説明

自動給水プランター

【課題】軽量で根腐れを生じず、屋上緑化用にも用いることができる自動給水プランターを提供する。
【解決手段】プランター本体1内に小石収容部7を形成してここに小石8を敷き詰め、その上でプランター本体1内に土26を盛り、植物27を植える。自動給水装置18にはスプリングで無負荷時には給水口を閉塞し、給水皿10上に水容器13を逆さにしてセットすると水ストッパーが開いて給水皿10内に給水が行われる。給水皿10内の水は給水穴12から小石収容部7内に給水されて小石8間に保水される。土26には、この保水により水分が含浸し、植物27はその根から水分を吸収する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、草花あるいは観葉植物あるいは野菜とか豆類等の植物を栽培するための自動給水プランターに関するものである。
【従来の技術】
【0002】
植物の栽培には給水が必要であるが、これには手間がかかり、また適量の給水を行うにはそれなりに知識が必要である。
【0003】
そこで、自動的に給水を行う所謂自動給水植木鉢とかポットの提案が多数行われているが、手間がかからず、製造コストが安く、特に屋上緑化等に用いることができるように工夫した自動給水プランターの提案は少ない。
【0004】
例えば、特開2004−81167号公報には、「夏場や留守中に水やりを行わなくとも、簡単に植物体や気象に合った適量の給水をおこなうことができ、植物体の根グサレ等の心配がなく植物体の成長を促進することができる容器として、植物栽培部(1b)と給水用タンク(2)の受け部として又は自ら給水用タンクとして機能する給水部(1a)とを有し、給水部(1a)と植物栽培部(1b)の間には連通水路(10)が形成され、給水部(1a)から植物栽培部(1b)へ、大気圧と水圧とのバランスを利用して一定した水位まで水が供給される構造を有し、該植物栽培部(1b)は、上層(3)に培地、下層(5)に液溜、上層と下層の間の中層(4)に空気層が存するように構成され、該培地と該空気層の間には少なくとも部分的に通気性があり、該培地と該液溜の双方に接する態様で吸水体(8)が少なくとも部分的に設置されてなる底面吸水式栽培容器」が紹介されている。
【0005】
また特開2005−40009号公報には、「鉢植えの給水に於いて、通常シャワー・如雨露等で、手間をかけて行っていたのを、簡単な方法で、水を無駄にする事無く給水出来、あらゆる植物の給水に適合出来る構造の鉢セットとして、鉢本体1に給水の為の外部接続口5を設け、給水タンク3を簡単に脱着出来る様にした構造の鉢セットである。給水タンク3の液面レベルに応じて鉢内の土の自己浸透作用で全般に吸水される様になっていて、植物が消費した分、蒸発等で減った分の水のみが補給される様になっている。また、給水タンク3にペットボトル等の補助タンク10を追加する事により、補給水量の増量と、給水タンク3の液面レベルを一定に保つ事が出来る。また、補助タンク10に接続する部品に、セット高さを調整出来る構造を追加する事により、給水タンク3の液面レベルを変えることが出来、土の吸水量が調整出来る」という内容の給水装置が紹介されている。
【特許文献1】特開2004−81167号
【特許文献2】特開2005−40009号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記公知例の場合、自動給水の目的は達成しているが、植物の根が自由に生長し、かつ根腐れを生じさせず、屋上緑化のようにある程度規模が大きい栽培装置に適用可能な自動給水プランターではない。
【0007】
本発明の目的は、自動給水プランターにおいて、植物の根の生長を促進させて生育を助長し、かつ根腐れを生じず、屋上緑化のようなある程度規模の大きい用途にも適用可能な自動給水プランターを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明においては、自動給水プランターにお
いて、プランター本体内底面部中央において、左右の側壁間に一定の幅を空けて二枚の仕
切り壁を設けることにより小石収容部を形成し、この小石収容部内に小石を敷き詰めたこ
と、前記プランター本体の小石収容部内及びプランター本体内全体に土を盛ったこと、前
記プランター本体の側壁であって、前記小石収容部の外側に給水穴を形成し、この給水穴
の外に給水皿を水平に取り付けたこと、前記給水皿上には、水容器を逆さにして取り付け
、この水容器の口には前記給水皿に先端が接するとスプリングに抗して水ストッパーが上
昇して前記給水口を開いて水容器内の水を給水皿から給水穴を経由して小石収容部内に給
水する自動給水装置を設けたことを特徴とするものである。
【0009】
更に、請求項2に記載の発明においては、自動給水プランターにおいて、プランター
