説明

自動超音波画像最適化のためのシステム及び方法

【課題】超音波画像最適化のためのシステム及び方法を提供する。
【解決手段】対象内に第1の複数の信号パラメータを有する第1の超音波信号を送信して第1組の電気信号を受信し、第1の画像を得る。第1の画像に関する画質コスト関数を評価して第1の画質計測量を生成(88)し、かつ該第の画質計測量に基づいて第2の複数の信号パラメータを決定(90)する。対象内に第2の複数の信号パラメータを有する第2の超音波信号を送信し、第2組の電気信号を受信し、第2の画像を得る(96)。第2の画像に関する画質コスト関数を評価して第2の画質計測量を生成し(98)、最大化画質計測量に到達したか否かを判定するために第1の画質計測量と第2の画質計測量を比較し(100)、最大化画質計測量を生成させた複数の信号パラメータを最適なパラメータとして対象を撮像(104)し表示(106)する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は全般的には超音波撮像システムに関し、またさらに詳細にはこうしたシステムにおける自動画像最適化に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波はその性質が非電離的であること、様々な軟部組織の機械的特性に関する本来的差異に由来する画像作成が可能であること、並びに技術的な進歩の結果として、超音波を用いて医学的診断のための画像を作成することが一般的になった。目下の用途には、心臓、腹部及び胎児の検査が含まれる。大部分の部位に関して現在その診断は一般に、その大きさ、位置、輪郭及び構造の動き、並びにその相対的な送信及び反射特性に基づいている。
【0003】
典型的な超音波スキャナでは一般に、最適化画像を取得するためにユーザが複数の操作を実行する必要があり、このことは手間がかかると共に操作者依存的である。さらに、未熟練のユーザでは作成される画像が最適に至らず、不正確な診断のリスクが上昇することがある。
【0004】
共通の実施内容は、各超音波探触子及び各臨床応用ごとに撮像パラメータを事前設定することである。このケースでは、平均的な患者に対してはスキャナがユーザ調整することなく良好な性能を有することになる。しかしこうした方式は、超音波撮像において重要な患者依存性に対処していない。
【0005】
超音波スキャナでは同じく自動利得最適化も広範に実施されている。収集した画像が解析されると共に、最適な画像輝度、コントラスト及び均一性が得られるように局所振幅が調整される。しかしこうした技法は、画像最適化問題の一部に対処しているだけであり、同じく画質にとって重要な基本的なビーム形成パラメータ(例えば、周波数、アパーチャサイズ)に配慮していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6743174号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、改良型の超音波撮像システムによって上述の問題点のうちの1つまたは幾つかに対処できることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態では、対象の超音波撮像における自動画像最適化のための方法を提供する。本方法は、対象内に複数の第1の信号パラメータを有する第1の超音波信号を送信する工程を含む。本方法はさらに、対象からの第1の超音波信号の反射を表した第1組の電気信号を受信する工程を含む。本方法はさらに、第1の画像になるように第1組の電気信号を処理する工程を含む。本方法はさらに、第1の画像に関する画質コスト関数を評価して第1の画質計測量を生成する工程を含む。本方法はさらに、第1の画質計測量に基づいて第2の複数の信号パラメータを決定する工程を含む。本方法はさらに、対象内に複数の第2の信号パラメータを有する第2の超音波信号を送信する工程を含む。本方法はさらに、対象からの第2の超音波信号の反射を表した第2組の電気信号を受信する工程を含む。本方法はさらに、第2の画像になるように第2組の電気信号を処理する工程を含む。本方法はさらに、第2の画像に関する画質コスト関数を評価して第2の画質計測量を生成する工程を含む。本方法はさらに、最大化画質計測量に到達したか否かを判定するために第1の画質計測量と第2の画質計測量を比較する工程を含む。本方法はさらに、最大化画質計測量を生成させた複数の信号パラメータを最適なパラメータとして割り当てる工程を含む。本方法はさらに、最適なパラメータを有する超音波信号を用いて対象を撮像する工程を含む。本方法はさらに、最適なパラメータを有する超音波信号に基づいて対象から得られた画像を表示する工程を含む。
【0009】
