説明

自転車装着型ガス漏洩検査装置

【課題】 安全にかつ高い作業効率でガス漏洩検査を行うことができ、しかも、実質的にすべての自転車に装着することができて使用上の利便性が高い自転車装着型ガス漏洩検査装置を提供すること。
【解決手段】
この自転車装着型ガス漏洩検査装置は、地表におけるガス漏れを検査するためのものであって、ガス吸引ポンプおよびガス検知手段を具えたガス検知ユニットと、当該ガス検知ユニットと可屈曲性を有するガス導通管によって接続されるガス捕集マットを具えたガス捕集ユニットとにより構成されており、ガス検知ユニットが、自転車のハンドルに着脱自在に装着される装着機構を有し、ガス捕集ユニットは、前記ガス捕集マットが前記ガス捕集マットが、自転車の走行時に路面に対接状態で移動されるよう、自転車に着脱自在に装着される装着機構を有する構成とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地表におけるガス漏れを検査するガス漏洩検査装置に関し、詳しくは、例えば、地中に埋設されたガス管よりのガス漏れを検査する自転車装着型ガス漏洩検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地中に埋設された鋼製または鋳鉄製のガス管は、地中環境の影響により経時的に徐々に腐食が進行していくことによって、あるいは、地震等により破損することによって、ガス管の一部からガスが漏洩することがあり、このような場合には、ガス管のガス漏洩個所を早急に探し出して補修する必要がある。
また、ガス管の補修工事が完了した後において、ガスを流す前に、ガス漏洩の有無を検査する必要がある。
【0003】
地中に埋設されたガス管についてのガス漏洩検査に用いられるガス漏洩検査装置としては、例えば、路面に向けて開口するガス捕集口を有するマット状の捕集部材を、車輪を備えた基台に取り付け、マット状の捕集部材を路面上を摺動させてガス捕集口を介して吸引ポンプによって被検査ガスを捕集し、基台上に設けたガス検知手段により被検査ガス中の漏洩ガスを検出する構成(カート式)のものが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平4−53557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のガス漏洩検査装置は、車輪を備えたものであるとはいえ、基台を、ガス捕集口を接地した状態で、手で押しながらガス漏洩検査を行うものであるため、移動に力を要し、移動速度を早めることも困難で、検査作業に長時間の時間を要するという問題を有する。
一方、例えば自動車や自動二輪車を用いて検査労力の低減及び検査速度の向上を図ることも考えられるが、ガソリンエンジン或いはディーゼルエンジン搭載の自動車または自動二輪車を用いるのであれば、原動機からの排気中の有機ガス成分を吸引することがあり、誤検知が生じやすくなる。
【0006】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、安全にかつ高い作業効率でガス漏洩検査を行うことができ、しかも、実質的にすべての自転車に装着することができて使用上の利便性が高い自転車装着型ガス漏洩検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の自転車装着型ガス漏洩検査装置は、地表におけるガス漏れを検査するガス漏洩検査装置であって、
ガス吸引ポンプおよびガス検知手段を具えたガス検知ユニットと、当該ガス検知ユニットと可屈曲性を有するガス導通管によって接続されるガス捕集マットを具えたガス捕集ユニットとにより構成されており、
ガス検知ユニットは、自転車のハンドルに着脱自在に装着される装着機構を有し、
ガス捕集ユニットは、前記ガス捕集マットが、自転車の走行時に路面に対接状態で移動されるよう、自転車に着脱自在に装着される装着機構を有することを特徴とする。
【0008】
本発明の自転車装着型ガス漏洩検査装置においては、ガス検知ユニットにおける装着機構を、ガス検知ユニットを自転車のハンドルバーに懸架させて固定するハンドルバー装着部材と、ガス検知ユニットを自転車のハンドルステムに固定するハンドルステム装着部材とにより構成することができる。
