説明

舶用ディーゼル機関の重油燃料用濾過装置

【課題】濾過装置の製造コストの低減と、濾過装置の分散化を容易に図ることができるようにする。
【解決手段】フィルターエレメント11を円筒形状のシームレスニッケル薄膜により構成することによって、従来濾過装置のように、枠部材との溶接等の作業が不要となるので、フィルター5の製造の容易化が可能となり製造コストの低減を図ることができる。更に、1つのタンク本体1内に複数個のフィルター5を設置したものを複数台、設置することにより、濾過装置を分散化を容易に図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、舶用ディーゼル機関の重油燃料用濾過装置、特に、舶用ディーゼル機関の重油燃料中に混入するアルミナ、シリカ、残留炭素等の固形不純物を確実に捕捉することができることは勿論、フィルターの製造の容易化を可能にすることによって、濾過装置の製造コストの低減を図ることができる、舶用ディーゼル機関の重油燃料用濾過装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、舶用ディーゼル機関の燃料としては、原油を常圧で加熱して軽質分を取り出す常圧分留方式による石油精製時に生じた残渣油が使用されていた。一方、近年の世界的な軽質油の需要の増大に伴い、石油精製法のほとんどが、常圧分留方式による石油精製時に生じた残渣油に、アルミナ、シリカ等の添加剤を添加し、減圧下で加熱して、さらに軽質分
を取り出す減圧分留方式が採用されている。
【0003】
このため、減圧分留方式により分留された後に残る残渣油は、極めて粗悪なものとなる。この極めて粗悪な残渣油に、常圧分留された後の残渣油を混合して粘度を調整した残渣油が舶用ディーゼル機関の重油燃料として提供されている。
【0004】
この重油燃料は、極めて粗悪な上に、減圧分留時に使用されたアルミナ、シリカ等の添加剤あるいは残留炭素が減圧分留後、十分に除去されずに、不純物として残留している場合がある。このように、アルミナ、シリカ、残留炭素等の不純物が混入した重油燃料を舶用ディーゼル機関に使用した場合、舶用ディーゼル機関に種々の悪影響を及ぼすことが報告されている。
【0005】
そこで、舶用ディーゼル機関への重油燃料の供給側に、上記不純物を除去する濾過装置が重油燃料の前処理手段として設置されている。この濾過装置として、特許文献1(実用新案登録第2571402号公報)には、下記のような濾過装置が開示されている。以下、この濾過装置を従来濾過装置といい、図面を参照しながら説明する。
【0006】
図7は、従来濾過装置を示す概略断面図、図8は、従来濾過装置のフィルターを示す分解斜視図、図9は、従来濾過装置のフィルターエレメントを示す部分断面図である。
【0007】
図7に示すように、従来濾過装置は、タンク26内に、図8に示すようなフィルター27を複数枚、積層して設置したものから構成されている。フィルター27は、フィルターエレメント28とこれを補強する枠部材29とから構成されている。フィルターエレメント28は、円形状濾過孔28Aが間隔をあけて多数、形成された、例えば、ニッケル薄膜から構成されている。
【0008】
図9に示すように、濾過孔28Aは、ラッパ状に形成されていて、後述するように、重油燃料は、濾過孔28Aの小径側から大径側に向かって流れる。濾過孔28Aがラッパ状に形成されているので、不純物による目詰まりが生じにくく、しかも、後述するフィルター目詰まり時の逆洗も容易に行える。
【0009】
円形状濾過孔28Aが形成されたフィルターエレメント28は、電気めっき法により製造することができる。すなわち、ニッケル薄膜に円形状濾過孔28Aが形成されたフィルターエレメント28を製造するには、図10の、フィルターエレメントを製造する電気めっき装置を示す概略断面図に示すように、硫酸ニッケルを含むめっき浴中に、ニッケル板30と、濾過孔28Aに対応する非電導部が表面に予め形成されたロール31とを浸漬し、陽極(+)にニッケル板30を、そして、陰極に(-)にロール31を接続し、直流電源32から電圧を印加する。これによって、ニッケルイオン(Ni2+)が陰極側に移動して、ロール31の表面にニッケル皮膜がめっきされる。非電導部には、ニッケル皮膜がめっきされないので、ロール31からめっき皮膜を剥離すれば、円形状濾過孔38Aが形成されたフィルターエレメント38が製造される。めっきにより形成される円形状濾過孔38Aは、平行孔にはならず、ラッパ状になる。
【0010】
従来濾過装置によれば、以下のようにして、舶用ディーゼル機関の重油燃料中に混入している固形不純物が濾過される。
【0011】
