説明

自動応答機能を備えた電話端末装置、電話端末装置の制御方法、電話端末装置制御プログラム、該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体および通信システム

【課題】電話端末装置を鳴動させることなく電話端末装置の所属ユーザの状況を確認できる電話端末装置等を実現する。
【解決手段】本発明のファクシミリ装置100は、複数の異なる電話番号が割り当てられ、電話番号に着信があったときに必要に応じて鳴動する鳴動部105と、電話番号に着信があったときに必要に応じて所定のメッセージを通知する応答部104とを備え、複数の異なる電話番号のうち、少なくとも1つの電話番号をメッセージ応答用電話番号に設定し、着信した電話番号がメッセージ応答用電話番号であるとき、鳴動部105は、鳴動動作を行わず、応答部104は、着信した電話番号の発信者に所定のメッセージを通知する。これにより、ファクシミリ装置100を鳴動させることなくファクシミリ装置100の所属ユーザの状況を確認できるファクシミリ装置100を実現することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動応答を行う電話端末装置、特に複数の異なる電話番号が割り当てられ、特定の電話番号への着信時には必ず応答を行う電話端末装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、留守番機能を有する電話端末が利用されている。これは、ユーザが着信に応対できない場合に、発信先からのメッセージを記録するものである。そして、留守番機能は、ユーザが設定することで利用可能となる構成が一般的である。
【0003】
また、近年では、通常の着信モードから留守応答を行う留守モードへの切り替えをユーザが操作部の操作を行うことなく自動的に行うための技術も開示されている。例えば、それぞれダイヤルイン番号が割り当てられた無線子機を備え、ダイヤルイン番号毎に留守応答機能を有する電話端末であって、無線子機が通信圏外に出たときに当該ダイヤルイン番号に対応する電話端末の動作モードを留守モードへ自動的に切り替えるという技術である。さらに、引用文献1では、電話端末のユーザに識別端末を所有させ、着信時に所定の範囲内に応答ユーザに対応する識別端末が存在すれば通常の着信となり、応答ユーザに対応する識別端末が存在しなければ留守応答を行うという技術が開示されている。
【特許文献1】特開2005−33614号公報(公開日:2005年2月3日)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記引用文献1の構成では、以下のような問題を生じる。すなわち、電話発信者が、相手の電話端末を鳴動させたくはないが、相手先の状況を確認したい場合に対応できない。具体的には、電話端末の近辺に所属ユーザが存在すると電話端末は留守応答とはならず、鳴動してしまう。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、電話端末装置を鳴動させることなく電話端末装置の所属ユーザの状況を確認できる電話端末装置等を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、鋭意検討した結果、1つの電話端末装置に対し複数の異なる電話番号を割り当て、その中の少なくとも1つの電話番号をメッセージ応答専用の電話番号とすることで、上記課題を解決できることを見出した。
【0007】
すなわち、上記課題を解決するために、本発明に係る電話端末装置は、複数の異なる電話番号が割り当てられた電話端末装置において、上記電話番号に着信があったときに必要に応じて鳴動する鳴動手段と、上記電話番号に着信があったときに必要に応じて所定のメッセージを通知するメッセージ通知手段とを備え、上記複数の異なる電話番号のうち、少なくとも1つの電話番号をメッセージ応答用電話番号に設定し、着信した電話番号が上記メッセージ応答用電話番号であるとき、上記鳴動手段は、鳴動動作を行わず、上記メッセージ通知手段は、着信した電話番号の発信者に所定のメッセージを通知することを特徴としている。
【0008】
上記の構成によれば、割り当てられた複数の異なる電話番号うちからメッセージ応答用の電話番号が設定される。そして、メッセージ応答用の電話番号に着信した場合、鳴動手段が鳴動動作を行わないので、電話端末装置が鳴動することはない。また、メッセージ応答用の電話番号に着信すると、着信した電話番号の発信者に所定のメッセージが通知される。これにより、発信者は、電話端末を鳴動させることなく、所定のメッセージを受信することができる。
【0009】
ここで、所定のメッセージとしては、「在宅中です」「ただいま電話は受けつけません」等が考えられる。
