説明

自動変速機の油圧制御装置およびその方法

【課題】油圧センサの偏差による駆動損失を解消することができ、さらに、油圧感知エラーおよびフィードバック制御の誤作動をなくして、信頼度の高い自動変速機の油圧制御装置およびその方法を提供する。
【解決手段】トルクコンバーターおよびパワートレインを有して、オイルが貯蔵されているオイルタンクと、オイルタンクに連結されてオイルを供給され、第1モータを有して第1モータの作動により低圧を形成する第1オイルポンプと、第1オイルポンプに連結されて低圧を供給され、第2モータを有して第2モータの作動により高圧を形成する第2オイルポンプと、第1オイルポンプから低圧を供給されてトルクコンバーターに供給される第1作動圧を調節する第1レギュレーティングバルブと、第2オイルポンプから高圧を供給されてパワートレインに供給される第2作動圧を調節する第2レギュレーティングバルブと、を有して構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動変速機の油圧制御装置および油圧制御方法に関し、より詳しくは、二つのオイルポンプが備えられた自動変速機の油圧制御装置および油圧制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動変速機は、トルクコンバーターとパワートレインを有している。また、パワートレインは、トルクコンバーターと連結されて多段変速を実現する。さらに、このような自動変速機に作動油圧を与えるための電動式オイルポンプ(Electric Oil Pump)および自動変速機の作動を制御するためのTCU(Transmission Control Unit)が備えられている。
【0003】
自動変速機に必要な作動油圧が形成されるためには、オイルポンプが最適のモータ回転数に駆動されなければならない。従来は、目標油圧を形成するためのモータ回転数のデータマップ(Map)を予め設定し、油圧センサーが目標油圧に到達したことを感知し、これをフィードバックすることによってモータ回転数が制御されていた。
【0004】
しかし、このような油圧制御方法は、正確度と耐久力の高い油圧センサーを必要とするため、制御装置の製造費用が増してくる。また、油圧脈動や振動により油圧感知エラー、フィードバック制御の誤作動などが生じることがある。
【0005】
このようなマップ(Map)設定方式の場合、オイルポンプおよび油圧センサの偏差を考慮して基準が設定されることによって駆動損失が大きくなる。さらに、ポンプの耐久性と性能低下を反映した補償をして、ポンプの制御が不可能になることがある。
【0006】
車両用の油圧制御装置については、油圧損失を低くして効率を高くした油圧制御装置〔特許文献1〕、必要油圧を確保しつつ油圧ポンプの稼動時間を短くして効率を高くした油圧制御装置〔特許文献2〕、小型化を目指した油圧制御装置〔特許文献3、4〕などの報告がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−311315号公報
【特許文献2】特開2010−210020号公報
【特許文献3】特開2004−150466号公報
【特許文献4】特開2002−206634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の問題点を解決するためになされた本発明の目的は、油圧センサの偏差による駆動損失を解消することができ、さらに、油圧感知エラーおよびフィードバック制御の誤作動をなくして、信頼度の高い自動変速機の油圧制御装置およびその方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る自動変速機の油圧制御装置は、トルクコンバーターおよびパワートレインを有して、オイルが貯蔵されているオイルタンクと、オイルタンクに連結されてオイルを供給され、第1モータを有して第1モータの作動により低圧を形成する第1オイルポンプと、第1オイルポンプに連結されて低圧を供給され、第2モータを有して第2モータの作動により高圧を形成する第2オイルポンプと、第1オイルポンプから低圧を供給されてトルクコンバーターに供給される第1作動圧を調節する第1レギュレーティングバルブと、第2オイルポンプから高圧を供給されてパワートレインに供給される第2作動圧を調節する第2レギュレーティングバルブと、を有して構成される。
【0010】
第1レギュレーティングバルブと第2レギュレーティングバルブの作動を制御する制御ユニットを有することができる。
第1レギュレーティングバルブに装着されて第1レギュレーティングバルブの油圧に対する情報を検出し、その情報を制御ユニットに伝達する第1スイッチと、第2レギュレーティングバルブに装着されて第2レギュレーティングバルブの油圧に対する情報を検出し、その情報を制御ユニットに伝達する第2スイッチと、を有することができる。
