説明

自動パルス波形整形方式

【課題】 大電力送信の場合は、非線形な電力増幅器を用いるために、励振信号の波形整形が必要となり、また、電力増幅器の特性ばらつき、励振信号波形の変動その他により、それぞれの特性に応じた詳細な波形整形を行う必要があり、大変な労力が必要となる。
【解決手段】 変調器2は励振信号を波形制御回路9からの変調信号で波形整形された後、電力増幅器5〜5、電力合成器6、方向性結合器7を通り送信出力信号として出力される。送信出力信号は検波器8でモニタされ、このモニタ信号波形と基準信号波形とが比較器12で比較されて誤差が得られ、誤差・補正信号発生器14で記憶された後、加算器16で変調信号発生器15からの変調信号と加算される。これにより、上記の誤差が前の変調信号波形に補正された変調信号波形が加算器16から得られる。この補正を加えた次の変調信号で次の励振信号を変調し、パルス波形整形を行う動作を繰り返す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動パルス波形整形方式に係り、特に大電力を発生する送信機を有する航法援助装置及びレーダ装置等のパルス送信機において、送信信号であるパルスを波形整形する自動パルス波形整形方式に関する。
【背景技術】
【0002】
航法援助装置及びレーダ装置等のパルス送信機は大電力信号の発生が必要であり、電子管を使用したものが従来から広く使用されてきた。しかし、近年は電力用半導体デバイスの開発により、これを多数合成して大電力の送信出力を得るパルス送信機が実用されてきている。
【0003】
図8は従来の自動パルス波形整形方式が適用される上記のパルス送信機の一例のブロック図を示す。同図において、信号発生器1から出力された連続波は、パルス変調器20によりパルス変調され励振信号となる。この励振信号は、プリアンプ3で後段のn個(nは2以上の整数)の電力用半導体デバイスである電力増幅器5〜5の入力レベルまで増幅された後、電力分配器4によりn分配されて、電力増幅器5〜5に並列に入力される。
【0004】
電力増幅器5〜5の各々により別々に電力増幅されて取り出された励振信号は、電力合成器6により合成される。このように固体化送信機の場合、1個の電力用半導体デバイス(電力増幅器)の出力電力が小さいため、多数(図8ではn個)の電力用半導体デバイスを並列動作させ、これらの出力を電力合成器6で電力合成することにより、所望の出力電力を得ている。
【0005】
電力合成器6から出力された励振信号は、次段の濾波器又はパルス整形器21によって、所定の周波数成分を濾波するなどの方法により所望の送信出力信号波形に整形されて出力される。ここで、矩形波の立ち上がり、立ち下がりを滑らかにしたり、ガウシァン波形等で振幅変調することによって信号のスペクトラムの拡がりが抑えられ、不要輻射成分を低減させる方法は良く知られている。
【0006】
また、従来、パルス変調器からのパルス変調信号を補正ユニットに供給し、これにより生ぜられたエラー信号に基づき、パルス変調信号のパルスエッジにおいて連続的な遅延を導入してパルス変調信号を再タイミングするステップを備え、その再タイミングするステップが、パルス変調信号のスイッチングパワー増幅ステージからのパワー増幅信号に補償効果をもたらすような制御を行う方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1記載の方法によれば、パルスエッジ遅延によりパルス波形を整形している。
【0007】
【特許文献1】特許第3346581号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の図8に示した固体化送信機において、電力増幅器が線形回路である場合は励振信号を波形整形することによって所望の送信出力信号波形に整形させることが容易である。しかし、一般的に電力増幅器は効率を上げるためC級動作等の非線形回路であるため、励振信号の波形は歪み、変形されてしまう。このため、電力増幅器の後段でパルス整形を行う場合には、上記したように送信機の終段に濾波器又はパルス整形器21が必要となる。
【0009】
しかし、これらのコンポーネントの損失は送信電力の低下に直接結びつく上に、扱う電力が非常に大きいため、特殊なコンポーネントが必要となる。また、これを避けるために励振信号を波形整形することによって所望の送信出力信号波形に整形させる場合、C級動作の非線形な電力増幅器のため詳細な波形整形が必要となる。
【0010】
また、従来は電力増幅器(電力用半導体デバイス)5〜5の特性ばらつき、励振信号波形の変動、周波数特性その他により、それぞれの特性に応じた詳細な波形整形を行う必要があり、大変な労力が必要となる。
【0011】
一方、特許文献1記載の方法は、パワー増幅(電力増幅)の際に導入される非直線性を補正するため、パルス変調信号のパルスエッジを連続的な遅延により再タイミングするものであり、やはり詳細な波形整形が必要となる。
【0012】
本発明は以上の点に鑑みなされたもので、送信信号のパルス波形整形を容易に行えるようにした自動パルス波形整形方式を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するため、第1の発明の自動パルス波形整形方式は、励振信号を送信タイミングに同期したパルス列の変調信号でパルス変調することにより、波形整形する変調手段と、変調手段により波形整形されて出力された励振信号を、電力増幅する電力増幅手段と、電力増幅手段により電力増幅された励振信号を2分岐し、一方は送信出力信号として送信タイミングに同期して出力する分岐手段と、分岐手段により分岐された他方の送信出力信号を検波してモニタ信号を出力する検波手段と、基準信号発生器を含んでおり、その基準信号発生器から出力された基準信号の波形と検波手段から出力されたモニタ信号の波形とを比較して得た、それらの誤差に応じた誤差・補正信号で、前回の送信タイミングで出力された変調信号を補正し、その補正後の変調信号を次回の送信タイミングで変調手段へ出力する波形制御手段とを有することを特徴とする。
