自動料金収受システム、通行料課金装置及びETC車載器
【課題】車両の環境に配慮した走行実績を通行料金に反映可能な自動料金収受システム及びその装置を提供する。
【解決手段】有料道路の入/出口ゲートの通過時に各ゲートから受信したゲート識別情報と、少なくとも該各時点に車両から取得した燃料残量の情報とをICカードに記憶する。一方、通行料課金手段は、前記ICカードが記憶するゲート識別情報により所定の料金テーブルを参照して区間の標準の通行料金と距離を求めると共に、該求めた距離と、前記ICカードが記憶する燃料残量から求めた区間の燃料消費量とに基づき区間の平均の燃費を求め、該求めた燃費に基づき前記標準の通行料金に変更を加える。
【解決手段】有料道路の入/出口ゲートの通過時に各ゲートから受信したゲート識別情報と、少なくとも該各時点に車両から取得した燃料残量の情報とをICカードに記憶する。一方、通行料課金手段は、前記ICカードが記憶するゲート識別情報により所定の料金テーブルを参照して区間の標準の通行料金と距離を求めると共に、該求めた距離と、前記ICカードが記憶する燃料残量から求めた区間の燃料消費量とに基づき区間の平均の燃費を求め、該求めた燃費に基づき前記標準の通行料金に変更を加える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動料金収受システム及びその装置に関し、特に、有料道路や高速道路における環境に配慮した走行に対して適切な課金を行う環境(ecology)対応型の自動料金収受システム、通行料課金装置及びETC車載器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、高速道路の通行料金は普通車、大型車、軽車両等の車種毎に決まっており、車両の性能(燃費等)には関係しない。一方で、車両の走行燃費は年々向上しており、C02やN0xの排出量は削減される傾向にあるが、古いタイプの車両でも環境対応型の車両でも通行料金は等しいのが現状である。
【0003】
一方、高速道路のETC(Electronic Toll Collection System)システムを利用した運用では、混雑や環境に対する影響の少ない臨海部(湾岸線等)を走行する大型車両に適用する割引制度のように、環境走行に対応した割引が実施されている。しかし、あくまで走行経路が環境(渋滞緩和)に配慮した走行を対象としており、C02やN0xの削減など、環境そのものに配慮した走行についての割引は実施されていない。
【非特許文献1】http://www.go-etc.jp/waribiki/waribiki.html(平成20年2月19日)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、従来の高速道路等の有料道路の通行料金の設定にあっては、環境そのものに配慮した走行についての割引は実施されていなかった。
【0005】
本発明は上記背景に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、車両の環境に配慮した走行実績を通行料金に反映可能な自動料金収受システム、通行料課金装置及びETC車載器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様による自動料金収受システムは、有料道路の入口ゲート及び出口ゲートを通過する車両のETC車載器に搭載されたICカードの記憶情報に基づき通行料金を課金する自動料金収受システムにおいて、前記入口ゲート及び出口ゲートの通過の際に各ゲートから受信したゲート識別情報と、該各時点に車両から取得した燃料残量の情報とをICカードに記憶するETC車載器と、前記ICカードが記憶するゲート識別情報により所定の料金テーブルを参照して区間の標準の通行料金と距離を求め、かつ該求めた距離と、前記ICカードが記憶する燃料残量の情報から求めた区間の燃料消費量とに基づき該区間の平均の燃費を求め、該求めた燃費に基づいて前記標準の通行料金に変更を加える通行料課金手段とを備える。
【0007】
本発明では、通行区間の平均の燃費で標準の通行料金に変更を加えることにより、環境に配慮したエコ走行を奨励でき、地球環境の改善に寄与できる。
【0008】
本発明の第2の態様では、前記ICカードは、入口ゲートから出口ゲートまでの区間において車両より定期的に取得された燃料残量の情報を更に含み、前記通行料課金手段は、前記ICカードが記憶する燃料残量の情報に基づき車両の走行内容を表すイベントを判定すると共に、該判定したイベントに基づき走行イベントに属する燃料消費量を抽出して区間の走行燃費を求め、該求めた走行燃費に基づいて前記標準の通行料金に変更を加える。
【0009】
本発明では、区間の途中における燃料残量の推移を定期的に観測することにより、燃料残量が急激に変化するような給油イベントや脱油イベントに起因する燃料残量の変化分を有効に除外でき、区間の正確な走行燃費を求めることが可能となる。
【0010】
本発明の第3の態様による通行料課金装置は、有料道路の入口ゲート及び出口ゲートを通過する車両のETC車載器に搭載されたICカードの記憶情報に基づき通行料金を課金する自動料金収受システムの通行料課金装置において、前記ICカードが記憶する入口ゲート及び出口ゲートの各ゲート識別情報により所定の料金テーブルを参照して区間の標準の通行料金と距離を求める情報抽出手段と、前記求めた距離と、前記ICカードが記憶する入口ゲート及び出口ゲートの各通過時点における車両の燃料残量から求めた区間の燃料消費量とに基づき、区間の平均の燃費を求め、該求めた燃費に基づき前記標準の通行料金に変更を加える通行料変更手段とを備える。
【0011】
本発明の第4の態様では、前記ICカードは、入口ゲートから出口ゲートまでの区間において車両より定期的に取得された燃料残量の情報を更に含み、前記通行料変更手段は、前記ICカードが記憶する燃料残量の情報に基づき車両の走行の内容を表すイベントを判定すると共に、該判定したイベントに基づき走行イベントに属する燃料消費量を抽出して区間の走行燃費を求め、該求めた走行燃費に基づいて前記標準の通行料金に変更を加える。
【0012】
本発明の第5の態様では、前記通行料変更手段は、所定時間内に燃料残量が所定以上増加したことにより給油イベントと判定する。これにより給油イベントと走行イベントを有効に区別できる。
【0013】
本発明の第6の態様では、前記通行料変更手段は、所定時間内に燃料残量が0よりも大きく第1の閾値未満の範囲内で減少したことによりアイドリングイベントと判定する。これによりアイドリングイベントと走行イベントを有効に区別できる。たとえアイドリングであっても、暖房や冷房を伴う長時間のアイドリング停車(休憩)ではかなりの燃料を消費するため、走行実績に与える影響を無視できない。
【0014】
本発明の第7の態様では、前記通行料変更手段は、所定時間内に燃料残量が前記第1の閾値から、該第1の閾値よりも大きい第2の閾値までの範囲内で減少したことにより走行イベントと判定する。これにより区間の実質の走行イベントを有効に抽出できる。
【0015】
本発明の第8の態様では、前記通行料変更手段は、所定時間内に燃料残量が前記第2の閾値を超えて減少したことにより脱油イベントと判定する。これにより脱油イベントと走行イベントを有効に区別できる。
【0016】
本発明の第9の態様では、前記ICカードは、入口ゲートから出口ゲートまでの区間において車両より定期的に取得された速度の情報を更に含み、前記通行料変更手段は、前記ICカードが記憶する速度の情報を含めてイベントの判定を行う。
【0017】
例えば、速度v=0の場合は、駐車、停車(アイドリング停車を含む)、給油又は脱油のイベント判定を確実なものにできる。また、例えば速度vが1〜20km/hの範囲内にある場合は、徐行や渋滞のイベントと判定でき、区間の燃費の悪化を理解できる。また速度vが40km/h〜110km/hの範囲にある場合は、通常のエコ走行と判定でき、環境に配慮した走行のコア部分を抽出できる。
【0018】
本発明の第10の態様では、前記通行料変更手段は、前記ICカードが記憶する当該車両の公称の走行燃費と、前記求めた走行イベントに基づく走行燃費とを比較し、前記公称の走行燃費からの乖離率に応じて前記標準の通行料金に変更を加える。従って、カタログ等に記載される公称の走行燃費を基準として、ドライバーによる環境に配慮した走行実績を有効、かつ車両そのものの性能の相違によらず公平に評価できる。
【0019】
