自動車用ガラスラン
【課題】ガラスランを保持するストッパ部材がガラスランから脱落しないガラスランを提供する。
【解決手段】ドアフレームのコーナー部にガラスラン10を保持するストッパ部材60を取付けるガラスランにおいて、コーナー部の上辺部側において、底壁40の外面から上方へ底壁リップ42を延設し、底壁リップ42の両面に底壁取付リブ43を形成する。ストッパ部材60は、断面略コ字形に形成され、ストッパ部材底壁63は、底壁リップ42を収納するストッパ部材底壁凹部66を形成し、ストッパ部材底壁凹部66の少なくとも一方の面からストッパ部材底壁係止片67を設け、ストッパ部材底壁係止片67の先端を底壁取付リブ43に係止させた。
【解決手段】ドアフレームのコーナー部にガラスラン10を保持するストッパ部材60を取付けるガラスランにおいて、コーナー部の上辺部側において、底壁40の外面から上方へ底壁リップ42を延設し、底壁リップ42の両面に底壁取付リブ43を形成する。ストッパ部材60は、断面略コ字形に形成され、ストッパ部材底壁63は、底壁リップ42を収納するストッパ部材底壁凹部66を形成し、ストッパ部材底壁凹部66の少なくとも一方の面からストッパ部材底壁係止片67を設け、ストッパ部材底壁係止片67の先端を底壁取付リブ43に係止させた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアガラスの昇降を案内する、直線部と、コーナー部を有するガラスランを自動車ドアのドアフレームの内周に取付ける自動車用ガラスランに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図9に示すように、自動車のドア1のドアフレーム2の内周にドアガラス5の昇降を案内するガラスラン110が取付けられている。
従来、ガラスラン110は、図9に示すように、ドアフレーム2のチャンネル103内に取付けられて、ドアガラス5の昇降を案内するとともにドアガラス5とドアフレーム2との間をシールしている。
【0003】
さらに、ガラスラン110は、図8に示すように、押出成形により成形された直線部111からなるドアフレーム2の上辺部と、同じく押出成形された直線部111からなるフロント側縦辺部及びリヤ側縦辺部を、型成形によってドアフレーム2のコーナー部2bの形状に合わせて形成されたコーナー部112で接続している。
【0004】
なお、ドア1と車体との間のシールは、ドアパネルおよびドアフレーム2の外周に取付けられたドアウエザストリップ(図示せず)および/または車体の開口部に形成されたフランジに取付けられたオープニングトリムウエザストリップ(図示せず)によりなされている。
【0005】
ガラスラン110の本体の直線部111は、図10に示すように、車外側側壁120と、車内側側壁130と、底壁140からなる断面略コ字状をなしている。車外側側壁120の先端付近から車外側シールリップ121が本体の断面略コ字状の内側に向けて延出するように設けられている。また、車内側側壁130にもその先端付近から車内側シールリップ131が断面略コ字状の内側に向けて延出するように設けられている。
【0006】
ガラスラン110の本体の車外側側壁120、車内側側壁130と底壁140はドアフレーム2に設けられたチャンネル103内に挿入され、各壁の外面の少なくとも一部がチャンネル103の内面に圧接され、ガラスラン110を保持している。
ドアガラス5は、このガラスラン110の本体の断面略コ字状の内側を摺動するとともに、上記車外側シールリップ121と車内側シールリップ131によってドアガラス5の端部の両側面がシールされて保持されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
しかしながら、車輌のプレスドアにおいては、ドアフレーム2にチャンネル103を嵌め込んで、固着するためにはドアフレーム2のドアアウターパネル2cとドアインナーパネル2dのそれぞれの先端のフランジ部2e、2fと溶接する必要があり、溶接代を確保するためフランジ部2e、2fが幅広となり、見栄えがわるくなるとともに、フランジ部2e、2fをカバーするため、ガラスラン110にそれぞれ幅広の車外側カバーリップ123と車内側カバーリップ133を設ける必要があった。
【0008】
そのため、チャンネル103をフランジ部2e、2fに溶接する手間がかかるとともに、チャンネル103、フランジ部2e、2f及び車外側カバーリップ123と車内側カバーリップ133の幅が大きくなりそれぞれの重量が増加して車輌の軽量化の要請に反することとなる。
【0009】
そのため、チャンネル103を廃止して、フランジ部2e、2fに直接ガラスラン110を装着することが行われている。しかしながら、この場合には、ドアガラス5の昇降にともない、ドアガラス5の先端がガラスラン110の底壁140を突き上げて、ガラスラン110が変形したり、ガラスラン110が上方にずれて見栄え、シール性が低下したり、異音が発生したりすることがあった。
【0010】
このため、図11に示すように、ガラスラン210の上辺部において、底壁240の外面にストッパ部材として脚部241、241を形成し、ドアインナーパネル2dに当接するようにしたものがある(例えば、特許文献2参照。)。
しかしこの場合には、脚部241、241と車外側側壁220、車内側側壁230、車外側シールリップ221や車内側シールリップ231等と一緒に同じ材料で型成形するため、材料硬度を高くすることが困難であり、ドアガラス5の昇降によるガラスラン210の変形やずれを充分に防止することができなかった。
【0011】
また、図12に示すように、ドアフレーム2の内部に、金属製の断面コ字形のストッパ部材360を取付けて、ストッパ部材360にガラスラン310の車外側側壁320、車内側側壁330、底壁340を当接させて、ガラスラン310を保持するものがある(例えば、特許文献3参照。)。
【0012】
この場合には、ストッパ部材360が金属製のため、ドアガラス5の昇降によるガラスラン210の変形やずれの防止はできるが、このストッパ部材360の保持は、車内側側壁330に形成した車内側係合突部337をストッパ部材360の係合孔365に嵌め込んで行っていた。このため、ガラスラン310の搬送時や車両への組付け時にストッパ部材360がガラスラン310から脱落してしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平9−286242号公報
【特許文献2】特開2003−118383号公報
【特許文献3】特開2011−68237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
そこで、本発明は、ガラスランを保持するストッパ部材がガラスランから脱落しないガラスランを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために請求項1の本発明は、自動車ドアのドアフレームの内周に取付け、ドアガラスの昇降を案内する自動車用ガラスランであって、ガラスランは、押出成形により成形されドアフレームの上辺部と縦辺部に装着される直線部と、型成形により成形され該直線部を接続し、ドアフレームのコーナー部に装着されるコーナー部を有する自動車用ガラスランであり、ドアフレームのコーナー部にガラスランを保持するストッパ部材を取付けるガラスランにおいて、
直線部とコーナー部は、底壁と底壁の車外側側縁部から延びる車外側側壁と、底壁の車内側側縁部から延びる車内側側壁とからなる断面略コ字形をなすガラスランの本体を備え、車外側側壁と車内側側壁には、それぞれ本体の断面略コ字状の内側に向かって延出する車外側シールリップと車内側シールリップを設け、車外側シールリップと車内側シールリップによりドアガラスの車外側面及び車内側面をシールし、車外側側壁の先端から断面略コ字形に対する外面側に車外側カバーリップが形成され、車内側側壁の先端から断面略コ字形に対する外面側に車内側カバーリップが形成され、底壁の外面から上方へ底壁リップを延設し、底壁リップの両面に底壁取付リブを形成し、
ストッパ部材は、ドアフレームのコーナー部の上辺部側に取付けられ、ガラスランの本体の断面略コ字形に対する外面側を保持するように、ストッパ部材車外側側壁、ストッパ部材内側側壁及びストッパ部材底壁からなる断面略コ字形に形成され、ストッパ部材底壁は、底壁リップを収納する上方に屈曲して断面略U字形に形成されるストッパ部材底壁凹部を形成し、ストッパ部材底壁凹部の少なくとも一方の面から断面略U字形の内部方向に折り曲げられて形成されたストッパ部材底壁係止片を設け、ストッパ部材底壁係止片の先端を底壁取付リブに係止させたことを特徴とする自動車用ガラスランである。
【0016】
請求項1の本発明では、直線部とコーナー部は、底壁と底壁の車外側側縁部から延びる車外側側壁と、底壁の車内側側縁部から延びる車内側側壁とからなる断面略コ字形をなすガラスランの本体を備えている。このため、ドア閉時に、ドアフレームの上辺部、縦辺部及びコーナー部において車外側側壁と、車内側側壁と、底壁とからなる本体の断面略コ字状のガラスランの内側に、ドアガラスの先端を収納することができ、ドアガラスを確実に保持することができる。なお、ここで車外側及び車内側とは、ドアを閉じた状態での車輌における車室外側及び車室内側である。
【0017】
車外側側壁と車内側側壁には、それぞれ本体の断面略コ字状の内側に向かって延出する車外側シールリップと車内側シールリップを設け、車外側シールリップと車内側シールリップによりドアガラスの車外側面及び車内側面をシールしている。このため、直線部の上辺部、縦辺部及びコーナー部において、車外側シールリップと車内側シールリップにより、ドアガラスの昇降に応じて、両方のシールリップがドアガラスに当接し、車外側シールリップと車内側シールリップによりドアフレームとドアガラスとの間のシールをすることができる。
【0018】
車外側側壁の先端から断面略コ字形に対する外面側に車外側カバーリップが形成され、車内側側壁の先端から断面略コ字形に対する外面側に車内側カバーリップが形成されている。このため、車外側側壁と車外側カバーリップでストッパ部材の車外側側壁とドアアウターパネルのフランジ部を保持し、車内側側壁と車内側カバーリップでストッパ部材の車内側側壁とドアインナーパネルのフランジ部を保持することができ、ガラスランを確実にフランジに保持することができ、フランジ部をカバーリップで覆うことができ、見栄えが良い。
【0019】
底壁の外面から上方へ底壁リップを延設し、底壁リップの両面に底壁取付リブを形成したため、底壁取付リブにストッパ部材を係止させて確実に保持させることができるとともに、他方の底壁取付リブをストッパ部材の内面に当接させて、底壁リップを安定して保持させることができる。
【0020】
ストッパ部材は、ドアフレームのコーナー部の上辺部側に取付けられ、ガラスランの本体の断面略コ字形に対する外面側を保持するようにストッパ部材車外側側壁、ストッパ部材内側側壁及びストッパ部材底壁からなる断面略コ字形に形成される。このため、ストッパ部材はガラスラン本体の車外側側壁、車内側側壁及び底壁の外面を覆うように保持されることができ、ドアガラスが上昇してガラスランに当接しても安定してガラスランに保持される。
【0021】
ストッパ部材底壁は、底壁リップを収納する上方に屈曲して断面略U字形に形成されるストッパ部材底壁凹部を形成し、ストッパ部材底壁凹部の少なくとも一方の面から断面略U字形の内部方向に折り曲げられて形成されたストッパ部材底壁係止片を設け、ストッパ部材底壁係止片の先端を底壁取付リブに係止させる。このため、底壁取付リブにストッパ部材底壁係止片の先端を食い込ませて、底壁リップを保持することにより、ストッパ部材がガラスランから脱落することを防止できる。また、ストッパ部材に底壁リップを嵌め込むのみでストッパ部材を取付けることができ、取付が容易である。
