説明

自発光表示装置及び自発光表示方法

【課題】ユーザに違和感を与えることなく、かつ低消費電力化及び焼き付き防止を図ることができる自発光表示装置及び自発光表示方法を提供すること。
【解決手段】自発光表示装置111は、自発光ディスプレイ110の表示画面に違和感を与えない、なだらかな輝度レベルの起伏を有する輝度傾斜パターンA,Bを記憶する輝度傾斜パターン記憶部120と、輝度傾斜パターン記憶部120に記憶された輝度傾斜パターンA,Bを、外部から入力されたON/OFF信号に従って切り替え、切り替えた輝度傾斜パターンを画像処理部122に出力するパターン設定部121とを備え、画像処理部122は、パターン設定部121により指示された輝度傾斜パターンに基づいて入力画像信号に対して輝度傾斜補正を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL(Organic Electro-Luminescence)ディスプレイなどの自発光表示装置及び自発光表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ELディスプレイは自発光表示装置であるため、視野角が広く、応答速度が速い。また、バックライトが不要であるため、薄型軽量化が可能である。これらの理由から、近年、ELディスプレイは、液晶表示装置に代わるフラットディスプレイとして注目されている。
【0003】
ELディスプレイは、EL素子の発光特性が発光時間の経過に伴って劣化し、同じ入力電流によって得られる輝度が徐々に低下する。このため、例えば画面の一定位置に同一の表示がなされる場合には、特定の画素の発光頻度のみが高くなるため、これらの画素は他の画素に比べて発光特性が著しく劣化し、焼付きが発生する問題がある。
【0004】
図28は、ELディスプレイを有する携帯電話機の表示画面を示す図である。図28に示すように、携帯電話機は、表示画面の上部に電池,アンテナ,時刻などのアイコンが表示され、表示画面の下部に各種ソフトキーが表示される。
【0005】
自発光素子である有機ELは発光すればするほど、材料劣化などにより焼き付きが生じる。電池,アンテナなどアイコン及びソフトキーなどの表示時間が長い固定パターン部において、焼き付きが顕著に発生しやすい。
【0006】
特許文献1には、輝度制御する範囲を設定し、その範囲において輝度レベルを制御するELディスプレイの表示装置が記載されている。特許文献1記載の装置は、ディスプレイの画像表示位置に応じたゲイン制御に加え、入力画像信号の輝度レベルにも応じたゲイン制御を行う。
【0007】
特許文献2には、画面平均輝度をベースに中心輝度よりも周囲輝度を低下させるPDP(Plasma Display Panel)を備える映像表示装置が記載されている。特許文献2記載の装置は、消費電力や平均輝度レベルが設定値を超えた場合に輝度変調回路を動作させる。
【0008】
特許文献3には、画面の高輝度静止画部分を検出し、検出部分のみの輝度を低下するCRTの焼き付き防止装置が記載されている。
【特許文献1】特開2006−243435号公報
【特許文献2】特開2005−321664号公報
【特許文献3】特開2005−351442号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1記載の装置は、画面端の輝度低下と画面周辺部の焼付きを改善するものの、低消費電力を図るものではない。
【0010】
特許文献2記載の表示装置は、PDP表示部の破損防止と消費電力を低減する装置であって、EL等の自発光表示装置とは構造及び駆動方式が全く異なる。また、特許文献3は、CRTの焼き付き防止装置であり、EL等の自発光表示装置とは構造及び駆動方式が全く異なることに加え、低消費電力を図るものではない。
【0011】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、ユーザに違和感を与えることなく、かつ低消費電力化及び焼き付き防止を図ることができる自発光表示装置及び自発光表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の自発光表示装置は、自発光ディスプレイと、前記自発光ディスプレイの表示画面に違和感を与えない、なだらかな輝度レベルの起伏を有する輝度傾斜パターンを複数記憶する輝度傾斜パターン記憶手段と、前記輝度傾斜パターン記憶手段に記憶された複数の輝度傾斜パターンの中から、使用する輝度傾斜パターンを設定するパターン設定手段と、前記パターン設定部により設定された輝度傾斜パターンに基づいて入力画像信号に対して輝度傾斜補正を行う画像処理手段と、を備える構成を採る。
【0013】
本発明の自発光表示方法は、自発光ディスプレイの表示画面に違和感を与えない、なだらかな輝度レベルの起伏を有する輝度傾斜パターンを予め複数記憶するステップと、前記複数の輝度傾斜パターンの中から、使用する輝度傾斜パターンを設定するステップと、前記設定された輝度傾斜パターンに基づいて入力画像信号に対して輝度傾斜補正を行うステップとを有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ユーザに違和感を与えることなく、かつ低消費電力化及び焼き付き防止を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る自発光表示装置を備える携帯端末装置の構成を示すブロック図である。本実施の形態は、自発光表示装置として有機ELディスプレイを備える携帯電話機/PHS(Personal Handy-Phone System)を適用した例である。また、携帯電話機のほか、PDA(Personal Digital Assistants:携帯情報端末)、携帯ゲーム機などの携帯機器に適用できる。
【0017】
図1に示すように、携帯電話機100は、アンテナ101、無線送受信部102、送受話回路103、送受話器104、操作部105、撮像装置106、背面撮像装置107、表示装置108、自発光表示制御装置109、自発光ディスプレイ110、メモリ112、及び制御部113を備えて構成される。上記自発光表示制御装置109及び自発光ディスプレイ110は、自発光表示装置111を構成する。
【0018】
