説明

良好な機械特性および低ホルムアルデヒド放出性を有する軽量木質材料

200〜600kg/m3の範囲の平均濃度を有する軽量木材含有材料であって、それぞれ、木材含有材料に対して、A)30〜95質量%の木材粒子と、B)1〜15質量%の、発泡性プラスチック粒子および既に発泡されたプラスチック粒子から成る群から選択される、10〜100kg/m3の範囲の嵩密度を有する充填剤と、c)3〜50質量%の、アミノプラスト樹脂および少なくとも2つのイソシアネート基を有する有機イソシアネートを含むバインダーと、並びに場合により、D)添加剤とを含む、軽量木材含有材料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、200〜600kg/m3の範囲の平均密度を有する軽量木材含有材料であって、それぞれ、木材含有材料に対して、
A)30〜95質量%の木材粒子と、
B)1〜15質量%の、発泡性プラスチック粒子および既に発泡されたプラスチック粒子から成る群から選択される、10〜100kg/m3の範囲の嵩密度を有する充填剤と、
C)3〜50質量%の、アミノプラスト樹脂および少なくとも2つのイソシアネート基を有する有機イソシアネートを含むバインダーと、場合により、
D)添加剤と、を含む、軽量木材含有材料に関する。
【0002】
さらに、本発明は、200〜600kg/m3の範囲の密度を有する木材含有材料または多層木質材料の製造のための、本発明による木材含有材料を含む多層木質材料、軽量木材含有材料の製造のための方法、多層木質材料の製造のための方法、本発明による軽量木材含有材料および本発明による多層木質材料の使用、アミノプラスト樹脂および少なくとも2つのイソシアネート基を有する有機イソシアネートを含むバインダーの使用、0.3〜1.0であるホルムアルデヒド:−NH2基のモル比、に関する。
【0003】
木質材料、特に多層木質材料は、純粋な木材の代替物として経済的かつ資源保護的であり、特に家具製造において、ラミネートフロアにおいて、および建築用資材として非常に重要である。出発材料として、異なる厚さの木材粒子、例えば、様々な材木に由来する木材チップまたは木材繊維が使用される。そのような木材粒子は、通常、天然および/または合成のバインダーを用いて、ならびに場合により、さらなる添加剤を添加して、ボード状またはストランド状の木質材料にプレス成形される。
【0004】
木質材料の良好な機械特性を達成するために、後者は、約650kg/m3以上の密度を有するように製造される。この密度を有する木質材料またはそれに相応するする部材、例えば家具などは、多くの場合、使用者にとって、特に個人消費者にとって重すぎる。
【0005】
したがって、近年、特に持ち帰り用家具の人気が伸びているため、軽量木質材料に対する工業的な需要が増加している。その上、例えば、継続的な輸送コストの増加につながる石油価格の上昇により、軽量木質材料に対する関心が高まっている。
【0006】
概して、軽量木質材料は、以下の理由により主に重要である。
【0007】
軽量木質材料により、例えば、家具製品の梱包、輸送、開梱または組み立てなどの際における、末端顧客による製品の取り扱いがより容易になる。
【0008】
軽量木質材料により、輸送および梱包のコストが削減され、その上、軽量木質材料の製造において、材料コストを削減することができる。
【0009】
例えば、輸送手段において使用される場合、軽量木質材料により、これらの輸送手段のエネルギー消費を低減することができる。その上、軽量木質材料を使用することにより、例えば、現在、キッチンにおける流行の厚い調理台および側板など、材料を消耗する装飾部分が、より経済的に入手可能になり得る。
【0010】
この背景ならびに木質材料からのホルムアルデヒド放出のさらなる低減に対して強まる規制を背景として、低ホルムアルデヒド放出性を有し、なおかつ今まで同様に、良好な性能特性および加工特性を有する軽量木質材料を提供することが望まれている。
【0011】
従来技術においては、木質材料の密度を減らすための様々な提案がなされている。
【0012】
例えば、構造上の対策により得ることができる軽量木質材料として、管状のパーティクルボードおよびハニカムボードが挙げられている。それらの特定の特性により、管状のパーティクルボードは、ドアの生産において、主に内部層として使用されている。
【0013】
例えば、ハニカムボードの場合、ねじ引抜き抵抗が非常に低いこと、取付物の固定が困難であること、ならびに縁取りが困難であることが欠点として挙げられる。
【0014】
さらに、従来技術では、接着剤または木材粒子に対する添加物により、木質材料の密度を低減することが提案されている。
【0015】
スイス特許第370229号には、木材粒子、木材繊維、バインダー、および充填剤として機能する多孔性プラスチックから成る、軽量で同時に耐圧性でもある成形物について記載されている。当該成形物の製造では、木材粒子または木材繊維をバインダーおよび発泡性プラスチックもしくは部分的発泡性プラスチックと混合し、得られた混合物を高温でプレス成形する。使用できるバインダーは、木材の接着に好適な一般的なすべてのバインダー、例えば、尿素−ホルムアルデヒド樹脂などである。好適な充填剤は、発泡性プラスチック粒子または既に発泡されたプラスチック粒子、好ましくは、膨張可能な熱可塑性プラスチック、例えば、スチレンポリマーである。実施例に記載されているボードは、220kg/m3〜430kg/m3の密度、ならびに厚さ18〜21mmにおいて3.6N/mm2〜17.7N/mm2の平均曲げ強度を有する。横方向引張強度については、実施例には記述されていない。ホルムアルデヒド放出性あるいはバインダーにおけるアミノプラストおよびイソシアネートの組み合わせに関しては、スイス特許第370229号には記述されていない。
【0016】
国際公開第02/38676号には、5〜40質量%の1mm未満の粒径の発泡性ポリスチレンまたは発泡状ポリスチレン、60〜95質量%のリグノセルロース含有材料およびバインダーを混合し、高温および高圧でプレス成形して最終的な製品を得る、軽量製品の製造のための方法について記載されている。一般的なバインダー、とりわけMDIが言及されている。ホルムアルデヒド放出性あるいはバインダーにおけるアミノプラストおよびイソシアネートの組み合わせに関しては、国際公開第02/38676号では言及されていない。
【0017】
米国特許出願公開第2005/0019548号には、低密度の充填剤を使用した軽量OSBボードについて記載されている。ポリマー性バインダー、例えば、ジフェニルメタン4,4−ジイソシアネート樹脂がバインダーとして記載されている。ガラス、セラミック、パーライト、またはポリマー性材料が充填剤として記載されている。ポリマー性材料は、OSBボードに対して、0.8〜20質量%の量において使用されている。実施例において、ポリプロピレン、塩化ポリビニリデン、ポリアクリロニトリルから成る材料Dualiteが、ポリマー性材料として使用されている。これにより、5%の質量減が記載されている。実施例において、607〜677kg/m3の密度および0.31〜0.59N/mm2の横方向引張強度を有するOSBボードが記載されている。ホルムアルデヒド放出性あるいはバインダーにおけるアミノプラストおよびイソシアネートの組み合わせに関しては、米国特許出願公開第2005/0019548号では言及されていない。
