説明

舗装補修修繕復旧用材料

【課題】 本発明の目的は、舗装の補修修繕や復旧工事において、隣接する合材と同等の種類で施工品質の高い合材材料を随時に必要量を提供することにある。 従来では規格合材のブロックや回収合材の再加熱によって高品質な加熱合材を得る試みが為されたが再加熱時に噴煙と悪臭公害、着火火災を発生させ広範に普及できなかった物性を、安全で無公害で取扱いに優れた物性とする。
【解決手段】 アスファルトプラントで種類別の高温骨材に所定量より大幅に低い重量比1%以下のバインダーを噴射して物性を安定させ粉塵公害防止と冷却後の包体への結合を防止することで廉価な大量生産を可能とし、再加熱時には噴煙悪臭公害や火災を発生させず、骨材の加熱後に追加されるバインダーに強化骨材を混合して品質を向上させ、包体を合材強化に有効利用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、舗装補修修繕復旧用合材の骨材と該骨材を用いた合材の製造及び骨材とその包体の処理方法に係り、さらに詳しくは、少量であるために遠隔地のアスファルトプラントからの輸送高コストの低減化及び温度の急速な低下による品質管理と施工管理への難点の解消のために設置される施工現地加熱混合用ミニプラントへの材料の供給と施工品質の向上、並びに、産業廃棄物となる包体の再利用の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より舗装路面の機能的破損や路床に及ばない構造的破損には臨時処置としては各種の常温合材による転圧補修、常温合材で対応できない場合はアスファルトプラント製造の加熱合材による部分打替えやオーバーレイが施工されている。 又、マンホールや水道、ガス、電線管等の地下埋設物の改修改良新設に伴う舗装の復旧が施工されているが、これらに共通することは舗装用材料が大部分例えば300kg以下の少量施工が多いことである。
【0003】
又、アスファルト混合物の主たる種類と粒度範囲は、粗粒度、密粒度、細粒度アスファルト合材と密粒度、細粒度ギャップアスファルト等と開粒度アスファルトがあり、石油樹脂(脱色)混合物ではカラー舗装材がある。
路面の破損や破壊の補修修繕復旧は隣接する材料と同等のものが望ましいのは言うまでもないが、破損ゃ破壊は緊急性を伴う場合が多々あり、同等の材料を随時調達することに難点がある。
従来の技術としては、合材を加熱する材料としては特開平6ー41906があり、これを間接加熱するする装置としては、特開2002ー227119があり、合材リサイクルを対象とした直接及び間接加熱装置としては特開2001ー40613がある。又、公知の技術としてはアスファルトプラントがある。
アスファルトプラントは主として大規模工事量に対応しており、小規模工事に対応すべく上記の提案が為されたが、材料としてはバインダー成分の分解を抑えるために加熱版の過度の昇温は避けねばならず、これに起因して長時間の加熱を要してしまい繰り返し使用時には実用的ではない。又、合材リサイクル装置では破砕合材自体に重量比5〜7%のバインダーを含んでおりこれを閉鎖個所で直接加熱すると昇温に比例して噴煙を排出し市街地等では公害の原因となる。
更に、開粒度アスファルトによる排水性舗装では特開2000ー282406に示される様に12時間保証の大量生産システムはプラントで確立しているが、同等の材料を少量随時に入手することでは困難を極める。このため排水性舗装の補修修繕には排水性のない密粒度アスファルトを使用せざるを得なく舗装の機能を失う場合も多々生じている。
【0004】
更に、取り壊した舗装合材を施工現場上で加熱再生させる方法も多々開発されているが、市街地では施工温度に達するまで長時間加熱するため、噴煙と悪臭の公害発生要素が避けられず、低公害の材料の開発が待たれていた。
【特許文献1】特開平6−41906
【特許文献2】特開2002−227119
【特許文献3】特開2000−282406
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、舗装現場の近傍で稼働するアスファルトミニプラントに施工に適合する構成骨材の必要量、例えば粗粒度アスコンと密粒度アスコンの2種2層組み合わせにあっても随時に供給可能とすることによって、補修修繕及び打替え復旧個所と同等種類の高品質なアスファルト混合物を得るための材料が提供されることであり、大量貯蔵及び輸送に耐え得る機能を付与することである。
