説明

自動二輪車

【課題】エンジンユニットの出力軸を中心として揺動可能なスイングアームを備えつつ、歯付きベルトを好適に保護することができる自動二輪車を提供する。
【解決手段】自動二輪車は、出力軸と同軸の揺動軸(37、39)回りに揺動可能なスイングアーム21と、スイングアーム21に支持される後輪23と、出力軸に取り付けられるドライブプーリ51と、後輪23と一体に回転可能なドリブンプーリ61と、ドライブプーリ51およびドリブンプーリ61に巻かれる歯付きベルト65と、歯付きベルト65を保護するベルトカバー27と、を備え、スイングアーム21は歯付きベルト65と交差しており、ベルトカバー27は歯付きベルト65の一側方に位置し、歯付きベルト65と後輪23とを隔てる内壁部W1と、上壁部W2と、底壁部と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンユニットの出力軸から駆動輪に歯付きベルトで動力を伝達する自動二輪車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、後輪を回転可能に支持するリアアームと、エンジンユニットの出力軸に取り付けられたドライブプーリと、後輪と一体に回転可能なドリブンプーリと、これらドライブプーリおよびドリブンプーリに巻かれる歯付きベルトとを備える自動二輪車がある(例えば、特許文献1、2を参照)。
【0003】
(1)特許文献1の技術
特許文献1に記載の自動二輪車では、リアアームは、その前部で揺動軸回りに回転可能に支持されており、リアアームの後部で後輪を支持する。リアアームの揺動軸はエンジンユニットの出力軸と同軸である。ドライブプーリはエンジンユニットの出力軸に取り付けられ、ドリブンプーリは後輪に取り付けられている。歯付きベルトは、これらドライブプーリおよびドリブンプーリに巻かれている。リアアームは揺動軸から後部に向かって車幅方向に傾斜しており、歯付きベルトとリアアームとの車幅方向における位置関係はリアアームの前部と後部で異なっている。具体的には、リアアームの前部は、歯付きベルトの後輪側である一側方(車幅方向内側)に位置し、リアアームの後部は、歯付きベルトの上記一側方とは反対の他側方(車幅方向外側)に位置する。上方からみると、リアアームと歯付きベルトとは交差している。リアアームには、上部ベルトカバーと下部ベルトカバーが取り付けられている。各ベルトカバーはそれぞれ、歯付きベルトの車幅方向外側に位置している。
【0004】
(2)特許文献2の技術
特許文献2に記載の自動二輪車では、リアアームの揺動軸は、ドライブプーリの回転軸よりも後方に配置されている。リアアームにはダストガードが設けられている。ダストガードは垂直辺および水平辺を有し、垂直辺は歯付きベルトの下側ベルト部分の後輪側の側方(すなわち、車幅方向内側)に配置され、水平辺は下側ベルト部分とリアアームの間に配置される。このダストガードによれば、リアフェンダーに衝突して下方や側方に跳ね返る小石や泥など(以下、「石等」という)から歯付きベルト(下側ベルト部分)を保護することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−195138号公報
【特許文献2】実公昭60−21342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
リアフェンダーに当たって跳ね返る石等を遮るために、例えば、特許文献2に記載されるダストガードを特許文献1に記載の自動二輪車に適用することが考えられる。
【0007】
ところで、特許文献1に記載の自動二輪車では、リアアームの揺動軸とエンジンユニットの出力軸が同軸であるので、リアアームの前部は、側面視でドライブプーリと重なる位置まで達している。このため、リアアームと上側ベルト部分および下側ベルト部分とは、特許文献2の自動二輪車の場合に比べて、それぞれ上下方向に近接している。また、特許文献1の自動二輪車では、車幅方向におけるリアアームと歯付きベルトの位置関係が、前後方向の位置に応じて大きく変わる。
【0008】
特許文献1に記載される上述の構造から、本発明者は、次のような知見を得た。すなわち、特許文献1の自動二輪車では、リアフェンダーのみならず、リアアームに当たって跳ね返る石等も、歯付きベルトに向かう可能性がある。特に、リアアームは上側ベルト部分および下側ベルト部分にそれぞれ近接しているので、リアアームで跳ね返った石等は、勢いを保ったまま歯付きベルトに到達し得る。また、特許文献1の自動二輪車では、車幅方向におけるリアアームと歯付きベルトの位置関係が大きく変化しているので、リアアームで跳ね返る石等は種々の方向に飛散し、上側ベルト部分および下側ベルト部分に対しても種々の方向から石等が飛んでくるおそれがある。よって、特許文献1の自動二輪車では、リアフェンダーで跳ね返る石等よりもむしろ、リアアームで跳ね返る石等が歯付きベルトに及ぼす影響の方が大きい。
【0009】
上記知見に基づけば、リアフェンダーで跳ね返る石等から歯付きベルトを保護するためのダストガードを、単に特許文献1の自動二輪車に適用しても、歯付きベルトを保護することは困難である。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、エンジンユニットの出力軸を中心として揺動可能なスイングアームを備えつつ、歯付きベルトを好適に保護することができる自動二輪車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、本発明に係る自動二輪車は、自動二輪車であって、エンジンユニットの出力軸と同軸の揺動軸回りに揺動可能なスイングアームと、前記スイングアームの後部に回転可能に支持される駆動輪と、前記出力軸に取り付けられるドライブプーリと、前記駆動輪と一体に回転可能なドリブンプーリと、前記ドライブプーリおよび前記ドリブンプーリに巻かれる歯付きベルトと、前記歯付きベルトを保護するベルトカバーと、を備え、前記スイングアームの前部は平面視で前記歯付きベルトの前記駆動輪と向かい合う一側方に位置し、前記スイングアームの後部は平面視で前記歯付きベルトの前記一側方とは反対の他側方に位置して、前記スイングアームは平面視で前記歯付きベルトと交差しており、前記ベルトカバーは、側面視で上下方向で前記ドライブプーリの回転中心と前記ドリブンプーリの回転中心とを結ぶ仮想線より上方を通る前記歯付きベルトの上側ベルト部分の上方から側面視で前記仮想線より下方を通る前記歯付きベルトの下側ベルト部分の下方にわたって、前記歯付きベルトの前記一側方に位置し、前記歯付きベルトと前記駆動輪とを隔てる内壁部と、前記上側ベルト部分の上方に位置する上壁部と、前記下側ベルト部分の下方に位置する底壁部と、を含む自動二輪車である。
【0012】
本発明の自動二輪車では、スイングアームの揺動軸はエンジンユニットの出力軸と同軸であるので、スイングアームは上側ベルト部分および下側ベルト部分とそれぞれ近接している。また、スイングアームは平面視で歯付きベルトと交差しており、車幅方向におけるスイングアームと歯付きベルトの位置関係は、前後方向の位置に応じて大きく変化している。
【0013】
そして、駆動輪の上下動に伴って、スイングアームは揺動軸回りに揺動する。出力軸はドライブプーリを回転駆動する。ドライブプーリの回転動力は歯付きベルトを介してドリブンプーリに伝達される。ドリブンプーリは駆動輪とともに回転駆動される。
【0014】
また、ベルトカバーが有する内壁部は、上下方向において上側ベルト部分の上方から下側ベルト部分の下方にわたって歯付きベルトと駆動輪を隔てているので、歯付きベルトおよびスイングアームの双方に対して駆動輪側から飛散してくる石等を適切に遮ることができる。また、ベルトカバーは上述の内壁部に加えて上壁部および底壁部をさらに有しているので、歯付きベルトを好適に保護できるとともに、スイングアームに石等が当たることをより一層防止することができる。すなわち、上側ベルト部分および下側ベルト部分と同様にスイングアームに石等が当たること自体を防ぎ、スイングアームに当たって跳ね返る石等を発生させないようにすることができる。
【0015】
よって、スイングアームが上側ベルト部分及び下側ベルト部分と近接していても、また、車幅方向におけるスイングアームと歯付きベルトの位置関係が前後方向の位置に応じて大きく変化していても、上述したベルトカバーによれば、好適に歯付きベルトを保護することができる。
【発明の効果】
【0016】
内壁、上壁および底壁を有するベルトカバーを備えた自動二輪車によれば、エンジンユニットの出力軸と同軸の揺動軸回りに揺動可能なスイングアームを備えつつ、歯付きベルトを好適に保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例1に係る自動二輪車の左側面図を示す側面図である。
【図2】図1におけるa−a矢視断面図である。
【図3】上部カバー等を省略した要部を示す左側面図である。
【図4】ドライブプーリとドリブンプーリと歯付きベルトの側面図である。
【図5】スイングアームの後端部および車軸の左側面の拡大図である。
【図6】溝部を示す斜視図である。
【図7】溝部の使用例を示す斜視図である。
【図8】ベルトカバーの分解斜視図である。
【図9】上方からみたベルトカバー等の要部を示す図である。
【図10】車幅方向左側から内側カバーを見たときの正面図である。
【図11】図1に示すb−b矢視でベルトカバー等を切断した断面図である。
【図12】図1に示すc−c矢視でベルトカバー等を切断した断面図である。
【図13】下部カバーの排出孔の位置を示す図である。
【図14】図1におけるb−b矢視で実施例2におけるベルトカバーを切断した断面図である。
【図15】図1におけるc−c矢視で実施例2におけるベルトカバーを切断した断面図である。
【図16】(a)は内側カバーおよび保持部材の斜視図であり、(b)は上部カバーおよび保持部材の斜視図であり、(c)は下部カバーおよび保持部材の斜視図である。