【0018】
特開平06−031708号には、軽量木質材料について記載されており、この場合、100質量部の木材粒子および5〜30質量部の合成樹脂発泡体の粒子の混合物が3層パーティクルボードの中間層に使用されており、これらの樹脂粒子は、0.3g/cm3以下の比重、および少なくとも30kg/cm2の圧縮強度を有する。その上、木材粒子の比重が、0.5g/cm3の値を超えるべきではないことが記述されている。特開平06−031708号によれば、バインダーはどんな制限も受けることがなく、一般的なバインダー、とりわけ多官能性イソシアネートを使用することが可能である。ホルムアルデヒド放出性あるいはバインダーにおけるアミノプラストおよびイソシアネートの組み合わせに関しては、特開平06−031708号では言及されていない。
【0019】
欧州特許第0025245号には、ポリイソシアネートのバインダーおよびアミノプラスト接着剤を含むパーティクルボードの製造のための方法が記載されており、当該アミノプラスト接着剤は、アミノ基のモル当量当たり0.25〜0.625モルのホルムアルデヒドを使用して製造されている。欧州特許第0025245号では、充填剤またはパーティクルボードの密度については開示されていない。
【0020】
概して、従来技術の欠点は、記載されている軽量(木質)材料の機械強度が、家具の製造のためには低すぎること、例えば、ねじ引抜き抵抗が低すぎることである。
【0021】
機械強度が低すぎるために、例えば、構造部材の破断または引裂が生じる可能性がある。その上、これらの構造部材は、穿孔または鋸断の際に、さらなる木材材料の欠けを示す傾向がある。これらの材料の場合、取付物の固定が困難である。
【0022】
その上、縁取り特性、すなわち、例えばパーティクルボードなどに対する端部材料の施用および接着は、従来技術ではまだ不十分である。
【0023】
ホルムアルデヒド放出性に関しても、従来技術の木質材料の場合、改良の余地が残っている。
【0024】
本発明の目的は、良好な機械強度および良好な加工特性、特に縁取り特性と共に、市販の木質材料と比較してより低い密度の、低ホルムアルデヒド放出性を有する軽量木材含有材料および軽量木質材料を提供することにある。
【0025】
当該機械強度は、例えば、EN319に従って横方向引張強度を測定することによって特定することができる。
【0026】
パーティクルボードに対する縁取り特性または縁の接着接合の評価に対しては、2006年1月のTKHデータシート(Technische Komission Holzklebstoffe im Industrieverband Klebstoffe e.V.)、表10を参照することができる。縁取り特性のための試験は、実施例に記載する。
【0027】
その上、これらの軽量木質材料は、好ましくは、天然の欧州材木を用いて製造可能でなければならない。
【0028】
その上、軽量木質材料の膨潤指数は、密度を下げることよって悪影響を受けるべきでない。
【0029】
本発明の目的は、200〜600kg/m3の範囲の平均密度を有する軽量木材含有材料であって、それぞれ、木材含有材料に対して、
A)30〜95質量%の木材粒子と、
B)1〜15質量%の、発泡性プラスチック粒子および既に発泡されたプラスチック粒子から成る群から選択される、10〜100kg/m3の範囲の嵩密度を有する充填剤と、
C)3〜50質量%の、アミノプラスト樹脂および少なくとも2つのイソシアネート基を有する有機イソシアネートを含むバインダーと、場合により、
D)添加剤と、を含む、軽量木材含有材料によって達成された。
【0030】
成分A)〜D)の合計は100質量%であり、これは、木材含有材料の固形分に基づいている。
【0031】
木材含有材料は、一般的に少量の水(一般的なわずかな変動幅において)を含み得、すなわち、この水は、本出願において記述された質量には考慮されていない。
【0032】
当該木材粒子の質量表示は、当業者に公知の通常の方法で乾燥させた木材粒子に基づいている。
【0033】
バインダーの質量表示は、バインダーにおけるアミノプラスト成分に関して、対応する成分の固形分に基づいており(例えば、Guenter Zeppenfeld,Dirk Grunwald,Klebstoffe in der Holz− und Moebelindustrie,2nd edition,DRW Verlag,p.268に従い、2時間かけて120℃で水を蒸発除去することにより特定した)、イソシアネート、特にPMDIに関しては、イソシアネート成分自体、すなわち、例えば、溶媒または乳化媒体を含まないイソシアネート成分に基づいている。
【0034】
本発明による軽量木材含有材料は、200〜600kg/m3、好ましくは200〜575kg/m3、特に好ましくは250〜550kg/m3、特に300〜500kg/m3の平均密度を有する。
【0035】
本発明による軽量木材含有材料、または好ましくは本発明による多層木質材料の横方向引張強度は、0.1N/mm2〜1.0N/mm2、好ましくは0.3〜0.8N/mm2、特に好ましくは0.4〜0.6N/mm2の範囲である。
【0036】
横方向引張強度の測定は、EN319に従って実施する。
【0037】
好適な多層木質材料は、木材単板、好ましくは0.4〜0.85g/cm3の木材単板の平均密度を有する木材単板、例えば、ベニヤ板もしくはベニヤ合板または単板積層材(LVL)から製造されたすべての材料である。
【0038】
他の好適な多層木質材料は、木材粒子、好ましくは0.4〜0.85g/cm3の木材粒子の平均密度を有する木材粒子から製作されたすべての材料、例えば、パーティクルボードまたはOSBボードなど、ならびに木材繊維材料、例えばLDF、MDF、およびHDFボードなどである。パーティクルボードおよびファイバーボードが好ましく、特にパーティクルボードが好ましい。
【0039】
成分A)の木材粒子の平均密度は、原則として、0.4〜0.85g/cm3、好ましくは0.4〜0.75g/cm3、特に0.4〜0.6g/cm3である。
【0040】
任意の所望の木材の種類が、木材粒子の製造に好適であり、例えば、トウヒ、ブナ、マツ、唐松、ライム、ポプラ、アッシュ、クリ、またはモミの木材が好適であり、トウヒおよび/またはブナの木材、特にトウヒの木材が好ましい。
【0041】
木材粒子の寸法は重要ではなく、通常、製造される木質材料、例えば、パーティクルボードまたはOSBなどの上述の木質材料に従う。
【0042】
発泡性でコンパクトなプラスチック粒子あるいは既に発泡されたプラスチック粒子、好ましくは熱可塑性プラスチック粒子が、充填剤B)として好適である。しかしながら、任意の所望の、発泡の中間段階にあるプラスチック粒子を使用することも可能である。特に明記されない場合には、これらのすべての発泡性プラスチック粒子または発泡プラスチック粒子もしくは予備発泡プラスチック粒子は、以下において、本発明によるプラスチック粒子と称する。