自発光表示制御装置109は、自発光ディスプレイ110の表示画面に違和感を与えることなく、かつ低消費電力化及び焼き付き防止を図る自発光表示制御を行う。自発光表示制御装置109の詳細については、後述する。
【0019】
自発光ディスプレイ110は、例えば有機ELディスプレイである。ここでは、自発光ディスプレイ110は、携帯電話機100の主表示装置として用いている。携帯電話機100の背面表示装置としては、LCDディスプレイ等からなる表示装置108であるが、表示装置108が自発光ディスプレイ、又は共に自発光ディスプレイであってもよい。また、自発光ディスプレイ110は、携帯端末の場合は、軽量化・薄型化の観点からELディスプレイが適しているが自発光ディスプレイであればよく、例えばPDP(Plasma Display Panel)であってもよい。
【0020】
制御部113は、CPU等により構成され、携帯電話機100全体の制御を行うとともに、自発光表示装置111の表示制御を行う。制御部113は、自発光ディスプレイ110に表示する画像データを入力画像信号として出力する。制御部113は、自発光表示制御装置109に対し、輝度傾斜パターンの切り替えを指示する切替信号を出力する。この切替信号は、例えば携帯電話機100の電源ON/OFF、折畳み型携帯電話機の開閉信号である。また、制御部113は、携帯電話機100のアプリケーションを実行する。アプリケーションは、ゲームやブラウザなどのアプリケーションソフトのみならず、携帯電話機100の携帯機器制御ソフト(電源ON/OFF、表示装置ON/OFF、横画面/縦画面使用など)を含む。
【0021】
図2は、上記自発光表示制御装置109の構成を示すブロック図である。
【0022】
図2に示すように、自発光表示制御装置109は、輝度傾斜パターン記憶部120と、パターン設定部121と、画像処理部122とから構成される。
【0023】
輝度傾斜パターン記憶部120は、自発光ディスプレイ110の表示画面に違和感を与えない、なだらかな輝度レベルの起伏を有する輝度傾斜パターンを複数記憶する。複数の輝度傾斜パターンの詳細については、実施の形態2により後述する。
【0024】
パターン設定部121は、輝度傾斜パターン記憶部120に記憶された複数の輝度傾斜パターンの中から、画像処理部122に渡す輝度傾斜パターンを設定する。本実施の形態では、パターン設定部121は、輝度傾斜パターン記憶部120に記憶された輝度傾斜パターンを、外部から入力されたON/OFF信号に従って切り替え、切り替えた輝度傾斜パターンを画像処理部122に出力する。
【0025】
画像処理部122は、パターン設定部121により指示された輝度傾斜パターンに基づいて入力画像信号に対して輝度傾斜補正を行う。
【0026】
ここで、本実施の形態では、パターン設定部121は、輝度傾斜パターン記憶部120に記憶された輝度傾斜パターンを、ON/OFF信号により、例えば交互に切り替えるだけである。したがって、マイクロプロセッサ等を用いた高機能制御ブロック又は電子回路ブロックである必要はない。具体的には、パターン設定部121は、輝度傾斜パターン記憶部120に記憶された輝度傾斜パターンにフラグを立てる、また2入力1出力のトグルスイッチなどを用いて簡単に構成することができる。
【0027】
以下、上述のように構成された自発光表示装置111の動作について説明する。
【0028】
まず、本発明の基本的な考え方について説明する。
【0029】
図3は、有機ELディスプレイとLCDディスプレイの画面平均輝度と消費電力との関係を示す図である。
【0030】
図3に示すように、LCDディスプレイは、画面平均輝度に対して消費電力は略一定である。これに対して自発光素子である有機ELディスプレイは、発光する明るさが明るいほど消費電力が増加していく。言い換えれば、有機ELディスプレイは、明るさ感を保ったまま画面を暗くすることができれば、低消費電力化につなげることができる。
【0031】
本発明者は、表示画面に違和感を与えることのない程度で、画像周辺部の輝度が画像中央部の輝度より徐々に低くなる輝度傾斜パターンと、その逆の輝度傾斜パターンとを設け、これらのパターンを所定タイミングで切り替えて用いることに想到した。ユーザに違和感を与えることなく、平均輝度レベルを下げることにより低消費電力化を図ることができる。また、複数パターンを所定タイミングで切り替えて用いることで、画像周辺部などの特定部分の焼き付きを防止することができる。また、平均輝度レベルが下がることによって、焼き付き防止効果をより一層高めることができる。
【0032】
[表示画面と輝度傾斜パターンとの関係]
図4乃至図6は、表示画面と輝度傾斜パターンとの関係を示す図である。
【0033】
図4に示すように、自発光ディスプレイ110の表示画面において、横幅方向をA−A’とし、縦幅方向をB−B’とする。本実施の形態は、自発光ディスプレイ110は、携帯電話機100の主表示装置として用いた場合の例である。このため、図4の表示画面Aが、携帯電話機100の主表示画面の上部となり、図4の表示画面A’が、携帯電話機100の主表示画面の下部となる。この主表示画面の上部及び下部は、図28の携帯電話画面のレイアウト例に示すように、電池、アンテナなどのアイコンや、ソフトキーなどの表示時間が長い固定パターン部が表示される部分であり、焼き付きが顕著に発生しやすい箇所である。これに対して、図4の表示画面B−B’は、固定パターン部の表示がなく焼き付きがそれ程顕著に発生しない部分である。なお、図4乃至図6は、一例である。
【0034】
図5は、輝度傾斜パターンAを示す図であり、図5(a)は図4の表示画面A−A’の方向で見た場合の輝度レベル、図5(b)は図4の表示画面B−B’の方向で見た場合の輝度レベルを示す。また、図5(a)の破線は、輝度傾斜パターンAがない場合の輝度レベルを示す。
【0035】
図5(a)に示すように、輝度傾斜パターンAは、表示画面に違和感を与えないレベルで、画像周辺部の輝度が画像中央部の輝度よりなだらかに低くなる起伏を持つパターンである。輝度傾斜パターンAの平均輝度レベルは、輝度傾斜パターンAがない場合の輝度レベル(図5(a)破線参照)に比べて低い。画像中央部が画像周辺部と比較して輝度が高くなるような起伏パターンを、正極性の輝度傾斜パターンと呼ぶ。
【0036】
