説明

自動車における着脱部品着脱構造

【課題】自動車内の被取り付け対象に取り付けられた着脱部品の取り付け状態の安定性を確保しつつ、着脱部品の着脱を容易に行なうことができるようにする。
【解決手段】スイッチベース18のフランジ32から垂下された掛け止め片33Aの側縁332には凹部37Aが形成されている。凹部37Aは、底371と、底371の下方側の一端から側縁332に連なる係合縁372と、底371の上方側の他端から側縁332に連なる内側縁373とから形成されている。取り付け孔を形成する側壁22には被掛け止め突起35Aがスイッチベース18の側壁27に向けて突設されている。被掛け止め突起35Aには掛け止め片33Aが掛け止められている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車内で着脱部品が被取り付け対象に着脱可能に取り付けられる着脱部品着脱構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車内の着脱部品を被取り付け対象に取り付ける構成は、特許文献1,2に開示されている。
特許文献1では、被取り付け対象であるインストルメントパネルに着脱部品であるスイッチカバーを取り付けるためのスイッチカバー構造が開示されている。スイッチカバーは、スイッチ組み付け用凹部に挿入されるようになっている。スイッチ組み付け用凹部の底壁には取り付け孔が貫通するように形成されており、スイッチカバーには係止爪が形成されている。スイッチカバーをスイッチ組み付け用凹部に挿入すると、係止爪が取り付け孔に嵌り込んで底壁に係止される。
【0003】
係止爪は、弾性変形しながら取り付け孔に嵌り込んでゆき、係止爪が取り付け孔に嵌り込み終了した状態では、係止爪が係止孔の底壁裏側の開口縁に掛け止められる。
特許文献2では、スイッチを取り付け板に取り付けるためのスイッチ装置が開示されている。取り付け板にはケーシングが一体形成されており、スイッチ本体がケーシングに嵌入される。ケーシングの内側壁には孔形状の係止部が形成されており、スイッチ本体には被係止部が形成されている。スイッチ本体をケーシングに嵌入すると、被係止部(以下においては係止爪ということにする)が孔形状の係止部(以下においては取り付け孔ということにする)に嵌り込んで側壁に係止される。
【0004】
係止爪は、弾性変形しながら取り付け孔に嵌り込んでゆき、係止爪が取り付け孔に嵌り込み終了した状態では、係止爪が係止孔の内側面側の開口縁に掛け止められる。
特許文献1に開示の係止爪の一部は、係止孔の底壁裏側の開口縁から底壁の裏面の方向へはみ出しており、特許文献2に開示の係止爪の一部は、側壁の内側面から取り付け孔内に入り込んでいる。このはみ出しの量及び入り込みの量が係止爪の外れ易さを左右し、係止爪を外れ難くする(つまり部品を外れ難くする)には、はみ出しの量及び入り込みの量を大きくすればよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平6−997号公報
【特許文献2】特開2000−322969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、はみ出しの量及び入り込みの量を大きくすると、係止爪を大きく弾性変形させることになるが、そうすると、部品組み付け時の荷重が大きくなり、部品の組み付けがし辛くなる。又、組み付けられている部品を取り外すことが難しくなる。
【0007】
はみ出しの量及び入り込みの量を大きくしないで係止爪の剛性を高める対策も考えられる。しかし、係止爪の剛性を高めると部品組み付け時の荷重が大きくなって部品の組み付けがし辛くなり、組み付けられている部品の取り外しも難しくなる。
【0008】
本発明は、自動車内の被取り付け対象に取り付けられた着脱部品の取り付け状態の安定性を確保しつつ、着脱部品の着脱を容易に行なうことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、自動車内で着脱部品が被取り付け対象に着脱可能に取り付けられる着脱部品着脱構造を対象とし、請求項1の発明では、前記被取り付け対象と前記着脱部品との一方には被掛け止め部が形成されており、前記被取り付け対象と前記着脱部品との他方には掛け止め部が形成されており、前記掛け止め部は、前記被掛け止め部に摺接するガイド面と、前記ガイド面に連なる係合縁とを有し、前記係合縁は、前記被掛け止め部に係止可能、且つ前記被掛け止め部に対する前記掛け止め部の組み付け方向と交差する交差方向へ前記被掛け止め部を逃がし可能な形状に形成されており、前記掛け止め部が前記被掛け止め部に対して組み付け移動されているときには、前記ガイド面が前記被掛け止め部に摺接する状態で前記掛け止め部が前記組み付け方向と前記交差方向とは異なる異方向へ弾性変形する。
