説明

自動工具交換装置

【課題】様々な種類のツールを自動交換でき、小形で安価な自動工具交換装置を構成する。
【解決手段】ロボット7の手首に固定されるロボット側交換装置1と、別々のツール8が固定される複数のツール側交換装置2と、ロボット側交換装置1とツール側交換装置2を連結する連結機構をロボット側交換装置1に設けた自動工具交換装置において、流体用連結部4と電力用連結部5を、ロボット側交換装置1とツール側交換装置2の双方に設け、ツール側交換装置2に設けた電力線搬送通信ユニット10と、ツール8のコントローラ9とツール側交換装置2の間に設けた動力線搬送通信ユニット10と、ツール8のコントローラ9及びツール8の制御信号を変換して電力線搬送通信ユニット10に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工場内で使用される自動工具交換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、工場の生産機械に取り付けられ、ロボットを用いた搬送工程や溶接工程などではエアシリンダを使ったハンドや、モーターを制御して作業を行う電動ハンドや、サーボガンを使用するものもある。
【0003】
現在、多品種少量生産と設備費低減のため、複数の作業を1台のロボットで行う必要があり、そのための方法としてハンドなどの工具を交換する自動工具交換装置が使われている。
【0004】
ツールはそれぞれの作業に合わせたタイプを使用しなければならないため、違う種類のツールを1台のロボットで使用するには、自動工具交換装置の信号線の接点数もそれぞれのツールの本数に合わせた数が必要である。
【0005】
電力線及び信号線の数が多くなるとそれに合わせてツールチェンジャーの接点の数も多くなり、大きさ及び重量も増えてロボットの負担となるばかりでなく、価格も高価になる。
【特許文献1】特開平5−301187号公報
【特許文献2】特開2002−1626号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、様々な種類のツールを自動交換でき、小形で安価な自動工具交換装置を構成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、自動工具交換装置のロボット側及びツール側に電力線搬送通信ユニットを配置し、電力用接続部の電力線に電力線搬送通信で制御用信号を重畳して、電力とともに制御信号の送受信を行う。
【0008】
具体的には、ロボットの先端回転軸部に固定され、ロボットの手首に固定されるロボット側交換装置と、別々のツールが固定される複数のツール側交換装置と、ロボット側交換装置とツール側交換装置を連結する連結機構をロボット側交換装置に設けた自動工具交換装置において、流体用連結部と電力用連結部を、ロボット側交換装置とツール側交換装置の双方に設け、ツール側交換装置に設けた動力線搬送通信ユニットと、ツールのコントローラとツール側交換装置の間に設けた動力線搬送通信ユニットと、ツールのコントローラ及びツールの制御信号を変換して電力線搬送通信ユニットに接続する。
【0009】
また、ツールのコントローラ及びツールの制御信号を、電力線に重畳して電力線搬送通信を行う。
【発明の効果】
【0010】
上記構成にすることにより、電力線と信号線の両方を自動工具交換装置に通して接続していたものが、電力線のみで電気信号も送受信出来るようになり、信号用の配線が無くなったので、自動工具交換装置の大きさが小さくなり、重量も軽減する事ができた。
【0011】
また、ロボットにかかる荷重や荷重モーメントも軽減することになるため、ロボットの搬送速度を上げる事にもつながる。
【0012】
また、ツールのコントローラ及びツールは電力線でつながっており、電力線のある場所ならどこからでも電気信号を送受信出来るため、ツールのコントローラは必ずしもロボットの近くになければならないわけでは無いので、任意の場所に設置でき、管理がしやすくなった。
【0013】
さらに、電気信号用連結部を組み込む必要が無いので、電気信号用接続部を構成していたロボット側交換装置及びツール側交換装置双方の部品を組み込む必要がなくなるので自動工具搬送装置を安価に製作する事ができる。
【0014】
また、電力線搬送通信を行うので、その通信記録を生産管理情報に活用する事が出来るなどのメリットもある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は本発明の実施例の構成を説明する説明図である。
【0017】
ロボット7の先端には、ロボット側交換装置1が固定され、ロボット側交換装置1とツール側交換装置2は脱着可能に連結されており、複数あるツール側交換装置2には目的にあわせた電動ハンドや溶接ガンなどの工具8が固定されている。
【0018】
複数あるツール側交換装置2はそれぞれの置き場所が決まっており、必要に応じてロボット側交換装置1の連結機構3を切り替えてロボット側交換装置1とツール側交換装置2を脱着し、ツールの交換を行う。
【0019】