本体内底面部中央において、左右の側壁間に一定の幅を空けて二枚の仕切り壁を設けるこ
とにより仕切壁間に小石収容部を形成し、この小石収容部内に小石を敷き詰めたこと、前
記プランター本体の小石収容部内及びプランター本体内全体に土を盛ったこと、前記プラ
ンター本体の小石収容部の側壁の外に自動給水装置を取り付けたこと、前記自動給水装置
は、下室に貯水室を形成し、この貯水室の上に仕切りを介して給水室を形成すると共に前
記仕切りには上下を連通する給水孔を形成し、この給水孔には貯水室内に設けたフロート
により給水孔を開閉するバルブを取り付け、前記貯水室と前記小石収容部間の側壁には給
水穴を設けた構成となっていること、前記自動給水装置の給水室には分岐ホースが接続さ
れていて、この分岐ホースは、給水槽から延長された給水ホースに接続されていること、
前記自動給水装置付のプランター本体は、前記給水ホースに対して分岐ホースを介して複
数接続されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明における自動給水プランターは、プランター本体内の中央に小石収容部を形成し、ここに小石を多く敷き詰め、その上で土をプランター本体内に盛った。
【0011】
この結果、保水率を高く保ちながら、植物の根に直接水が触れて根腐れを生じることがないと共に小石収容部をプランター本体の中央部に集中させることにより、プランターの重量を軽減し、特に屋上緑化に用いた際に重量が負担となることはない効果がある。
【0012】
更に、本発明によると次の効果がある。
1.水は常に循環していて滞留する部分が少ないので、藻、微生物、細菌の発生が少なく、清掃等の手間が少なくて済む。
2.また、構造が簡単で、コンパクトで安価に出来る。特に屋上緑化では軽量化が求められる為、適している(土表面迄の高さ8cm程度以下も可能)。
3.また、植物の根側に直接水分を供給するので、土表面からの蒸発が少なく、排水口から水が流失することも少ないので、節水効果がある。
【実施例1】
【0013】
本実施例1は、請求項1に記載の発明に対応するもので、図1〜図3に基づいて詳細に説明する。
【0014】
符号の1は、天面2を開放し、底部4に脚3を形成したプランター本体であって、硬質の樹脂で成形されている。
【0015】
5、5aは、前記プランター本体1の内底面4aにおいて、対向する左右の側壁6、6a間に形成された仕切壁であって、この仕切壁5、5a間には小石収容部7が形成されていて、ここには小石8が均一に敷き詰められている。
【0016】
9、9aは前記小石収容部7の仕切壁5、5aの外であって、内底面4aに形成された排水口である。
【0017】
10は、前記プランター本体1において、小石収容部7と対向する側壁6の外に形成された給水皿であって、この給水皿10と前記小石収容部7間の側壁6には、給水皿10内と小石収容部7間を連通する給水穴12が設けられている。
【0018】
13は、前記給水皿10上において、下向きに取り付けられた水容器であって、この水容器13の下向きの口14にはネジ15を介してキャップ16が取り付けられていると共にこのキャップ16には給水口17が設けられていて、この給水口17には水ストッパー19とこの水ストッパー19を常時閉方向に賦熱しているコイルスプリング20及び抜け防止用ピン21から成る自動給水装置18が取り付けられている。この自動給水装置18は、水ストッパー19の軸部22の先端23が給水皿10の底に接して押し上げられると、水ストッパー19はコイルスプリング20に抗して上昇し、給水口17を開放して水容器13内の水を給水口17から注水皿10へ給水し、この水は給水穴12から小石収容部7内に給水される。
【0019】
24は、プランター本体1内の底面4aにおいて、小石収容部7の外の部分において底面4aを覆う程度に浅く敷かれた小石、25は水容器13をプランター本体1の側壁6において支えている支持環であって、この支持環25は側壁6に対して着脱自在に取り付けられている。
【0020】
図1、2において、26はプランター本体1内に盛った土、27はこの土に植栽した植物であって、水容器13内の水は、水ストッパー19が開放した給水口17から給水皿10内に流下し、給水穴12を経由して小石収容部7内に入り、小石8間に浸透し、土26内に浸透して行く。
【0021】
植物27の根27aは、土26に浸透した水分を吸収し、生長する。
【0022】
前記給水皿10から小石収容部7内に流入した水は、小石8間において水位を形成し、この水位が前記水容器13の給水口17のレベルになると水位の上昇が止り、水位がこの給水口17より下がるとこの下がった分の水が給水されることにより、自動給水が行われる。
【実施例2】
【0023】
本実施例2は、請求項2に記載した発明に対応しており、図4〜図8に基づいて詳細に説明する。
【0024】
