説明

自動車の座席

【課題】
自動車の後部座席の同乗者のために快適な座席を提供することである。
【解決手段】
本発明は、座面を備えた座部、及び、座席背もたれを有した自動車の座席、特に助手席に関する。この場合、座部及び座席背もたれは、湾曲レバー運動部を介して、相互に連結されており、座席背もたれは、座席背もたれ側の湾曲レバーの関節の周りで、傾きに関して調節可能であり、座席位置と前方に折り曲げられてできる保管位置の間の座席背もたれは、湾曲レバー運動部のナックルジョイントの周りを旋廻可能である。本発明の本質は、前記湾曲レバー運動部は、その保管位置にある座席背もたれが、後ろに円錐形に広がり、かつ、くさび状の脚空間/保管空間を構成し、その脚空間/保管空間が、座部の座面の底側と境をなし、かつ、背もたれの覆い側と境をなすように構成されていることを特徴とする自動車の座席。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の座席に関し、特に、請求項1の上位概念による、助手席、座席面を備えた座部を含め、及び、座席の背もたれに関する。更に、本発明は、このような自動車で備えられた自動車の座席規制、及び、既に決定された座席規制に従った自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
独国特許出願公開第102006002823号明細書から、座部、及び、座部の高さ及び/又は傾きの調節のための調節装置を備えるのに適した種類の自動車の座席は公知である。その際、座部が第1の位置に調節可能であり、この場合、第1の位置から出発して、調節装置を使用して、座部の位置は可変可能である。そして、迅速調節装置を使った調節装置は解除可能であり、かつ、それによって、調節装置の解除後、第2の位置に調節可能である。
【0003】
独国特許第19953687号明細書から、特別な調節金具を備えた自動車が公知であり、これは、自動車の座席の背もたれが、その座部に対して、調節軸の周りを傾き位置で調節することが可能となる。それだけでなく、折り曲げ軸が備えられ、この折り曲げ軸は、事前折り曲げ位置で背もたれを折り曲げるために、関節が備えられている。この場合、追加の方向止め具が備えられ、この方向止め具の、背もたれの後方折り曲げに対して反対方向に向けられた取付具は、制御装置を用いて、持ち上げ可能である。
【0004】
事前に折り曲げられた背もたれを前述のように支えることを可能とするために、かつ、座席ユーザのために、座席の使用位置で背もたれを後方に折り曲げ可能とするために、調節軸に依存しない関節が配置され、その結果、制御装置が直接に方向止め具に作用することができる。
【0005】
更に、自動車の座席は、特に、独国特許10149858号明細書、独国特許出願公開第10244290号明細書、独国特許10344086号明細書、独国特許10238487号明細書、独国特許出願公開10123776号明細書、及び、独国特許10218394号明細書から公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許出願公開第102006002823号明細書
【特許文献2】独国特許第19953687号明細書
【特許文献3】独国特許10149858号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第10244290号明細書
【特許文献5】独国特許10344086号明細書
【特許文献6】独国特許10238487号明細書
【特許文献7】独国特許出願公開10123776号明細書
【特許文献8】独国特許10218394号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、適した種類の自動車の座席のために課題に取り組んでおり、改善された実施形態を述べることであり、それは、特に、自動車の後部座席の同乗者のために快適な座席を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
これらの課題は、本発明より独立請求項によって解決される。より好ましい実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0009】
