説明

自動封緘装置

【課題】硬貨等の袋詰めに当たり、袋口部の折畳みを効率的に行なうこと。
【解決手段】袋1を搬送するコンベヤに沿って順次設けられる矯正部20、折畳部30及び結束部60とからなる。矯正部は袋の口部2を起立せしめた状態で口部に挿入される一対の軸21からなる。軸は開閉自在であるとともに回転自在であり、口部に挿入され口部を伸長した状態で指令信号に基いて口部を回転させ袋の合わせ目1bを予め定められた位置に合わせる。折畳部は、口部を起立せしめた状態で袋の中央部を押圧する進退自在の押圧手段34と、押圧手段の進行方向に対し直交方向に動作しかつ進退自在である一対の挟持手段36、43とからなる。挟持手段は一の挟持手段と他の挟持手段とが交互に口部を折り曲げることにより口部を繰り返し折り畳み、次工程の挟持をする挟持手段は前工程の挟持終了後前工程の挟持手段による挟持を解除した状態で折り畳まれた口部を外側から挟持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、硬貨を袋に収納し封緘する自動封緘装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、硬貨の封緘は袋に硬貨を収納後、袋の口部を手作業により折り畳んで行なっていた。
【0003】
例えば、500円玉、100円玉、50円玉、10円玉、5円玉、1円玉等の各種硬貨は、袋詰めするに当たり、作業員が集計検査をした後「大袋」と呼ばれる袋に収納し、袋の口部を一つ々々折り畳んだ後結束し、封緘していた。
【0004】
よって作業に時間がかかり、作業効率が悪かった。
【0005】
袋の口部を折り畳む先行技術に関しては次の範囲で調査を行なったが、適切な先行技術例を発見することができなかった。とくに硬貨の封緘をする袋の口部に関しては全然発見することができなかった。
(1)「袋」「口部」「折×(畳+たたみ)」「挟持」「コイン」の用語を含む
特許出願 4件
実用新案出願 0件
(2)「袋」「口部」「折×(畳+たたみ)」「挟持」の用語を含む
特許出願 1,695件
実用新案出願 196件
【0006】
【特許文献1】特開2000−135944号公報
【特許文献2】特開2001−2090号公報
【特許文献3】国際公開WO2004/096575号公報
【特許文献4】特許出願公表平3−504474号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本願発明は、上記欠点を解決し、硬貨等の袋詰めに当たり、袋口部の折畳みを効率的に行なうことを目的とする。
【0008】
また、袋口部の正確な折畳みをすることにより袋の口部の折畳みが緩みにくくなり、これにより袋の封緘の完全を期すことをも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的達成のため、本願発明による自動封緘装置は、内容物が収納される袋を搬送するコンベヤと、上記コンベヤに沿って該コンベヤの流れの方向に順次設けられる矯正部、折畳部及び結束部とからなり、
上記矯正部は上記袋の口部を起立せしめた状態で該口部に挿入される一対の軸からなり、上記軸は開閉自在であるとともに回転自在であり、上記軸が上記口部に挿入され上記口部を伸長した状態で指令信号に基いて上記口部を回転させ上記袋の合わせ目を予め定められた位置に合わせてなり、
上記折畳部は、上記袋の口部を起立せしめた状態で上記袋の中央部を押圧する進退自在の押圧手段と、上記押圧手段の進行方向に対し直交する方向に動作するとともに進退自在である一対の挟持手段とからなり、上記挟持手段は上記口部を両側から挟み上記口部を折り曲げて重ね合わせ、一の挟持手段と他の挟持手段とが交互に上記口部を折り曲げることにより上記口部を繰り返し折り畳んでなり、次工程の挟持をする挟持手段は前工程の挟持終了後前工程の挟持手段による挟持を解除した状態で折り畳まれた上記口部を外側から挟持し、
上記結束部は、結束バンドを挟持する回転自在の結束手段からなり、結束バンドを挟持する先端部結束手段を上記袋を中心にして回動することにより、上記結束バンドを上記口部に巻き付け固着することを特徴とする。