又、路面を構成する骨材の構成粒子には粉塵公害を発生させる成分が多量に存在するため、骨材の配合段階でこれを防止し制御することである。
又、熱分解してその機能が失い易いバインダー成分を含む合材では、バインダーを含まない骨材と混合することで機能を維持し、且つ、ミキサー内壁付着のバインダーを分散させることで熱吸収性を増加させ、且つ、再加熱によって機能が減少する成分を加熱終了後に追加可能とすることである。
又、加熱合材の追加バインダーに取扱い性能が良く、且つ、混合することで粉塵公害が解消される機能性を持たせることである。
更に、市街地等での施工にあっては噴煙や悪臭公害を大幅に低減可能とすることである。
更に又、骨材の包体をアスファルト合材に投入混合する場合に完全に溶解混合しない物性をコントロールすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
骨材の配合及び温度は通常アスファルトプラント内でコンピューター管理され、バインダーの石油アスファルト、改質アスファルト、石油樹脂の混合値は舗装の種類、施工方法、交通量及び気象条件等に適したものが設計採用される。
ここで本発明の要旨とするところは、小面積の施工現場で稼働するミニプラントに少量の適合材料を適量提供し、且つ、公害要素を除去することである。
又、温度管理の容易な高品質な合材を随時に提供することである。
加熱合材の骨材の粒度別材料は常にアスファルトプラントに貯蔵されており、これを製品別に組み合わせて加熱処理をすることによって商品化される。
本発明ではこの能率的な能力に着目すると共に、加熱された骨材にこれも加熱溶解されたバインダーを必要量噴射できる能力に着目した。
【0007】
通常商品としての合材は転圧冷却されることで路面を形成するが、強粘結であることは言うまでもない。この合材をブロック化して商品化することが試みられたが、ブロック化するまでは容易だが、これを貯蔵し且つ施工現場まで輸送するためには強固な輸送用の型枠容器を必要とし且つ壁面を軽油等でカットバックする必要があり周辺を汚染する。型枠を使用せずに包体を使用した場合には貯蔵時に型崩れを起こし強粘結に起因して包体への付着と破壊が進み取扱い利便性のあるブロックとしての機能を失うことになり、且つ、包体が合材の生産の障害となり大量の産業廃棄物を出すことになると共に直接加熱型のミニプラントでは合材の温度上昇によって揮発成分に着火してリサイクル合材同様に火災となる。
【0008】
本発明ではアスファルトプラントの優れた能力に着目し、160〜180℃の熱間骨材への噴射バインダー量を骨材の構成種別に重量比0.1〜1%に制御することで、従来にない取扱い性能が良く廉価で公害発生のない新規な材料の大量生産手段の開発に成功した。
即ち、密粒度アスコン(13)の例で説明すると、所定の規定を満足する1tの加熱用骨材構成で加熱ミックスし、所定のアスファルト量5〜7%の噴射量に対し重量比0.5%及び1%の噴射量にしたところ、ホッパーからダンプトラックの荷台に落下した製品は細粒部分が適度に粗骨材に付着して分布しており、ホッパーからの粉塵も皆無であった。又、1%以上では再加熱時に噴煙が多くなり火災となる。
又、加熱しない同比率の骨材をミックスして1%のバインダーの噴射をしたところ混合状態は斑模様となり、粉塵も発生し粗骨材表面にも厚く分布する部分があり分包には適しない素材となった。
【0009】
通常の製品製造プロセスのバインダー噴射量を制御することによって、ホッパーからの粉塵公害も除去されるとともに、冷却後の分包工程ではバインダーの強粘結性の障害を除去することに成功し、極めて良好な工程管理が実現した。
舗装の種類に対応した骨材構成を持ち、且つ、必要量に正確に対応し、且つ、ミニプラントで再加熱後に追加されるバインダーが完全にミックス可能な材料は従来にない新規性能があり、且つ、分包工程に障害を持たず貯蔵が容易であるという新規な利便性をも併せて獲得した。
【0010】
ここで粗粒を主とする排水性舗装材では、重量比0.2〜1%の範囲にバインダーを混合した4.75mm以下の骨材と2.36mm以上のバインダーを持たない骨材とを分包工程で混合又は種別にバッグインバッグ、或は、カートンインバッグと分別することもできる。又、細粒に4.75mmの粗粒を加えることによってバインダーは適度に分散し分粒が容易となる。更に、バインダーを持たない粗粒に2.36mmの細粒を加えることによって粗粒へのバインダー移行がスムーズになる。