本発明は一般的な思考に基づき、普通の方法で調節可能な座席背もたれを備えた自動車の座席に、特別な湾曲レバーの運動部を与えることである。それは、座席背もたれが前方に倒された保管位置で、湾曲レバーの運動部のナックルジョイントの周りを旋廻することを許容していて、しかも、座部上にある座席背もたれの場合、後ろに円錐形に広がり、かつ、くさび状の脚空間/保管空間を構成し、その脚空間/保管空間が、座部の座面の底側と境をなし、かつ、背もたれの覆い側と境をなすように構成されている。それだけでなく、湾曲レバーの座席背もたれ側の関節の周りを、背もたれの傾きに応じて調節され、その結果、傾きに関する座席背もたれの調節、及び、保管位置での座席背もたれの調節が、平行の、つまり、互いに距離を持った軸の周りで生じている。座席背もたれが動作する場合、後ろに開いてくさび形状の脚空間/保管空間は、後部座席に、つまり、自動車座席の後ろに座る乗客に、乗客の脚が三角錐に構成された脚空間/保管空間で快適に収納することを可能とし、かつ、それによって、明らかに快適な座席位置を得ることができる。これらの効果は、本発明による自動車の座席が保管位置にある場合、計器盤の方向に調節可能であること、及び、後部座席乗車客が自由に使える脚空間が明らかに拡大することで更に増強される。後部座席乗車客が構成された脚空間/保管空間を、脚をしまうために使用しないのであれば、その空間に、物、例えば、ノート型パソコン、又は、手荷物を問題なく詰め込むことが可能である。明らかに高められた座席快適性の他に、保管位置にある座席背もたれは、例えば、自動車座席のヘッドレストに妨げられることなしに、後部座席乗車客の位置でも、前方に自由な視界を可能としている。折り曲げられた座席背もたれは、後部座席乗車客に、明らかに高められた供給空間を開け、それは、比較的長い旅でも極めて快適な走行、又は乗車が可能となる。
【0010】
本発明の解決の更に好ましい形態は、自動車座席の座部の後ろの端に脚支えを備えることで、かつ、保管位置にある背もたれは、脚台を構成することである。脚支えは、手、又は、適当な調整装置を使うことで動作可能であり、その場合、本発明による脚支えが対応する調節運動部を介して、自動車座席の座席背もたれと連結され、その結果、脚支えは、座席背もたれが前方の保管位置に折り曲げられない限り、自動的に使用状態にすることができる。本発明による脚支えを備えると、座部と内部空間底面の間の高さの差を問題なくなくすことができ、この場合、その状態で、脚支えは、特に快適な保管位置を後部座席同乗者のために構成することができる。脚支えは、この場合、例えば、汚れに抵抗力のある、又は、軽量の洗浄可能な表面を備えることが可能であり、その結果、脚支えの表面に至る汚れは、軽量で、元通りに取り除き可能であり、例えば、洗ってきれいにすることが可能である。このため、本発明による脚支えは、特に簡単な方法で、洗浄することが可能である。
【0011】
本発明による解決の更なる好ましい実施形態によると、脚支えは、使用しない位置で、座席背もたれに対して突出しないように収容されるように構成されている。脚支えは、この場合、例えば、いくつかの互いに折り曲げ可能なものから作られ、つまり、旋廻可能であり、脚支え部が構成され、それから、少なくとも1つの座席位置にある座席背もたれがそれに収納されるように構成されており、かつ、それによって、座席背もたれと自動車座席の座部の間の隙間が、視覚的に好感を与えるように収納されている。脚支え、又は、使用位置にない同一部分の場合で得られる座席背もたれに収納される位置は、例えば、対応する調節運動部を用いて、自動的に引き起こされる、又は、簡単に手で折り曲げことによって引き起こされる。
【0012】
本発明の更なる重要な特徴や利点は、下位の請求項や、図面や、図面に基づく添付する図面の記述から明らかである。
【0013】
前述で挙げられた、及び、次に更に説明する特徴は、本発明の範囲内においては、述べられた組み合わせだけでなく、異なる組み合わせや全ての考え方で利用可能である。
【0014】
本発明の好ましい実施例は図面で記載され、かつ、次の記述でより詳しく説明する。この場合、同じ符号は、同一、又は、類似した、又は、機能的に同じ部分である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1a】図1aは、本発明による自動車の座席を示している。
【図1b】図1bは、本発明による自動車の座席を示している。
【図1c】図1cは、本発明による自動車の座席を示している。
【図1d】図1dは、本発明による自動車の座席を示している。
【図1e】図1eは、本発明による自動車の座席を示している。
【図1f】図1fは、本発明による自動車の座席を示している。
【図2a】図2aは、脚空間/保管空間、及び、本発明による自動車の座席の脚支えの詳細図を示している。
【図2b】図2bは、脚空間/保管空間、及び、本発明による自動車の座席の脚支えの詳細図を示している。
【図2c】図2cは、脚空間/保管空間、及び、本発明による自動車の座席の脚支えの詳細図を示している。
【図3a】図3aは、脚支えの詳細図を示している。
【図3b】図3bは、脚支えの詳細図を示している。
