説明

良好な身体応答を示す磨耗粒子を生じる医療用インプラント

本発明は、医療用インプラントに良好な身体応答特性を与えるための医療用インプラント製造用UHMWPE材料への添加剤としての、抗炎症物質、抗微生物物質、抗腫瘍物質、抗ウイルス物質及び/又は骨刺激物質からなる群から選択される物質の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に医療用インプラント、特に、良好な身体応答を引き起こす医療用インプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
超高分子量ポリエチレン(「UHMWPE」)は、関節全置換物(total joint replacement)に最もよく使用される支持材料であり、1960年代初頭にJohn Charnleyによって導入された(The UHMWPE Handbook、S. Kurtz編、Elsevier、2004)。それ以来、この材料の高靭性及び良好な機械的性質の結果として、関節全置換術において種々の用途が開発された。UHMWPEは、純粋な形態で使用される、添加剤を含まない最適なポリマーの1つである(ASTM F 648-07)。
【0003】
「従来の」UHMWPEには優れた臨床実績があるが、インプラントシステムの最大耐用年数は、UHMWPE支持表面から磨耗粒子が放出されるために制限されている(Willert H. G.、Bertram H.、Buchhorn G. H.、Clin Orthop 258、95、1990)。磨耗粒子の負の生物学的作用は、長いインプラント寿命の最も重要な制限因子と考えられる。ヒト組織中へのサブミクロンサイズの磨耗片(wear debris)の遊離は、慢性炎症の原因となる。UHMWPE粒子によって引き起こされた持続的な炎症は、炎症細胞(マクロファージ)を活性化し、それが骨吸収性細胞(破骨細胞)を刺激し、ひいてはインプラントのルースニングを促進する。
【0004】
1970年代には、高架橋UHMWPEが、材料の耐磨耗性を改善する目的で導入された(Oonishi H.、Kadoya Y.、Masuda S.、Journal of Biomedical Materials Research、58、167、2001; Grobbelaar C. J.、du Plessis T. A.、Marais F.、The Journal of Bone and Joint Surgery、60-B、370、1978)。UHMWPE材料は、最大100Mradの高線量でガンマ線照射された。これは、典型的には2.5〜4.0Mradの範囲の線量を受けるガンマ線滅菌UHMWPEとは著しく異なる。このような高線量を使用することによって、材料の架橋プロセスが促進され、それによって耐磨耗性が増大された。したがって、この架橋プロセスは、磨耗粒子の減少、ひいては有害な身体応答反応の減少ももたらした。高架橋材料の欠点は、材料中に遊離基が依然として存在し、それが酸化的分解を引き起こす可能性があることであった。
【0005】
ガンマ線のエネルギーは、ポリエチレン鎖の炭素-炭素結合又は炭素-水素結合の一部を破壊して、遊離基を形成するのに十分である。これらの遊離基は、一部分は再結合するが、それらの一部は長寿命であり、インプラント周囲のパッケージング中に存在するか又はパッケージング中に拡散している酸素と反応する可能性がある(Costa L.、Jacobson K.、Bracco P.、Brach del Prever. E. M.、Biomaterials 23、1613、2002)。酸化的分解反応は、材料を脆化させ、それと共に材料の機械的性質を低下させ、インプラントの破壊を引き起こすおそれがある(Kurtz S. M.、Hozack W.、Marcolongo M.、Turner J.、Rimnac C.、Edidin A.、J Arthroplasty 18、68〜78、2003)。
【0006】
UHMWPEの結晶溶融温度より高い又は低い温度での熱処理による遊離基のクエンチは、以前から知られている(S. Kurtz、The UHMWPE Handbook、Elsevier Academic Press、2004、p.112)。したがって、残留遊離基は熱処理プロセスの間にクエンチされるので、1990年代に、照射プロセス後に熱処理(アニール又は再溶融)することによって向上した磨耗安定性と酸化安定性とを兼備させた高架橋材料を開発した。
【0007】
