説明

航空機用の両面式スタータ/発電機

【課題】ガスタービンエンジン(10)から電力を取出すための電磁機械を提供する。
【解決手段】本電磁機械は、ステータ(66)に隣接して回転可能に支持された外側ロータ(76)及び内側ロータ(72)を含む。ステータ(66)は、内側(72)及び外側(76)ロータ間に配置される。ステータ(66)は、内側ロータ(72)に隣接して該ステータの内面上に配置された内側の巻線(67)セットと、外側ロータ(76)に隣接して該ステータの外面上に配置された外側の巻線(65)セットとを有する。空隙(62、64)が、ステータ(66)の外面と外側永久磁石(75)との間及びステータ(66)の内面と内側永久磁石(74)との間に形成される。内側ステータ巻線(67)は、多相巻線セットを形成し、また外側ステータ巻線(65)は、多相巻線セットを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機用の電気機械に関し、より具体的には、ガスタービンエンジンのそれぞれ高圧及び低圧タービンシャフトによって独立して駆動される同軸デュアルロータを有する電気モータ/発電機に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンエンジンは一般的に、1つ又はそれ以上の圧縮機を含み、これら圧縮機には次に、燃焼器並びに高圧及び低圧タービンが続く。これらのエンジン構成要素は、直列流れ連通状態で配置され、かつエンジンの長手方向中心軸線の周りで環状の外部ケーシング内に配置される。作動中に、圧縮機は、それぞれのタービン及び圧縮機空気によって駆動される。圧縮機空気は、燃焼器内で燃料と混合されかつ点火されて、高温の燃焼ガスを発生する。燃焼ガスは、高圧及び低圧タービンを通って流れ、これらタービンは、高温の燃焼ガスが発生したエネルギーを取出して、圧縮機を駆動しまた補助出力を生成するようにする。
【0003】
エンジン出力は、シャフト出力としてか又は飛行中の航空機に動力を供給するための推力としてかのいずれかとして伝達される。例えば、バイパス式ターボファンエンジンにおけるファンロータ又はガスタービンプロペラエンジンにおけるプロペラのようなその他の回転負荷では、高圧及び低圧タービンから出力を取出して、それぞれのファンロータ及びプロペラを駆動するようにする。
【0004】
ターボファンエンジンの個々の構成要素には、作動中に異なる出力パラメータが必要であることは良く理解されている。例えば、ファン回転速度は、先端速度によってある程度に制限され、またこの回転速度は、ファン直径が非常に大きいので、非常に低速にしなければならない。一方、コア圧縮機は、その先端直径が極めて小さいことから、より高速の回転速度で駆動させることができる。従って、航空機用ガスタービンエンジンにおけるファン及びコア圧縮機には、独立した出力伝達装置を備えた別個の高圧及び低圧タービンが必要となる。さらに、タービンは、より高速の回転速度において最も効率的となるので、ファンを駆動するより低速のタービンには、必要な出力を取出すために付加的な段が必要になる。
【0005】
多くの新型の航空機システムは、現在の航空機システムにおける電気負荷よりも大きい電気負荷に適応するように設計されている。現在開発されている商用旅客機設計の電気システム仕様は、現在の商用旅客機の電力の2倍をも要求する可能性がある。この増大した電力需要は、航空機に動力を供給するエンジンから取出された機械的出力から引出さなければならない。例えば高い高度からアイドル状態で降下している間のような比較的低い出力レベルで航空機エンジンを作動させている時に、エンジンの機械的出力からこの付加的電力を取出すことは、エンジンを適切に作動させる能力を低下させるおそれがある。
【0006】
