説明

自動扉制御装置、自動扉システム及び自動扉制御方法

【課題】停止位置にて停止した扉に対して、人為的に扉を移動させようとする外力が加わった場合であっても、扉の移動を防止することができる自動扉制御装置、自動扉システム及び自動扉制御方法を提供する。
【解決手段】停止状態の自動扉に外力が加えられ、モータ22の駆動方向とは逆向きに扉が所定距離だけ移動した場合に、インバータ14が出力する駆動電圧の進角値を遅らせると共に、電圧値を増加させてモータ22の駆動を行う。また、モータ22に高い駆動トルクを発生させている状態で、扉が停止した状態の継続時間が閾値を超えた場合に、モータ22の駆動トルクを低減する。また、扉に加えられた外力に抗して高い駆動トルクをモータ22にて発生させる時間を閾値にて制限する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動扉の開閉制御を行う自動扉制御装置、自動扉システム及び自動扉制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、列車等の駅のプラットホームにおいて、乗客又は乗客が所持する荷物等が線路へ転落することを未然に防止するための安全対策として、自動扉の設置が進められている。自動扉は駅に停車する車輌の乗降口に対応してプラットホームに複数設置され、列車等の到着後に開動作がなされると共に、列車の発車前に閉動作がなされ、扉の開閉動作は自動扉制御装置によって制御されている。
【0003】
このような自動扉では、扉が開端又は閉端の停止位置にてストッパに当接した状態であっても、自動扉制御装置は扉開閉のためのモータを駆動して扉をストッパへ押し付けている。この状態で扉を強制的に開閉する人為的な力が加わり、この力が扉をストッパへ押し付ける力を上回った場合に、扉が移動し始める。人為的な扉の開閉を防止するために、例えば励磁作動型電磁ブレーキを用い、扉を停止位置へ移動させた後に励磁作動型電磁ブレーキに通電して、扉の移動を制限する構成とすることができる。しかしこのような構成では、励磁作動型電磁ブレーキを搭載することによるコストの増大及び装置の大型化等の問題が生じると共に、励磁作動型電磁ブレーキを制御するための機構及び電気回路等が複雑化するという問題が生じる。
【0004】
特許文献1においては、戸閉時にドアが開けられないように保持する場合に、通常は低いトルクでドアを戸閉方向に押し付けておき、ドアが開けられそうになったことを検知して高いトルクを発生するようにDCブラシレスモータを制御するエレベータドア開閉装置が提案されている。
【0005】
特許文献2においては、スライド移動可能に構成され且つ外枠体の内側に当接して出入口が閉鎖状態となるドア本体と、出入口が閉鎖状態となる寸前にドア本体を外枠体へ押し付ける駆動装置と、ドア本体の近くに人体が存在しているか否かを赤外線センサにて検出し、人体の存在を検出している場合には、ドア本体の外枠体へ向けての押し付けを規制する制御装置とを備えたドア装置が提案されている。このドア装置は、出入者がいる場合には、出入者が通常と変わらず意図的にドア本体をスライド移動させることができ、出入者がいない場合には、ドア本体を外枠体に隙間なく密着させて閉鎖状態とすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−104650号公報
【特許文献2】特開2007−138634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら特許文献1に記載のエレベータドア開閉装置は、モータに高いトルクを発生させるため、モータに通電している電流値を増加させる構成である。このため、人為的に扉が開かれることを想定して予め高いトルクを発生できるモータを搭載しなければならないが、人為的に扉が開かれることは稀である。通常のドアの開閉ではこのような高いトルクは必要ないため、高いトルクを発生できるモータを搭載することは無駄が多いという問題があると共に、高いトルクを発生するモータは大型且つ高コストであることから、装置の大型化且つ高コスト化等の問題がある。
【0008】
特許文献2に記載のドア装置は、人為的に扉を開く外力が加わった場合には、この扉を開く構成である。このため、特許文献2に記載の技術は、上記の問題を解決し得るものではない。
【0009】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、停止位置にて停止した扉に対して、人為的に扉を移動させようとする外力が加わった場合であっても、扉の移動を防止することができる自動扉制御装置、自動扉システム及び自動扉制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る自動扉制御装置は、扉を開閉させるブラシレスDCモータと、該ブラシレスDCモータの回転を検出する回転検出部と、該回転検出部の検出結果に応じて前記扉の位置を特定する扉位置特定手段と、開端又は閉端の停止位置で前記扉が停止した状態を維持するように前記扉を付勢すべく、前記ブラシレスDCモータへ駆動電圧を出力するモータ駆動手段とを備える自動扉制御装置において、前記モータ駆動手段の駆動による前記ブラシレスDCモータの回転に逆らって、前記扉が所定距離を超えて移動されたことを、前記扉位置特定手段による前記扉の位置の特定結果に基づいて判定する扉移動判定手段を備え、前記モータ駆動手段は、前記扉が所定距離を超えて移動されたと前記扉移動判定手段が判定した場合に、電圧を増加させると共に位相を遅らせた駆動電圧を前記ブラシレスDCモータへ出力するようにしてあることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る自動扉制御装置は、前記モータ駆動手段が、前記扉を開閉させる場合に、前記扉が前記停止位置に達する直前は第1の電圧及び第1の位相の駆動電圧を前記ブラシレスDCモータへ出力し、前記扉が停止位置に達した状態では、前記第1の電圧より低い第2の電圧及び前記第1の位相の駆動電圧を前記ブラシレスDCモータへ出力し、前記扉が所定距離を超えて移動されたと前記扉移動判定手段が判定した場合は、前記第1の電圧より高い第3の電圧及び前記第1の位相より遅らせた第2の位相の駆動電圧を前記ブラシレスDCモータへ出力するようにしてあることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る自動扉制御装置は、電圧を増加させると共に位相を遅らせた駆動電圧を前記モータ駆動手段が前記ブラシレスDCモータへ出力し、且つ、前記扉位置特定手段が特定する前記扉の位置が変化しない状態の継続時間を計時するタイマを備え、前記モータ駆動手段は、前記タイマが計時した継続時間が所定時間を超えた場合に、駆動電圧の電圧を低減する、及び/又は、駆動電圧の位相を進めるようにしてあることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る自動扉制御装置は、電圧を増加させると共に位相を遅らせた駆動電圧を前記モータ駆動手段が前記ブラシレスDCモータへ出力した状態の継続時間を計時するタイマを備え、前記モータ駆動手段は、前記タイマが計時した継続時間が所定時間を超えた場合に、駆動電圧の電圧を低減する、及び/又は、駆動電圧の位相を進めるようにしてあることