自走式探傷装置
【課題】本発明は自走式探傷装置に関し、鋼床版の下面を磁力に保持されかつ自走しつつ、トラフリブとデッキとの溶接部の亀裂検査行うことを目的とする。
【解決手段】探傷ロボット14は磁石の吸引力下保持されつつ鋼床版の下面を自走する。自走ロボット14には超音波探傷部28がラック及びピニオン及びスライド機構により車幅方向に位置調節可能に設けられる。超音波探傷部28は超音波探傷プローブ30とスキー様のスレッド34とスプリング40とを備える。超音波探傷プローブ30及びスレッド34は被検査面の微妙な傾斜に対してその姿勢を追随可能であり、また、スプリング40は移動方向の前後に設けられ、いずれの方向の移動に対しても被検査面に対し面接触を維持する。スキー様のスレッド先端部34-1は溶接ビード等の凸部の自走乗り越えを可能とする。
【解決手段】探傷ロボット14は磁石の吸引力下保持されつつ鋼床版の下面を自走する。自走ロボット14には超音波探傷部28がラック及びピニオン及びスライド機構により車幅方向に位置調節可能に設けられる。超音波探傷部28は超音波探傷プローブ30とスキー様のスレッド34とスプリング40とを備える。超音波探傷プローブ30及びスレッド34は被検査面の微妙な傾斜に対してその姿勢を追随可能であり、また、スプリング40は移動方向の前後に設けられ、いずれの方向の移動に対しても被検査面に対し面接触を維持する。スキー様のスレッド先端部34-1は溶接ビード等の凸部の自走乗り越えを可能とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は自走式探傷装置に関し、被検査物としての鋼材よりなる被検査物、例えば、橋梁等における鋼床版の下面を磁力に保持されつつ自走しつつ、トラフリブとデッキとの溶接部の亀裂検査等の探傷作業を行うことができるものである。
【背景技術】
【0002】
橋脚等の高架構造の道路の路面は鋼床版上にアスファルト舗装を施して構成される。鋼床版は所定の肉厚の鋼板(デッキ)よりなり、デッキの下面に補強のため、路面幅方向に等間隔をおいて複数配置され、各々が路面縦方向に延びる断面U型の型鋼であるトラフリブを溶接して構成される。鋼床版は車両のタイヤ部分が通過する部位(1車線あたり50cm程度の幅の部分2ヶ所)を中心に荷重を繰り返し受けており、供用年数の経過によりデッキとトラフリブの溶接部に疲労亀裂が発生し得る。溶接部の疲労検査として精度の高い方法としては鋼床版におけるタイヤ通過部位において超音波のエコーにより探傷を行うものが従来より知られている。そして、橋脚等の高架構造の道路におけるデッキとトラフリブとの溶接部のように高所に位置する溶接部の超音波による探傷としては磁力により鋼床版の下面に吸引保持させつつタイヤ型超音波探触子をデッキとトラフリブとの溶接線に沿って転動させることで、超音波により溶接部探傷を行う移動型探傷具が提案されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2008−249510号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1の技術においては、溶接線に沿った探傷具の移動は手動操作である。そのため、鋼床版の下方に足場を架設し、その上での作業を行うことになり、暗所で高所狭隘部での作業は作業者の大きな負担となっていた。また、タイヤ型超音波探触子は内部に超音波の送受信部を備え、被検査物との接触部であるタイヤを介して超音波の送受信を行い、エコー解析により探傷を行うものであった。特許文献1の構造では超音波の送受信部が被検査物の表面の状態による車体の傾斜の影響を直接的に受け、超音波の方向が変化する。これが、測定精度に悪影響を及ぼすことがあった。また、特許文献1の構造は超音波の伝動経路にタイヤのゴム部分が介在しており、直接接触ではないためゴムの物性が超音波信号の伝達に影響を及ぼし、これが測定精度に影響を及ぼす懸念もあった。
【0004】
以上より、作業者の負担が軽く、小型軽量で自走式の遠隔操縦による検査装置がこれまで希求されてきた。本発明では超音波プローブを被探傷部に直接金属接触させ、かつこの接触状態を被検査面の状態に関らず維持するようにすることで従来技術の問題点の解決を図ろうとするものである。また、超音波プローブを被検査面に直接金属接触させかつ自走式とする場合、溶接ビードなど凸部が超音波プローブに干渉し、走破できず作業が非効率になる、若しくは回避するための装置が別途必要となり構造複雑化する問題点があった。
【0005】
本発明では、超音波プローブとして被探傷部に直接接触させ、かつこの接触状態を被検査面の状態に関らず維持し得る遠隔操縦型の小型自走式検査装置とすることで、従来技術の問題点の解決を図るものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の自走式探傷装置は鋼材よりなる被検査物の探傷をその下面側から超音波によって行うものであって、自走型の車体と、車体を被検査物の下面に磁力により吸着保持する手段と、被検査物の下面に接触移動するべく車体に取り付けられる接触体と、接触体の位置調節手段と、前記接触体に設けられ、被検査物の下面に接触移動することにより超音波による被検査物の探傷を行う超音波プローブと、接触体に設けられ、車体の自走に際して被検査物の下面に対する接触体及び超音波プローブの接触を維持するべく接触体を被検査物下面に向けて付勢する弾性手段とを具備してなる自走式探傷装置とを具備してなる。
