、チャネル48の片側を形成している。図に示されている実施例では、採集シート52は、透明なプラスチックシートの部分に該当する。図に示されている実施例では、収集シート52は、可塑性のあるシートである。可塑性を持たせることにより、収集シート52は、ランセットで切開するときに変形可能であり、さらに切り口から統合採取用具30へ体液を吸上げるときに、切り口を閉じずに皮膚に接触できる。さらに、採集シート52には、ユーザーが、統合採集用具30が、体液を採取できるだけの十分に近い位置に配置されているか否かを確認できるように、可視標識が備わっている。ひとつの特定の形態では、採集シート52には、採取時に切り口と体液の液滴をユーザーが目で確認できるようにするため、透明の可塑性フィルムが使用されている。他の実施例では、収集シート52を形成するのに、各種材料や各種色彩の材料が使用されている。他の実施例では、採集シート52は、半透明および/または不透明でありうることを理解すべきである。採集シート52は、採取時に皮膚に接触するよう構成された、採取端部53を備えている。採取端部53は、体液の採集時にたわむので皮膚にかかる力はごくわずかで、切り口からの体液の流れが制限されない。ひとつの実施例では、体液の流れは、スペーサー部材46および採集シート52を、親水性であるとして扱われてきた、もしくは界面活性剤または親水性ポリマーなど親水性材料で塗膜した親水性であるような材料から形成することによって、向上させてもよい。ポリアミド、酸化(たとえば、コロナ処理/プラズマ処理)、プラズマ化学気相堆積、金属、金属酸化物、または非金属酸化物の真空気相堆積、もしくは水で酸化する元素の堆積を使用して表面を処理することも可能である。ひとつの形態では、採集シート52は、被検媒体50を外部の妨害条件から保護する。
【0017】
図3を参照すると、切り口部36の近くにあるチャネル48は、体液が毛管チャネル48に入るときに通過する、第一の開口部54を備えている。切り口部36の近くに配置することによって、ひとたび切り口が形成されたなら、第一の開口部54がその切り口から体液を自動的に導入できる。図に示されているように、採集シート52の採取端部53は、第一の開口部54の横まで伸展するので、採集シート52が、第一の開口部に体液を自動的に導入するのに役立つことができる。
【0018】
前に述べたように、図に示されている本体部44だけでなく切り口部33も、平坦なランセットから製造されている。図1に示されているように、切り口部36は、本体部品内の切り口部を形成するための、ブレード支持部56とブレード58とを具備している。さらに、本体部44は、図3に示されている、縁端部の停止端60を具備している。ブレード支持部56は、本体部44にブレード58を接続し、ブレード支持部56は、ブレード58上に配置されているひずみを伸ばすような形状に成型されている。描画されているように、ブレード支持部56は内側に向かって集束し、最終的にブレード58の両側面を形成する。ブレード58は、皮膚に切り口を形成できるように鋭利であり、ブレード58の侵入深さを制限するのに停止端60を使用できる。ただし、皮膚が停止端60に到達する前に、ブレード58の侵入深さを制限するのに、他の種類の機構を使用することができる。図に示されている実施例では、ブレード58の断面の形状は矩形であるが、他の実施例では、ブレード58を別の形状に成形することができる。たとえば、ブレード58の断面の形状は、ひとつの実施例では円形であり、別の実施例では楕円である。当業者には容易に明らかとなるような、ブレード58の他の構成も想定される。さらに、たとえブレード58が採取用具30の残りの部分に関しては、適所に固定されているように示されていても、他の実施例におけるブレード58が採取用具30の残りの部分に関しては、可動式とすることができるということを理解すべきである。図1に示されている統合採取用具30では、切り口を形成するのにブレード58が使用されているが、採取用具30は、レーザーのような、皮膚を切開するための他の手段を取り込めることを理解すべきである。
【0019】
図2を参照すると、統合採取用具30の本体部44は、被検媒体50上に手動でドージングするための第二の開口部66を形成する、接触面または圧搾面64を具備している。図に示されている実施例では、第二の開口部66は、ランセットに機械加工されているが、第二の開口部はスルーフォトエッチングなどの、他の方法で形成できることを理解すべきである。図に示されているように、第二の開口部66は、体液が被検媒体50に確実に直接アプライされるように、被検媒体上に配置されている。第二の開口部66を被検媒体50の上または近くに配置することによって、被検媒体50上に堆積させる前に、体液が全チャネル48を満たす必要がないので、少量の体液しか必要ではない。図に示されている実施例における第二の開口部66は、被検媒体50上に直接配置されているが、第二の開口部66は、被検媒体50上または被検媒体50の側面に一部配置することができる。第一の開口部54を介して、体液を採取ときには、第二の開口部66が、チャネル48から空気を排気するための排気口としての役割を果たす。それとは逆に、第二の開口部66を介して、体液を採取するときには、第一の開口部54が排気口としての役割を果たすことができる。しかし、統合採取用具30における他の場所に追加排気口を形成できることも理解すべきである。たとえば、切り口部36に対向する鉛丹部にあるチャネル48によって、排気口を形成することもできる。図3に示されているように、誤って傷つけないように防止するため、保護キャップ68がブレード58を覆っている。保護キャップ68は、切り口を形成するのに使用する前に、ブレード58を確実に滅菌させるのにも役立つ。
