説明

自動原稿搬送装置、及び画像読取装置

【課題】
原稿の片面を読み取る場合及び原稿の両面を読み取る場合において、搬送ローラを有効に用いることができる自動原稿搬送装置を、提供する。
【解決手段】
自動原稿搬送装置8は、搬送経路HRと、複数の搬送ローラ対31〜35とを、備えている。搬送経路HRでは、原稿が給紙口8aから排紙口8bまで一方向に搬送される。複数の搬送ローラ対31〜35は、搬送経路HRにおいて互いに間隔を隔てて配置されている。複数の搬送ローラ対31〜35は、原稿の片面を読み取る場合及び原稿の両面を読み取る場合に、原稿を挟持して原稿を搬送経路HRに沿って搬送する。この場合に、複数の搬送ローラ対31〜35は、全てが原稿の搬送に関与する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動原稿搬送装置に関する。また、本発明は、自動原稿搬送装置を備えた画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動原稿搬送装置では、複数の搬送ローラ対が搬送経路に沿って配置され、これら複数の搬送ローラ対が原稿を搬送している(特許文献1を参照)。詳細には、原稿の片面を読み取るための片面専用経路と、原稿の両面を読み取るための両面専用経路とが、用意されている。そして、これら経路に沿って原稿を搬送できるように、複数の搬送ローラ対が配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−269934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の自動原稿搬送装置では、複数の搬送ローラ対が、片面専用経路及び両面専用経路に沿って、原稿を搬送することによって、原稿の内容が読み取られる。しかしながら、従来の自動原稿搬送装置では、片面専用経路及び両面専用経路に対して、複数の搬送ローラ対が個別に用意されている。このため、原稿の片面を読み取る場合には用いられず、原稿の両面を読み取る場合にのみ用いられる搬送ローラ対が、存在していた。例えば、搬送ローラ対42,43が、この搬送ローラ対に対応する。このように、原稿の両面を読み取る場合にのみ用いられる搬送ローラ対の存在によって、従来の自動原稿搬送装置では、搬送ローラ対の数が、他の形態の自動原稿搬送装置と比較して、多くならざるを得なかった。そこで、搬送ローラ対の数を低減するための様々な試みがなされてきたが、十分な成果を上げることができていなかった。
【0005】
本発明の課題は、原稿の片面を読み取る場合及び原稿の両面を読み取る場合において、搬送ローラを有効に用いることができる自動原稿搬送装置を、提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
【0007】
本発明の一見地に係る自動原稿搬送装置は、搬送経路と、複数の搬送ローラ対とを、備えている。搬送経路では、原稿が給紙口から排紙口まで一方向に搬送される。複数の搬送ローラ対は、搬送経路において互いに間隔を隔てて配置される。複数の搬送ローラ対は、原稿の片面を読み取る場合及び原稿の両面を読み取る場合に、原稿を挟持して原稿を搬送経路に沿って搬送する。この場合に、複数の搬送ローラ対は、全てが原稿の搬送に関与する。
【0008】
この場合、搬送経路において原稿が給紙口から排紙口まで一方向に搬送されるときに、全ての搬送ローラ対が原稿の搬送に関与する。すなわち、原稿の片面を読み取る場合にも、原稿の両面を読み取る場合にも、搬送に関与しない搬送ローラ対が、存在しない。このように、本自動原稿搬送装置では、原稿の片面を読み取る場合及び原稿の両面を読み取る場合において、搬送ローラを有効に用いることができる。これにより、搬送ローラ対の数を減らすことができる。また、搬送ローラ対の数を減らすことができれば、コストの低減及び自動原稿搬送装置の小型化等を、実現できる。
【0009】
自動原稿搬送装置では、原稿の片面を読み取る場合及び原稿の両面を読み取る場合に、複数の搬送ローラ対それぞれは、少なくとも1度は、原稿を挟持して原稿を搬送経路に沿って搬送する。
【0010】
この場合、原稿を読み取る場合に、少なくとも1度は各搬送ローラ対が原稿を搬送経路に沿って搬送できるように、搬送経路が形成され、この搬送経路に搬送ローラ対が配置されている。これにより、搬送に関与しない搬送ローラ対が存在しなくなり、搬送ローラを有効に用いることができる。
【0011】
自動原稿搬送装置では、複数の搬送ローラ対の少なくともいずれか1つが、3連ローラである。3連ローラは、互いに対向する一対の従動ローラと、一対の従動ローラの間に配置される駆動ローラとを有している。ここでは、次のように原稿が搬送されるように、搬送経路が形成され、3連ローラが配置されている。原稿の片面を読み取る場合、一対の従動ローラのいずれか一方と駆動ローラとの間を、原稿が通過する。原稿の両面を読み取る場合、一対の従動ローラのいずれか一方と駆動ローラとの間と、一対の従動ローラのいずれか他方と駆動ローラとの間とを、原稿が通過する。
【0012】
この場合、上記のように3連ローラを用いることによって、原稿の片面を読み取る場合、及び原稿の両面を読み取る場合に、1つの駆動ローラによって、原稿を搬送することができる。これにより、搬送ローラ対の数を減らすことができる。すなわち、搬送ローラを有効に用いることができる。
【0013】
自動原稿搬送装置では、3連ローラが、原稿の読取位置より上流側において搬送経路に配置され、3連ローラによって、原稿の斜行補正が実行される。
【0014】
この場合、3連ローラを、原稿の読取位置より上流側に配置することによって、原稿の斜行補正を行っている。このため、例えば、原稿を供給する場合(原稿の片面を読み取る場合及び原稿の両面を読み取る場合)に、駆動ローラと一方の従動ローラとの間で、斜行補正を実行した上で、原稿を搬送することができる。また、原稿の両面を読み取る場合には、駆動ローラと他方の従動ローラとの間の搬送経路において、原稿をさらに搬送することができる。このように、搬送ローラを有効に用いることができる。
【0015】
自動原稿搬送装置では、3連ローラが、排紙口の近傍において搬送経路に配置される。
【0016】
