説明

自動補償静圧ジャーナル軸受

【課題】自動補償静圧ジャーナル軸受の提供。
【解決手段】この自動補償静圧ジャーナル軸受は、軸を取り付ける座体を有し、座体に軸を取り付ける孔が穿たれて円周面が形成され、軸と円周面の間に液圧液体を流通させる間隙があり、座体に少なくとも二つの注油孔が設けられ、円周面上に相互に対向するように設けられた少なくとも二つの第1チェンバ一がそれぞれ一つの注油孔に連通し、且つ各第1チェンバ一に隣接するようにそれぞれ第2チェンバ一が設けられ、座体に少なくとも二つのチャンネルが設けられ、各チャンネルの第2端はそれぞれ第1端と対向する第2チェンバ一に2連通する。これにより、軸受力が偏る時、その偏り方向とその対向の間隙を変更して、液圧液体に各通路をとおり、対向する第1チェンバ一と第2チェンバ一間で流量自動補償作用を発生させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一種の自動補償静圧ジャーナル軸受(SELF-COMPENSATING HYDROSTATIC JOURNAL BEARING)に係り、特に加工コストが低く且つ液圧自動補償構造を有する静圧ジャーナル軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
超高精密定位と微細加工システムの需要に対応するため、摩擦力が非常に小さい液体静圧軸受システムが高精密工具機械に不可欠のキーアセンブリとなっている。
【0003】
液体静圧軸受はガス静圧軸受に較べ、より優れた剛性、ダンパー性能及び切削加工時の振動抑制能力を有し、さらにナノレベルの精密運動定位精度を有し、超精密切削工具機械の軸受設計に優れた解決策を提供できる。ゆえに、世界のハイレベル精密工具機械のガイドレールの軸受システムはほぼ液体静圧軸受システムを採用している。
【0004】
既存の完全な定圧給油工具機械の液体静圧軸受システムは、液体静圧軸受チェンバ一本体、外部油供給システム及びスロットルの三つの部分を包含する。液体静圧ジャーナル軸受は、径方向負荷の支持を提供するため、静圧ラジアル軸受とも称される。
【0005】
現在工具機械に使用されている液体静圧ジャーナル軸受は、大まかに「対向流量補償無しの従来タイプ」と「流量対向流量補償タイプ」の二種類に分けられる。
【0006】
1.対向流量補償無しの従来タイプ
軸受油チェンバ一本体にスロットルが組み合わされて構成され、並びに管線により対向(180度)する油チェンバ一に接続されて流量と圧力の補償が行われることはない。このタイプは最も伝統的な液体静圧ジャーナル軸受の設計とされ、たとえば特許文献1に記載のものがあり、それは、機械台の主軸座内に着脱可能で両端が開放された円筒が取り付けられ、円筒内に軸受が取り付けられて主軸が通され、該軸受内部に若干の圧力蓄積溝が設けられ、且つ各圧力蓄積溝内に圧力センサ一とノズルが設けられ、各ノズルはそれぞれ流路で圧力差平衡増圧器に接続され、各圧力センサ一はまた各圧力差平衡増圧器と接続され、これにより、主軸が精密運転を維持させられる。
【0007】
このタイプの設計は、対向流量に対する補償メカニズムがなく、且つ固定スロットルの設計が組み合わされ、このためその軸受の径方向積載力と剛性値は低くなりがちで、比較的低い負荷条件下での応用にのみ適合し、並びに、中、高負荷条件下での使用には適合しない。
【0008】
2.流量対向流量補償タイプ
軸受油チェンバ一本体にスロットルが組み合わされるほか、管線で対向する(180度)油チェンバ一に連結されて、流量と圧力補償を行ない、これにより、軸受の径方向積載力と剛性値を高められる。このタイプの設計はさらに2種類に分けられ、その一つは、油チェンバ一が主軸の中心軸に設計され、たとえば特許文献2が該当し、この種類の設計はその油チェンバ一が中心軸サイズ等の因子の制限を受けやすく、このため油チェンバ一の形状及びサイズは設計の自由度があまりない。
【0009】
もう一種類は、油チェンバ一が主軸のスリーブに設計され、たとえば特許文献3が該当し、この種類の設計は、そのスリーブサイズを外向きに拡張しやすく、油チェンバ一の形状及びサイズの設計自由度が高く、ゆえに大部分の対向流量補償型液体静圧ジャーナル軸受はこのタイプに属する。