本発明の別の実施形態では、対象の超音波撮像における自動画像最適化のためのシステムを提供する。本システムは、対象と音響的に結合させた対象内に第1の超音波信号及び第2の超音波信号を送信するように構成された超音波トランスジューサを含んでおり、該第1の超音波信号と第2の超音波信号はそれぞれ第1組の信号パラメータと第2組の信号パラメータを含む。この超音波トランスジューサはさらに、対象からの第1組の反射超音波信号と第2組の反射信号をそれぞれ第1組の電気信号と第2組の電気信号に変換する。超音波トランスジューサに結合させたプロセッサによって、第1の画像及び第2の画像になるように第1組の電気信号及び第2組の電気信号を処理している。このプロセッサは、第1の画像及び第2の画像に関する画質コスト関数を評価し第1の画質計測量及び第2の画質計測量を生成している。このプロセッサはさらに、第1の画質計測量に基づいて第2組の信号パラメータを決定している。このプロセッサはさらに、最大化画質計測量に到達したか否かを判定するために第1の画質計測量と第2の画質計測量を比較する。最大化画質計測量を生成させる複数のパラメータが最適なパラメータとして割り当てられる。さらに、最適なパラメータを有する超音波信号を用いて対象が撮像される。最適なパラメータを有する超音波信号からの対象の撮像に基づいて対象から得られた画像を表示するように表示モニタが構成されている。
【0010】
本発明に関するこれらの特徴、態様及び利点、並びにその他の特徴、態様及び利点については、同じ参照符号が図面全体を通じて同じ部分を表している添付の図面を参照しながら以下の詳細な説明を読むことによってより理解が深まるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態による対象の超音波撮像のためのシステムを表したブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態による対象の超音波撮像における画像最適化のための方法の各工程を表した流れ図である。
【図3】本発明の一実施形態による超音波画像の軸方向/横方向空間分解能及び信号対雑音比を調整する例示的な自動画像最適化システムの概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態は超音波画像最適化のためのシステム及び方法を目的とする。本技法は、ビーム形成パラメータや信号処理パラメータなどの超音波撮像パラメータの調整による画質の最適化を動的に可能にするような画質コスト関数を含む。本明細書で使用する場合、「ビーム形成」という用語は指向性の信号送信や受信に使用するための技法を意味している。ビーム形成処理は、波面内に干渉による強め合いと弱め合いのパターンを生成するために、複数の超音波トランスジューサ素子の位置で発生させた信号をこれらを超音波ビームにするようにその位相及び相対振幅を合成前に制御している。ビーム形成パラメータの非限定の例には、送信周波数、送信/受信アパーチャサイズ、送信/受信アポダイゼーション、集束ゾーンの数、集束ゾーンの深度を含むことができる。
【0013】
図1は、対象14(例えば、生きた生命体)の超音波撮像のためのシステム10を表したブロック図である。システム10は、対象14と音響的に結合された超音波トランスジューサ16を含む。一実施形態ではその超音波トランスジューサ16は手持ち式超音波トランスジューサを含む。超音波トランスジューサ16は対象14内に第1の超音波信号18を送信する。第1の超音波信号18は複数の第1の信号パラメータを含む。第1組の反射超音波信号22は第1組の電気信号24に変換される。超音波トランスジューサ16に結合させたプロセッサ28が第1組の電気信号24を処理し処理済み画像データ29を出力し、表示モニタ34に表示させる第1の画像32にしている。プロセッサ28は第1の画像32に関して参照番号36で表した画質コスト関数を評価する。具体的なある実施形態では、最終画像を作成する前に信号チェーンの様々な箇所において画像データが処理される。この画像データは、RFデータとすることも、振幅のみ信号とすることもある。別の実施形態では、画質情報を取得するようにその最終画像が処理されるが、信頼性が低いのが典型的である。信号パラメータは、送信、受信及び信号処理に関連付けされることに留意すべきである。
【0014】
第1の画像32の第1の画質計測量に基づいて第2組のパラメータが決定される。この処理は、第2組のパラメータを有する第2組の超音波信号46について反復される。第2組の反射超音波信号45は超音波トランスジューサ16によって第2組の電気信号47として送信される。信号47がプロセッサ28によって画像データ49として出力され、得られた第2の画像52が取得される。プロセッサ28は、第2の画像52に関する第2の画質計測量を計算し、さらに最大化画質に到達したか否かを判定するために第2の画質計測量を第1の画質計測量と比較する。最大化画質への到達には様々な状況が存在する。一実施形態では、第2の画像の有する品質は第1の画像より劣ることがある。別の実施形態では、連続する画質計測量のプロットは増加が止まっている。さらに別の実施形態では、算出した2つの画質計測量は所定のしきい値より小さい差を有する。別の実施形態では、許容される最大の反復回数のしきい値に到達させている。