また本願発明による自動封緘装置は、内容物が収納される袋を搬送するコンベヤと、上記コンベヤに沿って該コンベヤの流れの方向に順次設けられる矯正部、折畳部及び結束部とからなり、
上記矯正部は上記袋の口部を起立せしめた状態で口部に挿入される一対の軸からなり、上記軸は開閉自在であり、上記軸が上記口部に挿入され上記口部を伸長した状態とし、
上記折畳部は、上記袋の口部を起立せしめた状態で上記袋の中央部を押圧する進退自在の押圧手段と、上記押圧手段の進行方向に対し直交する方向に動作するとともに進退自在である一対の挟持手段とからなり、上記押圧手段及び上記挟持手段を水平方向及び垂直方向に移動させることにより上記押圧手段及び上記挟持手段を上記口部に位置合わせし、上記挟持手段は上記口部を両側から挟み上記口部を折り曲げて重ね合わせ、一の挟持手段と他の挟持手段とが交互に上記口部を折り曲げることにより上記口部を繰り返し折り畳んでなり、次工程の挟持をする挟持手段は前工程の挟持終了後前工程の挟持手段による挟持を解除した状態で折り畳まれた上記口部を外側から挟持し、
上記結束部は、結束バンドを挟持する回動自在の結束手段からなり、結束バンドを挟持する先端部結束手段を上記袋を中心にして回動することにより、上記結束バンドを上記口部に巻き付け固着することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本願発明による自動封緘装置によれば、硬貨等を収納する袋の口部の封緘作業の機械化が可能になるため、封緘作業の効率化を図ることができる。
【0011】
また、袋の口部の折畳みが機械化により正確に規則的に行なうことができるから、折り畳まれた口部が緩みにくくなり、これにより封緘の完全を期すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、実施の形態を示す図面に基づき本願発明による自動封緘装置をさらに詳しく説明する。なお、便宜上同一の機能を奏する部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0013】
図1において、1は「大袋」と呼ばれる硬貨を収納する袋であり、例えば、500円玉、100円玉、50円玉、10円玉、5円玉、1円玉等の各種硬貨を収納する。該袋1は、図16に詳しく示すように、例えばポリビニル‐アルコール系の合成繊維を平織りしてなる所定の生地を所定の寸法(例えば縦L560mm〜580mm×横W235〜245mm)に形成し、裏面の中央部を縫い合わせて縫合部1aを設ける。上記袋1にはライトが照射された場合、該縫合部1aに沿って合わせ目1b(図5(B)に示す)と呼ばれる影が形成される。2は上記袋1の口部、3は上記袋1の上端部である。5は上記袋1を搬送するコンベヤであり、該コンベヤ5に沿って、コンベヤ5の流れ方向に、順次、起立部10、矯正部20、折畳部30及び結束部60を設ける。
【0014】
上記起立部10は矢示するように昇降自在の一対のブラシローラ11からなり、ブラシローラ11が上記袋1の口部2に当接されながら上昇することにより口部2を起立させる。13は袋上端部3を案内するガイドであり、該ガイド13に案内されて上記袋1が口部2を起立状態で次の矯正部20に搬送にされる。
【0015】
図2乃至図6は本願発明による自動封緘装置の矯正部20を示す。上記矯正部20は袋1の口部2に挿入される一対の矯正軸21からなる。該矯正軸21は各々軸ブロック22に交換可能に取り付けられる。該軸ブロック22は各々ギヤ22b及びギヤ25aを内蔵しており、夫々回動軸22aにより摺動片23に回動自在に枢結される。24は該摺動片23を水平方向に摺動するシリンダからなるチャックユニットである。25は軸回転モータであり、互いに歯合するギヤ25a及びギヤ22bを介して、上記矯正軸21を所定の方向に回動させる。上記軸回動モータ25は夫々同期して回転し、一対の矯正軸21を同一の方向に回転させる。26は上下方向に伸縮自在のシリンダであり、上記チャックユニット24を昇降させ、これにより上記矯正軸21を袋口部2に挿入し又は離脱させる。26aはダンパである。上記矯正軸21は丸棒状の軸部材からなり長手方向にローレット21aが形成され、これにより袋口部2に挿入されたとき口部2との摩擦を保持する。
