説明

自動車の推進力能力の決定方法

本発明は、自動車(1)を推進させるために様々な速度伝達比をとるように構成されかつ少なくとも1つのエンジン(10)および少なくとも1つの変速機(20)を備える伝動機構が装備された前記自動車(1)の推進力能力を表す第1のパラメータRを決定する方法に関する。この第1のパラメータRは、第1の推進力FMaxと第2の推進力FDrの差に基づいて決定され、第1の推進力FMaxは、現在速度伝達比で自動車(1)のために利用可能な最大推進力であり、第2の推進力FDrは、自動車(1)の現在走行抵抗である。本発明は、また、そのようなパラメータの使用に関し、さらにそのようなパラメータに関連したコンピュータプログラム、コンピュータプログラム製品、システムおよび自動車に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の推進力能力を表すパラメータを決定する方法に関する。特に、本発明は、独立請求項1のプリアンブルに記載の方法に関する。本発明は、また、そのようなパラメータの使用に関し、さらにコンピュータプログラム、コンピュータプログラム製品、そのようなパラメータに関連したシステムおよび自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、自動車1、例えば乗用車、またはトラックやバスなどの大型自動車の伝動機構の部分を模式的に示す。伝動機構は、エンジン10を備え、このエンジン10は、この場合、軸によってクラッチデバイス40を介して変速機20の第1の端に機械的に接続されている。変速機20は、変速機20の第2の端がプロペラ軸50によって後ろ車軸に関連した差動ギヤ30に機械的に接続されている。後ろ車軸は、自動車1の図示されない動力輪を駆動する左および右駆動軸60を備えている。
【0003】
この良く知られた配列によって、エンジン10の機械的仕事は、クラッチデバイス40、変速機20、プロペラ軸50、差動ギヤ30および駆動軸60のようないくつかの伝達デバイスを介して、自動車1を推進させるために動力輪に伝えられる。変速機20は、自動車1を前に推進させるいくつかの前進ギヤと、また、普通1つまたは複数の後退ギヤとを持っている伝達デバイスである。前進ギヤの数はいろいろであるが、例えば、より近代的な種類のトラックでは、12個の前進ギヤが普通である。
【0004】
伝動機構の速度伝達比は変化することができ、それによって伝動機構が様々な比をとることができるようになる(すなわち、様々な速度伝達比構成)。様々な比は、とりわけ、変速機20で現在噛み合っているギヤおよび差動ギヤ30の比に依存する。留意される可能性のあることであるが、いくつかの異なる個別の速度伝達比をとることができる伝動機構と、また、連続した範囲の比を持つ伝動機構、例えば、いわゆる変換器を有する自動変速機20または連続可変伝達を有する他の型の変速機20がある。
【0005】
その上、大抵の自動車1は、1つまたは複数の電子制御ユニット110(ECU)を含む制御システムを持っている。前記制御システムの目的は、例えば、エンジン制御、ギヤチェンジ、走行制御、懸架構成、その他などの自動車1の様々な機能に関連することがある1つまたは複数のアクチュエータを用いて自動車1の1つまたは複数の機能を制御/調節することであり、前記制御システムは、いくつかの異なるパラメータ、例えば、現在エンジン速度、現在アクセルペダル位置、現在エンジントルク、および様々なセンサからのデータを使用して、自動車1の様々な機能を制御する。したがって、これらのパラメータは、自動車1の様々な機能を制御する制御システムで入力パラメータとして使用される。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、自動車、例えば乗用車、バスまたはトラックの走行状況を考慮に入れたパラメータを決定する方法を提案することである。本発明の他の目的は、例えば自動車の1つまたは複数の機能に関連した用途でそのようなパラメータを使用する方法を提案することである。本発明のさらに他の目的は、従来技術のパラメータを使用することと比べて、自動車の1つまたは複数の機能の制御および/または性能を改善するように使用することができるパラメータを提案することである。
【0007】
本発明の一態様によれば、上の目的は、自動車(1)を推進させるために様々な速度伝達比をとるように構成されかつ少なくとも1つのエンジン(10)および少なくとも1つの変速機(20)を備える伝動機構が装備された前記自動車(1)の推進力能力を表す第1のパラメータRを決定する方法を使って達成される。この第1のパラメータRは、第1の推進力FMaxと第2の推進力FDrの差に基づいて決定され、第1の推進力FMaxは、現在速度伝達比で自動車(1)のために利用可能な最大推進力であり、第2の推進力FDrは、自動車(1)の現在走行抵抗である。
【0008】
上の方法の一実施形態は、さらに、自動車(1)の加速能力を表し上の前記第1のパラメータRと標準化因子の比として定義される第2のパラメータRAccを決定することを含む。上の方法のさらに他の実施形態は、本方法に関連する従属請求項で述べられる。
【0009】
本発明は、また、上の方法に関連したコンピュータプログラムおよびコンピュータプログラム製品に関する。
【0010】
本発明の他の態様によれば、上の目的は、自動車(1)の推進力能力を表す第1のパラメータRを決定するシステムを使って達成され、このシステムは、前記自動車(1)を推進させるために様々な速度伝達比をとるように構成されかつ少なくとも1つのエンジン(10)および少なくとも1つの変速機(20)を備える伝動機構が装備された前記自動車(1)の1つまたは複数の機能を制御するように構成された少なくとも1つの制御ユニット(110)を備える。この制御ユニット(110)は、第1の推進力FMaxと第2の推進力FDrの差に基づいて前記第1のパラメータRを決定するように構成され、第1の推進力FMaxは現在速度伝達比で自動車(1)のために利用可能な最大推進力であり、第2の推進力FDrは自動車(1)の現在走行抵抗である。
