説明

自動車型建設装置、及び建設装置の昇降カラム

シャシー2によって支持されたエンジンフレーム4と、エンジンフレームに固定又は枢動可能に取り付けられ、地面又は路面24を加工するために使用される作業ローラ6とを備える自動車型道路用の建設装置1、特にリサイクラー又は冷間剥離エンジンを開示する。シャシーには車輪10が設けられ、昇降カラム14を介してエンジンフレームに接続され、エンジンフレームに対して垂直方向に位置調節できる。昇降カラムは、少なくとも1つのピストン・シリンダ・ユニット16を有する。各昇降カラムに、その実際の垂直方向の状態を測定するための測定装置18が備えられている。測定装置からのパス信号を受信するコントローラ23が、測定装置によって測定されたパス信号及び/又はパス信号の時間変化に応じて、昇降カラムの垂直方向の状態を調節する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載の自動車型建設装置、並びに請求項18の冒頭部分に記載の建設装置用昇降カラムに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の建設装置は、例えば独国特許第10357074(B3)号明細書から知られている。この建設装置は、シャシーによって支持された装置フレームと、装置フレームに固定及び/又は枢動可能な態様で取り付けられ、地面又は路面の加工に使用される作業ドラムとを呈している。シャシーに、昇降カラムを介して装置フレームへと接続され、装置フレームに対する高さを独立して調節することができる車輪及び/又は履帯ユニットが設けられている。
【0003】
高さの調節は、昇降カラムのピストン・シリンダ・ユニットの油圧の入力及び油圧の排出を制御することによって昇降カラムを上昇又は下降させるコントローラによって可能にされる。
【0004】
独国特許第10357074(B3)号明細書に記載の建設装置は、リサイクラーであり、この刊行物の開示は、リサイクラーに関係する範囲において、本出願に含まれたものとする。
【0005】
車道の舗装を切削するために使用される装置のシャシーが、独国特許第19617442(C1)号明細書から知られており、このシャシーの前車軸は、例えば全浮動の軸の態様で高さを調節することが可能である。シャシーの昇降カラムが互いに反対向きの態様でそれぞれに上昇又は下降させることができる。この刊行物の開示も、参照により本明細書に援用されたものとする。
【0006】
本出願の出願人の公知の建設装置が、WR 2000というリサイクラーであり、車輪が油圧によって高さを調節できる昇降カラムを介して装置フレームへと接続されている。それぞれの車輪が、自身の油圧モータによって駆動される。公知の建設装置には、前輪及び/又は後輪が操舵軸として機能できる全輪操舵が備えられている。
【0007】
本出願が、車輪式の建設装置に限定されず、履帯ユニット又は車輪と履帯ユニットとの混合を備える建設装置も含むことを、理解すべきである。
【0008】
公知の建設装置においては、昇降カラムが、切り替えバルブによって手動で調節され、センサが、昇降カラムを調節するピストン・シリンダ・ユニットのピストンが所定の位置に達した旨を検出する。センサは、例えば、ピストン・シリンダ・ユニットのピストンの上縁を検出することができる。第1のセンサが、切削のための作業位置にあるピストンの位置を検出し、さらなるセンサが、輸送位置にあるピストンの位置を検出する。したがって、作業位置において、装置フレームは、地面から常に同じ所定の距離を有する。ピストンが所定のセンサ位置から離れると、装置の位置についての情報は失われる。とくには、位置センサを付け替えることなく柔軟な態様で他の作業位置を調節することは不可能である。例えば、あらかじめ調節された作業位置と平行であるが、高さにおいて相違している作業位置を調節することさえ、不可能である。さらには、装置フレーム又は装置のそれぞれの所定の横方向の傾き又は他の実際的な位置を、厄介な付け替えの労苦を必要とせずに調節することが不可能である。
【0009】
このことは、例えば燃料タンク又は水タンクの注入レベルの相違に起因する種々の荷重又は荷重分布ゆえに、装置フレームが地面又は路面に対してさまざまな距離を取る可能性があるというさらなる問題を生む。
【0010】
車輪の場合には、例えば数センチメートルの距離の変化を引き起こしうる充填圧力、温度、及び比較的柔軟な車輪の地面又は路面との相互作用ゆえに、さらなるずれが生じる。このような装置フレームの地面に対する距離の変化ゆえ、センサの位置の移動が必要となる。たとえ作業位置のためのセンサを解除し、この昇降位置を無効にできるとしても、ピストン・シリンダ・ユニットの装置式のリミット・ストップに達したときに、ピストンが前面においてシリンダのそれぞれの前面に接触し、車輪の操舵運動を実行するときにピストン・シリンダ・ユニットのピストンが外れる可能性があるという不都合が生じる。