【0007】
前記弾性手段は車体の移動方向に離間した部位で独立に作用するように配置され、一対のスプリングより構成することができる。そして、接触体は被検査物の下面に摺動移動するスレッドから構成することができ、前記一対のスプリングはスレッドの夫々の端部に設けられる。また、スレッドは移動方向における前端に被検査物から離間方向に曲折した曲折部を有することができる。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、車体の移動の際に、接触体及びそれに取り付けられた超音波プローブは弾性下で被検査物に対する直接接触(金属接触)を維持することができ、かつ移動方向に依存することなく、この直接接触状態を維持することができるため、超音波による探傷を高精度にて実施することができる。また足場架設し、その上で作業者が超音波プローブを被検査面に直接接触させることで検査を行うといった作業員の負担が非常に大きい暗所で高所狭隘部での作業を回避しつつ、溶接ビード等の凸部が被検査面にあってもこれを乗り越えるようにすることができ、自走式の作業を高効率にて行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は鋼床版の構造を模式的に示す斜視図である。
【図2】図2はこの発明に係る超音波探傷用自走ロボットの正面図であり、鋼床版をその下面から探傷中の状態を示す。
【図3】図3は図1の溶接部の拡大図である。
【図4】図4はこの発明に係る超音波探傷用自走ロボットの側面図(図2のIV方向矢視図)である(以下の図10まで鋼床版の図示は省略)。
【図5】図5はこの発明に係る超音波探傷用自走ロボットの平面図(図2のV方向矢視図)である。
【図6】図6は車輪を下にして上から見たこの発明に係る超音波探傷用自走ロボットの斜視図であり、超音波探傷部の構造を示している。
【図7】図7は車輪を下にして上から見たこの発明に係る超音波探傷用自走ロボットの斜視図である。
【図8】図8は図2に示す鋼床版の下面からの探傷中における超音波探傷プローブの取付部を車体の下からみて示す斜視図である。
【図9】図9は超音波探傷プローブの取付部を図8の上からみて示す斜視図である。
【図10】図10は超音波探傷プローブの取付部の平面図(図9のX方向矢視図)である。
【図11】図11は超音波探傷プローブの取付部の側面図(図2のXI方向矢視図)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下本発明を橋梁等における鋼床版(本発明の被検査物)におけるデッキとトラフリブとの溶接部の検査について使用する場合について説明する。図1は鋼床版の構造を略示するもので、鋼床版は周知のように鋼板を素材とし、道路中心に沿った主桁リブ8に沿って間隔をおいて横リブ9を、上面にデッキ10(上面がアスファルト舗装される)を配し、デッキ10の下面における横リブ9間に路面幅方向に間隔をおいて各々が断面U字状でかつ路面長手方向に延びるトラフリブ12を複数配して構成される。図2に示すようにトラフリブ12の開口端(図2の上端)はデッキ10の下面に溶接され、その溶接部(ビード)をWにて示し(図2の溶接部Wは図3に拡大して示される)、溶接部Wはトラフリブ12の長さ方向(図2の紙面直交方向)に延びている。デッキ10及びトラフリブ12は長さ方向には有限の長さであり、長さ方向に隣接するデッキ10及びトラフリブ12は路幅方向の図示しない溶接部(ビード)によって溶接されている。
【0011】
符号14はこの自走式探傷装置としての自走ロボットを示しており、デッキ10の下面を磁力により吸引保持されつつ溶接部Wの方向(図2の紙面直交方向)に自走することにより溶接部Wの超音波による探傷を行うように構成されている。自走ロボット14の車体は様々なパーツから構成されているが、説明の便宜上全体を16にて示す。ロボット14の走行方向における車体16の片側における左右にタイヤ付の駆動輪18が設けられ、反対側の左右に従動輪19が設けられ、車輪18, 19はデッキ10と平行な車軸を備える。駆動輪18と側と従動輪とはベルト20によって連結されている。駆動輪18を駆動するための電動機ユニットを簡明のため全体を21にて示す。電動機ユニット21には電動機及び電動機の出力軸を駆動輪18に伝達するギヤ等が設けられる。電動機は溶接部Wに沿った前後いずれの方向においても移動できるよう逆転可能に構成されている。また、電動機は図示しない電源ケーブルによって外部バッテリに接続され、電動機の駆動制御回路も外部に設けられ、外部からの有線操作によってロボット14の操作制御が可能となっている。外部バッテリ化は電池大型化による早期消耗対策であるが、場合によっては電池内蔵も可能である。
【0012】
車体16は走行方向に対して片側に張出部16-1(図6及び図7等参照)を備えており、張出部16-1にはガイド輪取付部16-2が設けられ、ガイド輪取付部16-2は鋼床版の検査時にはトラフリブ12の斜面12-1と平行(図2の紙面直交方向)となる。図5に示すようにガイド輪取付部16-2はロボット前後方向に離間する一対のガイド輪22を備えている。ガイド輪22は鋼床版の検査時にトラフリブ12の斜面12-1と平行な車軸を備えており(図2も参照)、ロボット14がデッキ10面を転動する際にガイド輪22はトラフリブ12の斜面12-1上を転動することにより、溶接部Wに沿ったロボット14の移動(図2の紙面直交方向)を補助するようになっている。