又、重量比0.2〜1.5%の範囲にバインダーを混合する工程を経た4.75mm以下の骨材と2.36mm以上の骨材に重量比0.01〜0.5%好ましくは0.1〜0.2%のバインダーを混合する工程を経た2種の骨材を混合することもできる。この場合は加熱昇温速度が速くなる利点がある。
上記の骨材構成においては、粗粒が75%前後を構成材料とすることから分包或は分別工程で骨材分離が生じ易く、単位当たりの骨材構成にバラツキが生ずるため、計量時点で2種混合或はバッグインバッグ、加熱時点で2種混合をすることにより品質の安定性が得られる手段となる。
この骨材と骨材を分離する工程を加える骨材構成の方法は、排水性舗装のゴム、エラストマー混練改質材を使用する場合、骨材を再加熱する工程で主骨材である粗骨材の表面に熱劣化成分を微量化することによって品質劣化が防止される有効な手段となる。
【0011】
次に、10〜20kgに分包される骨材の包体は通常は使用後に廃棄されるが、その素材構成を選定することによりミニプラントの排気熱を利用して溶融し液化して骨材に添加することで改質アスファルトとすることができる。
改質アスファルト1型、2型では改質材としてスチレン・ブタジエンゴム(SBR)、スチレン・ブタジエンブロックポリマー(SBS)、スチレン・イソプレンブロックポリマー(SIS)、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン・エチルアクリレート共重合体(EEA)等のゴムや熱可塑性エラストマーを改質材として用いる。
本発明では、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)の袋状シートを用いた。このシートはミニプラントの骨材加熱時間内には回転する骨材からの熱伝達が間欠的になるため完全には分子切断できないことは実験により判明しており舗装施工上の障害物となることも判明している。
【0012】
本発明では、骨材加熱の200℃以上の排気熱が常時得られることにに着目しミニプラントの上部に有孔ホルダーを設け、これに包体を投入したところ順調に融点に達し回転する骨材にスムーズに滴下混練した。
この新規な混練方法は包体にポリエチレンテレフタレートやポリプロピレン等、施工転圧によって分子配向強度を得られる素材を用いることが可能であることを示し、従来では舗装材として不適とされた素材を、ことに廃棄物回収レジンも舗装材として有効利用できる途を開拓できる新規性を獲得したことを示すものである。
【0013】
又、アスファルトプラントで噴射されたバインダーは細粒部分に吸収される性質があり、ミニプラントで再加熱される際にこれが引火点以上の温度下では焼損或は炭化して相互が結合して粒度が上がり、ことにフィラーを始めとする細粒の機能が低下することがある。
このことは、合材の施工強度に大きな影響を与えることになるため、熱風を止めてからの溶融バインダーの混練工程で予めバインダーに失われる成分を混練しておくことにより失われた成分を補完することが可能となり現場工程も増加することもなく粉塵公害も発生させない補強手段となる。
【0014】
又、2.36mmや600μm、300μm、150μm、75μmの細骨材又は繊維を設計値に基づいて選定し、バインダーに添加して熱間混練し、これを粒化或は小ブロック化する等、細分化することによってミニプラント内での溶融スピードと均一分散性を上げることができる。
バインダー間は強粘着性であるため、粒子或は小ブロック間に骨材成分である600μm以下の細粒を付着させることによって界面は遮断され取扱いは容易となり計量分包も正確にできることとなる。これをミニプラントに投入することで界面の細粒は新規に骨材となる。
【0015】
又、アスファルトプラントで通常より低い値で噴射されたアスファルトは細粒部分に大部分吸収されるが粗骨材にも微量の残存部があり、この成分がアスファルトの追加時に骨材に対する濡れをはやめると共に全面分散し施工時施工後の剥離を防止する手段となるものである。
又、排水性開粒度アスコンのように粗骨材が75%以上を占める合材では、アスファルトプラント内でバインダーを0.2〜0.5%に制御したとしてもそれを吸着できる細骨材の量が不足し、粗骨材の表面にバインダーが残存し自然冷却時に分包分別分粒の妨げとなる。
