説明

航空機電気ブレーキシステムのための自動ブレーキ機能のためのシステムおよび方法

航空機について用いるために適した電気自動ブレーキ機能のためのシステムおよび方法が開示される。システムは、マスタ自動ブレーキ指令を生成するように構成された単一のマスタ自動ブレーキチャネルと、自動ブレーキマスタ指令を受取るように構成された複数のスレーブ自動ブレーキチャネルとを含む。方法は、自動ブレーキ指令作動データを受け取り、自動ブレーキ指令作動データに基づいて共通の自動ブレーキマスタ指令を算出し、全てのブレーキアクチュエータを作動させる共通の自動ブレーキマスタ指令を使用することによって、ブレーキの作用を同期させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
この発明の実施例は、概して、航空機のための電気ブレーキシステムに関する。より特定的には、この発明の実施例は、航空機の電気ブレーキシステムのための自動ブレーキ機能に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
多くの航空機は、直接ケーブルまたは油圧制御アーキテクチャによって制御されるブレーキ機構を有するブレーキシステムを使用する。現代の航空機は、従来のケーブル作動される航空機ブレーキシステムおよび油圧作動される航空機ブレーキシステムを、電気的に作動され電気的に制御されるブレーキシステムに置き換え始めている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
先進航空機は、自動的にブレーキを作用する自動ブレーキ機能を用いる。自動ブレーキは、ブレーキシステムが自動化されたシステムにより扱われている時々において、離陸または着陸中の他の職務を実行するようにパイロットを自由にする。自動ブレーキシステムは、安全構成とともに設計されるべきである。特に、信頼できるブレーキ制御およびロバスト性を供与するために、航空機ブレーキシステムは、独立し、かつ重複した十分なプロセスを含むべきである。独立したチャネルに基づく電気航空機ブレーキシステムの制御には、同期のとれたブレーキ作用を確保するために、全ての独立したチャネルから出力された同じ自動ブレーキ指令が望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
簡単な概要
航空機について用いるために適した電気自動ブレーキ機能のためのシステムおよび方法が開示される。1つの実施例では、左右対称のブレーキ作用を確保するために、複数のブレーキシステム制御チャネルのうちの1つにおいてのみ、自動ブレーキ制御機能性が有効にされる。システムは、マスタ自動ブレーキ指令を生成するように構成されたマスタ自動ブレーキチャネルと、自動ブレーキマスタ指令を受取るように構成された複数のスレーブ自動ブレーキチャネルとを含む。マスタチャネルは、自動ブレーキ指令作動データを受け取り、自動ブレーキ指令作動データに基づいて自動ブレーキマスタ指令を算出し、全ての航空機車輪に同時にブレーキが作用するように全てのブレーキアクチュエータに対して共通の自動ブレーキマスタ指令を生成することによって、ブレーキの作用を同期させる。
【0005】
電気ブレーキシステムのための自動ブレーキ機能のための方法によって、上記および別の局面が、1つの実施例において実行されてもよい。方法は、自動ブレーキ指令作動データを受取るステップと、自動ブレーキ指令作動データに基づいて自動ブレーキマスタ指令を算出するステップと、スレーブ自動ブレーキチャネルに自動ブレーキマスタ指令を送るステップと、自動ブレーキマスタ指令に応答してスレーブ自動ブレーキチャネルの各々に対してスレーブ自動ブレーキ制御信号を生成するステップと、スレーブ自動ブレーキ制御信号を用いてスレーブ自動ブレーキチャネルのブレーキアクチュエータの各々の作動を制御するステップとを含む。
【0006】
電気ブレーキシステムのための自動ブレーキ機能のための他の方法によって、上記およ
び別の局面が、他の実施例において実行されてもよい。方法は、自動ブレーキ指令作動データを受取るステップと、自動ブレーキ指令作動データに基づいて自動ブレーキマスタ指令を算出するステップと、自動ブレーキマスタ指令に応答してブレーキ作用を同期させるステップとを含む。
【0007】
この概要は、詳細な説明で以下にさらに説明するいくつかの概念を簡略化した形で紹介するために提供される。この概要は、特許請求される主題の主要な構成または不可欠な構成を特定することを意図しておらず、特許請求される主題の範囲を決定する際の助けとして用いられることも意図していない。
【0008】
図面の簡単な説明
以下の図面に関連して詳細な説明および特許請求の範囲を参照することで、この発明をより完全に理解することができるであろう。図中、同様の参照番号は、同様の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】航空機電気ブレーキシステムの概略図である。
【図2】航空機電気ブレーキシステムのための電気自動ブレーキ機能のためのシステムの概略図である。
【図3】航空機の電気ブレーキシステムのための自動ブレーキ機能のためのプロセスを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
詳細な説明
以下の詳細な説明は本質的に単に例示的なものに過ぎず、この発明の実施例またはそのような実施例の適用および使用を制限することを意図していない。さらに、上述の技術分野、背景、簡単な概要または以下の詳細な説明に示される明示的または暗示的な理論によって束縛される意図はない。