【0014】
この発明では、励振信号を変調信号で波形整形し、波形整形後の励振信号を電力増幅して送信出力するに際し、その送信出力信号をモニタし、このモニタ信号波形と基準信号波形とを比較して誤差をとり、この誤差を前の変調信号波形に補正して次の変調信号波形とし、補正を加えた次の変調信号で次の励振信号を変調し、パルス波形整形を行う動作を繰り返すようにしたため、送信出力信号波形は、基準信号波形に収束し、自動で基準信号波形と相似の送信出力信号波形が得られる。また、所望の基準信号波形を選ぶことにより、いかなる送信出力信号波形にも対応できる。例えば、基準信号波形にガウシァン波形を選ぶことにより、送信出力信号波形はガウシァン波形になり、信号のスペクトラムの拡がりが抑えられ不要輻射成分を低減させることができる。
【0015】
また、上記の目的を達成するため、第2の発明の自動パルス波形整形方式は、第1の発明の波形制御手段を、基準信号発生器と、基準信号発生器から出力された基準信号の波形と、モニタ信号の波形とを比較して、誤差・補正信号を出力する比較器と、比較器から出力された誤差・補正信号を記憶する誤差・補正信号発生器と、前回の送信タイミングで出力された変調信号を記憶する変調信号発生器と、次回の送信タイミングで、誤差・補正信号発生器から出力された前回の送信タイミングにおける誤差・補正信号と、変調信号発生器から出力される前回の送信タイミングにおける変調信号とを加算して、次回の送信タイミングでの補正後の変調信号として変調手段へ出力する加算手段とを有することを特徴とする。
【0016】
また、上記の目的を達成するため、第3の発明の自動パルス波形整形方式は、励振信号を送信タイミングに同期したk個(ただし、kは2以上の整数)のパルスからなるバーストパルスが時系列的に合成された変調信号でパルス変調することにより、波形整形する変調手段と、変調手段により波形整形されて出力された励振信号を、電力増幅する電力増幅手段と、電力増幅手段により電力増幅された励振信号を2分岐し、一方は送信出力信号としてバーストパルスの送信タイミングに同期して出力する分岐手段と、分岐手段により分岐された他方の送信出力信号を検波してモニタ信号を出力する検波手段と、基準信号発生器を含んでおり、その基準信号発生器から出力された基準信号の波形と、検波手段から出力された、バーストパルス中のk個のパルスのうちのj番目(ただし、jは1〜kの内の任意の値)のパルスに同期した送信出力信号のモニタ信号の波形とを比較して得た、それらの誤差に応じた誤差・補正信号で、バーストパルス中のk個のパルスのうちのj番目のパルスの送信タイミングで出力された変調信号を補正し、その補正後の変調信号を次回のバーストパルス中のk個のパルスのうちのj番目のパルスの送信タイミングで変調手段へ出力する波形制御手段とを有することを特徴とする。
【0017】
この発明では、励振信号を送信タイミングに同期したk個のパルスからなるバーストパルスが時系列的に合成された変調信号でパルス変調することにより、励振信号を波形整形するに際し、バーストパルス中のk個のパルスのうちのj番目のパルスに同期した送信出力信号のモニタ信号の波形とを比較して得た、それらの誤差に応じた誤差・補正信号で、バーストパルス中のk個のパルスのうちのj番目のパルスの送信タイミングで出力された変調信号を補正し、その補正後の変調信号を次回のバーストパルス中のk個のパルスのうちのj番目のパルスの送信タイミングで変調手段へ出力するようにしたため、送信出力信号波形を基準信号波形に自動的に収束させることができる。
【0018】
また、上記の目的を達成するため、第4の発明の自動パルス波形整形方式は、第3の発明における波形制御手段を、基準信号発生器と、基準信号発生器から出力された基準信号の波形と、バーストパルス中のk個のパルスのうちのj番目のパルスに同期した送信出力信号のモニタ信号の波形とを比較して、誤差・補正信号を出力する比較器と、比較器から出力された誤差・補正信号を記憶する誤差・補正信号発生器と、バーストパルス中のk個のパルスのうちのj番目のパルスの送信タイミングで出力された変調信号を記憶する変調信号発生器と、誤差・補正信号発生器から出力されたバーストパルス中のk個のパルスのうちのj番目のパルスの送信タイミングにおける誤差・補正信号と、変調信号発生器から出力されるバーストパルス中のk個のパルスのうちのj番目のパルスの送信タイミングにおける変調信号とを加算して、次回のバーストパルス中のk個のパルスのうちのj番目のパルスの送信タイミングでの補正後の変調信号として変調手段へ出力する加算手段とを有することを特徴とする。
【0019】