このような構成のものにおいては、ハンドルバー装着部材が、自転車のハンドルバーに対して上方から係合されるハンドルバー係合用フックおよび当該ハンドルバー係合用フックとハンドルバーとを固定する固定手段により構成されており、
ハンドルステム装着部材が、自転車のハンドルステムに対して係合されるハンドルステム係合用フックおよび当該ハンドルステム係合用フックとハンドルステムとを固定する固定手段により構成されていることが好ましい。
【0009】
また、本発明の自転車装着型ガス漏洩検査装置においては、ガス検知ユニットは、内部にガス吸引ポンプおよび当該ガス吸引ポンプを駆動する電源が設けられた筐体と、この筐体の一面に設けられた、装着時に自転車のハンドルステムを受容するハンドル受容部を形成するフレーム部材と、このフレーム部材に設けられた、ガス検出手段を構成する可搬型ガス検知器を着脱自在に保持するガス検知器ホルダーとを具えてなり、前記自転車のハンドルに対する装着機構が、前記ハンドルバー装着部材および前記ハンドルステム装着部材が前記フレーム部材に設けられて、構成されており、
ガス検知器ホルダーは、前記筐体の一面に沿って延びる姿勢で前記ハンドル受容部に収納される収納位置と、前記筐体の一面に垂直な方向に延びる姿勢で固定される動作位置との間で、前記フレーム部材に設けられた水平方向に伸びる水平軸によって回動可能に軸支されて設けられた構成とされていることが好ましい。
【0010】
さらにまた、本発明の自転車装着型ガス漏洩検査装置においては、ガス捕集ユニットにおける装着機構が、ガス捕集マットを牽引する牽引部材と、当該牽引部材の先端に取り付けられた、自転車の本体構成部材に着脱自在に装着される連結部材とにより構成とされていることが好ましい。
ここに、「自転車の本体構成部材」とは、例えばメインフレーム、スタンド、荷台などの走行時においてそれ自体が駆動されるこのないものをいうものとする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の自転車装着型ガス漏洩検査装置によれば、基本的には、自転車を利用してガス漏洩検査を行うことができるので、検査対象領域が広範囲にわたる場合であっても、検査に要する労力を軽減することができると共に作業効率を高めることができ、また、自転車は、誤検知を生ずるおそれのある排気ガスを排出しないものであるので、所期のガス漏洩検査を高い信頼性で行うことができる。
しかも、ガス検知ユニットが自転車のハンドルに着脱自在に装着されると共に、ガス捕集ユニットが前記ガス捕集マットが、自転車の走行時に路面に対接状態で移動されるよう、実質的にすべてのタイプの市販の自転車をそのまま使用することができるので、実際上高い利便性を有するものとなる。また、ガス捕集マットが例えば自転車の後方において牽引されるよう自転車に着脱自在に装着される構成とされる場合には、自転車の走行の妨げになることがなく、ガス漏洩検査を安全に行うことができる。
【0012】
また、ガス検知ユニットにおける装着機構を構成する、ガス検知ユニットを自転車のハンドルバーに懸架させて固定するハンドルバー装着部材のハンドルバー係合用フックを、自転車のハンドルバーに対して上方から係合させてハンドルバー係合用フックとハンドルバーとを固定手段によって固定すると共に、ガス検知ユニットを自転車のハンドルステムに固定するハンドルステム装着部材のハンドルステム係合用フックを自転車のハンドルステムに対して後方から係合させてハンドルステム係合用フックとハンドルステムとを固定手段によって固定することにより、ガス検知ユニットが自転車のハンドルに装着される構成とされていることにより、ガス検知ユニットを特別な工具等を用いることなく、極めて容易に自転車に装着することができる。
【0013】
さらにまた、ガス検知器ホルダーが動作位置と収納位置との間で回動可能に設けられた構成とされていることにより、ガス検知器ホルダーが動作位置に固定された使用時の形態と、ガス検知ホルダーが収納位置で固定された不使用時の形態とを容易に変更することでき、不使用時の形態においては、ガス検知ユニットの搬送が容易であると共にガス検知ユニットの保管が便利である。