【0011】
この発明の実施例は、この明細書中で、機能的および/または論理的ブロック構成要素およびさまざまな処理ステップの面で説明される。そのようなブロック構成要素は、特定された機能を実行するように構成された任意の数のハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェア構成要素によって実現されてもよいことが理解されるべきである。たとえば、この発明の実施例は、1つ以上のマイクロプロセッサまたは他の制御装置の制御下でさまざまな機能を実行するさまざまな集積回路構成要素、たとえばメモリ素子、デジタル信号処理素子、論理素子、ルックアップテーブルなどを使用してもよい。加えて、当業者は、この発明の実施例が、さまざまな異なる航空機ブレーキシステムおよび航空機の構成に関連して実施されてもよく、この明細書中で説明されるシステムは、この発明の単に1つの例示的な実施例であることを理解するであろう。
【0012】
簡潔にするため、信号処理、航空機ブレーキシステム、ブレーキシステム制御、およびシステムの他の機能的な局面に関連する従来の技術および構成要素(およびシステムの個々の動作構成要素)は、この明細書中で詳細に説明しない。さらに、この明細書中に含まれるさまざまな図面に示される接続線は、さまざまな要素間の例示的な機能的関係および/または物理的結合を表わすことを意図している。多くの代替的または付加的な機能的関係または物理的接続がこの発明の実施例に存在し得ることに留意しなければならない。
【0013】
以下の説明は、「接続される」か、または「結合される」素子またはノードまたは構成を参照する。明示的に別段の記載がない限り、この明細書中で用いる「接続される」とは、必ずしも機械的にではなく、1つの素子/ノード/構成が、別の素子/ノード/構成に
直接的に繋がれる(または直接的に通信する)ことを意味する。同様に、明示的に別段の記載がない限り、「結合される」とは、必ずしも機械的にではなく、1つの素子/ノード/構成が、別の素子/ノード/構成に直接的または間接的に繋がれる(または直接的または間接的に通信する)ことを意味する。よって、図1−2は、要素の例示的な配置を示すが、追加の介在する素子、装置、構成または構成要素がこの発明の実施例に存在してもよい。
【0014】
この明細書で説明する航空機は、電気自動ブレーキシステムを使用し、電気自動ブレーキシステムは、主航空機バッテリや、航空機エンジンが運転しているときに稼動するアクティブ航空機電源などの、任意の適切な電源により電力が供給されてもよい。自動ブレーキは、航空機のための自動ブレーキシステムの形式である。自動ブレーキは、航空機のブレーキシステムが自動化されたシステムにより扱われている時々において、離陸または着陸中の他の職務を実行するようにパイロットを自由にする。着陸時において、制動が自動的に扱われる間、自動ブレーキは、パイロットが他のシステムを監視し、航空機を制御することを可能にする。滑走路に着陸すると航空機は自動的に車輪の制動に従事する。手動でブレーキペダルを踏む代わりに自動ブレーキを従事させることによる付加的な利点は、自動ブレーキ制御機構により一様な減速が可能となることである。制動の度合いは選択されてもよく、航空機は、航空機の抗力、逆推力装置およびスポイラなどの他の減速因子に関係なく、選択された水準で自動的に減速する。離陸時、航空機の自動ブレーキは離陸中止(RTO)モードに設定され得る。RTOに設定されているとき、航空機は特定のステイタスインジケータを監視し、それらのインジケータに基づいてRTO制動に従事する。たとえば、逆推力装置が起動されたか否か、またはパイロットがスロットルを“アイドル”位置に戻したか否か。電気自動ブレーキシステムは、単一のマスタチャンネル上で、自動ブレーキマスタ指令を算出する自動ブレーキ機能を含む。自動ブレーキ機能構成は、スレーブ自動ブレーキチャネル上に自動ブレーキマスタ指令を発行するように適切に構成される。したがって、同時に、航空機の全ての車輪に一様にブレーキが作用するように、自動ブレーキ機能構成は、共通の自動ブレーキマスタ指令を全てのブレーキアクチュエータに対して生成する。
【0015】
図1は、航空機のための電気ブレーキシステム100の例示的な実施例の概略図である。図1に示す例示的な実施例において、航空機は、左側電気ブレーキサブシステムアーキテクチャ102と、右側電気ブレーキサブシステムアーキテクチャ104とを使用し、これらは、同様に構成されている。用語「左側」および「右側」は、それぞれ航空機の左舷および右舷を指す。実際には、この2つのサブシステムアーキテクチャ102/104は、以下に説明するように独立して制御されてもよい。簡単にするため、左側電気ブレーキサブシステムアーキテクチャ102のみを、以下に詳細に説明する。以下の説明は、右側電気ブレーキサブシステムアーキテクチャ104にも当てはまることが理解されるべきである。
【0016】
この構成例について、左側電気ブレーキサブシステムアーキテクチャ102は、概して、スロットルレバー106と、ブレーキシステム制御ユニット(BSCU)110と、BSCU110に結合された外側電気ブレーキアクチュエータ制御(EBAC)112と、BSCU110に結合された内側EBAC114と、前輪116および後輪118を含む外側車輪群と、前輪120および後輪122を含む内側車輪群と、EBACに結合された電気ブレーキ機構(図1中に示さない)と、遠隔データコンセントレータ(参照番号132、134、136、および138)とを含む。各電気ブレーキ機構は、それぞれのEBACによって制御される少なくとも1つの電気ブレーキアクチュエータ(参照番号124、126、128および130)を含む。電気ブレーキ機構および遠隔データコンセントレータは、左側電気ブレーキサブシステムアーキテクチャ102の各車輪に対応する。図1に示さないが、実施例は、1車輪当たり2つ以上の電気ブレーキ機構および2つ以上の
