説明

自動的に空気を放出し、圧力異常を防止する特徴を有するスプレー用圧送ダイアフラムポンプ

【課題】圧力異常を運転中に発生せず、安定して水を加圧でき、スプレー洗浄効果の促進に有効な加圧水式洗浄装置に備えるスプレー用圧送ダイアフラムポンプを提供する。
【解決手段】モータ11と、上蓋シャーシ12と、ダイアフラム20と、該ダイアフラムに嵌め込むピストン弁と、ピストン弁に密着固定した3つのピストンスライスに付ける逆流防止プラスチックガスケット500とを備えるポンプであって、吐水口の上面を下方に反った凹部に設計し、3つの入水口の各底面を上方に反った凹部に設計し、逆流防止プラスチックガスケットを上方にアーチ型の凸状上面と平坦な底面に設計し、逆流防止プラスチックガスケットとステム501の両方を同じ軟質弾性材料で一体成形し、3枚のピストンスライスも下方にアーチ型の凸状底面及び平坦な上面にし、中心の厚さを縁部より厚く設計することを特徴とし、自動的に空気を放出し圧力異常を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力異常を運転中に発生せず、絶えず安定して水を加圧でき、特にスプレー洗浄効果を促進するのに有効な、スプレーに使用する加圧水式洗浄装置に備える圧送ダイアフラムポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
図1で示すように、現在市販されている従来の、車両に噴射して洗車する加圧式洗浄装置には、水噴霧器1、携帯用タンク2及び圧送ダイアフラムポンプ10を備える。該ポンプの特徴として、屋外に移動して車両に噴射して洗車する作業を行えるように、小型の圧送ダイアフラムポンプ10を携帯用タンク2に入れることができ、電源を車内にある直流24ボルトのシガライタから取ることができる他、水源を何処でも都合よく利用して、携帯用タンク2に給水できるという点がある。こうした従来の圧送ダイアフラムポンプ10を、取水管3を経由して該圧送ダイアフラムポンプ10の上蓋60にある入水部61を介して運転するには、水道水Wをまず携帯用タンク2に注ぎ、該タンク内でこの水道水を加圧水に変換した後、スプレーに用いるために、水取出管4を介して水噴霧器1に送水する。そのため、圧送ダイアフラムポンプ10の機能は、こうした洗浄装置の運転や出力水の圧力の安定性に主に影響を及ぼす。
【0003】
しかしながら、こうした従来の洗浄装置の運転手順には2つの欠点がある:A.残留気泡:水が無くなった場合に水を携帯用タンク2に注水して補給すると、かかる圧送ダイアフラムポンプ10の幾つかの部品、特に取水管3内に、気泡が残留する。次の運転中に、残留した空気が水と混合されて気泡となり、かかる圧送ダイアフラムポンプ10の動作部品、特に上蓋60に入り、機能全般、即ち部品のシャクリ振動や水圧が断続的に不安定になる等の悪影響を与えることとなり、その結果、長期間運転すると、装置全体に無理な負荷がかかり、製品寿命が短くなる。従って、水の補給中に、如何にして水に混入した残留気泡を放出するかが、かかる装置に関しては重大な問題となってくる。
【0004】
B.圧力異常:圧力が異常となる現象が、かかる圧送ダイアフラムポンプ10の運転時間が長くなる、及び使用頻度が多くなるに伴い発生する。圧力異常の原因を解明するために、圧送ダイアフラムポンプ10の各構成要素の構造及び運転機能について、以下のように一通り理解する必要がある:
【0005】
図2〜図6で示すように、従来の圧送ダイアフラムポンプ10には、モータ11と、該モータ11の出力軸(図示しない)の先端部に沿って配設し、その外側リムに複数のネジ穴13を形成してある上蓋シャーシ12と、該上蓋シャーシ12を被覆するダイアフラム20と、該ダイアフラム20に嵌め込むピストン弁30と、夫々を該ピストン弁30に密着固定した3つのピストンスライス50に付けるプラスチック製の逆流防止プラスチックガスケット40と、その外側リムに複数の穿孔63を形成してある上蓋60とを備えており、複数の揺動輪14を上記上蓋シャーシ12上で枢動させて、ある意味上記モータ11の出力軸によって軸方向に往復揺動運動させて、ポンプ作用を行う。ボルト5を、対応する上記上蓋シャーシ12のネジ穴13及び上記上蓋60の穿孔63全てに貫通させることにより、圧送ダイアフラムポンプ10全体を、(図4で示すように)完全に一体化させる。
【0006】