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る自動扉システムは、開閉する扉と、該扉を開閉させるブラシレスDCモータ、該ブラシレスDCモータの回転を検出する回転検出部、該回転検出部の検出結果に応じて前記扉の位置を特定する扉位置特定手段、及び、開端又は閉端の停止位置で前記扉が停止した状態を維持するように前記扉を付勢すべく、前記ブラシレスDCモータへ駆動電圧を出力するモータ駆動手段を有する自動扉制御装置とを備える自動扉システムにおいて、前記自動扉制御装置は、前記モータ駆動手段の駆動による前記ブラシレスDCモータの回転に逆らって、前記扉が所定距離を超えて移動されたことを、前記扉位置特定手段による前記扉の位置の特定結果に基づいて判定する扉移動判定手段を有し、前記自動扉制御装置の前記モータ駆動手段は、前記扉が所定距離を超えて移動されたと前記扉移動判定手段が判定した場合に、電圧を増加させると共に位相を遅らせた駆動電圧を前記ブラシレスDCモータへ出力するようにしてあることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る自動扉制御方法は、扉を開閉させるブラシレスDCモータの回転を検出して前記扉の位置を特定し、開端又は閉端の停止位置で前記扉が停止した状態を維持するように前記扉を付勢すべく、前記ブラシレスDCモータへ駆動電圧を出力し、該駆動電圧による前記ブラシレスDCモータの回転に逆らって、前記扉が所定距離を超えて移動されたか否かを判定し、前記扉が所定距離を超えて移動されたと判定した場合に、電圧を増加させると共に位相を遅らせた駆動電圧を前記ブラシレスDCモータへ出力することを特徴とする。
【0016】
自動扉を開閉させる場合、移動開始位置から扉を加速させ、その後、高速移動、減速移動、低速移動の順に移動速度を切り替えて、扉を移動させる。扉がストッパに当接して停止位置で停止する直前の低速移動において、扉を開閉するためのブラシレスDCモータには第1の電圧及び第1の位相による駆動電圧を印加する。また、開端又は閉端の停止位置で扉が(例えばストッパに当接して)停止した状態では、ブラシレスDCモータに第1の電圧より低い第2の電圧及び第1の位相による駆動電圧を印加し、扉が停止した状態を維持するように(扉をストッパへ押し付けた状態を保つように)付勢する。
本発明においては、人為的な外力によってブラシレスDCモータによる付勢に逆らって扉が移動され、この移動距離が所定距離を超えた場合、ブラシレスDCモータに第1の電圧より高い第3の電圧及び第1の位相より遅らせた第2の位相による駆動電圧を印加する。ブラシレスDCモータは、位相(いわゆる進角又は進み角)を制御することによって速度及びトルク等を調整することができる。位相を進める(進角を増加させる)ことで高速回転及び低トルクを実現でき、位相を遅らせる(進角を減少させる)ことで低速回転及び高トルクを実現できる。このため、人為的に扉が移動された場合に、ブラシレスDCモータに印加する駆動電圧の電圧を高めると共に、駆動電圧の進角を遅らせることによって、ブラシレスDCモータにて高いトルクを発生させることができ、扉を移動させる外力に抗することができる。ブラシレスDCモータに印加する駆動電圧の電圧のみを高める場合と比較して、駆動電圧の電圧を高めると共に駆動電圧の進角を遅らせることによって、ブラシレスDCモータにより高いトルクを発生させることができる。換言すれば、小型のブラシレスDCモータであっても十分に外力に抗するトルクを発生させることが可能となるため、ブラシレスDCモータの大型化及び高コスト化を抑制できる。
【0017】
また、閉じられた状態の扉が人為的に開かれた場合、その後に扉に人又は物等が挟まれる虞がある。人又は物等が扉に挟まれた状態では、上記のように扉を閉じる方向へブラシレスDCモータが高トルクを発生させることは危険を伴う虞がある。そこで本発明においては、扉に人又は物等が挟まれた場合には扉が移動しない状態が継続されることから、ブラシレスDCモータにて高トルクを発生させ且つ扉が移動しない状態が所定時間を超えて継続した場合に、駆動電圧の電圧を低減する及び/又は位相を進めることによって、ブラシレスDCモータのトルクを低減する。これにより、自動扉の安全性を高めることができる。
【0018】
また、ブラシレスDCモータによる扉の移動に抗して人為的に扉を移動させる状態が長期間に亘って継続されることは危険を伴う虞があると共に、自動扉が故障する虞がある。そこで本発明においては、ブラシレスDCモータにて高トルクを発生させた状態が所定時間を超えて継続した場合に、駆動電圧の電圧を低減する及び/又は位相を進めることによって、ブラシレスDCモータのトルクを低減する。これにより、自動扉の安全性を高めることができ、自動扉の故障を防止できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明による場合は、停止位置にて停止した扉に対して、人為的に扉を移動させようとする外力が加わった場合に、扉を移動させるブラシレスDCモータへの駆動電圧の電圧を高めると共に位相を遅らせて外力に抗する構成とすることにより、小型のブラシレスDCモータであっても十分に外力に抗するトルクを発生させることができるため、ブラシレスDCモータの大型化及び高コスト化を抑制しつつ、人為的な扉の移動を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施の形態に係る自動扉システムを模式的に示す説明図である。
【図2】モータ駆動装置の構成を示すブロック図である。
【図3】モータの駆動制御を説明するための速度線図及びトルク線図である。
【図4】モータのトルク及び回転速度の特性を示すグラフである。
【図5】外力が加えられた場合の左扉の動作を説明するための模式図である。
【図6】モータの駆動制御を説明するための速度線図及びトルク線図である。
【図7】モータの駆動制御を説明するための速度線図及びトルク線図である。
【図8】左扉を閉じる場合の制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】左扉を閉じる場合の制御処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。図1は、本実施の形態に係る自動扉システムを模式的に示す説明図である。図1において100は自動扉システムであり、自動扉システム100は、左扉2及び右扉3と、これら左右扉2、3それぞれを駆動及び制御する2組の駆動制御機構とを備えている。左扉2を駆動及び制御する駆動制御機構は、減速機21、ブラシレスDCモータ(以下、「モータ」と呼ぶ)22、ロータ位置検出器23、歯付ベルト24、駆動プーリ25、従動プーリ26、左扉開端ストッパ27、左扉閉端ストッパ28、ブラシレスDCモータ駆動装置(以下、「モータ駆動装置」と呼ぶ)29を有する。右扉3を駆動及び制御する駆動制御機構は、減速機31、モータ32、ロータ位置検出器33、歯付ベルト34、駆動プーリ35、従動プーリ36、右扉開端ストッパ37、右扉閉端ストッパ38、モータ駆動装置39を有する。
【0022】
自動扉システム100の動作概要を説明する。ここでは、左扉2の開閉動作を例に挙げて説明するが、右扉3の開閉動作も同様である。