この場合、例えば、原稿の片面を読み取る場合に、駆動ローラと一方の従動ローラとの間の搬送経路において、原稿を排紙口へと搬送することができる。また、原稿の両面を読み取る場合には、駆動ローラと他方の従動ローラとの間の搬送経路において、原稿を搬送した後、駆動ローラと一方の従動ローラとの間の搬送経路において、原稿を排紙口へと搬送することができる。このように、搬送ローラを有効に用いることができる。
【0017】
自動原稿搬送装置は、切替部をさらに備えている。切替部は、原稿の片面を読み取る場合に原稿を搬出する経路と、原稿の両面を読み取る場合に原稿を反転する経路とを切り替える。3連ローラは、原稿の読取位置と切替部との間において、搬送経路に配置される。
【0018】
この場合、3連ローラを原稿の読取位置と切替部との間に配置することによって、表面(一面)が読み取られた原稿を、駆動ローラと一方の従動ローラとの間の搬送経路において、切替部に搬送することができる。また、表面(一面)が読み取られた原稿を、駆動ローラと他方の従動ローラとの間の搬送経路において、原稿を読取位置に再び搬送することができる。このように、搬送ローラを有効に用いることができる。
【0019】
自動原稿搬送装置では、複数の搬送ローラ対のいずれか1つが、正転及び逆転が可能なローラ対である。
【0020】
この場合、複数の搬送ローラ対のいずれか1つが、正転及び逆転が可能なローラ対であるので、このローラ対が配置された搬送経路において、原稿を往復させることができる。すなわち、搬送経路を有効に用いることができる。これにより、搬送経路を簡略化することができるので、自動原稿搬送装置を小型化できる。
【0021】
自動原稿搬送装置は、本体部と、本体部に開閉自在に取り付けられるカバー部とを、備えている。本体部とカバー部との連結部は、互いに櫛歯状に形成されている。ここでは、カバー部の連結部を本体部の連結部に噛合させることによって、カバー部が本体部に位置決めされる。
【0022】
この場合、カバー部の連結部が、本体部の連結部に噛合させているので、特別な固定部材や固定機構を用いることなく、カバー部を本体部に位置決めすることができる。すなわち、固定部材や固定機構が不用になるので、自動原稿搬送装置を小型化できる。
【0023】
本発明の一見地に係る画像読取装置は、上記の自動原稿搬送装置と、搬送経路において原稿の片面又は原稿の両面を読み取る読取部とを、備えている。この場合においても、上記と同様の効果を得ることができる。
【0024】
画像読取装置では、読取部が、コンタクトガラスと、固定部材とを、有している。コンタクトガラスは、断面が台形に形成されている。固定部材は、少なくとも一部がコンタクトガラスの傾斜部に当接し、コンタクトガラスを固定する。
【0025】
この場合、コンタクトガラスの傾斜部に、固定部材の少なくとも一部を、当接させることによって、コンタクトガラスが固定部材によって固定されている。固定部材の上部に荷重がかかるようなことがあっても、固定部材の撓みを、コンタクトガラスによって規制することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る自動原稿搬送装置及び画像読取装置では、原稿の片面を読み取る場合及び原稿の両面を読み取る場合において、搬送ローラを有効に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本実施形態に係る複合機の側面断面図。
【図2】本実施形態に係る複合機のADFの側面断面図。
【図3】本実施形態に係るコンタクトガラス近傍の拡大断面図
【図4】本実施形態に係る本体部とカバー部との連結部近傍の側面図。
【図5】本実施形態に係るスタンプ部を上方から見た図。
【図6】原稿の流れを示すADFの側面断面図(片面読取の場合)。
【図7】原稿の流れを示すADFの側面断面図(両面読取の場合)。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(1)複合機の全体構成
まず、本発明に係る複合機の全体構成から説明する。複合機は、ファクシミリ、読取、複写、及び印刷等の機能を備えている。なお、以下では、「原稿の片面を読み取る」という文言は、「原稿の片面(一面)だけを読み取る」という意味で用いられる。また、「原稿の両面を読み取る」という文言は、「原稿の片面(一面)及び裏面(他面)を読み取る」という意味で用いられる。また、「ある位置及び/又はある部材(部分)より、上流(上流側)及び/又は下流(下流側)」という文言は、「原稿が搬送されている方向(原稿搬送方向)において、ある位置及び/又はある部材(部分)等を基準として、上流(上流側)及び下流(下流側)」という意味を、示している。
【0029】
図1に示すように複合機は、読取部1と、記録部2と、原稿押えカバー7とを、備えている。読取部1は、記録部2に回動自在に装着されている。例えば、読取部1は、ヒンジ部10aまわりに回動自在に記録部2に装着されている。読取部1は、読取部本体10と、透明状の静止原稿用ベッド11と、読取装置6とを、有している。静止原稿用ベッド11は、読取部本体10の上面に設けられている。読取装置6は、読取部本体10の内部に配置されている。例えば、原稿が静止原稿載置ベッド11上に置かれると、読取装置6が静止原稿載置ベッド11に沿って原稿を走査する。
【0030】
また、図1〜図3に示すように、読取部1は、コンタクトガラス12と固定部材13とを、さらに有している。コンタクトガラス12は、一方向に長い透明な部材である。コンタクトガラス12の短辺方向の断面は、台形状に形成されている。固定部材13は、コンタクトガラス12を読取部本体10に固定するためのものである。固定部材13は、一方向に長い部材であり、読取部本体10に固定される。固定部材13には、コンタクトガラス12の傾斜部12a(台形状の断面の傾斜部)に当接する突起部13aが、形成されている。ここでは、固定部材13の突起部13aを、コンタクトガラス12の上部すなわち傾斜部12aに当接させた状態で、固定部材13が読取部本体10に固定される。これにより、固定部材13の上部に荷重がかかるようなことがあっても、固定部材13の撓みを規制することができる。
【0031】