従来から、電力は、ガスタービンエンジンにおける高圧(HP)エンジンスプールから取出される。HPエンジンスプールの比較的高速な作動速度により、該スプールは、エンジンに結合された発電機を駆動するための理想的な機械的動力源となる。しかしながら、単にHPエンジンスプールのみに頼るのではなくて、エンジン内の付加的な動力源から出力を引出して発電機を駆動することが望ましい。LPエンジンスプールは、代りの動力伝達源を提供するが、LPエンジンスプールの比較的低速により一般的に、低速の発電機は多くの場合により高速で作動する同様な定格の発電機よりも大型になるので、ギアボックスの使用が必要となる。ガスタービンエンジンのブーストキャビティは、インサイドアウト発電機を収納することができる利用可能な空間を有しているが、このブーストセクションは、LPエンジンスプールの速度で回転する。
【0007】
しかしながら、比較的低い出力レベルで作動している時(例えば、高い高度からのアイドル降下時又はそれに近い状態時、地上緩速走行での低出力時など)にエンジンからこの付加的な機械的出力を取出すことは、エンジン作動性を低下させるおそれがある。従来から、このような出力は、高圧(HP)エンジンスプールから取出されている。その比較的高速な作動速度により、高圧(HP)エンジンスプールは、エンジンに取付けられた発電機を駆動するための理想的な機械的動力源となる。しかしながら、時として、トルク及び出力を幾つかの他の手段を介してスプールに伝達することによって、このスプール上で利用可能な出力量を増加させることが望まれる。
【0008】
エンジン内の他の動力源は、低圧(LP)スプールであり、このLPスプールは一般的に、HPスプールよりも遙かに低速でありかつ比較的に幅広い速度範囲にわたる速度で作動する。変換せずにこの低速の機械的動力源を使用すると、実用的でない大型の発電機となる。
【0009】
この変換に対しては、様々な形式の従来型の変速機、機械式歯車装置及び電気機械式構成を含む多くの解決方法が、可能である。
【0010】
1つの方法は、発電機を独立して駆動するために第3の中圧(IP)スプールを利用するタービンエンジンである。しかしながら、時として、この第3のスプールはまた、HPスプールに結合することが必要となる。IP及びHPを結合するために使用する手段は、機械式クラッチ又はビスカス型カップリング機構である。
【0011】
2005年5月24日登録の「Geared Turbine Engine with Torque Modulation Capacity」という名称の米国特許第6,895,741号は、3つのシャフトを有する機械式歯車減速エンジンを開示している。ファン、圧縮機及びタービンシャフトは、付加的遊星歯車装置を使用することによって機械的に結合される。効果的なギア比は、電磁機械及び出力変換装置の使用により可変である。
【0012】
米国特許第6,924,574号は、電気機械トルク密度及び効率を改善したデュアルロータ軸方向磁束トロイダル巻き永久磁石機械を開示している。少なくとも1つの同心表面装着永久磁石デュアルロータは、それぞれ背面合せ巻線を備えたトーラス状ステータの内側及び外側に設置される。永久磁石機械は、内側ロータ構成要素及び外側ロータ構成要素を備えたほぼ円筒形状の少なくとも1つの永久磁石ロータと、永久磁石ロータの内側及び外側構成要素間の開口内に配置された中空円筒形状の少なくとも1つのステータとを含む。複数の電線の多層巻線が、少なくとも1つのステータの周りに巻かれる。
【特許文献1】米国特許第6,895,741号公報
【特許文献2】米国特許第6,924,574号公報
【特許文献3】米国特許第6,949,855号公報
【特許文献4】米国特許第6,891,306号公報
【特許文献5】米国特許第6,849,017号公報
【特許文献6】米国特許第6,791,222号公報
【特許文献7】米国特許第6,297,575号公報
【特許文献8】米国特許第5,793,136号公報
【特許文献9】米国特許第4,288,709号公報
【特許文献10】米国特許第4,198,582号公報
【特許文献11】米国特許第2,847,594号公報
【特許文献12】米国特許第2,722,617号公報
【特許文献13】米国特許第2,223,210号公報
【特許文献14】米国特許第6,590,312 B1号公報
【特許文献15】米国特許第6,710,492 B2号公報
【特許文献16】米国特許出願公開第2006/0071575A1号公報
