説明

自動検査システム

【課題】 汎用的なインタフェースを用いて容易に検査等を行うことができる自動検査システムを提供する。
【解決手段】 PC2は、特定識別情報を含む制御コマンドをマイコン13向けとし、特定識別情報を含まない制御コマンドをシンセ装置20向けとしてUSBコマンドを出力し、USB−シリアル変換治具4がシリアル信号に変換して恒温槽1内の治具基板10に出力すると、マイコン13は特定識別情報を含む制御コマンドに基づき、シンセ装置20の選択・電源供給、その他検査のための動作を行わせ、定識別情報を含まない制御コマンドは3ステートバッファ14を介してシンセ装置20に出力させ、制御結果のデータと検査結果のデータを負論理和回路11からUSB−シリアル変換治具4に出力自動検査システムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信機で使用されるシンセサイザ等を検査する自動検査システムに係り、特に、汎用的なインタフェースを用いて容易に検証等を行うことができる自動検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
[従来の技術]
通信機で使用されるシンセサイザを複数まとめて一台のコンピュータで調整、測定、検査を行うシステムでは、複数系統の通信ポートを有し、アドレス制御を行うことができる高級な通信インタフェースを備える必要があった。
【0003】
[関連技術]
尚、関連する先行技術として、特開平11−083923号公報「電子機器検査装置」(出願人:新栄電子計測器株式会社[特許文献1])、特開2008−136137号公報「検査装置」(出願人:横河電気株式会社「特許文献2」)がある。
【0004】
特許文献1には、検査装置において、計測器本体にPIO接続されたパソコンとを有し、検査対象の電子機器の特性を検査する複数の計測器と、電子機器への出力チャンネル、入力チャンネルと、計測器を入出力チャンネルに接続する選択手段とを備え、パソコンが設定された検査の手順に従って制御することが示されている。
【0005】
特許文献2には、試験装置において、被試験対象に接続されるCPUが個別に実装された複数の回路基板と、複数の回路基板を収容した試験用ユニットと、試験用ユニットに設けられた外部端子に対して、複数の回路基板にそれぞれ実装された複数のCPUの一つを選択的に接続させる接続手段とを備えることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−083923号公報
【特許文献2】特開2008−136137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の検査システムでは、検査用として高級な通信インタフェースを用いて複雑なアドレス制御を行う必要があり、安価な構成で、容易に検査等を行うことができないという問題点があった。
【0008】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、汎用的なインタフェースを用いて容易に検査等を行うことができる自動検査システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、自動検査システムにおいて、複数の検査対象装置と、当該検査対象装置に各々接続し、シリアル信号の入出力と制御コマンドの出力を行うバッファと、検査対象装置に電源電圧を供給する電源電圧供給手段と、バッファ、電源電圧供給手段に対して制御コマンドを出力して制御を行い、制御結果のデータを入力して出力する制御手段と、制御手段からの制御結果のデータと検査対象装置からの検査結果のデータをシリアル信号として入力し、外部へ一のシリアル信号として出力する統合手段とを備え、外部からのシリアル信号が分岐されて制御手段とバッファに出力される治具基板と、検査対象装置と制御手段に制御コマンドをシリアル信号で出力すると共に、制御結果のデータ及び検査結果のデータをシリアル信号で入力する制御装置とを有することを特徴とする。
【0010】
本発明は、上記自動検査システムにおける制御手段において、変換治具に対するシリアル信号の入出力インタフェースを調歩同期式シリアルインタフェースとしたことを特徴とする。
【0011】
