説明

自然空調装置

【課題】電力を浪費することなく充分な送風機能が得られるとともに、簡単に設置することができる自然空調装置を提供する。
【解決手段】屋外に取り付けられる風車1と、屋内に取り付けられるシーリングファン2と、上記風車1の回転力をシーリングファン2に伝達して該シーリングファン2を回転駆動する駆動部3とを備え、自然風により駆動される風車1の回転力をシーリングファン2に伝達して送風機能を発揮させるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自然エネルギーを利用して空調を行う自然空調装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に示されるように、天井面に取り付けられる電動モータを中心に放射状に配設された複数枚のブレードを備えたシーリングファンを屋内に設置し、該シーリングファンの送風機能を発揮させることにより、夏の冷房時期には天井から床へ向けた気流により涼感が得られるようにし、また冬の暖房時期には天井付近に溜まりがちな暖気と足元に溜まりがちな冷気とを対流させて上半身と下半身との間に不快な温度差が生じるのを防止することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−121552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されたシーリングファンは、電動モータを駆動源としているために、充分な送風機能を得るには大きな電力が消費されるという問題があった。また、上記シーリングファンは、通常、天井部に設置されるため、高所における危険かつ煩雑な電気配線や保守点検作業等を行わなければならなかった。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、電力を浪費することなく充分な送風機能が得られるとともに、簡単に設置することが可能な自然空調装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、屋外に取り付けられる風車と、屋内に取り付けられるシーリングファンと、上記風車の回転力をシーリングファンに伝達して該シーリングファンを回転駆動する駆動部とを備えたものである。
【0007】
請求項2に係る発明は、上記請求項1に記載の自然空調装置において、風車の回転力をシーリングファンに伝達する伝達状態と、該回転力の伝達を遮断する遮断状態とに切り替える断続切替機構を備えたものである。
【0008】
請求項3に係る発明は、上記請求項1または2に記載の自然空調装置において、外気を上記風車の設置部に向けて案内する案内通路と、該案内通路の内部を太陽光の熱エネルギーで加熱する集光レンズ体とを備えたものである。
【0009】
請求項4に係る発明は、上記請求項3に記載の自然空調装置において、上記案内通路を開閉してその内部を空気が流動するのを許容する流動許容状態と、該空気の流動を遮断する流動遮断状態とに切り替える流動切替機構を備えたものである。
【0010】
請求項5に係る発明は、上記請求項1〜4のいずれか1項に記載の自然空調装置において、上記風車の回転力に応じて駆動される発電機を備えるとともに、上記駆動部に、風車の回転力を発電機または上記シーリングファンの一方に選択的に伝達する選択伝達機構が設けられたものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明では、屋外に取り付けられる風車と、屋内に取り付けられるシーリングファンとを設け、上記風車の回転力を駆動部によりシーリングファンに伝達して該シーリングファンを回転駆動するように構成したため、煩雑な電気配線等を要することなく、自然エネルギーを利用して充分な送風機能を発揮させることができる。したがって、室内温度が高くなる夏期には、電力を浪費することなく天井部から床へ向けた気流により快適な涼感が得られるとともに、暖房が行われる冬期には天井部の付近に溜まりがちな暖気と足元に溜まりがちな冷気とを対流させて上半身と下半身との間に不快な温度差が生じるのを効果的に防止できる等の利点がある。
