自動機械のモニタ装置及び自動機械の運転装置
【課題】ボトルネックとなっている工程を早期に認識して処理能力を最大限に発揮できるようにする。
【解決手段】各生産工程毎に設定された標準稼働時間を記憶する標準稼働時間記憶部82と、各生産工程において行われる梱包装置の構成部品単位での稼働時間の累積結果により得られた各生産工程の実際の稼働時間を記憶する実稼働時間記憶部81と、実稼働時間記憶部81に記憶された実稼働時間のうち、その生産工程において標準稼働時間記憶部82に記憶された標準稼働時間の範囲内で生産が行われた回数を記憶する成功回数記憶部83と、成功回数記憶部83に記憶された成功回数の全実行回数に対する割合を成功率として設定し各生産工程に関連付けて記憶する成功率記憶部84と、少なくとも成功率記憶部84に記憶された成功率を表示するディスプレイ56とを備えたことを特徴とする。
【解決手段】各生産工程毎に設定された標準稼働時間を記憶する標準稼働時間記憶部82と、各生産工程において行われる梱包装置の構成部品単位での稼働時間の累積結果により得られた各生産工程の実際の稼働時間を記憶する実稼働時間記憶部81と、実稼働時間記憶部81に記憶された実稼働時間のうち、その生産工程において標準稼働時間記憶部82に記憶された標準稼働時間の範囲内で生産が行われた回数を記憶する成功回数記憶部83と、成功回数記憶部83に記憶された成功回数の全実行回数に対する割合を成功率として設定し各生産工程に関連付けて記憶する成功率記憶部84と、少なくとも成功率記憶部84に記憶された成功率を表示するディスプレイ56とを備えたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、原料としての繊維をカットして一定量ごとに梱包する梱包装置等の自動機械のモニタ装置及び自動機械の運転装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動運転を行うプラントには監視装置が設けられ、この監視装置は製造過程での運転異常項目を検出して表示することにより、運転時における運転員に異常の発生を報知している(特許文献1参照)。
また、ファクトリーオートメーション(以下、「FA」という)においてはプログラマブルコントローラ(以下、「PLC」という)を介して各種装置を作動制御するものがあり、このPLC側の制御系に負荷を与えないようにしてシステムを監視できる装置が提案されている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平11−143528号公報
【特許文献2】特開2003−295914号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来技術にあっては、異常があった場合に異常を知らせることはできるが、異常が起きることによる全工程への影響などを総合的に判断する材料を得ることには十分でなく、結果として異常が起きる状況をその後に有効に生かすことができないという問題がある。
また、PLCを介して各種装置を作動制御する従来技術にあっては、PLCに負荷をかけないで監視することはでき、監視の結果何らかの警報が必要な状態となった場合には、このような状態になったことを記録しているものの、警報が必要な状態となった状況をその後に有効に生かすことができないという問題がある。
【0004】
そこで、この発明は、成功率という概念を用いて工程毎に成功率が低いボトルネックとなっている部分を早期に認識可能とし、全体としての自動機械の処理能力を最大限に発揮することができる自動機械のモニタ装置及び自動機械の運転装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1に記載した発明は、原料の仕込みから製品出しまでの全工程を連続的に繰り返す自動機械のモニタ装置において、前記全工程内に割り当てられた複数の生産工程毎に予め設定された標準稼働時間を、一定の幅を持った標準稼働時間データとして記憶する標準稼働時間記憶部(例えば、実施形態における標準稼働時間記憶部82)と、前記各生産工程において行われる前記自動機械の構成部品単位での実際の稼働時間を計測する構成部品実稼働時間計測部(例えば、実施形態における構成部品実稼働時間計測部80)と、前記構成部品実稼働時間計測部の計測結果から累積して得られた各生産工程における実際の稼働時間を実稼働時間データとして記憶する実稼働時間記憶部(例えば、実施形態における実稼働時間記憶部81)と、前記実稼働時間記憶部に記憶された実稼働時間データを読み出して得られた実稼働時間のうち、その生産工程において前記標準稼働時間記憶部に記憶された標準稼働時間データを読み出して得られた標準稼働時間の範囲内で生産が行われた回数を成功回数データとして記憶する成功回数記憶部(例えば、実施形態における成功回数記憶部83)と、前記成功回数記憶部に記憶された成功回数データを読み出して得られた成功回数の全実行回数に対する割合を成功率として設定し各生産工程に関連付けて成功率データとして記憶する成功率記憶部(例えば、実施形態における成功率記憶部84)と、少なくとも前記成功率記憶部に記憶された前記成功率データを読み出して成功率として表示する表示部(例えば、実施形態におけるディスプレイ56)とを備えたことを特徴とする。
このように構成することで、一定の時間内において求められた成功率を成功率記憶部から読み出して表示部に表示することで、成功率と、成功率と共に関連付けた生産工程の情報により全生産工程の内のボトルネックを早期に把握することができる。
【0006】
請求項2に記載した発明は、前記標準稼働時間記憶部には、前記標準稼働時間に設定される一定の幅に関するデータを入力、更新可能な入力端末(例えば、実施形態におけるa,bクライアント35,36)が接続されていることを特徴とする。
このように構成することで、入力端末によってその工程において許容されるばらつきを標準稼働時間に設定することができる。
【0007】
請求項3に記載した発明は、前記自動機械を稼働させるための制御装置(例えば、実施形態における制御装置21)と、この制御装置に通信装置(例えば、実施形態におけるモニタ通信部30,32)を介して接続される前記モニタ装置(例えば、実施形態におけるモニタ装置22)とを備え、該モニタ装置は前記制御装置から前記自動機械に送出される指令信号と、前記自動機械の構成部品及び検出機器類から前記制御装置に送られる各種信号を前記通信装置を介してモニタデータとして書き込むと共に、モニタデータに基づいて計測部(例えば、実施形態における処理部37)において計測された計測データとして書き込む記憶部(例えば、実施形態における記憶部40)を備え、前記記憶部には通信ネットワークを介して前記記憶部に記憶されたモニタデータと計測データをこの記憶部から定期的に読み出すサーバ(例えば、実施形態におけるデータサーバ34)が接続されると共に、前記表示部を備えた入力端末が接続されていることを特徴とする。
このように構成することで、モニタ装置の記憶部に記憶されたモニタデータ及び計測データを定期的にサーバと入力端末に送ることができ、成功率に関するデータを制御装置に負荷をかけることなくサーバと入力端末に取り込むことができる。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載した発明によれば、一定の時間内において求められた成功率を生産工程と関連づけたデータとして成功率記憶部から読み出して表示部に表示することで、全生産工程の内のボトルネックを早期に把握することができるため、従来は定期点検時までまって問題となる箇所を修理していたものを、製品ロットの切り換え時間にボトルネックとなる工程を優先的に復元するなどして、無駄な作業をなくし作業時間を短縮して実質的な自動機械の処理能力を高めることができる効果がある。
請求項2に記載した発明によれば、入力端末によってその工程において許容されるばらつきを標準稼働時間に設定することができるため、例えば、周囲の気温等の変化に応じて変動する作動油の粘度に依存したアクチュエータの作動時間等に対しても、適正な稼働時間を簡易に設定することができる効果がある。
請求項3に記載した発明によれば、モニタ装置の記憶部に記憶されたモニタデータ及び計測データを定期的にサーバと入力端末に送ることができ、成功率に関するデータを制御装置に負荷をかけることなくサーバと入力端末に取り込むことができるため、全生産工程の内のボトルネックを早期に把握することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1、2は自動機械としての梱包装置1を示すものであり、この梱包装置1は連続的に原料として搬入された帯状のアクリル繊維を所定長さにカットし、カットされた繊維を計量して一定量となったら、これをシートで包み込みバンド掛けてして梱包出荷する。
【0010】
この梱包装置1は工場に搬入された原料箱内の原料である帯状のアクリル繊維を所定長さに切断するカッタ2を上方に備え、このカッタ2には切断された繊維の重量を計測する計量ホッパ3が接続されている。計量ホッパ3による計量は50kg単位で8回行われ、50kgごとに計量ホッパ3から下方のショベルローダ4室に落とされ、ショベルローダ4室からの予備圧縮箱5の閉じられた底板6上に落とされる。この状態で上方に位置する予備圧縮シリンダ7により予備圧縮される。これを8回繰り返し繊維が400kgになると予備圧縮箱5の底板6が開き、予備圧縮された400kgの繊維が下方に位置するA梱包車8あるいはB梱包車9の内部に落とされる。ここで、カッタ2、計量ホッパ3、ショベルローダ4、予備圧縮箱5は左右に一対配置されている。
【0011】
各予備圧縮箱5の下に配置されたA梱包車8とB梱包車9は、後述する本圧縮位置を挟んで予備圧縮位置に振り分けて配置され、予備圧縮シリンダ7により400kgの繊維の最終予備圧縮を行う。これらA梱包車8とB梱包車9は、両者の中央部に位置する本圧縮位置を挟んで予備圧縮位置との間に設けたレール10に沿って移動自在に設けられている。何れかの梱包車8,9で予備圧縮シリンダ7を用いた400kgの繊維の最終予備圧縮が終了すると、予備圧縮シリンダ7は上方に退避し、その梱包車は本圧縮位置に移動する。本圧縮位置にはテーブル11が配置され、このテーブル11上に繊維を載置して、テーブル11の上方に配置された本圧縮シリンダ12により本圧縮が行われる。
【0012】
梱包装置1には、A,B梱包車8,9が予備圧縮位置に待機して予備圧縮を行っている間に、本圧縮位置の上方に上シート19を搬入、待機させる上シート供給装置13と、本圧縮位置の下方のテーブル11上に下シート20を搬入、待機させる下シート供給装置14が配置されている。
また、テーブル11の前側には本圧縮された状態にある繊維束に前後方向にバンド掛けるバンド掛け装置15が設けられている。本圧縮シリンダ12の下部には上シート折り畳み装置16が設けられ、テーブル11の下には下シート折り畳み装置17が設けられている。また、梱包装置1には、テーブル11の後側にバンド掛けが終わり梱包された繊維束を奥側に傾動させて搬出する搬出装置18が設けられている。
【0013】
以上説明したカッタ2、計量ホッパ3、ショベルローダ4、予備圧縮箱5、A,B梱包車8,9、予備圧縮シリンダ7、本圧縮シリンダ12、上,下シート供給装置13,14、バンド掛け装置15、上,下シート折り畳み装置16,17及び搬出装置18が梱包装置1を構成し、この梱包装置1に梱包装置1を制御する既存の制御装置21と、梱包装置1の稼働を監視するモニタ装置22が設けられている。
【0014】
図3に破線で示すように、梱包装置1を稼働制御する既存の制御装置21は、本圧縮シリンダ12、バンド掛け装置15、搬出装置18等を用いた工程に関係のある本圧縮制御盤23を備えている。この本圧縮制御盤23は周知のPLCを主体とするものであって、PLCは処理部(CPU)と記憶部と、入力回路、出力回路を備えたFA用のコントローラである。PLCは入力機器類である各種センサ、リミットスイッチ等から入力信号を入力回路に取り込み、予めラダープログラムにより設定された条件で出力回路からON/OFFの出力信号を、本圧縮シリンダ12、バンド掛け装置15、搬出装置18等の構成部品である電磁弁、モータ、表示灯等の出力機器類に送出してこれらを駆動制御している。
【0015】
制御装置21はA梱包車8を用いた予備圧縮作業を受け持つ予備圧縮A制御盤24、B梱包車9を用いた予備圧縮作業を受け持つ予備圧縮B制御盤25を備えている。これら予備圧縮A制御盤24、予備圧縮B制御盤25の構成も本圧縮制御盤23と同様に、FA用のコントローラであるPLCを主体とするものであって、このPLCは処理部(CPU)と記憶部と、入力回路、出力回路を備え、予備圧縮A制御盤24、予備圧縮B制御盤25の各々に対応するカッタ2、計量ホッパ3、AあるいはB梱包車8,9、予備圧縮シリンダ7の構成部品である電磁弁、モータ、表示灯等を駆動制御している。
【0016】
