説明

自動品質管理装置および自動品質管理方法

ここに記載されているのは、PETトレーサなどの注入物などのイメージング用の放射能化合物をリリースする有効な品質管理の現状を評価するための方法および装置であり、ここでこの評価は、ユーザインタフェースなしかつ規則ガイドラインに沿って行われる。本発明による方法およびシステムは、物質の統合形自動式品質管理分析に関しており、ここでは複数のインライン式品質管理検査に対してサンプル1注入を使用する。ここでは複数の品質管理を介してサンプルの定量分析が行われる。これらの複数の定量分析パラメータのそれぞれの測定値が定められ、またこれらの複数の品質管理パラメータの各測定値と、あらかじめ定めた相応する判定値との比較が行われる。上記のサンプルに対する累積品質等級が決定され、またこの品質等級に基づき、有効性が示されたサンプルがリリースされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本願は、2008年12月4日付の米国出願第61/119899号を基礎としており、その優先権を主張する。この出願は引用によって本発明に完全に組み込まれるものとする。
【0002】
前記出願の明細書、また、当該明細書中で引用されている文献、前記出願の審査において引用されている文献("審査引用文献")、さらにこれらの引用文献内で引用されている全ての文献("内部引用文献")は、各文献において挙げられているメーカ指示、技術明細、製品仕様、製品銘などとともに、引用によって本発明に完全に組み込まれるものであり、また、本発明の実施例において利用可能なものである。
【0003】
発明の属する技術分野
本発明は、広く云えば、化合物の自動品質管理分析装置および自動品質管理分析方法に関する。より詳細には、本発明は、複数のインライン式品質管理検査に対して1回のサンプル注入を利用する、化合物の品質管理分析装置および品質管理分析方法である。インライン式検査とは、或る一部の検査ステーションがインライン式に配置されていればよく、ロボティクスを介してサンプルを受け取る検査ステーションや、サンプルを必要としない検査ステーションがあってもよい。
【0004】
背景技術
品質管理装置および品質管理方法(QC装置およびQC方法)は、ヘルスケアにおいて最近の数十年でますます重要な分野になってきている。特にヘルスケアでは、品質管理は伝統的にユーザ側の利用位置でではなくメーカ側で行われてきた。しかし、新規な造影剤や半減期の短い他の医薬品の開発にともなって、患者への投薬の直前に調合ステップまたは処理ステップを行う必要が出てきた。この場合、注入の前に、物質の安全性および効率が保証されなければならない。また、品質管理は、診療環境ないし研究環境において用いられる放射性合成式ポジトロン断層法PETのトレーサに対しても重要である。ただし、放射性トレーサの品質管理には、色および外観検査、pH検査、放射能濃度検査、放射化学的純度検査などにおける手動の処理や主観的分析が含まれる。
【0005】
放射性トレーサの品質に対する要求は、米国薬局方USP,英国薬局方BP,欧州薬局方EPなどの種々の薬局方から課されている。国ごとにそれぞれ異なる標準が採用されているため、各国で放射性トレーサの品質管理への要求が異なることに注意しなければならない。
【0006】
発明の概要
本発明は、自動品質管理装置および自動品質管理方法に関する。本発明の方法は、複数のインライン式品質管理検査に対してサンプル1注入を利用する、統合型の化合物の自動品質管理分析に適用される。複数の品質管理検査によるサンプルの定量分析が行われ、各品質管理パラメータの測定値が求められる。各品質管理パラメータの測定値は所定の基準値と比較され、サンプルに対する累積品質等級が求められ、当該の品質等級に基づいてサンプルの有効量がリリースされる。
【0007】
本発明の有利な実施形態では、制御パラメータとして粒子内容および色内容が用いられる。
【0008】
本発明の有利な実施形態では、制御パラメータとして濾過膜インテグリティが用いられる。
【0009】
本発明の有利な実施形態では、制御パラメータとして放射性核種純度が用いられる。
【0010】
本発明の有利な実施形態では、制御パラメータとして放射能濃度が用いられる。
【0011】
本発明の有利な実施形態では、制御パラメータとしてサンプル液のpH値が用いられる。
【0012】
本発明の有利な実施形態では、制御パラメータとしてクリプトフィックス(R)濃度が用いられる。
【0013】
本発明の有利な実施形態では、制御パラメータとして放射化学的同一性が用いられる。
【0014】
本発明の有利な実施形態では、制御パラメータとして放射化学的純度が用いられる。
【0015】
本発明の有利な実施形態では、制御パラメータとしてサンプルの比放射能が用いられる。
【0016】
本発明の有利な実施形態では、制御パラメータとして菌体内毒素濃度が用いられる。
【0017】
本発明の有利な実施形態では、制御パラメータとして残留溶媒濃度が用いられる。
【0018】
本発明の有利な実施形態では、化合物に対する累積品質等級が求められる。
【0019】
本発明の有利な実施形態では、求められた品質等級に基づいてサンプルの有効量がリリースされる。
【0020】
本発明の有利な実施形態では、化合物はPETトレーサを含む放射性医薬品を含む。
【0021】
本発明の有利な実施形態では、1回のガスクロマトグラフィ注入から、K222濃度および溶媒濃度が求められる。
【0022】
本発明の有利な実施形態では、ガスクロマトグラフィによってK222濃度が求められる。
【0023】
本発明の有利な実施形態では、1回の高速液体クロマトグラフィ注入から、比放射能が求められる。
【0024】
本発明の有利な実施形態では、マイクロ流体状のK222の検査が行われる。
【0025】
本発明は、PETトレーサのサンプルの自動品質管理分析装置または自動品質管理分析システムに関する。本発明の装置は、バイアルから注入器を介してサンプルをサンプル路へ送出する注入弁を有する。ここでは、少なくとも1つのサンプル路に、複数の品質管理検査に用いられるサンプルが充填されている。本発明の装置は、さらに、分配弁と、濾過膜インテグリティを検査するステーションと、色および/または外観の検査のために、光源および/またはレーザーに接続されておりかつ光ファイバを介してスペクトロメータに接続されている光学セルとを有する。本発明の装置は、さらに、HPLCポンプ、HPLCカラム、UV光源に接続されておりかつ光ファイバを介してUV検出器に接続されているUVセルを有する。本発明の装置は、さらに、放射能検出モジュール、GCカラム、pH検査電極を含むpH検査セルを有する。各検査は、種々のモジュールと、実験データの定量処理および所定の標準に対するサンプル品質を表すレポート作成を行うプロセッサとを用いて行われる。
【0026】
本発明の有利な実施形態では、本発明の装置はポータブル装置である。
【0027】
本発明の有利な実施形態では、本発明の装置は、1つまたは複数の要素に近接して用いられる放射線遮蔽部材を有する。
【0028】
本発明の有利な実施形態では、本発明の装置から離れた箇所にコンピュータシステムが配置されている。
【0029】
また、本発明は、サンプルの自動品質管理分析装置とサンプルを形成する合成モジュールとを含む品質管理システムに関する。当該の自動品質管理分析装置は、バイアルからサンプルを送出するように構成された導入モジュールと、複数の品質管理検査に対するサンプルが充填された少なくとも1つのサンプル路と、分配弁と、濾過膜インテグリティを検査する検査機構と、色および/または外観の検査のために、光源および/またはレーザーに接続されておりかつ光ファイバを介してスペクトロメータに接続されている光学セルと、HPLCカラムと、UV光源に接続されておりかつ光ファイバを介してUV検出器に接続されているUVセルと、放射能検出モジュールと、GCカラムと、pH検査セルと、実験データの定量処理および所定の標準に対するサンプル品質を表すレポート作成のために、各要素をコンピュータシステムへ操作可能に結合する1つまたは複数のポートとを有している。本発明の有利な実施形態では、バイアルが放射線遮蔽部材を有する。
【0030】
本発明の有利な実施形態では、自動分析管理分析装置は操作可能に合成モジュールに結合されている。
【0031】
本発明の有利な実施形態では、自動分析管理分析装置は流体によって合成モジュールに結合されている。
【0032】
本発明の有利な実施形態では、自動分析管理分析装置は機械的に合成モジュールに結合されている。
【0033】
本発明の有利な実施形態では、自動分析管理分析装置は電子的に合成モジュールに結合されている。
【0034】
本発明の有利な実施形態では、さらに、
1.1注入で多数の検査モジュールにサンプルを充填できるインライン式構造部
2.分析時間を大幅に低減できる種々の放射能検出部
3.有機溶媒およびクリプトフィックス(R)の双方に対するGC検査部
4.色および外観検査(清澄度検査)に対する1つの光学セル
5.濾過膜検査のための圧力低下部
6.マイクロ流体状のクリプトフィックス(R)の検査部
が設けられている。
【0035】
本発明の前述した実施形態および種々の変化態様の構成および動作方法を、図を参照しながら以下に詳細に説明する。なお、明細書で引用している全ての特許文献および参考文献の開示内容は引用により本発明に完全に組み込まれるものとする。
【0036】
明細書の発明の詳細な説明、特許請求の範囲および/または図面において、「〜から成る」「〜を含む」「〜を有する」などの語は、米国特許法に説明されているのと同じ意味を有する。また、「基本的に〜から成る」「基本的に〜を含む」「基本的に〜を有する」などの語も、米国特許法に説明されているのと同じ意味を有し、明示的に挙げられた要素以外の要素を含むことができる。ただし、従来技術に見られる要素あるいは本発明の基本的または新規な特徴に影響する要素は除く。
【0037】
本発明の実施例を、図を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1A】本発明の方法の実施例のフローチャートの前半部分である。
【図1B】本発明の方法の実施例のフローチャートの後半部分である。
【図2A】本発明の装置の第1の実施例を示す図である。
【図2B】本発明の装置の第2の実施例を示す図である。
【図3】濾過膜のインテグリティを検査する方法の概略図である。
【図4】自動の放射化学的品質管理装置の概略図である。
【図5】ガスクロマトグラフィユニット(GCユニット)、高速液体クロマトグラフィユニット(HPLCユニット)、放射性核種純度検査ユニット、色および外観(清澄度)検査ユニット、pH検査ユニットを含む装置の概略図である。