【特許文献17】米国特許出願公開第2005/0110365A1号公報
【特許文献18】米国特許出願公開第2005/0077800A1号公報
【特許文献19】米国特許出願公開第2004/0255590A1号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、LP及びHPエンジンスプールの両方により電力を発生することができる小型のモータ/発電機を備えたガスタービンエンジンに対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、HPスプールに連結されたロータ及びLPスプールに連結されたロータを有する両面式デュアルシャフト(DSDS)電気機械に関する。ステータ部分は、2つのロータ間に配置される。DSDS電気機械は、いずれか一方の又は両方のロータにより電力を発生するように構成される。DSDS機械の内側及び外側ロータシャフトは、それぞれHP及びLPシャフトによって独立して駆動される。独立したロータシャフトは、各ロータが異なる速度で回転し、かつ動力電気変換器を使用して、機械の一側面を発電機として作動させまた電気機械の反対側面をモータとして作動させることを可能とする。ステータは、一対の対向する巻線を含む。各対向するステータ巻線セットは、それぞれのロータに隣接しており、関連するロータから空隙によって分離される。従って、各ロータシャフトの回転速度及び方向は、互いに独立している。
【0015】
本発明の利点は、HP及びLPスプールの両方が、2つの別個の電気機械に比べて質量及び体積がより小さい単一の小型の発電機に連結することができることである。
【0016】
別の利点は、モータ/発電機のいずれか一方又は両方の側面から電力を引出すことができることである。
【0017】
本発明のさらに別の利点は、本発明が、ステータ上の半径方向力の低減、ステータヨーク厚さの低減、フレーム質量の低減及び製作コストの低減を含む、両面式構造のモータ/発電機による全ての特徴を組み入れていることである。
【0018】
本発明のさらに別の利点は、幾つかの故障状態の間に、部分負荷を維持して非常に高い信頼性を得ることができることである。
【0019】
別の利点は、HP及びLP発電機セクションが、磁極の数に関連させて速度範囲及び出力を個別に最適化することができることである。
【0020】
本発明の別の利点は、2つのより小型の機械の代わりにより大出力定格機械を使用することを可能にし、航空機上での空間容積の消費をより少なくしかつ幾つかの用途において直接駆動を可能とすることによってコストを大幅に削減する。
【0021】
本発明の他の特徴及び利点は、実施例によって本発明の原理を示す添付の図面と関連して行った、好ましい実施形態の以下のより詳細な説明から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
可能な場合には常に、図面全体を通して同一の参照番号を使用して、同じ又は類似した部品を示すことにする。
【0023】
図1に示すのは、全体として前方方向14及び後方方向16に延びるほほ軸方向に延びる軸線又は中心線12を有する例示的なターボファンエンジン10である。バイパス式ターボファンエンジン10は、全てが直列軸流関係に配置された高圧圧縮機20と、燃焼器22と、高圧タービンブレード24の列を有する高圧タービン(HPT)23とを備えたコアエンジン18(ガス発生機とも呼ばれる)を含む。高圧圧縮機20の高圧圧縮機ブレード64は、エンジン10の中心線12の周りで同軸に配置されて高圧スプール21を形成した大径の環状コアエンジンシャフト26によって高圧タービンブレード24に対して駆動係合状態で固定連結される。
【0024】