図7に示すように、アルミナ、シリカ、残留炭素等の不純物が混入した未処理重油燃料が三方弁33を介してタンク26内に供給されると、未処理重油燃料中の不純物(S)は、フィルター27を通過する過程で、濾過孔28Aに捕捉される。このようにして、不純物(S)が濾過されたクリーンな処理後重油燃料は、タンク26外に排出され、舶用ディーゼル機関に供給される。タンク26内に溜まったスラッジ状の不純物(S)は、適宜、タンク26外に排出される。
【0012】
濾過処理が進行するに伴い不純物が濾過孔28Aに捕捉されて濾過効率が低下するが、この場合には、三方弁33を切り替えて、未処理重油燃料をタンク26内に逆流させる。このように未処理重油燃料を濾過孔28Aの大径側から小径側に流して、フィルターエレメント28を逆洗することによって、濾過孔28Aに捕捉された不純物が除去され、これにより不純物の濾過効率を復帰させることができる。
【0013】
上述した従来濾過装置によれば、舶用ディーゼル機関の重油燃料中に混入するアルミナ、シリカ、残留炭素等の不純物を目標である90%程度まで除去することができるが、濾過孔28Aをラッパ状に形成する必要があることから、ニッケル薄膜の単位面積当たりに形成する濾過孔28Aの個数が制限され、フィルターエレメント28における濾過孔28Aの開口率は、約1%程度にとどまる。すなわち、開口率を低くせざるを得ない。
【0014】
従って、フィルターエレメント28を多数枚、使用せざるを得ず、濾過装置の大型化およびコスト高が避けられない。濾過装置が大型化すると、船舶内の限られたスペースへの設置ができず、上記従来濾過装置が舶用ディーゼル機関の重油燃料中に混入するアルミナ、シリカ、残留炭素等の不純物の除去に極めて有効であるにもかかわらず、その採用に至らないことがあった。
【0015】
そこで、上記問題点を解決することを目的としたフィルターが特許文献2(特開2008−019838号公報)に開示されている。以下、このフィルターを従来フィルターという。
【0016】
従来フィルター34は、図11の従来フィルターを示す斜視図、および、従来フィルターの部分拡大斜視図を示す図12に示すように、両面に格子状補強部材36が配されたフィルターエレメント35を枠部材37に取り付けたものから構成されている。フィルターエレメント35は、長孔の濾過孔35Aが間隔をあけて多数、形成された、例えば、ニッケル薄膜から構成され、濾過孔35Aは、重油燃料の流入側から流出側に向かってラッパ状に広がっている。流入側の濾過孔35Aの寸法は、例えば、幅が15〜25μm、長さが200〜1000μmである。
【0017】
舶用ディーゼル機関の重油燃料中に混入するアルミナ、シリカ、残留炭素等の固形不純物は、球状であることから、フィルターエレメント35に形成する濾過孔35Aを、従来濾過装置のように円形から長孔にしても、不純物の捕捉効果は変わらず、長孔にした分、円形の場合に比べて、濾過孔の開口率を大幅に向上させることができ、この結果、濾過装置を小型化することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】実用新案登録第2571402号公報
【特許文献2】特開2008−019838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
上述したように構成されている従来フィルター34を上記従来濾過装置に適用すれば、不純物を捕捉する濾過孔の開口率を増大させることができる結果、濾過装置を小型化することができる。
【0020】
しかし、従来フィルター34の製造に多大な時間と手間を要するために、濾過装置の価格の低減を図ることができなかった。すなわち、濾過に際して、フィルターエレメント35には高圧が作用するので、両面を格子状補強部材36により補強されたニッケル薄膜の全周を溶接等により枠部材37に強固かつ確実に固定する必要があるが、ニッケル薄膜と枠部材37との溶接が簡単に行えず、一部でも不完全な固定箇所があると、ニッケル薄膜の剥離事故が生じ、濾過効率が著しく低下するといった問題があった。
【0021】
このように、従来フィルター34の製造に多大な時間と手間を要するために、濾過装置の価格の低減を図ることができなかった。
【0022】
従って、この発明の目的は、舶用ディーゼル機関の重油燃料中に混入するアルミナ、シリカ、残留炭素等の球状固形不純物を確実に捕捉することができることは勿論、フィルターの製造の容易化を可能にすることによって、濾過装置の製造コストの低減を図ることができる、舶用ディーゼル機関の重油燃料用濾過装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
