説明

自己発火抵抗性熱活性炭素

熱活性セルロース系炭素は、ハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物に曝露することによって、熱に対してより安定になる。そのように処理されたセルロース系炭素は、煙道ガス、特に約100℃〜約420℃の範囲内における温度を有する煙道ガス中の有害物質の含量を低減する際に使用するのに適する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己発火抵抗性熱活性セルロース系炭素と、その製造プロセスとに関する。また、本発明は、かかる自己発火抵抗性炭素を使用して煙道ガスから有害物質を除去することにも関する。
【背景技術】
【0002】
工業煙道ガス中の有害物質含量を低減することは望ましく且つ必要になって来ている。有害物質は、公衆衛生及び環境に悪影響を及ぼす危険性がある。産業界と政府は、有害物質の排出を減らすように取り組んでおり、良好に進捗している。発電プラントで見出されるような石炭燃料ボイラーからの煙道ガスに特別に焦点が当てられてきた。しかし、するべきことはまだ多い。有害物質としては、煤塵、例えばフライアッシュ、酸性ガス、例えばSOx、NOx、ダイオキシン、フラン、重金属などが挙げられる。
【0003】
有害物質の排出を低減するために使用される方法は、有害物質の性質、要求される最小排出レベル、単位時間当たりに処理される排出ガスの量、及び低減方法のコストによって決まる。いくつかの有害物質は、機械的手段、例えば電気集塵機(ESP)、繊維質フィルタ(FF)又は湿式スクラバによる捕獲及び除去によって、ガス排出物から取り除かれ易い。他の物質に関しては、直接的な機械的除去は難しい。
【0004】
ガス流から任意の特定のガス成分を直接、機械的に除去することに問題があるならば、ガス排出物中に存在する有害ガス物質は、興味深い課題を提示する。しかしながら、排出物中に均等に微細粒状吸着剤を分散させて、浮遊している目標のガス成分に接触させ且つ捕獲することによって、ガス排出物から有害ガス成分を除去することは公知であり、工業で実践されている。その後には、ESP、FF又は湿式スクラバによって排出物蒸気から、吸着剤を、それを吸着する吸着質によって機械的に除去する。非常に有効な吸着剤は、炭素、例えば、セルロース系炭素、粉末活性炭(PAC)などである。例えば、PACは、改質して又は改質せずに使用できる。改質PACは、吸着効率を高めることによって、目標有害物質の捕獲を増強できる。PACの改質は、米国特許第4,427,630号;同第5,179,058号;同第6,514,907号;同第6,953,494号;米国特許出願公開第2001/0002387号;同第2006/0051270号;及び同第2007/0234902号で例示されている。セルロース系炭素としては、木質材料、ヤシ殻材料、又は他の植物性材料から誘導される炭素が挙げられるが、それに限定されない。
【0005】
工業用途でのセルロース系炭素の使用に関する問題は、それらの信頼できない熱安定性、すなわち、自己発火に対する抵抗性が保証されてない点である。熱ガス排出物を処理する際にセルロース系炭素が使用されるとき、又は大量に包装されるか若しくは集められるとき、自己発火は特に問題である。例えば、バルクPACは、(i)PACが例えばスーパーサック中に包装されるときに、又は、(ii)FFユニットにおいてフィルターケーキとして形成されるとき、若しくはESP、TOXECONユニット、及びバッグハウスと関連しているサイロ若しくはホッパーに集められるときに、経験される。自己発火は、炭素の完全な酸化(unmitigated oxidation)から起こり、結果として、炭素は燻ぶるか又は燃焼することがある。自己発火は、石炭燃料ボイラー排出物を処理するときに使用される場合に起こり得るような、温かい又は熱い炭素によって激化する。酸素(空気)が酸化部位に供給されない場合又は酸化部位が冷却されない場合、初期酸化からの熱が伝播し、炭素は燻ぶるか又は発火する。この種の発火は、破滅的である。排出ライン内における燻り又は火災は、ユーティリティプラントを運転停止にすることが
あり、供給を受けている顧客に広範な影響を与えるので、用役設備では特に自己発火に対して神経質である。
【0006】
PACの熱安定性に関する更なる情報は、「煙道ガスを精製する方法」という名称の米国特許第6,843,831号で見出すことができる。いくつかの炭素は、他の炭素に比べて自己発火に対してより抵抗性である。米国では、石炭由来のPACの使用は、一つには石炭由来のPACの良好な熱安定性の故に、用役煙道ガス処理のための業界標準である。
【0007】