【0013】
図2のデッキ10に面して、車体16に永久磁石24(本発明の吸着保持手段)が設けられる。永久磁石24は図7には一層明確に示されている。ロボット14の走行に支障がないように永久磁石24はデッキ10からは離間位置しているが、その磁界の向きは鉛直方向を指向するようにされ、強力な磁力によりロボット14をデッキ10に効率的に吸引保持することができる。図7に示すように永久磁石24は車体16の重心若しくはその近くに位置しているため、本体の向きが何らかの原因でトラフリブに沿った向きから外れた場合にも重心軸の回りで回転させ、直進方向し易くなっている。また、車体16のガイド輪取付部16-2にもその両端に補助の永久磁石26が設けられ、永久磁石26はその磁力によりガイド輪22をトラフリブ12の斜面12-1に当接せしめる方向に吸引し、ガイド輪22の案内により被検査部である溶接部Wに沿ったロボット14の移動をよりスムースとする役目を担う。
【0014】
この発明においては超音波による探傷を被検査面との接触を維持しつつ行い、ロボットの車体に対してアタッチメント式取付けられた超音波探傷部28が具備される。超音波探傷部28は超音波探傷プローブ30と、接触体(本実施形態では後述のスレッド34)と、弾性手段(本実施形態では後述のスプリング40)とを備える。超音波探傷部28は摺動本体27を備え、摺動本体27は図6に示すように車体16の張出部16-1における摺動溝16-3に対して矢印aのように車幅方向(デッキ面と平行でかつリブと直交する方向)摺動可能に収容され、超音波探傷部28も同方向aに往復摺動可能となっている。摺動本体27にはラック29の一端が取り付けられ、ラック29の他端は車体の張出部16-1におけるアジャストブロック16-4内に導入されると共にアジャストブロック16-4内に直交方向に配置した図示しないピニオン(ラック29とで本発明の位置調節手段を構成する)に螺合している。ピニオンの軸端は図6に31にて示すようにアジャストブロック16-4の上部より外部に幾分突出され、ピニオンの軸端31には六角棒スパナとの係合部31Aが設けられ、ピニオンを外部よりの工具操作により前後に回すことによりラック29及びこれに連結された摺動本体27は矢印a方向に直線往復移動し、車幅方向における超音波探傷部28、延いては超音波探傷プローブ30の被探傷部に対する最適位置調整が可能となり、また、接触体としての後述スレッド34及び弾性手段としてのスプリング40も一緒に動くためこれらの適正機能を損なうことがない。
【0015】
超音波探傷プローブ30はデッキ10の下面との接触を維持しながら移動することにより超音波による探傷を行う。即ち、超音波探傷プローブ30からは超音波が図2の一点鎖線L(図3の拡大図も参照)のように斜め方向に発射され、これに接触されるデッキ10の内部を伝播し、溶接部Wから反射され、反射波はデッキ10内部を戻り、これに接触する超音波探傷プローブ30を介して受信され、受信波(エコー)の解析により溶接部Wの探傷を行うことが可能である。即ち、図3の拡大図において溶接部Wにおける亀裂をCにて表し、亀裂Cはトラフリブ12とデッキ10との溶接ルート部pからデッキ10内部に進行してゆく。そのため、超音波探傷プローブ30からLのように斜め方向に発射される超音波により亀裂Cの的確な探傷が可能となる。他方、超音波による探傷に際しては原理的に超音波探傷プローブ30とデッキ10との接触維持は必要であるが、現実的には、被検査物としてのデッキ10は避けられない幾分の傾斜やアンジュレーションが存在しており、そのままでは、車体の傾斜の影響を直接受けるため、超音波探傷プローブ30とデッキ10との面接触の維持が精度の高い検査のため必要である。また、長手方向に隣接するデッキ間には路面幅方向全長に溶接部(多くは凸部となっている)があり、本発明のように自走ロボットの場合にはこれが障害物となり得るため、これを確実に乗り越え得るようする手段が必要である。そこで、本発明においては超音波探傷プローブ30による探傷を行いつつデッキ面の微妙なアンジュレーションや傾斜に関らず超音波探傷プローブ30と被検査物としてのデッキ10との面接触を確保し、また、溶接ビードのような凸部の乗り越えを可能とする構成としている。即ち、図8は本発明の探傷ロボットにおける超音波探傷プローブ30の部分を示しており、超音波探傷プローブ30は矩形のブロック状をなしており、摺動本体27の矩形開口部27-1に幾分の隙間(ガタ)をもって嵌挿(遊嵌)され、超音波探傷プローブ30は車体16に対しては多少は上下・左右に相対移動可能となっている。超音波探傷プローブ30内には周知のように超音波発信部と受信部とを備え、端面30での超音波送受信により被検査物の探傷を行うことができる。そして、超音波探傷プローブ30へ制御信号や電源供給のためのケーブル32も具備される。摺動本体27と上下方向に間隔をおいて超音波探傷プローブ取付板33が配置され、超音波探傷プローブ30は摺動本体27から離間側において超音波探傷プローブ取付板33の矩形開口部33´を挿通されており、超音波探傷プローブ取付板33を挿通した端部で超音波探傷プローブは超音波探傷プローブを包囲しかつ移動方向の前後に橇状に延びるスレッド(sled)34に固定されている。スレッド34が本発明の接触体を構成する。