【0016】
図5において、27はCCDカメラからなる合わせ目位置検出カメラである。上記合わせ目位置カメラ27はライト28が一定の角度θで上記口部2を照射したとき形成される影である合わせ目1bを撮影する。28aは該ライト28より発せられる光束である。図5(A)及び同(B)に詳しく示すように、合わせ目位置カメラ27は上記矯正軸21が上記袋1の口部2に挿入され伸張された状態のとき形成される口部2の合わせ目1bを撮影し、測定された合わせ目1bの位置に関するデータを図示しないコンピュータに送信する。上記コンピュータには図5(C)に示すように前回適正とされた位置その他の基準位置情報が入力・設定されており、この位置情報と上記位置データがとが比較される。比較の結果位置ズレ量L1(図5(D)に示す)が算出されると、位置ズレを矯正するための指令信号が図示しないコンピュータよりモータ25に発せられ、上記矯正軸21を適宜に駆動させて上記袋1の口部2を回転させ、袋1の合わせ目1bを適正とされる位置に矯正する。29は上記矯正軸21を内方に付勢するばねである。なお、矯正部20において、登録すべき合わせ目1bの撮影と実際に補正すべき袋1の撮影とは、上記合わせ目位置カメラ27及びライト28の位置及びアングルその他撮影する部分の基本配置を同一条件とする必要がある。
【0017】
図7乃至図9は本願発明による自動封緘装置の折畳部30を示す。上記折畳部30は上記コンベヤ5の両側に対向して設けられる一対の折畳ユニット31、33からなる。該折畳ユニット31は上部ユニット31aと下部ユニット31bとからなり、上部ユニット31aが下部ユニット31bの上方にモータ32により昇降自在に設けられる。上記上部ユニット31aの中央部には、袋口部2の中央部を押圧するジュラルミン製の板状体からなるセンター折爪34がシリンダ35により上記折畳ユニット33の方向に進退自在に設けられる。上記上部ユニット31aにはまた、上記センター折爪34の両側に、ジュラルミン製の板状体からなる一対の折爪36が設けられる。該折爪36はモータ37により上記折畳ユニット33の方向に進退自在に駆動される。上記折爪36はまた、モータ38により幅方向即ち上記センター折爪34の進行方向に対し直交する方向に駆動され、これにより口部2の折曲げを可能とする。
【0018】
上記折畳ユニット33は上部ユニット33aと下部ユニット33bとからなり、上部ユニット33aが下部ユニット33bの上方にモータ39により昇降自在に設けられる。上記上部ユニット33aの中央部には、袋口部2の中央部を押圧するジュラルミン製の板状体からなるセンター押さえ爪41がシリンダ42により上記折畳ユニット31の方向に進退自在に設けられる。上記上部ユニット33aにはまた、上記センター押さえ爪41の両側に、ジュラルミン製の板状体からなる一対の折爪43が設けられる。該折爪43はモータ44により上記折畳ユニット31の方向に進退自在に駆動される。上記折爪43はまた、モータ45により幅方向即ち上記センター押さえ爪41の進行方向に対し直交する方向に駆動され、これにより口部2の折曲げを可能とする。
【0019】
上記折爪36の対向する内側の面の先端部及び上記折爪43の対向する内側の面の先端部には、夫々、布、ゴム等摩擦係数の大なる適宜の素材からなるスリップ防止部47、48が設けられる。
【0020】