本発明の第11の態様では、ETC車載器は、有料道路の入口ゲート及び出口ゲートを通過する車両のETC車載器に搭載されたICカードの記憶情報に基づき通行料金を課金する自動料金収受システムの前記ETC車載器において、前記入口ゲートの通過時に該ゲートから通知された入口ゲートの識別情報及び通過日時の情報と、 該時点で車両より取得した車両の燃料残量の情報とを前記ICカードに記憶する記録手段と、前記出口ゲートの通過時に、前記ICカードから読み出した入口ゲートの識別情報、通過日時の情報及び燃料残量の情報と、前記ETC車載器で検出した出口ゲートの識別情報及び通過日時の情報と、該時点に検出した車両の燃料残量と、予めETC車載器に登録されている車両情報とを該出口ゲートの路側装置に送信する送信手段とを備える。
【0020】
本発明の第12の態様では、前記記録手段は、入口ゲートから出口ゲートまでの区間において車両より定期的に取得した燃料残量の情報を更に記憶し、前記送信手段は、前記ICカードから読み出した入口ゲートから出口ゲートまでの燃料残量の情報を更に送信する。
【0021】
本発明の第13の態様では、前記ETC車載器に登録されている車両情報にはエンジンの排気量、エンジンのタイプ、使用燃料の種類及び環境対応車種の情報の内の何れか1又は2以上が含まれる。これにより、環境に配慮した車両の通行を無条件で優遇できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、車両の環境に配慮した走行実績を通行料金に反映可能な自動料金収受システム、通行料課金装置及びETC車載器を提供することが可能となる。その結果、環境に優しい車両の走行には通行料金を安くすることで、利用者へのメリットと地球環境改善への貢献が図れ、環境対応車の普及促進にも拍車が掛かることが期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明による実施の形態を図面を参照しながら説明する。図1は実施の形態による環境対応道路課金システムの構成を示す図である。例えば高速道路のインターチェンジIC1,IC2には入口ゲート20aと出口ゲート20bが設けられており、これらはネットワーク(NW)100を介して中央の課金処理センタ25に接続している。
【0024】
図2に出口ゲート20bの概略構成を示す。この出口ゲート20bは、レーンを跨ぐように設置されたガントリ1と、ガントリ1の上部に固定されてレーン上の所定エリアを通過する車両10のETC車載器30と無線通信を行う路側無線器2と、光電センサにより車両10の通過(侵入及び退出)を検出する車両検知器3〜5と、通過ゲート7の開/閉制御を行う発進制御機6と、これらを制御すると共にネットワーク100を介して遠隔の課金処理センタ25にオンラインで接続する路側装置21bとを備える。入口ゲート20aについても同様である。
【0025】
図3,4に実施の形態によるETC車載器の構成を示す。一般に、車両10のダッシュボード12にはスピードメータ12aと、燃料メータ12bと、走行距離メータ12c等が既に設けられており、燃料メータ12bは燃料センサ14で検出した燃料タンク13の燃料残量を表示する。本実施の形態では、この燃料残量の検出信号をETC車載器30にも取り込むと共に、所定時間毎にサンプリングした燃料残量の推移を走行履歴の情報としてETCカード40に記録する。
【0026】
このETC車載器30は、例えばダッシュボード上に設置されており、ゲート20の路側無線器2と無線通信するための無線通信部32と、そのアンテナ31と、ETC車載器30の主制御・処理を行うCPU33と、CPU33が使用する主メモリ(MM)34と、ETCカード40を着脱自在に保持するカード収容部(CHLD)38と、そのカード接続用端子(CN)38aと、車両10で検出された燃料残量や速度の信号をアナログスイッチ(ASW)で選択し、かつA/D変換してCPU33に取り込むためのアナログインタフェース(AIF)37と、利用者が操作をするコンソール(CSL)35と、ETCサービスに係る各種情報を表示するための表示部36とを備える。
【0027】
またこの主メモリ34は、CPU33が実行する図5、図6のアプリケーションプログラムの他、ETC車載器30のID番号や、このETC車載器30を搭載している車両10の基本的な情報等を記憶している。この車両の基本的な情報には、車種や車両10の登録番号の他、車両10の走行性能に関係のある、排気量、エンジンのタイプ{(レシプロ(reciprocal engine)/ディーゼル(diesel engine)/ロータリ(rotary engine)}、燃料の種類{ガソリン(レギュラー又はハイオクタン)/軽油ディーゼル/灯油ディーゼル/バイオディーゼル}、環境対応車種(ハイブリッド車/燃料電池車/2次電池車)等の各種情報が含まれる。このうちの車両の走行性能に関係のある情報は、課金処理センタ25における通行料金の割引サービスにも利用される。
【0028】
更に、このETC車載器30は、ETCカード40を挿入するためのカード挿入口を備えており、利用者が乗車時にETCカード40をカード挿入口に挿入すると、ETC車載器30がETCカード40のカード番号を読取って主メモリ34に記憶保持する。またETCカード40を引抜くと前記記憶保持したカード番号をクリアする。これにより、このETC車載器30では複数の異なるETCカード40を使用できる。
【0029】
一例のETCカード40(本発明のICカードに相当)は、クレジットカードサイズのプラスチックカードに、ICチップと、ETC車載器30に接続するための接続用端子(CN)43とを埋め込んだものである。このICチップには、ETCカード40の主制御・処理を行うマイクロプロセッサユニット(MPU)41と、該MPU41が使用するフラッシュメモリ(FM)42とが含まれる。このフラッシュメモリ42には、ETCカード40を特定するためのカード番号の他、ユーザ預託金の口座番号、契約の有効期限等の決済情報が予め記憶されている。また、このフラッシュメモリ42には、図7に示す如く入力ゲート20aの通過から出口ゲート20bの通過に至るまでに取得された一連の走行履歴の情報を時系列に記録するための走行履歴テーブル81が設けられている。
【0030】
以上の構成により、CPU33は、車両10が入口ゲート20aを通過する際には、該ゲート20aから通知されたゲートID及び通過日時の情報と、 該時点で車両10より取得した燃料残量の情報とをETCカード40の履歴テーブル81に記録する。好ましくは、引き続き、入口ゲート20aから出力ゲート20bに至るまでの走行区間に車量10から定期的に取得した燃料残量の情報を履歴テーブル81に順次記録する。そして、車両10が出口ゲート20bを通過する際には、前記履歴テーブル81から読み出した入口ゲート20aのゲートID、通過日時の情報及び該時点で車両10より取得した燃料残量の情報と、該ETC車載器30が受信した出口ゲート20bのゲートID及び通過日時の情報と、該時点に車両10より取得した燃料残量と、前記入/出口のゲート区間で収集した走行履歴(燃料残量)の情報と、予めETC車載器30に登録されている車両の基本的な情報等とを、出口ゲート20bの路側装置21bに送信する。
【0031】
課金処理センタ25は、図11に示す通行料金テーブル82や、図12に示す走行燃費の良否をランク分けするためのランクテーブル83を備えており、上記CPU33から路側装置21bを介して通知された入/出口ゲートの各通過情報に基づき図7又は図8の通行料課金処理によって車両10の標準の通行料金を求めると共に、その際には、更に走行履歴の情報に基づき車両10の走行燃費を求めて該燃費をランキング分けし、通行料金の割引サービスに反映する。以下詳細に説明する。
【0032】
図5は実施の形態によるゲート入/退出処理のフローチャートで、ETC車載器30のCPU33により実行される。ステップS11では車両10がゲートに侵入するのを待ち、やがて、侵入を検出すると、ステップS12では入口ゲート20aか否かを判別する。入口ゲート20aの場合は、ステップS13で図7に示すETCカード40の走行履歴テーブル81を初期化する。ステップS14では無線通信部32を介して入口ゲート20aの通過情報(入口ゲート20aのID情報、通過時刻の情報等)を取得し、これらを履歴テーブル81の「時刻」と「イベント」の欄に記録する。ステップS15ではアナログインタフェース37を介して車両10から入口ゲート通過時点の燃料残量を取得し、履歴テーブル81の「燃料残量」の欄に記録する。そして、ステップS16ではその後の燃料残量を定期的に取得するための計測タイマをスタートし、ステップS11に戻る。
【0033】