【0010】
上記特許文献2は軸のスリーブに複数の圧力供給凹溝が設けられ、軸の外表面に該圧力供給凹溝に対応する複数の収集凹溝が設けられ、各収集凹溝は等間隔に設置され並びに軸の周囲に沿って延伸され、並びに対向する収集凹溝の間に設けられた軸孔は、互いに連通する。流体が軸方向に該圧力供給溝軸を通って流れて収集凹溝に流入する時、該軸の表面と該軸孔の径方向間隙は比例し、流体は収集凹溝の対面チェンバ一に流入できる。このため、軸の偏りに比例する回復力動作を提供する。この特許技術は自動補償の効果を提供できるものの、その構造は比較的複雑であり、並びにスリーブと軸に対してそれぞれ対応する加工が必要であり、製造コストが高くなる。さらに、その主軸に対する支持剛性は回転速度に伴い漸増し、中、低速域には比較的不適用である。
【0011】
特許文献3は対辺長軸方向の環形油チェンバ一分布を利用し、特定角度の連接溝が二つずつ対向し連通し、並びに主軸と主軸スリーブ間の流体圧力薄膜の支持を提供し、軸心が負荷を受けて変位する時、不対称の流場分布を発生して軸心の偏りを平衡し、自己補償の効果を達成する。この特許技術はまた自動補償の効果を達成できるが、連接溝は特定角度で対向する環形油チェンバ一に接続され、この設計は単一方向性回転の主軸の使用のみに適合し、その運用層が比較的狭い。
【0012】
従って、信頼度が高く且つ加工コストが低い自動補償静圧ジャーナル軸受の構造設計を探し出すことが、現在解決が待たれる問題となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】台湾特許公告第M320617号明細書
【特許文献2】米国特許公告第5,700,092号明細書
【特許文献3】米国特許公告第5,281,032号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
これを鑑み、本発明の目的は、上述の問題を解決し、一種の加工コストが低く且つ液圧自動補償構造を具えた静圧ジャーナル軸受を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1の発明は、自動補償静圧ジャーナル軸受において、
座体であって、軸の取り付けに供される孔を具え、該座体は該孔が貫通することで円周面が形成され、該軸の表面と該円周面の間に液体流通に供される間隙を具えた、上記座体と、
少なくとも二つの注油孔であって、該座体の周囲より内向きに延伸された、上記注油孔と、
少なくとも二つの第1チェンバ一であって、各第1チェンバ一は互いに対向するように該円周面に設置され、各該注油孔がそのうち一つの第1チェンバ一に連通する、上記第1チェンバ一と、
少なくとも二つの第2チェンバ一であって、各該第2チェンバ一は互いに対向するように該円周面に設置され、並びに各該第2チェンバ一はそのうち一つの第1チェンバ一の隣に位置する、上記第2チェンバ一と、
少なくとも二つのチャンネルであって、各該チャンネルはそれぞれ第1端と第2端を具え、各該第1端は該円周面を貫通し且つそのうち一つの第1チェンバ一の隣に位置し、各該第2端はそれぞれ各該第1端が対向する該第2チェンバ一に連通する、上記チャンネルと、
を包含したことを特徴とする、自動補償静圧ジャーナル軸受としている。
請求項2の発明は、請求項1記載の自動補償静圧ジャーナル軸受において、各該注油孔と各該第1チェンバ一の間にそれぞれ流量調節弁が設けられたことを特徴とする、自動補償静圧ジャーナル軸受としている。
請求項3の発明は、請求項2記載の自動補償静圧ジャーナル軸受において、該流量調節弁は毛細孔スロットル、孔口スロットル、小口スロットル或いは自己調整スロットルのいずれかとされることを特徴とする、自動補償静圧ジャーナル軸受としている。
請求項4の発明は、請求項2記載の自動補償静圧ジャーナル軸受において、各該流量調節弁は該座体中に取り付けられるか該座体に加工されることを特徴とする、自動補償静圧ジャーナル軸受としている。