【0011】
上のシステムの実施形態は、本システムに関連する従属請求項で述べられる。
【0012】
本発明は、さらに、上の方法またはシステムのいずれかに従って決定されるパラメータの使用に関する。本発明は、また、少なくとも1つのそのようなシステムを備える自動車に関する。
【0013】
本発明による方法およびシステムは、自動車の推進力能力を決定するとき、自動車の走行状況を含みかつ考慮に入れるパラメータをもたらす。したがって、そのようなパラメータは、様々な機能の制御および監視に関連した用途の範囲で使用することができ、1つの直接的な用途は、仮想アクセルペダル位置または仮想ドライバのモデル化である。さらに、どんな前記モデル化の結果も、それ自体、他の用途で、例えば、ギヤチェンジ方策の選択およびドライバのためのヒントの表示で間接的に使用することができる。
【0014】
本発明によるデバイスおよびシステムに関係した有利点および用途は、下に示される詳細な説明によって示される。
【0015】
以下に示される本発明の詳細な説明は、添付の図面に関連して本発明の実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】自動車の伝動機構の一部を模式的に示す図である。
【図2】エンジンの速度の関数として最大トルクを示すグラフである。
【図3】自動車の加速能力を表す値を仮想アクセルペダル値に変換する写像関数を示すグラフである。
【図4】走行制御設定に関連して自動車の加速能力を表す値を仮想アクセルペダル値に変換する写像関数を示すグラフである。
【図5】自動車の加速能力の関数として空気圧縮機の基準圧力を示すグラフであり、自動車の空気タンクが加圧されるべきときを決定する際に使用可能である。
【図6】変速機のダウンシフト線およびアップシフト線を示すグラフである。
【図7】エンジン目標速度線に関連するダウンシフト線およびアップシフト線を示すグラフである。
【図8】本発明に従ったシステムの一部を形成するように意図された制御ユニットを示す図である。
【図9】自動車の加速能力の値を使用して仮想アクセルペダル値を決定する流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
上で言及されたように、自動車1の制御システムは、自動車1の様々な機能を制御するためにいくつかの入力パラメータを使用する。これらの入力パラメータは、例えば、現在エンジン速度、現在アクセルペダル位置、現在エンジントルク、および自動車1に装備された1つまたは複数のセンサからのデータであることがある。
【0018】
しかし、最先端技術に従ってそのようなパラメータを使用することは、最先端技術に従った入力パラメータが、自動車1の瞬間走行状況を考慮に入れていないので自動車1の機能の制御/調節があまり有利でないやり方で行われることにつながる可能性があり、したがって十分に包括的でない情報内容を持っているといわれる可能性があるという洞察を、本発明者達は得た。例えば、ギヤチェンジの方策は、静的になりやすい可能性があり、さらに、これらの入力パラメータが最先端技術に従って決定されるとき前記走行状況が考慮に入れられていないために、燃料消費は、必要以上になる可能性がある。様々な走行状況の例は、上り勾配、下り勾配、丘の頂上、およびくぼみでの自動車1の運転を含み、すなわち、走行状況は、自動車1の移動方向の道路勾配に実質的に関連するが、また変化する風抵抗、変化する車両重量、その他のような要素にも実質的に関連している。
【0019】
上記のことは、自動車1の走行状況を考慮に入れるパラメータを決定する方法およびシステムが必要であることを示している。このパラメータは、好ましくは、自動車1の様々な機能に関連した用途の範囲で入力パラメータとして使用される可能性がある。
【0020】
したがって、本発明は、自動車1、例えば乗用車、バスまたはトラックの推進力能力を表す第1のパラメータRを決定する方法に関する。自動車1には、自動車1を推進させるために様々な速度伝達比をとるように構成されかつ少なくとも1つのエンジン10および少なくとも1つの変速機20を備える伝達機構が装備されている。
【0021】
本発明に従って、第1のパラメータRは、第1の推進力FMaxと第2の推進力FDrの差に基づいて決定され、第1の推進力FMaxは、現在伝動機構速度伝達比で自動車1のために利用可能な最大推進力であり、第2の推進力FDrは、自動車1の現在走行抵抗である。現在伝動機構速度伝達比は、自動車1を推進させる伝動機構のそれぞれの比を意味する。
【0022】
具体的には、第1のパラメータRは、現在伝動機構速度伝達比で自動車1をその移動方向に推進させるのに「役立つ」利用可能な推進力の最大和を表す第1の推進力FMaxと、すなわち自動車1の利用可能な推進力と、自動車1の移動方向またはこれと反対方向に自動車1に作用する推進力の和、つまり自動車1の現在走行抵抗である第2の推進力FDrとの差として解釈されることがある。
【0023】
図2は、エンジン10の速度の関数としてのエンジン10の最大トルク曲線のグラフである。グラフ中の点P1〜P3は、最大トルク曲線の様々な区切り点を表している。グラフは、また、エンジン10がエンジントルクM1で速度R1で動く、したがって、矢印で示されたM2−M1に等しい差だけ最大トルク曲線よりも下で作動している状況の例に関する。したがって、最大推進力は、エンジン10が現在エンジン速度で最大トルク曲線上で作動する場合に、伝動機構を介して自動車1をその移動方向に推進させる推進力を意味する。
