自己診断機能付センサ
【課題】外的要因の印加を行うことなく、故障を診断することができる自己診断機能付センサを提供する。
【解決手段】自己診断機能付センサ1は、例えば、第1のハーフブリッジ回路21及び第2のハーフブリッジ回路22を有するセンサ部2と、第1のスイッチ部31と第1の抵抗32を有する第1の切替回路3a、及び第2のスイッチ部33と第2の抵抗34を有する第2の切替回路3bを有する制御IC3と、を備えている。制御IC3は、例えば、第1のスイッチ部31及び第2のスイッチ部33のオン及びオフを制御することによって得られる、第1のハーフブリッジ回路21及び第2のハーフブリッジ回路22のそれぞれの中間電位V1及び中間電位V2に基づいてセンサ部2の故障の有無を診断する制御部30と、を備えて概略構成されている。
【解決手段】自己診断機能付センサ1は、例えば、第1のハーフブリッジ回路21及び第2のハーフブリッジ回路22を有するセンサ部2と、第1のスイッチ部31と第1の抵抗32を有する第1の切替回路3a、及び第2のスイッチ部33と第2の抵抗34を有する第2の切替回路3bを有する制御IC3と、を備えている。制御IC3は、例えば、第1のスイッチ部31及び第2のスイッチ部33のオン及びオフを制御することによって得られる、第1のハーフブリッジ回路21及び第2のハーフブリッジ回路22のそれぞれの中間電位V1及び中間電位V2に基づいてセンサ部2の故障の有無を診断する制御部30と、を備えて概略構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己診断機能付センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として4つの磁気抵抗素子をブリッジ状に電気的に接続した磁気抵抗素子センサを備える電流検出装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この電流検出装置は、磁気抵抗素子センサが電流の流れる導体の近傍に配置され、導体に流れる電流に基づいて発生する磁場を検出することにより、導体を流れる電流値を測定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−196698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の電流検出装置は、磁気抵抗素子センサに不具合があるか否かを診断する場合、磁気抵抗素子センサに磁場を印加して診断しなくてはならなかった。
【0006】
従って、本発明の目的は、外的要因の印加を行うことなく、故障を診断することができる自己診断機能付センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、外的要因に基づいて物理量が変化する第1の素子及び第2の素子により形成され、第1の素子の一方端が電源に電気的に接続され、他方端が第2の素子の一方端に電気的に接続された第1のハーフブリッジ回路、外的要因に基づいて物理量が変化する第3の素子及び第4の素子により形成され、第3の素子の一方端が電源に電気的に接続され、他方端が第4の素子の一方端に電気的に接続された第2のハーフブリッジ回路、を有するセンサ部と、一方端が第1のハーフブリッジ回路の第2の素子の他方端に電気的に接続され、他方端が接地された第1のスイッチ部、及び一方端が第1のハーフブリッジ回路の第2の素子の他方端に電気的に接続され、他方端が接地された第1の抵抗、を有する第1の切替回路と、一方端が第2のハーフブリッジ回路の第4の素子の他方端に電気的に接続され、他方端が接地された第2のスイッチ部、及び一方端が第2のハーフブリッジ回路の第4の素子の他方端に電気的に接続され、他方端が接地された第2の抵抗、を有する第2の切替回路と、第1のスイッチ部及び第2のスイッチ部のオン及びオフを制御することによって得られる、第1のハーフブリッジ回路及び第2のハーフブリッジ回路のそれぞれの中間電位に基づいてセンサ部の故障の有無を診断する制御部と、を備えた自己診断機能付センサを提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、外的要因の印加を行うことなく、故障を診断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、実施の形態に係る自己診断機能付センサの回路図である。
【図2】図2(a)及び(b)は、実施の形態に係る自己診断機能付センサの診断モードを説明するための回路図である。
【図3】図3は、実施の形態に係るフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施の形態の要約)
実施の形態に係る自己診断機能付センサは、外的要因に基づいて物理量が変化する第1の素子及び第2の素子により形成され、第1の素子の一方端が電源に電気的に接続され、他方端が第2の素子の一方端に電気的に接続された第1のハーフブリッジ回路、外的要因に基づいて物理量が変化する第3の素子及び第4の素子により形成され、第3の素子の一方端が電源に電気的に接続され、他方端が第4の素子の一方端に電気的に接続された第2のハーフブリッジ回路、を有するセンサ部と、一方端が第1のハーフブリッジ回路の第2の素子の他方端に電気的に接続され、他方端が接地された第1のスイッチ部、及び一方端が第1のハーフブリッジ回路の第2の素子の他方端に電気的に接続され、他方端が接地された第1の抵抗、を有する第1の切替回路と、一方端が第2のハーフブリッジ回路の第4の素子の他方端に電気的に接続され、他方端が接地された第2のスイッチ部、及び一方端が第2のハーフブリッジ回路の第4の素子の他方端に電気的に接続され、他方端が接地された第2の抵抗、を有する第2の切替回路と、第1のスイッチ部及び第2のスイッチ部のオン及びオフを制御することによって得られる、第1のハーフブリッジ回路及び第2のハーフブリッジ回路のそれぞれの中間電位に基づいてセンサ部の故障の有無を診断する制御部と、を備える。
【0011】
[実施の形態]
(自己診断機能付センサ1の構成)