また、上記の目的を達成するため、第5の発明の自動パルス波形整形方式は、第4の発明における基準信号発生器が、N種類(ただし、Nはパルス特性又はバースト特性に応じた2以上の整数)の基準信号を発生する基準信号発生部と、N種類の基準信号のうち一の種類の基準信号を選択する第1の切換器とよりなり、誤差・補正信号発生器が、バーストパルス中のk個のパルスの各送信タイミングに同期した送信出力信号送信時における、誤差・補正信号を別々に記憶するk個の記憶領域を有する第1のメモリ回路がN個と、N個の第1のメモリ回路のうち選択した一の第1のメモリ回路のj番目の記憶領域に、バーストパルス中のk個のパルスのうちのj番目のパルスの送信タイミングにおける誤差・補正信号を記憶させる第2の切換器と、N個の第1のメモリ回路のうち選択した一の第1のメモリ回路のj番目の記憶領域から、次回のバーストパルス中のk個のパルスのうちのj番目のパルスの送信タイミングで、前回のバーストパルス中のk個のパルスのうちのj番目のパルスの送信タイミングにおける誤差・補正信号を読み出す第3の切換器とよりなり、変調信号発生器が、バーストパルス中のk個のパルスの各送信タイミングに同期した送信出力信号送信時における、変調信号を別々に記憶するk個の記憶領域を有する第2のメモリ回路がN個と、N個の第2のメモリ回路のうち選択した一の第2のメモリ回路のj番目の記憶領域に、バーストパルス中のk個のパルスのうちのj番目のパルスの送信タイミングにおける変調信号を記憶させる第4の切換器と、N個の第2のメモリ回路のうち選択した一の第2のメモリ回路のj番目の記憶領域から、次回のバーストパルス中のk個のパルスのうちのj番目のパルスの送信タイミングで、前回のバーストパルス中のk個のパルスのうちのj番目のパルスの送信タイミングにおける変調信号を読み出す第5の切換器とよりなる構成とし、N種類のうち送信時に用いる1種類のバーストパルスの特性に応じて、第1乃至第5の切換器を切換制御する切換信号を出力する切換信号発生器を更に有することを特徴とする。
【0020】
この発明では、波形整形に用いる変調信号のパルス特性又はバースト特性がN種類ある場合であっても、それぞれN個ある基準信号、誤差・補正信号発生器内の第1のメモリ回路、変調信号発生器内の第2のメモリ回路を、第1乃至第5の切換器を、波形整形に用いる変調信号のパルス特性又はバースト特性に応じた一つを選択することにより、第3の発明と同様にして、送信出力信号波形を基準信号波形に自動的に収束させることができる。
【0021】
また、上記の目的を達成するため、第6の発明の自動パルス波形整形方式は、電力増幅手段が、変調手段により波形整形されて出力された励振信号をM分配(Mは2以上の整数)する電力分配器と、電力分配器から並列に出力されるM個の励振信号を別々に電力増幅するM個の電力増幅器と、M個の電力増幅器から電力増幅されて出力された励振信号を一つに合成する電力合成器とからなることを特徴とする。この発明では、大電力増幅した送信信号を送信する送信機において、電力増幅器1個当りの電力増幅度が小さくても大電力増幅された送信出力信号を出力することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、励振信号を変調信号で波形整形し、波形整形後の励振信号を電力増幅して送信出力するに際し、その送信出力信号をモニタし、このモニタ信号波形と基準信号波形とを比較して誤差をとり、この誤差を前の変調信号波形に補正して次の変調信号波形とし、補正を加えた次の変調信号で次の励振信号を変調し、パルス波形整形を行う動作を繰り返すことにより、自動で送信出力信号波形を、基準信号波形に収束させることができるため、以下の特長を有するものである。
【0023】
(1)所望の基準信号波形を選ぶことにより、基準信号波形と相似の送信出力信号波形を自動で容易に得ることができる。
【0024】
(2)所望の送信信号出力時のモニタ信号レベルに基準信号のレベルを合わせることにより、自動で送信出力レベルを一定にすることができる。また、基準信号レベルを可変することにより送信出力レベルを容易に可変することができる。
【0025】
(3)大電力濾波器又は大電力用の波形整形器が不要となり、これらのコンポーネントによる電力損失を無くすことができる。
【0026】
(4)自動で波形整形されるため、電力増幅器(半導体デバイス)の特性ばらつき、励振信号波形の変動、周波数特性他によりそれぞれの特性に応じた詳細な波形整形を行うための大変な労力を無くすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
次に、本発明を実施するための最良の形態について説明する。図1は本発明になる自動パルス波形整形方式の一実施の形態のブロック図を示す。この実施の形態は、航法援助装置及びレーダ装置等のパルス送信機に適用したものであり、同図中、図8と同一構成部分には同一符号を付してある。
【0028】
図1に示す実施の形態は、連続波又は矩形波を発生する信号発生器1と、波形制御回路9からの変調信号波形により、上記の連続波又は矩形波をパルス変調し送信励振信号を生成する変調器2と、変調器2から出力された送信励振信号を電力増幅器5〜5の入力レベルまで増幅するプリアンプ3と、プリアンプ3からの送信励振信号を電力増幅器5〜5と同数のn分配する電力分配器4と、電力分配器4からの送信励振信号を規定の送信出力レベルまで別々に増幅する電力増幅器5〜5と、電力増幅器5〜5で各々電力増幅されたn個の送信信号を一つに合成する電力合成器6と、電力合成器6から出力された合成送信信号をモニタするため合成送信信号の一部を取り出す方向性結合器7と、方向性結合器7から出力された合成送信信号を検波し、モニタ信号を発生させる検波器8と、基準信号を発生し、基準信号波形とモニタ信号波形とを比較し誤差・補正信号を発生し、前の変調信号波形にこの誤差・補正信号を補正して次の変調信号波形を発生させる波形制御回路9とを有している。
【0029】