また、上記ステップS12の判別で入口ゲート20aでない場合は、ステップS21で出口ゲート20bか否かを判別し、出口ゲート20bでもない場合はステップS11に戻る。また、出口ゲート20bの場合は、ステップS22で計測タイマをストップさせ、それ以降の燃料残量の計測を停止させる。ステップS23では無線通信部32を介して出口ゲート20bの通過情報(出口ゲート20bのID情報、通過時刻の情報等)を取得し、これらを履歴テーブル81の「時刻」と「イベント」の欄に記録する。ステップS24では車両10から出口ゲート通過時点の燃料残量を取得し、履歴テーブル81の「燃料残量」の欄に記録する。ステップS25ではETC車載器30から通過車両10の基本的な情報を読み出し、これを無線通信部32を介して路側装置21bに送信する。ステップS26では無線通信部32を介して走行履歴テーブル81の履歴情報を路側装置21bに送信する。
【0034】
なお、前記入口ゲート20aの通過情報(入口ゲート20aのID情報、通過時刻の情報)は通常、ETC車載器30で保持するため、この場合のETCカード40には入口通過時の燃料残量のみを記録しても良い。また、実際の運用では、ETCレーンの無線走行のみならず、ETC車載器30からETCカード40を抜き取って一般の出口料金所で課金するケースもあり得る。このため、もしもETCカード40が入口ゲートの通過情報を保持した状態で再度他の入口ゲートの通過情報を受信したような場合には、ステップS13で走行履歴テーブル81を初期化し、再度入口通過情報からの書き込みを開始する。
【0035】
図6は実施の形態による走行履歴収集処理のフローチャートで、上記計測タイマが毎回タイムアウトすると、CPU33のこの処理に割込入力する。ステップS31では、タイマがタイムアウトする所定時間間隔(例えば5分)で走行履歴TB81の「時刻」欄を更新する。ステップS32では車両10から今回の燃料残量を取得し、走行履歴TB81に記録する。ステップS33では今回の燃料残量が前回の燃料残量よりも顕著に多いか否かを判別し、多い場合は、ステップS34で履歴TB81の「イベント」欄に給油イベントを記録する。また、上記ステップS33の判別がNOの場合は、更にステップS35で今回の燃料残量が前回の燃料残量よりも顕著に少ないか否かを判別し、少ない場合は、ステップS36で「イベント」欄に脱油イベントを記録する。また、上記ステップS35の判別がNOの場合は、更にステップS37で今回の燃料残量が前回の燃料残量と略等しいか否かを判別し、等しい場合は、ステップS38で「イベント」欄に駐車(又は停車)イベントを記録する。また、上記ステップS37の判別がNOの場合は、更にステップS39で、今回の燃料残量が前回の燃料残量よりは少ないが、前回の燃料残量から所定量αを差し引いた値より多いか否かを判別し、TESの場合は、ステップS40で「イベント」欄にアイドリング停車イベントを記録する。また、上記ステップS39の判別がNOの場合は、更にステップS41で、今回の燃料残量が前回の燃料残量から所定量αを差し引いたものよりは少ないが、前回の燃料残量から所定量β(>α)を差し引いたものより多いか否かを判別し、YESの場合は、ステップS42で「イベント」欄に走行イベントを記録する。以上により、走行に伴う実質的な燃料消費量と、それ以外の理由による燃料消費量とを区別できるため、区間の環境に配慮した走行実績(燃費)をより忠実に分析できる。
【0036】
図7に実施の形態による走行履歴テーブル81を示す。時刻の進行に伴い、図6の走行履歴収集処理で収集された、燃料残量[l]と、その分析に基づき判定されたイベントとが記録されている。所定時間当たりの「燃料消費量」の欄は、実際には履歴テーブル81に記録しなくても良いが、前回の燃料残量から今回の燃料残量を差し引くことで容易に得られる。これら所定時間当たりの燃料残量の推移を分析することで、走行イベントに係るトータルの燃料消費量を有効に抽出でき、実走行に忠実な燃費が求まる。
【0037】
ところで、車両10の走行実績を所定時間当たりの燃料消費量のみで判断すると、車両10が走行中であることは推定できるが、同一の燃料消費量であっても平地を高速で走行中であるのか、あるいは山道や渋滞などによりセカンドやサードで走行中なのか区別がつかない。そこで、本第2の実施の形態では、更に車両10から速度(km/h)の情報を取得し、イベントの判定に役立てる。
【0038】
例えば、速度が「0」km/hで、かつ所定時間当たりの燃料消費量が「0」リットルの場合は駐車(又は停車)と判定できる。一方、速度が「0」km/hであっても、所定時間当たりの燃料消費量が「0.1」リットル(即ち、少ないが「0」ではない)の場合には、アイドリング停車と判定できる。アイドリング停車であっても暖房や冷房が伴う場合には区間の燃費を少なからず悪化させるため、これを無視できない。また、給油や脱油の行為も速度が「0」km/hの時に行われる。なお、図の「走行距離」kmの欄も設けるには及ばないが、所定時間当たりの走行距離(=所定時間×速度)を積分することで容易に得られる。
【0039】
また、図7の例では所定時間を5分としたが、他の所定時間も任意に設定できる。この所定時間は、短いほど走行履歴を精密に分析できるが、フラッシュメモリ42を沢山使用することになる。例えば首都高速など、比較的短い区間を走行する場合には所定時間を相対的に短く設定し、東名高速など、比較的長い区間を走行する場合は所定時間を相対的に長く設定しても良い。
【0040】
また、図7の例は、走行区間の中間時点で取得した各燃料残量を記録した場合を示したが、これに限らない。上記図5のステップS16の処理で、もし計測タイマを起動しなかった場合には定期的な燃料残量の取得は行われず、このため履歴テーブル81には入口ゲート通過時点と出口ゲート通過時点の各通過時刻と、ゲート入/退出のイベントと、各ゲートの通過時点で取得した燃料残量のみが記録されることになる。従って、少ないメモリ容量でも走行履歴情報を記憶できる。図8に上記図7の走行履歴のグラフ図を示す。もし、このような走行履歴のグラフを表示部36にリアルタイムで表示をすれば、ドライバ−のマナー運転を有効に支援できる。
【0041】
図9は第1の実施の形態による通行料課金処理のフローチャートで、入/出口の各ゲート通過情報に基づき通行料金を決定する場合を示している。この処理は課金処理センタ25で実行される。ステップS51では入/出口の各ゲート通過情報で図11の料金テーブル82を参照し、両IC間の標準通行料金と距離を取得する。ステップS52では入/出口ゲート通過時の各燃料残量の情報に基づき、区間の燃料消費量(=入口の燃料残量−出口の燃料残量)を求める。ステップS53では、区間の燃費を、
区間の燃費=(区間の距離)/(区間の燃料消費量)
により求める。即ち、燃料1リッター当たり平均何キロメートル走ったかを求める。ステップS54では、該求めた区間の燃費で図12のランクテーブル83を参照し、当該区間における走行実績(燃費)をランク分けする。ステップS55では該求めたランクに応じて料金の割り引き率を決定し、ステップS56では該決定した割引率に応じて標準通行料金を割り引く。あるいは、ランクに応じて通行料金の減額分を決定し、標準通行料金から差し引いてもよい。
【0042】
図10は第2の実施の形態による通行料課金処理のフローチャートで、入/出口のゲート間で定期的に取得した燃料残量の情報を利用することでより走行実績に忠実な課金処理を行う場合を示している。なお、図9と同一又は相当の処理には同一のステップ番号を付す。ステップS51では入/出口の各ゲート通過情報で図11の料金テーブル82を参照し、両IC間の標準の通行料金と距離を取得する。ステップS62では図7の走行履歴テーブル81を参照し、区間の走行イベントで使用したトータルの走行燃料消費量を求める。この走行燃料消費量は、走行イベントの欄の燃料消費量を合計することで容易に得られる。この走行燃料消費量には、給油による増量分も、脱油による減量分も、更にはアイドリング停車による休憩分も含まれないため、より実際の走行実績に忠実な燃料消費量が求まる。ステップS63では区間の走行燃費を、
区間の走行燃費=(区間の距離)/(区間の走行燃料消費量)
により求める。即ち、燃料1リッター当たり平均何キロメートル走ったかを求める。ステップS64では、該求めた区間の走行燃費で図12のランクテーブル83を参照し、当該区間における走行実績(燃費)をランク分けする。ステップS55では該求めたランクに応じて料金の割り引き率を決定し、ステップS56では該決定した割引率に応じて標準料金を割り引く。あるいは、ランクに応じて通行料金の減額分を決定し、標準通行料金から差し引く。本第2の実施の形態にでは、実際の走行分に則した燃費が得られるため、途中における給油の有/無に関わらず、実際の走行にのみ忠実なランク分け(即ち、料金割引)を行える。
【0043】