【図6】本発明の実施例による濾過膜インテグリティ検査の結果を示す図である。
【図7】本発明の実施例によるHPLC分離および[18F]FLT検出によって形成されたUV吸収および放射能のクロマトグラムである。
【図8】本発明の実施例による[18F]FLTの崩壊測定に基づく放射性核種検査の結果を示す図である。
【図9】本発明の実施例によるエタノール、アセトニトリル、クリプトフィックス(R)の検査結果を示す図である。
【図10】本発明の実施例によるサンプル中のクリプトフィックス(R)の特性を求めるために用いられるマイクロ流体用構造体を示す図である。
【図11】本発明の実施例による濾過膜の通気孔を阻止する装置を示す図である。
【図12】本発明の実施例による検査パラメータを示す図である。
【図13】本発明の実施例による色および外観検査の概略図である。
【図14】本発明による純度検査のための品質管理装置の実施例を示す図である。
【図15】色および外観検査ならびに濾過膜インテグリティ検査の概略図である。
【図16】放射性核種純度検査、放射能濃度検査、pH検査、クリプトフィックス(R)検査を行う自動の放射化学的品質管理装置の概略図である。
【図17】自動の放射化学的品質管理装置の斜視図である。
【0039】
詳細な説明
以下の実施例は、本発明の理解を助けるための詳細な具体例として挙げたものであり、本発明を限定するものではない。当分野の技術者であれば、本発明の実施例として、以下の具体的構成とは異なる構成を有する実施例も想到しうるはずである。
【0040】
本明細書では、"コンポーネント""システム"などの語は、コンピュータに関連するエンティティ、すなわち、ハードウェア、ソフトウェア、ソフトウェアおよびハードウェアの組み合わせ等を含む。例えば、コンポーネントとは、プロセッサ上で動作するプロセス、実行すべきオブジェクト、スレッド、プログラム、あるいは、これらを実行するプロセッサまたはコンピュータであってよいが、これらに限定されない。図示のうえでは、サーバ上で動作するアプリケーションも、サーバ自体も、コンポーネントとなっている。さらに、複数のコンポーネントが1つのプロセスやスレッド内にあってもよいし、1つのコンポーネントが1つのコンピュータ上に存在するプロセスその他であっても2つ以上のコンピュータ上に存在するプロセスその他であってもよい。
【0041】
以下では、複数の制御パラメータに対する本発明の自動品質管理検査方法および自動品質管理検査装置の種々の実施例を説明する。例えば、本発明の実施例では、複数の検査が行われる。
【0042】
PETトレーサに対する典型的な手動品質管理オペレーション(QCオペレーション)には労力と時間との双方がかかる。手動検査の結果は経験を積んだオペレータの解釈に任されている。また、手動検査ではオペレータに被爆の危険が存在する。さらに、手動品質管理の特徴の多くは非定量的データや薬剤師の意見に依存している。
【0043】
本発明の実施例の自動品質管理装置は、例えば、複数の検査をカバーする放射性合成トレーサに対して用いられる。複数の検査として、例えば、1.粒子内容および色内容、2.濾過膜インテグリティに基づく無菌性、3.放射性核種純度、4.放射能濃度、5.サンプル溶液のpH値、6.クリプトフィックス(R)濃度、7.放射化学的同一性、8.放射化学的純度、9.サンプルの比放射能、10.菌体内毒素濃度、11.残留溶液体積が評価される。
【0044】
本発明の実施例により、簡単化され自動化されたオペレーションが達成される。検査結果は定量化され、検査モジュールはインライン式となり、複数の検査を同時に行うことができる。よって、検査結果の信頼性はいっそう高まり、オペレータの放射線への曝露時間が低減される。また、品質管理にかかる時間および労力がいちじるしく低減されるので、プロセス全体がより経済的かつ効率的となる。
【0045】
さらに、前述したように、本発明の実施例によれば、サンプルの1注入によって、サンプルが許容可能であるか否かを判別するための複数のパラメータに対する検査プロシージャが行われる。それぞれの特異性検査は、あらかじめ定められたサンプルの合格基準(通過基準)を有している。インライン式の検査全てを行うのにかかる時間は約15分であるが、本発明の方法および装置を用いれば、各パラメータの検査実行には1分より短い時間しかかからないので、1人のオペレータまたは技師が検査を監督するだけで足りる。
【0046】
以下の実施例は、本発明の理解を助けるための詳細な具体例として挙げたものであり、本発明を限定するものではない。当分野の技術者であれば、本発明の実施例として、以下の具体的構成とは異なる構成を有する実施例も想到しうるはずである。
【0047】
定義
"放射性同位体によって識別される化合物"とは、例えば放射性トレーシングにおいて、分子中の1つまたは複数の原子が放射性同位体に置換されている化合物である。"放射性同位体によって識別される化合物"により、例えば脳を含む体内の目標部位に結びつくことができる。
【0048】
"放射性同位体"とは、放射性崩壊(例えば陽電子放出)を呈する同位体であり、ラジオアイソトープまたは放射性核種とも称される。放射性同位体または相応のイオンは、元素名または元素記号とその質量数とが交換可能に組み合わされて、種々に表記される(例えば、フッ素イオンで云えば、18F,[18F],F−18,[F−18],フッ素18など)。放射性同位体の例として、半減期4.2日の124I,半減期110分の18F,半減期20分の11C,半減期10分の13N,半減期2分の15Oが挙げられる。
【0049】
ポジトロン断層法PETは、最近、病理の識別に利用されることが増えている分子イメージング技術である。PETイメージングシステムは、患者の組織内で陽電子を放出する同位体の分布に基づいて、画像を形成する。同位体は、典型的には、陽電子を放出する同位体、例えば炭素11,窒素13,酸素15,フッ素18などを含む分子プローブの注入によって患者に投与され、体内の代謝分子または限局性分子に付着するかあるいは体内のレセプタ部位に化学的に結びつく。陽電子を放出する分子プローブはその半減期が短いため、合成・精製・分析(例えば分子プローブのQC)の迅速な完了が要求される。こうした化合物には、18F−FLT([18F]フルオロチミジン),18F−FDDNP(2−(1−{6−[(2−[F−18]フルオロエチル)(メチル)アミノ]2−ナフチル}エチリデン)マロノニトリル),18F−FHBG(9−[4−[18F]フルオロ−3−(ヒドロキシメチル)ブチル]グアニンまたは[18F]−ペンシクロビル),18F−FESP([18F]−フルオロエチルスピペロン),18F−p−MPPF(4−(2−メトキシフェニル)−1−[2−(N−2−ピリジニル)−p−[18p]フルオロベンズアミド]エチルピペラジン),18F−FDG([18F]−2−デオキシ−2−フルオロ−D−グルコース)などが含まれるが、もちろんこれらに限定されない。
【0050】
"放射能濃度"とは、サンプル中の特異的放射性同位体の量であり、通常1リットル当たりキュリー[Ci/l]で表され、長さL,時間Tで見たL−3−1の次元を有する。
【0051】
"クリプトフィックス(R)"または"K222(R)"は市場で入手可能なクリプタンドの商標名である。クリプタンドは、種々のカチオンに対する合成二環式または合成多環式多座配位子の族である。これらの分子は、クラウンエーテルの3次元類似体であるが、より選択的で複雑である。最も一般的で最も重要なクリプタンドはN[CHCHOCHCHOCHCHNである。この化合物は[2.2.2]クリプタンドと称され、記されている数字は、アミン窒素の"キャップ"のあいだの3つの橋それぞれにおける酸素原子の数(ひいては結合部位の数)を表す。全てのアミンクリプタンドはアルカリ金属カチオンに対して特に高い親和性を呈し、塩をKから分離するほどである。
【0052】
"菌体内毒素"濃度とは、例えばグラム陰性菌の細胞壁の分量である。内毒素とは、例えば、或る種の菌に関連する毒素である。内毒素検査のための統合型装置、例えばCharles River社製のEndosafe-PTS(TM)により、当該のパラメータを検査できる。当該の装置はQCサンプルおよび基準サンプルのためのカートリッジを使用している。所定の範囲の測定値が単位EU/mlで得られる。
【0053】
"カラム"とは、化学的化合物の分離・精製・濃縮に用いられる装置である。"カラム"は、有利には、種々のタイプの高速液体クロマトグラフィカラム(HPLCカラム)およびガスクロマトグラフィカラム(GCカラム)を含む。例えば、HPLCは液相で分離検出を行う機器であり、GCは気相で分離検出を行う機器であるが、これら双方がカラムを用いている。HPLCは通常パッキングされたカラムを利用しており、GCは通常コーティングされた細管状のカラムを利用している。
【0054】
"サンプル"とは、均質または不均質な液体を云う。溶液は均質な液体の例である。不均質な液体の例は、固体粒子を含む懸濁液またはスラリーであり、ここでの固体粒子は例えば不溶性の試薬および生成物、ビード(支持固体上の試薬)を含む。不均質な液体はエマルジョンまたはコロイドを含むこともある。本発明の実施例では、典型的には、均質な液体のほうが、特に色および外観検査などに関して、良好な結果が得られる。
【0055】
本発明の実施例にしたがって分析される、"放射性同位体によって識別される化合物"には、2−デオキシ−2[18F]フルオロ−D−グルコース([18F]FDG),6−[18F]フルオロ−L−3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン([18F]FDOPA),6−[18F]フルオロ−L−メタ−チロシン([18F]FMT),9−[4−[18F]フルオロ−3−(ヒドロキシメチル)ブチル]グアニン([18F]FHBG),9−[(3−[18F]フルオロ−1−ヒドロキシ−2−プロポキシ)メチル]グアニン([18F]FHPG),3−(2’−[18F]フルオロエチル)スピペロン([18F]FESP),3’−デオキシ−3−[18F]フルオロチミジン([18F]FLT),4−[18F]フルオロ−N−[2−[1−(2−メトキシフェニル)−1−ピペラジニル]エチル]−N−2−ピリジニル−ベンザミド([18F]p−MPPF),2−(1−{6−[(2−[18F]フルオロエチル)(メチル)アミノ]−2−ナフチル}エチリデン)マロノニトリル([18F]FDDNP),2−[18F]フルオロ−α−メチルチロシン,[18F]フルオロミソニダゾール([18F]FMISO),5−[18F]フルオロ−2’−デオキシウリジン([18F]FdUrd)のグループから選択された化合物が含まれる。
【0056】