上記結束部60は結束バンド4を挟持するチャック61からなる。図15に詳しく示すように、該チャック61は、結束バンド4の基端部4aを挟持する基端部チャック61aと、結束バンド4の先端部4bを挟持する先端部チャック61bとからなり、夫々、結束バンド4を取り出す吸着ヘッド63により取り出された個々の結束バンド4の基端部4aと先端部4bを着脱自在に挟持する。上記チャック61は袋口部2の平面視中央部2c(図15(C)に示す)を中心にして先端部チャック61bが回動することにより、結束バンド4の先端部4bを基端部チャック61a側に巻き付け・挿入し、これにより結束バンド4を上記口部2に固着する。65は連続状態で供給される結束バンド4を個々に分離するエスケーパである(図15(A)に示す)。なお、上記結束バンド4には硬貨に関する所要の事項を記載した表記紙(図示省略)が付着している。67は締め上げチャックである(図15(E)に示す)。
【0021】
次に本願発明による袋口部2の封緘について工程を追って説明する。
〔起立工程〕
例えば100円玉、10円玉など、所定の硬貨が収納された袋1がコンベヤ5に載って起立部10に搬送されてくる。起立部10では一対のブラシローラ11が稼動しており、ブラシローラ11が上記袋1の口部2に当接されながら上昇することにより口部2を起立させる。
【0022】
〔矯正工程〕
袋1は口部2を起立状態としたまま該口部2がガイド13に案内されることにより、矯正部20に搬送される。矯正部20では、図6に示すようなステップにより口部2の合わせ目1bの位置が矯正される。図6(A)に示すように、矯正軸21が内側に寄った状態では口部2の開口面積が図6(G)に示すように大であり、この状態で図6(B)に示すように矯正軸21を下降させ矯正軸21を口部2の中に挿入する。
【0023】
次いでチャックユニット24を駆動させて摺動片23を拡開し、矯正軸21を左右の端部方向に移動させる。矯正軸21が両端部に移動すると、図2(B)に示すように矯正軸21は回動軸22aを中心に回動するため口部2が外方に拡開され、これにより口部2は図6(C)に示すように伸長状態となる。
【0024】
この伸長状態で図6(D)に示すように、合わせ目位置カメラ27が作動し口部2の合わせ目1bを撮影する。測定された合わせ目1bの位置に関するデータは図示しないコンピュータに送信される。上記コンピュータには予め適正とされた位置その他の基準位置情報が入力・設定されており、この位置情報と上記位置データがとが比較される。比較の結果位置ズレ量L1(図5(D)に示す)が算出されると、位置ズレを矯正するための指令信号が図示しないコンピュータより図示しないコンピュータの補正機構部にNCデータとして送信される。なお、上記指令信号は位置ズレ量L1にオフセット量L2(図5(A)に示す)を加えた補正量に基づき決定されて発せられる。
【0025】
上記補正機構部は送信されたNCデータに基づき軸回動モータ25を所定の方向に回転させ、合わせ目1bを適正な位置に矯正する。例えば合わせ目1bが右方にズレていた場合は、矢印で示すように矯正軸21を時計回りに駆動させ、これにより該合わせ目1bは左方に移動され矯正される。合わせ目1bが左方にズレていた場合は、反対に矯正軸21を反時計回りに駆動させ該合わせ目1bを右方に移動させる。いずれにしても左右の矯正軸21は図6(E)に示すように同期しており同一方向に回転する。合わせ目1bのズレ合わせが完了すると、図6(F)に示すように袋1は口部2を伸長状態としたまま次の折畳部30に搬送される。
【0026】
〔折畳工程〕
折畳部30による折畳工程については図10乃至図14に基づき説明する。なお、図10乃至図14において矢印は各部の進行方向を示す。
【0027】
まず図10(A)に示すように、折畳ユニット31及び折畳ユニット33に対し、袋1の合わせ目1bは適正な位置に位置合わせてされている。この状態で図10(B)に示すように、押圧手段を構成するセンター折爪34が折畳ユニット33の方向に進行し、次いで図10(C)に示すように、センター押さえ爪41が折畳ユニット31の方向に進行して袋1の口部2を支持する。次いで図10(D)に示すように、折爪43が折畳ユニット31の方向に進行し、先端部を袋1に当接する。この場合折爪43間の幅B1はひだ2aを形成する必要最小限の幅とする。具体的には、センター折爪34を中心として口部2の袋地が折り曲げられるので、センター折爪34の厚さに加え、折り曲げられる一対のひだ2aの生地の厚さの2倍乃至5倍程度の幅とするのが望ましい。次いで図10(E)に示すように、折爪43が内方に動作し口部2を折り畳む。これにより第1回挟持となる。