モータ22が回転することにより、減速機21の出力軸が回転する。減速機21の出力軸が回転することにより、その出力軸に連結された駆動プーリ25が回転する。駆動プーリ25が回転することにより、駆動プーリ25及び従動プーリ26の歯と噛み合う歯付ベルト24は移動する。左扉2は、歯付ベルト24に連結され、モータ22の回転方向に従って開閉動作を行う。
【0023】
ロータ位置検出器23は、ロータ位置信号をモータ駆動装置29へ出力する。モータ駆動装置29は、ロータ位置信号に基づいて、モータ22の回転量に応じたパルス数を有するパルス信号を作成し、作成したパルス信号に基づいてモータ22を駆動する。
【0024】
左扉2は、図示しない戸車及びガイドレールにより支持された状態で開閉動作を行う。左扉2の移動範囲は、左扉開端ストッパ27及び左扉閉端ストッパ28により制限されている。すなわち、左扉2の閉動作時、左扉2は左扉開端ストッパ27の位置から移動を開始し、左扉閉端ストッパ28の位置で停止する。左扉の開動作時、左扉2は左扉閉端ストッパ28の位置から移動を開始し、左扉開端ストッパ27の位置で停止する。
【0025】
図2は、モータ駆動装置の構成を示すブロック図である。以下の説明では、左扉2を駆動及び制御する駆動制御機構に含まれるモータ駆動装置29を例として挙げて説明するが、モータ駆動装置39の構成も同様である。
【0026】
モータ駆動装置29は、交流電源10、モータ22、扉開閉信号発生部20及びロータ位置検出器23に接続されている。
交流電源10は、モータ駆動装置29の端子L1−L2を介して、交流の電力をモータ駆動装置29に供給する。モータ駆動装置29は、駆動電圧をモータ22へ与えると共に、この駆動電圧の電圧値及び位相の制御を行う。扉開閉信号発生部20は、端子D1〜D3を介して、扉開信号20a又は扉閉信号20bをモータ駆動装置29に与える。
【0027】
ロータ位置検出器23は、モータ22の回転を検出し、モータ22の回転量に応じたロータ位置信号rをモータ駆動装置29に与える。ロータ位置検出器23は、例えばモータ22のロータの位置に応じて変化するパルス信号を出力する3個のホール素子を用いて構成することができ、ロータ位置信号rは、これらホール素子が出力する3つのパルス信号とすることができる。
【0028】
モータ駆動装置29は、直流電源11、制御電源12、制動回路13、インバータ14及び駆動制御部41を有する。
直流電源11は、コンバータ11a及び平滑コンデンサ11bを有する。コンバータ11aは、交流電源10からの交流電圧・電流を直流電圧・電流に変換する。平滑コンデンサ11bは、その直流電圧・電流に対して平滑化を行い、直流電源11のP−N間に直流電圧Edを与える。制御電源12は、制御電源電圧Vccを出力し、駆動制御部41に与える。制動回路13は、モータ22に制動力を発生させる。インバータ14は、後述するインバータ駆動信号mに基づいて、端子U,V,Wからモータ22へモータ電流を与える。
【0029】
駆動制御部41は、扉開閉制御部42、インバータ駆動制御部16、位置パルス信号生成部17及び回転方向判別部18を有する。駆動制御部41は、扉開信号20a、扉閉信号20b及びロータ位置信号rに基づいて、モータ駆動装置29内部の制御を行うための各種制御信号を作成する。また駆動制御部41は、ロータ位置信号rのパルス数を計数することにより、自動扉の移動位置を算出する機能を有する。
【0030】
位置パルス信号生成部17及び回転方向判別部18夫々は、ロータ位置信号rに基づいて、位置パルス信号f及び回転方向判別信号cを作成し、扉開閉制御部42に与える。位置パルス信号生成部17は、例えばロータ位置信号rとして与えられた3つのパルス信号の周波数の3倍又は6倍等の周波数の位置パルス信号fを生成して出力する。回転方向判別部18は、ロータ位置信号rに基づいてモータ22の回転方向を判別し、その結果に基づき、正転方向又は逆転方向のいずれかの方向を示す回転方向判別信号cをカウンタ部44へ与える。回転方向判別部18は、例えばロータ位置信号rとして与えられた3つのパルス信号がハイレベルからローレベルへ又はローレベルからハイレベルへ変化する順序などに応じて、回転方向を判別することができる。
【0031】
扉開閉制御部42は、回転速度記憶部43、カウンタ部44、タイマ部45及び通電位相記憶部46を有する。
回転速度記憶部43は、後述する高速回転速度N1及び低速回転速度N2を記憶する。
自動扉の開動作時、カウンタ部44は、初期値に対して、位置パルス信号fから得られるパルス数を加算することにより移動中の扉の位置を特定する。自動扉の閉動作時、カウンタ部44は、初期値に対して、位置パルス信号fから得られるパルス数を減算することにより移動中の扉の位置を特定する。またカウンタ部44は、自動扉の閉動作時の減速開始位置に対応する計数値を記憶する記憶部Cnt2A、自動扉の開動作時の減速開始位置に対応する計数値を記憶する記憶部Cnt2B、自動扉の開端位置に対応する計数値を記憶する記憶部Cnt4、及び、自動扉の外力による移動を判定するための計数値を記憶する記憶部Cnt7xを有している。
タイマ部45は、位置パルス信号生成部17からの位置パルス信号fの入力間隔(即ち、パルス幅)を計時すると共に、この計時結果に基づいて自動扉の挟み込みを検知するための閾値Tm1を記憶する記憶部を有している。またタイマ部45は、自動扉に対して人為的に外力が加えられた状態の継続時間を計時すると共に、この計時結果に基づいてモータ22のトルク制御を行うための閾値Tm2を記憶する記憶部を有している。
通電位相記憶部46は、インバータ14のモータ22に対する通電位相(進角)を制御するための進角値として、第1の進角値θ1及び第2の進角値θ2を記憶している。なお、進角値θ1>進角値θ2であり、通常の自動扉の開閉時は進角値θ1が用いられる。また進角値θ2は負の値であってよい。
【0032】
扉開閉制御部42は、回転速度記憶部43に記憶された回転速度、カウンタ部44の計数値、タイマ部45の計時結果、及び、通電位相記憶部46に記憶された進角値に基づいて、扉2の開閉動作などを制御するための3つの信号(回転方向指令d、回転速度指令e、通電位相指令a)を生成してインバータ駆動制御部16へ与える。
【0033】
インバータ駆動制御部16は、回転方向指令d、回転速度指令e及び通電位相指令aに基づいて、インバータ駆動信号mを作成し、インバータ14へ与える。インバータ14は、インバータ駆動信号mに基づいた電圧値及び通電位相の駆動電圧を生成し、モータ22へ与える。
【0034】
以下、自動扉システム100における左扉2の閉動作時の動作について説明する。右扉3の閉動作時の動作も同様であるため説明は省略する。
左扉2が左扉開端ストッパ27の位置で停止している場合のカウンタ部44の計数値PC4は、記憶部Cnt4に記憶されている。また、左扉2が左扉閉端ストッパ28に到達するときの計数値は0である。また、左扉2の閉動作時の減速開始位置に対応する計数値PC2Aは、記憶部Cnt2Aに記憶されている。PC2Aは、PC4、自動扉の開閉時間、自動扉の重量及び自動扉の最高速度に基づき算出される。
左扉2が左扉開端ストッパ27と左扉閉端ストッパ28の間に位置するときのカウンタ部44の計数値は、左扉2の左扉閉端ストッパ28からの移動位置を示す。
【0035】