【図17】図1におけるa−a矢視で実施例2における自動二輪車を切断したときの断面図である。
【実施例1】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施例1を説明する。
【0019】
1.自動二輪車の概略構成
図1を参照する。図1は、実施例1に係る自動二輪車1の左側面図を示す側面図である。図1では、自動二輪車1の外観を一部省略し、車体カバー内のメインフレームおよびエンジンの位置を点線で示す。
【0020】
図1において、x方向は車体の前後方向であり、y方向は車体の車幅方向であり、z方向は車体の上下方向である。車体の前後方向x、車幅方向y、及び、上下方向zは互いに直交している。図1においては図面の左側が自動二輪車1の前側であり、図面の右側が自動二輪車1の後側である。本明細書では、単に右、左と記載するときは、自動二輪車1に乗車したライダーにとっての「右」、「左」を意味する。
【0021】
自動二輪車1は、車体フレーム3を備えている。車体フレーム3の前端部にはヘッドパイプ5が設けられている。ヘッドパイプ5内にはステアリングシャフト7が回転自在に挿入されている。ステアリングシャフト7の上端部には、ハンドル9が取り付けられている。ステアリングシャフト7の下端部には、フロントフォーク11が取り付けられている。フロントフォーク11の下端部には、単一の前輪13が回転可能に支持されている。前輪13は従動輪である。前輪13は、ハンドル9の操作によって操舵可能である。
【0022】
車体フレーム3には、エンジンユニット15が固定されている。エンジンユニット15の上方には、ライダーが着座するシート17が設けられている。エンジンユニット15の後部にはメインスタンド19が回転可能に支持されている。また、エンジンユニット15の後部にはスイングアーム21が揺動可能に支持されている。スイングアーム21の後部には後輪23が回転可能に支持されている。後輪23は駆動輪である。スイングアーム21には、ベルトカバー27が固定されている。ベルトカバー27のうち、自動二輪車1の左側面の外観に表れるのは、上部カバー73と下部カバー75である(詳細は後述する)。
【0023】
図2を参照する。図2は、図1におけるa−a矢視断面図である。図2では、車幅方向yのみを示すとともに、便宜上、車幅方向yの右側を「Right」で示し、車幅方向yの左側を「Left」で示す。また、自動二輪車1の車体中心線を「C」で示す。本明細書では、単に「内側」または「車幅方向y内側」と記載するときは、車体中心線Cに近づく車幅方向yの一方向を意味する。反対に、単に「外側」または「車幅方向y外側」と記載するときは、車幅方向yの他方向(すなわち、車体中心線Cから遠ざかる方向)を意味する。
【0024】
図2に示すように、エンジンユニット15の後部には、車幅方向yと平行な出力軸31が配置されている。出力軸31は、右エンジンケース33および左エンジンケース35によって回転可能に保持されている。出力軸31には、出力軸ギア32が固定されている。出力軸ギヤ32には、不図示のギヤが噛み合っている。このギヤを介して、エンジンユニット15内で発生した動力が出力軸31に伝達される。
【0025】
スイングアーム21は、後輪23を左右両側方から挟むような形状を有している。スイングアーム21は、右スイングアーム41、左スイングアーム43および出力軸カバー44を含む。右スイングアーム41は、後輪23の右側方を後方に向かって延びており、左スイングアーム43は、後輪23の左側方を後方に向かって延びている。右スイングアーム41と左スイングアーム43とは、取付ボス部41a、43aによって連結されており、一体に揺動可能である。出力軸カバー44は、左スイングアーム43に固定されており、各スイングアーム41、43と一体に揺動可能である。左スイングアーム43および出力軸カバー44は、この発明におけるベルト側スイングアーム部分に相当する。
【0026】
右スイングアーム41の前部は、ボルト37によって右エンジンケース33の後部に回転可能に支持されている。左エンジンケース35の後部の外面には、筒形状のホルダ39が固定されている。ホルダ39の外周部には、左スイングアーム43の前部が回転可能に支持されている。ボルト37およびホルダ39は、右スイングアーム41および左スイングアーム43の揺動軸に相当する。右スイングアーム41および左スイングアーム43の揺動中心は、出力軸31の中心A1と一致する。すなわち、スイングアーム21の揺動軸は、出力軸31と同軸である。スイングアーム21には、さらに、不図示のクッションユニットが連動連結されている。
【0027】
スイングアーム21の後部には、車軸45が支持されている。車軸45は車幅方向yと平行である。車軸45には、後輪23が後輪軸線A2回りに回転可能に支持されている。後輪23は、ホイール24とタイヤ25を備えている。車軸45は、ホイール24に挿入されている。ホイール24は、ボールベアリング46、47を介して車軸45に支持されており、車軸45の外周面に対して回転可能である。
【0028】
以上のとおり、スイングアーム21は、後輪23を回転可能に支持する。後輪23が略上下方向zに移動すると、スイングアーム21は出力軸31と同軸の揺動軸(37、39)回りに揺動する。
【0029】
出力軸31は、左エンジンケース35の内部から外部に突き出ている。出力軸31は、左エンジンケース35から車幅方向yの左側に延び、ホルダ39内を貫通している。出力軸31の左側の端部は、ホルダ39の左側方の位置に達している。
【0030】
出力軸31の左側の端部には、ドライブプーリ51が固定されている。ドライブプーリ51の回転中心は、出力軸31の中心A1と一致する。ドライブプーリ51は、その外周面に複数の歯を有する平歯車である。ドライブプーリ51の径は一定であり、いわゆる無段変速機構(Continuously Variable Transmission)に用いられる可変径プーリでない。
【0031】
ドライブプーリ51の左側の端部には、軸受53を介して出力軸カバー44が回転可能に取り付けられている。出力軸カバー44の開口には、弾性キャップ56が嵌め込まれている。弾性キャップ56は、出力軸カバー44との間に形成される閉空間の圧力に応じて変形可能である。弾性キャップ56は、例えばゴム製である。出力軸キャップ57は、弾性キャップ56の上から出力軸カバー44の開口を覆うように、出力軸カバー44に固定されている。
【0032】
後輪23には、ドリブンプーリ61が取り付けられている。ドリブンプーリ61は、ホイール24の左端部にボルト63によって固定されており、後輪23と一体に回転可能である。ドリブンプーリ61の左側方には、左スイングアーム43の後部が位置する。ドリブンプーリ61は、その外周面に複数の歯を有する平歯車である。ドリブンプーリ61の径は一定であり、いわゆる無段変速機構に用いられる可変径プーリでない。ドリブンプーリ61の径は、ドライブプーリ51の径に比べて大きい。
【0033】
ドライブプーリ51とドリブンプーリ61とには、歯付きベルト65が巻かれている。ドライブプーリ51とドリブンプーリ61との間に架け渡される歯付きベルト65は、略上方から見たとき前後方向xと略平行である。なお、本明細書では、厳密に上下方向z上方から見たときだけでなく、およそ上方の位置から見たときも含めて、「平面視で」という。歯付きベルト65は、後輪23の左側方に位置する。なお、本実施例1の場合、歯付きベルト65の後輪23側の一側方とは、車幅方向y右側のことであり、歯付きベルト65の一側方とは反対の他側方とは、車幅方向y左側のことである。
【0034】
左スイングアーム43の車幅方向yにおける位置は、前部から後部に向かって左側に傾斜している。言い換えれば、左スイングアーム43は、その前部から後部に向かって車幅方向y外側に張り出すように湾曲した形状を有している。
【0035】
また、左スイングアーム43の歯付きベルト65に対する位置関係も、左スイングアーム43の前部と後部で逆になっている。すなわち、平面視で、左スイングアーム43の前部の位置は歯付きベルト65の右側方に位置しており、左スイングアーム43の後部は歯付きベルト65の左側方に位置している。換言すれば、車幅方向yにおいて、左スイングアーム43の前部は歯付きベルト65の後輪23側である一側方(右側)に位置し、左スイングアーム43の後部は歯付きベルト65の一側方とは反対の他側方(左側)に位置している。この結果、左スイングアーム43は、平面視で歯付きベルト65と交差している。
【0036】
図3、図4を参照する。図3は、上部カバー73および下部カバー75を取り外したときの要部を示す左側面図である。図4は、ドライブプーリ51とドリブンプーリ61と歯付きベルト65の側面図である。図示するように、歯付きベルト65は、環状のベルトであり、ベルト歯65aを有する(図4を参照)。ベルト歯65aは、ドライブプーリ51の歯およびドリブンプーリ61の歯とそれぞれ噛み合う。歯付きベルト65は、ゴム製、金属製あるいは樹脂製のいずれであってもよい。
【0037】
本明細書では、側面視でドライブプーリ51の回転中心P1とドリブンプーリ61の回転中心P2とを結ぶ仮想線Lより上方を通る歯付きベルト65の部分を、「上側ベルト部分65U」といい、側面視で仮想線Lより下方を通る歯付きベルト65の部分を、「下側ベルト部分65D」という。回転中心P1は出力軸31の中心A1と一致する。また、回転中心P2は後輪23の後輪軸線A2と一致する。
【0038】
上側ベルト部分65Uおよび下側ベルト部分65Dについては、次のように説明することもできる。すなわち、ドライブプーリ51の上部とドリブンプーリ61の上部との間に架け渡される歯付きベルト65を「上側ベルト部分65U」といい、ドライブプーリ51の下部とドリブンプーリ61の下部との間に架け渡される歯付きベルト65を「下側ベルト部分65D」という。また、側面視で左スイングアーム43の上方を通る歯付きベルト65を「上側ベルト部分65U」といい、側面視で左スイングアーム43の下方を通る歯付きベルト65を「下側ベルト部分65D」という。