このため、25%の細骨材を中心にバインダーを制御して噴射して粉塵公害と細骨材の分離を防いだ後、一工程を追加して75%の粗骨材と混合する手段を採用し、ミニプラントでの加熱時にバインダーを含まない粗骨材或は微量のバインターを含む粗骨材がミキサー内壁の残存バインダーを清掃吸着できる能力を利用すると共にバインダーを含む成分からの熱間分散をする方法によって黒色成分が粗骨材表面に付着し、これに起因して新規に熱吸収速度を上げる手段となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の舗装補修修繕復旧用材料は、舗装の種類に応じた骨材構成を規格品と同等としつつ、そのバインダー、例えば石油アスファルトや石油樹脂やエラストマーやその複合材を骨材の配合段階、合材の製造段階で制御することによって粉塵公害発生源とならない効果があり、再加熱時に噴煙公害が防止され着火火災の危険性のある従来の加熱方法を革命的に改善する効果がある。
【0017】
舗装の普及率が高いのは言うまでもないが、舗装にはその交通量と自然現象に伴って破壊や劣化が必然的に生起する。又、地下埋設工事等に伴う舗装の破壊と復旧は日常的に行われている。これに対する維持管理と復旧には膨大な労力と資材が消費されている。本発明は、比較的に小規模な施工条件に機動的に対応できる効果があり、労力と資材の低減効果、特に緊急時や寒冷期には見るべきものがある。
又、骨材の配合はプラントの能力に依存しながら、これに対するバインダーの噴射量を制御して粉塵公害を防止する効果にもみるべきものがある。
又、骨材の表面結合力を制御することで等分された骨材構成を維持したまま包体への分包や分別が容易となる効果は合材の品質の向上効果として現れると共に保管、貯蔵、輸送、施工面ではバインダーによる周辺の汚染源とならない効果と機械化による大量生産への途を実現してコストを低減する効果がある。
【0018】
品質面での効果は、施工現場の近傍で加熱合材を製造できることによって合材の最も重要な温度管理、ことに寒冷期の施工管理や品質管理には他に替えがたい効果がある。
又、細骨材をバインダーに混合することによって舗装の仕上がり強度が安定して得られる効果も大きい。
更に、混合バインダーを細分化することで作業員は危険物である溶融バインダーを取扱わなくても良くなり、安全管理に多大な効果がある。
更に又、包体を産業廃棄物としてではなく舗装の一部として利用できるようにしたことで資源の有効活用の効果も大きく、更に、舗装の品質向上効果もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図示の実施の形態に基づき本発明を詳説する。
図1の要部断面の模式図、及び、図2はその比較模式断面図である。図1の実施の形態において、本発明に係る舗装補修修繕復旧用材料は、アスファルト舗装要綱に示す仕上がり厚3〜5cm、最大粒径13.2mmの密粒度アスファルト混合物となる規格骨材構成であるが粒径が多岐にわたるため、骨材の相互の相関を示す模式図で説明する。又、粒径が600μm以下のものは黒点で表す。
【0020】
図1に示す骨材の篩い通過最大粒径は、骨材1は13.2mm、骨材2は4.75mm、骨材3は2.36mm、骨材4は600μm 、骨材5は300μm 、骨材6は150μm 、骨材7は75μm を示す。
骨材に付着したバインダー(ここではストレートアスファルト)の層厚は1a、2a、3a、4a、5a、6a、7aで示すように粒度の小さくなるほど層厚が増加することを示す。1a、2aは図示できない範囲にあるため、その位置を示す。
本発明の特徴では、プラント製造段階で粉塵公害が防止され分包或は分別する際に簡易に分粒して計量できると共に包材から取り出す場合に包材に付着しない性質を持つことが重要であり、且つ、分包分別工程で骨材分布が偏在しないことを実現することが重要である。更に、ミニプラントで骨材を再加熱してバインターを追加する工程で骨材全面に施工条件を満たすバインダー量が分布し、且つ、施工時点で転圧剥離を起こさないことも重要である。
【0021】
ここで、図1の骨材1の表面のバインダー1aはアスファルトプラント内での基準値である重量比5%に対し0.5%乃至1%の噴射を受けた時点では全面に分布するが、骨材の粒径が減ずる程に付着度が増加する物理現象に従い、プラントの混練工程でバインダーの移行が進行し骨材1、2のバインダー1a、2aは図示できないほど希薄であり包体に付着して固着する濃度にはならなくなる。骨材2ではこの現象は80%以上みられる。
この新規な知見に従い冷却後の骨材3、4、5、6、7を観察すると質量の大から小に向かって粒径順になだらかに付着度が増加していることが判明した。