ロボット側交換装置1及びツール側交換装置2には、図3に示すように流体用連結部4と、電力用連結部5と、溶接電源用連結部13が向かいあわされて連結するように設けられており、ツール側交換装置2に固定されているツール8の種類により、流体用連結部4と電力用連結部5及び溶接電源用連結部13の中で必要な箇所に、配管及び配線を行う。
【0020】
そのとき、電動ハンドやサーボガンなどの制御信号を送受信する必要のあるツール8に関しては、電力線搬送通信ユニット10及び変換ユニット11をツール8とツール側交換装置2の間で固定し、ツール8の電気信号線を電力線搬送通信ユニット10に接続し、電力線搬送通信ユニット10の電源線はツール側交換装置2の電力用連結部5に配線する。
【0021】
ツール8の電気信号線が直接電力線搬送通信ユニット10に直接入らないときは、変換ユニット11を経由して電力線搬送通信ユニット10に連結する。
【0022】
ツール8の制御を行うコントローラ9は一般的にロボット7の作業範囲外に固定又は移動可能に設置されており、本実施例ではコントローラ9から出される制御信号を電力線搬送通信ユニット10に入れられるとともに、電力用連結部5に配線された電力線12に配線する。
【0023】
それぞれの電力線搬送通信ユニット10は同じ系統の電力線12に接続され、電力線搬送通信ユニット10を介してツール8とツールのコントローラ9は制御信号の送受信を行う。
【0024】
図4は従来例を表しているが、図3の実施例と比較して、流体用連結部4と電力用連結部5と溶接電源用連結部13は同じであるが、従来例は、電気信号用連結部6と汎用信号用連結部14が無いので、外径を小さくでき、原価もおさえる事ができる。
【0025】
図5は、本実施例の配線イメージを簡略化して示した説明図であり、図6は従来例を同じ条件で示した説明図であるが、自動工具交換装置に2本の電力線と、6本の電気信号線を配線する場合を簡略化して示している。
【0026】
従来例の自動工具搬送装置は2本の電力用連結部5と、6本の電気信号用連結部6を設けなければならない。
【0027】
しかし本実施例では、図5に示すように2本の電力用連結部5は設けるが、電気信号線は電力線搬送通信ユニットを通じて電力線に電気信号を重畳してコントローラ9とツール8の通信を行うので、自動工具交換装置の電気信号用連結部6は必要ない。
【0028】
上記実施例では、電動ハンドのように電力のみのツールについて説明したが、流体用連結部4を使用した圧縮空気や水などの流体をツール側で使用するツールに対しても、センサーなどを設けて送受信するツールに関しても有効である。
【産業上の利用可能性】
【0029】
上記自動工具搬送装置は、ロボットを用いた搬送工程や溶接工程などで使用される事を想定したものばかりでなく、治具の段取り替えのような使い方をする事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本実施例の構成を説明する説明図
【図2】本実施例のロボット側交換装置の構造を示す断面図
【図3】本実施例のロボット側交換装置の構造を示す外観図
【図4】従来例のロボット側交換装置の構造を示す外観図
【図5】本実施例の配線を説明する説明図
【図6】従来例の配線を説明する説明図
【符号の説明】
【0031】
1 ロボット側交換装置
2 ツール側交換装置
3 連結機構
4 流体用連結部
5 電力用連結部
6 電気信号用連結部
7 ロボット
8 ツール
9 コントローラ
10 電力線搬送通信ユニット
11 変換ユニット
12 電力線
13 溶接電源用連結部
14 汎用信号用連結部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットの先端回転軸部に固定され、ロボットの手首に固定されるロボット側交換装置と、別々のツールが固定される複数のツール側交換装置と、ロボット側交換装置とツール側交換装置を連結する連結機構をロボット側交換装置に設けた自動工具交換装置において、流体用連結部と電力用連結部を、ロボット側交換装置とツール側交換装置の双方に設け、ツール側交換装置に設けた動力線搬送通信ユニットと、ツールのコントローラとツール側交換装置の間に設けた動力線搬送通信ユニットと、ツールのコントローラ及びツールの制御信号を変換して電力線搬送通信ユニットに接続する事を特徴とする自動工具交換装置。
【請求項2】
ツールのコントローラ及びツールの制御信号を、電力線に重畳して電力線搬送通信を行う事を特徴とする請求項1の自動工具交換装置。


【図2】
image rotate

【図1】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2008−207294(P2008−207294A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−48118(P2007−48118)
【出願日】平成19年2月27日(2007.2.27)
【出願人】(591113024)株式会社近藤製作所 (33)
【Fターム(参考)】