波形制御回路9は、基準信号発生器11、比較器12、誤差・補正信号発生器14、変調信号発生器15及び加算器16より大略構成されている。比較器12は、基準信号発生器11から出力された基準信号波形と、検波器8から出力されたモニタ信号波形(送信出力信号波形)とを比較し、その比較信号を誤差・補正信号発生器14に供給する。誤差・補正信号発生器14は入力された比較信号に基づき、上記の基準信号波形とモニタ信号波形(送信出力信号波形)との間の波形の誤差に応じた誤差・補正信号を発生する。
【0030】
加算器16は、上記の誤差・補正信号と加算器16から前回の補正の際に出力された加算信号に基づき変調信号発生器15から発生される変調信号とを加算して、次の変調信号を発生し、それを変調器2に供給すると共に、変調信号発生器15に供給し、更に次の変調信号を生成させる。このように、補正を加えた次の変調信号で次の励振信号を変調して、パルス波形整形を行うことを繰り返すことにより、送信出力信号波形は、基準信号波形に収束し、自動で基準信号波形と相似の送信出力信号波形を得ることができる。
【0031】
次に、波形制御回路9の構成及び動作について、更に詳細に説明する。図2は図1中の波形制御回路9の一実施の形態である波形制御回路9aのブロック図を示す。同図中、図1と同一構成部分には同一符号を付してある。図2に示す波形制御回路9aにおいて、比較器12は、検波器8からのモニタ信号102と基準信号発生器11からの基準信号103とを比較し、誤差・補正信号104を出力する。ADC13は、この誤差・補正信号104をA/D変換し、ディジタル信号である誤差・補正データを誤差・補正信号発生器14に出力する。
【0032】
誤差・補正信号発生器14は、2つのメモリ141及び142が縦続接続された構成であり、変調信号発生器15も2つのメモリ151及び152が縦続接続された構成である。波形制御回路9は、N発目の送信タイミングに合わせて、変調信号101を出力するときは、変調信号発生器15内のメモリ151及び152のうち、メモリ151が次のタイミングの(N+1)発目の変調信号データを記憶すると共に、メモリ152が直前のタイミングの(N−1)発目の変調信号データを出力する。
【0033】
一方、誤差・補正信号発生器14内のメモリ141及び142のうち、メモリ141は、次のタイミングの(N+1)発目の誤差・補正データを記憶し、メモリ142は直前のタイミングの(N−1)発目の誤差・補正信号データを出力する。これにより、加算器16は、メモリ142からの(N−1)発目の誤差・補正信号データと、メモリ152からの(N−1)発目の変調信号データとを加算して(N−1)発目の変調信号を誤差補正し、N発目の変調信号データを生成する。DAC17はN発目の変調信号データをD/A変換し、アナログ信号であるN発目の変調信号101を出力する。
【0034】
次に、本実施の形態の動作について図3のタイミングチャートを、図1及び図2と併せ参照して説明する。分かりやすいように、N発目の送信出力を例に取り説明する。まず、N発目の送信のタイミングに合わせ、変調信号発生器15の後段のメモリ152から(N−1)発目の変調信号データ(1発目は基準信号と同じ)と、誤差・補正信号発生器14の後段のメモリ142から(N−1)発目の誤差・補正信号データ(1発目は誤差0)とが読み出されて、加算器16で加算され、次のN発目の変調信号データが生成される。
【0035】
この変調信号データは、2つに分けられ、一方のN発目の変調信号データは、DAC17によりD/A変換され、アナログ信号である図3(A)に示すN発目の変調信号101として出力され、N発目に送信する励振信号の変調に使われる。他方のN発目の変調信号データは、(N+1)発目の変調信号として使うため、変調信号発生器15内の初段のメモリ151に記憶される。
【0036】
一方、図1の信号発生器1から出力された連続波は、上記のN発目の送信のタイミングに合わせ、波形制御回路9から上記のようにして生成された出力された図3(A)に示すN発目の変調信号により、変調器2でパルス変調・波形整形され励振信号となる。この励振信号は、図1に示すプリアンプ3で電力増幅器5〜5の入力レベルまで増幅された後、電力分配器4に供給されてn分配され、電力増幅器5〜5にそれぞれ供給されて、別々に規定の送信出力レベルまで増幅される。電力増幅器5〜5で各々増幅された全部でn個の励振信号は、電力合成器6で一つの信号に電力合成された後、方向性結合器7を通りN発目の送信出力信号として出力される。
【0037】
また、このとき、N発目の送信出力信号をモニタするため、図1に示す方向性結合器7で送信信号の一部を取り出し、このN発目の送信出力信号を検波器8で検波し、N発目のモニタ信号を発生させる。図2に示す波形制御回路9の比較器12は、基準信号発生器11から出力された図3(C)に示すN発目の基準信号103の波形と、図3(B)に示す上記のN発目のモニタ信号の波形とを比較し、それらの誤差を図3(D)に示すようなN発目の誤差・補正信号104を発生させる。このN発目の誤差・補正信号104は、ADC13でA/D変換されてディジタル信号の誤差・補正信号データとされて誤差・補正信号発生器14内の初段のメモリ141に記憶される。
【0038】
次に、波形制御回路9は、(N+1)発目の送信が始まる前に、図2に示す変調信号発生器15内のメモリ151に記憶したN発目の変調信号データと、誤差・補正信号発生器14内のメモリ141に記憶したN発目の誤差・補正信号データとを、それぞれの後段のメモリ152、メモリ142に転送して記憶させる。
【0039】