図11に料金テーブル82の一例を示す。図は東名高速における普通車への適用例を示しているが、大型車や軽車両についても同様の料金テーブルが設けられており、普通車と同様に適用できる。このテーブル82の第1列目にはインターチェンジ名(但し、図は主なもののみを示している)が順に配列されており、例えば東京から横浜までの料金は750円、距離は19.7km、所要時間は14分と読み取れる。また東京から静岡までの料金は4300円、距離は161.8km、所要時間は1時間53分と読み取れる。更に、このテーブル82の第3列目には横浜ICを起点とした他の各ICまでの通行料金が示されおり、第4列目には御殿場ICを起点とした他の各ICまでの通行料金が示されている。これらの場合の距離と所要時間については簡単な引き算により容易に求められる。
【0044】
図12に燃費のランクテーブル83を示す。今、燃費を燃料1リッター当たり何キロメートル走ったかで表すとすると、燃費が良い(距離が長い)順に1,2,3等とランク分けする。例えば、ガソリンを燃料とするガソリン車については、燃費がa〜b(km)の範囲をランク1、これよりも距離が短いb〜cの範囲をランク2等とランク分けする。一方、燃料(車種)が異なると、燃費の標準や環境への影響の度合も異なってくるため、上記とは異なるグループでランク分けする。例えば、軽油を燃料とするディーゼル車については、燃費がa’〜b’(km)の範囲をランク1、これよりも距離が短いb’〜c’の範囲をランク2等とランク分けする。図示しないが、他の燃料電池車、バイオ燃料車等についても同様の考え方でランク分けできる。こうすれば、元々燃費の良い車種については別途の尺度で優遇すると共に、この表ではそれらの車種グループの中でも相対的に良い走りをした車両をきめ細かく優遇できる。
【0045】
即ち、このようなランクテーブル83を使用すれば、どのような燃料を使用する車両でも、同一の燃料グループ内で相対的に燃費の良かった車両には高いランクが与えられ、燃費が悪かった車量には低いランクが与えられる。即ち、通常はランク3に分類されるような車両でも、ランク2に相当する走行を行えば、ランク2にランクされ得る。これにより燃費の良い走行を奨励できる。また同様にして、車両の基本的な情報から推定される標準の燃費と、実際の走行による燃費とを比較し、標準からの乖離の度合いに応じて通行料金を決定するようにしても良い。勿論、燃費の良い車両(行政機関等で認定された低燃費車や低公害車)を購入することで常に高いランクを与えられ得る。
【0046】
このように本実施の形態によれば、車両の通行料金が走行燃費の良さに応じて割り引かれるため、環境対応車種への乗り換えの促進、貨物車両などの積載量を減らす工夫、環境へ配慮した車両運転への工夫、無駄のない経路の選択等の促進が図れる。
【0047】
なお、本発明はプリペイド方式のETCカードにも提供できる。この場合は出口ゲート20bの通過の際にETCカードから直接通行料金が差し引かれる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明による実施の形態の環境対応道路課金システムが適用される高速道路の構成を示す説明図である。
【図2】出口ゲートの構成を模式的に示す説明図である。
【図3】実施の形態によるETC車載器の概略構成を示す説明図である。
【図4】実施の形態によるETC車載器の電気的構成を示すブロック図である。
【図5】実施の形態によるゲート入/退出処理のフローチャートである。
【図6】実施の形態による走行履歴収集処理のフローチャートである。
【図7】実施の形態による走行履歴テーブルを示す説明図である。
【図8】図7に示す走行履歴をグラフ化して示す説明図である。
【図9】第1の実施の形態による通行料課金処理のフローチャートである。
【図10】第2の実施の形態による通行料課金処理のフローチャートである。
【図11】実施の形態による料金テーブルの構成例を示す説明図である。
【図12】実施形態によるランクテーブルの構成例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0049】
10 車両
20 入出口ゲート
21 路側装置
25 課金処理センタ
26 クレジット会社
30 ETC車載器
40 ETCカード
100 ネットワーク(NW)
【技術分野】
【0001】
本発明は自動料金収受システム及びその装置に関し、特に、有料道路や高速道路における環境に配慮した走行に対して適切な課金を行う環境(ecology)対応型の自動料金収受システム、通行料課金装置及びETC車載器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、高速道路の通行料金は普通車、大型車、軽車両等の車種毎に決まっており、車両の性能(燃費等)には関係しない。一方で、車両の走行燃費は年々向上しており、C02やN0xの排出量は削減される傾向にあるが、古いタイプの車両でも環境対応型の車両でも通行料金は等しいのが現状である。
【0003】
一方、高速道路のETC(Electronic Toll Collection System)システムを利用した運用では、混雑や環境に対する影響の少ない臨海部(湾岸線等)を走行する大型車両に適用する割引制度のように、環境走行に対応した割引が実施されている。しかし、あくまで走行経路が環境(渋滞緩和)に配慮した走行を対象としており、C02やN0xの削減など、環境そのものに配慮した走行についての割引は実施されていない。
【非特許文献1】http://www.go-etc.jp/waribiki/waribiki.html(平成20年2月19日)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、従来の高速道路等の有料道路の通行料金の設定にあっては、環境そのものに配慮した走行についての割引は実施されていなかった。
【0005】
本発明は上記背景に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、車両の環境に配慮した走行実績を通行料金に反映可能な自動料金収受システム、通行料課金装置及びETC車載器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様による自動料金収受システムは、有料道路の入口ゲート及び出口ゲートを通過する車両のETC車載器に搭載されたICカードの記憶情報に基づき通行料金を課金する自動料金収受システムにおいて、前記入口ゲート及び出口ゲートの通過の際に各ゲートから受信したゲート識別情報と、該各時点に車両から取得した燃料残量の情報とをICカードに記憶するETC車載器と、前記ICカードが記憶するゲート識別情報により所定の料金テーブルを参照して区間の標準の通行料金と距離を求め、かつ該求めた距離と、前記ICカードが記憶する燃料残量の情報から求めた区間の燃料消費量とに基づき該区間の平均の燃費を求め、該求めた燃費に基づいて前記標準の通行料金に変更を加える通行料課金手段とを備える。
【0007】
本発明では、通行区間の平均の燃費で標準の通行料金に変更を加えることにより、環境に配慮したエコ走行を奨励でき、地球環境の改善に寄与できる。
【0008】
本発明の第2の態様では、前記ICカードは、入口ゲートから出口ゲートまでの区間において車両より定期的に取得された燃料残量の情報を更に含み、前記通行料課金手段は、前記ICカードが記憶する燃料残量の情報に基づき車両の走行内容を表すイベントを判定すると共に、該判定したイベントに基づき走行イベントに属する燃料消費量を抽出して区間の走行燃費を求め、該求めた走行燃費に基づいて前記標準の通行料金に変更を加える。
【0009】
本発明では、区間の途中における燃料残量の推移を定期的に観測することにより、燃料残量が急激に変化するような給油イベントや脱油イベントに起因する燃料残量の変化分を有効に除外でき、区間の正確な走行燃費を求めることが可能となる。
【0010】
本発明の第3の態様による通行料課金装置は、有料道路の入口ゲート及び出口ゲートを通過する車両のETC車載器に搭載されたICカードの記憶情報に基づき通行料金を課金する自動料金収受システムの通行料課金装置において、前記ICカードが記憶する入口ゲート及び出口ゲートの各ゲート識別情報により所定の料金テーブルを参照して区間の標準の通行料金と距離を求める情報抽出手段と、前記求めた距離と、前記ICカードが記憶する入口ゲート及び出口ゲートの各通過時点における車両の燃料残量から求めた区間の燃料消費量とに基づき、区間の平均の燃費を求め、該求めた燃費に基づき前記標準の通行料金に変更を加える通行料変更手段とを備える。
【0011】
本発明の第4の態様では、前記ICカードは、入口ゲートから出口ゲートまでの区間において車両より定期的に取得された燃料残量の情報を更に含み、前記通行料変更手段は、前記ICカードが記憶する燃料残量の情報に基づき車両の走行の内容を表すイベントを判定すると共に、該判定したイベントに基づき走行イベントに属する燃料消費量を抽出して区間の走行燃費を求め、該求めた走行燃費に基づいて前記標準の通行料金に変更を加える。
