自動車用浄化器具及び自動車用浄化器具の製造方法

【課題】少なくとも一部に直線部を有する略楕円柱形若しくは略多角柱形の浄化体を保持材を介して筒体内で保持する自動車用浄化器具を、座屈や変形を発生せず、高い成形精度で製造された自動車用浄化器具及び自動車用浄化器具の製造方法を提供する。
【解決手段】少なくとも一部に直線部を有する略楕円柱形若しくは略多角柱形の浄化体12と、浄化体に周設された保持材13と、浄化体12の直線部に位置する箇所の板厚を調整した板厚調整部115を有する略楕円筒形若しくは略多角筒形の筒体11とを有することを特徴とする自動車用浄化器具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒体内で保持材を介して触媒担体等の浄化体を保持する自動車用浄化器具及び自動車用浄化器具の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
筒体内で保持材を介して触媒担体等の浄化体を保持する自動車用浄化器具及び自動車用浄化器具の製造方法として、円柱形の触媒担体の外周に緩衝材を巻回して円筒体内に収容し、円筒体の軸周りの回転を阻止するようにクランプと芯金で円筒体を固定し、円筒体の外周回りに複数のスピニングローラを均等に配置し、これらのスピニングローラを円筒体の外周回りを同径の円形軌跡で公転すると共に円筒体の径方向に移動してスピニング加工を行うことにより、円筒体と緩衝材を縮径して触媒担体を保持する自動車用浄化器具及びその製造方法がある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−107725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、筒体内で保持材を介して浄化体を保持する自動車用浄化器具としては、例えば断面視小判形(断面視レーストラック形)の触媒担体を保持材を介して断面視小判形(断面視レーストラック形)の筒体内で保持する自動車用浄化器具がある。この際、浄化体の断面視小判形状に合わせて円筒体を縮径加工する必要がある。しかしながら、上記製造方法では、断面視小判形の直線部に沿うように円筒体を縮径加工する場合、発生する力を吸収しきれず、座屈や変形が発生し、成形精度を低下させるおそれがある。
【0005】
本発明は上記課題に鑑み提案するものであって、少なくとも一部に直線部を有する略楕円柱形若しくは略多角柱形の浄化体を保持材を介して筒体内で保持する自動車用浄化器具を、スピニング加工等により前記直線部に座屈や変形を発生させることなく、高い成形精度で製造した自動車用浄化器具及び自動車用浄化器具の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の自動車用浄化器具は、少なくとも一部に直線部を有する略楕円柱形若しくは略多角柱形の浄化体と、前記浄化体に周設された保持材と、前記浄化体の直線部に位置する箇所の板厚を調整した板厚調整部を有する略楕円筒形若しくは略多角筒形の筒体とを有することを特徴とする。
この構成によれば、少なくとも一部に直線部を有する略楕円柱形若しくは略多角柱形の浄化体に対して、座屈や変形を発生していない筒体で保持されているため、浄化体を保持材及び筒体により略均一な力で安定して保持することができる。
【0007】
本発明の自動車用浄化器具の製造方法は、少なくとも一部に直線部を有する略楕円柱形若しくは略多角柱形の浄化体及び前記浄化体に周設された保持材を、前記浄化体の直線部に位置する箇所の板厚を調整した板厚調整部を有する略楕円筒形若しくは略多角筒形の筒体内に前記浄化体の形状の方向を合わせて収容すると共に、筒体の少なくとも一方の端部を固定する第1工程と、前記筒体の少なくとも前記保持材を含む領域における前記筒体の外周にローラを押し当て、前記ローラを前記筒体の外周回りに相対的に公転すると共に、前記筒体の中心方向に漸次移動してスピニング加工を行うことにより、前記筒体と前記保持材を縮径して前記浄化体を保持する第2工程とを備えることを特徴とする。