遠隔データコンセントレータを有してもよい。
【0017】
電気ブレーキシステム100は、航空機のための任意の数の電気制動構成に適用することができ、電気ブレーキシステム100は、説明しやすいように簡略化して示してある。構成された電気ブレーキシステム100の実施例は、任意の数のBSCUと、各BSCUに結合されており各BSCUによって制御される任意の数のEBACと、各車輪(または各車輪群)のための任意の数のブレーキ機構とを含んでもよい。動作時、電気ブレーキシステム100は、ブレーキアクチュエータ制御信号を独立して生成し、航空機の各車輪に与える、または任意の車輪群に同時に与えることができる。
【0018】
左側電気ブレーキサブシステムアーキテクチャ102中の要素は、データ通信バスまたは任意の適切な相互接続構成またはアーキテクチャを用いて結合することができる。たとえば、デジタルデータ通信バスまたは複数のバスは、BSCU110からのEBAC制御信号をEBACに伝え、EBACからのブレーキ機構制御信号(たとえば、アクチュエータ制御信号)を電気ブレーキアクチュエータ124/126/128/130などに伝えるよう構成されていてもよい。簡単に言うと、BSCU110は、スロットルレバー106/142の操作に反応し、EBAC112/114によって受取られる制御信号を生成する。次に、EBAC112/114は、電気ブレーキ機構および特にアクチュエータ124/126/128/130によって受取られるブレーキ機構制御信号を生成する。次に、電気ブレーキアクチュエータ124/126/128/130は、それぞれの車輪の回転を抑制または防ぐように従事する。これらの構成および構成要素を、以下により詳細に説明する。
【0019】
スロットルレバー106および142は、電気ブレーキシステム100へ入力を提供するように構成される。パイロットは、スロットルレバー106および/または142を物理的に操作し、スロットルレバー106および/または142の回転または移動(すなわち、何らかの形の物理的入力)をもたらしてもよい。電気ブレーキシステム100(および特にBSCU110)は、以下の図4の文脈中に詳細に説明されるように、スラストレバーがアイドルに位置しないと、自動ブレーキの作用を防ぐように構成されてもよい。この物理的回転またはスロットルレゾルバ角(TRA)は、その通常の位置から、1つ以上のスロットルセンサ、共通コアシステム遠隔データコンセントレータ(CCS−RDC)、または同等の構成要素によって測定される。検知データは、電子エンジンコントローラ(EEC)によって処理され、航空機デジタルデータバス上に送出される。共通コアシステム遠隔データコンセントレータ(CCS−RDC)は、このデータをBSCU110に仲介する。以下の図4の文脈中に詳細に説明されるように、BSCUの制御信号は、ブレーキアクチュエータ124/126/128/130のための所望の自動制動条件を搬送したり、ブレーキアクチュエータ124/126/128/130を無効にしたりし得る。
【0020】
電気ブレーキシステム100のある実施例は、任意の数のBSCU110を用いてもよい。説明しやすくするために、この例は、BSCU110を、1つだけ含む。BSCU110は、制動指令を表わすEBAC制御信号をデジタルで計算する埋込式ソフトウェアを有する電子制御ユニットである。電気的かつソフトウェアの実装は、所与の航空機構成に対して必要ならば、制動性能および感触の一層の最適化およびカスタマイズを可能にする。
【0021】
BSCU110は、この明細書中で説明される機能を実行するよう設計された汎用プロセッサ、コンテントアドレサブルメモリ、デジタル信号プロセッサ、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ、任意の適切なプログラム可能な論理回路、個別のゲートまたはトランジスタ論理、個別のハードウェア構成要素、またはこれらの任
意の組合せで、実現化または実行されてもよい。プロセッサは、マイクロプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、またはステートマシンとして実現されてもよい。プロセッサは、たとえばデジタル信号プロセッサとマイクロプロセッサとの組合せ、複数のマイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサコアと併用される1つ以上のマイクロプロセッサ、または任意の他のこのような構成などの、計算装置の組合せとしても実現されてもよい。1つの実施例において、BSCU110は、ソフトウェアをホストし、このソフトウェアのための外部インターフェイスを提供するコンピュータプロセッサ(PowerPC
555など)を用いて実現される。
【0022】