コアエンジン18の燃焼器22は、高圧圧縮機20からの加圧空気を燃料と混合しかつ得られた燃料及び空気混合物を点火して、燃焼ガスを生成する。高圧タービンブレード24によって、幾らかの仕事がこれらのガスから取出され、高圧タービンブレード24は、高圧圧縮機20を駆動する。燃焼ガスは、コアエンジン18から低圧タービンブレード28の列を有する出力タービン又は低圧タービン(LPT)27内に吐出される。低圧タービンブレード28は、より小径の環状低圧シャフト30に固定取付けされ、この低圧シャフト30は、エンジン10の中心線12の周りでコアエンジンシャフト26内に同軸に配置されて低圧スプール29を形成する。低圧シャフト30は、エンジンファンセクション35の軸方向に間隔を置いて配置された第1及び第2段31及び33を回転させる。第1及び第2段ファン31及び33は、それぞれほぼ半径方向外向きに延びかつ円周方向に間隔を置いて配置された第1及び第2段ファンブレード32及び36の第1及び第2段列を含む。
【0025】
ファンバイパスダクト40は、第2段ファン33及びコアエンジン18を囲む。コア吐出空気流170は、低圧タービン27から吐出されて、ファンバイパスダクト40から後部可変面積バイパスインジェクタ(VABI)53を通して吐出されたバイパス空気流178と混合される。混合は、排気流が形成されるテールパイプ69内で行われ、排気流は、可変面積排気ノズルを通して吐出される。オプショナルアフタバーナ130を使用して、エンジン10の推力ポテンシャルを高めることができる。
【0026】
図2を参照すると、両面式デュアルシャフト(DSDS)電気機械は、その全体を符号100で示している。内側及び外側ロータ72、76は、独立しており、異なる速度で回転可能である。各ロータ72、76は、それぞれ各シャフト26、30に対して少なくとも1つの軸受73、77を有する。軸受の位置及び型式は、適用要件に基づいて変化させることができる。
【0027】
次に、図2及び図3を参照すると、タービンエンジン10は、外側ロータコア76及び内側ロータコア72を備えたDSDS機械100を含み、これらのロータコアは、ほぼ中空の円筒状構成要素であり、内側及び外側ロータコア72、76間には、ステータ部分66が、軸線12の周りで同心に配置される。対向するフレームセクション56、58は、エンジン10内部でステータ部分66に対して剛性支持を与え、HPシャフト26及びLPシャフト30を回転可能に支持するための軸受73、77用の中心開口部を含む。内側のステータ巻線67セットは、ステータ部分66の半径方向内面上に取付けられる。内側ステータ巻線67は、相互接続されて第1の多相巻線88セットを形成する(例えば、図5及び図6を参照)。外側のステータ巻線65セットは、ステータ部分66の半径方向外面上に取付けられる。外側ステータ巻線65は、相互接続されて第2の多相巻線89セットを形成する(例えば、図5及び図6を参照)。外側ロータコア76は、外側永久磁石75を有し、また内側ロータコア72は、内側永久磁石74を有する。ステータ部分66は、外側歯部分104及び内側歯部分106を有し、それら歯部分は、スロット80、84によって分離されている。外側ステータ巻線又はコイル65及び内側ステータ巻線又はコイル67は、それぞれ外側ステータコイル保持ウェッジ108及び内側ステータコイル保持ウェッジ110によってスロット80、84内に保持される。2側面ステータ部分66と外側ロータ76に取付けられた永久磁石75との間に、外側空隙62が形成され、またステータ部分66と内側ロータ72に取付けられた永久磁石74との間に、内側空隙64が形成される。図3に示す実施形態では、ステータ部分66は、軸線12と平行にステータヨーク部分116内に配置された複数の円周方向に間隔を置いたボルト68による積層スタックの圧縮により構造的に補強される。ボルトシャフト70及び少なくとも1つのボルト端部68は、絶縁体チューブ71及び絶縁体リング79によって積層体及びフレーム構造体から絶縁されて、誘導電流並びにそれにより生じる損失及び加熱を回避する。図3に示す実施例では、スロット当たり1つのボルトを使用し、またボルト穴の位置は、例えばボルト穴69のようにステータ歯104、106と整列しているが、当業者には分かるように、より多い又はより少ないボルトを使用することもできる。また、巻線65、67を空気冷却するための外側ステータ巻線65間のエアーキャビティ112及び内側ステータ巻線67間のエアーキャビティ114もまた、示している。