本発明は、上記自動検査システムにおいて、制御手段向けの制御コマンドには、特定の識別情報を付与し、検査対象装置向けの制御コマンドには、特定の識別情報を付与せず、制御手段が、入力された制御コマンドについて特定の識別情報の有無を判定し、特定の識別情報が有る場合に、当該制御コマンドに基づく制御を行うことを特徴とする。
【0012】
本発明は、上記自動検査システムにおいて、制御手段が、入力された制御コマンドに特定の識別情報が有る場合に、分岐してバッファに入力された制御コマンドを無効にする指示をバッファに出力することを特徴とする。
【0013】
本発明は、上記自動検査システムにおいて、制御手段向けの制御コマンドとして、特定の検査対象装置に電源電圧を供給する制御コマンドと当該検査対象装置を選択する制御コマンドが制御手段に入力されると、制御手段が、電源電圧供給手段を制御して検査対象装置に電源電圧を供給し、選択された検査対象装置に接続するバッファを選択すると共に、入出力選択手段を制御して選択された検査対象装置の入出力を選択することを特徴とする。
【0014】
本発明は、上記自動検査システムにおいて、制御手段向けの制御コマンドとして、特定の検査対象装置のシリアルインタフェースをエミュレーションさせる制御コマンドが制御手段に入力されると、制御手段が、特定の検査対象装置に接続するバッファにエミュレーション指示を出力し、バッファが、特定の検査対象装置に対しエミュレーション指示を出力し、検査対象装置に対する動作設定を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、治具基板が、複数の検査対象装置と、当該検査対象装置に各々接続し、シリアル信号の入出力と制御コマンドの出力を行うバッファと、検査対象装置に電源電圧を供給する電源電圧供給手段と、バッファ、電源電圧供給手段、入出力選択手段に対して制御コマンドを出力して制御を行い、制御結果のデータを入力して出力する制御手段と、制御手段からの制御結果のデータと検査対象装置からの検査結果のデータをシリアル信号として入力し、外部へ一のシリアル信号として出力する統合手段とを備えて、外部からのシリアル信号が分岐されて制御手段とバッファに出力されるものであり、制御装置が、検査対象装置と制御手段に制御コマンドをシリアル信号で出力すると共に、制御結果のデータ及び検査結果のデータをシリアル信号で入力する自動検査システムとしているので、汎用的なインタフェースを用いて容易に検査等を行うことができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態に係る自動検査システムの構成ブロック図である。
【図2】治具基板の構成図である。
【図3】調歩同期式通信のデータフォーマットの概略図である。
【図4】シリアルインタフェースタイミング規定図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係る自動検査システム(本システム)は、一台のコンピュータで複数台のシンセサイザを切替制御しながら、調整、測定、検査を行うものであり、汎用組み込みマイコンでは必ずと言ってよいほど備えられている調歩同期式シリアルインタフェース1ポートだけで制御可能とし、調歩同期式シリアルインタフェースのデータを論理和するハード構成と、コマンド体系を制御対象毎に明示的に分け、制御対象側は自分に対するコマンドに対してだけしか応答データを返さないようにするソフト構成により実現したものであり、汎用的なインタフェースを用いて容易に検査等を行うことができる。
【0018】
[自動検査システムの概略図:図1]
本発明の実施の形態に係る自動検査システムについて図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る自動検査システムの構成ブロック図である。
本発明の実施の形態に係る自動検査システム(本システム)は、図1に示すように、恒温槽1と、パーソナルコンピュータ(PC)2と、USBハブ(Hub)3と、USB−シリアル変換治具4と、電源5と、USB−GPIBインタフェース(I/F)6と、信号発生回路(SG:Signal Generator)7と、スペアナ8とを基本的に有している。
【0019】
[自動検査システムの各部]
本システムの各部について具体的に説明する。
恒温槽1は、検査対象の複数のシンセ装置に接続する治具基板を備える。治具基板についての詳細は後述する。
