説明

自由に動く平坦な物体を収納するための方法及び装置

自由に動く、郵便物などの平坦な物体(2)を下方の収納室(3)内に収納するための方法であって、収納室では、その平坦な物体の平らな側面に対する平面の置き場所として、運動方向に対して傾斜した壁面(4)を使用する方法を記載している。この場合、物体が下方の収納室内に入った時に物体に角運動量を導入して、壁面と平坦な物体の平らな側面間の衝突角を最小化させるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、請求項1及び6の上位概念にもとづく、自由落下する平坦な物体を収納するための方法及びそれに適した収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
大きさ及び表面が異なる平坦な物体、特に発送物は、個々にポケットから、その下に有るコンテナ内に収納され、その場合ポケットとコンテナは、互いに異なる速度で動いている。この場合、速度を零とすることもできる。物体は、一つ以上の縁の向きを揃えて収納される。この向きを揃えることは、機械的な再処理と次の仕分けプロセスの両方、並びにそれらと関連した次の配達人による手動での取扱いに関する必要条件である。
【0003】
自由落下する平坦な物体は、下方の収納室内に収納し(大抵の場合、物体は、重力のために、その(平坦な)長辺をほぼ垂直方向に向けて落ちて行く)、収納室では、平坦な物体の平らな側面に対する平面の置き場所として、垂直方向に対して傾斜した壁面を用いなければならない場合、以下の問題が生じる。
【0004】
一方において、発送物の落下方向に対して前方の(下方のより薄い)縁が傾斜した壁面と衝突する可能性が有り、その結果発送物の平坦な側面と壁面間の衝突角が大き過ぎることとなる。それによって、発送物が、破損又は押し潰される可能性が有る。この影響は、発送物の形状又は重量が大きくなる程増大する。複数頁の雑誌の場合、例えば、数頁が特別な損傷を被る可能性が有る。
【0005】
更に、同様に望ましくはないが、多くの場合避けられない発送物と壁面間の摩擦を考慮しなければならず、その摩擦は、収納室内において、発送物を誤った向きに向けてしまう可能性が有る。収納室が発送物で詰まった場合、更に到着する発送物に対して劇的な状況となる可能性が有る。
【0006】
特許文献1には、配達の順番に関して、発送物の仕分け用収納/制御部品の数を低減することを可能とする、平坦な発送物を順序正しく並べるための装置及び方法が記載されている。その場合、自由落下する平坦な物体は、重力のために、ほぼ垂直方向に落ちて行き、下方の収納室内に収納され、そこでは、垂直方向に対して傾斜した底部が、平坦な物体の平らな側面に対する平面の置き場所として用いられている。
【特許文献1】ドイツ特許公開第19943362号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上のことから、この発明の課題は、自由に動く平坦な物体の下方の傾斜した収納室への引き渡しを最適化することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、請求項1及び6に提示された措置によって解決される。この発明の有利な実施形態は、別の請求項に提示されている。
【0009】
この発明では、例えば、上方の第一の収納室から、運動方向又は垂直方向に対して傾斜した壁面を平坦な物体の平らな側面に対する平面の置き場所として用いる下方の第二の収納室に、自由に動く、有利には自由落下する平坦な物体を収納するための方法を出発点として、第二の収納室に入った時に、平坦な物体に角運動量を付与して、壁面と平坦な物体の平らな側面間の衝突角を最小化させるものである。
【0010】
この場合、角運動量の導入は、例えば、落下する発送物の平坦な側面の中心から外れた領域を突いて、平坦な側面に垂直方向に対して相応の回転を与える方向転換器を用いて、特に簡単な手法で行うことができる。別に記載した収納装置の特徴により明確に提示した別の手段も、同様に使用することができる。
【0011】
しかし、有利には、この発明による方法は、垂直方向に自由落下する平坦な発送物に限定されるものではなく、「落下方向」が(重力の意味において)垂直ではない発送物に対しても使用することができる。言い換えると、この運動方向に対して傾斜した壁面上に収納する前に、本来垂直でない運動量を持っていた発送物に、前述した角運動量を追加導入することができる。
【0012】
導入する角運動量の強さは、平坦な発送物又はその(形状が小、中又は大による)部類の質量慣性運動量と下方の収納室の幾何学的な特性に従って簡単に設定することができる。
【0013】
角運動量を導入する時点は、何れの場合においても、自由落下する平坦な物体の下方の縁が傾斜した壁面と急角度で衝突するのを防止するように選定すべきである。発送物の平らな側面の第一の(下)半分が第二の収納室内に既に入ったことにもとづく別の時間的な判断基準を、角運動量を導入するために用いることもできる。