【0012】
請求項2に係る発明では、上記風車の回転力をシーリングファンに伝達する伝達状態と、上記回転力の伝達を遮断する遮断状態とに切り替える断続切替機構を設けたため、居住者が上記自然空調装置の送風機能を発揮させる必要がないと判断した場合に、上記断続切替機構を操作して風車からシーリングファンに対する回転力の伝達を遮断することができ、これによって室内の空気が不必要に掻き回されたり、強風の発生時にシーリングファンが高速回転して大きな騒音が発生したりすること等を防止できるという利点がある。
【0013】
請求項3に係る発明では、外気を上記風車の設置部に向けて案内する案内通路と、該案内通路の内部を太陽光の熱エネルギーで加熱する集光レンズ体とを設けたため、該集光レンズ体に照射される太陽光のエネルギーに応じて上記案内通路の内部温度を上昇させることにより上昇気流を発生させ、該上昇気流を利用して上記風車の回転を促進することができる。したがって、該風車の回転力を上記駆動部によりシーリングファンに伝達し、該シーリングファンを高速で回転させることができ、外気温が高くなるのに対応させて天井部から床に強い気流を生じさせることにより、室内の快適性を効果的に向上させることができる。
【0014】
請求項4に係る発明では、案内通路を開閉してその内部を空気が流動するのを許容する流動許容状態と、該空気の流動を遮断する流動遮断状態とに切り替える流動切替機構を設けたため、上記太陽光のエネルギーを得ることができない雨天時または夜間時等に、上記流動切替機構により上記案内通路を閉止して空気の流動を遮断する流動遮断状態とすることにより、該案内通路を空気が封入された空気された断熱層として利用することができる。また、暖房を必要とする冬季には、上記流動切替機構により案内通路を閉止して空気の流動を遮断する流動遮断状態とすれば、昼間に上記案内通路の設置部に照射された太陽光を上記集光レンズ体の凸レンズ状部により集光し、案内通路を加熱してその内部温度を上昇させることができるとともに、加熱された空気を案内通路内に封じ込めることにより該案内通路を夜間の暖房源として利用できるという利点がある。
【0015】
請求項5に係る発明では、上記風車の回転力に応じて駆動される発電機を設けるとともに、上記駆動部に、風車の回転力を発電機または上記シーリングファンの一方に選択的に伝達する選択伝達機構を設けたため、上記建物の屋根上を吹き抜ける自然風に応じてシーリングファンを回転駆動して送風機能を発揮させる状態と、風車の回転力を発電機に伝達して発電を行わせることによりその有効利用を図る状態とに切り替えることかできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る自然空調装置の設置状態を示す説明図である。
【図2】本発明に係る自然空調装置の実施形態を示す断面図である。
【図3】風車の具体的構成を示す平面断面図である。
【図4】断続切替機構の具体的構成を示す断面図である。
【図5】案内通路の具体的構成を示す説明図である。
【図6】案内通路の具体的構成を示す断面図である。
【図7】流動切替機構の具体的構成を示す断面図である。
【図8】本発明に係る自然空調装置の別の実施形態を示す断面図である。
【図9】選択伝達機構の具体的構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1〜図6は、本発明の実施形態に係る自然空調装置を木造家屋に設置した例を示している。上記自然空調装置は、屋外に取り付けられる風車1と、屋内に取り付けられるシーリングファン2と、上記風車1の回転力をシーリングファン2に伝達して該シーリングファン2を駆動する駆動部3とを備えている。
【0018】
上記風車1は、図2および図3に示すように、建物の屋根部4に固定される固定部5と、該固定部5に回転自在に支持された回転軸6と、該回転軸6の周面に取り付けられた弓形の湾曲ブレードからなる3枚のダリウスロータ7と、複数枚の半円筒状体が組み合わされた上下一対のサポニウスロータ8とを有し、上記ダリウスロータ7およびサポニウスロータ8が屋外の自然風Aを捉えることにより、上記回転軸6を回転させる駆動力が得られるように構成されている。上記風車1の回転軸6は、その下方部分が建物の屋根部4を貫通して屋根裏部9内に導入されるとともに、上記回転軸6の下部には、駆動ギア10が固着されている。