本圧縮制御盤23、予備圧縮A制御盤24及び予備圧縮B制御盤25には各々通信部26が設けられている。各通信部26は互いに接続され、各々が対応する操作盤27,28,29に接続されている。操作盤27,28,29には運転モードを入力する「自動」、「手動」、「安全装置作動」の3種類のボタンが設けられ、各ボタンを押下したときには、対応したボタンが点灯する。ここで、「自動」は自動運転モードを意味し、「手動」は押下するたびにワンステップ毎に工程を動かす手動運転モードを示し、「安全装置作動」は安全柵を開く時などに押下するボタンで主に点検時に押下される。
【0017】
本圧縮制御盤23にはモニタ通信部30が設けられ、このモニタ通信部30は、モニタ装置22の主体をなすモニタ用PLC31に設けられたモニタ通信部32に接続されている。ここで本圧縮制御盤23のモニタ通信部30は外部機器を接続するための空きスロットに接続されている。
制御装置21を構成している本圧縮制御盤23、予備圧縮A制御盤24及び予備圧縮B制御盤25の出力回路から梱包装置1に送出される指令信号と、梱包装置1の構成部品及び検出機器類から制御装置21である本圧縮制御盤23、予備圧縮A制御盤24及び予備圧縮B制御盤25の入力回路に取り込まれる各種信号は、本圧縮制御盤23、予備圧縮A制御盤24及び予備圧縮B制御盤25の各PLCの記憶部にデータとして書き込まれている。また、内部リレーの状態も記憶部にデータとして書き込まれている。本圧縮制御盤23にモニタ通信部30が接続されたことで各記憶部に書き込まれたデータが各記憶部から読み出されて、各通信部26から本圧縮制御盤23のモニタ通信部30に送られ、ここからモニタ用PLC31のモニタ通信部32に送出される。
【0018】
このモニタ用PLC31のモニタ通信部32に順次送られている指令信号は、例えば、リミットスイッチのON/OFFに関する「1」、「0」のデータのようにそのままデータとして記憶部に書き込まれるものの他に、演算を必要とするデータも存在するが、この演算結果のデータも記憶部に書き込まれる。このように演算結果を記憶したり、アナログデータのように大きなデータを扱う関係で、モニタ用PLC31の処理部37の処理単位及び記憶部40の記憶データ長は制御装置21の各制御盤、つまり本圧縮制御盤23、予備圧縮A制御盤24、予備圧縮B制御盤25の処理部の処理単位や記憶部のデータ長に比較して長く設定されている。ここで、モニタ用PLC31には、モニタ用として特別に増設したセンサ類である、外気温センサ、オイル温度センサ、冷却水温度センサ系のアナログ系のセンサASやデジタル系のセンサDS等が接続されている。
したがって、本圧縮制御盤23、予備圧縮A制御盤24及び予備圧縮B制御盤25は梱包装置1の制御のみを行い。モニタのための処理はモニタ用PLC31に任せることができるので、梱包装置1の駆動制御には負荷がかからない点で有利である。
【0019】
モニタ用PLC31にはネットワーク通信部33が設けられている。このネットワーク通信部33は既存のネットワークカードを用いたもので、外部のデータサーバ34及び入出力端末であるa,bクライアント35,36に接続されている。
【0020】
図4に示すのは、モニタ用PLC31のブロック図である。同図に示すように、モニタ用PLC31は比較、判定、演算処理等を行う処理部(CPU)37を備えている。この処理部37には入力回路38、出力回路39が接続され、入力回路38には図3に示した各種センサAS,DSが接続されている。また、出力回路39にはモニタ用PLC31を増設した際に増設された外部装置Gが接続されている。また、処理部37にはネットワーク通信部33、モニタ通信部32が接続されている。
処理部37には記憶部40が接続されていて、記憶部40には入力回路38、出力回路39からの入出力信号がデータとして処理部37を介して書き込まれ、また、処理部37によって読み出されたデータを演算処理した結果が演算結果データとして書き込まれ、これらが保持される。尚、処理部37にはタイマ41が接続されている。
【0021】
記憶部40に書き込まれたデータのうち、デジタルデータは、例えば、1分毎に処理部37により読み出され、ネットワーク通信部33からデータサーバ34、a,bクライアント35,36に送信され、アナログデータは、例えば、1秒毎に処理部37により読み出されて、ネットワーク通信部33からデータサーバ34、a,bクライアント35,36に送信される。
【0022】
図5に示すのは本圧縮シリンダ12を作動させるための油圧回路である。本圧縮シリンダ12に対して作動指令が発信されてから本圧縮シリンダ12が作動を開始しこれを各種センサにより検出し、このセンサの検出結果のデータをモニタするまでの手順を簡単に説明する。この例では既存の制御装置21に対してモニタ用PLC31を増設する際にオイルタンク42のオイルの温度を検出する本圧縮オイルタンク温度センサ54を新たに設けた。尚、同図において図示都合上本圧縮シリンダ12は横にした状態で描いている。
作動油を収容するオイルタンク42にはモータ43により駆動するポンプ44の吸い込み側が接続され、ポンプ44の吐出側には電磁弁45のINポート46が接続されている。電磁弁45にはオイルタンク42への戻り管47が戻りポートに接続されている。電磁弁45は本圧縮シリンダ12の伸び側圧力室と縮み側圧力室とに作動油の供給流路を切り換えるものである。電磁弁45は本圧縮シリンダ12に接続される2つの供給ポートを備え、電磁弁45がa側(ノーマルポジション)に切り替わると伸び側供給ポート48から作動油が供給されて本圧縮シリンダ12を伸張させ、b側に切り替わると縮み側供給ポート49から作動油が供給されて本圧縮シリンダ12を縮み側に作動させる。
【0023】
本圧縮シリンダ12には伸張動作の開始位置と終了位置を確認するために、本圧縮シリンダ12のロッド先端の位置を検出する縮退位置リミットスイッチ50と伸張位置リミットスイッチ51が配置されている。電磁弁45にはa側に切り替わった場合に信号をON出力し、b側に切り替わった場合にOFFとなる検出スイッチ52が設けられている。
モータ43、電磁弁45は各々本圧縮制御盤23に設けたリレー53,55により作動する。縮退位置リミットスイッチ50、伸張位置リミットスイッチ51からの信号は、本圧縮制御盤23の記憶部にデータとして書き込まれ、本圧縮制御盤23のモニタ通信部30からモニタ用PLC31のモニタ通信部32を経てモニタ用PLC31の記憶部40に書き込まれる。
また、オイルタンク42にはオイル温度を検出する本圧縮オイルタンク温度センサ54が設けられ、この本圧縮オイルタンク温度センサ54は既存設備には設けられてはいないため、モニタ用PLC31と共に増設され、この本圧縮オイルタンク温度センサ54からの検出信号はデータとしてモニタ用PLC31の記憶部40に書き込まれる。
【0024】
ここで、本圧縮制御盤23のリレー53,55により行われるモータ43の駆動、電磁弁45の切り換え動作をモニタするのに必要な、内部リレーの指令信号や、検出スイッチ52、縮退位置リミットスイッチ50、及び伸張位置リミットスイッチ51からの信号は、本圧縮制御盤23からモニタ用PLC31の記憶部40に書き込まれるが、モニタ用PLC31の記憶部40に書き込まれたこれらのデータから、モニタ用PLC31の処理部37により本圧縮シリンダ12の伸張速度、縮退速度を算出して、この算出結果のデータもモニタ用PLC31の記憶部に書き込まれる。具体的には、本圧縮シリンダ12の伸張速度は、縮退位置と伸張位置との間の距離を、縮退位置リミットスイッチ50を通過してから伸張位置リミットスイッチ51を通過するまでの時間で除算して求め、縮退速度は、伸張位置と縮退位置との間の距離を、伸張位置リミットスイッチ51を通過してから縮退位置リミットスイッチ50を通過するまでの時間で除算して求める。
【0025】
また、指令信号が発せられてから作動を開始するまでの時間、作動が終了するまでの時間もモニタ用PLC31の処理部37で演算された後に記憶部40にデータとして書き込まれる。これらデータは指令を発した時刻のデータと関連づけて記憶部40に書き込まれ、これらのデータは横軸を時刻、縦軸を指令が発せられてから動作を始める時間、あるいは動作が完了するまでにかかった時間として、履歴がデータサーバ34に書き込まれ、後述するaクライアント35、bクライアント36のアプリケーションプログラム上で履歴データとしてグラフ表示される(図14の温度の例を参照)。本圧縮シリンダ12以外の構成部品の稼働についても同様に履歴データがデータサーバ34に記憶される。これらをグラフにより履歴として表示することで正常時と見比べれば異常を一目で確認できる。
【0026】
図5の例では、指令信号が発せられてから、電磁弁45がa側に戻りモータ43が駆動して油圧が発生し、本圧縮シリンダ12のロッドが伸張を開始してロッド先端が縮退位置リミットスイッチ50を通過するまでが、本圧縮シリンダ12の伸張作動開始までの時間となり、伸張位置リミットスイッチ51を通過するまでが、本圧縮シリンダ12が伸張作動終了するまでの時間となる。また、指令信号が発せられてから、電磁弁45がb側に切り替わりモータ43が駆動して油圧が発生し、本圧縮シリンダ12のロッドが縮退を開始してロッド先端が伸張位置リミットスイッチ51を通過するまでが、本圧縮シリンダ12の縮退作動開始までの時間となり、縮退位置リミットスイッチ50を通過するまでが、本圧縮シリンダ12の縮退作動終了するまでの時間となる。
これらの時間がモニタ用PLC31の記憶部40に記憶され、データサーバ34に履歴データとして書き込まれる。
【0027】
図3に示すように、データサーバ34ではモニタ用PLC31から送られてくるデータを時刻のデータと関連づけてファイルとして保存し、例えば1月分がまとまると、新しく次のファイルを作成する。データサーバ34へのデータの送信は、送信要求としてデータサーバ34側から行っても良いし、モニタ用PLC31から送り出しても良い。また、データサーバ34からはa,bクライアント35,36によりデータが読み出し可能にされている。また、後述する成功率及びこれに関係するデータはCSVファイルとして、各構成部品毎、8時間毎にデータサーバ34に書き込まれる。
【0028】
aクライアント35は通常のパーソナルコンピュータであって、このaクライアント35の表示部であるディスプレイ56には、モニタ用PLC31のネットワーク通信部33から送られてくる情報、データサーバ34内の情報が、aクライアント35側のアプリケーションプログラムを介して表示される。bクライアント36もaクライアント35と同様の構成であるので説明は省略する。
【0029】
図6に示すのは計量ホッパ3による計量から搬出までを工程別に分けたシーケンシャル・ファンクション・チャート図である。本来ならこのシーケンシャル・ファンクション・チャートはa,bクライアント35,36のディスプレイ56への表示内容として後述するメイン画面の説明の後に記載するべきであるが、工程の流れを説明する都合上、a,bクライアント35,36のメイングラフィック画面の説明(図7参照)に先だって説明を行う。
このシーケンシャル・ファンクション・チャートはモニタ用PLC31、データサーバ34からの情報に基づいてa,bクライアント35,36のディスプレイ56で「SFC監視」(図7に示す)が選択されるとSFC監視画面として表示される。SFCとはシーケンシャル・ファンクション・チャートを示す。
【0030】
ステップS1aの計量工程Aでは予備圧縮A側の計量ホッパにより50kg毎に計量が行われ、ステップS2aの梱包車詰込工程で予備圧縮箱内から合計400kgの繊維がA梱包車に詰め込まれる。所定量の繊維が詰め込まれたA梱包車はステップS3aで本圧縮位置に移動を開始し(A梱包車移動(本圧))、ステップS5において本圧縮位置に至る(A梱包車移動工程)。本圧縮位置ではステップS6に示すようにA梱包車の上方から本圧縮シリンダを下降させてテーブルとの間で本圧縮を行う(本圧縮下降工程)。その後、ステップS4aにおいて本圧縮シリンダが途中まで上昇し、A梱包車が扉を開いた状態で予備圧縮位置に移動し(A梱包車移動(予備圧縮))、ステップS2aに進む。
【0031】
次いで、ステップS7において、本圧縮シリンダを下降させたまま予め設置された上シートと下シートにより繊維束を包装し(包装工程)、ステップS8で包装された繊維束にバンド掛け装置によりバンドを掛けて締め付ける(バンド掛工程)。
【0032】
バンド掛工程が終了すると、ステップS9の本圧縮シリンダの上昇をまって、ステップS10において搬出装置が製品である繊維束を搬出する(搬出工程)。次いで、ステップS11において倉庫での積み込み作業へ移行する(倉庫工程)。
【0033】
ステップS10の搬出工程でテーブル上の製品が搬出されると、ステップS12のシート送り工程に移行し、上シートと下シートとが上シート供給装置と下シート供給装置により所定位置に供給され、ステップS13において、B予備圧縮側のB梱包車の本圧縮位置への移動(ステップS5の梱包車移動工程)に備える(待機工程)。尚、B梱包車側のステップS1b〜ステップS4bまでの工程は、既に説明したA梱包車側のステップS1a〜ステップS4aまでの工程と同様であるので説明は省略する。
ここで、このシーケンシャル・ファンクション・チャートは、aクライアント35、bクライアント36のディスプレイ56に表示され、実行中の工程(クロスハッチングで示す)と、直前に実行が完了した工程(ハッチングで示す)には色分けがなされて表示される。