【0028】
図3では、歯部分104、106の対間に形成されたスロット80、84内に配置されたステータ巻線65、67は、並んで配置されている。巻線65、67は、ステータ歯部分104、106の周りにトロイダル状に巻かれるのが好ましい。これらの巻線はまた、上部及び下部層内に又はスロット80、84当たり単一のコイルとして配置することができる。内側コイル67は、相互接続されて1つの多層巻線セットを形成し、また外側コイル65は、相互接続されて第2の多層巻線セットを形成する。それぞれ各巻線セットを駆動するように変換器90(例えば、図5及び図6を参照)を接続して、各巻線セットを独立して作動させるようにすることができる。従って、一般に、HP及びLPシャフト26、30は、同一方向又は反対方向に同時に回転させることができ、かつ一致した速度で又は別個の異なる速度で作動するように制御することができる。
【0029】
この例示的な実施形態での磁極74、75は、表面装着永久磁石磁極である。別の実施形態では、埋込永久磁石磁極、巻線磁場磁極、リラクタンスロータ磁極、箱型又は巻線誘導型磁極などを、ロータ72、76のいずれか一方又は両方の永久磁石磁極の代わりに使用することができる。内側及び外側機械についての磁極数、スロット数及び位相数は、個々の電力要件に応じて変化させることができる。さらに、2つの側面は、独立して構成しかつ最適化することができる。
【0030】
信頼性及び耐故障性は、航空機で使用する全ての電気機械に対して重要である。本発明によると、内側ロータ部72又は外側ロータ部76のいずれかによる多層巻線は、複数のセットに分離することができ、各位相セットは、個々の変換器90によって駆動される。従って、変換器90又は機械巻線65、67の故障の場合には、1つ又は複数の位相セットのみが作動不能になるが、残りの位相は、航空機に電力を供給するように作動可能な状態のままである。
【0031】
図4を参照すると、この本発明の例示的な実施形態では、内側及び外側ステータ巻線67、65が独立した多相発電機として構成されている。外側の巻線65セットは、A1〜F1として示した6層の多相巻線65の形態で配置される。永久磁石75は、N極及びS極間でその極性が交互しており、それによって、該磁石75が外側ロータ76上で巻線A1〜F1を通過して回転すると、巻線A1〜F1内に電磁エネルギーを誘導して、空隙62を越えてステータ歯部分104との間で磁束経路を形成する。内側の巻線67セットは、この実施例では、相巻線A1〜F1とは独立している3相の多相巻線A〜Cとして配置される。永久磁石74は、該磁石74が内側ロータ72上で巻線A〜Cを通過して回転すると、内側ステータ巻線67と関連する相巻線A〜Cの3つ全ての唯一の励起源を構成して、空隙を越えてステータ歯部分106との間で磁束経路を形成する。
【0032】
図5及び図6を参照すると、各多相巻線88セットは、変換器90によって駆動されて、各巻線88セットが互いに独立して作動することを可能にする。従って、シャフト26、30は、(a)反対方向に、(b)同一方向に異なる速度で又は(c)同一方向に同一速度で、同時に回転することができる。
【0033】
図5及び図6は、多相巻線88が複数セットに分離されている場合の例示的な実装例である。図5には、相巻線の2つのセット88、すなわちN相として構成された相巻線の第1のセット86とN相として構成された相巻線の第2のセット89とがある。各相巻線セット86、89は、個々の変換器90によって駆動される。図6に示す別の実施形態では、3相巻線88は各々、個々の専用の変換器ユニット90によって駆動される。
【0034】
