説明

自動位置決め兼潜航可能な開放海洋プラットフォーム

【課題】係累されていないプラットフォームを構成するケージ構造体を海面に浮かせまたは海水中に沈め、さらに海洋内の目標の静止位置に維持できる、係累されていないプラットフォームを提供するものである。
【解決手段】海洋でほぼ静止位置に保持される開放海洋プラットフォームに、(a)海面下の活動を行うために海面の下に沈められた、開放海洋で用いられる潜航可能な構造体と、(b)外部源から送信された海洋位置決め信号を受信するためにケージ構造体に連結された信号受信装置と、(c)信号受信装置によって受信された海洋位置決め信号に基づいて、海洋中の構造体に静止誤差信号を与える静止位置修正装置と、(d)目標静止位置ほぼ対応させてケージ構造体を維持するように静止位置修正装置から得られた静止誤差信号と釣り合った修正推進力を発生して向けるために構造体に連絡された推進システムと、備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開放海洋構造体の分野に関し、特に、魚を生育し収穫するのに適した自動位置決め兼潜航可能な開放海洋プラットフォームに関する。
【背景技術】
【0002】
ケージ(かご)構造体を海岸埠頭に停泊し又はつなぐことにより、またはケージ構造体を海底に係累することにより、魚を生育し収穫する養殖漁業システムを開発するための企画がなされてきた。例えば、2000年に発行されたフォスター等の米国特許6,044,798は、アンカー(錨)によって係累され水中に沈められた浮遊する養殖漁業装置を開示しており、2003年2月に発行されたボイドの米国特許6,520,115は、大きな水面下のフレームワーク(枠組み)、ケーブルネットワーク(ケーブル網)、多数のケージおよび安定な係累システムを備えた設計で大量の遠洋魚を育てる「人工岩礁プラットフォーム」を開示している。養殖漁業用途の他の浮遊及び/又は水中の海洋ケージはフォスター等の米国特許6,044,798に提案されている。
【0003】
最近用いられたタイプの近海展開形海洋ケージの例は、ワシントン州ベーンブリッジ島所在のオーシャンスパ,エルエルシー(有限責任会社)によって作られたシーステーション(登録商標)ケージである。この種のケージは、一般に、水面に浮上するまたは水中に沈む浮力を制御するための空気室を持った中央ステム(幹)を有する。中央ステムの底部はアンカーまたは海底上のグリッド係累システムにつながれている。ケージの外周はケージに対する外側境界を形成する網目ネットを有する。海洋水中で展開されたときでさえ、魚育成からの廃棄物はケージ体積(ケージ体積体)内で濃縮されることがあり、網目ネットは汚染され、海洋で効率良く清掃できない。海洋魚養殖ケージの頂部半分を清掃する先行技術には、中央ステムをそのアンカーの鎖から部分的に開放し、浮力のために中央ステム内の空気室に空気をポンプで注入して、ネットの上部を空気乾燥のために露呈させることができるように、中央ステムを海面に向けて上昇させる。ネットの空気乾燥はネットに付着する寄生動物を死滅させるように見えるが、ケージ用のネットの下部半分の清掃には、多数のダイバーを必要とし、高圧洗浄装置を必要とし、極めてコスト高であり、時間の浪費となる。
【0004】
海洋熱エネルギー変換(OETC)が色々な海洋および海岸産業用途のための電力を発生させるのに用いられてきた。海洋ヒートポンプの初期の例が1935年7月に発行されたクラウデ等の米国特許2,006,985、1988年2月に発行されたカワムラの米国特許4,726,191に提案されており、電気を発生するために地上パイプを通して導入され冷たい深い井戸水との熱交換を用いる地上にあるプラントを開示しており、また、冷たい排出物が養殖漁業の飼料で用いられてもよいと述べている。OETCシステムは、スターリングサイクルエンジンが1817年にロバートスターリングによって発明された後には、通常スターリングサイクルと言われているヒートポンプのサイクルを用いる。例えば、ヒュ−ミストンの米国特許4,302,297に記載されている脱塩プラント、リッジウエイの米国特許4,441,321やベックの米国特許6,202,417の発電のような色々の他の提案がOTEC発生式パワー(電力)を用いるために開発されてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
米国特許6,044,798
米国特許6,520,115
米国特許6,044,798
米国特許2,006,985
米国特許4,726,191
米国特許4,302,297
米国特許4,441,321
米国特許6,202,417
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
係累されていないプラットフォームを海面に浮かせまたは海水中に沈め、さらに海洋内の目標の静止位置に維持するものは存在しなかった。本発明は、係累されていないプラットフォームを構成するケージ構造体を海面に浮かせまたは海水中に沈め、さらに海洋内の目標の静止位置に維持できる、係累されていないプラットフォームを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、海洋でほぼ静止位置に保持される開放海洋プラットフォームにおいて、
(a)海面下の活動を行うために海面の下に沈められた、開放海洋で用いられる潜航可能な構造体と、
(b)外部源から送信された海洋位置決め信号を受信するためにケージ構造体に連結された信号受信装置と、
(c)信号受信装置によって受信された海洋位置決め信号に基づいて、海洋中の構造体に静止誤差信号を与える静止位置修正装置と、
(d)目標静止位置ほぼ対応させてケージ構造体を維持するように静止位置修正装置から得られた静止誤差信号と釣り合った修正推進力を発生して向けるために構造体に連絡された推進システムと、
を有することを特徴とする。
【0008】
本発明の態様において、海洋でほぼ静止位置に保持される開放海洋プラットフォームは、
(a)海面下の活動を行うために海面の下に沈められた、開放海洋で用いられる潜航可能な構造体と、
(b)外部源から送信された海洋位置決め信号を受信するためにケージ構造体に連結された信号受信装置と、
(c)信号受信装置によって受信された海洋位置決め信号に基づいて、海洋中の構造体に静止誤差信号を与える静止位置修正装置と、