【0010】
本発明に係る電話端末装置では、上記電話端末装置を使用するユーザを識別するための識別データを無線通信により受信する識別データ受信手段を備え、上記メッセージ通知手段は、上記識別データ受信手段によって受信された識別データそれぞれに対応付けられたメッセージを発信者に通知するものであることが好ましい。
【0011】
上記の構成によれば、メッセージ通知手段が発信者に通知するメッセージは、識別データ受信手段によって受信された識別データにそれぞれ対応付けられたメッセージとなる。これにより、発信者は、識別データにそれぞれ対応付けられたメッセージを受信することができる。
【0012】
本発明に係る電話端末装置では、上記メッセージ通知手段が通知するメッセージを識別データに対応付けて記憶するメッセージ記憶部を備え、上記メッセージ通知手段は、上記識別データ受信手段によって受信された識別データに対応付けられたメッセージを、上記メッセージ記憶部から読み出して、上記発信者に通知するものであってもよい。
【0013】
上記の構成によれば、自装置に備えられたメッセージ記憶部に識別データと対応付けられたメッセージが記憶される。これにより、メッセージ通知手段が通知するメッセージを自装置の内部に記憶しておくことができる。
【0014】
本発明に係る電話端末装置では、上記メッセージ通知手段が通知するメッセージは、書き換え可能であるものであってもよい。
【0015】
上記の構成によれば、メッセージ通知手段が通知するメッセージを変更、追加することができる。これにより、ユーザの状況に最適なメッセージが存在しない場合であっても、最適なメッセージを追加することで、ユーザの状況に最適なメッセージを発信者に通知することができる。
【0016】
上記課題を解決するために、本発明に係る電話端末装置の制御方法は、複数の異なる電話番号が割り当てられた電話端末装置の制御方法であって、鳴動手段が、上記電話番号に着信があったときに必要に応じて鳴動する鳴動ステップと、メッセージ通知手段が、上記電話番号に着信があったときに必要に応じて所定のメッセージを通知するメッセージ通知ステップとを含み、上記複数の異なる電話番号のうち、少なくとも1つの電話番号をメッセージ応答用電話番号に設定し、着信した電話番号が上記メッセージ応答用電話番号であるとき、上記鳴動ステップでは、上記鳴動手段が鳴動動作を行わないようにし、上記メッセージ通知ステップで、上記メッセージ通知手段が着信した電話番号の発信者に所定のメッセージを通知するように制御することを特徴としている。
【0017】
上記の方法によれば、割り当てられた複数の異なる電話番号うちからメッセージ応答用の電話番号が設定される。そして、メッセージ応答用の電話番号に着信した場合、鳴動手段が鳴動動作を行わないので、電話端末装置が鳴動することはない。また、メッセージ応答用の電話番号に着信すると、着信した電話番号の発信者に所定のメッセージが通知される。これにより、発信者は、電話端末を鳴動させることなく、所定のメッセージを受信することができる。
【0018】
上記課題を解決するために、本発明に係る通信システムは、複数の異なる電話番号が割り当てられた電話端末装置と、該電話端末装置を使用するユーザに所有させるものであって、該ユーザ毎に割り当てられた識別データを発信する識別端末とで構成された通信システムにおいて、上記電話端末装置は、上記電話番号に着信があったときに必要に応じて鳴動する鳴動手段と、上記電話番号に着信があったときに必要に応じて所定のメッセージを通知するメッセージ通知手段とを備え、上記複数の異なる電話番号のうち、少なくとも1つの電話番号をメッセージ応答用電話番号に設定し、着信した電話番号が上記メッセージ応答用電話番号であるとき、上記鳴動手段は、鳴動動作を行わず、上記メッセージ通知手段は、着信した電話番号の発信者に所定のメッセージを通知することを特徴としている。
【0019】
上記の構成によれば、割り当てられた複数の異なる電話番号うちからメッセージ応答用の電話番号が設定される。そして、メッセージ応答用の電話番号に着信した場合、鳴動手段が鳴動動作を行わないので、電話端末装置が鳴動することはない。また、メッセージ応答用の電話番号に着信するとメッセージ通知手段は、識別データ受信手段によって受信された識別データにそれぞれ対応付けられたメッセージを、着信した電話番号の発信者に通知する。そして、識別データはユーザ毎に割り当てられた識別端末から発信されたものである。よって、識別端末と対応付けられたメッセージは、ユーザ毎に対応付けられたメッセージとなる。しがたって、発信者は、ユーザと対応付けられたメッセージを受信することができる。そして、発信者は、各ユーザに対応付けられたメッセージを受信することにより各ユーザの状況を確認することができる。
【0020】