【0043】
発泡プラスチックなる用語、または特に発泡体なる用語は、例えば、DIN 7726:1982−05において説明されている。
【0044】
成形物、例えば、ポリウレタン発泡体成形物またはポリスチレン発泡体成形物などから粉砕によって得ることができるプラスチック発泡体粒子も、充填剤B)のための成分として好適である。
【0045】
本発明によるプラスチック粒子がベースとする好適なポリマーは、すべてのポリマー、好ましくは、発泡可能な熱可塑性ポリマーである。これらは、当業者に公知である。
【0046】
このタイプの非常に好適なポリマーは、例えば、PVC(硬質および軟質)、ポリカーボネート、ポリイソシアヌレート、ポリカルボジイミド、ポリアクリルイミドおよびポリメタクリルイミド、ポリアミド、ポリウレタン、アミノプラスト樹脂およびフェノール樹脂、スチレンホモポリマー、スチレンコポリマー、C2〜C10−オレフィンホモポリマー、C2〜C10−オレフィンコポリマー、並びにポリエステルである。1−アルケン、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、または1−オクテンなどが、上記のオレフィンポリマーの製造において好ましく使用される。
【0047】
成分B)の本発明によるプラスチック粒子は、10〜100kg/m3、好ましくは15〜80kg/m3、特に好ましくは20〜70kg/m3、特に30〜60kg/m3の嵩密度を有する。通常、嵩密度は、当該粉粒体で満たされた規定の体積を計量することによって特定される。
【0048】
本発明による予備発泡プラスチック粒子は、一般的に、有利には、0.25〜10mm、好ましくは0.5〜5mm、特に0.75〜3mmの平均直径を有する球体またはビーズの形態で使用される。
【0049】
本発明による予備発泡プラスチック粒子球体は、有利には、単位体積あたり小さな表面積を有し、例えば、球状の粒子または楕円状の粒子の形態である。
【0050】
本発明による予備発泡プラスチック粒子球体は、有利には、独立気泡を有する。DIN−ISO 4590による連続気泡の割合は、原則として、30%未満である。
【0051】
充填剤B)が、異なるポリマータイプ、すなわち、異なるモノマーをベースとするポリマータイプから成る場合(例えば、ポリスチレンおよびポリエチレンあるいはポリスチレンおよびホモポリプロピレンあるいはポリエチレンおよびホモポリプロピレンなど)、それらは、異なる質量比で存在していてもよく、しかしながら、現時点での従来技術においては、この質量比は重要ではない。
【0052】
その上、添加剤、核形成剤、可塑剤、防炎剤、可溶性および不溶性の無機および/または有機の染料および顔料、例えば、カーボンブラックなどのIR吸収剤、グラファイト、またはアルミニウム粉末は、一緒に、または空間的に別々に、添加剤として、本発明による熱可塑性プラスチックに添加してもよい。
【0053】
ポリスチレンおよび/またはスチレンコポリマーは、好ましくは、充填剤B)における、本発明による単一のプラスチック粒子成分として使用される。
【0054】
充填剤ポリスチレンおよび/またはスチレンコポリマーは、当業者に公知のすべての重合方法によって製造することができる(例えば、Ullmann’s Encyclopedia,Six edition,2000 Electronic Release参照)。例えば、当該製造は、懸濁重合または押出加工によって、それ自体公知の方法で行われる。
【0055】
懸濁重合では、スチレンは、場合により、さらなるコモノマーを添加して、水性懸濁液において、通常の懸濁液安定剤の存在下でフリーラジカル形成触媒により重合される。発泡剤および、場合によりさらなる添加剤を、重合において最初に一緒に装入するか、または重合中もしくは重合の終了後にバッチに加えてもよい。得られたビーズ状の膨張性スチレンポリマーは、重合の終了後に水相から分離され、洗浄され、乾燥され、篩別される。
【0056】
押出加工では、発泡剤を、例えば、押出機によりポリマー中に混合し、ダイプレートを通して押し出して、粒状化し、粒子またはストランドを得る。
【0057】
使用される発泡剤は、当業者に公知のすべての発泡剤、例えば、C3−〜C6−炭化水素、例えば、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、および/またはヘキサンなど、アルコール、ケトン、エーテル、またはハロゲン化炭化水素である。市販のペンタン異性体混合物が、好ましく使用される。
【0058】
その上、添加剤、核形成剤、可塑剤、防炎剤、可溶性および不溶性の無機および/または有機の染料および顔料、例えば、カーボンブラックなどのIR吸収剤、グラファイト、またはアルミニウム粉末を、一緒にまたは空間的に別々に、添加剤としてスチレンポリマーに添加することができる。
【0059】
場合により、スチレンコポリマーも使用することができ、これらのスチレンコポリマーは、有利には、重合されたユニットの形態で組み込まれたスチレンを、少なくとも50質量%、好ましくは少なくとも80質量%有している。好適なコモノマーは、例えば、α−メチルスチレン、環原子がハロゲン化されたスチレン、アクリロニトリル、アクリル酸またはメタクリル酸と1〜8個の炭素原子を有するアルコールとのエステル、N−ビニルカルバゾール、マレイン酸(無水物)、(メタ)アクリルアミド、および/または酢酸ビニルである。
【0060】
当該ポリスチレンおよび/またはスチレンコポリマーは、有利には、重合されたユニットの形態で組み込まれた少量の連鎖分岐剤、すなわち、2つ以上の二重結合、好ましくは2つの二重結合を有する化合物、例えば、ジビニルベンゼン、ブタジエン、および/またはブタンジオールジアクリレートなどを含む。一般的に、分岐剤は、スチレンに対して0.005〜0.05mol%の量において使用される。
【0061】
欧州特許第106129号および欧州特許出願公開第3921148号に記載されているような分子量および分子量分布を有するスチレン(コ)ポリマーが、有利に使用される。190,000〜400,000g/molの範囲の分子量を有するスチレン(コ)ポリマーが、好ましく使用される。
【0062】
様々なスチレン(コ)ポリマーの混合物を使用することも可能である。
【0063】
好ましく使用されるスチレンポリマーは、ガラス様に透明なポリスチレン(GPPS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、アニオン重合されたポリスチレンもしくは耐衝撃性ポリスチレン(A−IPS)、スチレン−α−メチルスチレンコポリマー、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンポリマー(ABS)、スチレン−アクリロニトリル(SAN)、アクリロニトリル−スチレン−アクリレート(ASA)、メタクリレート−ブタジエン−スチレン(MBS)、メチルメタクリレート−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(MABS)ポリマー、またはそれらの混合物もしくはポリフェニレンエーテル(PPE)との混合物である。