この構成によれば、浄化体の直線部に位置する箇所の板厚を調整した板厚調整部を有する略楕円筒形若しくは略多角筒形の筒体とし、筒体と保持材とを縮径する際、筒体の板厚調整部に座屈や変形を発生させることなく、略楕円柱形若しくは略多角柱形の浄化体を保持材を介して筒体内で保持する自動車用浄化器具を、スピニング加工により高い成形精度で製造することができる。また、筒体が浄化体の直線部に位置する箇所の板厚を調整した板厚調整部を有することにより、浄化体の断面形状に相似させることが可能となるため、筒体の縮径量をほぼ均一にすることできる。更に、少なくとも一部に直線部を有する略楕円柱形若しくは略多角柱形の浄化体に沿った形状に筒体を縮径することができるため、略楕円柱形若しくは略多角柱形の自動車用浄化器具で、浄化体を保持材及び筒体により略均一な力で安定して保持することができる。更に、ローラによる絞り加工なので、金型が不要であり、低コストで製造することができる。
【0008】
本発明の自動車用浄化器具の製造方法は、少なくとも一部に直線部を有する略楕円柱形若しくは略多角柱形の浄化体及び前記浄化体に周設された保持材を、前記浄化体の直線部に位置する箇所の板厚を調整した板厚調整部を有する略楕円筒形若しくは略多角筒形の筒体内に前記浄化体の形状の方向を合わせて収容する共に、前記筒体を金型内に設置する第1工程と、前記筒体の少なくとも前記保持材を含む領域における前記筒体の外周に金型を押し当て、プレス加工を行うことにより、前記筒体と前記保持材を縮径して前記浄化体を保持する第2工程とを備えることを特徴とする自動車用浄化器具の製造方法。
この構成によれば、浄化体の直線部に位置する箇所の板厚を調整した板厚調整部を有する略楕円筒形若しくは略多角筒形の筒体とし、筒体と保持材とを縮径する際、板厚調整部に座屈や変形を発生させることなく、略楕円柱形若しくは略多角柱形の浄化体を保持材を介して筒体内で保持する自動車用浄化器具を、金型によるプレス加工により高い成形精度で製造することができる。更に、少なくとも一部に直線部を有する略楕円柱形若しくは略多角柱形の浄化体に沿った形状に筒体を縮径することができるため、略楕円柱形若しくは略多角柱形の自動車用浄化器具で、浄化体を保持材及び筒体により略均一な力で安定して保持することができる。
【0009】
本発明の自動車用浄化器具の製造方法は、前記第1工程において、前記筒体の板厚調整部の板厚を前記板厚調整部以外の板厚に対して1.1倍以上3倍以下とすることを特徴とする。
この構成によれば、縮径前の筒体の板厚調整部の板厚を板厚調整部以外の板厚に対して1.1倍以上3倍以下とすることにより、縮径加工によって筒体の板厚調整部を直線部に形成する際、座屈や変形を発生させず、直線部を形成することが可能となり、成形精度を向上させる。また、縮径前の筒体の板厚調整部の板厚を板厚調整部以外の板厚に対して1.1倍以上3倍以下とすることにより、板厚増加による製造コストを抑えることができる。
【0010】
本発明の自動車用浄化器具の製造方法は、前記第2工程において、前記板厚調整部の板厚に基づき、縮径量を定めることを特徴とする。
この構成によれば、全体をほぼ均一に縮径することが可能となり、浄化体を保持材及び筒体によって略均一な力でより安定して保持することができる。
【0011】
本発明の自動車用浄化器具の製造方法は、前記第1工程において、前記筒体の断面形状が前記浄化体の断面形状に略相似した形状であることを特徴とする。尚、本発明における筒体の略楕円筒形には、楕円筒形の他に断面視小判形(断面視レーストラック形)の形状も包含する。浄化体の略楕円柱形には、楕円柱形の他に断面視小判形(断面視レーストラック形)の形状も包含する。縮径後の断面形状と略相似する断面形状には、断面視小判形の直線部分に見込みR形状を有する形状も包含することとする。
この構成によれば、縮径前後の筒体の断面形状を浄化体の断面形状と略相似とすることにより、筒体の縮径加工が容易となり量産する際のラインタクトを短縮することができる。
【0012】
本発明の自動車用浄化器具の製造方法は、前記第1工程において、前記浄化体及び前記保持材と少なくとも1つの別の略楕円柱形若しくは略多角柱形の浄化体及び前記別の浄化体に周設された別の保持材とを直列して間隔を開けて前記筒体内に収容配置し、前記第2工程において、少なくとも1つの前記浄化体及び前記保持材と前記別の浄化体及び前記別の保持材との相互間に直線部を形成し、前記筒体は前記直線部に位置する箇所の板厚を調整した板厚調整部を有することを特徴とする。
この構成によれば、少なくとも1つの略楕円柱形若しくは略多角柱形の浄化体及び保持材と別の浄化体及び別の保持材との相互間に直線部を形成する際に、座屈や変形を発生させることなく縮径加工を行うことができ、成形精度を向上させることができる。ここで、別の略楕円柱形若しくは略多角柱形の浄化体には、少なくとも一部に直線部を有する別の略楕円柱形若しくは略多角柱形の浄化体が含まれる。
