説明

舗装表面のマーキング施工方法

【課題】
本発明の課題は、舗装表面に一段と簡単で、綺麗にマーキングを施工する方法を提供することである。
【解決手段】
舗装表面にマーキングを施工するに際して、別途、舗装表面の色と異なる色のマーキング材料を板状に調製して準備し、その材料から舗装表面のマーキングと同一の形状を切り取り、これを舗装表面に形成されたマーキングの部分にマーキング部周囲の舗装表面の色と同色の接着剤を介して嵌め込むことを特徴とする舗装表面のマーキング施工方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、舗装表面に矢印など進路方向、各種ライン、禁止、許可等を示すマーキングを施す方法に関する。より詳しくは、舗装表面にマーキングを施工する方法に於いて、予め準備されたマーキング材料を用いて舗装表面のマーキングと同一の形状に切り取り、舗装表面に形成されたマーキング部分に嵌め込むことを特徴とする舗装表面のマーキング施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
陸上競技場、屋内外球技場やテニスコート等の各種競技場、ジョギング又はウォーキングコース、ゴルフ場、プール等の歩経路、その他弾性舗装の表面には、進路方向を示す矢印、走行区分を示すライン、スタートライン、ゴールライン等のライン、立入り可能又は禁止等の区域のラインなどを示すような路面標示が施される。
従来、このような路面標示(以下、マーキングと言う)は、例えば、表面がエンボス層である舗装表面にマーキングを施工する方法では、エンボス層を施工するに際して、予めマーキングの形状に合わせた形の粘着テープ又は粘着シートを準備する。この粘着テープ又は粘着シートを、エンボス層を施工する前の舗装層表面上に貼付し、次いで、舗装の全表面にエンボス層を施工する。その後、マーキングの粘着テープ又は粘着シートをその上のエンボス層と共に引き剥がし、舗装表面上にマーキングの型を形成し、次いで、この型に舗層表面の色と区別できる色のマーキング材料を塗布して、マーキングを形成していた。しかしながら、この従来方法では、例え、マーキングの周辺のエンボス表面をシートやフィルムで被っていても、マーキング材料がマーキングの型からはみ出し、マーキングの周縁部分を綺麗に仕上げることが困難であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、舗装表面にマーキングを簡単に、かつ綺麗に施工する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者等は、上記方法について検討し、予め板状のマーキング材料を準備し、この材料から舗装表面のマーキング部と同一の形状を切り取り、これを舗装表面に形成されたマーキング部に、その部分の周囲の舗装表面と同色に調整された接着剤を用いて接着することにより、簡単な方法で綺麗なマーキング施工ができることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の方法は、
1.舗装表面にマーキングを施工するに際して、マーキング材料を板状に調製し、その材料から舗装表面のマーキングと同一の形状を切り取り、これを舗装表面に形成されたマーキングの部分に接着剤を介して嵌め込むことを特徴とする舗装表面のマーキング施工方法、
2.マーキング材料が、舗装表面と同一の材料である1項記載のマーキング施工方法、
3.接着剤が、マーキング部分周囲の舗装表面の色と同色である1項記載のマーキング施工方法、
4.マーキング材料が、舗装表面と同一の材料を用いたエンボス層及びトップコート層を積層してなる1項記載のマーキング施工方法、
である。
【発明の効果】
【0005】
舗装表面にマーキングの型を形成し、この型の中にマーキング材料を直接、塗布する方法では、これらの材料が型からはみ出すのを避けることが難しく、マーキングの周縁部を綺麗に仕上げることが困難であった。しかしながら、本発明の方法では、簡単な方法でマーキングの周縁部を綺麗に仕上げることができるので、舗装表面のマーキング施工方法として優れ、実用的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明に於いて、舗装表面にマーキングを施工するとは、例えば、基盤上に、アスコン層、弾性舗装層、エンボス層及びトップコート層等を積層して得られる弾性舗装において、その舗層表面上に矢印、ライン等の各種識別標識を施工することを言う。本発明のマーキング施工方法では、板状のマーキング材料を準備するところに特徴がある。
すなわち、ポリプロピレンやポリエチレン等の樹脂板上に、通常、マーキングしようとする舗装層の表面層と同種の材料をマーキング材料とし、例えば、弾性舗装で表面層としてエンボス層、ついでトップコート層を施す舗装表面では、樹脂板上にエンボス層、その上にトップコート層を積層した板状のマーキング材料を準備する。
しかし、マーキング材料は、上記に限らずマーキングの目的に応じ、舗装層の表面層と異なる材料を用いてもよい。また、マーキング材料の色は、一般的には、マーキングを施す舗装層表面の色と区別でき、かつ所望の異なる色が望ましい。
【0007】