【0064】
ポリスチレンとしては、BASF AktiengesellschaftのStyropor(登録商標)、Neopor(登録商標)、および/またはPeripor(登録商標)が特に好ましく使用される。
【0065】
既に予備発泡されたポリスチレンおよび/またはスチレンコポリマーが、有利に使用される。
【0066】
一般的に、当該予備発泡ポリスチレンは、当業者に公知のすべての方法によって製造することができる(例えば、独国特許第845264号)。予備発泡ポリスチレンおよび/または予備発泡スチレンコポリマーの製造では、膨張性スチレンポリマーを、例えば、熱風、もしくは好ましくは蒸気を用いて、それらの軟化点より高い温度まで加熱することによって、既知の方法において膨張させる。
【0067】
予備発泡ポリスチレンまたは予備発泡スチレンコポリマーは、有利には、10〜100kg/m3、好ましくは15〜80kg/m3、特に好ましくは20〜70kg/m3、特に30〜60kg/m3の嵩密度を有する。
【0068】
予備発泡ポリスチレンまたは予備発泡スチレンコポリマーは、有利には、0.25〜10mm、好ましくは0.5〜5mm、特に0.75〜3mm、の平均直径を有する球体またはビーズの形態において使用される。
【0069】
予備発泡ポリスチレン球体または予備発泡スチレンコポリマー球体は、有利には、例えば、球状または楕円形粒子の形態において、単位体積あたりの小さい表面積を有する。
【0070】
予備発泡ポリスチレン球体または予備発泡スチレンコポリマー球体は、有利には、独立気泡を有する。DIN−ISO 4590による連続気泡の割合は、原則として、30%未満である。
【0071】
発泡スチレンポリマーまたは発泡スチレンコポリマーを含む成形品は、発泡ポリスチレンまたは発泡スチレンコポリマーのための出発物質として役立ち得る。そのような成形品は、通常の粉砕方法により、好ましくは球形の、個々のスチレンポリマーまたはスチレンコポリマー粒子程度まで粉砕することができる。好適で好ましい粉砕方法は、ミル粉砕である。
【0072】
発泡スチレンポリマーもしくはスチレンコポリマーを含む成形品は、例えば、梱包材料または絶縁材料として役に立つ。
【0073】
廃棄処理が意図される発泡スチレンポリマーもしくはスチレンコポリマーを含む成形品は、発泡ポリスチレンもしくは発泡スチレンコポリマーのための出発物質、例えば、スチレンポリマーもしくはスチレンコポリマー梱包材料廃棄物またはスチレンポリマーもしくはスチレンコポリマー絶縁材料破棄物として役立ち得る。
【0074】
特に好ましくは、ポリスチレンもしくはスチレンコポリマーまたは予備発泡ポリスチレンもしくは予備発泡スチレンコポリマーは、帯電防止コーティングを有する。
【0075】
産業において通常一般的に使用される物質を、帯電防止剤として使用することができる。例としては、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−C12〜C18−アルキルアミン、脂肪酸ジエタノールアミド、脂肪酸のコリンエステルクロリド、C12〜C20−アルカンスルホネート、およびアンモニウム塩が挙げられる。
【0076】
好適なアンモニウム塩は、窒素上に、アルキル基以外に、ヒドロキシル基を有する1〜3つの有機基を含む。
【0077】
好適な第四級アンモニウム塩としては、例えば、任意の所望のアニオン、例えば、塩化物、臭化物、アセテート、メチルサルフェートまたはpートルエンスルホネートなどと共に、1〜12個、好ましくは1〜10個の炭素原子を有する、1〜3つ、好ましくは2つの同一または異なるアルキル遊離基と、窒素カチオンに結合した、1〜3つ、好ましくは2つの同一または異なるヒドロキシアルキル基またはヒドロキシアルキルポリオキシアルキレン基とを含むものが挙げられる。
【0078】
当該ヒドロキシアルキル基またはヒドロキシアルキルポリオキシアルキレン基は、窒素に結合した水素原子のオキシアルキル化により形成され、1〜10個のオキシアルキレン基、特にオキシエチレン基およびオキシプロピレン基に由来するものである。
【0079】
特に好ましく使用される帯電防止剤は、C12〜C20−アルカンスルホネートの第四級アンモニウム塩またはアルカリ金属塩、特にナトリウム塩、例えば、Bayer AGの乳化剤K30など、あるいはそれらの混合物である。帯電防止剤は、原則として、純物質として、または水溶液の形態での両方において添加することができる。
【0080】
帯電防止剤は、通常の添加剤と同様に、ポリスチレンまたはスチレンコポリマーの製造の方法中に加えてもよく、あるいは、ポリスチレン粒子の製造後にコーティングとして塗布してもよい。
【0081】
帯電防止剤は、有利には、ポリスチレンまたはスチレンコポリマーに対して、0.05〜6質量%、好ましくは0.1〜4質量%の量において使用される。
【0082】
軽量木質材料、好ましくは多層木質材料を得るためにプレス成形した後でさえ、充填剤粒子B)は、有利には、それらの当初の形状がまだ認識可能な状態で存在する。場合により、軽量木材含有材料の表面、または好ましくは多層木質材料の表面に存在する充填剤粒子において溶融が生じ得る。
【0083】
充填剤B)の総量は、軽量木材含有材料に対して、1〜15質量%、好ましくは3〜15質量%、特に好ましくは3〜12質量%の範囲である。
【0084】
唯一のプラスチック粒子成分としてポリスチレンおよび/またはスチレンコポリマーを含む充填剤B)の総量は、軽量木材含有材料に対して、1〜15質量%、好ましくは3〜15質量%、特に好ましくは3〜12質量%の範囲である。
【0085】
バインダーC)は、実質的な成分として、アミノプラスト樹脂および少なくとも2つのイソシアネート基を有する有機イソシアネートを含む。本出願において、成分C)に関して記述された絶対量および割合は、これらの成分に対するものである。
【0086】
バインダーC)は、原則として、アミノプラストに対して一般的に使用され、通常、硬化剤と呼ばれる当業者に公知の物質、例えば、硫酸アンモニウムもしくは硝酸アンモニウムまたは無機酸もしくは有機酸、例えば、硫酸もしくはギ酸、または酸再生成物質、例えば塩化アルミニウム、または硫酸アルミニウムを、それぞれ、通常は、少量、例えば、バインダーC)のアミノプラスト樹脂の総量に対して、0.1質量%〜3質量%の範囲において含む。
【0087】
ここで、アミノプラスト樹脂は、場合により有機基で部分置換されていてもよい少なくとも1つのカルバミド基(カルバミド基は、カルボキシアミド基とも呼ばれる)を有する化合物と、アルデヒド、好ましくはホルムアルデヒド、との重縮合体を意味するとして理解される。
【0088】