【0019】
上記シーリングファン2は、図2に示すように、建物の天井部11に固定される固定部12と、該固定部12により回転自在に支持された駆動軸13と、該駆動軸13の下端部から放射状に突設された複数枚の回転羽根14とを有している。上記シーリングファン2の駆動軸13は、その上方部分が建物の天井部11を貫通して屋根裏部9内に導入されるとともに、上記駆動軸13には、従動ギア15が固着されている。
【0020】
上記駆動部3は、建物の天井部11に支持された風車1の回転軸6とシーリングファン2の駆動軸13との間に配設された中間軸16と、該中間軸16に沿って摺動可能に支持された中間ギア17とを有している。また、上記駆動部3には、図4に示すように、中間ギア17を中間軸16に沿って昇降変位させることにより、風車1の回転力をシーリングファン2に伝達する伝達状態と、上記回転力の伝達を遮断する遮断状態とに切り替える断続切替機構18が設けられている。
【0021】
上記断続切替機構18は、天井部11の上面に揺動可能に支持された揺動レバー19と、該揺動レバー19の前端部に設けられた上下一対のフォーク部20と、揺動レバー19の後端部に枢支されるとともに、下方部が天井部11の下方に導出された操作竿21とを有している。上記断続切替機構18のフォーク部20により中間ギア17を上下から拘束した状態で、上記操作竿21を昇降操作して揺動レバー19を揺動変位させることにより、上記中間ギア17を風車1の駆動ギア10およびシーリングファン2の従動ギア15にそれぞれ噛み合わせた下方の噛み合い位置と、上記従動ギア15に対する中間ギア17の噛み合いを解除した上方の噛み合い解除位置とに変位させ得るように構成されている。
【0022】
上記屋根部4の少なくとも南側面には、図5および図6に示すように、該屋根部4の上面(傾斜面)に沿って上下方向に延びるように並設された複数本の縦溝部22と、該縦溝部22の上端部を連結するように棟木方向に沿って設置された合流部23と、該合流部23から風車1に向けて延びる吹出部24とを備えた案内通路25が設けられている。そして、上記縦溝部22の下端開口から案内通路25内に導入された外気が、縦溝部22から合流部23を介して吹出部24に集められた状態で、上記サポニウスロータ8の右半部に吹き付けられることにより、風車1の回転が促進されるように構成されている(図2および図3参照)。
【0023】
上記縦溝部22は、鋼板材または銅板材等の熱伝導率の高い素材が折り曲げられる等により形成され、その底部の上面が黒色に着色されている。また、上記縦溝部22の上部には、複数の凸レンズ状部27が一定間隔で配設されたガラス製板材からなる集光レンズ体26が取り付けられている。上記集光レンズ体26の凸レンズ状部27により集光された太陽光Sが縦溝部22の底部上に焦点を結ぶように、縦溝部22の底部と上記集光レンズ体26との設置間隔Tが設定され、これにより太陽光Sのエネルギーで縦溝部22の内部が加熱されるようになっている。
【0024】
上記構成において、図4の実線で示すように、断続切替機構18の操作竿21を上方に押し上げて揺動レバー19の先端部を下降させ、上記フォーク部20により拘束された中間ギア17を中間軸16に沿って下降させることにより、図2の実線で示すように、風車1の駆動ギア10およびシーリングファン2の従動ギア15にそれぞれ噛み合わせた下方の噛み合い位置に中間ギア17を変位させることができる。この状態で、上記建物の屋根上を吹き抜ける自然風Aに応じて上記風車1を構成するダリウスロータ7およびサポニウスロータ8が回転駆動されると、その回転力が、風車1の回転軸6および駆動ギア10から上記駆動部3の中間ギア17を介してシーリングファン2の従動ギア15に伝達されるため、該シーリングファン2の駆動軸13および回転羽根14が回転駆動されて送風機能が発揮される。
【0025】