請求項5の発明は、請求項1記載の自動補償静圧ジャーナル軸受において、各該第1チェンバ一は別の該第1チェンバ一に180度の位置で対向するように設置されることを特徴とする、自動補償静圧ジャーナル軸受としている。
請求項6の発明は、請求項1記載の自動補償静圧ジャーナル軸受において、各該第2チェンバ一は別の該第2チェンバ一に180度の位置で対向するように設置されることを特徴とする、自動補償静圧ジャーナル軸受としている。
請求項7の発明は、請求項1記載の自動補償静圧ジャーナル軸受において、各該チャンネルの第1端は別の該チャンネルの第1端に180度の位置で対向するように設置されることを特徴とする、自動補償静圧ジャーナル軸受としている。
請求項8の発明は、請求項1記載の自動補償静圧ジャーナル軸受において、各該第1チェンバ一は対応する該チャンネルの第1端の周囲に設けられ、各該第2チェンバ一は各該第1チェンバ一の周囲に設けられることを特徴とする、自動補償静圧ジャーナル軸受としている。
請求項9の発明は、請求項1記載の自動補償静圧ジャーナル軸受において、各該第1チェンバ一は矩形或いは円形溝状形態を呈して各該チャンネルの第1端の周囲に設けられることを特徴とする、自動補償静圧ジャーナル軸受としている。
請求項10の発明は、請求項1記載の自動補償静圧ジャーナル軸受において、各該第2チェンバ一は矩形或いは円形溝状形態を呈して各該第1チェンバ一の周囲に設けられることを特徴とする、自動補償静圧ジャーナル軸受としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明は各第1チェンバ一、各第2チェンバ一及び各チャンネルが対向し導通する設計とされたことにより、自動補償の作用を発生でき、且つ本発明の構造は直接座体に加工でき、その加工は容易で製造コストを減らせる。さらに、各第1チェンバ一、各第2チェンバ一及び各チャンネルは二つずつが一組とされて180度の対向設置され、これにより、軸の回転の方向性に対する制限がなく、ゆえに、本発明は広く運用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の配置表示図である。
【図2】本発明の断面構造表示図である。
【図3】本発明の円周面展開の構造表示図である。
【図4】本発明の使用状態表示図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
上述の目的を達成するため、本発明の自動補償静圧ジャーナル軸受は、
軸の取り付けに供される孔の貫通により形成された円周面を具え、並びに該軸の表面と該円周面の間に液体流通に供される間隙がある座体と、
該座体の周囲より内向きに延伸された少なくとも二つの注油孔と、
少なくとも二つの第1チェンバ一であって、各第1チェンバ一は互いに対向するように該円周面に設置され、各該注油孔がそのうち一つの第1チェンバ一に連通する、上記第1チェンバ一と、
少なくとも二つの第2チェンバ一であって、各該第2チェンバ一は互いに対向するように該円周面に設置され、並びに各該第2チェンバ一はそのうち一つの第1チェンバ一の隣に位置する、上記第2チェンバ一と、
少なくとも二つのチャンネルであって、各該チャンネルはそれぞれ第1端と第2端を具え、各該第1端は該円周面を貫通し且つそのうち一つの第1チェンバ一の隣に位置し、各該第2端はそれぞれ各該第1端が対向する該第2チェンバ一に連通する、上記チャンネルと、
を包含する。
【0019】
本発明の各該第1チェンバ一は該第2チェンバ一に隣り合うように設置され、且つ該第1チェンバ一は別の該第1チェンバ一と、該第2チェンバ一は別の該第2チェンバ一と、それぞれ対向するように設置され、各チャンネルの第1端は各該第1チェンバ一の隣に位置し、且つ各該チャンネルの第2端は各該第1端に対向する該第2チェンバ一に連通する。
【0020】
これにより、軸受力が偏る時、軸の偏り方向とその対向の間隙を変更することにより、液圧液体に対向する各第1チェンバ一と第2チェンバ一の間で自動補償作用させ、軸を支持して座体中で順調に動作させる。
【0021】