一方、図5(b)に示すように、輝度傾斜パターンAは、図4の表示画面B−B’の方向で見た場合には起伏パターンはなく、輝度レベルは一定である。
【0037】
図6は、輝度傾斜パターンBを示す図であり、図6(a)は図4の表示画面A−A’の方向で見た場合の輝度レベル、図6(b)は図4の表示画面B−B’の方向で見た場合の輝度レベルを示す。また、図6(a)の破線は、輝度傾斜パターンBがない場合の輝度レベルを示す。
【0038】
図6(a)に示すように、輝度傾斜パターンAは、表示画面に違和感を与えないレベルで、画像中央部の輝度が画像周辺部の輝度よりなだらかに低くなる起伏を持つパターンである。輝度傾斜パターンBの平均輝度レベルは、輝度傾斜パターンBがない場合の輝度レベル(図6(a)破線参照)に比べて低い。画像周辺部が画像中央部と比較して輝度が高くなるような起伏パターンを、負極性の輝度傾斜パターンと呼ぶ。
【0039】
一方、図6(b)に示すように、輝度傾斜パターンBは、図4の表示画面B−B’の方向で見た場合には起伏パターンはなく、輝度レベルは一定である。
【0040】
このように、輝度傾斜パターンAと輝度傾斜パターンBは、図4の表示画面A−A’の方向で見た場合に、起伏パターンが逆となっている。輝度傾斜パターンAと輝度傾斜パターンBの輝度レベルの低下の度合いは相補的である。すなわち、輝度傾斜パターンAと輝度傾斜パターンBとは、線対称の起伏パターンを有する。輝度傾斜パターンAと輝度傾斜パターンBとを、所定タイミングで切り替えて用いる場合に、違和感を与えないことと、自発光ディスプレイ110の表示画面の劣化の程度を均一に保つためである。但しあえて、非相補的なパターンの組み合わせとする態様でもよい。
【0041】
輝度傾斜パターンAと輝度傾斜パターンBとを所定タイミングで切り替えて用いる。
【0042】
図7は、輝度傾斜パターンA,Bを切り替えて使用した場合の平均輝度を示す図である。図7(a)は図4の表示画面A−A’の方向で見た場合の輝度レベル、図7(b)は図4の表示画面B−B’の方向で見た場合の輝度レベルを示す。また、図7(a)の破線は、輝度傾斜パターンA,Bがない場合の輝度レベルを示す。
【0043】
図7(a)に示すように、輝度傾斜パターンA,Bを切り替えて使用した場合の平均輝度レベルは、輝度傾斜パターンA,Bがない場合の輝度レベルに比べて低い。
【0044】
また、図7(b)に示すように、輝度傾斜パターンA,Bを切り替えて使用した場合であっても、図4の表示画面B−B’の方向で見た場合には、輝度レベルは一定である。
【0045】
平均輝度レベルを下げることにより低消費電力化を図ることができる。また、焼き付き防止効果をより一層高めることができる。
【0046】
[輝度傾斜パターンA,Bの切り替え]
輝度傾斜パターンAと輝度傾斜パターンBは、所定タイミングで切り替える。例えば、以下の切り替えタイミングを採る。
【0047】
図8は、輝度傾斜パターンA,Bの切り替えタイミング一覧表を示す図である。
【0048】
本実施の形態は、自発光表示装置111を備える携帯電話機100に適用した例である。このため、自発光表示装置111の表示動作、又は携帯電話機100の使用状況に連動して輝度傾斜パターンA,Bを切り替えることができる。
【0049】
輝度傾斜パターンA,Bは、(1)携帯電話機100の電源ON/OFF、及び/又は(2)自発光表示装置111の自発光ディスプレイ110のON/OFFの切り替えタイミングで切り替える。
【0050】
携帯電話機100が、折畳み型又はスライド型の携帯電話機である場合、折畳んでいる時又はスライド閉の時は、自発光表示装置111はOFF、開いている時又はスライド開の時は、自発光表示装置111はONとなるため、そのタイミングで輝度傾斜パターンA,Bを切り替える。
【0051】
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、自発光表示装置111は、自発光ディスプレイ110の表示画面に違和感を与えない、なだらかな輝度レベルの起伏を有する輝度傾斜パターンA,Bを記憶する輝度傾斜パターン記憶部120と、輝度傾斜パターン記憶部120に記憶された輝度傾斜パターンA,Bを、外部から入力されたON/OFF信号に従って切り替え、切り替えた輝度傾斜パターンを画像処理部122に出力するパターン設定部121とを備え、画像処理部122は、パターン設定部121により指示された輝度傾斜パターンに基づいて入力画像信号に対して輝度傾斜補正を行う。本実施の形態では、画像周辺部の輝度が画像中央部の輝度より徐々に低くなる輝度傾斜パターンAと、その逆の輝度傾斜パターンBとを設け、輝度傾斜パターンA,BをON/OFF信号により、例えば交互に切り替える。輝度傾斜パターンA,Bは、その平均輝度レベルが、輝度傾斜パターンA,Bを施さない場合より所定以上低い輝度傾斜パターンである。
【0052】
これにより、ユーザに違和感を与えることなく、かつ低消費電力化及び焼き付き防止を図ることができる。すなわち、輝度傾斜パターンA,Bは、元々、表示画面に違和感を与えない、なだらかな輝度レベルの起伏パターンであるから、入力画像信号に対してこの輝度傾斜パターンA,Bを用いて信号処理を行っても、ユーザは自発光ディスプレイ110の表示画面に違和感を感じることはない。しかも輝度傾斜パターンA,Bの平均輝度レベルが、輝度傾斜パターンA,Bを施さない場合より、所定以上低いので、低消費電力化及び焼き付きに対する長寿命化を図ることができる。
【0053】
また、本実施の形態では、ON/OFF信号により、例えば輝度傾斜パターンA,Bを交互に切り替えるので、構成が極めて簡素であり、低コストで容易に実施できる優れた効果がある。
【0054】
図9及び図10は、本実施の形態の効果を説明する図である。図9は、図5及び図6の輝度傾斜パターンAと輝度傾斜パターンBを、所定タイミングで切り替えて合成した場合の輝度レベル(図9破線参照)を示している。図5及び図6の輝度傾斜パターンA,Bは、放物線形状/水平方向のみである。また最大輝度低下は20%である。図9破線に示すように、輝度傾斜パターンA,Bを所定タイミングで切り替えて合成した場合の平均輝度は、約90%となり10%の低消費電力化及び焼き付きに対する長寿命化を図ることができる。
【0055】