図7は、航空機エンジンにおける両面式電気機械100の実施形態を示す。DSDS機械100は、LPスプール30及びHPスプール26の両方に連結されて、電力を発生し、また幾つかの実施例ではHPスプール26を始動する。LPスプール30は、ギアボックス92を介して内側ロータ72に連結される。ギアボックス92は、機械式ギアボックス又は磁気式ギアボックスのいずれかとすることができる。外側ロータ76は、これも同様に機械式又は磁気式装置とすることができる別のギアボックス94を介してHPスプール26に連結される。DSDS機械100は、必要に応じて、内側ロータ72又は外側ロータ76のいずれかから機械的出力を取出して電気的出力(電力)にすることができる。シャフト26、30のいずれかを通してHP又はLPタービンから取出した電力の相対量は、変換器90によって完全に制御可能であり、機械はそれに合わせて設計される。両側のギアボックス92、94は任意選択的なものであり、システム設計パラメータに応じてギアボックスのいずれか一方又は両方を除去することができる。また、DSDS機械100のトルクレベル及び最大速度に応じて、HPシャフト26は、内側ロータに連結でき、LPシャフト30は外側ロータに連結することができる。
【0035】
両面式機械を全体的に2つの発電機構成として説明してきたが、DSDS機械は、内側又は外側巻線65、67セットのいずれかに電力を供給し、従ってロータ部72、76の1つに回転を生じさせることによって、タービンエンジン10のスタータモータとして作動させることができることは、電気機械の分野の当業者には分かるであろう。いずれかのロータを始動モータとして作動可能にしてエンジン10を始動することができるが、HPタービンシャフトに連結されたロータを始動モータとして使用するのが好ましい。
【0036】
好ましい実施形態に関して本発明を説明してきたが、本発明の技術的範囲を逸脱することなく、本発明の要素に対して様々な変更を加えることができ、また本発明の要素を均等物で置き換えることができることは、当業者には分かるであろう。さらに、本発明の本質的な技術的範囲を逸脱することなく、特定の状況又は物的要件を本発明の教示に適合させるように多くの変更を行うことができる。従って、本発明は、本発明を実施するのに考えられる最良の形態として開示した特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明が、特許請求の範囲の技術的範囲の範囲内に属する全ての実施形態を含むことになることを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】例示的な航空機用ターボファンガスタービンエンジンの長手方向概略断面図。
【図2】本発明の両面式電気機械の軸方向部分断面図。
【図3】本発明の両面式電気機械の部分断面図。
【図4】内側及び外側部分について異なる数の相を有する本発明の両面式電気機械の概略部分断面図。
【図5】両面式機械と電力変換器との間の1つの例示的な相互接続を示す概略図。
【図6】両面式機械と電力変換器との間の別の例示的な相互接続を示す概略図。
【図7】低圧及び高圧スプールに連結された本発明の両面式電気機械の概略図。
【符号の説明】
【0038】
10 ターボファンエンジン
12 軸線
14 前方方向
16 後方方向
18 コアエンジン
20 HP圧縮機
21 HPスプール
22 燃焼器
23 HPタービン(HPT)
24 HPTブレード
26 大径シャフト
27 LPタービン(LPT)
28 LPTブレード
30 LPシャフト
31 第1段ファン
32 第1段ファンブレード
33 第2段ファン
35 エンジンファンセクション
36 第2段ファンブレード
40 ファンバイパスダクト
53 VABインジェクタ
56 フレームセクション
58 フレームセクション
60 内側空隙
62 外側空隙
64 HP圧縮機ブレード
65 外側ステータ巻線
66 ステータ部分
67 ステータ巻線(内側)
68 積層体圧縮ボルト
69 ボルト穴
70 ボルトシャフト
71 絶縁体チューブ
72 内側ロータコア
73 ロータ軸受(内側)
74 内側永久磁石
75 外側永久磁石
76 外側ロータコア
77 外側ロータ軸受
78 外側ステータ巻線
79 絶縁体リング
80 スロット
82 ステータ巻線
84 スロット
86 第1の多相巻線セット
88 多相巻線
89 第2の多相巻線セット
90 変換器
92 LPギアボックス
100 DSDS電気機械
104 外側ステータ歯部分
106 内側ステータ歯部分
108 保持ウェッジ