【特許文献1】独国特許第10357074(B3)号明細書
【特許文献2】独国特許第19617442(C1)号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、上述の欠点を回避し、車両の運転者がとくには加工作業のための作業位置として、昇降カラムの任意の所与の昇降位置を選択できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1並びに請求項18の特徴が、上記目的に対する解決策を提供するように機能する。
【0013】
本発明によれば、好適には、高さ調節可能な個々の昇降カラムのそれぞれに、昇降カラムの現在の昇降状態を測定するための測定装置が設けられ、昇降カラムは、伸縮可能な2つの中空シリンダを備え、伸縮可能な2つの中空シリンダが、案内ユニットとして機能して、高さ調節のための少なくとも1つのピストン・シリンダ・ユニットを好ましくは同軸な態様で内側に収容し、高さ調節可能な個々の昇降カラムのそれぞれに、昇降カラムの現在の昇降状態を測定するための測定装置が設けられ、測定装置は、測定装置によってそれぞれの昇降カラムの昇降位置に関係するパス信号を連続的に検出できるように、昇降位置に応じて互いに対して調節可能である昇降カラムの要素に結合されており、すべての昇降カラムについて測定された測定装置からのパス信号を受信するコントローラが、測定装置によって測定されたパス信号及び/又はパス信号の時間変化に応じて、昇降カラムの昇降状態を調節する。
【0014】
本発明は、好適には、測定されたパス信号並びにそこから導出できる速度及び加速度信号の使用を可能にして、昇降カラムをあらかじめ選択された位置へと調節されるように調節することができるようにする。測定値を記録することで、昇降カラムの昇降状態を自動的に調節できるようになる。測定装置からの測定信号を受信するコントローラが、測定装置の測定信号及び/又は測定信号の時間変化に応じて、行き過ぎを生じることなく、あるいは可能な限り少ない行き過ぎで、昇降カラムの所望の昇降位置を規制された態様で調節することができる。
【0015】
測定信号は、昇降カラムの昇降位置のための指示装置への供給に適していることができる。車両の運転者が、指示装置を介してそれぞれの昇降カラムの現在の昇降状態についての情報を受け取ることで、リミット・スイッチ又はセンサを移動させる必要なく、装置フレームの自由に選択可能な位置を、作業位置として調節及び画定することができる。したがって、車両の運転者が、例えば燃料タンク又は水タンクのさまざまな充填レベルに起因して生じうる種々の荷重の状況を一様にすることができる。さらに、種々の温度、種々の充填圧力、又は地面との相互作用に起因する比較的柔らかい車輪の影響を、それぞれの車輪又は履帯ユニットについて個々に一様にすることができる。
【0016】
昇降位置の測定装置は、好ましくはパス測定装置で構成され、例えば容量式、誘導式、又は装置式のパス測定システム、あるいはレーザ測定システムなど、すべての公知のパス測定システムが使用可能である。
【0017】
昇降カラムは、伸縮可能な2つの中空シリンダを有しており、伸縮可能な2つの中空シリンダが、案内ユニットとして機能して、少なくとも1つのピストン・シリンダ・ユニットを好ましくは同軸な態様で内側に収容する。
【0018】
好ましいパス測定装置は、昇降カラムの要素に結合される少なくとも1つのワイヤ−ロープと、1つのワイヤ−ロープ・センサとで構成される。
【0019】
張力下にあって巻き取りが可能であるワイヤ−ロープが、昇降位置に応じて互いに変位可能である昇降カラムの要素に、それぞれの昇降カラムの昇降位置に関係するパス信号を連続的に検出できるように結合される。指示装置へと伝送されるパス信号を、指示装置の助けによる車両の運転者による高さ調節の手動制御のために使用することができるが、自動的な制御又は調節のためにも使用することができる。
【0020】
建設装置を、基準面に対して調節することができ、例えば地面又は路面に対する装置フレームの平行位置など、所望の空間位置を、シャシーの基準昇降位置として、昇降カラムの現在の昇降位置に応じた測定装置の現在の測定信号を保存することによって、基準面上に保存することができる。
【0021】