第1レギュレーティングバルブと第2レギュレーティングバルブに制御圧を提供する可変制御ソレノイドバルブを有することができる。
【0011】
第1レギュレーティングバルブは、複数のポートが形成された第1バルブボディーと、第1バルブボディー内に移動可能に装着されて流路の転換を行うように構成された第1バルブスプールと、第1バルブスプールを常時第1バルブボディーの一端に加圧する弾性部材と、を有するのが好ましい。
【0012】
複数のポートは、第1オイルポンプから低圧を供給される第1ポートと、バルブスプールの移動により第1ポートと選択的に連通されてトルクコンバーターに第1作動圧を供給する第2ポートと、第1作動圧の一部を制御圧として供給する第3ポートと、
第1バルブスプールの移動により第2ポートと連結されて第1作動圧を排出する第4ポートと、を有するのが好ましい。
【0013】
第1バルブボディーの一端には、第1スイッチが装着されて、第1スイッチは、第1バルブスプールの動きに応じた油圧に対する情報を検出することができる。
【0014】
第1スイッチは、第1バルブスプールと共に動く第1接点と、第1バルブボディーに固定されている第2接点とを有し、第1接点は、第1バルブスプールと共に移動して第2接点と選択的に接触することができる。
【0015】
第1スイッチは、第1接点に常時第2接点に向かって弾性力を提供する加圧スプリングをさらに有することができる。
制御ユニットは、第1接点と第2接点の接触状態により第1モータを制御することができる。
第1レギュレーティングバルブは、可変制御ソレノイドバルブの制御圧を供給する第5ポートをさらに有することができる。
【0016】
第2レギュレーティングバルブは、複数のポートが形成された第2バルブボディーと、第2バルブボディー内に移動可能に装着されて流路の転換を行う第2バルブスプールと、第2バルブスプールを常時第2バルブボディーの一端に加圧する弾性部材と、を有するのが好ましい。
【0017】
前記した複数のポートは、第2オイルポンプから低圧を供給する第1ポートと、第2バルブスプールの移動により第1ポートと選択的に連通されてトルクコンバーターに第2作動圧を供給する第2ポートと、第2作動圧の一部を制御圧として供給する第3ポートと、
第2バルブスプールの移動により第2ポートと連結されて第2作動圧を排出する第4ポートと、を有するのが好ましい。
【0018】
第2バルブボディーの一端には、第2スイッチが装着されており、第2スイッチは、第2バルブスプールの動きに応じた油圧に対する情報を検出することができる。
第2スイッチは、第2バルブスプールと共に動く第3接点と、第2バルブボディーに固定された第4接点とを有し、第3接点は、第2バルブスプールと共に移動して第4接点と選択的に接触することができる。
第2スイッチは、第3接点に常時第4接点に向かって弾性力を提供する加圧スプリングをさらに有することができる。
【0019】
制御ユニットは、第3接点と第4接点の接触状態により第2モータを制御することができる。
第2レギュレーティングバルブは、可変制御ソレノイドバルブの制御圧を供給する第5ポートをさらに有することができる。
【0020】
本発明に係る自動変速機の油圧制御方法は、第1モータを有し、低圧を形成する第1オイルポンプ、第2モータを有し、高圧を形成する第2オイルポンプ、第1バルブスプールを有し、第1オイルポンプから受けた低圧を第1作動圧に調節してトルクコンバーターに供給する第1レギュレーティングバルブ、第2バルブスプールを有し、第2オイルポンプから受けた高圧を第2作動圧に調節してパワートレインに供給する第2レギュレーティングバルブ、第1レギュレーティングバルブと第2レギュレーティングバルブの目標油圧を可変させる可変制御ソレノイドバルブ、第1モータと第2モータおよび可変制御ソレノイドバルブを制御する制御ユニット、および第1レギュレーティングバルブと第2レギュレーティングバルブの油圧に対する情報を制御ユニットにそれぞれ伝達する第1スイッチと第2スイッチを有する上記の自動変速機の油圧制御装置において、第1スイッチと第2スイッチが両方ともON状態であることを判断する段階と、第1スイッチと第2スイッチが両方ともON状態であるとき、可変制御ソレノイドバルブの制御圧が低下したかを判断する段階と、可変制御ソレノイドバルブの制御圧が低下すると、第2モータの回転数を最適に制御する段階と、第2モータの制御が完了したとき、第1モータの回転数を最適に制御する段階と、を有する構成である。
【0021】
制御ユニットは、第1スイッチと第2スイッチのON/OFF状態を検出することによって第1レギュレーティングバルブと第2レギュレーティングバルブの油圧に対する情報を伝達することができる。
【0022】
第1スイッチと第2スイッチのうちの少なくとも一方がOFF状態であるとき、OFF状態であるスイッチに備えられたモータの回転数を上昇させた後、第1スイッチと第2スイッチが両方ともON状態であるのか再び判断することができる。