当業者に公知のすべてのアミノプラスト樹脂が、好ましくは木質材料の製造のために、好適なアミノプラスト樹脂として使用することができる。そのような樹脂およびそれらの製造は、例えば、Ullmanns Enzyklopaedie der technischen Chemie,4th newly revised and extended edition,Verlag Chemie,1973,pp.403−424"Aminoplaste"、ならびにUllmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,Vol.A2,VCH Verlagsgesellschaft,1985,pp.115−141,"Amino Resins"、ならびにM.Dunky,P.Niemz,Holzwerkstoffe und Leime,Springer 2002,pp.251−259(UF resins)およびpp.303−313(MUF and UF with small amount of melamine)に記載されている。
【0089】
好ましいアミノプラスト樹脂は、有機基で部分置換された少なくとも1つのカルバミド基を有する化合物とホルムアルデヒドとの重縮合体である。
【0090】
特に好ましいアミノプラスト樹脂は、尿素−ホルムアルデヒド樹脂(UF樹脂)、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂(MF樹脂)、またはメラミン含有尿素−ホルムアルデヒド樹脂(MUF樹脂)である。
【0091】
非常に特に好ましいアミノプラスト樹脂は、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、例えば、BASF AktiengesellschaftのKaurit(登録商標)Leimタイプである。
【0092】
他の非常に好ましいアミノプラスト樹脂は、有機基で部分置換された少なくとも1つのアミノ基を有する化合物とアルデヒドとの重縮合体であり、この場合、アルデヒドと有機基で場合により部分置換されたアミノ基とのモル比は、0.3〜1.0、好ましくは0.3〜0.60、特に好ましくは0.3〜0.45、非常に特に好ましくは0.30〜0.40の範囲である。
【0093】
他の非常に好ましいアミノプラスト樹脂は、少なくとも1つのアミノ基−NH2を有する化合物とホルムアルデヒドとの重縮合体であり、この場合、ホルムアルデヒドと−NH2基とのモル比は、0.3〜1.0、好ましくは0.3〜0.60、特に好ましくは0.3〜0.45、非常に特に好ましくは0.30〜0.40の範囲である。
【0094】
他の非常に好ましいアミノプラスト樹脂は、尿素−ホルムアルデヒド樹脂(UF樹脂)、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂(MF樹脂)、またはメラミン含有尿素−ホルムアルデヒド樹脂(MUF樹脂)であり、この場合、ホルムアルデヒドと−NH2基とのモル比は、0.3〜1.0、好ましくは0.3〜0.60、特に好ましくは0.3〜0.45、非常に特に好ましくは0.30〜0.40の範囲である。
【0095】
他の非常に好ましいアミノプラスト樹脂は、尿素−ホルムアルデヒド樹脂(UF樹脂)であり、この場合、ホルムアルデヒドと−NH2基とのモル比は、0.3〜1.0、好ましくは0.3〜0.60、特に好ましくは0.3〜0.45、非常に特に好ましくは0.30〜0.40の範囲である。
【0096】
通常、上記のアミノプラスト樹脂は、一般的には液体懸濁媒体中に懸濁された液体の形態において、好ましくは水性懸濁液において使用されるが、固体としても使用することができる。
【0097】
アミノプラスト樹脂懸濁液、好ましくは水性懸濁液の固形分は、通常、25〜90質量%、好ましくは、50〜70質量%である。
【0098】
水性懸濁液中のアミノプラスト樹脂の固形分は、Guenter Zeppenfeld,Dirk Grunwald,Klebstoffe in der Holz−und Moebelindustrie,2nd edition,DRW−Verlag,p.268に従って特定することができる。アミノプラスト接着剤の固形分の特定では、1gのアミノプラスト接着剤を正確に計量皿に計量し、底に細かく分散させ、乾燥オーブンにおいて120℃で2時間乾燥する。デシケーター内で室温に調節した後、残留物を計量し、計量した試料のパーセンテージとして計算する。
【0099】
当該アミノプラスト樹脂は、公知の方法(前述のUllmann literature "Aminoplaste"および"Amino Resins"ならびに前述のDunky et al.の文献参照)により、カルバミド基を含有する化合物、好ましくは尿素および/またはメラミンと、アルデヒド、好ましくはホルムアルデヒドとを、カルバミド基とアルデヒドの所望のモル比において、好ましくは溶媒としての水中で反応させることによって製造される。
【0100】
アルデヒド、好ましくはホルムアルデヒドと、場合により有機基によって部分置換されたアミノ基との所望のモル比の調節は、−NH2基を有するモノマーを、ホルムアルデヒドが豊富な、好ましくは市販のアミノプラスト樹脂に添加することによっても行うことができる。NH2基を有するモノマーは、好ましくは尿素およびメラミンであり、特に好ましくは尿素である。
【0101】
バインダーC)のさらなる成分は、少なくとも2つのイソシアネート基を有する有機イソシアネートである。
【0102】
当業者に公知のすべての有機イソシアネートを、好ましくは木質材料またはポリウレタンの製造のために、好適な有機イソシアネートとして使用することができる。そのような有機イソシアネートならびにそれらの製造および使用は、例えば、Becker/Braun,Kunststoff Handbuch,3rd newly revised edition,volume 7"Polyurethane",Hanser 1993,pp.17−21,pp.76−88,and pp.665−671に記載されている。
【0103】
好ましい有機イソシアネートは、2〜10個、好ましくは2〜8個のモノマーユニットと、モノマーユニットあたり平均して少なくとも1つのイソシアネートとを有するオリゴマー性イソシアネートである。
【0104】
特に好ましい有機イソシアネートは、オリゴマー性有機イソシアネートPMDI(「ポリマー性メチレンジフェニレンジイソシアネート」)であり、これは、ホルムアルデヒドとアニリンとの縮合ならびに当該縮合によって形成された異性体およびオリゴマーのホスゲン化によって得ることができる(例えば、Becker/Braun, Kunststoff Handbuch,3rd newly revised edition,volume 7"Polyurethane",Hanser 1993,p.18,last paragraph−p.19,second paragraph, and p.76,fifth paragraph参照)。
【0105】
本発明との関係において非常に好適なPMDI製品は、BASF AktiengesellschaftのLUPRANAT(登録商標)シリーズの製品、特にBASF AktiengesellschaftのLUPRANAT(登録商標)M20FBである。
【0106】