【0034】
ところで、モニタ用PLC31の記憶部40には、梱包装置1の構成部品により行われる作業名が小工程の番号、小工程の開始時刻、小工程の終了時刻と関連付けて書き込まれている。また、小工程は複数の作業を行う構成部品に対応するため、小工程には装置名もあわせて関連づけて記憶されている。図6に示す各工程はこのような装置の小工程を複数まとめた複数の装置によるひとまとまりの作業で構成されている。
各工程の始まりは、その工程で初めに行われる小工程の開始タイミング、つまり、ある装置の特定の構成部品の動きの開始時刻であり、各工程の終わりは、その工程の最後に行われる小工程の終了タイミング、つまり、ある装置の特定の構成部品の動きの終了時刻である。
【0035】
したがって、図6においてモニタ用PLC31の記憶部40から読み出された現時点の小工程を含む工程を示すブロックが実行中であれば、その工程を示すブロックの色が、例えば、a,bクライアント35,36のアプリケーションプログラムにより、モニタ用PLC31の記憶部40、データサーバ34のデータを読み込んで赤色に変更され、また、直前に終了したステップの色が、例えば、a,bクライアント35,36のアプリケーションプログラムにより、モニタ用PLC31の記憶部40、データサーバ34のデータを読み込んで、実行中とは異なる完了を示す例えば緑色に変更される。ここで、工程実行中に色を変更するのは、工程の最初にくる小工程の開始時刻であり、工程実行中の色を工程完了の色に変更するのは工程の最後にくる小工程の終了時刻である。この例では、計量工程A、計量工程B、シート送り工程、搬出工程が実行中で、梱包車詰込工程が完了となっている。尚、各ブロックの横には前回要した動作時間が表示される。
【0036】
図7に示すのは、メイングラフィック画面である。このメイングラフィック画面はモニタ用PLC31からの情報、データサーバ34からの情報に基づいてa,bクライアント35,36のディスプレイ56に初期画面(図示せず)が表示され、その左側に位置する部位に配置されたメニューで「モニタ」が選択されると表示される。
a,bクライアント35,36のディスプレイ56には、上側の大部分に梱包装置1のモノクロで表示された全体斜視図と、下側の一部にアラーム表示欄が設けられている。全体斜視図は図6に示した工程毎にその工程で稼働している構成部品全てが色付けされ、現時点でどの工程が進行しているのかが一目で確認できる。したがって、故障のため装置が停止している場合にはその構成部品が色付けされた状態で画面も停止しているので、色付けされた部分が故障部であることが簡単に確認できる。
【0037】
ここで、この全体図を示す画像データは必要な工程数だけ設けられ、これが画像データとして各工程に関連づけてその工程の部分を色づけしたものがデータサーバ34に記憶されている。この画像データをa,bクライアント35,36に記憶するようにしてもよい。尚、小工程別に色分けした画像を用いてもよい。モニタ用PLC31からa,bクライアント35,36に送られてくる現時点での工程に対応してa,bクライアント35,36のアプリケーションプログラムがデータサーバ34(あるいはa,bクライアント35,36)から、対応する画像を読み込み、a,bクライアント35,36のディスプレイ56に表示する。
【0038】
アラーム表示欄には、アラーム情報と操作盤操作情報が、最新の状況が一番上に来るように下側からイベント発生順に表示される。ここでアラーム情報は梱包装置1が何らかの異常が発生した場合と、これが解除された場合にその履歴が時間順に表示される。また、操作盤操作情報は操作盤27〜29が操作された場合にその履歴が時間順に表示される。表示欄の表示項目は、イベント番号を示す「NO」と、アラーム等が発生した時間を表す「発生時間」と、発生したか解除された、運転が切り替わったかを示す「状況」と、アラームが発生した原因等を示す「カテゴリ」と、具体的には小工程の内容を示す「メッセージ」である。
【0039】
ここで、「カテゴリ」には、構成部品の作動時間、速度、温度、電流値等に対して閾値が設けられている場合に、この閾値の範囲に至らなかった場合の(閾値(LO))、閾値の範囲を超えた場合の(閾値(HI))、ある一定の範囲を超えた場合や作動していない状況の(アンサーバック)、1回の出力で2回以上の入力がある場合の(アンサー動作)、操作盤の安全装置作動ボタンが押下された場合の(タッチパネル)、操作盤の自動、手動ボタンの押下により運転が切り替わった場合の(ステータス)が含まれる。
「状況」にはアラームが発生したり、操作盤27〜29の安全装置作動ボタンが押された場合の(発生)と、アラームが解除された場合の(解除)と操作盤27〜29により運転モードが切り替わった場合の(切替)がある。尚、アンサー動作、アンサーバックをまとめてアンサー異常ともいう。
【0040】
ところで、モニタ用PLC31の記憶部40には、小工程に関連づけて構成部品の作動時間、速度、温度、電流値に関する閾値が実際のデータと共に記憶されている。実際のデータと閾値との比較の結果、閾値の範囲内にある場合には「成功」として記憶されてリセットからの成功回数が加算されて記憶され、閾値の範囲から外れた場合、つまり閾値(LO)、閾値(HI)、アンサー動作、アンサーバックであった場合には、前述したアラームにより報知をするためにこの結果が記憶される。ここで、リセットとは後述する図11において回数リセットボタンを押した場合を意味する。
また、操作盤操作の状況も「自動」、「手動」、「安全装置作動」が押下されたごとに、それが記憶される。したがって、ある小工程にアラームが発生した場合、あるいは操作盤操作があった場合には、この状況が図7に示すようにa,bクライアント35,36のメイングラフィック画面にアラーム情報と操作盤操作状況(アラームイベント)として履歴が表示される。尚、これらのアラームイベントはCSVファイルとして、各構成部品毎や8時間毎にデータサーバに記憶される。
【0041】
図7に示すメイングラフィック画面には、左側に表示されるメニューに「閾値設定/モニタ」、「ステータス」、「SFC監視」、「アラーム状況」、「表示グループ」、「トレンド」及び現在アクティブとなっている「モニタ」が配置されている。
ここで、現在発生しているアラームについては、a,bクライアント35,36のディスプレイ56のメニューで「アラーム状況」が選択されると図示しない画面上で現在のアラーム状況が表示され、該当する小工程の名称、日付、時間、アラームのカテゴリが確認できる。このメニューの「SFC監視」を選択すると、前述した図6のシーケンシャル・ファンクション・チャートが表示される。
【0042】
図8に示すのは、動作状況モニタ画面である。この動作状況モニタ画面はモニタ用PLC31からの情報、データサーバ34からの情報に基づいてa,bクライアント35,36のディスプレイ56のメニューで「閾値設定/モニタ」が選択されると表示される。この動作状況モニタ画面では、入出力信号状態、作動信号から作動完了アンサーまでの時間、作動回数をモニタし、閾値と比較した結果、閾値の範囲外となった場合を色を替えて表示する。また、使用機器類の作動回数を管理することで機器設計限界前に交換計画の立案を可能とする。
【0043】
閾値設定画面の表示項目はイベント番号を示す「NO」と、複数の小工程にまたがって使用される「装置名」、小工程の「名称」、小工程の実際の「動作時間」、各構成部品やセンサ毎の「動作回数1」〜「動作回数5」、動作中であればONとなる「動作中」、アラームである「アンサーバック」、「閾値(HI)」、「閾値(LO)」、回数の閾値内ならOFFとなる「回数」、設定された「アンサーバック」と「閾値」である。「動作中」、アラーム関係、「回数」についてはON、OFFで表示され、それ以外は回数が表示される。この例でイベント番号126の小工程の前後シート折り込みキャンドル下降(倉庫側)工程で49秒の動作時間が閾値の7秒を超え閾値(HI)がONとなり、この部分のセルの色が変わりアラームが出ていることを示している(ハッチング部分)。これらのデータは、モニタ用PLC31から取り込まれる。
【0044】
ここで、メニューの各小工程の欄をクリックすると、図8の画面の上に、図9に示す閾値設定画面がポップアップ表示される。この閾値設定画面はモニタ用PLC31からの情報、データサーバ34からの情報に基づいてa,bクライアント35,36のディスプレイ56に表示される。ここでは包装工程において前後シート折り込みキャンドル下降(ヘッド側)工程の時間の閾値の設定を行う画面を例にしている。この閾値設定画面で直接的にモニタ用PLC31の記憶部40の設定データを書き換えることができる。表示項目としては閾値の値に一定の幅を持たせてあり、ここでは閾値12秒からプラス側とマイナス側に5秒ずつの幅を持たせた範囲が設定され、この範囲内にある場合には正常であり、この範囲に至らない7秒を下回った場合が閾値(LO)と、17秒を超えた場合には閾値(HI)となりアラーム対象となる。また、100秒を超えるとアンサーバックエラーとなり、1回目の出力で2回以上の入力がある場合にはアンサー動作となる。したがって、これら「閾値」、「閾値(LO)」、「閾値(HI)」及び「アンサーバックエラー」の値をa,bクライアント35,36により設定することができる。また、「動作回数アラーム」の設定項目もあり、この動作回数(ここでは1000000回)を設定してこれに達するとアラームを出せるようになっている。これにより、定期的なメンテナンスを知らせることができる。
【0045】
ここで、この閾値設定画面にはこの小工程で使用されるセンサを含む機器類の動作回数の上限を閾値として設定することができる。ここでは、本圧縮用制御盤のPLC、リレー、電磁弁、シリンダ、センサの「動作回数」を設定することができる。尚、この「動作回数」は図8の動作回数1〜5に対応しており、回数リセットボタンを押下することにより回数をリセットできる。各機器類の動作回数は機器毎に異なっているため、機器毎に設定するのが望ましいからである。したがって、機器類の種別に関係なく定期点検で全ての機器類を交換するような場合に比較して、交換の必要がないような機器類を交換するような無駄がなくなり、メンテナンスコストを低減できる。ここで、この設定画面で使用されるデータはモニタ用PLC31の記憶部40から取り込まれる。
【0046】
図10に示すのは、ステータス監視画面である。このステータス監視画面はモニタ用PLC31からの情報、データサーバからの情報に基づいてa,bクライアント35,36のディスプレイ56のメニューで「ステータス監視」が選択されると表示される。具体的には本圧縮制御盤、予備圧縮A制御盤及び予備圧縮B制御盤に対応する画像が表示され、これらの操作盤27〜29の点灯状況がモニタされる。これにより、実際の操作盤27〜29の確認が必要無くなる。27〜29の「自動」、「手動」、「安全装置作動」の各ボタンに対応する四角形状の部分は現在点灯している部分がそれとわかるように区別して表示される。このような選択的な表示も、モニタ用PLC31、データサーバからの現在のステータスに関連付けた表示データに基づいてa,bクライアント35,36のアプリケーションプログラムにより行われる。
【0047】
図11に示すのは、前述した図6のSFC監視画面に閾値設定のためのポップアップ画面が表示された様子を示している。このポップアップ画面はモニタ用PLC31からの情報、データサーバからの情報に基づいてa,bクライアント35,36のディスプレイ56に重ねて表示される。このポップアップ画面は図6の工程毎の各ブロックをクリックすることにより開く画面であって、項目として、そのブロックが現在実行中の工程か、直後に完了した工程か、未実行の工程かを示す「動作状況」の情報、つまり「実行中」、「未実行」、「完了」の3種類が表示される。また、その工程における前回の回数リセットからの「実行回数」、「成功回数」が「成功率」と共に表示される。また、「動作時間」と「設定値/閾値」の項目が設けてあり、「動作時間」は実際にかかった時間が表示され、「設定値/閾値」はここで設定された値が表示される。
【0048】
動作状況に関する項目は、モニタ用PLC31に記憶された現工程、直前に終了した完了工程に関する情報に基づいて、これらが選択された場合には動作状況として「実行中」、「完了」が表示され、それ以外が選択された場合には「未実行」が表示される。
また、「実行回数」は、回数リセットボタンが押下された時からの回数をモニタ用PLC31の記憶部40から読み出して表示され、「成功回数」、「成功率」もモニタ用PLC31の記憶部40から読み出されて表示される。「動作時間」もモニタ用PLC31の記憶部40から読み出され、「設定値/閾値」はここで設定された値が、モニタ用PLC31の記憶部40に書き込まれここに表示される。ここで、「成功回数」とは、回数リセットがなされてからアラームとならなかった回数、つまり(閾値(LO)、閾値(HI)、アンサー動作、アンサーバックとならなかった回数をいう。「成功率」とは、実行回数に対する成功回数の百分率をいう。図11の例では、バンド掛け工程は実行中でも完了でもないため(図6の説明参照)「動作状況」には「未実行」が表示され、「実行回数」は5回、「成功回数」は5回で、「成功率」は100%(5÷5×100%)、「動作時間」は84秒で、設定値/閾値は100秒となっている。このデータは回数リセットのタイミングで、CSVファイルとしてデータサーバ34の記憶部に書き込まれる。書き込み、つまりリセットのタイミングは8時間ごとの3交替制の交替時間である、例えば、7時、15時、23時に設定されている。これにより、一日を3交替で運転している場合に成功率を交替単位で把握できる。