【0039】
なお、図3、4に明示するとおり、上側ベルト部分65Uおよび下側ベルト部分65Dはともに、各プーリ51、61のいずれとも接触していない部分(各プーリ51、61の双方から離れている部分)を指す。したがって、歯付きベルト65のうち、上側ベルト部分65Uおよび下側ベルト部分65D以外の部分は全て、プーリ51、61のいずれかと接触している(プーリ51、61のいずれかと噛み合っている)。
【0040】
より具体的には、図4において点Q1と点Q2とを結ぶ直線的な歯付きベルト65の部分が上側ベルト部分65Uに相当し、点Q3と点Q4とを結ぶ直線的な歯付きベルト65の部分が下側ベルト部分65Dに相当する。また、点Q2および点Q3を通る円弧状(略半円状)の歯付きベルト65の部分がドライブプーリ51と接触し、点Q4と点Q1を通る円弧状(略半円状)の歯付きベルト65の部分がドリブンプーリ61と接触している。ここで、点Q1乃至点Q4は、上側ベルト部分65Uおよび下側ベルト部分65Dの位置を明示するために図示しており、いずれも厳密な位置ではなく、およその位置を示す。
【0041】
図3に明示されるように、スイングアーム21(43、44)と上側ベルト部分65Uとの間隔、および、スイングアーム21(43、44)と下側ベルト部分65Dとの間隔は、それぞれ非常に狭い。特に、ドライブプーリ51に近づくほど、上述の各間隔はより狭くなる。これは、スイングアーム21の揺動軸(37、39)がエンジンユニット15の出力軸31と同軸である構造に起因する。さらに、この構造では、例えば、出力軸の後方にスイングアームの揺動軸が位置する構造等と比べて、ドライブプーリ51とドリブンプーリ61との距離が比較的短くなる。
【0042】
エンジンユニット15で発生した動力が出力軸31に出力されると、出力軸31がドライブプーリ51を回転駆動する。ドライブプーリ51の回転動力は、歯付きベルト65によってドリブンプーリ61に一定の減速比で伝達される。なお、ドリブンプーリ61の径は、上述のとおり、ドライブプーリ51の径に比べて大きい。ドリブンプーリ61は後輪23と一体に回転し、自動二輪車1は前進する。
【0043】
ここで、図2、図5を参照し、スイングアーム21および車軸45について改めて説明する。図5は、スイングアーム21の後端部および車軸45の左側面の拡大図である。
【0044】
車軸45の左端部には、支持体48Lが設けられている。支持体48Lは貫通孔を有し、この貫通孔に車軸45が挿入されている。
【0045】
図5に示すように、支持体48Lは、側面視において仮想線Lに沿って平行移動可能に左スイングアーム43に保持されている。すなわち、車軸45の左端部は支持体48Lを介して左スイングアーム43に保持されている。支持体48Lがスライド移動すると、車軸45の左端部は支持体48Lと一体に平行移動する。
【0046】
左スイングアーム43の後部には、車軸45の左端部の位置を調整する調整機構101Lが設けられている。調整機構101Lは、側面視で支持体48Lの前側に隣接して設けられている。調整機構101Lは、ボルト103Lと、ボルト103Lに取り付けられているナット105Lを含む。
【0047】
ボルト103Lは、その軸心が側面視で仮想線Lと一致するように配置されている。ボルト103Lの一端側(前部)は左スイングアーム43内に挿入されている。左スイングアーム43は、ボルト103Lをその軸心方向に進退移動可能に支持している。ボルト103Lの他端(後端)には、支持体48Lが連結されている。
【0048】
ナット105Lを回転操作すると、ボルト103Lは左スイングアーム43に対して進退移動する。ボルト103Lが進退移動すると、支持体48Lとともに車軸45の左端部がスライド移動する。車軸45の左端部が平行移動する方向は、側面視で仮想線Lと一致する。
【0049】
図2に示すように、車軸45の右端部および右スイングアーム41の後部には、支持体48L及び調整機構101Lと同様の構成がそれぞれ設けられている。すなわち、車軸45の右端部には支持体48Rが設けられている。右スイングアーム41の後部には調整機構101Rが設けられている。調整機構101Rはボルト103Rとナット105Rを含む。ナット105Rを回転操作すると、車軸45の右端部が右スイングアーム41に対して平行移動する。
【0050】
図5、図6を参照する。図6は、溝部49を示す斜視図である。左スイングアーム43は、その後部に溝部49を有している。溝部49は、左スイングアーム43の後端縁43aから支持体48Lまでの寸法dLを測定する測定具を位置決めする。寸法dLは後端縁43aから車軸45(厳密には、後輪軸線A2)までの距離DLに応じた値をとる。すなわち、寸法dLは、距離DLに応じた後端縁43aを基準とする寸法である。測定具としては、ノギス、物差し、直尺、定規のほか、扁平な板状物や棒状物等であってもよい。
【0051】
溝部49は、左スイングアーム43の車幅方向y外側の側面に形成されている。溝部49は、側面視において仮想線Lに沿って直線的に延びている。溝部49の一端は左スイングアーム43の後端縁43aに達している。後端縁43aは、側面視で溝部49が延びる方向(仮想線L)と略直交している。溝部49の他端は側面視で支持体48Lに達している。
【0052】
本実施例1では、左スイングアーム43は、溝部49の経路上に形成される穴部50を有している。このため、溝部49は、側面視で穴部50の前側に位置する溝部49aと穴部50の後側に位置する溝部49bに分離されている。溝部49は、この発明におけるガイド部に相当する。
【0053】
なお、穴部50はガイド部を構成するものではないので、穴部50を適宜に省略してもよい。この場合、溝部49aおよび溝部49bを互いに連続させて、一連につながった溝部に変更してもよい。
【0054】
右スイングアーム41も、溝部49と同様な溝部(図示省略)を有している。右スイングアーム41が有する溝部も測定具を位置決めする。位置決めされた測定具によって、右スイングアーム41の後端縁41aから支持体48Rまでの寸法dR(図2参照)を測定することができる。寸法dRは後端縁41aから車軸45(厳密には、後輪軸線A2)までの距離DR(図2参照)に応じた値をとる。すなわち、寸法dRは、距離DRに応じた後端縁41aを基準とする寸法である。この溝部も、この発明におけるガイド部に相当する。
【0055】
図7を参照する。図7は、溝部49の使用例を示す斜視図である。図示するように、溝部49に測定具111の長手方向の側縁を接触させつつ、支持体48Lに測定具111の先端部を接触させる。これにより、測定具111は左スイングアーム43および支持体48Lに対して常に正しい位置に配置される。より具体的には、測定具111を側面視で仮想線Lに沿った向きに合わせることができる。よって、寸法dLを正確に測定することができる。同様に、右スイングアーム41の溝部(不図示)を利用するで、測定具111を正しい位置に当てることができ、寸法dRを正確に測定することができる。
【0056】
そして、例えば、寸法dLおよび寸法dRの測定結果に基づいて、これら寸法dLおよび寸法dRが互いに等しくなるように、ナット105L、105Rを回転操作する。これにより、距離DLと距離DRが等しくなり、後輪軸線A2は車幅方向yを平行となる。
【0057】
また、寸法dLおよび寸法dRを互いに等しい関係に保ちつつ、それぞれ可変すると、後輪軸線A2を車幅方向yと平行に保ったまま、スイングアーム21の揺動軸(37、39)に対する後輪軸線A2の距離を変更することができる。これにより、歯付きベルト65の張力(撓み量)を調整することができる。
【0058】
2.ベルトカバー
歯付きベルト65を保護するベルトカバー27について詳細に説明する。図8、9を参照する。図8は、ベルトカバー27の分解斜視図である。図9は、略上方からみたベルトカバー等の要部を示す図である。
【0059】
図8に示すように、ベルトカバー27は、分離可能な内側カバー71と上部カバー73と下部カバー75を有する。上部カバー73および下部カバー75はそれぞれ内側カバー71と接合する。内側カバー71は歯付きベルト65の左側方に位置する内壁部W1を有する。
【0060】
図9に示すように、内壁部W1(内側カバー71)は、車幅方向yで歯付きベルト65と後輪23との間に位置する。すなわち、内壁部W1(内側カバー71)は、歯付きベルト65の後輪23側と同じ一側方(本実施例では、車幅方向yの右側)に位置する。内壁部W1によって、歯付きベルト65は後輪23から隔てられているとともに左スイングアーム43の一部も後輪23から隔てられている。
【0061】
ちなみに、図9には、上述した各部材の位置関係が明示されている。すなわち、スイングアーム21の揺動軸(37、39)が出力軸31と同軸である。車幅方向yにおいて、左スイングアーム43の前部は歯付きベルト65に比べて右側に位置し、左スイングアーム43の後部は歯付きベルト65に比べて左側に位置している。当然ながら、車幅方向yにおいて、左スイングアーム43の前部はドライブプーリ51より右側に位置し、左スイングアーム43の後部はドリブンプーリ61より左側に位置している。
【0062】
内壁部W1は、図3に明示されるように、側面視で上側ベルト部分65Uおよび下側ベルト部分65Dとそれぞれ重なるように形成されるとともに、上側ベルト部分65Uと下側ベルト部分65Dの間の範囲も覆うように形成されている。言い換えれば、内壁部W1は、上下方向zで、上側ベルト部分65Uの位置より上方の位置から、下側ベルト部分65Dより下方の位置に及んでいる。すなわち、内壁部W1は、上下方向zで上側ベルト部分65Uから下側ベルト部分65Dまでの範囲を完全にカバーしている。
【0063】
