説明

自動販売機

【課題】冷媒回路(ヒートポンプ)を用いて効率の良い冷却加温を行える自動販売機を提供する。
【解決手段】庫内凝縮器46で第1の冷却加温室2内の商品を加温する時は、四方切換弁49の切換えにより、圧縮機5から吐出された冷媒を庫内凝縮器46を経由させてから庫外凝縮器40に流す。この時、第2の冷却加温室3と冷却専用室4の両方とも冷却しない場合は、電磁弁52を開放させて、庫外凝縮器40から流出した冷媒を、バイパス流路に流し、バイパス流路の膨張機構53にて減圧して庫外蒸発器41にて蒸発気化し、圧縮機5へと還流する。また、庫外凝縮器40と庫外蒸発器41は、エンドプレートを共用するが、フィンは分かれている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷媒回路(ヒートポンプ)を用いて、缶飲料等の商品を加温または冷却して販売する自動販売機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自動販売機に対する消費電力量削減の要求が高まってきており、消費電力量削減手段として、冷却によって生じる廃熱あるいは外気の熱を利用して商品が保管された貯蔵庫を加温するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
以下、図面を参照しながら特許文献1に開示された従来の自動販売機を説明する。
【0004】
図5に特許文献1に開示された従来の自動販売機における冷媒回路図を示し、図6に同自動販売機の運転モード切換時の制御フローチャートを示す。
【0005】
特許文献1に開示された従来の自動販売機は、商品を収納する商品収納庫1と商品収納庫1の下部に配置された機械室(図示せず)を有する。
【0006】
商品収納庫1は、庫内が、収納する商品を冷却もしくは加温する第1の冷却加温室2、収納する商品を冷却もしくは加温する第2の冷却加温室3、収納する商品を冷却する冷却専用室4に区画されている。また、それぞれの商品収納室内には商品収納棚(図示せず)が上部に吊り下げられており、商品が内部に収納されている。
【0007】
そして、圧縮機5、庫外熱交換器6、通過する冷媒を減圧する膨張弁7、第1の冷却加温室2内に配置された庫内熱交換器8a、第2の冷却加温室3内に配置された庫内熱交換器8b、冷却専用室4内に配置された庫内蒸発器10、開閉動作を行う電磁弁11〜19、矢印の方向にのみ冷媒を通過させる逆止弁20〜25により冷媒回路を構成している。
【0008】
庫外熱交換器6の近傍には庫外ファン26が設置され、各商品収納庫内の熱交換器近傍には庫内ファン27〜29が設置され、第1の冷却加温室2内と第2の冷却加温室3内にはそれぞれ加温ヒータ30,31が設置されている。
【0009】
上記のように設置された従来の自動販売機について、以下、図6をもとにその動作を説明する。なお、第1の冷却加温室2のみを加温とし、その他の室については冷却とした場合について説明する。
【0010】
従来の自動販売機は、第1の冷却加温室2を加温すると同時に第2の冷却加温室3、冷却専用室4を冷却する冷却加温運転モード(3室運転CCH、2室運転CH)と、第1の冷却加温室2の加温のみを行う加温運転モード(1室運転H)、第2の冷却加温室3、冷却専用室4の冷却のみを行う冷却運転モード(2室運転CC,1室運転C)とを、電磁弁11〜19の開閉にて切り換えて行う。
【0011】
ここで図6において、各商品収納庫のうち優先室を設け、加熱ON/OFF温度、優先室・非優先室の温度状態によって運転モードを切り換える制御を行っている。そうすることで冷却負荷・加温負荷に関係なく常に最適な運転モードでの運転を行うことができ、省エネルギーにつなげることができる。
【0012】
また、別の冷却加温システムを用いた自動販売機として、庫外凝縮器と庫外蒸発器を一
体化した熱交換器を備えたものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0013】
これによると、商品を収納する商品収納庫を冷却する冷却システムと、商品を収納する商品収納庫を冷却または加温する冷却加温システムの2ユニットから構成され、冷却専用室用圧縮機と冷却加温切替室用圧縮機の2個使用しており、機械室に備えた熱交換器は、冷却システムの凝縮器と冷却加温システムの庫外熱交換器を一体化したものである。
【0014】
冷却システムと冷却加温システムの配管は独立したものであるが、熱交換器のフィンにより、加温時の蒸発器と冷却時の凝縮器が熱交換を行い、加温時の蒸発温度を上げることで、加温時の凝縮温度を高めることができ、加温効率向上を図ったものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2006−011604号公報
【特許文献2】特開2006−119808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、特許文献1に開示された従来の構成では、庫内熱交換器、庫外熱交換器ともに、1つの熱交換器を凝縮器もしくは蒸発器と役割を入れ替えて使用する仕様となっているために、熱交換器出口を膨張弁と接続される配管と、圧縮機吸入配管と接続される配管とに分岐する必要があり、圧縮機吸入配管と接続する配管上に開閉を行う電磁弁を設けなくてはならない。
【0017】
そして、各熱交換器が蒸発器として作用する場合は、電磁弁を開放することになるが、電磁弁内部は通常は周囲配管よりも狭くなっており、冷媒が通過する際の圧力損失が生じ、圧縮機の効率低下の原因となる。また、電磁弁内部を広くすると、開閉を行う際のコイルの力を強化する必要があり、それに伴ってコイル通電時の消費電力量が増大してしまうといった課題がある。
【0018】
また、凝縮器と蒸発器とでは最適な仕様が異なり、凝縮器最適仕様にすると、蒸発器として使用する際に熱交換器としての能力が不足することによる冷媒の液戻りが心配され、蒸発器最適仕様にすると、凝縮器として使用する際に凝縮温度が目標とする温度まで到達できずに加温能力が低下してしまい、それぞれの運転に応じた最適仕様での運転ができないといった課題もある。
【0019】
また、特許文献2に開示された庫外凝縮器と庫外蒸発器を一体化した熱交換器を備えた冷却加温システムにおいては、庫外蒸発器で蒸発すると、庫外凝縮器の放熱能力が高くなり、庫外凝縮器の凝縮温度が下がり冷媒滞留量が増え、冷却の場合は蒸発温度の低下、冷却能力が低下する課題がある。