この発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、下記を特徴とするものである。
【0024】
請求項1に記載の発明は、上部に開閉弁付き燃料流入口が形成され、下部に開閉弁付きドレン油排出口および濾過後の燃料排出口が形成されたタンク本体と、前記タンク本体内に垂直に設けられた複数本のフィルターとからなり、前記フィルターは、円筒形状の補強用枠体と、前記補強用枠体の外側に嵌め込まれた円筒形状のフィルターエレメントとを備え、前記フィルターエレメントは、円筒形状のシームレスニッケル薄膜に間隔をあけて複数個の濾過孔が形成されたものからなり、前記濾過孔は、前記フィルターエレメントの外側から内側に向ってラッパ状に広がっており、濾過に際しては、前記燃料流入口の開閉弁を開き、前記ドレン油排出口の開閉弁を閉じた状態で、前記燃料流入口から前記タンク本体内に燃料を供給し、燃料が前記フィルターエレメントの外側から内側に向って流入する過程で、燃料に混入する固形不純物を前記濾過孔に捕捉させて濾過し、濾過後の燃料は、前記燃料排出口から前記タンク本体外に排出し、フィルターの逆洗に際しては、前記燃料流入口の開閉弁を閉じ、前記ドレン油排出口の開閉弁を開いた状態で、前記燃料排出口から前記フィルター内に燃料を流入させ、燃料を前記フィルターエレメントの内側から外側に向って逆流させることによって、前記濾過孔に捕捉された前記固形不純物を除去し、前記固形不純物を除去したドレン油は、前記ドレン油排出口から前記タンク本体外に排出することに特徴を有するものである。
【0025】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記流入側の前記濾過孔の寸法は、幅が15〜50μm、長さが200〜1000μmであることに特徴を有するものである。
【0026】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載において、前記フィルターエレメントは、精密クロムメッキが施されていることに特徴を有するものである。
【0027】
請求項4記載の発明は、請求項1から3の何れか1つに記載の発明において、前記濾過孔は、千鳥状に配列されていることに特徴を有するものである。
【発明の効果】
【0028】
この発明によれば、舶用ディーゼル機関の重油燃料中に混入するアルミナ、シリカ、残留炭素等の固形不純物を確実に捕捉することができることは勿論、フィルターの製造の容易化を可能にすることによって、濾過装置の製造コストの低減を図ることができる。また、1つのタンク本体内に複数個のフィルターを設置したものを複数台、設置することにより、濾過装置を分散化を容易に図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】この発明の、舶用ディーゼル機関の重油燃料用濾過装置を示す断面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】この発明の、舶用ディーゼル機関の重油燃料用濾過装置の補強用枠体を示す正面図である。
【図4】この発明の、舶用ディーゼル機関の重油燃料用濾過装置の補強用枠体を示す平面図である。
【図5】この発明の、舶用ディーゼル機関の重油燃料用濾過装置のフィルターエレメントを示す斜視図である。
【図6】この発明の、舶用ディーゼル機関の重油燃料用濾過装置を複数台、設置した場合の配管図である。
【図7】従来濾過装置を示す概略断面図である。
【図8】従来濾過装置のフィルターを示す斜視図である。
【図9】従来濾過装置のフィルターエレメントを示す部分断面図である。
【図10】フィルターエレメントを製造する電気めっき装置を示す概略断面図である。
【図11】従来フィルターを示す斜視図である。
【図12】従来フィルターの部分拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、この発明の、舶用ディーゼル機関の重油燃料用濾過装置の一実施態様を、図面を参照しながら説明する。
【0031】
図1は、この発明の、舶用ディーゼル機関の重油燃料用濾過装置を示す断面図、図2は、 図1のA−A線断面図、図3は、この発明の、舶用ディーゼル機関の重油燃料用濾過装置の補強用枠体を示す正面図、図4は、この発明の、舶用ディーゼル機関の重油燃料用濾過装置の補強用枠体を示す平面図、図5は、この発明の、舶用ディーゼル機関の重油燃料用濾過装置のフィルターエレメントを示す斜視図である。
【0032】
図1および図2において、1は、垂直に設置された円筒形状のタンク本体である。タンク本体1の上蓋1Aには、開閉弁Aが取り付けられた燃料流入口2が形成され、タンク本体1の下蓋1Bには、開閉弁Bが取り付けられたドレン油排出口3が形成され、タンク本体1の下部の後述する下部室9には、濾過後の燃料排出口4が形成されている。