【0016】
図9に示すようにスレッド34は上面(被検査物との接触面)が超音波探傷プローブ30の被検査面との接触面30´と面一となっている(図11も参照)。また、スレッド34は超音波探傷プローブ30の側面にかしめ等の適当な手段で固定化されている(スレッド34と超音波探傷プローブ30の一体構造も場合によっては可能である)。摺動本体27に対する超音波探傷プローブ30の前記遊嵌構造は超音波探傷プローブ30及びこれに固定されたスレッド34をデッキ面の幾分の傾斜やアンジュレーションに追従して超音波探傷プローブ30及びスレッド34の姿勢を変えデッキ面に対するこれらの面接触を維持させる。更に、スレッド34は超音波探傷プローブ30を挟んでロボット前後方向(溶接部Wの検査のためのロボットの移動方向(図10の矢印f))の前後にU形状部(橇状部)34-1を備え、ロボット移動方向前後のU形状部34-1はスキーのように先端がデッキ10面から離間方向に幾分曲折されている。図10に示すように、スレッド34はロボット移動方向fの左右に前後のU形状部34-1を連結するリンク部34-2を一体に成形しており、このリンク部34-2は図8及び図9に示すようにピン36によって超音波探傷プローブ取付板33に取付られている。更に、図8に示すように摺動本体27からは車体移動方向に離間して2本のスプリングガイド棒38が直立し、各スプリングガイド棒38の一端は摺動本体27に取り付けられ、他端は超音波探傷プローブ取付板33に遊嵌されている。
【0017】
また、スプリングガイド棒38にはスプリング40(本発明の弾性手段)が嵌挿され、スプリング40は一端は摺動本体27に他端は超音波探傷プローブ取付板33に掛装されており、超音波探傷プローブ取付板33を摺動本体27から離間方向に付勢し、換言すれば超音波探傷プローブ取付板33に取り付けられたスレッド34及び超音波探傷プローブ30はスプリング40により車体から離間方向に付勢を受けている。そして、図2に示す探傷時には、スプリング40はその弾性に抗して幾分縮むことにより超音波探傷プローブ30はデッキ10の下面にばねの縮みに応じた圧力下で接触する。そして、図11に示すようにスプリング40は検査のためのロボット移動方向f(図2の紙面直交方向に対応)に離間して2個設けられているため、デッキ面の幾分の傾斜やアンジュレーションがあっても前後の2個のスプリング40の個別的な縮みによりこれに追随し、超音波探傷プローブ30及びスレッド34の姿勢を自動修正し、いずれの方向の移動であってもスレッド34及び超音波探傷プローブ30が移動方向の前後に適宜傾くことで姿勢が調整され、非検査麺の傾斜やアンジュレーションに関らず超音波探傷プローブ30と検査面との面接触(金属接触)が維持され、ロボット移動時にスレッド34が被測定面に対して円滑に滑ることによりスレッド34に支持された超音波探傷プローブ30の被測定面に対する接触を維持し、溶接部Wの高精度での探傷検査を実現することができる。そして、長手方向における隣接デッキ10の接続部のようなロボット移送方向の凸状障害物(図11の紙面では直交方向に位置している)に対しては、超音波探傷プローブ30を支持するスレッド34は移動方向(矢印f)における両端にデッキ面から離間する方向にスキー先端様に曲折されたU形状部34-1を備えているため、いずれの方向の移動であっても自力で凸部を乗り越えることができ、自走ロボットによる作業を中断することなく継続することができる。
【符号の説明】
【0018】
10…デッキ
12…トラフリブ
14…自走ロボット
16…車体
16-3…摺動溝
18, 19…車輪
24, 26…永久磁石
27…摺動本体27
28…超音波探傷部
29…ラック(ピニオンとで本発明の位置調節手段を構成)
30…超音波探傷プローブ
31…ピニオンの軸端
33…超音波探傷プローブ取付板
34…スレッド(本発明の接触体)
34-1…スレッドのU形状部(本発明の曲折部)
38…スプリングガイド棒
40…スプリング(本発明の弾性手段)
W…溶接部(ビード)
【技術分野】
【0001】
この発明は自走式探傷装置に関し、被検査物としての鋼材よりなる被検査物、例えば、橋梁等における鋼床版の下面を磁力に保持されつつ自走しつつ、トラフリブとデッキとの溶接部の亀裂検査等の探傷作業を行うことができるものである。
【背景技術】
【0002】
橋脚等の高架構造の道路の路面は鋼床版上にアスファルト舗装を施して構成される。鋼床版は所定の肉厚の鋼板(デッキ)よりなり、デッキの下面に補強のため、路面幅方向に等間隔をおいて複数配置され、各々が路面縦方向に延びる断面U型の型鋼であるトラフリブを溶接して構成される。鋼床版は車両のタイヤ部分が通過する部位(1車線あたり50cm程度の幅の部分2ヶ所)を中心に荷重を繰り返し受けており、供用年数の経過によりデッキとトラフリブの溶接部に疲労亀裂が発生し得る。溶接部の疲労検査として精度の高い方法としては鋼床版におけるタイヤ通過部位において超音波のエコーにより探傷を行うものが従来より知られている。そして、橋脚等の高架構造の道路におけるデッキとトラフリブとの溶接部のように高所に位置する溶接部の超音波による探傷としては磁力により鋼床版の下面に吸引保持させつつタイヤ型超音波探触子をデッキとトラフリブとの溶接線に沿って転動させることで、超音波により溶接部探傷を行う移動型探傷具が提案されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2008−249510号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1の技術においては、溶接線に沿った探傷具の移動は手動操作である。