【0022】
請求項2の本発明は、底壁リップの先端から延長方向に底壁延長リップを延設し、ストッパ部材底壁凹部の底部に底壁延長リップが挿入されるストッパ部材底壁リップ孔を形成した自動車用ガラスランである。
【0023】
請求項2の本発明では、底壁リップの先端から延長方向に底壁延長リップを延設し、ストッパ部材底壁凹部の底部に底壁延長リップが挿入されるストッパ部材底壁リップ孔を形成した。このため、ストッパ部材を取付けるときに、底壁延長リップをストッパ部材底壁リップ孔へ通過させて、底壁延長リップを摘まんで引っ張ることで、容易にガラスランにストッパ部材を取付けることができる。
【0024】
請求項3の本発明は、ストッパ部材底壁係止片は、ストッパ部材底壁凹部の両側の面に形成された自動車用ガラスランである。
【0025】
請求項3の本発明では、ストッパ部材底壁係止片は、ストッパ部材底壁凹部の両側の面に形成されたため、底壁リップの底壁取付リブに両面からストッパ部材底壁係止片を係止させて、確実にストッパ部材を保持することができる。
【0026】
請求項4の本発明は、底壁取付リブに、ストッパ部材底壁係止片の先端が係止される係止溝を形成した自動車用ガラスランである。
【0027】
請求項4の本発明では、底壁取付リブに、ストッパ部材底壁係止片の先端が係止される係止溝を形成したため、ストッパ部材底壁係止片の先端を係止溝に確実に係止させることができ、安定してストッパ部材を保持することができる。
【0028】
請求項5の本発明は、底壁リップは、底壁の外面の車内側にシフトして形成された自動車用ガラスランである。
【0029】
請求項5の本発明では、底壁リップは、底壁の外面の車内側にシフトして形成されたため、車内側側壁や車内側カバーリップを大きく形成しても、底壁リップを引っ張るときに、車内側に引張力を大きく伝えて確実にストッパ部材を取付けることができる。
【0030】
請求項6の本発明は、コーナー部の上辺部側において、ガラスランの本体の車外側側壁又は車内側側壁の断面略コ字形に対する外面側の少なくとも一方に係合凸部を形成するとともに、ストッパ部材は、ガラスランの係合凸部に対応する部分に係合孔を形成し、係合孔に係合凸部を係合するとともに、ドアフレームのフランジ部の先端に係止される先端係止部をストッパ部材の両側の断面略コ字形の先端に形成し、ストッパ部材の断面略コ字形の両側の先端とドアフレームの先端とが車外側側壁と車外側カバーリップの間、及び車内側側壁と車内側カバーリップの間に挿入された自動車用ガラスランである。
【0031】
請求項6の本発明では、コーナー部の上辺部側のガラスランの本体の車外側側壁又は車内側側壁の断面略コ字形に対する外面側の少なくとも一方に係合凸部を形成したため、後述するストッパ部材に、ガラスランの車外側側壁又は車内側側壁を保持させることができる。
【0032】
ストッパ部材は、ガラスランの係合凸部に対応する部分に係合孔を形成し、係合孔に係合凸部を係合する。このため、ストッパ部材はガラスラン本体の車外側側壁、車内側側壁及び底壁の外面に保持されることができ、ドアガラスが上昇してガラスランに当接しても安定してガラスランに保持されるとともに、係合孔で係合凸部を係合してガラスランを保持できる。
【0033】
ドアフレームのフランジ部の先端に係止される先端係止部をストッパ部材の断面略コ字形の先端に形成したため、ストッパ部材を予めガラスランに装着し、ドアフレームにストッパ部材とガラスランを挿入することで、ストッパ部材をドアフレームの先端に係止し、確実にガラスランとストッパ部材をドアフレームに取り付けることができる。これにより、ドアガラスが上昇して、底壁に当接してもストッパ部材がガラスランの変形を防止できる。また、ストッパ部材とドアフレームのフランジ部を溶接する必要がないため、フランジ部の長さを短くすることができ、カバーリップを小さくすることができるため、外観品質が向上する。
【0034】
ストッパ部材の断面略コ字形の両側の先端とドアフレームの先端とが車外側側壁と車外側カバーリップの間、及び車内側側壁と車内側カバーリップの間に挿入した。このため、ストッパ部材の先端とドアフレームの先端を車外側側壁と車外側カバーリップの間、及び車内側側壁と車内側カバーリップの間に挟持して保持するとともに、車外側カバーリップと車内側カバーリップが覆い、見栄えが向上する。
【0035】
請求項7の本発明は、車外側シールリップは車内側シールリップよりも小さく形成され、ドアガラスは車内側側壁よりも車外側側壁に近接して位置し、係合凸部は車内側側壁に形成された自動車用ガラスランである。
【0036】
請求項7の本発明では、車外側シールリップは車内側シールリップよりも小さく形成され、ドアガラスは車内側側壁よりも車外側側壁に近接して位置しているため、ドアガラスとドアフレームの段差を小さくすることができ、見栄えも良く、空気抵抗も減少させることができる。
係合凸部をスペースや形状の自由度の高い車内側側壁に形成することにより、係合凸部の形状の自由度を確保することができる。さらに、ドアガラスの突き当てにより車外側側壁と比べて変形しにくい車内側側壁に係合凸部を形成していることと、車外側側壁と比べて上下の長さを長くできる車内側側壁に係合凸部を形成しているため、係合凸部の変形を抑制して、ガラスランがフランジ部から外れることを確実に防止できる。
【0037】
請求項8の本発明は、ドアフレームのフランジ部は、アウターパネルとインナーパネルの先端から構成され、フランジ部の根元部は、ドアフレームのフランジ部の開口方向に屈曲して形成された屈曲部が設けられ、屈曲部の上面側に係合凸部が当接する自動車用ガラスランである。
【0038】
請求項8の本発明では、フランジ部の根元部は、ドアフレームのフランジ部の開口方向に屈曲して形成された屈曲部が設けられ、屈曲部の上面側に係合凸部が当接するため、係合凸部が抜け止の作用をしてガラスランがフランジ部の開口方向に外れ難くなる。
【0039】
請求項9の本発明は、ドアフレームのフランジ部の先端を係止する先端係止部は、ストッパ部材の断面略コ字形の先端が、断面U字形に屈曲して形成された自動車用ガラスランである。
【0040】
請求項9の本発明では、ドアフレームのフランジ部の先端を係止する先端係止部は、ストッパ部材の断面略コ字形の先端が、断面U字形に屈曲して形成されたため、ストッパ部材をドアフレームのフランジ部に挿入するのみで、先端係止部で確実にストッパ部材をドアフレームのフランジ部に係止することができ、組付けが容易である。
【発明の効果】
【0041】
ストッパ部材底壁は、ストッパ部材底壁凹部の少なくとも一方の面から断面略U字形の内部方向に折り曲げられて形成されたストッパ部材底壁係止片を設け、ストッパ部材底壁係止片の先端を底壁取付リブに係止させるため、底壁取付リブにストッパ部材底壁係止片の先端を食い込ませて、底壁リップを保持することにより、ストッパ部材がガラスランから脱落することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施の形態であるガラスランのコーナー部をドアフレームのコーナー部に装着した状態の断面図であり、図2におけるA−Aに沿った断面図である。
【図2】本発明の実施の形態であるガラスランにストッパ部材を装着した状態の正面図である。
【図3】本発明の実施の形態で使用するガラスランコーナー部の正面図である。
【図4】本発明の実施の形態で使用するストッパ部材の断面図である。
【図5】本発明の実施の形態で使用するストッパ部材の左側面図である。
【図6】本発明の実施の形態で使用するストッパ部材の右側面図である。
【図7】本発明の実施の形態であるガラスランの直線部をドアフレームの上辺に装着した状態の断面図であり、図8におけるB−Bに沿った断面図である。
【図8】本発明の実施の形態であるガラスランの正面図である。
【図9】自動車ドアの正面図である。
【図10】従来のガラスランを直線部に装着した状態の断面図である。
【図11】従来の他のガラスランを直線部に装着した状態の断面図である。
【図12】従来の他のガラスランをコーナー部に装着した状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明の実施の形態を、図1〜図9に基づき説明する。
図9は、自動車のサイドのドア1の正面図であり、図8は、ドア1のドアフレーム2に取付けるフロントドアのガラスラン10の正面図である。図9に示すように、ドア1の上部にはドアフレーム2が設けられ、ドアガラス5が昇降自在に取付けられる。すなわち、ドアフレーム2の内周には、ガラスラン10が取付けられ、ドアガラス5の昇降を案内するとともに、ドアガラス5とドアフレーム2との間をシールしている。
【0044】
ガラスラン10は、図8に示すように、全体として押出成形で形成された直線部11と、ドアフレーム2のコーナー部2bに取付けられ、上記の直線部11を接続し、型成形で形成されるコーナー部12からなる。
直線部11は、ドアフレーム2の上辺部に取付けられる部分と、ドアフレーム2のリヤ側縦辺部に取付けられる部分と、ドアフレーム2のフロント側縦辺部に取付けられる部分とからなる。
【0045】
これらの押出成形部分をドアフレーム2に対応した形状となるように、フロント側とリヤ側のそれぞれのコーナー部分において、型成形により成形して直線部11を接続してコーナー部12が形成されている。なお、ガラスラン10のコーナー部12は、ドアフレーム2のコーナー部2bの部分に装着される。
【0046】
以下に、サイド側のドア1のリヤ側縦辺部と上辺部とでなすリヤ側のコーナー部2bに装着されるガラスラン10の直線部11の上辺部とコーナー部12を例に取り説明する。
図1は、ガラスラン10のリヤ側のコーナー部12の図2のA−A線に沿った断面図であり、図7は、ガラスラン10の縦辺部における直線部11の図8のB−B線に沿った断面図であり、図2は後述するストッパ部材60を取付けたコーナー部12の拡大正面図であり、図3は、ストッパ部材60を取付ける前のコーナー部12の拡大正面図である。
まず、直線部11の上辺部について説明し、その後、コーナー部12について説明する。
【0047】
ドアフレーム2の上辺部に取付けられるガラスラン10の直線部11の断面形状は、図7に示すように、底壁40と底壁40の車外側側縁部から底壁40に対して略垂直又は若干鈍角に下方(図2における下方)に延びる車外側側壁20と、底壁04の車内側側縁部から底壁40に対して略垂直又は若干鈍角に下方に延びる車内側側壁30とからなる断面略コ字形に形成されている。後述のように、車内側側壁30が車外側側壁20よりも大きく、厚肉に形成され、断面略コ字形は、車内側が大きな非対称形に形成されている。
【0048】
ガラスラン10の本体は、ドアフレーム2の上辺部に取付けられる部分も縦辺部に取付けられる部分も基本的には、ほぼ同様な断面略コ字形の断面形状を有している。
なお、上記において、車外側及び車内側とは、ドア1を閉じた状態での車輌における車室外側及び車室内側を示すものであり、上方、下方等における上下とは、車輌の上下方向を示すものである。
【0049】
ガラスラン10の車外側側壁20は、断面略板状に形成される。
車外側側壁20の先端付近から車外側シールリップ21が、上記本体の断面略コ字状の内側に向けて延設されている。また、車外側カバーリップ23が車外側側壁20の先端から車外側側壁20の上記断面略コ字状の外側に向けて、即ち、車外方向で車外側側壁20に平行に延設されている。車外側カバーリップ23は、ドアアウターパネル2cの先端のフランジ部2eをカバーしている。
【0050】