【0010】
係合縁が被掛け止め部の側部に係合した状態は、被掛け止め部に掛け止め部が掛け止められた状態である。着脱部品を取り外す場合には、係合縁が前記交差方向とは逆方向へ相対移動されて被掛け止め部の側部から外される。組み付け時の着脱部品の組み付け方向(掛け止め部の相対移動方向)と、取り外し時の掛け止め部の相対移動方向とが異なるため、着脱部品の取り付け状態の安定性を確保(取り付け状態における外れ難さの確保)しつつ、着脱部品の着脱を容易に行なうことができる。
【0011】
好適な例では、前記掛け止め部は、平板形状であって前記組み付け方向に延びる形状に形成されており、前記平板形状の前記掛け止め部は、板厚方向に弾性変形する。
着脱部品の組み付け時には、掛け止め部のガイド面が被掛け止め部の先端に摺接しながら掛け止め部が板厚方向に弾性変形し、被掛け止め部の先端に対するガイド面の摺接が終了すると、掛け止め部の板厚方向への弾性変形復元によって係合縁が被掛け止め部の側部に係合する。
【0012】
好適な例では、前記係合縁は、前記平板形状の前記掛け止め部の側縁に形成されている。
請求項4の発明では、自動車内で着脱部品が被取り付け対象に取り付けられる着脱部品着脱構造において、前記被取り付け対象と前記着脱部品との一方には突起状の被掛け止め部が形成されており、前記被取り付け対象と前記着脱部品との他方には掛け止め部が形成されており、前記掛け止め部は、前記被掛け止め部に対する前記掛け止め部の組み付け方向に延び、板厚方向に弾性変形する平板形状に形成されたガイド面と、前記ガイド面の側縁に切欠き形成される係合縁とを有し、前記被掛け止め部と前記係合縁とが係合されることで前記被掛け止め部と前記掛け止め部とが係止する。
【0013】
好適な例では、前記掛け止め部は、前記着脱部品に設けられている。
好適な例では、前記自動車は、センターコンソールボックスを備えており、前記着脱部品は、前記センターコンソールボックスの上面に設けられた取り付け孔に嵌合されるスイッチベースである。
【0014】
センターコンソールボックスの上面には人の肘が載る等による荷重が掛かる場合がある。この荷重による被掛け止め対象側の変形が前記組み付け方向への変形であったとしても、係合縁が被掛け止め部から外れることはない。つまり、着脱部品の取り付け状態の安定性が確保される。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、自動車内の被取り付け対象に取り付けられた着脱部品の取り付け状態の安定性を確保しつつ、着脱部品の着脱を容易に行なうことができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施形態を示し、(a)は、センターコンソールボックスの平面図。(b)は、コンソールボックスの側面図。
【図2】図1(b)のE−E線拡大断面図。
【図3】スイッチベースの平断面図。
【図4】スイッチベースの斜視図。
【図5】(a)は、スイッチベースの一側面図。(b)は、スイッチベースの他側面図。(c)は、図2のC−C線断面図。(d)は、図2のD−D線断面図。
【図6】(a)は、図5(a)のA−A線拡大断面図。(b)は、図6(a)のE−E線断面図。(c)は、図5(a)のB−B線断面図。(d)は、掛け止め片33B及び被掛け止め突起35Bを示す部分拡大側断面図。
【図7】(a)は、スイッチベースを取り付け孔に挿入中の状態を示す拡大断面図。(b)は、被掛け止め突起35Aから掛け止め片33Aを外す状態を示す部分側断面図。
【図8】掛け止め片34A,34B,34Cを示す部分拡大側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図8に基づいて説明する。なお、図1(a)に示す矢印Sが自動車の前後方向を示し、図1(a),(b)では紙面左側が自動車の前方となる。又、スイッチベース18においては、センターコンソールボックス14に取り付けた状態で、自動車の前方方向を前、自動車の後方方向を後として説明する。
【0018】