なお、上記電話端末装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記各手段として動作させることにより上記電話端末装置をコンピュータにて実現させる電話端末装置の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明に係る電話端末装置は、複数の異なる電話番号が割り当てられた電話端末装置において、上記電話番号に着信があったときに必要に応じて鳴動する鳴動手段と、上記電話番号に着信があったときに必要に応じて所定のメッセージを通知するメッセージ通知手段とを備え、上記複数の異なる電話番号のうち、少なくとも1つの電話番号をメッセージ応答用電話番号に設定し、着信した電話番号が上記メッセージ応答用電話番号であるとき、上記鳴動手段は、鳴動動作を行わず、上記メッセージ通知手段は、着信した電話番号の発信者に所定のメッセージを通知するものである。
【0022】
これにより、着信した電話番号の発信者は、電話端末を鳴動させることなく、メッセージを受信することができる。
【0023】
また、本発明に係る電話端末装置の制御方法は、複数の異なる電話番号が割り当てられた電話端末装置の制御方法であって、鳴動手段が、上記電話番号に着信があったときに必要に応じて鳴動する鳴動ステップと、メッセージ通知手段が、上記電話番号に着信があったときに必要に応じて所定のメッセージを通知するメッセージ通知ステップとを含み、上記複数の異なる電話番号のうち、少なくとも1つの電話番号をメッセージ応答用電話番号に設定し、着信した電話番号が上記メッセージ応答用電話番号であるとき、上記鳴動ステップでは、上記鳴動手段が鳴動動作を行わないようにし、上記メッセージ通知ステップで、上記メッセージ通知手段が着信した電話番号の発信者に所定のメッセージを通知するように制御するものである。
【0024】
これにより、着信した電話番号の発信者は、電話端末を鳴動させることなく、メッセージを受信することができる。
【0025】
また、本発明に係る通信システムは、複数の異なる電話番号が割り当てられた電話端末装置と、該電話端末装置を使用するユーザに所有させるものであって、該ユーザ毎に割り当てられた識別データを発信する識別端末とで構成された通信システムにおいて、上記電話端末装置は、上記電話番号に着信があったときに必要に応じて鳴動する鳴動手段と、上記電話番号に着信があったときに必要に応じて所定のメッセージを通知するメッセージ通知手段とを備え、上記複数の異なる電話番号のうち、少なくとも1つの電話番号をメッセージ応答用電話番号に設定し、着信した電話番号が上記メッセージ応答用電話番号であるとき、上記鳴動手段は、鳴動動作を行わず、上記メッセージ通知手段は、着信した電話番号の発信者に所定のメッセージを通知するものである。
【0026】
これにより、着信した電話番号の発信者は、各ユーザに対応付けられたメッセージを受信することにより各ユーザの状況を確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の一実施の形態について図1から図5に基づいて説明すれば、以下のとおりである。本発明は、複数の異なる電話番号が割り当てられた、応答機能を有する一般的な電話端末装置すべてに適応できるが、ここでは、電話端末装置をファクシミリ装置とした場合を例に具体的に説明する。なお、ファクシミリ通信、電話通信等の通信機能については従来の方法を用いて行うことが可能であり、本明細書では通信機能についての詳細な説明は省略する。
【0028】
図1は、本実施の形態に係るファクシミリ装置100のブロック図である。図1に示すように、ファクシミリ装置100は、制御部101、記憶部(メッセージ記憶部)102、鳴動部(鳴動手段)105、モデム110、網制御部111、コードレス用制御回路112、アンテナ113、回線接続端子114、表示部121、キー操作部131、印刷部140、画像読み取り部141、およびID読み取り部(識別データ受信手段)151によって構成されている。そして回線接続端子114で公衆回線網300と接続している。また、ファクシミリ装置100と無線タグ(識別端末)200とで通信システムが構成されている。無線タグ200は、ID情報を有するタグで、無線通信によりID情報を送信することができる。これは、例えばRFID(Radio Frequency Identification)を用いることが考えられる。
【0029】
また、制御部101は、処理部103、応答部(メッセージ通知手段)104、表示制御部120、キー操作制御部130およびID検出部(識別データ受信手段)150によって構成されている。そして、図2はファクシミリ装置100の概観図である。ユーザは、表示部121に表示されている内容を見て、キー操作部131を用いてファクシミリ装置100における、着番号と応答メッセージの登録等の操作することができる。