【0049】
図12はアラーム解析画面を示している。このアラーム解析画面はデータサーバにログとして記憶されたデータ、モニタ用PLC31の記憶部40のデータに基づいてa,bクライアント35,36のディスプレイ56のメニューで「アラーム解析」が選択されると表示される。現時点での各小工程のアラームの回数の多いデータを順に並べたものである。尚、少ない順に表示することも可能である。図11に示す工程毎での成功率を見ていると、小工程で構成部品の作動時間が短いアラームと作動時間が長いアラームが出ているために工程としてのエラーは出ないことがあるが、そのような場合に実体を小工程でのアラーム解析で調べることができるメリットがある。
【0050】
アラーム解析画面の表示項目はイベント番号を示す「NO」と、複数の小工程にまたがって使用される「装置名」、小工程の「名称」、実行回数を示す「モニタ」、アラームである「アンサーバック」、「アンサー動作」、閾値(HI)、閾値(LO)を含む「閾値異常」、現時点での小工程での「成功率」、良い順に番号を付けた場合の小工程での成功率の「順位」であり、回数と値が表示される。
このデータはリアルタイムでモニタ用PLC31の記憶部40に記憶され、同時にデータサーバ34に書き込まれており、a,bクライアント35,36はモニタ用PLC31の記憶部40からデータを読み出す。このデータも図11の回数リセットのタイミングで、CSVファイルとしてデータサーバ34の記憶部に書き込まれる。書き込み、つまりリセットのタイミングは8時間ごとの3交替制の交替時間である、例えば、7時、15時、23時に設定されている。これにより、一日を3交替で運転している場合に小工程毎の成功率を交替単位で把握できる。
【0051】
図13はアナログで表示される各種センサ類、特にモニタ用PLC31の設置と共に増設されたセンサ類の設定画面である。この設定画面もモニタ用PLC31及びデータサーバ34に記憶されたデータに基づいてa,bクライアント35,36のディスプレイ56のメニューで「表示グループ」が選択されると表示される。表示グループには温度、電流値、電圧、圧力等が設定されている。この例では表示グループとして温度が選択されているため温度センサに関するセンサが表示の対象となる。具体的には、外気温センサ、本圧縮オイルタンク温度センサ、予備圧縮Aオイルタンク温度センサ、予備圧縮Bオイルタンク温度センサが表示されている。各センサに対応する位置の下側にモニタ用PLC31から取り込んだ1分毎の現時点での温度が表示され、この温度が棒グラフとなって表示される。棒グラフの横には閾値LL、閾値H、閾値HHの値が表示され、この値はa,bクライアント35,36により設定してモニタ用PLC31の記憶部40に書き込まれる。閾値LLと閾値Hとで設定された範囲を逸脱した場合にアラーム対象となる。
【0052】
図14はトレンドを示す画面である。このトレンドとは履歴を意味し、この例では図13に対応した温度に関するトレンドが選択されて表示されている。このトレンド画面はデータサーバにログとして記憶されたデータ、モニタ用PLC31の記憶部40のデータに基づいてa,bクライアント35,36のディスプレイ56のメニューで「トレンド」が選択されると表示される。具体的には、a,bクライアント35,36のアプリケーションプログラム上で横軸時刻、縦軸が温度としてグラフ表示される。グラフにより履歴として表示することで正常時と見比べれば異常を一目で確認できる。このトレンドの情報はモニタ用PLC31の記憶部からデータサーバとa,bクライアント35,36により読み出される。このトレンドには温度に関するもののほか、図13で選択可能な時間、速度、電流など様々な表示グループに対応したセンサの検出結果が用いられる。この図14では、外気温センサ、本圧縮オイルタンク温度センサ、予備圧縮Aオイルタンク温度センサ、予備圧縮Bオイルタンク温度センサのトレンドが表示されている。
【0053】
ここで、図15に示すのは、図6で説明した各工程(各ブロック)における成功率を算出して表示するためのブロック図である。尚、リアルタイムで成功率を算出する場合を説明する。
図15に示すように、全工程を複数の生産工程に割り当てた場合の各工程はこれを構成する複数の小工程x,y,zに分かれているが、各小工程内で行われる各構成部品の稼働時間を、構成部品実稼働時間計測部80であるモニタ用PLC31の処理部37により累積して計測する。尚、計測には各小工程の移行時間も含めている。計測結果は、モニタ用PLC31の記憶部40に確保された実稼働時間記憶部81に実稼働時間データとして工程の情報と関連付けて書き込まれる。尚、各構成部品の稼働時間はモニタ用PLC31の記憶部40に書き込まれている。
一方、図6の各工程には各工程の標準稼働時間が記憶されている。この標準稼働時間は、梱包装置の稼働当初、あるいは定期的なメンテナンス時においてアラームが出ない稼働時間を基準に設定されており、このデータはモニタ用PLC31の記憶部40に確保された標準稼働時間記憶部82に標準稼働時間データとして工程の情報と関連付けて書き込まれる。
【0054】
そして、実稼働時間記憶部81の実稼働時間データを読み出して得られた実稼働時間のうち、その工程において標準稼働時間記憶部82の標準稼働時間データを読み出して得られた標準稼働時間の範囲内で生産が行われた成功回数を成功回数データとしてモニタ用PLC31の記憶部40の成功回数記憶部83に記憶する。つまり、この成功回数データはその工程の最後の小工程が終了する毎にリアルタイムで加算されて行く。
次に、モニタ用PLC31の記憶部40から読み出したその工程の現在までの全実行回数データに対して、成功回数記憶部83から読み出した成功回数が締める割合を、モニタ用PLC31の処理部37により算出して成功率として設定し、成功率データとしてモニタ用PLC31の記憶部40に確保された成功率記憶部84に書き込む。
【0055】
成功率記憶部84に記憶された成功率データは、データサーバ34、a,bクライアント35,36により読み出され、a,bクライアント35,36のディスプレイ56に表示される。具体的には、図11に示すSFC閾値設定画面のポップアップ画面に実行回数、成功回数が表示され、さらに成功率も表示される。
このデータも図11の回数リセットのタイミングで、CSVファイルとしてデータサーバ34の記憶部に書き込まれる。書き込み、つまりリセットのタイミングは8時間ごとの3交替制の交替時間、例えば、7時、15時、23時に設定されている。これにより、一日を3交替で運転している場合に工程毎の成功率を交替単位で把握できる。
【0056】
ここで、標準稼働時間には一定の幅が設定されており、具体的には図11に示すように、その工程での動作時間が84秒である場合には、16秒の遅れを見込んで100秒を閾値とした標準稼働時間として設定するようになっており、この設定はa,bクライアント35,36から動作時間も含めて閾値の設定、変更をすることができる。変更した場合には、モニタ用PLC31の記憶部40に確保された標準稼働時間記憶部102のデータが更新される。
【0057】
したがって、上記実施形態によれば、一定の時間内で各工程の成功率をこの工程と関連づけたデータとしてモニタ用PLC31の記憶部40に確保された成功率記憶部84から読み出してa,bクライアント35,36のディスプレイ56に表示することにより、例えば、A梱包車移動工程の成功率が低い場合に、このA梱包車移動工程が全体の生産効率を低下させ全生産工程の内のボトルネックとなっていることを早期に把握することができる。よって、従来は定期点検時までまって問題となる箇所を修理していたものを、製品ロットの切り換え時間にボトルネックとなるこの成功率の低いA梱包車移動工程を優先的に復元するなどして、無駄な作業をなくし作業時間を短縮して実質的な梱包装置1の処理能力を高めることができる。また、交替制を採用している場合に、その交替番における成功率などのデータや、季節毎の成功率、昼と夜の成功率の変化など様々な形で利用でき生産効率の向上に利用できるメリットがある。
【0058】
また、a,bクライアント35,36によりその工程において許容されるばらつきを標準稼働時間に設定することができるため、例えば、周囲の気温等の変化に応じて変動する作動油の粘度に依存したアクチュエータの作動時間等に対しても、適正な稼働時間を簡易に設定することができる。よって、実情に合わせた稼働を実現して生産効率を高めることができる。
【0059】
そして、モニタ用PLC31の記憶部40に記憶されたモニタデータ及び計測データ等はアナログデータは1秒ごとに、デジタルデータは1分ごとにデータサーバ34とa,bクライアント35,36に送ることができ、成功率に関するデータを制御装置21に負担をかけることなく取り込むことができるため、全生産工程の内のボトルネックを早期に把握することができる。
【0060】
尚、この発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、成功率はモニタ用PLC31の記憶部40に書き込む場合について説明したが、a,bクライアント35,36のアプリケーションプログラムに取り込まれたデータをアプリケーションプログラム上で算出して求めて表示するようにしてもよい。また、自動機械として梱包装置を例にしたが、これに限られるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】この発明の実施形態の梱包装置の正面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】図1の自動機械の運転装置の全体を示すブロック図である。
【図4】モニタ用PLCのブロック図である。
【図5】本圧縮シリンダの作動回路を示す模式図である。
【図6】各工程の進行状況を示すシーケンシャル・ファンクション・チャート図である。
【図7】メイングラフィック画面を示す図である。
【図8】動作状況モニタ画面を示す図である。
【図9】閾値設定のためのポップアップ画面を示す図である。
【図10】ステータス監視画面を示す図である
【図11】閾値設定のためのポップアップ画面を示す図である。
【図12】アラーム解析画面を示す図である。
【図13】センサ類の設定画面を示す図である。
【図14】トレンド画面を示す図である。
【図15】主として成功率を求めるブロック図である。
【符号の説明】
【0062】
1 梱包装置(自動機械)
21 制御装置
22 モニタ装置
30,32 モニタ通信部
34 サーバ(データサーバ)
35,36 a,bクライアント
37 計測部(処理部)
40 記憶部
56 表示部
80 構成部品実稼働時間計測部
81 実稼働時間記憶部
82 標準稼働時間記憶部
83 成功回数記憶部
84 成功率記憶部
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、原料としての繊維をカットして一定量ごとに梱包する梱包装置等の自動機械のモニタ装置及び自動機械の運転装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動運転を行うプラントには監視装置が設けられ、この監視装置は製造過程での運転異常項目を検出して表示することにより、運転時における運転員に異常の発生を報知している(特許文献1参照)。
また、ファクトリーオートメーション(以下、「FA」という)においてはプログラマブルコントローラ(以下、「PLC」という)を介して各種装置を作動制御するものがあり、このPLC側の制御系に負荷を与えないようにしてシステムを監視できる装置が提案されている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平11−143528号公報
【特許文献2】特開2003−295914号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来技術にあっては、異常があった場合に異常を知らせることはできるが、異常が起きることによる全工程への影響などを総合的に判断する材料を得ることには十分でなく、結果として異常が起きる状況をその後に有効に生かすことができないという問題がある。
また、PLCを介して各種装置を作動制御する従来技術にあっては、PLCに負荷をかけないで監視することはでき、監視の結果何らかの警報が必要な状態となった場合には、このような状態になったことを記録しているものの、警報が必要な状態となった状況をその後に有効に生かすことができないという問題がある。
【0004】