また、昼間時に太陽光Sが上記屋根部4に照射されると、該太陽光Sが上記集光レンズ体26の凸レンズ状部27により集光されて縦溝部22の底部上に焦点を結んで、該縦溝部22が加熱されて案内通路25の内部温度が上昇するため、これに応じて該案内通路25内に導入された外気の空気密度が低下することにより案内通路25内に上昇気流Bが発生する。そして、上昇気流Bが縦溝部22に沿って上方へ流動するとともに、該縦溝部22の下端開口部から新たな外気が連続的に導入される。
【0026】
上記上昇気流Bは、縦溝部22の上端開口部から合流部23内に導出されて高速の合流風Cとなり、該合流風Cが上記吹出部24から風車1のサポニウスロータ8に吹き付けられる。上記合流風Cによりサポニウスロータ8が駆動されて上記風車1の回転が促進されるため、該風車1の回転力が上記駆動部3の中間ギア17を介してシーリングファン2の従動ギア15に伝達され、該シーリングファン2の回転羽根14が効率よく回転駆動されることになる。
【0027】
上記のように屋外に取り付けられる風車1と、屋内に取り付けられるシーリングファン2とを設け、上記風車1の回転力を駆動部3によりシーリングファン2に伝達して該シーリングファン2を回転駆動するように構成したため、配線作業等を要することなく、上記自然空調装置を設置して充分な送風機能を発揮させることができる。したがって、室内温度が高くなる夏期には、電力を浪費することなく天井部11から床へ向けた気流により快適な涼感が得られるとともに、暖房が行われる冬期には天井部11の付近に溜まりがちな暖気と足元に溜まりがちな冷気とを対流させて上半身と下半身との間に不快な温度差が生じるのを効果的に防止できるという利点がある。
【0028】
すなわち、上記実施形態では、風車1を建物の屋根部4上に設置するとともに、建物の天井部11の下方にシーリングファン2を設置し、上記建物の屋根上を吹き抜ける自然風Aに応じて回転駆動される上記風車1の回転力を、建物の天井部11に設けられた上記駆動部3を介してシーリングファン2に伝達することにより、該シーリングファン2の回転羽根14を回転させるように構成したため、該回転羽根14を回転駆動する駆動モータを設けることなく、自然エネルギーを利用して送風機能を発揮させることができる。
【0029】
また、上記実施形態に示すように、風車1の回転力をシーリングファン2に伝達する伝達状態と、上記回転力の伝達を遮断する遮断状態とに切り替える断続切替機構18を上記駆動部3に設けた構造とすれば、居住者が上記自然空調装置の送風機能を発揮させる必要がないと判断した場合に、上記断続切替機構18を操作して風車1からシーリングファン2に対する回転力の伝達を遮断することができ、これによって室内の空気が不必要に掻き回されたり、強風の発生時にシーリングファン2が高速回転して大きな騒音が発生したりするのを効果的に防止できるという利点がある。
【0030】
なお、上記断続切替機構18の操作竿21を手動で操作して揺動レバー19の先端部を昇降変位させることにより、上記中間ギア17を風車1の駆動ギア10およびシーリングファン2の従動ギア15にそれぞれ噛み合わせた下方の噛み合い位置と、上記駆動ギア10に対する中間ギア17の噛み合いを解除した下方の噛み合い解除位置とに変位させ得るように構成した上記実施形態に代え、電動モータ、エアシリンダまたは油圧シリンダ等を駆動源とする昇降駆動機構により、上記中間ギア17を中間軸16に沿って昇降変位させることにより、上記風車1からシーリングファン2に対する動力の伝達を断続するように構成してもよい。
【0031】
また、上記中間軸16および中間ギア17を省略し、風車1の回転軸6と、シーリングファン2の駆動軸13とを相対向させて設置するとともに、該回転軸6と駆動軸13との間に動力の伝達を断続するクラッチ機構からなる断続切替機構を配設した構造としてもよい。さらに、上記風車1の回転軸6とシーリングファン2の駆動軸13とを直結することにより、上記風車1からシーリングファン2に対して回転力が常に伝達されるように構成してもよい。
【0032】