上記ダイアフラム20については、ガスケット溝21をダイアフラム20の頂部周縁リムに沿って構成し、3つの凸状突出部22の夫々に、偏心ピストンプッシャ23を重ねるが、該突出部22を上記3つの揺動輪14と対応させてその上に配設する。各ネジ24を夫々に対応する凸状突出部22の穿孔221及びピストンプッシャ23の各穿孔231に貫通させることによって、各ピストンプッシャ23及び凸状突出部22をダイアフラム20と共に、夫々に対応する揺動輪14に、(図4に示すように)確実に螺着させ、それによりこれらの上記構成要素全てが、(図4中、破線で示すように)一定に転位しながら同時に軸方向に往復揺動運動を行うようにする。
【0007】
更に図2及び図4乃至図6に示すように、上記ピストン弁30には主に、その中心領域を上蓋60に向けて上向きに埋設する、半球状の吐水ベース31と、該吐水ベース31の下に、互いに傾斜角120度の等間隔で、夫々配設する3つの入水口35と、を備える。そこでは、上記吐水ベース31を、その中心に形成する位置決め孔32と、互いに傾斜角120度の等間隔で半径方向に分岐する3本に分岐した溝33とで構成し、それにより3つの分離したゾーンを各溝間に、その間に複数の吐水スパウト34を成形して形成する;上記入水口35を、位置決め孔36及び複数の入水スロット37で構成する。上記逆流防止プラスチックガスケット40を、軟質弾性材料を中空の半球体に一体成形するが、該ガスケット40には、中心で下方に延伸する位置決めステム41と、夫々を互いに傾斜角120度で等間隔にした、3枚の半径方向に分離するリブパネル42の他、該ガスケットの外部に延在する3枚の突出パネル43とを、備える。上記位置決めステム41を、対応する位置決め孔32に固定すると同時に、各突出パネル43を夫々に対応する吐水ベース31にある分離用溝33に挿入することにより、吐水ベース31の分離した3ゾーン夫々の全吐水スロット34を、(図4で示すように)逆流防止プラスチックガスケット40で周縁部を密封して、完全に遮断する。上記ピストンスライス50夫々には、上方に形成した剛性の中心位置決めステム51を有し、該スライスを、凸状のアーチ型外面と凹状の湾曲した内面を有する逆フレア形に、軟性弾性材料で一体成形する。上記位置決めステム51を、入水口35にある夫々に対応する位置決め孔36に挿入することにより、全ての入水スロット37をピストンスライス50によって(図4及び図5で示すように)周縁部を密封して、完全に遮断する;そこでは、複数の低圧チャンバ6を夫々、ピストン弁30の各入水口35に接する上記ピストンスライス50の凹状湾曲内面と、それに対応するダイアフラム20のピストンプッシャ23との間で、(図4で示すように)該スライスの片方の端部が対応する入水スロット37に結合させた状態で、形成する。
【0008】
図1及び図2乃至図4で更に示すように、その周縁リムに形成した複数の穿孔63を有する上記上蓋60には主に、外縁部にある入水オリフィス61と、その中に内部出水オリフィス62を有する中心頂部にある水出口64と、現在市販されている圧力スイッチPを取付けるための、該水出口64に結合させた外部圧力スイッチ容器65と、を備える。そこでは、ランプ溝66をその底部側に、その周縁リムが密接にピストン弁30を包囲し、確実に上記ダイアフラム20のガスケット溝21に合致して固定するように、構成する;中心環状溝67を、ランプ溝66の内側で下向きに構成して、上記ピストン弁30の吐水ベース31と合致させて密接に取着させ、それにより両者間で(図4に示すように)加圧チャンバ7を作成する。
【0009】
実際の運転について、図1、図7及び図8を参照されたい。揺動輪14で駆動するピストンプッシャ23の軸方向の往復揺動運動によって、水Wを、上蓋60の入水オリフィス61に、携帯用タンク2から取水管3を介して(図7の矢印で示すように)取込むが、これをポンプ作用の吸引力と押出力を交互に負荷して行う:ピストンプッシャ23が下方に揺動してピストンスライス50から離間すると、該ピストンスライス50も同時に下方に、吸引力により引張られて入水口35から離間し、水Wを入水オリフィス61と入水スロット37を介して(図7のそれぞれの矢印で示すように)順次低圧チャンバ6に入るように導き、該低圧チャンバ6内でまず水Wを加圧して中圧水Wにする;ピストンプッシャ23が上方に揺動してピストンスライス50へ向かうと、該ピストンスライス50も同時に上方に、押出力により押し出されて入水口35へ向かい、該低圧チャンバ6の水Wを、吐水スパウト34を介して加圧チャンバ7内に押出し(図8の各矢印で示すように)、該加圧チャンバ7内で次に水Wを加圧して高圧水Wにする;このようにポンプ作用による吸引力及び押出力を交互に繰返すことによって、加圧チャンバ7内の水Wの圧力を、80psi〜100psiにまで上昇させて、上蓋60にある内部出水オリフィス62及び水出口64、それに結合する水取出管4の順に通過させて、実際の噴射及び洗浄に使用する、又は水噴霧器1で両立可能な他の必要なタスクを行う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、逆流防止プラスチックガスケット40の設計において、圧送ダイアフラムポンプ10が運転する際に好ましくない影響を引き起こす深刻な欠点がある。