記載された有機イソシアネートの混合物を使用することも可能であり、当該混合比は、現在の知識水準においては重要ではない。
【0107】
バインダーC)の総量は、軽量木材含有材料に対して、3〜50質量%、好ましくは5〜15質量%、特に好ましくは7〜10質量%の範囲である。
【0108】
バインダー(C)における、アミノプラスト樹脂の総量(通常、固体に対する)、好ましくは尿素−ホルムアルデヒド樹脂および/またはメラミン−尿素−ホルムアルデヒド樹脂および/またはメラミンホルムアルデヒド樹脂の総量、特に好ましくは尿素−ホルムアルデヒド樹脂の総量は、したがって、軽量木材含有材料に対して、1〜45質量%、好ましくは4〜14質量%、特に好ましくは6〜9質量%の範囲である。
【0109】
バインダー(C)における、有機イソシアネートの総量、好ましくは、2〜10個、好ましくは2〜8個のモノマーユニットならびにモノマーユニットあたり平均して少なくとも1つのイソシアネート基を有するオリゴマー性イソシアネートの総量、特に好ましくはPMDIの総量は、したがって、軽量木材含有材料に対して、0.1〜5質量%、好ましくは0.25〜3.5質量%、特に好ましくは0.5〜1.5質量%の範囲である。
【0110】
アミノプラスト樹脂と有機イソシアネートとの比率は、上述の、アミノプラスト樹脂バインダーと軽量木材含有材料との比率あるいは有機イソシアネートバインダーと軽量木質材料との比率に起因する。
【0111】
軽量木材含有材料の好ましい実施形態は、軽量木材含有材料に対して、55〜92.5質量%、好ましくは60〜90質量%、特に70〜88質量%の、0.4〜0.85g/cm3、好ましくは0.4〜0.75g/cm3、特に0.4〜0.6g/cm3の平均密度を有する木材粒子と、軽量木材含有材料に対して、3〜15質量%、好ましくは3〜12質量%、特に、3〜10質量%の、10〜100kg/m3、好ましくは20〜80kg/m3、特に、30〜60kg/m3の嵩密度を有するポリスチレンおよび/またはスチレンコポリマー充填剤と、軽量木材含有材料に対して、3〜40質量%、好ましくは5〜25質量%、特に5〜15質量%のバインダーとを含み、バインダー(C)におけるアミノプラスト樹脂の総量、好ましくは尿素−ホルムアルデヒド樹脂および/またはメラミン−尿素−ホルムアルデヒド樹脂および/またはメラミン−ホルムアルデヒド樹脂の総量、特に好ましくは尿素−ホルムアルデヒド樹脂の総量は、軽量木材含有材料に対して、1〜45質量%、好ましくは4〜14質量%、特に好ましくは6〜9質量%の範囲であり、ならびに、バインダーC)における有機イソシアネートの総量、好ましくは、2〜10個、好ましくは2〜8個のモノマーユニットおよびモノマーユニットあたり平均して少なくとも1つのイソシアネート基を有するオリゴマー性イソシアネートの総量、特に好ましくはPMDIの総量は、軽量木材含有材料に対して、0.1〜5質量%、好ましくは0.25〜3.5質量%、特に好ましくは0.5〜1.5質量%の範囲であり、ならびに、軽量木材含有材料の平均密度は、200〜600kg/m3の範囲、好ましくは300〜575kg/m3の範囲である。
【0112】
場合により、成分D)として、当業者に公知のさらなる市販の添加剤、例えば、パラフィンエマルションなどの撥水剤、抗かび薬、および防炎剤などが、本発明による軽量木材含有材料もしくは本発明による多層木質材料中に存在していてもよい。
【0113】
本発明は、さらに、少なくとも3つの木質材料層を含む多層木質材料であって、少なくとも当該中間層が、200〜600kg/m3の範囲の平均密度を有する軽量木材含有材料を含み、かつ、それぞれ、軽量木材含有材料に対して、
A)30〜95質量%の木材粒子と、
B)1〜15質量%の、発泡性プラスチック粒子および既に発泡されたプラスチック粒子から成る群から選択される、10〜100kg/m3の範囲の嵩密度を有する充填剤と、
c)3〜50質量%の、アミノプラスト樹脂および少なくとも2つのイソシアネート基を有する有機イソシアネートを含むバインダーと、場合により、
D)添加剤と、を含む。
【0114】
本発明による多層木質材料の平均密度、好ましくは本発明による3層木質材料の平均密度は、300kg/m3〜600kg/m3の範囲、好ましくは350kg/m3〜600kg/m3の範囲、特に好ましくは400kg/m3〜500kg/m3の範囲である。
【0115】
成分A)、B)、C)、およびD)に関して軽量木材含有材料の平均密度に関する好ましいパラメータ範囲および好ましい実施形態、並びに当該特徴の組み合わせは、上述のものに相応する。
【0116】
本発明との関係において、中間層は、外側の層でないすべての層である。
【0117】
外側の層(通常、「被覆層」と呼ばれる)は、好ましくは充填剤を含まない。
【0118】
本発明による多層木質材料は、好ましくは3つの木質材料層を含み、外側の被覆層は合わせて、本発明による多層木質材料全体の厚さの1〜25%、好ましくは3〜20%、特に5〜15%を占める。
【0119】
外側の層に使用されるバインダーは、通常、アミノプラスト樹脂であり、例えば、尿素−ホルムアルデヒド樹脂(UF)、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂(MF)、メラミン−尿素−ホルムアルデヒド樹脂(MUF)、または本発明によるバインダーC)である。好ましくは、外側の層に使用される当該バインダーは、アミノプラスト樹脂であり、特に好ましくは尿素−ホルムアルデヒド樹脂であり、非常に特に好ましくは、ホルムアルデヒドと−NH2基とのモル比が0.3〜1.0の範囲であるアミノプラスト樹脂である。
【0120】
本発明による多層木質材料の厚さは、用途に応じて変化するが、原則として、0.5〜100mmの範囲、好ましくは10〜40mmの範囲、特に15〜20mmの範囲である。
【0121】
本発明はさらに、上記において定義されたような、本発明よる多層木質材料の製造のための方法であって、個々の層の成分を次々と積み重ねて、高められた温度および高められた圧力においてプレス成形する方法に関する。
【0122】
多層木質材料の製造のための方法は、原則として公知であり、例えば、M.Dunky,P.Niemz,Holzwerkstoffe and Leime,Springer 2002,pp。91―150に記載されている。
【0123】
本発明による多層木質材料の製造のための方法の実施例について、以下において説明する。
【0124】
木材をチップ加工した後に、当該粒子を乾燥させる。次に、場合により、粗大画分と微細画分を取り除く。残った粒子を、ふるい分けまたは気流中での分級により選り分ける。より粗大な材料は中間層に使用し、より微細な材料は被覆層に使用する。中間層粒子および被覆層粒子は、接着剤でコーティングするか、またはお互いに別個に、それぞれ、成分B)(中間層のみ)、成分C)(中間層)、および適切であるなら、成分D)(中間層および/または被覆層)、並びにアミノプラスト樹脂(被覆層)と混合され、振りまかれる。最初に、被覆層材料を成形ベルト上に振りまき、次に、中間層(成分B)、C)、および場合によりD)を含む)中間層材料を振りまき、最後にもう一度被覆層材料を振りまく。このようにして製造された3層粒子ケーキを、冷間で(原則として、室温で)予備プレス成形し、次いで、加熱プレス成形する。当該プレス成形は、当業者に公知のすべての方法で行うことができる。通常、当該木材粒子ケーキは、150℃〜230℃のプレス温度で、所望の厚さにプレス成形する。プレス時間は、通常、ボード厚さ1mmあたり3〜15秒である。このようにして、三層パーティクルボードが得られる。