高架橋UHMWPEの磨耗率が比較的低く、したがって、磨耗粒子の容量が比較的低いことが臨床研究によって確認されたが、それにもかかわらず、骨溶解は完全には消失しなかった。いくつかの研究で、高架橋UHMWPEを用いたインプラントシステムについて、骨溶解部又は放射線透過域が記載された(J. A. D’Antonioら、Clinical Orthopaedics and Related Research、441、2005; C. A. Enghら、The Journal of Arthroplasty、21 (6 Suppl. 2)、2006; G. Digasら、Clinical Orthopaedics and Related Research、417、2003)。よって、高架橋UHMWPEによって発生する磨耗粒子は少量であっても、炎症反応を開始する可能性があり、最終的に骨溶解を引き起こす。
【0008】
インドのスパイスであるターメリックの一成分、クルクミンは、インド医学においてその薬理作用が十分に文書で立証されている。他の有益な特性は別として、クルクミンは、抗酸化特性及び抗炎症特性を有することが記載されている(R. K. Maheshwariら、Life Sciences、78 (18)、2006; A. Sahu、Acta Biomaterialia、Article in Press、2008; J. Merellら、Presentation at the World Biomaterials Conference、Amsterdam 2008; The University of Texas MD Anderson Cancer Center、ウェブページ: http://www.mdanderson.org/departments/cimer/)。
【0009】
他の文献研究は、種々の物質の有益な特性を記載している。ごく最近の研究では、ケルセチンが、コラーゲン基質中に混ぜられた場合に、骨形成を促進することが記載された(R. W. K. Wongら、Journal of Orthopaedic Research、26 (8)、2008)。別の研究は、腫瘍抽出物によって誘発された骨溶解が、ジホスホネートの添加によって減少することを記載している(A. Jungら、Schweiz. Med. Wochenschr.、109 (47)、1979)。ジホスホネートの同様の効果が、別の研究でも示された(C. S. B. Galaskoら、the Fourth Tripartite Surgical Meetingにおいて発表された論文、Oxford、England、1979年7月5〜7日)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】The UHMWPE Handbook、S. Kurtz編、Elsevier、2004
【非特許文献2】Willert H. G.、Bertram H.、Buchhorn G. H.、Clin Orthop 258、95、1990
【非特許文献3】Oonishi H.、Kadoya Y.、Masuda S.、Journal of Biomedical Materials Research、58、167、2001
【非特許文献4】Grobbelaar C. J.、du Plessis T. A.、Marais F.、The Journal of Bone and Joint Surgery、60-B、370、1978
【非特許文献5】Costa L.、Jacobson K.、Bracco P.、Brach del Prever. E. M.、Biomaterials 23、1613、2002
【非特許文献6】Kurtz S. M.、Hozack W.、Marcolongo M.、Turner J.、Rimnac C.、Edidin A.、J Arthroplasty 18、68〜78、2003
【非特許文献7】S. Kurtz、The UHMWPE Handbook、Elsevier Academic Press、2004、p.112
【非特許文献8】J. A. D’Antonioら、Clinical Orthopaedics and Related Research、441、2005
【非特許文献9】C. A. Enghら、The Journal of Arthroplasty、21 (6 Suppl. 2)、2006
【非特許文献10】G. Digasら、Clinical Orthopaedics and Related Research、417、2003