【0014】
さらにまた、ガス捕集マットを牽引するための牽引部材の先端部に設けられた連結部材が自転車の本体構成部材に着脱自在に装着される構成とされていることにより、ガス捕集ユニットを特別な工具等を用いることなく、極めて容易に自転車に装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の自転車装着型ガス漏洩検査装置を構成するガス検知ユニットの一例を示す正面図である。
【図2】図1に示すガス検知ユニットの背面図である。
【図3】図1に示すガス検知ユニットの左側面図である。
【図4】図1に示すガス検知ユニットの右側面図である。
【図5】本発明の自転車装着型ガス漏洩検査装置を構成するガス捕集ユニットの一例を示す平面図である。
【図6】図5に示すガス捕集ユニットにおけるガス捕集マットの構成を示す平面図である。
【図7】図6におけるA−A線断面図である。
【図8】図6におけるB−B線断面図である。
【図9】本発明の自転車装着型ガス漏洩検査装置を車両取付型両足スタンドを有する自転車に装着した状態を示す説明図である。
【図10】自転車とガス検知ユニットとの装着状態を示す左側面図である。
【図11】自転車とガス検知ユニットとの装着状態を示す正面図である。
【図12】自転車とガス捕集ユニットとの装着状態を一部を省略して示す平面図である。
【図13】ガス検知ユニットとガス捕集マットとの、ガス導通管による接続状態を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明の自転車装着型ガス漏洩検査装置を構成するガス検知ユニットの一例を示す正面図、図2は、図1に示すガス検知ユニットの背面図、図3は、図1に示すガス検知ユニットの左側面図、図4は、図1に示すガス検知ユニットの右側面図、図5は、本発明の自転車装着型ガス漏洩検査装置を構成するガス捕集ユニットの一例を示す平面図、図6は、図5に示すガス捕集ユニットにおけるガス捕集マットの構成を示す平面図、図7は、図6におけるA−A線断面図、図8は、図6におけるB−B線断面図である。
この自転車装着型ガス漏洩検査装置(以下、単に「ガス漏洩検査装置」という。)は、例えば、地中に埋設されたガス管からのガス漏れを検査するために用いられるものであって、自転車のハンドルに着脱自在に装着されるガス検知ユニット10と、自転車の本体構成部材、例えばスタンドに着脱自在に装着されるガス捕集ユニット50と、ガス検知ユニット10とガス捕集ユニット50とを一次フィルタユニット70(図9参照)を介して配管接続する接続用チューブ72(図9参照)とにより構成されている。
【0017】
ガス検知ユニット10は、背面に開閉可能な蓋12を有する略直方体形状の筐体11を具えており、この筐体11の内部には、ガス吸引ポンプ16および当該ガス吸引ポンプ16を駆動させる電源である円柱状の電池15が配置されている。図1乃至図4において、13は、ガス検知ユニット10を持ち運ぶための把持用取っ手、14A、14Bは、ガス吸引ポンプ16に例えば内部配管チューブ(図示せず)により接続された外部配管接続部、17は、ガス吸引ポンプ16を駆動する電源スイッチ、18は、ガス吸引ポンプ16によって吸引されるガス流量を監視するフロート式の流量計、18Aは、流量調整つまみである。
【0018】
筐体11の正面には、自転車のハンドルステムを受容するハンドル受容部25(図11参照)を形成する断面形状が略コの字型であるフレーム部材20が設けられており、このフレーム部材20の、筐体11に対して垂直に伸びる側板部21の各々に、ガス検知ユニット10を自転車のハンドルバーに懸架させて固定するハンドルバー装着部材が設けられていると共に、フレーム部材20の底板部22における下方部中央位置に、ガス検知ユニット10を自転車のハンドルステムに固定するハンドルステム装着部材が設けられており、これにより、自転車のハンドルに対する装着機構が構成されている。
【0019】