(d)目標静止位置ほぼ対応させてケージ構造体を維持するように静止位置修正装置から得られた静止誤差信号と釣り合った修正推進力を発生して向けるために構造体に連絡された推進システムと、を有する。
【0009】
自動位置決め兼潜航可能な開放海洋プラットフォームによって、賃貸の開放海洋養殖漁業内での魚の生育および収穫のために海洋内での拡張した海洋展開が可能である。複数の潜航可能な自己位置決めプラットフォームが賃貸領域でフリートパターンで作動され、維持される。自動自己位置決め機能は、プラットフォームを海底に、または係累したブイにつなぎとめる必要をなくし、それによって、国際議定書の下で、沿岸3から12マイルの国の排他的経済領域内で、より深い海洋深さの中で大規模な魚生育作業を可能にする。
【0010】
好ましい実施例では、海洋位置決め信号が海洋を航行するプラットフォームのアンテナ受信器を通して衛星のネットワークによって絶えず電波が出される地球位置決めシステム(GPS)から得られる。プラットフォームは、ケージが海面にある間、GPS信号を受信するためにケージ構造体に取付けられたアンテナを有し、または、沈んでいる間、ケージ構造体につながれた浮遊キャリアに取付けられたアンテナを有する。他の実施例では、差位置決め誤差に対する修正のときに位置の正確さを増加させる海洋位置決め信号が海岸基地のラジオ遠隔を通して海岸ステーションからプラットフォームのアンテナ受信器に送信されてもよい。その他の方法としては、ケージ構造体は海底に固定された位置に配置された変換器から水中送信される海洋位置決め信号を受信する水中受信器を有する。
【0011】
開放海洋プラットフォームは、熱交換サイクルを駆動するために深い海洋深さに延びる菅を通して導入される冷海水を用いて、スターリングタイプのヒートシンクエンジンのようなパワーおよび推進システムの組み合わせた技術を用いることができる。スターリングヒートシンクエンジンは、海洋熱エネルギー変換(OTEC)システムの動作原理に似た、海洋水のコラム(円柱)の温度勾配を用いる。スターリングタイプの発生器は、好ましくは、熱交換サイクルに電力を供給するために燃料電池のような供給熱源から与えられる熱を用い、また温度勾配に必要な冷海洋水に対する深さを減少させる。プラットフォームはピークをはずれたエネルギー貯蔵とパワーバックパップのための貯蔵バッテリーシステムを用いることもできる。
【0012】
本発明の他の態様として、開放海洋魚資源に対して健康な成長環境を維持するための潜航可能な開放海洋プラットフォームは、
(a)ケージ体積内で開放海洋魚資源を囲って生育するために開放海洋で用いられ、開放海洋資源の生育に適した深さに沈めることができ、沈められたケージ構造体にかかる海面の波及び潮の力を最少にする潜航可能なケージ構造体と、
(b)海洋の所定の静止位置にほぼ対応してケージ構造体を維持するように海水中で推進力を発生し向けるための電力を発生させるためにケージ構造体に連結され、かつケージ構造体の沈められた深さに対して深い海洋深さの温度勾配を用いて熱交換サイクルを駆動するためにケージ構造体の沈められた深さより深い海洋深さから冷海水を導入するための延長された菅を有する海洋熱エネルギー変換(OTEC)パワー及び推進システムと、
(c)生育中の開放海洋魚資源によって発生される排出物を洗い流すためにケージ構造体のケージ体積に導入した冷海水の排出物を向け、それによって開放海洋魚資源に対する健康な生育環境を維持する、OTECパワー及び推進システムに連結された水洗い流しシステムと、有する。
【0013】
本発明の他の態様は、前述の潜航可能なプラットフォーム内で開放海洋魚資源を生育する方法を含むものである。
【0014】
本発明は、補完的な海洋技術を特別に結合して、海底に係累する必要なしに、深い海洋水中で、無人の拡張した海洋展開を要する開放海洋養殖漁業およびそれに関連する作業に対する新規な可能性を創成するものである。開放海洋プラットフォームは開放海洋養殖漁業産物の養殖を可能にする潜航可能な係累されないケージ中で海洋魚類を生育するのに特に適している。本発明の補助的な特徴は、開放海洋養殖漁業ケージ構造体、海洋学および観察に対する遠隔位置決めおよび位置センサ、ハイブリッドエネルギー製造プラットフォーム、海岸対海洋信号中継ステーション、および海洋調査に対する可能性の改良を含んでいる。
【発明の効果】
【0015】
開放海洋プラットフォームの動的位置決めは完全に自由な移動を可能にし、係累システム、鎖、アンカーに対する必要性をなくす。プラットフォームは岸から十分離れて作動でき、沿岸における可視衝撃を最少にし、展開できるユニットの数を最大にできる。GPS、ラジオ遠隔操作を介する自動化した制御可能なコンピュータを用いることによって自己位置決めできる。開放海洋養殖漁業ケージは、貧栄養性の水での生産の拡張性を与え、過度の飼料と代謝産物の完全な好気性の分解を可能にする。海岸近くのマグロの囲いと係累したケージは排出物の堆積に起因する沿岸環境に災害を引き起こし、マグロの大規模生育は環境的に実行しにくい。開放海洋で深水中で作動する養殖漁場は大規模生育を可能にする一方、漁場排出物の適切な混合と完全な好気性分解を与える。開放海洋プラットフォームは、プラットフォームの下方から汲み上げた新鮮な水でケージを絶えず洗い流す。深いところからの海水は細菌の量が少なく、従って病原体が少ない。このことにより、魚が病気や寄生体に係らないことが保証される。開放海洋養殖漁業プロセスに対する必要性は海洋食物に対する世界的な要求と自然漁業における捕獲量の減少によって促進されている。開放海洋養殖漁業プロセスは自然数の減少を取り除き、海洋野生生物を回復させる。
【0016】
ハイブリッドスターリングエンジンおよび海洋熱エネルギー変換(OTEC)パワープラントは、病原菌のない冷水による洗い流しとともに、統合した熱/パワー発生を与える。本発明は拡張した開放海洋操作を可能にし、無限の可能性の海洋資源を収穫できる。ハイブリッドOTECによって駆動される海洋プラットフォームは、深い海洋水が冷たく、産業利用前の、細菌のない、生物付着有機物がないとき、養殖漁業に特に適したものである。この結果、深い冷水は生物付着熱交換器でないとして示されている。温水熱交換器は周囲の海洋水と熱均衡にあり、したがって、さらに生物付着を避けることができる。なお、Cu−Bi合金およびビニルの化学組成物のような耐生物付着物質が海水に露呈される表面に用いられても良い。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の自動位置決め兼水潜航可能な開放海洋プラットフォームを概略的に示す。