図1に示すように、記録部2には、記録装置3及び給紙カセット4がそれぞれ上下に設けられている。給紙カセット4には、用紙が堆積されている。用紙は、給紙カセット4から記録装置3へ給紙される。そして、原稿内容が用紙に記録されると、用紙は記録紙排出トレイ5へ排出される。
【0032】
図1に示すように、原稿押えカバー7は、読取部1例えば静止原稿載置ベッド11に載置された原稿を、上方から押えるためのものである。原稿押えカバー7は、読取部1の上方に設けられている。例えば、原稿押えカバー7は、読取部本体10に上下方向に開閉可能に設けられている。
【0033】
図2に示すように、原稿押えカバー7は、本体部71と、カバー部72と、スタンプ部73とを、有している。本体部71は、読取部本体10に上下方向に開閉可能に設けられている。本体部71は、本体筐体71aと、切替部71bとを、有している。切替部71bは、原稿の搬送経路HR上において原稿を案内する経路を切り替えるためのものである。例えば、切替部71bは、原稿を排紙する経路(後述する排紙経路)と、原稿の両面を読み取る場合に原稿を反転する経路(後述する反転経路R5)とを、切り替える。切替部71bは、本体筐体71aに揺動自在に装着されている。切替部71bの揺動は、図示しないコントローラによって制御される。
【0034】
図2に示すように、カバー部72は、本体部71に開閉自在に取り付けられている。カバー部72は、第1カバー部72aと、第2カバー部72bとを、有している。具体的には、第1カバー部72aは、本体部71の上方で開閉可能なように、本体部71に装着されている。第1カバー部72aは、例えば、後述する第1駆動ローラ31aの回転軸まわりに、開閉可能になっている。第2カバー部72bは、第1カバー部72aの上方で開閉可能なように、本体部71に装着されている。第2カバー部72bは、ヒンジ部70aまわりに、開閉可能になっている。
【0035】
図2及び図4に示すように、本体部71とカバー部72との連結部75は、互いに櫛歯状に形成されている。より具体的には、本体部71と第1カバー部72aとの連結部75(75a,75b)は、互いに櫛歯状に形成されている。このため、第1カバー部72aの連結部75bを、本体部71の連結部75aに噛合させることによって、第1カバー部72aが本体部71に位置決めされる。詳細には、本体部71における連結部75aの中央の凹部175aは、台形状に形成されている。これにより、第1カバー部72aにおける連結部75bの中央の凸部175bを、本体部71における連結部75aの中央の凹部175aに、容易に案内することができる。また、連結部75bの中央の凸部175bを、連結部75aの中央の凹部175aに嵌合することによって、第1カバー部72aの連結部75bと本体部71の連結部75aとを、容易に位置決めすることができる。
【0036】
図2及び図5に示すように、スタンプ部73は、原稿に文字又はマーク等を押印するためのものである。スタンプ部73は、原稿の片面を読み取り後、又は原稿の両面を読み取り後に、読取部1(読取位置P2)より下流において、原稿に押印する。スタンプ部73は、本体部71に形成された凹部に嵌合される(図2を参照)。そして、スタンプ部73は、開口部を有する蓋部材173(スタンプ部73を固定する固定部材の一例)によって、本体部71に固定される(図5を参照)。蓋部材173は、固定ネジ73cによって本体部71に固定される。
【0037】
図2に示すように、スタンプ部73は、印体部73aと、印体部73aを進退自在に支持する印体保持部73bとを、有している。図5に示すように、スタンプ部73の印体保持部73bは、本体部71の凹部に嵌合され、スタンプ部73の印体部73aが、蓋部材173の開口部に配置される。印体保持部73bは、例えばソレノイドから構成されており、印体部73aを進退自在に支持する。
【0038】
スタンプ部73は、読取位置P2より下流において、原稿に文字又はマーク等を押印する。より具体的には、スタンプ部73は、原稿の片面を読み取り後、又は原稿の両面を読み取り後に、読取位置P2より下流において、原稿に文字又はマーク等を押印する。読取位置P2は、原稿が、読取部1において読み取られる位置である。詳細には、読取位置P2は、原稿がコンタクトガラス12上において読取装置6により読み取られる位置である。なお、ADF8(Auto Document Feeder)におけるスタンプ部73の配置形態の詳細については、後述する。
【0039】
図1に示すように、原稿押えカバー7には、ADF8が設けられている。ADF8には、原稿を給紙口8aから排紙口8bまで搬送するための搬送経路HRが、構成されている。原稿押えカバー7の上方には、ADF8の給紙口8aに用紙を導くための原稿供給トレイ9が、設けられている。また、原稿押えカバー7の上面には、ADF8の排紙口8bから排出された用紙を受けるための原稿排出トレイ7cが、設けられている。
【0040】
図2に示すように、ADF8は、筐体部70と、給紙ローラ20と、複数の搬送ローラ対31〜35とを、有している。筐体部70は、上述した本体部71(本体筐体71a)とカバー部72とから構成されている。給紙ローラ20は、原稿を搬送経路に沿って給紙するためのものである。給紙ローラ20は、カバー部72に回転可能に装着されている。給紙ローラ20は、ピックアップローラ21と、セパレートローラ22と、セパレートローラ22に対向するリタードローラ23とを、有している。ピックアップローラ21及びセパレートローラ22は、第1カバー部72aに回転可能に装着されている。リタードローラ23は、第2カバー部72bに回転可能に装着されている。リタードローラ23の代わりに、例えば分離パッドといったローラ以外のものを用いてもよい。
【0041】
図2に示すように、複数の搬送ローラ対例えば5組の搬送ローラ対31〜35は、筐体部に回転可能に設けられている。搬送ローラ対31〜35は、搬送経路HRにおいて互いに間隔を隔てて配置されている。例えば、搬送ローラ対31〜35は、用紙の搬送方向長さ未満の間隔で、配置されている。搬送ローラ対31〜35は、原稿を挟持して、原稿を搬送経路HRに沿って搬送する。
【0042】