【0024】
具体的には、本発明の実施形態に従った第1の推進力FMaxは、
Max=EngTol×iTol (1)
として定義され、ここで、EngTolは、現在エンジン速度においてエンジン10の最大エンジントルクで利用可能な捻りモーメントを意味し、iTolは、動力輪半径を考慮に入れて自動車1の動力輪を含めた動力輪までの伝動機構の現在速度伝達比を意味する。
【0025】
他の実施形態に従って、第2の推進力FDrは、正の値(例えば、上り勾配で)または負の値(例えば、下り勾配で)をとることができかつ自動車1の移動方向に対して反対方向に作用する推進力である。第2の推進力FDrは、空気抵抗、転がり抵抗、前記伝動機構での摩擦、慣性モーメント、前記自動車1の重量、道路勾配、すなわち現在走行抵抗に影響を及ぼす要素の中の1つまたは複数のパラメータに依存する。しかし、地理的な地図データおよび同様なものが、また、第2の推進力FDrを決定する際に使用されることがある。というのは、例えば、道路勾配は、関連した地図データから得ることができるからである。
【0026】
具体的には、本発明の実施形態に従った第2の推進力FDrは、
Dr=FRf−m×a (2)
として定義され、ここで、FRfは、エンジン10の実際の現在推進力を意味し、mは自動車1の重量、aは自動車1の加速度を意味する。図2の例では、エンジン10の実際の推進力は、M1に等しい。
【0027】
大部分の場合に、第2の推進力FDrは、より多く変化する推進力だろう。というのは、例えば、道路勾配が第2の推進力FDrに影響するパラメータであるからである。しかし、第1の推進力FMaxもまた変化するだろう。というのは、伝動機構速度伝達比は、変速機20の現在速度伝達比、自動車1の車輪半径、エンジン10の最大トルク曲線のばらつき、その他のような要素で変わるからである。しかし、大抵の場合に、エンジンパワーと、第1の推進力FMaxの式の一部も形成する差動ギヤの速度伝達比とは一定であろう。
【0028】
本発明のさらに他の実施形態に従って、第1のパラメータは、
=FMax−FDr (3)
として決定され、すなわち、第1のパラメータRは、式(3)に従った差として定義され、負の値、正の値またはゼロの値をとるだろう。負の差は、自動車1が現在伝動機構速度伝達比で加速することができないこと、すなわち、自動車1がパワー不足で失速する(すなわち、減速する)ことを意味する。ゼロの差は、自動車1は、現在速度を維持することができるがより高速に加速することができないパワー平衡の状態にあることを意味する。正の差は、図2に示されるように、少なくともエンジン10が、与えられたエンジン速度の最大トルク曲線上で作動する場合には、自動車1は加速する可能性を持っていること、すなわち自動車1はパワー過剰であることを意味する。
【0029】
第1のパラメータRは、自動車1の現在推進力能力/加速能力の絶対尺度を与える。というのは、第1のパラメータRが自動車1の現在特性および走行状況に関連しているからであり、このことは、とりわけ、第1のパラメータRが使用可能であるためには第1のパラメータRが前記特性および走行状況に関連している必要があることを意味する。特性の例は、自動車重量、エンジンパワー、および伝動機構構成である。また、走行状況の例は、道路勾配および道路表面である。第1のパラメータRは、絶対尺度であるので、例えばR=10000Nの値は、1000kgの重さのある自動車1については大きな加速能力を表し、100000kgの重さのある自動車1については非常に小さな加速能力を表す。
【0030】
対照的に、自動車1の現在利用可能推進力能力に関連して式(3)に従った差の標準化は、自動車の現在加速能力(加速度はもちろん物理学の法則に従って加速度とパワーの間の関係に基づいて第1のパラメータRから得ることができることを、専門家は理解するだろう)の相対的尺度を与え、この相対的尺度は、自動車が加速することができる能力として解釈されるべきである。到達する結果は、自動車1のエンジンパワー、道路勾配、転がり抵抗、風抵抗、その他についての情報を含む無次元ユニットである。
【0031】
上記のような相対的尺度の有利点は、利用可能なエンジンパワーのどのくらいが自動車1を加速させることができるために必要とされるかを示す値を、相対的尺度が与えることである。このことは、異なる機能に関連した、例えば速度伝達比の選択、発電機の運転、空気圧縮機の運転、その他に関する制御方策に関連した様々な用途で、前記値が、直接的または間接的に有利に使用可能であることを意味している。RAccの計算によって、エンジンパワーが自動車1を加速させるのに十分でないだろうという結果が生じた場合に、制御システムは、同時に、最大推進力を供給する速度でエンジン10を動かそうとしながら、エネルギーを吸収する資源(例えば、空気圧縮機、発電機、その他)を「控えめに使う」ようにすることができる。このことは、制御システムが、例えば空気タンクに空気を満たす代わりに自動車1を推進させるためにエンジン10のトルクのできるだけ多くを使用しようとすることを意味し、制御システムは、「無料」のエネルギーを使用する可能性があるとき、例えば下り勾配で自動車1のエンジンブレーキ中に、時々これを行うように努力する。したがって、前記パラメータが自動車1の多くの異なる機能で使用可能であることは理解され、以下の説明で、前記パラメータは第2のパラメータRAccと呼ばれる。
【0032】
このように、本発明の実施形態は、自動車1の加速能力を表しかつ第1のパラメータRと標準化因子の比として決定される第2のパラメータRAccを決定する方法に関する。好ましい実施形態では、第2のパラメータは、次式として決定され、
【0033】
【数1】