又、バインダー量の付着量の多い粒径間の結合は高温(180℃)下ではフィラー以外では大量に生起しないことも判明し、冷却後の粒度分布は振動を与えない限り満足するものであった。
上記のバインダーの分布と骨材の分布度によって包体に安定した材料の分包が可能となった。又、包体をカートンに替えて分別することもできこの場合は50〜100kg詰め多段積み上げで流通される。
【0022】
比較例として重量比5%のバインダー噴射量を持つ合材を示す図2では11、12、13、14、15、16、17の骨材間には空隙18を除いて11a、12a、13a、14a、15a、16a、17aのバインダーが密度濃く骨材相互を結合させており、特に骨材11、12の表面には11a、12aと全面に付着されていることが判明する。
このことは、冷却された時点でバインターは固着することから、熱間分包以外これを均等に分包分別することは不可能であることは明白である。
【0023】
次に、本発明では、赤外線と直接熱風を骨材とプラント内壁に吹きつける図3のミニプラントを用いた。ミニプラントには回転しながら骨材に対して赤外線と併用して直接熱風を吹きつけるタイプとミキサーの底部から加熱する間接加熱タイプ、そしてこの両者併用タイプがある。
ミニプラントの回転ミキサー21は10分間予熱した後に、図1に示す密粒度アスコンの骨材、10kg袋を10袋、計100kgを開袋して投入して回転を開始し、次にバーナーに再着火した。
再着火後の回転ミキサーからの排煙量は極めて少ない状態であり、噴煙公害に至らない状態であった。18分経過後にレーザー温度計により計測して骨材の温度が180℃の施工温度に達したことを確認し、バーナーを消火した後に重量比4.5%、4.5kgのストレートアスファルトに重量比1%、1kgのフィラーを混合溶融した120℃の加熱バインダーを追加して回転混練し良質な密粒度(13)のアスファルト合材を得た。
【0024】
次に、図示しないがバインダーを混合コーティングしない2.36mmの骨材を含む粗骨材に、重量比0.5%のバインダーを混合した4.75mmの粗骨材を含む細骨材を75:25の構成で2種混合した改質2型の排水性開粒度アスコン用骨材10袋100kgを前記同様に回転加熱したところ、加熱開始時点ではバインダーコーティングされない骨材の熱反射が見られたが、加熱開始5分後にはミキサーの内壁からのバインダー分散とバインダーを持つ骨材からのバインダー分散が急速に進むと同時に熱吸収が急速になった。ここで、2.36mmの細粒が壁面からのバインダー移行に有効に作用することが判明した。
又、骨材の加熱開始後図3の有孔ホルダーに1枚33gの包体10枚、計330gを順次挿入した。これの対重量比は100kgに対して微量ではあるがバインダー効果として大きなものがある。
使用された包体の材質はEVAであり、これは改質成分の一部を構成しておりこれを溶解して加えることはバインダーが強化されたことを意味すると共に熱風で失われる成分を補充する作用もある。
又、高分子成分の劣化を防止するために回転速度を密粒度アスコンの加熱時より20%以上げることで熱風接触時間を短縮調整し熱劣化は減少される。
骨材温度が180℃に達した時点で細粒度骨材と植物繊維が混合された改質アスファルトペレットを投入ミキサー混練して高品質な開粒度アスコンを得た。
排水性のある開粒度アスコンは空隙率が15〜25%であり、熱し易く冷め易い特徴がある。アスファルトプラントからの少量の輸送は通常の密粒度アスコンより50%は冷却が早く進み少量輸送では温度管理が困難となる。このことは本発明の材料とその処理方法が品質管理上において決定的な解決法となる。
【0025】
次に、舗装の基層に起因する構造的破損の修繕では、基層に粗粒度アスコンを使用し表層には密粒度アスコンを使用する。ここで少量2種類の舗装材料を必要とする施工ではミニプラント及び本発明の材料は高品質を保持しつつ現地生産のメリットを発揮する。
第一に、破損した基層は強度が不足したことに起因することは明白であり、この修繕材料として同等の強度を持つ材料は再度の破損を招く恐れがある。ここで、基層材料である粗粒度アスコンの現地生産に際し包体を溶融混練することによって改質型粗粒度アスコンが簡易に得られることになり、強度は格段に上昇することは明白である。
第二に現場生産と施工が実現することで寒冷期における温度管理の容易さは施工管理、品質管理を容易にし施工後の品質が格段に向上するメリットがある。
【0026】