【0020】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、冷媒回路(ヒートポンプ)を用いて効率の良い冷却加温を行える自動販売機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成するために、本発明の自動販売機は、圧縮機と、前記圧縮機から吐出された冷媒を凝縮させる庫外凝縮器と、複数の商品収納室に設置され前記庫外凝縮器で凝縮した冷媒を蒸発させて商品収納室内の商品を冷却する庫内蒸発器と、複数の前記庫内蒸発器に冷媒流路を分岐する分岐点または前記分岐点と複数の前記庫内蒸発器との間の分岐流路に設けられた分岐流路開閉手段と、複数の前記商品収納室のうちで冷媒の凝縮熱を利用
して商品収納室内の商品を加温する商品収納室に設置された庫内凝縮器と、前記庫内凝縮器で商品収納室内の商品を加温する時に前記圧縮機から吐出された冷媒を前記庫内凝縮器を経由させてから前記庫外凝縮器に流し前記庫内凝縮器で商品収納室内の商品を加温しない時に前記圧縮機から吐出された冷媒を前記庫内凝縮器を経由させずに前記庫外凝縮器に流す庫内凝縮器用流路切替手段と、前記庫外凝縮器と前記分岐流路開閉手段との間の冷媒配管と前記圧縮機の吸い込み側配管とをバイパスするバイパス流路に設けられた庫外蒸発器と、前記庫外蒸発器の流入側で前記バイパス流路を開閉するバイパス流路開閉手段と、前記バイパス流路開閉手段と前記庫外蒸発器との間の前記バイパス流路に設けられ前記庫内凝縮器と前記庫外凝縮器で凝縮し前記バイパス流路に流入した冷媒を減圧するバイパス流路膨張手段とを有している。
【0022】
そして、前記庫外凝縮器と前記庫外蒸発器は、それぞれ、互いに間隔をあけて平行に並べられた複数のフィンと前記フィンの両側に配置されたエンドプレートとを配管が貫通する熱交換器であり、前記庫外凝縮器用の前記エンドプレートと前記庫外蒸発器用の前記エンドプレートとは繋がっているが、前記庫外凝縮器用の前記配管が貫通する前記フィンと前記庫外蒸発器用の前記配管が貫通する前記フィンとは繋がっていないものである。
【0023】
これによって、熱交換器を凝縮器と蒸発器に切り換える電磁弁が不要となり、その切換用の電磁弁による損失や電力消費増大を抑えることができる。また熱交換器を凝縮器と蒸発器で兼用せずに、それぞれ専用に設計した熱交換器で構成できるので、効率向上を図ることができる。
【0024】
また、庫内凝縮器を有する商品収納室で庫内凝縮器により加温するが、他の商品収納室の庫内蒸発器に冷媒を流せない場合でも、庫外蒸発器に冷媒を流すことで圧縮機の運転を継続でき、効率の良いヒートポンプ加温を行うことができる。
【0025】
また、庫外凝縮器用の配管が貫通するフィンと庫外蒸発器用の配管が貫通するフィンとは繋がっていないので、庫外蒸発器に冷媒が流れて庫外蒸発器で冷媒が蒸発しても、庫外凝縮器は影響を受けずに庫内凝縮温度が変化せず、加温能力・加温効率は維持できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の自動販売機は、熱交換器を凝縮器と蒸発器に切り換える電磁弁が不要となり、その切換用の電磁弁による損失や電力消費増大を抑えることができる。また熱交換器を凝縮器と蒸発器で兼用せずに、それぞれ専用に設計した熱交換器で構成できるので、効率向上を図ることができる。
【0027】
また、庫内凝縮器を有する商品収納室で庫内凝縮器により加温するが、他の商品収納室の庫内蒸発器に冷媒を流せない場合でも、庫外蒸発器に冷媒を流すことで圧縮機の運転を継続でき、効率の良いヒートポンプ加温を行うことができる。
【0028】
また、庫外凝縮器用の配管が貫通するフィンと庫外蒸発器用の配管が貫通するフィンとは繋がっていないので、庫外蒸発器に冷媒が流れて庫外蒸発器で冷媒が蒸発しても、庫外凝縮器は影響を受けずに庫内凝縮温度が変化せず、加温能力・加温効率は維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態1における自動販売機の冷媒回路図
【図2】本発明の実施の形態1における自動販売機の冷却運転時の冷媒回路図
【図3】本発明の実施の形態1における自動販売機の冷却加温運転時の冷媒回路図
【図4】本発明の実施の形態1における自動販売機の加温運転時の冷媒回路図
【図5】従来の自動販売機の冷媒回路図
【図6】従来の自動販売機の運転切換制御のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0030】
第1の発明は、圧縮機と、前記圧縮機から吐出された冷媒を凝縮させる庫外凝縮器と、複数の商品収納室に設置され前記庫外凝縮器で凝縮した冷媒を蒸発させて商品収納室内の商品を冷却する庫内蒸発器と、複数の前記庫内蒸発器に冷媒流路を分岐する分岐点または前記分岐点と複数の前記庫内蒸発器との間の分岐流路に設けられた分岐流路開閉手段と、複数の前記商品収納室のうちで冷媒の凝縮熱を利用して商品収納室内の商品を加温する商品収納室に設置された庫内凝縮器と、前記庫内凝縮器で商品収納室内の商品を加温する時に前記圧縮機から吐出された冷媒を前記庫内凝縮器を経由させてから前記庫外凝縮器に流し前記庫内凝縮器で商品収納室内の商品を加温しない時に前記圧縮機から吐出された冷媒を前記庫内凝縮器を経由させずに前記庫外凝縮器に流す庫内凝縮器用流路切替手段と、前記庫外凝縮器と前記分岐流路開閉手段との間の冷媒配管と前記圧縮機の吸い込み側配管とをバイパスするバイパス流路に設けられた庫外蒸発器と、前記庫外蒸発器の流入側で前記バイパス流路を開閉するバイパス流路開閉手段と、前記バイパス流路開閉手段と前記庫外蒸発器との間の前記バイパス流路に設けられ前記庫内凝縮器と前記庫外凝縮器で凝縮し前記バイパス流路に流入した冷媒を減圧するバイパス流路膨張手段とを有し、前記庫外凝縮器と前記庫外蒸発器は、それぞれ、互いに間隔をあけて平行に並べられた複数のフィンと前記フィンの両側に配置されたエンドプレートとを配管が貫通する熱交換器であり、前記庫外凝縮器用の前記エンドプレートと前記庫外蒸発器用の前記エンドプレートとは繋がっているが、前記庫外凝縮器用の前記配管が貫通する前記フィンと前記庫外蒸発器用の前記配管が貫通する前記フィンとは繋がっていないことを特徴とする自動販売機である。
【0031】