上記実施形態では、外気を上記風車1の設置部に向けて案内する案内通路25と、該案内通路25の内部を太陽光のエネルギーで加熱する集光レンズ体26とを設けた構造としたため、該集光レンズ体26に照射される太陽光Sのエネルギーに応じて上記案内通路25の内部温度を上昇させることにより上昇気流Bを発生させ、該上昇気流Bを利用して上記風車1の回転を促進することができる。したがって、該風車1の回転力を上記駆動部3によりシーリングファン2に伝達し、該シーリングファン2の回転羽根14を高速で回転させることができ、外気温が高くなるのに対応させて天井部11から床に強い気流を生じさせることにより、室内の快適性を効果的に向上させることができる。
【0033】
なお、上記構成に代えて、図7に示すように、上記案内通路25を構成する縦溝部22の下端開口部を開閉する開閉蓋28と、上記吹出部24の上端開口部を開閉する開閉蓋29と、該開閉蓋28,29を開閉駆動する手動駆動レバーまたは電動駆動機構等からなる駆動手段(図示せず)とを有する流動切替機構30を案内通路25に設け、該流動切替機構30により案内通路25を開閉してその内部を空気が流動するのを許容する流動許容状態と、該空気の流動を遮断する流動遮断状態とに切り替え得るように構成してもよい。
【0034】
このように構成した場合には、上記太陽光Sのエネルギーを得ることができない雨天時または夜間時等に、上記流動切替機構30により上記案内通路25を閉止して空気の流動を遮断する流動遮断状態とすることにより(図6の仮想線参照)、該案内通路25を空気が封入された空気された断熱層として利用することができる。このため、外気温度の高い夏期に、屋根部4を介して外気の熱が屋内に侵入したり、外気温度の低い夏期に、屋内の熱が屋根部4を介して屋外に放熱されて室内温度が低下したりすることを効果的に防止できるという利点がある。
【0035】
しかも、暖房を必要とする冬季には、上記流動切替機構30の開閉蓋28,29により案内通路25を閉止して空気の流動を遮断する流動遮断状態とすれば、昼間に上記屋根部4に照射された太陽光Sを上記集光レンズ体26の凸レンズ状部27により集光し、案内通路25の縦溝部22を加熱して案内通路25の内部温度を上昇させることができるとともに、加熱された空気を案内通路25内に封じ込めることにより該案内通路25を夜間の暖房源として利用することも可能である。
【0036】
また、図8および図9に示すように、上記風車1の回転力に応じて駆動される発電機31を屋根裏部9に配設するとともに、該屋根裏部9に配設された駆動部3に、風車1の回転力を発電機31または上記シーリングファン2の一方に選択的に伝達する選択伝達機構32を設けた構造としもよい。該選択伝達機構32は、上記断続切替機構18と同様に、天井部11の上面に揺動可能に支持された揺動レバー33と、該揺動レバー33の前端部に設けられた上下一対のフォーク部34と、上記揺動レバー33の後端部に枢支されるとともに、下方部が天井部11の下方に導出された操作竿35とを有している。
【0037】
上記風車1の回転軸6とシーリングファン2の駆動軸13との間に配設された中間軸16に沿って昇降自在に支持された中間ギア17の上下に、上記選択伝達機構32のフォーク部34を配設して中間ギア17を拘束した状態で、上記操作竿35を昇降操作して揺動レバー33を揺動変位させることにより、上記中間ギア17を風車1の駆動ギア10およびシーリングファン2の従動ギア15にそれぞれ噛み合わせた下方のファン駆動位置(図8の仮想線参照)と、上記中間ギア17を風車1の駆動ギア10および発電機31の駆動軸に固定された従動ギア36にそれぞれ噛み合わせた上方の発電機駆動位置(図8の実線参照)とに変位させ得るように構成されている。
【0038】
上記構成において、選択伝達機構32の操作竿35を押し上げて揺動レバー33の先端部を下降させるように揺動変位させることにより、上記フォーク部34により拘束された中間ギア17を中間軸16に沿って下方に移動させれば、風車1の駆動ギア10およびシーリングファン2の従動ギア15に中間ギア17をそれぞれ噛み合わせた下方のファン駆動位置に変位させることができる。これにより、上記建物の屋根上を吹き抜ける自然風Aに応じて回転駆動される上記風車1の回転力が、風車1の回転軸6および駆動ギア10から上記駆動部3の中間ギア17を介してシーリングファン2の従動ギア15に伝達され、上記駆動軸13および回転羽根14が回転駆動されて送風機能が発揮される。