BSCU110は、さまざまな航空機入力を監視し、ペダルブレーキ、パーキングブレーキ、自動ブレーキ、および着陸装置格納ブレーキなどの制御機能を提供するが、これに限定されない。加えて、BSCU110は、滑り防止指令(これはBSCU110の内部でまたは外部で生成され得る)を混合し、ブレーキの向上された制御を提供する。BSCU110は、ブレーキペダル(図1中に示されない)からのパイロット指令制御信号を、スロットルレバー106/142の双方、空対地インジケーション、対地速度およびスピードブレーキの位置などの付加的な指令制御信号とともに取得する。BSCU110は、車輪データ(たとえば、車輪速度、回転方向、タイヤ圧など)も、遠隔データコンセントレータ132/134/136/138から取得してもよい。BSCU110は、その入力信号を処理し、EBAC112/114によって受取られる1つ以上のEBAC制御信号を生成する。実際には、BSCU110は、EBAC制御信号を、EBAC112/114にデジタルデータバスを介して伝送する。汎用アーキテクチャ(図示せず)において、各BSCUは、その制御下にある任意の数のEBACとともに用いるための独立した出力信号を生成することができる。
【0023】
BSCU110は、この例においてEBAC112/114に結合されている。各EBAC112/114は、BSCU110について上述したように実装、実行、または実現されてもよい。1つの実施例において、各EBAC112/114は、ソフトウェアをホストし、このソフトウェアのための外部インターフェイスを提供し、この明細書中で説明されるさまざまなEBAC動作を実行するよう構成された適切な処理論理を含むコンピュータプロセッサ(PowerPC 555など)で実現される。各EBAC112/114は、EBAC制御信号をBSCU110から取得し、EBAC制御信号を処理し、各EBACの関連付けられた電気ブレーキ機構に対するブレーキ機構制御信号(ブレーキアクチュエータ信号)を生成する。
【0024】
注目すべきことに、BSCU110およびEBAC112/114の機能性は、単一のプロセッサに基づく構成または構成要素にまとめられてもよい。この点に関し、BSCU110、EBAC112、EBAC114、またはこれらの任意の組合せは、電気ブレーキシステム100のための自動ブレーキ制御アーキテクチャであると考えることができる。そのような自動ブレーキ制御アーキテクチャは、この明細書中で説明される自動ブレーキ制御動作に対応する適切に構成された処理論理、機能性、および構成を含む。
【0025】
各車輪は、関連付けられた電気ブレーキ機構を含んでもよく、各ブレーキ機構は、1つ以上の電気ブレーキアクチュエータを含んでもよい。結果として、各車輪に対する自動ブレーキは、電気ブレーキシステム100によって、独立しておよび個別に制御されてもよい。各電気ブレーキアクチュエータは、そのそれぞれのEBACからのアクチュエータ制御信号を受取るよう適切に構成されており、アクチュエータ制御信号は、電気ブレーキアクチュエータの調整に影響を及ぼす。この実施例において、電気ブレーキシステム100中の各電気ブレーキアクチュエータは、EBACに結合されており、EBACによって制御される。このようにして、EBAC112/114は、電気ブレーキアクチュエータを制御し、車輪ブレーキを、かけ、解除し、調整し、および他の方法で制御する。この点に
ついて、EBAC112/114は、BSCU110によって生成された夫々の制御信号に応答して、ブレーキアクチュエータに対して制御信号を生成する。自動ブレーキ制御信号は、航空機によって使用される特定の制動システムとの互換性のために好適にフォーマットされ、アレンジされる。当業者は、航空機ブレーキ機構、および自動ブレーキ機能がブレーキを制御する一般的な態様をよく知っており、そのような既知の局面は、この明細書では詳細に説明しない。
【0026】
左側電気ブレーキサブシステムアーキテクチャ102は、適切に構成された電力制御サブシステム140を含むまたはこのサブシステムと協働してもよい。電力制御サブシステム140は、BSCU110、EBAC112/114(および/または電気ブレーキシステム100の他の構成要素)に結合されていてもよい。この実施例において、電力制御サブシステム140は、電気ブレーキ機構および/または電気ブレーキアクチュエータの作動電力を、必要に応じて供給し、与え、除去し、切換え、または他の方法で調節するよう適切に構成されている。たとえば、電力制御サブシステム140は、電力を、EBAC112/114および/または左側電気ブレーキサブシステムアーキテクチャ102の他の構成要素から必要に応じて除去し、電気ブレーキシステム100のためのインターロック構成を提供することができる。以下により詳細に説明するように、電力制御サブシステム140は、左外側および左内側電気ブレーキ構成要素の動作電力を調節するように独立して機能する左外側電源ユニットおよび左内側電源ユニットで実現されてもよい。
【0027】
右側電気ブレーキサブシステムアーキテクチャ104は、左側電気ブレーキサブシステムアーキテクチャ102と同様の構造を有する(共通の構成、機能、および要素は、ここで繰返し説明しない)。この構成例については、図1に示すように、右側電気ブレーキサブシステムアーキテクチャ104は、スロットルレバー106とは別の異なるスロットルレバー142と、BSCU146と、内側EBAC148と、外側EBAC150と、電力制御サブシステム140とは別の異なる電力制御サブシステム152とを含む。電気ブレーキシステム100の左側と右側とは、自動ブレーキのブレーキ作動データをスロットルレバー106/142の両方から受取る。これに代わって、電気ブレーキシステム100の左側と右側とは、別の異なる自動ブレーキ作動機構(図1中に図示しない)を使用してもよい。右側電気ブレーキサブシステムアーキテクチャ104のこれらのさまざまな構成要素は、結合され、左側電気ブレーキサブシステムアーキテクチャ102について上述したように動作するが、右側の処理は、好ましくは、左側の処理とは独立している。