【0013】
本発明の自動車は、本発明の製造方法で製造された自動車用浄化器具を備えることを特徴とする。
この構成によれば、本発明による自動車用浄化器具の製造方法の作用効果を有する自動車を得ることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、少なくとも一部に直線部を有する略楕円柱形若しくは略多角柱形の浄化体を保持材を介して筒体内で保持する自動車用浄化器具を、縮径加工により高い成形精度で製造することができる。更に、筒体に座屈や変形を発生させず縮径加工なされているため、少なくとも一部に直線部を有する略楕円柱形若しくは略多角柱形の浄化体を保持材及び筒体により略均一な力で安定して保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(a)は本発明の実施形態の自動車用浄化器具を示す縦断面図、(b)はその横断面図。
【図2】(a)及び(b)は円筒形の筒体から断面視小判形の筒体を成形する工程を説明する断面説明図。
【図3】(a)は本発明の実施形態の自動車用浄化器具の製造方法における浄化体及び保持材を筒体内に収容した状態を示す断面説明図、(b)はその側面図。
【図4】図3の筒体の一端をクランプで固定して他端に芯金を挿入し、外周にローラを配置した状態を示す断面説明図。
【図5】図3の筒体を縮径した状態を示す断面説明図。
【図6】(a)〜(c)はローラの軌道を説明する断面説明図。
【図7】(a)は変形例の自動車用浄化器具の製造方法で製造される浄化体及び保持材を収容した筒体及びローラを示す断面説明図、(b)は(a)のA−A線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
〔実施形態の自動車用浄化器具の製造方法〕
本発明による実施形態の自動車用浄化器具及び自動車用浄化器具の製造方法について説明する。図1は本実施形態の自動車用浄化器具を示す図、図2〜図5は本実施形態の自動車用浄化器具の製法方法の各工程における浄化体、保持材及び筒体の各状態を示す図である。
【0017】
本実施形態における自動車用浄化器具10は、例えば自動車の排気系に設けられる触媒コンバータ等であり、図1に示すように、筒体11と、筒体11内に収容して定置される触媒担体等である浄化体12と、浄化体12の外周に巻かれて周設され、筒体11内で浄化体12を保持する緩衝機能を有する保持材13とから構成される。
【0018】
筒体11は、略楕円筒形若しくは略多角筒形とすることが可能であるが、図示例では、断面視小判形状である。その中央部111の複数箇所(本例では2箇所)には周方向に周設された凸状等である凸部112が間隔を開けて2箇所に形成されている。中央部111の一方側と他方側にはそれぞれテーパ部113が一体形成され、その先端にネック部114が一体形成されている。
【0019】
図1(b)に示す通り、筒体11は直線部分(本例では板厚調整部115)とそれ以外とでそれぞれ板厚が異なっている。板厚調整部115は、後述する浄化体12の直線部に位置する箇所であり、板厚が調整されている。本実施形態では、板厚調整部115の板厚が板厚調整部115以外の部分より増加して形成され、増加された板厚分は筒体11の外側に突出している。なお、本実施形態の板厚調整部115は筒体11の外側に突出した形状であるが、筒体11の内側に突出させても、筒体11の外側と内側に同じくらい突出するような形状としてもよい。
【0020】
浄化体12は、例えば担持本体で触媒材料を担持等の構成であり、少なくとも一部に直線部を有する略楕円柱形若しくは略多角柱形である。本実施形態では、断面視小判形とする。浄化体12には、周方向に周設された凸状等である凸部121が間隔を開けて2箇所に形成され、筒体11の凸部112に対応する位置に形成されている。
【0021】
保持材13は、例えば断熱性と熱膨張性又は無膨張性と弾性を有するマット等とされ、浄化体12の外周に巻きつけられる。浄化体12及びこれに巻きつけられた保持材13の構造体は、その状態で縮径前の筒体11内に挿入することにより、筒体11内に内装されている。
【0022】