好ましくは水平面である基準面によって、車両の運転者は、装置フレームを、自身が基準昇降位置として画定することができる特定の位置にすることができる。水平な装置フレームの場合には、上記装置フレームを、例えば地面又は路面から所定の距離だけ離れており、昇降カラムの基準昇降位置として画定することができる正確に水平な位置へともたらすことができる。車両の運転者は、指示装置によって上記基準昇降位置を認識でき、必要なときに必要なとおりに基準昇降位置に明確に接近できる。他方で、個々の昇降カラム又は昇降カラムの組み合わせを、特定の量だけ上昇又は下降させることも可能である。また、車両の運転者は、例えば、基準昇降位置から特定の量(例えば、100mm)だけ外れた作業位置へと調節することができ、あるいは車両の運転者によって任意に定められる特定の横方向の傾き又は空間における平面に合わせることができる。
【0022】
好ましい実施形態においては、測定装置によって監視される高さ調節のための少なくとも1つの限界値を、それぞれの昇降カラムについて調節でき、上記限界値が、昇降カラムの最低及び/又は最高の昇降位置を所定の位置へと制限する。これにより、昇降カラムの内側に設けられたピストン・シリンダ・ユニットが、対応する装置式のリミット・ストップへと突き当たることがないように(このような機械的な端部位置においては、とくには操舵の角度の場合に、ピストン・シリンダ・ユニットが損傷する可能性があり、あるいは昇降カラムから外れる可能性がある)保証される。
【0023】
結果として、移動の方向における最低又は最高の昇降位置が、ピストン・シリンダ・ユニットシリンダに対するピストンの機械的なリミット・ストップの前方に位置する。
【0024】
測定された値を記録することで、測定装置から測定信号を受け取るコントローラが、地面又は路面の構造に起因する装置フレームの変位が可能な限り小さくなるように、昇降カラムの昇降状態を自動的に調節できる。
【0025】
あるいは、コントローラが、地面又は路面の既存の構造に起因する装置フレームの横方向の傾き又は移動の方向に対して横方向である横方向の振動を可能な限り少なくするように、測定信号によって昇降カラムの昇降状態を調節することも可能である。
【0026】
さらに、1つの車輪又は履帯ユニットの昇降状態が変化するとき、装置フレームの横方向又は長手方向において隣接する車輪又は履帯ユニットを、高さに関して反対向きの態様で調節可能にすることができる。昇降状態の制御は、例えば、DE19617442C1に記載の油圧の方法に従って達成できる。隣接する昇降カラムの油圧による偶力の場合には、ストローク調節の量が同一であるため、両方の昇降カラムについてただ1つの測定装置で充分である。
【0027】
しかしながら、それぞれの車輪の昇降状態を全浮動の軸の態様で純粋に電子的に制御する可能性も存在する。そのような全浮動の制御においては、さらなるストローク調節を、車両の運転者によって無効にすることが可能である。
【0028】
昇降状態の往復制御において、隣接する車輪又は履帯ユニットは、好ましくは高さに関して同じ量かつ反対向きの態様で調節される。
【0029】
冷間切削装置の場合には、移動の方向において見たときの後ろ側の車輪又は履帯ユニットが、好ましくは同じ量かつ反対の方向に全浮動の軸の態様で高さに関して調節されることが可能である。
【0030】
リサイクラーの場合には、移動の方向において見たときに装置の片側において互いに前後に配置されている車輪又は履帯ユニットを、同じ量かつ反対の方向に全浮動の軸の態様で高さに関して調節できる。
【0031】
測定装置からの測定信号を受信するコントローラが、測定装置からの測定信号及び/又は測定信号の時間変化に応じて、行き過ぎを生じることなく、あるいは可能な限り少ない行き過ぎで、昇降カラムを所望の昇降位置に調節することができる。
【0032】
測定装置からの測定信号を、高さ調節の目的のために指定のストローク量をミリメートルにて入力できるよう、長さの単位へと較正できる。
【0033】
コントローラは、作業ドラムの作業深さを調節することができ、その場合、コントローラが、測定されたパス信号を測定装置から受け取って、作業ドラムの作業深さの調節に含める。
【0034】
それぞれの昇降カラムの下端に、車輪又は履帯ユニットのための支持部が設けられ、距離センサが、好ましくは車輪又は履帯ユニットの前方又は側方の所定の距離において、支持部の地面又は路面に対する距離を測定し、測定した信号を昇降カラムの昇降位置のコントローラ、及び/又は作業ドラムの作業深さのコントローラ、及び/又は指示装置へと伝送する。
【0035】
以下で、本発明の実施形態を、図面を参照してさらに詳しく説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