【0028】
電気ブレーキシステム中の制御機構またはアーキテクチャは、この発明の1つの例示的な実施例に従った自動ブレーキ機能構成を実現するよう設計することができる。たとえば、電気ブレーキシステム100は、以下の図2の文脈中に示されるように、単一のマスタチャネルでの自動ブレーキ機能の実現をサポートするよう構成されていてもよい。
【0029】
図2は、この発明のある実施例に従って構成された、航空機電気ブレーキシステムのための電気自動ブレーキ機能のためのシステム200の概略図である。電気ブレーキシステムは、図1の上述した文脈中に記載されるように構成されてもよい。したがって、システム200のある構成、構成要素および機能は、ここでは繰返して説明しない。
【0030】
電気自動ブレーキ機能のためのシステム200は、マスタ自動ブレーキ指令を生成する閉ループの自動ブレーキ制御アルゴリズムを実行するように構成されたマスタ自動ブレーキチャネル242と、航空機ネットワークバス224を会して自動ブレーキマスタ指令を受取るように構成された複数のスレーブ自動ブレーキチャネル244とを含んでもよい。
【0031】
マスタ自動ブレーキチャネル242は、マスタ自動ブレーキチャネルの左外側ブレーキシステム制御ユニット(BSCU)211、マスタ自動ブレーキチャネルの左外側電気ブ
レーキアクチュエータ制御(EBAC)218、少なくとも1つのマスタ自動ブレーキチャネルの左外側ブレーキアクチュエータ220およびマスタ自動ブレーキチャネルの左外側遠隔データコンセントレータ(RDC)222を含んでもよい。システム200は、自動ブレーキ制御入力信号202を受取るようにまたは処理するように適切に構成される。
【0032】
マスタ自動ブレーキチャネルの左外側ブレーキシステム制御ユニット(BSCU)211は、BSCU110と同様のアーキテクチャを含み、左外側マスタ自動ブレーキ指令算出モジュール208を含んでもよい。この例では、自動ブレーキ制御入力信号202は、左外側マスタ自動ブレーキ指令算出モジュール208により受取られてもよい。たとえば、左側および右側TRAセンサデジタルデータモジュール(図2中に示されない)の両方が、スラストレバー位置データを外側マスタ自動ブレーキ指令算出モジュール208に提供する。
【0033】
左外側マスタ自動ブレーキ指令算出モジュール208は、マスタ自動ブレーキチャネルの左外側BSCU211に結合され、自動ブレーキマスタ指令を自動ブレーキ作動データに応答して算出/生成するように適切に構成される。左外側マスタ自動ブレーキ指令算出モジュール208は、以下の図3の文脈中に説明するように、同期のとれたブレーキの作用を全ての航空機車輪ブレーキに渡って確保するために、EBACへの自動ブレーキマスタ指令の送信を遅延することにより、マスタ自動ブレーキチャネルにおける自動ブレーキの作用を遅延するようにさらに構成される。
【0034】
左外側EBAC218は、EBAC112と同様のアーキテクチャを有する。左外側EBAC218は、マスタ自動ブレーキチャネルの左外側BSCU211に結合され、遅延された自動ブレーキマスタ指令を受け取り、遅延された自動ブレーキマスタ指令に応答して制御信号を生成するように構成される。マスタ自動ブレーキチャネルのEBACは、EBACのうちの、遅延された自動ブレーキマスタ指令を受取るように構成された一部を制御する。制御信号は、左外側ブレーキアクチュエータ220の作動を制御するように構成される。実際には、自動ブレーキ制御信号は、電気ブレーキアクチュエータの作動(すなわち、最大挟持力のうち電気ブレーキアクチュエータにより付与される割合)を調整する。たとえば、自動ブレーキ制御信号は、ブレーキを解放するように電気ブレーキアクチュエータに指令してもよく、最大挟持力を作用するように電気ブレーキアクチュエータに指令してもよく、または、中間の挟持力を作用するように電気ブレーキアクチュエータに指令したりしてもよい。
【0035】
左外側RDC222は、左外側マスタ自動ブレーキチャネルの左外側BSCU211に結合され、自動ブレーキマスタ指令を受取るように構成される。左外側RDCは、各スレーブ自動ブレーキチャネルに接続されたRDCを介して自動ブレーキマスタ指令をスレーブ自動ブレーキチャネルへ送るようにさらに構成される。上述したように、このデータ通信はネットワークバス224上を実行されてもよい。
【0036】
システム200は、自動ブレーキマスタ指令を航空機ネットワークバス224を介して受取るように構成された、複数のスレーブ自動ブレーキチャネル244を含んでもよい。スレーブ自動ブレーキチャネルの各々は、滑り防止調整を除く他のいかなる処理を行なうことなく、受取られた自動ブレーキマスタ指令に基づいてブレーキの作用を指令する。スレーブ自動ブレーキチャネルは、ネットワークバス224を介してマスタ自動ブレーキチャネルへ、ヘルスステイタス(診断情報)を送るように、さらに構成される。この点について、何等かのエラーまたは故障(たとえば、滑り防止の不作動、制動能力の低下、指令のない挟持力など)があれば、マスタ自動ブレーキチャネルは、航空機の安全性を確保するために、 自動ブレーキを解除する(すなわち、スレーブ自動ブレーキチャネルへのマスタ自動ブレーキ指令の送信を中断する)。この場合における制動は、ブレーキペダルを
介してパイロットにより制御される。各スレーブ自動ブレーキチャネルは、左外側マスタ自動ブレーキチャネルと同様のアーキテクチャを有し、各々は、図1の文脈において上述されたように構成されてもよい。したがって、システム200のある構成、構成要素および機能は、ここでは繰返して説明しない。