そして、本実施形態の製造方法で自動車用浄化器具10を製造する際には、先ず、断面視小判形の筒体11を形成する。断面視小判形の筒体11を形成する際には、例えば円筒形の筒体31を、図2に示す断面視小判形状の凹部411が内側に形成されているフォーム型41・41の中に配置する。そして、凹部411・411が合わさって構成される断面視小判形と相似する形状がフォーム型41の押圧方向の面に少なくとも形成されている芯金42を筒体31内に挿入し、一対のフォーム型41・41で筒体31を押圧し、断面視小判形の筒体11を形成する。本実施形態では、縮径後の板厚調整部115となる筒体31の板厚調整部312の板厚を、板厚調整部312以外の板厚(基本板厚)に対して1.1倍以上3倍以下とする。例えば、基本板厚を1mmとした場合、板厚調整部312の最大板厚は3mmとなる。なお、本実施形態では、筒体31は板厚が異なる複数の平板、例えば筒体31の曲線部となる基本板厚の平板と板厚調整部312となる平板とを相互に溶接することにより、形成される。
【0023】
第1工程として、図3に示すように、凸部121を有する断面視小判形の浄化体12及び浄化体12に周設された保持材13を、断面視小判形の筒体11内に挿入して収容する。この浄化体12を対応する形状の筒体11内に挿入する際には、筒体11の形状の向きに浄化体12の形状の方向が合うように挿入し、図示例では例えば筒体11の断面視小判形と浄化体12の断面視小判形の長軸と短軸が同じ向きとなるように挿入する。
【0024】
次いで、図4に示すように、筒体11の一方側の端部をクランプ21で外周から把持して固定すると共に、その筒体11の他方側の端部の内側に芯金23を挿入して配置する。この芯金23を用いることにより、後述する縮径加工において成形精度、加工速度を向上することができる。
【0025】
第2工程として、図4及び図5に示すように、筒体11の少なくとも保持材13を含む領域における筒体11の外周にローラ22を押し当て、ローラ22を筒体11の外周回りに相対的に公転すると共に、筒体11の中心方向に漸次移動してスピニング加工を行うことにより、筒体11と保持材13を縮径して筒体11及び保持材13により浄化体12を保持する。尚、ローラ22は、単数とする構成、或いは複数個とする構成が可能であり、複数個とすると加工工程の時間短縮と加工費の低減を図ることができて好適である。
【0026】
本実施形態では、クランプ21を回転して筒体11を軸回りに回転すると共に、筒体11の外周にローラ22を押し当て、ローラ22を自転することにより、中央部111、テーパ部113及び芯金23に対応する箇所のネック部114を形成する。この際、ローラ22は公転させないが、図6に示すように、クランプ21の回転による筒体11の回転により、ローラ22を筒体11の外周回りに相対的に公転し、筒体11の回転に同期してローラ22を筒体11の径方向に往復動しながら漸次筒体11の径方向の中心に向かって移動することにより、縮径量を制御して中央部111、テーパ部113及びネック部114を形成する。
【0027】
中央部111を形成する際には、クランプ21の回転による筒体11の回転により、ローラ22を筒体11の外周回りに浄化体12の形状に略対応する軌道で相対的に公転させ、浄化体12の断面視小判形に合わせるようにして、筒体11の回転に同期してローラ22を筒体11の径方向に往復動しながら漸次筒体11の径方向の中心に向かって移動することにより縮径する。また、浄化体12の軸方向の所定箇所に設けられている凸部121に対応する箇所では、この凸部121の突出量に合わせてローラ22の軌道を修正しながら縮径すると共に、浄化体12の直線部に位置する板厚調整部115では、板厚に応じてローラ22の縮径量を調整しながら縮径する。
【0028】
中央部111を形成した後には、ローラ22をクランプ21の逆側に漸次移動し且つ縮径量を大きくして、同様の往復動の縮径加工により側方断面視で略楕円形のテーパ部113を形成し、更に、同様の往復動の縮径加工により側面視で略楕円形のネック部114を形成する。この工程により、ローラ22による中央部111の縮径加工時に連続してテーパ部113及びネック部114を筒体11の他方の端部に形成することが可能である。テーパ部113とネック部114の縮径加工の際に、ローラ22の往復動を浄化体12の楕円柱形に対して略同心で縮径率の大きな形状にして対応させることができ、一方浄化体12の楕円柱形に対して異心で縮径率の大きな形状にして対応させることもできる。尚、前記工程に代え、ローラ22を、クランプ21とネック部114とを往復し、換言すれば中央部111からネック部114までローラ22を往復させながら、筒体11を縮径することも可能である。