そのため、鋼床版の下方に足場を架設し、その上での作業を行うことになり、暗所で高所狭隘部での作業は作業者の大きな負担となっていた。また、タイヤ型超音波探触子は内部に超音波の送受信部を備え、被検査物との接触部であるタイヤを介して超音波の送受信を行い、エコー解析により探傷を行うものであった。特許文献1の構造では超音波の送受信部が被検査物の表面の状態による車体の傾斜の影響を直接的に受け、超音波の方向が変化する。これが、測定精度に悪影響を及ぼすことがあった。また、特許文献1の構造は超音波の伝動経路にタイヤのゴム部分が介在しており、直接接触ではないためゴムの物性が超音波信号の伝達に影響を及ぼし、これが測定精度に影響を及ぼす懸念もあった。
【0004】
以上より、作業者の負担が軽く、小型軽量で自走式の遠隔操縦による検査装置がこれまで希求されてきた。本発明では超音波プローブを被探傷部に直接金属接触させ、かつこの接触状態を被検査面の状態に関らず維持するようにすることで従来技術の問題点の解決を図ろうとするものである。また、超音波プローブを被検査面に直接金属接触させかつ自走式とする場合、溶接ビードなど凸部が超音波プローブに干渉し、走破できず作業が非効率になる、若しくは回避するための装置が別途必要となり構造複雑化する問題点があった。
【0005】
本発明では、超音波プローブとして被探傷部に直接接触させ、かつこの接触状態を被検査面の状態に関らず維持し得る遠隔操縦型の小型自走式検査装置とすることで、従来技術の問題点の解決を図るものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の自走式探傷装置は鋼材よりなる被検査物の探傷をその下面側から超音波によって行うものであって、自走型の車体と、車体を被検査物の下面に磁力により吸着保持する手段と、被検査物の下面に接触移動するべく車体に取り付けられる接触体と、接触体の位置調節手段と、前記接触体に設けられ、被検査物の下面に接触移動することにより超音波による被検査物の探傷を行う超音波プローブと、接触体に設けられ、車体の自走に際して被検査物の下面に対する接触体及び超音波プローブの接触を維持するべく接触体を被検査物下面に向けて付勢する弾性手段とを具備してなる自走式探傷装置とを具備してなる。
【0007】
前記弾性手段は車体の移動方向に離間した部位で独立に作用するように配置され、一対のスプリングより構成することができる。そして、接触体は被検査物の下面に摺動移動するスレッドから構成することができ、前記一対のスプリングはスレッドの夫々の端部に設けられる。また、スレッドは移動方向における前端に被検査物から離間方向に曲折した曲折部を有することができる。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、車体の移動の際に、接触体及びそれに取り付けられた超音波プローブは弾性下で被検査物に対する直接接触(金属接触)を維持することができ、かつ移動方向に依存することなく、この直接接触状態を維持することができるため、超音波による探傷を高精度にて実施することができる。また足場架設し、その上で作業者が超音波プローブを被検査面に直接接触させることで検査を行うといった作業員の負担が非常に大きい暗所で高所狭隘部での作業を回避しつつ、溶接ビード等の凸部が被検査面にあってもこれを乗り越えるようにすることができ、自走式の作業を高効率にて行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は鋼床版の構造を模式的に示す斜視図である。
【図2】図2はこの発明に係る超音波探傷用自走ロボットの正面図であり、鋼床版をその下面から探傷中の状態を示す。
【図3】図3は図1の溶接部の拡大図である。
【図4】図4はこの発明に係る超音波探傷用自走ロボットの側面図(図2のIV方向矢視図)である(以下の図10まで鋼床版の図示は省略)。
【図5】図5はこの発明に係る超音波探傷用自走ロボットの平面図(図2のV方向矢視図)である。
【図6】図6は車輪を下にして上から見たこの発明に係る超音波探傷用自走ロボットの斜視図であり、超音波探傷部の構造を示している。
【図7】図7は車輪を下にして上から見たこの発明に係る超音波探傷用自走ロボットの斜視図である。
【図8】図8は図2に示す鋼床版の下面からの探傷中における超音波探傷プローブの取付部を車体の下からみて示す斜視図である。
【図9】図9は超音波探傷プローブの取付部を図8の上からみて示す斜視図である。
【図10】図10は超音波探傷プローブの取付部の平面図(図9のX方向矢視図)である。