図1は、実施の形態に係る自己診断機能付センサの回路図である。本実施の形態に係る自己診断機能付センサ1は、一例として、車両に搭載され、外的要因としての磁場を検出する、4つの磁気抵抗素子により構成されたブリッジ回路を備えた磁気センサである。
【0012】
自己診断機能付センサ1は、例えば、図1に示すように、センサ部2と、制御IC3と、を備えて概略構成されている。
【0013】
(センサ部2の構成)
センサ部2は、例えば、磁場(外的要因)に基づいて抵抗値(物理量)が変化する第1の磁気抵抗素子211(第1の素子)及び第2の磁気抵抗素子212(第2の素子)により形成され、第1の磁気抵抗素子211の一方端が電源4に電気的に接続され、他方端が第2の磁気抵抗素子212の一方端に電気的に接続された第1のハーフブリッジ回路21、磁場に基づいて抵抗値が変化する第3の磁気抵抗素子221(第3の素子)及び第4の磁気抵抗素子222(第4の素子)により形成され、第3の磁気抵抗素子221の一方端が電源4に電気的に接続され、他方端が第4の磁気抵抗素子222の一方端に電気的に接続された第2のハーフブリッジ回路22、を備えて概略構成されている。
【0014】
磁場が印加されていない場合における第1の磁気抵抗素子211の抵抗値R1と第3の磁気抵抗素子221の抵抗値R3とは、等しく、第2の磁気抵抗素子212の抵抗値R2と第4の磁気抵抗素子222の抵抗値R4とは、等しい。
【0015】
第1の磁気抵抗素子211の抵抗値R1は、第2の磁気抵抗素子212の抵抗値R2と異なり、第2の磁気抵抗素子212の抵抗値R2と後述する第1の抵抗32の抵抗値R5を加算した抵抗値となる。
【0016】
また、第3の磁気抵抗素子221の抵抗値R3は、第4の磁気抵抗素子222の抵抗値R4と異なり、第4の磁気抵抗素子222の抵抗値R4と後述する第2の抵抗34の抵抗値R6を加算した抵抗値となる。
【0017】
第1の磁気抵抗素子211及び第3の磁気抵抗素子221は、例えば、電源4、制御IC3の入力端子42及び出力端子39、センサ部2の入力端子27を介して電圧VCCが印加されている。
【0018】
第1の磁気抵抗素子211及び第2の磁気抵抗素子212の中間電位V1は、例えば、センサ部2の出力端子23、制御IC3の入力端子35を介して後述する制御部30に入力する。また、第3の磁気抵抗素子221及び第4の磁気抵抗素子222の中間電位V2は、例えば、センサ部2の出力端子26、制御IC3の入力端子38を介して後述する制御部30に入力する。
【0019】
(制御IC3の構成)
図2(a)及び(b)は、実施の形態に係る自己診断機能付センサの診断モードを説明するための回路図である。
【0020】
制御IC3は、例えば、一方端が第1のハーフブリッジ回路21の第2の磁気抵抗素子212の他方端に電気的に接続され、他方端が接地された第1のスイッチ部31、及び一方端が第1のハーフブリッジ回路21の第2の磁気抵抗素子212の他方端に電気的に接続され、他方端が接地された第1の抵抗32、を有する第1の切替回路3aと、一方端が第2のハーフブリッジ回路22の第4の磁気抵抗素子222の他方端に電気的に接続され、他方端が接地された第2のスイッチ部33、及び一方端が第2のハーフブリッジ回路22の第4の磁気抵抗素子222の他方端に電気的に接続され、他方端が接地された第2の抵抗34、を有する第2の切替回路3bと、第1のスイッチ部31及び第2のスイッチ部33のオン及びオフを制御することによって得られる、第1のハーフブリッジ回路21及び第2のハーフブリッジ回路22のそれぞれの中間電位V1及び中間電位V2に基づいてセンサ部2の故障の有無を診断する制御部30と、を備えて概略構成されている。
【0021】
第1のスイッチ部31及び第2のスイッチ部33は、例えば、トランジスタを用いて形成される。第1のスイッチ部31は、例えば、制御部30から出力される信号S1に基づいて開閉する。また、第2のスイッチ部33は、例えば、制御部30から出力される信号S2に基づいて開閉する。
【0022】
制御部30は、例えば、記憶されたプログラムに従って、取得したデータに演算、加工等を行うCPU(Central Processing Unit)、半導体メモリであるRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等から構成されるマイクロコンピュータである。また、制御部30は、例えば、参照情報300を有している。参照情報300とは、例えば、算出した差分と、設計から算出される差分と、を比較するための情報、検出対象の検出に関するしきい値の情報等を含んで構成される。
【0023】
制御部30は、入力端子35を介して入力する中間電位V1、及び入力端子38を介して入力する中間電位V2の差分(V1―V2)を算出するように構成されている。
【0024】
ここで、自己診断機能付センサ1は、例えば、磁場を検出する検出モードと、故障を判断する診断モードと、の2つのモードを有する。制御部30は、第1の切替回路3a及び第2の切替回路3bを制御して電流の流れる経路を切り替えることにより、この2つのモードを切り替えるように構成されている。自己診断機能付センサ1は、例えば、電源4から電圧VCCが初めて印加されたタイミング、つまり、車両の電源が投入されたタイミングでは、診断モードとなっている。また、自己診断機能付センサ1は、例えば、診断モードによって故障がないと診断された場合、検出モードに切り替わるように構成されている。
【0025】
制御部30は、検出モードにあるとき、第1の切替回路3aの第1のスイッチ部31をオフさせる信号S1を第1のスイッチ部31に出力すると共に、第2の切替回路3bの第2のスイッチ部33をオフさせる信号S2を第2のスイッチ部33に出力するように構成されている。
【0026】
この検出モードにあるとき、例えば、図1に示すように、第1の磁気抵抗素子211、第2の磁気抵抗素子212、センサ部2の出力端子24、制御IC3の入力端子36、第1の抵抗32、端子40を介してグランドに電流が流れる第1の経路と、第3の磁気抵抗素子221、第4の磁気抵抗素子222、センサ部2の出力端子25、制御IC3の入力端子37、第2の抵抗34、端子40を介してグランドに電流が流れる第2の経路と、が形成される。