車外側側壁20の外面側には、ドアフレーム2のドアアウターパネル2cのフランジ部2eの車内側側面が当接する。車外側保持リップ24が車外側側壁20の外側面の底壁40側に形成されて、車外側保持リップ24がフランジ部2eに当接する。このため、車外側側壁20を確実にフランジ部2eに係止することができるとともに、車外側側壁20とフランジ部2eとの間をシールすることができる。
【0051】
上述のように、車外側側壁20の内側には、車外側シールリップ21がガラスラン10の本体の断面略コ字状の内側に向けて斜めに延設されている。
ドアガラス5が上昇して、ドアガラス5の上端がガラスラン10の本体の上辺部の内部に侵入したときに、ドアガラス5の上端の両面に、この車外側シールリップ21と後述する車内側シールリップ31が弾力的に当接して、ドアガラス5の先端とドアフレーム2の間をシールする。車外側シールリップ21と車内側シールリップ31の表面には摺動抵抗を減少させるために、低摺動部材や突条を形成することができる。
【0052】
底壁40は、略板状に形成され、車内側側壁30および車外側側壁20との連続部分では屈曲が容易にできるように溝部41が形成されている。
底壁40の外面(図7における上面)には、底壁リップ42が形成されている。このため、ドアアウターパネル2cから車外側カバーリップ23、車外側側壁20を通って雨水等が進入したときに、底壁リップ42で車内に進入することを防止できる。
【0053】
底壁40のガラスラン10の本体の断面略コ字形の内面には、車外側シールリップ21と車内側シールリップ31と同様に低摺動部材を押出成形したり、ウレタン樹脂等の低摺動部材が塗布されたりしている。このため、ドアガラス5との摺動抵抗を減少させることができる。また、底壁40の内面には、底壁内側リップ46を形成することができる。この場合には、ドアガラス5の上昇時に、ドアガラス5の先端に底壁内側リップ46が当接して、シール性を向上させるとともに、ドアガラス5の底壁40への衝撃を減少させることができる。
【0054】
車内側側壁30は、車外側側壁20よりも肉厚で大きく形成されている。このため、ガラスラン10をドアフレーム2の車外側の側面に保持することができる。
車内側側壁30の先端から、車内側カバーリップ33が車内側側壁30の外面側、即ち、車内方向に車内側側壁30と平行に延設されている。この車内側カバーリップ33と車内側側壁30で、ドアインナーパネル2dの先端のフランジ部2fを挟持している。
【0055】
車外側側壁20と同様に、車内側側壁30の先端からガラスラン10の本体の断面略コ字状の内部方向に斜めに車内側シールリップ31が延設されている。車内側シールリップ31は、車外側シールリップ21よりも長く、厚肉に形成されているため、ドアガラス5がガラスラン10内に侵入したときに、ドアガラス5を車外側に位置させることができ、ドアフレーム2とドアガラス5の段差を少なくすることができる。このため、空気抵抗や風切音が減少し、デザイン的にも好ましい。
【0056】
車内側側壁30の内面には、車内側シールリップ31の内面に当接して車内側シールリップ31を保持する車内側サブリップ32が形成されている。このため、車内側シールリップ31が車内側側壁30に密着することを防止して、異音の発生防止と、ドアガラス5と車内側シールリップ31のシール性を向上させている。
ドアフレーム2のフランジ部2fは、先端が屈曲して、車内側側壁30の外面の先端側に形成された車内側係合凸部37に係止される。このため、ガラスラン10をドアフレーム2に保持することができる。
【0057】
次に、図1に基づきガラスラン10のリヤ側のコーナー部12について説明する。
図1は、ガラスラン10のコーナー部12の上辺側における断面図であり、図2におけるA−A線に沿った断面図である。図2は、ガラスラン10のコーナー部12に後述するストッパ部材60を取付けた状態を示し、図3は、ストッパ部材60を取付ける前の状態を示す。
【0058】
ガラスラン10のコーナー部12は、図2に示すように、上辺部を形成する押出成形の直線部11とリヤ側の縦辺部を形成する押出成形の直線部11を型成形で接続したものである。その断面形状は、上述の押出成形の直線部11の断面形状と略同じである。即ち、その本体は、車外側側壁20と、車内側側壁30と、底壁40とから断面略コ字状に形成されているが、上辺部とリヤ側の縦辺部の断面形状の相違をコーナー部12で連続的に変化させることにより接続している。
【0059】
底壁40の外面から上方(図1における上方)へ底壁リップ42が延設されている。図2と図3に示すように、底壁リップ42は、ガラスラン10の上辺と接続される部分から始まり、コーナー部12の上辺側からコーナー部12の縦辺側への湾曲する部分に至るところまで延設されている。ガラスラン10の上辺における底壁リップ42よりも、コーナー部12の底壁リップ42の方が高く形成されている。
【0060】
図3に示すように、底壁リップ42の両面のストッパ部材60を取付ける部分に、底壁リップ42の幅方向に底壁取付リブ43を形成した。底壁取付リブ43は、本実施の形態では、3本形成したが、本数は適切に選択することができる。ストッパ部材60と取付については後述する。
底壁取付リブ43の直角方向(底壁リップ42の長手方向)に、ストッパ部材60を係止する底壁取付リブ係止溝45を形成することができる。
【0061】
ストッパ部材60を取付ける部分、即ち、底壁取付リブ43が形成された部分の底壁リップ42の先端から、底壁リップ42の延長方向に底壁延長リップ44が延設されている。このため、ストッパ部材60を取付けるときに、底壁延長リップ44を摘まんで引っ張ることで、容易にガラスラン10にストッパ部材60を取付けることができる。
【0062】
図1に示すように、底壁リップ42は、底壁40の外面の車内側(車内側側壁30に近い側)にシフトして形成することができる。この場合には、車内側側壁30や車内側カバーリップ33を大きく形成しても、底壁リップ42を引っ張るときに、車内側に引張力を大きく伝えて確実にストッパ部材60を取付けることができる。
【0063】
上辺部とリヤ側の縦辺部の断面形状に合わせて、車外側側壁20の先端付近から車外側シールリップ21が上記本体の断面略コ字状の内側に向けて延設されている。また、車外側カバーリップ23が車外側側壁20の先端から車外側で車外側側壁20に平行に延設されている。直線部11と同様に、車外側側壁20と車外側カバーリップ23でドアアウターパネル2cの先端のフランジ部2eを挟持している。
【0064】
車内側側壁30の先端から車内側シールリップ31が上記本体の断面略コ字状の内側に向けて延設されており、車内側カバーリップ33は、車内側側壁30の先端から車内側側壁30の外面側、即ち、車内側に車内側側壁30と平行に延設されている。この車内側カバーリップ33と車内側側壁30は、ドアインナーパネル2dの先端のフランジ部2fを挟持して、ガラスラン10を保持している。
ドアインナーパネル2dの先端は、フランジ部2fの根元付近でフランジ部2fの開口方向(図1における下方)に屈曲して形成された屈曲部が設けられる。
【0065】
コーナー部12の上辺部側のガラスラン10の車内側側壁30の外面に車内側係合凸部37が形成されている。車内側係合凸部37は、図1に示すように、車輌の上方から下方に向かって断面略コ字形の外側に向かって斜めに突出する第1傾斜壁37aと、第1傾斜壁37aの下端から下方に向かうとともに内側に向かって傾斜する第2傾斜壁37bを有する。第1傾斜壁37aの下端又は第2傾斜壁37bの上端がドアインナーパネル2dのフランジ部2fの屈曲部の上面側に当接する。
【0066】
車内側係合凸部37を車内側側壁30に形成する場合は、車内側側壁30は車外側側壁20と比べて大きいため、スペースや形状の自由度を高くすることができ、車内側係合凸部37の形状の自由度を確保することができる。さらに、ドアガラス5が突き当たるときに、車外側側壁20と比べて変形しにくい車内側側壁30に車内側係合凸部37を形成していることと、車外側側壁20と比べて上下の長さを長くできる車内側側壁30に車内側係合凸部37を形成しているため、車内側係合凸部37の変形を抑制して、ガラスラン10がフランジ部2e、2fから外れることを確実に防止できる。
【0067】
車内側係合凸部37は、上方から下方に向かって外面側に斜めに突出する第1傾斜壁37aを有するため、フランジ部2fの下方からガラスラン10を挿入して取付けるときに、第1傾斜壁37aがガイドとなってスムースにガラスラン10を取付けることができる。
第1傾斜壁37aの下端又は第2傾斜壁37bの上端がドアインナーパネル2dの屈曲部の上面側に当接するため、ガラスラン10の装着後に、ガラスラン10を下方に引っ張る力が働くときに、第1傾斜壁37aは斜め下方に向かって傾斜しているため、第1傾斜壁37aが引っ張りに対して突っ張ることができ、車内側係合凸部37の変形を防止して、係合凸部27が抜け止の作用をして、ガラスラン10がフランジ部2e、2fの開口方向に外れ難くなる。
【0068】
車内側係合凸部37は、車内側側壁30の一部を外側に屈曲して断面く字形に形成されており、車内側側壁30よりも厚肉に形成してもよい。
車内側側壁30の外面の代わりに、車外側側壁20の外面に同様に係合凸部を形成することができ、車外側側壁20と車内側側壁30の両方の外面に係合凸部を形成することもできる。両方に係合凸部を形成した場合には、ストッパ部材60をガラスラン10がより強く保持できる。
【0069】
図1に示すように、ガラスラン10のコーナー部12の上辺側の車内側係合凸部37が形成された部分にストッパ部材60が取付けられる。
ストッパ部材60の形状について図4〜図6に基づき説明する。
ストッパ部材60は、所定の幅で断面略コ字形に形成され、ストッパ部材車外側側壁61、ストッパ部材車内側側壁62とストッパ部材底壁63から形成されている。
【0070】
ガラスラン10にストッパ部材60を取り付けると、ストッパ部材60のストッパ部材車外側側壁61、ストッパ部材車内側側壁62とストッパ部材底壁63は、それぞれガラスラン10の車外側側壁20、車内側側壁30と底壁40の外面を包むように当接して、ガラスラン10の本体の外面に保持されている。このため、ストッパ部材60でガラスラン10の本体の車外側側壁20、車内側側壁30及び底壁40の外面を覆うことができ、安定してガラスラン10との保持状態を得ることができる。
【0071】
このように、ストッパ部材60でガラスラン10の車外側側壁20、車内側側壁30及び底壁40の外面を覆うため、ドアガラス5が上昇して上辺部に装着されたガラスラン10の底壁40に当接しても、ストッパ部材60で底壁40を保持して、ガラスラン10の変形を防止して、車内側係合凸部37がストッパ部材係合孔65に嵌合して変形やずれを防止でき、見栄えやシール性を確保することができる。
【0072】
ストッパ部材底壁63は、ガラスラン10のコーナー部12の底壁リップ42を収納するように、上方に屈曲して断面略U字形に形成されるストッパ部材底壁凹部66が形成されている。ストッパ部材底壁凹部66の少なくとも一方の面から断面略U字形の内部方向に折り曲げられて形成されたストッパ部材底壁係止片67を設ける。本実施の形態では、ストッパ部材底壁凹部66の車内側の面に、ストッパ部材底壁係止片67が形成されている。図1に示すように、ストッパ部材60をガラスラン10に取付けると、ストッパ部材底壁係止片67の先端がガラスラン10の底壁取付リブ43に食い込んで、係止される。
【0073】
底壁取付リブ43にストッパ部材底壁係止片67の先端を食い込ませて、底壁リップ42を保持することにより、ストッパ部材60がガラスラン10から脱落することを防止できる。また、ストッパ部材60に底壁リップ42を嵌め込むのみでストッパ部材60をガラスラン10に取付けることができ、取付が容易である。