【0037】
システム200は、左内側自動ブレーキスレーブチャネル246、右外側自動ブレーキスレーブチャネル248および右内側自動ブレーキスレーブチャネル250を有してもよい。各自動ブレーキスレーブチャネル246/248/250は、BSCU211/212のうちの一方に結合され、自動ブレーキマスタ指令を夫々のRDC224/230/236を介して受取るように構成された、自動ブレーキチャネルスレーブプロセッサ210/214/216を含む。自動ブレーキチャネルスレーブプロセッサ210/214/216は、マスタ自動ブレーキチャネルのマスタ算出モジュール208とは異なり、いかなる自動ブレーキ指令の算出も行なわない。各自動ブレーキチャネルスレーブプロセッサ210/214/216は、自動ブレーキマスタ指令を夫々のEBAC 226/232/238に送る。各EBAC226/232/238は、夫々の各ブレーキアクチュエータ228/234/240の作動を制御するように、自動ブレーキマスタ指令に応答して制御信号を生成するように構成される。この例では、マスタチャネル算出モジュールは左外側BSCUチャネル上に実現されるが、マスタチャネル算出モジュールは、代替的にまたは付加的に、他の既存のブレーキ制御チャネル(左内側、左外側または右内側)上に代わりに実現されてもよい。自動ブレーキ機能のマスタ自動ブレーキ指令を生成するプロセスは以下に説明される。
【0038】
図3は、発明の実施例に従って構成された、航空機の電気ブレーキシステムのための自動ブレーキ機能のためのプロセス300を説明するフローチャートである。プロセス300に関連して実行される様々なタスクが、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェアもしくはそれらのいかなる組合せによって実行されてもよい。説明の目的で、下記のプロセス300の説明は、図1−2に関連して上述された要素に言及し得る。発明の実施例では、プロセス300の部分は、たとえばBSCU、EBAC、EBPSUまたはその他などの、説明されたシステムの異なる構成要素により実行されてもよい。プロセス300はいかなる数の付加的なまたは代替的なタスクを含んでもよく、図3に示されるタスクは説明された順序で実行される必要はなく、プロセス300は、ここでは詳細には説明されないさらなる機能を有するより包括的な手続きもしくはプロセスに組み込まれてもよいことが理解されるべきである。
【0039】
自動ブレーキ機能プロセス300に関連して、図3は、航空機ネットワーク処理ブランチ330を介して相互接続された、プロセス300中の2つの処理ブランチを記載する。マスタ自動ブレーキチャネル処理ブランチ314は、図3の右側に示され、スレーブ自動ブレーキチャネル処理ブランチ316は、図3の左側に示される。電気ブレーキシステムのマスタ自動ブレーキチャネルは、航空機デジタルデータバスから連続または急速抽出の態様で自動ブレーキ指令作動データを受け取り(タスク302)、自動ブレーキ指令作動データに基づいて自動ブレーキマスタ指令を算出する(タスク304)。自動ブレーキ指令作動データは、限定されないが、航空機減速度、対地速度、スポイラーデータ、スロットルレボルバ回転角などを含んでもよい。たとえば、パイロットがコックピット内のスイッチを介して減速度を選択すると、実際の航空機減速度とパイロットがインプットした減速度とを比較することにより、マスタ自動ブレーキ算出モジュールが自動ブレーキマスタ指令を算出する。マスタ自動ブレーキ算出モジュールは、そして、各ブレーキアクチュエータコントローラ(EBAC)に対して、0−100%の制動力を滑り防止調整とともに指令する。たとえば、左内側EBACに対するマスタ自動ブレーキ指令が62%であり、左内側車輪に対する滑り防止調整が2%であると、左内側EBACは60%のマスタブレーキ指令入力を得る。マスタ自動ブレーキ指令は、そして、航空機ネットワークを介して
発行される(参照番号332)。マスタ自動ブレーキ指令を発行するために、プロセス300は、自動ブレーキマスタ指令をマスタ自動ブレーキチャネルのRDCに送信し(タスク318)、マスタ自動ブレーキチャネルのRDCは、そして、自動ブレーキマスタ指令をスレーブ自動ブレーキチャネルのRDCに送信し(タスク320)、自動ブレーキマスタ指令をスレーブ自動ブレーキチャネルのRDCの各々からそれぞれの各スレーブ自動ブレーキチャネルプロセッサに送信する(タスク322)。自動ブレーキマスタ指令は、全てのブレーキアクチュエータに対して共通の自動ブレーキマスタ指令であって、それにより、同時に全ての航空機車両に一様にブレーキが作用する。これに関して、同期のとれたブレーキの作用を確保するため、スレーブBSCUチャネルへの発行プロセス(参照番号332)と同時に、夫々のEBACへの自動ブレーキマスタ指令の送信はマスタ自動ブレーキチャネルの算出モジュール(タスク306)により遅延される。遅延は、航空機ネットワーク伝送の遅延およびブレーキアクチュエータがゼロトルク点(ブレーキ作用の境界)に到達するまでにかかる時間に基づいて選択される。プロセス300は、そして、予め定められた遅延の後に、マスタ自動ブレーキチャネルにおいて自動ブレーキマスタ指令を電気ブレーキアクチュエータコントローラ(EBAC)に送信し(タスク308)、マスタ自動ブレーキチャネル制御信号を用いてマスタブレーキチャネルのブレーキアクチュエータの作動を制御する(タスク312)。
【0040】