該第1チェンバ一、該第2チェンバ一と該チャンネルは直接該座体上に加工されるため、その加工が比較的容易で製造コストダウンを達成できる。
【0022】
好ましい実施例において、各注油孔と各第1チェンバ一の間に流量調節弁が設けられ、並びに各流量調節弁は毛細孔スロットル、或いは孔口スロットル或いは小口スロットルのいずれかとされ得る。
【0023】
好ましい実施例では、各該流量調節弁は該座体中に取り付けられるか加工される。
【0024】
好ましい実施例では、各該第1チェンバ一は別の該第1チェンバ一に180度対向するように設置される。
【0025】
好ましい実施例では、各該第2チェンバ一は別の該第2チェンバ一に180度対向するように設置される。
【0026】
好ましい実施例では、各該チャンネルの第1端は別の該チャンネルの第1端に180度対向するように設置される。
【0027】
好ましい実施例では、各該第1チェンバ一は矩形或いは円形溝状形態を呈して各チャンネルの第1端の周囲に設置される。
【0028】
好ましい実施例では、各該第2チェンバ一は矩形或いは円形を呈して各該第1チェンバ一の周囲に設置される。
【0029】
本発明の技術内容、構造特徴、達成する目的を詳細に説明するため、以下にさらに具体的な実施例を挙げ並びに図面を組み合わせて説明する。
【0030】
図1から図4を参照されたい。図1は本発明の配置表示図、図2は本発明の断面構造表示図、図3は本発明の円周面展開の構造表示図、図4は本発明の使用状態表示図である。
【0031】
本発明の自動補償静圧ジャーナル軸受1は、座体10を具え、該座体10に軸2が通される。該座体10は該軸2を通す孔100を具えている。該座体10は該孔100が形成されることにより、円周面11が形成され、且つ該軸2の表面と該円周面11の間には液体が流通する間隙Hがある。
【0032】
該座体10には少なくとも二つの注油孔12a、12bがある。各該注油孔12a、12bはもう一つの該注油孔12a、12bに対向するように設置され、各注油孔12a、12bはそれぞれ該座体10の外周より内向きに延伸され、且つ該円周面11に各注油孔12a、12bにそれぞれ対応するように第1チェンバ一13a、13bが設けられている。
【0033】
各注油孔12a、12bと各第1チェンバ一13a、13bの間には流量調節弁14a、14bが設けられ、各該流量調節弁14a、14bは、毛細孔スロットル或いは孔口スロットル、或いは小口スロットル或いは自己調節スロットル等の固定スロットルのいずれかとされ、並びに該座体10中に加工される。
【0034】
各第1チェンバ一13a、13bはそれぞれ矩形溝状形態を呈し、且つ二つずつが一組とされた第1チェンバ一13a、13bはそれぞれ180度対向するように設置される。
【0035】
該円周面11に、各該第1チェンバ一13a、13bに隣り合うように、第2チェンバ一15a、15bが設けられ、各第2チェンバ一15a、15bは、矩形溝状形態とされ且つ各第1チェンバ一13a、13bの周囲に設置されて、各第2チェンバ一15a、15bもまた180度対向するように設置される。
【0036】
さらに、該座体10に、各第2チェンバ一15a、15bに対応するように、チャンネル16a、16bが設けられ、各チャンネル16a、16bはそれぞれ第1端161a、161bと第2端162a、162bを具えている。
【0037】
各第1端161a、161bはそれぞれ該円周面11を貫通し且つ各第1チェンバ一13a、13bの隣に位置する。本実施例では、各第1チェンバ一13a、13bは各第1端161a、161bの周囲に設けられ、各第2端162a、162bは各第1端161a、161bに対向する第2チェンバ一15a、15bに連通する。
【0038】
自動補償静圧ジャーナル軸受が必要とする液体圧力源を提供するため、別に液圧システム3が設けられ、該液圧システム3の圧力供給管31は各注油孔12a、12bに連通し、且つ該液圧システム3の復流管32は該座体10と該軸2の接続部分に接続されて、該間隙H部分より復流する液体を受け取る。この液圧システム3の技術は周知の技術とほぼ同じであるため、詳しくは説明しない。