【0012】
本発明の第5の態様では、前記通行料変更手段は、所定時間内に燃料残量が所定以上増加したことにより給油イベントと判定する。これにより給油イベントと走行イベントを有効に区別できる。
【0013】
本発明の第6の態様では、前記通行料変更手段は、所定時間内に燃料残量が0よりも大きく第1の閾値未満の範囲内で減少したことによりアイドリングイベントと判定する。これによりアイドリングイベントと走行イベントを有効に区別できる。たとえアイドリングであっても、暖房や冷房を伴う長時間のアイドリング停車(休憩)ではかなりの燃料を消費するため、走行実績に与える影響を無視できない。
【0014】
本発明の第7の態様では、前記通行料変更手段は、所定時間内に燃料残量が前記第1の閾値から、該第1の閾値よりも大きい第2の閾値までの範囲内で減少したことにより走行イベントと判定する。これにより区間の実質の走行イベントを有効に抽出できる。
【0015】
本発明の第8の態様では、前記通行料変更手段は、所定時間内に燃料残量が前記第2の閾値を超えて減少したことにより脱油イベントと判定する。これにより脱油イベントと走行イベントを有効に区別できる。
【0016】
本発明の第9の態様では、前記ICカードは、入口ゲートから出口ゲートまでの区間において車両より定期的に取得された速度の情報を更に含み、前記通行料変更手段は、前記ICカードが記憶する速度の情報を含めてイベントの判定を行う。
【0017】
例えば、速度v=0の場合は、駐車、停車(アイドリング停車を含む)、給油又は脱油のイベント判定を確実なものにできる。また、例えば速度vが1〜20km/hの範囲内にある場合は、徐行や渋滞のイベントと判定でき、区間の燃費の悪化を理解できる。また速度vが40km/h〜110km/hの範囲にある場合は、通常のエコ走行と判定でき、環境に配慮した走行のコア部分を抽出できる。
【0018】
本発明の第10の態様では、前記通行料変更手段は、前記ICカードが記憶する当該車両の公称の走行燃費と、前記求めた走行イベントに基づく走行燃費とを比較し、前記公称の走行燃費からの乖離率に応じて前記標準の通行料金に変更を加える。従って、カタログ等に記載される公称の走行燃費を基準として、ドライバーによる環境に配慮した走行実績を有効、かつ車両そのものの性能の相違によらず公平に評価できる。
【0019】
本発明の第11の態様では、ETC車載器は、有料道路の入口ゲート及び出口ゲートを通過する車両のETC車載器に搭載されたICカードの記憶情報に基づき通行料金を課金する自動料金収受システムの前記ETC車載器において、前記入口ゲートの通過時に該ゲートから通知された入口ゲートの識別情報及び通過日時の情報と、 該時点で車両より取得した車両の燃料残量の情報とを前記ICカードに記憶する記録手段と、前記出口ゲートの通過時に、前記ICカードから読み出した入口ゲートの識別情報、通過日時の情報及び燃料残量の情報と、前記ETC車載器で検出した出口ゲートの識別情報及び通過日時の情報と、該時点に検出した車両の燃料残量と、予めETC車載器に登録されている車両情報とを該出口ゲートの路側装置に送信する送信手段とを備える。
【0020】
本発明の第12の態様では、前記記録手段は、入口ゲートから出口ゲートまでの区間において車両より定期的に取得した燃料残量の情報を更に記憶し、前記送信手段は、前記ICカードから読み出した入口ゲートから出口ゲートまでの燃料残量の情報を更に送信する。
【0021】
本発明の第13の態様では、前記ETC車載器に登録されている車両情報にはエンジンの排気量、エンジンのタイプ、使用燃料の種類及び環境対応車種の情報の内の何れか1又は2以上が含まれる。これにより、環境に配慮した車両の通行を無条件で優遇できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、車両の環境に配慮した走行実績を通行料金に反映可能な自動料金収受システム、通行料課金装置及びETC車載器を提供することが可能となる。その結果、環境に優しい車両の走行には通行料金を安くすることで、利用者へのメリットと地球環境改善への貢献が図れ、環境対応車の普及促進にも拍車が掛かることが期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明による実施の形態を図面を参照しながら説明する。図1は実施の形態による環境対応道路課金システムの構成を示す図である。例えば高速道路のインターチェンジIC1,IC2には入口ゲート20aと出口ゲート20bが設けられており、これらはネットワーク(NW)100を介して中央の課金処理センタ25に接続している。
【0024】
図2に出口ゲート20bの概略構成を示す。この出口ゲート20bは、レーンを跨ぐように設置されたガントリ1と、ガントリ1の上部に固定されてレーン上の所定エリアを通過する車両10のETC車載器30と無線通信を行う路側無線器2と、光電センサにより車両10の通過(侵入及び退出)を検出する車両検知器3〜5と、通過ゲート7の開/閉制御を行う発進制御機6と、これらを制御すると共にネットワーク100を介して遠隔の課金処理センタ25にオンラインで接続する路側装置21bとを備える。入口ゲート20aについても同様である。
【0025】
図3,4に実施の形態によるETC車載器の構成を示す。一般に、車両10のダッシュボード12にはスピードメータ12aと、燃料メータ12bと、走行距離メータ12c等が既に設けられており、燃料メータ12bは燃料センサ14で検出した燃料タンク13の燃料残量を表示する。本実施の形態では、この燃料残量の検出信号をETC車載器30にも取り込むと共に、所定時間毎にサンプリングした燃料残量の推移を走行履歴の情報としてETCカード40に記録する。
【0026】
このETC車載器30は、例えばダッシュボード上に設置されており、ゲート20の路側無線器2と無線通信するための無線通信部32と、そのアンテナ31と、ETC車載器30の主制御・処理を行うCPU33と、CPU33が使用する主メモリ(MM)34と、ETCカード40を着脱自在に保持するカード収容部(CHLD)38と、そのカード接続用端子(CN)38aと、車両10で検出された燃料残量や速度の信号をアナログスイッチ(ASW)で選択し、かつA/D変換してCPU33に取り込むためのアナログインタフェース(AIF)37と、利用者が操作をするコンソール(CSL)35と、ETCサービスに係る各種情報を表示するための表示部36とを備える。
【0027】
またこの主メモリ34は、CPU33が実行する図5、図6のアプリケーションプログラムの他、ETC車載器30のID番号や、このETC車載器30を搭載している車両10の基本的な情報等を記憶している。この車両の基本的な情報には、車種や車両10の登録番号の他、車両10の走行性能に関係のある、排気量、エンジンのタイプ{(レシプロ(reciprocal engine)/ディーゼル(diesel engine)/ロータリ(rotary engine)}、燃料の種類{ガソリン(レギュラー又はハイオクタン)/軽油ディーゼル/灯油ディーゼル/バイオディーゼル}、環境対応車種(ハイブリッド車/燃料電池車/2次電池車)等の各種情報が含まれる。このうちの車両の走行性能に関係のある情報は、課金処理センタ25における通行料金の割引サービスにも利用される。
【0028】
更に、このETC車載器30は、ETCカード40を挿入するためのカード挿入口を備えており、利用者が乗車時にETCカード40をカード挿入口に挿入すると、ETC車載器30がETCカード40のカード番号を読取って主メモリ34に記憶保持する。またETCカード40を引抜くと前記記憶保持したカード番号をクリアする。これにより、このETC車載器30では複数の異なるETCカード40を使用できる。
【0029】
一例のETCカード40(本発明のICカードに相当)は、クレジットカードサイズのプラスチックカードに、ICチップと、ETC車載器30に接続するための接続用端子(CN)43とを埋め込んだものである。このICチップには、ETCカード40の主制御・処理を行うマイクロプロセッサユニット(MPU)41と、該MPU41が使用するフラッシュメモリ(FM)42とが含まれる。このフラッシュメモリ42には、ETCカード40を特定するためのカード番号の他、ユーザ預託金の口座番号、契約の有効期限等の決済情報が予め記憶されている。また、このフラッシュメモリ42には、図7に示す如く入力ゲート20aの通過から出口ゲート20bの通過に至るまでに取得された一連の走行履歴の情報を時系列に記録するための走行履歴テーブル81が設けられている。
【0030】