扉閉信号20bが入力された場合、駆動制御部41は、回転速度記憶部43から高速回転速度N1を読み出して、その高速回転速度N1に対応する回転速度指令eをインバータ駆動制御部16に与えると共に、左扉2を閉じる方向へ移動させるためのモータ22の回転方向を回転方向指令dとしてインバータ駆動制御部16に与える。また駆動制御部41は、通電位相記憶部46から進角値θ1を読み出して、その進角値θ1に対応する通電位相指令aをインバータ駆動制御部16に与える。
【0036】
回転速度指令eは、モータ22の回転速度を高速回転速度N1まで加速させるための指令である。その回転速度指令eを受けたインバータ駆動制御部16は、進角値θ1の通電位相でモータ22を駆動し、モータ22を高速回転速度N1で回転させるべく、インバータ駆動信号mを生成してインバータ14へ与える。インバータ14は、進角値θ1の駆動電圧を印加してモータ22を回転させ、これにより左扉2が閉方向へ移動開始する。このとき、カウンタ部44は位置パルス信号fから得られるパルス数を減算し続ける。駆動制御部41は、回転速度記憶部43に記憶されている高速回転速度N1をモータ22の目標回転速度として設定し、モータ22の回転速度が目標回転速度まで加速するように、インバータ駆動制御部16を介してインバータ14を制御する。モータ22の回転速度が高速回転速度N1に達した後、モータ22は高速回転速度N1で回転し続け、左扉2の閉動作が継続する。
【0037】
カウンタ部44の計数値が記憶部Cnt2Aに記憶されている減速開始位置に対応する計数値PC2Aと一致した場合、駆動制御部41は、回転速度記憶部43に記憶されている低速回転速度N2をモータ22の目標回転速度として設定する。これにより、モータ22は、低速回転速度N2の状態で回転し、その回転数で左扉2の閉動作が継続する。カウンタ部44は位置パルス信号fから得られるパルス数を減算し続け、カウンタ部44の計数値が0になると、駆動制御部41は、モータ22の回転を停止させるための回転速度指令eをインバータ駆動制御部16へ与える。その回転速度指令eを受けたインバータ駆動制御部16は、モータ22の回転を停止させるためのインバータ駆動信号mをインバータ14へ与える。そのインバータ駆動信号mを受けたインバータ14は、モータ22の回転を停止させ、移動していた左扉2は左扉閉端ストッパ28の位置で停止する。
【0038】
カウンタ部44の計数値が0になった場合、左扉2は左扉閉端ストッパ28に当接して停止し、左扉2が左扉閉端ストッパ28に押し付けられた状態となる。このとき、モータ22の回転速度は低速回転速度N2から0に低下するため、モータ22の駆動トルクは増大する。
またカウンタ部44の計数値が0になった場合、駆動制御部41は、左扉2が左扉閉端ストッパ28に当接して停止したと判断し、インバータ14の駆動電圧が低下するように回転速度指令eを生成してインバータ駆動制御部16へ与える。インバータ駆動制御部16は、この回転速度指令eに応じたインバータ駆動信号mを生成してインバータ14へ出力し、これによりインバータ14は、駆動電圧を低下させてモータ22への通電を行い、モータ22の駆動トルクが低下し、左扉2はこのトルクによって左扉閉端ストッパ28へ押し付けられる。
その後、モータ22は回転を停止した状態で、低い駆動トルクを出力し続ける。なお、このときにインバータ14が出力する駆動電圧は、連続的にモータ22に印加された場合であっても、モータ22が加熱などしないように、その電圧値などが予め定められている。左扉2が閉じて停止している状態でモータ22が駆動トルクを出力し続けることにより、例えば左扉2が風などの力によって開かれることを防止できる。
【0039】
以下、自動扉システム100における左扉2の開動作時の動作について説明する。右扉3の開動作時の動作も同様であるため説明は省略する。
左扉2が左扉閉端ストッパ28の位置で停止している場合のカウンタ部44の計数値は0である。また、左扉2が左扉開端ストッパ27の位置に到達するときの計数値PC4は、記憶部Cnt4に記憶されている。また、左扉2を開く場合の移動区間の減速開始位置に対応する計数値PC2Bは、記憶部Cnt2Bに記憶されている。PC2Bは、PC4、自動扉の開閉時間、自動扉の重量及び自動扉の最高速度に基づき算出される。
左扉2が左扉閉端ストッパ28と左扉開端ストッパ27の間に位置するときのカウンタ部44の計数値は、左扉2の左扉閉端ストッパ28からの移動位置を示す。
【0040】
上述したPC2A及びPC2Bは、左扉2が開端に到達したときのカウンタ部44の計数値PC4に基づいて算出される。PC2A及びPC2Bは、例えば、以下の式で算出される。
PC2A=0.3×PC4
PC2B=0.7×PC4
尚、係数の0.3及び0.7は一例であって、自動扉の移動範囲(移動距離)、開閉時間、自動扉の重量、又は、自動扉の最高速度等に応じて他の値に変更してもよい。
【0041】
扉開信号20aが入力された場合、駆動制御部41は、回転速度記憶部43から高速回転速度N1を読み出し、その高速回転速度N1に対応する回転速度指令eをインバータ駆動制御部16に与えると共に、左扉2を開く方向へ移動させるためのモータ22の回転方向を回転方向指令dとしてインバータ駆動制御部16に与える。また駆動制御部41は、通電位相記憶部46から進角値θ1を読み出して、その進角値θ1に対応する通電位相指令aをインバータ駆動制御部16に与える。
【0042】
回転速度指令eは、モータ22の回転速度を高速回転速度N1まで加速させるための指令である。その回転速度指令eを受けたインバータ駆動制御部16は、進角値θ1の通電位相でモータ22を駆動し、モータ22を高速回転速度N1で回転させるべく、インバータ駆動信号mをインバータ14に与える。インバータ14は、進角値θ1の駆動電圧を印加してモータ22を回転させ、これにより左扉2が開方向へ移動開始する。このとき、カウンタ部44は位置パルス信号fから得られるパルス数を加算し続ける。駆動制御部41は、回転速度記憶部43に記憶されている高速回転速度N1をモータ22の目標回転速度として設定し、モータ22の回転速度が目標回転速度まで加速するように、インバータ駆動制御部16を介してインバータ14を制御する。モータ22の回転速度が高速回転速度N1に達した後、モータ22は、高速回転速度N1で回転し続け、左扉2の開動作が継続する。
【0043】
カウンタ部44の計数値が記憶部Cnt2Bに記憶されている減速開始位置に対応する計数値PC2Bと一致した場合、駆動制御部41は、回転速度記憶部43に記憶されている低速回転速度N2をモータ22の目標回転速度として設定する。これにより、モータ22は、低速回転速度N2の状態で回転し、その回転数で左扉2の開動作が継続する。カウンタ部44は位置パルス信号fから得られるパルス数を加算し続け、カウンタ部44の計数値が記憶部Cnt4に記憶されているPC4と一致したとき、駆動制御部41は、モータ22の回転を停止させるための回転速度指令eをインバータ駆動制御部16へ与える。その回転速度指令eを受けたインバータ駆動制御部16は、モータ22の回転を停止させるためのインバータ駆動信号mをインバータ14へ与える。そのインバータ駆動信号mを受けたインバータ14は、モータ22の回転を停止させ、移動していた左扉2は左扉開端ストッパ27の位置で停止する。
【0044】
カウンタ部44の計数値がPC4になった場合、左扉2は左扉開端ストッパ27に当接して停止し、左扉2が左扉開端ストッパ27に押し付けられた状態となる。このとき、モータ22の回転速度は低速回転速度N2から0に低下するため、モータ22の駆動トルクは増大する。