【図2】開放海洋プラットフォーム用の海洋熱エネルギー交換(OTEC)パワー兼推進システムの部品を示す概略図である。
【図3】海底に対する鎖やアンカーの必要のない、開放海洋環境内で海面及び水中位置にある開放海洋プラットフォームを概略的に示す。
【図4】開放海洋プラットフォームの好ましい実施例の正面図を示す。
【図5】図5Aおよび図5Bは図4の開放海洋プラットフォームの好ましい実施例の平面図および側面図を示す。
【図6】食物容器兼散布システムとパワー兼推進システムを含む開放海洋プラットフォームの中央ステムの概略図である。
【図7】ステーションを所定の静止位置に維持するために、推進システムが推力を主な流れに対して加えるのに用いる開放海洋プラットフォームの自動位置決めを示す。
【図8】可変の推力と方向を左右のスラスタに加えることによる開放海洋プラットフォームの回転操作を示す。
【図9】図9Aは浮力制御に沿って側部スラスタを用いる開放海洋プラットフォームを沈めることを示し、図9Bはその側部スラスタを浮くことに用いる開放海洋プラットフォームを示す。
【図10】指定された海洋領域内の多数の開放海洋プラットフォーム構造体の展開を示す。
【図11】指定された海洋領域内の多数のケージ構造体の間隔配置の好ましいパターンを示す。
【図12】開放海洋プラットフォーム構造体用の静止誤差修正シーケンスの例を示す。
【図13】スラスタ修正用のトランジットベクトルVトランジットの計算を示す。
【図14】プラットフォームの流れ位置の一層正確に決定するための海岸ステーションにおける第2GPS受信機を用いる差修正を示す。
【図15】開放海洋プラットフォームに積載されて実行される位置修正機能を示す概略図である。
【図16】バックアップ、または水中位置のトランスポンダを用いる他のプラットフォーム通信方法を示す概略図である。
【図17】幼魚から大人への成長段階に対するサイクルの成熟過程に開放海洋プラットフォームを用いる海洋魚類用の成長サイクルを示す。
【図18】海洋で深さが増すときの開放海洋プラットフォームへの海面の波の効果が減少するのを示す。
【図19】開放海洋、魚育成プラットフォーム内でのパワー発生システムと深い水中のケージへのフラッシング(洗い流し)の統合を示す。
【図20】海面の海水と比較した深い海洋海水にあるバクテリアのレベルを示すグラフである。
【図21】色々な流れの強さに対する一般的な球状のケージプラットフォームのスラスタ修正のための概算のパワー条件を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の以下の詳細な説明では、ある好ましい実施例が本発明の実施のためのある特定の例を提供するために図示され、記載されている。好ましい実施例は、好ましいケージ構造体、自動位置決めシステム、水中システム、食物容器兼散布システム、パワー及び推進システム、および水フラッシングシステムを有する。しかしながら、多数の変形や変更が本発明の開示された原理に基づいてなされ得ることは当業者にとって認められるであろう。
【0019】
本発明は、生育する魚やその他の海洋資源を入れるためのケージを海洋で用いる。そのような海洋ケージの例は、知られており、例えば、ワシントン州ベーンブリッジ島所在のオーシャンスパ,エルエルシーによって作られたシーステーション(登録商標)ケージがある。海面に浮かせ又は水中に沈めるための浮力を制御する中央ステム兼空気室を持ち、魚を入れる外側境界に網目ネットを持つこの種のケージの操作はこの分野に詳しい者には十分知られており、これらの部品はここではさらに詳細には記載しない。
【0020】
図1を参照すると、本発明に従って、本発明の自動位置決め兼水中用開放海洋プラットフォームは、ナビゲーション(航海)マーカー11およびアンテナ極13上の信号受信機12を有し、アンテナ極は開放海洋プラットフォームのケージ構造体15のための中央ステム又は船体14の頂部に取付けられている。外側の網目ネット内に含まれるケージの体積は遠海魚類または他の種類の海洋資源の生育を制限する。開放海洋プラットフォームは開放海洋環境で展開され、多数のケージが組立て式に取付けられ、または海洋で間隔をおいたパターンで展開される。信号受信機は外部情報源(GPS、海岸局、水中ソナーブイ)から送信される海洋位置決め信号を受信するのに用いられ、ケージが位置決めされるべき所定の静止位置にほぼ一致させて維持するようにケージ構造体を位置決めするための静止誤差信号を与える。自動位置決めによってケージ構造体を海底に係累し、またはケージ構造体を係累したブイにつなぎとめる必要がなくなり、それによって、国際議定書で定められた沖合い3から12マイルの排他的な経済水域のような一層深い海洋で操業できる。
【0021】
図2は開放海洋プラットフォーム用の海洋熱エネルギー変換(OTEC)パワー兼推進システムとともに含まれる部品を示す。アンテナ極13を取付ける中央船体14内には、ラジオ遠隔サブシステム16、GPS信号プロセッサ17、動的位置決めサブシステム18、海面上昇及び潜水サブシステム19、バッテリー20、ホストコンピュータ21、水ジェット流23をケージ体積中に向ける方向性制御器22、冷水熱交換機24、スターリングサイクルヒートシンク(放熱板)エンジン25、温水熱交換器26、積載燃料供給源27、緊急海洋アンカー28、バラスト容器29、冷水ポンプ注入サブシステム30、冷海洋水の流れ32のための冷水入口パイプ31がある。
【0022】
図3は海底への鎖やアンカーの必要なしに開放海洋環境内で海面位置33(図の左側)と水中位置(右側)にある開放海洋プラットフォームを示す。
【0023】