スレーブ自動ブレーキチャネルプロセッサは、自動ブレーキマスタ指令上のいかなる計算も実行しない。スレーブ自動ブレーキチャネルは、各車輪に対してカスタマイズされた滑り防止調整とともに自動ブレーキマスタ指令に返送される自動ブレーキ制御信号を生成する(タスク324)ように、「ダミープロセッサ」または、データゲートウェイとして振舞い、スレーブ自動ブレーキ制御信号を用いて、その対応するブレーキアクチュエータの各々の作動を制御する(タスク328)。プロセス300中、スレーブ自動ブレーキチャネルは、それらのヘルスステイタスをマスタ自動ブレーキチャネルへ送る(タスク340)。これに関して、何等かの種類のエラーまたは故障(たとえば、滑り防止の不作動、制動能力の低下、指令の無い挟持力など)があれば、マスタ自動ブレーキチャネルは、上記で説明したように航空機の安全を確保するため、自動ブレーキを解除する(すなわち、スレーブ自動ブレーキチャネルへのマスタ自動ブレーキ指令の送信を中断する)。
【0041】
要するに、航空機の電気ブレーキシステムのための自動ブレーキ機能は、ここで説明されるように、マスタ自動ブレーキ指令を生成するように構成された単一のマスタ自動ブレーキチャネルおよび航空機ネットワークを介して自動ブレーキマスタ指令を受取るように構成された複数のスレーブ自動ブレーキチャネルを使用する。この方法を用いて、全ての航空機車輪に一様にかつ同時に制動が作用されるように、同期のとれたブレーキの作用が達成できる。
【0042】
上述の詳細な説明では、少なくとも1つの例示的な実施例を示してきたが、膨大な数の変形例が存在することが理解されるべきである。この明細書中に説明される例示的な実施例は、この発明の主題の範囲、適用性、または構成を何ら制限することを意図していないことも理解されるべきである。むしろ、上述の詳細な説明は、説明された実施例を実現するための便利な指針を当業者に提供するものである。特許請求の範囲によって規定される範囲を逸脱することなく、要素の機能および配置をさまざまに変更することができ、この範囲は、この特許出願の出願時の既知の均等物および予測可能な均等物を含むことが理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機の電気自動制動システムであって、
閉ループの自動ブレーキ制御アルゴリズムを実行するように構成されるマスタ自動ブレーキチャネルを備え、前記閉ループの自動ブレーキ制御アルゴリズムは自動ブレーキマスタ指令を生成し、
各々が前記自動ブレーキマスタ指令を受取るように構成された、複数のスレーブ自動ブレーキチャネルをさらに備え、前記スレーブ自動ブレーキチャネルの各々は、滑り防止調整を除くいかなる他の処理を行なうことなく、前記受取られた自動ブレーキマスタ指令に基づいてブレーキの作用を指令する、システム。
【請求項2】
前記マスタ自動ブレーキチャネルは、マスタ自動ブレーキチャネルのブレーキシステム制御ユニット(BSCU)に結合され、前記自動ブレーキマスタ指令を算出するように構成されるマスタ算出モジュールをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記マスタ算出モジュールは、電気ブレーキアクチュエータ制御(EBAC)への前記自動ブレーキマスタ指令の送信を遅延するようにさらに構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記マスタ自動ブレーキチャネルは、前記マスタ自動ブレーキチャネルのBSCUに結合され、前記遅延された前記自動ブレーキマスタ指令を受取るように構成される電気ブレーキアクチュエータ制御(EBAC)をさらに備え、前記マスタ自動ブレーキチャネルは、前記遅延された自動ブレーキマスタ指令を受取るように構成される電気ブレーキアクチュエータ制御(EBAC)のうちの一部を制御する、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記マスタ自動ブレーキチャネルのBSCUに結合され、前記自動ブレーキマスタ指令を受取るように構成される、マスタ自動ブレーキチャネルの遠隔データコンセントレータ(RDC)をさらに備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
前記スレーブ自動ブレーキチャネルの各々は、
スレーブ自動ブレーキのBSCUに結合され、前記自動ブレーキマスタ指令を受取るように構成される、自動ブレーキチャネルスレーブプロセッサと、
前記スレーブ自動ブレーキチャネルのBSCUに結合され、前記自動ブレーキマスタ指令に応答してブレーキ作動信号を生成するように構成される、電気ブレーキアクチュエータ制御(EBAC)とをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記スレーブ自動ブレーキチャネルは、それらの夫々の各EBACの作動を独立して制御するように構成される、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記スレーブ自動ブレーキチャネルは、それらのヘルスステイタスを前記マスタ自動ブレーキチャネルに送るように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
航空機の電気自動ブレーキシステムのための自動ブレーキ機能のための方法であって、
自動ブレーキ指令作動データを受取るステップと、
前記自動ブレーキ指令作動データに基づいて、閉ループの制御モードにおいて自動ブレーキマスタ指令を算出するステップと、