図10は、車幅方向y左側から内側カバー71を見たときの正面図であり、歯付きベルト65と向かい合う内面が図示されている。図10では、図面の左側にドライブプーリ51が位置し、図面の右側にドリブンプーリ61が位置する。理解の容易のため、図中に、上方、下方、前方、後方のおよその位置を示す。
【0064】
内側カバー71の前部には、左スイングアーム43の形状に沿う前部切欠部K1が形成されている。前部切欠部K1と左スイングアーム43との隙間は、小さいほど好ましい。内側カバー71の後部には、ホイール24と形状に沿う後部切欠部K2が形成されている。後部切欠部K2とホイール24との隙間は、小さいほど好ましい。
【0065】
内壁部W1は、側面視で左スイングアーム43と重なる中段部W1S、中段部W1Sより上方の上段部W1Uおよび中段部W1Sより下方の下段部W1Dに分けられる。上側ベルト部分65Uおよび下側ベルト部分65Dは、それぞれ側面視で、上段部W1Uおよび下段部W1Dと重なる(図3参照)。
【0066】
中段部W1Sの左スイングアーム43と向かい合う内壁面には、左スイングアーム43の形状に沿うように、車幅方向y左側に隆起する隆起部71aが形成されている。隆起部71aは、図2、図8に明示されるように、中段部W1Sの前部から後部に向かって突出する高さが高くなっている。なお、図2には、内壁部W1としてその中段部W1Sの切断面が表れている。
【0067】
上部カバー73は、略前後方向xに延びる断面視L形状の部材であり、上側ベルト部分65Uの上方および左側方を覆うように配置される。上部カバー73には上壁部W2および上側外壁部W3が形成されている。上壁部W2は、上側ベルト部分65Uの上方に位置する。上側外壁部W3は、上側ベルト部分65Uの左側方に位置する。
【0068】
下部カバー75は、略前後方向xに延びる断面視L形状の部材であり、下側ベルト部分65Dの下方および左側方を覆うように配置される。下部カバー75には底壁部W4と下側外壁部W5が形成されている。底壁部W4は、下側ベルト部分65Dの下方に位置する。下側外壁部W5は、下側ベルト部分65Dの車幅方向y左側に位置する。
【0069】
下部カバー75には、下側外壁部W5から底壁部W4にわたる外面の一部が窪んだ凹部75aが形成されている。この凹部75aは、図1に示すように、下部カバー75がメインスタンド19と接触しないように、メインスタンド19に対応する位置に形成されている。
【0070】
図11および図12を参照する。図11は図1に示すb−b矢視でベルトカバー27等を切断した断面図であり、図12は図1に示すc−c矢視でベルトカバー27等を切断した断面図である。
【0071】
図1におけるb−b矢視は下部カバー75を凹部75aの位置で切断するので、図11では凹部75aの断面が表れている。また、図1におけるb−b矢視はc−c矢視に比べて左スイングアーム43の前方を切断する。よって、図11では、左スイングアーム43は比較的に車幅方向y左側に位置するとともに、出力軸カバー44が左スイングアーム43の左側方に表れている。他方、図12では、左スイングアーム43は比較的に車幅方向yの右側に位置している。
【0072】
図11、12に示すように、上部カバー73は、内側カバー71の上端部と接合されている。これにより、内壁部W1と上壁部W2とは隙間無く連続している(図9も併せて参照)。同様に、下部カバー75も、内側カバー71の下端部と接合されている。これにより、内壁部W1と底壁部W4とは隙間無く連続している。
【0073】
ここで、内側カバー71と上部カバー73との接合部(以下、適宜、「接合部」という)は、上側ベルト部分65Uと上下方向zに並ばないように配置されている。換言すれば、図9に示すように、車幅方向yにおいて接合部および上側ベルト部分65Uの各位置が重ならないように、カバー71、73が設計されている。接合部は、さらに下側ベルト部分65Dに対しても上下方向zに並ばないように配置されている。このような配置によれば、仮に接合部を通じてベルトカバー27内に雨水や泥等(以下、「水等」という)が入ったとしても、ベルトカバー27内に入った水等が、上側ベルト部分65Uや下側ベルト部分65Dに落ちることを好適に抑制することができる。
【0074】
同様に、内側カバー71と下部カバー75との接合部は、下側ベルト部分65D及び上側ベルト部分65Uとそれぞれ上下方向zに並ばないように配置されている。このような配置によれば、内側カバー71と下部カバー75との接合部から水等がベルトカバー27内に入った場合であっても、ベルトカバー27内に入った水等が下側ベルト部分65Dや上側ベルト部分65Uにかかることを好適に抑制することができる。
【0075】
図11を参照する。上側外壁部W3は、上壁部W2から下方に向かって出力軸カバー44の上端部に近接する位置まで延びている。ベルトカバー27は出力軸カバー44とともに、断面視で上側ベルト部分65Uを囲む略閉塞された領域を形成する。具体的には、上側ベルト部分65Uの上方と両側方は、内壁部W1と上壁部W2と上側外壁部W3とによってそれぞれ囲まれている。上側ベルト部分65Uの下方は、左スイングアーム43の上端面の上端面と面している。
【0076】
また、下側外壁部W5は、底壁部W4から上方に向かって出力軸カバー44の下端部に近接する位置まで延びている。ベルトカバー27はさらに出力軸カバー44とともに、下側ベルト部分65Dを囲む断面視で略閉塞された領域を形成する。具体的には、下側ベルト部分65Dの下方および両側方は、内壁部W1と底壁部W4と下側外壁部W5とによって囲まれている。下側ベルト部分65Dの上方は、左スイングアーム43の下端面の下端面と面している。
【0077】
図11から明らかなように、出力軸カバー44は、ベルトカバー27等が形成する領域に対して車幅方向y左側から飛散して来る石等を遮る。すなわち、出力軸カバー44は、ベルトカバー27の車幅方向yの左側の外壁としても機能する。
【0078】
図12を参照する。図12では、上側外壁部W3は、上壁部W2から下方に向かって左スイングアーム43の上端部に近接する位置まで延びている。また、下側外壁部W5は、底壁部W4から上方に向かって左スイングアーム43の下端部に近接する位置まで延びている。これにより、ベルトカバー27は、左スイングアーム43とともに、断面視で閉じた領域を形成している。上側ベルト部分65Uおよび下側ベルト部分65Dは、ベルトカバー27等が形成する領域内に収められている。
【0079】
図12から明らかなように、左スイングアーム43は、ベルトカバー27等が形成する領域に対して車幅方向y左側から飛散してくる石等を遮る。すなわち、左スイングアーム43は、ベルトカバー27の車幅方向yの左側の外壁としても機能する。
【0080】
図13を参照する。図13は、下部カバー75を斜め下方から見た斜視図であり、下部カバー75の排出孔の位置を示す図である。理解の容易のため、図中に、上方、下方、前方、後方のおよその位置を示す。
【0081】
図示するように、下部カバー75には、石等の異物や水等(雨水や泥など)を排出するための排出孔76a、76b、76cが形成されている。
【0082】
排出孔76aは、底壁部W4に形成されている。具体的には、排出孔76aは底壁部W4の車幅方向y外側の端部であって、前後方向xで凹部75aの前方に隣接する位置に配置されている。この排出孔76aの位置には、自動二輪車1の加速時に異物や水等が比較的に集まり易い。
【0083】
排出孔76bは、凹部75aに形成されている。具体的には、排出孔76bは凹部75aの前後方向x後側の部位に形成されている。この排出孔76bの位置には、自動二輪車1の減速時に異物や水等が比較的に集まり易い。
【0084】
排出孔76cは、底壁部W4と下側外壁部W5との間の屈曲部に形成されている。具体的には、排出孔76cは、下部カバー75の後端部における屈曲部に形成されている。下部カバー75の後端部は、図1から明らかなように、下部カバー75のうちで上下方向zの高さ位置が最も低い部位、すなわち、下部カバー75の最下端部である。この排出孔76cの位置には、異物や水等が自ずと集まり易く、自動二輪車1の加速時には異物や水等が一層集まり易くなる。
【0085】
これら排出孔76a乃至76cによれば、仮にベルトカバー27内に石等の異物や水等が入った場合であっても、これら異物や水等を各排出孔76a乃至76cを通じてベルトカバー27外に排出することができる。
【0086】
上述した内側カバー71は、図11、12に示すように、ボルト72によって左スイングアーム43に固定されている。上部カバー73および下部カバー75は、ボルトによって左スイングアーム43および出力軸カバー44にそれぞれ固定されている。各カバー71乃至および75は、例えば樹脂製である。
【0087】
このように、実施例1に係る自動二輪車1によれば、ベルトカバー27は内壁部W1を有し、内壁部W1は、車幅方向yで歯付きベルト65と後輪23との間に位置し、かつ、上下方向zで上側ベルト部分65Uから下側ベルト部分65Dまでの範囲に及ぶので、上側ベルト部分65Uおよび下側ベルト部分65Dのみならず、左スイングアーム43および出力軸カバー44についても後輪23から隔てることができる。よって、後輪23側から歯付きベルト65に向かって飛散して来る石等を好適に遮ることができるとともに、左スイングアーム43および/または出力軸カバー44(以下、適宜に「左スイングアーム43等」という)に石等があたることも好適に防ぐことができる。
【0088】
つまり、本実施例1のベルトカバー27は、左スイングアーム43等で跳ね返った石等を遮るというよりもむしろ、そもそも左スイングアーム43等に石等が当たらないようにする。これにより、左スイングアーム43等で跳ね返る石等が歯付きベルト65に挟まることを、未然に回避している。
【0089】