【0039】
本発明の注油孔、第1チェンバ一、第2チェンバ一はいずれも二つが一組とされる。本実施例中では、描画と説明に便利であるよう、それぞれ二つを例として説明するが、実務上設置される数量は、円周面の面積(孔の直径)により決定され、2の倍数を以て設置される。
【0040】
該チャンネルの数量は第2チェンバ一と同数、或いは第2チェンバ一の数量の倍数が設置される。
【0041】
図4を参照されたい。図4は本発明の使用状態表示図である。図中に明かに作用関係が表示されている。ゆえに、間隙部分は誇大された方式で描かれている。
【0042】
軸2が垂直方向の作用力Fを受ける時、該軸2は下向きに偏り得て、これにより、該軸2と該円周面11の下側の間隙H2は該軸2と該円周面11上側の間隙H1より小さくなる。間隙H1が大きくなることにより、該第1チェンバ一13a中の液体は比較的容易に間隙H1を通過し、該チャンネル16aの第1端161aより進入し、さらに第2端162aより対向する第2チェンバ一15b中に流入する。ただし、間隙H2が小さくなっているため、第2チェンバ一15b中の液体は間隙H2をとおり第1チェンバ一13bに進入するか或いは外向きに排出されて液圧システムの復流管(図示せず)に排出されにくい。
【0043】
このとき、液体は該第2チェンバ一15b中に蓄積して反対方向の推力Fr2を発生し、該軸2を上向きに押し上げて、該作用力Fに対向する。
【0044】
同様に、別の注油孔12bより第1チェンバ一13bに進入する液体は間隙H2が小さくなったために、間隙H2をとおり第2チェンバ一15b或いはチャンネル16bの第1端161bに進入しにくい。このため、液体は第1チェンバ一13b中に蓄積して反対方向の推力Fr1を発生し、該軸2を上向きに押し上げて、該作用力Fに対向する。
【0045】
第1チェンバ一13b中の液体がチャンネル16bの第1端161bに進入しにくいため、該チャンネル16bの第2端162bより対向する第2チェンバ一15aに進入する液体は少なくなり、該第2チェンバ一15aの圧力が下がり、該第1チェンバ一13a中の液体が該第2チェンバ一15a中に補充され、これにより、各第1チェンバ一13a、13b及び各第2チェンバ一15a、15bが十分な動態剛性を発生して該軸2を支持し、これにより該軸2が座体10中で順調に動作する。
【0046】
本発明は各第1チェンバ一、各第2チェンバ一及び各チャンネルが対向し導通する設計とされたことにより、自動補償の作用を発生でき、且つ本発明の構造は直接座体に加工でき、その加工は容易で製造コストを減らせる。さらに、各第1チェンバ一、各第2チェンバ一及び各チャンネルは二つずつが一組とされて180度の対向設置され、これにより、軸の回転の方向性に対する制限がなく、ゆえに、本発明は広く運用され得る。
【0047】
当然、前述の各第1チェンバ一、各第2チェンバ一及び各チャンネルは直接座体に加工される方式のほか、各構造をモジュール化して、組立の方式を採用して該座体中に取り付けることもできる。
【0048】
このほか、各第1チェンバ一と第2チェンバ一は円形溝状形態に設計してもよく、これらの構造形態の簡単な変化はいずれも前述の実施例と同じ作用効果を発生することができる。
【0049】
以上述べたことは、本発明の実施例にすぎず、本発明の実施の範囲を限定するものではなく、本発明の特許請求の範囲に基づきなし得る同等の変化と修飾は、いずれも本発明の権利のカバーする範囲内に属するものとする。
【符号の説明】
【0050】
1 自動補償静圧ジャーナル軸受
10 座体
100 孔
11 円周面
12a、12b 注油孔
13a、13b 第1チェンバ一
14a、14b 流量調節弁
15a、15b 第2チェンバ一
16a、16b チャンネル
161a、161b 第1端
162a、162b 第2端
2 軸
3 液圧システム
31 圧力供給管
32 復流管
F 作用力
Fr1、Fr2 反対方向の推力
H、H1、H2 間隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動補償静圧ジャーナル軸受において、