これによって、熱交換器を凝縮器と蒸発器に切り換える電磁弁が不要となり、その切換用の電磁弁による損失や電力消費増大を抑えることができる。また熱交換器を凝縮器と蒸発器で兼用せずに、それぞれ専用に設計した熱交換器で構成できるので、効率向上を図ることができる。
【0032】
また、庫内凝縮器を有する商品収納室で庫内凝縮器により加温するが、他の商品収納室の庫内蒸発器に冷媒を流せない場合でも、庫外蒸発器に冷媒を流すことで圧縮機の運転を継続でき、効率の良いヒートポンプ加温を行うことができる。
【0033】
また、庫外凝縮器用の配管が貫通するフィンと庫外蒸発器用の配管が貫通するフィンとは繋がっていないので、庫外蒸発器に冷媒が流れて庫外蒸発器で冷媒が蒸発しても、庫外凝縮器は影響を受けずに庫内凝縮温度が変化せず、加温能力・加温効率は維持できる。
【0034】
第2の発明は、特に第1の発明において、前記庫外凝縮器用の前記配管が風上側で前記庫外蒸発器用の前記配管が風下側になるように配置されるものであり、庫外凝縮器用の配管が風上側で庫外蒸発器用の配管が風下側になるように配置されるので、庫外蒸発器は、庫外凝縮器の排熱の影響で蒸発温度の上昇による効率改善、フィンの結露防止効果も得ることができる。
【0035】
第3の発明は、特に第1または第2の発明において、前記バイパス流路開閉手段は、前記圧縮機から吐出された冷媒が前記庫内凝縮器を経由して前記庫外凝縮器に流れる場合にのみ開放されるものであり、蒸発温度が上がることによって庫内凝縮器の凝縮温度を上昇させ加温能力を高めることができる。
【0036】
第4の発明は、特に第1から第3のいずれかの発明において、前記庫外凝縮器用の前記配管と前記庫外蒸発器用の前記配管は、それぞれ、前記配管内を冷媒が上から下に向かって流れるように構成されるものであり、庫外蒸発器は庫外凝縮器の排熱をより受けやすく
蒸発温度の上昇による効率改善、フィンの結露防止効果も得ることができる。
【0037】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0038】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における自動販売機の冷媒回路図、図2は同実施の形態の自動販売機の冷却運転時の冷媒回路図、図3は同実施の形態の自動販売機の冷却加温運転時の冷媒回路図、図4は同実施の形態の自動販売機の加温運転時の冷媒回路図である。
【0039】
図1に示すように、本実施の形態1の自動販売機は、商品を収納する商品収納庫1と商品収納庫1の下部に配置された機械室(図示せず)を有する。
【0040】
商品収納庫1は、庫内が、収納する商品を冷却もしくは加温する第1の冷却加温室2、収納する商品を冷却もしくは加温する第2の冷却加温室3、収納する商品を冷却する冷却専用室4に区画されている。また、それぞれの商品収納室内には商品収納棚(図示せず)が上部に吊り下げられており、商品が内部に収納されている。
【0041】
機械室には、圧縮機5と、圧縮機5から吐出された冷媒を凝縮させる庫外凝縮器40と、庫外蒸発器41と、庫外凝縮器40が風上側で庫外蒸発器41が風下側になるように庫外凝縮器40と庫外蒸発器41の近傍に位置して庫外凝縮器40または庫外蒸発器41の熱交換が促進されるように送風する庫外ファン26が配置される。
【0042】
第1の冷却加温室2内には、庫外凝縮器40で凝縮した冷媒を蒸発させて第1の冷却加温室2内の商品を冷却する庫内蒸発器47と、圧縮機5から吐出された冷媒を凝縮させて第1の冷却加温室2内の商品を加温する庫内凝縮器46と、庫内蒸発器47と庫内凝縮器46の近傍に配置され、庫内蒸発器47または庫内凝縮器46と熱交換した空気を第1の冷却加温室2内で循環させる庫内ファン27と、庫内凝縮器46とは別に必要に応じて第1の冷却加温室2内の商品を加温する場合に通電されて発熱する加温ヒータ30と、第1の冷却加温室2の室内温度を検出する温度センサー(図示せず)が配置される。
【0043】
第2の冷却加温室3内には、庫外凝縮器40で凝縮(庫内凝縮器46に冷媒が流れている場合は、庫内凝縮器46と庫外凝縮器40で凝縮)した冷媒を蒸発させて第2の冷却加温室3内の商品を冷却する庫内蒸発器9と、庫内蒸発器9の近傍に配置され、庫内蒸発器9と熱交換した空気を第2の冷却加温室3内で循環させる庫内ファン28と、第2の冷却加温室3内の商品を加温する場合に通電されて発熱する加温ヒータ31と、第2の冷却加温室3の室内温度を検出する温度センサー(図示せず)が配置される。
【0044】
冷却専用室4内には、庫外凝縮器40で凝縮(庫内凝縮器46に冷媒が流れている場合は、庫内凝縮器46と庫外凝縮器40で凝縮)した冷媒を蒸発させて冷却専用室4内の商品を冷却する庫内蒸発器10と、庫内蒸発器10の近傍に配置され、庫内蒸発器10と熱交換した空気を冷却専用室4内で循環させる庫内ファン29と、冷却専用室4の室内温度を検出する温度センサー(図示せず)が配置される。
【0045】
庫内蒸発器47側と庫内蒸発器9,10側に冷媒流路を分岐する分岐点と、庫内蒸発器47との間の分岐流路には、第1の冷却加温室2の冷却が必要のため庫内蒸発器47に冷媒を流す時は開放状態になっており、第1の冷却加温室2の冷却が不要のため庫内蒸発器47に冷媒を流さない時は閉塞状態になっている分岐流路開閉手段としての電磁弁51が設けられる。
【0046】
また、庫内蒸発器9側と庫内蒸発器10側に冷媒流路を分岐する分岐点には、庫内蒸発器9方向への冷媒の流路と庫内蒸発器10方向への冷媒の流路を切換えたり、両方の流路を同時に閉じたりすることが可能な分岐流路開閉手段としての三方弁42が設けられる。
【0047】
電磁弁51と庫内蒸発器47との間の冷媒の流路には庫内蒸発器47に流れる冷媒を減圧する膨張機構43が設けられ、三方弁42と庫内蒸発器9との間の冷媒の流路には庫内蒸発器9に流れる冷媒を減圧する膨張機構44が設けられ、三方弁42と庫内蒸発器10との間の冷媒の流路には、三方弁42から庫内蒸発器10方向に流れる冷媒を減圧する膨張機構45が設けられる。
【0048】
庫内蒸発器9の冷媒の出口側は、膨張機構45と庫内蒸発器10とを接続する冷媒の配管に接続されており、庫内蒸発器9から流出した冷媒が庫内蒸発器10に流入するように構成されている。
【0049】