【非特許文献11】R. K. Maheshwariら、Life Sciences、78 (18)、2006
【非特許文献12】A. Sahu、Acta Biomaterialia、Article in Press、2008
【非特許文献13】J. Merellら、Presentation at the World Biomaterials Conference、Amsterdam 2008
【非特許文献14】The University of Texas MD Anderson Cancer Center、ウェブページ: http://www.mdanderson.org/departments/cimer/
【非特許文献15】R. W. K. Wongら、Journal of Orthopaedic Research、26 (8)、2008
【非特許文献16】A. Jungら、Schweiz. Med. Wochenschr.、109 (47)、1979
【非特許文献17】C. S. B. Galaskoら、the Fourth Tripartite Surgical Meetingにおいて発表された論文、Oxford、England、1979年7月5〜7日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
医療用インプラントに使用するためのUHMWPE材料に関連する前記問題を前提として、本発明の目的は、これまで知られている医療用インプラント材料に付随する負の生物学的作用を克服する医療用インプラントの形成を可能にする、改善されたUHMWPE材料を提供することである。
【0012】
本発明の目標は、良好な身体応答特性を示す磨耗粒子を生じる医療用プラント、特に人工関節置換物の形態の医療用プラントに使用するための材料を提供することである。今日まで、人工関節置換物によって発生する磨耗粒子は、多くの場合、炎症、骨溶解又は他の負の身体応答と関連していた。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一実施形態において、良好な身体応答特性、例えば、抗炎症特性、抗腫瘍特性、抗微生物特性などを示す天然添加剤とブレンドされた材料を記載する。
【発明の効果】
【0014】
したがって、本発明の教示は、医療用プラントの長期的な生物学的作用を改善するための戦略の転換点となる。医療用インプラントの長期的な生物学的作用を改善するためのこれまでのアプローチは、炎症、骨溶解及び他の負の身体応答に関連する磨耗粒子の生成を最小限に抑えるために医療用インプラントの材料の耐磨耗性を改善することが中心であった。これに対して、本発明の実施形態は、良好な身体応答特性を示す磨耗粒子を生じる医療用インプラントに使用するための材料を提供する。一部の実施形態において、この材料は、材料の耐磨耗性も改善できる。
【0015】
本発明による医療用インプラントのいくつかの好ましい実施形態、より正確に言えば、その一部を、添付した図面を参照して以下に詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】股関節シミュレーター(hip simulator)試験の結果を示すグラフである。
【図2】抗炎症作用を示す結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
一実施形態において、本発明は、医療用インプラントに良好な身体応答特性を与えるための医療用インプラント製造用UHMWPE材料への添加剤としての、抗炎症物質、抗微生物物質、抗腫瘍物質、抗ウイルス物質及び/又は骨刺激物質からなる群から選択される1種又は複数の物質の使用を対象とする。
【0018】
本発明者らは意外なことに、UHMWPE材料への添加剤としてこのような物質を使用すると、このような材料に対する細胞応答特性がかなり改善されることを発見した。
【0019】
好ましい実施形態において、添加剤は、クルクミン、ジンゲロール、ジンゲロン、ヘレナリン、サリシン、サリチル酸、カンナビクロメン、フラボノイドの形態、特にケルセチン、レスベラトロール及び/若しくはミリセチン、タンニン、テルペン、マルビイン及び/若しくはステロイド系抗炎症薬の形態、特に副腎皮質ステロイドの形態の抗炎症物質、並びに/又は抗微生物物質、例えば、ペプチド系物質、特にラクトフェリン、若しくは非ペプチド系物質、特にペニシリン及び/若しくは銀、並びに/又は抗腫瘍物質、例えば、アントラサイクリン、クルクミン及び/若しくはヘレナリン、並びに/又は抗ウイルス物質、例えば、タンニン、並びに/又は骨刺激物質、例えば、ペプチド系物質、特にラクトフェリン、及び/若しくは非ペプチド系物質、特にケルセチン及び/若しくはジホスホン酸塩の形態のもの、及び/若しくは成長因子、特にBMPファミリー、特にBMP-2のうち1種又は複数である。