【0020】
次に、統合採取用具30で体液を採取し、分析するための技術について、図4と図5を参照しながら説明していく。上記のように、統合採取用具30は、2種類の方法で体液を採取する。第一の方法では、チャネル48の第一の開口部54を介して、分析のため体液を自動的に採取する。分析には不十分な量の体液しか採集しなかった場合には、第二の開口部66を介して、手動で体液を採取することもできる。第二の開口部66を介して体液を採取する前に、必要な場合には、切り口の周囲の第二の開口部を押して、追加の体液を圧搾する。
【0021】
切り口を形成する前に、皮膚に採取用具30を発射して、切り口72を形成できる、体液採取用具に統合採取用具30を取り付ける。ひとつの実施例では、切り口が形成される体の部位は指で、別の実施例では、体の部位は前腕である。ただし、体液が体の他の部位から導入されうることも想定される。ひとたび発射すると、ブレード58が、皮膚に侵入して切り口を形成し、後で、ブレード58が、切り口部から全部または一部後退する。統合採取用具30は、ユーザーが手動で、またはスプリングなどの伸縮機構を介して自動で、切り口72から後退する。さらに、他の実施例では、ユーザーは、ブレード58を用いて手動で皮膚を開口させ、切り口を形成することができる。図4に示されている実施例では、体液74が切り口72から流出するように、ブレード58が、切り口72から完全に後退する。
【0022】
吸い上げ後、統合採取用具30を身体部分70の近位に配置し、切り口72から体液を採集する。統合採取用具30は、体液74を採集するための配置を単純化することを理解すべきである。吸い上げ後には、体液74を採取するのに、統合採取用具30を再度方向付けしたり、再配置する必要がない。さらに、採集シート52は、統合採取用具30が、切り口72から体液74を導入するため、身体部分70から適度に離れた位置に確実に配置されるように、ユーザー用の可視標識を備えている。描画されているように、採集シート52は、体液採集時に採集シート52が身体部分70と接触可能なように、ブレード58よりも長くなっている。他の実施例では、採集シート52は、ブレードよりも短いか、またはブレードと同等の長さであってもよい。可塑性があるため、採集シート52は、切り口72からの体液の流れ74が、制限されないように、身体部分70を実質的に圧迫しない。図に示されている実施例では、採集シート52は、体液74が導入されるときに、身体部分70と接触する。ただし、皮下の実施例では、採集シート52は、身体部分70と接触しないように、わずかに離れているが、体液74を導入できるだけ近い位置に配置可能であることが想定される。採集シート52の親水性が、採集シート52に沿ったチャネル48への体液の流れを促進する。図4に描画されているように、体液74は、第一の開口部54を介してチャネル48に導入され、体液74は、被検媒体に50輸送される。次に体液74を被検媒体50で分析し、体液74中の選択された検体の値など、所望の特性を」判断できる。
【0023】
場合によっては、切り口72から流れ出る(圧搾される)体液74の量がチャネル48を満たすには不十分なので、被検媒体50が正確な検査結果を提供できないことがある。採集シート52を観察していれば、ユーザーは、十分な量の体液がチャネル48ないに導入されたか否かを目で見て判断できる。他の実施例では、統合採取用具30に、体液標本の充足度を検出する、電極のようなセンサーを取り込むことができる。すでに説明したように、統合採取用具30は、被検媒体50上に体液74ドージングする第二の機会を与える、第二の開口部66を取り込んでいる。体液74は、2回目に切り口72から追加の体液が流出した後で、および/またはユーザーが、手動であるいは自動で、切り口72から追加の体液を圧搾した後で、体液74をドージングできる。たとえば、ユーザーは、身体部分70に対して圧搾面64を押し、切り口72から第二の開口部66に体液を流出させる。第二の開口部66は、第一の開口部54と比べ、被検媒体50の資格に配置されているので、導入しなくてはならない体液の量が、チャネル48に導入すべき体液の量よりかなり少なくなる。
【0024】
図5は、第二の開口部66を介して体液74を手動でドージングする際の、統合用具30を表している。第二の開口部66を介した体液74のドージングは、手動のドージングに関して説明するが、ドージングは自動でも行われうることが想定される。図に示されている実施例では、第二の開口部66を介して体液74を採取するときには、ユーザーが、体液採取用具の発射機構から統合採取用具30を取り外すが、他の実施例では、第二の開口部66を介してドージングする前に、採取用具30を体液採取用具に取り付けておけるということを理解すべきである。ユーザーは、第二の開口部66を介して体液を採取する前に、切り口72から体液を自然に流出させることができる。あるいは、または、さらに、体液74の量を増加させる目的で、ユーザーは、切り口72から追加体液74を圧搾することができる。図に示されている実施例では、ユーザーが切り込み72の周囲にある第二の開口部66を取り囲む圧搾面64を押す。指などの身体部分70を手動で圧縮すると、切り口72から第二の開口部66へ体液74が流れる。次に、体液74は、被検媒体50上に直接堆積し、体液標本の分析のため、被検媒体50が使用される。