【0029】
この縮径工程において、筒体11を縮径する際の縮径量は、例えば筒体11の各部の外径と、筒体11の各部の板厚と、浄化体12の各部の外径と、保持材13の重量と、保持材13と浄化体12との接触面圧等を測定し、この測定結果に基づいて筒体11の最適な縮径量を計算する。筒体11の直線部の座屈や変形を防止し、より確実に加工精度を高めることができる。
【0030】
計算した縮径量に基づき、筒体11の回転に合わせたローラ22の往復動、換言すればローラ22の加工変位量を決定する。尚、ローラ22を複数個とする場合、筒体11に対する各ローラ22の位置に応じて各ローラ22の加工変位量を設定する。
【0031】
次いで、中央部111の縮径加工が完了すると、クランプ21の把持を外すと共に筒体11のテーパ部113が形成された側の端部を別のクランプ(図示省略)で把持し、中央部111を縮径したローラ22の動作をそのまま利用して一方側の端部に連続してテーパ部113とネック部114を一体形成する、或いは一方側の端部にテーパ部113とネック部114を別工程で形成する。
【0032】
上記実施形態の自動車用浄化器具10は、断面視小判形の浄化体12に対して、座屈や変形を発生していない筒体11で保持されているため、浄化体12を保持材13及び筒体11によって略均一な力で安定して保持することができる。
【0033】
上記実施形態の自動車用浄化器具の製造方法は、断面視小判形の浄化体12の直線部に位置する箇所の板厚を調整した板厚調整部を有する筒体11とし、筒体11と保持材13を縮径することにより、筒体11の直線部に座屈や変形を発生させることなく、断面視小判形の浄化体12を保持材13を介して筒体11内で保持する自動車用浄化器具を、スピニング加工により高い成形精度で製造することができる。また、ローラによる絞り加工なので、金型が不要であり、低コストで製造することができる。
【0034】
縮径前の筒体11の板厚調整部115の板厚を基本板厚に対して1.1倍以上3倍以下とすることにより、浄化体12の断面形状に相似するように筒体11の板厚調整部115を直線形状に形成する際、座屈や変形を発生させることなく、形成することが可能となり、成形精度を向上させる。また、筒体11を浄化体12の断面形状に相似させることができるため、筒体11全体をほぼ均一に縮径することが可能となり、浄化体12を保持材13及び筒体11によって略均一な力でより安定して保持することができる。なお、縮径前の筒体11の板厚調整部115の板厚を基本板厚に対して1.1倍以上3倍以下とすることにより、縮径量がほぼ均一となり製造コストを抑えることができる。
【0035】
〔実施形態の変形例等〕
本明細書開示の発明は、各発明や実施形態の構成の他に、適用可能な範囲で、これらの部分的な構成を本明細書開示の他の構成に変更して特定したもの、或いはこれらの構成に本明細書開示の他の構成を付加して特定したもの、或いはこれらの部分的な構成を部分的な作用効果が得られる限度で削除して特定した上位概念化したものを含み、下記の変形例等も包含する。
【0036】
本実施形態の断面視小判形に限らず、筒体11の断面形状を少なくとも一部に直線部を有する略楕円柱形若しくは略多角柱形の浄化体と略相似とすることにより、筒体の縮径加工が容易となり、量産する際のラインタクトを短縮することができる。更に、少なくとも一部に直線部を有する略楕円柱形若しくは略多角柱形の浄化体12及び保持材13をこれに略相似する筒体11内に収容して縮径することにより、少なくとも一部に直線部を有する略楕円柱形若しくは略多角柱形の自動車用浄化器具で、浄化体12を保持材13及び筒体11に略均一な力でより安定して保持することができる。
【0037】
上記本実施形態における自動車用浄化器具は、浄化体12の形状を断面視小判形、筒体11の形状を断面視小判形としたが、浄化体12の形状を断面視小判形、筒体11の形状を楕円筒形とする構成とすることもできる。この場合、浄化体12及び浄化体12に周設された保持材13を筒体11内に、筒体11の楕円筒形と浄化体12の断面視小判形の長軸と短軸が同じ向きとなるように収容し、上記本実施形態と同様に、筒体11と保持材13を縮径して浄化体12を保持する製造工程を行うことも可能である。また、筒体11を略多角筒形とする場合には、三角筒、四角筒、六角筒など適宜の多角筒形が含まれ、浄化体12の略多角柱形もこれらにそれぞれ対応する形状とされる。