図1(a)に示すように、自動車(図示略)の車室11内の一対の前席12,13の間には合成樹脂製の被取り付け対象であるセンターコンソールボックス14が設置されている。図1(b)に示すように、センターコンソールボックス14の前部側にあるシフトレバー15と、センターコンソールボックス14の後部側にあるサイドブレーキ16との間のセンターコンソールボックス14の上面141には取り付け孔17が形成されている。
【0019】
図1(a)に示すように、取り付け孔17には合成樹脂製の着脱部品であるスイッチベース18が嵌合されている。取り付け孔17の後部には挿通孔19が接続されており、挿通孔19にはサイドブレーキ16が通されている。
【0020】
図2に示すように、取り付け孔17は、前壁20と、前壁20に連なる一対の側壁21,22と、一方の側壁21に連なる後壁23と、後壁23に連なって側壁22に対向する側壁24とから形成されている。前壁20、側壁21,22,24及び後壁23は、いずれも上面141〔図1(a)参照〕から垂下するようにセンターコンソールボックス14に一体形成されている。
【0021】
図3に示すように、スイッチベース18は、前壁20に対向する前壁25と、側壁21に対向する側壁26と、側壁22に対向する側壁27と、後壁23に対向する中間壁28と、側壁24に対向する側壁29と、側壁27,29を繋ぐ後壁30とからなる周壁31を備えている。周壁31の上縁には外方向に延びる環状のフランジ32が一体形成されている。
【0022】
図4に示すように、フランジ32の環内には複数のスイッチ装着孔181が形成されており、各スイッチ装着孔181にはスイッチ(図示略)が装着されている。
図3に示すように、フランジ32の下面には複数の掛け止め片33A,33B,34A,34B,34Cが垂下するように一体形成されている。
【0023】
図5(a)に示すように、周壁31を形成する側壁27側のフランジ32の後部側には掛け止め部としての掛け止め片33Aが垂下形成されており、側壁27側のフランジ32の前部側には掛け止め片34Aが垂下形成されている。
【0024】
図5(b)に示すように、周壁31を形成する側壁29側のフランジ32には掛け止め部としての掛け止め片33Bが垂下形成されており、周壁31を形成する側壁26側のフランジ32には掛け止め片34Bが垂下形成されている。周壁31を形成する前壁25側のフランジ32には掛け止め片34Cが垂下形成されている。
【0025】
図5(c)に示すように、取り付け孔17を形成する側壁22には被掛け止め部としての被掛け止め突起35A,36Aが形成されている。スイッチベース18をセンターコンソールボックス14に取付けた状態では、被掛け止め突起35Aには掛け止め片33Aが掛け止められており、被掛け止め突起36Aには掛け止め片34Aが掛け止められている。
【0026】
図5(d)に示すように、取り付け孔17を形成する側壁24には被掛け止め突起35Bが形成されている。取り付け孔17を形成する側壁21には被掛け止め突起36Bが形成されている。取り付け孔17を形成する前壁20には被掛け止め突起36Cが形成されている。スイッチベース18をセンターコンソールボックス14に取付けた状態では、被掛け止め突起35Bには掛け止め片33Bが掛け止められている。被掛け止め突起36Bには掛け止め片34Bが掛け止められている。被掛け止め突起36Cには掛け止め片34Cが掛け止められている。
【0027】
図8に示すように、平板形状の掛け止め片34A,34B,34Cは、被掛け止め突起36A,36B,36Cに対向する側に、掛け止め片34A,34B,34Cの基端側から垂下方向に向かうにつれて昇る昇り勾配面341と、昇り勾配面341の頂部から降りる降り勾配342とを有する形状に形成されている。被掛け止め突起36A,36B,36Cには昇り勾配面341が係合されて掛け止め片34A,34B,34Cが被掛け止め突起36A,36B,36Cに掛け止められる。掛け止め片34A,34B,34Cは、特許文献1に開示される係止爪と実質的に同じものである。
【0028】
図6(a)に示すように、掛け止め片33Aは、平板形状に形成されており、側壁22に対向する掛け止め片33Aのガイド面330の下部には傾斜面331が形成されている。傾斜面331は、掛け止め片33Aの基端側から垂下方向に向かうにつれて側壁22から離れる降り勾配の形状に形成されている。
【0029】
図6(b)に示すように、掛け止め片33Aの側縁332,333のうちの側縁332には凹部37Aが形成されている。凹部37Aは、底371と、底371の下方側の一端から側縁332に連なるように側縁332に切り欠き形成された係合縁372と、底371の上方側の他端から側縁332に連なる内側縁373とから形成されている。