【0014】
大抵の場合、発送物は、運搬軌道に吊り下げられた上方のカセットから放出される。即ち、発送物は、その垂直落下方向に加えて、例えば、発送物の上方領域が巡回しているカセットの先端開口部にぶつかったために、水平の運動成分又は角運動量を受ける可能性が有る。従って、この発明によって、落下する発送物が傾斜した壁面を持つ下方の、例えば固定された収納室内に更に入った時に、その本来の運動特性を効果的に補正することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下において、この発明を図面にもとづき実施例により詳しく説明する。
【0016】
図1は、ここでは自由落下する平坦な発送物2を下方の収納室5内に収納し、その収納室では、垂直方向に対して傾斜した壁面4を発送物2の平らな側面に対する目的とする平面の置き場所として用いる方法の四つの工程を時間順に(左から右に)図示している。
【0017】
例えば、平坦な発送物2は、その平らな側面に対して垂直方向を向いた上方のカセット1から下方に落下し、このカセットは、複数の同じカセットが並んで配置された(ここでは左方向に動く)運搬軌道の一部となっている。カセット1の下方の先端開口部のタイミングは、大抵の場合カセット1に関する予め設定する基準として運搬軌道に伝えられている。光学的な試験信号などの別の制御手段が、この設定基準のタイミングを精確に制御することができ、その結果カセット1は、所定の時間間隔又は下方の収納室3の入口領域の上で開かれることとなる。この場合、下方の収納室3を、第一の運搬軌道の下に有る第二の運搬軌道の一部とすることも可能である。
【0018】
収納室3の下方領域に有るフラップ6は、発送物2の下方の(薄い)縁の向きを揃える手段又は収納室3の閉鎖手段として使用される。このフラップ6が開いている場合、発送物は、更に下に、例えば、同じくキャリッジ11により(ここでは水平方向に右に動いている)第三の運搬軌道に固定することが可能な第三のコンテナ10内に落ちて行く。この場合、そうすることにより「中間の」収納室3内に収納された発送物のスタック12が、第三のコンテナ10の中の一つ内に選択的に形成される。その場合、発送物の縁と平らな側面は、第三のコンテナ10の底部と側壁で向きを揃えられることとなる。更に、スタック12の向きを正しく揃えることは、巡回するキャリッジの垂直又は水平方向に対する特別な位置決め/動きによって達成すことができる。
【0019】
ここで、この発明による装置に関して、平坦な発送物2が下方の収納室に入った時に、一定の手段5(ここでは回転アーム)が、平坦な発送物2の平らな縁に角運動量を加えて、傾斜した壁面4と発送物2の平らな側面間の衝突角が最小となるようにしている。回転アーム又は方向転換器5の回転軸は、傾斜した壁面4に対して、かつ出来る限り平らな側面に対して平行とする。装置を単純化するために、図1では、方向転換器5の回転軸は、フラップ6と同じ軸で構成されている。回転可能な方向転換器5の上方側面部は、折れ曲がった又は首が曲がった接触面を有し、その面によって、発送物2に対する突きを行う。この折れ曲げ又は首の曲げにより、突いた際の圧力分布を改善することが可能となり、その結果発送物は破損されなくなる。そうすることによって、同様に角運動量を発送物の一部領域に渡って分布させて効果的に伝えることが保証される。更に、複数の回転アームを回転軸に並んで配置して取り付けることもでき、それらにより、様々な強さの角運動量を導入すことが可能となる。
【0020】
図1における発送物2の左の第一の図面は、カセット1から下方の収納室3への発送物2の放出及びその後の下方の収納室3の通過状況を図示している。この場合、回転アーム5は、発送物から離れて保持されている。光源9と受信部8(又は光を光源9に戻すためのミラー8、その場合光源は受信部を備えている)によるフォトアイソレーターは、収納室3の上方の入口領域で光線を発生させる。そうすることによって、発送物2が収納室3に入ったことが分かる。特に、方向転換器5(発送物2の左から二番目の図面参照)は、発送物2の落下方向に対して下方の縁が傾斜した壁面4と衝突する前に、発送物2の平らな側面の上半分の領域に突きを加える。そうすることによって、発送物2に角運動量が導入され、その結果発送物2の平らな側面が、その回転軸の周りで傾けられて、傾斜した壁面4に沿うようになり、これら両方の間の急角度での着地が起こらなくなる(発送物2の左から三番目の図面参照)。右から最初の図面には、傾斜した壁面4上での発送物2の最終位置が図示されており、この位置は、同じく発送物2の傾斜した壁面4との衝突姿勢とすべきである。
【0021】
図1は、発送物2に角運動量を導入するための手段として、接触面を持つ回転アーム5を図示している。しかし、以下の通り、その他の多くの手段が考えられる。
【0022】