【0039】
また、居住者が出かける際等に、上記選択伝達機構32の操作竿35を下方に引っ張り、揺動レバー33を揺動変位させて上記中間ギア17を中間軸16に沿って上昇させることにより、風車1の駆動ギア10および発電機31の従動ギア15に中間ギア17をそれぞれ噛み合わせた上方の発電機駆動位置に変位させれば、上記風車1からシーリングファン2に対する回転力の伝達を遮断してシーリングファン2の回転を停止させることができるとともに、風車1の回転力を上記発電機31に伝達して発電を行わせることにより、その有効利用を図ることができる。
【0040】
なお、上記下方のファン駆動位置と上方の発電機駆動位置との間に、上記中間ギア17をシーリングファン2の従動ギア15および発電機31の従動ギア36の何れにも噛み合わせない中間の噛み合い解除位置を設けた構造としてもよい。このように構成した場合には、強風の発生時等に、上記中間ギア17をシーリングファン2の従動ギア15および発電機31の従動ギア36の何れにも噛み合わせない中間の噛み合い解除位置に変位させることにより、風車1の回転力がシーリングファン2および発電機31の何れにも伝達されることがない遮断状態とすれば、該シーリングファン2および発電機31に過大な駆動力が入力されてこれらが損傷すること等を確実に防止できるという利点がある。
【0041】
また、上記実施形態では、ダリウスロータ7およびサポニウスロータ8を有する風車1を屋根部4に設置した例について説明したが、これに限らず、通常のプロペラ型風車またはガイドベーン付クロスフロー型風車を用いたり、あるいはこれらを組み合わせたりすることも可能である。さらに、本発明に係る自然空調装置は、通常の家屋に限られず、オフィスビル、工場またはビニールハウス等についても適用可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0042】
1 風車
2 シーリングファン
3 駆動部
18 断続切替機構
25 案内通路
26 集光レンズ体
30 流動切替機構
32 選択伝達機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋外に取り付けられる風車と、屋内に取り付けられるシーリングファンと、上記風車の回転力をシーリングファンに伝達して該シーリングファンを回転駆動する駆動部とを備えたことを特徴とする自然空調装置。
【請求項2】
上記駆動部に、風車の回転力をシーリングファンに伝達する伝達状態と、該回転力の伝達を遮断する遮断状態とに切り替える断続切替機構を備えたことを特徴とする請求項1に記載の自然空調装置。
【請求項3】
外気を上記風車の設置部に向けて案内する案内通路と、該案内通路の内部を太陽光の熱エネルギーで加熱する集光レンズ体とを備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の自然空調装置。
【請求項4】
上記案内通路を開閉してその内部を空気が流動するのを許容する流動許容状態と、該空気の流動を遮断する流動遮断状態とに切り替える流動切替機構を備えたことを特徴とする請求項3に記載の自然空調装置。
【請求項5】
上記風車の回転力に応じて駆動される発電機を備えるとともに、上記駆動部に、風車の回転力を発電機または上記シーリングファンの一方に選択的に伝達する選択伝達機構が設けられたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の自然空調装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−88054(P2013−88054A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229705(P2011−229705)
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(591168415)東洋セラミックス株式会社 (2)
【Fターム(参考)】