【0023】
第1スイッチと第2スイッチが両方ともON状態であると、第1スイッチと第2スイッチに備えられたモータの回転数を維持させることができる。
【0024】
可変制御ソレノイドバルブの制御圧が低下しないとき、第1スイッチと第2スイッチが両方ともON状態であるのか再び判断することができる。
【0025】
第2モータの回転数を最適に制御する段階は、第2スイッチがOFF状態であるのか判断する段階と、第2スイッチがOFF状態であるとき、第2モータの回転数を設定値だけ上昇させた後、維持させる段階と、第2スイッチがON状態であるとき、第2モータの回転数を減少させる段階と、を有して、第2モータの回転数を減少させる途中、可変制御ソレノイドバルブの制御圧が上昇すると、第1スイッチと第2スイッチが両方ともON状態であるのか再び判断することができる。
【0026】
第1モータの回転数を最適に制御する段階は、第1スイッチがOFF状態であるのか判断する段階と、第1スイッチがOFF状態であると、第2モータの回転数を設定値だけ上昇させた後、維持させる段階と、第1スイッチがON状態であるとき、第1モータの回転数を減少させる段階と、を有して、第1モータの回転数を減少させる途中、可変制御ソレノイドバルブの制御圧が上昇すると、第1スイッチと第2スイッチが両方ともON状態であるのか再び判断することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の油圧制御装置およびその方法によれば、接点スイッチを用いて油圧を検出することにより、油圧センサーが省略できる。したがって、油圧センサの偏差による駆動損失を解消することができ、自動変速機の油圧制御装置の耐久性および信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る自動変速機の油圧制御装置の構成図である。
【図2】本発明に係る自動変速機の油圧制御装置の詳細図である。
【図3】本発明の実施形態による接点スイッチの非通電状態を示した図面である。
【図4】本発明の実施形態による接点スイッチの通電状態を示した図面である。
【図5】本発明に係る自動変速機の油圧制御方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係る自動変速機の油圧制御装置について、好ましい実施形態を挙げ、添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る自動変速機の油圧制御装置の構成図である。油圧制御装置は、トルクコンバーター700、パワートレイン800、第1オイルポンプ100、第2オイルポンプ150、第1レギュレーティングバルブ300、第2レギュレーティングバルブ350、制御ユニット200、第1スイッチ400、第2スイッチ450、および可変制御ソレノイドバルブ500を有する構成である。
【0030】
トルクコンバーター700は、流体を用いて動力を伝達する装置で、トルクを増幅させる機能を果たす。このようなトルクコンバーター700は、一般的な自動変速機に備えられる装置で、当業者には自明であるため、これについての詳細な説明は省略する。
【0031】
パワートレイン800は、エンジンの出力をホイールに伝達する装置で、クラッチ、ブレーキ、変速機、推進軸、遊星ギヤセットおよび駆動軸などで構成される。このようなパワートレイン800は、一般的な自動変速機に備えられる装置で、当業者に自明であるため、これについての詳細な説明は省略する。
【0032】
第1オイルポンプ100は、オイルタンク600から供給されたオイルをポンピングしてトルクコンバーター700および高圧部に供給するもので、油圧制御装置の低圧部に配置される。さらに、第1オイルポンプ100には第1モータ110が備えられ、第1モータ110の駆動により第1オイルポンプ100がポンピングを行う。
【0033】
第2オイルポンプ150には、第2モータ160が備えられ、第2モータ160の駆動により第1オイルポンプ100から供給されたオイルをポンピングしてパワートレイン800に供給すると共に、油圧制御装置の高圧部を形成する。
【0034】
第1レギュレーティングバルブ300は、第1オイルポンプ100とトルクコンバーター700の間に備えられ、トルクコンバーター700に供給された油圧を一定に維持する。つまり、第1オイルポンプ100でポンピングされたオイルは、第1レギュレーティングバルブ300を経てトルクコンバーター700に供給される。
【0035】
第2レギュレーティングバルブ350は、第2オイルポンプ150とパワートレイン800の間に備えられ、パワートレイン800に供給された油圧を一定に維持する。つまり、第2オイルポンプ150でポンピングされたオイルは、第2レギュレーティングバルブ350を経てパワートレイン800に供給される。
【0036】