プランター本体1の構成は実施例1と同一のため、同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0025】
実施例1との相違点は、自動給水装置の構成とプランター本体1を連続して繋ぐことにより規模の大きい屋上緑化等に利用するのに適した構成である。
【0026】
本実施例2ではプランター本体1は1a、1b、1cと三連構造となっていて、図4、5に示すように、蓋51付の水槽50から給水ホース52が延長されていて、この給水ホース52の先端は最後のプランター本体1cの自動給水装置53に結ばれ、途中のプランター本体1a、1bには三方ジョイント54aから分岐ホース54を経由して給水装置53に結ばれている。
【0027】
各プランター本体1a、1b、1cに取り付けられた自動給水装置53は、図6〜図8に示すように、小石収容部7内の水位が反映する貯水室57と、前記分岐ホース54が結ばれた給水室56と、この給水室56と前記貯水室57とを上下に区画する仕切り58と、この仕切り58に設けられた給水口59とこの給水口59を貯水室57側(下側)から閉塞自在のバルブ60と、このバルブ60を下から支え、貯水室57内の水面に浮かんでいるフロート61から成り、小石収容部7内の水位が下がるとフロート61が下降してバルブ60を開いて給水穴12から小石収容室7内に給水を行ない、水位が上がるとフロート61が上昇してバルブ60が閉じる構造となっていて、すべてのプランター本体1a、1b、1cの自動給水装置53はこの作用で自動給水を行う。
【産業上の利用の可能性】
【0028】
1.草花の植栽
2.観葉植物の植栽
3.野菜類の植栽
4.豆類の植栽
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施例1に記載のプランターの説明図
【図2】A−A´線断面図
【図3】自動給水装置の説明図
【図4】実施例2に記載の三連式プランターの説明図(平面図)
【図5】図4の正面図
【図6】実施例2の自動給水装置の説明図
【図7】給水装置の正面図
【図8】水位が下がりフロートが下降してバルブが開いた状態の説明図
【符号の説明】
【0030】
1.プランター本体
7.小石収容部
8.小石
13.水容器
18.自動給水装置
26.土
27.植物
50.水槽
52.給水ホース
53.自動給水装置
54.分岐ホース
56.給水室
57.貯水室
60.バルブ
61.フロート


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.プランター本体内底面部中央において、左右の側壁間に一定の幅を空けて二枚の仕切り壁を設けることにより小石収容部を形成し、この小石収容部内に小石を敷き詰めたこと、
b.前記プランター本体の小石収容部内及びプランター本体内全体に土を盛ったこと、
c.前記プランター本体の側壁であって、前記小石収容部の外側に給水穴を形成し、この給水穴の外に給水皿を水平に取り付けたこと、
d.前記給水皿上には、水容器を逆さにして取り付け、この水容器の口には前記給水皿に先端が接するとスプリングに抗して水ストッパーが上昇して前記給水口を開いて水容器内の水を給水皿から給水穴を経由して小石収容部内に給水する自動給水装置を設けたこと、
e.を特徴とする自動給水プランター。
【請求項2】
a.プランター本体内底面部中央において、左右の側壁間に一定の幅を空けて二枚の仕切り壁を設けることにより仕切壁間に小石収容部を形成し、この小石収容部内に小石を敷き詰めたこと、
b.前記プランター本体の小石収容部内及びプランター本体内全体に土を盛ったこと、
c.前記プランター本体の小石収容部の側壁の外に自動給水装置を取り付けたこと、
d.前記自動給水装置は、下室に貯水室を形成し、この貯水室の上に仕切りを介して給
水室を形成すると共に前記仕切りには上下を連通する給水孔を形成し、この給水孔には貯水室内に設けたフロートにより給水孔を開閉するバルブを取り付け、前記貯水室と前記小石収容部間の側壁には給水穴を設けた構成となっていること、
e.前記自動給水装置の給水室には分岐ホースが接続されていて、この分岐ホースは、
給水槽から延長された給水ホースに接続されていること、
f.前記自動給水装置付のプランター本体は、前記給水ホースに対して分岐ホースを介して複数接続されていること、
g.を特徴とする自動給水プランター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−68735(P2010−68735A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−238128(P2008−238128)
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【出願人】(502216015)
【Fターム(参考)】