【0030】
図6(c)に示すように、係合縁372と内側縁373との間隔は、被掛け止め突起35Aが凹部37Aの開放側から入り込み可能な大きさにされている。
図6(d)に示すように、掛け止め片33Bの形状は、掛け止め片33Bの凹部37Bの形成位置が掛け止め片33Aの凹部37Aの形成位置となる側縁332とは反対側の側縁333に形成されている点のみが掛け止め片33Aと異なる。凹部37Aの底371、係合縁372及び内側縁373と同形状の凹部37Bの底、係合縁及び内側縁には同じ符合を付し、その詳細説明は省略する。
【0031】
掛け止め片33Aの凹部37Aは、掛け止め片34A側に向けて〔自動車の前方(図1(a)において左側に向けて〕開放しており、掛け止め片33Bの凹部37Bは、掛け止め片34B側に向けて(自動車の前方に向けて)開放している。
【0032】
図4及び図5(a),(b)に示すように、スイッチベース18の後部には引き上げ取っ手182が一体形成されている。
次に、センターコンソールボックス14に対するスイッチベース18の組み付け(取り付け孔17に対するスイッチベース18の嵌め込み)の際の掛け止め片33Aの作用を説明する。
【0033】
図7(a)の鎖線で示すスイッチベース18を矢印Rの方向へ下動させて取り付け孔17に挿入してゆくと、係合縁372より下方の傾斜面331が被掛け止め突起35Aの先端351に摺接する。係合縁372より下方の傾斜面331と被掛け止め突起35Aの先端351との摺接は、スイッチベース18の下動に伴って、図7(a)に実線で示すように係合縁372より下方のガイド面330と被掛け止め突起35Aの先端351との摺接に移行する。
【0034】
なお、図7(a)の鎖線で示す位置からスイッチベース18が下方へ移動する際には、傾斜面331の存在が側壁22の下縁から下方への掛け止め片33Aの入り込みを容易にする。スイッチベース18の下方への移動方向(矢印Rの方向)は、スイッチベース18の組み付け方向である。以下においては、組み付け方向を組み付け方向Rと記す。
【0035】
係合縁372より下方のガイド面330が被掛け止め突起35Aの先端351に摺接する状態では、平板形状の掛け止め片33Aが側壁22から離れる方向、即ち矢印Qで示す板厚方向に弾性変形する。以下においては、板厚方向を板厚方向Qと記す。
【0036】
係合縁372が被掛け止め突起35Aの先端351の最下縁を下方へ通過すると、被掛け止め突起35Aが凹部37Aに入り込んで係合縁372が被掛け止め突起35Aの側部352の下部に係合する。以下においては、側部352の下部を側部352と記す。この係合状態は、掛け止め片33Aが被掛け止め突起35Aに掛け止められた状態である。
【0037】
掛け止め片33Bも同様にして被掛け止め突起35Bに掛け止められる。掛け止め片33A,33Bが被掛け止め突起35A,35Bに掛け止められた状態は、スイッチベース18が取り付け孔17に嵌合された状態、つまりスイッチベース18がセンターコンソールボックス14に組み付けられた状態である。
【0038】
なお、スイッチベース18のフランジ32の下面には図示しないリブが複数設けられており、センターコンソールボックス14の前壁20、側壁21,22,24、及び後壁23には図示しない支持部が壁面より突出して設けられている。スイッチベース18がセンターコンソールボックス14に組み付けられた状態では、支持部とリブとが当接することでスイッチベース18がセンターコンソールボックス14に対して支持される。
【0039】
又、スイッチベース18がセンターコンソールボックス14に組み付けられた状態では、掛け止め片34A,34B,34Cは、被掛け止め突起36A,36B,36Cに対し、図8で示す状態で維持される。即ち、被掛け止め突起36A,36B,36Cの先端が掛け止め片34A,34B,34Cの昇り勾配面341に接する状態で維持される。この状態では、掛け止め片34A,34B,34Cの弾性変形によって、スイッチベース18がセンターコンソールボックス14に向けて付勢されるため、スイッチベース18のがたつきが防止される。
【0040】
スイッチベース18を取り付け孔17から外す場合には、引き上げ取っ手182をつまんで後方へ引くようにして引き上げればよい。なお、後方への引き上げは、スイッチベース18の撓みを利用する。この引き作用により、図7(b)に示すように掛け止め片33Aが後方へ移動し、係合縁372が被掛け止め突起35Aの側部352の下部を摺接してゆく。同様に、掛け止め片33Bも後方へ移動し、掛け止め片33Bの係合縁372が被掛け止め突起35Bの側部352の下部を摺接してゆく。