【0015】
一実施形態では、画質を最大化し終えると、最大化した画質計測量に関連付けされた複数のパラメータが計算されて最適パラメータとして割り当てられると共に、最適な画像が表示モニタ34上に表示される。本明細書で使用する場合に「最適な画像」という用語は、画像の品質に関する客観的尺度を基準として最適であると判定されたパラメータによって作成された画像のことを意味している。代替的な一実施形態では、画質計測量が最大化されないときは、最大化画質に到達するまで全体の処理が反復される。一実施形態ではプロセッサは、周波数、送信パルス長、公称の音速、送信アパーチャサイズ、受信アパーチャサイズ、パルス繰返し周波数、ビームライン密度、集束ゾーンの数及び集束ゾーンの位置のうちの少なくとも1つ(ただし、これらに限らない)などのビーム形成パラメータを調整する。ビーム形成パラメータはソフトウェア構成可能であるため、ユーザの関与なしに全自動式に実行されることがある。例示的な一実施形態ではそのアパーチャサイズは実際上、送信や受信用に使用される有効アパーチャサイズとすると共に、電子式に制御されている。別の実施形態ではプロセッサは、受信フィルタ、利得区割及びダイナミックレンジ圧縮(ただし、これらに限らない)などの画像処理パラメータを調整する。
【0016】
画質因子は基本的に結合関係にある。ある因子を改善させると別の因子に反対の影響が生じることがある。例えば、送信周波数を高くすることによって超音波画像の空間分解能を改善することが可能である。しかしこのことによって透過が低下することになる。別の例示的実施形態では、ビームライン密度を低下させることによって超音波画像のフレームレートを改善することが可能である。しかしこのことによって、空間分解能が低下することになる。したがって、画質因子の影響を評価するためにはコスト関数が最適なツールである。画像最適化の問題は、コスト関数を最大化させるという数学的問題に変換される。画像パラメータの関数である画質コスト制御関数は次式で表すことができる。
【0017】
Cost(x)=ΣcY(x)
上式において、ベクトルYは画質因子を意味し、ベクトルXは画質に影響を与える画像パラメータを意味し、またcは重み付け係数のベクトルである。これらの係数は非線形とすることがある。画像最適化の問題では実際上、上述のコスト関数を最大化させるXを計算することが必要である。一般にコスト関数は、様々な品質因子内の複雑な関係を表している画質因子に関する任意の関数とすることがある。
【0018】
Cost(x)=f[Y(x)]
超音波画像最適化に関しては様々な入力と出力の関係が存在する。具体的なある実施形態では、入力(撮像パラメータ)を変動させることによって複数の出力(画質因子)に影響が及ぶことがある。入力の非限定の例には、送信周波数、パルス長、送信アパーチャサイズ、深度の関数とした受信周波数及びバンド幅、受信アパーチャサイズ、パルス繰返し周波数(連続して発射させる送信パルスの頻度)、ビームライン密度(画像を形成するビームラインの数)、並びに集束ゾーン数及び集束ゾーンの位置が含まれる。出力の非限定の例には、空間分解能(軸方向及び横方向分解能を含む)、コントラスト分解能(その一部がサイドローブレベルにより決定される)、透過、画像均一性、フレームレート、並びに画像アーチファクト(ヘイズ(haze)、残響(reverberation)、その他)が含まれる。
【0019】
1つの入力が複雑な様式で複数の出力に影響を与えることがある。具体的なある実施形態では、送信周波数を高くすると空間分解能は改善するが、SNR、透過及びフレームレートは低下することがある。別の実施形態では、アパーチャサイズを増大させると空間分解能は改善するが、画像均一性の劣化やフレームレートの低下を生じることがある。さらに別の実施形態では、集束ゾーンの数を増加させると画像均一性は改善するが、フレームレートが低下することがある。一実施形態では、パルス繰返し周波数を高くするとフレームレートが増加するが、音響減衰残響アーチファクトを大きくさせることがある。さらに、患者及び/または用途が異なると、最適化(または、トレードオフ)が異なることがある。例えば信号対雑音比及び撮像が問題でないような容易な患者では、周波数を上昇させて透過を改善することができるが、信号対雑音比が問題となるような困難な患者では、受容可能な透過を保証するように周波数を低下させることがある。別の実施形態では、動きの速い組織について、組織の追尾を維持するためにフレームレートを増加させることがある。こうしたケースでは、より良好なフレームレートのために空間分解能や画像均一性を犠牲にさせることがあり、また典型的な調整はビームライン密度の低下及び/または集束ゾーンの数の低下とすることがある。