ここで、分母の項は標準化因子であるので、自動車1は、RAcc>0である場合には加速過剰であり、RAcc<0である場合には加速不足であり、RAcc=0の場合には加速平衡である。さらに、RAcc>1の場合には、エンジンパワーの全てを自動車1を加速させるために使用することができ、この場合に、自動車1は、どんなパワーもエンジン10から供給される必要なしに速度を増す(急な下り勾配のように)。
【0034】
第2のパラメータRAccは、自動車1の異なる機能に関連した多くの分野の用途の中で使用することができ、例えば、その後、自動車1のさらに他の用途で入力データとして使用することができる「仮想アクセルペダル値」を決定する際に使用することができる。
【0035】
したがって上記の観点から、本発明は、また、自動車1の様々な機能に関連したいくつかの異なる用途、例えば、
・仮想アクセルペダル値または仮想ドライバの決定
・ギヤチェンジ選択の制御およびギヤチェンジ方策の選択
・付属物、例えば圧縮機、発電機およびACポンプの制御
・例えばバックにするときドライバが経済的に運転するかしないかを決定するためなどのドライバ向けヒント
・走行制御による速度維持
などで第1のパラメータRおよび/または第2のパラメータRAccを使用することにも関する。
【0036】
上で言及されたように、第1のパラメータRまたは第2のパラメータRAccは、仮想アクセルペダル値を決定するために使用されることがある。この背景では、仮想アクセルペダル値は、実際のアクセルペダル値と異なる可能性がありまた普通異なっている理論計算値を意味し、実際のアクセルペダル値は、自動車1が動いている間にドライバがアクセルペダルを押し下げるときアクセルペダルがとる実際の値である。第2のパラメータRAccが、そのような仮想アクセルペダル値を計算するために使用される場合、この計算は、図3にグラフで示されるような写像関数を用いて行われることがあり、図3では、仮想アクセルペダル値Pv(y軸)は、自動車1の加速能力を表す第2のパラメータRAcc(x軸)に対してプロットされている。
【0037】
図3は、仮想アクセルペダル値が、前記写像関数によって、第2のパラメータRAccが0よりも小さな値をとるとき全加速に対応する100%に、またRAccが1よりも大きな値をとるとき無加速に対応する0%に、どのようにして変えられるかを示している。第2のパラメータRAccのそのような写像は、仮想アクセルペダル値が、パワー平衡またはパワー不足の状況すなわちRAcc≦0のとき100%に変えられ、自動車がパワー過剰であるとき0と100%の間のどこか(図3で、関数がこの範囲内で直線である)に変えられることを意味している。
【0038】
エンジンパワーの全部が自動車1を加速させるために使用可能であるとき、すなわちRAcc=1のとき、アクセルペダル値は0%に変えられる。すなわち、ドライバが経済的に運転していて一定速度を維持したいと望むとき、すなわち、丘の頂上および下り勾配でエンジン出力を緩め、さらに登りの始めおよび上り勾配でより多くのパワーを利用するとき、可能な用途が、実際のドライバが行うアクセルペダルの動きを模倣しょうとすべきであるかもしれない状況に変えられる。このように、実際のドライバの挙動は、その用途に従って仮想ドライバによってモデル化される。したがって、理解されることであろうが、仮想アクセルペダル値は、アクセルペダル値に依存する用途の範囲内で、例えばドライバにヒントを与えるための仮想ドライバのモデル化、付属物ユニットの制御、ドライバのためのヒントの表示、その他で使用することができる。また留意されるべきことであるが、仮想アクセルペダル値は、前記用途で唯一の入力パラメータとしてか、他の入力パラメータ例えば実際のアクセルペダル値と組み合わせてかのどちらかで使用されることがある。
【0039】
図4は、走行制御を使用するときの仮想アクセルペダル値の写像関数の例を示す。y軸は、仮想アクセルペダルの許容値を表し、x軸は、走行制御で固定された所望速度(すなわち、走行制御に設定された所望速度)と自動車1の実際の現在速度の差を表す。これら2つの速度のこの差が、仮想アクセルペダルがとることができる許容値を決め、第2のパラメータRAccの仮想アクセルペダル値は、これらの極値の間に決定される(例えば、図3に示された写像関数によって)。例えば、走行制御で走るとき、制御システムは、ドライバが自動車1に走ってほしいと思っている速度を知り、したがってVSet、すなわち図4の0のオフセット値に対応する所望速度、からのずれ(オフセット)を考慮に入れることができる。速度がVSetよりも落ちた場合には、ペダル値の動きの自由度が減少し、ペダル値は、強制的に最大値(図4のMax)の方に押しやられる。同様に、速度がVSetよりも上がった場合には、動きの自由度は同じように減少し、自動車1を所望速度VSetに保つという目的で、ペダル値は、最小値(図4のMin)の方に絶えず強制的に押しやられる。
【0040】
そのようなバージョンは、第2のパラメータRAccが、制御システムが様々な走行条件例えば道路勾配に依存して自動車1の一定速度を維持しようとする走行制御用途に関連するアクセルペダル計算の入力パラメータであること意味し、また、アクセルペダル値の制限は、制御システムが自動車の速度を増加/減少させようと望むかどうかを示す。このような用途では、制御システムは、仮想ドライバを使用して、一定速度を維持しようとする実際のドライバをモデル化しようとする。このことは、自動車1が目標速度より上/下である場合に、このずれは、速度をそれぞれ減少または増加させることによって補償されることを意味する。対照的に、自動車1が所望速度である場合、アクセルペダル値(モデルのRAcc)を決定するのは、道路勾配、風抵抗、自動車重量、その他のような環境要素である。
【0041】