【0041】
係合縁372の摺接方向は、矢印Pで示す方向であり、矢印Pの方向は、矢印Rで示す組み付け方向に対して交差する交差方向である。以下においては、交差方向を交差方向Pと記す。板厚方向Qは、組み付け方向Rと交差方向Pとは異なる異方向である。係合縁372は、被掛け止め突起35A,35Bの側部352に係止可能、且つ交差方向Pへ被掛け止め突起35A,35Bを相対的に逃がし可能な形状に形成されている。
【0042】
係合縁372が被掛け止め突起35A,35Bの側部352の下部から外れると、被掛け止め突起35A,35Bに対する掛け止め片33A,33Bの掛け止めが解除され、掛け止め片33A,33Bが上方へ引き上げ可能になる。
【0043】
引き上げ取っ手182を更に引き上げてゆくと、掛け止め片34A,34B及び掛け止め片34Cが順次外れてゆき、スイッチベース18が取り付け孔17から取り出される。
第1の実施形態では以下の効果が得られる。
【0044】
(1)センターコンソールボックス14に対するスイッチベース18の組み付け時には、掛け止め片33A,33Bのガイド面330が被掛け止め突起35A,35Bの先端351に摺接する。そして、被掛け止め突起35A,35Bの先端351に対するガイド面330の摺接が終了すると、係合縁372が被掛け止め突起35A,35Bの側部352に係合して掛け止め片33A,33Bが被掛け止め突起35A,35Bに掛け止められる。スイッチベース18を取り外す場合には、係合縁372が後方へ移動されて被掛け止め突起35A,35Bの側部352から外される。このように、組み付け時のスイッチベース18の組み付け方向R(係合縁372の下方への移動方向)と、取り外し時の係合縁372の移動方向(交差方向P)とが異なる。そのため、スイッチベース18の取り付け状態の安定性が確保されると共に、スイッチベース18の着脱を容易に行なうことができる。
【0045】
(2)センターコンソールボックス14の上面141には乗員の体や荷物などが接触する等による荷重が掛かり、この荷重によって側壁22あるいは側壁24が下方に撓む(スイッチベース18の組み付け方向R)場合がある。スイッチベース18が配置される付近のセンターコンソールボックス14は、車両前後方向に延びる2つの壁によって剛性が保たれており、特に後壁23と側壁24との交点付近は、下方に支えがないため上方からの荷重によって撓みやすい。このような撓み変形であったとしても、係合縁372が被掛け止め突起35A,35Bから外れることはなく、スイッチベース18の取り付け状態における安定性が確保される。
【0046】
(3)被掛け止め突起36A,36B,36Cに掛け止められている掛け止め片34A,34B,34Cの掛け止め解除は、被掛け止め突起35A,35Bに掛け止められている掛け止め片33A,33Bの掛け止め解除に続いて行なわれる。掛け止め片34A,34B,34C及び掛け止め片33A,33Bは、引き上げ取っ手182から前側へ離れた位置にある。引き上げ取っ手182からの掛け止め片34A,34Bの離間距離は、引き上げ取っ手182からの掛け止め片33A,33Bの離間距離よりも大きい。スイッチベース18の取り外し時には引き上げ取っ手182が上方へ引き上げられるため、引き上げ取っ手182からの掛け止め片34A,34Bの離間距離が大きいほど、被掛け止め突起36A,36Bからの掛け止め片34A,34Bの外しが小さい引き上げ力で行える。従って、掛け止め片34A,34Bを引き上げ取っ手182から掛け止め片33A,33Bよりも遠くに配置した構成は、スイッチベース18の取り外しの容易化に寄与する。
【0047】
本発明では以下のような実施形態も可能である。
○前記した実施形態において、掛け止め片33B及び被掛け止め突起35Bを無くしてもよい。
【0048】
○前記した実施形態において、掛け止め片33A及び被掛け止め突起35Aを無くしてもよい。
○前記した実施形態において、掛け止め片34A及び被掛け止め突起36Aの代わりに、掛け止め片33A及び被掛け止め突起35Aを用いてもよい。
【0049】
○前記した実施形態において、掛け止め片34B及び被掛け止め突起36Bの代わりに、掛け止め片33B及び被掛け止め突起35Bを用いてもよい。
○着脱部品に被掛け止め部を設け、被取り付け対象に掛け止め部を設けてもよい。この場合、前記した実施形態における掛け止め片33A,33Bは、側壁22,24側に形成されて上方に延出するように上下反転した形状となる。