ハンドルバー装着部材は、自転車のハンドルバーに対して上方から係合されるハンドルバー係合用フック26と、このハンドルバー係合用フック26とハンドルバーとを固定する固定用ネジ27とにより構成されている。
ハンドルステム装着部材は、先端にハンドルステムに後方から係合されるU字型の受容部を有するハンドルステム係合用フック28と、このハンドルステム係合用フック28とハンドルステムとを固定する固定用ネジ29とにより構成されている。
【0020】
また、筐体11の正面には、開閉可能な蓋31を有する、可搬型ガス検知器40を内部に収容した状態で着脱自在に保持する略直方体形状のガス検知器ホルダー30が、フレーム部材20の側板部21に設けられた水平方向(幅方向)に伸びる水平軸(図示せず)によって回動可能に軸支されている。
すなわち、ガス検知器ホルダー30は、前記水平軸が内部に挿通された状態で設けられたスプリングピン35によって背面側から付勢されており、筐体11の正面に沿って延びる姿勢、すなわち蓋31に形成された可搬型ガス検知器40の表示部を外部に露出させる開口窓31Aが正面方向(前方)を向く姿勢で、ハンドル受容部25に収納されてロック手段36によって固定される収納位置と、筐体11の正面に垂直な方向に延びる姿勢、すなわち、開口窓31Aが例えば上方を向く姿勢でロック手段36によって固定される動作位置(動作形態)との間で、水平軸の周りに回動可能な状態とされている。
また、ガス検知器ホルダー30は、動作位置において開口窓31Aが適正な方向を向くよう調整可能に設けられている。
【0021】
可搬型ガス検知器40は、例えば吸引式のものが用いられており、被検査ガスが導入されるガス導入部41がガス検知器ホルダー30の外部に露出された状態でセットされて、ガス検知ユニット10におけるガス吸引ポンプ16によって吸引された被検査ガスの一部が可搬型ガス検知器40の内蔵ポンプ45(図13参照)によってガスセンサ46(図13参照)に供給されると共に他の全部がガス検知ユニット10の外部に排出されるよう、ガス検知ユニット10に対して例えばT字管76(図13参照)によってバイパス接続されている。
【0022】
ガス捕集ユニット50は、例えば路面に接地されて用いられるガス捕集マット51と、このガス捕集マット51が自転車の後方において牽引されるよう、自転車の本体構成部材に着脱自在に装着される装着機構とにより構成されている。
【0023】
ガス捕集マット51は、例えばポリウレタンよりなる、平面形状が牽引される方向に長い四角形状であるものであって、前端縁部が斜め上方に向かって傾斜する状態で弧状に湾曲する湾曲部52を有すると共に、後端側部分に、ガス捕集マットの長さ方向における断面形状が台形形状とされた突出部53を有する。図5乃至図8において、59は補強用リブ部である。
【0024】
ガス捕集マット51における突出部53には、下面に開口するガス捕集口53Aを有するガス捕集用空間Sが形成されており、当該ガス捕集用空間Sを区画する上部平坦部には、平板状のベース部材54が埋設されている。ガス捕集用空間Sは、そのガス捕集口53Aの前縁部が斜め上方後方側に向かって伸びるようテーパ状に形成された形状の空間により構成されていることが好ましく、この例では、例えば三角柱状に形成されている。このような形態のガス捕集用空間Sを有することにより、高いガス捕集効率を得ることができる。
ベース部材54における長手方向(ガス捕集マット51の幅方向)の両端部の各々に、ガス捕集用空間Sに連通する接続用ニップル55が先端部が上方に向かって伸びるよう固定されており、これにより、ガス捕集部が構成されている。
【0025】
ガス捕集口53Aは、その開口周縁部が路面に対する十分な大きさの接地面積が確保される位置に、形成されており、また、当該ガス捕集用空間Sを区画する傾斜部は他の部分よりも大きな肉厚で形成されている。これにより、突出部53の自重によってガス捕集口53Aの開口周縁部の路面に対する密着性が高くなり、走行時において、周囲の空気が吸引されることを抑制することができて漏洩ガスの検出感度を高めることができる。
【0026】
ガス捕集マット51における湾曲部52の先端には、略角柱状の固定部56が形成されており、この固定部56には、例えば2つのワイヤー接続用ピン部材57が基端部がガス捕集マット51の幅方向における両端部に埋設されて設けられている。