圧縮機5の吐出側の冷媒配管には、庫内凝縮器46で第1の冷却加温室2内の商品を加温する時に圧縮機5から吐出された冷媒を庫内凝縮器46を経由させてから庫外凝縮器40に流し、第1の冷却加温室2内の商品を加温しない時に圧縮機5から吐出された冷媒を庫内凝縮器46を経由させずに庫外凝縮器40に流す庫内凝縮器用流路切替手段としての四方切換弁49が設けられる。
【0050】
第1の冷却加温室2の庫内凝縮器46の冷媒の出口側と四方切換弁49との間の冷媒配管には、庫内凝縮器46で凝縮した冷媒を減圧する膨張機構48が設けられる。
【0051】
庫外蒸発器41は、庫外凝縮器40の冷媒の出口と、庫内蒸発器47側と庫内蒸発器9,10側に冷媒流路を分岐する分岐点との間の冷媒配管(庫外凝縮器40の冷媒の出口側の冷媒配管)と圧縮機5の吸い込み側配管とをバイパスするバイパス流路に設けられる。
【0052】
庫外蒸発器41の冷媒の入り口側(バイパス流路の冷媒の入り口側)にはバイパス流路を開閉するバイパス流路開閉手段としての電磁弁52が設けられる。
【0053】
また、電磁弁52と庫外蒸発器41との間のバイパス流路には、庫内凝縮器46と庫外凝縮器40で凝縮してバイパス流路に流入した冷媒を減圧するバイパス流路膨張手段としての膨張機構53が設けられる。
【0054】
バイパス流路開閉手段としての電磁弁52は、圧縮機5から吐出された冷媒が庫内凝縮器46を経由して庫外凝縮器40に流れる場合にのみ開放される。
【0055】
庫内蒸発器47の冷媒の出口側の分岐流路と庫内蒸発器10の冷媒の出口側の分岐流路とが合流する合流点と圧縮機5の吸い込み側との間の冷媒配管と、庫内凝縮器46で凝縮した冷媒を減圧する膨張機構48と四方切換弁49との間の冷媒配管とは、電磁弁50を介して接続されている。
【0056】
庫外凝縮器40と庫外蒸発器41は、それぞれ、互いに間隔をあけて平行に並べられた複数のフィンと、そのフィンの両側に配置されたエンドプレートとを配管が貫通する熱交換器であり、庫外凝縮器40用のエンドプレートと庫外蒸発器41用のエンドプレートとは繋がっているが、庫外凝縮器40用の配管が貫通するフィンと庫外蒸発器41用の配管が貫通するフィンとは繋がっていない。
【0057】
つまり、庫外凝縮器40と庫外蒸発器41は、フィンが別々でエンドプレートを共用するように一体化した2パスの熱交換器であり、庫外ファン26が運転された場合に、庫外
凝縮器40用の配管が風上側で、庫外蒸発器41用の配管が風下側になるように配置される。
【0058】
また、庫外凝縮器40用の配管と庫外蒸発器41用の配管は、それぞれ、配管内を冷媒が概ね上から下に向かって流れるように構成される。
【0059】
ここで、一般的な自動販売機においては、第2の冷却加温室3が最も狭い部屋となる場合が多く、第2の冷却加温室3内に設置している庫内蒸発器9についても、第1の冷却加温室2内に設置している庫内蒸発器47、冷却専用室4内に設置している庫内蒸発器9よりも小型となっている。
【0060】
そのために、庫内蒸発器9単独のみでの蒸発能力を確保するためには膨張機構44を大きくして蒸発温度を大きく下げる必要があり、そうすれば圧縮機5の効率が低下し消費電力量が増大してしまう。
【0061】
そのため、本実施の形態においては、庫内蒸発器9の冷媒の出口と庫内蒸発器10の冷媒の入り口とを接続し、庫内蒸発器9と庫内蒸発器10を一つの大きな蒸発器として取り扱えるようにすることにより、蒸発温度を高くして、効率を高めて消費電力量を低減できるようにしている。
【0062】
以上のように構成された本発明の実施の形態1における自動販売機について、以下その動作を説明する。
【0063】
まず、第1の冷却加温室2、第2の冷却加温室3、冷却専用室4の全室を冷却する冷却運転の場合は、図2の太線の冷媒流路を矢印の向きに冷媒が流れる運転となる。
【0064】
全室冷却運転の場合は、四方切換弁49を、圧縮機5の吐出配管と庫外凝縮器40とが連通し、且つ庫内凝縮器46の冷媒の入口と庫内凝縮器46の冷媒の出口が連通して閉ループとなる状態にするとともに、三方弁42は庫内蒸発器9用の膨張機構44への流路を開放し庫内蒸発器10用の膨張機構45への流路を閉塞する状態にし、電磁弁51を開放し、電磁弁52を閉塞し、圧縮機5を起動する。
【0065】
圧縮機5から吐出された高温高圧のガス状の冷媒は、四方切換弁49を通過して庫外凝縮器40で冷却されて凝縮した後に、三方弁42側と電磁弁51側に分かれる。なお、庫外凝縮器40に冷媒が流れている時には、庫外ファン26が庫外凝縮器40に送風している。
【0066】
そして、三方弁42から膨張機構44側に流れた液状の冷媒は、膨張機構44にて減圧された後に庫内蒸発器9で蒸発気化して第2の冷却加温室3を冷却する。なお、庫内蒸発器9に冷媒が流れている時には、庫内ファン28が庫内蒸発器9に送風している。
【0067】
また、庫内蒸発器9で蒸発できなかった余剰な液冷媒は、庫内蒸発器9と直列に接続された庫内蒸発器10で蒸発して冷却専用室4も冷却する(直列冷却運転)。なお、庫内蒸発器10に冷媒が流れている時には、庫内ファン29が庫内蒸発器10に送風している。
【0068】
その後、第2の冷却加温室3の温度が目標温度(冷却温度範囲の下限値)に達した時点で、三方弁42から膨張機構45へと冷媒が流れるに三方弁42を切り換えることで、庫内蒸発器9と庫内蒸発器10のうち庫内蒸発器10のみの単独冷却を行う(下流側単独冷却運転)。
【0069】
このように優先的に直列冷却運転を行うことで、余剰液冷媒によって冷却専用室4も冷却されることから下流側単独冷却運転の運転率を低下することができ、消費電力量を低減することができる。
【0070】
一方、電磁弁51から膨張機構43側に流れた液状の冷媒は、膨張機構43にて減圧された後に庫内蒸発器47で蒸発気化して第1の冷却加温室2を冷却する。なお、庫内蒸発器47に冷媒が流れている時には、庫内ファン27が庫内蒸発器47に送風している。
【0071】
そして、庫内蒸発器10から流出したガス状の冷媒と庫内蒸発器47から流出したガス状の冷媒が合流して圧縮機5に戻る。
【0072】
そして、冷却加温システムの制御手段(図示せず)が、第1の冷却加温室2、第2の冷却加温室3、冷却専用室4の各室内の温度が予め設定された冷却温度範囲内を維持するように、三方弁42の切換え、電磁弁51の開閉、圧縮機5と庫外ファン26と庫内ファン27,28,29の運転を制御している。
【0073】