図1は、不充分に安定な土壌を安定化させることによって、あるいは路面をリサイクルすることによって、車道の製造及び加工を行うための道路建設装置であって、独国特許第10357074(B3)号明細書から基本的に知られているとおり装置フレーム4をシャシー2で支持して備える道路建設装置1を示している。シャシー2には、それぞれ2つの後輪及び前輪10が備えられており、後輪及び前輪10は、高さ調節可能な態様で昇降カラム14へと取り付けられ、互いに独立して上下させることができ、あるいは互いに同期して上下させることも可能である。例えば履帯ユニットなどの他の駆動手段も、車輪10の代わりに設けることができることを理解すべきである。昇降カラム14は、装置フレーム4へと取り付けられている。
【0037】
それぞれ前輪及び後輪10によって形成されるシャシーの両方の軸は、操舵可能であるものとすることができる。
【0038】
図1及び図2から分かるように、車両の運転者のための運転席12が、前輪10の上方又は前輪10の前方において装置フレーム4に配置され、移動のための駆動及び作業ドラム6の駆動のための燃焼機関32が、運転者の後方に配置されている。このように、運転席12を、車両の運転者によって人間工学的に最適化することができる。
【0039】
作業ドラム6は、例えば移動の方向について見たときに移動の方向と反対に回転し、その軸が移動の方向に対して横方向に延びているが、図1に示されているように、両側に配置された枢動アーム42によって休止位置から作業位置へと枢動できるように、装置フレーム4に対して枢動できるように取り付けられている。それぞれの枢動アーム42が、一端において装置フレーム4に取り付けられ、他端において作業ドラム6の支持部を受け入れている。
【0040】
装置1を反対の方向に動作させることも可能であり、その場合には、切削作業が移動の方向に同期して行われる。
【0041】
作業ドラム6には、例えば、地面又は路面24を加工できるようにするため、切断工具(図示されていない)が備えられている。
【0042】
作業ドラム6は、図1から分かるように、枢動アーム42によって作業ドラム6と一緒に上昇させることができるフード28によって囲まれている。
【0043】
作業位置において、フード28が、図1から分かるように加工対象の地面又は路面24に位置する一方で、作業ドラム6を、切削深さに応じてさらに下方へと枢動させることが可能である。
【0044】
フード28、あるいはフード28及び作業ドラム6が、剛な態様で装置フレーム4に取り付けられる建設装置の他の実施形態が存在することを、理解すべきである。この場合には、作業ドラム6の加工深さが、昇降カラム14によって調節され、他のすべての場合には、作業ドラム6の高さの調節による。
【0045】
図3は、嵌合の態様で伸縮できる2つの中空シリンダ13、15を備えている個々の昇降カラム14を示している。中空シリンダ13、15が、装置フレーム4の高さ調節のための案内ユニットとして機能する。上方の外側中空シリンダ13が、装置フレーム4に取り付けられ、下方の内側中空シリンダ15が、車輪10又は履帯ユニットに結合できる支持部11に取り付けられる。さらに昇降カラム14は、ストローク調節のための油圧ピストン・シリンダ・ユニット16を備えている。ピストン・シリンダ・ユニット16は、装置フレーム4の高さを支持部11に対して調節でき、したがって最終的には地面又は路面24のそれぞれに対して調節できるよう、装置フレーム4と支持部11との間で機能する。図3に示した実施形態においては、ピストン・シリンダ・ユニット16のピストン要素が、支持部11に取り付けられ、ピストン・シリンダ・ユニット16のシリンダ要素が、装置フレーム4に取り付けられた上方の中空シリンダ13に取り付けられている。
【0046】
昇降カラム14に2つ以上のピストン・シリンダ・ユニット16が存在してもよいことを、理解すべきである。
【0047】
ピストン・シリンダ・ユニット16を、純粋な油圧全浮動軸を形成するために、独国特許第19617442(C1)号明細書に基本的に記載されているように、隣接する昇降カラム14に関して油圧による偶力の組み合わせとしてもよい。
【0048】
昇降カラム14に、昇降カラム14の現在の昇降状態を測定するための測定装置18が設けられている。この実施形態においては、該測定装置18が、支持部11又は下方の中空シリンダ15に取り付けられ、一方でピストン・シリンダ・ユニット16のシリンダ要素又は上方の中空シリンダ13に取り付けられたワイヤ−ロープ・センサ21に結合されているワイヤ−ロープ22で構成されている。昇降カラム14のストローク・パスを、ワイヤ−ロープ・センサ21によって測定することができる。ワイヤ−ロープ・センサ21、並びにワイヤ−ロープ・センサ21によって生成されるパス信号は、最終的には、時間の測定を含むことによって速度信号又は加速度信号への変換にも適している。