原稿の片面を読み取る場合には、全ての搬送ローラ対31〜35が、原稿の搬送に関与する。また、原稿の両面を読み取る場合にも、全ての搬送ローラ対31〜35が、原稿の搬送に関与する。言い換えると、原稿の片面を読み取る場合には、搬送ローラ対31〜35は、少なくとも1度は、原稿を挟持し搬送する。また、原稿の両面を読み取る場合にも、搬送ローラ対31〜35は、少なくとも1度は、原稿を挟持し搬送する。なお、搬送ローラ対31〜35に含まれる駆動ローラ31a〜35a(後述する第1から第5駆動ローラ)には、図中においてハッチングを施している。
【0043】
ここでは、5組の搬送ローラ対31〜35は、2組の2連ローラ32,34と、3組の3連ローラ31,33,35とから、構成されている。2連ローラ32,34は、駆動ローラ32a,34a(後述する第2駆動ローラ及び第4駆動ローラ)と、従動ローラ32b,34bとから構成されている。駆動ローラ32a,34aは、図示しない駆動手段例えばモータにより、駆動されるローラである。従動ローラ32b,34bは、駆動ローラ32a,34aに従って回転するローラである。また、読取部1(読取位置P2)の近傍に配置される2連ローラ32は、正転及び逆転が可能なローラ対である。
【0044】
各3連ローラ31,33,35は、駆動ローラ31a,33a,35a(後述する第1駆動ローラ、第3駆動ローラ、及び第5駆動ローラ)と、2つの従動ローラ(31b,31c),(33b,33c),(35b,35c)とから、構成されている。各駆動ローラ31a,33a,35aは、2連ローラ32,34と同様に、駆動手段により駆動されるローラである。2つの従動ローラ(31b,31c),(33b,33c),(35b,35c)も、2連ローラ32,34と同様に、各駆動ローラ31a,33a,35aに従って回転するローラである。各3連ローラ31,33,35では、2つの従動ローラ(31b,31c),(33b,33c),(35b,35c)が、互いに対向して配置されている。各駆動ローラ31a,33a,35aは、2つの従動ローラ(31b,31c),(33b,33c),(35b,35c)の間に配置されている。
【0045】
原稿の片面を読み取る場合、各駆動ローラ31a,33a,35aと一対の従動ローラ(31b,31c),(33b,33c),(35b,35c)のいずれか一方との間を、原稿が通過する。一方で、原稿の両面を読み取る場合、各駆動ローラ31a,33a,35aと一対の従動ローラのいずれか一方(31b,31c),(33b,33c),(35b,35c)との間を、原稿が通過する。また、この場合、各駆動ローラ31a,33a,35aと一対の従動ローラ(31b,31c),(33b,33c),(35b,35c)のいずれか他方との間を、原稿が通過する。
【0046】
なお、駆動ローラ31a,33a,35aは、図示しない駆動伝達機構を介して、駆動手段によって回転駆動されてもよい。駆動手段及び駆動伝達機構は、本体部71の内部に設けられている。ADF8における2連ローラ32,34及び3連ローラ31,33,35の配置形態については、後述する。
【0047】
上記のような構成を有する複合機では、原稿供給トレイ9に堆積された原稿は、一枚ずつピックアップされ、給紙口8aからADF8に案内される。そして、ADF8において、原稿がコンタクトガラス12の上を通過することにより、原稿の内容が読取装置6により読み取られる。読み取られた後の原稿は、排紙口8bから原稿排出トレイ7c上に排出される。
【0048】
このように、読取部1は、フラットベッドタイプのスキャナとして用いるとともに、シートフィードタイプのスキャナとしても用いられる。フラットベッドタイプのスキャナとして用いられる場合は、静止原稿載置ベッド11に載置された原稿が、読取装置6を走査させて、読み取られる。また、シートフィードタイプのスキャナで用いられる場合は、ADF8により搬送される原稿が、コンタクトガラス12の下部の位置に固定した読取装置6によって、読み取られる。
【0049】
なお、読取部本体10には、図示しない入力部例えばキーパネルが、設けられている。キーパネルを操作することにより、原稿の内容が読み取られ、読み取った内容をファクシミリ送信する際の送信先が設定され、受信内容や読み取った内容が記録装置3において記録される。
(2)ADF8の内部構造
【0050】
次に、ADF8の内部構造について説明する。ここでは、図2に示す側面視にて、原稿供給トレイ9の原稿を給紙する方向に向かう水平方向を前後方向とし、前後方向に対して水平に直交する方向を左右方向として、定義する。
【0051】
図6及び図7の太線で示すように、ADF8の搬送経路HRでは、原稿が、給紙口8aから排紙口8bまで、一方向に搬送される。搬送経路HRは、後述するように、少なくとも一部が略水平になるように形成されている。片面読取用の搬送経路HR(図6の太線を参照)は、給紙経路R1と、導入経路R2と、第1中間経路R3と、排紙経路R4とから、構成されている。給紙経路R1では、原稿が給紙口8aから原稿押えカバー7の本体部71へと案内される。導入経路R2では、原稿が給紙経路R1から読取位置P2へと案内される。第1中間経路R3では、原稿が読取位置P2から、原稿を搬送する経路を切り替える切替位置P3まで、案内される。排紙経路R4では、原稿が切替位置P3から排紙口8bへと案内される。
【0052】
以下では、給紙経路R1と導入経路R2との連結箇所が、第1分岐点P1と呼ばれる。導入経路R2と第1中間経路R3との連結箇所は、上述した読取位置P2である。第1中間経路R3と排紙経路R4との連結箇所は、上記の切替位置P3である。なお、切替位置P3では、切替部71bを揺動させることによって、原稿の排紙又は原稿の反転が決定される。例えば、原稿の片面が読み取られる場合は、切替部71bを上方に揺動させることによって、原稿が排紙経路R4に案内され排紙される。
【0053】
両面読取用の搬送経路HR(図7の太線を参照)は、給紙経路R1と、導入経路R2と、第1中間経路R3と、反転経路R5と、第2中間経路R6と、排紙経路R4とから、構成されている。この場合、給紙経路R1と、導入経路R2と、第1中間経路R3と、排紙経路R4とは、片面読取用の搬送経路HRに含まれる経路と同じであるので、説明を省略する。ここでは、反転経路R5と第2中間経路R6とについてのみ、説明を行う。
【0054】