よって、スイングアーム21の歯付きベルト65に対する位置が、前後方向xの位置によって大きく変わり、スイングアーム21に石等が当たると種々の方向に石等が飛散してしまう場合であっても、ベルトカバー27によれば、好適に歯付きベルト65を保護することができる。
【0090】
さらに、ベルトカバー27は内壁部W1に加えて、上壁部W2および底壁部W4を有しているので、歯付きベルト65を一層好適に保護できるとともに、左スイングアーム43等に石等があたることをより一層抑制することができる。
【0091】
また、上述したベルトカバー27によれば、左スイングアーム43と歯付きベルト65との間の空間が如何に狭くても、これと関係なく容易に設置できる。よって、スイングアーム21の揺動軸(37、39)がエンジンユニット15の出力軸31と同軸である自動二輪車1に、ベルトカバー27を好適に搭載することができる。
【0092】
たとえば、従来技術で説明した特許文献2に記載されるダストガードは、垂直辺と水平辺を有し、水平辺はリアアームと下側ベルト部分との間に設置される。このようなダストガードは、リアアームと下側ベルト部分との間に十分な設置スペースを必要とする。
【0093】
実際、特許文献2の自動二輪車は、リアアームの揺動軸がドライブプーリの後方に位置する構造を採用しているので、ドライブプーリおよびドリブンプーリの間の距離も比較的に長く、かつ、リアアームと下側ベルト部分との間には十分広い空間が存在している。これに対し、本実施例1では、スイングアーム21の揺動軸(37、39)をエンジンユニット15の出力軸31と同軸とする構造を採用しているので、各プーリ51、61間の距離も短く、かつ、左スイングアーム43と下側ベルト部分65Dとの隙間も極めて狭い。このため、本実施例1の自動二輪車1に特許文献2のダストガードを単に適用しようとしても、ダストガードを設置することすら容易ではない。このことから明らかなように、特許文献2のダストガードは、本実施例1の自動二輪車1に搭載することを前提とするものではない。
【0094】
また、上壁部W2および底部W4は、それぞれ内壁部W1と隙間無く連続しているので、石等がベルトカバー27内に侵入することを好適に防ぐことができる。
【0095】
また、上側外壁部W3を備えているので、上側ベルト部分65Uに対して車幅方向y左側から飛散して来る石等を好適に遮ることができる。さらに、上側外壁部W3は、上壁部W2から左スイングアーム43等の上端部近傍に達するように形成されているので、上側ベルト部分65Uの上方および両側方を、各壁部W1、W2、W3によって囲むことができる。よって、上側ベルト部分65Uを好適に保護することができる。
【0096】
同様に、下側外壁部W5は、下側ベルト部分65Dに対して車幅方向y左側から飛散して来る石等を好適に遮ることができる。さらに、下側外壁部W5は、底壁部W4から左スイングアーム43等の下端部近傍に達するように形成されているので、下側ベルト部分65Dの下方および両側方を、各壁部W1、W2、W3によって囲むことができるので、下側ベルト部分65Dを好適に保護することができる。
【0097】
さらに、これら上側外壁部W3および下側外壁部W5も、それぞれ上壁部W2および底壁部W4と連続している。よって、各壁部W1乃至W5によって、左スイングアーム43等の左側方の側面部のみを露出させつつ、左スイングアーム43等を包むように囲むことができる。この結果、図11、12から明らかなとおり、上側ベルト部分65Uおよび下側ベルト部分65Dの周囲を略閉塞することができる。よって、いずれの方向から石等が飛散してきても、上側ベルト部分65Uおよび下側ベルト部分65Dを適切に保護することができる。
【0098】
また、石等が左スイングアーム43等に当たる部位は、主として左スイングアーム43等の左側の側面部である。このため、左スイングアーム43等に当たって跳ね返る石等が、ベルトカバー27内に入ることを好適に防止することができる。
【0099】
さらに、下部カバー75は排出孔76a、76b、76cを有しているので、ベルトカバー27内に入った石等を適切にベルトカバー27の外部に排出することができる。
【0100】
以上のとおり、実施例1に係る自動二輪車1によれば、歯付きベルト65を好適に保護することができるベルトカバー27を備えているので、砂利道やオフロードなどを含めた多岐にわたる走行を行うことができる。
【0101】
また、ベルトカバー27は、自動二輪車1の外観上、見えやすい上壁部W2および上側外壁部W3を有する上部カバー73と、見えにくい内壁部W1を有する内側カバー71とは分離可能である。このため、内側カバー71と別個に上部カバー73の形状を選択・設計でき、上壁部W2および上側外壁部W3にデザインを好適に施すことができる。同様に、自動二輪車1の外観上、見えやすい底壁部W4および下側外壁部W5を有する下部カバー75と、見えにくい内壁部W1を有する内側カバー71に分離可能である。このため、内側カバー71と別個に下部カバー75の形状を選択・設計でき、底壁部W4および下側外壁部W5にデザインを好適に施すことができる。
【0102】
また、スイングアーム21は、比較的剛性の高いエンジンユニット15の後部(具体的には、各エンジンケース33、35)に支持されているので、スイングアーム21を好適に支持することができる。これにより、スイングアーム21の荷重が出力軸31に働くことを防止できる。また、揺動軸(37、39)が偏摩耗することを防止できる。
【0103】
また、出力軸カバー44の開口に設けられる弾性キャップ56を備え、この弾性キャップ56を出力軸カバー44の開口に予め取り付け、その後に出力軸キャップ57を取り付ける。これによれば、出力軸キャップ57を出力軸カバー44上の所定位置に置いたとき、出力軸キャップ57と弾性キャップ56との間に作られる閉空間の圧力に応じて、弾性キャップ56は変形し、その閉空間の圧力の変動を吸収することができる。このため、出力軸キャップ57を出力軸カバー44にボルト等で固定するまでに、出力軸キャップ57が浮くなど、出力軸キャップ57が出力軸カバー44に対してずれることを好適に防止することができる。よって、出力軸キャップ57の取付作業の効率が低下することができる。
【0104】
ちなみに、弾性キャップ56を省略した場合、出力軸キャップ57を出力軸カバー44の所定位置に置いたとき、出力軸31、軸受53、出力軸カバー44及び出力軸キャップ57によって閉空間が作られる。しかしながら、この閉空間の圧力はいずれの部材によっても吸収されないので、出力軸キャップ57を出力軸カバー44に固定するまでは、閉空間の圧力によって出力軸キャップ57が浮くなどの出力軸キャップ57が位置ずれし易い。
【0105】
また、左スイングアーム43は溝部49を有し、右スイングアーム41も溝部(不図示)を有しているので、測定具111の位置決めを正確に行うことができる。よって、車軸45の両端部の位置をそれぞれ正確に測定することができる。これらの測定結果に基づけば、車軸45を車幅方向yと平行になるように正確に調整することができる。また、測定結果に基づいて、揺動軸(37、39)に対して車軸45を近づけたり遠ざけたりすることができる。
【0106】
特に、歯付きベルト65はチェーンと比べて幅B(図2参照)が広いので、車軸45(後輪軸線A2)が車幅方向yに対してずれると、その影響が比較的に大きい。たとえば、歯付きベルト65の摩耗が生じ易くなる。本実施例1では、上述した溝部49を備えているので、車軸45を精度よく車幅方向yに一致させることができ、歯付きベルト65が損傷することを好適に防止することができる。
【0107】
また、溝部49は、後端縁43a、41aを基準とする寸法dL、dRを測定するためのものである。よって、誤差が抑制され、精度のよい測定結果を得ることができる。たとえば、スイングアーム21に形成された目盛りやインジケータを基準に寸法を測定する構成では、目盛り自体やインジケータ自体がずれている可能性がある。これは、スイングアーム21の製造時に生じる誤差(たとえば、目盛り等の形成時に生じるそれらの位置ずれ)や、スイングアーム21に関連する種々の部品の製造時に生じる誤差等に起因する。これに対し、スイングアーム21の外形状の寸法に誤差等が生じる可能性は極めて低い。寸法dL、dRは、スイングアーム21の外形状の一部である後端縁43a、41aを基準とするものであるので、スイングアーム21および他の関連部品の製造誤差の影響を受けにくい。したがって、一層正確に寸法dL、dRを測定することができる。
【0108】
また、溝部49等は、側面視で仮想線Lに沿って延びている。このため、図5から明らかなように、寸法dLが増加すれば、その分だけ揺動軸(37、39)と車軸45(後輪軸線A2)との距離ELが減少し、寸法dLが減少すれば、その分だけ距離ELが増加する。寸法dRについても同様である。すなわち、寸法dL、dRの測定結果から距離EL等についても一意に特定することができる。よって、距離EL等を容易に調整することができる。また、溝部49等の一端は後端縁41a、43aに到達しているので、好適に後端縁43a、41aを基準とする寸法を測定することができる。
【0109】
また、出力軸31とスイングアーム21の揺動軸(37、39)が同軸であるので、スイングアーム21の揺動が歯付きベルト65の揺動と同期し、歯付きベルト65がドライブプーリ51およびドリブンプーリ61から外れるのを好適に防止できる。また、出力軸31と揺動軸(37、39)が同軸であるので、スイングアーム21が揺動しても、歯付きベルト65の張力は略一定に保たれるので、歯付きベルト65が各プーリ51、61から外れることを一層抑制することができる。このため、歯付きベルト65の歯飛びを防止するための機構(例えば、ローラ)を別途に設ける必要がなく、また、ドライブプーリ51の径を過度に大きくする必要がない。よって、自動二輪車1の車両サイズが大型化することを好適に防止できる。
【0110】