【0020】
[PC2]
パーソナルコンピュータ(PC)2は、USB(Universal Serial Bus)ポートを備え、当該ポートがUSBハブ3に接続する。
PC2は、USBハブ3、USB−シリアル変換治具4を介して恒温槽1内の治具基板に接続し、治具基板内のマイコン又はシンセ装置に対して検査等に関するUSBコマンドを送信し、治具基板からは検査等に関するデータを受信する。
また、PC2は、USBハブ3、USB−GPIB I/F6を介して恒温槽1内部の温度が一定となるよう制御している。
【0021】
ここで、治具基板に供給されるコマンドについて説明する。
コマンドには、特定の識別情報を有しないコマンドと特定の識別情報を有するコマンドがある。例えば、@無しのコマンドと@有りのコマンドがある。
@無しのコマンドは、検査対象のシンセ装置へのスルーコマンドであり、@有りのコマンドは、治具基板内マイコンへの制御コマンドとなる。
【0022】
例えば、「@PON」は、治具基板回路内でシンセ装置への電源供給を制御するコマンドであり、「@SEL」は、RF,IFスイッチ切替コマンドであり、「@OUTSEL」は、同軸ケーブルへの出力切替コマンドであり、「@SERFRQ」は、3線シリアルインタフェースエミュレーション出力制御コマンドであり、「@ALM」は、シンセ装置のアラーム出力状態モニタコマンドであり、「@SRESET」は、シンセ装置に対するPLLリセット出力制御コマンドである。
【0023】
[USBハブ3]
USBハブ(Hub)3は、PC2からのUSBデータをUSB−シリアル変換治具4に出力すると共に、USB−シリアル変換治具4からUSBデータを受信してPC2に出力する。
USBハブ3は、SG7に外部リファレンス信号出力指示信号を出力する。
【0024】
[USB−シリアル変換治具4]
USB−シリアル変換治具4は、USBハブ3からのUSBコマンドをシリアルコマンドに変換して恒温槽1内に設置した治具基板に出力し、治具基板からのシリアルデータをUSBデータに変換してUSBハブ3に出力する。
つまり、PC2からはCOMポートとして制御する。
【0025】
USB−シリアル変換治具4は、DC/DCコンバータを備え、スイッチング電源5から供給される直流電圧を別の直流電圧に変換して治具基板に供給する。例えば、+12Vの直流電圧を+6V、1A程度の直流電圧に変換する。
【0026】
[電源5]
電源5は、入力電力から希望の出力電力を得るための電源装置であり、例えば、+12Vの電圧をUSB−シリアル変換治具4に供給する。
【0027】
[USB−GPIB I/F6]
USB−GPIB(General Purpose Interface Bus)インタフェース(I/F)6は、USBハブ3とGPIB測定器のスペアナ8とを接続するインタフェースであり、PC2からのUSBコマンドをGPIBのコマンドに変換してスペアナ8に出力し、スペアナ8からのGPIBのコマンドをUSBコマンドに変換してUSBハブ3に出力する。
また、USB−GPIB I/F6は、PC2からの恒温槽温度制御のUSBコマンドをGPIBのコマンドに変換して恒温槽1に出力し、恒温槽1からの恒温槽温度制御のGPIBのデータをUSBデータに変換してUSBハブ3に出力する。
【0028】
[SG7]
信号発生回路(SG:Signal Generator)7は、USBハブ3からの指示信号により、例えば、19.2MHzの外部リファレンス信号(外部基準信号)を治具基板に供給する。
【0029】
[スペアナ8]
スペアナ(Spectrum analyzer)8は、横軸が周波数、縦軸が電力として信号の周波数特性を計測する電気計測器であり、恒温槽1内の治具基板のシンセ装置から出力される信号の周波数特性を計測し、GPIBインタフェースを介してコマンドに対応する応答やデータをUSB−GPIB I/F6に出力する。
【0030】
[治具基板:図2]
次に、本システムにおける恒温槽1内の治具基板10について図2を参照しながら説明する。図2は、治具基板の構成図である。
治具基板10は、図2に示すように、負論理和回路11と、マイコン13と、3ステートバッファ14と、LDO(Low Drop Out)15と、MOS(Metal Oxide Semiconductor)スイッチ16と、RF(Radio Frequency)スイッチ17と、検査対象シンセ装置20とを備えている。