以上の構成により、CPU33は、車両10が入口ゲート20aを通過する際には、該ゲート20aから通知されたゲートID及び通過日時の情報と、 該時点で車両10より取得した燃料残量の情報とをETCカード40の履歴テーブル81に記録する。好ましくは、引き続き、入口ゲート20aから出力ゲート20bに至るまでの走行区間に車量10から定期的に取得した燃料残量の情報を履歴テーブル81に順次記録する。そして、車両10が出口ゲート20bを通過する際には、前記履歴テーブル81から読み出した入口ゲート20aのゲートID、通過日時の情報及び該時点で車両10より取得した燃料残量の情報と、該ETC車載器30が受信した出口ゲート20bのゲートID及び通過日時の情報と、該時点に車両10より取得した燃料残量と、前記入/出口のゲート区間で収集した走行履歴(燃料残量)の情報と、予めETC車載器30に登録されている車両の基本的な情報等とを、出口ゲート20bの路側装置21bに送信する。
【0031】
課金処理センタ25は、図11に示す通行料金テーブル82や、図12に示す走行燃費の良否をランク分けするためのランクテーブル83を備えており、上記CPU33から路側装置21bを介して通知された入/出口ゲートの各通過情報に基づき図7又は図8の通行料課金処理によって車両10の標準の通行料金を求めると共に、その際には、更に走行履歴の情報に基づき車両10の走行燃費を求めて該燃費をランキング分けし、通行料金の割引サービスに反映する。以下詳細に説明する。
【0032】
図5は実施の形態によるゲート入/退出処理のフローチャートで、ETC車載器30のCPU33により実行される。ステップS11では車両10がゲートに侵入するのを待ち、やがて、侵入を検出すると、ステップS12では入口ゲート20aか否かを判別する。入口ゲート20aの場合は、ステップS13で図7に示すETCカード40の走行履歴テーブル81を初期化する。ステップS14では無線通信部32を介して入口ゲート20aの通過情報(入口ゲート20aのID情報、通過時刻の情報等)を取得し、これらを履歴テーブル81の「時刻」と「イベント」の欄に記録する。ステップS15ではアナログインタフェース37を介して車両10から入口ゲート通過時点の燃料残量を取得し、履歴テーブル81の「燃料残量」の欄に記録する。そして、ステップS16ではその後の燃料残量を定期的に取得するための計測タイマをスタートし、ステップS11に戻る。
【0033】
また、上記ステップS12の判別で入口ゲート20aでない場合は、ステップS21で出口ゲート20bか否かを判別し、出口ゲート20bでもない場合はステップS11に戻る。また、出口ゲート20bの場合は、ステップS22で計測タイマをストップさせ、それ以降の燃料残量の計測を停止させる。ステップS23では無線通信部32を介して出口ゲート20bの通過情報(出口ゲート20bのID情報、通過時刻の情報等)を取得し、これらを履歴テーブル81の「時刻」と「イベント」の欄に記録する。ステップS24では車両10から出口ゲート通過時点の燃料残量を取得し、履歴テーブル81の「燃料残量」の欄に記録する。ステップS25ではETC車載器30から通過車両10の基本的な情報を読み出し、これを無線通信部32を介して路側装置21bに送信する。ステップS26では無線通信部32を介して走行履歴テーブル81の履歴情報を路側装置21bに送信する。
【0034】
なお、前記入口ゲート20aの通過情報(入口ゲート20aのID情報、通過時刻の情報)は通常、ETC車載器30で保持するため、この場合のETCカード40には入口通過時の燃料残量のみを記録しても良い。また、実際の運用では、ETCレーンの無線走行のみならず、ETC車載器30からETCカード40を抜き取って一般の出口料金所で課金するケースもあり得る。このため、もしもETCカード40が入口ゲートの通過情報を保持した状態で再度他の入口ゲートの通過情報を受信したような場合には、ステップS13で走行履歴テーブル81を初期化し、再度入口通過情報からの書き込みを開始する。
【0035】
図6は実施の形態による走行履歴収集処理のフローチャートで、上記計測タイマが毎回タイムアウトすると、CPU33のこの処理に割込入力する。ステップS31では、タイマがタイムアウトする所定時間間隔(例えば5分)で走行履歴TB81の「時刻」欄を更新する。ステップS32では車両10から今回の燃料残量を取得し、走行履歴TB81に記録する。ステップS33では今回の燃料残量が前回の燃料残量よりも顕著に多いか否かを判別し、多い場合は、ステップS34で履歴TB81の「イベント」欄に給油イベントを記録する。また、上記ステップS33の判別がNOの場合は、更にステップS35で今回の燃料残量が前回の燃料残量よりも顕著に少ないか否かを判別し、少ない場合は、ステップS36で「イベント」欄に脱油イベントを記録する。また、上記ステップS35の判別がNOの場合は、更にステップS37で今回の燃料残量が前回の燃料残量と略等しいか否かを判別し、等しい場合は、ステップS38で「イベント」欄に駐車(又は停車)イベントを記録する。また、上記ステップS37の判別がNOの場合は、更にステップS39で、今回の燃料残量が前回の燃料残量よりは少ないが、前回の燃料残量から所定量αを差し引いた値より多いか否かを判別し、TESの場合は、ステップS40で「イベント」欄にアイドリング停車イベントを記録する。また、上記ステップS39の判別がNOの場合は、更にステップS41で、今回の燃料残量が前回の燃料残量から所定量αを差し引いたものよりは少ないが、前回の燃料残量から所定量β(>α)を差し引いたものより多いか否かを判別し、YESの場合は、ステップS42で「イベント」欄に走行イベントを記録する。以上により、走行に伴う実質的な燃料消費量と、それ以外の理由による燃料消費量とを区別できるため、区間の環境に配慮した走行実績(燃費)をより忠実に分析できる。
【0036】
図7に実施の形態による走行履歴テーブル81を示す。時刻の進行に伴い、図6の走行履歴収集処理で収集された、燃料残量[l]と、その分析に基づき判定されたイベントとが記録されている。所定時間当たりの「燃料消費量」の欄は、実際には履歴テーブル81に記録しなくても良いが、前回の燃料残量から今回の燃料残量を差し引くことで容易に得られる。これら所定時間当たりの燃料残量の推移を分析することで、走行イベントに係るトータルの燃料消費量を有効に抽出でき、実走行に忠実な燃費が求まる。
【0037】
ところで、車両10の走行実績を所定時間当たりの燃料消費量のみで判断すると、車両10が走行中であることは推定できるが、同一の燃料消費量であっても平地を高速で走行中であるのか、あるいは山道や渋滞などによりセカンドやサードで走行中なのか区別がつかない。そこで、本第2の実施の形態では、更に車両10から速度(km/h)の情報を取得し、イベントの判定に役立てる。
【0038】
例えば、速度が「0」km/hで、かつ所定時間当たりの燃料消費量が「0」リットルの場合は駐車(又は停車)と判定できる。一方、速度が「0」km/hであっても、所定時間当たりの燃料消費量が「0.1」リットル(即ち、少ないが「0」ではない)の場合には、アイドリング停車と判定できる。アイドリング停車であっても暖房や冷房が伴う場合には区間の燃費を少なからず悪化させるため、これを無視できない。また、給油や脱油の行為も速度が「0」km/hの時に行われる。なお、図の「走行距離」kmの欄も設けるには及ばないが、所定時間当たりの走行距離(=所定時間×速度)を積分することで容易に得られる。
【0039】
また、図7の例では所定時間を5分としたが、他の所定時間も任意に設定できる。この所定時間は、短いほど走行履歴を精密に分析できるが、フラッシュメモリ42を沢山使用することになる。例えば首都高速など、比較的短い区間を走行する場合には所定時間を相対的に短く設定し、東名高速など、比較的長い区間を走行する場合は所定時間を相対的に長く設定しても良い。
【0040】
また、図7の例は、走行区間の中間時点で取得した各燃料残量を記録した場合を示したが、これに限らない。上記図5のステップS16の処理で、もし計測タイマを起動しなかった場合には定期的な燃料残量の取得は行われず、このため履歴テーブル81には入口ゲート通過時点と出口ゲート通過時点の各通過時刻と、ゲート入/退出のイベントと、各ゲートの通過時点で取得した燃料残量のみが記録されることになる。従って、少ないメモリ容量でも走行履歴情報を記憶できる。図8に上記図7の走行履歴のグラフ図を示す。もし、このような走行履歴のグラフを表示部36にリアルタイムで表示をすれば、ドライバ−のマナー運転を有効に支援できる。
【0041】
図9は第1の実施の形態による通行料課金処理のフローチャートで、入/出口の各ゲート通過情報に基づき通行料金を決定する場合を示している。この処理は課金処理センタ25で実行される。ステップS51では入/出口の各ゲート通過情報で図11の料金テーブル82を参照し、両IC間の標準通行料金と距離を取得する。ステップS52では入/出口ゲート通過時の各燃料残量の情報に基づき、区間の燃料消費量(=入口の燃料残量−出口の燃料残量)を求める。ステップS53では、区間の燃費を、