先の記述で説明し、図5で示したように、逆流防止プラスチックガスケット40を、軟質弾性材料を中空の半球体に一体成形して、これを使用してピストン弁30の吐水スパウト34全てを被覆するが、これと関連する入水口35とピストンスライス50との連動を、ピストンプッシャ23を軸方向に往復揺動運動させ、吸引力及び押出力を交互にしてポンプ作用を有限変位で駆動させて、行っている。材料が可撓性で不均等な半球形状になるため、吐水効果が、ポンプ作用による転位が限定的なことで低減するだけでなく、吸引作用での密封効果も不十分となる。それによって、出力水の量及び圧力が減少する。こうした逆流防止プラスチックガスケット40の不所望で不完全な密封効果は、材料の経時変化で変形δが大きくなるために悪化し、その結果(図6で示すように)“圧力異常”問題が発生する。
【0011】
逆流防止プラスチックガスケット40の変形からの上記圧力異常問題を解決するために、本発明の発明者は該ガスケットの設計を改善して、特許出願登録を行い、米国特許庁に2005年10月26日付の出願番号第11/258,027号(公開番号第US2006/0090642号)として公的に記録された。図9乃至図12で示すように、改善した圧送ダイアフラムポンプ10の構造では、逆流防止プラスチックガスケット40とそれに付随する吐水口71の両方を、元の半球形状から平面形に変更した。ピストン弁70において、吐水口71をこのように平面に調整するために、位置決め穴73を有する位置決め用塊体72を吐水口71の中心に形成する;各ゾーンに複数の吐水孔74を有する3つの分離したゾーンを、上記位置決め用塊体72を中心にして、互いに傾斜角120°で等間隔に形成する。対応する3つの分離したゾーンに対する周縁リムに、3つの入水口75を夫々、上記吐水口71の下に、該入水口75に中心位置決め穴76及び複数の入水スロット77を有して配設する。また、逆流防止プラスチックガスケット80を、平坦な三弁ブレード形として形成して、吐水口71を完全に被覆し、3本の半径方向への細長い切れ目81を互いに傾斜角120°で等間隔に入れ、それにより各弁ブレードが正確に夫々が対応する吐水口71の吐水孔74に接触して塞ぐようにする;逆流防止プラスチックガスケット80の中心に、位置決め用開口部82を、該開口部の下に(図10で示すように)位置決め用リム83を有してこれを作製する。
【0012】
実際の組立てについては、図10及び図11で更に示すように、逆流防止プラスチックガスケット80のクラッチリム83を位置合わせすることによって、位置決め用開口部82をまずピストン弁70の位置決め用塊体72に嵌め込み、その後逆流防止プラスチックガスケット80とピストン弁70を、T字形の位置決めステム90をピストン弁70の位置決め穴73に挿入して、強固に一体化させる。
【0013】
図12を参照されたい。“圧力異常”問題が大幅に改善されるだけでなく、関連する変形についても、変更したピストン弁70及び逆流防止プラスチックガスケット80を長期間試験的に使用した後でも、緩和された。しかしながら、試験的使用の期間中、新たな課題が以下の通り見つかった:
A.ピストン弁70と逆流防止プラスチックガスケット80とをT字形の位置決めステム90で結合させて一体化したが、これが緩んで来た。
B.弁ブレードの強度が、若干弱くなった。
C.ピストンスライス50がまだ僅かに経年劣化で変形する。