【0020】
本発明の実施形態は、本発明の処理タスクを実行するための特定の任意のプロセッサに限定されるものでないことに留意すべきである。「プロセッサ」という用語は本明細書内でこれを使用した場合、本発明のタスクの実行に必要な計算または算定の実行が可能な任意のマシンを指すように意図している。「プロセッサ」という用語は、出力を生成するために規定の法則に従って構造化入力を受け入れかつ該入力を処理することが可能な任意のマシンを指すように意図している。さらに本明細書で使用する場合に「ように構成された(configured to)」という言い回しは、当業者であれば理解されるであろうように、そのプロセッサが本発明のタスクを実行するためのハードウェアやソフトウェアからなるある組み合わせを装備することを意味することに留意されたい。
【0021】
図2は、対象の超音波撮像における画像最適化のための方法80の各工程を表した流れ図である。方法80は、工程82における対象に対して第1組の信号パラメータを有する第1の超音波信号を送信する工程を含む。具体的なある実施形態では、超音波信号が超音波トランスジューサを介して送信される。工程84では、第1の超音波信号の反射を表す第1組の電気信号が対象から受信される。工程86においてこの第1組の電気信号が第1の画像になるように処理される。一実施形態では、第1組の電気信号及び第2組の電気信号が処理される。工程88では、第1の画質計測量を生成するように第1の画像に関する画質コスト関数が評価される。一実施形態ではその画質コスト関数は複数の画質因子の重み付け総和と定義される。画質因子の非限定の例には、空間分解能、信号対雑音比、フレームレート、対象内部における透過、及び画像アーチファクトが含まれる。工程90では、第1の画質因子に基づいて第2組の信号パラメータが予測される。具体的なある実施形態では、第1組の画質因子に基づく第2組の信号パラメータの予測は、熟練の超音波ユーザを模したインテリジェントな最適化アルゴリズムを介して実行される。例えば第1組が透過に関する品質因子を欠いていれば、典型的には周波数を低下させる必要がある。フレームレートが希望より低ければ、ビームライン密度を低下させる必要がある。インテリジェントな最適化アルゴリズムは、当業者によく知られるような決定樹(decision tree)のフレームワークまたは動的プログラミングを用いて実現することができる。一実施形態では、第1組の信号パラメータ及び第2組の信号パラメータは複数のビーム形成パラメータ及び複数の画像処理パラメータを含む。別の実施形態ではそのビーム形成パラメータには、周波数、パルスレート、送信アパーチャサイズ、受信アパーチャサイズ、パルス繰返し周波数、ビームライン密度、集束ゾーンの数及び集束ゾーンの位置のうちの少なくとも1つが含まれる。別の実施形態ではその画像処理パラメータには、受信フィルタ、利得区割及びダイナミックレンジ圧縮が含まれる。
【0022】
工程92では、第2組の信号パラメータを有する第2の超音波信号が対象内に送信される。工程94では、対象からの第2の超音波信号の反射を表した第2組の電気信号が受信される。工程96では、第2の画像にするように第2組の電気信号が処理される。工程98では、第2の画質計測量を生成するために第2の画像に関する画質コスト関数が評価される。工程100では、最大化画質計測量に到達したか否かを判定するために第1の画質計測量と第2の画質計測量が比較される。工程102では、最大化画質計測量を生成する複数の信号パラメータが最適なパラメータとして割り当てられる。工程104では、最適なパラメータを有する超音波信号を用いて対象が撮像される。工程106では、最適なパラメータを伴う超音波信号に基づいて対象から得られた画像が表示される。
【0023】
図3は、ディスプレイ122により表示された超音波画像データ121の軸方向/横方向空間分解能、信号対雑音比及び透過因子を推定することによって送信波形設定(周波数及びバンド幅)を調整する例示的な自動画像最適化システム120の概要図である。軸方向/横方向空間分解能及び信号対雑音比に影響を及ぼす因子には、参照番号124で表した周波数及びバンド幅が含まれる。ここに図示したように、プロセッサ28(図1)で作成された画像に基づいて暫定の周波数及びバンド幅124並びに信号対雑音比126が推定される。推定した周波数及びバンド幅並びに信号対雑音比は、画像の軸方向及び横方向分解能並びに信号対雑音比を改善させた出力像132になるようにアパーチャサイズを調整する参照番号130で表した画質コスト関数に供給される。画質計測量が最大化に至らない場合は、参照番号134で表したようにフィードバックループ内で周波数最適化を反復して実行する。具体的なある実施形態では、信号とノイズの両方を包含した画像フレームが受け取られる。ノイズだけを包含したゼロ送信振幅から取得されるノイズフレームも受け取られる。次いで信号対雑音比126が算出されて画質コスト関数130に供給される。