さらに制御システムは、例えば、丘の頂上を超え下り勾配でアクセルを緩めることによって、また自動車1が登り始めるときより多くの加速度を利用することによって自動車1を経済的に運転する想像上のドライバが利用する仮想アクセルペダル位置をモデル化することがある。それから、仮想アクセルペダル位置は、実際のアクセルペダル位置を入力パラメータとして使用する自動車1に属する制御システムで入力パラメータとして使用されることがある。そのとき、そのような手順は、例えば、走行制御で走っている自動車1でギヤ選択を導くために使用されて、仮想アクセルペダルを考慮に入れ、非常に低いエンジン速度したがって燃料消費減少および機械的摩耗減少ももたらすギヤチェンジの可能性を与えることがある。そのような状況の例は、エンジンが「トレール」される、すなわちエンジンブレーキが掛けられる下り勾配である。そのような状況でトップギヤ(例えば、オーバードライブ)を噛み合わせることで、非常に低いエンジン速度になり、エンジン10の摩擦が減少し、さらに、そうでなければエンジンブレーキで失ってしまうエネルギーを自動車1がむしろ使用して、加速することができるようになる。
【0042】
より詳細には、仮想アクセルペダル値の決定は、例えば、次のステップを含む図9の流れ図に従って行われることがある。
1.自動車1に装備された様々なセンサの読取りが行われ、また自動車1の他のシステムからの、例えばエンジン制御システム、ブレーキ制御システム、および変速機制御システムからの利用可能な情報/データの読取りが行われる。
2.自動車1の構成、例えば差動速度伝達比、変速機20の型、その他、についての関連情報を含めて、制御ユニットの構成について自動車データを読み込む。
3.上のステップ1およびステップ2で受け取られた情報/データに基づいて自動車1の現在走行抵抗FDrを計算する。
4.エンジン10が現在エンジン速度で供給することができる最大フライホイールトルクに基づいて(図2のトルク曲線と比較)、現在伝動機構速度伝達比での自動車1の現在最大駆動力FMaxを計算する。
5.上のステップ3および4で受け取られた値に基づいて、標準化因子で標準化された推進力能力Rとして決定される、自動車1の加速能力RAccを計算する。
6.自動車1の加速能力RAccを仮想アクセルペダル値(Pv)に変換する。この変換は、前に説明された写像法のどれかによって行われることがある。
【0043】
第1のパラメータRおよび/または第2のパラメータRAccの他の使用は、様々な付属物、例えば自動車1の空気圧縮機、発電機、およびAC(空気調和)ポンプの制御である。空気圧縮機の制御は、自動車1がパワー過剰/加速過剰であるとき、圧縮機が空気を詰めるために持っている基準圧力が上昇するようなやり方で行われことがある。このことは、制御システムが、例えば下り勾配で生じる過剰エネルギーを利用してこの状況で圧縮機を動かし、それによって制御システムが「無料」で利用可能なエネルギーを持つとき空気タンクに高圧力を持つように努力し、反対にエネルギーがエンジン10から取り出されなければならいとき空気タンクにより低い圧力を持つように努力することを意味する。このことは、制御システムが、燃料がエンジン10に噴射されているとき空気圧縮機を動かすのを避け、したがってそのような状況で出力が空気圧縮機に行かないようにすることを意味する。図5は、空気圧縮機の基準圧力を第2のパラメータRAccによってどのように直接制御することができるかの例を示す。この例は、基準圧力PRefが自動車1の加速能力RAccの関数としてどのように表されるかを示す。図5の関数は、自動車1が加速不足(パワー不足)であるとき基準圧力PRefが低く、加速過剰(パワー過剰)であるとき基準圧力PRefが高いことを示し、これらの間で基準圧力が直線的に増加している。基準圧力PRefは、また、それ自体第2のパラメータRAccによって決定される仮想アクセルペダル値に依存して作られることで、第2のパラメータRAccによって間接的に制御されることがある。
【0044】
第1のパラメータRおよび/または第2のパラメータRAccのさらに他の使用は、変速機20に関してギヤチェンジ選択およびギヤチェンジ方策を決定することである。
【0045】
自動車1の変速機20は、普通、手動または自動型(自動変速機)であるが、自動手動変速機(自動手動トランスミッション、AMT)型でもある。自動変速機および自動手動変速機は制御ユニット110によって普通制御される自動化変速機システムであり、制御ユニット110は、或る走行抵抗で或る自動車速度のギヤを選ぶときのように、例えばギヤチェンジ中に変速機20を制御するように構成されている。制御ユニット110は、エンジン速度および変速機20の状態を測定し、圧縮空気デバイスに接続されたソレノイドバルブを用いて変速機を制御する。エンジン10についての情報、例えばエンジンの速度およびトルクは、また、例えばCAN(コントローラエリアネットワーク)バスを介して、エンジン10から制御ユニット110に送られる。
【0046】
従来のギヤチェンジシステムでは、制御ユニット110は、シフト点とも呼ばれる表形式エンジン速度限界を使用し、このシフト点は、ダウンシフトまたはアップシフトが変速機20で行われるべきエンジン速度を表す。すなわち、自動車1は、自動車1のエンジン10の速度がシフト点で表される速度を超えたときギヤを変える。したがって、シフト点は、ダウンシフトまたはアップシフトが起こるべきときについてだけでなく各ダウンシフトまたはアップシフトで行われるべきギヤステップの数についても情報を与えるものとして解釈されるべきである。各シフト点が1から3のギヤステップを含むのが普通であるが、より多くのステップが可能である。
【0047】