反転経路R5では、原稿が、切替位置P3から読取位置P2へと案内され、反転される。反転経路R5には、第1中間経路R3の一部(読取位置P2側の一部)が含まれている。反転経路R5の一部の経路、例えば反転経路R5の上流側の経路が、本体部71と、カバー部72例えば第1カバー部72aとの間に、設けられている。カバー部72例えば第1カバー部72aが開放されると、この部分の搬送経路は露出する。
【0055】
第2中間経路R6では、原稿が読取位置P2から切替位置P3へと案内される。第2中間経路R6には、第1中間経路R3の一部(切替位置P3側の一部、後述する重複経路R7)と、導入経路R2とが、含まれている。また、第2中間経路R6の一部の経路、例えば第1分岐点P1と切替位置P3との間の搬送経路が、本体部71と、カバー部72例えば第1カバー部72aとの間に、設けられている。カバー部72例えば第1カバー部72aが開放されると、この部分の搬送経路は露出する。この部分の搬送経路は、略水平になるように形成されている。この部分の搬送経路において、原稿の片面を読み取った後及び原稿の両面を読み取った後に、原稿が重複して通過する部分(重複経路R7)は、第2中間経路R6が第1中間経路R3に合流する箇所P6(後述する合流点)と切替位置P3との間の経路である。
【0056】
なお、原稿の片面側(一面側)が読み取られてから、原稿の裏面側(他面側)が読み取られるまでの経路、すなわち第1中間経路R3及び反転経路R5(読取位置P2→切替位置P3→交差点P4→第2分岐点P5→読取位置P2)は、ループ状に形成されている。
【0057】
また、以下では、反転経路R5が排紙経路R4に交差する箇所が、交差点P4と呼ばれる。また、反転経路R5が第1中間経路R3に合流する箇所が、第2分岐点P5と呼ばれる。さらに、第2中間経路R6が第1中間経路R3に合流する箇所が、合流点P6と呼ばれる。なお、切替位置P3では、切替部71bを揺動させることによって、原稿の排紙又は原稿の反転が決定される。この場合では、切替部71bを下方に揺動させることによって、原稿が反転経路R5に案内され、切替部71bを上方に揺動させることによって、原稿が排紙経路R4に案内される。
(3)搬送ローラ対の配置形態
【0058】
続いて、5組の搬送ローラ対31〜35(2組の2連ローラ32,34及び3組の3連ローラ31,33,35)の配置形態について、説明する。
【0059】
読取部1(読取位置P2)より上流側、例えば第1分岐点P1の近傍には、第1の3連ローラ31が配置されている。第1の3連ローラ31における駆動ローラ31a(第1駆動ローラ)は、給紙経路R1と第2中間経路R6との間において、第1カバー部72aに回転可能に装着されている。第1駆動ローラ31aに隣接する一方の従動ローラ31bは、第2カバー部72bに回転自在に装着されている。第1駆動ローラ31aに隣接する他方の従動ローラ31cは、本体部71に回転自在に装着されている。
【0060】
第1駆動ローラ31aは、レジスト補正例えば斜行補正するためのローラである。第1駆動ローラ31aと一方の従動ローラ31bとは、給紙経路R1を通過する原稿の傾きを補正して、この原稿を読取位置P2に向けて搬送する。第1駆動ローラ31aと他方の従動ローラ31cとは、第2中間経路R6を通過する原稿を、切替位置P3に向けて搬送する。なお、第1駆動ローラ31aと一方の従動ローラとのニップ部を、符号Aと記す。また、第1駆動ローラ31aと他方の従動ローラとのニップ部を、符号Gと記す。
【0061】
第1分岐点P1と読取部1(読取位置P2)との間には、第1の2連ローラ32が配置されている。第1の2連ローラ32における駆動ローラ32a(第2駆動ローラ)は、正転及び逆転が可能なローラである。第2駆動ローラ32aは、本体部71に回転可能に装着されている。第1の2連ローラ32における従動ローラ32bは、本体部71に回転自在に装着されている。第2駆動ローラ32aとこの従動ローラ32bとは、正転時には、導入経路R2を通過する原稿を、読取位置P2に向けて、搬送する。一方で、逆転時には、第2駆動ローラ32aと従動ローラ32bとは、第2中間経路R6(導入経路R2を含む)を通過する原稿を、第1分岐点P1に向けて、搬送する。なお、第2駆動ローラ32aと従動ローラ32bとのニップ部を、符号Bと記す。
【0062】
読取部1(読取位置P2)より下流側、例えば読取部1(読取位置P2)と切替部71bとの間には、第2の3連ローラ33が配置されている。言い換えると、第2分岐点P5の近傍には、第2の3連ローラ33が配置されている。第2の3連ローラ33における駆動ローラ33a(第3駆動ローラ)は、第1中間経路R3と反転経路R5との間において、本体部71に回転可能に装着されている。第3駆動ローラ33に隣接する一方の従動ローラ33b及び他方の従動ローラ33cは、本体部71に回転自在に装着されている。
【0063】
第3駆動ローラ33aと一方の従動ローラ33bとは、第1中間経路R3を通過する原稿を、切替位置P3に向けて搬送する。第3駆動ローラ33aと他方の従動ローラ33cとは、反転経路R5を通過する原稿を、第2分岐点P5及び読取位置P2に向けて、搬送する。なお、第3駆動ローラ33aと一方の従動ローラ33bとのニップ部を、符号Cと記す。また、第3駆動ローラ33aと他方の従動ローラ33cとのニップ部を、符号Fと記す。
【0064】
切替位置P3の近傍、例えば読取位置P2と切替位置P3との間における切替位置P3の近傍には、第2の2連ローラ34が配置されている。第2の2連ローラ34における駆動ローラ34a(第4駆動ローラ)は、本体部71に回転可能に装着されている。第2の2連ローラ34における従動ローラ34bは、第1カバー部72aに回転自在に装着されている。第4駆動ローラ34aと従動ローラ34bとは、第1中間経路R3及び第2中間経路R6を通過する原稿を、切替位置P3に向けて搬送する。なお、第4駆動ローラ34aと従動ローラ34bとのニップ部を、符号Dと記す。
【0065】
交差点P4の近傍、例えば排紙口8bの近傍には、第3の3連ローラ35が配置されている。第3の3連ローラ35における駆動ローラ35a(第5駆動ローラ)は、反転経路R5と排紙経路R4との間において、本体部71に回転可能に装着されている。第5駆動ローラ35aに隣接する一方の従動ローラ35b及び他方の従動ローラ35cは、本体部71に回転自在に装着されている。
【0066】