【0027】
また、制御部30は、診断モードにあるとき、例えば、図2(a)及び(b)に示すように、第1の切替回路3aの第1のスイッチ部31をオン、第2の切替回路3bの第2のスイッチ部33をオフ、及び第1の切替回路3aの第1のスイッチ部31をオフ、第2の切替回路3bの第2のスイッチ部33をオンすることによって得られる第1のハーフブリッジ回路21及び第2のハーフブリッジ回路22のそれぞれの中間電位V1及び中間電位V2の差分に基づいて故障の有無を診断するように構成されている。
【0028】
具体的には、制御部30は、例えば、第1のスイッチ部31をオンさせる信号S1を第1のスイッチ部31に出力すると共に、第2のスイッチ部33をオフさせる信号S2を第2のスイッチ部33に出力して中間電位V1及び中間電位V2を取得し、続いて、第1のスイッチ部31をオフさせる信号S1を第1のスイッチ部31に出力すると共に、第2のスイッチ部33をオンさせる信号S2を第2のスイッチ部33に出力して中間電位V1及び中間電位V2を取得するように構成されている。
【0029】
制御部30は、例えば、取得した中間電位V1及び中間電位V2の差分に基づいて故障の有無を診断し、その診断結果を信号S3として出力端子41を介して出力するように構成されている。
【0030】
センサ部2及び制御IC3は、例えば、それぞれ、又は、一体でエポキシ樹脂材等により封止されている。
【0031】
また、センサ部2及び制御IC3は、例えば、出力端子23及び入力端子35、出力端子24及び入力端子36、出力端子25及び入力端子37、出力端子26及び入力端子38、入力端子27及び出力端子39、が導電性を有するワイヤにより電気的に接続されている。なお、ワイヤは、例えば、金、銅、アルミニウム等の金属材料を用いて形成される。
【0032】
以下に、本実施の形態に係る自己診断機能付センサ1の動作について、図3のフローチャートに従って説明する。まず、診断モードについて説明する。
【0033】
(動作)
・診断モード
自己診断機能付センサ1は、車両の電源が投入されると(S1)、第1の切替回路3aの第1のスイッチ部31をオンする信号S1を第1のスイッチ部31に出力すると共に、第2の切替回路3bの第2のスイッチ部33をオフする信号S2を第2のスイッチ部33に出力する(S2)。
【0034】
第1のスイッチ部31がオンのとき、例えば、図2(a)に示すように、第1のスイッチ部31がオンになることで、第1の抵抗32に電流が流れなくなるので、第1の磁気抵抗素子211、第2の磁気抵抗素子212、出力端子24、入力端子36、第1のスイッチ部31を経由する第3の経路が形成される。
【0035】
また、第2のスイッチ部33がオフのとき、例えば、図2(a)に示すように、第3の磁気抵抗素子221、第4の磁気抵抗素子222、出力端子25、入力端子37、第2の抵抗34を経由する第4の経路が形成される。
【0036】
第3の経路における中間電位V1は、{R2/(R1+R2)}VCCとなる。一方、第4の経路における中間電位V2は、{(R4+R6)/(R3+R4+R6)}VCCとなる。制御部30は、この中間電位V1及び中間電位V2から差分(V1−V2)を算出する(S3)。
【0037】
制御部30は、参照情報300に基づいて、設計から期待される差分(V1−V2)の値と、算出された差分(V1−V2)の値と、を比較し、2つの差分の差が所定の範囲内にない場合は、故障が発生していると診断し(S4:Yes)、故障を示す信号S3を出力する(S9)。
【0038】
また、制御部30は、2つの差分の差が所定の範囲内にある場合は、故障が発生していないと診断し(S4:No)、図2(b)に示すように、第1の切替回路3aの第1のスイッチ部31をオフする信号S1を第1のスイッチ部31に出力すると共に、第2の切替回路3bの第2のスイッチ部33をオンする信号S2を第2のスイッチ部33に出力する(S5)。
【0039】
第1のスイッチ部31がオフのとき、例えば、図2(b)に示すように、第1の磁気抵抗素子211、第2の磁気抵抗素子212、出力端子24、入力端子36、第1の抵抗32を経由する第5の経路が形成される。
【0040】
また、第2のスイッチ部33がオンのとき、例えば、図2(b)に示すように、第2のスイッチ部33がオンになることで、第2の抵抗34に電流が流れなくなるので、第3の磁気抵抗素子221、第4の磁気抵抗素子222、出力端子25、入力端子37、第2のスイッチ部33を経由する第6の経路が形成される。
【0041】
第5の経路における中間電位V1は、{(R2+R5)/(R1+R2+R5)}VCCとなる。一方、第6の経路における中間電位V2は、{R4/(R3+R4)}VCCとなる。制御部30は、この中間電位V1及び中間電位V2から差分(V1−V2)を算出する(S6)。
【0042】
制御部30は、参照情報300に基づいて、設計から期待される差分(V1−V2)の値と、算出された差分(V1−V2)の値と、を比較し、2つの差分の差が所定の範囲内にない場合は、故障が発生していると診断し(S7:Yes)、故障を示す信号S3を出力する(S9)。
【0043】
また、制御部30は、2つの差分の差が所定の範囲内にある場合は、故障が発生していないと診断し(S7:No)、検出モードに切り替えて(S8)、診断モードを終了する。
【0044】
続いて、以下では、検出モードの動作について説明する。
【0045】
・検出モード
自己診断機能付センサ1は、故障がない場合、診断モードから検出モードに切り替えを行う。
【0046】
具体的には、自己診断機能付センサ1の制御部30は、第1の切替回路3aの第1のスイッチ部31をオフする信号S1を第1のスイッチ部31に出力すると共に、第2の切替回路3bの第2のスイッチ部33をオフする信号S2を第2のスイッチ部33に出力する。
【0047】
第1のスイッチ部31がオフのとき、例えば、図1に示すように、第1の磁気抵抗素子211、第2の磁気抵抗素子212、出力端子24、入力端子36、第1の抵抗32を経由する第1の経路が形成される。
【0048】
また、第2のスイッチ部33がオフのとき、例えば、図1に示すように、第3の磁気抵抗素子221、第4の磁気抵抗素子222、出力端子25、入力端子37、第2の抵抗34を経由する第2の経路が形成される。