図6は、線SP1〜SP6でグラフに表された様々な表形式シフト点の例を模式的に示し、ここで、x軸はエンジントルクを表し、y軸はエンジン10の速度を回転数/分(rpm)で表す。エンジン速度がシフト線SP1とSP4の間にある限り、ギヤチェンジは起こらないが、エンジン速度がアップシフト線SP1〜SP3より上に上がると、アップシフトが始まり、反対に、エンジン速度がダウンシフト線SP4〜SP6より下に落ちるとダウンシフトが始まる。下の表1は、線SP1〜SP6の各々について、いくつかの上方または下方ギヤステップを示す。例えば、エンジン速度が線SP1より上に上がると、1ステップだけアップシフトが起こり、またエンジン速度が線SP5より下に落ちると2ステップだけダウンシフトが起こる。
【0048】
【表1】

【0049】
シフト点選択は、とりわけ自動車1の走行特性および燃料消費に影響を及ぼすので、シフト点は、自動車製造業者によって正確に較正されなければならない。この較正は、様々なギヤシフト方策が現場で異なる運転状況で、例えば異なる量の加速度が利用される状態で、異なる道路勾配および異なる自動車連結重量で試験されることを含む。それから、試験結果は、適切なシフト点を確定するように徹底的に解析されなければならない。
【0050】
従来のギヤチェンジシステムでのギヤステップの数は、さらに、自動車1の加速度が規則正しく測定されること、および結果として得られる測定データに基づいてギヤステップの数が決定されることによって確定される。そのような従来のシステムでは、高い測定加速度は、より多くのギヤステップにつながり、低い測定加速度はより少ないギヤステップにつながる。次に、測定された加速度は、表に保存された様々な加速度閾値と比較され、与えられた走行状況でギヤを変えるときどんなに多くのギヤステップが行われなければならないかを決定するのは、前記閾値の決定である。閾値は、エンジンに依存するので、特定のエンジン10に適応している。適切な閾値の決定は、自動車製造業者が適切な閾値に到達するために包括的な較正を行うことを必要とする。
【0051】
したがって、理解されることだろうが、第1のパラメータおよび/または第2のパラメータは、変速機20のシフト点を決定する際に使用可能である。というのは、これらのパラメータは、自動車1のパワー能力/加速能力の目安を与えるからである。自動車1が大きな加速能力を持っている場合には、低燃料消費をもたらすシフト点が可能であり、このことは、最も一般的には低エンジン速度を意味するが、自動車1が低加速能力を持っている場合には、努力は、自動車1の駆動力ができるだけ高くなるシフト点に向けてであり、これは、最も一般的には、そのとき普通高出力であるので高エンジン速度を意味する。
【0052】
また、第1のパラメータRおよび/または第2のパラメータRAccは、変速機20の目標回転速度を決定する際に直接的または間接的(仮想アクセルペダル値の決定を介して)に使用することができる。目標速度ωは、自動車1のエンジン10の所望速度として解釈されることがあり、エンジン10の動作モードおよび性能についての仮定および知識に基づいて決定されることがある。エンジン10は、普通、他の回転速度よりも或る回転速度でより効率的にかつより適切に動作する。より効率的にかつより適切にということは、より少ない燃料消費、より低い振動レベル、より静かな走行、その他を意味する。目標速度ωは、500〜2500rpmのエンジン目標速度の範囲内であることがあり、さらにトラックまたはバスのような大型車両では好ましくは1000〜1400rpmの範囲内であることがあるが、普通、乗用車の場合により高い。
【0053】
目標速度ωを持ったギヤチェンジシステムでは、ダウンシフト点およびアップシフト点はこの目標に対して制御される。このことは、これらのシフト点が速度ωに基づいて決定されることを意味している。自動車1が無段速度伝達比チェンジのために準備されている場合には、エンジン10の速度は、RAccの低値のとき、高推進力をもたらす速度でエンジン10が動くように制御されることがあり、また、RAccの低値のとき、エンジン10は、低燃料消費をもたらす速度で動く。
【0054】
図7に、エンジン目標速度線Φが、点線の形で、アップシフト線SP1〜SP3とダウンシフト線SP4〜SP6の間に見られる。図の矢印は、アップシフト線SP1〜SP3およびダウンシフト線SP4〜SP6がどのように目標速度線Φに関連付けられているかを示している。このことは、目標速度線Φが変えられた場合(点線の矢印のように平行に上方または下方に動かすことによって)、シフト線SP1〜SP6のエンジン速度も平行に動く。シフト線SP1〜SP6は、例えば、アップシフト線およびダウンシフト線でそれぞれ異なることがあるがまた同じであることもあるスケール因子に比例して、目標速度線Φについて動くことがあり、この場合に、アップシフト点とダウンシフト点の間に確定された相互関係が実現される。各シフト線SP1〜SP6に対して個別のスケール因子を持つことも可能である。すなわち、或るシフト線SP1〜SP6は、目標速度線Φの同じ変化に応答して他のシフト線SP1〜SP6よりも多くまたは少なく変化することがある。
【0055】
第1のパラメータRおよび/または第2のパラメータRAccに関する用途の分野のさらなる説明および例は、未公開スウェーデン特許出願SE0950654−4、SE0950655−1、SE0950656−9、SE0950668−4、SE0950657−7、SE0950658−5、SE0950659−3、SE0950667−6、SE0901182−6およびSE0950660−1に見られる。前記パラメータは、また、「Method system for driving of a vehicle I」、「Method and system for driving of a vehicle II」および「Method and system for driving of a vehicle III」という名称の3つの未公開スウェーデン特許出願で説明された用途でも使用可能であり、これらの出願は全て本出願と同じ出願日で同じ出願人によっている。