実務者がセルロース系炭素の優れた吸着特性の利益を享受できるように、セルロース系炭素(セルロース系PACを含む)が更に熱的に安定であるように改質することができるならば、有利であるだろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物に曝露された、且つ、以下の:(i)ハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物に曝露されていない同じ熱活性セルロース系炭素の初期エネルギーの放出温度に比べて高い初期エネルギー放出温度;(ii)ハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物に曝露されていない同じ熱活性セルロース系炭素の自立発火温度に比べて高い自立発火温度;及び(iii)ハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物に曝露されていない同じ熱活性セルロース系炭素の初期段階エネルギー放出値に比べて低い初期段階エネルギー放出値のうちの少なくとも1つを有する熱活性セルロース系炭素に関する。(i)、(ii)及び(iii)に記載した品質のうちのいずれか1以上の品質は、ハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物に曝露されていない同じ熱活性セルロース系炭素と比較した場合、ハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物で処理された熱活性セルロース系炭素の熱安定性の強化の表れである、と考えられる。商業的な観点から、石炭由来炭素/PACに関するエネルギー放出値と同等又は同等近くの前記値を得ることは、良好で許容可能な熱安定性の高度な前兆である。下記表(I)を参照すると、本発明のハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物で処理されたセルロース系炭素は、好都合にも、報告されている非セルロース由来の炭素/PACに匹敵することが分かる。ハロゲンは、例えばBrであることができる。また、本発明は、熱活性セルロース系炭素の熱安定性を向上させる方法にも関する。前記方法は、曝露された熱活性セルロース系炭素が以下の品質:すなわち、(i)ハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物に曝露されていない同じ熱活性セルロース系炭素の初期エネルギー放出温度に比べて高い初期エネルギー放出温度;(ii)ハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物に曝露されていない同じ熱活性セルロース系炭素の自立発火温度に比べて高い自立発火温度;及び(iii)ハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物に曝露されていない同じ熱活性セルロース系炭素の初期段階エネルギー放出値に比べて低い初期段階エネルギー放出値のうちの少なくとも1つを有するのに充分な温度及び時間において熱活性セルロース系炭素をハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物に対して曝露する工程を含む。また、本発明は、ハロゲンを約2〜約20重量%含み且つ以下の:(i)ハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物に対する曝露前の同じ熱活性セルロース系炭素の初期エネルギー放出温度に比べて高い初期エネルギー放出温度;(ii)ハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物に対する曝露前の同じ熱活性セルロース系炭素の自立発火温度に比べて高い自立発火温度;及び(iii)ハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物に対する曝露前の同じ熱活性セルロース系炭素の初期段階エネルギー放出値に比べて低い初期段階エネルギー放出値のうちの少なくとも1つを有する、ハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物に曝露された熱活性セルロース系炭素にも関する。更にまた、本発明は、ガス有害物質を含む煙道ガスからの前記有害物質の大気への排出を低減するための方法であって、ハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物に対して曝露された、且つ、以下の:(i)ハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物に対する曝露前の同じ熱活性セルロ
ース系炭素の初期エネルギー放出温度に比べて高い初期エネルギー放出温度;(ii)ハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物に対する曝露前の同じ熱活性セルロース系炭素の自立発火温度に比べて高い自立発火温度;及び(iii)ハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物に対する曝露前の同じ熱活性セルロース系炭素の初期段階エネルギー放出値に比べて低い初期段階エネルギー放出値のうちの少なくとも1つを有する熱活性セルロース系炭素と煙道ガスを接触させる工程を含む前記方法にも関する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】未処理の熱活性木質系炭素及び臭素蒸気処理された熱活性木質系炭素に関する、熱流量対温度の比較プロットである。
【図2】未処理の熱活性ヤシ殻由来PAC及び臭素蒸気処理された熱活性ヤシ殻PACに関する、熱流量対温度の比較プロットである。
【図3】未処理の熱活性瀝青炭由来PAC及び臭素蒸気処理された熱活性瀝青炭由来PACに関する、熱流量対温度の比較プロットである。
【図4】未処理の熱活性無煙炭由来PAC及び臭素蒸気処理された熱活性無煙炭由来PACに関する、熱流量対温度の比較プロットである。