【0049】
第1の経路における中間電位V1は、{(R2+R5)/(R1+R2+R5)}VCCとなる。一方、第2の経路における中間電位V2は、{(R4+R6)/(R3+R4+R6)}VCCとなる。
【0050】
制御部30は、この中間電位V1及び中間電位V2から差分(V1−V2)を算出し、参照情報300に含まれるしきい値と比較することにより、検出対象である磁場発生体の検出の有無を判定し、判定した結果を信号S3として出力端子41を介して出力する。
【0051】
(効果)
本実施の形態に係る自己診断機能付センサ1は、外的要因の印加を行うことなく、故障を診断することができる。
【0052】
この自己診断機能付センサ1は、磁場が印加されていないときの第1の磁気抵抗素子211の抵抗値R1が、第2の磁気抵抗素子212の抵抗値R2と第1の抵抗32の抵抗値R5との合成抵抗に等しく、また、磁場が印加されていないときの第3の磁気抵抗素子221の抵抗値R3が、第4の磁気抵抗素子222の抵抗値R4と第2の抵抗34の抵抗値R6との合成抵抗に等しくなるように構成されている。
【0053】
この第1の抵抗32及び第2の抵抗34は、固定抵抗であり、温度変化による抵抗値の変化が少なく、また、磁気抵抗素子と比べて製造が容易であることから抵抗値のバラツキが少ない。
【0054】
一方、磁気抵抗素子のみで構成されたブリッジ回路を有するセンサの場合、磁場が印加されていないときの中間電位は等しく、その差分はゼロとなる。しかし、差分がゼロとなる条件は、例えば、断線の発生のように、いくつかあるため、必ずしも磁気抵抗素子が正常であることの判断とはならない。そのため、磁場を発生させて出力される中間電位から故障の有無を判断するセンサがあるが、少なくとも2つの方向の磁場を切り替えて、それぞれの抵抗値を変化させた差分を算出しなければならなかった。
【0055】
本実施の形態の自己診断機能付センサ1は、第1のハーフブリッジ回路21と第1の抵抗32の電気的な接続、及び第2のハーフブリッジ回路22と第2の抵抗34の電気的な接続、を第1の切替回路3a及び第2の切替回路3bによって切り替えることができるので、差分がゼロとならずに、設計から期待される差分と、実際に算出された差分と、の比較が正確に行え、磁場を印加することなく、故障を精度良く診断することができる。また、自己診断機能付センサ1は、上記の理由により、ワイヤ等が断線した場合であっても、故障を診断することができる。
【0056】
また、自己診断機能付センサ1は、ワンチップ内で診断を行うことが可能であり、故障診断時に外的要因としての磁場の印加を必要としないことから、磁場発生部材がセンサの近傍にない場合であっても故障の診断を行うことができる。
【0057】
なお、上記の実施の形態では、センサ部は、一例として、磁気抵抗素子を用いた磁気センサについて記載したが、これに限定されず、歪みゲージ等のピエゾ抵抗型センサ、加速度センサ等の静電容量型センサ等であっても良い。
【0058】
以上、本発明のいくつかの実施の形態及び変形例を説明したが、これらの実施の形態及び変形例は、一例に過ぎず、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。これら新規な実施の形態及び変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更等を行うことができる。また、これら実施の形態及び変形例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない。さらに、これら実施の形態及び変形例は、発明の範囲及び要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0059】
1…自己診断機能付センサ
2…センサ部
3…制御IC
3a…第1の切替回路
3b…第2の切替回路
4…電源
21…第1のハーフブリッジ回路
22…第2のハーフブリッジ回路
23〜26…出力端子
27…入力端子
30…制御部
31…第1のスイッチ部
32…第1の抵抗
33…第2のスイッチ部
34…第2の抵抗
35〜38…入力端子
39…出力端子
40…端子
41…出力端子
42…入力端子
211…第1の磁気抵抗素子
212…第2の磁気抵抗素子
221…第3の磁気抵抗素子
222…第4の磁気抵抗素子
300…参照情報
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己診断機能付センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として4つの磁気抵抗素子をブリッジ状に電気的に接続した磁気抵抗素子センサを備える電流検出装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この電流検出装置は、磁気抵抗素子センサが電流の流れる導体の近傍に配置され、導体に流れる電流に基づいて発生する磁場を検出することにより、導体を流れる電流値を測定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−196698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の電流検出装置は、磁気抵抗素子センサに不具合があるか否かを診断する場合、磁気抵抗素子センサに磁場を印加して診断しなくてはならなかった。
【0006】