尚、シンセ装置20は複数個(最大16台)設けられ、その数に対応して3ステートバッファ14とMOSスイッチ16も複数設けられている。
【0031】
[治具基板の各部]
次に、治具基板10の各部について説明する。
[負論理和回路11]
負論理和回路11は、一方に3ステートバッファ14からの信号を入力し、他方にマイコン13からの信号を入力し、両者の負論理和をシリアル通信でUSB−シリアル変換治具4に出力する。この出力信号が検査等に関するシリアルデータとなる。
【0032】
[マイコン13]
マイコン13は、USB−シリアル変換治具4からシリアル通信で制御コマンドについて特定の識別情報を有するか否かを判定し、特定の識別情報を有するコマンド(@有りのコマンド)を有効として入力して、3ステートバッファ14を介してシンセ装置20に出力し、また、MOSスイッチ16及びRFスイッチ17に制御コマンドを出力する。
更に、マイコン13は、制御コマンドに対する応答コマンド(制御結果のデータ)を入力し、負論理和回路11に出力する。
【0033】
更に、@有りのコマンドは同時に3ステートバッファ14にも入力されるため、マイコン13は、@有りのコマンド入力により、3ステートバッファ14に対してUSB−シリアル変換治具4から3ステートバッファ14に入力されたコマンドを無効化する指示を出力する。当該コマンドはマイコン用であってシンセ装置用ではないためである。これにより、マイコン用のコマンドがシンセ装置20に入力されるのを防止している。
【0034】
また、マイコン13は、特定の識別情報を有しないコマンド(@無しのコマンド)を無効とし、そのコマンドによっては動作しないようになっており、エコーバックも返さない仕様とする。
つまり、@有りのコマンドは、マイコン向けに有効であってシンセ装置向けに無効であり、@無しのコマンドは、シンセ装置向けに有効であってマイコン向けに無効である。
具体的な制御コマンドについては後述する。
【0035】
[3ステートバッファ14]
3ステートバッファ14は、USB−シリアル変換治具4からの制御コマンドとマイコン13からの制御コマンドが入力され、対応するシンセ装置20に制御コマンドを出力すると共に、シンセ装置20からのデータをマイコン13と負論理和回路11に出力する。
つまり、USB−シリアル変換治具4からの信号線、マイコン13からの信号線が分岐されて各3ステートバッファ14に入力され、全ての3ステートバッファ14の出力がワイヤードORされて負論理和回路11の一方の端子に入力されるようになっている。
また、3ステートバッファ14は、マイコン13からの「@SEL」の制御コマンドによって選択される。
【0036】
[LDO15]
LDO15は、低ドロップアウト電圧レギュレータであり、USB−シリアル変換治具4から供給された+6Vの電圧を5.5Vに変換し、MOSスイッチ16を介してシンセ装置20に供給する。
【0037】
[MOSスイッチ16]
MOSスイッチ16は、マイコン13からの電源制御コマンドによりLDO15からの低電圧を対象のシンセ装置20に供給する。
【0038】
[RFスイッチ17]
RFスイッチ17は、マイコン13からのシンセ装置20の選択制御コマンドにより特定のシンセ装置20接続経路を選択し、SG7からの外部レファレンス信号(EXT_REF)を対象のシンセ装置20に供給し、シンセ装置20からの信号(IF_OUT,RF_OUT)を、同軸ケーブルを介してスペアナ8に出力する。
【0039】
[シンセ装置20]
シンセ装置20は、検査対象のシンセ装置であって、マイコンを搭載し、3ステートバッファ14と1対1でシリアル通信し、検査等に関する問い合わせに対して応答信号を3ステートバッファ14に出力する。
また、シンセ装置20は、アラーム出力状態モニタコマンドが入力されると、ポートに入力状態を返信する。ポートの入力状態に異常があれば、アラーム出力信号となる。
また、シンセ装置20は、マイコン13が出力する3線シリアルインタフェースエミュレーション出力を3ステートバッファ14経由で受信し、その情報により出力周波数設定を行う。
また、シンセ装置20は、PLLリセット出力制御コマンドが入力されると、装置内のPLLをリセットする。
【0040】
[制御コマンド]
具体的な制御コマンドによる制御について説明する。