【0028】
次いで図11(F)に示すように、矯正軸21による袋口部2の上端部3の保持が解除され、口部2の上端部3がフリーとなる。次いで図11(G)に示すように、口部2が折爪43により挟持された状態で他の折爪36が進行し、先端部を袋1に当接する。この場合折爪36間の幅B2はひだ2aを形成する必要最小限の幅とする。具体的には、折爪43による第1回挟持の外幅寸法に、新たに折り曲げられる一対のひだ2aの生地の厚さを加えた幅より若干大とする程度の幅とするのが望ましい。次いで図11(H)に示すように、折爪43が外方に若干拡開され、折爪43による口部2の挟持が一時解除される。次いで図11(I)に示すように、折爪43が退行する。この対向の距離l1は袋口部2に形成される「ひだ」2aの折曲端部までであり、具体的には折爪36の先端部36aより袋口部2の厚さbを加えた値より若干大とする程度である。後退距離をあまりに大とすると、口部2の端部(口端部2b)が内方に戻り過ぎるおそれがあり、折爪43の次の進行による折り曲げが困難となるからである。次いで図11(J)に示すように、折爪36が内方に動作し口部2を折り畳む。これにより第2回挟持となる。
【0029】
次いで図12(K)に示すように、折爪43が外方に動作し拡開される。次いで図12(L)に示すように、折爪43が折畳ユニット31の方向に進行し、先端部を袋1に当接する。この場合折爪43間の幅B3はひだ2aを形成する必要最小限の幅とする。具体的には、折爪36による第2回挟持の外幅寸法に、新たに折り曲げられる一対のひだ2aの生地の厚さを加えた幅より若干大とする程度の幅とするのが望ましい。次いで図12(M)に示すように、他の折爪36が外方に拡開され、折爪36による口部2の挟持が一時解除される。次いで図12(N)に示すように、折爪36が退行する。この退行の距離l2は袋口部2に形成される「ひだ」2aの折曲端部までであり、具体的には折爪43の先端部43aより袋口部2の厚さbを加えた値より若干大とする程度である。後退距離をあまりに大とすると、口部2の端部(口端部2b)が内方に戻り過ぎるおそれがあり、折爪36の次の進行による折り曲げが困難となるからである。次いで図12(O)に示すように、折爪43が内方に動作し口部2を折り畳む。これにより第3回挟持となる。
【0030】
次いで図13(P)に示すように、折爪36が外方に動作し拡開される。次いで図13(Q)に示すように、折爪36が折畳ユニット33の方向に進行し、先端部を袋1に当接する。この場合折爪36間の幅B4はひだ2aを形成する必要最小限の幅とする。具体的には、折爪43による第3回挟持の外幅寸法に、新たに折り曲げられる一対のひだ2aの生地の厚さを加えた幅より若干大とする程度の幅とするのが望ましい。次いで図13(R)に示すように、折爪43が外方に拡開され、折爪43による口部の挟持が一時解除される。次いで図13(S)に示すように、折済袋保持爪54が内方に動作し、口部を「仮閉状態」とする。次いで図13(T)に示すように、すべての挟持工程を終了した折爪43が退行する。次いで図13(U)に示すように、折爪36が内方に動作し口部を折り畳む。これにより第4回挟持となる。このとき折済袋保持爪54もさらに内方に動作する。
【0031】
次いで図14(V)に示すように、折爪36が外方に拡開され、折爪36による口部の挟持が解除される。このとき折済袋保持爪54による口部の折畳状態は維持されている。次いで図14(W)に示すように、すべての挟持工程を終了した折爪36が退行するとともにセンター折爪34及びセンター押さえ爪41も同時に退行する。このとき折済袋保持爪54がさらに内方に動作し、口部をさらに一層「閉」とする。次いで図14(X)に示すように、折済袋保持爪54により口部を「閉」とされた袋1は結束部60に搬送される。
【0032】
〔結束工程〕
結束部60では結束部バンド4により口部2を封緘され、図示しない次工程へ排出される。図15に基づき結束部60による結束工程をみてみる。