図4は、球状のケージ構造体とケージを所望の静止位置に推進するためのケージ構造体の両方の横側に一対のスラスタ(軌道修正用エンジン)(360°)とを持つ開放海洋プラットフォームの好ましい実施例の正面図を示す。プラットフォームの中央船体、すなわち、ステムは、中央ステム内のGPS受信機兼動的制御位置決めシステム(DCPS)に連結された上端に取付けられたラジオ制御式遠隔アンテナ極と、OTECに温度勾配を与えるために下部海洋深部から冷海洋水を入れるための下端にある深水入口兼取付けチューブ(点線)と、廃棄物を洗い流して生育環境を健全に保つためにOTEC発生器からバクテリアのない冷水排水をケージ体積に流すための噴流用ポート(開口)とを有する。また、中央ステムとケージの上端および下端には、海洋内での位置決めを行い、および/または、プラットフォーム間の通信および/またはプラットフォームと海岸局との通信を行うために水中信号を受信し送信する水中音波(又は光)センサアレー兼変換器がある。
【0024】
開放海洋プラットフォームは、好ましくは、海岸局から中継された誤差修正を持つGPS信号を用いる。プラットフォームへの通信はプラットフォームのインターネットワーキング(インターネット連絡網)およびイントラネットワーキング(イントラネット連絡網)用のラジオ制御遠隔計測および/または音波/光の水面下通信で達成される。ラジオアンテナは喫水線上に浮上しているときラジオ信号を送信し受信するのに用いられる。GPSセンサは、プラットフォームが海面近くにあるとき、GPS衛星との連絡を維持するために頂部でアンテナ極に配置されている。他の方法としては、アンテナおよびGPSセンサはケージ構造体につながれた浮遊しているキャリアに取付けられてもよい。水中音波変換器は内部プラットフォーム通信およびネットワーキングのためにプラットフォームの頂部および底部に沿って整列して配置されている。プラットフォームには横方向両側に完全に封入した360°の電動スラスタが備えられており、深さ方向の面内で180°の操縦可能な移動性を与える。養殖漁業に対しては、ケージはモジュール的に組立てられた管状の部分から作られた強固な球状体に形成され、各モジュールは耐生物付着網で編まれているのがよい。
【0025】
図5Aおよび図5Bは図4の開放海洋プラットフォームの好ましい実施例の平面図及び側面図を示す。垂直向きのスケグ(船尾骨材)が海洋の流れ内での回転運動の傾向からケージを安定化するためにケージの船尾側に設けられている。
【0026】
図6は開放海洋プラットフォームの好ましい実施例の中央ステムの部品を概略的に示す。GPS/DCPS制御システムがステムの頂部にある。高圧給水箱は乾燥空気で加圧された水を入れている。水はコンピュータ作動の機械式ディスペンサ(分配器、小出し器)によって自動的に取り出され、ディスペンサは水をアリコット空間(等分空間)に開放する。第1ディスペンサが閉じ、第2機械式ディスペンサが開き、水は中央ステム領域に落ち、中央スラストによってケージを通して分散される。冷海水は中央ステム内に配置された水噴流スラスタによって汲み上げられる。汲み上げられた海水がヒートシンクエンジンを駆動し、水を分配(小出し)し、容器を位置決めするのを助けるのに用いられる。すべてのサブシステムは、ハイブリッドパワー発生器による、バックアップバッテリを備えた電力による。容器は中央ステムの底部にある浮力補償装置によって直立位置に留まる。浮力補償装置は浮き上がるために加圧水箱から空気を引き込む。中央スラスタは、OTECパワー発生器を通った深水の流れから冷海洋水の水噴流の流れをケージ体積内に向け、排水を一斉に出し希釈して魚の健康な生育のための寄生物および病原菌のない環境を維持する。OTECパワー発生器は、燃料セルおよび/またはピークをはずれた貯蔵バッテリから供給されるバックアップパワーを有してもよい。浮力制御システムはケージを上昇させまたはケージを海面から沈めるために空気を浮力室に入れ、または出すのに用いられる。
【0027】
図7はステーション(局)を所定の静止位置に向けて維持するためにスラスト(推力)を主要な流れに加えるように推進システムを用いて開放海洋プラットフォームの自動位置決めを行うのを示す。スケグは流れ内での回転の傾向からケージを保持する安定化力を与える。
【0028】
図8は右および左のスラスタに種々のスラストおよび方向を加えることによる開放海洋プラットフォームの回転操作を示す。やはり、スケグは回転のために与えられたスラストで過回転する傾向からケージを保持する安定化力を与える。
【0029】
図9Aは浮力制御器と同調して方向性スラスタを用いて開放海洋プラットフォームを沈めることを示し、図9Bは浮かすのに方向性スラストを用いることを示す。プラットフォームは浮力制御器タンクに浸水させ、右側に示された側部360°スラスタを回転することによって沈められる。プラットフォームは空気を浮力制御器に注入しスラスタを回転させ上方向のスラストを与えることによって浮かぶ。
【0030】
指定の海洋領域内の多数の開放海洋プラットフォーム構造体の展開を示す。ケージは、好ましくは、主要な海洋の流れの到来方向に向かう飛行Vパターンに配置される。プラットフォームは他のプラットフォームの音を聞くような水中音波のアレー(配列)を用いることによってプラットフォーム間に安全な間隔を維持できる。音が閾値を越えたとき、ケージは音の方向から離れれるようにその推進システムで案内される。この図で、Rsは安全半径領域であり、Fcは流れに対するプラットフォーム位置を維持するための力である。
【0031】
図11は指定海洋領域内の多数のケージ構造体の間隔配置のための飛行Vパターンを示す。間隔制御アルゴリズムは音波変換器を用いて、他のプラットフォームを感知し飛行Vパターンと差位置及び所望間隔モデルに対するプラットフォームの位置を公式化する。
【0032】
開放海洋魚生育ケージプラットフォームはスラスタユニットからの修正力を動的に連続的に加えて指定した作業者の養殖漁業賃貸領域内の指定した単位位置のような画定した領域内の目標静止位置に向けて操縦する。積載した静止位置修正制御器は信号受信ユニットによって受信した海洋位置決め信号に基づいた、海洋内のケージ構造体用の静止誤差信号を導きだす。そして、静止誤差信号はケージ構造体を絶えず所望の目標静止位置に向けるように操縦するためにスラスタ命令信号を導きだして修正推進力を発生するのに用いられる。
【0033】