【図5】未処理の熱活性亜炭由来PAC及び2.5重量%NaBr処理された熱活性亜炭由来PACに関する、熱流量対温度の比較プロットである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の熱活性セルロース系炭素は、既に言及したように、セルロース系材料から誘導できる。
【0011】
熱活性セルロース系炭素、例えば木質系PACの製造は、公知であり、一般的に、(i)チャーを製造するためのセルロース材料の熱分解又は炭化、(ii)チャーの活性化及び(iii)その活性化されたチャーの冷却/クエンチングを伴う。詳細に関してはKirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,1st Edition,Volume 4,pages 741−761
2001を参照されたい。熱活性木質系炭素は、任意の木質源、例えばおが屑、木屑、又は他の粒状木質製品から製造できる。
【0012】
熱活性セルロース系炭素は市販されている。例えば、熱活性木質系炭素は、MeadWestvacoCorporation、Specialty Chemical Divisionから入手できる。熱活性セルロース系炭素は、粒径分布(D10、D50及びD90);平均粒径;BET表面積;ヨウ素価;全細孔容積;細孔分布(マクロ/メソ及びマイクロの細孔);元素分析;含水率;そして灰スペシエーション(ash speciation)及び灰分によって特徴付けることができる。特に有用な熱活性セルロース系炭素は、以下の特徴のうちの1以上を有する:
特性 一般的範囲 特定の範囲
10 1-10μm 2-5μm
50 5-35μm 10-20μm
90 20-100μm 30-60μm
平均粒径: 10-50μm 15-25μm
BET: >300m2/g >500m2/g
ヨウ素価: 300-1200mg/g >600mg/g
全細孔容積: 0.10-1.20cc/g 0.15-0.8cc/g
マクロ/メソ細孔容積 0.05-0.70cc/g 0.05-0.40cc/g
マイクロ細孔容積: 0.05-0.50cc/g 0.10-0.40cc/g
灰分: 0-15重量% <10重量%
水分: 0-15重量% <5重量%
【0013】
本発明に従ってセルロース由来炭素を処理する際に使用されるハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物としては、臭素、塩素、フッ素、ヨウ素、臭化アンモニウム、他の窒素含有ハロゲン塩、臭化カルシウム、他の無機のハロゲン化物などが挙げられる。
【0014】
セルロース系炭素のハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物処理は、バッチ法又は連続法によって行うことができる。好適なバッチ法は、セルロース系炭素をタンブル反応器/タンブル乾燥機に供給する。供給終了後、その供給されたセルロース系炭素の総重量を基準として、その含水率が5重量%を超えている場合、必要に応じて炭素を乾燥させることができる。約75℃〜約82℃の初期温度が得られる。一つの適用では、沸点温度の気体Brを反応器/乾燥機に供給する。反応器/乾燥機圧力は、好都合には、ほぼ周囲圧力に保つ。乾燥機は、供給中及び供給後、タンブルモードで運転する。供給後タンブル時間は、約30分から1時間である。量的には、供給されるBrの量は、処理されるセルロース系炭素の所望の臭素含量と同じか又はほぼ同じである。例えば、約5重量%(処理されたセルロース系炭素の総重量を基準として)の臭素含量を有する処理されたセルロース系炭素が望ましい場合は、供給されるBrの量はセルロース系炭素95部当たり5部である。Br流量は、Br供給段階全体にわたって基本的に均一である。供給後タンブル段階の後、処理されたセルロース系炭素を反応器/乾燥機から取り出して貯蔵又は包装へと送る。
【0015】
セルロース系炭素を処理するための好適な連続法の特徴は、気体Brとセルロース系炭素を混合Tへと別々に共供給する点にある。粒状セルロース系炭素は、空気によって混合T中へと送られる。セルロース系炭素の温度は、約80℃〜約105℃である。気体Brは、その沸点で、混合Tの他の区画(leg)に供給される。周囲圧力を使用することができる。混合Tは、約0.5〜約2.0秒の滞留時間を提供する。混合を強化するために、下流のエダクタを使用して、確実に乱流混合を行うことができる。量的には、バッチ法で使用されるのと同じ割合が、連続法でも使用される。
【0016】
説明した法及び連続法の両方で、供給されるBrのすべてが、セルロース系炭素に組み込まれる。従って、Brの量と反応器に供給されるセルロース系炭素の量とを基準として、処理されたセルロース系炭素中のBrの量について言及すると都合が良い。5kgのBr供給及び95kgのセルロース系炭素供給が、5重量%の臭素を含む気体臭素処理セルロース系炭素を生成させたと考えられる。しかしながら、実務者が、組み込まれた臭素を直接に測定することを望む場合、その種の測定は、Schoniger Combustionと、その後の硝酸銀滴定によって影響され得る。
【0017】
気体ハロゲンを接触させたセルロース系炭素は、臭素を約2〜約20重量%含む得る。前記重量%は、接触させたセルロース系炭素の総重量を基準としている。約5〜約15重量%の範囲内の臭素重量%は、石炭燃料ボイラーからの煙道ガスを処理するときに有用である。
【0018】