第5駆動ローラ35aと一方の従動ローラ35bとは、反転経路R5を通過する原稿を、交差点P4に向けて搬送する。第5駆動ローラ35aと他方の従動ローラ35cとは、排紙経路R4を通過する原稿を、排紙口8bに向けて、搬送する。なお、第5駆動ローラ35aと一方の従動ローラ35bとのニップ部を、符号Eと記す。また、第5駆動ローラ35aと他方の従動ローラ35cとのニップ部を、符号Hと記す。
(4)スタンプ部の配置形態
【0067】
続いて、スタンプ部73の配置形態について、説明する。スタンプ部73は、読取部1(読取位置P2)より下流の搬送経路上に配置される。スタンプ部73は、読取部1(読取位置P2)と切替部71b(切替位置P3)との間の搬送経路上、例えば第1中間経路R3上に、配置されている。また、スタンプ部73は、第1分岐点P1と切替部71b(切替位置P3)との搬送経路上、例えば第2中間経路R6上に、配置されている。
【0068】
具体的には、スタンプ部73は、原稿の片面を読み取る場合と原稿の両面を読み取る場合とに、原稿が重複して通過する部分に、配置される。より具体的には、スタンプ部73は、第1中間経路R3と第2中間経路R6とが重複する部分(重複経路R7)に、配置される。重複経路R7は、合流点P6と切替位置P3との間の経路である。重複経路R7は、上述したように略水平に形成されている。なお、以下では、スタンプが配置された位置、すなわちスタンプ部73(印体部73a)が進退自在に移動する方向と搬送経路とが交わる位置が、スタンプ位置Sと呼ばれる。
【0069】
なお、カバー部72例えば第1カバー部72aが開放された場合、第2中間経路R6の一部の経路、例えば第1分岐点P1と切替位置P3との間の搬送経路が、露出する。ここでは、スタンプ部73、例えばスタンプ部73の印体部73aも、露出する。この状態において、蓋部材173が本体部71から取り外されると、スタンプ部を容易に取り外すことができる。すなわち、スタンプ部73に容易にアクセスすることができる。
(5)原稿の搬送順序及びスタンプ部73の押印タイミング
【0070】
最後に、原稿の搬送順序及びスタンプ部73の押印について、説明する。原稿の片面を読み込む場合、原稿は、表面を上にして原稿供給トレイ9にセットされる。そして、原稿は、給紙口8a、ニップ部A、ニップ部B、読取位置P2、ニップ部C、ニップ部D、切替位置P3、ニップ部H、排紙口8bの順に、搬送される。これにより、原稿の片面(一面)が、読み取られる。このように、原稿の片面を読み取る場合には、原稿は、搬送経路HRの一部(給紙経路R1、導入経路R2、第1中間経路R3、及び排出経路)を、通過する。
【0071】
なお、原稿が読取位置P2に接近した場合、図示しないセンサ部によって、原稿が検知される。その後、読取位置P2において原稿が読取部1によって読み取られる。センサ部は、第1の3連ローラ31の上流側、例えば第1の3連ローラ31と第1の2連ローラ32との間において、搬送経路HRを通過する原稿を検知可能に、本体部71に設けられている。ここでは、センサ部には、例えば反射式センサが用いられている。
【0072】
原稿の両面を読み込む場合、原稿は、表面を上にして原稿供給トレイ9にセットされる。そして、原稿は、給紙口8a、ニップ部A、ニップ部B、読取位置P2、ニップ部C、ニップ部Dの順に、搬送される。これにより、原稿の片面(一面)が、読み取られる。続いて、原稿は、切替位置P3、ニップ部E、交差点P4、ニップ部F、第2分岐点P5、読取位置P2、ニップ部B、第1分岐点P1、ニップ部G、合流点P6、ニップ部D、切替位置P3、ニップ部H、排紙口8bの順に、搬送される。これにより、原稿の裏面(他面)が、読み取られる。ここで、原稿を読取位置P2から第1分岐点P1へと搬送するためには、第2駆動ローラ32aが、原稿をニップ部Bにおいてニップした状態で、逆転する。
【0073】
このようにして、原稿の両面(一面及び他面)が、読み取られる場合には、原稿は、搬送経路HRの全て(給紙経路R1、導入経路R2、第1中間経路R3、反転経路R5、第2中間経路R6、及び排紙経路R4)を、通過する。
【0074】
上記のように原稿が搬送経路HR上を搬送されている状態において、スタンプ部73は、原稿に所定の文字又はマーク等を押印する。具体的には、原稿の片面を読み取り後、又は原稿の両面を読み取り後に、読取部1(読取位置P2)の下流に配置されたスタンプ位置Sにおいて、原稿が静止させられる。より具体的には、原稿の後端部がスタンプ位置Sに位置するように、原稿が搬送経路HR上で静止させられる。この後、スタンプ部73の印体部73aが、印体保持部73b(ソレノイド)によって、原稿に向けて移動させられ、原稿に所定の文字又はマーク等が押印される。
【0075】
なお、本実施形態では、各部材の制御、各機構の制御、及び各駆動手段の制御等は、図示しないコントローラによって実行される。例えば、ローラ部(給紙ローラ20や搬送ローラ対31〜35等)、スタンプ部、センサ部、入力部、及びガイド等は、コントローラによって制御されている。また、制御時に利用されるデータは、図示しないメモリに格納されており、このデータは、適宜読み出し可能である。
【0076】
(6)実施形態の作用効果
上記実施形態は、下記のように表現可能である。
(A)ADF8は、搬送経路HRと、読取部1と、複数の搬送ローラ対31〜35とを、備えている。搬送経路HRでは、原稿が給紙口8aから排紙口8bまで一方向に搬送される。読取部1は、搬送経路HRにおいて、原稿の片面又は原稿の両面を、読み取る。複数の搬送ローラ対31〜35は、搬送経路HRにおいて互いに間隔を隔てて配置される。複数の搬送ローラ対31〜35は、原稿の片面を読み取る場合及び原稿の両面を読み取る場合に、原稿を挟持して原稿を搬送経路HRに沿って搬送する。この場合に、複数の搬送ローラ対31〜35は、全てが原稿の搬送に関与する。
【0077】
この場合、搬送経路HRにおいて原稿が給紙口8aから排紙口8bまで一方向に搬送されるときに、全ての搬送ローラ対31〜35が原稿の搬送に関与する。すなわち、原稿の片面を読み取る場合にも、原稿の両面を読み取る場合にも、搬送に関与しない搬送ローラ対が、存在しない。このように、本ADF8では、原稿の片面を読み取る場合及び原稿の両面を読み取る場合において、搬送ローラ31〜35を有効に用いることができる。これにより、搬送ローラ対の数を減らすことができる。また、搬送ローラ対の数を減らすことができれば、コストの低減及びADF8の小型化等を、実現できる。