従って、本発明の発明者は、上述した圧送ダイアフラムポンプ10の機能向上や未だ存在する課題を解決する目的で、絶えず熱心に調査研究を行っている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の主な目的は、 “自動的に空気を放出し、圧力異常を防止する特徴を有するスプレー用圧送ダイアフラムポンプ”を提供することであり、吐水口の上面を、位置決め穴の中心が最低点となるように下方に反った凹部に設計し、3つの入水口の各底面を、位置決め穴の中心が最低点となるように、上方に反った凹部に設計する。組立て後、間隙部を、逆流防止プラスチックガスケットの底面と吐水口の下方に反った凹部との間に作成し;同様に、間隙部を、ピストンスライスの平坦な上面と入水スロットの上方に反った凹部との間で作成する。上述した隙間部によって、ピストンプッシャの軸方向の揺動運動に関連するポンプ作用における逆流防止プラスチックガスケットとピストンスライス夫々の吸引力が相当増大するだけでなく、水に対する加圧効果も大幅に促進できる;その上、逆流防止プラスチックガスケットとピストンスライス両方に関して、中心の厚みを縁部の厚みより厚くするという特別な設計によって、その強度が、厚みが均等な設計の先行技術の逆流防止プラスチックガスケットの強度より、同じ厚みで比較した際に、高くなるだけでなく、吐水孔及び入水スロットに対する、開閉動作を切換える間の密封効果も改善できる;それによって、“圧力異常”問題を完全に排除できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】従来の加圧洗浄装置の説明図である。
【図2】従来のスプレー用圧送ダイアフラムポンプの分解斜視図である。
【図3】従来のスプレー用圧送ダイアフラムポンプの上蓋を示す斜視図である。
【図4】図3のA-A線に沿った断面図である。
【図5】従来のスプレー用圧送ダイアフラムポンプのピストン弁を示す斜視説明図である。
【図6】従来のスプレー用圧送ダイアフラムポンプの逆流防止プラスチックガスケットの変形を示す斜視説明図である。
【図7】従来のスプレー用圧送ダイアフラムポンプの運転について示す第1説明図である。
【図8】従来のスプレー用圧送ダイアフラムポンプの運転について示す第2説明図である。
【図9】従来のスプレー用圧送ダイアフラムポンプの別のピストン弁及び逆流防止プラスチックガスケットを示す斜視図である。
【図10】図9を分解したものを平面的に示す断面説明図である。
【図11】図10を組立てたものを平面的に示す断面図である。
【図12】従来のスプレー用圧送ダイアフラムポンプの組立体を平面的に示す断面説明図である。
【図13】本発明の第1実施例の斜視説明図である。
【図14】図13のB-B線に沿った断面説明図である。
【図15】本発明の第1の参考例の運転について示す第1説明図である。
【図16】本発明の第1の参考例の運転について示す第2説明図である。
【図17】本発明の第2の参考例を分解したものを平面的に示す断面図である。
【図18】本発明の第2の参考例を組立てたものを平面的に示す断面図である。
【図19】本発明の第の例示的実施例の分解斜視図を示す第1図である。
【図20】本発明の第の例示的実施例のピストン弁の分解斜視図を示す第2図である。
【図21】本発明の第の例示的実施例のピストン弁を分解したものを平面的に示す断面図である。
【図22】本発明の第の例示的実施例のピストン弁を組立てたものを平面的に示す断面図である。
【図23】本発明の第の例示的実施例の運転について示す第1説明図である。
【図24】本発明の第の例示的実施例の運転について示す第2説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図13及び図14で示すように、本発明の“自動的に空気を放出し、圧力異常を防止する特徴を有するスプレー用圧送ダイアフラムポンプ”の第1の参考例には:排気組立体100であって、該組立体は、スプレー用圧送ダイアフラムポンプ10の最上蓋60にある水出口64の壁部に連結する中空管であり、1対の第1排気シリンダ101と第2排気シリンダ102とを有し、第1排気シリンダ101の直径を第2排気シリンダ102の直径より大きくして、夫々上部及び下部に配設して、該両シリンダを互いに自由に通動させており、空気流路103を第1排気シリンダ101と最上蓋60の水出口64との間の壁部に穿孔する他、排気オリフィス104を排気組立体100の上面中心部に、第2排気シリンダ102に向けて穿孔した、上記排気組立体100と、プランジャ本体200であって、プランジャの先端開口部201とプランジャ底部のバッフル202を、プランジャ開口部201の外径をプランジャ・バッフル202の外径よりも小さくした中空管であり、該プランジャ本体200には、その中にプランジャ開口部201から内側に向けて配設した圧縮バネ203と、プランジャ壁部のプランジャ・バッフル202付近に穿孔した貫通細孔204の他、該貫通細孔204とプランジャ・バッフル202との間でプランジャ本体に周設したOリングガスケット205とを有する、該プランジャ本体200と、を備え、プランジャ開口部201及びプランジャ・バッフル202両方を、排気組立体100の第2排気シリンダ102と第1排気シリンダ101とに夫々嵌挿する。