カラー舗装の補修修繕においては、石油樹脂バインダーの炭化を防止することが仕上がりの絶対条件であるため、ミニプラントは間接加熱が好ましくバインダーを持つ細粒骨材の投入後は間接加熱されることで良質な舗装材が得られる。
【実施例】
【0027】
骨材ヘの直接加熱型(赤外線発生装置付き)で300kgの処理能力を有するミニプラントでバインダー量の異なる密粒度アスコン(13)を製造した。
【0028】
使用した骨材は、規格骨材構成1tに対しアスファルト量は規格5〜7%の内で重量比5%を採用して比較のための規格品1tと、本発明の骨材のためのバインダー(ストレートアスファルト)0.5%噴射量のアスファルト合材1t、及び、バインダー(ストレートアスファルト)1%噴射量のアスファルト合材1tを夫々アスファルトプラントで製造した。
【0029】
1.規格品は温度の低下と共に仕分け分包が困難となるため90℃に温度降下時 点で10kg詰め20袋を製造し地上に山積みの状態で貯蔵した。
2.アスファルト量が0.5%の骨材は常温18℃に冷却後、1回量10kgの スコップ型計量器を用いて10kg詰め20袋を製造し地上に山積みの状態で 同じく貯蔵した。
3.アスファルト量が1%の骨材は0.5%と同様常温18℃に冷却後、同じく 1回量10kgのスコツプ型計量器を用いて10kg詰め20袋を製造し地上 に同じく山積みの状態で貯蔵した。
【0030】
次に、100kgの加熱合材を得るためのミニプラントでの追加アスファルトの種類はアスファルトプラントと同様針入度60〜80のものを使用した。
このアスファルト10kgを120℃に加熱溶融した後に2つの計量容器に1つは4.5kg、もう一方は4.0kg注ぎ込み、これにフィラー(消石灰)を1kg夫々混練した。前者の混合アスファルトをEVAシート製の袋に流し込み冷却した。後者の混合アスファルトは剥離紙を敷いた平板状の型に流し込み冷却後、裁断機を用いて略2×3×5(cm)の板状小片に加工した後消石灰(フィラー)を散布し相互の接着を防止した。
又、混合アスファルトや改質アスファルトは工業的にペレット化することも可能であり、必要量を計量器を用いて簡易に計量することが好ましいが、その形状に関してはいかなる手段を用いてもよい。
【0031】
次に、ミニプラントのミキサーを回転させながら10分間予熱し90℃に達した時点で回転を止め、前記2に示したアスファルト0.5%噴射量の骨材10袋100kgを順次投入し、バーナーに着火してミキサーを毎分30回転に設定し加熱を開始した。この間に袋詰めの複合アスファルト4.5kgを溶解装置に投入し加熱溶解した。
20分間加熱後に骨材が190℃に達したためバーナーを消火し、ミキサーを毎分10回転に落として溶融混合アスファルトをミキサー内に注入追加した。
注入後はバーナーを消火したままにし、回転を元に戻して骨材とアスファルトの混合を5分間行い、目視で混合を確認した後、ミキサーの口を下降させると共に逆回転させて加熱合材を手押し運搬車に取り出し、高品質な合材を得た。
上記の合材を用いて横55cm、縦3.4m、深さ5cm(t=5)で1.87平方メートルの舗装補修修繕工事を施工した。
ここで、骨材の加熱及びアスファルト加熱に伴う排煙は極めて希薄であり、悪臭公害は発生しない状態であった。このことは、本発明の骨材構成が市街地で常時使用できることを示し、従来にない新規性と優秀性を持つことが証明された。又、騒音も軽度であった。
【0032】
次に、予熱のあるミキサー内に前記3に示したアスファルト1%噴射量の骨材10袋100kgを順次投入し、包体(EVA)10枚は骨材の投入後に溶解ホルダーに挿入し、バーナーに着火してミキサーを毎分30回転に設定して加熱を開始した。
加熱開始15分後に骨材が190℃に達し、且つ、包体の溶解が完了したため、バーナーを消火し、ミキサーを毎分10回転に落として混合アスファルトの板状小片5kgを等間隔に投入した。
混合アスファルト片を投入後にはバーナーを消火したままにし、回転を元に戻して骨材とアスファルトの混合を8分間行い、目視で混合を確認した後、ミキサーの口を下降させると共に逆回転させて加熱合材を手押し運搬車に取り出し、高品質な合材を得た。
上記の合材を用いて横50cm、縦3.6m、深さ5cm(t=5)で1.8平方メートルの舗装補修修繕工事を施工した。
加熱時間が前段より速くなったのは骨材表面のアスファルト量が多いために赤外線の吸収率が上昇したものと考えられる。
加熱に伴う排煙は前段より多少濃度の増加がみられたが、悪臭公害は発生させない状態であった。
【0033】