【図11】図11は超音波探傷プローブの取付部の側面図(図2のXI方向矢視図)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下本発明を橋梁等における鋼床版(本発明の被検査物)におけるデッキとトラフリブとの溶接部の検査について使用する場合について説明する。図1は鋼床版の構造を略示するもので、鋼床版は周知のように鋼板を素材とし、道路中心に沿った主桁リブ8に沿って間隔をおいて横リブ9を、上面にデッキ10(上面がアスファルト舗装される)を配し、デッキ10の下面における横リブ9間に路面幅方向に間隔をおいて各々が断面U字状でかつ路面長手方向に延びるトラフリブ12を複数配して構成される。図2に示すようにトラフリブ12の開口端(図2の上端)はデッキ10の下面に溶接され、その溶接部(ビード)をWにて示し(図2の溶接部Wは図3に拡大して示される)、溶接部Wはトラフリブ12の長さ方向(図2の紙面直交方向)に延びている。デッキ10及びトラフリブ12は長さ方向には有限の長さであり、長さ方向に隣接するデッキ10及びトラフリブ12は路幅方向の図示しない溶接部(ビード)によって溶接されている。
【0011】
符号14はこの自走式探傷装置としての自走ロボットを示しており、デッキ10の下面を磁力により吸引保持されつつ溶接部Wの方向(図2の紙面直交方向)に自走することにより溶接部Wの超音波による探傷を行うように構成されている。自走ロボット14の車体は様々なパーツから構成されているが、説明の便宜上全体を16にて示す。ロボット14の走行方向における車体16の片側における左右にタイヤ付の駆動輪18が設けられ、反対側の左右に従動輪19が設けられ、車輪18, 19はデッキ10と平行な車軸を備える。駆動輪18と側と従動輪とはベルト20によって連結されている。駆動輪18を駆動するための電動機ユニットを簡明のため全体を21にて示す。電動機ユニット21には電動機及び電動機の出力軸を駆動輪18に伝達するギヤ等が設けられる。電動機は溶接部Wに沿った前後いずれの方向においても移動できるよう逆転可能に構成されている。また、電動機は図示しない電源ケーブルによって外部バッテリに接続され、電動機の駆動制御回路も外部に設けられ、外部からの有線操作によってロボット14の操作制御が可能となっている。外部バッテリ化は電池大型化による早期消耗対策であるが、場合によっては電池内蔵も可能である。
【0012】
車体16は走行方向に対して片側に張出部16-1(図6及び図7等参照)を備えており、張出部16-1にはガイド輪取付部16-2が設けられ、ガイド輪取付部16-2は鋼床版の検査時にはトラフリブ12の斜面12-1と平行(図2の紙面直交方向)となる。図5に示すようにガイド輪取付部16-2はロボット前後方向に離間する一対のガイド輪22を備えている。ガイド輪22は鋼床版の検査時にトラフリブ12の斜面12-1と平行な車軸を備えており(図2も参照)、ロボット14がデッキ10面を転動する際にガイド輪22はトラフリブ12の斜面12-1上を転動することにより、溶接部Wに沿ったロボット14の移動(図2の紙面直交方向)を補助するようになっている。
【0013】
図2のデッキ10に面して、車体16に永久磁石24(本発明の吸着保持手段)が設けられる。永久磁石24は図7には一層明確に示されている。ロボット14の走行に支障がないように永久磁石24はデッキ10からは離間位置しているが、その磁界の向きは鉛直方向を指向するようにされ、強力な磁力によりロボット14をデッキ10に効率的に吸引保持することができる。図7に示すように永久磁石24は車体16の重心若しくはその近くに位置しているため、本体の向きが何らかの原因でトラフリブに沿った向きから外れた場合にも重心軸の回りで回転させ、直進方向し易くなっている。また、車体16のガイド輪取付部16-2にもその両端に補助の永久磁石26が設けられ、永久磁石26はその磁力によりガイド輪22をトラフリブ12の斜面12-1に当接せしめる方向に吸引し、ガイド輪22の案内により被検査部である溶接部Wに沿ったロボット14の移動をよりスムースとする役目を担う。
【0014】
この発明においては超音波による探傷を被検査面との接触を維持しつつ行い、ロボットの車体に対してアタッチメント式取付けられた超音波探傷部28が具備される。超音波探傷部28は超音波探傷プローブ30と、接触体(本実施形態では後述のスレッド34)と、弾性手段(本実施形態では後述のスプリング40)とを備える。超音波探傷部28は摺動本体27を備え、摺動本体27は図6に示すように車体16の張出部16-1における摺動溝16-3に対して矢印aのように車幅方向(デッキ面と平行でかつリブと直交する方向)摺動可能に収容され、超音波探傷部28も同方向aに往復摺動可能となっている。摺動本体27にはラック29の一端が取り付けられ、ラック29の他端は車体の張出部16-1におけるアジャストブロック16-4内に導入されると共にアジャストブロック16-4内に直交方向に配置した図示しないピニオン(ラック29とで本発明の位置調節手段を構成する)に螺合している。ピニオンの軸端は図6に31にて示すようにアジャストブロック16-4の上部より外部に幾分突出され、ピニオンの軸端31には六角棒スパナとの係合部31Aが設けられ、ピニオンを外部よりの工具操作により前後に回すことによりラック29及びこれに連結された摺動本体27は矢印a方向に直線往復移動し、車幅方向における超音波探傷部28、延いては超音波探傷プローブ30の被探傷部に対する最適位置調整が可能となり、また、接触体としての後述スレッド34及び弾性手段としてのスプリング40も一緒に動くためこれらの適正機能を損なうことがない。
【0015】