図10は、図9の輝度傾斜パターンA,Bを用いた場合の効果見積もり表を示す図である。図10に示すように、輝度傾斜パターンA(正極)の中心明るさ(輝度レベル)は100%、画面端明るさは80%であり、その平均明るさは94%である。輝度傾斜パターンB(負極)の中心明るさは80%、画面端明るさは100%であり、その平均明るさは86%である。輝度傾斜パターンAと輝度傾斜パターンBを、所定タイミングで切り替えて合成した場合、中心明るさ、画面端明るさ、及び平均明るさは、いずれも90%となる。合成した場合の平均輝度は、約90%となり10%の低消費電力化及び焼き付きに対する長寿命化を図ることができる。
【0056】
本実施の形態では、画像周辺部の輝度が画像中央部の輝度より徐々に低くなる輝度傾斜パターンAと、その逆の輝度傾斜パターンBとを有し、輝度傾斜パターンA,Bは、輝度傾斜パターンA,Bを施さない場合より平均輝度レベルが低いことを特徴とする。このような輝度傾斜パターンであれば、どのようなパターンでもよい。例えば、画像の平均輝度レベルから設定する態様に代えて、輝度の分布(輝度の分散又は輝度のヒストグラム)によりパターンを設定してもよく、同様の効果を得ることができる。
【0057】
(実施の形態2)
実施の形態2は、アプリケーションごとに輝度傾斜パターンを選択する例である。
【0058】
図11は、本発明の実施の形態2に係る自発光表示装置の構成を示すブロック図である。図1及び図2と同一構成部分には同一符号を付して重複箇所の説明を省略する。本実施の形態の自発光表示装置200は、図1の自発光表示装置111に代えて適用される。
【0059】
図11に示すように、自発光表示装置200は、自発光表示制御装置210及び自発光ディスプレイ110から構成される。
【0060】
自発光表示制御装置210は、輝度傾斜パターン記憶部220と、パターン設定部221と、画像処理部122とから構成される。
【0061】
アプリケーション201は、携帯電話機100(図1)に搭載され、CPU等からなる制御部113(図1)により実行される各種プログラムである。携帯電話機100のアプリケーション201として代表的なものには、メール、ブラウザ、ゲーム、カメラ、ワンセグ表示の各機能アプリケーションがある。いわゆるゲームやブラウザなどのアプリケーションソフトのみならず、カメラ、写真閲覧、待ちうけ表示、メニュー表示なども含めてアプリケーションと呼んでいる。
【0062】
輝度傾斜パターン記憶部220は、自発光ディスプレイ110の表示画面に違和感を与えない、なだらかな輝度レベルの起伏を有する輝度傾斜パターンを複数記憶する。アプリケーションにより輝度パターンの見栄えが変わるため、アプリケーションごとに輝度傾斜パターンの選択が必要となる。輝度傾斜パターン記憶部220は、アプリケーションごとに見栄えが良くなる複数の輝度傾斜パターンを記憶する。輝度傾斜パターン記憶部220は、複数の輝度傾斜パターンのうち、少なくとも一つは画像中央部が画像周辺部よりも明るい正極性の輝度傾斜パターンAとその逆の負極性の輝度傾斜パターンBの、2極性を持つ。輝度傾斜パターンの詳細については、図12乃至図18により後述する。
【0063】
パターン設定部221は、輝度傾斜パターン記憶部220に記憶された複数の輝度傾斜パターンの中から、アプリケーション201に合った輝度傾斜パターンを選択し、選択した輝度傾斜パターンを画像処理部122に出力する。
【0064】
パターン設定部221は、画像処理部122で使用する輝度傾斜パターン及びパターンの切り替えタイミングを指示する。パターン設定部221は、前回終了時における輝度傾斜量、輝度傾斜パターンを保存する。
【0065】
画像処理部122は、パターン設定部221により指示された輝度傾斜パターンに基づいて入力画像信号に対して輝度傾斜補正を行う。
【0066】
図12乃至図18は、輝度傾斜パターン記憶部120に記憶された輝度傾斜パターンを示す図である。図12乃至図18は、いずれも正極の輝度傾斜パターンAと負極の輝度傾斜パターンBのそれぞれについて、図4の表示画面A−A’の方向で見た場合の輝度レベルと、図4の表示画面B−B’の方向で見た場合の輝度レベルを示している。また、図12乃至図18の破線は、輝度傾斜パターンがない場合の輝度レベルを示す。
【0067】
図12の輝度傾斜パターン1、図14の輝度傾斜パターン3、及び図16の輝度傾斜パターン5は、水平方向又は垂直方向の放物線形状の輝度傾斜パターンである。放物線形状には、放物線は勿論のこと放物線のような曲線を含む。なお、図12の輝度傾斜パターン1は、図5及び図6の輝度傾斜パターンA,Bと同一であり、画像周辺部の輝度が画像中央部の輝度よりなだらかに低くなる輝度傾斜パターンAと、その逆の輝度傾斜パターンBの2極性を持つ輝度傾斜パターンとしては、典型的なパターンである。これらの輝度傾斜パターンA,Bを切り替えて用いることで、表示画面に違和感を与えることのない程度で、平均輝度レベルを下げることができ、低消費電力化を図ることができる。
【0068】
図13の輝度傾斜パターン2、図15の輝度傾斜パターン4、及び図17の輝度傾斜パターン6は、水平方向又は垂直方向において直線と曲線を組合わせた形状の輝度傾斜パターンである。基本的な効果は、上記輝度傾斜パターン1,3,5の場合と同様である。輝度傾斜パターン2,4,6は、上記輝度傾斜パターン1,3,5の基本的な効果に加えて、特に画像周辺部の固定パターン部において、より効果的に焼き付き防止を行うことができる。
【0069】
図18の輝度傾斜パターン7は、上記輝度傾斜パターン1〜6のような画像周辺部と画面周辺部と間で輝度レベルを低くするパターンではなく、焼き付きが気になるアイコン表示エリアなどの画像表示部分などは一律輝度を下げ、それ以外を放物線形状とするようなパターンである。焼き付きが懸念される表示エリアが予め判明している場合には特に有効である。
【0070】
上記輝度傾斜パターン1〜7は、一例である。また、輝度傾斜パターンA,Bは、便宜的な名称であり、さらに輝度傾斜パターンC,D(図示略)を有し、これらを順次切り替えても構わない。
【0071】
パターン設定部221は、上記輝度傾斜パターン1〜7から最適な輝度傾斜パターンA,Bを選択して画像処理部122に供給することができる。
【0072】
以下、上述のように構成された自発光表示装置200の動作について説明する。
【0073】
図19は、アプリケーション201による輝度傾斜パターンの切り替えタイミング一覧表を示す図である。