【0074】
底壁取付リブ43に、ストッパ部材底壁係止片67の先端が係止される部分に、底壁取付リブ係止溝45を底壁取付リブ43に対して略直角に形成することができる。この場合には、ストッパ部材底壁係止片67の先端を底壁取付リブ係止溝45に確実に係止させることができ、安定してストッパ部材60を保持することができる。
【0075】
底壁リップ42の両面に底壁取付リブ43を形成したため、底壁取付リブ43にストッパ部材底壁係止片67を係止させて確実に保持させることができるとともに、他方の底壁取付リブ43(本実施の形態では車外側の面に形成された底壁取付リブ43)をストッパ部材60のストッパ部材車外側側壁61の内面に当接させて、底壁リップ42を安定して保持させることができる。
【0076】
本実施の形態では、ストッパ部材底壁係止片67をストッパ部材車内側側壁62に形成したが、ストッパ部材車内側側壁62とストッパ部材車外側側壁61の両方にストッパ部材底壁係止片67を設けることができる。この場合は、底壁リップ42の底壁取付リブ43に両面からストッパ部材底壁係止片67を係止させて、確実にストッパ部材60を保持することができる。
【0077】
ストッパ部材底壁凹部66の底の部分(図4におけるストッパ部材底壁凹部66の上端)に、ガラスラン10の底壁延長リップ44を挿入することができるストッパ部材底壁リップ孔68が形成されている。このため、ストッパ部材60を取付けるときに、底壁延長リップ44をストッパ部材底壁リップ孔68へ通過させて、底壁延長リップ44を摘まんで引っ張ることで、容易にガラスラン10にストッパ部材60を取付けることができる。
【0078】
ストッパ部材車内側側壁62は、ガラスラン10の車内側係合凸部37に対応する部分にストッパ部材係合孔65が形成されている。ガラスラン10にストッパ部材60を嵌め込むと、ストッパ部材係合孔65に車内側係合凸部37が係合される。このため、ストッパ部材60は、上記ストッパ部材底壁係止片67による底壁リップ42の係止とともに、ガラスラン10の車外側側壁20、車内側側壁30及び底壁40の外面に保持されることができる。したがって、ガラスラン10の移送中や組付け時に、ストッパ部材60がガラスラン10カら脱落することもなく、ドアガラス5が上昇してガラスラン10に当接しても安定してガラスラン10を保持できる。
【0079】
ストッパ部材60のストッパ部材車外側側壁61とストッパ部材車内側側壁62の先端には、それぞれドアフレーム2のフランジ部2e,2fの先端を係止するストッパ部材先端係止部64、64が形成されている。ストッパ部材先端係止部64、64は、ストッパ部材車外側側壁61とストッパ部材車内側側壁62の先端を断面U字形に外面側に屈曲して形成することが好ましい。
【0080】
この場合には、ストッパ部材60をドアフレーム2のフランジ部2e,2fに挿入するのみで、ストッパ部材先端係止部64、64がフランジ部2e,2fの先端を係止して、確実にストッパ部材60をドアフレーム2のフランジ部2e,2fに係止することができ、組付けが容易である。また、ストッパ部材60とドアフレーム2のフランジ部2e、2fを溶接する必要がないため、フランジ部2e、2fの長さを短くすることができ、車外側カバーリップ23と車内側カバーリップ33を小さくすることができるため、外観品質が向上する。
【0081】
ストッパ部材60が取り付けられたガラスラン10をドアフレーム2に装着すると、ストッパ部材60の断面略コ字形の両側の先端であるストッパ部材車外側側壁61とストッパ部材車内側側壁62がガラスラン10の車外側側壁20と車外側カバーリップ23の間、及び車内側側壁30と車内側カバーリップ33の間に挿入される。そして、上述のとおり、ストッパ部材先端係止部64、64がフランジ部2e,2fの先端を係止して、そのストッパ部材先端係止部64、64を車外側カバーリップ23と車内側カバーリップ33が覆うことができる。
【0082】
ストッパ部材60は、ガラスラン10の車内側係合凸部37に対応する部分にストッパ部材係合孔65が形成されている。本実施の形態では、車内側側壁30の外面に車内側係合凸部37が形成されているので、ストッパ部材車内側側壁62にストッパ部材係合孔65が形成されている。ストッパ部材60をガラスラン10に装着すると、車内側係合凸部37がストッパ部材係合孔65に嵌合する。このため、ストッパ部材60をガラスラン10に嵌め込むのみで容易にストッパ部材60を取り付けることができる。
車外側側壁20に係合凸部を形成する場合には、ストッパ部材60のストッパ部材車外側側壁61にストッパ部材係合孔65を形成する。
【0083】
ガラスラン10の直線部11とコーナー部12のそれぞれの車外側側壁20と、車内側側壁30と、底壁40と、車外側シールリップ21と、車内側シールリップ31とはそれぞれ対応する部分が直線部11とコーナー部12の接続部で連続している。このため、ガラスラン10の縦辺部と上辺部は、コーナー部12のそれぞれの部分と連結して、コーナー部12の接続部分のシール性と遮音性を確保することができる。
【0084】
ガラスラン10の直線部11の成形においては、成形材料は、合成ゴム、熱可塑性エラストマーが使用され、例えば合成ゴムでは、EPDMゴム、熱可塑性エラストマーでは、ポリオレフィン系エラストマー等が使用される。
合成ゴムの場合は、押出成形後に加硫槽に搬送されて、熱風や高周波等により加熱されて加硫が行われる。熱可塑性エラストマーの場合は、冷却され固化される。その後所定の長さに切断されて、押出成形部分は製造される。
【0085】
次に、ガラスラン10のコーナー部12の型成形部分の成形は、上記により製造された押出成形部材を所定寸法に長手方向とは略直角に切断して、その切断した押出部分の端部を、型成形部分を成形する金型に挟持して、その金型のキャビティーに型成形部分を形成するソリッド材を注入する。型成形部分の断面形状は押出成形部分の断面形状と略同じである。成形材料は、押出成形部分に使用した材料と同じ種類のものを使用することが好ましい。熱可塑性エラストマーの場合は、金型に注入されたときに注入材料は溶融されているため、その熱と圧力とで押出成形部分と型成形部分は一体的に融着される。
【0086】
ガラスラン10の直線部11がEPDMゴムで形成される場合は、ガラスラン10のコーナー部12は、EPDMゴム又はオレフィン系熱可塑性エラストマーで形成することが好ましい。ガラスラン10の直線部11がオレフィン系熱可塑性エラストマーで形成される場合は、ガラスラン10のコーナー部12は、オレフィン系熱可塑性エラストマーで形成する。この場合は、同種の材料であり、ガラスラン10の直線部11とコーナー部12の接着性がよい。また、いずれもオレフィン系の材料であり、耐候性がよく、同時に粉砕処理ができ、リサイクル容易な製品を得ることができる。オレフィン系熱可塑性エラストマーの場合は、加硫が不要のため、製造が容易である。
合成ゴムの場合は、金型に注入した後に金型を加熱して加硫する。このとき、押出成形部分と型成形部分は同じ材料あるいは同種類の材料を使用しているため、加硫接着をすることができ、一体的に固着することができる。
【符号の説明】
【0087】
2 ドアフレーム
2e、2f フランジ部
10 ガラスラン
11 直線部
12 コーナー部
20 車外側側壁
30 車内側側壁
40 底壁
42 底壁リップ
43 底壁取付リブ
60 ストッパ部材
66 ストッパ部材底壁凹部
67 ストッパ部材底壁係止片
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアガラスの昇降を案内する、直線部と、コーナー部を有するガラスランを自動車ドアのドアフレームの内周に取付ける自動車用ガラスランに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図9に示すように、自動車のドア1のドアフレーム2の内周にドアガラス5の昇降を案内するガラスラン110が取付けられている。
従来、ガラスラン110は、図9に示すように、ドアフレーム2のチャンネル103内に取付けられて、ドアガラス5の昇降を案内するとともにドアガラス5とドアフレーム2との間をシールしている。
【0003】
さらに、ガラスラン110は、図8に示すように、押出成形により成形された直線部111からなるドアフレーム2の上辺部と、同じく押出成形された直線部111からなるフロント側縦辺部及びリヤ側縦辺部を、型成形によってドアフレーム2のコーナー部2bの形状に合わせて形成されたコーナー部112で接続している。
【0004】
なお、ドア1と車体との間のシールは、ドアパネルおよびドアフレーム2の外周に取付けられたドアウエザストリップ(図示せず)および/または車体の開口部に形成されたフランジに取付けられたオープニングトリムウエザストリップ(図示せず)によりなされている。
【0005】
ガラスラン110の本体の直線部111は、図10に示すように、車外側側壁120と、車内側側壁130と、底壁140からなる断面略コ字状をなしている。車外側側壁120の先端付近から車外側シールリップ121が本体の断面略コ字状の内側に向けて延出するように設けられている。また、車内側側壁130にもその先端付近から車内側シールリップ131が断面略コ字状の内側に向けて延出するように設けられている。
【0006】
ガラスラン110の本体の車外側側壁120、車内側側壁130と底壁140はドアフレーム2に設けられたチャンネル103内に挿入され、各壁の外面の少なくとも一部がチャンネル103の内面に圧接され、ガラスラン110を保持している。
ドアガラス5は、このガラスラン110の本体の断面略コ字状の内側を摺動するとともに、上記車外側シールリップ121と車内側シールリップ131によってドアガラス5の端部の両側面がシールされて保持されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
しかしながら、車輌のプレスドアにおいては、ドアフレーム2にチャンネル103を嵌め込んで、固着するためにはドアフレーム2のドアアウターパネル2cとドアインナーパネル2dのそれぞれの先端のフランジ部2e、2fと溶接する必要があり、溶接代を確保するためフランジ部2e、2fが幅広となり、見栄えがわるくなるとともに、フランジ部2e、2fをカバーするため、ガラスラン110にそれぞれ幅広の車外側カバーリップ123と車内側カバーリップ133を設ける必要があった。
【0008】
そのため、チャンネル103をフランジ部2e、2fに溶接する手間がかかるとともに、チャンネル103、フランジ部2e、2f及び車外側カバーリップ123と車内側カバーリップ133の幅が大きくなりそれぞれの重量が増加して車輌の軽量化の要請に反することとなる。
【0009】
そのため、チャンネル103を廃止して、フランジ部2e、2fに直接ガラスラン110を装着することが行われている。しかしながら、この場合には、ドアガラス5の昇降にともない、ドアガラス5の先端がガラスラン110の底壁140を突き上げて、ガラスラン110が変形したり、ガラスラン110が上方にずれて見栄え、シール性が低下したり、異音が発生したりすることがあった。
【0010】
このため、図11に示すように、ガラスラン210の上辺部において、底壁240の外面にストッパ部材として脚部241、241を形成し、ドアインナーパネル2dに当接するようにしたものがある(例えば、特許文献2参照。)。