区間の燃費=(区間の距離)/(区間の燃料消費量)
により求める。即ち、燃料1リッター当たり平均何キロメートル走ったかを求める。ステップS54では、該求めた区間の燃費で図12のランクテーブル83を参照し、当該区間における走行実績(燃費)をランク分けする。ステップS55では該求めたランクに応じて料金の割り引き率を決定し、ステップS56では該決定した割引率に応じて標準通行料金を割り引く。あるいは、ランクに応じて通行料金の減額分を決定し、標準通行料金から差し引いてもよい。
【0042】
図10は第2の実施の形態による通行料課金処理のフローチャートで、入/出口のゲート間で定期的に取得した燃料残量の情報を利用することでより走行実績に忠実な課金処理を行う場合を示している。なお、図9と同一又は相当の処理には同一のステップ番号を付す。ステップS51では入/出口の各ゲート通過情報で図11の料金テーブル82を参照し、両IC間の標準の通行料金と距離を取得する。ステップS62では図7の走行履歴テーブル81を参照し、区間の走行イベントで使用したトータルの走行燃料消費量を求める。この走行燃料消費量は、走行イベントの欄の燃料消費量を合計することで容易に得られる。この走行燃料消費量には、給油による増量分も、脱油による減量分も、更にはアイドリング停車による休憩分も含まれないため、より実際の走行実績に忠実な燃料消費量が求まる。ステップS63では区間の走行燃費を、
区間の走行燃費=(区間の距離)/(区間の走行燃料消費量)
により求める。即ち、燃料1リッター当たり平均何キロメートル走ったかを求める。ステップS64では、該求めた区間の走行燃費で図12のランクテーブル83を参照し、当該区間における走行実績(燃費)をランク分けする。ステップS55では該求めたランクに応じて料金の割り引き率を決定し、ステップS56では該決定した割引率に応じて標準料金を割り引く。あるいは、ランクに応じて通行料金の減額分を決定し、標準通行料金から差し引く。本第2の実施の形態にでは、実際の走行分に則した燃費が得られるため、途中における給油の有/無に関わらず、実際の走行にのみ忠実なランク分け(即ち、料金割引)を行える。
【0043】
図11に料金テーブル82の一例を示す。図は東名高速における普通車への適用例を示しているが、大型車や軽車両についても同様の料金テーブルが設けられており、普通車と同様に適用できる。このテーブル82の第1列目にはインターチェンジ名(但し、図は主なもののみを示している)が順に配列されており、例えば東京から横浜までの料金は750円、距離は19.7km、所要時間は14分と読み取れる。また東京から静岡までの料金は4300円、距離は161.8km、所要時間は1時間53分と読み取れる。更に、このテーブル82の第3列目には横浜ICを起点とした他の各ICまでの通行料金が示されおり、第4列目には御殿場ICを起点とした他の各ICまでの通行料金が示されている。これらの場合の距離と所要時間については簡単な引き算により容易に求められる。
【0044】
図12に燃費のランクテーブル83を示す。今、燃費を燃料1リッター当たり何キロメートル走ったかで表すとすると、燃費が良い(距離が長い)順に1,2,3等とランク分けする。例えば、ガソリンを燃料とするガソリン車については、燃費がa〜b(km)の範囲をランク1、これよりも距離が短いb〜cの範囲をランク2等とランク分けする。一方、燃料(車種)が異なると、燃費の標準や環境への影響の度合も異なってくるため、上記とは異なるグループでランク分けする。例えば、軽油を燃料とするディーゼル車については、燃費がa’〜b’(km)の範囲をランク1、これよりも距離が短いb’〜c’の範囲をランク2等とランク分けする。図示しないが、他の燃料電池車、バイオ燃料車等についても同様の考え方でランク分けできる。こうすれば、元々燃費の良い車種については別途の尺度で優遇すると共に、この表ではそれらの車種グループの中でも相対的に良い走りをした車両をきめ細かく優遇できる。
【0045】
即ち、このようなランクテーブル83を使用すれば、どのような燃料を使用する車両でも、同一の燃料グループ内で相対的に燃費の良かった車両には高いランクが与えられ、燃費が悪かった車量には低いランクが与えられる。即ち、通常はランク3に分類されるような車両でも、ランク2に相当する走行を行えば、ランク2にランクされ得る。これにより燃費の良い走行を奨励できる。また同様にして、車両の基本的な情報から推定される標準の燃費と、実際の走行による燃費とを比較し、標準からの乖離の度合いに応じて通行料金を決定するようにしても良い。勿論、燃費の良い車両(行政機関等で認定された低燃費車や低公害車)を購入することで常に高いランクを与えられ得る。
【0046】
このように本実施の形態によれば、車両の通行料金が走行燃費の良さに応じて割り引かれるため、環境対応車種への乗り換えの促進、貨物車両などの積載量を減らす工夫、環境へ配慮した車両運転への工夫、無駄のない経路の選択等の促進が図れる。
【0047】
なお、本発明はプリペイド方式のETCカードにも提供できる。この場合は出口ゲート20bの通過の際にETCカードから直接通行料金が差し引かれる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明による実施の形態の環境対応道路課金システムが適用される高速道路の構成を示す説明図である。
【図2】出口ゲートの構成を模式的に示す説明図である。
【図3】実施の形態によるETC車載器の概略構成を示す説明図である。
【図4】実施の形態によるETC車載器の電気的構成を示すブロック図である。
【図5】実施の形態によるゲート入/退出処理のフローチャートである。
【図6】実施の形態による走行履歴収集処理のフローチャートである。
【図7】実施の形態による走行履歴テーブルを示す説明図である。
【図8】図7に示す走行履歴をグラフ化して示す説明図である。
【図9】第1の実施の形態による通行料課金処理のフローチャートである。
【図10】第2の実施の形態による通行料課金処理のフローチャートである。
【図11】実施の形態による料金テーブルの構成例を示す説明図である。
【図12】実施形態によるランクテーブルの構成例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0049】
10 車両
20 入出口ゲート
21 路側装置
25 課金処理センタ
26 クレジット会社
30 ETC車載器
40 ETCカード
100 ネットワーク(NW)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有料道路の入口ゲート及び出口ゲートの通過の際に各ゲートから受信したゲート識別情報と各ゲートの通過の時点で車両から取得した燃料残量情報とをICカードに記憶するETC車載器と、
前記ICカードが記憶するゲート識別情報により所定の料金テーブルを参照して区間の標準の通行料金と距離を求め、かつ該求めた距離と、前記ICカードが記憶する燃料残量情報から求めた区間の燃料消費量とに基づき該区間の平均の燃費を求め、該求めた燃費に基づいて前記標準の通行料金に変更を加える通行料課金手段と、
を備えることを特徴とする自動料金収受システム。
【請求項2】
前記ICカードは、入口ゲートから出口ゲートまでの区間において車両より定期的に取得された燃料残量情報を更に含み、
前記通行料課金手段は、前記ICカードが記憶する燃料残量情報に基づき車両の走行内容を表すイベントを判定すると共に、該判定したイベントに基づき走行イベントに属する燃料消費量を抽出して区間の走行燃費を求め、該求めた走行燃費に基づいて前記標準の通行料金に変更を加えることを特徴とする請求項1記載の自動料金収受システム。
【請求項3】
有料道路の入口ゲート及び出口ゲートを通過する車両のETC車載器に搭載されたICカードの記憶情報に基づき通行料金を課金する自動料金収受システムの通行料課金装置において、
前記ICカードが記憶する入口ゲート及び出口ゲートの各ゲート識別情報により所定の料金テーブルを参照して区間の標準の通行料金と距離を求める情報抽出手段と、
前記求めた距離と、前記ICカードが記憶する入口ゲート及び出口ゲートの各通過時点における車両の燃料残量から求めた区間の燃料消費量とに基づき、区間の平均の燃費を求め、該求めた燃費に基づき前記標準の通行料金に変更を加える通行料変更手段とを備えることを特徴とする通行料課金装置。
【請求項4】
前記ICカードは、入口ゲートから出口ゲートまでの区間において車両より定期的に取得された燃料残量の情報を更に含み、