【0030】
次にファクシミリ装置100の各部について説明する。ファクシミリ装置100は、公衆回線網300と回線接続端子114で接続されている。そして、回線接続端子114は網制御部111と接続されており、網制御部111は、回線接続端子114を介して、公衆回線網300の状況を監視すると共に、回線をモデム110側とコードレス用制御回路112側とに切り替える。
【0031】
応答部104は、外線からの着信があると処理部103を介して着信番号を示す着信番号情報を受信し、着信番号は何番かを認識する。そして、自動応答設定がされている電話番号と一致するか否かを判断する。そして自動応答設定がされている電話番号を一致すると判断すると、鳴動部105に対し鳴動を行わない指示信号を送信するとともに、ID検出部150に対し、ID検出を行うように指示信号を送信する。そして、ID検出部150から受信した、ID検出部150が検出したIDを示す信号から、該当するIDと対応する応答メッセージを記憶部102から取得する。そして、取得した応答メッセージを処理部103、モデム110、網制御部111および回線接続端子114を介して公衆回線網300へ送信する。また、検出したIDがなければ、その旨を応答メッセージとして送信する。応答メッセージの具体的な内容は後述する。また、自動応答の設定は、複数ある電話番号のうち、どの電話番号に対し自動応答を行うかを設定することで行う。
【0032】
ID検出部150は、処理部103を介して応答部104からIDを検出する信号を受信するとID読み取り部151でIDの読み取りを行う。そしてID読み取り部151で読み取ったIDを示す信号を応答部104へ送信する。
【0033】
ID読み取り部151は、検出可能な範囲内にある無線タグ200が有するIDを非接触で読み取ることが可能な装置である。ID読み取り部151は、ID検出部150からIDを読み取る信号を受信するとIDの読み取りを行い、読み取ったIDを示す信号をID検出部150へ送信する。
【0034】
記憶部102は、応答メッセージ、応答メッセージと対応する応答メッセージ番号、IDと応答メッセージ番号との対応関係を記憶している。図3に記憶部102が記憶しているIDと応答メッセージ番号との対応関係を示す設定テーブルを示す。図3は、IDと応答メッセージの割り当て設定テーブルと、割り当ての元となる応答メッセージテーブルである。
【0035】
図3に示すように、例えば、IDが「012345678999」だった場合、3番の応答メッセージである「ちょうなん」というメッセージが対応する。また、IDが「123123456456」だった場合、1番の応答メッセージである「おとうさん」というメッセージが対応する。以下、同じようにIDと応答メッセージが対応している。
【0036】
上記内容の記憶は以下のようにして行う。まず、ユーザは、識別したい個人が有する無線タグ200から個人を特定できるIDを、ID読み取り部151で読み取らせるか、キー操作部131を使用して直接入力するかなどして、記憶部102に記憶させる。次に、記憶部102に記憶されている応答メッセージから、記憶した個々のIDと対応する個人を説明づけられる内容の応答メッセージを選択し、上記IDに割り当てて記憶させる。
【0037】
なお、このとき、あらかじめファクシミリ装置100に保存されている応答メッセージに、IDに対応する個人を説明づけられるものが無かった場合、ユーザが自由に録音した音声データを応答メッセージとして割り当てることもできる。
【0038】
記憶部102は、上記設定テーブルだけではなく、ファクシミリ装置100を制御するプログラム、ユーザ設定値、および受信画像データ等、停電時も保存する必要がある情報等を記憶している。記憶部102の具体例としては、プログラムについては、読み出し専用のメモリであるROM(Read Only Memory)が挙げられ、一時的な処理のために記憶するものについてはRAM(Random Access Memory)が挙げられ、停電時も保存する必要がある情報等については、フラッシュメモリ等が挙げられる。
【0039】
処理部103は、記憶部102に記憶されているプログラムによりファクシミリ装置100の各部の処理を行う。これは、公衆回線網300からの信号、キー操作部131からの入力信号、ファクシミリ装置100の各部からの信号等をもとに上記プログラムにより処理を行う。
【0040】
鳴動部105は、電話の着信時等に音等で着信等を知らせるものである。これは、処理部103から信号を受信することによって行う。
【0041】