スレーブ自動ブレーキチャネルへ前記自動ブレーキマスタ指令を送るステップとを備え、各スレーブ自動ブレーキチャネルは、前記スレーブ自動ブレーキチャネルが制御する1つ以上の対応する、スレーブ自動ブレーキチャネルのブレーキアクチュエータを有し、
前記自動ブレーキマスタ指令に応答して、スレーブ自動ブレーキ制御信号を前記スレー
ブ自動ブレーキチャネルの各々に対して生成するステップと、
前記スレーブ自動ブレーキチャネルのブレーキアクチュエータを、前記スレーブ自動ブレーキ制御信号を用いて制御するステップとを備える、方法。
【請求項10】
遅延された自動ブレーキマスタ指令を得るように前記自動ブレーキマスタ指令を遅延するステップと、
前記遅延された自動ブレーキマスタ指令を電気ブレーキアクチュエータ制御(EBAC)に送信するステップと、
前記遅延された前記自動ブレーキマスタ指令に応答してマスタ自動ブレーキチャネル制御信号を送信するステップと、
前記マスタ自動ブレーキチャネル制御信号を用いて電気ブレーキアクチュエータの作動を制御するステップとをさらに備える、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記遅延するステップは、同期のとれたブレーキの作用が得られるような遅延時間を選択するステップをさらに備える、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記スレーブ自動ブレーキチャネルのブレーキアクチュエータの作動を制御するステップは、前記スレーブ自動ブレーキ制御信号を用いて、前記電気ブレーキアクチュエータの各々を独立して制御するステップを備える、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記スレーブ自動ブレーキチャネルのヘルスステイタスを生成するステップをさらに備える、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記スレーブ自動ブレーキチャネルの各々は、滑り防止調整を除くいかなる他の処理を行なうことなく、前記自動ブレーキマスタ指令に基づいてブレーキの作用を指令する、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
航空機の電気自動ブレーキシステムの自動ブレーキ機能のための方法であって、
自動ブレーキ指令作動データを受取るステップと、
前記自動ブレーキ指令作動データに基づいて、自動ブレーキマスタ指令を算出するステップと、
前記自動ブレーキマスタ指令に応答してブレーキの作用を同期させるステップとを備える、方法。
【請求項16】
前記同期させるステップは、
(a)遅延された自動ブレーキの作用がマスタ自動ブレーキチャネル上で得られるように前記自動ブレーキマスタ指令を遅延するステップと、
(b)マスタ自動ブレーキチャネル上の前記自動ブレーキマスタ指令を電気ブレーキアクチュエータ制御(EBAC)に、予め定められた遅延の後に送信するステップと、
(c)前記マスタ自動ブレーキチャネル制御信号を用いて、マスタ自動ブレーキチャネルのブレーキアクチュエータの作動を制御するステップと、
(a)、(b)および(c)と同時に、
(d)複数のブレーキアクチュエータの制御下にある複数のスレーブ自動ブレーキチャネル上で前記自動ブレーキマスタ指令を発行するステップと、
(e)前記自動ブレーキマスタ指令に応答して、前記スレーブ自動ブレーキチャネルの各々に対してスレーブ自動ブレーキ制御信号を生成するステップと、
(f)スレーブ自動ブレーキ制御信号を用いてスレーブ自動ブレーキチャネルのブレーキアクチュエータの作動を制御するステップとをさらに備える、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記遅延するステップは、前記スレーブ自動ブレーキチャネルのブレーキアクチュエータおよび前記マスタ自動ブレーキチャネルのブレーキアクチュエータの各々が、前記航空機の車輪へ、同期してブレーキを作用するような遅延時間を選択するステップをさらに備える、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記スレーブ自動ブレーキチャネルは、それらのヘルスステイタスを前記マスタ自動ブレーキチャネルに送る、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記自動ブレーキマスタ指令に応答して、複数のスレーブ自動ブレーキチャネルの各々がブレーキの作用を指令するステップをさらに備える、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記スレーブ自動ブレーキチャネルの各々は、滑り防止調整を除くいかなる他の処理を行なうことなく、前記自動ブレーキマスタ指令に基づいてブレーキの作用を指令する、請求項19に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−529917(P2010−529917A)
【公表日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−543243(P2009−543243)
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際出願番号】PCT/US2007/088470
【国際公開番号】WO2008/127475
【国際公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】