・接触面を、図1による実施例で発送物の下半分が入った後に平坦な発送物2の上半分の一部を横方向に水平に突く、回転アームの代わりのスライド可能な衝突部材の一部とすることができる。任意選択として、接触面を、リングの円筒形外被として、発送物2の平らな側面との摩擦による回転で発送物2の落下方向を変えて、傾斜した壁面4に適合させることもできる。同じく、このようなリングは、その回転軸を回転アーム又はスライド可能な部材上に取り付けて、回転する接触面として使用すことができる。
【0023】
・同様に回転アーム5の代わりに、非接触式引込み機器及び/又は非接触式押出し機器を使用すことができる。この場合、引込み機器及び押出し機器を吸引機及び送風機とすることができる。例えば、送風機は、下方の収納室の上方領域から下方領域への空気の流れを発生させることができる。平らな傾斜した側面4に沿った、その近くの空気の流れは、同様に回転手段として使用することができ、発送物がちょうど壁面4上に来た時にその空気の流れを停止するものとするが、機械的な接触手段と比べた速度の理由から最適なものではない。
【0024】
・代替策は、引込み機器及び押出し機器として、静電気を荷電された部材を使用することによって実現することができる。平らな傾斜した側面4及び収納室3の向かい側に有る位置を、正及び負の荷電電圧と接続することができる。そうすることによって、例えば、平坦な紙又はプラスチックの発送物を、例えば、正の電荷の方に近付けることにより、収納室3の傾斜した部分(即ち、壁面4)の方向に向けることができる。しかし、フラップ6が開いて、収納室3内に静電気の電荷が残留している場合、発送物2の下方への滑りが妨害される可能性が有るので、収納室3から下方のコンテナ10へ更に通過させることが問題となる場合が有る。その場合に生成すべき引き付ける力又は引き離す力を、同様に発送物の特性(材質、形状、重量)に依存するようにしており、それ故この解決策は、前述したものよりも実現するのに負担がかかるものとなる。
【0025】
図2は、異なる形状の発送物を収納する際の角運動量の二つの導入形態を図示している。左に図示された二つの発送物21,22は、同じであり、縦長の平らな側面を有する。右に図示された二つの発送物23,24も、同様に同じであり、二つの第一の発送物21,22よりも短い(及び下方の縁の厚さがより大きい)平らな側面を有する。両方の場合、少なくとも発送物が収納室3の上方領域に入ったことが、フォトアイソレーターLS1,LS2,Ls3,LS4によって監視されている。
【0026】
第一の縦長の発送物21がフォトアイソレーターLS1に入る前には、回転アーム51は、引き戻された位置に留まって、収納室3の上方の入口が、発送物を広範囲に受け入れるために漏斗形状に形成されている。
【0027】
その側面が長く、そのため発送物21の傾斜した壁面4との急角度での、或いは大きな摩擦を伴っての衝突が起こらないようにするために、第一の発送物21は、それがフォトアイソレーターLS1を完全に通過する前に傾けられなければならない。その状況は、第二の縦長の発送物22に関して図示されており、回転アーム52が、角運動量を導入するための位置で発送物22を突いた時には、その上方の部分は、未だフォトアイソレーターLS2内に有る。回転アーム51,52を「用心深く」作動させるための判断基準として、平坦な発送物の典型的な最大長と関連して収納室3の大きさを考慮する。フォトアイソレーターLS1,LS2が、限界継続時間の間遮断されたままであった場合、縦長の発送物が検出されて、衝突前の十分早期に角運動量の導入が作動される。その場合、回転アーム51,52が、発送物21,22の平らな側面の上半分を突く。
【0028】
図示した個別のフォトアイソレーターに加えて、例えば、カセット1と下方の収納室3の入口間の領域に、更なるフォトアイソレーターを使用することも可能である。それは、より負担がかかるが、自由落下する発送物の位置と形状に関するより精確な情報を提供する。しかしながら、発送物の形状は、事前の方法により検出して、引き渡す際に提供することができる。その場合、フォトアイソレーターは、トリガーとして使用することができ、発送物の既知のパラメータに対応して、試験フェーズで経験的に最適化した角運動量を導入する時点が決定される。
【0029】
平らな側面がより短い二つの発送物23,24に関する右の別の図面は、左の二つの第一の図面と同様に、発送物23の下方部分がフォトアイソレーターLS3に入る時とそれに続いて同じ発送物24の上方部分が出る時を図示している。この場合、発送物23,24の平らな側面は小さいが、それでもフォトアイソレーターLS3,LS4の作動され、再び作動停止される光学的な信号が、傾斜した壁面4との衝突前に間違いなく、かつ限界継続時間を予め設定しなくとも、回転アームを作動制御するのに十分である。以上の通り、角運動量を自律的に起動して、発送物に伝えるものである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】この発明により発送物を傾斜したコンテナ内に収納する方法の主要工程