【0049】
測定されたワイヤ−ロープ・センサ21のパス信号が、信号線26によって指示装置20及び/又はコントローラ23へと伝送される。指示装置20及び/又はコントローラ23が、図3の図に示されているとおり、それぞれの昇降カラムから測定されたパス信号を受信する。合計4つの昇降カラム14が存在する場合、測定された4つのパス信号を、指示装置20に表示することができ、車両の運転者が、それぞれの昇降カラムの現在の昇降状態を速やかに知り、必要であれば昇降位置の変更を行うことができる。
【0050】
さらに、測定されたパス信号を、昇降カラム14の昇降位置の全体的な制御又は調節を可能にするコントローラ23へと供給することができる。
【0051】
例えば、コントローラ23は、測定装置18によって測定されたパス信号及び/又はパス信号の時間変化に応じて、行き過ぎを生じることなく、あるいは可能な限り少ない行き過ぎで、昇降カラム14を所望の昇降位置に調節することができる。
【0052】
全浮動の軸の場合には、浮動を、両側から荷重を加えることができるピストンを備えており、ピストンの対向して動作するシリンダ室と隣の車輪10のピストン・シリンダ・ユニットの対応するシリンダ室とが偶力の組み合わせにあるピストン・シリンダ・ユニット16によって、純粋に油圧によって達成できる。あるいは、全浮動軸の態様での高さの調節を、検出されて測定されたパス信号によって、純粋に電子的な制御にて達成してもよい。
【0053】
制御又は調節は、例えば装置フレーム4の変位が可能な限り小さくなるような制御又は調節であってよい。
【0054】
あるいは、装置フレーム4を、移動の方向に対して横方向の装置フレーム4の所定の横方向の傾きが維持されるように、昇降カラム14の昇降状態によって調節してもよい。
【0055】
さらなる代案として、例えば装置フレーム4のパス依存の横方向の傾きの推移など、装置フレーム4の位置の時間推移を、測定されたパス信号並びにピストン・シリンダ・ユニット16のパス又は装置位置の測定との組み合わせによって、調節することも可能である。
【0056】
最終的に、長手方向の傾き、あるいは横方向及び長手方向の傾きの組み合わせも、コントローラ23によって調節できることを理解できるであろう。
【0057】
測定装置18によって測定される信号を、長さの単位(例えば、ミリメートルなど)へと較正することができる。このやり方で、車両の運転者が、指定のストロークをミリメートルで入力することによって昇降カラム14の昇降状態を変化させることができる。
【0058】
それぞれの昇降カラム14は、それぞれの支持部11に、支持部11の地面及び路面24に対する距離を測定する距離センサ30を備えることができる。距離センサ30によって測定される信号によって、測定装置18によって測定されるパス信号との組み合わせにおいて、昇降カラム14のコントローラ23は、装置フレーム4の地面及び路面24からの現在の距離を計算することも可能である。
【0059】
距離センサ30は、支持部11の地面及び路面24に対する距離を、車輪10又は履帯ユニットの前方又は側方の所定の距離において測定することも可能である。車輪10の前方での測定は、距離センサ30によって測定される信号を、地面の不整に速やかに反応できるように昇降カラム14の高さ調節を制御する目的に使用できる可能性を提供する。最後に、距離センサ30は、切削深さの調節のために測定信号を供給することも可能であり、切削深さの調節のために、距離センサ30によって測定された信号と測定装置18によって測定されたパス信号とが、組み合わせて評価される。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明による建設装置の側面図であり、作業ドラムが作業位置にある状態を示している。
【図2】図1による建設装置の上面図である。
【図3】建設装置の昇降カラムである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャシー(2)によって支持された装置フレーム(4)と、
前記装置フレーム(4)に不動及び/又は枢動可能な態様で取り付けられ、地面又は路面(24)を加工するために使用される作業ドラム(6)と
を有しており、