超音波探傷プローブ30はデッキ10の下面との接触を維持しながら移動することにより超音波による探傷を行う。即ち、超音波探傷プローブ30からは超音波が図2の一点鎖線L(図3の拡大図も参照)のように斜め方向に発射され、これに接触されるデッキ10の内部を伝播し、溶接部Wから反射され、反射波はデッキ10内部を戻り、これに接触する超音波探傷プローブ30を介して受信され、受信波(エコー)の解析により溶接部Wの探傷を行うことが可能である。即ち、図3の拡大図において溶接部Wにおける亀裂をCにて表し、亀裂Cはトラフリブ12とデッキ10との溶接ルート部pからデッキ10内部に進行してゆく。そのため、超音波探傷プローブ30からLのように斜め方向に発射される超音波により亀裂Cの的確な探傷が可能となる。他方、超音波による探傷に際しては原理的に超音波探傷プローブ30とデッキ10との接触維持は必要であるが、現実的には、被検査物としてのデッキ10は避けられない幾分の傾斜やアンジュレーションが存在しており、そのままでは、車体の傾斜の影響を直接受けるため、超音波探傷プローブ30とデッキ10との面接触の維持が精度の高い検査のため必要である。また、長手方向に隣接するデッキ間には路面幅方向全長に溶接部(多くは凸部となっている)があり、本発明のように自走ロボットの場合にはこれが障害物となり得るため、これを確実に乗り越え得るようする手段が必要である。そこで、本発明においては超音波探傷プローブ30による探傷を行いつつデッキ面の微妙なアンジュレーションや傾斜に関らず超音波探傷プローブ30と被検査物としてのデッキ10との面接触を確保し、また、溶接ビードのような凸部の乗り越えを可能とする構成としている。即ち、図8は本発明の探傷ロボットにおける超音波探傷プローブ30の部分を示しており、超音波探傷プローブ30は矩形のブロック状をなしており、摺動本体27の矩形開口部27-1に幾分の隙間(ガタ)をもって嵌挿(遊嵌)され、超音波探傷プローブ30は車体16に対しては多少は上下・左右に相対移動可能となっている。超音波探傷プローブ30内には周知のように超音波発信部と受信部とを備え、端面30での超音波送受信により被検査物の探傷を行うことができる。そして、超音波探傷プローブ30へ制御信号や電源供給のためのケーブル32も具備される。摺動本体27と上下方向に間隔をおいて超音波探傷プローブ取付板33が配置され、超音波探傷プローブ30は摺動本体27から離間側において超音波探傷プローブ取付板33の矩形開口部33´を挿通されており、超音波探傷プローブ取付板33を挿通した端部で超音波探傷プローブは超音波探傷プローブを包囲しかつ移動方向の前後に橇状に延びるスレッド(sled)34に固定されている。スレッド34が本発明の接触体を構成する。
【0016】
図9に示すようにスレッド34は上面(被検査物との接触面)が超音波探傷プローブ30の被検査面との接触面30´と面一となっている(図11も参照)。また、スレッド34は超音波探傷プローブ30の側面にかしめ等の適当な手段で固定化されている(スレッド34と超音波探傷プローブ30の一体構造も場合によっては可能である)。摺動本体27に対する超音波探傷プローブ30の前記遊嵌構造は超音波探傷プローブ30及びこれに固定されたスレッド34をデッキ面の幾分の傾斜やアンジュレーションに追従して超音波探傷プローブ30及びスレッド34の姿勢を変えデッキ面に対するこれらの面接触を維持させる。更に、スレッド34は超音波探傷プローブ30を挟んでロボット前後方向(溶接部Wの検査のためのロボットの移動方向(図10の矢印f))の前後にU形状部(橇状部)34-1を備え、ロボット移動方向前後のU形状部34-1はスキーのように先端がデッキ10面から離間方向に幾分曲折されている。図10に示すように、スレッド34はロボット移動方向fの左右に前後のU形状部34-1を連結するリンク部34-2を一体に成形しており、このリンク部34-2は図8及び図9に示すようにピン36によって超音波探傷プローブ取付板33に取付られている。更に、図8に示すように摺動本体27からは車体移動方向に離間して2本のスプリングガイド棒38が直立し、各スプリングガイド棒38の一端は摺動本体27に取り付けられ、他端は超音波探傷プローブ取付板33に遊嵌されている。
【0017】
また、スプリングガイド棒38にはスプリング40(本発明の弾性手段)が嵌挿され、スプリング40は一端は摺動本体27に他端は超音波探傷プローブ取付板33に掛装されており、超音波探傷プローブ取付板33を摺動本体27から離間方向に付勢し、換言すれば超音波探傷プローブ取付板33に取り付けられたスレッド34及び超音波探傷プローブ30はスプリング40により車体から離間方向に付勢を受けている。そして、図2に示す探傷時には、スプリング40はその弾性に抗して幾分縮むことにより超音波探傷プローブ30はデッキ10の下面にばねの縮みに応じた圧力下で接触する。そして、図11に示すようにスプリング40は検査のためのロボット移動方向f(図2の紙面直交方向に対応)に離間して2個設けられているため、デッキ面の幾分の傾斜やアンジュレーションがあっても前後の2個のスプリング40の個別的な縮みによりこれに追随し、超音波探傷プローブ30及びスレッド34の姿勢を自動修正し、いずれの方向の移動であってもスレッド34及び超音波探傷プローブ30が移動方向の前後に適宜傾くことで姿勢が調整され、非検査麺の傾斜やアンジュレーションに関らず超音波探傷プローブ30と検査面との面接触(金属接触)が維持され、ロボット移動時にスレッド34が被測定面に対して円滑に滑ることによりスレッド34に支持された超音波探傷プローブ30の被測定面に対する接触を維持し、溶接部Wの高精度での探傷検査を実現することができる。そして、長手方向における隣接デッキ10の接続部のようなロボット移送方向の凸状障害物(図11の紙面では直交方向に位置している)に対しては、超音波探傷プローブ30を支持するスレッド34は移動方向(矢印f)における両端にデッキ面から離間する方向にスキー先端様に曲折されたU形状部34-1を備えているため、いずれの方向の移動であっても自力で凸部を乗り越えることができ、自走ロボットによる作業を中断することなく継続することができる。