しかしこの場合には、脚部241、241と車外側側壁220、車内側側壁230、車外側シールリップ221や車内側シールリップ231等と一緒に同じ材料で型成形するため、材料硬度を高くすることが困難であり、ドアガラス5の昇降によるガラスラン210の変形やずれを充分に防止することができなかった。
【0011】
また、図12に示すように、ドアフレーム2の内部に、金属製の断面コ字形のストッパ部材360を取付けて、ストッパ部材360にガラスラン310の車外側側壁320、車内側側壁330、底壁340を当接させて、ガラスラン310を保持するものがある(例えば、特許文献3参照。)。
【0012】
この場合には、ストッパ部材360が金属製のため、ドアガラス5の昇降によるガラスラン210の変形やずれの防止はできるが、このストッパ部材360の保持は、車内側側壁330に形成した車内側係合突部337をストッパ部材360の係合孔365に嵌め込んで行っていた。このため、ガラスラン310の搬送時や車両への組付け時にストッパ部材360がガラスラン310から脱落してしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平9−286242号公報
【特許文献2】特開2003−118383号公報
【特許文献3】特開2011−68237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
そこで、本発明は、ガラスランを保持するストッパ部材がガラスランから脱落しないガラスランを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために請求項1の本発明は、自動車ドアのドアフレームの内周に取付け、ドアガラスの昇降を案内する自動車用ガラスランであって、ガラスランは、押出成形により成形されドアフレームの上辺部と縦辺部に装着される直線部と、型成形により成形され該直線部を接続し、ドアフレームのコーナー部に装着されるコーナー部を有する自動車用ガラスランであり、ドアフレームのコーナー部にガラスランを保持するストッパ部材を取付けるガラスランにおいて、
直線部とコーナー部は、底壁と底壁の車外側側縁部から延びる車外側側壁と、底壁の車内側側縁部から延びる車内側側壁とからなる断面略コ字形をなすガラスランの本体を備え、車外側側壁と車内側側壁には、それぞれ本体の断面略コ字状の内側に向かって延出する車外側シールリップと車内側シールリップを設け、車外側シールリップと車内側シールリップによりドアガラスの車外側面及び車内側面をシールし、車外側側壁の先端から断面略コ字形に対する外面側に車外側カバーリップが形成され、車内側側壁の先端から断面略コ字形に対する外面側に車内側カバーリップが形成され、底壁の外面から上方へ底壁リップを延設し、底壁リップの両面に底壁取付リブを形成し、
ストッパ部材は、ドアフレームのコーナー部の上辺部側に取付けられ、ガラスランの本体の断面略コ字形に対する外面側を保持するように、ストッパ部材車外側側壁、ストッパ部材内側側壁及びストッパ部材底壁からなる断面略コ字形に形成され、ストッパ部材底壁は、底壁リップを収納する上方に屈曲して断面略U字形に形成されるストッパ部材底壁凹部を形成し、ストッパ部材底壁凹部の少なくとも一方の面から断面略U字形の内部方向に折り曲げられて形成されたストッパ部材底壁係止片を設け、ストッパ部材底壁係止片の先端を底壁取付リブに係止させたことを特徴とする自動車用ガラスランである。
【0016】
請求項1の本発明では、直線部とコーナー部は、底壁と底壁の車外側側縁部から延びる車外側側壁と、底壁の車内側側縁部から延びる車内側側壁とからなる断面略コ字形をなすガラスランの本体を備えている。このため、ドア閉時に、ドアフレームの上辺部、縦辺部及びコーナー部において車外側側壁と、車内側側壁と、底壁とからなる本体の断面略コ字状のガラスランの内側に、ドアガラスの先端を収納することができ、ドアガラスを確実に保持することができる。なお、ここで車外側及び車内側とは、ドアを閉じた状態での車輌における車室外側及び車室内側である。
【0017】
車外側側壁と車内側側壁には、それぞれ本体の断面略コ字状の内側に向かって延出する車外側シールリップと車内側シールリップを設け、車外側シールリップと車内側シールリップによりドアガラスの車外側面及び車内側面をシールしている。このため、直線部の上辺部、縦辺部及びコーナー部において、車外側シールリップと車内側シールリップにより、ドアガラスの昇降に応じて、両方のシールリップがドアガラスに当接し、車外側シールリップと車内側シールリップによりドアフレームとドアガラスとの間のシールをすることができる。
【0018】
車外側側壁の先端から断面略コ字形に対する外面側に車外側カバーリップが形成され、車内側側壁の先端から断面略コ字形に対する外面側に車内側カバーリップが形成されている。このため、車外側側壁と車外側カバーリップでストッパ部材の車外側側壁とドアアウターパネルのフランジ部を保持し、車内側側壁と車内側カバーリップでストッパ部材の車内側側壁とドアインナーパネルのフランジ部を保持することができ、ガラスランを確実にフランジに保持することができ、フランジ部をカバーリップで覆うことができ、見栄えが良い。
【0019】
底壁の外面から上方へ底壁リップを延設し、底壁リップの両面に底壁取付リブを形成したため、底壁取付リブにストッパ部材を係止させて確実に保持させることができるとともに、他方の底壁取付リブをストッパ部材の内面に当接させて、底壁リップを安定して保持させることができる。
【0020】
ストッパ部材は、ドアフレームのコーナー部の上辺部側に取付けられ、ガラスランの本体の断面略コ字形に対する外面側を保持するようにストッパ部材車外側側壁、ストッパ部材内側側壁及びストッパ部材底壁からなる断面略コ字形に形成される。このため、ストッパ部材はガラスラン本体の車外側側壁、車内側側壁及び底壁の外面を覆うように保持されることができ、ドアガラスが上昇してガラスランに当接しても安定してガラスランに保持される。
【0021】
ストッパ部材底壁は、底壁リップを収納する上方に屈曲して断面略U字形に形成されるストッパ部材底壁凹部を形成し、ストッパ部材底壁凹部の少なくとも一方の面から断面略U字形の内部方向に折り曲げられて形成されたストッパ部材底壁係止片を設け、ストッパ部材底壁係止片の先端を底壁取付リブに係止させる。このため、底壁取付リブにストッパ部材底壁係止片の先端を食い込ませて、底壁リップを保持することにより、ストッパ部材がガラスランから脱落することを防止できる。また、ストッパ部材に底壁リップを嵌め込むのみでストッパ部材を取付けることができ、取付が容易である。
【0022】
請求項2の本発明は、底壁リップの先端から延長方向に底壁延長リップを延設し、ストッパ部材底壁凹部の底部に底壁延長リップが挿入されるストッパ部材底壁リップ孔を形成した自動車用ガラスランである。
【0023】
請求項2の本発明では、底壁リップの先端から延長方向に底壁延長リップを延設し、ストッパ部材底壁凹部の底部に底壁延長リップが挿入されるストッパ部材底壁リップ孔を形成した。このため、ストッパ部材を取付けるときに、底壁延長リップをストッパ部材底壁リップ孔へ通過させて、底壁延長リップを摘まんで引っ張ることで、容易にガラスランにストッパ部材を取付けることができる。
【0024】
請求項3の本発明は、ストッパ部材底壁係止片は、ストッパ部材底壁凹部の両側の面に形成された自動車用ガラスランである。
【0025】
請求項3の本発明では、ストッパ部材底壁係止片は、ストッパ部材底壁凹部の両側の面に形成されたため、底壁リップの底壁取付リブに両面からストッパ部材底壁係止片を係止させて、確実にストッパ部材を保持することができる。
【0026】
請求項4の本発明は、底壁取付リブに、ストッパ部材底壁係止片の先端が係止される係止溝を形成した自動車用ガラスランである。
【0027】
請求項4の本発明では、底壁取付リブに、ストッパ部材底壁係止片の先端が係止される係止溝を形成したため、ストッパ部材底壁係止片の先端を係止溝に確実に係止させることができ、安定してストッパ部材を保持することができる。
【0028】
請求項5の本発明は、底壁リップは、底壁の外面の車内側にシフトして形成された自動車用ガラスランである。
【0029】
請求項5の本発明では、底壁リップは、底壁の外面の車内側にシフトして形成されたため、車内側側壁や車内側カバーリップを大きく形成しても、底壁リップを引っ張るときに、車内側に引張力を大きく伝えて確実にストッパ部材を取付けることができる。
【0030】
請求項6の本発明は、コーナー部の上辺部側において、ガラスランの本体の車外側側壁又は車内側側壁の断面略コ字形に対する外面側の少なくとも一方に係合凸部を形成するとともに、ストッパ部材は、ガラスランの係合凸部に対応する部分に係合孔を形成し、係合孔に係合凸部を係合するとともに、ドアフレームのフランジ部の先端に係止される先端係止部をストッパ部材の両側の断面略コ字形の先端に形成し、ストッパ部材の断面略コ字形の両側の先端とドアフレームの先端とが車外側側壁と車外側カバーリップの間、及び車内側側壁と車内側カバーリップの間に挿入された自動車用ガラスランである。
【0031】
請求項6の本発明では、コーナー部の上辺部側のガラスランの本体の車外側側壁又は車内側側壁の断面略コ字形に対する外面側の少なくとも一方に係合凸部を形成したため、後述するストッパ部材に、ガラスランの車外側側壁又は車内側側壁を保持させることができる。
【0032】
ストッパ部材は、ガラスランの係合凸部に対応する部分に係合孔を形成し、係合孔に係合凸部を係合する。このため、ストッパ部材はガラスラン本体の車外側側壁、車内側側壁及び底壁の外面に保持されることができ、ドアガラスが上昇してガラスランに当接しても安定してガラスランに保持されるとともに、係合孔で係合凸部を係合してガラスランを保持できる。
【0033】
ドアフレームのフランジ部の先端に係止される先端係止部をストッパ部材の断面略コ字形の先端に形成したため、ストッパ部材を予めガラスランに装着し、ドアフレームにストッパ部材とガラスランを挿入することで、ストッパ部材をドアフレームの先端に係止し、確実にガラスランとストッパ部材をドアフレームに取り付けることができる。これにより、ドアガラスが上昇して、底壁に当接してもストッパ部材がガラスランの変形を防止できる。また、ストッパ部材とドアフレームのフランジ部を溶接する必要がないため、フランジ部の長さを短くすることができ、カバーリップを小さくすることができるため、外観品質が向上する。
【0034】
ストッパ部材の断面略コ字形の両側の先端とドアフレームの先端とが車外側側壁と車外側カバーリップの間、及び車内側側壁と車内側カバーリップの間に挿入した。このため、ストッパ部材の先端とドアフレームの先端を車外側側壁と車外側カバーリップの間、及び車内側側壁と車内側カバーリップの間に挟持して保持するとともに、車外側カバーリップと車内側カバーリップが覆い、見栄えが向上する。
【0035】
請求項7の本発明は、車外側シールリップは車内側シールリップよりも小さく形成され、ドアガラスは車内側側壁よりも車外側側壁に近接して位置し、係合凸部は車内側側壁に形成された自動車用ガラスランである。
【0036】
請求項7の本発明では、車外側シールリップは車内側シールリップよりも小さく形成され、ドアガラスは車内側側壁よりも車外側側壁に近接して位置しているため、ドアガラスとドアフレームの段差を小さくすることができ、見栄えも良く、空気抵抗も減少させることができる。
係合凸部をスペースや形状の自由度の高い車内側側壁に形成することにより、係合凸部の形状の自由度を確保することができる。さらに、ドアガラスの突き当てにより車外側側壁と比べて変形しにくい車内側側壁に係合凸部を形成していることと、車外側側壁と比べて上下の長さを長くできる車内側側壁に係合凸部を形成しているため、係合凸部の変形を抑制して、ガラスランがフランジ部から外れることを確実に防止できる。