またカウンタ部44の計数値がPC4になった場合、駆動制御部41は、左扉2が左扉開端ストッパ27に当接して停止したと判断し、インバータ14の駆動電圧が低下するように回転速度指令eを生成してインバータ駆動制御部16へ与える。インバータ駆動制御部16は、この回転速度指令eに応じたインバータ駆動信号mを生成してインバータ14へ出力し、これによりインバータ14は、駆動電圧を低下させてモータ22への通電を行い、モータ22の駆動トルクが低下し、左扉2はこのトルクによって左扉開端ストッパ27へ押し付けられる。
その後、モータ22は回転を停止した状態で、低い駆動トルクを出力し続ける。なお、このときにインバータ14が出力する駆動電圧は、連続的にモータ22に印加された場合であっても、モータ22が加熱などしないように、その電圧値などが予め定められている。左扉2が開いて停止している状態でモータ22が駆動トルクを出力し続けることにより、例えば左扉2が風などの力によって閉じられることを防止できる。
【0045】
尚、モータ22の正逆の回転方向と自動扉の開閉との関係は自動扉を駆動する機構により異なるため、モータ22の正転/逆転を判別した回転方向判別信号cとカウンタ部44の加算及び減算との関係は、自動扉を駆動する機構に基づいて予め決定される。
【0046】
<自動扉の基本動作>
図3は、モータ22の駆動制御を説明するための速度線図及びトルク線図である。これら速度線図(上段参照)及びトルク線図(下段参照)は同じ時間軸(t)で示されている。尚、説明を簡略化するため、速度線図及びトルク線図を直線(折れ線)で描いている。また図4は、モータ22のトルク及び回転速度の特性を示すグラフである。図4に示すように、モータ22のトルク及び回転速度は、いずれか一方を大きくすると他方が小さくなるように変化する関係にあり、この変化の傾きはモータに印加する駆動電圧の進角値にて決定され、トルク及び回転速度の大きさは駆動電圧の電圧値に依存する。本実施の形態に係る自動扉システム100では、進角値をθ1又はθ2のいずれかに設定可能であり(ただしθ2<θ1)、電圧値をE1〜E4のいずれかに設定可能である(ただしE3<E2<E1≦E4)。
なお電圧値E2が第1の電圧に対応し、電圧値E3が第2の電圧に対応し、電圧値E4が第3の電圧値に対応する。また進角値θ1が第1の位相に対応し、進角値θ2が第2の位相に対応する。
【0047】
自動扉の閉動作時のモータ22の回転速度及びトルクの変化を、図3及び図4を用いて説明する。なお、自動扉の開動作時も同様であるため、開動作についての説明は省略する。
扉閉信号20bが駆動制御部41に入力された時刻を時刻t0とする。扉閉信号20bが入力された場合、駆動制御部41の扉開閉制御部42は、左扉2を閉じる回転方向を示す回転方向指令d、目標回転速度として回転速度N1を示す回転速度指令e及び進角値θ1を示す通電位相指令aをインバータ駆動制御部16へ与える。インバータ駆動制御部16がこれらの指令に応じたインバータ駆動信号mを出力することによって、インバータ14は左扉2が閉じる方向へ、進角値θ1で電圧値を0からE1(回転速度N1に対応する電圧値)へ上昇させながらモータ22への通電を開始することにより、モータ22が始動し、左扉2が閉動作を開始する。なお、これ以降はモータ22の回転方向は変わらないため、回転方向に関する説明は省略する。
【0048】
時刻t0〜t1の間、インバータ14は進角値θ1で電圧値を0からE1へ連続的に上昇させながらモータ22へ駆動電圧を印加する。これによりモータ22は駆動トルクTL1を出力して、高速回転速度N1を目標回転速度として加速し、時刻t1にて加速が完了して高速回転速度N1に達する。
時刻t1〜t2の間、インバータ14は進角値θ1且つ電圧値E1の駆動電圧でモータ22への通電を行い、これによりモータ22は駆動トルクTL2(<TL1)を出力すると共に、高速回転速度N1で回転し続け、左扉2は閉じる方向へ一定速度(高速)で移動し続ける。この時間におけるモータ22の特性点は、図4の点P1に対応する。
【0049】
左扉2が開端にあるとき、カウンタ部44の計数値はPC4であり、時刻t0以降にモータ22が始動して左扉2が閉動作を開始した後、カウンタ部44の計数値は位置パルス信号fに応じて減算される。
時刻t2にて、カウンタ部44の計数値が記憶部Cnt2Aに記憶されている計数値PC2Aと一致したとき、モータ22は減速を開始する。
時刻t2〜t3の間、インバータ14は進角値θ1で電圧値をE1からE2へ連続的に減少させながらモータ22へ駆動電圧を印加する。これによりモータ22は駆動トルクTL3(<TL2)を出力して、低速回転速度N2を目標回転速度として減速し、時刻t3にて減速が完了して低速回転速度N2に達する。この時間におけるモータ22の特性点は、図4の点P1→P1A→P1B→P3の順に移動する。
【0050】
時刻t3〜t4の間、インバータ14は進角値θ1且つ電圧値E2の駆動電圧でモータ22への通電を行い、これによりモータ22は駆動トルクTL2を出力すると共に、低速回転速度N2で回転し続け、左扉2は閉じる方向へ一定速度(低速)で移動し続ける。自動扉を低速で閉じることによって、自動扉に挟まれそうになった人が、これを回避することを容易化できる。この時間におけるモータ22の特性点は、図4の点P3に対応する。
【0051】
カウンタ部44の計数値が0になった場合、左扉2は左扉閉端ストッパ28に当接して停止し、左扉2が左扉閉端ストッパ28に押し付けられた状態となる。このとき、モータ22の回転速度は低速回転速度N2から0に低下するため、モータ22の駆動トルクはTL2からTL2Aに増大する。この場合のモータ22の特性点は、図4の点P3→P3Aのように移動する。
時刻t4にてカウンタ部44の計数値が0になった場合、扉開閉制御部42は、左扉2が左扉閉端ストッパ28に当接して停止したと判断し、インバータ14が電圧値E3(<E2)の駆動電圧を出力するように回転速度指令eを生成してインバータ駆動制御部16へ与える。インバータ駆動制御部16は、この回転速度指令eに応じたインバータ駆動信号mを生成してインバータ14へ出力し、これによりインバータ14は、進角値θ1且つ電圧値E3の駆動電圧でモータ22への通電を行い、モータ22は駆動トルクTL4(<TL2)を出力し、左扉2はこのトルクによって左扉閉端ストッパ28へ押し付けられる。この場合のモータ22の特性点は、図4の点P3A→P4のように移動する。
時刻t4以降、モータ22は回転を停止した状態で、駆動トルクTL4を出力し続ける。なお、このときにインバータ14が出力する駆動電圧の電圧値E3は、連続的にモータ22に印加された場合であっても、モータ22が加熱などしないように、その値が予め定められている。左扉2が閉じて停止している状態でモータ22が駆動トルクTL4を出力し続けることにより、例えば左扉2が風などの力によって開かれることを防止できる。
【0052】
以上のように、時刻t0〜t4の動作が、左扉2の閉動作である。
<自動扉の人為的な開閉防止>
続いて、左扉2が閉じられた状態において、左扉2を開こうとする人為的な外力が加えられた場合の自動扉システム100の動作を、図3及び図4を用いて説明する。また図5は、外力が加えられた場合の左扉2の動作を説明するための模式図であり、図5も参照して説明を行う。なお図5には、AからGへ時系列で左扉2の動作を図示してある。図5Aには、時刻t4にて左扉2が閉じられ、駆動トルクTL4にて左扉閉端ストッパ28に押し付けられた状態を示してある。