(i)初期エネルギー放出温度;(ii)自立発火温度;(iii)初期段階エネルギー放出値を測定するために、制御可能に加熱される時、処理及び未処理の熱活性セルロース系炭素サンプルの熱流量対温度(℃)の示差走査熱量測定(DSC)トレースを作製することは有用である。DSC条件は、以下の通りであることができる:サンプルの大きさは約10mgであり;キャリヤガスは流量100ml/分の空気であり;温度勾配(temperature ramp rate)は周囲温度から850℃まで10℃/分である。DSCは、Thermal Analyst 5000コントローラーを備えたTA
Instruments社製モデル2960 DSC/TGAモジュールを用いて行うことができる。DSC試験結果から作製されたDSCトレースは、TA instrum
ents社製Universal Analysis Software バージョン4.3.0.6で分析できる。サンプルは、DSC試験を行う前に、完全に乾燥させることができる。熱乾燥は許容可能であり、例えば、乾燥温度110℃で1時間、0.5〜5.0gのサンプルを乾燥させる。
【0019】
DSC試験から得られる値は、熱流量(ワット/グラム)対温度(℃)についてトレースできる。図1〜5は、得ることができるDSCトレースの例示である。
【0020】
初期酸化点(PIO)とも呼ばれる初期エネルギー放出温度は、酸化反応が任意レベルの有意差に達したことに起因して表面特性が変化し始める温度である。熱流量を125℃でベースライン値0となるように調整した時に、熱流量値が温度曲線の関数として0.2W/gを超える温度とPIOを定義することが提案される。
【0021】
自立発火温度は、通常は、温度曲線の関数としての熱流量の変曲点におけるベースラインとスロープとの交点と定義される。変曲点は、既に言及したソフトウェアによって見出される。一般的に、変曲点は、曲率が符号を変える曲線上の点として微分学において定義されている。曲線は、上方凹(正曲率)から下方凹(負曲率)へと変化し、逆もまた同じである。例えば、図1において、未処理TAWPAC(熱活性木質系粉末活性炭)の自立発火温度は約400℃であり、そして気体臭素で処理されたTAWPACのそれは約434℃である。
【0022】
初期段階エネルギー放出値は、125℃〜425℃及び125℃〜375℃のDSCトレースを積分することによって求められる。これらの2つの積分から得られる値を、それぞれ、好適な熱安定性を有することが知られているPAC(すなわち「ベンチマーク炭素」)に関して得られる同じ値と比較する。ベンチマーク炭素の例は、Norit Americas, Inc.から市販されているタイプのNaBrを含浸させた亜炭由来PACであり、その被覆されたPACは、(125℃〜425℃では)1,378ジュール/グラム及び125℃〜375℃では370ジュール/グラムの初期段階エネルギー放出値を有することが見出された(図5を参照)。図1において、セルロース系未処理TAWPACは、5,873ジュール/グラム(125℃〜425℃)及び2,709ジュール/グラム(125℃〜375℃)の値を有する。気体臭素で処理されたTAWPACは、1,247ジュール/グラム(125℃〜425℃)及び345ジュール/グラム(125℃〜375℃)の値を有することが図1に示されている。図において認められるように、気体臭素で処理されたTAWPACはNorit製ベンチマーク炭素製品に匹敵する初期段階エネルギー放出値を有する。未処理のTAWPACは、Norit製ベンチマーク炭素製品からはるかに逸脱している初期段階エネルギー放出値を有する。
【0023】
以下の表(I)に、初期エネルギー放出温度(PIO)、自立発火温度(SIT);及び、DSC分析に基づく様々なPACの初期段階エネルギー放出値を示す。
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物に対して曝露された、そして、以下の:(i)ハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物に曝露されていない同じ熱活性セルロース系炭素の初期エネルギー放出温度に比べて高い初期エネルギー放出温度;(ii)ハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物に曝露されていない同じ熱活性セルロース系炭素の自立発火温度に比べて高い自立発火温度;及び(iii)ハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物に曝露されていない同じ熱活性セルロース系炭素の初期段階エネルギー放出値に比べて低い初期段階エネルギー放出値のうちの少なくとも1つを有する熱活性セルロース系炭素。
【請求項2】
前記ハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物として、臭素、塩素、フッ素、ヨウ素、臭化アンモニウム、他の窒素含有ハロゲン塩、又は臭化カルシウムが挙げられる請求項1記載の熱活性セルロース系炭素。
【請求項3】
ハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物に曝露された熱活性セルロース系炭素が、前記ハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物に曝露された熱活性セルロース系炭素の総重量を基準として、約5重量%〜約20重量%のハロゲンを含む請求項1記載の熱活性セルロース系炭素。