【0033】
5は、タンク本体1内に収容された複数個(この例では5個)の円筒形状をなすフィルターである。フィルター5の具体的な構成は、後述する。フィルター5は、上部固定板6と下部固定板7との間に垂直に固定されている。上部固定板6は、複数本(この例では5本)の連結ボルト8を介して下部固定板7と間隔をあけて連結されている。上部固定板6は、リング状に形成され、上部固定板6とタンク本体1の内周面との間には、隙間(S)が形成されている。後述するように、燃料は、上部固定板6の中央部の開口6Aおよび前記隙間(S)からタンク本体1内に流れ込む。
【0034】
フィルター5の上端は、上部固定板6により閉塞されている。下部固定板7は、タンク本体1の下蓋1Bの上方に固定されている。このように、下部固定板7によりタンク本体1を仕切ることによって、タンク本体1の下部に下部室9が形成されている。下部固定板7の中央部には、開口7Aが形成され、開口7Aにドレン油排出口3が接続されている。フィルター5の下端は、下部固定板7を貫通して下部室9に開口している。
【0035】
フィルター5は、図3から図5に示すように、円筒形状の補強用枠体10と、補強用枠体10の外側に嵌め込まれた円筒形状のフィルターエレメント11とからなっている。上述したように、フィルター5の上端は、上部固定板6により閉鎖され、下端は、下部固定板7を貫通し、下部室9に開口している。
【0036】
補強用枠体10は、複数個の金属製リング12と、リング12を間隔をあけて連結する金属製棒材13と、リング12の外側に被せられた金属製網14とから構成されている。
【0037】
フィルターエレメント11は、精密クロムメッキが施された円筒形状のシームレスニッケル薄膜に、間隔をあけて千鳥状に配された複数個の濾過孔11Aが形成されたものからなり、網14の外側に嵌め込まれている。濾過孔11Aは、幅が15〜50μm、長さが200〜1000μmの大きさを有し、フィルターエレメント11の外側から内側に向ってラッパ状に広がっている。なお、濾過孔11Aの形状は、長四角以外の形状であっても良い。
【0038】
上述のように、フィルターエレメント11は、濾過孔11Aが形成された円筒形状のシームレスニッケル薄膜により構成されているので、従来濾過装置のように、枠部材との溶接が不要となる。これによって、フィルター5の製造の容易化が可能になるので、濾過装置の製造コストの低減を図ることができる。
【0039】
しかも、1つのタンク本体1内に複数個のフィルター5を設置したものを複数台、設置することにより、濾過装置を分散化を容易に図ることができる。
【0040】
さらに、フィルターエレメント11は、円筒形でしかもシームレスであるので、濾過時の内圧は、フィルターエレメント11に均等に作用する。従って、フィルターエレメント11の内圧に対する強度を十分に高めることができる。一方、外圧に対しては、補強用枠体10により補強されるので、フィルターエレメント11の外圧に対する強度を十分に高めることができる。
【0041】
以上のように構成されている、この発明の、舶用ディーゼル機関の重油燃料用濾過装置による重油燃料(以下、単に燃料という。)の濾過方法を、図6に示すように、濾過装置が5台(No.1からNo.5)、設置されている場合を例にとって説明する。
【0042】
No.1からNo.5濾過装置の開閉弁A1からA5を開放すると共に、開閉弁B1からB5を閉鎖する。これによって、燃料タンクからの燃料は、分配弁15を介して各濾過装置のタンク本体1内に供給される。すなわち、燃料は、図1中、実線で示すように、燃料流入口2から上部固定板6の開口6Aおよび隙間(S)を通ってタンク本体1内に流入する。タンク本体1内に流入した燃料は、円筒形状の各フィルター5の外側から内側に向かって流れ、この過程で、燃料に混入する球状固形不純物がフィルターエレメント11の濾過孔11Aに捕捉される。球状固形不純物が捕捉されてクリーンになった燃料は、下部室9内に流入し、エンジン(図示せず)に供給される。
【0043】
一方、濾過孔11Aに捕捉された球状固形不純物を除去するために、例えば、No.1濾過装置のフィルター5を逆洗するには、No.1濾過装置の開閉弁A1を閉鎖すると共に、開閉弁B1を開放する。このようにすると、他の濾過装置No.2からNo.5には、燃料が高圧で供給されているので、その圧力で、燃料は、図1中、一点鎖線で示すように、No.1濾過装置の燃料排出口4から下部室9を経て円筒形状のフィルター5の内側から外側に向かって逆流する。これにより、No.1濾過装置のフィルターエレメント11の濾過孔11Aに捕捉された球状固形不純物は、濾過孔11Aから除去される。逆洗後の燃料は、ドレン油となって下部固定板7の開口7Aを通ってドレン油排出口3からドレンタンク(図示せず)に送られる。