【0053】
時刻t5において、モータ22の回転が停止した状態での駆動トルクTL4を上回る外力が左扉2に加えられた場合、時刻t5以降に左扉2が開き始め、カウンタ部44の計数値は0から増加し始める(図5B参照)。
その後、時刻t6において、逆方向へ回転速度N3で回転するモータ22の駆動トルクTL5が、左扉2に加えられる外力とつり合う。時刻t5〜t6において、モータ22の特性点は、図4の点P4→P6のように移動する。
時刻t6以降、モータ22の駆動トルクTL5と左扉2に加えられた外力とが釣り合った状態で、左扉2は開き続け、カウンタ部44の計数値は増加し続ける(図5C参照)。
【0054】
その後、時刻t7において、カウンタ部44の計数値が記憶部Cnt7xに記憶された値(PC7x)に達した場合、扉開閉制御部42は、進角値θ2(<θ1)且つ電圧値E4(≧E1)の駆動電圧でモータ22の駆動を行うべく、通電位相指令a及び回転速度指令eを生成してインバータ駆動制御部16へ出力する。インバータ駆動制御部16は、この通電位相指令a及び回転速度指令eに応じたインバータ駆動信号mを生成してインバータ14へ出力する。インバータ14は、与えられたインバータ駆動信号mに応じて、進角値θ2且つ電圧値E4の駆動電圧でモータ22を駆動する。これによりモータ22の駆動トルクはTL5から増加し、時刻t8にて駆動トルクTL8に達する。時刻t7〜t8において、モータ22の特性点は、図4の点P6→P8のように移動する。
なお、上述したPC7xは、左扉2が開端に到達したときのカウンタ部44の計数値PC4に基づいて算出される。PC7xは、例えば、以下の式で算出される。
PC7x=0.01×PC4
【0055】
時刻t7以降、モータ22の駆動トルクの増加に対して人為的な外力も増加され、時刻t8にてモータ22の駆動トルクTL8と外力とが釣り合った状態となった場合、左扉2はモータ22の回転とは逆方向(即ち、開く方向)へ移動し続け、カウンタ部44の計数値は増加し続ける。
その後、時刻t9にて人為的な外力が低下した場合、モータ22の逆方向への回転速度が低下し、時刻t10にてモータ22の回転速度が0に達して、左扉2が停止する(図5D参照))。このとき、モータ22の駆動トルクはTL8からTL10へ低下する。時刻t8〜t9におけるモータ22の特性点は、図4の点P8であり、時刻t9〜t10におけるモータ22の特性点は、図4の点P8→P10のように移動する。
【0056】
時刻t10以降、左扉2が停止し続け、モータ22が停止し続けた状態が維持された後、時刻t11において、モータ22の駆動トルクTL10に対して人為的な外力が更に低下した場合、モータ22は左扉2を閉じる方向へ回転し始め、左扉2は閉動作を開始する(図5E参照)。その後、モータ22は加速し、時刻t12において回転速度N4に達すると共に、駆動トルクがTL10からTL12へ低下する。時刻t10〜t11におけるモータ22の特性点は、図4の点P10であり、時刻t11〜t12におけるモータ22の特性点は、図4の点P10→P12のように移動する。
【0057】
時刻t12以降、左扉2は閉動作を継続する。このときカウンタ部44は、位置パルス信号fに応じて計数値を減算し続け、時刻t13にて計数値が0になった場合、左扉2は左扉閉端ストッパ28に当接して停止し、左扉2が左扉閉端ストッパ28に押し付けられた状態となる(図5F参照)。このとき、モータ22の回転速度は回転速度N4から0に低下するため、モータ22の駆動トルクはTL12からTL10に増大する。時刻t12〜t13におけるモータ22の特性点は、図4の点P12→P10のように移動する。
また時刻t12にてカウンタ部44の計数値が0になった場合、扉開閉制御部42は、左扉2が左扉閉端ストッパ28に当接して停止したと判断し、インバータ14が進角値θ1且つ電圧値E3の駆動電圧を出力するように通電位相指令a及び回転速度指令eを生成してインバータ駆動制御部16へ与える。インバータ駆動制御部16は、この通電位相指令a及び回転速度指令eに応じたインバータ駆動信号mを生成してインバータ14へ出力し、これによりインバータ14は、進角値θ1且つ電圧値E3の駆動電圧でモータ22への通電を行い、モータ22は駆動トルクTL4を出力し、左扉2はこのトルクによって左扉閉端ストッパ28へ押し付けられる(図5G参照)。この場合のモータ22の特性点は、図4の点P10→P4のように移動する。
時刻t13以降、モータ22は回転を停止した状態で、駆動トルクTL4を出力し続ける。
【0058】
以上のように、閉状態の左扉2に対して開方向の外力が加えられ、左扉2が所定距離(カウンタ部44の記憶部Cnt7xに記憶された値に対応する距離)だけ開かれた場合に、インバータ14がモータ22へ出力する駆動電圧の進角値をθ1からθ2へ遅らせると共に、電圧値をE3からE4へ増加させることによって、モータ22を低速・高トルクで駆動することができ、左扉2を開く外力に抗することができる。
【0059】
<挟み込み対策>
次に、閉状態の左扉2が外力により開かれた後、左扉2が物を挟み込んで停止した場合の自動扉システム100の動作を説明する。図6は、モータ22の駆動制御を説明するための速度線図及びトルク線図であり、左扉2が物を挟み込んだ場合の一例を示してある。図6に示す自動扉システム100の動作は、時刻t0〜t12の間については、図3に示した動作と同じであるため、この間の説明は省略する。
【0060】
時刻t12以降、回転速度N4且つ駆動トルクTL12にてモータ22が回転し、左扉2が閉動作を継続する。ここで、例えば左扉2に物が挟み込まれ、時刻t13aにて左扉2が挟み込まれた物に当接して閉動作を停止した場合、モータ22の回転数はN4から0に低下し、モータ22の駆動トルクはTL12からTL10へ増加する(図4の点P12→P10)。
【0061】
扉開閉制御部42は、左扉2への外力に抗する駆動トルクをモータ22に発生させている場合(即ち、進角値θ2且つ電圧値E4でのモータ22の駆動を行っている場合)に、左扉2が停止した状態の継続時間をタイマ部45にて計時する。このため、タイマ部45は、位置パルス信号生成部17からの位置パルス信号fの入力間隔を計時している。位置パルス信号fは、モータ22の回転(即ち左扉2の移動)に伴って入力される信号であるため、左扉2が停止した状態では位置パルス信号fが入力されない(位置パルス信号fの信号レベルが変化しない)。タイマ部45は、位置パルス信号fの入力間隔を計時することによって、左扉2が停止した場合には計時が継続的に行われるため、左扉2が停止した状態の継続時間を計時することができる。またタイマ部45は、挟み込みを検知するための閾値Tm1を記憶しており、左扉2が停止した状態の継続時間が閾値Tm1を超えるか否かを扉開閉制御部42は判定している。
【0062】
時刻t13a以降に左扉2が停止した状態が継続され、時刻t14にてタイマ部45が計時する継続時間が閾値Tm1を超えた場合、扉開閉制御部42は、左扉2が物を挟み込んで停止したと判断し、インバータ14が進角値θ1且つ電圧値E3の駆動電圧を出力するように通電位相指令a及び回転速度指令eを生成してインバータ駆動制御部16へ与える。インバータ駆動制御部16は、この通電位相指令a及び回転速度指令eに応じたインバータ駆動信号mを生成してインバータ14へ出力し、これによりインバータ14は、進角値θ1且つ電圧値E3の駆動電圧でモータ22への通電を行い、モータ22は駆動トルクTL4を出力する。この場合のモータ22の特性点は、図4の点P10→P4のように移動する。