従って、本発明の目的は、外的要因の印加を行うことなく、故障を診断することができる自己診断機能付センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、外的要因に基づいて物理量が変化する第1の素子及び第2の素子により形成され、第1の素子の一方端が電源に電気的に接続され、他方端が第2の素子の一方端に電気的に接続された第1のハーフブリッジ回路、外的要因に基づいて物理量が変化する第3の素子及び第4の素子により形成され、第3の素子の一方端が電源に電気的に接続され、他方端が第4の素子の一方端に電気的に接続された第2のハーフブリッジ回路、を有するセンサ部と、一方端が第1のハーフブリッジ回路の第2の素子の他方端に電気的に接続され、他方端が接地された第1のスイッチ部、及び一方端が第1のハーフブリッジ回路の第2の素子の他方端に電気的に接続され、他方端が接地された第1の抵抗、を有する第1の切替回路と、一方端が第2のハーフブリッジ回路の第4の素子の他方端に電気的に接続され、他方端が接地された第2のスイッチ部、及び一方端が第2のハーフブリッジ回路の第4の素子の他方端に電気的に接続され、他方端が接地された第2の抵抗、を有する第2の切替回路と、第1のスイッチ部及び第2のスイッチ部のオン及びオフを制御することによって得られる、第1のハーフブリッジ回路及び第2のハーフブリッジ回路のそれぞれの中間電位に基づいてセンサ部の故障の有無を診断する制御部と、を備えた自己診断機能付センサを提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、外的要因の印加を行うことなく、故障を診断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、実施の形態に係る自己診断機能付センサの回路図である。
【図2】図2(a)及び(b)は、実施の形態に係る自己診断機能付センサの診断モードを説明するための回路図である。
【図3】図3は、実施の形態に係るフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施の形態の要約)
実施の形態に係る自己診断機能付センサは、外的要因に基づいて物理量が変化する第1の素子及び第2の素子により形成され、第1の素子の一方端が電源に電気的に接続され、他方端が第2の素子の一方端に電気的に接続された第1のハーフブリッジ回路、外的要因に基づいて物理量が変化する第3の素子及び第4の素子により形成され、第3の素子の一方端が電源に電気的に接続され、他方端が第4の素子の一方端に電気的に接続された第2のハーフブリッジ回路、を有するセンサ部と、一方端が第1のハーフブリッジ回路の第2の素子の他方端に電気的に接続され、他方端が接地された第1のスイッチ部、及び一方端が第1のハーフブリッジ回路の第2の素子の他方端に電気的に接続され、他方端が接地された第1の抵抗、を有する第1の切替回路と、一方端が第2のハーフブリッジ回路の第4の素子の他方端に電気的に接続され、他方端が接地された第2のスイッチ部、及び一方端が第2のハーフブリッジ回路の第4の素子の他方端に電気的に接続され、他方端が接地された第2の抵抗、を有する第2の切替回路と、第1のスイッチ部及び第2のスイッチ部のオン及びオフを制御することによって得られる、第1のハーフブリッジ回路及び第2のハーフブリッジ回路のそれぞれの中間電位に基づいてセンサ部の故障の有無を診断する制御部と、を備える。
【0011】
[実施の形態]
(自己診断機能付センサ1の構成)
図1は、実施の形態に係る自己診断機能付センサの回路図である。本実施の形態に係る自己診断機能付センサ1は、一例として、車両に搭載され、外的要因としての磁場を検出する、4つの磁気抵抗素子により構成されたブリッジ回路を備えた磁気センサである。
【0012】
自己診断機能付センサ1は、例えば、図1に示すように、センサ部2と、制御IC3と、を備えて概略構成されている。
【0013】
(センサ部2の構成)
センサ部2は、例えば、磁場(外的要因)に基づいて抵抗値(物理量)が変化する第1の磁気抵抗素子211(第1の素子)及び第2の磁気抵抗素子212(第2の素子)により形成され、第1の磁気抵抗素子211の一方端が電源4に電気的に接続され、他方端が第2の磁気抵抗素子212の一方端に電気的に接続された第1のハーフブリッジ回路21、磁場に基づいて抵抗値が変化する第3の磁気抵抗素子221(第3の素子)及び第4の磁気抵抗素子222(第4の素子)により形成され、第3の磁気抵抗素子221の一方端が電源4に電気的に接続され、他方端が第4の磁気抵抗素子222の一方端に電気的に接続された第2のハーフブリッジ回路22、を備えて概略構成されている。
【0014】
磁場が印加されていない場合における第1の磁気抵抗素子211の抵抗値R1と第3の磁気抵抗素子221の抵抗値R3とは、等しく、第2の磁気抵抗素子212の抵抗値R2と第4の磁気抵抗素子222の抵抗値R4とは、等しい。
【0015】
第1の磁気抵抗素子211の抵抗値R1は、第2の磁気抵抗素子212の抵抗値R2と異なり、第2の磁気抵抗素子212の抵抗値R2と後述する第1の抵抗32の抵抗値R5を加算した抵抗値となる。
【0016】
また、第3の磁気抵抗素子221の抵抗値R3は、第4の磁気抵抗素子222の抵抗値R4と異なり、第4の磁気抵抗素子222の抵抗値R4と後述する第2の抵抗34の抵抗値R6を加算した抵抗値となる。
【0017】
第1の磁気抵抗素子211及び第3の磁気抵抗素子221は、例えば、電源4、制御IC3の入力端子42及び出力端子39、センサ部2の入力端子27を介して電圧VCCが印加されている。
【0018】
第1の磁気抵抗素子211及び第2の磁気抵抗素子212の中間電位V1は、例えば、センサ部2の出力端子23、制御IC3の入力端子35を介して後述する制御部30に入力する。また、第3の磁気抵抗素子221及び第4の磁気抵抗素子222の中間電位V2は、例えば、センサ部2の出力端子26、制御IC3の入力端子38を介して後述する制御部30に入力する。
【0019】
(制御IC3の構成)
図2(a)及び(b)は、実施の形態に係る自己診断機能付センサの診断モードを説明するための回路図である。
【0020】
制御IC3は、例えば、一方端が第1のハーフブリッジ回路21の第2の磁気抵抗素子212の他方端に電気的に接続され、他方端が接地された第1のスイッチ部31、及び一方端が第1のハーフブリッジ回路21の第2の磁気抵抗素子212の他方端に電気的に接続され、他方端が接地された第1の抵抗32、を有する第1の切替回路3aと、一方端が第2のハーフブリッジ回路22の第4の磁気抵抗素子222の他方端に電気的に接続され、他方端が接地された第2のスイッチ部33、及び一方端が第2のハーフブリッジ回路22の第4の磁気抵抗素子222の他方端に電気的に接続され、他方端が接地された第2の抵抗34、を有する第2の切替回路3bと、第1のスイッチ部31及び第2のスイッチ部33のオン及びオフを制御することによって得られる、第1のハーフブリッジ回路21及び第2のハーフブリッジ回路22のそれぞれの中間電位V1及び中間電位V2に基づいてセンサ部2の故障の有無を診断する制御部30と、を備えて概略構成されている。