前記シャシー(2)に、昇降カラム(14)を介して前記装置フレーム(4)に接続され、前記装置フレーム(4)に対する高さを独立して調節できる車輪(10)又は履帯ユニットが設けられている、特にリサイクラー又は冷間切削装置のような自動車型道路用の建設装置(1)において、
前記昇降カラム(14)が、伸縮可能な2つの中空シリンダ(13、15)を備え、前記伸縮可能な2つの中空シリンダ(13、15)が、案内ユニットとして機能して、高さ調節のための少なくとも1つのピストン・シリンダ・ユニット(16)を好ましくは同軸に内側に収容し、
個々に高さ調節可能な前記昇降カラム(14)のそれぞれに、該昇降カラム(14)の現在の昇降状態を測定するための測定装置(18)が設けられ、
前記測定装置(18)が、昇降位置に応じて互いに対して変位可能である前記昇降カラム(14)の要素に、前記測定装置(18)によって前記昇降カラム(14)のそれぞれの昇降位置に関係するパス信号を連続的に検出できるように結合されており、
すべての前記昇降カラム(14)について測定された前記測定装置(18)からのパス信号を受信するコントローラ(23)が、前記測定装置(18)によって測定されたパス信号及び/又はパス信号の時間変化に応じて、前記昇降カラム(14)の昇降状態を調節する
ことを特徴とする建設装置。
【請求項2】
前記測定装置(18)がパス測定装置からなることを特徴とする、請求項1に記載の建設装置。
【請求項3】
すべての前記昇降カラム(14)について測定された前記測定装置(18)からの信号が、前記昇降カラム(14)の昇降位置についての指示装置(20)に供給するのに適したものであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の建設装置。
【請求項4】
前記測定装置(18)にワイヤ−ロープ(22)が設けられており、前記ワイヤ−ロープ(22)が、前記昇降カラム(14)及びパス測定装置としてのワイヤ−ロープ・センサ(21)に結合されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の建設装置。
【請求項5】
張力がかかっており巻き取りが可能である前記ワイヤ−ロープ(22)が、昇降位置に応じて互いに変位可能である前記昇降カラム(14)の要素に、前記昇降カラム(14)のそれぞれの昇降位置に関係するパス信号を連続的に検出できるように結合されていることを特徴とする、請求項4に記載の建設装置。
【請求項6】
前記装置フレーム(4)を備える前記シャシー(2)を、基準面に対して調節することができ、例えば基準面に対する前記装置フレーム(4)の平行位置など、所望の空間位置を、前記昇降カラム(14)の現在の昇降位置に応じて前記測定装置(18)によって測定される信号を保存することによって、基準面上の前記シャシーの基準昇降位置として調節できることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の建設装置。
【請求項7】
前記測定装置(18)によって監視される高さ調節のための少なくとも1つの限界値を、前記昇降カラム(14)のそれぞれについて調節でき、前記限界値が、前記昇降カラム(14)の最低及び/又は最高の昇降位置を所定の値に制限することを特徴とする、請求項3〜6のいずれか一項に記載の建設装置。
【請求項8】
移動の方向における最低又は最高の昇降位置が、前記ピストン・シリンダ・ユニット(16)におけるピストンの、シリンダに対する機械的なリミット・ストップの前方に位置していることを特徴とする、請求項7に記載の建設装置。
【請求項9】
すべての前記昇降カラム(14)について測定された前記測定装置(18)からのパス信号を受信する前記コントローラ(23)が、前記装置フレーム(4)が所定の横方向の傾き、又は移動の方向に対して横方向である所定のパス依存の横方向の傾きの推移を示すように、前記昇降カラム(14)の昇降状態を調節することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の建設装置。
【請求項10】
1つの車輪(10)又は履帯ユニットの昇降状態が変化する場合に、前記装置フレーム(4)の横方向又は長手方向において、隣接する車輪(10)又は履帯ユニットが高さに関して反対向きの態様で調節可能であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の建設装置。
【請求項11】
前記隣接する車輪(10)又は履帯ユニットが、高さに関して同じ量だけ反対向きの態様で調節可能であることを特徴とする、請求項10に記載の建設装置。
【請求項12】