【0025】
もうひとつの実施例による統合採取用具75が、図6に示されている。図に示されているように、図6の採取用具75は、チャネル48、被検媒体50、採集シート52、第一の開口部54およびブレード58など、上記の用具と共通の多数の機能を共有している。ただし、採取用具75の体の部位44に形成された第二の開口部を設ける代わりに、スペーサー46のひとつが、被検媒体50上に体液74を採集するときに通過する第二の開口部76を形成している。特に、図6に見られるように、採取用具75の右側面上のスペーサー46は、被検媒体50および体の部位44とともに、第二の開口部76を形成している、対抗しているスペーサー要素78を具備している。前の実施例と同様に、スペーサー46は、さらに、第一の開口部54に対向したチャネル48の縁端にある、チャネル48から空気を排気するための排気口80を形成している。ただし、第二の開口部76は、図6の右側にあるスペーサー46に形成されているが、第二の開口部76が、採取用具75の一方の側面または両側面に形成可能であることは理解すべきである。以前のように、第一の開口部を介して導入した体液の量が不十分であった場合には、第二の開口部76を使用して、被検媒体50上に体液74を手動でドージングすることができる。描画されているように、第二の開口部76の両側面は、体液の採取時にドーズのためらい現象が最低限度に抑えられるように、先細りの形状に成形されている。図に示されている実施例では、第二の開口部76は、被検媒体50によって完全に覆われるが、他の実施例では、第二の開口部76を被検媒体50からオフセットさせることができることが予想される。スペーサー76のひとつに第二の開口部76を形成することによって、統合採取用具75の製造を単純化できる。
【0026】
上記の実施例では、個々の統合採取用具だけが提示されているが、これらの採取用具は、複数の統合採取用具をいっしょに使用できるように、ドラムまたはカセットに統合可能であることを理解すべきである。たとえば、リール−リール型のカセットに保管できるベルトやテープを形成可能なように、複数の統合採取用具を可塑性シートで一括して連結できる。さらに、第二の開口部を統合採取用具のほかの場所に形成でき、採取用具が、体液の採取時に通過する2個以上の開口部を具備できることは予想される。図面に掲載されている統合採取用具は、2個またはそれ以上のスペーサーを具備しているが、採取用具が単一のスペーサーだけを具備できることも理解されよう。
【0027】
本発明については、図面に図示され、前述の説明に詳細に記述されているが、本発明は、図に示すことを目的としており、その内容に制限されないものとみなすべきであり、好ましい実施例だけが図示および説明されており、本発明の精神と範囲内におけるすべての変更および修正が保護されることが望ましいという点が理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明のひとつの実施例による、統合採取用具を表す図である。
【図2】図1に描画されている統合採取用具の背面図である。
【図3】図1に描画されている統合採取用具の拡大end図である。
【図4】図1に描画されている統合採取用具の第一の開口部を介して採取されている体液を示している。
【図5】図1に描画されている統合採取用具の第二の開口部を介して採取されている体液を示している。
【図6】もうひとつの実施例による、統合採取用具の正面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体液を分析するための統合採取用具であって、第一の開口部とチャネルを形成する採取部と、前記チャネルに沿って配置された体液を分析するための被検媒体とを具備し、前記採取部が、前記被検媒体上に体液をドージングするための前記第一の開口部より、前記被検媒体に近い位置に配置されている第二の開口部を具備していることを特徴とする用具。
【請求項2】
切り口を形成するため、前記第一の開口部の近位に伸びる切り口形成部材をさらに具備していることを特徴とする請求項1記載の用具。
【請求項3】
前記第一の開口部に体液を導入するため、前記第一の開口部の近位に伸びる親水性シートをさらに具備していることを特徴とする請求項2記載の用具。
【請求項4】
前記開口部が、前記被検媒体上で一部開口していることを特徴とする請求項1記載の用具。
【請求項5】
前記第二の開口部が、前記被検媒体上で直接開口していることを特徴とする請求項1記載の用具。
【請求項6】
前記第二の開口部が、善意被検媒体の側面で開口していることを特徴とする請求項1記載の用具。
【請求項7】
体液を前記第一の開口部に導入するために、前記第一の開口部に近位に伸びる親水性シートを具備することを特徴とする請求項1記載の用具。
【請求項8】
前記採取部が一般に平坦であることを特徴とする請求項1記載の用具。
【請求項9】
前記採取部および前記被検媒体がカセット内に取り込まれていることを特徴とする請求項1記載の用具。
【請求項10】