そこで、この発明は、成功率という概念を用いて工程毎に成功率が低いボトルネックとなっている部分を早期に認識可能とし、全体としての自動機械の処理能力を最大限に発揮することができる自動機械のモニタ装置及び自動機械の運転装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1に記載した発明は、原料の仕込みから製品出しまでの全工程を連続的に繰り返す自動機械のモニタ装置において、前記全工程内に割り当てられた複数の生産工程毎に予め設定された標準稼働時間を、一定の幅を持った標準稼働時間データとして記憶する標準稼働時間記憶部(例えば、実施形態における標準稼働時間記憶部82)と、前記各生産工程において行われる前記自動機械の構成部品単位での実際の稼働時間を計測する構成部品実稼働時間計測部(例えば、実施形態における構成部品実稼働時間計測部80)と、前記構成部品実稼働時間計測部の計測結果から累積して得られた各生産工程における実際の稼働時間を実稼働時間データとして記憶する実稼働時間記憶部(例えば、実施形態における実稼働時間記憶部81)と、前記実稼働時間記憶部に記憶された実稼働時間データを読み出して得られた実稼働時間のうち、その生産工程において前記標準稼働時間記憶部に記憶された標準稼働時間データを読み出して得られた標準稼働時間の範囲内で生産が行われた回数を成功回数データとして記憶する成功回数記憶部(例えば、実施形態における成功回数記憶部83)と、前記成功回数記憶部に記憶された成功回数データを読み出して得られた成功回数の全実行回数に対する割合を成功率として設定し各生産工程に関連付けて成功率データとして記憶する成功率記憶部(例えば、実施形態における成功率記憶部84)と、少なくとも前記成功率記憶部に記憶された前記成功率データを読み出して成功率として表示する表示部(例えば、実施形態におけるディスプレイ56)とを備えたことを特徴とする。
このように構成することで、一定の時間内において求められた成功率を成功率記憶部から読み出して表示部に表示することで、成功率と、成功率と共に関連付けた生産工程の情報により全生産工程の内のボトルネックを早期に把握することができる。
【0006】
請求項2に記載した発明は、前記標準稼働時間記憶部には、前記標準稼働時間に設定される一定の幅に関するデータを入力、更新可能な入力端末(例えば、実施形態におけるa,bクライアント35,36)が接続されていることを特徴とする。
このように構成することで、入力端末によってその工程において許容されるばらつきを標準稼働時間に設定することができる。
【0007】
請求項3に記載した発明は、前記自動機械を稼働させるための制御装置(例えば、実施形態における制御装置21)と、この制御装置に通信装置(例えば、実施形態におけるモニタ通信部30,32)を介して接続される前記モニタ装置(例えば、実施形態におけるモニタ装置22)とを備え、該モニタ装置は前記制御装置から前記自動機械に送出される指令信号と、前記自動機械の構成部品及び検出機器類から前記制御装置に送られる各種信号を前記通信装置を介してモニタデータとして書き込むと共に、モニタデータに基づいて計測部(例えば、実施形態における処理部37)において計測された計測データとして書き込む記憶部(例えば、実施形態における記憶部40)を備え、前記記憶部には通信ネットワークを介して前記記憶部に記憶されたモニタデータと計測データをこの記憶部から定期的に読み出すサーバ(例えば、実施形態におけるデータサーバ34)が接続されると共に、前記表示部を備えた入力端末が接続されていることを特徴とする。
このように構成することで、モニタ装置の記憶部に記憶されたモニタデータ及び計測データを定期的にサーバと入力端末に送ることができ、成功率に関するデータを制御装置に負荷をかけることなくサーバと入力端末に取り込むことができる。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載した発明によれば、一定の時間内において求められた成功率を生産工程と関連づけたデータとして成功率記憶部から読み出して表示部に表示することで、全生産工程の内のボトルネックを早期に把握することができるため、従来は定期点検時までまって問題となる箇所を修理していたものを、製品ロットの切り換え時間にボトルネックとなる工程を優先的に復元するなどして、無駄な作業をなくし作業時間を短縮して実質的な自動機械の処理能力を高めることができる効果がある。
請求項2に記載した発明によれば、入力端末によってその工程において許容されるばらつきを標準稼働時間に設定することができるため、例えば、周囲の気温等の変化に応じて変動する作動油の粘度に依存したアクチュエータの作動時間等に対しても、適正な稼働時間を簡易に設定することができる効果がある。
請求項3に記載した発明によれば、モニタ装置の記憶部に記憶されたモニタデータ及び計測データを定期的にサーバと入力端末に送ることができ、成功率に関するデータを制御装置に負荷をかけることなくサーバと入力端末に取り込むことができるため、全生産工程の内のボトルネックを早期に把握することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1、2は自動機械としての梱包装置1を示すものであり、この梱包装置1は連続的に原料として搬入された帯状のアクリル繊維を所定長さにカットし、カットされた繊維を計量して一定量となったら、これをシートで包み込みバンド掛けてして梱包出荷する。
【0010】
この梱包装置1は工場に搬入された原料箱内の原料である帯状のアクリル繊維を所定長さに切断するカッタ2を上方に備え、このカッタ2には切断された繊維の重量を計測する計量ホッパ3が接続されている。計量ホッパ3による計量は50kg単位で8回行われ、50kgごとに計量ホッパ3から下方のショベルローダ4室に落とされ、ショベルローダ4室からの予備圧縮箱5の閉じられた底板6上に落とされる。この状態で上方に位置する予備圧縮シリンダ7により予備圧縮される。これを8回繰り返し繊維が400kgになると予備圧縮箱5の底板6が開き、予備圧縮された400kgの繊維が下方に位置するA梱包車8あるいはB梱包車9の内部に落とされる。ここで、カッタ2、計量ホッパ3、ショベルローダ4、予備圧縮箱5は左右に一対配置されている。
【0011】
各予備圧縮箱5の下に配置されたA梱包車8とB梱包車9は、後述する本圧縮位置を挟んで予備圧縮位置に振り分けて配置され、予備圧縮シリンダ7により400kgの繊維の最終予備圧縮を行う。これらA梱包車8とB梱包車9は、両者の中央部に位置する本圧縮位置を挟んで予備圧縮位置との間に設けたレール10に沿って移動自在に設けられている。何れかの梱包車8,9で予備圧縮シリンダ7を用いた400kgの繊維の最終予備圧縮が終了すると、予備圧縮シリンダ7は上方に退避し、その梱包車は本圧縮位置に移動する。本圧縮位置にはテーブル11が配置され、このテーブル11上に繊維を載置して、テーブル11の上方に配置された本圧縮シリンダ12により本圧縮が行われる。
【0012】
梱包装置1には、A,B梱包車8,9が予備圧縮位置に待機して予備圧縮を行っている間に、本圧縮位置の上方に上シート19を搬入、待機させる上シート供給装置13と、本圧縮位置の下方のテーブル11上に下シート20を搬入、待機させる下シート供給装置14が配置されている。
また、テーブル11の前側には本圧縮された状態にある繊維束に前後方向にバンド掛けるバンド掛け装置15が設けられている。本圧縮シリンダ12の下部には上シート折り畳み装置16が設けられ、テーブル11の下には下シート折り畳み装置17が設けられている。また、梱包装置1には、テーブル11の後側にバンド掛けが終わり梱包された繊維束を奥側に傾動させて搬出する搬出装置18が設けられている。
【0013】
以上説明したカッタ2、計量ホッパ3、ショベルローダ4、予備圧縮箱5、A,B梱包車8,9、予備圧縮シリンダ7、本圧縮シリンダ12、上,下シート供給装置13,14、バンド掛け装置15、上,下シート折り畳み装置16,17及び搬出装置18が梱包装置1を構成し、この梱包装置1に梱包装置1を制御する既存の制御装置21と、梱包装置1の稼働を監視するモニタ装置22が設けられている。
【0014】
図3に破線で示すように、梱包装置1を稼働制御する既存の制御装置21は、本圧縮シリンダ12、バンド掛け装置15、搬出装置18等を用いた工程に関係のある本圧縮制御盤23を備えている。この本圧縮制御盤23は周知のPLCを主体とするものであって、PLCは処理部(CPU)と記憶部と、入力回路、出力回路を備えたFA用のコントローラである。PLCは入力機器類である各種センサ、リミットスイッチ等から入力信号を入力回路に取り込み、予めラダープログラムにより設定された条件で出力回路からON/OFFの出力信号を、本圧縮シリンダ12、バンド掛け装置15、搬出装置18等の構成部品である電磁弁、モータ、表示灯等の出力機器類に送出してこれらを駆動制御している。
【0015】
制御装置21はA梱包車8を用いた予備圧縮作業を受け持つ予備圧縮A制御盤24、B梱包車9を用いた予備圧縮作業を受け持つ予備圧縮B制御盤25を備えている。これら予備圧縮A制御盤24、予備圧縮B制御盤25の構成も本圧縮制御盤23と同様に、FA用のコントローラであるPLCを主体とするものであって、このPLCは処理部(CPU)と記憶部と、入力回路、出力回路を備え、予備圧縮A制御盤24、予備圧縮B制御盤25の各々に対応するカッタ2、計量ホッパ3、AあるいはB梱包車8,9、予備圧縮シリンダ7の構成部品である電磁弁、モータ、表示灯等を駆動制御している。
【0016】
本圧縮制御盤23、予備圧縮A制御盤24及び予備圧縮B制御盤25には各々通信部26が設けられている。各通信部26は互いに接続され、各々が対応する操作盤27,28,29に接続されている。操作盤27,28,29には運転モードを入力する「自動」、「手動」、「安全装置作動」の3種類のボタンが設けられ、各ボタンを押下したときには、対応したボタンが点灯する。ここで、「自動」は自動運転モードを意味し、「手動」は押下するたびにワンステップ毎に工程を動かす手動運転モードを示し、「安全装置作動」は安全柵を開く時などに押下するボタンで主に点検時に押下される。
【0017】
本圧縮制御盤23にはモニタ通信部30が設けられ、このモニタ通信部30は、モニタ装置22の主体をなすモニタ用PLC31に設けられたモニタ通信部32に接続されている。ここで本圧縮制御盤23のモニタ通信部30は外部機器を接続するための空きスロットに接続されている。
制御装置21を構成している本圧縮制御盤23、予備圧縮A制御盤24及び予備圧縮B制御盤25の出力回路から梱包装置1に送出される指令信号と、梱包装置1の構成部品及び検出機器類から制御装置21である本圧縮制御盤23、予備圧縮A制御盤24及び予備圧縮B制御盤25の入力回路に取り込まれる各種信号は、本圧縮制御盤23、予備圧縮A制御盤24及び予備圧縮B制御盤25の各PLCの記憶部にデータとして書き込まれている。また、内部リレーの状態も記憶部にデータとして書き込まれている。本圧縮制御盤23にモニタ通信部30が接続されたことで各記憶部に書き込まれたデータが各記憶部から読み出されて、各通信部26から本圧縮制御盤23のモニタ通信部30に送られ、ここからモニタ用PLC31のモニタ通信部32に送出される。
【0018】
このモニタ用PLC31のモニタ通信部32に順次送られている指令信号は、例えば、リミットスイッチのON/OFFに関する「1」、「0」のデータのようにそのままデータとして記憶部に書き込まれるものの他に、演算を必要とするデータも存在するが、この演算結果のデータも記憶部に書き込まれる。このように演算結果を記憶したり、アナログデータのように大きなデータを扱う関係で、モニタ用PLC31の処理部37の処理単位及び記憶部40の記憶データ長は制御装置21の各制御盤、つまり本圧縮制御盤23、予備圧縮A制御盤24、予備圧縮B制御盤25の処理部の処理単位や記憶部のデータ長に比較して長く設定されている。ここで、モニタ用PLC31には、モニタ用として特別に増設したセンサ類である、外気温センサ、オイル温度センサ、冷却水温度センサ系のアナログ系のセンサASやデジタル系のセンサDS等が接続されている。
したがって、本圧縮制御盤23、予備圧縮A制御盤24及び予備圧縮B制御盤25は梱包装置1の制御のみを行い。モニタのための処理はモニタ用PLC31に任せることができるので、梱包装置1の駆動制御には負荷がかからない点で有利である。
【0019】
モニタ用PLC31にはネットワーク通信部33が設けられている。このネットワーク通信部33は既存のネットワークカードを用いたもので、外部のデータサーバ34及び入出力端末であるa,bクライアント35,36に接続されている。
【0020】
図4に示すのは、モニタ用PLC31のブロック図である。同図に示すように、モニタ用PLC31は比較、判定、演算処理等を行う処理部(CPU)37を備えている。この処理部37には入力回路38、出力回路39が接続され、入力回路38には図3に示した各種センサAS,DSが接続されている。また、出力回路39にはモニタ用PLC31を増設した際に増設された外部装置Gが接続されている。また、処理部37にはネットワーク通信部33、モニタ通信部32が接続されている。