座体であって、軸の取り付けに供される孔を具え、該座体は該孔が貫通することで円周面が形成され、該軸の表面と該円周面の間に液体流通に供される間隙を具えた、上記座体と、
少なくとも二つの注油孔であって、該座体の周囲より内向きに延伸された、上記注油孔と、
少なくとも二つの第1チェンバ一であって、各第1チェンバ一は互いに対向するように該円周面に設置され、各該注油孔がそのうち一つの第1チェンバ一に連通する、上記第1チェンバ一と、
少なくとも二つの第2チェンバ一であって、各該第2チェンバ一は互いに対向するように該円周面に設置され、並びに各該第2チェンバ一はそのうち一つの第1チェンバ一の隣に位置する、上記第2チェンバ一と、
少なくとも二つのチャンネルであって、各該チャンネルはそれぞれ第1端と第2端を具え、各該第1端は該円周面を貫通し且つそのうち一つの第1チェンバ一の隣に位置し、各該第2端はそれぞれ各該第1端が対向する該第2チェンバ一に連通する、上記チャンネルと、
を包含したことを特徴とする、自動補償静圧ジャーナル軸受。
【請求項2】
請求項1記載の自動補償静圧ジャーナル軸受において、各該注油孔と各該第1チェンバ一の間にそれぞれ流量調節弁が設けられたことを特徴とする、自動補償静圧ジャーナル軸受。
【請求項3】
請求項2記載の自動補償静圧ジャーナル軸受において、該流量調節弁は毛細孔スロットル、孔口スロットル、小口スロットル或いは自己調整スロットルのいずれかとされることを特徴とする、自動補償静圧ジャーナル軸受。
【請求項4】
請求項2記載の自動補償静圧ジャーナル軸受において、各該流量調節弁は該座体中に取り付けられるか該座体に加工されることを特徴とする、自動補償静圧ジャーナル軸受。
【請求項5】
請求項1記載の自動補償静圧ジャーナル軸受において、各該第1チェンバ一は別の該第1チェンバ一に180度の位置で対向するように設置されることを特徴とする、自動補償静圧ジャーナル軸受。
【請求項6】
請求項1記載の自動補償静圧ジャーナル軸受において、各該第2チェンバ一は別の該第2チェンバ一に180度の位置で対向するように設置されることを特徴とする、自動補償静圧ジャーナル軸受。
【請求項7】
請求項1記載の自動補償静圧ジャーナル軸受において、各該チャンネルの第1端は別の該チャンネルの第1端に180度の位置で対向するように設置されることを特徴とする、自動補償静圧ジャーナル軸受。
【請求項8】
請求項1記載の自動補償静圧ジャーナル軸受において、各該第1チェンバ一は対応する該チャンネルの第1端の周囲に設けられ、各該第2チェンバ一は各該第1チェンバ一の周囲に設けられることを特徴とする、自動補償静圧ジャーナル軸受。
【請求項9】
請求項1記載の自動補償静圧ジャーナル軸受において、各該第1チェンバ一は矩形或いは円形溝状形態を呈して各該チャンネルの第1端の周囲に設けられることを特徴とする、自動補償静圧ジャーナル軸受。
【請求項10】
請求項1記載の自動補償静圧ジャーナル軸受において、各該第2チェンバ一は矩形或いは円形溝状形態を呈して各該第1チェンバ一の周囲に設けられることを特徴とする、自動補償静圧ジャーナル軸受。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−117659(P2012−117659A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−101795(P2011−101795)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(390023582)財団法人工業技術研究院 (524)
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRIAL TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE
【住所又は居所原語表記】195 Chung Hsing Rd.,Sec.4,Chutung,Hsin−Chu,Taiwan R.O.C
【Fターム(参考)】