【0020】
特に好ましい実施形態において、前記添加剤はクルクミンである。
【0021】
前記添加剤は、広範囲の量で使用する。好ましい実施形態は、医療用インプラントの総重量に基づき、0.0001〜5重量%、好ましくは0.001〜1重量%、更に好ましくは0.02〜0.1重量%の量での添加剤の使用である。
【0022】
前記添加剤は任意の種類の医療用インプラントに有用であるが、人工関節置換物において特に有用である。このような人工関節置換物は、前記添加剤を使用した場合には、良好な身体応答特性を示す相当数の磨耗粒子を生じる。
【0023】
更なる態様において、本発明の実施形態は、以下の特性を含む医療用インプラント、特に整形外科関節置換物に使用するUHMWPE材料を対象とする:
・ 磨耗片が抗炎症特性を有し、それによって、炎症の結果として生じる骨溶解カスケードを低減する。
・ 磨耗片が、抗腫瘍特性、抗微生物特性(例えば、抗細菌特性)、抗ウイルス特性、骨刺激特性又は骨吸収阻害特性などの他の有益な特性を有する。
・ 材料によって、容易で、簡易な製造方法が可能となる。クルクミン粉末又は別の抗炎症性添加剤をUHMWPE粉末と混合してから、焼結する。複雑な防御環境を用いずに空気中で照射を実施できる。或いは、照射を行わずに、材料を使用できる。
・ 促進老化試験によって実証されるように、クルクミンなどの添加が酸化的分解から材料を保護する(実施例1を参照のこと)。
【0024】
更なる態様において、本発明の実施形態は、UHMWPEと、医療用インプラントに良好な身体応答特性を与えるための、医療用インプラント製造用のUHMWPE材料への添加剤としての、抗炎症物質、抗微生物物質、抗腫瘍物質、抗ウイルス物質及び/又は骨刺激物質からなる群から選択される1種又は複数の添加剤とを含む、良好な身体応答特性を有するUHMWPE材料を対象とする。
【0025】
好ましい実施形態において、前記添加剤は、クルクミン、ジンゲロール、ジンゲロン、ヘレナリン、サリシン、サリチル酸、カンナビクロメン、フラボノイドの形態、特にケルセチン、レスベラトロール及び/若しくはミリセチン、タンニン、テルペン、マルビイン及び/若しくはステロイド系抗炎症薬の形態、特に副腎皮質ステロイドの形態の抗炎症物質、並びに/又は抗微生物物質、例えば、ペプチド系物質、特にラクトフェリン、若しくは非ペプチド系物質、特にペニシリン及び/若しくは銀、並びに/又は抗腫瘍物質、例えば、アントラサイクリン、クルクミン及び/若しくはヘレナリン、並びに/又は抗ウイルス物質、例えば、タンニン、並びに/又は骨刺激物質、例えば、ペプチド系物質、特にラクトフェリン及び/若しくは非ペプチド系物質、特にケルセチン及び/若しくはジホスホン酸塩の形態のもの、及び/若しくは成長因子、特にBMPファミリー、特にBMP-2である。
【0026】
特に好ましい実施形態において、前記添加剤はクルクミンである。
【0027】
更なる好ましい実施形態において、前記添加剤は、前記UHMWPE材料中に、医療用インプラントの総重量に基づき、0.0001〜5重量%、好ましくは0.001〜1重量%、更に好ましくは0.02〜0.1重量%の量で使用する。
【0028】
本発明の実施形態はまた、前記UHMWPE材料の形態のプレフォーム材料から作製される医療用インプラントを対象とする。
【0029】
用語「プレフォーム」は、本明細書全体を通じて、UHMWPE材料の固結ブロック(consolidated block)、シート又はロッド、特にその後に更なる処理に供されて最終的に医療用インプラントの形態の最終製品を得ることができるものを意味するのに使用する。
【0030】
本発明のこの実施形態による材料には照射を行うことができるが、必要ではない。ガンマ線又は電子ビーム線によるUHMWPEプレフォームの照射は、架橋密度を増加させる。この材料の架橋密度の大きさに相当するのは、架橋結合間の分子量の大きさである。明らかに、個々のUHMWPEポリマー間の架橋密度が大きいほど、架橋結合間の分子量は小さい。好ましくは、ガンマ線又は電子ビームの照射は、5〜20Mradの線量で行い、この値は、必要とされるUHMWPE材料の最終特性に応じて選択できる。照射線量の変更は、架橋結合間の分子量に差をもたらし、目的とする最終製品に基づいて選択されるものとする。
