説明

自己給電冷却システム

【課題】周囲温度の上昇は電子回路の誤動作要因となる重要な問題であり、回路設計者は常に動作環境の温度に注意を必要とする。この発熱対策に費やす作業負担を軽減した冷却システムを提供する。
【解決手段】水、油等の液体を冷却媒体とし、閉じられた筺体内にモーター等の動力から発生する電磁ノイズ等影響させることなく冷却を行なう仕組みと冷却媒体の循環を動力とする空冷の仕組みと電子デバイスなどの発熱部品を直接冷却し、且つ直接冷却の対象を追加部品を持って増やすことが可能な仕組みを備えた冷却システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筺体等の閉じられた空間における冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から筺体等の冷却には、外気を取り込む為のスリット上の穴を設けるなどの処置を施して筺体内の温度上昇を防ぐ発熱対策が一般的であった。更に電子回路等の発熱部品が著しく発熱する場合には電動ファンを取り付けるなどの冷却処置を行なって筺体内の発熱対策としていた。
【0003】
しかし、これらの処置では電子回路もしくは電動ファンに使用するモーターなどがEMC等の電磁ノイズの放射元となることが知られている。また高周波になるほど外部から受ける電磁ノイズの影響も懸念され放射と感受の両面から外気導入が困難となる。同時に高周波回路では発熱も高く発熱対策も必要に迫られることとなり、相反する条件に苦慮することが往々にして発生する。
【0004】
閉じられた筺体内では、電動ファンもしくはペルチェ素子を多用し電子部品への直接冷却を行なった場合、廃熱処理が困難なため各々の放熱により逆に温度上昇を助長することもある。
【0005】
従来冷却装置では、筺体内の電源から冷却装置の電源を供給することが一般的に行なわれているが、このことが筺体への電源供給に負担をかけることとなっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
周囲温度の上昇は電子回路の誤動作要因となる重要な問題であり、回路設計者は常に動作環境の温度に注意を必要とする。この発熱対策に費やす作業負担の軽減を本発明の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
水、油等の液体を冷却媒体とし、閉じられた筺体内にモーター等の動力から発生する電磁ノイズ等影響させることなく冷却を行なう仕組みと冷却媒体の循環を動力とする空冷の仕組みと電子デバイスなどの発熱部品を直接冷却し、且つ直接冷却の対象を追加部品を持って増やすことが可能な仕組みを備えたことを特徴とする冷却システム。
【0008】
冷却媒体を循環させるポンプモーター等の動力を筺体内の一部をシールド、もしくは筺体とは独立して提供することにより電磁ノイズを遮断する仕組みを持つ。
【0009】
冷却媒体の循環する力を水車等の仕組みによりファンへの動力とし電気的な動力を直接使わずに空冷を行なう仕組みを持つ。
【0010】
発熱部品を直接冷却するクーラー部と筺体内に冷却媒体を循環させる循環元をパイプなどで接続し、必要数に応じてカスケードに接続し終端を排出先に接続することにより冷却対象の追加に柔軟に対応する仕組みを持つ。
【0011】
冷却媒体の冷却にペルチェ効果を使用する仕組みを持つ。
【0012】
ペルチェ効果およびポンプモーターの電力をゼーベック効果により供給する仕組みを持つ。
【発明の効果】
【0013】
筺体内の温度上昇によるゼーベック効果で起電し、ペルチェ素子へ冷却用の給電を行なうため外部からの電源供給を必要とせず、もしくは小電力化が容易に考えられ筺体への電源供給を軽減する。
【0014】
筺体内電子回路ブロックにおいてファンモーター等の動力を使用せず冷却を行なうため電磁ノイズによる誤動作を軽減する。
【0015】
発電部品への直接冷却が可能なため問題となる発熱部品への個別対処が容易。しかも追加が任意に可能である。
【0016】
本発明により、筺体内の温度上昇を防ぎ且つ低電磁ノイズにて冷却システムを提供することが可能となる。これは開発製品の動作安定ならびに設計者の作業負担軽減に寄与するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は、図1に示すように電子回路装置筺体内の冷却装置としての活用が期待される。
【実施例】
以下、図面を参照して本発明の一実施例を詳細に説明する。
【0018】
循環用ポンプ1は、パイプ8を介して吐出し冷却部2/吸込み冷却部9の各冷却部と接続する。各冷却部はペルチェ素子7により冷却媒体を冷却し、筺体内冷却パイプ3に接続する。