【0050】
○自動車の窓ガラスを電動で開閉するためのスイッチをドアの内側に配置した自動車において、該スイッチのスイッチベースに本発明を適用してもよい。
○スイッチベース以外の自動車内の着脱部品に本発明を適用してもよい。
【0051】
前記した実施形態から把握できる技術思想について以下に記載する。
(イ)前記スイッチベースは、環状のフランジを備えており、前記センターコンソールボックスには取り付け孔が形成されており、前記取り付け孔を形成する一対の側壁の少なくとも一方には前記被掛け止め部が形成されており、前記被掛け止め部を形成した側壁に対応する前記フランジの部位には前記掛け止め部が形成されており、前記スイッチベースには引き上げ取っ手が前記掛け止め部から後方へ離れた位置に設けられている請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の自動車における着脱部品着脱構造。
【符号の説明】
【0052】
14…被取り付け対象としてのセンターコンソールボックス。141…上面。17…取り付け孔。18…着脱部品としてのスイッチベース。33A,33B…掛け止め部としての掛け止め片。330…ガイド面。332…側縁。35A,35B…被掛け止め部としての被掛け止め突起。352…側部。372…係合縁。R…組み付け方向。P…交差方向。Q…板厚方向。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車内で着脱部品が被取り付け対象に着脱可能に取り付けられる着脱部品着脱構造において、
前記被取り付け対象と前記着脱部品との一方には被掛け止め部が形成されており、
前記被取り付け対象と前記着脱部品との他方には掛け止め部が形成されており、
前記掛け止め部は、前記被掛け止め部に摺接するガイド面と、前記ガイド面に連なる係合縁とを有し、
前記係合縁は、前記被掛け止め部に係止可能、且つ前記被掛け止め部に対する前記掛け止め部の組み付け方向と交差する交差方向へ前記被掛け止め部を逃がし可能な形状に形成されており、
前記掛け止め部が前記被掛け止め部に対して組み付け移動されているときには、前記ガイド面が前記被掛け止め部に摺接する状態で前記掛け止め部が前記組み付け方向と前記交差方向とは異なる異方向へ弾性変形する自動車における着脱部品着脱構造。
【請求項2】
前記掛け止め部は、前記組み付け方向に延びる平板形状に形成されており、前記平板形状の前記掛け止め部は、板厚方向に弾性変形する請求項1に記載の自動車における着脱部品着脱構造。
【請求項3】
前記係合縁は、前記平板形状の前記掛け止め部の側縁に形成されている請求項2に記載の自動車における着脱部品着脱構造。
【請求項4】
自動車内で着脱部品が被取り付け対象に取り付けられる着脱部品着脱構造において、
前記被取り付け対象と前記着脱部品との一方には突起状の被掛け止め部が形成されており、
前記被取り付け対象と前記着脱部品との他方には掛け止め部が形成されており、
前記掛け止め部は、前記被掛け止め部に対する前記掛け止め部の組み付け方向に延び、板厚方向に弾性変形する平板形状に形成されたガイド面と、前記ガイド面の側縁に切欠き形成される係合縁とを有し、
前記被掛け止め部と前記係合縁とが係合されることで前記被掛け止め部と前記掛け止め部とが係止する自動車における着脱部品着脱構造。
【請求項5】
前記掛け止め部は、前記着脱部品に設けられている請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の自動車における着脱部品着脱構造。
【請求項6】
前記自動車は、センターコンソールボックスを備えており、前記着脱部品は、前記センターコンソールボックスの上面に設けられた取り付け孔に嵌合されるスイッチベースである請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の自動車における着脱部品着脱構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−119286(P2012−119286A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−270908(P2010−270908)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(308013436)小島プレス工業株式会社 (386)
【Fターム(参考)】