【0037】
請求項8の本発明は、ドアフレームのフランジ部は、アウターパネルとインナーパネルの先端から構成され、フランジ部の根元部は、ドアフレームのフランジ部の開口方向に屈曲して形成された屈曲部が設けられ、屈曲部の上面側に係合凸部が当接する自動車用ガラスランである。
【0038】
請求項8の本発明では、フランジ部の根元部は、ドアフレームのフランジ部の開口方向に屈曲して形成された屈曲部が設けられ、屈曲部の上面側に係合凸部が当接するため、係合凸部が抜け止の作用をしてガラスランがフランジ部の開口方向に外れ難くなる。
【0039】
請求項9の本発明は、ドアフレームのフランジ部の先端を係止する先端係止部は、ストッパ部材の断面略コ字形の先端が、断面U字形に屈曲して形成された自動車用ガラスランである。
【0040】
請求項9の本発明では、ドアフレームのフランジ部の先端を係止する先端係止部は、ストッパ部材の断面略コ字形の先端が、断面U字形に屈曲して形成されたため、ストッパ部材をドアフレームのフランジ部に挿入するのみで、先端係止部で確実にストッパ部材をドアフレームのフランジ部に係止することができ、組付けが容易である。
【発明の効果】
【0041】
ストッパ部材底壁は、ストッパ部材底壁凹部の少なくとも一方の面から断面略U字形の内部方向に折り曲げられて形成されたストッパ部材底壁係止片を設け、ストッパ部材底壁係止片の先端を底壁取付リブに係止させるため、底壁取付リブにストッパ部材底壁係止片の先端を食い込ませて、底壁リップを保持することにより、ストッパ部材がガラスランから脱落することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施の形態であるガラスランのコーナー部をドアフレームのコーナー部に装着した状態の断面図であり、図2におけるA−Aに沿った断面図である。
【図2】本発明の実施の形態であるガラスランにストッパ部材を装着した状態の正面図である。
【図3】本発明の実施の形態で使用するガラスランコーナー部の正面図である。
【図4】本発明の実施の形態で使用するストッパ部材の断面図である。
【図5】本発明の実施の形態で使用するストッパ部材の左側面図である。
【図6】本発明の実施の形態で使用するストッパ部材の右側面図である。
【図7】本発明の実施の形態であるガラスランの直線部をドアフレームの上辺に装着した状態の断面図であり、図8におけるB−Bに沿った断面図である。
【図8】本発明の実施の形態であるガラスランの正面図である。
【図9】自動車ドアの正面図である。
【図10】従来のガラスランを直線部に装着した状態の断面図である。
【図11】従来の他のガラスランを直線部に装着した状態の断面図である。
【図12】従来の他のガラスランをコーナー部に装着した状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明の実施の形態を、図1〜図9に基づき説明する。
図9は、自動車のサイドのドア1の正面図であり、図8は、ドア1のドアフレーム2に取付けるフロントドアのガラスラン10の正面図である。図9に示すように、ドア1の上部にはドアフレーム2が設けられ、ドアガラス5が昇降自在に取付けられる。すなわち、ドアフレーム2の内周には、ガラスラン10が取付けられ、ドアガラス5の昇降を案内するとともに、ドアガラス5とドアフレーム2との間をシールしている。
【0044】
ガラスラン10は、図8に示すように、全体として押出成形で形成された直線部11と、ドアフレーム2のコーナー部2bに取付けられ、上記の直線部11を接続し、型成形で形成されるコーナー部12からなる。
直線部11は、ドアフレーム2の上辺部に取付けられる部分と、ドアフレーム2のリヤ側縦辺部に取付けられる部分と、ドアフレーム2のフロント側縦辺部に取付けられる部分とからなる。
【0045】
これらの押出成形部分をドアフレーム2に対応した形状となるように、フロント側とリヤ側のそれぞれのコーナー部分において、型成形により成形して直線部11を接続してコーナー部12が形成されている。なお、ガラスラン10のコーナー部12は、ドアフレーム2のコーナー部2bの部分に装着される。
【0046】
以下に、サイド側のドア1のリヤ側縦辺部と上辺部とでなすリヤ側のコーナー部2bに装着されるガラスラン10の直線部11の上辺部とコーナー部12を例に取り説明する。
図1は、ガラスラン10のリヤ側のコーナー部12の図2のA−A線に沿った断面図であり、図7は、ガラスラン10の縦辺部における直線部11の図8のB−B線に沿った断面図であり、図2は後述するストッパ部材60を取付けたコーナー部12の拡大正面図であり、図3は、ストッパ部材60を取付ける前のコーナー部12の拡大正面図である。
まず、直線部11の上辺部について説明し、その後、コーナー部12について説明する。
【0047】
ドアフレーム2の上辺部に取付けられるガラスラン10の直線部11の断面形状は、図7に示すように、底壁40と底壁40の車外側側縁部から底壁40に対して略垂直又は若干鈍角に下方(図2における下方)に延びる車外側側壁20と、底壁04の車内側側縁部から底壁40に対して略垂直又は若干鈍角に下方に延びる車内側側壁30とからなる断面略コ字形に形成されている。後述のように、車内側側壁30が車外側側壁20よりも大きく、厚肉に形成され、断面略コ字形は、車内側が大きな非対称形に形成されている。
【0048】
ガラスラン10の本体は、ドアフレーム2の上辺部に取付けられる部分も縦辺部に取付けられる部分も基本的には、ほぼ同様な断面略コ字形の断面形状を有している。
なお、上記において、車外側及び車内側とは、ドア1を閉じた状態での車輌における車室外側及び車室内側を示すものであり、上方、下方等における上下とは、車輌の上下方向を示すものである。
【0049】
ガラスラン10の車外側側壁20は、断面略板状に形成される。
車外側側壁20の先端付近から車外側シールリップ21が、上記本体の断面略コ字状の内側に向けて延設されている。また、車外側カバーリップ23が車外側側壁20の先端から車外側側壁20の上記断面略コ字状の外側に向けて、即ち、車外方向で車外側側壁20に平行に延設されている。車外側カバーリップ23は、ドアアウターパネル2cの先端のフランジ部2eをカバーしている。
【0050】
車外側側壁20の外面側には、ドアフレーム2のドアアウターパネル2cのフランジ部2eの車内側側面が当接する。車外側保持リップ24が車外側側壁20の外側面の底壁40側に形成されて、車外側保持リップ24がフランジ部2eに当接する。このため、車外側側壁20を確実にフランジ部2eに係止することができるとともに、車外側側壁20とフランジ部2eとの間をシールすることができる。
【0051】
上述のように、車外側側壁20の内側には、車外側シールリップ21がガラスラン10の本体の断面略コ字状の内側に向けて斜めに延設されている。
ドアガラス5が上昇して、ドアガラス5の上端がガラスラン10の本体の上辺部の内部に侵入したときに、ドアガラス5の上端の両面に、この車外側シールリップ21と後述する車内側シールリップ31が弾力的に当接して、ドアガラス5の先端とドアフレーム2の間をシールする。車外側シールリップ21と車内側シールリップ31の表面には摺動抵抗を減少させるために、低摺動部材や突条を形成することができる。
【0052】
底壁40は、略板状に形成され、車内側側壁30および車外側側壁20との連続部分では屈曲が容易にできるように溝部41が形成されている。
底壁40の外面(図7における上面)には、底壁リップ42が形成されている。このため、ドアアウターパネル2cから車外側カバーリップ23、車外側側壁20を通って雨水等が進入したときに、底壁リップ42で車内に進入することを防止できる。
【0053】
底壁40のガラスラン10の本体の断面略コ字形の内面には、車外側シールリップ21と車内側シールリップ31と同様に低摺動部材を押出成形したり、ウレタン樹脂等の低摺動部材が塗布されたりしている。このため、ドアガラス5との摺動抵抗を減少させることができる。また、底壁40の内面には、底壁内側リップ46を形成することができる。この場合には、ドアガラス5の上昇時に、ドアガラス5の先端に底壁内側リップ46が当接して、シール性を向上させるとともに、ドアガラス5の底壁40への衝撃を減少させることができる。
【0054】
車内側側壁30は、車外側側壁20よりも肉厚で大きく形成されている。このため、ガラスラン10をドアフレーム2の車外側の側面に保持することができる。
車内側側壁30の先端から、車内側カバーリップ33が車内側側壁30の外面側、即ち、車内方向に車内側側壁30と平行に延設されている。この車内側カバーリップ33と車内側側壁30で、ドアインナーパネル2dの先端のフランジ部2fを挟持している。
【0055】
車外側側壁20と同様に、車内側側壁30の先端からガラスラン10の本体の断面略コ字状の内部方向に斜めに車内側シールリップ31が延設されている。車内側シールリップ31は、車外側シールリップ21よりも長く、厚肉に形成されているため、ドアガラス5がガラスラン10内に侵入したときに、ドアガラス5を車外側に位置させることができ、ドアフレーム2とドアガラス5の段差を少なくすることができる。このため、空気抵抗や風切音が減少し、デザイン的にも好ましい。
【0056】
車内側側壁30の内面には、車内側シールリップ31の内面に当接して車内側シールリップ31を保持する車内側サブリップ32が形成されている。このため、車内側シールリップ31が車内側側壁30に密着することを防止して、異音の発生防止と、ドアガラス5と車内側シールリップ31のシール性を向上させている。
ドアフレーム2のフランジ部2fは、先端が屈曲して、車内側側壁30の外面の先端側に形成された車内側係合凸部37に係止される。このため、ガラスラン10をドアフレーム2に保持することができる。
【0057】
次に、図1に基づきガラスラン10のリヤ側のコーナー部12について説明する。
図1は、ガラスラン10のコーナー部12の上辺側における断面図であり、図2におけるA−A線に沿った断面図である。図2は、ガラスラン10のコーナー部12に後述するストッパ部材60を取付けた状態を示し、図3は、ストッパ部材60を取付ける前の状態を示す。
【0058】
ガラスラン10のコーナー部12は、図2に示すように、上辺部を形成する押出成形の直線部11とリヤ側の縦辺部を形成する押出成形の直線部11を型成形で接続したものである。その断面形状は、上述の押出成形の直線部11の断面形状と略同じである。即ち、その本体は、車外側側壁20と、車内側側壁30と、底壁40とから断面略コ字状に形成されているが、上辺部とリヤ側の縦辺部の断面形状の相違をコーナー部12で連続的に変化させることにより接続している。
【0059】
底壁40の外面から上方(図1における上方)へ底壁リップ42が延設されている。図2と図3に示すように、底壁リップ42は、ガラスラン10の上辺と接続される部分から始まり、コーナー部12の上辺側からコーナー部12の縦辺側への湾曲する部分に至るところまで延設されている。ガラスラン10の上辺における底壁リップ42よりも、コーナー部12の底壁リップ42の方が高く形成されている。
【0060】
図3に示すように、底壁リップ42の両面のストッパ部材60を取付ける部分に、底壁リップ42の幅方向に底壁取付リブ43を形成した。底壁取付リブ43は、本実施の形態では、3本形成したが、本数は適切に選択することができる。ストッパ部材60と取付については後述する。
底壁取付リブ43の直角方向(底壁リップ42の長手方向)に、ストッパ部材60を係止する底壁取付リブ係止溝45を形成することができる。
【0061】