【0027】
ガス捕集ユニット50における装着機構は、ガス捕集マット51の前端縁部の両端側部分に取り付けられた牽引部材である2本のワイヤー部材60と、各々のワイヤー部材60の先端部に設けられた連結部材と、2本のワイヤー部材60の先端部において当該ワイヤー部材60を連結するロッド状のシャフト63とにより構成されている。
この実施例における連結部材は、例えば、車両取付型両足スタンド用のものであって、スタンド85における路面に接地される横桿部86の外周面に密着してこれを支持する弧状湾曲部66およびこの弧状湾曲部66の両端の各々に連続する板状部67を有する略U字型のクランプ65と、板状部67同士を対接させた状態で固定する固定用ネジ(ちょうネジ)68とにより構成されている(図12参照)。
【0028】
上記ガス漏洩検査装置の一構成例を示すと、ガス検知ユニット10は、幅方向(図1における左右方向)における最大長さが240mm、高さ方向(図1における上下方向)における最大長さが、ガス検知器ホルダー30が収納位置にある場合には250mm、ガス検知器ホルダー30が動作位置にある場合には290mm、前後方向(図1における紙面に垂直方向)における最大長さが、ガス検知器ホルダー30が収納位置にある場合には170mm、ガス検知器ホルダー30が動作位置にある場合には240mm、重量が約1.25kgである。
ガス捕集マット51は、幅方向(図6における上下方向)における最大長さが270mm、長さ方向(図6における左右方向)における最大長さが350mm、厚みが5mm(突出部53の最大厚みが19mm)、重量が約1.4kg、ガス捕集口53Aの開口面積が約120cm2 、ガス捕集用空間Sの容積が約130cm3 、湾曲部52の、ガス捕集マット51の底面に対する傾斜角度は例えば45度である。
ワイヤー部材60の長さは0.4mである。
【0029】
上記ガス漏洩検査装置は、図9に示すように、自転車80に着脱自在に装着されて用いられる。
ガス漏洩検査装置の装着方法について具体的に説明すると、先ず、ガス検知ユニット10におけるロック手段36をその軸方向外方に引くことによりガス検知器ホルダー30のロック状態を解除し、図10および図11に示すように、ガス検知器ホルダー30を開口窓31Aが例えば上方を向く姿勢となるよう回動させた後、ロック手段36を元の状態に戻すことによってガス検知器ホルダー30を動作位置に固定する。そして、ガス検知器ホルダー30におけるホルダーロック32を解除して蓋31を開けて可搬型ガス検知器40をガス検知器ホルダー30内に装着した後、蓋31を閉めてホルダーロック32を施錠し、可搬型ガス検知器40におけるガス導入部41を例えばT字管76(図13参照)を有するガス検知器接続用チューブ75によってガス検知ユニット10における外部配管接続部(GASOUT)14Bとバイパス配管接続する。
次いで、ガス検知ユニット10の正面におけるフレーム部材20の側板部22間のハンドル受容部25に自転車80のハンドルステム83が位置される状態で、2つのハンドルバー係合用フック26を、ハンドルバー82におけるハンドルバー82とハンドルステム83との接合部を挟んだ両側の位置に対して上方から係合させると共に、ハンドルステム係合用フック28を後方からハンドルステム83に係合させてガス検知ユニット10を自転車のハンドル81に懸架させて装着し、ハンドルバー装着部材における固定用ネジ27およびハンドルステム装着部材における固定用ネジ29を締めることによりガス検知ユニット10を自転車80のハンドル81に固定する。
【0030】
また、図12に示すように、ガス捕集ユニット50におけるワイヤー部材60の先端部に設けられたクランプ65を自転車のスタンド85における横桿部86に装着して固定用ネジ(ちょうネジ)68を締めることによりガス捕集ユニット50を自転車80のスタンド85に固定する。