【0056】
専門家は理解するように、本発明に従って自動車1の加速能力について絶対尺度(すなわち、推進力能力)および相対的尺度をそれぞれ表す第1のパラメータRまたは第2のパラメータRAccを決定する方法は、また、コンピュータで実行されたときコンピュータに本方法を利用させるコンピュータプログラムで実現されることがある。このコンピュータプログラムは、コンピュータプログラム製品のコンピュータ読取り可能媒体中に含まれ、この媒体は、適切なメモリ、例えば、ROM(読出し専用メモリ)、PROM(プログラム可能読出し専用メモリ)、EPROM(消去可能PROM)、フラッシュメモリ、EEPROM(電気的消去可能PROM)、ハードディスクユニット、その他を含む。
【0057】
本発明は、また、上記の方法のいずれかに従った第1のパラメータRまたは第2のパラメータRAccの決定に一致して前記パラメータを決定するシステムに関する。
【0058】
本発明に従ったシステムは、図8に模式的に示され、それ自体計算ユニット111を含むことがある少なくとも1つの制御ユニット110を備え、この計算ユニット111は、実質的に任意の適切な型の処理装置またはマイクロコンピュータ、例えばデジタル信号処理用の回路(デジタル信号処理装置、DSP)または予め決められた特定の機能を持つ回路(用途特定集積回路、ASIC)の形を取ることがある。計算ユニット111はメモリユニット112に接続され、メモリユニット112は、制御ユニット110中に組み込まれ、さらに、例えば、計算ユニット111が計算を行うことができるために必要とする格納プログラムコードおよび/または格納データを計算ユニット111に提供する。計算ユニット111は、また、計算の部分的または最終的な結果をメモリユニット112に格納するように構成されている。
【0059】
制御ユニット110には、さらに、入力信号を受け取りまた出力信号を送るためのデバイス113、114、115、116が装備されている。これらの入出力信号は、信号受信デバイス113、116が情報として検出することができ、かつ計算ユニット111で処理可能な信号に変換することができる波形、パルスまたは他の特質を含むことがある。次に、計算ユニット111にこれらの信号が供給される。信号送信デバイス114、115は、計算ユニット111から受け取られた信号を、例えば変調することによって変換して、ダウンシフト点およびアップシフト点の決定のためにシステムの他の部分に伝えることができる出力信号を生成するように構成されている。当業者は理解することだろうが、前述のコンピュータは、計算ユニット111の形を取ることがあり、また前述のメモリは、メモリユニット112の形を取ることがある。
【0060】
入力信号を受け取る、また出力信号を送るデバイスへの各接続は、ケーブル、データバス、例えばCAN(コントローラエリアネットワーク)バス、MOST(Media Oriented System Transport)バスまたは或る他のバス構成、または無線接続の中の1つまたは複数の形を取ることがある。図1の接続70、80、90、100は、また、これらのケーブル、バスまたは無線接続の1つまたは複数の形を取ることがある。
【0061】
専門家はさらに理解することだろうが、本発明に従ったシステムは、本発明に従って第1のパラメータRまたは第2のパラメータRAccを決定する方法の様々な実施形態に従って修正される可能性がある。
【0062】
本発明は、また、本発明に従って第1のパラメータRまたは第2のパラメータRAccを決定する少なくとも1つのシステムを備える自動車1、例えば乗用車、トラックまたはバスに関する。
【0063】
最後に、本発明は、上で説明された実施形態に限定されず、添付の独立請求項の保護範囲内の本発明の全ての実施形態に関しかつ含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車(1)を推進させるために様々な速度伝達比をとるように構成されかつ少なくとも1つのエンジン(10)および少なくとも1つの変速機(20)を備える伝動機構が装備された前記自動車(1)の推進力能力を表す第1のパラメータRを決定する方法であって、前記第1のパラメータRが、第1の推進力FMaxと第2の推進力FDrの差に基づいて決定され、前記第1の推進力FMaxが現在速度伝達比で前記自動車(1)のために利用可能な最大推進力であり、前記第2の推進力FDrが前記自動車(1)の現在走行抵抗であることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第1の推進力FMaxが、前記伝動機構を介して、前記エンジン(10)のために利用可能な現在最大エンジントルクで前記自動車(1)を前記自動車の移動方向に推進させる推進力である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の推進力FDrが、正または負の値をとることができ、前記自動車(1)の移動方向に前記自動車(1)に作用し、空気抵抗、転がり抵抗、前記伝動機構での摩擦、慣性モーメント、地形的な地図データ、道路勾配、および前記自動車(1)の重量の中の1つまたは複数のパラメータに依存する推進力である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の推進力FMaxが、FMax=EngTol×iTolとして定義され、ここでEngTolが、現在エンジン速度での前記エンジン(10)の利用可能な最大エンジントルクを意味し、iTolが、動力輪半径を考慮に入れて前記動力輪を含めそれまでの前記伝動機構の現在速度伝達比を意味し、さらに、