【0125】
軽量木材含有材料および多層木質材料の平均密度に関して、並びに成分A)、B)、C)、および適切であるならD)、並びにその特徴の組み合わせに関して、好ましいパラメータ範囲および好ましい実施形態は、上述のものに相応する。
【0126】
さらなる好ましい実施形態において、予備発泡もしくは非予備発泡ポリスチレンおよび/またはスチレンコポリマーは、バインダーおよび/または木材粒子と混合する前に、帯電防止コーティングが施される。帯電防止剤に関しては、上記の記述が適用可能である。
【0127】
さらに、本発明は、すべての種類の物品、例えば、家具、家具部品、または梱包材などの製造のための、本発明による軽量木材含有材料および本発明による多層木質材料の使用、並びに、建設分野における、本発明による軽量木材含有材料および本発明による多層木質材料の使用に関する。すべての種類の物品の例としては、家具、家具部品、および梱包材に加えて、壁および天井の構成部材、ドア、並びに床が挙げられる。
【0128】
家具または家具部品の例としては、厨房用家具、食器棚、椅子、テーブル、例えば厨房用家具のための調理台など、並びに事務机が挙げられる。
【0129】
梱包材の例としては、ケースおよび箱が挙げられる。
【0130】
建設分野のための例としては、ビル建設、土木、内装、およびトンネル工事が挙げられ、この場合、本発明による木材含有材料または本発明による多層木質材料は、型枠ボードとしてまたは支持体として使用することができる。
【0131】
本発明の利点は、本発明による密度の低い軽量木材含有材料または本発明による多層木質材料であり、その際に、良好な機械安定性は保持される。その上、本発明による軽量木材含有材料および本発明による多層木質材料は、容易に製造することができ、すなわち、既存のプラントを本発明による多層木質材料の製造用に転用する必要がない。
【0132】
驚いたことに、本発明の軽量木材含有材料、または特に多層木質材料の縁取り特性は良好である。縁取りの接着性は特に良好であり、でこぼこだったり波打ったりせず、特に多層木質材料の細幅面は、縁取りにより現れることなく、縁は、圧力に対して安定であり、当該縁取りは、ボード製造および縁取りの通常の装置を使用して行うことができる。
【0133】
驚いたことに、低ホルムアルデヒド接着剤でさえ、すなわち、通常、ホルムアルデヒドと−NH2基とのモル比が、0.3〜1.0の範囲、好ましくは0.3〜0.6の範囲と低い接着剤でも、軽量木材含有材料または多層木質材料を得ることができ、そのような軽量木材含有材料または多層木質材料の機械特性、例えば、横方向引張強度などは、予想外に高い。
【0134】
本発明の多層木質材料の膨潤指数は、有利には、充填剤を含まない同じ密度の類似のボードの膨潤指数より、10%、好ましくは20%、特に30%低い。
【0135】
実施例
予備発泡ポリスチレンの製造
Neopor(登録商標)N2200(Neopor(登録商標)は、市販の製品であり、BASF Aktiengesellschaftのブランドである)を、連続式予備発泡器において、蒸気で処理した。蒸気圧および蒸気処理時間を変えることによって、小さな予備発泡ポリスチレン球体の嵩密度を、50kg/m3に調節した。予備発砲後の平均粒子直径は、1.9〜2.5mmであった。
【0136】
B)ホルムアルデヒドが豊富な尿素−ホルムアルデヒド接着剤またはホルムアルデヒドが乏しい尿素−ホルムアルデヒド接着剤を使用した、充填剤を有するかまたは有さない多層木質材料の製造
B1)出発材料の混合
接着剤は、BASF AktiengesellschaftのKaurit(登録商標)Leim 335およびKaurit(登録商標)Leim 347を使用した。実験のために所望するホルムアルデヒドとNH2基とのモル比(下記では、F:NH2)は、固体尿素を混合することによって実現した。固形分含有量は、それぞれ、水により67質量%に調整した。詳細は、第1表〜第3表にも示す。
【0137】
B1.1)被覆層用:
510gの微細なトウヒ材粒子(2%の残留湿気)と、100部のUF接着剤(F:NH2=0.52、固形分含有量67質量%)、1.4部の52質量%濃度の硝酸アンモニウム溶液(硬化剤として)、3.1部の60質量%濃度のパラフィンエマルション、および15部の水を含む接着剤溶液82.0gとをミキサー内で混合した。
【0138】
B1.2)中間層用:
第1表〜第3表に従って、5508gの粗大なトウヒ材粒子(2%の残留湿気)あるいは4957gのトウヒ材粒子および540gの充填剤あるいは4315gのトウヒ材粒子および270gの充填剤をミキサー内で混合した。その後、100部のUF接着剤(第1表〜第3表によりF:NH2、固形分含有量67質量%)、5.9部の52質量%濃度の硝酸アンモニウム溶液、および4.0部の60質量%濃度のパラフィンエマルション、並びに、適切であるなら、第1表〜第3表により、54.0gのPMDI(BASF AktiengesellschaftのLupranat(登録商標)M20FB)を含む接着剤溶液753gを塗布した。
【0139】
B2)接着剤コーティング粒子のプレス成形
3層のパーティクルボードの製造のための材料を、30×30cmの型枠に振り入れた。最初に被覆層材料を振り入れ、次に中間層材料を振り入れ、最後のもう一度被覆層材料を振り入れた。総質量は、プレス成形加工の終了時に、理論上の厚さ16mmにおいて所望の密度が得られるように選択した。被覆層材料と中間層材料と被覆層材料との質量比(質量比)は、すべての実験において17:66:17であった。すべての実験において、上記のB1.1)で説明した混合物を、被覆層材料として使用した。中間層は、B1.2)に従って製造し、第1表〜第3表に従って変化した。
【0140】
振り入れた後、室温で、すなわち、「冷間」で予備圧縮を行い、次いでホットプレスによりプレス成形した(プレス温度は210℃、プレス時間は210秒)。ボードの理論上の厚さは、それぞれ16mmであった。
【0141】
C)多層木質材料の研究
C1)密度
密度は、製造の24時間後にEN1058に従って測定した。
【0142】
C2)横方向引張強度
横方向引張強度はEN319に従って測定した。
【0143】
C3)膨潤指数および吸水率
膨潤指数および吸水率は、DIN EN317に従って測定した。
【0144】
C4)ホルムアルデヒド放出性
ホルムアルデヒド放出性は、DIN EN120(パーフォレーター法)に従って測定した。
【0145】
C5)縁取り特性
縁取り材料として、メラミン縁取り材(厚さ0.6mm)を使用した。接着剤として、Wetzel GmbHのUnitol 089618を使用した(EVAホットメルト接着剤)。