図12は静止誤差修正シーケンスの例を示す。ユニット制御器は受信したGPS信号又は海岸に基地を置く差GPS信号の助けを借りて予想される流れのドリフト(浮動)方向と大きさを計算する。海洋の流れが予めプログラムした目標位置から単位プラットフォームを離すように運ぶと推定されると、制御器は基準位置からの離れるドリフトとGPS位置の変化を記録し、瞬間流れベクトルVcを計算する。流れベクトルVcはスラスタ(進む方向および大きさ)修正ベクトルを計算するためにプラットフォームの運動用の流体力学モデルにおいて制御器によって用いられる。スラスタ修正ベクトルはパワーの方向と大きさを命令するためにスラスタユニットに加えられる。修正シーケンスに対する次の時間増分において、流れベクトルVcが再び前述のように測定され,次いで、新しいスラスト修正ベクトルが計算され、加えられる。
【0034】
カルマンフィルタのようなフィルタが正しい位置を決定するためにすべて得られるデータに対して適用される。ルドルフ カルマンによって開発されたカルマンフィルタは一連の不完全な雑音を含む測定値から動的システムの状態を評価する効率的な帰納的フィルタである。もしプラットフォームの現在位置が目標位置から変位されているとすると、現在位置と目標(ステーション)位置との間の差ベクトルΔPを計算し、次に、図13に示すようにトランジット(推移)ベクトルVtransit を決定するために流れベクトルVc(上で計算した)を引く。トランジットベクトルVtransitはケージの位置を目標ステーション位置に回復するためにケージが推移しなければならない修正経路を示す。したがって、スラスタ修正ベクトルはトランジットベクトルVtransitから導きだされる。
【0035】
好ましい実施例では、開放海洋魚育成ケージプラットフォームはより正確な誤差決定のために海岸ステーション(海岸局)から受信される差位置GPS信号に基づいた静止誤差信号を導きだす。静止衛星の位置トランスポンダ(中継器)は正確であるように設計されたが、大気状態、天文上の誤差(時刻のドリフト/測定値ノイズ)、選択的有用性(防衛省の変更)および反射による多重経路による誤差がある。全体的に、これらの誤差は不確実な15メートルの総合誤差まで加えることができる。差修正は1〜3メートル内の正確さを得るのに必要である。図14に示すように、差修正は、賃貸領域内の魚生育ケージにラジオ送信の近接内の海岸局のような、正確に知られた位置にある静止位置においてデータを収集する基地局の第2のGPS受信器を必要とする。基準位置の物理的位置は既知であり、したがって、修正ファクタは、計算でき、同一の衛星を用いることによって決定されるGPS位置に関して基準位置が比較される。海岸局はプラットフォームから送信される現在のGPS位置座標軸をダウンロードし、座標軸を海岸局のより正確な既知の位置座標軸と比較し、差座標軸を導きだしてより正確なプラットフォームの現在位置を突き止める。次に、修正ファクタはプラットフォームに送信され、プラットフォームは現在位置のための計算で修正ファクタを用いる。
【0036】
図15は開放海洋プラットフォームで行われる位置修正機能を示す概略図である。流体力学モデルは予想される位置とベクトルを計算するためにGPS衛星ダウンロードデータおよび/または差基準位置信号(海岸局から)を受信する。誤差分析機能がモデル位置上の更新データを考慮し、予想される流れのドリフトに対して計算された流れの推定値(流れベクトルVc)を考慮するために実行される。流体力学モデルは、質量と抗力のような予想される流体力学および空気力学に基づくプラットフォームの運動に対する標準の数学的モデルを用いる。差位置に対するプラットフォームの位置および向かう方向がシステムに供給され、モデルによって作られた予想と連続して比較される。この差がフィルタリング技術を用いてモデルを更新するのに用いられる。
【0037】
好ましいプラットフォームの流体力学モデルは頻繁に更新され、海岸局からの差基準位置信号で修正される。風、天候、流れおよび位置に関するモデル更新データは衛星ダウンロードを通してモデルに供給される。流体力学モデルはその修正計算を実行し、修正ベクトルをスラスタ制御アルゴリズムに渡す。制御アルゴリズムは各スラスタユニットに対するパワー割当とベクトルを計算する。好ましい制御アルゴリズムは、また、スラスタからのフィードバックからの入力を持つ。各スラスタのパワーは内部センサによってモニターされ、制御アルゴリズムに戻され、パワースペクトルおよびドリフトを変更するための修正を可能にする。別の航海事故制御アルゴリズムは予想しない船の接近の場合に制御を無効にする。接近する船は変換器アレーで感知され、航海事故制御アルゴリズムに直接報告される。
【0038】
好ましくは、各プラットフォームはイントラプラットフォーム制御アルゴリズムおよびインタープラットフォーム制御アルゴリズムを実行する。イントラプラットフォームアルゴリズムは地球的な位置システムに対する各プラットフォームおよび海岸局に対する差位置を維持する責任を負う。インタープラットフォームアルゴリズムはイントラプラットフォームアルゴリズムに対して補助的であり、指定した賃貸領域内で他のプラットフォームに対して主のプラットフォーム位置(例えば、飛行Vパターンの位置)を維持するように働く。プラットフォームは水中音波変換器アレーを通して互いに通信を行う。
【0039】
バックアップ、すなわち、水面下位置トランスポンダを用いる代案のプラットフォーム通信方法が図16に示されている。海岸局または船またはそれら両方であってもよい制御ステーションは変換器を有し、変換器は、既知の座標位置に近接した海底に配置されたトランスポンダを経由して海にあるプラットフォームと通信信号を送受信するように水中に位置決めされている。変換器は音波または光の信号(ピエゾ電気素子による)をトランスポンダに送信し、トランスポンダは返答のために始動される。水を通る音の速度は既知であるので、距離がわかる。プラットフォームは変換器アレーを通してトランスポンダと通信信号を交換できる。このバックアップ通信システムは、プラットフォームが沈められており、GPS衛星と非接触の間に、用いられる。海岸局変換器は、制御ステーションからプラットフォームに、プラットフォームから制御ステーションにデータを中継するのに用いられる。制御は視野方向内の短い距離に対してラジオ遠隔によって維持され、長い距離に対しては衛星通信を通して維持される。
【0040】