前記採取部が、ランセット内に形成された前記第一の開口部から伸びるブレード付きのランセットと、前記チャネルの対向する側面を形成する前記ランセット上の少なくとも2個のスペーサーと、前記第一の開口部に体液を導入するため、前記第一の開口部から伸びる部分を有する、前記2個のスペーサーを覆う採集シートとを具備していることを特徴とする請求項1記載の用具。
【請求項11】
前記チャネル内の体液の充足度を判断できるようにするため、前記採集シートが透明であることを特徴とする請求項10記載の用具。
【請求項12】
毛管現象を通じて体液を導入できるように、前記チャネルのサイズが決定されていることを特徴とする請求項10記載の用具。
【請求項13】
採取用具が、前記第一の開口部から伸びるブレード付きランセットと、前記第二の開口部が2個のスペーサーの少なくともひとつに形成されている、前記チャネルの対向する側面を形成する前記ランセット上の少なくとも2個のスペーサーと、前記第一の開口部に体液を導入するため、前記第一の開口部から伸びる部分を有する、前記2個のスペーサーを覆う採集シートとを具備することを特徴とする請求項1記載の用具。
【請求項14】
被検媒体上に体液を輸送するためのチャネルを具備している採取用具の第一の開口部に前記体液を導入するプロセスと、前記第一の開口部に導入された前記体液の量が不十分かを判断するプロセスと、前記第一の開口部に導入された前記体液の量が不十分であることが判明した場合に、前記第一の開口部より前記被検媒体に近い位置に配置された前記採集用具の第二の開口部で前記体液を採集するプロセスとを有することを特徴とする方法。
【請求項15】
前記被検媒体で前記体液を検査するプロセスをさらに有することを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記採取用具の前記第一の開口部に近位に伸びるブレードで切り口を形成するプロセスをさらに有し、該導入プロセスに、前記切り口から前記体液を導入するプロセス含むことを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項17】
前記採集プロセス前に、前記切り口から前記体液を圧搾するプロセスをさらに有することを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記圧搾プロセスに皮膚に対する前記採取用具の押し当て工程が含まれることを特徴とする請求項17記載の方法。
【請求項19】
該導入プロセスに毛管現象を通じてチャネルに前記体液を導入するプロセスが含まれることを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項20】
前記判断プロセスに前記第一の開口部に導入される前記体液の量が不十分であるかを目で見て判断する工程が含まれることを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項21】
前記判断プロセスに前記第一の開口部に導入された前記体液の量が、前記採取用具内のセンサーで不十分であるかを自動的に判断する工程が含まれることを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項22】
皮膚に切り口を形成するための手段と、前記切り口から前記体液を自動採集するための手段と、前記体液の自動採集に失敗したときに、前記切り口から前記体液を手動採取するための手段と、採集した前記体液を分析するための手段とを具備することを特徴とした統合採取用具。
【請求項23】
前記皮膚に前記切り口を形成するための該手段が、ランセットを具備しており、前記切り口方体液を自動採取するための該手段が、該ランセットの近位に配置された第一の開口部を具備しており、
前記体液の自動採取に失敗したときに、前記切り込みから体液を手動で採集するための該手段が、採集された前記体液を分析するための前期手段の近くに配置された第二の開口部を具備しており、さらに、採集した前記体液を分析するための該手段が、テストストリップを具備していることを特徴とする請求項22記載の用具。
【請求項24】
該第二の開口部が、該ランセット内に形成されていることを特徴とする請求項23記載の用具。
【請求項25】
該第二の開口部を形成しているスペーサーをさらに具備していることを特徴とする請求項23記載の用具。
【請求項26】
前記切り口から前記体液を自動採取するための該手段が、前記第一の開口部に体液を導入するため、前記第一の開口部から伸びた採集シートをさらに具備していることを特徴とする請求項23記載の用具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2007−536037(P2007−536037A)
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−511996(P2007−511996)
【出願日】平成17年5月3日(2005.5.3)
【国際出願番号】PCT/EP2005/004772
【国際公開番号】WO2005/107593
【国際公開日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願人】(501205108)エフ ホフマン−ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト (285)
【Fターム(参考)】