以下、本発明の好ましい実施の態様を詳しく述べる。
なお、以下の説明に於いて、アスコン層、弾性舗装層、エンボス層及びトップコート層を順次積層してなるものを舗装層と言い、この舗装層の表面を舗装表面と言う。また、アスコン層の上に打設される層を弾性舗装層と言う。
弾性舗装の施工において、舗装表面にマーキングを施すことが決められている場合、少なくとも一方の面が粘着面である粘着シート又は粘着テープをマーキングの形状に合わせて切り取り準備する。少なくとも一方の面が粘着面である粘着シート又は粘着テープとは、シート又はテープの一方の面が粘着性の層を必ず有し、他方の面が剥離性の層又は粘着性の層のいずれであってもよい層を有するものであり、例えば、ガムテープとして知られる粘着テープが挙げられる。
【0008】
弾性舗装は、一般に、基盤上にアスコン層、次いで弾性舗装層を打設して、ついでエンボス層、トップコート層と逐次積層される。
弾性舗装層の打設後、エンボス層の打設に先立ち、マーキングの形に合わせて切り取り準備された粘着シート又は粘着テープを弾性舗装層表面の所望のマーキング位置に必要枚数を貼付する。その後、粘着シート又は粘着テープを貼付した弾性舗装層上にエンボス層を打設し、更にトップコート層を塗布する。
粘着シート又は粘着テープは、これらの層が硬化直前又は直後に、綺麗に引き剥がすことが可能であり、舗装表面上にマーキングの部分が形成される。
なお、舗装表面にマーキングの部分を形成する方法は、この方法に限らず、適切な器具を用いて切り取る方法でもよい。
【0009】
一方、本発明に係わるマーキング方法に適用するため、予め板状のマーキング材料を調製する。ここで言うマーキング材料は、平らな樹脂板等の上にマーキング用の原料を用いて調製される板状の材料を言う。
マーキング材料の原料としては、エンボス層とトップコート層からなるものは、例えば、ポリプロピレンやポリエチレン等の樹脂板の上に、施工の目的に合わせて選ばれた公知原料を舗装施工と同様にエンボス層、更にその上にトップコート層を塗布して調製する。マーキング材料は、マーキングの施工現場で施工時に調製しても、或いは、予め工場で調製して平らな板状として積重ねて搬送しても、又、柔軟性に富むマーキング材料である場合は、巻き取って施工現場に運ぶこともできる。
しかしなから、マーキング材料は、エンボス層とトップコート層に限らず、更に、エンボス層のみ、又は、弾性舗装層のような他の層を含んで形成されるものであってもよい。
【0010】
この板状のマーキング材料から、舗装表面のマーキングに合わせた形状を切り取る。切り取られた材料を、舗装表面に形成されたマーキング部に嵌め込む。
嵌め込むに際して、舗装表面のマーキング部には、接着剤を塗布する。
接着剤は、その種類が特に限定されるものではなく、弾性舗装層とマーキング材料が強固に接着するものであればよい。好ましくは、2液混合型ウレタン又は1液湿気硬化型ウレタンである。
しかしながら、接着剤の色は、マーキングの周縁部を綺麗に仕上げるためには、マーキング部周囲の舗装表面の色に合わせたものが好ましい。好ましい接着剤として、周囲のエンボス層と同色且つ同一の材料を用いることもできる。
【0011】
舗装表面上のマーキング部に、接着剤を塗布し、この上に切り取ったマーキング材料を嵌め込み、押圧し、硬化させてマーキング材料を弾性舗装層に強固に接着させる。
この接着剤は、マーキング部周囲の舗装表面の色と同じ色の接着剤を用いれば、例え、接着剤が多少マーキング部分の周縁部に押出されても、その周縁部が目立つことはない。
【産業上の利用可能性】
【0012】
舗装表面にマーキングを施工する方法として、舗装表面をマーキングに合わせて切り取り、この部分にマーキング材料を塗布する方法では、マーキングの周縁部に滲みが生じ、綺麗ではない。
本発明の方法は、予め調製された板状のマーキング材料からマーキングの部の形に合わせて切り取り、これを舗装表面に形成されたマーキング部に嵌め込む簡単な施工方法であり、特に、マーキング部周囲の舗装表面の色と同色の接着剤を介して嵌め込むとマーキングの周縁部も綺麗に仕上げることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
舗装表面にマーキングを施工するに際して、マーキング材料を板状に調製し、その材料から舗装表面のマーキングと同一の形状を切り取り、これを舗装表面に形成されたマーキング部分に接着剤を介して嵌め込むことを特徴とする舗装表面のマーキング施工方法。
【請求項2】
マーキング材料が、舗装表面と同一の材料である請求項1記載のマーキング施工方法。
【請求項3】
接着剤が、マーキング部分周囲の舗装表面の色と同色である請求項1記載のマーキング施工方法。
【請求項4】
マーキング材料が、舗装表面と同一の材料を用いたエンボス層及びトップコート層を積層してなる請求項1記載のマーキング施工方法。

【公開番号】特開2006−132089(P2006−132089A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−318931(P2004−318931)
【出願日】平成16年11月2日(2004.11.2)
【出願人】(597000906)東洋スポーツ施設株式会社 (6)
【Fターム(参考)】