図1には本発明の実施例の方法のフローチャート10が示されている。フローチャート10は、典型的には、一連のステップ、あるいは、一連の実行可能なプログラムコード、あるいは、一連の、コンピュータで読み取り可能な媒体または他の電子記憶媒体上に記憶されたコンピュータコードである。ここでの媒体は、例えば、RAM,ROM,EEPROM,CD,DVD,不揮発性メモリ、リムーバブルメモリカード、電子長期記憶媒体などである。フローチャート10はプロセッサまたは他の手段によって実行され、特定の機能が実行されるかあるいは1つまたは複数の電子メモリへの記憶が行われる。
【0057】
図1の方法は、薬剤、例えばPETトレーサの自動品質管理分析に用いられる。図1の方法は開始ステップ100を有する。図1のプロセスはインライン式に行われる。これは、1注入または同じソースに由来する同じサンプルが品質検査に用いられるためである。ステップ102で全ての分析に対して1注入のサンプルがローディングされる。ステップ104では、粒子内容および色内容に対する測定値が求められる。ステップ106では、無菌状態での測定値が、製品の全量が通過した後で、濾過膜インテグリティに基づいて求められる。濾過膜の検査は、第1次的には、利用後の濾過膜インテグリティを保証するために用いられる。ステップ108では、菌体内毒素濃度の測定値が求められる。ライン105によって示されている濾過膜インテグリティ検査はサンプルを必要としない。また、ライン107によって示されているように、菌体内毒素濃度の検査は付加的なサンプルを投入して行ってもよい。なお、濾過膜インテグリティ検査および菌体内毒素濃度の検査は2つの別個の検査である。
【0058】
ステップ110では、放射化学的純度の測定値が求められる。
【0059】
ステップ112では、放射化学的同一性の測定値が求められる。ステップ114では、放射性核種純度の測定値が求められる。ステップ116では、放射能濃度の測定値が求められる。ステップ118では、比放射能の測定値が求められる。ステップ120では、クリプトフィックス(R)濃度の測定値が求められる。ステップ122では、残留溶媒体積の測定値が求められる。ステップ124では、サンプル液のpHの測定値が求められる。ステップ128では、各測定値と関連する設定量との比較が行われ、各測定パラメータが充分な値を有しているかどうか、すなわち"合格"しているかどうかが判別される。なお、ステップ128にはライン103がつながっているが、これは、それぞれのパラメータ測定を同時に行ってもよいことを表している。
【0060】
それぞれの検査は他の検査の実行中に実行することができる。つまり、全ての測定が必ずしも1つのシーケンスにしたがって行われるわけではない。こうした同時測定により、検査の実行速度が向上する。ステップ130は、測定されたパラメータのそれぞれがサンプルに対する関連検査を合格しなければならないことを表している。特に、"ノー"のライン132は、サンプルが検査を合格せずに終了のステップ170に達した場合に、不合格164の原因が究明されてレポート146が作成されることを表している。
【0061】
サンプルが或る検査に合格すると、"イエス"のライン134を介してステップ136へ移行し、全ての所望の検査パラメータが考察されたか否かが判別される。ここで、付加的なパラメータが存在する場合、"イエス"のライン138を介してステップ128へ移行する。全ての所望の検査パラメータが考察されて充分な値が得られている場合には、ライン140を介して、ステップ144でサンプルの累積的評価が行われ、ステップ146でレポートが作成される。当該のレポートは実行されたそれぞれの検査の説明および検査結果を含む。当該のレポートはステップ150で記憶され、ステップ154で伝送され、ステップ158で出力される。
【0062】
サンプルをリリースするか否かの判別はステップ160で行われる。リリースすべき場合には、"イエス"のライン166を介してステップ168でサンプルがリリースされ、終了のステップ170へ至る。
【0063】
サンプルがそれぞれの検査に合格したとしても、別の理由からサンプルをリリースすべきでないと判別された場合、"ノー"のライン162を介して、ステップ164で不合格の原因を記したレポートが作成される。ここでの不合格は、特定の検査の不合格とは異なり、検査条件が不適切であったり、サンプル寸法などの他の基本条件が不適切であったりすることが原因である。この場合には、本発明の方法はステップ170で終了する。
【0064】
図2Aには、複数の検査モジュールによって品質管理を行うQCシステム20の概略図が示されている。図2Aに示されているように、QCシステム20はネットワークシステムであり、内部の種々の検査モジュールは相互に操作可能に結合されており、さらにネットワーク240を介して処理モジュール242へ結合されている。
【0065】
ネットワーク240は、例えば、相互にリンクしたコンピュータまたは処理装置の組み合わせであり、データの伝送(送受信)および処理を行えるように構成されている。ネットワーク240はワイヤレス通信手段または有線通信手段を含む。ネットワーク240はインタネットプロトコルネットワーク(IPネットワークまたはパブリックIPネットワーク)であってよく、例えばワールドワイドウェブWWWのブラウザ機能を利用することができる。これに代えて、ネットワーク240は、イーサネットネットワーク、あるいは、情報を共有できる2つ以上の処理装置を操作可能に結合したネットワークであってもよい。
【0066】
有線ネットワークの例として、端末間(例えば処理モジュール242と測定モジュール204,206,208,210,211,212,214とのあいだ)でデータを送受信する通信バスおよびモデム、DSLライン、ローカルエリアネットワークLAN、ワイドエリアネットワークWANを利用したネットワークが挙げられる。ワイヤレスネットワークの例として、ワイヤレスLANおよびGSMが挙げられる。GSMネットワークは、3つの主装置、すなわち、交換装置と基地局装置と操作支援装置とに分割されている。また、IEEE802.11(WiFi)はコンピュータシステム内で通常用いられているワイヤレスネットワークであり、インタネットまたは他のWiFi機器を含む装置に接続可能である。WiFiネットワークは種々のコンピュータに付属するWiFi受信機によって受信される無線波をブロードキャストする。図2Aに示されているように、ネットワーク240は有線双方向通信媒体またはワイヤレス双方向通信媒体230を介して処理モジュール242に結合されている。
【0067】
システム20は品質管理のために複数の検査を行うインライン式検査に用いられる。例えば、粒子内容および色内容を検査するモジュール206は粒子および色のパラメータを求めるために用いられる。なお、この検査は、特定の色と妥当な色の範囲とを比較するものである。
【0068】
濾過膜のインテグリティを検査するモジュール204は、濾過膜を製品の濾過に用いた後にガスで加圧し、その後の圧力低下の速度に基づいてサンプルの無菌性を求めるために用いられる。濾過膜インテグリティ検査の様子は図3に示されている。
【0069】
放射化学的検査モジュール210は放射化学的同一性、放射化学的純度、放射能濃度、比放射能を求めるために用いられる。これらの検査の様子は図5,図12に示されている。
【0070】
放射性核種純度検査モジュール211はサンプルの放射性核種純度を求めるために用いられる。この検査の様子は図5,図12に示されている。
【0071】
サンプル液のpHはpH検査モジュール214を用いて求められる。pH検査の様子は図5に示されている。
【0072】
GCモジュール212はクリプトフィックス(R)濃度および残留溶媒濃度を求めるために用いられる。クリプトフィックス(R)検査の様子は図5に示されている。
【0073】
菌体内毒素濃度検査モジュール208は特定の菌に関連する毒素の検査に用いられる。
【0074】
処理モジュール242は、前述したモジュールから得られたそれぞれの制御パラメータと所定の相応の基準値とを比較し、サンプルの累積品質等級を形成する。
【0075】
レポートモジュール246は品質等級に基づくサンプルレポートを作成する。このレポートは薬剤師または研究医のもとへ送信され、診療または研究に用いられるバイオマーカのサンプル調量に関する情報となる。当該のレポートはネットワーク240を介して図示されていない他の場所へ送信される。
【0076】
前述した各モジュールは1つまたは複数の処理モジュールに結合することができる。図では、簡単化のために唯一の処理モジュール242しか示していないが、効率向上のために付加的な処理モジュールを設けてもよい。
【0077】
図2Bには、本発明の装置の別の実施例25が示されている。図2Bには、処理モジュール242の一部のモジュールが示されている。図2Bのモジュールは、典型的には、図2Aに示されている測定データに基づいて値を計算するアルゴリズムを含むプログラムコードである。
【0078】
処理モジュール242またはプロセッサユニットは、典型的には、レポートを作成し、ネットワーク240を介してデータを処理および送信し、表示(236)および/または印刷(232)および/または記憶(234)するシステムコントロールユニットである。
【0079】
処理モジュール(プロセッサユニット)242は、典型的には、必要なデータ処理機能を実行するCPU296と記憶機能を実行するメモリ292とを有する。
【0080】
処理モジュール242またはプロセッサユニットまたは端末は、典型的には、1つまたは複数のコンピュータであるか、あるいは、ワイヤレス処理装置、パーソナルコンピュータPC、デスクトップ、ノートブック、情報機器等の処理装置である。処理モジュール242は典型的には処理手段296および記憶手段292を有する。処理モジュール242は双方向通信媒体230を介してネットワーク240に結合されている。
【0081】
画像表示ユニットまたは画像表示モジュール236は双方向通信媒体を介して処理モジュール242に結合されている。双方向通信媒体は典型的にはバスまたは有線接続またはワイヤレスコネクションである。画像表示ユニット236は処理モジュール242の作成したレポートまたは出力データを表示するために用いられる。表示ユニット236は、例えば、モニタ、液晶ディスプレイLCD、プラズマスクリーン、グラフィックユーザインタフェースGUI、あるいは、典型的にはピクセル表現によって出力データを表示するように構成されたモジュールであってよい。
【0082】
処理モジュール242は出力データを印刷するプリンタ232に結合することもできるし、第2の位置または他のディスプレイモジュールへ出力データを送信する図示されていないDSLラインまたはモデムに結合することもできる。こうした送信は、ブラウザ機能を備えたインタネットなどのネットワーク240、あるいは、操作可能に結合されたコンピュータ、プロセッサまたは他の装置のネットワークを利用して行うこともできる。メモリモジュール234は付加的な電子記憶装置であり、データの記憶のために用いられる。