110 保持ウェッジ
112 外側エアーキャビティ
114 内側エアーキャビティ
116 ステータヨーク部分
130 オプショナルアフタバーナ
170 コア吐出空気流
178 バイパス空気流

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンエンジンから電力を取出すための電磁機械であって、
外側ロータ要素(76)及び内側ロータ要素(72)と、対向するフレーム部分とを含み、
前記外側ロータ要素(76)及び内側ロータ要素(72)は、中心軸線(12)の周りで該外側ロータ要素(76)及び内側ロータ要素(72)の間に同心に配置された固定ステータ部分(66)に隣接して回転可能に支持されており、
前記対向するフレーム部分は、前記ステータ部分(66)の第1の端部及び第2の端部において連結されて前記エンジン(10)内に前記ステータ部分(66)を支持しており、
前記ステータ部分(66)が、前記内側ロータ(72)に隣接して該ステータ部分(66)の半径方向内面上に配置された内側のステータ巻線(67)セットと、前記外側ロータ(76)に隣接して該ステータ部分(66)の半径方向外面上に配置された外側のステータ巻線(65)セットとを有し、
複数の外側永久磁石(75)が、前記外側ロータ要素(76)の内面上に配置され、また複数の内側永久磁石(74)が、前記内側ロータ要素(72)の外面上に配置されて、前記ステータ部分(66)の外面と前記外側永久磁石(75)との間に外側空隙(62)が形成され、また前記ステータ部分(66)の内面と前記内側永久磁石(74)との間に内側空隙(64)が形成され、
前記内側ステータ巻線(67)が電気的に相互接続されて第1の多相巻線セットを形成しまた前記外側ステータ巻線(65)が電気的に相互接続されて第2の多相巻線セットを形成して、電気負荷に電力を供給するようにする、
電磁機械。
【請求項2】
前記ステータ巻線が、歯部分(106)の対間に形成されたスロット(80、84)内に配置される、請求項1記載の電磁機械。
【請求項3】
前記内側(67)及び外側(65)ステータ巻線が、前記スロット(80、84)内に並んで配置される、請求項1記載の電磁機械。
【請求項4】
前記内側(67)及び外側(65)ステータ巻線が、前記ステータ歯部分(106)の周りにトロイダル状に巻かれる、請求項1記載の電磁機械。
【請求項5】
前記内側(67)及び外側(65)ステータ巻線が、少なくとも1つの層として配置される、請求項1記載の電磁機械。
【請求項6】
前記内側(67)及び外側(65)ステータ巻線が、スロット(80、84)に対する1つのワインダとして配置される、請求項1記載の電磁機械。
【請求項7】
前記内側ステータ巻線(67)が、相互接続されて1つの多相巻線セットを形成し、前記外側ステータ巻線(65)が、相互接続されて第2の多相巻線セットを形成する、請求項1記載の電磁機械。
【請求項8】
複数の変換器(90)をさらに含み、
前記変換器(90)の各々が、巻線セットに接続されて、該関連する相巻線を独立して駆動する、
請求項1記載の電磁機械。
【請求項9】
HPタービンの駆動シャフト(26)及びLPタービンの駆動シャフト(30)が、同一方向又は反対方向に同時に回転可能であり、また一致した速度で又は別個の異なる速度で制御可能に作動可能である、請求項1記載の電磁機械。
【請求項10】
前記対向するフレーム部分が、該機械の両端部における軸方向開口部と、前記内側(72)及び外側(76)ロータ要素に連結されたHPシャフト(26)及びLPシャフト(30)を回転可能に支持するための少なくとも2つの軸受とを含む、請求項1記載の電磁機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−148550(P2008−148550A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−315325(P2007−315325)
【出願日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】