前記装置フレーム(4)の横方向において互いに隣り合っている前記車輪(10)又は履帯ユニットであって、移動の方向について見たときに前方の車輪(10)又は履帯ユニットである車輪(10)又は履帯ユニットが、全浮動軸の態様で高さ調節可能であることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の建設装置。
【請求項13】
すべての前記昇降カラム(14)について測定された前記測定装置(18)からの信号を受信する前記コントローラ(23)が、前記測定装置(18)によって測定されたパス信号及び/又はパス信号の時間変化に応じて、行き過ぎを生じることなく、あるいは可能な限り少ない行き過ぎで、前記昇降カラム(14)の所望の昇降位置を調節することを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の建設装置。
【請求項14】
前記測定装置(18)の測定信号が、長さの単位への較正に適したものであることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の建設装置。
【請求項15】
前記コントローラ(23)が、前記作業ドラム(6)の作業深さを調節し、
前記コントローラ(23)が、測定されたパス信号を前記測定装置(18)から受信して、該パス信号を前記作業ドラム(6)の作業深さの調節に含めることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載の建設装置。
【請求項16】
前記昇降カラム(14)のそれぞれの下端に、前記車輪(10)又は履帯ユニットのための支持部(11)が設けられ、距離センサ(30)が、前記支持部(11)の地面又は路面(24)に対する距離を測定し、測定した信号を前記昇降カラム(14)の昇降位置についてのコントローラ(23)、及び/又は、前記作業ドラム(6)の作業深さについてコントローラ(23)、及び/又は、前記指示装置(20)に伝送することを特徴とする、請求項1〜15のいずれか一項に記載の建設装置。
【請求項17】
前記昇降カラム(14)のそれぞれの下端に、前記車輪(10)又は履帯ユニットのための支持部(11)が設けられ、距離センサ(30)が、前記車輪(10)又は履帯ユニットの前方又は側方の所定の距離において、前記支持部(11)の地面又は路面(24)に対する距離を測定し、測定した信号を前記昇降カラム(24)の昇降位置についてコントローラ(23)、及び/又は、前記作業ドラム(6)の作業深さについてのコントローラ(23)、及び/又は、前記指示装置(20)に伝送することを特徴とする、請求項1〜15のいずれか一項に記載の建設装置。
【請求項18】
高さ調節のための少なくとも1つのピストン・シリンダ・ユニット(16)を収容する伸縮可能な2つの中空シリンダ(13、15)を備えている請求項1〜17のいずれか一項に記載の建設装置(1)のための昇降カラム(14)において、
前記中空シリンダ(13、15)に、前記昇降カラム(14)の現在の昇降状態を測定するための測定装置(18)が設けられ、
前記測定装置(18)が、昇降位置に応じて互いに対して変位可能である前記昇降カラム(14)の要素に、前記昇降カラム(14)のそれぞれの昇降位置に関係するパス信号を連続的に検出できるように結合されており、
すべての前記昇降カラム(14)について測定された前記測定装置(18)からのパス信号を受信するコントローラ(23)が、前記測定装置(18)によって測定されたパス信号及び/又はパス信号の時間変化に応じて、前記昇降カラム(14)の昇降状態を調節する
ことを特徴とする、昇降カラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−508026(P2009−508026A)
【公表日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−530515(P2008−530515)
【出願日】平成18年9月12日(2006.9.12)
【国際出願番号】PCT/EP2006/066305
【国際公開番号】WO2007/031531
【国際公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(301064954)ヴィルトゲン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (25)
【氏名又は名称原語表記】Wirtgen GmbH
【住所又は居所原語表記】Reinhard−Wirtgen−Strasse 2, D−53578 Windhagen, Germany
【Fターム(参考)】