次に、比較例として前記1の規格品10袋をミニプラントに投入した。ここで、包体である袋と合材は密着して不可分であるためそのまま投入せざるを得なかった。バーナーに着火後3分後には濃度の濃い排煙が出始め10分後には噴煙となり、激しい悪臭公害源となった。更に、15分後には噴煙に着火したため、ミニプラントの運転を停止した。鎮火を待って合材を取り出したところ合材としての品質劣化は顕著であるため、施工は中止された。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る舗装補修修繕復旧用材料の模式断面図である。
【図2】規格合材のアスファルト量を示す模式断面図である。
【図3】本発明の舗装補修修繕復旧用材料から加熱合材を製造するミニプラントの斜視図である。
【符号の説明】
【0035】
1 13.2mmの粗骨材
2 4.75mmの粗骨材
3 2.36mmの細骨材
4 600μmの細骨材
5 300μmの細骨材
6 150μmの細骨材
7 75μmの細骨材
8 空隙
1a 13.2mmの粗骨材表面のバインダー
2a 4.75mmの粗骨材表面のバインダー
3a 2.36mmの細骨材表面のバインダー
4a 600μmの細骨材表面のバインダー
5a 300μmの細骨材表面のバインダー
6a 150μmの細骨材表面のバインダー
7a 75μmの細骨材表面のバインダー
11 13.2mmの粗骨材
12 4.75mmの粗骨材
13 2.36mmの細骨材
14 600μmの細骨材
15 300μmの細骨材
16 150μmの細骨材
17 75μmの細骨材
11a 13.2mmの粗骨材表面のバインダー
12a 4.75mmの粗骨材表面のバインダー
13a 2.36mmの細骨材表面のバインダー
14a 600μmの細骨材表面のバインダー
15a 300μmの細骨材表面のバインダー
16a 150μmの細骨材表面のバインダー
17a 75μmの細骨材表面のバインダー
18 空隙
20 ミニプラント
21 回転ミキサー
22 バーナー
23 有孔ホルダー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
路面舗装用加熱合材において、骨材に重量比0.1〜1%のバインダーを熱間混合して簡易に分粒可能とし、該骨材構成が合材種類別に選別分包分別されていることを特徴とする舗装補修修繕復旧用材料。
【請求項2】
路面舗装用加熱合材において、4.75mm以下の骨材に重量比0.1〜1%のバインダーを熱間混合した骨材と、バインダーを混合しない2.36mm以上の骨材とを混合又は分別した骨材構成を持ち、該骨材が施工目的別に分包分別されていることを特徴とする請求項1記載の舗装補修修繕復旧用材料。
【請求項3】
骨材加熱後に追加するバインダーに4.75mm以下の骨材が混合混練されていることを特徴とする請求項1及び2記載の舗装補修修繕復旧用材料。
【請求項4】
骨材加熱後に追加するバインダーに舗装の強度を増加させるための繊維が混合混練されていることを特徴とする請求項2記載の舗装補修修繕復旧用材料。
【請求項5】
骨材の加熱後に追加される複合バインダーを細分化し、該複合材の界面が合材を構成する細粒によって遮断されていることを特徴とする請求項3及び4記載の舗装補修修繕復旧用材料。
【請求項6】
路面舗装用加熱合材において、加熱ミキサー内壁のアスファルトがバインダーを含まない2.36mm以上の骨材表面に分散することで熱線吸収力が増加し、且つ、4.75mm以下のバインダーを含む骨材からのアスファルト成分の分散によって昇温速度が速まると共に噴煙並びにバインダー成分の劣化が防止されることを特徴とする請求項2記載の舗装補修修繕復旧用材料の製造方法。
【請求項7】
骨材の包体を融点以上に加熱し、加熱回転する骨材に滴下及び/又は垂下することによって骨材の一部或はバインダーの一部とすることを特徴とする請求項1記載の舗装補修修繕復旧用材料の包体の処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−77486(P2006−77486A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−263546(P2004−263546)
【出願日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(391018558)
【出願人】(593012479)株式会社雄交 (3)
【Fターム(参考)】