【0021】
第1のスイッチ部31及び第2のスイッチ部33は、例えば、トランジスタを用いて形成される。第1のスイッチ部31は、例えば、制御部30から出力される信号S1に基づいて開閉する。また、第2のスイッチ部33は、例えば、制御部30から出力される信号S2に基づいて開閉する。
【0022】
制御部30は、例えば、記憶されたプログラムに従って、取得したデータに演算、加工等を行うCPU(Central Processing Unit)、半導体メモリであるRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等から構成されるマイクロコンピュータである。また、制御部30は、例えば、参照情報300を有している。参照情報300とは、例えば、算出した差分と、設計から算出される差分と、を比較するための情報、検出対象の検出に関するしきい値の情報等を含んで構成される。
【0023】
制御部30は、入力端子35を介して入力する中間電位V1、及び入力端子38を介して入力する中間電位V2の差分(V1―V2)を算出するように構成されている。
【0024】
ここで、自己診断機能付センサ1は、例えば、磁場を検出する検出モードと、故障を判断する診断モードと、の2つのモードを有する。制御部30は、第1の切替回路3a及び第2の切替回路3bを制御して電流の流れる経路を切り替えることにより、この2つのモードを切り替えるように構成されている。自己診断機能付センサ1は、例えば、電源4から電圧VCCが初めて印加されたタイミング、つまり、車両の電源が投入されたタイミングでは、診断モードとなっている。また、自己診断機能付センサ1は、例えば、診断モードによって故障がないと診断された場合、検出モードに切り替わるように構成されている。
【0025】
制御部30は、検出モードにあるとき、第1の切替回路3aの第1のスイッチ部31をオフさせる信号S1を第1のスイッチ部31に出力すると共に、第2の切替回路3bの第2のスイッチ部33をオフさせる信号S2を第2のスイッチ部33に出力するように構成されている。
【0026】
この検出モードにあるとき、例えば、図1に示すように、第1の磁気抵抗素子211、第2の磁気抵抗素子212、センサ部2の出力端子24、制御IC3の入力端子36、第1の抵抗32、端子40を介してグランドに電流が流れる第1の経路と、第3の磁気抵抗素子221、第4の磁気抵抗素子222、センサ部2の出力端子25、制御IC3の入力端子37、第2の抵抗34、端子40を介してグランドに電流が流れる第2の経路と、が形成される。
【0027】
また、制御部30は、診断モードにあるとき、例えば、図2(a)及び(b)に示すように、第1の切替回路3aの第1のスイッチ部31をオン、第2の切替回路3bの第2のスイッチ部33をオフ、及び第1の切替回路3aの第1のスイッチ部31をオフ、第2の切替回路3bの第2のスイッチ部33をオンすることによって得られる第1のハーフブリッジ回路21及び第2のハーフブリッジ回路22のそれぞれの中間電位V1及び中間電位V2の差分に基づいて故障の有無を診断するように構成されている。
【0028】
具体的には、制御部30は、例えば、第1のスイッチ部31をオンさせる信号S1を第1のスイッチ部31に出力すると共に、第2のスイッチ部33をオフさせる信号S2を第2のスイッチ部33に出力して中間電位V1及び中間電位V2を取得し、続いて、第1のスイッチ部31をオフさせる信号S1を第1のスイッチ部31に出力すると共に、第2のスイッチ部33をオンさせる信号S2を第2のスイッチ部33に出力して中間電位V1及び中間電位V2を取得するように構成されている。
【0029】
制御部30は、例えば、取得した中間電位V1及び中間電位V2の差分に基づいて故障の有無を診断し、その診断結果を信号S3として出力端子41を介して出力するように構成されている。
【0030】
センサ部2及び制御IC3は、例えば、それぞれ、又は、一体でエポキシ樹脂材等により封止されている。
【0031】
また、センサ部2及び制御IC3は、例えば、出力端子23及び入力端子35、出力端子24及び入力端子36、出力端子25及び入力端子37、出力端子26及び入力端子38、入力端子27及び出力端子39、が導電性を有するワイヤにより電気的に接続されている。なお、ワイヤは、例えば、金、銅、アルミニウム等の金属材料を用いて形成される。
【0032】
以下に、本実施の形態に係る自己診断機能付センサ1の動作について、図3のフローチャートに従って説明する。まず、診断モードについて説明する。
【0033】
(動作)
・診断モード
自己診断機能付センサ1は、車両の電源が投入されると(S1)、第1の切替回路3aの第1のスイッチ部31をオンする信号S1を第1のスイッチ部31に出力すると共に、第2の切替回路3bの第2のスイッチ部33をオフする信号S2を第2のスイッチ部33に出力する(S2)。
【0034】
第1のスイッチ部31がオンのとき、例えば、図2(a)に示すように、第1のスイッチ部31がオンになることで、第1の抵抗32に電流が流れなくなるので、第1の磁気抵抗素子211、第2の磁気抵抗素子212、出力端子24、入力端子36、第1のスイッチ部31を経由する第3の経路が形成される。
【0035】
また、第2のスイッチ部33がオフのとき、例えば、図2(a)に示すように、第3の磁気抵抗素子221、第4の磁気抵抗素子222、出力端子25、入力端子37、第2の抵抗34を経由する第4の経路が形成される。
【0036】
第3の経路における中間電位V1は、{R2/(R1+R2)}VCCとなる。一方、第4の経路における中間電位V2は、{(R4+R6)/(R3+R4+R6)}VCCとなる。制御部30は、この中間電位V1及び中間電位V2から差分(V1−V2)を算出する(S3)。