そして、ガス捕集マット51における接続用ニップル55とガス検知ユニット10における外部配管接続部(GASIN)14Aとを一次フィルタユニット70を介して、可屈曲性を有する接続用チューブ72により接続する。ここに、一次フィルタユニット70は、例えば自転車のメインフレーム84に取り付けられたフィルターホルダ71によって保持固定されており、接続用チューブ72は、例えば適宜の結束具により自転車80のメインフレーム84等に固定されている。
【0031】
上記のガス漏洩検査装置による、例えば地中に埋設されたガス管よりのガス漏れを検査するガス漏洩検査方法について説明すると、ガス検知ユニット10の電源スイッチ17を投入してガス吸引ポンプ16を駆動すると共に可搬型ガス検知器40を駆動させた状態において、図9に示すように、埋設ガス管Gの管路に沿って走行させてガス捕集マット51をそのガス捕集口53Aの開口周縁部が路面GLに密着した状態で引きずられるよう牽引されることにより被検査ガスがガス吸引ポンプ16によって吸引されて捕集される。ここに、自転車80の走行速度は、例えば8〜16km/h、例えば8km/hである。
ガス検知ユニット10におけるガス吸引ポンプ16によってガス捕集マット51のガス捕集部より吸引されて捕集された被検査ガスは、図13に示すように、一次フィルタユニット70を介してガス検知ユニット10内に導入され、ガス検知ユニット10内における二次フィルタ19を介してガス検知ユニット10外に排出される被検査ガスの一部が可搬型ガス検知器40の内蔵ポンプ45によってガスセンサ46に供給されると共に他の全部がガス検知ユニット10外部に排出され、被検査ガス中の漏洩ガスの濃度が可搬型ガス検知器40の表示部に表示される。ここに、ガス吸引ポンプ16によって吸引される被検査ガスのガス流量は、例えば0.5〜1.5リットル/minの範囲内、例えば1リットル/minとされており、可搬型ガス検知器40に内蔵された内蔵ポンプ45によって吸引されてガスセンサ46に供給される被検査ガスのガス流量は、例えば0.1〜0.5リットル/minの範囲内、例えば0.35リットル/min(±10%の許容範囲)とされる。 そして、一の検査箇所(検査領域)について、例えば3回程度繰り返して走行することにより、埋設ガス管Gよりの漏洩ガスを概略的に測定(予備測定)して、必要に応じて精密にガス漏洩検査を行うことによりガス漏れ位置が特定される。このガス漏洩検査装置において信頼性の高い測定を行うことのできるガス検知範囲は、例えば、都市ガス(メタンガス)については10ppm以上である。
【0032】
上記構成のガス漏洩検査装置によれば、基本的には、自転車80を利用することにより埋設ガス管Gの埋設箇所に沿って当該埋設ガス管G上を辿ることによりガス漏洩検査を行うことができるので、検査対象領域が広範囲にわたる場合であっても、検査に要する労力を軽減できると共に作業効率を高めることができ、また、自転車80は排気ガスがないので、誤検知が生ずる可能性を低減することができる。
しかも、ハンドルバー装着部材のハンドルバー係合用フック26が自転車80のハンドルバー82に対して上方から係合されてハンドルバー係合用フック26とハンドルバー82とが固定用ネジ27によって固定されると共に、ハンドルステム装着部材のハンドルステム係合用フック28が自転車80のハンドルステム83に対して後方から係合されてハンドルステム係合用フック28とハンドルステム83とが固定用ネジ29によって固定されることにより、ガス検知ユニット10が自転車80のハンドル81に装着される構成とされており、また、ガス捕集ユニット50におけるワイヤー部材60の先端部に設けられたクランプ65が自転車80のスタンド85に装着されてクランプ65とスタンド85とが固定用ネジ68によって固定されて、ガス捕集ユニット50がガス捕集マット51が自転車80の後方の路面GL上を引きずられながら牽引されるよう自転車80のスタンド85に装着される構成とされていることにより、ガス検知ユニット10およびガス捕集ユニット50を、特別な工具等を用いることなく、極めて容易に自転車に装着することができる。