【符号の説明】
【0018】
10…デッキ
12…トラフリブ
14…自走ロボット
16…車体
16-3…摺動溝
18, 19…車輪
24, 26…永久磁石
27…摺動本体27
28…超音波探傷部
29…ラック(ピニオンとで本発明の位置調節手段を構成)
30…超音波探傷プローブ
31…ピニオンの軸端
33…超音波探傷プローブ取付板
34…スレッド(本発明の接触体)
34-1…スレッドのU形状部(本発明の曲折部)
38…スプリングガイド棒
40…スプリング(本発明の弾性手段)
W…溶接部(ビード)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼材よりなる被検査物の下面側からの超音波による自走式探傷装置であって、自走型の車体と、車体を被検査物の下面に磁力により吸着保持する手段と、被検査物の下面に接触移動するべく車体に取り付けられる接触体と、接触体の位置調節手段と、前記接触体に設けられ、被検査物の下面に接触移動することにより超音波による被検査物の探傷を行う超音波プローブと、接触体に設けられ、車体の自走に際して被検査物の下面に対する接触体及び超音波プローブの接触を維持するべく接触体を被検査物下面に向けて付勢する弾性手段とを具備してなる自走式探傷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の発明において、前記位置調整のための移動の際に接触体と一体に超音波プローブ及び弾性手段が移動するようにされる自走式探傷装置。
【請求項3】
請求項2に記載の発明において、弾性手段は接触体を車体の移動方向に離間した部位において独立に被検査物下面に向けて付勢する自走式探傷装置。
【請求項4】
請求項3に記載の発明において、弾性手段は車体の移動方向に離間した部位に配置された複数のスプリングより成る自走式探傷装置。
【請求項5】
請求項4に記載の発明において、前記接触体は被検査物の下面に摺動移動するスレッドからなり、前記スプリングはスレッドの夫々の端部に設けられる自走式探傷装置。
【請求項6】
請求項5に記載の発明において、スレッドは移動方向における前端に被検査物から離間方向に曲折した曲折部を有する自走式探傷装置。
【請求項1】
鋼材よりなる被検査物の下面側からの超音波による自走式探傷装置であって、自走型の車体と、車体を被検査物の下面に磁力により吸着保持する手段と、被検査物の下面に接触移動するべく車体に取り付けられる接触体と、接触体の位置調節手段と、前記接触体に設けられ、被検査物の下面に接触移動することにより超音波による被検査物の探傷を行う超音波プローブと、接触体に設けられ、車体の自走に際して被検査物の下面に対する接触体及び超音波プローブの接触を維持するべく接触体を被検査物下面に向けて付勢する弾性手段とを具備してなる自走式探傷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の発明において、前記位置調整のための移動の際に接触体と一体に超音波プローブ及び弾性手段が移動するようにされる自走式探傷装置。
【請求項3】
請求項2に記載の発明において、弾性手段は接触体を車体の移動方向に離間した部位において独立に被検査物下面に向けて付勢する自走式探傷装置。
【請求項4】
請求項3に記載の発明において、弾性手段は車体の移動方向に離間した部位に配置された複数のスプリングより成る自走式探傷装置。
【請求項5】
請求項4に記載の発明において、前記接触体は被検査物の下面に摺動移動するスレッドからなり、前記スプリングはスレッドの夫々の端部に設けられる自走式探傷装置。
【請求項6】
請求項5に記載の発明において、スレッドは移動方向における前端に被検査物から離間方向に曲折した曲折部を有する自走式探傷装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−98193(P2012−98193A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−247016(P2010−247016)
【出願日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(591216473)財団法人首都高速道路技術センター (8)
【出願人】(505466295)株式会社イクシスリサーチ (5)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(591216473)財団法人首都高速道路技術センター (8)
【出願人】(505466295)株式会社イクシスリサーチ (5)
【Fターム(参考)】
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