【0083】
メモリモジュール292は電子記憶媒体、例えばサーバであるが、データを記憶可能であれば他の電子記憶レポジトリであってもよい。メモリモジュール292は例えばRAM,ROM,EEPROMであってもよいし、あるいは、ディジタル情報をビットの形態で記憶した光ディスク,光テープ,CD,フロッピーディスク,ハードディスク,リムーバブルカートリッジなどの他のメモリ媒体であってもよい。図2Bでは、メモリモジュール292は双方向の有線通信媒体またはワイヤレス通信媒体を介して、処理モジュール296に結合されていることが示されている。メモリモジュール292はプログラム記憶手段294を有している。
【0084】
CPU296は、典型的には、演算動作および論理動作を行う演算論理装置ALUと、必要に応じてこの演算論理装置ALUを用いて、メモリから命令を抽出し、これを復号化して実行する制御ユニットCUとを含む。
【0085】
メモリモジュール292は、典型的には、RAM,ROM,EEPROMであるか、あるいは、ディジタル情報をビットの形態で記憶した光ディスク,光テープ,CD,フロッピーディスク,ハードディスク,リムーバブルカートリッジなどのメモリ媒体である。メモリモジュール292は、光ディスク、磁気ディスク、フラッシュ半導体ディスクなどの大規模記憶装置、および、一時的または持続的に記憶を行う他のタイプの記憶装置への書き込みおよびこれらの装置からの読み出しを行うレコーダを含む。
【0086】
メモリモジュール292は複数のプログラムをプログラムモジュール294に格納している。プログラムモジュール294は、例えば、図示されていないウェブブラウザ、粒子内容検査モジュール252,色内容検査モジュール254,濾過膜インテグリティ検査モジュール256,菌体内毒素検査モジュール270,クリプトフィックス(R)濃度検査モジュール272,残留溶媒体積検査モジュール274,放射化学的同一性検査モジュール258,放射化学的純度検査モジュール266,放射性核種純度検査モジュール260,放射能濃度検査モジュール264,比放射能検査モジュール262,pHモジュール268,標準記憶モジュール290,比較モジュール280,レポート作成モジュール286を含む。各モジュールは前述したそれぞれの機能を実行する。
【0087】
標準記憶モジュール290は種々のパラメータに対する所定の基準を記憶するために用いられる。比較モジュール280は各測定値と関連する設定量とを比較し、測定パラメータが充分な値を有するか否か、すなわち、測定パラメータが検査に合格しているか否かを判別する。レポート作成モジュール286は各検査の結果とサンプルが全ての検査を合格したかどうかを表すレポートを作成する。
【0088】
処理モジュール242は、図示されていない典型的なオペレーティングシステムプログラムと、図示されていない入出力プログラムと、処理モジュール242の演算を可能にする他のプログラムとを含む。
【0089】
メモリモジュール292または機能部は、CPU296によって利用されあるいは形成されるプログラムを記憶するために用いられる。メモリモジュール292はメモリ内容をCPU296に供給するためにアクセスされる。データアクセス、典型的にはプログラムコードによるメモリ内の所望のデータの取り出しや検索が行われると、前述した1つまたは複数のアルゴリズムが処理される。
【0090】
図3には、フィルタインテグリティ検査を実行するための機構30の実施例が示されている。
【0091】
典型的には、液体状の医薬品およびバイオ薬品は濾過により無菌化される。無菌化のための濾過プロセスは濾過膜を通る液体から生育可能粒子および生育不能粒子を除去するように構成されている。液体から除去された粒子は濾過膜の表面に残留するかまたは濾過膜の基質内に捕捉される。インテグリティ検査は湿式の膜を通る気体流の測定によって行われる。液体の充填された膜内の気孔を通る検査気体の拡散は、拡散定数、検査温度のもとでの液体中の検査気体の溶解度、膜の両側での検査気体の圧力差、液体層の厚さ、膜の面積および有孔率の関数である。通常は、濾過膜材料を湿らせた後、所定の気圧が吸入側に印加され、有利には、湿式の濾過膜材料を通る拡散流が測定される。その後、排気側の圧力が時間に依存して測定される。この場合、設定された時点での測定圧力が設定量による基準圧力を上回るかどうかが判別される。濾過膜はサンプル、例えばPETトレーサの無菌化のために用いられる。当該の検査は濾過膜が良好な状態にあることまたは濾過が完了した後にもそのインテグリティを維持していることを保証するために行われる。そうでない場合にはPETトレーサに問題があることになる。検査によって濾過膜に損傷が生じたとしても、この段階ではこれは重大な影響を及ぼさない。検査において重要なのは、圧力閾値で濾過膜がいまだ許容可能であるか否かということである。
【0092】
濾過膜318は複数の小さな気孔を有することを特徴としている。図11に示されている濾過膜装置は濾過膜インテグリティ検査の時点で気孔をブロックするように構成されている。そうでないと気孔が開いたままとなり、弁(例えば3方向弁)312を窒素源302へ開放したことに応じて、窒素源302からの圧力により、精製されたサンプル液がバイアルの外へ押し出され、濾過膜318を介して、トレーササンプルの無菌プロセスにかけられるべき第2のバイアル326が充填されてしまう。次のQC検査のための部分サンプルは注入器320によってこの第2のバイアル326から採取される。無菌化されたサンプルのバイアルには付加的な濾過孔322が設けられる。濾過孔322は、導管すなわちチューブ346を介してバイアル236に接続された弁312に設けられる。その後、3方向弁312は窒素源302の開閉の切り換えに用いられる。2方向弁316は開放されて、圧力ゲージ314を用いて、窒素源304の圧力が所望の値へ調整される。
【0093】
その後、2方向弁316は閉鎖される。濾過膜318も閉鎖され、圧力がかかる環境となる。濾過膜がインテグリティを維持していれば、圧力は一定となるかまたは時間の経過につれて緩慢に低下する。典型的には、許容可能な濾過膜インテグリティに対する圧力は50psig以上である。濾過膜がインテグリティを維持していない場合、急速な圧力低下が観察される。濾過膜インテグリティ検査の結果は図6に示されている。
【0094】
図4には、自動の放射化学的品質管理システム40の概略図が示されている。このシステム40の各モジュールはQCプロセスを約15分で完了し、PETトレーサに対して、11個のパラメータについての分析証明を提供するものである。11個のパラメータは、1)圧力降下測定、2)Endosafe-PTS(TM)測定、3)HPLC分析、4)崩壊度測定、5)色内容・粒子内容測定、6)pH測定、7)GC分析によって、取得される。コンピュータまたは処理端末は、並列のQCプロセスを制御し、各測定段階のモジュール全てからデータを取得する。図4に示されているように、制御命令はコンピュータ440から通信媒体435を介して各検査モジュールへ供給され、データは各検査モジュールからコンピュータ440へデータ通信媒体437を介して供給される。レポートないし分析証明はモジュール446において、コンピュータ440から通信媒体442を介して受信されたデータに基づいて作成される。
【0095】
特に、モジュール406は濾過膜インテグリティ検査を実行する。モジュール408は毒素検査を実行する。モジュール412は放射化学的同一性検査、放射能濃度検査、放射化学的純度検査、比放射能検査を実行する。モジュール414は放射性核種純度検査を実行する。モジュール415は色・粒子の検査すなわち清澄度の検査を実行する。モジュール424はpH検査を実行する。モジュール426は有機溶媒検査およびクリプトフィックス(R)検査を実行する。
【0096】
図5には、GCユニット、HPLCユニット、放射性核種純度検査・色および外観(清澄度)検査のための放射能検出ユニット、pHユニットを含むシステム50が示されている。図5には、放射化学的同一性、放射化学的純度、比放射能の検査に対するインライン式HPLC関連分析の様子が示されている。注入器501によって、サンプル液が、GC注入弁503およびHPLC注入弁502と、さらに、下流の検出測定ユニットへ供給される。サンプル量は典型的には約1nl〜約1μlであるので、HPLCユニットやGCユニットへのサンプルのローディングはマイクロ流体のローディングと考えなければならない。さらに、当該のサンプルがGC注入弁503およびHPLC注入弁502でHPLC分析およびGC分析に利用されているあいだ、チューブ508の下流のセクションでは、当該のサンプルが放射能検出モジュール505の下方のチューブ508において、所定の時間にわたる放射性崩壊の記録のために利用されている。崩壊の記録は指数曲線近似によって行われる。
【0097】
GCユニットは、サンプルを注入器501から受け取るGC注入弁503を含む。GCユニットは有機溶媒量およびクリプトフィックス(R)量を求め、分析するために用いられる。さらに、残留溶媒体積のGC分析および菌体内毒素濃度の分析が並列に、前述したQCシステムによって行われる。これら2つの分析のための機器は市販入手可能である。GCでは有機不純物量を数分で分析することができるが、Charles River社のEndosafe-PTS(TM)は利用場所ごとに適合化の必要な検査装置であり、定量的毒素検査の結果を出力するのに約15分かかる。サンプルの寸法はGC分析に対する数μlから毒素検査に対する25μlの範囲である。サンプルを検査モジュールへロードする際には、ロボット装置を利用することもできる。これらの装置は自動QCシステムへ統合されるので、ユーザが手動で注入を実行する必要はなく、品質管理プロセス中、統計的に最大のエラー源が回避される。
【0098】
GCを基礎とした検査に代えて、サンプルは、クリプトフィックス(R)検査モジュールに充填され、図示されていない注入器によって注入されるヨウ素と混合される。クリプトフィックス(R)はヨウ素と反応し、染色された物質は光源および光検出器を用いることによって容易に識別される。図10に示されているT字状のマイクロチャネル構造により、クリプトフィックス(R)の完全な混合および高速な識別が保証される。
【0099】