処理部37には記憶部40が接続されていて、記憶部40には入力回路38、出力回路39からの入出力信号がデータとして処理部37を介して書き込まれ、また、処理部37によって読み出されたデータを演算処理した結果が演算結果データとして書き込まれ、これらが保持される。尚、処理部37にはタイマ41が接続されている。
【0021】
記憶部40に書き込まれたデータのうち、デジタルデータは、例えば、1分毎に処理部37により読み出され、ネットワーク通信部33からデータサーバ34、a,bクライアント35,36に送信され、アナログデータは、例えば、1秒毎に処理部37により読み出されて、ネットワーク通信部33からデータサーバ34、a,bクライアント35,36に送信される。
【0022】
図5に示すのは本圧縮シリンダ12を作動させるための油圧回路である。本圧縮シリンダ12に対して作動指令が発信されてから本圧縮シリンダ12が作動を開始しこれを各種センサにより検出し、このセンサの検出結果のデータをモニタするまでの手順を簡単に説明する。この例では既存の制御装置21に対してモニタ用PLC31を増設する際にオイルタンク42のオイルの温度を検出する本圧縮オイルタンク温度センサ54を新たに設けた。尚、同図において図示都合上本圧縮シリンダ12は横にした状態で描いている。
作動油を収容するオイルタンク42にはモータ43により駆動するポンプ44の吸い込み側が接続され、ポンプ44の吐出側には電磁弁45のINポート46が接続されている。電磁弁45にはオイルタンク42への戻り管47が戻りポートに接続されている。電磁弁45は本圧縮シリンダ12の伸び側圧力室と縮み側圧力室とに作動油の供給流路を切り換えるものである。電磁弁45は本圧縮シリンダ12に接続される2つの供給ポートを備え、電磁弁45がa側(ノーマルポジション)に切り替わると伸び側供給ポート48から作動油が供給されて本圧縮シリンダ12を伸張させ、b側に切り替わると縮み側供給ポート49から作動油が供給されて本圧縮シリンダ12を縮み側に作動させる。
【0023】
本圧縮シリンダ12には伸張動作の開始位置と終了位置を確認するために、本圧縮シリンダ12のロッド先端の位置を検出する縮退位置リミットスイッチ50と伸張位置リミットスイッチ51が配置されている。電磁弁45にはa側に切り替わった場合に信号をON出力し、b側に切り替わった場合にOFFとなる検出スイッチ52が設けられている。
モータ43、電磁弁45は各々本圧縮制御盤23に設けたリレー53,55により作動する。縮退位置リミットスイッチ50、伸張位置リミットスイッチ51からの信号は、本圧縮制御盤23の記憶部にデータとして書き込まれ、本圧縮制御盤23のモニタ通信部30からモニタ用PLC31のモニタ通信部32を経てモニタ用PLC31の記憶部40に書き込まれる。
また、オイルタンク42にはオイル温度を検出する本圧縮オイルタンク温度センサ54が設けられ、この本圧縮オイルタンク温度センサ54は既存設備には設けられてはいないため、モニタ用PLC31と共に増設され、この本圧縮オイルタンク温度センサ54からの検出信号はデータとしてモニタ用PLC31の記憶部40に書き込まれる。
【0024】
ここで、本圧縮制御盤23のリレー53,55により行われるモータ43の駆動、電磁弁45の切り換え動作をモニタするのに必要な、内部リレーの指令信号や、検出スイッチ52、縮退位置リミットスイッチ50、及び伸張位置リミットスイッチ51からの信号は、本圧縮制御盤23からモニタ用PLC31の記憶部40に書き込まれるが、モニタ用PLC31の記憶部40に書き込まれたこれらのデータから、モニタ用PLC31の処理部37により本圧縮シリンダ12の伸張速度、縮退速度を算出して、この算出結果のデータもモニタ用PLC31の記憶部に書き込まれる。具体的には、本圧縮シリンダ12の伸張速度は、縮退位置と伸張位置との間の距離を、縮退位置リミットスイッチ50を通過してから伸張位置リミットスイッチ51を通過するまでの時間で除算して求め、縮退速度は、伸張位置と縮退位置との間の距離を、伸張位置リミットスイッチ51を通過してから縮退位置リミットスイッチ50を通過するまでの時間で除算して求める。
【0025】
また、指令信号が発せられてから作動を開始するまでの時間、作動が終了するまでの時間もモニタ用PLC31の処理部37で演算された後に記憶部40にデータとして書き込まれる。これらデータは指令を発した時刻のデータと関連づけて記憶部40に書き込まれ、これらのデータは横軸を時刻、縦軸を指令が発せられてから動作を始める時間、あるいは動作が完了するまでにかかった時間として、履歴がデータサーバ34に書き込まれ、後述するaクライアント35、bクライアント36のアプリケーションプログラム上で履歴データとしてグラフ表示される(図14の温度の例を参照)。本圧縮シリンダ12以外の構成部品の稼働についても同様に履歴データがデータサーバ34に記憶される。これらをグラフにより履歴として表示することで正常時と見比べれば異常を一目で確認できる。
【0026】
図5の例では、指令信号が発せられてから、電磁弁45がa側に戻りモータ43が駆動して油圧が発生し、本圧縮シリンダ12のロッドが伸張を開始してロッド先端が縮退位置リミットスイッチ50を通過するまでが、本圧縮シリンダ12の伸張作動開始までの時間となり、伸張位置リミットスイッチ51を通過するまでが、本圧縮シリンダ12が伸張作動終了するまでの時間となる。また、指令信号が発せられてから、電磁弁45がb側に切り替わりモータ43が駆動して油圧が発生し、本圧縮シリンダ12のロッドが縮退を開始してロッド先端が伸張位置リミットスイッチ51を通過するまでが、本圧縮シリンダ12の縮退作動開始までの時間となり、縮退位置リミットスイッチ50を通過するまでが、本圧縮シリンダ12の縮退作動終了するまでの時間となる。
これらの時間がモニタ用PLC31の記憶部40に記憶され、データサーバ34に履歴データとして書き込まれる。
【0027】
図3に示すように、データサーバ34ではモニタ用PLC31から送られてくるデータを時刻のデータと関連づけてファイルとして保存し、例えば1月分がまとまると、新しく次のファイルを作成する。データサーバ34へのデータの送信は、送信要求としてデータサーバ34側から行っても良いし、モニタ用PLC31から送り出しても良い。また、データサーバ34からはa,bクライアント35,36によりデータが読み出し可能にされている。また、後述する成功率及びこれに関係するデータはCSVファイルとして、各構成部品毎、8時間毎にデータサーバ34に書き込まれる。
【0028】
aクライアント35は通常のパーソナルコンピュータであって、このaクライアント35の表示部であるディスプレイ56には、モニタ用PLC31のネットワーク通信部33から送られてくる情報、データサーバ34内の情報が、aクライアント35側のアプリケーションプログラムを介して表示される。bクライアント36もaクライアント35と同様の構成であるので説明は省略する。
【0029】
図6に示すのは計量ホッパ3による計量から搬出までを工程別に分けたシーケンシャル・ファンクション・チャート図である。本来ならこのシーケンシャル・ファンクション・チャートはa,bクライアント35,36のディスプレイ56への表示内容として後述するメイン画面の説明の後に記載するべきであるが、工程の流れを説明する都合上、a,bクライアント35,36のメイングラフィック画面の説明(図7参照)に先だって説明を行う。
このシーケンシャル・ファンクション・チャートはモニタ用PLC31、データサーバ34からの情報に基づいてa,bクライアント35,36のディスプレイ56で「SFC監視」(図7に示す)が選択されるとSFC監視画面として表示される。SFCとはシーケンシャル・ファンクション・チャートを示す。
【0030】
ステップS1aの計量工程Aでは予備圧縮A側の計量ホッパにより50kg毎に計量が行われ、ステップS2aの梱包車詰込工程で予備圧縮箱内から合計400kgの繊維がA梱包車に詰め込まれる。所定量の繊維が詰め込まれたA梱包車はステップS3aで本圧縮位置に移動を開始し(A梱包車移動(本圧))、ステップS5において本圧縮位置に至る(A梱包車移動工程)。本圧縮位置ではステップS6に示すようにA梱包車の上方から本圧縮シリンダを下降させてテーブルとの間で本圧縮を行う(本圧縮下降工程)。その後、ステップS4aにおいて本圧縮シリンダが途中まで上昇し、A梱包車が扉を開いた状態で予備圧縮位置に移動し(A梱包車移動(予備圧縮))、ステップS2aに進む。
【0031】
次いで、ステップS7において、本圧縮シリンダを下降させたまま予め設置された上シートと下シートにより繊維束を包装し(包装工程)、ステップS8で包装された繊維束にバンド掛け装置によりバンドを掛けて締め付ける(バンド掛工程)。
【0032】
バンド掛工程が終了すると、ステップS9の本圧縮シリンダの上昇をまって、ステップS10において搬出装置が製品である繊維束を搬出する(搬出工程)。次いで、ステップS11において倉庫での積み込み作業へ移行する(倉庫工程)。
【0033】
ステップS10の搬出工程でテーブル上の製品が搬出されると、ステップS12のシート送り工程に移行し、上シートと下シートとが上シート供給装置と下シート供給装置により所定位置に供給され、ステップS13において、B予備圧縮側のB梱包車の本圧縮位置への移動(ステップS5の梱包車移動工程)に備える(待機工程)。尚、B梱包車側のステップS1b〜ステップS4bまでの工程は、既に説明したA梱包車側のステップS1a〜ステップS4aまでの工程と同様であるので説明は省略する。
ここで、このシーケンシャル・ファンクション・チャートは、aクライアント35、bクライアント36のディスプレイ56に表示され、実行中の工程(クロスハッチングで示す)と、直前に実行が完了した工程(ハッチングで示す)には色分けがなされて表示される。
【0034】
ところで、モニタ用PLC31の記憶部40には、梱包装置1の構成部品により行われる作業名が小工程の番号、小工程の開始時刻、小工程の終了時刻と関連付けて書き込まれている。また、小工程は複数の作業を行う構成部品に対応するため、小工程には装置名もあわせて関連づけて記憶されている。図6に示す各工程はこのような装置の小工程を複数まとめた複数の装置によるひとまとまりの作業で構成されている。
各工程の始まりは、その工程で初めに行われる小工程の開始タイミング、つまり、ある装置の特定の構成部品の動きの開始時刻であり、各工程の終わりは、その工程の最後に行われる小工程の終了タイミング、つまり、ある装置の特定の構成部品の動きの終了時刻である。
【0035】
したがって、図6においてモニタ用PLC31の記憶部40から読み出された現時点の小工程を含む工程を示すブロックが実行中であれば、その工程を示すブロックの色が、例えば、a,bクライアント35,36のアプリケーションプログラムにより、モニタ用PLC31の記憶部40、データサーバ34のデータを読み込んで赤色に変更され、また、直前に終了したステップの色が、例えば、a,bクライアント35,36のアプリケーションプログラムにより、モニタ用PLC31の記憶部40、データサーバ34のデータを読み込んで、実行中とは異なる完了を示す例えば緑色に変更される。ここで、工程実行中に色を変更するのは、工程の最初にくる小工程の開始時刻であり、工程実行中の色を工程完了の色に変更するのは工程の最後にくる小工程の終了時刻である。この例では、計量工程A、計量工程B、シート送り工程、搬出工程が実行中で、梱包車詰込工程が完了となっている。尚、各ブロックの横には前回要した動作時間が表示される。
【0036】
図7に示すのは、メイングラフィック画面である。このメイングラフィック画面はモニタ用PLC31からの情報、データサーバ34からの情報に基づいてa,bクライアント35,36のディスプレイ56に初期画面(図示せず)が表示され、その左側に位置する部位に配置されたメニューで「モニタ」が選択されると表示される。
a,bクライアント35,36のディスプレイ56には、上側の大部分に梱包装置1のモノクロで表示された全体斜視図と、下側の一部にアラーム表示欄が設けられている。全体斜視図は図6に示した工程毎にその工程で稼働している構成部品全てが色付けされ、現時点でどの工程が進行しているのかが一目で確認できる。したがって、故障のため装置が停止している場合にはその構成部品が色付けされた状態で画面も停止しているので、色付けされた部分が故障部であることが簡単に確認できる。
【0037】
ここで、この全体図を示す画像データは必要な工程数だけ設けられ、これが画像データとして各工程に関連づけてその工程の部分を色づけしたものがデータサーバ34に記憶されている。この画像データをa,bクライアント35,36に記憶するようにしてもよい。尚、小工程別に色分けした画像を用いてもよい。モニタ用PLC31からa,bクライアント35,36に送られてくる現時点での工程に対応してa,bクライアント35,36のアプリケーションプログラムがデータサーバ34(あるいはa,bクライアント35,36)から、対応する画像を読み込み、a,bクライアント35,36のディスプレイ56に表示する。
【0038】