【0063】
なお説明は省略したが、図6(及び図3)において時刻t10〜t11の間も左扉2が停止しており、タイマ部45による計時が行われている。ただしこの場合は、タイマ部45が計時する継続時間が閾値Tm1を超える前に左扉2が閉動作を開始したため、扉開閉制御部42が進角値及び電圧値の切り替えを行っていない。
【0064】
以上のように、進角値θ2且つ電圧値E4の駆動電圧によってモータ22に高い駆動トルクを発生させている状態で、左扉2が停止した状態の継続時間が閾値Tm1を超えた場合に、進角値θ1且つ電圧値E3に変更してモータ22の駆動トルクを低減することにより、自動扉に挟み込まれた物を容易に取り出すことが可能となる。また自動扉に人体又は人体の一部が挟み込まれた場合に、人体が長時間に亘って高い駆動トルクで押圧される危険を回避することができる。
【0065】
<危険防止、故障防止>
次に、閉状態の左扉2が外力により開かれた後、外力に抗する駆動トルクをモータ22にて発生させる時間制限について説明する。図7は、モータ22の駆動制御を説明するための速度線図及びトルク線図であり、左扉2に対して長時間に亘る外力が加えられた場合の一例を示してある。図7に示す自動扉システム100の動作は、時刻t0〜t12の間については、図3に示した動作と同じであるため、この間の説明は省略する。
【0066】
扉開閉制御部42は、カウンタ部44の計数値が記憶部Cnt7xに記憶された値に達し、進角値θ2且つ電圧値E4の駆動電圧でモータ22の駆動を行うと判断し、通電位相指令a及び回転速度指令eをインバータ駆動制御部16へ出力した際に(時刻t7)、タイマ部45による計時を開始する。またタイマ部45は、高い駆動トルクを発生させる時間制限を判定するための閾値Tm2を記憶しており、タイマ部45の計時結果が閾値Tm2を超えるか否かを扉開閉制御部42は判定している。
【0067】
時刻t12以降、左扉2は閉動作を継続するが、例えば時刻t13bにて外力が再び強まって左扉2の移動速度(モータ22の回転速度)が低下し、時刻t14bにて左扉2が停止(モータ22の回転が停止)し、左扉2が停止した状態が維持されているとする。扉開閉制御部42は、時刻t7にて進角値θ2及び電圧値E4でのモータ22の駆動を開始した後からタイマ部45による計時を行っており、時刻t15にてタイマ部45の計時結果が閾値Tm2を超えた場合に、インバータ14が進角値θ1且つ電圧値E3の駆動電圧を出力するように通電位相指令a及び回転速度指令eを生成してインバータ駆動制御部16へ与える。インバータ駆動制御部16は、この通電位相指令a及び回転速度指令eに応じたインバータ駆動信号mを生成してインバータ14へ出力し、これによりインバータ14は、進角値θ1且つ電圧値E3の駆動電圧でモータ22への通電を行い、モータ22は駆動トルクTL4を出力する。
【0068】
以上のように、左扉2に加えられた外力に抗して高い駆動トルクをモータ22にて発生させる時間を閾値Tm2にて制限することによって、例えば自動扉を開こうとする行為が継続されることによって行為者に生じる危険を防止でき、また例えば長時間に亘ってモータ22にて高い駆動トルクを発生させることによるモータ22の過熱などを防止でき、自動扉システム100の故障などを防止することができる。
【0069】
<処理手順>
次に、自動扉システム100にて行われる自動扉の制御手順を、フローチャートを用いて説明する。図8及び図9は、左扉2を閉じる場合の制御処理の手順を示すフローチャートであり、モータ駆動装置29の駆動制御部41が行う処理である。なお、本フローチャートは、左扉2が開かれた状態を初期状態として、左扉2を閉じる場合の手順を示してある。
【0070】
まず駆動制御部41は、扉開閉信号発生部20からの扉閉信号がオン状態であるか否かを判定し(ステップS1)、扉閉信号がオン状態でない場合(S1:NO)、即ち扉閉信号がオフ状態の場合には、扉閉信号がオン状態となるまで待機する。扉閉信号がオン状態の場合(S1:YES)、駆動制御部41は、扉開閉制御部42から回転方向指令d、回転速度指令e及び通電位相指令aをインバータ駆動制御部16へ与え、これに応じてインバータ駆動制御部16がインバータ駆動信号mをインバータ14へ与えることにより、左扉2を閉じる方向へ進角値θ1且つ電圧値E1の駆動電圧にてモータ22の回転を開始する(ステップS2)。また駆動制御部41は、左扉2の閉動作を開始すると共に、カウンタ部44による計数(減算)を開始する(ステップS3)。
【0071】
次いで駆動制御部41は、カウンタ部44の計数値が、カウンタ部44の記憶部Cnt2Aに記憶されたPC2Aに一致するか否かを判定し(ステップS4)、計数値がPC2Aに一致しない場合には(S4:NO)、扉の閉動作及びカウンタ部44の計数を継続して行う。カウンタ部44の計数値がPC2Aに一致した場合(S4:YES)、駆動制御部41は、モータ22の駆動電圧の電圧値をE2に低減し(ステップS5)、モータ22を低速回転させる。
【0072】
次いで、駆動制御部41は、カウンタ部44の計数値が0であるか否かを判定し(ステップS6)、計数値が0でない場合(S6:NO)、計数値が0になるまで、扉の閉動作及びカウンタ部44の計数を継続して行う。カウンタ部44の計数値が0の場合(S6:YES)、駆動制御部41は、モータ22の駆動電圧の電圧値をE3へ更に低減し(ステップS7)、左扉2を低駆動トルクにて左扉閉端ストッパ28に押し当てた状態を維持する。
【0073】
その後、駆動制御部41は、カウンタ部44の計数値が、カウンタ部44の記憶部Cnt7xに記憶された計数値PC7xに一致するか否かを判定し(ステップS8)、計数値がPC7xに一致しない場合(S8:NO)、進角値θ1且つ電圧値E3でのモータ22の駆動を継続して行う。人為的な外力によって左扉2が開かれるなどしてカウンタ部44の計数値が増加し、カウンタ部44の計数値がPC7xに一致した場合(S8:YES)、駆動制御部41は、タイマ部45の高駆動トルク発生の時間制限を判定するためタイマによる計時を開始すると共に(ステップS9)、自動扉の挟み込みを判定するためのタイマにて、位置パルス信号生成部17が生成した位置パルス信号fの入力間隔の計時を開始する(ステップS10)。その後、駆動制御部41は、進角値θ2に応じた通電位相指令a及び電圧値E4に応じた回転速度指令eを扉開閉制御部42からインバータ駆動制御部16へ与え、これに応じたインバータ駆動信号mをインバータ駆動制御部16がインバータ14へ与えることにより、進角値θ2且つ電圧値E4でのモータ22の駆動を行う(ステップS11)。
【0074】
次いで駆動制御部41は、カウンタ部44の計数値が0であるか否か(即ち左扉2が閉じられたか否か)を判定する(ステップS12)。カウンタ部44の計数値が0でない場合(S12NO)、駆動制御部41は、タイマ部45の挟み込み判定用のタイマによる計時結果に基づいて、自動扉の挟み込みがあるか否か(タイマの計時結果が閾値Tm1を超えたか否か)を更に判定する(ステップS13)。自動扉に挟み込みが生じていない場合(S13:NO)、駆動制御部41は、タイマ部45の時間制限判定用のタイマによる計時結果に基づいて、時間制限に達したか否か(タイマの計時結果が閾値Tm2を超えたか否か)を更に判定する(ステップS14)。時間制限に達していない場合(S14:NO)、駆動制御部41は、ステップS12へ処理を戻し、ステップS12〜S14の判定を繰り返し行って、いずれかの条件が成立するまで、進角値θ2且つ電圧値E4でのモータ22の駆動を継続して行う。