【請求項4】
熱活性セルロース系炭素の熱安定性を向上させる方法であって、ハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物に曝露された熱活性セルロース系炭素が、以下の:(i)前記ハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物に対する曝露前の同じ熱活性セルロース系炭素の初期エネルギー放出温度に比べて高い初期エネルギー放出温度;(ii)前記ハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物に対する曝露前の同じ熱活性セルロース系炭素の自立発火温度に比べて高い自立発火温度;及び(iii)前記ハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物に曝露されていない同じ熱活性セルロース系炭素の初期段階エネルギー放出値に比べて低い初期段階エネルギー放出値のうちの少なくとも1つを有するのに充分な温度及び時間において熱活性セルロース系炭素を前記ハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物に対して曝露する工程を含む、前記方法。
【請求項5】
前記ハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物として、臭素、塩素、フッ素、ヨウ素、臭化アンモニウム、他の窒素含有ハロゲン塩、又は臭化カルシウムが挙げられる請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記熱活性セルロース系炭素を、約82〜約105℃の温度で、そして約0.1〜約3秒の範囲内の時間、前記ハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物に曝露する請求項4記載の方法。
【請求項7】
約2重量%〜約20重量%のハロゲンを含み、且つ、以下の:(i)前記ハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物に対する曝露前の同じ熱活性セルロース系炭素の初期エネルギー放出温度に比べて高い初期エネルギー放出温度;(ii)前記ハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物に対する曝露前の同じ熱活性セルロース系炭素の自立発火温度に比べて高い自立発火温度;及び(iii)前記ハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物に対する曝露前の同じ熱活性セルロース系炭素の初期段階エネルギー放出値に比べて低い初期段階エネルギー放出値のうちの少なくとも1つを有する、ハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物に曝露された熱活性セルロース系炭素。
【請求項8】
前記ハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物として、臭素、塩素、フッ素、ヨウ素、臭化アンモニウム、他の窒素含有ハロゲン塩、又は臭化カルシウムが挙げられる請求項7記載の熱活性セルロース系炭素。
【請求項9】
有害物質を含む煙道ガスからの大気排出ガス有害物質を低減する方法であって、ハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物に曝露された、且つ、以下の:(i)前記ハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物に対する曝露前の同じ熱活性セルロース系炭素の初期エネルギー放出温度に比べて高い初期エネルギー放出温度;(ii)前記ハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物に対する曝露前の同じ熱活性セルロース系炭素の自立発火温度に比べて高い自立発火温度;及び(iii)前記ハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物に対する曝露前の同じ熱活性セルロース系炭素の初期段階エネルギー放出値に比べて低い初期段階エネルギー放出値のうちの少なくとも1つを有する、熱活性セルロース系炭素と前記煙道ガスとを接触させる工程を含む、前記方法。
【請求項10】
前記煙道ガスが、約100℃〜約420℃の範囲内の温度を有する請求項9記載方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−522717(P2012−522717A)
【公表日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−503697(P2012−503697)
【出願日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【国際出願番号】PCT/US2010/029605
【国際公開番号】WO2010/114985
【国際公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(594066006)アルベマール・コーポレーシヨン (155)
【Fターム(参考)】