【0031】
更なる好ましい実施形態は、プレフォーム材料が2〜20Mrad、好ましくは4〜20Mrad、より好ましくは5〜20Mrad、特に好ましくは5〜15Mradの線量のガンマ線又は電子ビーム照射によって照射された前記医療用インプラントである。照射線量の正確な値は、UHMWPE材料の必要とされる最終特性に応じて選択できる。照射は、空気中で周囲条件下において実施できる。別の態様において、照射は、真空下で又は窒素若しくはアルゴンガス雰囲気などの防御環境において実施することもできる。
【0032】
他方、本発明のこの実施形態によるプレフォーム材料は、照射を行わずに用いることもできるし、又はごく少ない照射線量を照射することもできる。
【0033】
したがって、本発明の別の実施形態においては、前記材料に、ガンマ線若しくは電子ビーム照射による照射を行わないか、又は2Mrad未満の線量のガンマ線若しくは電子ビーム照射によって照射を行う。
【0034】
更なる好ましい実施形態は、プレフォーム材料が空気中で照射された医療用インプラントである。
【0035】
更なる好ましい実施形態において、プレフォーム材料は、照射後にアニールも更なる加熱も行われていない。
【0036】
好ましくは、本発明のこの実施形態による医療用インプラントは、人工関節置換物である。
【0037】
別の実施形態において、本発明は、炎症性疾患、微生物疾患、腫瘍性疾患、ウイルス性疾患及び/又は骨分解性疾患(bone-degrading disease)の治療のための前記医療用インプラントを対象とする。好ましくは、前記添加剤はクルクミンであり、前記医療用インプラントは炎症性疾患の治療用である。
【0038】
別の実施形態において、本発明は、
UHMWPEを含む材料と、抗炎症物質、抗微生物物質、抗腫瘍物質、抗ウイルス物質及び/又は骨刺激物質からなる群から選択される、ある分量の添加剤とを混合するステップと、
前記混合物を、UHMWPEの融点より高い温度の適用によって成形して、プレフォームを作製するステップと
を含む、良好な身体応答特性を有するUHMWPE材料の加工方法を対象とする。
【0039】
本発明の別の実施形態においては、抗炎症物質、抗微生物物質、抗腫瘍物質、抗ウイルス物質及び/又は骨刺激物質からなる群から選択される添加剤を、拡散によってプレフォーム又は最終インプラント中に組み入れることができる。拡散は、プレフォーム又は最終インプラントを純粋な添加剤又は適切な溶媒中の添加剤溶液中に直接浸漬することによって実施できる。添加剤は、限定するものではないが超臨界二酸化炭素などの超臨界ガスの助けを借りて、プレフォーム又は最終インプラント中に組み入れることもできる。
【0040】
前記方法の好ましい実施形態において、前記添加剤は、クルクミン、ジンゲロール、ジンゲロン、ヘレナリン、サリシン、サリチル酸、カンナビクロメン、フラボノイドの形態、特にケルセチン、レスベラトロール及び/若しくはミリセチン、タンニン、テルペン、マルビイン及び/若しくはステロイド系抗炎症薬、特に副腎皮質ステロイドの形態の抗炎症物質、並びに/又は抗微生物物質、例えば、ペプチド系物質、特にラクトフェリン若しくは非ペプチド系物質、特にペニシリン及び/若しくは銀、並びに/又は抗腫瘍物質、例えば、アントラサイクリン、クルクミン及び/若しくはヘレナリン、並びに/又は抗ウイルス物質、例えば、タンニン、並びに/又は骨刺激物質、例えば、ペプチド系物質、特にラクトフェリン及び/若しくは非ペプチド系物質、特にケルセチン及び/若しくはジホスホン酸塩の形態のもの、及び/若しくは成長因子、特にBMPファミリー(特にBMP-2)のうち1種又は複数である。
【0041】
本発明の一部の実施形態によるUHMWPE材料の形成は典型的には、添加剤とUHMWPE粉末との混合から開始する。下記に記載する実施例では、UHMWPE粉末は、Ticona GUR(登録商標)1020医療グレードUHMWPEからなる。このような粉末は周知であり、商業的に入手可能である。言うまでもなく、任意の他のUHMWPE粉末も使用できる(例えば、高純度のUHMWPE粉末であるTicona GUR(登録商標)1050、DSM UH210、Basell 1900)。添加剤とUHMWPE粉末との混合プロセス中に完全に均一な混合物が得られるのが好ましい。添加剤とUHMWPE粉末とを完全に混合したら、UHMWPE粉末の融点より高い温度で成形してプレフォームとする。この段階で、更なる温度指定は、成形ステップには特に重要ではない。温度を増加させると、プレフォームへの材料の成形がより迅速になるであろう。