制御コマンド「@PON」は、マイコン13からMOSスイッチ16に出力され、MOSスイッチ16をオンにしてLDO15が提供する低電圧を対象のシンセ装置20に供給する。
制御コマンド「@SEL」は、マイコン13から3ステートバッファ14とRFスイッチ17に出力され、検査対象シンセ装置20が接続する1系統だけの3ステートバッファ14を選択し、対象のシンセ装置20の入出力をRFスイッチ17で経路選択する。当該制御コマンドで、シンセ装置20からのIF出力信号(IF_OUT)又はRF出力(RF_OUT)の経路を選択する。
【0041】
制御コマンド「@OUTSEL」は、マイコン13からRFスイッチ17に出力され、IF出力信号(IF_OUT)又はRF出力(RF_OUT)のいずれかを選択して同軸ケーブルに出力する。
制御コマンド「@SERFRQ」は、マイコン13からシンセ装置20に出力される。3線シリアルインタフェースをエミュレーションするコマンドで、検査対象シンセ装置20に対する出力周波数設定を行う。
【0042】
制御コマンド「@ALM」は、3ステートバッファ14からシンセ装置に出力され、検査対象シンセ装置20のアラーム出力状態をモニタするコマンドである。
制御コマンド「@SRESET」は、マイコン13からシンセ装置20に出力され、シンセ装置に対するリセットを行わせる制御コマンドである。
【0043】
[調歩同期式通信のデータフォーマット:図3]
次に、調歩同期式通信のデータフォーマットについて図3を参照しながら説明する。図3は、調歩同期式通信のデータフォーマットの概略図である。
本実施の形態では、調歩同期式通信のデータフォーマットが、図3に示すように、Lowでアクティブとなるもので、シリアルデータでは、1ビットのスタートビット、7ビット又は8ビットの送信/受信データ、1ビットのパリティビット(パリティビットがない場合もある)、1ビット又は2ビットのストップビットがあり、非通信状態ではHighレベルのマーク状態となる。
尚、スタートビットからストップビットまでが通信データの1単位(キャラクタ又はフレーム)となる。
【0044】
[3線シリアルインタフェースタイミング:図4]
次に、3線シリアルインタフェースタイミングについて図4を参照しながら説明する。図4は、3線シリアルインタフェースタイミング規定図である。
マイコン13からシンセ装置20に制御コマンド「@SERFRQ」が入力されると、3線シリアルインタフェースエミュレーション結果を出力したのが図4である。
図4では、上から順に、クロック(SCLK)、データ(SDI)、チップセレクト(SCS)を示しており、SCSはLowでアクティブの例を示している。
【0045】
[本システムの動作]
本システムでは、PC2からの制御コマンドによって治具基板10のマイコン13がシンセ装置20を選択し、電源を供給するものであり、検査を行わせる制御コマンドについて、PC2は、特定識別情報を含む制御コマンド(@有りの制御コマンド)をマイコン13向けとし、特定識別情報を含まない制御コマンド(@無しの制御コマンド)をシンセ装置20向けとしてUSBコマンドを出力し、USB−シリアル変換治具4がシリアル信号に変換して恒温槽1内の治具基板10に出力すると、マイコン13は@有りの制御コマンドに基づき、シンセ装置20の選択・電源供給、その他検査のための動作を行わせ、@無しの制御コマンドは3ステートバッファ14を介してシンセ装置20に出力させる。
【0046】
マイコン13は、シンセ装置20用の@無し制御コマンドに対し、エコーバックを含む一切の応答データを返さず、逆にシンセ装置20は、治具マイコン13用の@有り制御コマンドに対して、エコーバックを含む一切の応答データを返さないように制御する。
【0047】
更に、マイコン13からの応答コマンド(制御結果のデータ)とシンセ装置20から3ステートバッファ14を介して出力される検査結果のデータを負論理和回路11で統合してUSB−シリアル変換治具4にシリアル通信で出力し、USB−シリアル変換治具4でシリアル信号をUSB信号に変換してUSBハブ3を経由してPC2に出力される。
このようにして、PC2は、恒温槽1内の治具基板10に対して複数のシンセ装置20を効率的に検査することができ、特に、調歩同期式シリアルインタフェース1ポートだけで容易に検査できる。
【0048】