例えば、第1の冷却加温室2が冷却温度範囲の下限値となる所定温度まで冷却されると、電磁弁51を閉塞すると共に庫内ファン27を停止する。そして、電磁弁51が閉塞している状態で、第1の冷却加温室2内の温度が冷却温度範囲の上限値となる所定温度まで上昇すると、電磁弁51を開放すると共に庫内ファン27を運転する。
【0074】
もし、第1の冷却加温室2が冷却温度範囲の下限値となる所定温度まで冷却された時に、三方弁42の両方の冷媒の出口が閉塞状態であれば、電磁弁51を閉塞すると共に圧縮機5と庫内ファン27を停止し、圧縮機5の停止中に第1の冷却加温室2内の温度が冷却温度範囲の上限値となる所定温度まで上昇すれば、電磁弁51を開放すると共に圧縮機5を起動し庫内ファン27を運転する。
【0075】
また、第2の冷却加温室3が冷却温度範囲の下限値となる所定温度まで冷却されると、膨張機構44への流路を閉塞し膨張機構45への流路を開放する状態に三方弁42を切換えて、庫内ファン28を停止する。また、圧縮機5の停止中に第2の冷却加温室3内の温度が冷却温度範囲の上限値となる所定温度まで上昇すれば、膨張機構44への流路を開放し膨張機構45への流路を閉鎖する状態に三方弁42を切換えて、圧縮機5を起動し、庫内ファン28を運転する。
【0076】
また、三方弁42が膨張機構44への流路を閉塞し膨張機構45への流路を開放して、庫内蒸発器9と庫内蒸発器10のうち庫内蒸発器10のみの単独冷却(下流側単独冷却運転)をしている状態で、第2の冷却加温室3内の温度が冷却温度範囲の上限値となる所定温度まで上昇すれば、膨張機構44への流路を開放し膨張機構45への流路を閉塞する状態に三方弁42を切り換えて、庫内ファン28を運転する。
【0077】
また、庫内蒸発器9と庫内蒸発器10の直列冷却運転から庫内蒸発器10のみの下流側単独冷却運転への移行後に、冷却専用室4が冷却温度範囲の下限値となる所定温度まで冷却された時に、電磁弁51が開放状態であれば、三方弁42の膨張機構45側の冷媒の出口を閉塞して庫内ファン29を停止し、電磁弁51が閉塞状態であれば、三方弁42の膨張機構45側の冷媒の出口の閉塞と庫内ファン29の停止に加え、圧縮機5も停止する。
【0078】
また、圧縮機5の停止中に冷却専用室4内の温度が冷却温度範囲の上限値となる所定温度まで上昇すれば、膨張機構44への流路を開放し膨張機構45への流路を閉塞する状態に三方弁42を切り換えて、圧縮機5を起動し、庫内ファン29を運転する。
【0079】
また、三方弁42の両方の冷媒の出口が閉塞状態、電磁弁51が開放状態で、圧縮機5が運転中に、冷却専用室4内の温度が冷却温度範囲の上限値となる所定温度まで上昇すれば、膨張機構44への流路を開放する状態に三方弁42を切り換えて、庫内ファン29を運転する。
【0080】
なお、圧縮機5の起動時には、予め、三方弁42は膨張機構44への流路を開放し膨張機構45への流路を閉塞する状態にし、電磁弁51を開放し、電磁弁52を閉塞する。
【0081】
そして、圧縮機5を停止した時は、冷媒回路の高低圧をバランスさせるために、電磁弁51と、三方弁42の膨張機構44側の冷媒の出口または膨張機構45側の冷媒の出口を開放する際には、電磁弁50を開放して、庫内凝縮器46の冷媒の出口と圧縮機5の吸い込み側(吸入側)配管とを連通させる。
【0082】
そして、冷媒回路の高低圧がバランスした後に、電磁弁51と、三方弁42の冷媒の出口を閉塞する際に電磁弁50も閉塞する。
【0083】
このことによって、圧縮機5の停止中に冷却運転で使用しない庫内凝縮器46へと余剰な冷媒を貯留する事ができるので、冷却運転中における冷媒量過多を防止することが可能となる。また、圧縮機5が停止するたびに毎回、電磁弁50を開放することで、四方切換弁49で冷媒が漏れることによって庫内凝縮器46へと冷媒が貯留され続けて冷媒不足状態に陥ることを防ぐことができる。
【0084】
なお、第1の冷却加温室2を加温運転から冷却運転に切換えた時や高外気温度でのイニシャルプルダウン時など、庫内の温度が高く、大きな冷凍能力を必要とする場合においては、圧縮機5の運転・停止にかかわらず常に電磁弁50を開放して、庫内凝縮器46の冷媒の出口と圧縮機5の吸い込み側(吸入側)配管とを連通すれば、全冷媒を冷却運転に利用できるので、大きな冷凍能力を得る事ができ、プルダウン時間を短縮することが可能となる。
【0085】
次に、第1の冷却加温室2を加温し、第2の冷却加温室3、冷却専用室4を冷却する冷却加温運転の場合は、図3の太線の冷媒流路を矢印の向きに冷媒が流れる運転となる。
【0086】
第1の冷却加温室2を加温し、第2の冷却加温室3、冷却専用室4を冷却する冷却加温運転の場合は、四方切換弁49を、圧縮機5の吐出配管と庫内凝縮器46の冷媒の入口とが連通し、且つ庫内凝縮器46の冷媒の出口と庫外凝縮器40とが連通する状態にするとともに、三方弁42は膨張機構44への流路を開放し膨張機構45への流路を閉塞する状態にし、電磁弁51と電磁弁52を閉塞し、圧縮機5を起動する。
【0087】
圧縮機5から吐出された高温高圧のガス状の冷媒は、四方切換弁49を通過した後に庫内凝縮器46へと向かい、庫内凝縮器46にて一部凝縮し、その際に庫内凝縮器46の周囲の空気へと放熱することで第1の冷却加温室2内を加温する。なお、庫内凝縮器46に冷媒が流れている時には、庫内ファン27が庫内凝縮器46に送風している。
【0088】
そして、庫内凝縮器46を出た冷媒は膨張機構48にて減圧された後に四方切換弁49を通過して庫外凝縮器40にてさらに凝縮する。なお、庫外凝縮器40に冷媒が流れている時には、庫外ファン26が庫外凝縮器40に送風している。
【0089】
庫外凝縮器40から流出した冷媒は、電磁弁51が閉塞されているため、全て、三方弁42側に流れる。
【0090】
そして、三方弁42から膨張機構44側に流れた液状の冷媒は、膨張機構44にて減圧された後に庫内蒸発器9で蒸発気化して第2の冷却加温室3を冷却する。なお、庫内蒸発器9に冷媒が流れている時には、庫内ファン28が庫内蒸発器9に送風している。
【0091】
庫内蒸発器9で蒸発できなかった余剰な液冷媒は、庫内蒸発器9と直列に接続された庫内蒸発器10で蒸発して冷却専用室4も冷却する(直列冷却運転)。なお、庫内蒸発器10に冷媒が流れている時には、庫内ファン29が庫内蒸発器10に送風している。
【0092】
その後、第2の冷却加温室3の温度が目標温度(冷却温度範囲の下限値)に達した時点で膨張機構45へと冷媒が流入するように三方弁42を切り換えることで、庫内蒸発器9と庫内蒸発器10のうち庫内蒸発器10のみの単独冷却を行う(下流側単独冷却運転)。