【0037】
制御部30は、参照情報300に基づいて、設計から期待される差分(V1−V2)の値と、算出された差分(V1−V2)の値と、を比較し、2つの差分の差が所定の範囲内にない場合は、故障が発生していると診断し(S4:Yes)、故障を示す信号S3を出力する(S9)。
【0038】
また、制御部30は、2つの差分の差が所定の範囲内にある場合は、故障が発生していないと診断し(S4:No)、図2(b)に示すように、第1の切替回路3aの第1のスイッチ部31をオフする信号S1を第1のスイッチ部31に出力すると共に、第2の切替回路3bの第2のスイッチ部33をオンする信号S2を第2のスイッチ部33に出力する(S5)。
【0039】
第1のスイッチ部31がオフのとき、例えば、図2(b)に示すように、第1の磁気抵抗素子211、第2の磁気抵抗素子212、出力端子24、入力端子36、第1の抵抗32を経由する第5の経路が形成される。
【0040】
また、第2のスイッチ部33がオンのとき、例えば、図2(b)に示すように、第2のスイッチ部33がオンになることで、第2の抵抗34に電流が流れなくなるので、第3の磁気抵抗素子221、第4の磁気抵抗素子222、出力端子25、入力端子37、第2のスイッチ部33を経由する第6の経路が形成される。
【0041】
第5の経路における中間電位V1は、{(R2+R5)/(R1+R2+R5)}VCCとなる。一方、第6の経路における中間電位V2は、{R4/(R3+R4)}VCCとなる。制御部30は、この中間電位V1及び中間電位V2から差分(V1−V2)を算出する(S6)。
【0042】
制御部30は、参照情報300に基づいて、設計から期待される差分(V1−V2)の値と、算出された差分(V1−V2)の値と、を比較し、2つの差分の差が所定の範囲内にない場合は、故障が発生していると診断し(S7:Yes)、故障を示す信号S3を出力する(S9)。
【0043】
また、制御部30は、2つの差分の差が所定の範囲内にある場合は、故障が発生していないと診断し(S7:No)、検出モードに切り替えて(S8)、診断モードを終了する。
【0044】
続いて、以下では、検出モードの動作について説明する。
【0045】
・検出モード
自己診断機能付センサ1は、故障がない場合、診断モードから検出モードに切り替えを行う。
【0046】
具体的には、自己診断機能付センサ1の制御部30は、第1の切替回路3aの第1のスイッチ部31をオフする信号S1を第1のスイッチ部31に出力すると共に、第2の切替回路3bの第2のスイッチ部33をオフする信号S2を第2のスイッチ部33に出力する。
【0047】
第1のスイッチ部31がオフのとき、例えば、図1に示すように、第1の磁気抵抗素子211、第2の磁気抵抗素子212、出力端子24、入力端子36、第1の抵抗32を経由する第1の経路が形成される。
【0048】
また、第2のスイッチ部33がオフのとき、例えば、図1に示すように、第3の磁気抵抗素子221、第4の磁気抵抗素子222、出力端子25、入力端子37、第2の抵抗34を経由する第2の経路が形成される。
【0049】
第1の経路における中間電位V1は、{(R2+R5)/(R1+R2+R5)}VCCとなる。一方、第2の経路における中間電位V2は、{(R4+R6)/(R3+R4+R6)}VCCとなる。
【0050】
制御部30は、この中間電位V1及び中間電位V2から差分(V1−V2)を算出し、参照情報300に含まれるしきい値と比較することにより、検出対象である磁場発生体の検出の有無を判定し、判定した結果を信号S3として出力端子41を介して出力する。
【0051】
(効果)
本実施の形態に係る自己診断機能付センサ1は、外的要因の印加を行うことなく、故障を診断することができる。
【0052】
この自己診断機能付センサ1は、磁場が印加されていないときの第1の磁気抵抗素子211の抵抗値R1が、第2の磁気抵抗素子212の抵抗値R2と第1の抵抗32の抵抗値R5との合成抵抗に等しく、また、磁場が印加されていないときの第3の磁気抵抗素子221の抵抗値R3が、第4の磁気抵抗素子222の抵抗値R4と第2の抵抗34の抵抗値R6との合成抵抗に等しくなるように構成されている。
【0053】
この第1の抵抗32及び第2の抵抗34は、固定抵抗であり、温度変化による抵抗値の変化が少なく、また、磁気抵抗素子と比べて製造が容易であることから抵抗値のバラツキが少ない。
【0054】
一方、磁気抵抗素子のみで構成されたブリッジ回路を有するセンサの場合、磁場が印加されていないときの中間電位は等しく、その差分はゼロとなる。しかし、差分がゼロとなる条件は、例えば、断線の発生のように、いくつかあるため、必ずしも磁気抵抗素子が正常であることの判断とはならない。そのため、磁場を発生させて出力される中間電位から故障の有無を判断するセンサがあるが、少なくとも2つの方向の磁場を切り替えて、それぞれの抵抗値を変化させた差分を算出しなければならなかった。
【0055】
本実施の形態の自己診断機能付センサ1は、第1のハーフブリッジ回路21と第1の抵抗32の電気的な接続、及び第2のハーフブリッジ回路22と第2の抵抗34の電気的な接続、を第1の切替回路3a及び第2の切替回路3bによって切り替えることができるので、差分がゼロとならずに、設計から期待される差分と、実際に算出された差分と、の比較が正確に行え、磁場を印加することなく、故障を精度良く診断することができる。また、自己診断機能付センサ1は、上記の理由により、ワイヤ等が断線した場合であっても、故障を診断することができる。
【0056】
また、自己診断機能付センサ1は、ワンチップ内で診断を行うことが可能であり、故障診断時に外的要因としての磁場の印加を必要としないことから、磁場発生部材がセンサの近傍にない場合であっても故障の診断を行うことができる。
【0057】
なお、上記の実施の形態では、センサ部は、一例として、磁気抵抗素子を用いた磁気センサについて記載したが、これに限定されず、歪みゲージ等のピエゾ抵抗型センサ、加速度センサ等の静電容量型センサ等であっても良い。
【0058】