【0074】
図19に示すように、アプリケーション201は、輝度補正で見栄えが確保できるアプリケーションと、輝度補正で見栄えが確保できないアプリケーションとに大別される。
【0075】
輝度補正で見栄えが確保できるアプリケーションには、待ちうけ画面、メニュー画面、メール画面(黒背景+白文字など)、ゲーム、ワンセグ表示、カメラ、写真閲覧などがある。また、輝度補正で見栄えが確保できないアプリケーションには、ブラウザ、メール画面(白背景+黒文字など)などがある。
【0076】
上記輝度補正で見栄えが確保できるアプリケーションについては、アプリケーションごとに予め使用する輝度傾斜パターンを設定する。パターン設定部221は、輝度傾斜パターン記憶部220に記憶されている複数の輝度傾斜パターンから、アプリケーションごとに設定された輝度傾斜パターンを選択して画像処理部122に供給する。
【0077】
輝度補正で見栄えが確保できるアプリケーションと、輝度補正で見栄えが確保できないアプリケーションでは、輝度傾斜パターンの切り替えタイミングについても差異がある。
【0078】
輝度補正で見栄えが確保できるアプリケーションは、アプリケーション起動ごとに極性切り替える。輝度補正で見栄えが確保できないアプリケーションは、輝度傾斜パターンは不使用又は極性固定である。
【0079】
このように、アプリケーション201は、予め使用するパターンが決められており、パターン設定部221は、それに合わせて画像処理部122に使用するパターンを指示する。
【0080】
また、パターン設定部221は、アプリケーション終了時に設定パターン極性を記憶し、次回起動時には前回終了時に使用した極性と反転した極性を選択して、画像処理部122に指示する。例えば、前回終了時は輝度傾斜パターンA(正極)、次回起動時は輝度傾斜パターンB(負極)とする。
【0081】
但し、輝度傾斜パターン補正で見栄えが確保できないようなアプリケーションや、同じアプリケーションでも見栄えが確保できない配色の場合においては、輝度補正不使用やパターンA、パターンの切り替えをせず固定する。
【0082】
なお、本実施の形態では、パターン設定部221が、前回終了時における輝度傾斜量、輝度傾斜パターンを記憶している。この構成によれば、アプリケーション201の修正は不要である。しかし、アプリケーション201が、現在のパターン極性など記憶する態様でもよく、同様の効果を得ることができる。
【0083】
図20は、アプリケーション毎による輝度傾斜パターン及び極性切り替え動作を示すフローチャートである。図中、Sはフローの各ステップを示す。
【0084】
ステップS11では、パターン設定部221(図11参照)は、アプリケーション起動を受け、起動したアプリケーションの前回終了時に使用した輝度傾斜パターン及び極性を読み出す。なお、アプリケーションが使用したパターン極性などを記憶する態様の場合は、パターン設定部221は、起動したアプリケーションから前回終了時に使用した輝度傾斜パターン及び極性を読み込む。
【0085】
ステップS12では、パターン設定部221は、起動したアプリケーションが前回終了時に使用した輝度傾斜パターンの逆極性の輝度傾斜パターンを、輝度傾斜パターン記憶部220から選択し、画像処理部122に渡す。
【0086】
すなわち、図19に示すように、各アプリケーションは予め使用する輝度傾斜パターンが決められている。例えば、待ち受け画面は、輝度傾斜パターン1(図13参照)、ゲームは、輝度傾斜パターン2(図13参照)などが決められている。パターン設定部221は、前回終了時極性が輝度傾斜パターンA(正極)であれば、今回の起動は輝度傾斜パターンB(負極)とする。
【0087】
ステップS13では、画像処理部122(図11参照)は、入力画像信号に対してパターン設定部221から渡された輝度傾斜パターンを用いて信号処理を施す。
【0088】
ステップS14では、画像処理部122は、信号処理後の画像を自発光ディスプレイ110(図11参照)に送る。以上の処理は、アプリケーション動作中は繰返し行われる。
【0089】
アプリケーション終了時は、ステップS15に移行する。
【0090】
ステップS15では、パターン設定部221は、現在のパターン極性を記憶して本フローを終了する。なお、アプリケーションが使用したパターン極性などを記憶する態様の場合には、アプリケーションが現在のパターン極性を記憶する。
【0091】
このように、本実施の形態によれば、自発光表示装置200は、アプリケーションごとに見栄えが良くなる複数の輝度傾斜パターン(図12乃至図18参照)を記憶し、パターン設定部221は、複数の輝度傾斜パターンから最適な輝度傾斜パターンを選択して画像処理部122に供給するので、低消費電力化及び焼き付きに対する長寿命化をより一層高めることができる。さらに、様々なアプリケーションに対して見栄えを良くすることができる。
【0092】
(実施の形態3)
表示する内容が変化するようなアプリケーションでは、輝度補正した場合に見栄えが劣化する可能性がある。例えば、ワンセグ動画において、前面が白に近いような画像が表示された場合やカメラで白背景に黒文字のカレンダーなどを撮影するような場合である。
【0093】
このようなアプリケーションは、動的に輝度傾斜パターンを可変させ、見栄えの劣化を低減することが有効である。
【0094】
実施の形態3は、輝度傾斜パターンを動的に変化させる例である。
【0095】
図21は、本発明の実施の形態3に係る自発光表示装置の構成を示すブロック図である。図1及び図11と同一構成部分には同一符号を付して重複箇所の説明を省略する。本実施の形態の自発光表示装置300は、図1の自発光表示装置111に代えて適用される。
【0096】
図21に示すように、自発光表示装置300は、自発光表示制御装置310及び自発光ディスプレイ110から構成される。
【0097】
自発光表示制御装置310は、輝度傾斜パターン記憶部220と、補正量算出部311と、パターン設定部321と、画像処理部122とから構成される。
【0098】
補正量算出部311は、入力画像信号から画面平均輝度レベル(APL:Average Picture Level)(以下、適宜平均輝度と略称する)を求め、その平均輝度から補正量を算出する。
【0099】