ストッパ部材60を取付ける部分、即ち、底壁取付リブ43が形成された部分の底壁リップ42の先端から、底壁リップ42の延長方向に底壁延長リップ44が延設されている。このため、ストッパ部材60を取付けるときに、底壁延長リップ44を摘まんで引っ張ることで、容易にガラスラン10にストッパ部材60を取付けることができる。
【0062】
図1に示すように、底壁リップ42は、底壁40の外面の車内側(車内側側壁30に近い側)にシフトして形成することができる。この場合には、車内側側壁30や車内側カバーリップ33を大きく形成しても、底壁リップ42を引っ張るときに、車内側に引張力を大きく伝えて確実にストッパ部材60を取付けることができる。
【0063】
上辺部とリヤ側の縦辺部の断面形状に合わせて、車外側側壁20の先端付近から車外側シールリップ21が上記本体の断面略コ字状の内側に向けて延設されている。また、車外側カバーリップ23が車外側側壁20の先端から車外側で車外側側壁20に平行に延設されている。直線部11と同様に、車外側側壁20と車外側カバーリップ23でドアアウターパネル2cの先端のフランジ部2eを挟持している。
【0064】
車内側側壁30の先端から車内側シールリップ31が上記本体の断面略コ字状の内側に向けて延設されており、車内側カバーリップ33は、車内側側壁30の先端から車内側側壁30の外面側、即ち、車内側に車内側側壁30と平行に延設されている。この車内側カバーリップ33と車内側側壁30は、ドアインナーパネル2dの先端のフランジ部2fを挟持して、ガラスラン10を保持している。
ドアインナーパネル2dの先端は、フランジ部2fの根元付近でフランジ部2fの開口方向(図1における下方)に屈曲して形成された屈曲部が設けられる。
【0065】
コーナー部12の上辺部側のガラスラン10の車内側側壁30の外面に車内側係合凸部37が形成されている。車内側係合凸部37は、図1に示すように、車輌の上方から下方に向かって断面略コ字形の外側に向かって斜めに突出する第1傾斜壁37aと、第1傾斜壁37aの下端から下方に向かうとともに内側に向かって傾斜する第2傾斜壁37bを有する。第1傾斜壁37aの下端又は第2傾斜壁37bの上端がドアインナーパネル2dのフランジ部2fの屈曲部の上面側に当接する。
【0066】
車内側係合凸部37を車内側側壁30に形成する場合は、車内側側壁30は車外側側壁20と比べて大きいため、スペースや形状の自由度を高くすることができ、車内側係合凸部37の形状の自由度を確保することができる。さらに、ドアガラス5が突き当たるときに、車外側側壁20と比べて変形しにくい車内側側壁30に車内側係合凸部37を形成していることと、車外側側壁20と比べて上下の長さを長くできる車内側側壁30に車内側係合凸部37を形成しているため、車内側係合凸部37の変形を抑制して、ガラスラン10がフランジ部2e、2fから外れることを確実に防止できる。
【0067】
車内側係合凸部37は、上方から下方に向かって外面側に斜めに突出する第1傾斜壁37aを有するため、フランジ部2fの下方からガラスラン10を挿入して取付けるときに、第1傾斜壁37aがガイドとなってスムースにガラスラン10を取付けることができる。
第1傾斜壁37aの下端又は第2傾斜壁37bの上端がドアインナーパネル2dの屈曲部の上面側に当接するため、ガラスラン10の装着後に、ガラスラン10を下方に引っ張る力が働くときに、第1傾斜壁37aは斜め下方に向かって傾斜しているため、第1傾斜壁37aが引っ張りに対して突っ張ることができ、車内側係合凸部37の変形を防止して、係合凸部27が抜け止の作用をして、ガラスラン10がフランジ部2e、2fの開口方向に外れ難くなる。
【0068】
車内側係合凸部37は、車内側側壁30の一部を外側に屈曲して断面く字形に形成されており、車内側側壁30よりも厚肉に形成してもよい。
車内側側壁30の外面の代わりに、車外側側壁20の外面に同様に係合凸部を形成することができ、車外側側壁20と車内側側壁30の両方の外面に係合凸部を形成することもできる。両方に係合凸部を形成した場合には、ストッパ部材60をガラスラン10がより強く保持できる。
【0069】
図1に示すように、ガラスラン10のコーナー部12の上辺側の車内側係合凸部37が形成された部分にストッパ部材60が取付けられる。
ストッパ部材60の形状について図4〜図6に基づき説明する。
ストッパ部材60は、所定の幅で断面略コ字形に形成され、ストッパ部材車外側側壁61、ストッパ部材車内側側壁62とストッパ部材底壁63から形成されている。
【0070】
ガラスラン10にストッパ部材60を取り付けると、ストッパ部材60のストッパ部材車外側側壁61、ストッパ部材車内側側壁62とストッパ部材底壁63は、それぞれガラスラン10の車外側側壁20、車内側側壁30と底壁40の外面を包むように当接して、ガラスラン10の本体の外面に保持されている。このため、ストッパ部材60でガラスラン10の本体の車外側側壁20、車内側側壁30及び底壁40の外面を覆うことができ、安定してガラスラン10との保持状態を得ることができる。
【0071】
このように、ストッパ部材60でガラスラン10の車外側側壁20、車内側側壁30及び底壁40の外面を覆うため、ドアガラス5が上昇して上辺部に装着されたガラスラン10の底壁40に当接しても、ストッパ部材60で底壁40を保持して、ガラスラン10の変形を防止して、車内側係合凸部37がストッパ部材係合孔65に嵌合して変形やずれを防止でき、見栄えやシール性を確保することができる。
【0072】
ストッパ部材底壁63は、ガラスラン10のコーナー部12の底壁リップ42を収納するように、上方に屈曲して断面略U字形に形成されるストッパ部材底壁凹部66が形成されている。ストッパ部材底壁凹部66の少なくとも一方の面から断面略U字形の内部方向に折り曲げられて形成されたストッパ部材底壁係止片67を設ける。本実施の形態では、ストッパ部材底壁凹部66の車内側の面に、ストッパ部材底壁係止片67が形成されている。図1に示すように、ストッパ部材60をガラスラン10に取付けると、ストッパ部材底壁係止片67の先端がガラスラン10の底壁取付リブ43に食い込んで、係止される。
【0073】
底壁取付リブ43にストッパ部材底壁係止片67の先端を食い込ませて、底壁リップ42を保持することにより、ストッパ部材60がガラスラン10から脱落することを防止できる。また、ストッパ部材60に底壁リップ42を嵌め込むのみでストッパ部材60をガラスラン10に取付けることができ、取付が容易である。
【0074】
底壁取付リブ43に、ストッパ部材底壁係止片67の先端が係止される部分に、底壁取付リブ係止溝45を底壁取付リブ43に対して略直角に形成することができる。この場合には、ストッパ部材底壁係止片67の先端を底壁取付リブ係止溝45に確実に係止させることができ、安定してストッパ部材60を保持することができる。
【0075】
底壁リップ42の両面に底壁取付リブ43を形成したため、底壁取付リブ43にストッパ部材底壁係止片67を係止させて確実に保持させることができるとともに、他方の底壁取付リブ43(本実施の形態では車外側の面に形成された底壁取付リブ43)をストッパ部材60のストッパ部材車外側側壁61の内面に当接させて、底壁リップ42を安定して保持させることができる。
【0076】
本実施の形態では、ストッパ部材底壁係止片67をストッパ部材車内側側壁62に形成したが、ストッパ部材車内側側壁62とストッパ部材車外側側壁61の両方にストッパ部材底壁係止片67を設けることができる。この場合は、底壁リップ42の底壁取付リブ43に両面からストッパ部材底壁係止片67を係止させて、確実にストッパ部材60を保持することができる。
【0077】
ストッパ部材底壁凹部66の底の部分(図4におけるストッパ部材底壁凹部66の上端)に、ガラスラン10の底壁延長リップ44を挿入することができるストッパ部材底壁リップ孔68が形成されている。このため、ストッパ部材60を取付けるときに、底壁延長リップ44をストッパ部材底壁リップ孔68へ通過させて、底壁延長リップ44を摘まんで引っ張ることで、容易にガラスラン10にストッパ部材60を取付けることができる。
【0078】
ストッパ部材車内側側壁62は、ガラスラン10の車内側係合凸部37に対応する部分にストッパ部材係合孔65が形成されている。ガラスラン10にストッパ部材60を嵌め込むと、ストッパ部材係合孔65に車内側係合凸部37が係合される。このため、ストッパ部材60は、上記ストッパ部材底壁係止片67による底壁リップ42の係止とともに、ガラスラン10の車外側側壁20、車内側側壁30及び底壁40の外面に保持されることができる。したがって、ガラスラン10の移送中や組付け時に、ストッパ部材60がガラスラン10カら脱落することもなく、ドアガラス5が上昇してガラスラン10に当接しても安定してガラスラン10を保持できる。
【0079】
ストッパ部材60のストッパ部材車外側側壁61とストッパ部材車内側側壁62の先端には、それぞれドアフレーム2のフランジ部2e,2fの先端を係止するストッパ部材先端係止部64、64が形成されている。ストッパ部材先端係止部64、64は、ストッパ部材車外側側壁61とストッパ部材車内側側壁62の先端を断面U字形に外面側に屈曲して形成することが好ましい。
【0080】
この場合には、ストッパ部材60をドアフレーム2のフランジ部2e,2fに挿入するのみで、ストッパ部材先端係止部64、64がフランジ部2e,2fの先端を係止して、確実にストッパ部材60をドアフレーム2のフランジ部2e,2fに係止することができ、組付けが容易である。また、ストッパ部材60とドアフレーム2のフランジ部2e、2fを溶接する必要がないため、フランジ部2e、2fの長さを短くすることができ、車外側カバーリップ23と車内側カバーリップ33を小さくすることができるため、外観品質が向上する。
【0081】
ストッパ部材60が取り付けられたガラスラン10をドアフレーム2に装着すると、ストッパ部材60の断面略コ字形の両側の先端であるストッパ部材車外側側壁61とストッパ部材車内側側壁62がガラスラン10の車外側側壁20と車外側カバーリップ23の間、及び車内側側壁30と車内側カバーリップ33の間に挿入される。そして、上述のとおり、ストッパ部材先端係止部64、64がフランジ部2e,2fの先端を係止して、そのストッパ部材先端係止部64、64を車外側カバーリップ23と車内側カバーリップ33が覆うことができる。
【0082】
ストッパ部材60は、ガラスラン10の車内側係合凸部37に対応する部分にストッパ部材係合孔65が形成されている。本実施の形態では、車内側側壁30の外面に車内側係合凸部37が形成されているので、ストッパ部材車内側側壁62にストッパ部材係合孔65が形成されている。ストッパ部材60をガラスラン10に装着すると、車内側係合凸部37がストッパ部材係合孔65に嵌合する。このため、ストッパ部材60をガラスラン10に嵌め込むのみで容易にストッパ部材60を取り付けることができる。
車外側側壁20に係合凸部を形成する場合には、ストッパ部材60のストッパ部材車外側側壁61にストッパ部材係合孔65を形成する。
【0083】
ガラスラン10の直線部11とコーナー部12のそれぞれの車外側側壁20と、車内側側壁30と、底壁40と、車外側シールリップ21と、車内側シールリップ31とはそれぞれ対応する部分が直線部11とコーナー部12の接続部で連続している。このため、ガラスラン10の縦辺部と上辺部は、コーナー部12のそれぞれの部分と連結して、コーナー部12の接続部分のシール性と遮音性を確保することができる。
【0084】
ガラスラン10の直線部11の成形においては、成形材料は、合成ゴム、熱可塑性エラストマーが使用され、例えば合成ゴムでは、EPDMゴム、熱可塑性エラストマーでは、ポリオレフィン系エラストマー等が使用される。