これに代えて、マイクロ流体をクリプトフィックス(R)検査に用いることもできる。これは、小さなスケールのチャネル、例えば1mm幅で100μm深さのチャネル内部を流れる3つの液体の層流の混合物を基礎としている。チャネルは、図10に示されているような、底部7.5cm×2.5cmの成形アクリル部材上に製造される。シリコーン接着剤は底部のうちチャネル系に対する端壁を形成する上面に塗布される。2つの側方ポートの標準液およびサンプル液をロードするために用いられ、中央ポートがヨウ素液に対して用いられる。溶液がチャネルの下流へ流れるにつれ、拡散、混合、反応が進行する。発現する色によって、サンプル内のクリプトフィックス(R)濃度が標準液の濃度に対して定量的に求められる。
【0100】
GC注入弁503は、導管またはチューブ511を介して、サンプルをHPLCユニットへ投入する。
【0101】
HPLCユニットは、典型的には、図示されていない高圧液体ポンプと、注入位置にあるループ弁502と、ループ560と、図示されていないカラムと、放射化学的同一性検査・放射能濃度検査・放射化学的純度検査・比放射能検査を行う適切な検出ユニットとから成る。HPLCユニットは、後続の分析を可能にするために、混合物を個々の成分に分離させる分解力を有している。
【0102】
それぞれのHPLC分離器は、UV吸収量と放射能吸収量との2つをトレースするクロマトグラムを形成する。所望の化合物の保持時間は放射化学的同一性として定義される。所定の体積に対するPETトレーサの放射能は放射能濃度と称される。放射能のトレースによって、所望の化合物のピーク面積と全ての化合物のピーク面積の和との比が放射化学的純度として定義される。所定の化合物、例えばPETトレーサでは、UVトレースのピーク面積に対する放射能トレースのピーク面積の割合は、比放射能へ変換される。
【0103】
放射能検出モジュール505はサンプルの放射性核種純度を求めるために用いられる。放射能検出モジュール505からの放射能信号がサンプルの放射性核種純度の検出に用いられる。サンプルは導管508を介して放射能検出モジュール505へ送出される。指数方程式から形成された曲線から得られる半減期T1/2は、放射性核種量と放射性核種純度とを表す。
【0104】
本発明の実施例によれば、濃縮された状態での比放射能の測定と希釈された状態での放射化学的純度の測定との双方をサンプル1注入で行うことができる(例えば、図12のシステム1200を参照)。これは、インライン式の放射能検出器によって測定された信号に基づいてHPLC放射能検出器の感度を変更することにより、達成される。
【0105】
色および外観検査ユニット580はサンプルの粒子内容(外観)および色内容を分析する。色検査は、典型的には、それぞれ光ファイバを備えた、図示されていない可視光源と、スペクトロメータ、例えば図示されていないCCDスペクトロメータとを用いて、行われる。流体セル中の色検査液は所定の波長の光を吸収する。当該の吸収スペクトルによってサンプルの色が特定される。CCDスペクトロメータは外観の測定に用いられる。色検査の詳細については図13に即して説明する。
【0106】
これに代えて、色および外観(清澄度)の検査を、細管状のチャネルに発生するマイクロ流体によって行ってもよい。
【0107】
pH検査ユニット570は、典型的には、μl(マイクロリットル)レベルのpH検査を行うことのできるマイクロpH電極を備えたpHセルである。6位置7ポート弁などの図示されていない分配弁を用いて、3つのpH標準液、例えばpH4.01,pH7.01,pH10.01の液と電極保存液とが選択される。3つのpH標準液はpH検出ユニット570のpH電極のキャリブレーションのための液体であり、保存液はpH電極が利用されない場合にpHユニット570へ導入される液体である。
【0108】
廃棄場所552も示されている。サンプルは検査プロセスが完了した後、廃棄場所552に廃棄される。サンプルの検査結果に基づいて、残りのサンプルが利用されるかどうかが決定される。
【0109】
図7には、UV吸収量および放射能を示すサンプルクロマトグラムが示されている。
【0110】
前述したGCユニットに対する代替的な手段として、自動ローディング機構を備えたチップベースのミニGCまたはマイクロGCを利用し、注入器を省略してもよい。ミニGCまたはマイクロGCは特定の機能の実行に対して特化された微細機器である。これらのデバイスは有機不純物の分離および検出に用いられる。
【0111】
いったんサンプルの分析が実行されると、全ての検査結果がプリセット限界値内で自動的に分析され、薬品が各検査に合格したか否かによって当該の薬品の調量が評価される。当該の情報はユーザに伝送され(ユーザは研究室にいる必要はない)、ユーザは当該の薬品のヒトへの利用のリリースを決定できる。
【0112】
例えば、技師が機器を操作し、レポートを薬剤師へ提出することができる。このようにすれば、薬剤師は、最小人数のスタッフのみで、複数の場所にわたって、当該の薬品の検証/リリースを行うことができる。
【0113】
最終的に全てのQC処理が完了すると、システムは自己洗浄および自己キャリブレーションのサイクルを自動的に実行し、その後、次の処理を準備する。
【0114】
図6には、本発明の実施例による濾過膜インテグリティ検査の結果60が示されている。図6では、X軸602に時間[sec]、Y軸604に圧力[psi]が示されている。ライン606は比較的緩慢な圧力降下が所定の時間にわたって起こることを表しており、ライン608は比較的迅速な圧力降下が起こることを表している。濾過膜がインテグリティを維持している場合、圧力は、相対的に急激な圧力降下を表すライン608よりも、相対的に緩慢な圧力低下を表すライン606に近くなる。このことは特に初期の10secにおいて顕著である。
【0115】
図7には、本発明の実施例での[18F]FLTのHPLC分離検出によるUV吸収および放射能のクロマトグラム70が形成される様子が示されている。図7に示されているように、UV吸収クロマトグラム72では、X軸702に時間[sec]、Y軸704に吸収係数が示されている。ライン720はUV吸収量をプロットしたものである。第1のピーク742に続いて、FLT化合物の存在を表す第2のピーク740が約240secの保持時間をともなって生じている。
【0116】
放射能クロマトグラム74では、X軸752に時間[sec]、Y軸754に放射能レンジ0〜1600が示されている。ライン760は放射能をプロットしたものである。放射能の値約1500のピーク762がFLT化合物に相当する。
【0117】
図8には、本発明の実施例による、[18F]FLTの崩壊測定に基づく放射性核種検査の結果80が示されている。X軸802に時間[sec]、Y軸804に放射能が示されている。ライン820には、複数のドット840で表された測定信号に対して[18F]FLTの崩壊を表す指数曲線が示されている。
【0118】
図9には、本発明の実施例による、エタノール、アセトニトリル、クリプトフィックス(R)のGC検査結果90が示されている。ここでは、X軸902に時間[sec]、Y軸904にイオン化信号[μV]が示されている。Y軸904は904(a)および904(b)を含み、904(b)は904(a)の拡大部分である。クロマトグラム910は拡大部分920,940を含む。拡大部分920はエタノールのピーク922とアセトニトリルのピーク924とを含む。拡大部分940はクリプトフィックス(R)のピーク944を含む。前述したクリプトフィックス(R)検査は、従前別個に行われていた2つのステップを1つのGC検査ステップへまとめて行う自動検査である。図9には、2つの有機溶媒であるエタノールおよびアセトニトリルと、クリプトフィックス(R)とが、1回のGC動作で測定されることが示されている。
【0119】
図10には、本発明の実施例によってサンプル内のクリプトフィックス(R)量を特定するマイクロ流体用構造体1000が示されている。構造体1000は3つの入口1004,1006,1008を含む基部1002と共通の1つの廃棄出口1030とを有する。中央入口1008はヨウ素液を供給し、2つの側方入口1004,1006はサンプル液と標準液とを供給する。チャネル1010は入口1004,1006,1008から廃棄出口1030への導管または流体路となっている。全ての装置は手動または自動で操作可能となっている。
【0120】
図11には、本発明の実施例により、気孔をブロックすることのできるフィルタ装置110が示されている。フィルタ装置1100は第1のプレート1102および第2のプレート1108を含む。第1のプレート1102および第2のプレート1108は図11では長方形であるが、他の形状であってもよい。第1のプレート1102は上面1104およびチャネル1106を有する。第2のプレート1108は円形のフィルタ部材1116上に取り付けられており、濾過膜を含む。円形の濾過膜1116は上面1104に近接している。2つの孔またはビア1120,1130が第2のプレート1108に示されている。2つの孔1120,1130は濾過膜1116の気孔を封止するために2つのプレート1104,1108を固定する際に用いられる。
【0121】
図12には、本発明の実施例による検査パラメータの概略図1200が示されている。注入器1201によりサンプル1注入が行われる。注入器1201のサンプルはGC注入弁1203へ供給される。このGC注入弁1203は窒素も受け取る。圧縮気体源1209が操作可能にGC注入弁1203へ結合されている。注入器1201のサンプルは図示されているように下流のモジュールへ充填される。サンプルはさらに導管1211を介してHPLC注入弁1202にも流れる。HPLC注入弁1202はローディングモードまたは注入モードで動作する。ローディングモードでは、サンプルはループ1260へは流れない。注入モードでは、HPLC注入弁1202によってサンプルがループ1260へ流れる。
【0122】
HPLCポンプ1240はサンプルがHPLCカラム1242を通るように圧送を行う。ループ1260およびHPLCカラム1242が示されている。流体チャネルである導管1206は例えば適切なチューブであり、サンプルを種々の放射性検査ユニットまたはモジュール1212へ供給する。種々の放射性検査モジュール1212は第1の放射能検査モジュール1204と第2の放射能検査モジュール1205とを含む。第1の放射能検査モジュール1204はHPLCカラム1242から導管1206を介してサンプルの一部を受け取る。第2の放射能検査モジュール1205は導管1208を介してサンプルの一部を受け取る。
【0123】
第2の放射能検査モジュール1205からの放射能信号に基づいて、2つの放射能検査モジュール1204,1205の下方のチューブ長または検出体積が、図示されていないニューマティックアクチュエータによって同時に調整される。こうした特徴により、放射能検査モジュール1204,1205は線形の検出範囲で動作することができる。感度の調整には数secしかかからず、付加的なHPLC分離のために10分以上を節約することができる。マニュアルQC検査では、2回のHPLC注入、すなわち、比放射能検査のために濃縮されたサンプルと、放射化学的純度検査のために希釈されたサンプルとの注入が要求される。図12に示されているように、注入器1201からのサンプル1注入で2つの分析を行うことができる。