【0033】
まず図15(A)に示すようにエスケーパ65の動作により、結束バンド4を切り出す。次いで吸着ヘッド63により該結束バンド4を吸着する。次いで吸着ヘッド63を水平方向及び垂直方向に移動し、切り出した結束バンド4をチャック61まで移送する。
【0034】
次いで図15(B)に示すように、結束バンド4をチャック61がつかみ替え、袋1まで移動する。
【0035】
次いで図15(C)に示すように、先端部チャック61bが口部中央部2cを中心に回動し、結束バンド4を袋1の口部2に巻き付ける。
【0036】
次いで図15(D)に示すように、先端部チャック61bが挟持する結束バンド4の先端部4bを該結束バンド4の基端部4aに挿入するとともに、基端部チャック61aにも挿入する。
【0037】
次いで図15(E)に示すように、締め上げチャック67により該結束バンド4の先端部4aを挟持して巻き上げ、該結束バンド4を袋1の口部2に固着する。
【0038】
ここで合わせ目1bの位置の矯正について説明する。袋1は合わせ目1bを形成する縫合部1aのところで折り畳もうとすると折畳みが困難であり、無理に折り畳むと均一な「ひだ」2aを形成することができない。この折畳みの際の合わせ目1bの位置をどこに決定するかは、袋の素材、地の厚さ、織成法方等により区々であり、経験上得られるデータにより決定されている。いずれにしても、合わせ目1bの適正位置とは必ずしも袋1の数学的に正確な中央部を意味しないのである。
【0039】
上記折畳ユニット31、33の折畳ユニットの各折爪36、折爪43には、対向する内側の面の先端部に夫々スリップ防止部47、スリップ防止部48が設けられており、外側の面にはそのような措置が施されていない。これにより、各折爪36、折爪43が次工程の挟持に移行する前に一時挟持の解除をする際、挟持面であった内側面の摩擦抵抗のみ回避し、外側面が摩擦抵抗の少ないジュラルミン製の面材のままであるため、退行が円滑に行なわれる。
【0040】
上記実施の形態によれば、硬貨等を収納する袋の口部2の封緘作業の機械化が可能になるため、封緘作業の効率化を図ることができる。
【0041】
また、袋の口部2の折畳みが機械化により正確に規則的に行なうことができるから、折り畳まれた口部2が緩みにくくなり、これにより封緘の完全を期すことができる。
【0042】
本願発明は上記実施の形態に制限されない。例えば、折畳部30と袋1の合わせ目1bとの位置合わせに関し、上記実施の形態とは反対に図17に示すように、一定の位置に固定された袋1の合わせ目1bに合わせるため折畳ユニット31及び折畳ユニット33の方を水平方向及び垂直方向に移動させ、これにより各ユニット31、33に設けられた挟持手段たる36、押圧手段たるセンター折爪34及び挟持手段たる折爪43、押圧手段たるセンター押さえ爪41を袋1の口部2の高さ位置に合わせることができる。
【0043】
また起立部10と矯正部20とを一体にした装置としてもよい。
【0044】
上記折畳部30による折畳工程は適宜に変更することができる。例えば、図10(B)及び(C)に示すセンター折爪34及びセンター押さえ爪41を同時に動作させることができる。またセンター押さえ爪41を欠?させその動作を省略することもできる。さらに図10(C)及び(D)に示すセンター押さえ爪41及び折爪43を同時に動作させることができる。
【0045】
一対の挟持手段たる折爪36及び折爪43は、上記実施の形態のように面材から構成するのが望ましいが、図18に示すように棒状材から構成することもできる。また一対の押圧手段たるセンター折爪34及びセンター押さえ爪41も、上記実施の形態のように面材から構成するのが望ましいが、図19に示すように棒状材から構成することもできる。
【0046】