制御ユニット200は、第1レギュレーティングバルブ300と第2レギュレーティングバルブ350と連結され、第1レギュレーティングバルブ300と第2レギュレーティングバルブ350の油圧が目標油圧に到達したことを判断する。一方、制御ユニット200は、第1オイルポンプ100と第2オイルポンプ150と連結され、第1オイルポンプ100と第2オイルポンプ150のポンピングを制御する。つまり、制御ユニット200は、第1モータ110と第2モータ160の回転数(RPM)を制御する。
【0037】
第1スイッチ400は、第1接点410と第2接点420を有する接点スイッチである。第1スイッチ400は、第1レギュレーティングバルブ300の一端に備えられ、第1レギュレーティングバルブ300の油圧が目標油圧に到達すると、第1接点410と第2接点420が接触して第1スイッチ400がON状態となる。つまり、第1スイッチ400が通電される状態をON状態といい、このような第1スイッチ400の状態により制御ユニット200は、第1レギュレーティングバルブ300の油圧が目標油圧に到達したことを判断する。
【0038】
第2スイッチ450は、第3接点460と第4接点470を有する接点スイッチである。第2スイッチ450、第2レギュレーティングバルブ350および制御ユニット200の構成は、上に述べた第1スイッチ400と同じであるので、反復説明は省略する。
【0039】
可変制御ソレノイドバルブ500は、第1レギュレーティングバルブ300と第2レギュレーティングバルブ350の目標油圧を変えることができるように連結される。つまり、可変制御ソレノイドバルブ500の制御圧に応じて目標油圧が変更できる。
【0040】
図2は、油圧制御装置の詳細図である。
第1レギュレーティングバルブ300は、第1バルブボディー310と第1バルブスプール320を有し、その一端に第1スイッチ400がある。
第1バルブボディー310には、複数のポートP1、P2、P3、P4、P5が形成され、それらは、第1バルブボディー310の内側と外側が連通するように第1バルブボディー310を貫通して形成される。さらに、第1バルブボディー310の一端には貫通孔311が形成される。
【0041】
第1バルブスプール320は、第1バルブボディー310の長さ方向にスライド可能に挿入される。第1バルブスプール320は、第1バルブボディー310内部にほぼ接して挿入された第1ランドL1と第2ランドL2、そして第1ランドL1と第2ランドL2を連結するスプール軸Sでなっている。ここで、スプール軸Sは、第1ランドL1と第2ランドL2よりも相対的に細くなっている。また、第1バルブスプール320の一端と第1バルブボディー310の内面との間には弾性部材330が備えられ、これにより第1バルブスプール320は、第1バルブボディー310の長さ方向一側に加圧される。第1バルブスプール320の他端には、加圧部321が突出して形成される。加圧部321は、貫通孔311に挿入されて第1バルブボディー310の外部に選択的に突出する。
【0042】
第1バルブボディー310の第1ポートP1には、第1オイルポンプ100でポンピングされたオイルが供給される。第1ポートP1に流入したオイルは、第1バルブスプール320の移動により選択的に第2ポートP2に流れ、第2ポートP2から流出したオイルは、トルクコンバーター700に供給される。また、第1バルブボディー310の第2ポートP2に流出したオイルの一部は、第3ポートP3を通じて第1バルブスプール320の制御圧として再供給される。さらに、第1バルブボディー310の第4ポートP4は、第1バルブスプール320の移動によって選択的に第2ポートP2と連通し、第1バルブボディー310内のオイルは、第4ポートP4を通じて排出され、第1オイルポンプ100に供給される。第1バルブボディー310の第5ポートP5には、可変制御ソレノイドバルブ500の制御圧が供給される。
【0043】
第1スイッチ400は、貫通孔311が形成された第1バルブボディー310の一端に設けられる。第1接点410は、第1バルブボディー310の外部に突出した加圧部321により加圧されるように設けられる。第2接点420は、第1バルブボディー310に固定される。さらに、第1接点410の一端には、第1接点410を加圧部321に対抗する方向に加圧する加圧スプリング430が備えられる。つまり、第1接点410の作動により、第1接点410と第2接点420は接触または分離する。
【0044】
制御ユニット200は、第1スイッチ400と連結されて通電状態を検出する。そして、検出された通電状態に対する情報により、第1モータ110の回転数を制御し、第1オイルポンプ100のポンピングを制御する。
第2レギュレーティングバルブ350は、第2バルブボディー360と第2バルブスプール370を有し、その一端に第2スイッチ450が設けられる。
第2バルブボディー360には、複数のポートP1、P2、P3、P4、P5が形成され、これらのポートP1、P2、P3、P4、P5は、第2バルブボディー360の壁を貫通し、第2バルブボディー360の内側と外側が連通するようにされる。さらに、第2バルブボディー360の一端には、貫通孔311が形成される。