また、出力軸31から後輪23に歯付きベルト65によって動力を伝達するので、チェーンによって動力を伝達する場合に比べて、軽量化を図ることができる。具体的には、歯付きベルト65の採用により、オイルを貯留するダイカスト製のケース等を省略することができ、後輪23の周辺部を軽量化することができる。
【実施例2】
【0111】
本発明者は、実施例1で説明したように、上側ベルト部分65Uおよび下側ベルト部分65Dの周囲を囲むような略閉塞タイプのベルトカバー27を採用すると、こもったような音が発生することを新たに知見した。この音は、ライダーにとって多少耳障りであり、快適な走行を妨げかねない。そこで、本発明者は、鋭意検討し、こもったような音が歯付きベルト65の音と左スイングアーム43の音であることを突き止めた。
【0112】
歯付きベルト65の音は、歯付きベルト65の弦振動が増幅されて歯付きベルト65自体から発生される音である。この音の周波数は、歯付きベルト65の固有値(重さおよび張力)と歯付きベルト65のベルトスパンとドライブプーリ51の回転数に応じて変化する。この歯付きベルト65の弦振動に起因する音の発生自体は、防ぎようがない。歯付きベルト65自体が発生した音がこもったような音に聞こえるのは、ベルトカバー27によって上側ベルト部分65Uおよび下側ベルト部分65Dを略閉塞しているためであると考えられる。
【0113】
左スイングアーム43の音は、左スイングアーム43が揺らされることによって左スイングアーム43自体から発生される音である。すなわち、歯付きベルト65の弦振動によって、ドライブプーリ51およびドリブンプーリ61は略前号方向xに強制的に揺らされて、振動する。ドリブンプーリ61の振動はホイール24を介して車軸45に伝達され、さらに車軸45からスイングアーム21に伝達される。スイングアーム21に振動が伝達されると、スイングアーム21自体から音が発生する。ここで、左スイングアーム43がベルトカバー27で音を発生すると、こもった音になると考えられる。
【0114】
このようなベルトカバー27を採用した場合に生じる「こもった音」をライダーや第三者に聞こえにくくすることができる構成を本発明者は知見したので、実施例2として説明する。
【0115】
以下、図面を参照してこの発明の実施例2を説明する。実施例2に係る自動二輪車1は、ベルトカバー内の構成と、車軸の構成が実施例1と異なっているほかは、実施例1と略同様な構成を備えている。そこで、実施例2に係る自動二輪車1についてはベルトカバーおよび車軸を中心に説明し、実施例1と同じ構成については同符号を付すことで詳細な説明を省略する。
【0116】
図14は、図1におけるb−b矢視で実施例2におけるベルトカバー81を切断した断面図であり、図15は、図1におけるc−c矢視で実施例2におけるベルトカバー81を切断した断面図である。
【0117】
図示するように、ベルトカバー81は、その内部に設けられる吸音材83、84、85を備えている。吸音材83は、上側ベルト部分65Uの周囲を囲むように配置されている。吸音材84は、下側ベルト部分65Dの周囲を囲むように配置されている。吸音材85は、図15に示すように、左スイングアーム43に面する位置に配置されている。各吸音材83乃至85は、シート形状を有し、適宜に屈曲させた状態でベルトカバー81の内壁に取り付けられている。吸音材83は、この発明における上側吸音材に相当する。吸音材84は、この発明における下側吸音材に相当する。吸音材85は、この発明におけるスイングアーム吸音材に相当する。
【0118】
吸音材83乃至85は、発泡体や多孔構造を有するスポンジ等であることが好ましい。たとえば、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)スポンジ、ウレタンスポンジ等が例示される。また、吸音材83乃至85は、フェルトや不織布であってもよい。あるいは、吸音材83乃至85は、これら複数の素材を含むものであってもよい。また、吸音材83乃至85は、遮音性能を有する材料を含んでもよい。あるいは、吸音材83乃至85を、吸音性能に加えて遮音性能を併せて有するように構成してもよい。
【0119】
ベルトカバー81は、さらに、各吸音材83乃至85を保持するための保持部材86、87、88を備えている。保持部材86は、内側カバー71の内壁との間に吸音材83乃至85を挟んで保持する。保持部材87は、上部カバー73の内壁との間に吸音材83を挟んで保持する。保持部材88は下部カバー75の内壁との間に吸音材84を挟んで保持する。
【0120】
図16を参照する。図16(a)は内側カバー71および保持部材86の斜視図であり、(b)は上部カバー73および保持部材87の斜視図であり、(c)は下部カバー75および保持部材88の斜視図である。
【0121】
図示するように、保持部材86乃至88は、それぞれ比較的に大きな複数の開口86a、87a、88aを有し、吸音材83乃至85の吸音機能を妨げない。各保持部材86乃至88は、上側ベルト部分65Uおよび下側ベルト部分65Dの搬送方向に長く延びた形状を有している。これにより、ベルトカバー81内における上側ベルト部分65Uおよび下側ベルト部分65Dの大部分に対して、吸音材83、84を対向させて設置可能である。各保持部材86乃至88の形状は、対応する内側カバー71、上部カバー73および下部カバー75の内壁に沿うような形状を有している。これにより、各カバー71、73、75の内壁に吸音材83乃至85を好適に設置することができる。
【0122】
吸音材83、84は、それぞれ上側ベルト部分65Uおよび下側ベルト部分65Dが発生する音を吸音及び/又は遮音し、こもった音がベルトカバー81の外部に漏れることを抑制する。吸音材85は、左スイングアーム43が発生する音を吸音及び/又は遮音し、こもった音がベルトカバー81の外部に漏れることを抑制する。
【0123】
図17を参照する。図17は、図1におけるa−a矢視で実施例2における自動二輪車1を切断したときの断面図である。
【0124】
図示するように、車軸91は、内部が中空の管材93と、内部に充填される振動吸収材95とを有する。管材93は金属製であり、高い剛性を有する。振動吸収材95は樹脂製の発泡体である。発泡体としては、ウレタン発泡体や、ポリスチレン発泡体等が例示される。管材93は、この発明における筒状部に相当する。
【0125】
このように構成される車軸91は、ドリブンプーリ61から伝達される振動を好適に減衰および/または吸収する。この結果、車軸91からスイングアーム21に伝達される振動は低減され、左スイングアーム43自体が発生する音が低減される。
【0126】
このように、実施例2によれば、ベルトカバー81は吸音材83、84を備えているので、上側ベルト部分65Uおよび下側ベルト部分65Dが発生する音を効果的に抑制することができる。また、ベルトカバー81は、吸音材85を備えているので、左スイングアーム43が発生する音を好適に抑制することができる。よって、ライダーおよび/または第三者にこもった音を伝えにくくすることができる。
【0127】
また、ベルトカバー81は、保持部材86乃至88を備えているので、吸音材83乃至85を好適にベルトカバー81内に設置することができる。
【0128】
また、車軸91は、内部に振動吸収材95が充填されているので、左スイングアーム43自体がベルトカバー81内で発生する音が低減される。これにより、こもった音がベルトカバー81から生じることを効果的に抑制することができる。
【0129】
なお、上述した実施例2においても、実施例1と同様の効果を奏する。すなわち、内壁部W1によって、上側ベルト部分65Uおよび下側ベルト部分65Dのみならず、左スイングアーム43および出力軸カバー44についても、後輪23から隔てることができる。よって、後輪23側から歯付きベルト65に向かって飛散して来る石等を好適に遮ることができるとともに、左スイングアーム43および/または出力軸カバー44(以下、適宜に「左スイングアーム43等」という)に石等があたることも好適に防ぐことができる。さらに、ベルトカバー81は内壁部W1に加えて、上壁部W2および底壁部W4を有しているので、歯付きベルト65を一層好適に保護できるとともに、左スイングアーム43等に石等があたることをより一層抑制することができる。
【0130】
本発明に係る自動二輪車は、自動二輪車であって、エンジンユニットの出力軸と同軸の揺動軸回りに揺動可能なスイングアームと、前記スイングアームの後部に回転可能に支持される駆動輪と、前記出力軸に取り付けられるドライブプーリと、前記駆動輪と一体に回転可能なドリブンプーリと、前記ドライブプーリおよび前記ドリブンプーリに巻かれる歯付きベルトと、前記歯付きベルトを保護するベルトカバーと、を備え、前記スイングアームの前部は平面視で前記歯付きベルトの前記駆動輪と向かい合う一側方に位置し、前記スイングアームの後部は平面視で前記歯付きベルトの前記一側方とは反対の他側方に位置して、前記スイングアームは平面視で前記歯付きベルトと交差しており、前記ベルトカバーは、側面視で上下方向で前記ドライブプーリの回転中心と前記ドリブンプーリの回転中心とを結ぶ仮想線より上方を通る前記歯付きベルトの上側ベルト部分の上方から側面視で前記仮想線より下方を通る前記歯付きベルトの下側ベルト部分の下方にわたって、前記歯付きベルトの前記一側方に位置し、前記歯付きベルトと前記駆動輪とを隔てる内壁部と、前記上側ベルト部分の上方に位置する上壁部と、前記下側ベルト部分の下方に位置する底壁部と、を含む自動二輪車である。
【0131】
本発明の自動二輪車では、スイングアームの揺動軸はエンジンユニットの出力軸と同軸であるので、スイングアームは上側ベルト部分および下側ベルト部分とそれぞれ近接している。また、スイングアームは平面視で歯付きベルトと交差しており、車幅方向におけるスイングアームと歯付きベルトの位置関係は、前後方向の位置に応じて大きく変化している。
【0132】