【0093】
このように優先的に直列冷却運転を行うことで、余剰液冷媒によって冷却専用室4も冷却されることから下流側単独冷却運転の運転率を低下することができ、消費電力量を低減することができる。
【0094】
そして、庫内蒸発器10から流出したガス状の冷媒は圧縮機5に戻る。
【0095】
そして、冷却加温システムの制御手段(図示せず)が、第1の冷却加温室2の室内温度が予め設定された加温温度範囲内を維持し、第2の冷却加温室3、冷却専用室4の各室内の温度が予め設定された冷却温度範囲内を維持するように、四方切換弁49と三方弁42の切換え、及び圧縮機5と庫外ファン26と庫内ファン27,28,29の運転を制御している。
【0096】
例えば、第1の冷却加温室2が加温温度範囲の上限値となる所定温度まで加温された時に、三方弁42のどちらかの冷媒の出口が開放状態(庫内蒸発器9と庫内蒸発器10で第2の冷却加温室3と冷却専用室4の両方の商品収納室を冷却する直列冷却運転中、または庫内蒸発器9と庫内蒸発器10のうち庫内蒸発器10のみの単独冷却で冷却専用室4を冷却する下流側単独冷却運転中)であれば、四方切換弁49を、圧縮機5の吐出配管と庫外凝縮器40とが連通し、且つ庫内凝縮器46の冷媒の入口と庫内凝縮器46の冷媒の出口が連通して閉ループとなる状態にすると共に、庫内ファン27を停止する。
【0097】
庫内凝縮器46に圧縮機5からの冷媒が流れないように四方切換弁49を切り換えた後に、第1の冷却加温室2の温度が加温温度範囲の下限値となる所定温度まで低下すれば、再び四方切換弁49を、圧縮機5の吐出配管と庫内凝縮器46の冷媒の入口とが連通し、且つ庫内凝縮器46の冷媒の出口と庫外凝縮器40とが連通する状態に戻すと共に、庫内ファン27を運転する。
【0098】
また、第2の冷却加温室3が冷却温度範囲の下限値となる所定温度まで冷却されると、膨張機構44への流路を閉塞し膨張機構45への流路を開放する状態に三方弁42を切換えると共に、庫内ファン28を停止する。また、圧縮機5の停止中に第2の冷却加温室3内の温度が冷却温度範囲の上限値となる所定温度まで上昇すれば、膨張機構44への流路を開放し膨張機構45への流路を閉鎖する状態に三方弁42を切換えて、圧縮機5を起動し、庫内ファン28を運転する。
【0099】
また、三方弁42が膨張機構44への流路を閉塞し膨張機構45への流路を開放して、庫内蒸発器9と庫内蒸発器10のうち庫内蒸発器10のみの単独冷却(下流側単独冷却運転)をしている状態で、第2の冷却加温室3内の温度が冷却温度範囲の上限値となる所定温度まで上昇すれば、膨張機構44への流路を開放し膨張機構45への流路を閉塞する状態に三方弁42を切り換えると共に、庫内ファン28を運転する。
【0100】
また、庫内蒸発器9と庫内蒸発器10の直列冷却運転から庫内蒸発器10のみの下流側単独冷却運転への移行後に、冷却専用室4が冷却温度範囲の下限値となる所定温度まで冷却された時に、四方切換弁49が、圧縮機5の吐出配管と庫外凝縮器40とが連通し、且つ庫内凝縮器46の冷媒の入口と庫内凝縮器46の冷媒の出口が連通して閉ループとなる状態(第1の冷却加温室2の加温が不要で、庫内凝縮器46に圧縮機5から吐出された冷媒が流れていない状態)であれば、三方弁42の膨張機構45側の冷媒の出口の閉塞と庫内ファン29の停止に加え、圧縮機5を停止する。
【0101】
また、庫内蒸発器9と庫内蒸発器10の直列冷却運転から庫内蒸発器10のみの下流側単独冷却運転への移行後に、冷却専用室4が冷却温度範囲の下限値となる所定温度まで冷却された時に、四方切換弁49が、圧縮機5の吐出配管と庫内凝縮器46の冷媒の入口とが連通し、且つ庫内凝縮器46の冷媒の出口と庫外凝縮器40とが連通する状態(第1の冷却加温室2の加温が必要で、庫内凝縮器46に圧縮機5から吐出された冷媒が流れている状態)であれば、三方弁42の膨張機構45側の冷媒の出口の閉塞と庫内ファン29の停止に加え、バイパス流路の電磁弁52を開放して、図4に示す状態にすることにより、庫内凝縮器46による第1の冷却加温室2の加温を継続する。
【0102】
なお、第1の冷却加温室2を加温し、第2の冷却加温室3、冷却専用室4を冷却する冷却加温運転する時に、電磁弁52を開放すると、電磁弁52を閉塞した場合よりも庫内凝縮器46の加温能力を高めることができる。
【0103】
電磁弁52を開放すると、バイパス流路に冷媒が流れるため冷媒の流路抵抗が減り、庫内蒸発器9,10の蒸発温度が上昇し、庫内凝縮器46の凝縮温度が上昇する。よって、第1の冷却加温室2の庫内凝縮器46による加温能力が高まり、加温ヒータ30より効率のよいヒートポンプ加温(冷却加温システムによる加温)にて加温させることができる。
【0104】
加温ヒータ30は、ヒートポンプ運転が出来ないような極低温時やイニシャルプルアップのような加温負荷が大きい場合に加温するための補助的なものであり、通常加温においては、効率の良いヒートポンプ加温を行うように設計、制御されている。
【0105】
次に、第1の冷却加温室2を加温するのみの加温運転の場合は、図4の太線の冷媒流路を矢印の向きに冷媒が流れる運転となる。
【0106】
第1の冷却加温室2を加温するのみの加温運転の場合は、四方切換弁49を、圧縮機5の吐出配管と庫内凝縮器46の冷媒の入口とが連通し、且つ庫内凝縮器46の冷媒の出口と庫外凝縮器40とが連通する状態にするとともに、三方弁42の両方の流路を閉塞し、電磁弁51を閉塞し、電磁弁52を開放し、圧縮機5を起動し、庫外ファン26と庫内ファン27を運転する。
【0107】
圧縮機5から吐出された高温高圧のガス状の冷媒は、四方切換弁49を通過した後に庫内凝縮器46へと向かい、庫内凝縮器46にて一部凝縮し、その際に庫内凝縮器46の周囲の空気へと放熱することで第1の冷却加温室2内を加温する。庫内凝縮器46を出た冷媒は膨張機構48にて減圧された後に四方切換弁49を通過して庫外凝縮器40にてさらに凝縮する。
【0108】
庫外凝縮器40から流出した冷媒は、電磁弁51と三方弁42の両方の流路が閉塞されているため、庫内蒸発器47,9,10には流れず、全て、バイパス流路側に流れる。
【0109】
そして、バイパス流路の電磁弁52を通過し、膨張機構53にて減圧された後に庫外蒸
発器41にて蒸発気化し、圧縮機5へと還流する。
【0110】