尚、請求項における電源電圧供給手段がLDO15とMOSスイッチ16に、制御手段がマイコン13に、統合手段が負論理和回路11に、制御装置がPC2に相当している。
【0049】
[実施の形態の効果]
本システムよれば、PC2と治具基板との接続を、汎用的なインタフェースである調歩同期式シリアルインタフェース1ポートを用い、マイコン13と複数のシンセ装置20に対する制御コマンドを識別情報の有無によって区別し、更に複数のシンセ装置20を選択的に検査可能とすることで、安価で簡易な構成によって検査システムを実現できる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、汎用的なインタフェースを用いて容易に検査等を行うことができる自動検査システムに好適である。
【符号の説明】
【0051】
1…恒温槽、 2…PC、 3…USBハブ、 4…USB−シリアル変換治具、 5…電源、 6…USB−GPIB I/F、 7…SG、 8…スペアナ、 10…治具基板、 11…負論理和回路、 13…マイコン、 14…3ステートバッファ、 15…LDO、 16…MOSスイッチ、 17…RFスイッチ、 20…シンセ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の検査対象装置と、当該検査対象装置に各々接続し、シリアル信号の入出力と制御コマンドの出力を行うバッファと、前記検査対象装置に電源電圧を供給する電源電圧供給手段と、前記バッファ、前記電源電圧供給手段に対して制御コマンドを出力して制御を行い、制御結果のデータを入力して出力する制御手段と、前記制御手段からの制御結果のデータと前記検査対象装置からの検査結果のデータをシリアル信号として入力し、外部へ一のシリアル信号として出力する統合手段とを備え、外部からのシリアル信号が分岐されて前記制御手段と前記バッファに出力される治具基板と、
前記検査対象装置と前記制御手段に制御コマンドをシリアル信号で出力すると共に、前記制御結果のデータ及び前記検査結果のデータをシリアル信号で入力する制御装置とを有することを特徴とする自動検査システム。
【請求項2】
制御手段において、変換治具に対するシリアル信号の入出力インタフェースを調歩同期式シリアルインタフェースとしたことを特徴とする請求項1記載の自動検査システム。
【請求項3】
制御手段向けの制御コマンドには、特定の識別情報を付与し、検査対象装置向けの制御コマンドには、前記特定の識別情報を付与せず、
前記制御手段が、入力された制御コマンドについて前記特定の識別情報の有無を判定し、前記特定の識別情報が有る場合に、当該制御コマンドに基づく制御を行うことを特徴とする請求項1又は2記載の自動検査システム。
【請求項4】
制御手段向けの制御コマンドとして、特定の検査対象装置に電源電圧を供給する制御コマンドと当該検査対象装置を選択する制御コマンドが前記制御手段に入力されると、前記制御手段が、電源電圧供給手段を制御して前記検査対象装置に電源電圧を供給し、前記選択された検査対象装置に接続するバッファを選択すると共に、入出力選択手段を制御して前記選択された検査対象装置の入出力を選択することを特徴とする請求項1乃至3の何れか記載の自動検査システム。
【請求項5】
制御手段向けの制御コマンドとして、特定の検査対象装置のシリアルインタフェースをエミュレーションさせる制御コマンドが前記制御手段に入力されると、前記制御手段が、前記特定の検査対象装置に接続するバッファにエミュレーション指示を出力し、前記バッファが、前記特定の検査対象装置に対しエミュレーション指示を出力し、前記検査対象装置に対する動作設定を行うことを特徴とする請求項4記載の自動検査システム。
【請求項6】
治具基板が、恒温槽内部に設けられ、制御装置が恒温槽の温度制御を行うことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか記載の自動検査システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−261899(P2010−261899A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−114654(P2009−114654)
【出願日】平成21年5月11日(2009.5.11)
【出願人】(000232483)日本電波工業株式会社 (1,148)
【Fターム(参考)】