合成ゴムの場合は、押出成形後に加硫槽に搬送されて、熱風や高周波等により加熱されて加硫が行われる。熱可塑性エラストマーの場合は、冷却され固化される。その後所定の長さに切断されて、押出成形部分は製造される。
【0085】
次に、ガラスラン10のコーナー部12の型成形部分の成形は、上記により製造された押出成形部材を所定寸法に長手方向とは略直角に切断して、その切断した押出部分の端部を、型成形部分を成形する金型に挟持して、その金型のキャビティーに型成形部分を形成するソリッド材を注入する。型成形部分の断面形状は押出成形部分の断面形状と略同じである。成形材料は、押出成形部分に使用した材料と同じ種類のものを使用することが好ましい。熱可塑性エラストマーの場合は、金型に注入されたときに注入材料は溶融されているため、その熱と圧力とで押出成形部分と型成形部分は一体的に融着される。
【0086】
ガラスラン10の直線部11がEPDMゴムで形成される場合は、ガラスラン10のコーナー部12は、EPDMゴム又はオレフィン系熱可塑性エラストマーで形成することが好ましい。ガラスラン10の直線部11がオレフィン系熱可塑性エラストマーで形成される場合は、ガラスラン10のコーナー部12は、オレフィン系熱可塑性エラストマーで形成する。この場合は、同種の材料であり、ガラスラン10の直線部11とコーナー部12の接着性がよい。また、いずれもオレフィン系の材料であり、耐候性がよく、同時に粉砕処理ができ、リサイクル容易な製品を得ることができる。オレフィン系熱可塑性エラストマーの場合は、加硫が不要のため、製造が容易である。
合成ゴムの場合は、金型に注入した後に金型を加熱して加硫する。このとき、押出成形部分と型成形部分は同じ材料あるいは同種類の材料を使用しているため、加硫接着をすることができ、一体的に固着することができる。
【符号の説明】
【0087】
2 ドアフレーム
2e、2f フランジ部
10 ガラスラン
11 直線部
12 コーナー部
20 車外側側壁
30 車内側側壁
40 底壁
42 底壁リップ
43 底壁取付リブ
60 ストッパ部材
66 ストッパ部材底壁凹部
67 ストッパ部材底壁係止片
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車ドアのドアフレームの内周に取付け、ドアガラスの昇降を案内する自動車用ガラスランの取付構造であって、上記ガラスランは、押出成形により成形され上記ドアフレームの上辺部と縦辺部に装着される直線部と、型成形により成形され該直線部を接続し、上記ドアフレームのコーナー部に装着されるコーナー部を有する自動車用ガラスランであり、上記ドアフレームのコーナー部に上記ガラスランを保持するストッパ部材を取付けるガラスランにおいて、
上記直線部と上記コーナー部は、底壁と該底壁の車外側側縁部から延びる車外側側壁と、上記底壁の車内側側縁部から延びる車内側側壁とからなる断面略コ字形をなすガラスランの本体を備え、上記車外側側壁と車内側側壁には、それぞれ上記本体の断面略コ字状の内側に向かって延出する車外側シールリップと車内側シールリップを設け、該車外側シールリップと車内側シールリップにより上記ドアガラスの車外側面及び車内側面をシールし、上記車外側側壁の先端から上記断面略コ字形に対する外面側に車外側カバーリップが形成され、上記車内側側壁の先端から上記断面略コ字形に対する外面側に車内側カバーリップが形成され、上記底壁の外面から上方へ底壁リップを延設し、該底壁リップの両面に底壁取付リブを形成し、
上記ストッパ部材は、上記ドアフレームのコーナー部の上辺部側に取付けられ、上記ガラスランの本体の断面略コ字形に対する外面側を保持するように、ストッパ部材車外側側壁、ストッパ部材内側側壁及びストッパ部材底壁からなる断面略コ字形に形成され、上記ストッパ部材底壁は、上記底壁リップを収納する上方に屈曲して断面略U字形に形成されるストッパ部材底壁凹部を形成し、該ストッパ部材底壁凹部の少なくとも一方の面から上記断面略U字形の内部方向に折り曲げられて形成されたストッパ部材底壁係止片を設け、該ストッパ部材底壁係止片の先端を上記底壁取付リブに係止させたことを特徴とする自動車用ガラスラン。
【請求項2】
上記底壁リップの先端から延長方向に底壁延長リップを延設し、上記ストッパ部材底壁凹部の底部に該底壁延長リップが挿入されるストッパ部材底壁リップ孔を形成した請求項1に記載の自動車用ガラスラン。
【請求項3】
上記ストッパ部材底壁係止片は、上記ストッパ部材底壁凹部の両側の面に形成された請求項1又は請求項2に記載の自動車用ガラスラン
【請求項4】
上記底壁取付リブに、上記ストッパ部材底壁係止片の先端が係止される係止溝を形成した請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の自動車用ガラスラン。
【請求項5】
上記底壁リップは、上記底壁の外面の車内側にシフトして形成された請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の自動車用ガラスラン。
【請求項6】
上記コーナー部の上辺部側において、上記ガラスランの本体の上記車外側側壁又は車内側側壁の上記断面略コ字形に対する外面側の少なくとも一方に係合凸部を形成するとともに、上記ストッパ部材は、上記ガラスランの係合凸部に対応する部分に係合孔を形成し、該係合孔に上記係合凸部を係合するとともに、上記ドアフレームのフランジ部の先端に係止される先端係止部を上記ストッパ部材の両側の断面略コ字形の先端に形成し、上記ストッパ部材の断面略コ字形の両側の先端と上記ドアフレームの先端とが上記車外側側壁と上記車外側カバーリップの間、及び上記車内側側壁と上記車内側カバーリップの間に挿入された請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の自動車用ガラスラン。
【請求項7】
上記車外側シールリップは上記車内側シールリップよりも小さく形成され、上記ドアガラスは上記車内側側壁よりも上記車外側側壁に近接して位置し、上記係合凸部は上記車内側側壁に形成された請求項6に記載の自動車用ガラスラン。
【請求項8】
上記ドアフレームのフランジ部は、アウターパネルとインナーパネルの先端から構成され、上記フランジ部の根元部は、上記ドアフレームのフランジ部の開口方向に屈曲して形成された屈曲部が設けられ、該屈曲部の上面側に上記係合凸部が当接する請求項6又は請求項7に記載の自動車用ガラスラン。
【請求項9】
上記ドアフレームのフランジ部の先端を係止する先端係止部は、上記ストッパ部材の断面略コ字形の先端が、断面U字形に屈曲して形成された請求項6乃至請求項8のいずれか1項に記載の自動車用ガラスラン。
【請求項1】
自動車ドアのドアフレームの内周に取付け、ドアガラスの昇降を案内する自動車用ガラスランの取付構造であって、上記ガラスランは、押出成形により成形され上記ドアフレームの上辺部と縦辺部に装着される直線部と、型成形により成形され該直線部を接続し、上記ドアフレームのコーナー部に装着されるコーナー部を有する自動車用ガラスランであり、上記ドアフレームのコーナー部に上記ガラスランを保持するストッパ部材を取付けるガラスランにおいて、
上記直線部と上記コーナー部は、底壁と該底壁の車外側側縁部から延びる車外側側壁と、上記底壁の車内側側縁部から延びる車内側側壁とからなる断面略コ字形をなすガラスランの本体を備え、上記車外側側壁と車内側側壁には、それぞれ上記本体の断面略コ字状の内側に向かって延出する車外側シールリップと車内側シールリップを設け、該車外側シールリップと車内側シールリップにより上記ドアガラスの車外側面及び車内側面をシールし、上記車外側側壁の先端から上記断面略コ字形に対する外面側に車外側カバーリップが形成され、上記車内側側壁の先端から上記断面略コ字形に対する外面側に車内側カバーリップが形成され、上記底壁の外面から上方へ底壁リップを延設し、該底壁リップの両面に底壁取付リブを形成し、
上記ストッパ部材は、上記ドアフレームのコーナー部の上辺部側に取付けられ、上記ガラスランの本体の断面略コ字形に対する外面側を保持するように、ストッパ部材車外側側壁、ストッパ部材内側側壁及びストッパ部材底壁からなる断面略コ字形に形成され、上記ストッパ部材底壁は、上記底壁リップを収納する上方に屈曲して断面略U字形に形成されるストッパ部材底壁凹部を形成し、該ストッパ部材底壁凹部の少なくとも一方の面から上記断面略U字形の内部方向に折り曲げられて形成されたストッパ部材底壁係止片を設け、該ストッパ部材底壁係止片の先端を上記底壁取付リブに係止させたことを特徴とする自動車用ガラスラン。
【請求項2】
上記底壁リップの先端から延長方向に底壁延長リップを延設し、上記ストッパ部材底壁凹部の底部に該底壁延長リップが挿入されるストッパ部材底壁リップ孔を形成した請求項1に記載の自動車用ガラスラン。
【請求項3】
上記ストッパ部材底壁係止片は、上記ストッパ部材底壁凹部の両側の面に形成された請求項1又は請求項2に記載の自動車用ガラスラン
【請求項4】
上記底壁取付リブに、上記ストッパ部材底壁係止片の先端が係止される係止溝を形成した請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の自動車用ガラスラン。
【請求項5】
上記底壁リップは、上記底壁の外面の車内側にシフトして形成された請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の自動車用ガラスラン。
【請求項6】
上記コーナー部の上辺部側において、上記ガラスランの本体の上記車外側側壁又は車内側側壁の上記断面略コ字形に対する外面側の少なくとも一方に係合凸部を形成するとともに、上記ストッパ部材は、上記ガラスランの係合凸部に対応する部分に係合孔を形成し、該係合孔に上記係合凸部を係合するとともに、上記ドアフレームのフランジ部の先端に係止される先端係止部を上記ストッパ部材の両側の断面略コ字形の先端に形成し、上記ストッパ部材の断面略コ字形の両側の先端と上記ドアフレームの先端とが上記車外側側壁と上記車外側カバーリップの間、及び上記車内側側壁と上記車内側カバーリップの間に挿入された請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の自動車用ガラスラン。
【請求項7】
上記車外側シールリップは上記車内側シールリップよりも小さく形成され、上記ドアガラスは上記車内側側壁よりも上記車外側側壁に近接して位置し、上記係合凸部は上記車内側側壁に形成された請求項6に記載の自動車用ガラスラン。
【請求項8】
上記ドアフレームのフランジ部は、アウターパネルとインナーパネルの先端から構成され、上記フランジ部の根元部は、上記ドアフレームのフランジ部の開口方向に屈曲して形成された屈曲部が設けられ、該屈曲部の上面側に上記係合凸部が当接する請求項6又は請求項7に記載の自動車用ガラスラン。
【請求項9】
上記ドアフレームのフランジ部の先端を係止する先端係止部は、上記ストッパ部材の断面略コ字形の先端が、断面U字形に屈曲して形成された請求項6乃至請求項8のいずれか1項に記載の自動車用ガラスラン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−60097(P2013−60097A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−199451(P2011−199451)
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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