ここで冷却に関しては、より高い冷却効果を期待するために吐出し冷却部2/吸込み冷却部9の両方向にペルチェ素子7を装着しているがシステムの温度上昇に依存してどちらか一方の冷却を行なうものでも良く、また不足であれば更に装着することも考えられる。
【0019】
吐出し冷却部2/吸込み冷却部9と筺体内冷却パイプ3の間にシールドもしくは外部装置とした場合の筺体が接続するものである。この境界をしてポンプモーター等の電磁ノイズを電子回路に対して遮断する。このため吐出し冷却部2/吸込み冷却部9と筺体内冷却パイプ3は嵌合接続もしくはパイプ接続により接続する。
【0020】
吐出し冷却部2/吸込み冷却部9に装着するペルチェ素子はゼーベック素子から給電するため各々は結線接続する。但し、センサー等による温度制御が必要な場合や補助電源を装着する場合には、この部分に電源制御回路を挿入し、ペルチェ素子への電源供給を制御する。ゼーベック素子については熱源の高温側を電源回路等、低温側をペルチェ素子もしくは吐出し冷却部2/吸込み冷却部9から取得することが考えられる。
【0021】
筺体内冷却パイプ3には、空冷ファン4を装着し筺体内部の空冷を冷却媒体の循環の力を利用して行なう。また図1では吐出し/吸込みの筺体内冷却パイプ3が平行しているが、互いの向きを特に制限をするものではない。
筺体の形状や空冷ファン4の起こす風向きの必要に応じて任意に対処することが考えられる。尚、空冷ファン4の取付けは筺体内冷却パイプ3の左右どちらの側面にも取り付けられることが好ましい。
また、空冷ファン4は筺体内冷却パイプ3の冷気を循環させて筺体内を冷却することを目的とする。その中で各冷却パン5に接続するパイプ8も冷却することが含まれる。
【0022】
筺体内冷却パイプ3よりパイプ8を介して各発熱部品に装着した冷却パン5を直列に接続する。冷却パン5については、液冷効果を施す媒体として機能することを目的として内部に水路が施すものである。実際のデバイス形状に合わせて任意の形状が求められるものであるため、ここでは形状等を規定しない。
各冷却パン5に接続するパイプ8も冷気を帯びており住宅内の循環する空調と同様の効果が期待できる。
【0023】
最後の冷却パン5の吐出しを吸込み側の筺体内冷却パイプ3に接続する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】自己給電冷却システムの構成図
【図2】筺体内冷却パイプの断面図
【符号の説明】
【0025】
1 循環用ポンプ
2 吐出し側冷却部
3 筺体内冷却パイプ
4 空冷ファン
5 冷却パン
6 ゼーベック素子
7 ペルチェ素子
8 パイプ
9 吸い込み側冷却部
10 ファン駆動用水車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水、油等の液体を冷却媒体とし、閉じられた筺体内にモーター等の動力から発生する電磁ノイズ等影響させることなく冷却を行なう仕組みと冷却媒体の循環を動力とする空冷の仕組みと電子デバイスなどの発熱部品を直接冷却し、且つ直接冷却の対象を追加部品を持って増やすことが可能な仕組みを備えたことを特徴とする冷却システム。
【請求項2】
冷却媒体を循環させるポンプモーター等の動力を筺体内の一部をシールド、もしくは筺体とは独立して提供することにより電磁ノイズを遮断する仕組みを持つ請求項1の冷却システム。
【請求項3】
冷却媒体の循環する力を水車等の仕組みによりファンへの動力とし電気的な動力を直接使わずに空冷を行なう仕組みを持つ請求項1の冷却システム。
【請求項4】
発熱部品を直接冷却するクーラー部と筺体内に冷却媒体を循環させる循環元をパイプなどで接続し、必要数に応じてカスケードに接続し終端を排出先に接続することにより冷却対象の追加に柔軟に対応する仕組みを持つ請求項1の冷却システム。
【請求項5】
冷却媒体の冷却にペルチェ効果を使用する仕組みを持つ請求項1の冷却システム。
【請求項6】
ペルチェ効果およびポンプモーターの電力をゼーベック効果により供給する仕組みを持つ請求項1の冷却システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−60093(P2008−60093A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−106699(P2005−106699)
【出願日】平成17年3月7日(2005.3.7)
【出願人】(505120032)株式会社ワイズメディアテクノロジー (12)
【出願人】(505121567)
【Fターム(参考)】