開放海洋魚育成ケージプラットフォームは海洋内での魚の成育サイクルの成熟を取り扱うように設計されている。図17に示すように、海洋魚類の場合には、採卵と受精卵の収集から始める。卵は、卵が孵化し幼生の段階にまで生育される孵化場に移される。次に、幼生は成長タンクに移され、幼魚の大きさまで生育される。幼魚は開放海洋プラットフォームに移され、完全な市販寸法になるときまで育てられる。開放海洋プラットフォームは魚類の成熟成長段階に対して海洋内の自然環境を与える。生育環境は病原体のない深海洋水でケージを絶え間なく洗い流すことによって高められ、深海洋水は低い側から吸い上げられOTECエンジンに用いられる。魚が所望の大人の大きさに達すると、魚はプラットフォームから収穫され、市場に持ち込まれる。
【0041】
図18は海洋での深さが増すと開放海洋プラットフォームの海面の波が減少する効果を示す。海洋の海面上の風の力によって波の粒子は深さに伴って直径が減少する円形軌道で動き、応力は層で運ばれ、それによって、エクマンスパイラルが生じ、エクマンスパイラルは北半球では右方向に移動し(コリオリ効果に起因して)、深さに伴って減少する。海洋の海面上の波行動の効果的な深さは波の波長の2分の1である。例えば、ハワイ付近の平均の波の周期は夏には約5秒乃至7秒であり、冬には6秒乃至9秒である。平均の波の高さと波の周期を用いて、一般的な波長が約120乃至130フィートであると計算される。したがって、約60乃至70フィートの深さ以下にプラットフォームを置くと、沈めたケージに対して海面の風および波からの乱流がほとんど生じない。
【0042】
図19に示すように、各開放海洋魚生育プラットフォームは深水でのケージの洗い流しを持った完全に統合したパワー発生システムを有している。パワープラントの設計により下側の海洋に延びるパイプを通して冷海水を導入することによって任意の深さにおいて電力の発生が可能である。スターリング発生器を駆動するカーノットサイクルの高温側は、積載した燃料容器に貯蔵された高BTU燃料を用いて、燃料電池ユニットによって加熱される。沈んだ深さにおけるプラットフォームの周囲の暖かい海水はスターリング発生器を部分的に駆動する導入した冷海水で温度勾配を設定する。このようにして、短い冷却パイプがランキンサイクルOTECプラントと比較するものとして用いられる。例えば、プラットフォームが沈んだ位置にあるとき、スターリング発生器は約30乃至50メートルの深さにあり、26°Cの暖かい海面層に置かれる。プラットフォームは約19°Cの深水層の頂部である90メートルの深さから水をポンプで汲み上げ、深水はカーノットサイクルの冷側を駆動する。このようにして、熱勾配が生成されてパワー発生を高める。前述したような熱/パワー発生器の組み合わせによって理論的には約70%ほどの高い燃料変換効率が得られる。スターリングエンジンカーノットサイクルを部分的に駆動する温度勾配と共に、燃料の電気への変換は従来の水中のスターリングエンジンシステムの中で最も高いものである。
【0043】
病原体なしの冷海水は、健康な生育環境を維持するために、ケージから廃棄物と病原体を連続的に希釈しおよび/または拡散するため、スターリング発生器からケージ体積に出力される。深海洋水は海面の海水よりもわずかな細菌しか含んでいない。図20は、ステーションアロハにおける2005年中のハワイオーシャンタイムズシリーズ実験中にボトルCTDロゼットで深さに対して採取された海洋水サンプルのヘテロトロピックバクテリア(従属栄養細菌)の数の概略の深さ比較を示す。図から分かるように、バクテリアの数は20メートルの深さでmL当たりほぼ6×105の数であり、90メートルの深さでその半分3×105の数である。プラットフォームは海面水より少ないヘテロトロピックバクテリアを含む90メートルの深さからの水でケージを絶えず洗い流す。
【0044】
前述のタイプのスターリング発生器のパワー出力は、その他の提供される用途ばかりでなく静止位置決めに対するスラスタのパワー要件に十分満たす。流れの中の球状物体の抗力(引張り力)は下記の数式で示されるようにモデル化される。
【数1】


ここで、Fdは抗力、Cdは抗力係数、ρは流体密度、vは速度、Aは流れに露呈された断面積であり、単位ベクトルは流れの方向と反対方向を示す。滑らかな固体球状体は、0.1×ケージの断面積Aの抗力係数を有する。一般的なケージ構造はスケルトン(骨組)の外周に取付けられた.08インチの網目ネットを持つ開放領域であり、1インチ平方の肋骨が領域の16%を占めている。したがって、有効な断面積は、プラットフォームと網を考慮に入れると、おおよそ30%である。図21は、色々な流れの強さに対して、露呈された30%の断面積を持つ27メートル半径の球状ケージプラットフォームに対する概算のパワー要件を示すグラフである。1ノットの流れに対してステーションを維持する歩ワー要件は約8.5キロワットであり、は約8.5キロワットは前述の熱/パワーの組み合わせの出力範囲内に十分入る。2つのそのようなスターリング発生器は50KWの連続パワーを供給でき、もし1つのユニットが故障しても余裕がある。
【0045】
この発明の魚育成作業に対して、ケージプラットフォームは前述した載置の食料分配器を有する。マグロのような魚類に対しては、分配器は大豆から作られたペレット化した飼料を分配できる(小出しできる)。自動飼料供給箱が載置され、乾燥空気で加圧される。コンピュータは飼料供給時間を制御し、飼料の量を監視する。飼料ボートが養殖漁業の現場に訪れて周期的な間隔でプラットフォームにマグロの飼料を分配してもよい。
【0046】
ケージの取り入れと維持は海で船から行う。プラットフォームはスペクトララインのような耐生物付着物質から作られている。ケージを沈めることによって、ケージは水を通る光の減衰に起因してほとんどの時間直射日光を浴びることなく、生物付着工程を遅くできる。プラットフォームは沈められ、静止した潜水艦と同様に、風、嵐、海賊、船との衝突から保護され、沿岸から離れた深水中で作業でき、自己位置決めができ、それによって、価値ある沿岸の景色を維持する。プラットフォームは沿岸から何マイルかの深水に置かれるように設計されており、パワープラントを冷水に接近させることができ、他方、開放海洋養殖漁業作業にわたって高度の監視を維持する。
【0047】