【0044】
以上の操作をNo.2からNo.5濾過装置に対して行うことによって、全ての濾過装置を逆洗することができる。
【0045】
以上説明したように、この発明の、舶用ディーゼル機関の重油燃料用濾過装置によれば、フィルターエレメント11を円筒形状のシームレスニッケル薄膜により構成することによって、従来濾過装置のように、枠部材との溶接等の作業が不要となるので、フィルター5の製造の容易化が可能となる。この結果、濾過装置の製造コストの低減を図ることができる。
【0046】
しかも、1つのタンク本体1内に複数個のフィルター5を設置したものを複数台、設置することにより、濾過装置を分散化を容易に図ることができる。
【0047】
さらに、フィルターエレメント11は、円筒形でしかもシームレスであるので、濾過時の内圧は、フィルターエレメント11に均等に作用する。従って、フィルターエレメント11の内圧に対する強度を十分に高めることができる。一方、外圧に対しては、補強用枠体10により補強されるので、フィルターエレメント11の外圧に対する強度を十分に高めることができる。
【符号の説明】
【0048】
1:タンク本体
1A:上蓋
1B:下蓋
2:燃料流入口
3:ドレン油排出口
4:燃料排出口
5:フィルター
6:上部固定板
6A:開口
7:下部固定板
7A:開口
8:連結ボルト
9:下部室
10:補強用枠体
11:フィルターエレメント
11A:濾過孔
12:リング
13:棒材
14:網
15:分配弁
26:タンク
27:フィルター
28:フィルターエレメント
29:枠部材
30:ニッケル板
31:ロール
32:直流電源
33:三方弁
34:従来フィルター
35:フィルターエレメント
35A:濾過孔
36:補強部材
37:枠部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に開閉弁付き燃料上部に開閉弁付き上部に開閉弁付き燃料流入口が形成され、下部に開閉弁付きドレン油排出口および濾過後の燃料排出口が形成されたタンク本体と、前記タンク本体内に垂直に設けられた複数本のフィルターとからなり、前記フィルターは、円筒形状の補強用枠体と、前記補強用枠体の外側に嵌め込まれた円筒形状のフィルターエレメントとを備え、前記フィルターエレメントは、円筒形状のシームレスニッケル薄膜に間隔をあけて複数個の濾過孔が形成されたものからなり、前記濾過孔は、前記フィルターエレメントの外側から内側に向ってラッパ状に広がっており、濾過に際しては、前記燃料流入口の開閉弁を開き、前記ドレン油排出口の開閉弁を閉じた状態で、前記燃料流入口から前記タンク本体内に燃料を供給し、燃料が前記フィルターエレメントの外側から内側に向って流入する過程で、燃料に混入する固形不純物を前記濾過孔に捕捉させて濾過し、濾過後の燃料は、前記燃料排出口から前記タンク本体外に排出し、フィルターの逆洗に際しては、前記燃料流入口の開閉弁を閉じ、前記ドレン油排出口の開閉弁を開いた状態で、前記燃料排出口から前記フィルター内に燃料を流入させ、燃料を前記フィルターエレメントの内側から外側に向って逆流させることによって、前記濾過孔に捕捉された前記固形不純物を除去し、前記固形不純物を除去したドレン油は、前記ドレン油排出口から前記タンク本体外に排出することを特徴とする、舶用ディーゼル機関の重油燃料用濾過装置。
【請求項2】
前記流入側の前記濾過孔の寸法は、幅が15〜50μm、長さが200〜1000μmであることを特徴とする、請求項1に記載の、舶用ディーゼル機関の重油燃料用濾過装置。
【請求項3】
前記フィルターエレメントは、チタンまたはクロムメッキが施されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の、舶用ディーゼル機関の重油燃料用濾過装置。
【請求項4】
前記濾過孔は、千鳥状に配列されていることを特徴とする、請求項1から3の何れか1つに記載の、舶用ディーゼル機関の重油燃料用濾過装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−97591(P2012−97591A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−243796(P2010−243796)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(510288781)株式会社谷垣商会 (1)
【出願人】(507204730)株式会社 AGUA JAPAN (4)
【Fターム(参考)】