【0038】
上記実施形態における自動車用浄化器具には、浄化体12を触媒担体とする触媒コンバータ以外にも適宜のものが含まれ、例えば浄化体をフィルターとする黒煙除去器具(DPF;Diesel Particulate Filter)等としてもよい。
【0039】
上記実施形態では浄化体12の軸方向の所定箇所に凸部121を有する場合の加工について説明したが、凸部121を有しない場合にはこれに対応するローラ22の軌道調整を行わずに筒体11を加工することが可能であり、又、浄化体12の軸方向の所定箇所に周状の凹溝等の凹部が形成されている場合には、この凹部に合わせてローラ22の軌道を修正して筒体11を加工することが可能である。即ち、本発明は、浄化体12の表面が平らである場合と平らでない場合の双方について加工することが可能である。
【0040】
ローラ22の相対的な公転は、上記ローラ22自体は公転させずにクランプ21で把持する筒体11を軸回りに回転する構成の他に、クランプ21で把持する筒体11は回転させずに、ローラ22を公転させる構成としてもよい。また、ローラ22を筒体11の軸方向に移動して加工する構成に代え、筒体11をその軸方向に移動して加工する構成とすることも可能である。
【0041】
本発明の製造方法で製造される自動車用浄化器具10は上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨の範囲内で適宜であり、変形例として、例えば図7に示す自動車用浄化器具10aとしてもよい。図7の自動車用浄化器具10aは、筒体11a内に、浄化体12a及びこれに周設された保持材13aが直列して間隔を開けて複数(本例では2個)収容配置され、筒体11aの双方の端部にテーパ部113a及びネック部114aが形成されている。そして、筒体11aの中央部111aの浄化体12a及び保持材13aの相互間に、図7(b)に示す断面視小判形の突出部116aが形成されている。
【0042】
この自動車用浄化器具10aを製造する際には、テーパ部113a及びネック部114aが形成されていない状態の筒体11a内に、浄化体12a及び保持材13aの複数を直列して間隔を開けて収容配置し、筒体11aに上記と同様の縮径加工を施して、中央部111aの縮径部分、突出部116a、テーパ部113a、ネック部114aを形成する。本変形例では、中央部111aの縮径加工のローラ22aを利用して突出部116aを形成する縮径加工を行うことができ、製造工程を効率化することができる。
【0043】
突出部116aは断面視小判形であり、図7(b)のA−A線断面図に示す直線部は板厚調整部115aとして、板厚を増加させることにより、ローラ22aによる縮径加工の際、突出部116aの直線部に座屈や変形を発生させることなく、縮径加工を実施することができる。なお、筒体11a内に、2個以上の浄化体12a及び保持材13aを直列して間隔を開けて収容配置し、浄化体12a及び保持材13aの相互間に形成されるそれぞれの断面視小判形の突出部116aにおいても、突出部116aの直線部に座屈や変形を発生させることなく、同様に縮径加工を実施することができる。
【0044】
図7の例に関し、本発明に於ける直列配置する複数の浄化体は、同一形状のものに限定されず、例えば略楕円柱形若しくは略多角柱形の浄化体12と、これと異なる略円柱形、略楕円柱形若しくは略多角柱形等の浄化体とを直列配置で筒体11内に収容配置する構成とすることも可能である。また、これらの異形の浄化体12等は、それぞれ単数或いは複数とすることが可能である。
【0045】
上記本実施形態及び上記変形例は、スピニング加工により筒体11、111aを縮径加工したが、割型や一つ型等の金型加工により筒体11、111aを縮径加工を行うことも可能である。具体的には、第1工程として、浄化体12、12a及び浄化体12、12aに周設された保持材13、13aを、浄化体12の直線部に位置する箇所の板厚を調整した板厚調整部115、115aを有する筒体11,11a内に浄化体12、12aの形状の方向を合わせて収容し、筒体11、11aを図示しない金型内に設置する。次に、第2工程として、筒体11、11aの少なくとも保持材13、13aを含む領域における筒体11、11aの外周に金型を押し当て、プレス加工を行うことにより、筒体11、11aと保持材13、13aを縮径して浄化体12、12aを保持する。これにより、浄化体12、12aの形状等に適した縮径加工方法を適宜選択することができるため、最も精度が高く、製造コストをより低減させることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、例えば自動車の排気系に設けられる自動車用浄化器具及びその自動車用浄化器具の製造方法として利用することができる。