ハイブリッドOTECシステムを用いる自己位置決め海洋航行プラットフォームは海水から水素発生用のパワー出力を用いるようにも設計できる。水素はまもなく燃料電池および水素動力式自動車用の燃料として広く要求されるようになるであろう。海岸境域がすくなく、価値がある海では水素を生成することは利点である。浮遊するOTECプラントは、低い側の海洋深さから汲み上げるための冷水のパイプ配管をはるかに短くでき、ポンプでの汲み上げエネルギーコストを削減できるので、陸上のOTECプラントより経済的である。
【符号の説明】
【0048】
11 ナビゲーションマーカー
12 信号受信機
13 アンテナ極
14 中央ステム
15 ケージ構造体
16 ラジオ遠隔サブシステム
17 GPS信号プロッセサ
18 動的位置決めサブシステム
19 潜水サブシステム
20 バッテリ
21 ホストコンピュータ
22 方向性制御器
23 水ジェット流
24 冷水熱交換器
25 スターリングサイクルヒートシンクエンジン
26 温水熱交換器
27 積載燃料供給源
28 緊急海洋アンカー
29 バラスト容器
30 冷水ポンプ注入サブシステム
31 冷水入口パイプ
32 流れ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
海洋でほぼ静止位置に保持される開放海洋プラットフォームにおいて、
(a)海面下の活動を行うために海面の下に沈められた、開放海洋で用いられる潜航可能な構造体と、
(b)外部源から送信された海洋位置決め信号を受信するためにケージ構造体に連結された信号受信装置と、
(c)信号受信装置によって受信された海洋位置決め信号に基づいて、海洋中の構造体に静止誤差信号を与える静止位置修正装置と、
(d)目標静止位置ほぼ対応させてケージ構造体を維持するように静止位置修正装置から得られた静止誤差信号と釣り合った修正推進力を発生して向けるために構造体に連絡された推進システムと、
を有することを特徴とする開放海洋プラットフォーム。
【請求項2】
請求項1記載の開放海洋プラットフォームにおいて、海洋位置決め信号は地球上の位置決めシステム(GPS)信号によって与えられることを特徴とする開放海洋プラットフォーム。
【請求項3】
請求項1記載の開放海洋プラットフォームにおいて、前記構造体は、アンテナが海水の上方に突出しているとき、通信信号を受信する、取付けられたアンテナを有することを特徴とする開放海洋プラットフォーム。
【請求項4】
請求項1記載の開放海洋プラットフォームにおいて、前記構造体は前記ケージ構造体に近接した既知の位置の水中に置かれたトランスポンダからの水中信号送信を受信するための水中変換器を有することを特徴とする開放海洋プラットフォーム。
【請求項5】
請求項1記載の開放海洋プラットフォームにおいて、前記構造体はケージ体積内で海洋資源を生育するケージであり、ケージは堅固な部材で組立てられたスケルトンおよびスケルトンの外周に取付けられた網目ネットによって形成された球状形状を有することを特徴とする開放海洋プラットフォーム。
【請求項6】
請求項1記載の開放海洋プラットフォームにおいて、前記ケージ構造体は球状形状を有し、前面側は海洋に面し、後尾側は前記ケージ構造体を回転しないように安定化する下流スケグを中央位置に有することを特徴とする開放海洋プラットフォーム。
【請求項7】
請求項5記載の開放海洋プラットフォームにおいて、前記ケージ構造体は、目標静止位置に向けて前記ケージ構造体を維持する推進を与えるように直径方向反対側に取付けられた少なくとも一対のスラスタを有することを特徴とする開放海洋プラットフォーム。
【請求項8】
請求項5記載の開放海洋プラットフォームにおいて、前記ケージ構造体は前記ケージ構造体の潜航と浮上を制御するための空気浮力制御システムを有する中央ステムを有することを特徴とする開放海洋プラットフォーム。
【請求項9】
請求項8記載の開放海洋プラットフォームにおいて、前記中央ステムは海洋資源として魚に餌を与えるためにケージ構造体に飼料を分配する飼料分配システムを含むことを特徴とする開放海洋プラットフォーム。
【請求項10】
請求項1記載の開放海洋プラットフォームにおいて、スターリングエンジンサイクルを駆動するために海面近くの温水で温度勾配を生成するように低い側の海洋深さからケージ構造体に取付けられたパイプを通して導入される冷海水を用いるスターリングタイプの載置したパワー発生器を含むことを特徴とする開放海洋潜航可能なプラットフォーム。
【請求項11】
請求項10記載の開放海洋プラットフォームにおいて、前記パワー発生器は、冷海水を導入する深さ要件を減少させる一方、パワー発生を高めるために、スターリングタイプの発生器のカーノットサイクルの高温側を駆動するように積載した貯蔵燃料を用いて燃料燃焼ユニットによって加熱されたハイブリッドタイプであることを特徴とする開放海洋プラットフォーム。
【請求項12】
請求項10記載の開放海洋プラットフォームにおいて、前記構造体はケージ体積内で海洋資源を生育するケージであり、前記冷海水は清潔な深い海水で水を洗い流すために前記パワー発生器から排出物としてケージ体積に出力されることを特徴とする開放海洋プラットフォーム。
【請求項13】
請求項12記載の開放海洋プラットフォームにおいて、前記冷海水は中央スラスタユニットからケージ体積に噴射されることを特徴とする開放海洋プラットフォーム。
【請求項14】
請求項1記載の開放海洋プラットフォームにおいて、前記推進システムは前記ケージ構造体を推進するために均衡した配置でスラスタユニットを有し、前記静止位置修正装置は前記プラットフォームに送信されたGPS信号から前記プラットフォームに対する現在位置を導きだし、海洋の流れに起因する位置の予想されるドリフトに対する流れベクトルVcを計算し、現在位置と目標静止位置との間の差ベクトルΔPを計算し、次にスラストユニットによるスラスタ修正に対する修正経路として流れベクトルおよび差ベクトルからトランジットベクトルを決定することを特徴とする開放海洋プラットフォーム。
【請求項15】
海洋中のほぼ静止位置に維持される開放海洋システムにおいて、
(a)各々がケージ体積内で海洋資源を生育ために海面のより下方に沈められた開放海洋中で用いられる複数の潜航可能なケージ構造体を有し、
(b)前記複数の潜航可能なケージ構造体の各々は外部源から送信された海洋位置決め信号を受信するためにケージ構造体に連結された信号受信器を有し、