そして、駆動輪の上下動に伴って、スイングアームは揺動軸回りに揺動する。出力軸はドライブプーリを回転駆動する。ドライブプーリの回転動力は歯付きベルトを介してドリブンプーリに伝達される。ドリブンプーリは駆動輪とともに回転駆動される。
【0133】
また、ベルトカバーが有する内壁部は、上下方向において上側ベルト部分の上方から下側ベルト部分の下方にわたって歯付きベルトと駆動輪を隔てているので、歯付きベルトおよびスイングアームの双方に対して駆動輪側から飛散してくる石等を適切に遮ることができる。また、ベルトカバーは上述の内壁部に加えて上壁部および底壁部をさらに有しているので、歯付きベルトを好適に保護できるとともに、スイングアームに石等が当たることをより一層防止することができる。すなわち、上側ベルト部分および下側ベルト部分と同様にスイングアームに石等が当たること自体を防ぎ、スイングアームに当たって跳ね返る石等を発生させないようにすることができる。
【0134】
よって、スイングアームと下側ベルト部分との上下方向の間隔が近接していても、また、車幅方向におけるスイングアームと歯付きベルトの位置関係が前後方向の位置に応じて大きく変化していても、上述したベルトカバーによれば、好適に歯付きベルトを保護することができる。
【0135】
また、本発明において、前記ベルトカバーは、前記上側ベルト部分の前記一側方とは反対の他側方に位置する上側外壁部を含むことが好ましい。また、前記ベルトカバーは、前記上側ベルト部分の内壁部側とは反対の側方に位置する上側外壁部を含むことが好ましい。これによれば、上側ベルト部分に対して他側方から飛散して来る石等を好適に遮ることができる。
【0136】
また、本発明において、前記上側外壁部は、前記上壁部から前記スイングアームの上端部に近接する位置にわたって形成され、前記内壁部、前記上壁部および前記上側外壁部によって、上側ベルト部分の周囲を囲むことが好ましい。また、前記スイングアームは、前記駆動輪に対して前記歯付きベルトと同じ側に位置するベルト側スイングアーム部分を含み、前記上側外壁部は、前記上壁部から前記ベルト側スイングアーム部分の上端部に近接する位置にわたって形成され、前記内壁部、前記上壁部および前記上側外壁部によって、上側ベルト部分の周囲を囲むことが好ましい。これによれば、上側ベルト部分の上方および両側方を、上壁部、内壁部および上側外壁部によって囲むことができる。よって、上側ベルト部分を好適に保護することができる。
【0137】
また、本発明において、前記ベルトカバーは、前記下側ベルト部分の前記一側方とは反対の他側方に位置する下側外壁部を含むことが好ましい。また、前記ベルトカバーは、前記下側ベルト部分の前記内壁部側とは反対の他側方に位置する下側外壁部を含むことが好ましい。これによれば、下側ベルト部分に対して他側方から飛散して来る石等を好適に遮ることができる。
【0138】
また、本発明において、前記下側外壁部は、前記底壁部から前記スイングアームの下端部に近接する位置にわたって形成され、前記内壁部、前記底壁部および前記下側外壁部によって、前記下側ベルト部分の周囲を囲むことが好ましい。また、前記スイングアームは、前記駆動輪に対して前記歯付きベルトと同じ側に位置するベルト側スイングアーム部分を含み、前記下側外壁部は、前記底壁部から前記ベルト側スイングアーム部分の下端部に近接する位置にわたって形成され、前記内壁部、前記底壁部および前記下側外壁部によって、上側ベルト部分の周囲を囲むことが好ましい。これによれば、下側ベルト部分の下方および両側方を、底壁部、内壁部および下側外壁部によって囲むことができる。よって、下側ベルト部分を好適に保護することができる。
【0139】
また、本発明において、前記底壁部は排出孔を有することが好ましい。これによれば、ベルトカバー内に侵入した石等の異物や雨水などを好適にベルトカバー外に排出することができる。
【0140】
また、本発明において、前記ベルトカバーは、前記上側ベルト部分に面する位置に設けられる上側吸音材を備えていることが好ましい。これによれば、上側ベルト部分が発生する音を効果的に吸収することができる。
【0141】
また、本発明において、前記ベルトカバーは、前記下側ベルト部分に面する位置に設けられる下側吸音材を備えていることが好ましい。これによれば、下側ベルト部分が発生する音を効果的に吸収することができる。
【0142】
また、本発明において、前記ベルトカバーは、前記スイングアームに面する位置に設けられるスイングアーム吸音材を備えていることが好ましい。これによれば、スイングアームが発生する音を効果的に吸収することができる。
【0143】
また、本発明において、前記ベルトカバーは、互いに分離可能な内側カバー、上部カバーおよび下部カバーで構成されており、前記内壁部は前記内側カバーに形成され、前記上壁部は前記上部カバーに形成され、前記底壁部は前記下部カバーに形成されていることが好ましい。これによれば、自動二輪車の外観に表れやすい上部カバーおよび下部カバーと、自動二輪車の外観に表れにくい内側カバーとを別個に製造することができる。
【0144】
また、本発明において、前記スイングアームの後部に保持され、前記駆動輪を回転可能に支持する車軸を備え、前記車軸は、内部が中空の筒状部と、前記筒状部の内部に設けられる振動吸収材と、を備えていることが好ましい。これによれば、ドリブンプーリ等から車軸に振動が伝達された場合であっても、車軸自体が振動を効果的に吸収できる。よって、車軸からさらにスイングアームに伝達される振動を低減することができる。
【0145】
また、本発明において、前記スイングアームの後部に保持され、前記駆動輪を回転可能に支持する車軸を備え、前記スイングアームは、前記スイングアームの後端縁から前記車軸までの距離または前記距離に応じた前記後端縁を基準とする寸法を測定する測定具を位置決めするためのガイド部を有することが好ましい。ガイド部によって測定具の位置決めを正確に行うことができるので、車軸の位置を正確に測定することができる。また、スイングアームの後端縁からの距離、あるいは、後端縁を基準とした寸法は、スイングアームの製造時に生じる誤差および/または種々の関連部品の製造誤差の影響を受けにくい。よって、上述した距離または寸法を一層正確に得ることでき、車軸の位置を精度よく測定し、調整することができる。
【0146】
また、本発明において、前記ガイド部は、側面視で前記仮想線に沿って延びる溝部であり、前記溝部の一端は前記スイングアームの後端縁に達していることが好ましい。ガイド部は側面視で仮想線に沿って延びている溝であるので、測定結果から揺動軸と車軸との距離を特定することができる。また、溝部の一端はスイングアームの後端縁に到達しているので、後端縁からの距離または後端縁を基準とする寸法を好適に測定することができる。
【0147】
また、自動二輪車であって、スイングアームに回転可能に支持される駆動輪と、前記出力軸に取り付けられるドライブプーリと、前記駆動輪と一体に回転可能なドリブンプーリと、前記ドライブプーリおよび前記ドリブンプーリに巻かれる歯付きベルトと、前記ベルトの少なくとも一部の周囲を囲むベルトカバーと、前記ベルトカバー内に設けられる吸音材と、を備える自動二輪車であることが好ましい。これによれば、ベルトカバーから発生する音を効果的に抑制することができる。
【0148】
また、自動二輪車であって、スイングアームに支持される車軸と、車軸に回転可能に支持される駆動輪と、エンジンユニットの出力軸に取り付けられるドライブプーリと、前記駆動輪と一体に回転可能なドリブンプーリと、前記ドライブプーリおよび前記ドリブンプーリに巻かれる歯付きベルトと、を備え、前記車軸は、内部が中空の筒状部と、筒状部の内部に設けられる振動吸収材と、を備えている自動二輪車であることが好ましい。これによれば、ドリブンプーリ等から車軸に振動が伝達された場合であっても、車軸自体が振動を効果的に吸収できる。よって、車軸からさらにスイングアームに伝達される振動を低減することができる。
【0149】
本発明は、上記実施例のものに限らず、次のように変形実施することができる。
【0150】
(1)上述した各実施例1、2では、ベルトカバー27、81は、それぞれ、内側カバー71、上部カバー73および下部カバー75に分離可能であったが、これに限られない。すなわち、ベルトカバー27、81を分離可能な位置や分離可能な部材数は適宜に変更することができる。
【0151】
例えば、上カバーおよび下カバーの2つの部材でベルトカバー27を構成してもよい。この場合、たとえば、上カバーには、内壁部W1の一部と、上壁部W2および上側外壁部W3が形成されていてもよい。また、下カバーには、内壁部W1の残りの部分と、底壁部W4と下側外壁部W5が形成されていてもよい。このように、各壁部W1乃至W5をいずれの部材に形成するかについても適宜に選択、変更することができる。さらに、上カバーおよび下カバーは、例えば、それぞれ断面視で断面視でUの字形状を有していてもよい。このように、各部材の形状についても適宜に選択、変更することができる。
【0152】
(2)上述した各実施例1、2では、内側カバー71と上部カバー73が接合していたが、これに限られない。すなわち、内側カバー71と上部カバー73とが接合しないように変更してもよい。また、上述した各実施例1、2では、内壁部W1と上壁部W2が連続していたが、これに限られない。すなわち、内壁部W1と上壁部W2が連続していなくもてよいし、内壁部W1と上壁部W2との間に隙間が存在していてもよい。同様に、内側カバー71と下部カバー75との関係、および、内壁部W1と底壁部W4との関係についても、変更することができる。
【0153】
(3)上述した実施例2では、上側ベルト部分65Uの周囲を囲むように吸音材83を配置したが、これに限られない。例えば、上側ベルト部分65Uと面する一方側のみに吸音材を配置するように変更してもよい。また、上側ベルト部分65Uの周囲の一部のみに吸音材を配置するように変更してもよい。同様に、上述した実施例2では、下側ベルト部分65Dの周囲を囲むように吸音材84を配置したが、これに限られない。例えば、下側ベルト部分65Dと面する一方側のみに吸音材を配置するように変更してもよい。また、下側ベルト部分65Dの周囲の一部のみに吸音材を配置するように変更してもよい。