【0124】
第1の放射性検査モジュール1204からのサンプル部分はさらなる検査に対するUV検出モジュール1228へ流れ、その後、廃棄場所1250へ流れる。
【0125】
第2の放射性検査モジュール1205のサンプル部分は光学流体セル1280へ流れ、色および外観の検査に用いられる。色検査には、それぞれ光ファイバを備えた、可視光源およびCCDスペクトロメータが利用される。色検査については、図13に関連して後述する。
【0126】
サンプルの最後の一部はpH流体セル1270へ充填され、マイクロpH電極によってμlレベルでのpH検査が可能となる。pH検査は図5に即して前述した通りである。当該のサンプル部分は廃棄場所1252へ流れる。
【0127】
別の実施例では、本発明により種々の放射性検査機構が提供される。手動の品質管理では、通常2回、すなわち、比放射能またはUVの検査に対する濃縮サンプルと放射化学的純度の検査に対する希釈サンプルのHPLC注入が必要である。本発明の実施例によれば、これら2つの分析をサンプル1注入で実行することができる。これは、放射能感度を調整することにより達成され、濃縮されたサンプルの放射化学的分析を行うことができる。放射性検査モジュール1212からの放射能信号に基づいて、2つの放射能検査モジュール1204,1205の下方のチューブ長または検出体積を、図示されていないニューマティックアクチュエータによって、同時に調整することもできる。こうした特徴により、放射能検査モジュール1204,1205は線形の検出範囲で動作することができる。感度の調整には数secしかかからず、付加的なHPLC分離のために10分以上を節約することができる。
【0128】
従来、GCは有機溶媒の分析に用いられており、ヨウ素のスポットはクリプトフィックス(R)検査に用いられていた。本発明ではこれら2つが1回のGCプロセスへ結びつけられる。
【0129】
GCサンプルは注入器あるいは加熱されたサンプル注入弁によって注入することができる。注入弁によりGCを他の検査とともにインライン式に実行することができる。
【0130】
図13には本発明の1実施形態による色検査および外観検査用の概略図1300が示されている。検査サンプルの一部は、サンプルインレット1368を介してオプチカルフローセル1350に導入される。上記の色検査では、可視光源1324およびCCDスペクトロメータ1328が使用され、これらにはいずれも光ファイバ1342および1340がそれぞれ備えられている。オプチカルフローセル1350内の着色されたサンプルにより、所定の波長の光が吸収される。吸収スペクトルは、サンプルの色を特徴付けるために使用可能である。CCDスペクトロメータ1328は、外観を測定するために使用可能である。外観用の光源は、固体レーザー1332から得られ、この固定レーザーは実質的に検出光ファイバ1340に垂直に配置されている。光散乱の度合いにより、サンプルの特定の内容物または外観が反映される。サンプルアウトレット1370は、オプチカルフローセル1350からの検査サンプルの出口である。
【0131】
図14には本発明による複数の検査用のQCシステム1400が示されている。これらの検査には、放射化学識別検査、放射化学純度検査、比放射能検査、pH検査,放射化学的純度検査、放射能濃度検査およびK222検査が含まれる。
【0132】
システム1400には、1回の注入から得られたサンプルをループ1460に注入するのに使用される注入弁1402が含まれている。ループ1460では、放射化学識別、放射化学純度および比放射能検査が実行される。
【0133】
上記のサンプルは、ループ1460からコンジット1462を通って分配弁1406に流れる。サンプルの一部は、pH検査、放射性核種純度検査および放射能濃度検査を実行するための電極1408を有するモジュール1410に供給される。
【0134】
サンプルの一部は、弁1464およびチューブまたはコンジット1466を通ってK222モジュール1474に流れてそこで検査が行われる。K222モジュール1474は、付属の光源1472および検出器1476を有する。ソース1470を介してヨードが3ウェイ弁1412に導入される。サンプルの一部は、シリンジ1420を介して引き出すことが可能である。この一部分は、つぎに廃棄個所1450に流すことが可能である。
【0135】
図15には色検査および外観検査およびフィルタインテグリティ検査を実行するための構成部1500の例が示されている。
【0136】
ふつう液体薬剤製品および生化学薬剤製品は、濾過によって滅菌される。滅菌濾過プロセスは、フィルタを通過する液体から、生育可能粒子および生育不能粒子を除去するように設計される。液体から除去された粒子は、濾過膜の表面に残るかまたは膜材内に捕捉される。インテグリティ検査は、湿式膜を通るガス流を測定することに基づいている。液体に満たされた上記の膜の孔を通る検査ガスの拡散は、検査温度における液体への検査ガスの溶融度と、拡散定数と、膜に両側における検査ガスの圧力差と、液体層の厚さと、膜の面積および多孔度とに依存する。ふつう上記の膜材を湿らした後、インレット側にガス圧を加え、また有利には上記の湿式膜材を通る拡散流が測定される。つぎにこの圧力が、アウトレットコンジットにおいて時間に依存して測定される。つぎにあらかじめ選択した時点に測定した圧力が、基準圧力をあらかじめ定めた量だけ上回っているか否かが決定される。上記のフィルタは、例えばPETトレーサなどのサンプルを滅菌するために使用される。この検査は、膜材が引き続き良好な状態にあるか、またはそのインテグリティを維持しているかを確認するためのものである。良好な状態ないかまたはインテグリティを維持していない場合、このPETトレーサには問題がある。この検査は、膜を損傷する可能性があるが、このことは検査段階ではクリティカルでも重大でもない。この検査の意義は、所定の閾値圧力においてこのフィルタを引き続いて受け入れられるか否かである。
【0137】
注意すべきであるのは、フィルタ318が複数の小通気孔を有することである。(図11に示した)フィルタ装置は、上記の濾過膜インテグリティ検査時にはこれらの空気孔が遮断されるように設計される。このような設計を行わない場合、通気孔は開いたままである。例えば3ウェイ弁などの窒素源1502に至る弁1512を開くことによって窒素源1502からの圧力により、清浄化されたサンプル溶液がバイアル1508から押し出され、フィルタ1518を通ってバイアル1562を充填する。これはトレーササンプルを滅菌するために使用されるプロセスである。サンプル一部分は、バイアル1526から取り出すことができ、シリンジ1520によって後続のQC検査が行われる。滅菌サンプルバイアルを、付加的なフィルタ換気装置を具備することも可能であり、このフィルタ換気装置は、例えばチューブなどのコンジット1546を介してバイアル1526に接続される。つぎに3ウェイ弁1512は、窒素源1502を閉じる位置に切り換えられて窒素源1504が開かれる。つぎに例えば2ウェイ弁などの弁1516が開かれて圧力ゲージ1514により、窒素源1504の圧力が所望の値に調整される。
【0138】
つぎに2ウェイ弁1516が閉じられる。この段階でフィルタ1518は閉じられており、圧力が加わった状況下にある。濾過膜がそのインテグリティを維持している場合、圧力は、完全に一定であるか、または時間と共に緩慢に低下するはずである。例えば、許容される膜インテグリティに対する圧力はふつう50psig以上である。そうでない場合、圧力の急速な低下が観察される。膜インテグリティ検査の結果は、図6に示されている。
【0139】
上記の膜インテグリティ検査に加え、バイアル1526内のサンプルを粒子(外観)内容および色内容について分析することが可能である。色検査では、可視光源1524および図示したような例えばCCDスペクトロメータなどのスペクトロメータ1528が使用される。これらは共に光ファイバ1542および1540をそれぞれ備えている。フローセル内の着色検査溶液により、所定の波長の光が吸収される。吸収スペクトルは、サンプルの色を特徴付けるために使用可能である。CCDスペクトロメータ1528は、外観を測定するために使用される。
【0140】
外観用の光源1530は、固体レーザーから得られるものであり、これは、検出光ファイバに対して垂直方向に配置される。光散乱の度合いにより、サンプルの粒子の内容、または外観が表される。バイアル1526は、適切な光学的特性を有しており、これによって光吸収およびレーザー散乱が十分に行われる。1実施形態において一方の光ファイバ1542により、光源1524からの光がバイアル1526に導かれ、またバイアル1526の反対側では他方の光ファイバ1540により、吸収した上記の光がスペクトルメータ1528に導かれる。色付きのサンプルに対する吸収度は、波長に依存する。一般的に色付きのサンプルにより、1つの波長における光が吸収されるが、別の波長における光は吸収されない。
【0141】
2つの波長範囲における吸収度の差分または比により、サンプルに含有される色が決定される。粒子内容を決定するため、光源1524を遮断してレーザー1530をオンにすることができる。レーザー1530は、スペクトロメータ1528に接続される光ファイバ1540に対して例えばほぼ90°(垂直)に配置される。粒子が存在することによってレーザー光は散乱し、この光がスペクトロメータ1528によって検出される。散乱した光の強度は、サンプルに含有される粒子または外観に関連する。
【0142】
図16には放射性核種検証検査、放射能濃度検査、pH検査およびクリプトフィックス(R)検査のための概要図1600が示されている。図16に示したようにシリンジ1620が検査用のサンプルを送出するために使用される。ループ弁1602は、シリンジ1620およびサンプルループ1660に接続されてこれに作用を及ぼす。図16からわかるように、ループ弁1602は、サンプルをロードするためのロード位置に配置される。
【0143】
シリンジ1620は、溶剤分析検査および内毒素検査に対し、数マイクロリットルのサンプル溶液をGCに送出するために使用される。
【0144】
シリンジ1620は、サンプル溶液を送出してサンプルループ4160および下流の検出/測定ユニットを充填する。ループ1660のサンプルが、高性能液体クロマトグラフィ(HPLC high performance liquid chromatography)に関連する分析に使用されるのに対し、放射検出モジュール1604の下にある下流のチューブ1662の1区画のサンプルは、所定の期間にわたる放射能の崩壊を記録するために使用される。崩壊の記録に続いて、指数曲線フィッティングが行われる。