パターン設定部321は、図11のパターン設定部221と同様の機能を有し、さらに以下の機能を備える。
【0100】
パターン設定部321は、輝度傾斜パターン記憶部220に記憶された複数の輝度傾斜パターンの中から、輝度傾斜パターン及び極性を選択し、選択した輝度傾斜パターンを画像処理部122に出力する。
【0101】
パターン設定部321は、アプリケーション201の指示に基づいて、静的/動的制御の切り替えを行い、動的制御をする場合は、補正量算出部311から渡された補正量に基づいて、画像処理部122に渡す輝度傾斜パターンを補正する。
【0102】
パターン設定部321は、静的/動的制御の切り替え、輝度傾斜パターン及び極性の設定、切り替えタイミングを指示する。パターン設定部321は、前回終了時における輝度傾斜量、輝度傾斜パターン及び極性を保存する。
【0103】
画像処理部122は、パターン設定部321により指示された輝度傾斜パターンに基づいて入力画像信号に対して輝度傾斜補正を行う。
【0104】
以下、上述のように構成された自発光表示装置300の動作について説明する。
【0105】
図22は、アプリケーション201による動的/静的パターン生成、パターン、極性切り替えタイミング一覧表を示す図である。
【0106】
図22に示すように、アプリケーション201は、輝度補正で見栄えが確保できるアプリケーションと、輝度補正で見栄えが確保できないアプリケーションとに大別される。
【0107】
輝度補正で見栄えが確保できるアプリケーションには、待ちうけ画面、メニュー画面、メール画面(黒背景+白文字など)、ゲーム、ワンセグ表示、カメラ、写真閲覧などがある。また、輝度補正で見栄えが確保できないアプリケーションには、ブラウザ、メール画面(白背景+黒文字など)などがある。
【0108】
上記輝度補正で見栄えが確保できるアプリケーションについては、アプリケーションごとに予め使用する輝度傾斜パターンを設定する。パターン設定部321は、輝度傾斜パターン記憶部220に記憶されている複数の輝度傾斜パターンから、アプリケーションごとに設定された輝度傾斜パターンを選択して画像処理部122に供給する。
【0109】
しかし輝度補正で見栄えが確保できるアプリケーションであっても、表示する内容が変化するようなアプリケーションでは、輝度補正した場合に見栄えが劣化する可能性がある。例えば、ゲーム、ワンセグ表示、カメラ、写真閲覧などあり、これらのアプリケーションでは輝度傾斜パターンを動的に制御する。
【0110】
輝度補正で見栄えが確保できるアプリケーションと、輝度補正で見栄えが確保できないアプリケーションでは、輝度傾斜パターンの切り替えタイミングについても差異がある。
【0111】
輝度補正で見栄えが確保できるアプリケーションは、アプリケーション起動ごとに極性切り替える。輝度補正で見栄えが確保できないアプリケーションは、輝度傾斜パターンは不使用又は極性固定である。
【0112】
このように、アプリケーション201は、予め使用するパターンが決められており、パターン設定部321は、それに合わせて画像処理部122に使用するパターンを指示する。
【0113】
また、パターン設定部321は、アプリケーション終了時に設定パターン極性を記憶し、次回起動時には前回終了時に使用した極性と反転した極性を選択して、画像処理部122に指示する。例えば、前回終了時は輝度傾斜パターンA(正極)、次回起動時は輝度傾斜パターンB(負極)とする。
【0114】
但し、輝度傾斜パターン補正で見栄えが確保できないようなアプリケーションや、同じアプリケーションでも見栄えが確保できない配色の場合においては、輝度補正不使用やパターンA、パターンの切り替えをせず固定する。
【0115】
さらに、表示する内容が変化するようなアプリケーション、例えばゲーム、ワンセグ表示、カメラ、写真閲覧などでは輝度傾斜パターンを動的に制御する。
【0116】
なお、本実施の形態では、パターン設定部321が、前回終了時における輝度傾斜量、輝度傾斜パターンを記憶している。この構成によれば、アプリケーション201の修正は不要である。しかし、アプリケーション201が、現在のパターン極性など記憶する態様でもよく、同様の効果を得ることができる。
【0117】
図23は、動的パターン使用アプリケーションによる輝度傾斜パターン及び極性切り替え動作を示すフローチャートである。
【0118】
ステップS21では、パターン設定部321(図21参照)は、アプリケーション起動を受け、起動したアプリケーションの前回終了時に使用した輝度傾斜パターン及び極性を読み出し、起動したアプリケーションが前回終了時に使用した輝度傾斜パターンの逆極性の輝度傾斜パターンを、輝度傾斜パターン記憶部220(図21参照)から選択し、画像処理部122(図21参照)に渡す。例えば、パターン設定部321は、前回終了時極性が輝度傾斜パターンA(正極)であれば、今回の起動は輝度傾斜パターンB(負極)とする。
【0119】
ステップS22では、補正量算出部311は、入力画像信号から平均輝度を求め、その平均輝度から補正量を算出し、パターン設定部321に渡す。
【0120】
ステップS23では、パターン設定部321は、読み出した極性の輝度傾斜パターンを、補正量算出部311から渡された補正量を基に動的補正する。動的補正の詳細については、図24乃至図26により後述する。パターン設定部321は、補正後の輝度傾斜パターンを画像処理部122に渡す。
【0121】
ステップS24では、画像処理部122(図21参照)は、入力画像信号に対してパターン設定部321から渡された輝度傾斜パターンを用いて信号処理を施す。
【0122】
ステップS25では、画像処理部122は、信号処理後の画像を自発光ディスプレイ110(図21参照)に送る。以上の処理は、アプリケーション動作中は繰返し行われる。
【0123】
アプリケーション終了時は、ステップS26に移行する。
【0124】
ステップS26では、パターン設定部321は、現在のパターン極性を記憶して本フローを終了する。なお、アプリケーションが使用したパターン極性などを記憶する態様の場合には、アプリケーションが現在のパターン極性を記憶する。
【0125】
図24は、動的パターン算出の詳細なフローチャートである。図25は、画面平均輝度レベル(APL)−補正量xの関係を示す図、図26は、輝度傾斜パターン−補正量xの関係を示す図である。
【0126】