モデム110は、ファクシミリ装置100のディジタル信号を公衆回線網300に適したアナログ信号に変調するとともに、公衆回線網300のアナログ信号をファクシミリ装置100で行う処理のためにディジタル信号に復調する。
【0042】
表示部121は、ファクシミリ装置100における各処理の状態、ファクシミリ装置100で受信した画像、画像読み取り部141で読み取った画像等が表示される。ユーザは、表示部121に表示された内容を確認することにより、次の処理を指示することができる。また、受信した画像や読み取った画像が表示されるので、不必要な印刷を防ぐことができる。この表示部121は、各処理の状態や画像の表示ができれば、どのような表示装置で実現されてもよいが、例えば液晶表示装置が挙げられる。
【0043】
表示制御部120は、表示部121に表示させる表示内容を示す信号を処理部103を介して受信し、表示部121に送信する。
【0044】
キー操作部131は、ユーザによるファクシミリ装置100に対する処理の指示の入力を受けつける。キー操作制御部130は、キー操作部131によって受けつけられた指示を示す信号を受信し、処理部103を介して、信号に示された処理を行う各部へ送信する。
【0045】
ユーザは、表示部121に表示された、ファクシミリ装置100の各処理の状態および各パラメータ等の設定状況からファクシミリ装置100の状態を把握し、キー操作部131を用いることによって、ファクシミリ装置100の処理や各種パラメータ等の設定を行うことができる。
【0046】
印刷部140は、受信した、または画像読み取り部141が読み取った画像の印刷を行う。印刷部140で行う印刷の方式としては、サーマル方式、熱転写方式、インクジェット方式等が挙げられる。
【0047】
画像読み取り部141は、原稿を送信するときや、コピーするときの原稿を読み取る。画像読み取り部141で行う読み取り方式としては、レンズとCCDラインセンサの組合せによる縮小読み取り方式、ロッドレンズアレーを用いた密着センサー方式などが挙げられる。
【0048】
本実施の形態におけるファクシミリ装置100は、複数台のコードレス子機と接続することが可能である。そして、コードレス用制御回路112は、コードレス子機との通信を制御する。コードレス用制御回路112は、子機との接続のための通信路の探索、接続の確立、通話、電波発信、受信のためのチューナ等を含んでいる。アンテナ113は、子機との送受信を行う電波の発信、受信を行う。
【0049】
次に、ファクシミリ装置100が外線から着信し、終了するまでの処理の流れを図4、図5を用いて説明する。図4は、ファクシミリ装置100が外線を着信してから終了するまでの流れを示すフローチャート、図5は、着信後、IDを検出する場合のフローチャートである。
【0050】
図4に示すように、ファクシミリ装置100は外線着信がある(S401)と、着信番号を示す着信番号情報を受信する(S402)。そして、応答部104は、着信番号情報を解析して着信番号は何番かを認識する(S403)。次に、応答部104は、認識した着信番号が自動応答設定がされている番号と一致するか否かを判断する(S404)。
【0051】
そして、着信番号が自動応答設定されている番号と一致する場合(S404でYES)、着信音は鳴動することなく、応答部104は応答を行う(S405)。具体的には、応答メッセージを送信する。その後、応答メッセージの送信が終了すると、回線を切断して終了する(S407)。
【0052】
一方、着信番号が自動応答設定されている番号とは一致しない場合(S404でNO)、通常の外線着信となり、着信音が鳴動する(S406)。そして、外線終了後、回線を切断する(S407)。
【0053】
次に図5を用いて、応答を行うときに、IDを検出する場合の流れを説明する。ファクシミリ装置100は外線着信がある(S501)と、着信番号を示す着信番号情報を受信する(S502)。そして、応答部104は、着信番号情報を解析して着信番号は何番であるかを認識する(S503)。次に、応答部104は、認識した着信番号が自動応答設定がされている番号と一致するか否かを判断する(S504)。
【0054】
そして、着信番号が自動応答設定されている番号と一致する場合(S504でYES)、着信音は鳴動することなく、応答部104は応答を開始する(S505)。まずは、ID検出部150がID読み取り部151を介して、検出可能な範囲に存在する無線タグ200のIDを検出する(S506)。そして、検出されたIDがあれば(S506でYES)、応答部104は、検出されたIDと対応する応答メッセージを送信する(S507)。ここで、複数のIDを検出した場合は、検出したIDに対応するメッセージを順番に送信する。一方、IDが検出されなければ(S506でNO)、応答部104は、検出されたIDはなかった旨の送信を行う(S508)。そして、応答は終了し(S509)、回線を切断して終了する(S511)。