続いて、波形制御回路9は(N+1)発目の送信タイミングに合わせ、メモリ152に転送して記憶しておいたN発目の変調信号データと、メモリ142に転送して記憶しておいたN発目の誤差・補正信号データをそれぞれ出力し、これらを加算器16で加算して、N発目の変調信号をN発目の誤差・補正信号で補正した(N+1)発目の変調信号データを作り、(N+2)発目の変調信号を作成するために、これをメモリ151に記憶する一方、DAC17を通して図3(A)に示す(N+1)発目の変調信号101として波形制御回路9から変調器2へ出力し、ここで信号発生器1よりの連続波と変調させて(N+1)発目の励振信号を生成させる。
【0040】
この(N+1)発目の励振信号も電力増幅器5〜5で各々増幅されてから、電力合成器6で一つの信号に電力合成された後、方向性結合器7を通り(N+1)発目の送信出力信号として出力される一方、方向性結合器7で一部が分岐されて検波器8で(N+1)発目の送信出力信号としてモニタされて、基準信号発生器11で出力された基準信号103と比較器12で比較され、誤差を(N+1)発目の誤差・補正信号104として出力される。以下、上記と同様の動作が繰り返される。
【0041】
上記と同様にして、直前の送信タイミングの変調信号を、直前の送信タイミングで送信された送信出力信号のモニタ信号と基準信号との誤差・補正信号で補正して、それを次のタイミングの変調信号として生成して次のタイミングの励振信号及び送信出力信号を生成することを繰り返すことにより、送信出力信号波形は基準信号波形に収束し、自動で基準信号波形と相似の送信出力信号波形が得られる。
【0042】
このように、本実施の形態によれば、送信出力信号波形は基準信号波形に収束するため、所望の基準信号波形を選ぶことにより、基準信号波形と相似の送信出力信号波形を自動で得ることができ、また、所望の送信出力信号の出力時のモニタ信号レベルに基準信号のレベルを合わせることにより、自動で送信出力レベルを一定にすることができ、基準信号レベルを可変することにより送信出力信号レベルを容易に可変することができる。
【0043】
また、本実施の形態によれば、大電力濾波器又は大電力用の波形整形器が不要となり、これらのコンポーネントによる電力損失を無くすことができ、更には、電力増幅器(電力用半導体デバイス)5〜5の特性ばらつき、励振信号波形の変動、周波数特性その他により、それぞれの特性に応じた詳細な波形整形が不要であり、それらの労力を無くすことができる。
【0044】
次に、本発明の他の実施の形態について説明する。本発明の他の実施の形態は、送信出力信号のパルス特性(パルス幅、立ち上がり/立ち下がり時間、シングル/ペアパルス)やバースト特性(基本パルス、パルス数、パルス間隔)により、それぞれのパルス群に分け、パルス群毎にそれぞれの変調信号、誤差・補正信号を出力、記憶できる機能と、パルス群毎の基準信号を出力できる機能と、パルス群の種類に応じてこれを選ぶ機能とを持たせることにより、送信信号のパルス特性、バースト特性の種類に対応できるようにしたものである。これは、図1乃至図3と共に説明した実施の形態のパルス毎の補正では、補正しきれない場合があり、これを補うものである。
【0045】
バーストは、単発のパルスに比べ約十数倍のデューティサイクルを有するため、温度上昇、電源のドロップ等不可避的な原因により、電力増幅器の特性が短い時間で変化する。従って、補正を加えない送信出力信号は変動する。説明し易いように送信出力信号を3発出力するバーストパルス(1発のバーストパルスが3発のパルスからなるパルス列)を例にとり、これを図4に示す。なお、1発のバーストパルスは、例えば各々パルス幅が3.0〜3.5μs程度のパルスが30μs周期で入力される3発のパルスからなるパルス列である。
【0046】
図4(B)に示すように、補正を加えないバースト1発目の送信出力信号は、同図(A)に示す基準信号レベルの出力であるが、上記説明の原因により、同じバースト1発目ではパルスが2発目、3発目と進むにつれて、同図(B)に示すように送信出力信号が低下するが、次のバースト2発目では温度、電源の状態が元に戻るのでバースト1発目と同じ出力特性となる。
【0047】
これに対し、上記の実施の形態のように、パルス毎の補正を加えた例を図5に示す。パルス毎に補正を行う場合は、図5(B)に示すように、バースト1発目の送信出力信号中の1発目の、同図(C)に示す基準信号レベルとの誤差が、同図(D)に示すように0であり、その結果、送信出力信号の2発目の変調信号は同図(A)に示すように1発目と同じとなるため、送信出力信号2発目のレベルは同図(B)に示すように0.2低下する。
【0048】
これにより、2発目の誤差は図5(D)に示すように0.2となり、2発目の変調信号にその誤差が加えられて、同図(A)に示すように3発目の変調信号が、基準信号より0.2大きいレベルとなる。このため、3発目の送信出力信号レベルは補正なしでは0.4低下するところ、図5(B)に示すように0.2の低下に止まる。
【0049】
これにより、3発目の誤差は図5(D)に示すように0.2となり、3発目の変調信号にその誤差が加えられて、同図(A)に示すように3発目の変調信号が、基準信号より0.2大きいレベルとなる。その結果、バースト2発目の送信出力1発目の変調信号は、図5(A)に示すように、3発目の誤差0.2と基準信号より0.2大きいレベルの3発目の変調信号とが加算されて、基準信号よりも0.4大きい変調信号となる。
【0050】
従って、バースト2発目の1発目送信出力信号レベルは、図5(B)に示すように、基準信号より0.4大きくなり、同図(C)に示す基準信号との誤差は、同図(D)に示すように−0.4となる。以下、同様の動作の結果、図5に示すようになり、送信出力信号レベルは基準信号レベルに収束しない。これは送信出力時の状態が変化するなかで、違う状態での誤差を補正しているためである。