ステップS31では、補正量算出部311は、入力画像信号から画面平均輝度レベル(APL)を算出する。
【0127】
ステップS32では、補正量算出部311は、算出した平均輝度から、図25に示すルックアップテーブルを参照して補正量xを算出する。
【0128】
ステップS33では、補正量算出部311は、算出した補正量xをパターン設定部321に渡す。
【0129】
ステップS34では、パターン設定部321は、補正量xに基づいて輝度傾斜パターンを補正する。図26の輝度傾斜パターンは、輝度傾斜パターン1(水平方向放物線)(図12参照)を適用した場合を例である。図26は、図4の表示画面A−A’の方向で見た場合の輝度レベルと、図4の表示画面B−B’の方向で見た場合の輝度レベルとについて、輝度レベルを補正量xにより増減する。例えば、ワンセグ動画において、前面が白に近いような画像が表示された場合には、補正量xにより輝度レベルを減らす補正を行う。
【0130】
ステップS35では、パターン設定部321は、補正後の輝度傾斜パターンを画像処理部122に渡す。
【0131】
図27は、輝度傾斜補正をした場合に画面に違和感を与えやすいシーンと画面に違和感を与えにくいシーンとを表にして説明する図である。
【0132】
図27(a)に示すように、輝度傾斜補正をした場合に、画面に違和感を与えやすいシーンには、ブラウジング時、及び待ち受け画面表示時がある。この場合には、輝度傾斜パターンA(正)のみを使用し、画面平均輝度により輝度傾斜量を制御する。具体的には、平均輝度が高い時は、輝度傾斜量を少なくし、平均輝度が低い時は、輝度傾斜量を多くする。
【0133】
図27(b)に示すように、輝度傾斜補正をした場合に、画面に違和感を与えにくいシーンには、写真表示時、ゲームなどアプリケーションソフト使用時、メニュー画面表示時
、ワンセグ表示時、メール表示時がある。この場合には、焼き付き及び消費電力を考慮して輝度傾斜パターンA(正),輝度傾斜パターンB(負)を使用する。また、画面平均輝度により輝度傾斜量を制御する。具体的には、平均輝度が高い時は、輝度傾斜量を少なくし、平均輝度が低い時は、輝度傾斜量を多くする。さらに、アプリケーションの立ち上げのたびに、前回終了時と逆極性の輝度傾斜パターンを使用する。
【0134】
このように、本実施の形態によれば、自発光表示装置300は、入力画像信号から平均輝度を求め、その平均輝度から補正量を算出する補正量算出部311を備え、パターン設定部321は、アプリケーション201の指示に基づいて、静的/動的制御の切り替えを行い、動的制御をする場合は、補正量算出部311から渡された補正量に基づいて、画像処理部122に渡す輝度傾斜パターンを補正するので、輝度傾斜パターンを一律に適用する実施の形態1に比べて、低消費電力化及び焼き付きに対する長寿命化をより一層高めることができる。また、実施の形態2と同様に、様々なアプリケーションに対して見栄えを良くすることができる。
【0135】
なお、本実施の形態では、輝度傾斜パターンの補正量を正極、負極ともに補正量xとした例について説明したが、正極と負極の補正量は別々であってもよい。また複数の補正量から、適当な補正量を選択して使用してもよい。
【0136】
以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されることはない。
【0137】
上記各実施の形態では、自発光表示装置として有機ELディスプレイに適用した場合について説明しているが、自発光表示装置であればどのような表示装置あってもよい。例えば、PDPを備える映像表示装置であってもよく、PDPを備える映像表示装置においても、同様に低消費電力化及び焼き付きに対する長寿命化を図ることができる。
【0138】
上記各実施の形態では、自発光表示装置を備える電子機器として携帯電話機などの携帯端末に適用した例について説明しているが、携帯電話機に限らずPDA等の携帯情報端末、パーソナルコンピュータ又はその融合された装置、さらにはMP3プレーヤー、HDDプレーヤー、携帯型ゲーム機などの携帯機器に適用可能である。
【0139】
また、上記各実施の形態では、自発光表示装置及び自発光表示方法という名称を用いたが、これは説明の便宜上であり、装置は映像表示装置、ディスプレイ表示装置等、また方法は表示方法等であってもよい。
【0140】
さらに、上記自発光表示装置を構成する各部、例えば記憶部、制御部の種類・機能、その数及び接続方法などはどのようなものでもよい。また、輝度傾斜パターン、ルックアップテーブル、及び補正量は適宜変更が可能である。
【0141】
以上説明した自発光表示方法は、この自発光表示方法を機能させるためのプログラムでも実現される。このプログラムはコンピュータで読み取り可能な記録媒体に格納されている。
【産業上の利用可能性】
【0142】
本発明に係る自発光表示装置及び自発光表示方法は、入力画像信号に応じた画像を表示するディスプレイ表示装置、特に有機ELディスプレイ表示装置に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1】本発明の実施の形態1に係る自発光表示装置を備える携帯端末装置の構成を示すブロック図
【図2】上記実施の形態1に係る自発光表示装置の構成を示すブロック図
【図3】有機ELディスプレイとLCDディスプレイの画面平均輝度と消費電力との関係を示す図
【図4】上記実施の形態1に係る自発光表示装置の表示画面と輝度傾斜パターンとの関係を示す図
【図5】上記実施の形態1に係る自発光表示装置の表示画面と輝度傾斜パターンとの関係を示す図
【図6】上記実施の形態1に係る自発光表示装置の表示画面と輝度傾斜パターンとの関係を示す図
【図7】上記実施の形態1に係る自発光表示装置の輝度傾斜パターンを切り替えて使用した場合の平均輝度を示す図
【図8】上記実施の形態1に係る自発光表示装置の輝度傾斜パターンの切り替えタイミング一覧表を示す図
【図9】上記実施の形態1に係る自発光表示装置の輝度傾斜パターンを、所定タイミングで切り替えて合成した場合の輝度レベルを示す図
【図10】図9の輝度傾斜パターンを用いた場合の効果見積もり表を示す図
【図11】本発明の実施の形態2に係る自発光表示装置の構成を示すブロック図
【図12】上記実施の形態2に係る自発光表示装置の輝度傾斜パターン記憶部に記憶された輝度傾斜パターンを示す図