【0055】
一方、着信番号が自動応答設定されている番号とは一致しない場合(S504でNO)、通常の外線着信となり、着信音が鳴動する(S510)。そして、外線終了後、回線を切断する(S511)。
【0056】
(具体例)
ここで、本実施の形態を具体的に用いた場合の流れを説明する。まずファクシミリ装置100には、複数の異なる電話番号としてA、B、C、D、Eの5つ電話番号が割り当てられているとする。そして、ファクシミリ装置100のユーザとして、父a、母b、祖父c、長男d、長女eがいるものとする。そして各人が無線タグ200を所有しており、それぞれの無線タグ200のIDは、父aが「123123456456」、母bが「918273645000」、祖父cが「337744885599」、長男dが「012345678999」、長女eが「555666777888」とする。また、IDと応答メッセージとの対応は、図3に示す設定テーブルのとおりに設定されているものとし、相手に送信される内容は「現在の在宅者は(応答メッセージの内容)です。」となるものとする。
【0057】
まず、ファクシミリ装置100のどの番号を自動応答用にするかを設定する。ここでは、電話番号Dを自動応答用に設定したとする。そして、ファクシミリ装置100から無線タグ200のIDを検出できる範囲に祖父c、長男d、および長女eがいたとする。
【0058】
外線から、電話番号Dに対し、電話がかかってきた場合、電話番号Dは自動応答用なので、着信音が鳴動することなく、応答が開始される。そして、無線タグ200のID検出が行われ、祖父c、長男d、および長女eのIDが検出される。図3の設定テーブルによると、それぞれのIDに対応する応答メッセージは「おじいさん」、「ちょうなん」、および「ちょうじょ」なので、外線の相手には、「現在の在宅者は、“おじいさん”、“ちょうなん”、“ちょうじょ”です」というメッセージが送信される。また、検出されたIDがなければ「現在の在宅者は、いません」というメッセージが送信される。
【0059】
これにより、ユーザは、ファクシミリ装置100の特定の電話番号を自動応答用に設定すれば、その後に、自動応答設定をその都度変更することなく応答が可能となる。そして、電話がかかってきたときに着信音を鳴らすこともなく、電話の相手は、現在の在宅状況を知ることができる。例えば、母親が、「自宅に子供がいるか確認したいが眠っているかもしれない」というような状況のときに、子供を起こす虞がなく、子供の在宅状況を確認することができる。また、複数の電話番号のうちから任意の電話番号を自動応答用にするので、それ以外の他の電話番号には影響を及ぼさない。
【0060】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0061】
また、上記実施の形態ではファクシミリ装置として説明したが、本発明はファクシミリ装置に限られるものではなく、複数の異なる電話番号が割り当てられた、応答機能を有する一般的な電話端末装置であれば適用できる。
【0062】
最後に、ファクシミリ装置100の各ブロック、特に処理部103、応答部104、表示制御部120、キー操作制御部130、およびID検出部150は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0063】
すなわち、ファクシミリ装置100は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM、上記プログラムを展開するRAM、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアであるファクシミリ装置100の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記ファクシミリ装置100に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0064】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0065】
また、ファクシミリ装置100を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【産業上の利用可能性】
【0066】
電話端末装置を鳴動させることなく電話端末装置の所属ユーザの状況を確認できるので、電話端末装置を鳴動させずにユーザの状況を確認したい場合、例えば、小さい子供が電話端末装置の近辺で寝ている場合等に対応でき、小さい子供のいる家庭等の電話端末装置に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施形態を示すものであり、電話端末装置の要部構成を示すブロック図である。