【0042】
典型的には、添加剤材料及びUHMWPE粉末の成形は、UHMWPE粉末の融点より高いが、添加剤材料の分解温度よりは好ましくは低い温度で行う。温度がほとんどの化合物に影響を及ぼすことは明らかであり、実際に、同じことが添加剤材料にも当てはまる。成形ステップの温度をこの添加剤材料の分解温度未満に保持することは、最終製品の改善につながるので、必要ではないが好ましい。本発明の一実施形態において、UHMWPE粉末の成形は、アルゴン又は窒素などの不活性雰囲気中で行う。
【0043】
典型的には、プレフォームを生成するための成形ステップは、シート、スラブ又はロッドの圧縮成形によって実施する。本発明の別の実施形態において、成形ステップは、最終インプラント若しくは成形後にわずかな機械加工のみを必要とするほぼ最終的なインプラントを直接圧縮成形することによって、又は最終インプラント若しくはほぼ最終的なインプラントを直接生成する他の手段によって、実施することもできる。更に別の態様において、プレフォームは、UHMWPE粉末ブレンドのラム押出によっても生成できる。
【0044】
好ましい実施形態において、本発明による方法は、2〜20Mradの線量のガンマ線又は電子ビーム線のいずれかによってプレフォームの照射を行う更なるステップを含む。この照射は、空気中で周囲条件下において実施できる。別の態様において、照射は、真空下で又は窒素若しくはアルゴンガス雰囲気などの防御環境において実施することもできる。
【0045】
代替的実施形態において、本発明による方法は、2Mrad未満の線量のガンマ線又は電子ビーム線のいずれかによってプレフォームの照射を行う更なるステップを含む。
【0046】
好ましくは、プレフォームにアニールも更なる加熱も行わない。
【0047】
本発明の特に好ましい実施形態による方法は、
プレフォームをインプラントに造形するステップと、
インプラントを包装し且つ2〜4Mradの間のガンマ線照射によって滅菌するか又は前記インプラントをエチレンオキシド若しくは気体プラズマへの暴露によって滅菌するステップ
の1つ又は複数を更に含む。
【0048】
プレフォームからの最終製品の作製は、既知の任意の標準方法を用いて行い、最も典型的には、プレフォームの不要部分の除去又は機械加工による最終造形品の形成によって行う。このプレフォームは、ISO 5834-2規格に記載された応力除去アニールプロセスに供することができる。
【0049】
更なる実施形態において、本発明は、前記医療用インプラントを施すことを特徴とする、動物及びヒトにおける炎症性疾患、微生物感染症、腫瘍性疾患、ウイルス感染症及び/又は骨分解性疾患の治療方法を対象とする。
【0050】
明細書の最後に示す比較例に注目すると、本発明のこの実施形態による材料のいくつかの例が示されている。これらの比較例において、添加剤材料を含まないサンプル又は添加剤材料としてクルクミンを含むサンプルが示されている。
【0051】
実施例1に示したデータ、特に実施例1中のTable 1(表1)に示したデータに注目すると、種々の照射線量における、クルクミンを含むサンプル及びクルクミンを含まないサンプルについての、遊離基含量、老化後の最大酸化指数(最大OI)、老化後のバルク酸化指数(バルクOI)及び架橋結合間の分子量MCが示されている。示される通り、添加剤材料クルクミンを含むUHMWPEサンプルは、同じ線量のガンマ線が照射されたが本発明のこの実施形態による添加剤材料が加えられていないUHMWPE材料に匹敵する遊離基含量及び架橋結合間分子量MCを有する。しかし、人工老化後の最大酸化指数及びバルク酸化指数には大きな差異が認められる。この人工老化は、ASTM F2003の指示通りに、酸素ボンベ中において酸素圧5atm及び70℃で14日間実施した。クルクミンを含むUHMWPEサンプルは、クルクミンを含まないUHMWPEサンプルと比較した場合、老化後の最大酸化指数及びバルク酸化指数が著しく低いことが、直ちに明白になる。このような酸化指数の増大は、UHMWPEプレフォームが貯蔵中又はインプラントとしての使用時により容易に酸化し、材料の脆化及びインプラントの磨耗又は破損の増大などのかなり厄介な問題を引き起こすことを意味するので、望ましくない。
【0052】