【0045】
第2バルブスプール370は、第2バルブボディー360の長さ方向にスライド可能に挿入される。第2バルブスプール370は、第2バルブボディー360内部にほぼ接して挿入された第1ランドL1と第2ランドL2、そして第1ランドL1と第2ランドL2を連結するスプール軸Sでなっている。ここで、スプール軸Sは、第1ランドL1と第2ランドL2よりも相対的に細くなっている。また、第2バルブスプール370の一端と第2バルブボディー360の内面との間には弾性部材330が備えられ、これにより第2バルブスプール370は、第2バルブボディー360の長さ方向一側に加圧される。第2バルブスプール370の他端には、加圧部321が突出して形成される。加圧部321は、貫通孔311に挿入されて第2バルブボディー360の外部に選択的に突出する。
【0046】
第2バルブボディー360の第1ポートP1には、第2オイルポンプ150でポンピングされたオイルが供給される。第1ポートP1に流入したオイルは、第2バルブスプール370の移動により選択的に第2ポートP2に流れ、第2ポートP2から流出したオイルは、パワートレイン800に供給される。また、第2バルブボディー360の第2ポートP2に流出したオイルの一部は、第3ポートP3を通じて第2バルブスプール360の制御圧として再供給される。さらに、第2バルブボディー360の第4ポートP4は、第2バルブスプール360の移動によって選択的に第2ポートP2と連通し、第2バルブボディー360内部のオイルは、第4ポートP4を通じて排出され、第2オイルポンプ150に供給される。第2バルブボディー360の第5ポートP5には、可変制御ソレノイドバルブ500の制御圧が供給される。
【0047】
第2スイッチ450は、貫通孔311が形成された第2バルブボディー360の一端に設けられる。第3接点460は、第2バルブボディー360の外部に突出される加圧部321により加圧されるように設けられ、第4接点470は、第2バルブボディー360に固定される。さらに、第3接点460の一端には、第3接点460を加圧部321に対抗する方向に加圧する加圧スプリング430が備えられる。つまり、第3接点460と第4接点470は接触または分離する。
【0048】
制御ユニット200は、第2スイッチ450と連結されて通電状態を検出する。そして、検出された通電状態に対する情報により、第2モータ160の回転数を制御し、第2オイルポンプ150のポンピングを制御する。
【0049】
次に、図3および図4を参照して第1レギュレーティングバルブ300および第1スイッチ400の作動を詳しく説明する。ただし、第2レギュレーティングバルブ350と第2スイッチ450の作動は、第1レギュレーティングバルブ300と第1スイッチ400の作動と同じであるので反復説明は省略する。
【0050】
図3は、接点スイッチの非通電状態を示した図面であり、図4は、通電状態を示した図面である。
図3に示すように、第1バルブスプール320が弾性部材330により加圧されると、第1バルブスプール320は、第1バルブボディー310の長さ方向一側に押し出され、加圧部321が第1バルブボディー310の外部に突き出される。第1バルブボディー310の外に突き出された加圧部321により第1接点410が加圧されると、第1接点410と第2接点420が離れて、第1スイッチ400は非通電状態となる。このような非通電状態をスイッチ400、450の“OFF状態”という。
【0051】
図4に示すように、スプール軸Sが位置した第1バルブボディー310の内部空間に、第1ポートP1を通じてオイルが流入すると、第1バルブスプール320は弾性部材330を加圧する方向に移動する。つまり、第1バルブボディー310の外部に突き出た加圧部321が、第1バルブボディー310の内に移動する。このとき、加圧部321の加圧が解除されることによって、加圧スプリング430により第1接点410が第2接点420と接触する。このような通電状態をスイッチ400、450の“ON状態”という。さらに、スイッチ400、450のON状態は、レギュレーティングバルブ300、350の目標油圧が充足されたことを示す。
【0052】
一方、レギュレーティングバルブ300、350の作動において、第5ポートP5を通じて可変制御ソレノイドバルブ500からバルブボディー310の内部に制御圧が供給されることによって、レギュレーティングバルブ300、350の目標油圧が変更され得る。
【0053】
図5は、自動変速機の油圧制御方法のフローチャートである。尚、図5では、第1スイッチ400を“SW1”、第2スイッチ450を“SW2”、第1オイルポンプ100を“OP1”、第2オイルポンプ150を“OP2”、可変制御ソレノイドバルブ500を“VFS”としている。
【0054】