【図2】上記電話端末装置の概観を示す図である。
【図3】上記電話端末装置の記憶部に記憶されている設定テーブルを示す図である。
【図4】上記電話端末装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】上記電話端末装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0068】
100 ファクシミリ装置
102 記憶部(メッセージ記憶部)
103 処理部
104 応答部(メッセージ通知手段)
105 鳴動部(鳴動手段)
110 モデム
111 網制御部
112 コードレス用制御回路
113 アンテナ
114 回線接続端子
120 表示制御部
121 表示部
130 キー操作制御部
131 キー操作部
140 印刷部
141 画像読み取り部
150 ID検出部(識別データ受信手段)
151 ID読み取り部(識別データ受信手段)
200 無線タグ(識別端末)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の異なる電話番号が割り当てられた電話端末装置において、
上記電話番号に着信があったときに必要に応じて鳴動する鳴動手段と、
上記電話番号に着信があったときに必要に応じて所定のメッセージを通知するメッセージ通知手段とを備え、
上記複数の異なる電話番号のうち、少なくとも1つの電話番号をメッセージ応答用電話番号に設定し、着信した電話番号が上記メッセージ応答用電話番号であるとき、
上記鳴動手段は、鳴動動作を行わず、
上記メッセージ通知手段は、着信した電話番号の発信者に所定のメッセージを通知することを特徴とする電話端末装置。
【請求項2】
上記電話端末装置を使用するユーザを識別するための識別データを無線通信により受信する識別データ受信手段を備え、
上記メッセージ通知手段は、上記識別データ受信手段によって受信された識別データそれぞれに対応付けられたメッセージを上記発信者に通知することを特徴とする請求項1に記載の電話端末装置。
【請求項3】
上記メッセージ通知手段が通知するメッセージを識別データに対応付けて記憶するメッセージ記憶部を備え、
上記メッセージ通知手段は、上記識別データ受信手段によって受信された識別データに対応付けられたメッセージを、上記メッセージ記憶部から読み出して、上記発信者に通知することを特徴とする請求項2に記載の電話端末装置。
【請求項4】
上記メッセージ通知手段が通知するメッセージは、書き換え可能であることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の電話端末装置。
【請求項5】
複数の異なる電話番号が割り当てられた電話端末装置の制御方法であって、
鳴動手段が、上記電話番号に着信があったときに必要に応じて鳴動する鳴動ステップと、
メッセージ通知手段が、上記電話番号に着信があったときに必要に応じて所定のメッセージを通知するメッセージ通知ステップとを含み、
上記複数の異なる電話番号のうち、少なくとも1つの電話番号をメッセージ応答用電話番号に設定し、着信した電話番号が上記メッセージ応答用電話番号であるとき、
上記鳴動ステップでは、上記鳴動手段が鳴動動作を行わないようにし、
上記メッセージ通知ステップで、上記メッセージ通知手段が着信した電話番号の発信者に所定のメッセージを通知するように制御することを特徴とする電話端末装置の制御方法。
【請求項6】
複数の異なる電話番号が割り当てられた電話端末装置と、該電話端末装置を使用するユーザに所有させるものであって、該ユーザ毎に割り当てられた識別データを発信する識別端末とで構成された通信システムにおいて、
上記電話端末装置は、
上記電話番号に着信があったときに必要に応じて鳴動する鳴動手段と、
上記電話番号に着信があったときに必要に応じて所定のメッセージを通知するメッセージ通知手段とを備え、
上記複数の異なる電話番号のうち、少なくとも1つの電話番号をメッセージ応答用電話番号に設定し、着信した電話番号が上記メッセージ応答用電話番号であるとき、
上記鳴動手段は、鳴動動作を行わず、
上記メッセージ通知手段は、着信した電話番号の発信者に所定のメッセージを通知することを特徴とする通信システム。
【請求項7】
請求項1から4までのいずれか1項に記載の電話端末装置を動作させる電話端末装置の制御プログラムであって、コンピュータを上記の各手段として機能させるための電話端末装置制御プログラム。
【請求項8】
請求項7に記載の電話端末装置制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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