【0078】
(B)ADF8では、原稿の片面を読み取る場合及び原稿の両面を読み取る場合に、複数の搬送ローラ対31〜35それぞれは、少なくとも1度は、原稿を挟持して原稿を搬送経路HRに沿って搬送する。
【0079】
この場合、原稿を読み取る場合に、少なくとも1度は各搬送ローラ対31〜35が原稿を搬送経路HRに沿って搬送できるように、搬送経路HRが形成され、この搬送経路HRに搬送ローラ対が配置されている。これにより、搬送に関与しない搬送ローラ対が存在しなくなり、搬送ローラを有効に用いることができる。
【0080】
(C)ADF8では、複数の搬送ローラ対31〜35の少なくともいずれか1つが、3連ローラ31,33,35である。3連ローラ31,33,35は、互いに対向する一対の従動ローラ(31b,31c),(33b,33c),(35b,35c)と、一対の従動ローラ(31b,31c),(33b,33c),(35b,35c)の間に配置される駆動ローラ31a,33a,35aとを有している。
【0081】
ここでは、次のように原稿が搬送されるように、搬送経路HRが形成され、3連ローラ31,33,35が配置されている。原稿の片面を読み取る場合、一対の従動ローラ(31b,31c),(33b,33c),(35b,35c)のいずれか一方と駆動ローラ31a,33a,35aとの間を、原稿が通過する。原稿の両面を読み取る場合、一対の従動ローラ(31b,31c),(33b,33c),(35b,35c)のいずれか一方と駆動ローラ31a,33a,35aとの間と、一対の従動ローラのいずれか他方(31b,31c),(33b,33c),(35b,35c)と駆動ローラ31a,33a,35aとの間とを、原稿が通過する。
【0082】
この場合、上記のように3連ローラ31,33,35を用いることによって、原稿の片面を読み取る場合、及び原稿の両面を読み取る場合に、1つの駆動ローラ31a,33a,35aによって、原稿を搬送することができる。これにより、搬送ローラ対の数を減らすことができる。すなわち、搬送ローラを有効に用いることができる。
【0083】
(D)ADF8では、3連ローラ31が、読取部1より上流側において搬送経路HRに配置され、3連ローラ31によって、原稿の斜行補正が実行される。
【0084】
この場合、3連ローラ31を、読取部1より上流側に配置することによって、原稿の斜行補正を行っている。このため、例えば、原稿を供給する場合(原稿の片面を読み取る場合及び原稿の両面を読み取る場合)に、駆動ローラ31aと一方の従動ローラ31bとの間で、斜行補正を実行した上で、原稿を搬送することができる。また、原稿の両面を読み取る場合には、駆動ローラ31aと他方の従動ローラ31cとの間の搬送経路HRにおいて、原稿をさらに搬送することができる。このように、搬送ローラを有効に用いることができる。
【0085】
(E)ADF8では、3連ローラ35が、排紙口8bの近傍において搬送経路HRに配置される。
【0086】
この場合、例えば、原稿の片面を読み取る場合に、駆動ローラ35aと一方の従動ローラ35cとの間の搬送経路HRにおいて、原稿を排紙口8bへと搬送することができる。また、原稿の両面を読み取る場合には、駆動ローラ35aと他方の従動ローラ35bとの間の搬送経路HRにおいて、原稿を搬送した後、駆動ローラ35aと一方の従動ローラ35cとの間の搬送経路HRにおいて、原稿を排紙口8bへと搬送することができる。このように、搬送ローラを有効に用いることができる。
【0087】
(F)ADF8は、切替部71bをさらに備えている。切替部71bは、排紙経路R4と反転経路R5とを切り替える。3連ローラ33は、読取部1と切替部71bとの間において、搬送経路HRに配置される。
【0088】
この場合、3連ローラ33を読取部1と切替部71bとの間に配置することによって、表面(一面)が読み取られた原稿を、駆動ローラ33aと一方の従動ローラ33bとの間の搬送経路HRにおいて、切替部71bに搬送することができる。また、表面(一面)が読み取られた原稿を、駆動ローラ33aと他方の従動ローラ33cとの間の搬送経路HRにおいて、原稿を読取部1に再び搬送することができる。このように、搬送ローラを有効に用いることができる。
【0089】
(G)ADF8では、複数の搬送ローラ対31〜35のいずれか1つが、正転及び逆転が可能なローラ対である。
【0090】
この場合、複数の搬送ローラ対31〜35のいずれか1つのローラ、例えば2連ローラ32が、正転及び逆転が可能なローラ対であるので、搬送経路HRにおいて原稿を往復させることができる。すなわち、搬送経路HRを有効に用いることができる。これにより、搬送経路HRを簡略化することができるので、ADF8を小型化できる。
【0091】
(H)ADF8は、本体部71と、本体部71に開閉自在に取り付けられるカバー部72とを、備えている。本体部71とカバー部72との連結部75は、互いに櫛歯状に形成されている。ここでは、カバー部72の連結部75bを本体部71の連結部75aに噛合させることによって、カバー部72が本体部71に位置決めされる。
【0092】
この場合、カバー部72の連結部75bが、本体部71の連結部75aに噛合させているので、特別な固定部材や固定機構を用いることなく、カバー部72を本体部71に位置決めすることができる。すなわち、固定部材や固定機構が不用になるので、ADF8を小型化できる。
【0093】
(I)複合機は、上記の記載のADF8と、搬送経路HRにおいて原稿の片面又は原稿の両面を読み取る読取部1とを、備えている。この場合においても、上記と同様の効果を得ることができる。
【0094】
(J)複合機では、読取部1が、コンタクトガラス12と、固定部材13とを、有している。コンタクトガラス12は、断面が台形に形成されている。固定部材13は、少なくとも一部がコンタクトガラス12の傾斜部に当接し、コンタクトガラス12を固定する。
【0095】
この場合、コンタクトガラス12の傾斜部に、固定部材13の少なくとも一部を、当接させることによって、コンタクトガラス12が固定部材13によって固定されている。固定部材13の上部に荷重がかかるようなことがあっても、固定部材13の撓みを、コンタクトガラス12によって規制することができる。