【図2】異なる形状の発送物の収納方法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自由落下する平坦な物体(2)を下方の収納室(3)内に収納するための方法であって、その平坦な物体の平らな側面に対する平面の置き場所として、収納室(3)の垂直方向に対して傾斜した壁面(4)を使用する方法において、
平坦な物体が下方の収納室(3)内に入った時に平坦な物体(2)に角運動量を導入して、壁面(4)と平坦な物体(2)の平らな側面間の衝突角を最小化させることを特徴とする方法。
【請求項2】
当該の角運動量の強度を、平坦な物体の質量慣性運動量と下方の収納室の幾何学的な特性に従って設定することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
当該の角運動量を導入する時点を、自由落下する平坦な物体の下方の縁が傾斜した壁面と衝突する前に選定することを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
当該の角運動量の導入を、光学的な制御信号を用いて制御することを特徴とする請求項1から3までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
当該の物体が、その平らな側面に対して垂直方向を向いた、運搬軌道の一部である上方のカセット(1)から下に落下し、
下方の収納室(3)が、第一の運搬軌道に対して下に有る第二の運搬軌道の一部であり、
その物体が、そこから更に下に、例えば、同じく第三の運搬軌道に固定することができる第三のコンテナ(10)内に落下することを特徴とする請求項1から4までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
自由落下する平坦な物体(2)を下方の収納室(3)内に収納するための装置であって、収納室(3)が、平坦な物体(2)の平らな側面に対する平面の置き場所として、垂直方向に対して傾斜した壁面(4)を備えている装置において、
平坦な物体(2)が下方の収納室(3)内に入った時に、一定の手段(5)が、平坦な物体(2)の平らな側面に角運動量を加えて、傾斜した壁面(4)と平坦な物体(2)の平らな側面間の衝突角を最小化させることを特徴とする装置。
【請求項7】
当該の手段(5)は、平坦な物体が壁面と衝突する前に、平坦な物体の平らな側面の上半分の領域を突く接触面を有することを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
当該の接触面が、回転可能なアームの一部であることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
当該の接触面が、スライド可能な衝突部材の一部であることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項10】
当該の手段(5)が、非接触式引込み機器及び/又は押出し機器であることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項11】
当該の引込み機器と押出し機器が、吸引機と送風機であることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
当該の送風機が、下方の収納室の上方領域から下方領域への空気の流れを生成することを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
当該の引込み機器と押出し機器が、静電気を荷電された部材であることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項14】
当該の収納室の上方領域の入口部分が、一つ以上のフォトアイソレーター(8,9)を備えていることを特徴とする請求項6から12までのいずれか一つに記載の装置。
【請求項15】
当該の収納室の上方領域の入口部分が、漏斗形状に形成されることを特徴とする請求項6から12までのいずれか一つに記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−504197(P2008−504197A)
【公表日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−535940(P2007−535940)
【出願日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際出願番号】PCT/EP2006/006303
【国際公開番号】WO2007/003335
【国際公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【出願人】(591209109)シーメンス アクチェンゲゼルシャフト (29)
【氏名又は名称原語表記】SIEMENS AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】