さらに、一対の挟持手段たる折爪36及び折爪43並びに一対の押圧手段たるセンター折爪34及びセンター押さえ爪41の進退方向につき、上記実施の形態のような口部2の面に対し直交する水平方向の移動によるだけでなく、図20に示すように口部2の面に対し回動方向に移動することによる進退、又は図21(A)及び同(B)に示すように口部2の面に沿って垂直方向に移動することによる進退とすることができる。図21において55は折爪36による折り曲げを補助するためにエアaを噴出するエアノズル、56は折爪43による折り曲げを補助するためにエアaを噴出するエアノズルである。図20及び図21において矢印は各部の移動方向を示す。
【0047】
図21の場合、エアノズル55によりエアaを噴出し口部2を折曲げ方向に仮折りし、この状態で折爪36を下降せしめて第1の折曲げをし、続けてエアノズル56によりエアaを噴出し口部2を反対方向に仮折りし、この状態で折爪43を下降せしめて第2の折曲げをする。このようにして折爪36と折爪43を順次に下降せしめて交互に折曲げをすることができる。
【0048】
上記スリップ防止部47、スリップ防止部48の設置は任意的であるが、設置する場合、一対の折爪36、折爪43の対向する内側の面の先端部自体を凹凸に形成することによりスリップ防止部47、スリップ防止部48としてもよい。
【0049】
一対の折爪36、折爪43の構成素材は任意であり、例えば、アルミニウム、スチール、樹脂から構成してもよい。
【0050】
起立部10は、上記実施の形態の他、例えば一対のエアブローから構成し、ノズルのスリットから噴出するエアを口部2に当てて口部2を起立状態とする場合、また一対の平板からなるヘラにより起立手段を構成し、該一対のヘラを口部2に当接させながら同期して昇降せしめ口部2を起立状態とする場合が考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本願発明による自動封緘装置は硬貨等を収納した袋の封緘に活用される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本願発明による自動封緘装置の実施の形態を示した正面図である。
【図2】図1の矯正部の正面図であり、(A)は袋への挿入前、(B)は袋への挿入後を示す。(C)は(A)のC部拡大図である。
【図3】図2(A)の右側面図である。
【図4】図2(A)の平面図である。
【図5】(A)は本願発明にかかる矯正部の概略平面図、(B)は(A)のB部拡大図、(C)は(A)の部分正面図、(D)は(A)の部分正面図である。
【図6】(A)乃至(F)は矯正部による袋の姿勢矯正をするフロー図であり、(G)乃至(L)は(A)乃至(F)のG部乃至L部の拡大平面図である。
【図7】図1の折畳部の正面図である。
【図8】図7の平面図である。
【図9】図7の一部省略右側面図である。
【図10】(A)乃至(E)は折畳みフローの一例を示す図(一部)である。
【図11】(F)乃至(J)は折畳みフローの一例を示す図(一部)である。
【図12】(K)乃至(O)は折畳みフローの一例を示す図(一部)である。
【図13】(P)乃至(U)は折畳みフローの一例を示す図(一部)である。
【図14】(V)乃至(X)は折畳みフローの一例を示す図(一部)である。
【図15】(A)乃至(E)は図1の結束部による口部結束工程のフロー図である。
【図16】(A)は袋の正面図、(B)は(A)の背面図、(C)は(A)の拡大平面図である。
【図17】本願発明にかかる折畳部の他の実施の形態を示す平面図である。
【図18】(A)は本願発明にかかる挟持手段の他の実施の形態を示す正面図、(B)は(A)の平面図である。
【図19】(A)は本願発明にかかる押圧手段の他の実施の形態を示す正面図、(B)は(A)の平面図である。
【図20】本願発明にかかる折畳部の他の実施の形態を示す正面図である。
【図21】(A)は本願発明にかかる折畳部の他の実施の形態を示す正面図、(B)は(A)の右側面図である。
【符号の説明】
【0053】
1 袋
1a 縫合部
1b 合わせ目
2 口部
2a ひだ
2b 口端部
2c 口部中央部
3 上端部
4 結束バンド
5 コンベヤ
10 起立部
11 ブラシローラ
13 ガイド
20 矯正部
21 矯正軸
21a ローレット
22 軸ブロック
22a 回動軸
22b ギヤ