前記第2の推進力FDrが、FDr=FRf−m×aとして定義され、ここで、FRfが、前記エンジン(10)の実際の現在推進力を意味し、mが前記自動車(1)の重量を、aが加速度をそれぞれ意味する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のパラメータRが、式R=FMax−FDrによって定義され、前記自動車(1)が、R>0の場合に推進力過剰であり、R<0の場合に推進力不足であり、R=0の場合に推進力平衡である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記自動車(1)の加速能力を表しかつ前記第1のパラメータRと標準化因子の比として定義される第2のパラメータRAccを決定するステップをさらに含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記第2のパラメータRAccが次式によって決定され、

前記自動車(1)が、RAcc>0の場合に加速過剰であり、RAcc<0の場合に加速不足であり、RAcc=0の場合に加速平衡である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記自動車(1)が、前記自動車(1)の1つまたは複数の機能を制御する少なくとも1つの制御ユニット(110)、例えば電子制御ユニット(ECU)を備え、前記第1のパラメータRまたは前記第2のパラメータRAccが前記制御ユニット(110)によって実時間で絶えず決定される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記自動車(1)が、乗用車、バスおよびトラックの中のいずれかである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
プログラムコードを含むコンピュータプログラムであって、前記プログラムコードがコンピュータで実行されたとき、前記コンピュータに請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法を適用させる、コンピュータプログラム。
【請求項11】
コンピュータ読取り可能媒体および請求項10に記載のコンピュータプログラムを含むコンピュータプログラム製品であって、前記プログラムが、ROM(読出し専用メモリ)、PROM(プログラム可能ROM)、EPROM(消去可能PROM)、フラッシュメモリ、EEPROM(電気的消去可能PROM)、およびハードディスクユニットの中からの前記コンピュータ読取り可能媒体に含まれる、コンピュータプログラム製品。
【請求項12】
自動車(1)の推進力能力を表す第1のパラメータRを決定するシステムであって、前記自動車(1)の1つまたは複数の機能を制御する少なくとも1つの制御ユニット(110)を備え、前記自動車(1)には、前記自動車(1)を推進させるために様々な速度伝達比をとり、少なくとも1つのエンジン(10)および少なくとも1つの変速機(20)を備える伝動機構が装備されており、前記制御ユニット(110)が、第1の推進力FMaxと第2の推進力FDrの差に基づいて前記第1のパラメータRを決定し、前記第1の推進力FMaxが、現在速度伝達比で前記自動車(1)のために利用可能な最大推進力であり、前記第2の推進力FDrが前記自動車(1)の現在走行抵抗であることを特徴とするシステム。
【請求項13】
前記制御ユニット(110)が、さらに、前記自動車(1)の加速能力を表しかつ前記第1のパラメータRと標準化因子の比として定義される第2のパラメータRAccを決定する、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記第2のパラメータRAccが次式によって決定され、

前記自動車(1)が、RAcc>0の場合に加速過剰であり、RAcc<0の場合に加速不足であり、RAcc=0の場合に加速平衡である、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
請求項12〜14のいずれか1項に記載の少なくとも1つのシステムを備える乗用車、トラックまたはバスなどの自動車(1)。
【請求項16】
自動車(1)の推進力能力を表す第1のパラメータRおよび/または自動車(1)の加速能力を表す第2のパラメータRAccの使用であって、前記第1のパラメータRおよび前記第2のパラメータRAccが請求項1〜15のいずれか1項に従って決定され、仮想アクセルペダル値の決定、ギヤチェンジ選択の制御、ギヤチェンジ方策の選択、圧縮機、発電機およびACポンプなどの付属物の制御、走行制御機能と走行制御、およびドライバのためのヒントの表示のうちの、自動車(1)の1つまたは複数の機能に関連した1つまたは複数の用途に前記第1のパラメータRおよび前記第2のパラメータRAccが使用される、使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2013−514234(P2013−514234A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−544435(P2012−544435)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際出願番号】PCT/SE2010/051397
【国際公開番号】WO2011/075064
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(594097848)スカニア シーブイ アクチボラグ (39)
【Fターム(参考)】