材料の多くの機械的性質を、実施例2及び実施例2中のTable 2(表2)に示す。この表からわかるように、本発明のこの実施形態による材料の降伏応力、引張強さ、破断点伸び及びシャルピー衝撃強さが、添加剤を含まない標準材料と比較されている。
【0053】
この実施例及び実施例中の結果は、添加剤材料をそのような量で添加しても、添加剤を含むUHMWPE材料の最終的な機械的性質に有害作用をそれほど与えないことを明白に示している。したがって、本発明のこの実施形態による材料は、添加剤を含まない材料と比較して、酸化特性の改善を示すだけでなく、添加剤の組込みは最終的な機械的性質にそれほど影響を及ぼさない。また、材料が団結性を保持しており且つ依然としてインプラントとして有用であるので、材料をインプラントとして使用しようとする場合には、これはかなり有利である。
【0054】
実施例3によれば、2種の材料の股関節シミュレーター試験を、ヒトの歩行周期を再現するAMTI股関節シミュレーター上の28mmのセラミック球に対して、回数(frequency)1.2Hz及び潤滑剤としてのウシ新生仔血清(タンパク質濃度30g/l)を用いて行った。寛骨臼カップを0.5ミオサイクル(mio cycle)毎に秤量し且つ得られた結果を浸漬対照カップを用いて補正することによって、磨耗重量(gravimetric wear)を測定した。
【0055】
2つのサンプルは、14Mradが照射されたクルクミン0.1重量%を含むUHMWPE材料(本発明のこの実施形態によるサンプル)及びガンマ線滅菌PEサンプル(比較)であった。図1に示されるデータからわかるように、本発明のこの実施形態によるUHMWPE材料は、股関節シミュレーターにおいて、比較のガンマ線滅菌PE材料と比較した場合に、はるかに少ない磨耗重量を示している。
【0056】
実施した全ての実験の結果によれば、磨耗片が抗炎症応答を示すであろうUHMWPE材料について、以下の特性を挙げることができる。
・ 本発明による材料は、UHMWPE樹脂粉末と1種又は複数の抗炎症剤との混合物であることができる。
・ 抗炎症剤は、限定するものではないが、クルクミンであることができる。
・ 抗炎症剤は、UHMWPE粉末と混合してから、プレフォームを焼結することができる。
・ 本発明の実施形態による材料から作製された整形外科インプラント支持部材は、抗炎症特性を有する磨耗片を発生でき、それによって、炎症の結果として生じる骨溶解カスケードが減少する。
【0057】
先行技術と比較した本発明の実施形態の利点の1つとして、整形外科インプラントから放出される、良好な身体応答特性、特に抗炎症特性を有する磨耗粒子の放出が挙げられる。今日まで、骨溶解の減少は主に、高架橋UHMWPEを用いて磨耗粒子の数を減少させることによって達成されていた。
【0058】
本発明のこの実施形態は、主に抗炎症性磨耗粒子による溶骨性骨吸収の減少を示す。更に、磨耗粒子の数は、必要ではないが、ガンマ線又は電子ビーム線によるUHMWPEの架橋によって減少させることができる。
【0059】
したがって、炎症の結果として生じる骨溶解カスケードは、粒子数の減少によってだけでなく、粒子自体の抗炎症特性によっても減少するであろう。
【0060】
比較例
ガンマ線滅菌UHMWPEを、シートの形態に圧縮成形し(GUR(登録商標)1020、Quadrant、Germany)、機械加工し、不活性ガス雰囲気中で包装し、3Mradの線量でガンマ線滅菌した。クルクミンブレンドサンプルを、UHMWPE樹脂粉末と0.03〜0.1重量%のクルクミンとを混合することによって生成し、ブロックの形態に圧縮成形し、空気中で7〜14Mradの線量でガンマ線照射し、所望の形状に機械加工した。照射後熱処理は適用しなかった。これらの材料を用いて、以下の試験を行った。
【0061】
(実施例)
(実施例1)
遊離基含量、酸化指数及び架橋結合間の分子量。
【0062】
【表1】

【0063】
酸化指数(OI)は、ASTM F2102-06に従ってフーリエ変換赤外分光法(FTIR)によって数値化した。酸化プロファイルは、表面から深さ2.5mmまで、厚さ150μmのスライスについて記録した。OI測定の前に、全てのサンプルを酸素ボンベ中で酸素圧5bar及び70℃で2週間、人工的に老化させた(ASTM F2003-02)。
【0064】
架橋結合間の分子量(MC)によって表される架橋密度は、ASTM D2767-95 Method Cによる材料当たり3個のサンプル(10×10×10mm)についての膨潤実験によって得た。
【0065】
(実施例2)
機械的性質
【0066】
【表2】

【0067】