23 摺動片
24 チャックユニット
25 軸回動モータ
25a ギヤ
26 シリンダ
26a ダンパ
27 合わせ目位置カメラ
28 ライト
28a 光束
29 ばね
30 折畳部
31 折畳ユニット
31a 上部ユニットh
31b 下部ユニット
32 モータ
33 折畳ユニット
33a 上部ユニット
33b 下部ユニット
34 センター折爪
35 シリンダ
36 折爪
37 モータ
38 モータ
39 モータ
41 センター押さえ爪
42 シリンダ
43 折爪
43a 先端部
44 モータ
45 モータ
47 スリップ防止部
48 スリップ防止部
54 折済袋保持爪
55 エアノズル
56 エアノズル
60 結束部
61 チャック
61a 基端部チャック
61b 先端部チャック
63 吸着ヘッド
65 エスケーパ
67 締め上げチャック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収納される袋を搬送するコンベヤと、上記コンベヤに沿って該コンベヤの流れの方向に順次設けられる矯正部、折畳部及び結束部とからなり、
上記矯正部は上記袋の口部を起立せしめた状態で該口部に挿入される一対の軸からなり、上記軸は開閉自在であるとともに回転自在であり、上記軸が上記口部に挿入され上記口部を伸長した状態で指令信号に基いて上記口部を回転させ上記袋の合わせ目を予め定められた位置に合わせてなり、
上記折畳部は、上記袋の口部を起立せしめた状態で上記袋の中央部を押圧する進退自在の押圧手段と、上記押圧手段の進行方向に対し直交する方向に動作するとともに進退自在である一対の挟持手段とからなり、上記挟持手段は上記口部を両側から挟み上記口部を折り曲げて重ね合わせ、一の挟持手段と他の挟持手段とが交互に上記口部を折り曲げることにより上記口部を繰り返し折り畳んでなり、次工程の挟持をする挟持手段は前工程の挟持終了後前工程の挟持手段による挟持を解除した状態で折り畳まれた上記口部を外側から挟持し、
上記結束部は、結束バンドを挟持する回転自在の結束手段からなり、結束バンドを挟持する先端部結束手段を上記袋を中心にして回動することにより、上記結束バンドを上記口部に巻き付け固着することを特徴とする自動封緘装置。
【請求項2】
内容物が収納される袋を搬送するコンベヤと、上記コンベヤに沿って該コンベヤの流れの方向に順次設けられる矯正部、折畳部及び結束部とからなり、
上記矯正部は上記袋の口部を起立せしめた状態で口部に挿入される一対の軸からなり、上記軸は開閉自在であり、上記軸が上記口部に挿入され上記口部を伸長した状態とし、
上記折畳部は、上記袋の口部を起立せしめた状態で上記袋の中央部を押圧する進退自在の押圧手段と、上記押圧手段の進行方向に対し直交する方向に動作するとともに進退自在である一対の挟持手段とからなり、上記押圧手段及び上記挟持手段を水平方向及び垂直方向に移動させることにより上記押圧手段及び上記挟持手段を上記口部に位置合わせし、上記挟持手段は上記口部を両側から挟み上記口部を折り曲げて重ね合わせ、一の挟持手段と他の挟持手段とが交互に上記口部を折り曲げることにより上記口部を繰り返し折り畳んでなり、次工程の挟持をする挟持手段は前工程の挟持終了後前工程の挟持手段による挟持を解除した状態で折り畳まれた上記口部を外側から挟持し、
上記結束部は、結束バンドを挟持する回動自在の結束手段からなり、結束バンドを挟持する先端部結束手段を上記袋を中心にして回動することにより、上記結束バンドを上記口部に巻き付け固着することを特徴とする自動封緘装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2010−30646(P2010−30646A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−196398(P2008−196398)
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【出願人】(393005370)プラス精機株式会社 (4)
【Fターム(参考)】