【0024】
したがって、上述した超音波画像最適化のためのシステム及び方法の様々な実施形態によって、画質を最適化させるための好都合でありかつ効率がよい手段を達成するための方法が得られる。さらに本技法を自動化すれば操作者依存性が排除される。さらに本システム及び技法により費用対効果のよい手段が可能となる。
【0025】
特定の任意の実施形態に従って上述した目的または利点の必ずしもすべてを達成できるわけではないことを理解すべきである。したがって例えば、本明細書において教示または示唆されるような別の目的または利点を必ずしも達成することなく、本明細書における教示に従った1つの利点または利点の組を達成または最適化するような方式で本明細書に記載したシステム及び技法を具現化または実施できることは当業者であれば理解されよう。
【0026】
さらに当業者であれば様々な実施形態からの様々な特徴が相互に置き換え可能であることを理解されよう。例えば、ある実施形態に関する手持ち式超音波トランスジューサの使用は、別の実施形態に関連して記載したフレームレートを調整するように構成された画質コスト関数と共に使用するように適合させることが可能である。同様に当業者は、記載した様々な特徴、並びに各特徴に関する別の周知の等価形態を混合しマッチングさせ、この開示の原理に従った追加的なシステム及び技法を構築することが可能である。
【0027】
本発明について限られた数の実施形態のみに関連して詳細に記載してきたが、本発明が開示したこうした実施形態に限定されないことは容易に理解できよう。それどころか本発明は、ここまでに記載していないが本発明の精神及び趣旨に相応するような任意の数の変形形態、修正形態、置換形態、等価形態の機構を組み込むように修正することが可能である。さらに、本発明に関して様々な実施形態を記載しているが、本発明の態様は記載した実施形態のうちの一部のみを含むこともあり得ることを理解すべきである。したがって、本発明は上述の記述によって限定されるものと理解すべきではなく、添付の特許請求の範囲の趣旨によってのみ限定されるものと理解すべきである。
【符号の説明】
【0028】
10 対象の超音波撮像のためのシステム
14 対象
16 超音波トランスジューサ
18 第1の超音波信号
22 第1組の反射超音波信号
24 第1組の電気信号
28 プロセッサ
29 処理済み画像データ
32 第1の画像
34 表示モニタ
36 画質コスト関数
45 第2組の反射超音波信号
46 第2組のパラメータを有する第2組の超音波信号
47 第2組の電気信号
49 画像データ
52 得られた第2の画像
80 対象の超音波撮像における画像最適化のための方法
82 対象内に第1の超音波信号を送信する工程
84 対象からの第1の超音波信号の反射を表した第1組の電気信号を受信する工程
86 第1の画像になるように第1組の電気信号を処理する工程
88 第1の画像に関する画質コスト関数を評価して第1の画質計測量を生成する工程
90 第1の画質因子に基づいて第2組の信号パラメータを予測する工程
92 対象内に第2の超音波信号を送信する工程
94 対象からの第2の超音波信号の反射を表した第2組の電気信号を受信する工程
96 第2の画像になるように第2組の電気信号を処理する工程
98 第2の画像に関する画質コスト関数を評価して第2の画質計測量を生成する工程
100 最大化画質計測量に到達したか否かを判定するために第1の画質計測量と第2の画質計測量を比較する工程
102 最大化画質計測量を生成させた複数の信号パラメータを最適なパラメータとして割り当てる工程
104 最適なパラメータを有する超音波信号を用いて対象を撮像する工程
106 最適なパラメータを有する超音波信号に基づいて対象から得られた画像を表示する工程
120 例示的な自動画像最適化システム
121 超音波画像データ
122 ディスプレイ
124 周波数及びバンド幅
126 信号対雑音比
130 画質コスト関数
132 出力像
134 反復式の周波数最適化

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象(14)の超音波撮像における自動画像最適化のための方法(80)であって、
対象内に第1の複数の信号パラメータを有する第1の超音波信号を送信する工程(82)と、