制御ユニット200は、第1スイッチ400と第2スイッチ450のON/OFF状態を検出し(S100)、第1スイッチ400と第2スイッチ450の両方がON状態であるのか判断する(S110)。
【0055】
S110段階でON状態が充足されないと、制御ユニット200は、ON状態のスイッチ(400または450)に備えられたモータ(110または160)の回転数を維持し、OFF状態のスイッチ(400または450)に備えられたモータ(110または160)の回転数を上げる(S130)。
【0056】
S110段階でON状態が充足されると、制御ユニット200は、第1オイルポンプ100のモータ100と、第2オイルポンプ150のモータ160の回転数を両方とも維持する(S120)。また、制御ユニット200は、可変制御ソレノイドバルブ500の制御圧が低下したかを判断する(S140)。ここで、可変制御ソレノイドバルブ500の制御圧は、第1レギュレーティングバルブと第2レギュレーティングバルブの目標油圧であり、通常、第1レギュレーティングバルブの目標油圧は、第2レギュレーティングバルブの目標油圧の大略半分である。
【0057】
S140段階で制御圧が低下していない、つまり制御圧が維持または増加していると判断されると、S100段階から再遂行される。S140段階で制御圧が低下したと判断されると、第1スイッチと第2スイッチに備えられたモータの回転数を最適に制御させる。
【0058】
次いで、制御ユニット200は、第2スイッチ450がOFF状態であるのか判断する(S150)。S150段階で第2スイッチ450がOFF状態でないと、制御ユニット200は、第2モータ160の回転数を減少させる(S170)。また、制御ユニット200は、第2モータ160の回転数を減少させる途中、可変制御ソレノイドバルブ500の制御圧が上昇するかを判断する(S180)。
【0059】
S180段階で制御圧が上昇されたと判断されると、S100段階から再遂行する。また、S180段階で第2モータ160の回転数を減少させる途中、可変制御ソレノイドバルブ500の制御圧が上昇されないとき、第2モータ160の回転数の減少の完了(S190)の後、S150段階から再遂行する。
【0060】
S150段階で第2スイッチ450がOFF状態であると、制御ユニット200は、第2モータ160の回転数を設定値だけ上昇して維持させる(S160)。また、制御ユニット200は、第1スイッチ400がOFF状態であるのか判断する(S200)。
【0061】
S200段階で第1スイッチ400がOFF状態でないと、制御ユニット200は、第1モータ110のRPMを減少させる(S220)。また、制御ユニット200は、第1モータ110のRPMを減少させる途中、可変制御ソレノイドバルブ500の制御圧が上昇されるのか判断する(S230)。
【0062】
S230段階で制御圧が上昇されたと判断されると、S100段階から再遂行する。また、S230段階で第1モータ110の回転数を減少させる途中、可変制御ソレノイドバルブ500の制御圧が上昇しないとき、第1モータ110の回転数の減少が完了(S240)の後、S200段階から再遂行する。
【0063】
S200段階で第1スイッチ400がOFF状態であると、制御ユニット200は、第1モータ110の回転数を設定値だけ上昇させて維持させ(S210)、S100段階から再遂行する。
【0064】
以上、本発明に係る自動変速機の油圧制御装置を、好ましい実施形態を挙げて説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の実施形態から当該発明が属する技術分野における通常の知識を有する者による容易に変更されて均等であると認められる範囲の全ての変更を含むものである。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明に係る自動変速機の油圧制御装置は、油圧センサーをなくすることができ、油圧センサの偏差による駆動損失を解消することができ、さらに自動変速機の油圧制御装置の耐久性および信頼性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0066】
100;第1オイルポンプ
110;第1モータ
150;第2オイルポンプ
160;第2モータ
200;制御ユニット
300;第1レギュレーティングバルブ
310;バルブボディー
311;貫通孔
320;バルブスプール
321;加圧部
330;弾性部材
350;第2レギュレーティングバルブ
400;第1スイッチ
410;第1接点
420;第2接点
430;加圧スプリング
450;第2スイッチ
500;可変制御ソレノイドバルブ
600;オイルタンク
700;トルクコンバーター
800;パワートレイン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トルクコンバーターとパワートレインを有する自動変速機の油圧制御装置において、