【0146】
200g/m2のホットメルト接着剤を、多層木質材料の細幅面に塗布し、その後すぐに、縁取り材料が5cm突き出るように、縁取り材料を当該細幅面に圧着した。24時間後、コンディショニングチャンバー内(20℃/65%相対湿度)において、突き出た縁取り材料に張力を加え(細幅面に対して垂直に)、接着の品質を学業評価式により評価した。すなわち、1=非常に良い特性、6=不十分な特性である。評価には、接着性だけでなく、外観(均一でなめらかな表面であるか、またはボード材料が再現されているか)および圧力に対する安定性も含まれる。
【0147】
試験の結果を第1表、第2表、および第3表に記載する。
【0148】
中間層の量に関するデータのみを表に記載している。被覆層は、すべての実験において同一である(上記参照)。すべての場合において、量に関するデータは、乾燥させた物質に対するものである。質量部の記載において、乾燥木材あるいは乾燥木材および充填剤の合計は、100質量部になるように設定する。質量%の記載において、完成した多層木質材料における中間層のすべての乾燥構成成分の合計は、100%に等しい。
【0149】
密度、強度、膨潤指数、吸水率、縁取り特性、およびパーフォレーター値(ホルムアルデヒド放出性)の測定は、完成した3層パーティクルボードにおいて実施した。
【0150】
比較のために、Neopor(登録商標)およびPMDIを加えない第1表、第2表、または第3表の実験を行う。
【0151】
【表1】

【0152】
【表2】

【0153】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
200〜600kg/m3の範囲の平均密度を有する軽量木材含有材料であって、それぞれ、木材含有材料に対して、
A)30〜95質量%の木材粒子と、
B)1〜15質量%の、発泡性プラスチック粒子および既に発泡されたプラスチック粒子から成る群から選択される、10〜100kg/m3の範囲の嵩密度を有する充填剤と、
C)3〜50質量%の、アミノプラスト樹脂および少なくとも2つのイソシアネート基を有する有機イソシアネートを含むバインダーと、場合により、
D)添加剤と
を含む、軽量木材含有材料。
【請求項2】
前記成分B)が、スチレンホモポリマー、スチレンコポリマー、C2〜C10−オレフィンホモポリマー、C2〜C10−オレフィンのコポリマー、PVC(硬質および軟質)、ポリカーボネート、ポリイソシアヌレート、ポリカルボジイミド、ポリアクリルイミド、ポリメタクリルイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、アミノプラスト樹脂、およびフェノール樹脂から成る群から選択される、請求項1に記載の軽量木材含有材料。
【請求項3】
前記成分B)が、スチレンホモポリマーおよびスチレンコポリマーから成る群から選択される、請求項1または2に記載の軽量木材含有材料。
【請求項4】
前記成分C)の有機イソシアネートがPMDIである、請求項1から3までのいずれか1項に記載の軽量木材含有材料。
【請求項5】
前記アミノプラスト樹脂が、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、およびメラミン−尿素−ホルムアルデヒド樹脂から成る群から選択される、請求項1から4までのいずれか1項に記載の軽量木材含有材料。
【請求項6】
ホルムアルデヒド:−NH2基のモル比が0.3〜1.0の範囲である、請求項1から5までのいずれか1項に記載の軽量木材含有材料。
【請求項7】
前記成分C)におけるアミノプラスト樹脂の含有量が、軽量木材含有材料に対して、1〜45質量%の範囲であり、前記成分C)における有機イソシアネートの総含有量が、軽量木材含有材料に対して、0.1〜5質量%の範囲である、請求項1から6までのいずれか1項に記載の軽量木材含有材料。
【請求項8】
少なくとも3つの層を含み、該中間層もしくは該中間層の少なくとも一部だけが、請求項1から7までのいずれか1項に記載の軽量木材含有材料を含む、多層木質材料。
【請求項9】
少なくとも3つの層を含み、該中間層もしくは該中間層の少なくとも一部だけが、請求項1から7までのいずれか1項に記載の軽量木材含有材料を含み、外側被覆層が充填剤を含まない、多層木質材料。
【請求項10】
300kg/m3〜600kg/m3の範囲の平均密度を有する、請求項8または9に記載の多層木質材料。
【請求項11】
請求項1から7までのいずれか1項で定義される軽量木材含有材料の製造のための方法において、
A)30〜95質量%の木材粒子と、
B)1〜15質量%の、発泡性プラスチック粒子および既に発泡されたプラスチック粒子から成る群から選択される、10〜100kg/m3の範囲の嵩密度を有する充填剤と、
C)3〜50質量%の、アミノプラスト樹脂および少なくとも2つのイソシアネート基を有する有機イソシアネートを含むバインダーと、場合により、
D)添加剤と
を混合し、次いで、高められた温度および高められた圧力においてプレス成形する、軽量木材含有材料の製造のための方法。
【請求項12】
請求項8から10までのいずれか1項で定義される多層木材含有材料の製造のための方法において、個々の前記層の成分を次々と積み重ねて、高められた温度および高められた圧力においてプレス成形する、多層木材含有材料の製造のための方法。
【請求項13】
請求項1から7までのいずれか1項で定義される軽量木質材料または請求項8から10までのいずれか1項で定義される多層木材含有材料を、あらゆる種類の対象物の製造のために、および建設分野において用いる使用。
【請求項14】
請求項1から7までのいずれか1項で定義される軽量木材含有材料または請求項8から10までのいずれか1項で定義される多層木質材料を、家具および家具部品の製造のために、または梱包材の製造のために、あるいは家屋建築または内装において用いる使用。
【請求項15】
アミノプラスト樹脂および少なくとも2つのイソシアネート基を有する有機イソシアネートを含み、ホルムアルデヒド:−NH2基のモル比が0.3〜1.0であるバインダーを、200〜600kg/m3の範囲の密度を有する軽量木材含有材料または多層木質材料の製造のために用いる使用。
【請求項16】
アミノプラスト樹脂および少なくとも2つのイソシアネート基を有する有機イソシアネートを含み、ホルムアルデヒド:−NH2基のモル比が0.3〜1.0であるバインダーを、請求項1から10までのいずれか1項で定義される軽量木材含有材料または軽量多層木質材料の製造のために用いる使用。

【公表番号】特表2010−539310(P2010−539310A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−525322(P2010−525322)
【出願日】平成20年9月16日(2008.9.16)
【国際出願番号】PCT/EP2008/062275
【国際公開番号】WO2009/037240
【国際公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】