前記通行料変更手段は、前記ICカードが記憶する燃料残量の情報に基づき車両の走行の内容を表すイベントを判定すると共に、該判定したイベントに基づき走行イベントに属する燃料消費量を抽出して区間の走行燃費を求め、該求めた走行燃費に基づいて前記標準の通行料金に変更を加えることを特徴とする請求項3記載の通行料課金装置。
【請求項5】
前記通行料変更手段は、所定時間内に燃料残量が所定以上増加したことにより給油イベントと判定することを特徴とする請求項4記載の通行料課金装置。
【請求項6】
前記通行料変更手段は、所定時間内に燃料残量が0よりも大きく第1の閾値未満の範囲内で減少したことによりアイドリングイベントと判定することを特徴とする請求項4記載の通行料課金装置。
【請求項7】
前記通行料変更手段は、所定時間内に燃料残量が前記第1の閾値から、該第1の閾値よりも大きい第2の閾値までの範囲内で減少したことにより走行イベントと判定することを特徴とする請求項6記載の通行料課金装置。
【請求項8】
前記通行料変更手段は、所定時間内に燃料残量が前記第2の閾値を超えて減少したことにより脱油イベントと判定することを特徴とする請求項7記載の通行料課金装置。
【請求項9】
前記ICカードは、入口ゲートから出口ゲートまでの区間において車両より定期的に取得された速度の情報を更に含み、
前記通行料変更手段は、前記ICカードが記憶する速度の情報を含めてイベントの判定を行うことを特徴とする請求項4乃至8の何れか1項に記載の通行料課金装置。
【請求項10】
前記通行料変更手段は、前記ICカードが記憶する当該車両の公称の走行燃費と、前記求めた走行イベントに基づく走行燃費とを比較し、前記公称の走行燃費からの乖離率に応じて前記標準の通行料金に変更を加えることを特徴とする請求項4記載の通行料課金装置。
【請求項11】
有料道路の入口ゲート及び出口ゲートを通過する車両のETC車載器に搭載されたICカードの記憶情報に基づき通行料金を課金する自動料金収受システムの前記ETC車載器において、
前記入口ゲートの通過時に該ゲートから通知された入口ゲートの識別情報及び通過日時の情報と、 該時点で車両より取得した車両の燃料残量の情報とを前記ICカードに記憶する記録手段と、
前記出口ゲートの通過時に、前記ICカードから読み出した入口ゲートの識別情報、通過日時の情報及び燃料残量の情報と、前記ETC車載器で検出した出口ゲートの識別情報及び通過日時の情報と、該時点に検出した車両の燃料残量と、予めETC車載器に登録されている車両情報とを該出口ゲートの路側装置に送信する送信手段とを備えることを特徴とするETC車載器。
【請求項12】
前記記録手段は、入口ゲートから出口ゲートまでの区間において車両より定期的に取得した燃料残量の情報を更に記憶し、
前記送信手段は、前記ICカードから読み出した入口ゲートから出口ゲートまでの燃料残量の情報を更に送信することを特徴とする請求項11記載のETC車載器。
【請求項13】
前記ETC車載器に登録されている車両情報にはエンジンの排気量、エンジンのタイプ、使用燃料の種類及び環境対応車種の情報の内の何れか1又は2以上が含まれることを特徴とする請求項11記載のETC車載器。
【請求項1】
有料道路の入口ゲート及び出口ゲートの通過の際に各ゲートから受信したゲート識別情報と各ゲートの通過の時点で車両から取得した燃料残量情報とをICカードに記憶するETC車載器と、
前記ICカードが記憶するゲート識別情報により所定の料金テーブルを参照して区間の標準の通行料金と距離を求め、かつ該求めた距離と、前記ICカードが記憶する燃料残量情報から求めた区間の燃料消費量とに基づき該区間の平均の燃費を求め、該求めた燃費に基づいて前記標準の通行料金に変更を加える通行料課金手段と、
を備えることを特徴とする自動料金収受システム。
【請求項2】
前記ICカードは、入口ゲートから出口ゲートまでの区間において車両より定期的に取得された燃料残量情報を更に含み、
前記通行料課金手段は、前記ICカードが記憶する燃料残量情報に基づき車両の走行内容を表すイベントを判定すると共に、該判定したイベントに基づき走行イベントに属する燃料消費量を抽出して区間の走行燃費を求め、該求めた走行燃費に基づいて前記標準の通行料金に変更を加えることを特徴とする請求項1記載の自動料金収受システム。
【請求項3】
有料道路の入口ゲート及び出口ゲートを通過する車両のETC車載器に搭載されたICカードの記憶情報に基づき通行料金を課金する自動料金収受システムの通行料課金装置において、
前記ICカードが記憶する入口ゲート及び出口ゲートの各ゲート識別情報により所定の料金テーブルを参照して区間の標準の通行料金と距離を求める情報抽出手段と、
前記求めた距離と、前記ICカードが記憶する入口ゲート及び出口ゲートの各通過時点における車両の燃料残量から求めた区間の燃料消費量とに基づき、区間の平均の燃費を求め、該求めた燃費に基づき前記標準の通行料金に変更を加える通行料変更手段とを備えることを特徴とする通行料課金装置。
【請求項4】
前記ICカードは、入口ゲートから出口ゲートまでの区間において車両より定期的に取得された燃料残量の情報を更に含み、
前記通行料変更手段は、前記ICカードが記憶する燃料残量の情報に基づき車両の走行の内容を表すイベントを判定すると共に、該判定したイベントに基づき走行イベントに属する燃料消費量を抽出して区間の走行燃費を求め、該求めた走行燃費に基づいて前記標準の通行料金に変更を加えることを特徴とする請求項3記載の通行料課金装置。
【請求項5】
前記通行料変更手段は、所定時間内に燃料残量が所定以上増加したことにより給油イベントと判定することを特徴とする請求項4記載の通行料課金装置。
【請求項6】
前記通行料変更手段は、所定時間内に燃料残量が0よりも大きく第1の閾値未満の範囲内で減少したことによりアイドリングイベントと判定することを特徴とする請求項4記載の通行料課金装置。
【請求項7】
前記通行料変更手段は、所定時間内に燃料残量が前記第1の閾値から、該第1の閾値よりも大きい第2の閾値までの範囲内で減少したことにより走行イベントと判定することを特徴とする請求項6記載の通行料課金装置。
【請求項8】
前記通行料変更手段は、所定時間内に燃料残量が前記第2の閾値を超えて減少したことにより脱油イベントと判定することを特徴とする請求項7記載の通行料課金装置。
【請求項9】
前記ICカードは、入口ゲートから出口ゲートまでの区間において車両より定期的に取得された速度の情報を更に含み、
前記通行料変更手段は、前記ICカードが記憶する速度の情報を含めてイベントの判定を行うことを特徴とする請求項4乃至8の何れか1項に記載の通行料課金装置。
【請求項10】
前記通行料変更手段は、前記ICカードが記憶する当該車両の公称の走行燃費と、前記求めた走行イベントに基づく走行燃費とを比較し、前記公称の走行燃費からの乖離率に応じて前記標準の通行料金に変更を加えることを特徴とする請求項4記載の通行料課金装置。
【請求項11】
有料道路の入口ゲート及び出口ゲートを通過する車両のETC車載器に搭載されたICカードの記憶情報に基づき通行料金を課金する自動料金収受システムの前記ETC車載器において、
前記入口ゲートの通過時に該ゲートから通知された入口ゲートの識別情報及び通過日時の情報と、 該時点で車両より取得した車両の燃料残量の情報とを前記ICカードに記憶する記録手段と、
前記出口ゲートの通過時に、前記ICカードから読み出した入口ゲートの識別情報、通過日時の情報及び燃料残量の情報と、前記ETC車載器で検出した出口ゲートの識別情報及び通過日時の情報と、該時点に検出した車両の燃料残量と、予めETC車載器に登録されている車両情報とを該出口ゲートの路側装置に送信する送信手段とを備えることを特徴とするETC車載器。
【請求項12】
前記記録手段は、入口ゲートから出口ゲートまでの区間において車両より定期的に取得した燃料残量の情報を更に記憶し、
前記送信手段は、前記ICカードから読み出した入口ゲートから出口ゲートまでの燃料残量の情報を更に送信することを特徴とする請求項11記載のETC車載器。
【請求項13】
前記ETC車載器に登録されている車両情報にはエンジンの排気量、エンジンのタイプ、使用燃料の種類及び環境対応車種の情報の内の何れか1又は2以上が含まれることを特徴とする請求項11記載のETC車載器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−251826(P2009−251826A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−97526(P2008−97526)
【出願日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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