【0096】
(7)他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組合せ可能である。
【0097】
(a)前記実施形態では、複合機にADF8が設けられる場合の例を示したが、ADF8が設けられる装置は、複合機である必要はなく、原稿の読取が可能である装置であれば、どのようなものでもよい。
【0098】
(b)前記実施形態では、スタンプ部73が、重複経路R7に配置される場合の例を示した。これに代えて、スタンプ部73の配置位置は、読取部1(読取位置P2)より下流の搬送経路HRにおいて、原稿の片面を読み取る場合と原稿の両面を読み取る場合とに、原稿が重複して通過する部分であれば、どこでもよい。例えば、スタンプ部73は、排紙経路R4に配置してもよい。
【0099】
(c)前記実施形態では、原稿の片面を読み取り後、又は原稿の両面を読み取り後に、スタンプ部73が、読取部1の読取位置P2より下流において、原稿に押印する場合の例を、示した。これに代えて、原稿を読取位置P2において読み取り中において、スタンプ部73が、読取位置P2より下流において、原稿に押印するようにしてもよい。この場合でも、原稿をスイッチバックすることなく搬送することができる。また、スタンプ部73は、原稿の適切な位置に押印することができる。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明は、自動原稿搬送装置及び画像読取装置に広く適用できる。
【符号の説明】
【0101】
1 読取部
2 記録部
3 記録装置
4 給紙カセット
5 記録紙排出トレイ
6 読取装置
7 原稿押えカバー
8 ADF
8a 給紙口
8b 排紙口
9 原稿供給トレイ
10 読取部本体
10a,70a ヒンジ部
11 静止原稿載置ベッド
12 コンタクトガラス
12a 傾斜部
13 固定部材
13a 突起部
20 給紙ローラ
21 ピックアップローラ
22 セパレートローラ
23 リタードローラ
31,33,35 3連ローラ
31a〜35a 駆動ローラ(第1〜第5駆動ローラ)
31b,31c,33b,33c,35b,35c 3連ローラ用の従動ローラ
32,34 2連ローラ
32b,34b 2連ローラ用の従動ローラ
70筐体部
71 本体部
71a 本体筐体
71b 切替部
72 カバー部
72a 第1カバー部
72b 第2カバー部
73 スタンプ部
73b 印体保持部
73a 印体部
75 連結部
75a 本体部の連結部
75b カバー部の連結部
173 蓋部材
A〜G ニップ部
P1 第1分岐点
P2 読取位置
P3 切替位置
P4 交差点
P5 第2分岐点
P6 合流点
R1 給紙経路
R2 導入経路
R3 第1中間経路
R4 排紙経路
R5 反転経路
R6 第2中間経路
R7 重複経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿が給紙口から排紙口まで一方向に搬送される搬送経路と、
前記搬送経路において互いに間隔を隔てて配置され、前記原稿の片面を読み取る場合及び前記原稿の両面を読み取る場合に、前記原稿を挟持して前記原稿を前記搬送経路に沿って搬送し、全てが前記原稿の搬送に関与する複数の搬送ローラ対と、
を備える自動原稿搬送装置。
【請求項2】
前記原稿の片面を読み取る場合及び前記原稿の両面を読み取る場合に、複数の搬送ローラ対それぞれは、少なくとも1度は、前記原稿を挟持して前記原稿を前記搬送経路に沿って搬送する、
請求項1に記載の自動原稿搬送装置。
【請求項3】
複数の前記搬送ローラ対の少なくともいずれか1つは、互いに対向する一対の従動ローラと、一対の前記従動ローラの間に配置される駆動ローラとを有する3連ローラであり、
前記原稿の片面を読み取る場合、一対の前記従動ローラのいずれか一方と前記駆動ローラとの間を原稿が通過し、且つ前記原稿の両面を読み取る場合、一対の前記従動ローラのいずれか一方と前記駆動ローラとの間と、一対の前記従動ローラのいずれか他方と前記駆動ローラとの間とを、原稿が通過するように、前記搬送経路が形成され3連ローラが配置されている、
請求項1又は2に記載の自動原稿搬送装置。
【請求項4】
前記3連ローラは、前記原稿の読取位置より上流側において前記搬送経路に配置され、前記3連ローラによって、前記原稿の斜行補正が実行される、
請求項3に記載の自動原稿搬送装置。
【請求項5】
前記3連ローラは、前記排紙口の近傍において前記搬送経路に配置される、
請求項3又は4に記載の自動原稿搬送装置。
【請求項6】
前記原稿の片面を読み取る場合に前記原稿を搬出する経路と、前記原稿の両面を読み取る場合に前記原稿を反転する経路とを切り替える切替部、
をさらに備え、
前記3連ローラは、前記原稿の読取位置と前記切替部との間において、前記搬送経路に配置される、
請求項3〜5のいずれかに記載の自動原稿搬送装置。
【請求項7】
複数の前記搬送ローラ対のいずれか1つは、正転及び逆転が可能なローラ対である、
請求項1〜6のいずれかに記載の自動原稿搬送装置。
【請求項8】
本体部と、
前記本体部に開閉自在に取り付けられるカバー部と、
を備え、
前記本体部と前記カバー部との連結部は、互いに櫛歯状に形成されており、前記カバー部の連結部を前記本体部の連結部に噛合させることによって、前記カバー部が前記本体部に位置決めされる、
請求項1〜7のいずれかに記載の自動原稿搬送装置。
【請求項9】
請求項1〜8に記載の自動原稿搬送装置と、
搬送経路において原稿の片面又は原稿の両面を読み取る読取部と、
を備える画像読取装置。
【請求項10】
前記読取部は、断面が台形に形成されたコンタクトガラスと、少なくとも一部が前記コンタクトガラスの傾斜部に当接し前記コンタクトガラスを固定する固定部材と、を有している、
請求項9に記載の画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−54266(P2013−54266A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193655(P2011−193655)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】