そして、第1の冷却加温室2が加温温度範囲の上限値となる所定温度まで加温されると、冷却加温システムの制御手段(図示せず)が、圧縮機5と庫外ファン26と庫内ファン27を停止し、圧縮機5と庫外ファン26と庫内ファン27が停止中に第1の冷却加温室2の温度が加温温度範囲の下限値となる所定温度まで低下すると、冷却加温システムの制御手段(図示せず)が、圧縮機5と庫外ファン26と庫内ファン27を運転する。
【0111】
上記のように、第1の冷却加温室2を加温する場合に、電磁弁52を開閉することで第2の冷却加温室3、冷却専用室4の負荷状態に関係なく、圧縮機5の運転を継続することで第1の冷却加温室2を加温することが可能となり、冷却室の負荷が低下する低外気温時においてもヒートポンプ加温運転をすることによる消費電力量削減を図ることができる。
【0112】
さらに、庫内凝縮器46と庫外凝縮器40との間の配管上に膨張機構48を設けることで庫内凝縮温度と庫外凝縮温度に差をつけることができ、低外気時において庫外凝縮器40の凝縮温度や凝縮圧力が下がった場合でも、庫内凝縮器46は高い凝縮温度を維持することができ、第1の冷却加温室2を効率よく加温する事ができるので、冬場に低外気温となる地域でも効率の高い加温運転を実施できる。
【0113】
また、庫内凝縮器46と庫外凝縮器40との間の配管上に膨張機構48を設けると、冷媒密度が低下するので冷媒量を削減することができる。冷媒量を削減することによって凝縮器を2個使用する冷却加温運転と凝縮器を1個使用する冷却運転とで生じる最適冷媒量差を減少することができるとともに、可燃性冷媒を用いた際の漏洩時におけるリスク軽減にもつなげることができる。
【0114】
なお、膨張機構48については、キャピラリーチューブを用いてもよく、キャピラリーチューブを用いることで膨張機構48と庫内凝縮器46、四方切換弁49とを接続する配管と兼用することができるので、さらに冷媒量を削減することが可能となる。
【0115】
また、膨張機構43,44,45,53についても、キャピラリーチューブを用いることができる。
【0116】
また、庫内(ヒートポンプ加温運転をする第1の冷却加温室2)、庫外(機械室)ともに凝縮器と蒸発器とを個別に配置することで、各々1つの熱交換器を凝縮器、蒸発器として使い分けるのと比較して、蒸発器出口と圧縮機吸入配管とを接続した配管上に設けた電磁弁を廃止することができ、圧力損失による効率低下を防止することができる。また、凝縮器と蒸発器それぞれで最適仕様とすることができるのでより効率の高い運転をすることが可能となる。
【0117】
庫外凝縮器40と庫外蒸発器41は、フィンを分割しエンドプレートは一体化した2パスの熱交換器として、庫外ファン26が運転した際の風上側にあたる位置に庫外凝縮器40の配管を設け、風下側に庫外蒸発器41の配管を設けている。よって、加温運転の場合に庫外蒸発器41に冷媒を流しても庫外凝縮器40は風上にあり、フィンがつながっていないため庫外蒸発器41の影響で温度が下がり、凝縮能力が高くなることはない。
【0118】
これにより、庫内凝縮器46の凝縮温度も低下することなく、ヒートポンプ加温時の加温能力低下を防止できる。さらに、庫外の熱交換器のエンドプレートの外側は庫外ファン26による影響が受けにくいが、庫外凝縮器40と庫外蒸発器41のエンドプレートは一体化しているので、配管からの温度の熱伝導があり、庫外蒸発器41のエンドプレートの結露を防止することができる。
【0119】
また、庫外凝縮器40と庫外蒸発器41は、概ね上から下に冷媒が流れるように配管されているので、庫外蒸発器41の冷媒の入口側の温度が下がり着霜することがあるが、庫外ファン26の風下側の庫外蒸発器41は熱交換しやすく着霜も最小限とし、フィンの上部に入口部があるため、フィンの下部では熱交換効果が発揮され水たれも抑えることができる。さらに、フィンは着霜で濡れると綿埃や粉塵等の異物が着きやすくなるが、風上側に庫外凝縮器40を設けて、庫外蒸発器41はその後方に備えているので影響を受けにくくする効果もある。
【0120】
なお、圧縮機5については、第1の冷却加温室2、第2の冷却加温室3、冷却専用室4の冷却負荷または第1の冷却加温室2の加温負荷が大きく、所定温度範囲に冷却または加温するのに時間がかかる場合に能力を上げる能力可変型の圧縮機を用いても構わない。
【0121】
同様に、庫外ファン26と庫内ファン27,28,29についても、必要に応じて送風量を増減できるファンを用いても構わない。
【0122】
また、庫外ファン26と庫内ファン27,28,29の運転と停止のタイミングは、必要に応じて、圧縮機5の動作や、対応する熱交換器の冷媒の流れの状態の変化のタイミングからずらしても構わず、可燃性冷媒を用いている場合は、圧縮機5の停止時に庫外ファン26を所定能力で運転しても構わない。
【0123】
以上説明したように、本実施の形態の自動販売機は、圧縮機5と、圧縮機5から吐出された冷媒を凝縮させる庫外凝縮器40と、複数の商品収納室(第1の冷却加温室2、第2の冷却加温室3、冷却専用室4)に設置され庫外凝縮器40で凝縮した冷媒を蒸発させて商品収納室(第1の冷却加温室2、第2の冷却加温室3、冷却専用室4)内の商品を冷却する庫内蒸発器47,9,10と、複数の庫内蒸発器47,9,10に冷媒流路を分岐する分岐点または分岐点と複数の庫内蒸発器47,9,10との間の分岐流路に設けられた分岐流路開閉手段(三方弁42、電磁弁51)と、複数の商品収納室(第1の冷却加温室2、第2の冷却加温室3、冷却専用室4)のうちで冷媒の凝縮熱を利用して商品収納室内の商品を加温する商品収納室(第1の冷却加温室2)に設置された庫内凝縮器46と、庫内凝縮器46で商品収納室(第1の冷却加温室2)内の商品を加温する時に圧縮機5から吐出された冷媒を庫内凝縮器46を経由させてから庫外凝縮器40に流し庫内凝縮器46で商品収納室(第1の冷却加温室2)内の商品を加温しない時に圧縮機5から吐出された冷媒を庫内凝縮器46を経由させずに庫外凝縮器40に流す庫内凝縮器用流路切替手段(四方切換弁49)と、庫外凝縮器40と分岐流路開閉手段(三方弁42、電磁弁51)との間の冷媒配管と圧縮機5の吸い込み側配管とをバイパスするバイパス流路に設けられた庫外蒸発器41と、庫外蒸発器41の流入側でバイパス流路を開閉するバイパス流路開閉手段(電磁弁52)と、バイパス流路開閉手段(電磁弁52)と庫外蒸発器41との間のバイパス流路に設けられ庫内凝縮器46と庫外凝縮器40で凝縮しバイパス流路に流入した冷媒を減圧するバイパス流路膨張手段(膨張機構53)とを有している。