オイルが貯蔵されているオイルタンクと、
前記オイルタンクに連結されてオイルを供給され、第1モータを有し、前記第1モータの作動により低圧を形成する第1オイルポンプと、
前記第1オイルポンプに連結されて低圧を供給され、第2モータを有し、前記第2モータの作動により高圧を形成する第2オイルポンプと、
前記第1オイルポンプから低圧を供給されて前記トルクコンバーターに供給される第1作動圧を調節する第1レギュレーティングバルブと、
前記第2オイルポンプから高圧を供給されて前記パワートレインに供給される第2作動圧を調節する第2レギュレーティングバルブと、
を有して構成されることを特徴とする自動変速機の油圧制御装置。
【請求項2】
前記第1レギュレーティングバルブと前記第2レギュレーティングバルブの作動を制御する制御ユニットをさらに有することを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の油圧制御装置。
【請求項3】
前記第1レギュレーティングバルブに装着されて前記第1レギュレーティングバルブの油圧に対する情報を検出し、その情報を前記制御ユニットに伝達する第1スイッチと、
前記第2レギュレーティングバルブに装着されて前記第2レギュレーティングバルブの油圧に対する情報を検出し、その情報を前記制御ユニットに伝達する第2スイッチと、
をさらに有することを特徴とする請求項2に記載の自動変速機の油圧制御装置。
【請求項4】
さらに、前記第1レギュレーティングバルブと前記第2レギュレーティングバルブに制御圧を提供する可変制御ソレノイドバルブを有することを特徴とする請求項3に記載の自動変速機の油圧制御装置。
【請求項5】
前記第1レギュレーティングバルブは、
複数のポートが形成された第1バルブボディーと、
前記第1バルブボディー内に移動可能に装着されて流路の転換を行うように構成された第1バルブスプールと、
前記第1バルブスプールを常時前記第1バルブボディーの一端に加圧する弾性部材と、
を有することを特徴とする請求項4に記載の自動変速機の油圧制御装置。
【請求項6】
前記複数のポートは、
前記第1オイルポンプから低圧を供給される第1ポートと、
前記バルブスプールの移動により前記第1ポートと選択的に連通されて前記トルクコンバーターに第1作動圧を供給する第2ポートと、
前記第1作動圧の一部を制御圧として供給する第3ポートと、
前記第1バルブスプールの移動により前記第2ポートと連結されて第1作動圧を排出する第4ポートと、
を有することを特徴とする請求項5に記載の自動変速機の油圧制御装置。
【請求項7】
前記第1バルブボディーの一端には、前記第1スイッチが装着されて、前記第1スイッチは、前記第1バルブスプールの動きに応じた油圧に対する情報を検出することを特徴とする請求項5に記載の自動変速機の油圧制御装置。
【請求項8】
前記第1スイッチは、前記第1バルブスプールと共に動く第1接点と、前記第1バルブボディーに固定されている第2接点とを有し、
前記第1接点は、前記第1バルブスプールと共に移動して前記第2接点と選択的に接触することを特徴とする請求項7に記載の自動変速機の油圧制御装置。
【請求項9】
前記第1スイッチは、前記第1接点に常時前記第2接点に向かって弾性力を提供する加圧スプリングをさらに有することを特徴とする請求項8に記載の自動変速機の油圧制御装置。
【請求項10】
前記制御ユニットは、前記第1接点と前記第2接点の接触状態により前記第1モータを制御することを特徴とする請求項8に記載の自動変速機の油圧制御装置。
【請求項11】
前記第1レギュレーティングバルブは、前記可変制御ソレノイドバルブの制御圧を供給する第5ポートをさらに有することを特徴とする請求項6に記載の自動変速機の油圧制御装置。
【請求項12】
前記第2レギュレーティングバルブは、
複数のポートが形成されており、一端と他端を含む第2バルブボディーと、
前記第2バルブボディー内に移動可能に装着されて流路の転換を行う第2バルブスプールと、
前記第2バルブスプールを常時前記第2バルブボディーの一端に加圧する弾性部材と、
を有することを特徴とする請求項4に記載の自動変速機の油圧制御装置。
【請求項13】
前記複数のポートは、
前記第2オイルポンプから低圧を供給する第1ポートと、
前記第2バルブスプールの移動により前記第1ポートと選択的に連通されて前記トルクコンバーターに第2作動圧を供給する第2ポートと、
前記第2作動圧の一部を制御圧として供給する第3ポートと、
前記第2バルブスプールの移動により前記第2ポートと連結されて第2作動圧を排出する第4ポートと、
を有することを特徴とする請求項12に記載の自動変速機の油圧制御装置。
【請求項14】
前記第2バルブボディーの一端には、前記第2スイッチが装着されており、前記第2スイッチは、前記第2バルブスプールの動きに応じた油圧に対する情報を検出することを特徴とする請求項12に記載の自動変速機の油圧制御装置。