【図13】上記実施の形態2に係る自発光表示装置の輝度傾斜パターン記憶部に記憶された輝度傾斜パターンを示す図
【図14】上記実施の形態2に係る自発光表示装置の輝度傾斜パターン記憶部に記憶された輝度傾斜パターンを示す図
【図15】上記実施の形態2に係る自発光表示装置の輝度傾斜パターン記憶部に記憶された輝度傾斜パターンを示す図
【図16】上記実施の形態2に係る自発光表示装置の輝度傾斜パターン記憶部に記憶された輝度傾斜パターンを示す図
【図17】上記実施の形態2に係る自発光表示装置の輝度傾斜パターン記憶部に記憶された輝度傾斜パターンを示す図
【図18】上記実施の形態2に係る自発光表示装置の輝度傾斜パターン記憶部に記憶された輝度傾斜パターンを示す図
【図19】上記実施の形態2に係る自発光表示装置のアプリケーションによる輝度傾斜パターンの切り替えタイミング一覧表を示す図
【図20】上記実施の形態2に係る自発光表示装置のアプリケーション毎による輝度傾斜パターン及び極性切り替え動作を示すフロー図
【図21】本発明の実施の形態3に係る自発光表示装置の構成を示すブロック図
【図22】上記実施の形態3に係る自発光表示装置のアプリケーションによる動的/静的パターン生成、パターン、極性切り替えタイミング一覧表を示す図
【図23】上記実施の形態3に係る自発光表示装置の動的パターン使用アプリケーションによる輝度傾斜パターン及び極性切り替え動作を示すフロー図
【図24】上記実施の形態3に係る自発光表示装置の動的パターン算出の詳細なフロー図
【図25】上記実施の形態3に係る自発光表示装置の画面平均輝度レベル(APL)−補正量xの関係を示す図
【図26】上記実施の形態3に係る自発光表示装置の輝度傾斜パターン−補正量xの関係を示す図
【図27】上記実施の形態3に係る自発光表示装置の輝度傾斜補正をした場合に画面に違和感を与えやすいシーンと画面に違和感を与えにくいシーンとを表にして説明する図
【図28】ELディスプレイを有する携帯電話機の表示画面を示す図
【符号の説明】
【0144】
100 携帯電話機
101 アンテナ
102 無線送受信部
103 送受話回路
104 送受話器
105 操作部
106 撮像装置
107 背面撮像装置
108 表示装置
109,210,310 自発光表示制御装置
110 自発光ディスプレイ
111,200,300 自発光表示装置
112 メモリ
113 制御部
120,220 輝度傾斜パターン記憶部
121,221,321 パターン設定部
122 画像処理部
201 アプリケーション
311 補正量算出部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
自発光ディスプレイと、
前記自発光ディスプレイの表示画面に違和感を与えない、なだらかな輝度レベルの起伏を有する輝度傾斜パターンを複数記憶する輝度傾斜パターン記憶手段と、
前記輝度傾斜パターン記憶手段に記憶された複数の輝度傾斜パターンの中から、使用する輝度傾斜パターンを設定するパターン設定手段と、
前記パターン設定部により設定された輝度傾斜パターンに基づいて入力画像信号に対して輝度傾斜補正を行う画像処理手段と、
を備える自発光表示装置。
【請求項2】
前記輝度傾斜パターン記憶手段は、前記輝度レベルがなだらかに低くなる輝度傾斜パターンを記憶する請求項1記載の自発光表示装置。
【請求項3】
前記輝度傾斜パターン記憶手段は、前記輝度傾斜パターンの平均輝度レベルが、前記輝度傾斜パターンを施さない平均輝度レベルより所定以上低い輝度傾斜パターンを記憶する請求項1記載の自発光表示装置。
【請求項4】
前記輝度傾斜パターン記憶手段は、画像中央部が画像周辺部より輝度レベルが高くなるような正極性の輝度傾斜パターンAと、画像周辺部が画像中央部より輝度が低くなるような負極性の輝度傾斜パターンBとを記憶する請求項1記載の自発光表示装置。
【請求項5】
前記パターン設定手段は、前記輝度傾斜パターンAと前記輝度傾斜パターンBとを所定タイミングで切り替える請求項1記載の自発光表示装置。
【請求項6】
前記パターン設定手段は、前記輝度傾斜パターンAと前記輝度傾斜パターンBとを交互に切り替える請求項1記載の自発光表示装置。
【請求項7】
前記パターン設定手段は、所定タイミングで、前記輝度傾斜パターンを選択する請求項1記載の自発光表示装置。
【請求項8】
前記パターン設定手段は、前記表示画面のON/OFFタイミングで、前記輝度傾斜パターンを設定する請求項1記載の自発光表示装置。
【請求項9】
前記パターン設定手段は、電源のON/OFFタイミングで、前記輝度傾斜パターンを設定する請求項1記載の自発光表示装置。
【請求項10】
前記パターン設定手段は、アプリケーションに応じて、前記輝度傾斜パターンを設定する請求項1記載の自発光表示装置。
【請求項11】
前記パターン設定手段は、前回使用した輝度傾斜パターンを記憶し、次回起動時には前回使用した輝度傾斜パターンと異なる輝度傾斜パターンを設定する請求項1記載の自発光表示装置。
【請求項12】
入力画像信号から画像平均輝度レベルを求め、その画像平均輝度レベルから補正量を算出する補正量算出手段を備え、
前記パターン設定手段は、前記補正量算出手段から渡された補正量に基づいて、前記輝度傾斜パターンを補正する請求項1記載の自発光表示装置。
【請求項13】
前記パターン設定手段は、アプリケーションに応じて、前記輝度傾斜パターンを補正する補正制御の実行の有無を動的に切り替える請求項12記載の自発光表示装置。
【請求項14】
自発光ディスプレイの表示画面に違和感を与えない、なだらかな輝度レベルの起伏を有する輝度傾斜パターンを予め複数記憶するステップと、
前記複数の輝度傾斜パターンの中から、使用する輝度傾斜パターンを設定するステップと、
前記設定された輝度傾斜パターンに基づいて入力画像信号に対して輝度傾斜補正を行うステップと
を有する自発光表示方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2010−204496(P2010−204496A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−51316(P2009−51316)
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】