【0051】
このため、送信出力時の状態が変化するなかで、同じ状態での誤差を補正するため、バーストを一つのパルス群とし、バースト1発目の送信出力1発目はバースト2発目の送信出力1発目に、バースト1発目の送信出力2発目はバースト2発目の送信出力2発目の送信出力2発目に、バースト1発目の送信出力3発目はバースト2発目の送信出力3発目にそれぞれ誤差補正することで、この問題を解決した。
【0052】
これが本発明の他の実施の形態である。図6は本発明になる自動パルス波形整形方式の他の実施の形態の要部である波形制御回路9bのブロック図を示す。同図中、図2と同一構成部分には同一符号を付してある。なお、波形制御回路9b以外の構成は、図1の構成と同じである。図6に示す波形制御回路9bにおいて、基準信号発生器11は、N個のパルス群用基準信号を発生する基準信号発生器111〜111と、これらの基準信号発生器111〜111の出力基準信号から一の基準信号103を選択出力する切換器112とよりなる。
【0053】
また、誤差・補正信号発生器14は、N個のパルス群毎に変調信号データを発生/記憶させるための、縦続接続された2つのメモリからなるメモリ回路144−1〜144−Nと、メモリ回路144−1〜144−Nに供給する誤差・補正信号データをパルス群毎に切り換える切り換え器143と、メモリ回路144−1〜144−Nから出力される誤差・補正信号データの中から一の誤差・補正信号データを選択する出力する切換器144とより構成されている。
【0054】
また、変調信号発生器15は、N個のパルス群毎に変調信号データを発生/記憶させるための、縦続接続された2つのメモリからなるメモリ回路154−1〜154−Nと、メモリ回路154−1〜154−Nに供給する変調信号データをパルス群毎に切り換える切り換え器153と、メモリ回路154−1〜154−Nから出力される変調信号データの中から一の変調信号データを選択する出力する切換器154とより構成されている。また、送信信号のパルス群の種類に応じて、パルス切換信号105を切換器112、143、145、153及び155に供給して、このパルス群を選択切換するパルス群切換器18を有する。この実施の形態は、バーストパルスがN種類の特性の場合(パルス群がN個の場合)に対応できる実施の形態である。
【0055】
すなわち、誤差・補正信号発生器14内と変調信号発生器15内には、メモリ回路がそれぞれ144−1〜144−Nと、154−1〜154−Nで示すように、N種類のバーストパルスに対応してN回路設けられており、また、誤差・補正信号発生器14内のメモリ回路144−1〜144−Nと、変調信号発生器15内のメモリ回路154−1〜154−Nのそれぞれは、一つのバーストパルスがk個のパルスからなる場合は、k個の記憶領域を有しており、そのk個の記憶領域に前回のバーストパルスのk個のパルス出力時の誤差・補正信号データや変調信号データを各パルス対応で記憶するようになされている。
【0056】
次に、本実施の形態の動作について説明する。あるm発目のバーストパルスの2発目出力の場合(バーストm発目の送信出力2発目出力の場合)、選択された2発目のパルスの送信のタイミングに合わせ、変調信号発生器15からは切換器155により選択されたパルス群のメモリ回路(ここでは、一例として154−1とする)内の後段のメモリの第2の記憶領域に記憶されている、(m−1)発目のバーストパルスの2発目の変調信号(1発目は選択されたパルス群の基準信号と同じ)が出力される一方、誤差・補正信号発生器14からは切換器145により選択されたパルス群のメモリ回路144−1の後段のメモリの第2の記憶領域に記憶されている、(m−1)発目のバーストパルスの2発目の誤差・補正信号(最初は誤差0)が出力され、それらが加算器16で加算されて、m発目のバーストパルスの2発目の変調信号が生成される。
【0057】
この変調信号は、2つに分けられ、一方は、DAC17によりD/A変換されて、m発目のバーストパルスの2発目の変調信号として図1の変調器2へ出力されてバーストm発目の送信出力2発目に送信する励振信号の変調に使われ、他方は、バースト(m+1)発目の送信出力2発目の変調信号として使うため、変調信号発生器15の切換器153により選択されたパルス群2のメモリ回路154−2の初段のメモリに記憶される。変調器2から取り出された信号は、図1と共に説明したように、プリアンプ3、電力分配器4、電力増幅器5〜5、電力合成器6及び方向性結合器7を経由してバーストm発目の送信出力2発目として出力される一方、検波器8にて検波される。
【0058】
検波器8からのバーストm発目の送信出力2発目のモニタ信号102は、図6の基準信号発生器11内の切換器112で選択された1番目のパルス群の基準信号111と比較器12で比較され、それらの誤差が2発目の誤差・補正信号104として出力される。この誤差・補正信号104は、ADC13でA/D変換された後、誤差・補正信号発生器14の切換器143で選択されたパルス群のメモリ回路144−1の初段のメモリの第2の記憶領域に記憶される。
【0059】
3発目の送信が始まる前に、変調信号発生器15の選択されたパルス群のメモリ回路154−1及び誤差・補正信号発生器14のメモリ回路144−1の各初段のメモリの第2の記憶領域に記憶された2発目の各データは、それぞれの後段のもう一方のメモリに転送され、その第2の記憶領域に記憶される。以後、バーストパルスの3発目のパルス送信タイミングに合わせ、送信信号のパルス群のメモリ回路144−1、154−1の第3の記憶領域から読み出されたバースト(m−1)発目の送信出力3発目の誤差・補正信号データや変調信号データを選択し、上記動作を繰り返す。以下、同様に、この動作を繰り返すことにより、送信出力信号波形は各パルス群毎の基準信号波形に収束させることができる。