アラーム表示欄には、アラーム情報と操作盤操作情報が、最新の状況が一番上に来るように下側からイベント発生順に表示される。ここでアラーム情報は梱包装置1が何らかの異常が発生した場合と、これが解除された場合にその履歴が時間順に表示される。また、操作盤操作情報は操作盤27〜29が操作された場合にその履歴が時間順に表示される。表示欄の表示項目は、イベント番号を示す「NO」と、アラーム等が発生した時間を表す「発生時間」と、発生したか解除された、運転が切り替わったかを示す「状況」と、アラームが発生した原因等を示す「カテゴリ」と、具体的には小工程の内容を示す「メッセージ」である。
【0039】
ここで、「カテゴリ」には、構成部品の作動時間、速度、温度、電流値等に対して閾値が設けられている場合に、この閾値の範囲に至らなかった場合の(閾値(LO))、閾値の範囲を超えた場合の(閾値(HI))、ある一定の範囲を超えた場合や作動していない状況の(アンサーバック)、1回の出力で2回以上の入力がある場合の(アンサー動作)、操作盤の安全装置作動ボタンが押下された場合の(タッチパネル)、操作盤の自動、手動ボタンの押下により運転が切り替わった場合の(ステータス)が含まれる。
「状況」にはアラームが発生したり、操作盤27〜29の安全装置作動ボタンが押された場合の(発生)と、アラームが解除された場合の(解除)と操作盤27〜29により運転モードが切り替わった場合の(切替)がある。尚、アンサー動作、アンサーバックをまとめてアンサー異常ともいう。
【0040】
ところで、モニタ用PLC31の記憶部40には、小工程に関連づけて構成部品の作動時間、速度、温度、電流値に関する閾値が実際のデータと共に記憶されている。実際のデータと閾値との比較の結果、閾値の範囲内にある場合には「成功」として記憶されてリセットからの成功回数が加算されて記憶され、閾値の範囲から外れた場合、つまり閾値(LO)、閾値(HI)、アンサー動作、アンサーバックであった場合には、前述したアラームにより報知をするためにこの結果が記憶される。ここで、リセットとは後述する図11において回数リセットボタンを押した場合を意味する。
また、操作盤操作の状況も「自動」、「手動」、「安全装置作動」が押下されたごとに、それが記憶される。したがって、ある小工程にアラームが発生した場合、あるいは操作盤操作があった場合には、この状況が図7に示すようにa,bクライアント35,36のメイングラフィック画面にアラーム情報と操作盤操作状況(アラームイベント)として履歴が表示される。尚、これらのアラームイベントはCSVファイルとして、各構成部品毎や8時間毎にデータサーバに記憶される。
【0041】
図7に示すメイングラフィック画面には、左側に表示されるメニューに「閾値設定/モニタ」、「ステータス」、「SFC監視」、「アラーム状況」、「表示グループ」、「トレンド」及び現在アクティブとなっている「モニタ」が配置されている。
ここで、現在発生しているアラームについては、a,bクライアント35,36のディスプレイ56のメニューで「アラーム状況」が選択されると図示しない画面上で現在のアラーム状況が表示され、該当する小工程の名称、日付、時間、アラームのカテゴリが確認できる。このメニューの「SFC監視」を選択すると、前述した図6のシーケンシャル・ファンクション・チャートが表示される。
【0042】
図8に示すのは、動作状況モニタ画面である。この動作状況モニタ画面はモニタ用PLC31からの情報、データサーバ34からの情報に基づいてa,bクライアント35,36のディスプレイ56のメニューで「閾値設定/モニタ」が選択されると表示される。この動作状況モニタ画面では、入出力信号状態、作動信号から作動完了アンサーまでの時間、作動回数をモニタし、閾値と比較した結果、閾値の範囲外となった場合を色を替えて表示する。また、使用機器類の作動回数を管理することで機器設計限界前に交換計画の立案を可能とする。
【0043】
閾値設定画面の表示項目はイベント番号を示す「NO」と、複数の小工程にまたがって使用される「装置名」、小工程の「名称」、小工程の実際の「動作時間」、各構成部品やセンサ毎の「動作回数1」〜「動作回数5」、動作中であればONとなる「動作中」、アラームである「アンサーバック」、「閾値(HI)」、「閾値(LO)」、回数の閾値内ならOFFとなる「回数」、設定された「アンサーバック」と「閾値」である。「動作中」、アラーム関係、「回数」についてはON、OFFで表示され、それ以外は回数が表示される。この例でイベント番号126の小工程の前後シート折り込みキャンドル下降(倉庫側)工程で49秒の動作時間が閾値の7秒を超え閾値(HI)がONとなり、この部分のセルの色が変わりアラームが出ていることを示している(ハッチング部分)。これらのデータは、モニタ用PLC31から取り込まれる。
【0044】
ここで、メニューの各小工程の欄をクリックすると、図8の画面の上に、図9に示す閾値設定画面がポップアップ表示される。この閾値設定画面はモニタ用PLC31からの情報、データサーバ34からの情報に基づいてa,bクライアント35,36のディスプレイ56に表示される。ここでは包装工程において前後シート折り込みキャンドル下降(ヘッド側)工程の時間の閾値の設定を行う画面を例にしている。この閾値設定画面で直接的にモニタ用PLC31の記憶部40の設定データを書き換えることができる。表示項目としては閾値の値に一定の幅を持たせてあり、ここでは閾値12秒からプラス側とマイナス側に5秒ずつの幅を持たせた範囲が設定され、この範囲内にある場合には正常であり、この範囲に至らない7秒を下回った場合が閾値(LO)と、17秒を超えた場合には閾値(HI)となりアラーム対象となる。また、100秒を超えるとアンサーバックエラーとなり、1回目の出力で2回以上の入力がある場合にはアンサー動作となる。したがって、これら「閾値」、「閾値(LO)」、「閾値(HI)」及び「アンサーバックエラー」の値をa,bクライアント35,36により設定することができる。また、「動作回数アラーム」の設定項目もあり、この動作回数(ここでは1000000回)を設定してこれに達するとアラームを出せるようになっている。これにより、定期的なメンテナンスを知らせることができる。
【0045】
ここで、この閾値設定画面にはこの小工程で使用されるセンサを含む機器類の動作回数の上限を閾値として設定することができる。ここでは、本圧縮用制御盤のPLC、リレー、電磁弁、シリンダ、センサの「動作回数」を設定することができる。尚、この「動作回数」は図8の動作回数1〜5に対応しており、回数リセットボタンを押下することにより回数をリセットできる。各機器類の動作回数は機器毎に異なっているため、機器毎に設定するのが望ましいからである。したがって、機器類の種別に関係なく定期点検で全ての機器類を交換するような場合に比較して、交換の必要がないような機器類を交換するような無駄がなくなり、メンテナンスコストを低減できる。ここで、この設定画面で使用されるデータはモニタ用PLC31の記憶部40から取り込まれる。
【0046】
図10に示すのは、ステータス監視画面である。このステータス監視画面はモニタ用PLC31からの情報、データサーバからの情報に基づいてa,bクライアント35,36のディスプレイ56のメニューで「ステータス監視」が選択されると表示される。具体的には本圧縮制御盤、予備圧縮A制御盤及び予備圧縮B制御盤に対応する画像が表示され、これらの操作盤27〜29の点灯状況がモニタされる。これにより、実際の操作盤27〜29の確認が必要無くなる。27〜29の「自動」、「手動」、「安全装置作動」の各ボタンに対応する四角形状の部分は現在点灯している部分がそれとわかるように区別して表示される。このような選択的な表示も、モニタ用PLC31、データサーバからの現在のステータスに関連付けた表示データに基づいてa,bクライアント35,36のアプリケーションプログラムにより行われる。
【0047】
図11に示すのは、前述した図6のSFC監視画面に閾値設定のためのポップアップ画面が表示された様子を示している。このポップアップ画面はモニタ用PLC31からの情報、データサーバからの情報に基づいてa,bクライアント35,36のディスプレイ56に重ねて表示される。このポップアップ画面は図6の工程毎の各ブロックをクリックすることにより開く画面であって、項目として、そのブロックが現在実行中の工程か、直後に完了した工程か、未実行の工程かを示す「動作状況」の情報、つまり「実行中」、「未実行」、「完了」の3種類が表示される。また、その工程における前回の回数リセットからの「実行回数」、「成功回数」が「成功率」と共に表示される。また、「動作時間」と「設定値/閾値」の項目が設けてあり、「動作時間」は実際にかかった時間が表示され、「設定値/閾値」はここで設定された値が表示される。
【0048】
動作状況に関する項目は、モニタ用PLC31に記憶された現工程、直前に終了した完了工程に関する情報に基づいて、これらが選択された場合には動作状況として「実行中」、「完了」が表示され、それ以外が選択された場合には「未実行」が表示される。
また、「実行回数」は、回数リセットボタンが押下された時からの回数をモニタ用PLC31の記憶部40から読み出して表示され、「成功回数」、「成功率」もモニタ用PLC31の記憶部40から読み出されて表示される。「動作時間」もモニタ用PLC31の記憶部40から読み出され、「設定値/閾値」はここで設定された値が、モニタ用PLC31の記憶部40に書き込まれここに表示される。ここで、「成功回数」とは、回数リセットがなされてからアラームとならなかった回数、つまり(閾値(LO)、閾値(HI)、アンサー動作、アンサーバックとならなかった回数をいう。「成功率」とは、実行回数に対する成功回数の百分率をいう。図11の例では、バンド掛け工程は実行中でも完了でもないため(図6の説明参照)「動作状況」には「未実行」が表示され、「実行回数」は5回、「成功回数」は5回で、「成功率」は100%(5÷5×100%)、「動作時間」は84秒で、設定値/閾値は100秒となっている。このデータは回数リセットのタイミングで、CSVファイルとしてデータサーバ34の記憶部に書き込まれる。書き込み、つまりリセットのタイミングは8時間ごとの3交替制の交替時間である、例えば、7時、15時、23時に設定されている。これにより、一日を3交替で運転している場合に成功率を交替単位で把握できる。
【0049】
図12はアラーム解析画面を示している。このアラーム解析画面はデータサーバにログとして記憶されたデータ、モニタ用PLC31の記憶部40のデータに基づいてa,bクライアント35,36のディスプレイ56のメニューで「アラーム解析」が選択されると表示される。現時点での各小工程のアラームの回数の多いデータを順に並べたものである。尚、少ない順に表示することも可能である。図11に示す工程毎での成功率を見ていると、小工程で構成部品の作動時間が短いアラームと作動時間が長いアラームが出ているために工程としてのエラーは出ないことがあるが、そのような場合に実体を小工程でのアラーム解析で調べることができるメリットがある。
【0050】
アラーム解析画面の表示項目はイベント番号を示す「NO」と、複数の小工程にまたがって使用される「装置名」、小工程の「名称」、実行回数を示す「モニタ」、アラームである「アンサーバック」、「アンサー動作」、閾値(HI)、閾値(LO)を含む「閾値異常」、現時点での小工程での「成功率」、良い順に番号を付けた場合の小工程での成功率の「順位」であり、回数と値が表示される。
このデータはリアルタイムでモニタ用PLC31の記憶部40に記憶され、同時にデータサーバ34に書き込まれており、a,bクライアント35,36はモニタ用PLC31の記憶部40からデータを読み出す。このデータも図11の回数リセットのタイミングで、CSVファイルとしてデータサーバ34の記憶部に書き込まれる。書き込み、つまりリセットのタイミングは8時間ごとの3交替制の交替時間である、例えば、7時、15時、23時に設定されている。これにより、一日を3交替で運転している場合に小工程毎の成功率を交替単位で把握できる。
【0051】
図13はアナログで表示される各種センサ類、特にモニタ用PLC31の設置と共に増設されたセンサ類の設定画面である。この設定画面もモニタ用PLC31及びデータサーバ34に記憶されたデータに基づいてa,bクライアント35,36のディスプレイ56のメニューで「表示グループ」が選択されると表示される。表示グループには温度、電流値、電圧、圧力等が設定されている。この例では表示グループとして温度が選択されているため温度センサに関するセンサが表示の対象となる。具体的には、外気温センサ、本圧縮オイルタンク温度センサ、予備圧縮Aオイルタンク温度センサ、予備圧縮Bオイルタンク温度センサが表示されている。各センサに対応する位置の下側にモニタ用PLC31から取り込んだ1分毎の現時点での温度が表示され、この温度が棒グラフとなって表示される。棒グラフの横には閾値LL、閾値H、閾値HHの値が表示され、この値はa,bクライアント35,36により設定してモニタ用PLC31の記憶部40に書き込まれる。閾値LLと閾値Hとで設定された範囲を逸脱した場合にアラーム対象となる。
【0052】