(c)前記複数の潜航可能なケージ構造体の各々は信号受信装置によって受信された海洋位置決め信号に基づいて海洋中のケージ構造体に対する静止誤差信号を与えるための静止位置修正装置を有し、
(d)前記複数の潜航可能なケージ構造体の各々は目標静止位置にほぼ対応してケージ構造体を維持するように、静止位置修正装置から与えられた静止誤差信号と釣り合った修正推進力を発生し向けるためにケージ構造体に連結された推進システムを有し、
複数の潜航可能なケージ構造体の各々は目標静止位置にほぼ対応してグループパターンで前記ケージ構造体を維持するために他のケージ構造体の位置に対してその位置を通信する通信システムをさらに有する、
ことを特徴とする開放海洋システム。
【請求項16】
請求項15記載の開放海洋システムにおいて、目標静止位置にほぼ対応してグループパターンで前記ケージ構造体を維持するために複数のケージ構造体と通信を行う手段を持つ制御ステーションをさらに有することを特徴とする開放海洋システム。
【請求項17】
請求項16記載の開放海洋システムにおいて、前記制御ステーションは目標静止位置におけるケージ構造体に対する指定された海洋領域に接近した既知の海岸位置に配置された海岸ステーションであり、前記海岸ステーションは差誤差修正とともにGPS信号を受信し、それぞれの現在位置により正確に誘導するためにケージ構造体の各々に修正したGPS信号を送信することを特徴とする開放海洋システム。
【請求項18】
海洋でほぼ静止位置に保持される開放海洋プラットフォームにおいて、
(a)海面下の活動を行うために海面の下に沈められた、開放海洋で用いられる潜航可能な構造体と、
(b)外部源から送信された海洋位置決め信号を受信するためにケージ構造体に連結された信号受信装置と、
(c)信号受信装置によって受信された海洋位置決め信号に基づいて、海洋中の構造体に静止誤差信号を与える静止位置修正装置と、
(d)目標静止位置ほぼ対応させてケージ構造体を維持するように静止位置修正装置から得られた静止誤差信号と釣り合った修正推進力を発生して向けるために構造体に連絡された推進システムと、有し、
前記推進システムはスターリングエンジンサイクルを駆動するために海面近くの暖かい水で温度勾配を生成するように低い側の海洋深さから構造体に取付けられたパイプをとおして導入される冷海水を用いるスターリングタイプの積載したパワー発生器を有し、
前記パワー発生器は冷海水を導入する深さ要件を減少する一方、パワー発生を高めるためにスターリングタイプの発生器のカーノットサイクルの高温側を駆動するように積載した貯蔵燃料を用いて燃料燃焼ユニットによって加熱される海洋熱エネルギー変換(OTEC)ハイブリッド発生器である、
ことを特徴とする開放海洋プラットフォーム。
【請求項19】
開放海洋魚生育システムにおいて、
(a)ケージ体積内で開放海洋魚資源を囲って生育するために開放海洋で用いられ、開放海洋資源の生育に適した深さに沈めることができ、沈められたケージ構造体にかかる海面の波及び潮の力を最少にする潜航可能なケージ構造体と、
(b)海洋の所定の静止位置にほぼ対応してケージ構造体を維持するように海水中で推進力を発生し向けるための電力を発生させるためにケージ構造体に連結され、かつケージ構造体の沈められた深さに対して深い海洋深さの温度勾配を用いて熱交換サイクルを駆動するためにケージ構造体の沈められた深さより深い海洋深さから冷海水を導入するための延長された菅を有する海洋熱エネルギー変換(OTEC)パワー及び推進システムと、
(c)生育中の開放海洋魚資源によって発生される排出物を洗い流すためにケージ構造体のケージ体積に導入した冷海水の排出物を向け、それによって開放海洋魚資源に対する健康な生育環境を維持する、OTECパワー及び推進システムに連結された水洗い流しシステムと、
を有することを特徴とする開放海洋魚生育システム。
【請求項20】
潜航可能な開放海洋プラットフォーム内で開放海洋魚資源を生育する方法において、
(a)ケージ体積内で開放海洋魚資源を囲って生育するために開放海洋で用いられる潜航可能なケージ構造体を用意し、ここで、前記潜航可能なケージ構造体は開放海洋資源の生育に適した深さに沈めることができ、沈められたケージ構造体にかかる海面の波及び潮の力を最少にし、生育すべき幼魚の大きさの所望の開放海洋魚資源の入れるのに十分小さい網目の大きさの囲んだ網目ネットを有し、
(b)網目ネットによって囲んだケージ構造体のケージ体積中に開放海洋資源の幼魚を導入し、
(c)開放海洋魚資源による消費に対してケージ体積中にケージ構造体内の飼料容器兼分配システムから飼料を供給し、魚資源が収穫のための所望の大人の大きさに幼魚の大きさからケージ体積内で成長するにつれて開放海洋魚資源のために飼料を前記飼料容器兼分配システムに補充し、
(d)海洋の所定の静止位置にほぼ対応してケージ構造体を維持するために海洋熱エネルギー変換(OTEC)パワー及び推進システムを駆動するようにケージ構造体の沈んだ深さより深い海洋深さから冷海水を導入し、
(e)成長する開放海洋魚資源によって発生された排出物を洗い流すためにケージ構造体のケージ体積中にOTECパワー及び推進システムから導入された冷海水の排出物を向け、それによって開放海洋魚資源の健康な成長環境を維持する、
ことを特徴とする開放海洋魚資源を生育する方法。
【請求項21】
請求項18記載の開放海洋プラットフォームにおいて、ハイブリッド海洋熱エネルギー変換(OTEC)発生器のパワー出力は海水から水素を生成するのに用いられることを特徴とする開放海洋プラットフォーム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公表番号】特表2010−537882(P2010−537882A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−523202(P2010−523202)
【出願日】平成20年9月3日(2008.9.3)
【国際出願番号】PCT/US2008/075107
【国際公開番号】WO2009/032836
【国際公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(510054016)ハワイ オーシャニック テクノロジー インク (1)
【氏名又は名称原語表記】HAWAII OCEANIC TECHNOLOGY,INC.
【Fターム(参考)】