【0060】
従って、この実施の形態によれば、図7に示すように、バースト1発目の送信出力1発目、バースト2発目の送信出力1発目等では、誤差(=基準信号−モニタ信号(送信出力信号))は図7(D)に示すように、0であり、そのモニタ送信出力はいずれも同図(B)に示すように同図(A)に示す基準信号と同じレベルであり、また、バースト1発目の送信出力2発目は同図(D)に示すように+0.2となり、モニタ送信出力は同図(B)に示すように、基準信号よりも−0.2低下するが、その誤差とバースト1発目の送信出力2発目の変調信号出力を加算することにより得られるバースト2発目の変調信号は同図(A)に示すように、+0.2になる。
【0061】
また、バースト1発目の送信出力3発目の送信出力は同図(B)に示すように−0.4であり、そのときの同図(C)に示す基準信号との誤差(=基準信号−モニタ信号(送信出力信号))は、同図(D)に示すように、誤差が+0.4となる。従って、その誤差とバースト1発目の送信出力3発目の変調信号出力を加算することにより得られる、バースト2発目の送信出力3発目の変調信号は同図(A)に示すように、+0.4になる。この結果、バースト2発目以降の各送信出力は図7(B)に示すように、同図(C)に示すように基準信号と同じレベルの信号を出力することができる。
【0062】
このように、本実施の形態では、バースト1発目の送信出力1発目はバースト2発目の送信出力1発目に、バースト1発目の送信出力2発目はバースト2発目の送信出力2発目の送信出力2発目に、バースト1発目の送信出力3発目はバースト2発目の送信出力3発目にそれぞれ誤差補正することで、自動で送信出力レベルを一定にすることができ、基準信号レベルを可変することにより送信出力信号レベルを容易に可変することができる。
【0063】
また、本実施の形態によれば、大電力濾波器又は大電力用の波形整形器が不要となり、これらのコンポーネントによる電力損失を無くすことができ、更には、電力増幅器(電力用半導体デバイス)5〜5の特性ばらつき、励振信号波形の変動、周波数特性その他により、それぞれの特性に応じた詳細な波形整形が不要であり、それらの労力を無くすことができる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、DME/TACAN装置及びパルスレーダ装置等で用いられる大電力送信信号の発生方式に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の一実施の形態のブロック図である。
【図2】本発明方式中の波形制御回路の一実施の形態のブロック図である。
【図3】図2の動作説明用タイミングチャートである。
【図4】補正なしの場合の動作説明図である。
【図5】パルス毎の補正の場合の動作説明図である。
【図6】本発明方式中の波形制御回路の他の実施の形態のブロック図である。
【図7】図6によるパルス群毎の補正の場合の動作説明図である。
【図8】従来の一例のブロック図である。
【符号の説明】
【0066】
1 信号発生器
2 変調器
3 プリアンプ
4 電力分配器
51〜5n 電力増幅器
6 電力合成器
7 方向性結合器
8 検波器
9、9a、9b 波形制御回路
11 基準信号発生器
12 比較器
13 ADC
14 誤差・補正信号発生器
15 変調信号発生器
16 加算器
17 DAC
18 パルス群切換器
101 変調信号
102 モニタ信号
103 基準信号
104 誤差・補正信号
105 パルス群切換信号
111〜111 パルス群基準信号
143、145、153、155 切換器
144−1〜144N、154−1〜154−N メモリ回路






【特許請求の範囲】
【請求項1】
励振信号を送信タイミングに同期したパルス列の変調信号でパルス変調することにより、波形整形する変調手段と、
前記変調手段により波形整形されて出力された前記励振信号を、電力増幅する電力増幅手段と、
前記電力増幅手段により電力増幅された前記励振信号を2分岐し、一方は送信出力信号として前記送信タイミングに同期して出力する分岐手段と、
前記分岐手段により分岐された他方の送信出力信号を検波してモニタ信号を出力する検波手段と、
基準信号発生器を含んでおり、その基準信号発生器から出力された基準信号の波形と前記検波手段から出力されたモニタ信号の波形とを比較して得た、それらの誤差に応じた誤差・補正信号で、前回の送信タイミングで出力された前記変調信号を補正し、その補正後の前記変調信号を次回の送信タイミングで前記変調手段へ出力する波形制御手段と
を有することを特徴とする自動パルス波形整形方式。
【請求項2】
前記波形制御手段は、
前記基準信号発生器と、
前記基準信号発生器から出力された前記基準信号の波形と、前記モニタ信号の波形とを比較して、前記誤差・補正信号を出力する比較器と、
前記比較器から出力された前記誤差・補正信号を記憶する誤差・補正信号発生器と、
前記前回の送信タイミングで出力された前記変調信号を記憶する変調信号発生器と、
前記次回の送信タイミングで、前記誤差・補正信号発生器から出力された前記前回の送信タイミングにおける前記誤差・補正信号と、前記変調信号発生器から出力される前記前回の送信タイミングにおける前記変調信号とを加算して、前記次回の送信タイミングでの補正後の変調信号として前記変調手段へ出力する加算手段と
を有することを特徴とする請求項1記載の自動パルス波形整形方式。
【請求項3】