【0145】
フィットさせたこの曲線の指数方程式から得られる半減期T1/2は、放射性核種純度の指標である。ここでは同じモジュール1604が使用されてサンプルの放射能濃度が決定され、この放射能濃度は、単位溶液体積当たり放射能と定義される。放射能検出モジュール1604には分配弁1606が続いている。
【0146】
分配弁1606の下流には、チューブ1664を介してマイクロpH電極1608を有するpHセル1610が設けられており、このpHセルによってマイクロリットルpH検査を行うことができる。6ポジション7ポート分配弁1606は、3つの標準pH溶液、例えばpH 4.01,pH 7.01およびpH 10.01を含む溶液と、電極保存溶液(electrode storage solution)とを選択するために使用される。3つのpH標準液が、pH電極1608を定期的に較正するのに使用されるのに対し、上記の保存溶液は、pH電極1608を使用しない場合にpHセル1610に導き入れられる。
【0147】
サンプルの最後の部分は、クリプトフィックス(R)検査ユニット1614を充たし、またシリンジ1624によってロードされるヨウ素と混ぜ合わされる。クリプトフィックス(R)はヨウ素と反応して、光源1624および光検出器1612によって容易に検出可能な色付きの物質を生成する。光源1624および光検出器1612は共に光ファイバ1642および1644をそれぞれ備えている。(ここでは図10に示されている)T字形のマイクロチャネル構造体は、クリプトフィックス(R)およびヨウ素の完全な混合および迅速な検出が確実に行われるように設計される。
【0148】
図17には自動QC装置1700の斜視図が示されている。図17に示されているように装置1700には、HPLC用の光源1703が含まれている。光源1705は、サンプルの色を検査するために使用される。ここではHPLCポンプ1707および放射能検出器1709および1711が示されている。放射能検出器1709は、HPLC検査に関連して使用され、また放射能検出器1711は、サンプルの放射能崩壊を検出するために使用される。ここには放射能検出増幅器1713および1715も示されている。
【0149】
また装置1700には、以下に説明するように検査用の光を検出するCCD光検出器1719および1721が含まれている。pH検査モジュール1723および内毒素ステーション1725も示されている。
【0150】
導入ステーション1727は、装置1700にサンプルを導入するのに使用される。導入ステーション1727は、例えば注入ステーションであり、シリンジを使用してサンプルを注入することができる。また択一的にはこの導入ステーションは、流体ポートとすることが可能であり、この流体ポートにより、バイアルまたは合成モジュールから装置1700にサンプルを供給することが可能である。またこの装置は、他の流体ポート、電気ポートおよび/または機械ポートを含むことができ、これによって装置1700と、付加的なモジュールおよび/またはデバイスに流体的、電気的および/または機械的に結合することができる。したがって装置1700を他の複数のモジュールに結合してこれらのモジュールに作用を及ぼすことでき、これによって付加的な機能を実行し、また検査を行うことができるのである。
【0151】
ここにはサンプル処理ロボット1729およびロータリ弁1731および1733も示されている。
【0152】
装置1700は、例えば独立式ポータブルユニットであり、移動または搬送可能である。上記のようにユニット1700は、例えばUSBのような1つまたは複数の通信ポートまたは別の複数のコネクタを有することができ、これらのコネクタにより、装置1700と、他のモジュール、装置またはデバイスとを流体的、機械的および/または電子的に接続することができる。例えば、装置1700は、サンプルを発生させるために使用される(図示しない)合成モジュールに流体的に接続することできる。択一的にはこの装置をネットワークに接続してサンプルのリモート分析を可能にし、また検査結果が別の場所または宛先に転送されるようにすることが可能である。また装置1700は、シリンジではなく、バイアル、カートリッジ、チューブまたは搬送バイアルなどの他の適当なコンテナからサンプルを受け取ることも可能である。このバイアル、カートリッジ、チューブまたはコンテナには放射能シールドを施してバイアル内の放射能材料との接触が行われないようにすることができる。これによって技師またはオペレータは、例えば合成モジュールと検査装置との間でサンプルを搬送または移動または操作することができる。
【0153】
ここに示した実施形態は、説明した検査のすべての組み合わせまたは任意の組み合わせに対するインライン検査の代表例である。
【0154】
上記のサンプル検査の後、結果は自動的に分析されて線量品質が決定される。すなわちあらかじめ定めた判定基準に基づいて合否が決定されるのである。この情報は、リモートのユーザに転送することが可能であり(ユーザは実験室にいる必要さえもない)、またこの情報により、人体に使用するためにこの線量をリリースすることができる。
【0155】
【表1】

【0156】
1例として、実証されたのは、18F−FLT放射性トレーササンプルの自動化された品質コントロール実行は約15分で完了することである。発行した報告書には以下のデータが含まれる。
【0157】
【表2】

【0158】
さらに本発明の種々異なる実施形態による方法および装置では、以下の付加的な特徴および利点が得られる。すなわち、
本願発明の装置のこれらの特徴および別の特徴により、マイクロ流体技術を使用して、アイソトープ識別される化合物を広範囲にわたって品質管理することができる。
【0159】
1実施形態において、外観検査または清澄度検査のための標準は、単位体積当たりの粒子、すなわち単位体積当たりの粒子の量に依存して設定される。清澄度に対する慣用の検査は主観的なものであったのに対し、本発明によって可能になるのは、化合物に対する標準閾値を単位体積当たりの粒子の所定の量とすることである。サンプルが単位体積当たりに標準よりも少ない粒子を有する場合、このサンプルは清澄度検査をパスする。サンプルが単位体積当たりに標準よりも大きくの粒子を有する場合、このサンプルは透明度検査に合格しない。標準は、いかなる散乱も発生させないクリアなサンプルを濾波することによって設定される。この場合に化合物に対して最小の散乱を設定することできる。
【0160】
別の1実施形態では、上記の膜フィルタインテグリティに依存する滅菌の測定値は、5.6分間で50psiの圧力がその値の半分に降下することであり、この5.6分は3分間の閾値を上回っている。
【0161】
別の1実施形態では、上記の放射化学純度、保持時間の測定値が適格であるか否かは、100%の結果からみて決定される。
【0162】
別の1実施形態では、放射化学純度の測定値は、約95%以下ではない。
【0163】
別の1実施形態では、比放射能の測定値は、約0.4Ci/μmol以下ではない。
【0164】
別の1実施形態では、残留有機溶媒濃度の測定値は、0.04%v/v以上ではない。
【0165】
別の1実施形態では、色内容および清澄度または粒子内容は、個別の化合物毎に指定された限度以下である。
【0166】
別の1実施形態では、F−18に対する放射性核種純度の測定値、T1/2は約105〜115分である。
【0167】
別の1実施形態では、放射能濃度の測定値は、約1〜約75mCi/mLである。
【0168】
別の1実施形態では、pHの測定は、約5.5〜8.0の範囲である。
【0169】
別の1実施形態では、クリプトフィックス(R)濃度の測定値は、50μg/mLを上回らない。
【0170】
別の1実施形態では、内毒素濃度の測定値は、175UE/doseを上回らない。
【0171】
一般的に本発明の実施形態は、PETトレーサなどの放射性アイソトープ識別化合物を自動的に品質管理分析するための方法および装置(システム)およびこのような操作の品質および効率を改善することに関する。
【0172】
別の1実施形態では、本発明により、分析した物質についてのデータを生成するように構成された複数のインラインモジュールおよび検査装置が提供される。このようなシステムのインライン構造は、同じサンプルについて複数の並列の検査を行うために使用することができ、この同じサンプルは、サンプルライン(QCシステムの種々異なる検査モジュールに同時に同じサンプルを配送するように構成されたチューブ)に供給することが可能である。このサンプルラインは、1サンプル注入によって充填される。
【0173】
別の1実施形態では、本発明により、クリプトフィックス(R)濃度および有機溶媒の残留体積体の両方に対してGC検査が提供される。旧来、GCは有機溶媒に使用され、またヨウ素スポットはクリプトフィックス(R)検査に使用される。現在の自動化された操作では、以前に別個であった2つのステップを単一のGC操作に含めることができるのである。
【0174】
本発明の1実施形態では、さまざま化合物によって必要となった場合に付加的な複数の検査を追加することができる。さらに各化合物にすべての検査が必要なのではない。実際にすべての化合物が、ここに示す各検査を必要とする訳ではなく、また別の検査が必要になることもある。
【0175】
ここまで説明および解説のために複数の実施形態を示してきた。上の説明は、網羅的なものを意図したものではなく、または本発明の実施形態を上で示した形態に厳密に制限するものでもない。また上記の教示内容を鑑みれば、種々の変更および変形が可能であるか、または複数の実施形態を実施することによって種々の変更および変形を得ることができる。
【0176】
ここで検討した実施形態は、本発明の原理と、種々異なる実施形態の特性と、実践的な応用とを説明するために選択されて説明されており、これによって当業者は、本発明を種々異なる実施形態で利用することでき、また想定される特定の使用に適した種々の変更を伴って利用することができるのである。上で説明したこれらの実施形態の特徴は、方法、装置、モジュール、システムおよびコンピュータプログラム製品の考えられ得るすべての組み合わせで組み合わせることが可能である。
【0177】
これまで本発明の好ましい実施形態を詳細に説明して来たが、上の段落によって定められた本発明は、上の説明で記載した特定の詳細に制限されるものではなく、本発明の精神または範囲を逸脱することなく、その明白な変形が可能であることはいうまでもない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物の統合形自動品質管理分析のための方法であって、