以上、本発明のいくつかの実施の形態及び変形例を説明したが、これらの実施の形態及び変形例は、一例に過ぎず、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。これら新規な実施の形態及び変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更等を行うことができる。また、これら実施の形態及び変形例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない。さらに、これら実施の形態及び変形例は、発明の範囲及び要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0059】
1…自己診断機能付センサ
2…センサ部
3…制御IC
3a…第1の切替回路
3b…第2の切替回路
4…電源
21…第1のハーフブリッジ回路
22…第2のハーフブリッジ回路
23〜26…出力端子
27…入力端子
30…制御部
31…第1のスイッチ部
32…第1の抵抗
33…第2のスイッチ部
34…第2の抵抗
35〜38…入力端子
39…出力端子
40…端子
41…出力端子
42…入力端子
211…第1の磁気抵抗素子
212…第2の磁気抵抗素子
221…第3の磁気抵抗素子
222…第4の磁気抵抗素子
300…参照情報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外的要因に基づいて物理量が変化する第1の素子及び第2の素子により形成され、前記第1の素子の一方端が電源に電気的に接続され、他方端が前記第2の素子の一方端に電気的に接続された第1のハーフブリッジ回路、外的要因に基づいて物理量が変化する第3の素子及び第4の素子により形成され、前記第3の素子の一方端が前記電源に電気的に接続され、他方端が前記第4の素子の一方端に電気的に接続された第2のハーフブリッジ回路、を有するセンサ部と、
一方端が前記第1のハーフブリッジ回路の前記第2の素子の他方端に電気的に接続され、他方端が接地された第1のスイッチ部、及び一方端が前記第1のハーフブリッジ回路の前記第2の素子の他方端に電気的に接続され、他方端が接地された第1の抵抗、を有する第1の切替回路と、
一方端が前記第2のハーフブリッジ回路の前記第4の素子の他方端に電気的に接続され、他方端が接地された第2のスイッチ部、及び一方端が前記第2のハーフブリッジ回路の前記第4の素子の他方端に電気的に接続され、他方端が接地された第2の抵抗、を有する第2の切替回路と、
前記第1のスイッチ部及び前記第2のスイッチ部のオン及びオフを制御することによって得られる、前記第1のハーフブリッジ回路及び前記第2のハーフブリッジ回路のそれぞれの中間電位に基づいて前記センサ部の故障の有無を診断する制御部と、
を備えた自己診断機能付センサ。
【請求項2】
前記第1の素子は、前記第2の素子の抵抗値と前記第1の抵抗の抵抗値を加算した抵抗値を有し、
前記第3の素子は、前記第4の素子の抵抗値と前記第2の抵抗の抵抗値を加算した抵抗値を有する請求項1に記載の自己診断機能付センサ。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1のスイッチ部をオン、前記第2のスイッチ部をオフ、及び前記第1のスイッチ部をオフ、前記第2のスイッチ部をオンすることによって得られる前記第1のハーフブリッジ回路及び前記第2のハーフブリッジ回路のそれぞれの中間電位の差分に基づいて故障の有無を診断する請求項1又は2に記載の自己診断機能付センサ。
【請求項1】
外的要因に基づいて物理量が変化する第1の素子及び第2の素子により形成され、前記第1の素子の一方端が電源に電気的に接続され、他方端が前記第2の素子の一方端に電気的に接続された第1のハーフブリッジ回路、外的要因に基づいて物理量が変化する第3の素子及び第4の素子により形成され、前記第3の素子の一方端が前記電源に電気的に接続され、他方端が前記第4の素子の一方端に電気的に接続された第2のハーフブリッジ回路、を有するセンサ部と、
一方端が前記第1のハーフブリッジ回路の前記第2の素子の他方端に電気的に接続され、他方端が接地された第1のスイッチ部、及び一方端が前記第1のハーフブリッジ回路の前記第2の素子の他方端に電気的に接続され、他方端が接地された第1の抵抗、を有する第1の切替回路と、
一方端が前記第2のハーフブリッジ回路の前記第4の素子の他方端に電気的に接続され、他方端が接地された第2のスイッチ部、及び一方端が前記第2のハーフブリッジ回路の前記第4の素子の他方端に電気的に接続され、他方端が接地された第2の抵抗、を有する第2の切替回路と、
前記第1のスイッチ部及び前記第2のスイッチ部のオン及びオフを制御することによって得られる、前記第1のハーフブリッジ回路及び前記第2のハーフブリッジ回路のそれぞれの中間電位に基づいて前記センサ部の故障の有無を診断する制御部と、
を備えた自己診断機能付センサ。
【請求項2】
前記第1の素子は、前記第2の素子の抵抗値と前記第1の抵抗の抵抗値を加算した抵抗値を有し、
前記第3の素子は、前記第4の素子の抵抗値と前記第2の抵抗の抵抗値を加算した抵抗値を有する請求項1に記載の自己診断機能付センサ。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1のスイッチ部をオン、前記第2のスイッチ部をオフ、及び前記第1のスイッチ部をオフ、前記第2のスイッチ部をオンすることによって得られる前記第1のハーフブリッジ回路及び前記第2のハーフブリッジ回路のそれぞれの中間電位の差分に基づいて故障の有無を診断する請求項1又は2に記載の自己診断機能付センサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図2】
【図3】
【公開番号】特開2013−108887(P2013−108887A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255058(P2011−255058)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】
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