【符号の説明】
【0047】
10、10a…自動車用浄化器具 11、11a、31…筒体 111、111a…中央部 112…凸部 113、113a…テーパ部 114、114a…ネック部 115、115a…板厚調整部 116…突出部 12、12a…浄化体 121…凸部 13、13a…保持材 21…クランプ 22、22a…ローラ 23…芯金 41…フォーム型 411…凹部 42…芯金

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部に直線部を有する略楕円柱形若しくは略多角柱形の浄化体と、
前記浄化体に周設された保持材と、
前記浄化体の直線部に位置する箇所の板厚を調整した板厚調整部を有する略楕円筒形若しくは略多角筒形の筒体と、
を有することを特徴とする自動車用浄化器具。
【請求項2】
少なくとも一部に直線部を有する略楕円柱形若しくは略多角柱形の浄化体及び前記浄化体に周設された保持材を、前記浄化体の直線部に位置する箇所の板厚を調整した板厚調整部を有する略楕円筒形若しくは略多角筒形の筒体内に前記浄化体の形状の方向を合わせて収容すると共に、前記筒体の少なくとも一方の端部を固定する第1工程と、
前記筒体の少なくとも前記保持材を含む領域における前記筒体の外周にローラを押し当て、前記ローラを前記筒体の外周回りに相対的に公転すると共に、前記筒体の中心方向に漸次移動してスピニング加工を行うことにより、前記筒体と前記保持材を縮径して前記浄化体を保持する第2工程と、
を備えることを特徴とする自動車用浄化器具の製造方法。
【請求項3】
少なくとも一部に直線部を有する略楕円柱形若しくは略多角柱形の浄化体及び前記浄化体に周設された保持材を、前記浄化体の直線部に位置する箇所の板厚を調整した板厚調整部を有する略楕円筒形若しくは略多角筒形の筒体内に前記浄化体の形状の方向を合わせて収容する共に、前記筒体を金型内に設置する第1工程と、
前記筒体の少なくとも前記保持材を含む領域における前記筒体の外周に金型を押し当て、プレス加工を行うことにより、前記筒体と前記保持材を縮径して前記浄化体を保持する第2工程と、
を備えることを特徴とする自動車用浄化器具の製造方法。
【請求項4】
前記第1工程において、前記筒体の板厚調整部の板厚を前記板厚調整部以外の板厚に対して1.1倍以上3倍以下とすることを特徴とする請求項2又は3記載の自動車用浄化器具の製造方法。
【請求項5】
前記第2工程において、前記板厚調整部の板厚に基づき、縮径量を調整することを特徴とする請求項2〜4の何れかに記載の自動車用浄化器具の製造方法。
【請求項6】
前記第1工程において、前記筒体の断面形状が前記浄化体の断面形状に略相似した形状であることを特徴とする請求項2〜5の何れかに記載の自動車用浄化器具の製造方法。
【請求項7】
前記第1工程において、前記浄化体及び前記保持材と少なくとも1つの別の略楕円柱形若しくは略多角柱形の浄化体及び前記別の浄化体に周設された別の保持材とを直列して間隔を開けて前記筒体内に収容配置し、
前記第2工程において、少なくとも1つの前記浄化体及び前記保持材と前記別の浄化体及び前記別の保持材との相互間に直線部を形成し、
前記筒体は前記直線部に位置する箇所の板厚を調整した板厚調整部を有することを特徴とする請求項2〜6の何れかに記載の自動車用浄化器具の製造方法。
【請求項8】
請求項2〜7の何れかに記載の製造方法で製造された自動車用浄化器具を備えることを特徴とする自動車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−145038(P2012−145038A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−3830(P2011−3830)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【出願人】(000175766)三恵技研工業株式会社 (50)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】