該方法は、以下のステップ、すなわち、
複数のインライン式品質管理検査に対して1サンプル注入を利用するステップと、
複数の品質管理検査を介して前記のサンプルの定量分析を実行するステップと、
前記の複数の品質管理パラメータのパラメータ毎に測定値を決定するステップと、
前記の複数の品質管理パラメータの各測定と、あらかじめ定めた相応する判定値とを比較するステップと、
前記のサンプルに対して累積品質等級を決定するステップと、
当該の品質等級に基づいて前記のサンプルの有効性を示すリポートを発行するステップとを有しており、ただし前記のサンプルに必要な管理検査毎に前記の1サンプル注入を使用することを特徴とする、
化合物の統合形自動品質管理分析のための方法。
【請求項2】
前記の複数の品質管理検査には、粒子内容および色内容を決定することが含まれている、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
単一の光学セルを使用して色を決定する、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
単一の光学セルを使用して色パラメータおよび外観パラメータを決定する、
請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記の複数の品質管理検査にはさらに、濾過膜インテグリティ検査を介して滅菌状態を決定することが含まれる、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記の複数の品質管理検査にはさらに放射性核種純度を決定することが含まれる、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記の複数の品質管理検査にはさらに放射能濃度を決定することが含まれる、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記の放射能濃度の決定には、可変の検出感度が含まれている、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記の複数の品質管理検査にはさらに前記のサンプル溶剤のpHを決定することが含まれる、
請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記の複数の品質管理検査にはさらにクリプトフィックス(R)濃度を決定することが含まれている、
請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記のクリプトフィックス(R)濃度の決定には、マイクロ流体検査が含まれている、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記の複数の品質管理検査にはさらに放射化学識別の決定が含まれている、
請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記の複数の品質管理検査にはさらに放射化学純度の決定が含まれている、
請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記の複数の品質管理検査にはさらに前記のサンプルの比放射能の決定が含まれている、
請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記の複数の品質管理検査にはさらにバクテリア内毒素濃度の決定が含まれている、
請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記の複数の品質管理検査にはさらに残留溶剤内容の決定が含まれている、
請求項1に記載の方法。
【請求項17】
さらに残留溶剤内容およびクリプトフィックス(R)を決定するG.C.検査が含まれている、
請求項1に記載の方法。
【請求項18】
さらに1GC注入からK222濃度および溶媒濃度を決定することが含まれている、
請求項1に記載の方法。
【請求項19】
さらにGCによってK222濃度を決定することが含まれている、
請求項1に記載の方法。
【請求項20】
1HPLC注入から比放射能を決定することが含まれている、
請求項1に記載の方法。
【請求項21】
さらにマイクロ流体K222検査を行うことが含まれている、
請求項1に記載の方法。
【請求項22】
2つまたはそれ以上の検査はインライン式である、
請求項1に記載の方法。
【請求項23】
2つまたはそれ以上の検査を並列に実行する、
請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記の化合物は、放射性医薬品である、
請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記の化合物はPETトレーサである、
請求項1に記載の方法。
【請求項26】
PETトレーサの自動式品質管理分析のための方法であって、
粒子内容および色内容、
濾過膜インテグリティ、
放射性核種純度、
放射能濃度、
サンプル溶剤のpH、
クリプトフィックス(R)濃度、
放射化学識別、
放射化学純度、
前記のサンプルの比放射能、
バクテリア内毒素濃度、
残留溶剤濃度の
上記各品質管理パラメータの測定値を決定し、
当該の品質管理パラメータの各測定値と、あらかじめ定めた相応する判定値とを比較し、
放射性医薬剤に対して累積の品質等級を決定し、また
当該の品質等級に基づいて前記のサンプルの有効性についてのリポートの発行することを特徴とする、
PETトレーサの自動式品質管理分析のための方法。
【請求項27】
2つまたはそれ以上の検査はインライン式である、
請求項26に記載の方法。
【請求項28】
2つまたはそれ以上の検査が並列に実行される、
請求項26に記載の方法。
【請求項29】
PETトレーサの自動式品質管理分析のための装置において、
該装置は、以下の要素、すなわち
シリンジを介してバイアルからサンプルラインにサンプルを配送するように構成された注入弁、
複数の品質管理検査用のサンプルで充填された少なくとも1つのサンプルライン、
分配弁、
濾過膜インテグリティ検査構成部、
色検査および/または外観検査のために光源に接続された光セルおよび/または
光ファイバを介するスペクトロメータおよびレーザー、
HPLCカラム、
UV光源に接続されたUVセルおよび光ファイバを介するUV検出器、
放射能検出モジュール、
GCカラム、
pH検査セル、および
前記の実験データを定量処理して前記のあらかじめ定めた標準に対するサンプルの品質を表すレポートを作成するため、前記の要素とコンピュータシステムとを作用的に結合する1つまたは複数のポートを有することを特徴とする、
PETトレーサの自動式品質管理分析のための装置。
【請求項30】
前記の2つまたはそれ以上の要素は、インラインである、
請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記の2つまたはそれ以上の検査が並列に実行される、
請求項29に記載の装置。
【請求項32】
前記の2つまたはそれ以上の検査が順次に実行される、
請求項29に記載の装置。
【請求項33】
自動式のセルフクリーニングおよび再較正サイクルを行うことが可能である、
請求項29に記載の装置。
【請求項34】
前記の装置は、ポータブル装置である、
請求項29に記載の装置。
【請求項35】
さらに前記の1つまたは複数の要素に近接して配置される放射遮蔽部を含む、
請求項29に記載の装置。
【請求項36】
前記のコンピュータシステムは、前記の装置から離れてリモートに配置されている、
請求項29に記載の装置。
【請求項37】
サンプルの自動式品質管理分析を行うための装置と、
当該のサンプルを発生させるための合成モジュールとを有する品質管理システムにおいて、
前記の装置には以下の要素、すなわち、
バイアルから前記のサンプルを配送するように構成された導入モジュールと、
複数の品質管理検査用に前記のサンプルによって充填された少なくとも1つのサンプルラインと、
分配弁と、
濾過膜インテグリティ検査構成部と、
光ファイバを介して光源および/またはレーザーおよびスペクトロメータに接続された色検査および/または外観検査用の光学セルと、
HPLCカラムと、
光ファイバを介してUV光源およびUV検出器に接続されたUVセルと、
放射能検出モジュールと、
GCカラムと、
pH検査セルと、
前記の実験データを定量分析してあらかじめ定めた標準に対するサンプルの品質を表すリポートを作成するため、前記の要素とコンピュータシステムとを作用的に結合する1つまたは複数のポートとを有することを特徴とする
品質管理システム。
【請求項38】
前記のバイアルには放射線遮蔽部が含まれている、
請求項37に記載のシステム。
【請求項39】
前記の装置は、合成モジュールに作用を及ぼすため、前記の合成モジュールに結合される、
請求項37に記載の装置。
【請求項40】
前記の装置は、前記の合成モジュールに流体的に結合されている、
請求項37に記載の装置。
【請求項41】
前記の装置は、前記の合成モジュールに機械的に結合されている、
請求項37に記載の装置。
【請求項42】
前記の装置は、前記の合成モジュールに電気的に結合されている、
請求項37に記載の装置。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

image rotate

【図17】
image rotate


【公表番号】特表2012−511153(P2012−511153A)
【公表日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−539718(P2011−539718)
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【国際出願番号】PCT/US2009/066694
【国際公開番号】WO2010/065810
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.イーサネット
2.GSM
3.フロッピー
【出願人】(593063105)シーメンス メディカル ソリューションズ ユーエスエー インコーポレイテッド (156)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Medical Solutions USA,Inc.
【住所又は居所原語表記】51 Valley Stream Parkway,Malvern,PA 19355−1406,U.S.A.
【Fターム(参考)】