図14はトレンドを示す画面である。このトレンドとは履歴を意味し、この例では図13に対応した温度に関するトレンドが選択されて表示されている。このトレンド画面はデータサーバにログとして記憶されたデータ、モニタ用PLC31の記憶部40のデータに基づいてa,bクライアント35,36のディスプレイ56のメニューで「トレンド」が選択されると表示される。具体的には、a,bクライアント35,36のアプリケーションプログラム上で横軸時刻、縦軸が温度としてグラフ表示される。グラフにより履歴として表示することで正常時と見比べれば異常を一目で確認できる。このトレンドの情報はモニタ用PLC31の記憶部からデータサーバとa,bクライアント35,36により読み出される。このトレンドには温度に関するもののほか、図13で選択可能な時間、速度、電流など様々な表示グループに対応したセンサの検出結果が用いられる。この図14では、外気温センサ、本圧縮オイルタンク温度センサ、予備圧縮Aオイルタンク温度センサ、予備圧縮Bオイルタンク温度センサのトレンドが表示されている。
【0053】
ここで、図15に示すのは、図6で説明した各工程(各ブロック)における成功率を算出して表示するためのブロック図である。尚、リアルタイムで成功率を算出する場合を説明する。
図15に示すように、全工程を複数の生産工程に割り当てた場合の各工程はこれを構成する複数の小工程x,y,zに分かれているが、各小工程内で行われる各構成部品の稼働時間を、構成部品実稼働時間計測部80であるモニタ用PLC31の処理部37により累積して計測する。尚、計測には各小工程の移行時間も含めている。計測結果は、モニタ用PLC31の記憶部40に確保された実稼働時間記憶部81に実稼働時間データとして工程の情報と関連付けて書き込まれる。尚、各構成部品の稼働時間はモニタ用PLC31の記憶部40に書き込まれている。
一方、図6の各工程には各工程の標準稼働時間が記憶されている。この標準稼働時間は、梱包装置の稼働当初、あるいは定期的なメンテナンス時においてアラームが出ない稼働時間を基準に設定されており、このデータはモニタ用PLC31の記憶部40に確保された標準稼働時間記憶部82に標準稼働時間データとして工程の情報と関連付けて書き込まれる。
【0054】
そして、実稼働時間記憶部81の実稼働時間データを読み出して得られた実稼働時間のうち、その工程において標準稼働時間記憶部82の標準稼働時間データを読み出して得られた標準稼働時間の範囲内で生産が行われた成功回数を成功回数データとしてモニタ用PLC31の記憶部40の成功回数記憶部83に記憶する。つまり、この成功回数データはその工程の最後の小工程が終了する毎にリアルタイムで加算されて行く。
次に、モニタ用PLC31の記憶部40から読み出したその工程の現在までの全実行回数データに対して、成功回数記憶部83から読み出した成功回数が締める割合を、モニタ用PLC31の処理部37により算出して成功率として設定し、成功率データとしてモニタ用PLC31の記憶部40に確保された成功率記憶部84に書き込む。
【0055】
成功率記憶部84に記憶された成功率データは、データサーバ34、a,bクライアント35,36により読み出され、a,bクライアント35,36のディスプレイ56に表示される。具体的には、図11に示すSFC閾値設定画面のポップアップ画面に実行回数、成功回数が表示され、さらに成功率も表示される。
このデータも図11の回数リセットのタイミングで、CSVファイルとしてデータサーバ34の記憶部に書き込まれる。書き込み、つまりリセットのタイミングは8時間ごとの3交替制の交替時間、例えば、7時、15時、23時に設定されている。これにより、一日を3交替で運転している場合に工程毎の成功率を交替単位で把握できる。
【0056】
ここで、標準稼働時間には一定の幅が設定されており、具体的には図11に示すように、その工程での動作時間が84秒である場合には、16秒の遅れを見込んで100秒を閾値とした標準稼働時間として設定するようになっており、この設定はa,bクライアント35,36から動作時間も含めて閾値の設定、変更をすることができる。変更した場合には、モニタ用PLC31の記憶部40に確保された標準稼働時間記憶部102のデータが更新される。
【0057】
したがって、上記実施形態によれば、一定の時間内で各工程の成功率をこの工程と関連づけたデータとしてモニタ用PLC31の記憶部40に確保された成功率記憶部84から読み出してa,bクライアント35,36のディスプレイ56に表示することにより、例えば、A梱包車移動工程の成功率が低い場合に、このA梱包車移動工程が全体の生産効率を低下させ全生産工程の内のボトルネックとなっていることを早期に把握することができる。よって、従来は定期点検時までまって問題となる箇所を修理していたものを、製品ロットの切り換え時間にボトルネックとなるこの成功率の低いA梱包車移動工程を優先的に復元するなどして、無駄な作業をなくし作業時間を短縮して実質的な梱包装置1の処理能力を高めることができる。また、交替制を採用している場合に、その交替番における成功率などのデータや、季節毎の成功率、昼と夜の成功率の変化など様々な形で利用でき生産効率の向上に利用できるメリットがある。
【0058】
また、a,bクライアント35,36によりその工程において許容されるばらつきを標準稼働時間に設定することができるため、例えば、周囲の気温等の変化に応じて変動する作動油の粘度に依存したアクチュエータの作動時間等に対しても、適正な稼働時間を簡易に設定することができる。よって、実情に合わせた稼働を実現して生産効率を高めることができる。
【0059】
そして、モニタ用PLC31の記憶部40に記憶されたモニタデータ及び計測データ等はアナログデータは1秒ごとに、デジタルデータは1分ごとにデータサーバ34とa,bクライアント35,36に送ることができ、成功率に関するデータを制御装置21に負担をかけることなく取り込むことができるため、全生産工程の内のボトルネックを早期に把握することができる。
【0060】
尚、この発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、成功率はモニタ用PLC31の記憶部40に書き込む場合について説明したが、a,bクライアント35,36のアプリケーションプログラムに取り込まれたデータをアプリケーションプログラム上で算出して求めて表示するようにしてもよい。また、自動機械として梱包装置を例にしたが、これに限られるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】この発明の実施形態の梱包装置の正面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】図1の自動機械の運転装置の全体を示すブロック図である。
【図4】モニタ用PLCのブロック図である。
【図5】本圧縮シリンダの作動回路を示す模式図である。
【図6】各工程の進行状況を示すシーケンシャル・ファンクション・チャート図である。
【図7】メイングラフィック画面を示す図である。
【図8】動作状況モニタ画面を示す図である。
【図9】閾値設定のためのポップアップ画面を示す図である。
【図10】ステータス監視画面を示す図である
【図11】閾値設定のためのポップアップ画面を示す図である。
【図12】アラーム解析画面を示す図である。
【図13】センサ類の設定画面を示す図である。
【図14】トレンド画面を示す図である。
【図15】主として成功率を求めるブロック図である。
【符号の説明】
【0062】
1 梱包装置(自動機械)
21 制御装置
22 モニタ装置
30,32 モニタ通信部
34 サーバ(データサーバ)
35,36 a,bクライアント
37 計測部(処理部)
40 記憶部
56 表示部
80 構成部品実稼働時間計測部
81 実稼働時間記憶部
82 標準稼働時間記憶部
83 成功回数記憶部
84 成功率記憶部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料の仕込みから製品出しまでの全工程を連続的に繰り返す自動機械のモニタ装置において、
前記全工程内に割り当てられた複数の生産工程毎に予め設定された標準稼働時間を、一定の幅を持った標準稼働時間データとして記憶する標準稼働時間記憶部と、
前記各生産工程において行われる前記自動機械の構成部品単位での実際の稼働時間を計測する構成部品実稼働時間計測部と、
前記構成部品実稼働時間計測部の計測結果から累積して得られた各生産工程における実際の稼働時間を実稼働時間データとして記憶する実稼働時間記憶部と、
前記実稼働時間記憶部に記憶された実稼働時間データを読み出して得られた実稼働時間のうち、その生産工程において前記標準稼働時間記憶部に記憶された標準稼働時間データを読み出して得られた標準稼働時間の範囲内で生産が行われた回数を成功回数データとして記憶する成功回数記憶部と、
前記成功回数記憶部に記憶された成功回数データを読み出して得られた成功回数の全実行回数に対する割合を成功率として設定し各生産工程に関連付けて成功率データとして記憶する成功率記憶部と、
少なくとも前記成功率記憶部に記憶された前記成功率データを読み出して成功率として表示する表示部とを備えたことを特徴とする自動機械のモニタ装置。
【請求項2】
前記標準稼働時間記憶部には、前記標準稼働時間に設定される一定の幅に関するデータを入力、更新可能な入力端末が接続されていることを特徴とする請求項1記載の自動機械のモニタ装置。
【請求項3】
前記自動機械を稼働させるための制御装置と、この制御装置に通信装置を介して接続される請求項1又は請求項2記載の前記モニタ装置とを備え、該モニタ装置は前記制御装置から前記自動機械に送出される指令信号と、前記自動機械の構成部品及び検出機器類から前記制御装置に送られる各種信号を前記通信装置を介してモニタデータとして書き込むと共に、モニタデータに基づいて計測部において計測された計測データとして書き込む記憶部を備え、
前記記憶部には通信ネットワークを介して前記記憶部に記憶されたモニタデータと計測データをこの記憶部から定期的に読み出すサーバが接続されると共に、前記表示部を備えた入力端末が接続されていることを特徴とする自動機械の運転装置。
【請求項1】
原料の仕込みから製品出しまでの全工程を連続的に繰り返す自動機械のモニタ装置において、
前記全工程内に割り当てられた複数の生産工程毎に予め設定された標準稼働時間を、一定の幅を持った標準稼働時間データとして記憶する標準稼働時間記憶部と、
前記各生産工程において行われる前記自動機械の構成部品単位での実際の稼働時間を計測する構成部品実稼働時間計測部と、
前記構成部品実稼働時間計測部の計測結果から累積して得られた各生産工程における実際の稼働時間を実稼働時間データとして記憶する実稼働時間記憶部と、
前記実稼働時間記憶部に記憶された実稼働時間データを読み出して得られた実稼働時間のうち、その生産工程において前記標準稼働時間記憶部に記憶された標準稼働時間データを読み出して得られた標準稼働時間の範囲内で生産が行われた回数を成功回数データとして記憶する成功回数記憶部と、
前記成功回数記憶部に記憶された成功回数データを読み出して得られた成功回数の全実行回数に対する割合を成功率として設定し各生産工程に関連付けて成功率データとして記憶する成功率記憶部と、
少なくとも前記成功率記憶部に記憶された前記成功率データを読み出して成功率として表示する表示部とを備えたことを特徴とする自動機械のモニタ装置。
【請求項2】
前記標準稼働時間記憶部には、前記標準稼働時間に設定される一定の幅に関するデータを入力、更新可能な入力端末が接続されていることを特徴とする請求項1記載の自動機械のモニタ装置。
【請求項3】
前記自動機械を稼働させるための制御装置と、この制御装置に通信装置を介して接続される請求項1又は請求項2記載の前記モニタ装置とを備え、該モニタ装置は前記制御装置から前記自動機械に送出される指令信号と、前記自動機械の構成部品及び検出機器類から前記制御装置に送られる各種信号を前記通信装置を介してモニタデータとして書き込むと共に、モニタデータに基づいて計測部において計測された計測データとして書き込む記憶部を備え、
前記記憶部には通信ネットワークを介して前記記憶部に記憶されたモニタデータと計測データをこの記憶部から定期的に読み出すサーバが接続されると共に、前記表示部を備えた入力端末が接続されていることを特徴とする自動機械の運転装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−122978(P2009−122978A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−296428(P2007−296428)
【出願日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(000176741)三菱レイヨン・エンジニアリング株式会社 (90)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(000176741)三菱レイヨン・エンジニアリング株式会社 (90)
【Fターム(参考)】
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