【0075】
カウンタ部44の計数値が0の場合(S12:YES)、自動扉に挟み込みがあると判定した場合(S13:YES)、又は、高駆動トルクの時間制限に達したと判定した場合(S14:YES)、駆動制御部41は、タイマ部45の両タイマによる計時を停止して(ステップS15)、ステップS7へ処理を戻し、進角値θ1且つ電圧値E3でのモータ22の駆動を行う。その後、駆動制御部41は、ステップS7〜S15の処理を、自動扉の開信号がオンされるまで繰り返し行う。
【0076】
以上の構成の自動扉システム100は、停止状態の自動扉に外力が加えられ、モータ22の駆動方向とは逆向きに所定距離(カウンタ部44の記憶部Cnt7xに記憶された値PC7xに対応する距離)だけ移動した場合に、駆動電圧の進角値をθ1からθ2へ遅らせると共に、電圧値をE3からE4へ増加させてモータ22の駆動を行う構成とすることにより、電圧値のみを増加させる場合と比較して、モータ22により高い駆動トルクを発生させることができる。よって、モータ22の大型化及び高コスト化を抑制しつつ、人為的な自動扉の移動を防止することができる。
【0077】
なお、本実施の形態においては、閉状態の左扉2に対して、左扉2を開く方向への外力が加えられた場合について説明したが、これに限るものではなく、開状態の左扉2に対して、左扉2を閉じる方向へ外力が加えられた場合についても同様の処理を行うことができる。また右扉3についても同様である。また、扉を2つ備える自動扉システム100を例に説明を行ったが、扉が1つの自動扉システムであってもよい。
【符号の説明】
【0078】
2 左扉
3 右扉
14 インバータ(モータ駆動手段)
16 インバータ駆動制御部
17 位置パルス信号生成部
18 回転方向判別部
22 ブラシレスDCモータ
23 ロータ位置検出器(回転検出部)
27 左扉開端ストッパ
28 左扉閉端ストッパ
29 モータ駆動装置
32 モータ
33 ロータ位置検出器
37 右扉開端ストッパ
38 右扉閉端ストッパ
39 モータ駆動装置
41 駆動制御部(モータ駆動手段)
42 扉開閉制御部(扉位置特定手段、扉移動判定手段)
43 回転速度記憶部
44 カウンタ部(扉位置特定手段、扉移動判定手段)
45 タイマ部
46 通電位相記憶部
100 自動扉システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉を開閉させるブラシレスDCモータと、該ブラシレスDCモータの回転を検出する回転検出部と、該回転検出部の検出結果に応じて前記扉の位置を特定する扉位置特定手段と、開端又は閉端の停止位置で前記扉が停止した状態を維持するように前記扉を付勢すべく、前記ブラシレスDCモータへ駆動電圧を出力するモータ駆動手段とを備える自動扉制御装置において、
前記モータ駆動手段の駆動による前記ブラシレスDCモータの回転に逆らって、前記扉が所定距離を超えて移動されたことを、前記扉位置特定手段による前記扉の位置の特定結果に基づいて判定する扉移動判定手段を備え、
前記モータ駆動手段は、前記扉が所定距離を超えて移動されたと前記扉移動判定手段が判定した場合に、電圧を増加させると共に位相を遅らせた駆動電圧を前記ブラシレスDCモータへ出力するようにしてあること
を特徴とする自動扉制御装置。
【請求項2】
前記モータ駆動手段は、
前記扉を開閉させる場合に、前記扉が前記停止位置に達する直前は第1の電圧及び第1の位相の駆動電圧を前記ブラシレスDCモータへ出力し、
前記扉が停止位置に達した状態では、前記第1の電圧より低い第2の電圧及び前記第1の位相の駆動電圧を前記ブラシレスDCモータへ出力し、
前記扉が所定距離を超えて移動されたと前記扉移動判定手段が判定した場合は、前記第1の電圧より高い第3の電圧及び前記第1の位相より遅らせた第2の位相の駆動電圧を前記ブラシレスDCモータへ出力するようにしてあること
を特徴とする請求項1に記載の自動扉制御装置。
【請求項3】
電圧を増加させると共に位相を遅らせた駆動電圧を前記モータ駆動手段が前記ブラシレスDCモータへ出力し、且つ、前記扉位置特定手段が特定する前記扉の位置が変化しない状態の継続時間を計時するタイマを備え、
前記モータ駆動手段は、前記タイマが計時した継続時間が所定時間を超えた場合に、駆動電圧の電圧を低減する、及び/又は、駆動電圧の位相を進めるようにしてあること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の自動扉制御装置。
【請求項4】
電圧を増加させると共に位相を遅らせた駆動電圧を前記モータ駆動手段が前記ブラシレスDCモータへ出力した状態の継続時間を計時するタイマを備え、
前記モータ駆動手段は、前記タイマが計時した継続時間が所定時間を超えた場合に、駆動電圧の電圧を低減する、及び/又は、駆動電圧の位相を進めるようにしてあること
を特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の自動扉制御装置。
【請求項5】
開閉する扉と、該扉を開閉させるブラシレスDCモータ、該ブラシレスDCモータの回転を検出する回転検出部、該回転検出部の検出結果に応じて前記扉の位置を特定する扉位置特定手段、及び、開端又は閉端の停止位置で前記扉が停止した状態を維持するように前記扉を付勢すべく、前記ブラシレスDCモータへ駆動電圧を出力するモータ駆動手段を有する自動扉制御装置とを備える自動扉システムにおいて、
前記自動扉制御装置は、前記モータ駆動手段の駆動による前記ブラシレスDCモータの回転に逆らって、前記扉が所定距離を超えて移動されたことを、前記扉位置特定手段による前記扉の位置の特定結果に基づいて判定する扉移動判定手段を有し、
前記自動扉制御装置の前記モータ駆動手段は、前記扉が所定距離を超えて移動されたと前記扉移動判定手段が判定した場合に、電圧を増加させると共に位相を遅らせた駆動電圧を前記ブラシレスDCモータへ出力するようにしてあること
を特徴とする自動扉システム。
【請求項6】
扉を開閉させるブラシレスDCモータの回転を検出して前記扉の位置を特定し、
開端又は閉端の停止位置で前記扉が停止した状態を維持するように前記扉を付勢すべく、前記ブラシレスDCモータへ駆動電圧を出力し、
該駆動電圧による前記ブラシレスDCモータの回転に逆らって、前記扉が所定距離を超えて移動されたか否かを判定し、
前記扉が所定距離を超えて移動されたと判定した場合に、電圧を増加させると共に位相を遅らせた駆動電圧を前記ブラシレスDCモータへ出力すること
を特徴とする自動扉制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−60775(P2013−60775A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201083(P2011−201083)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000150800)株式会社ツバキエマソン (102)
【Fターム(参考)】