【0017】
図15及び図16を参照されたい。空気が全く、上蓋60の加圧チャンバ7の加圧水W’に混入されていない場合、水出口64を通過する加圧水W′は、排気組立体100の第1排気シリンダ101に、空気流路103を介して流入すると共に、プランジャ本体200のプランジャ・バッフル202を後方に押出し、それによりプランジャ本体200全体が、圧縮バネ203の反発力より大きな加圧水W′の水圧によって、第2排気シリンダ102に押込まれる。一方、プランジャ本体200の貫通細孔204もまた完全に第2排気シリンダ102に挿入され(図15に示す矢印のように)、それによりOリングガスケット205が第2排気シリンダ102を水密に塞ぎ、第1排気シリンダ101内の全加圧水W′を吐水口64の外へと指向させる;この運転モードでは、通常の、水を圧送し吐出する状態となる。空気が加圧水W′内に混入している場合、圧縮バネ203の反発力が加圧水W′の水圧より大きくなるため、圧縮バネ203の反発力がプランジャ本体200のプランジャ・バッフル202を前方に押出して、第1排気シリンダ101に入れ、それにより、貫通細孔204が第1排気シリンダ101内に入るようになる。それによって、加圧水W′に混入した空気が、(図16に示した破線矢印のように)空気流路103を通り第1排気シリンダ101に入り、その後貫通細孔204を介してプランジャ本体200のプランジャ開口部201を通過し、最終的に排気組立体100の排気オリフィス104を介して上蓋60から放出される;このようにして、空気放出機能を提供する。全ての空気を上蓋60の外に一掃してしまうまで、スプレー用圧送ダイアフラムポンプ10は通常の加圧運転状態を繰返して、排気組立体100のプランジャ本体200は、(図15で示すように)通常の加圧吐水位置に再び戻る。
【0018】
図17及び図18で更に示すように、本発明の第2の参考例の“自動的に空気を吐出する特徴及び圧力を調節する特徴を有するスプレー用圧送ダイアフラムポンプ”では、排気組立体100及び上蓋60の両方の設計を変更しており、これらを互いに永久的に結合させた状態にする代わりに、取付コネクタ300を有して脱着可能に設計を変更しており、該取付コネクタ300を(図17に示すように)、排気組立体100の底部に、該コネクタ300内の空気流路302を介して第1排気シリンダ101に結合するための階段状になった穴301を連通させると共に、(図18で示すように)上蓋60の水出口64及び水取出管4とに夫々確実に螺着するために、ネジ付ユニオン303を夫々該コネクタ300の各端部に形成して構成する;こうして、排気組立体100は、第1実施例と同様な、空気放出及び圧力調節効果を得られる。
【0019】
図19〜図22で更に示すように、本発明の第1の例示的実施例の“自動的に空気を放出する特徴及び圧力を調節する特徴を有するスプレー用圧送ダイアフラムポンプ”では、吐水口401の上面を(図21で示すように)、位置決め穴402の中心が最低点となるように下方に反った凹部407に設計し、3つの入水口404の各底面を(図21で示すように)、位置決め穴405の中心が最低点となるように、上方に反った凹部408に設計する。吐水口 401の仕掛けを調整するために、逆流防止プラスチックガスケット500を、上面を上方にアーチ型にした凸状とし底面を平坦にして、中心の厚さt1を縁部の厚さt2より厚くして(図20及び図21のa-a線に沿った断面で示すように)、設計し、逆流防止プラスチックガスケット500と下方に突出した中心位置決めステム501の両方を、同じ軟質弾性材料で一体成形する;入水口404の仕掛けを調整するために、3枚のピストンスライス600の各々も底面を下方にアーチ型にした凸状及び上面を平坦にし、(図20と図21のb-b線に沿った断面で示すように)中心の厚さt3を縁部の厚さt4より大きく設計する。
【0020】