そして、ガス検知ユニット10が装着されるハンドル81における水平方向に伸びるハンドルバー82および垂直方向に伸びるハンドルステム83は、いわば、すべての自転車に共通の必須の構成部分というべきものであるので、例えばスポーツタイプのものや、子供用補助シートが既に装着されたものを除く、実質的にすべてのタイプの市販の自転車をそのまま使用することができ、実際上高い利便性を有するものとなる。また、ガス捕集マット51が自転車80の走行の妨げになることがなく、ガス漏洩検査を安全に行うことができる。
【0033】
さらにまた、ガス検知器ホルダー30が動作位置と収納位置との間で回動可能に設けられた構成とされていることにより、自転車80のハンドル81に装着される使用時の形態と、不使用時の形態とを容易に変更することでき、不使用時の形態においては、ガス検知ユニット10の搬送が容易であると共にガス検知ユニット10の保管が便利である。
【0034】
さらにまた、ガス検知手段として可搬型ガス検知器40が用いられ、当該可搬型ガス検知器40がガス検知器ホルダー30に着脱自在に装着される構成とされていることにより、目的とする検知対象ガスの種類に応じたガスセンサを具えたものを選択的にガス検知器ホルダー30に装着することにより、目的に応じたガス漏洩検査を行うことができて高い汎用性を得ることができる。
【0035】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
例えば、ガス検知ユニットは、電池残存容量が低下したことを報知するバッテリー低下警報機能およびその他の警報機能を有する構成とすることができる。
また、上記実施例においては、可搬型ガス検知器の表示部に表示されるガス濃度値を確認することにより漏洩ガスの存在を確認する構成とされているが、例えば、ガス検知ユニットを、可搬型ガス検知器による検知結果に基づいて漏洩ガスの存在を報知する警報音を発する機能を有するものとして構成し、当該警報音をイヤホーンジャックにより確認することにより漏洩ガスの存在を確認する構成とされていてもよい。
さらにまた、ガス捕集ユニットの装着位置は、自転車のスタンドに限定されるものではなく、例えば、後輪車軸を支持するフレームや後部荷台等であってもよく、また、ガス捕集マットが自転車の走行時において、自転車の前方部または自転車の中央部において路面に対接状態で移動されるよう装着される構成とされていてもよい。
さらにまた、ガス捕集ユニットを構成するガス捕集マットにおけるガス捕集用空間は、ガス捕集口がガス捕集マットの牽引方向(縦長)に伸びるよう形成された構成とされていてもよく、このような構成においても、ガス捕集口の前縁部が斜め上方後方側に向かって伸びるようテーパ状に形成された形状の空間により構成されていることが好ましい。
さらにまた、本発明の自転車装着型ガス漏洩検査装置は、都市ガス(メタンガス)のガス漏洩検査だけでなく、例えばLPG(ブタンガス)等のガス漏洩検査に用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
以上のように、本発明の自転車装着型ガス漏洩検査装置は、実質的にすべてのタイプの市販の自転車をそのまま使用することができるので、例えば埋設ガス管の補修工事が緊急性を要する場合、例えば地震等の災害後のインフラ整備などにおいては、ガス漏洩箇所の特定または補修後の埋設ガス管のガス漏洩の有無を検査するガス漏洩検査が必要とされる現場において、自転車を徴用してガス漏洩検査を行うことができるので、極めて有用である。
【符号の説明】
【0037】
10 ガス検知ユニット
11 筐体
12 蓋
13 把持用取っ手
14A、14B 外部配管接続部
15 電池
16 ガス吸引ポンプ
17 電源スイッチ
18 流量計
18A 流量調整つまみ
19 二次フィルタ
20 フレーム部材
21 側板部
22 底板部
25 ハンドル受容部
26 ハンドルバー係合用フック
27 固定用ネジ
28 ハンドルステム係合用フック
29 固定用ネジ
30 ガス検知器ホルダー
31 蓋
31A 開口窓
32 ホルダーロック
35 スプリングピン
36 ロック手段
40 可搬型ガス検知器
41 ガス導入部
45 内蔵ポンプ
46 ガスセンサ
50 ガス捕集ユニット
51 ガス捕集マット
52 湾曲部
53 突出部
53A ガス捕集口
54 ベース部材