【0124】
そして、庫外凝縮器40と庫外蒸発器41は、それぞれ、互いに間隔をあけて平行に並べられた複数のフィンと、フィンの両側に配置されたエンドプレートとを、配管が貫通する熱交換器であり、庫外凝縮器40用のエンドプレートと庫外蒸発器41用のエンドプレートとは繋がっているが、庫外凝縮器40用の配管が貫通するフィンと庫外蒸発器41用の配管が貫通するフィンとは繋がっていない。
【0125】
これによって、各熱交換器を凝縮器と蒸発器に切り換える電磁弁が不要となり、その切換用の電磁弁による損失や電力消費増大を抑えることができる。また各熱交換器を凝縮器と蒸発器で兼用せずに、それぞれ専用に設計した熱交換器で構成できるので、効率向上を
図ることができる。また、庫内凝縮器46を有する商品収納室(第1の冷却加温室2)で庫内凝縮器46により加温するが、他の商品収納室(第2の冷却加温室3、冷却専用室4)の庫内蒸発器9,10に冷媒を流せない場合でも、庫外蒸発器41に冷媒を流すことで圧縮機5の運転を継続でき、効率の良いヒートポンプ加温を行うことができる。
【0126】
また、庫外凝縮器40用の配管が貫通するフィンと庫外蒸発器41用の配管が貫通するフィンとは繋がっていないので、庫外蒸発器41に冷媒が流れて庫外蒸発器41で冷媒が蒸発しても、庫外凝縮器40は影響を受けずに庫内凝縮温度が変化せず加温能力・加温効率は維持できる。
【0127】
また、庫外凝縮器40用の配管が風上側で庫外蒸発器41用の配管が風下側になるように配置される(庫外凝縮器40が風上側で庫外蒸発器41が風下側になるように庫外凝縮器40と庫外蒸発器41の近傍に位置する庫外ファン26が配置される)ので、庫外蒸発器41は、庫外凝縮器40の排熱の影響で蒸発温度の上昇による効率改善、フィンの結露防止効果も得ることができる。
【0128】
また、バイパス流路開閉手段(電磁弁52)は、圧縮機5から吐出された冷媒が庫内凝縮器46を経由して庫外凝縮器40に流れる場合にのみ開放されるものであり、蒸発温度が上がることによって庫内凝縮器46の凝縮温度を上昇させ加温能力を高めることができる。
【0129】
また、庫外凝縮器40用の配管と庫外蒸発器41用の配管は、それぞれ、配管内を冷媒が概ね上から下に向かって流れるように構成されるものであり、庫外蒸発器41は庫外凝縮器40の排熱をより受けやすく蒸発温度の上昇による効率改善、フィンの結露防止効果も得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0130】
以上のように、本発明は、庫内凝縮器を有する商品収納室で庫内凝縮器により加温する場合に、他の商品収納室の運転状態に関係なく、効率の良いヒートポンプ加温を行うことができ、省エネを図ることができるので、自動販売機に限らず、複数の室に対して、圧縮機が一つの冷媒回路(ヒートポンプ)を用いて冷却加温を行う機器にも適用できる。
【符号の説明】
【0131】
2 第1の冷却加温室(商品収納室)
3 第2の冷却加温室(商品収納室)
4 冷却専用室(商品収納室)
5 圧縮機
9 庫内蒸発器
10 庫内蒸発器
40 庫外凝縮器
41 庫外蒸発器
42 三方弁(分岐流路開閉手段)
46 庫内凝縮器
47 庫内蒸発器
49 四方切換弁(庫内凝縮器用流路切替手段)
51 電磁弁(分岐流路開閉手段)
52 電磁弁(バイパス流路開閉手段)
53 膨張機構(バイパス流路膨張手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機と、前記圧縮機から吐出された冷媒を凝縮させる庫外凝縮器と、複数の商品収納室に設置され前記庫外凝縮器で凝縮した冷媒を蒸発させて商品収納室内の商品を冷却する庫内蒸発器と、複数の前記庫内蒸発器に冷媒流路を分岐する分岐点または前記分岐点と複数の前記庫内蒸発器との間の分岐流路に設けられた分岐流路開閉手段と、複数の前記商品収納室のうちで冷媒の凝縮熱を利用して商品収納室内の商品を加温する商品収納室に設置された庫内凝縮器と、前記庫内凝縮器で商品収納室内の商品を加温する時に前記圧縮機から吐出された冷媒を前記庫内凝縮器を経由させてから前記庫外凝縮器に流し前記庫内凝縮器で商品収納室内の商品を加温しない時に前記圧縮機から吐出された冷媒を前記庫内凝縮器を経由させずに前記庫外凝縮器に流す庫内凝縮器用流路切替手段と、前記庫外凝縮器と前記分岐流路開閉手段との間の冷媒配管と前記圧縮機の吸い込み側配管とをバイパスするバイパス流路に設けられた庫外蒸発器と、前記庫外蒸発器の流入側で前記バイパス流路を開閉するバイパス流路開閉手段と、前記バイパス流路開閉手段と前記庫外蒸発器との間の前記バイパス流路に設けられ前記庫内凝縮器と前記庫外凝縮器で凝縮し前記バイパス流路に流入した冷媒を減圧するバイパス流路膨張手段とを有し、前記庫外凝縮器と前記庫外蒸発器は、それぞれ、互いに間隔をあけて平行に並べられた複数のフィンと前記フィンの両側に配置されたエンドプレートとを配管が貫通する熱交換器であり、前記庫外凝縮器用の前記エンドプレートと前記庫外蒸発器用の前記エンドプレートとは繋がっているが、前記庫外凝縮器用の前記配管が貫通する前記フィンと前記庫外蒸発器用の前記配管が貫通する前記フィンとは繋がっていないことを特徴とする自動販売機。
【請求項2】
前記庫外凝縮器用の前記配管が風上側で前記庫外蒸発器用の前記配管が風下側になるように配置されることを特徴とする請求項1に記載の自動販売機。
【請求項3】
前記バイパス流路開閉手段は、前記圧縮機から吐出された冷媒が前記庫内凝縮器を経由して前記庫外凝縮器に流れる場合にのみ開放されることを特徴とする請求項1または2に記載の自動販売機。
【請求項4】
前記庫外凝縮器用の前記配管と前記庫外蒸発器用の前記配管は、それぞれ、前記配管内を冷媒が上から下に向かって流れるように構成されることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の自動販売機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−84073(P2013−84073A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−222486(P2011−222486)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】