図22乃至図24で示すように組立てた後、間隙部G1を(図22で示すように)、逆流防止プラスチックガスケット500の底面と吐水口 401の下方に反った凹部407との間に作成し;同様に、間隙部G2を(図22で示すように)、ピストンスライス600の平坦な上面と入水スロット406の上方に反った凹部408との間に作成する。隙間部G1及びG2によって、ピストンプッシャ23の軸方向の揺動運動に関連するポンプ作用における逆流防止プラスチックガスケット500とピストンスライス600夫々の吸引力が相当増大するだけでなく、水に対する加圧効果も大幅に促進できる;その上、逆流防止プラスチックガスケット500の不均等な厚みt1及びt2と、ピストンスライス600のt3及びt4という特別な設計によって、その強度が、厚みが均等な設計の先行技術の逆流防止プラスチックガスケット80の強度より、同じ厚みで比較した際に、高くなるだけでなく、(図23及び図24で示すように)吐水孔403及び入水スロット406に対する、開閉動作を切換える間の密封効果も改善できる;それによって、“圧力異常”問題を完全に排除できる;更に、逆流防止プラスチックガスケット500の一体成形した構成要素により、組立て手順を迅速化できるだけでなく、製造コストも節約できる。
【符号の説明】
【0021】
1 水噴霧器
2 携帯用タンク
3 取水管
4 水取出管
5 ボルト
6 低圧チャンバ
7 加圧チャンバ
10 圧送ダイアフラムポンプ
11 モータ
12 上蓋シャーシ
13 ネジ穴
14 揺動輪
20 ダイアフラム
21 ガスケット溝
22 凸状突出部
23 ピストンプッシャ
31 吐水ベース
32、36 位置決め孔
34 吐水スパウト
35、75、404 入水口
37、406 入水スロット
40、80、500 逆流防止プラスチックガスケット
41、51、90、501 ステム
42 リブパネル
43 突出パネル
50、600 ピストンスライス
60 上蓋
61 入水オリフィス
62 出水オリフィス
63、221、231 穿孔
64 水出口
65 外部圧力スイッチ容器
70 ピストン弁
71、401 吐水口
72 位置決め用塊体
73、402、405 位置決め穴
74、403 吐水孔
81 切れ目
82 位置決め用開口部
83 位置決め用リム
100 排気組立体
101 第1排気シリンダ
102 第2排気シリンダ
103、302 空気流路
104 排気オリフィス
200 プランジャ本体
201 プランジャ開口部
202 プランジャ・バッフル
203 バネ
204 貫通細孔
205 Oリングガスケット
300 取付コネクタ
301 階段状穴
303 ネジ付ユニオン
407、408 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、該モータの出力軸の先端部に沿って配設し、その外側リムに複数のネジ穴を形成してある上蓋シャーシと、該上蓋シャーシ上で枢動して、前記モータの出力軸によって駆動する軸方向の往復揺動運動からポンプ作用を行うのに有効な複数の揺動輪と、前記上蓋シャーシを被覆するダイアフラムと、該ダイアフラムに嵌め込むピストン弁と、夫々を該ピストン弁に密着固定した3つのピストンスライスに付ける逆流防止プラスチックガスケットと、上蓋とを備えるスプレー用圧送ダイアフラムポンプであって、
吐水口の上面を、位置決め穴の中心が最低点となるように下方に反った凹部に設計し、3つの入水口の各底面を、位置決め穴の中心が最低点となるように、上方に反った凹部に設計し
逆流防止プラスチックガスケットを、平凸形状、即ち、中心の厚さを縁部の厚さより厚くした、上方にアーチ型にした凸状上面と平坦な底面に設計し、逆流防止プラスチックガスケットと下方に突出した中心位置決めステムの両方を、同じ軟質弾性材料で一体成形し
また、3枚のピストンスライスの各々も平凸形状、即ち下方にアーチ型にした凸状底面及び平坦な上面にし、中心の厚さを縁部の厚さより厚く設計することを特徴とし、自動的に空気を放出し、圧力異常を防止する特徴を有するスプレー用圧送ダイアフラムポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2012−36901(P2012−36901A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227455(P2011−227455)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【分割の表示】特願2008−223405(P2008−223405)の分割
【原出願日】平成20年9月1日(2008.9.1)
【出願人】(508264140)
【出願人】(508264139)
【Fターム(参考)】