【請求項15】
前記第2スイッチは、前記第2バルブスプールと共に動く第3接点と、前記第2バルブボディーに固定された第4接点とを有し、
前記第3接点は、前記第2バルブスプールと共に移動して前記第4接点と選択的に接触することを特徴とする請求項14に記載の自動変速機の油圧制御装置。
【請求項16】
前記第2スイッチは、前記第3接点に常時前記第4接点に向かって弾性力を提供する加圧スプリングをさらに有することを特徴とする請求項15に記載の自動変速機の油圧制御装置。
【請求項17】
前記制御ユニットは、前記第3接点と前記第4接点の接触状態により前記第2モータを制御することを特徴とする請求項15に記載の自動変速機の油圧制御装置。
【請求項18】
前記第2レギュレーティングバルブは、前記可変制御ソレノイドバルブの制御圧を供給する第5ポートをさらに有することを特徴とする請求項13に記載の自動変速機の油圧制御装置。
【請求項19】
第1モータを有し、低圧を形成する第1オイルポンプ、第2モータを含み、高圧を形成する第2オイルポンプ、第1バルブスプールを有し、前記第1オイルポンプから受けた低圧を第1作動圧に調節してトルクコンバーターに供給する第1レギュレーティングバルブ、第2バルブスプールを有し、前記第2オイルポンプから受けた高圧を第2作動圧に調節してパワートレインに供給する第2レギュレーティングバルブ、前記第1レギュレーティングバルブと前記第2レギュレーティングバルブの目標油圧を可変させる可変制御ソレノイドバルブ、前記第1モータと前記第2モータおよび可変制御ソレノイドバルブを制御する制御ユニット、および前記第1レギュレーティングバルブと前記第2レギュレーティングバルブの油圧に対する情報を前記制御ユニットにそれぞれ伝達する第1スイッチと第2スイッチを有する自動変速機の油圧制御装置において、
前記第1スイッチと前記第2スイッチが両方ともON状態であることを判断する段階;
前記第1スイッチと前記第2スイッチが両方ともON状態であると、前記可変制御ソレノイドバルブの制御圧が低下したかを判断する段階と、
前記可変制御ソレノイドバルブの制御圧が低下すると、前記第2モータの回転数を最適に制御する段階と、
前記第2モータの制御が完了すると、前記第1モータの回転数を最適に制御する段階と、
を有することを特徴とする自動変速機の油圧制御方法。
【請求項20】
前記制御ユニットは、前記第1スイッチと前記第2スイッチのON/OFF状態を検出することによって前記第1レギュレーティングバルブと前記第2レギュレーティングバルブの油圧に対する情報を伝達することを特徴とする請求項19に記載の自動変速機の油圧制御方法。
【請求項21】
前記第1スイッチと前記第2スイッチのうちの少なくとも一方がOFF状態であるとき、OFF状態であるスイッチに備えられたモータの回転数を上昇させた後、前記第1スイッチと前記第2スイッチが両方ともON状態であるのか再び判断することを特徴とする請求項19に記載の自動変速機の油圧制御方法。
【請求項22】
前記第1スイッチと前記第2スイッチが両方ともON状態であると、前記第1スイッチと前記第2スイッチに備えられたモータの回転数を維持させることを特徴とする請求項19に記載の自動変速機の油圧制御方法。
【請求項23】
前記可変制御ソレノイドバルブの制御圧が低下しないとき、前記第1スイッチと前記第2スイッチが両方ともON状態であるのか再び判断することを特徴とする請求項19に記載の自動変速機の油圧制御方法。
【請求項24】
前記第2モータの回転数を最適に制御する段階は、
前記第2スイッチがOFF状態であるのか判断する段階と、
前記第2スイッチがOFF状態であるとき、前記第2モータの回転数を設定値だけ上昇させた後、維持させる段階と、
前記第2スイッチがON状態であるとき、前記第2モータの回転数を減少させる段階と、
を有して、
前記第2モータの回転数を減少させる途中、前記可変制御ソレノイドバルブの制御圧が上昇すると、前記第1スイッチと前記第2スイッチが両方ともON状態であるのか再び判断することを特徴とする請求項19に記載の自動変速機の油圧制御方法。
【請求項25】
前記第1モータの回転数を最適に制御する段階は、
前記第1スイッチがOFF状態であるのか判断する段階と、
前記第1スイッチがOFF状態であると、前記第2モータの回転数を設定値だけ上昇させた後、維持させる段階と、
前記第1スイッチがON状態であるとき、前記第1モータの回転数を減少させる段階と、
を有して、
前記第1モータの回転数を減少させる途中、前記可変制御ソレノイドバルブの制御圧が上昇すると、前記第1スイッチと前記第2スイッチが両方ともON状態であるのか再び判断することを特徴とする請求項19に記載の自動変速機の油圧制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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