【図3c】図3cは、脚支えの詳細図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1aから図1fにしたがって、同乗者側に描かれた自動車の座席の内部空間1と、前方の座席2と、及び、進行方向の後ろに配置された後部座席3を備えている。前方の座席2は、背もたれ4を含み、かつ、座席面5を備えた座部6を含んでいる。座席背もたれ4は、公知の方法で、座席背もたれ側の関節7(図2a参照)を中心に傾きに関して調節可能である。座席背もたれ4が、湾曲レバー運動部8を介して座席部6と結合している場合、この湾曲レバーは、座席背もたれ4、又は、座部6の横に取り付けられている2つの湾曲レバー9が備えられている。この場合、座席位置の間の座席背もたれ4があるのが一般的であり、例えば図1aのように示され、かつ、前に折り曲げられた保管位置が示され、図1cから図1fのように示されるように、湾曲レバー9のナックルジョイント10の周りを旋廻可能である。本発明によると、この場合、湾曲レバーの運動部8は、その保管位置にある座席背もたれ4が、後ろに円錐形に広がり、かつ、くさび状の脚空間/保管空間11を構成し、その脚空間/保管空間11が、座部6の座面5の底側と境をなし、かつ、背もたれ4の覆い側と境をなすように構成されている。
【0017】
図1aから図1fから、前方座席2の様々な座席位置が示され、並びに、後部座席3に座る人12のために生じる手段を示している。図1aは、前方座席2の座席位置を表しており、その前方座席2で、その座席背もたれ4が、おおよそ垂直位置にあり、それによって、この座席に、前方座席2に図示されていない人が座るのを可能にする。座席位置では、構造空間に制限されて、後部座席に座る人12のための脚空間も対応して制限される。特に、後部座席3に座る人12のための供給空間を大きくすることを可能とするために、例えば、図1b及び図1cにより示されるように、座席背もたれを、ナックルジョイント10を中心に、前方に、保管位置で倒すことが可能である。前方に倒された座席背もたれ4によって、後ろに円錐形に拡張した脚空間/保管空間11が開け、その結果、後部座席3に座る人12は、脚空間/保管空間11で、脚を格納、又は、例えば、動作することが可能となる。
【0018】
人12の脚空間の拡大のために、図1d及び図1fのように、前方の座席2を進行方向前方へずらすことが可能であり、かつ、より詳しくいうと、座席背もたれ4を計器盤13の下へ、押し動かすことが可能となる。図1cと図1dとを比較して、後部座席3に座る人12のための脚空間は、明らかに拡大していることがわかる。座部6の後ろの端で、本発明による脚支え14が更に備えられており、これは、保管位置にある座席背もたれ4が、例えば、図1fに図示されるように、人12のために脚台を構成している。図1aと図1fとを比較すると、本発明による自動車の座席/前方座席2を備えることで、後部座席に座る人12の行動の自由が明らかに拡大すること可能であることがわかり、それによって、人12の乗り心地が明らかに改善される。特に、これより、長い距離の問題も、極めて快適に運転することが可能となる。
【0019】
図2と図3で、再度詳細に、座席背もたれ4を前方に倒すこと、又は、開いた脚空間/保管空間11及び脚支え14が示されている。例えば、図2c及び図3cにより示されるように、使用位置の間、脚支え14は、調節可能であり、かつ、例えば、図2aにより示されるように、使用位置にない場合も調節可能である。使用位置のない場合は、脚支え14、又は、少なくとも1つの部分15は、同一に座席背もたれ4に収納するように配置されており、それによって可能な方法は、座席背もたれ4と座部6との間に存在するすき間にしまい込むことが考えられる。例えば、図2c及び図3cに示されるように、使用位置に完全に移行した脚支え部の場合、自動車の座席2の底面5に沿うために、自動車底面から傾いた傾斜路を構成する。脚支え14は、繊維の脚保管面16、並びに、対応する座席背もたれ4の被覆を作成する裏面17を備えている。特に、繊維の脚保管底面16は、清掃するために、汚れの付きにくい、又は、軽量に構成され、かつ、折り曲げ可能な被服から逸脱して、防水加工を施した表面を備えることも可能である。
【0020】
図1a及び図1fにより図示された位置の間の前方座席の移動のために、例えば、電気的な位置手段が備え付けることが可能であり、しかし、純粋に手による調整も考えられる。この場合、座席背もたれ4がその保管位置で前方へ折り曲げることが特にもっぱら可能であり、前方座席2が完全に後ろに移動した位置にある場合、それによって、座席背もたれ4の前方への折りたたみを、計器盤にぶつかることなしに、可能にする。類似した方法で、脚支え14も、マニュアルか、図示されていない調節装置を使って、脚支え14の使用位置と使用していない位置の間を調節可能である。この場合、調節運動学も考えられ、それは、前方座席2がそれに対応した位置にある場合に、脚支え14を使用位置、又は、使用していない位置に移動することが可能である。本発明による前方座席2を備えると、伸ばされた足を快適な座席位置に置くことが可能となることが、とても大きな人々でさえ問題なく可能にする。座席背もたれの傾きの調節及び前方に折り曲げは、同一に、原則的に2つの平行の互いに距離を持った軸の周りに生じる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