55 接続用ニップル
56 固定部
57 ワイヤー接続用ピン部材
59 補強用リブ部
60 ワイヤー部材
63 シャフト
65 クランプ
66 弧状湾曲部
67 板状部
68 固定用ネジ(ちょうネジ)
70 一次フィルタユニット
71 フィルターホルダ
72 接続用チューブ
75 ガス検知器接続用チューブ
76 T字管
80 自転車
81 ハンドル
82 ハンドルバー
83 ハンドルステム
84 メインフレーム
85 スタンド
86 横桿部
S ガス捕集用空間
G 埋設ガス管
GL 路面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地表におけるガス漏れを検査するガス漏洩検査装置であって、
ガス吸引ポンプおよびガス検知手段を具えたガス検知ユニットと、当該ガス検知ユニットと可屈曲性を有するガス導通管によって接続されるガス捕集マットを具えたガス捕集ユニットとにより構成されており、
ガス検知ユニットは、自転車のハンドルに着脱自在に装着される装着機構を有し、
ガス捕集ユニットは、前記ガス捕集マットが、自転車の走行時に路面に対接状態で移動されるよう、自転車に着脱自在に装着される装着機構を有することを特徴とする自転車装着型ガス漏洩検査装置。
【請求項2】
ガス検知ユニットにおける装着機構は、ガス検知ユニットを自転車のハンドルバーに懸架させて固定するハンドルバー装着部材と、ガス検知ユニットを自転車のハンドルステムに固定するハンドルステム装着部材とにより構成されていることを特徴とする請求項1に記載の自転車装着型ガス漏洩検査装置。
【請求項3】
ハンドルバー装着部材は、自転車のハンドルバーに対して上方から係合されるハンドルバー係合用フックおよび当該ハンドルバー係合用フックとハンドルバーとを固定する固定手段により構成されており、
ハンドルステム装着部材は、自転車のハンドルステムに対して係合されるハンドルステム係合用フックおよび当該ハンドルステム係合用フックとハンドルステムとを固定する固定手段により構成されていることを特徴とする請求項2に記載の自転車装着型ガス漏洩検査装置。
【請求項4】
ガス検知ユニットは、内部にガス吸引ポンプおよび当該ガス吸引ポンプを駆動する電源が設けられた筐体と、この筐体の一面に設けられた、装着時に自転車のハンドルステムを受容するハンドル受容部を形成するフレーム部材と、このフレーム部材に設けられた、ガス検出手段を構成する可搬型ガス検知器を着脱自在に保持するガス検知器ホルダーとを具えてなり、前記自転車のハンドルに対する装着機構が、前記ハンドルバー装着部材および前記ハンドルステム装着部材が前記フレーム部材に設けられて、構成されており、
ガス検知器ホルダーは、前記筐体の一面に沿って延びる姿勢で前記ハンドル受容部に収納される収納位置と、前記筐体の一面に垂直な方向に延びる姿勢で固定される動作位置との間で、前記フレーム部材に設けられた水平方向に伸びる水平軸によって回動可能に軸支されて設けられていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の自転車装着型ガス漏洩検査装置。
【請求項5】
ガス捕集ユニットにおける装着機構は、ガス捕集マットを牽引する牽引部材と、当該牽引部材の先端に取り付けられた、自転車の本体構成部材に着脱自在に装着される連結部材とにより構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の自転車装着型ガス漏洩検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−247691(P2011−247691A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−119631(P2010−119631)
【出願日】平成22年5月25日(2010.5.25)
【出願人】(000250421)理研計器株式会社 (216)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【出願人】(000134903)株式会社ニシヤマ (33)
【Fターム(参考)】