励振信号を送信タイミングに同期したk個(ただし、kは2以上の整数)のパルスからなるバーストパルスが時系列的に合成された変調信号でパルス変調することにより、波形整形する変調手段と、
前記変調手段により波形整形されて出力された前記励振信号を、電力増幅する電力増幅手段と、
前記電力増幅手段により電力増幅された前記励振信号を2分岐し、一方は送信出力信号として前記バーストパルスの送信タイミングに同期して出力する分岐手段と、
前記分岐手段により分岐された他方の送信出力信号を検波してモニタ信号を出力する検波手段と、
基準信号発生器を含んでおり、その基準信号発生器から出力された基準信号の波形と、前記検波手段から出力された、前記バーストパルス中の前記k個のパルスのうちのj番目(ただし、jは1〜kの内の任意の値)のパルスに同期した送信出力信号のモニタ信号の波形とを比較して得た、それらの誤差に応じた誤差・補正信号で、前記バーストパルス中の前記k個のパルスのうちの前記j番目のパルスの送信タイミングで出力された前記変調信号を補正し、その補正後の前記変調信号を次回のバーストパルス中の前記k個のパルスのうちのj番目のパルスの送信タイミングで前記変調手段へ出力する波形制御手段と
を有することを特徴とする自動パルス波形整形方式。
【請求項4】
前記波形制御手段は、
前記基準信号発生器と、
前記基準信号発生器から出力された前記基準信号の波形と、前記バーストパルス中の前記k個のパルスのうちの前記j番目のパルスに同期した送信出力信号のモニタ信号の波形とを比較して、前記誤差・補正信号を出力する比較器と、
前記比較器から出力された前記誤差・補正信号を記憶する誤差・補正信号発生器と、
前記バーストパルス中の前記k個のパルスのうちの前記j番目のパルスの送信タイミングで出力された前記変調信号を記憶する変調信号発生器と、
前記誤差・補正信号発生器から出力された前記バーストパルス中の前記k個のパルスのうちの前記j番目のパルスの送信タイミングにおける前記誤差・補正信号と、前記変調信号発生器から出力される前記バーストパルス中の前記k個のパルスのうちの前記j番目のパルスの送信タイミングにおける前記変調信号とを加算して、前記次回のバーストパルス中の前記k個のパルスのうちのj番目のパルスの送信タイミングでの補正後の変調信号として前記変調手段へ出力する加算手段と
を有することを特徴とする請求項3記載の自動パルス波形整形方式。
【請求項5】
前記基準信号発生器は、N種類(ただし、Nはパルス特性又はバースト特性に応じた2以上の整数)の基準信号を発生する基準信号発生部と、前記N種類の基準信号のうち一の種類の基準信号を選択する第1の切換器とよりなり、
前記誤差・補正信号発生器は、前記バーストパルス中の前記k個のパルスの各送信タイミングに同期した送信出力信号送信時における、前記誤差・補正信号を別々に記憶するk個の記憶領域を有する第1のメモリ回路がN個と、前記N個の第1のメモリ回路のうち選択した一の第1のメモリ回路のj番目の記憶領域に、前記バーストパルス中の前記k個のパルスのうちの前記j番目のパルスの送信タイミングにおける前記誤差・補正信号を記憶させる第2の切換器と、前記N個の第1のメモリ回路のうち選択した一の第1のメモリ回路のj番目の記憶領域から、前記次回のバーストパルス中の前記k個のパルスのうちのj番目のパルスの送信タイミングで、前回のバーストパルス中の前記k個のパルスのうちの前記j番目のパルスの送信タイミングにおける前記誤差・補正信号を読み出す第3の切換器とよりなり、
前記変調信号発生器は、前記バーストパルス中の前記k個のパルスの各送信タイミングに同期した送信出力信号送信時における、前記変調信号を別々に記憶するk個の記憶領域を有する第2のメモリ回路がN個と、前記N個の第2のメモリ回路のうち選択した一の第2のメモリ回路のj番目の記憶領域に、前記バーストパルス中の前記k個のパルスのうちの前記j番目のパルスの送信タイミングにおける前記変調信号を記憶させる第4の切換器と、前記N個の第2のメモリ回路のうち選択した一の第2のメモリ回路のj番目の記憶領域から、前記次回のバーストパルス中の前記k個のパルスのうちのj番目のパルスの送信タイミングで、前記前回のバーストパルス中の前記k個のパルスのうちのj番目のパルスの送信タイミングにおける前記変調信号を読み出す第5の切換器とよりなり、
前記N種類のうち送信時に用いる1種類のバーストパルスの特性に応じて、前記第1乃至第5の切換器を切換制御する切換信号を出力する切換信号発生器を更に有することを特徴とする請求項4記載の自動パルス波形整形方式。
【請求項6】
前記電力増幅手段は、前記変調手段により波形整形されて出力された前記励振信号をM分配(Mは2以上の整数)する電力分配器と、前記電力分配器から並列に出力されるM個の前記励振信号を別々に電力増幅するM個の電力増幅器と、前記M個の電力増幅器から電力増幅されて出力された前記励振信号を一つに合成する電力合成器とからなることを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか一項記載の自動パルス波形整形方式。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−42227(P2006−42227A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−222855(P2004−222855)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【出願人】(599161890)NECネットワーク・センサ株式会社 (71)
【Fターム(参考)】