座面(5)を備えた座部(6)、及び、座席背もたれ(4)を有した自動車の座席、特に助手席であって、
-座部(6)及び座席背もたれ(4)は、湾曲レバー運動部(8)を介して、相互に連結されており、
-座席背もたれ(4)は、座席背もたれ側の湾曲レバー(9)の関節(7)の周りで、傾きに関して調節可能であり、
-座席位置と前方に折り曲げられてできる保管位置の間の座席背もたれ(4)は、湾曲レバー運動部(8)のナックルジョイント(10)の周りを旋廻可能な自動車の座席において、
前記湾曲レバー運動部(8)は、その保管位置にある座席背もたれ(4)が、後ろに円錐形に広がり、かつ、くさび状の脚空間/保管空間(11)を構成し、その脚空間/保管空間(11)が、座部(6)の座面(5)の底側と境をなし、かつ、背もたれ(4)の覆い側と境をなすように構成されていることを特徴とする自動車の座席。
【請求項2】
請求項1に記載の自動車の座席において、
座部(6)の後ろの端に脚支え(16)が備えられており、保管位置にある座席背もたれが、脚台を構成することを特徴とする自動車の座席。
【請求項3】
請求項2に記載の自動車の座席において、
脚支え(14)は、使用位置と使用しない位置との間で調節可能であり、特に、折りたたみ可能に構成されていることを特徴とする自動車の座席。
【請求項4】
請求項3に記載の自動車の座席において、
脚支え(14)は、使用しない位置で、座席背もたれ(4)に対して突出しないように収納されるように構成されていることを特徴とする自動車の座席。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の自動車の座席において、
脚支え(14)は、自動車の座席(2)の底面(5)のために、自動車底面から傾いた傾斜路を構成することを特徴とする自動車の座席。
【請求項6】
請求項2乃至5のいずれかに記載の自動車の座席において、
脚支え(14)は、繊維の脚保管面(16)、並びに、対応する座席背もたれ(4)の被覆を作成する裏面17を備えていることを特徴とする自動車の座席。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の自動車の座席において、
自動車の座席(2)は、使用しない位置にある座席背もたれ(13)を、計器盤(13)の下方の脚空間で調節可能であり、かつ、それによって、かなりの拡大した脚空間を、その後ろに座る後部座席の人(12)のために構成することを特徴とする座席配置。
【請求項8】
請求項7に記載の自動車の座席において、
座席位置と、前へ折り曲げられた座席背もたれ(4)の間を、自動車の座席(2)の調節のために、電気的な位置手段が備えられていることを特徴とする座席配置。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の自動車の座席配置をした自動車。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図1d】
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【図1e】
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【図1f】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【公開番号】特開2010−36892(P2010−36892A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−166215(P2009−166215)
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【出願人】(508174975)ドクトル イング ハー ツェー エフ ポルシェ アクチエンゲゼルシャフト (134)
【氏名又は名称原語表記】Dr. Ing. h.c. F. Porsche Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Porscheplatz 1, D−70435 Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】