対象からの第1の超音波信号の反射を表した第1組の電気信号を受信する工程(84)と、
第1の画像になるように第1組の電気信号を処理する工程(86)と、
第1の画像に関する画質コスト関数を評価して第1の画質計測量を生成する工程(88)と、
第1の画質計測量に基づいて第2の複数の信号パラメータを決定する工程(90)と、
対象内に第2の複数の信号パラメータを有する第2の超音波信号を送信する工程(92)と、
対象からの第2の超音波信号の反射を表した第2組の電気信号を受信する工程(94)と、
第2の画像になるように第2組の電気信号を処理する工程(96)と、
第2の画像に関する画質コスト関数を評価して第2の画質計測量を生成する工程(98)と、
最大化画質計測量に到達したか否かを判定するために第1の画質計測量と第2の画質計測量を比較する工程(100)と、
最大化画質計測量を生成させた複数の信号パラメータを最適なパラメータとして割り当てる工程(102)と、
最適なパラメータを有する超音波信号を用いて対象を撮像する工程(104)と、
最適なパラメータを有する超音波信号に基づいて対象から得られた画像を表示する工程(106)と、
を含む自動画像最適化方法(80)。
【請求項2】
前記第1の複数の信号パラメータ及び前記第2の複数の信号パラメータは複数のビーム形成パラメータ及び複数の画像処理パラメータを含む、請求項1に記載の方法(80)。
【請求項3】
前記ビーム形成パラメータは、周波数、パルス長、送信アパーチャサイズ、受信アパーチャサイズ、パルス繰返し周波数、ビームライン密度、集束ゾーンの数及び集束ゾーンの位置のうちの少なくとも1つを含む、請求項2に記載の方法(80)。
【請求項4】
前記評価の工程は複数の画質因子の重み付け総和と定義される画質コスト関数を計算する工程を含む、請求項1に記載の方法(80)。
【請求項5】
前記画質因子は、空間分解能、信号対雑音比、フレームレート、対象内部の透過、及び画像アーチファクトを含む、請求項4に記載の方法(80)。
【請求項6】
対象(14)の超音波撮像における画像最適化のためのシステム(10)であって、
対象(14)と音響的に結合された超音波トランスジューサ(16)であって、
第1の複数の信号パラメータと第2の複数の信号パラメータをそれぞれ含む第1の超音波信号(18)と第2の超音波信号(46)を対象(14)内に送信すること、
対象からの第1組の反射超音波信号(22)と第2組の反射信号(45)を対応する第1組の電気信号(24)と第2組の電気信号(47)に変換すること、
を行うように構成され超音波トランスジューサ(16)と、
前記超音波トランスジューサ(16)に結合されたプロセッサ(28)であって、
第1組の電気信号(24)と第2組の電気信号(47)を第1の画像(32)と第2の画像(52)になるように処理すること、
第1の画質計測量及び第2の画質計測量を生成するように第1の画像(32)及び第2の画像(52)に関する画質コスト関数(36)を評価すること、
第1の画質計測量に基づいて第2の複数の信号パラメータを決定すること、
最大化画質計測量に到達したか否かを判定するために第1の画質計測量と第2の画質計測量を比較すること、
最大化画質計測量を生成させた複数のパラメータを最適なパラメータとして割り当てること、
最適なパラメータを有する超音波信号を用いて対象を撮像すること、
を行うように構成されたプロセッサ(28)と、
最適なパラメータを有する超音波信号からの対象の撮像に基づいて対象(14)から得られた画像を表示するように構成された表示モニタ(34)と、
を備えるシステム(10)。
【請求項7】
前記プロセッサ(28)は受信した第1組の電気信号と第2組の電気信号をビーム形成するように構成されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記画質コスト関数(36)は複数の画質因子の重み付け総和と定義される、請求項6に記載のシステム(10)。
【請求項9】
前記画質因子は、空間分解能、信号対雑音比、フレームレート、対象内部の透過、及び画像アーチファクトを含む、請求項8に記載のシステム(10)。
【請求項10】
前記第1の複数のパラメータ及び第2の複数のパラメータはビーム形成パラメータ及び画像処理パラメータを含む、請求項6に記載のシステム(10)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−274111(P2010−274111A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−113831(P2010−113831)
【出願日】平成22年5月18日(2010.5.18)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】