【0154】
(4)上述した各実施例1、2では、後輪23の左側に歯付きベルト65が位置したが、これに限られない。すなわち、後輪23の右側に歯付きベルト65が位置してもよい。
【0155】
(5)上述した各実施例1、2では、スイングアーム21はエンジンユニット15に支持されていたが、これに限られない。たとえば、車体フレーム3にスイングアーム21を支持するように変更してもよい。
【0156】
(6)上述した各実施例1、2では、左スイングアーム43は、湾曲した形状を有していたが、これに限られない。すなわち、左スイングアーム43の形状は適宜に設計、選択することができる。例えば、左スイングアーム43を直線的な形状に変更してもよいし、曲線的な形状に変更してもよいし、直線的な形状と曲線的な形状の双方を含んだ形状に変更してもよい。
【0157】
(7)上述した各実施例1、2では、スイングアーム21は、右スイングアーム41および左スイングアーム43を含んでいたが、これに限られない。例えば、右スイングアーム41及び左スイングアーム43のいずれか一方を省略するように変更してもよい。
【0158】
(8)上述した各実施例1、2では、下部カバー75に3つの排出孔76a乃至76cが形成されていたが、これに限られない。排出孔の個数は適宜に変更することができる。たとえば、異物や水等が1箇所に集まり易い場合には、その箇所に単一の排出孔を形成するように変更してもよい。また、各排出孔76a乃至76cは、底壁部W4、凹部75a、底壁部W4と下側外壁部W5との間の屈曲部にそれぞれ形成されていたが、排出孔の位置は適宜に変更することができる。たとえば、下側外壁部W5に形成してもよい。または、内側カバー71に排出孔を形成するように変更してもよい。
【0159】
(9)上述した各実施例1、2では、溝部49は寸法dLを測定するためのものであったが、これに限られない。例えば、寸法dLを、距離DLに応じた後端縁43aを基準とする他の寸法に変更してもよい。また、寸法dLを、左スイングアーム43の後端縁43aから車軸45までの距離DLに変更してもよい。また、これに伴い、測定具、および、溝部49の形状を適宜に変更することができる。右スイングアーム41が有する溝部(不図示)についても、同様に変更することができる。
【0160】
(10)上述した各実施例1、2では、右スイングアーム41および左スイングアーム43の両方に溝部49等が形成されていたが、これに限られない。例えば、スイングアーム21が、右スイングアーム41および左スイングアーム43のいずれか一方のみを備える場合には、当該一方のスイングアームに溝部を形成するように変更してもよい。
【0161】
(11)上述した各実施例1、2では、測定具111を位置決めするものとして溝部49を例示したが、これに限られない。測定具111を位置決めできれば、突起部、凸部、スリット等の任意の形状に変更してもよい。
【0162】
(12)上述した各実施例および上記(1)から(11)で説明した各変形実施例については、さらに各構成を他の変形実施例の構成に置換または組み合わせるなどして適宜に変更してもよい。また、上記実施例1、2および各変形実施例に限らず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0163】
1 … 自動二輪車
15 … エンジンユニット
21(41、43、44) … スイングアーム
41 … 右スイングアーム
41a …後端縁
43 … 左スイングアーム
43a … 後端縁
23 … 後輪(駆動輪)
27、81 … ベルトカバー
31 … 出力軸
37 … ボルト(揺動軸)
39 … ホルダ(揺動軸)
45、91 … 車軸
48L、48R … 支持体
49 … 溝部(ガイド部)
51 … ドライブプーリ
61 … ドリブンプーリ
65 … 歯付きベルト
65U … 上側ベルト部分
65D … 下側ベルト部分
71 … 内側カバー
73 … 上部カバー
75 … 下部カバー
76a、76b、76c … 排出孔
83 … 吸音材(上側吸音材)
84 … 吸音材(下側吸音材)
85 … 吸音材(スイングアーム吸音材)
93 … 管材(筒状部)
95 … 振動吸収材
A1 … 出力軸の中心
A2 … 後輪軸線
DL … 左スイングアームの後端縁から車軸(後輪軸線)までの距離
DR … 右スイングアームの後端縁から車軸(後輪軸線)までの距離
dL … 左スイングアームの後端縁から支持体までの寸法
dR … 右スイングアームの後端縁から支持体までの寸法
P1 … ドライブプーリの回転中心
P2 … ドリブンプーリの回転中心
W1 … 内壁部
W2 … 上壁部
W3 … 上側外壁部
W4 … 底壁部
W5 … 下側外壁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動二輪車であって、
エンジンユニットの出力軸と同軸の揺動軸回りに揺動可能なスイングアームと、
前記スイングアームの後部に回転可能に支持される駆動輪と、
前記出力軸に取り付けられるドライブプーリと、
前記駆動輪と一体に回転可能なドリブンプーリと、
前記ドライブプーリおよび前記ドリブンプーリに巻かれる歯付きベルトと、
前記歯付きベルトを保護するベルトカバーと、
を備え、
前記スイングアームの前部は平面視で前記歯付きベルトの前記駆動輪と向かい合う一側方に位置し、
前記スイングアームの後部は平面視で前記歯付きベルトの前記一側方とは反対の他側方に位置して、
前記スイングアームは平面視で前記歯付きベルトと交差しており、
前記ベルトカバーは、
側面視で上下方向で前記ドライブプーリの回転中心と前記ドリブンプーリの回転中心とを結ぶ仮想線より上方を通る前記歯付きベルトの上側ベルト部分の上方から側面視で前記仮想線より下方を通る前記歯付きベルトの下側ベルト部分の下方にわたって、前記歯付きベルトの前記一側方に位置し、前記歯付きベルトと前記駆動輪とを隔てる内壁部と、
前記上側ベルト部分の上方に位置する上壁部と、
前記下側ベルト部分の下方に位置する底壁部と、
を含む自動二輪車。
【請求項2】
請求項1に記載の自動二輪車において、
前記ベルトカバーは、前記上側ベルト部分の前記一側方とは反対の他側方に位置する上側外壁部を含む自動二輪車。
【請求項3】
請求項2に記載の自動二輪車において、
前記上側外壁部は、前記上壁部から前記スイングアームの上端部に近接する位置にわたって形成され、
前記内壁部、前記上壁部および前記上側外壁部によって、上側ベルト部分の周囲を囲む自動二輪車。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の自動二輪車において、
前記ベルトカバーは、前記下側ベルト部分の前記一側方とは反対の他側方に位置する下側外壁部を含む自動二輪車。
【請求項5】
請求項4に記載の自動二輪車において、
前記下側外壁部は、前記底壁部から前記スイングアームの下端部に近接する位置にわたって形成され、
前記内壁部、前記底壁部および前記下側外壁部によって、前記下側ベルト部分の周囲を囲む自動二輪車。
【請求項6】
請求項1から5いずれかに記載の自動二輪車において、
前記底壁部は排出孔を有する自動二輪車。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の自動二輪車において、
前記ベルトカバーは、前記上側ベルト部分に面する位置に設けられる上側吸音材を備えている自動二輪車。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の自動二輪車において、
前記ベルトカバーは、前記下側ベルト部分に面する位置に設けられる下側吸音材を備えている自動二輪車。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の自動二輪車において、
前記ベルトカバーは、前記スイングアームに面する位置に設けられるスイングアーム吸音材を備えている自動二輪車。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の自動二輪車において、
前記ベルトカバーは、互いに分離可能な内側カバー、上部カバーおよび下部カバーで構成されており、
前記内壁部は前記内側カバーに形成され、
前記上壁部は前記上部カバーに形成され、
前記底壁部は前記下部カバーに形成されている自動二輪車。
【請求項11】
請求項1から10のいずれかに記載の自動二輪車において、
前記スイングアームの後部に保持され、前記駆動輪を回転可能に支持する車軸を備え、
前記車軸は、
内部が中空の筒状部と、
前記筒状部の内部に設けられる振動吸収材と、
を備えている自動二輪車。
【請求項12】
請求項1から10のいずれかに記載の自動二輪車において、
前記スイングアームの後部に保持され、前記駆動輪を回転可能に支持する車軸を備え、
前記スイングアームは、前記スイングアームの後端縁から前記車軸までの距離または前記距離に応じた前記後端縁を基準とする寸法を測定する測定具を位置決めするためのガイド部を有する自動二輪車。
【請求項13】
請求項12に記載の自動二輪車において、
前記ガイド部は、側面視で前記仮想線に沿って延びる溝部であり、
前記溝部の一端は前記スイングアームの後端縁に達している自動二輪車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−99970(P2013−99970A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242254(P2011−242254)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】