機械的試験:ダブルノッチ付きシャルピー衝撃試験を、DIN EN ISO 11542-2(材料当たり最小4個の試験片)に従って実施し、引張試験を、ASTM D638(材料当たり最小5個の試験片)に従って50mm/分の試験速度を用いて実施した。
【0068】
(実施例3)
股関節シミュレーターデータ
28mmセラミック球に対する股関節シミュレーター試験を、ヒトの歩行周期を再現するAMTI股関節シミュレーターで、回数1.2Hz及び潤滑剤としてのウシ新生仔血清(タンパク質濃度30g/l)を用いて行った。寛骨臼カップを0.5ミオサイクル毎に秤量し且つ得られた結果を浸漬対照カップを用いて補正することによって、磨耗重量を測定した。
【0069】
股関節シミュレーター試験の結果を、図1に示す。
【0070】
(実施例4)
抗炎症応答
クルクミンブレンドサンプルを、UHMWPE樹脂粉末と1重量%のクルクミンとを混合することによって生成し、ブロックの形態に圧縮成形し、空気中で14Mradの線量でガンマ線照射し、所望の形状に機械加工した。照射後熱処理は適用しなかった。対照として、標準的な従来の高架橋/再溶融材料を用いた。
【0071】
LPS刺激PMA分化型U937細胞に対する1%クルクミン含浸ポリエチレンディスクの抗炎症作用を評価した。U937ヒト単球様細胞を、それらの適切な培地中で培養し、増殖させた。24ウェルインサート中の、20nMのPMAを含む培地200μl中に細胞を播種し、インサートの外側の各ウェルに、同じPMA含有培地を更に1ml加えた。次に、プレートを37℃及び5%CO2で24時間インキュベートして、マクロファージ様細胞に分化させた。PMAと共に24時間インキュベートした後、培地を細胞から除去し、200μlの培地と交換し、インサートを、培地(PMAを含まない)1mlを含む新しい24ウェルプレートに移した。次いで、細胞を戻して、37℃及び5%CO2で更に72時間インキュベートした。72時間後、インサートを、サンプル材料(インサートはサンプル材料の上部に位置させた)及び培地500μlを含む新しい24ウェルプレートに移した。この時点で、また、培地をインサートの内側から除去し、新しい培地200μlと交換した。次に、プレートを37℃で更に24時間インキュベートした後、LPSを添加した。次いで、24時間後に、培地(インサートの内側及び外側)を適切な量のLPSを含む培地(インサートの内側に200μl及びインサートの外側に500μl)と交換することによって、0ng/ml、1ng/ml又は20ng/mlのLPSを添加した。次に、プレートを戻して、37℃で8時間インキュベートした。適切なインキュベーション時間に、インサートの内側から培地を慎重に取り出し、更なるサイトカイン評価のために-70℃で保存した。
【0072】
培地を収集後、馴化培地を室温で解凍した。次いで、馴化培地を、TNF-αに特異的なELISAキットによって、製造業者の使用説明書に従って評価した。簡単に言えば、ELISAプレートに、適切な捕捉抗体を一晩コーティングした。次に、このプレートを洗浄緩衝液で3回洗浄し、アッセイ希釈液で室温において1時間ブロッキングした。ブロッキング後、プレートを洗浄緩衝液中で3回洗浄し、各サンプル溶液100μlをウェルに加えて、室温で2時間インキュベートした。2時間のインキュベート後、プレートを洗浄緩衝液中で5回洗浄し、特異的一次抗体と共に(TNFに対する酵素濃縮物と一緒に)室温で1時間インキュベートした後、次にプレートを洗浄した。十分に洗浄後、次にプレートを基質溶液と共に室温において暗所で30分間インキュベートした。30分後、次に各ウェルに停止液を添加し、1分間振盪後、450nm及び570nmでプレートを読み取った。
【0073】
結果: 0、1又は20ng/mlのLPSと共に8時間インキュベートした後にU937細胞(マクロファージ様細胞)から分泌されたTNFを、図2に示す。
【0074】
クルクミンブレンドUHMWPEは、標準的な高架橋/再溶融UHMWPE(PE44)と比較して、LPSと共に8時間インキュベートした後にマクロファージ様細胞(U937)から分泌されるTNFを減少させ、したがって、ある程度の抗炎症作用を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用インプラントに良好な身体応答特性を与えるための医療用インプラント製造用UHMWPE材料への添加剤としての1種又は複数の抗炎症物質の使用であって、前記添加剤が、
クルクミン、ジンゲロール、ジンゲロン、ヘレナリン、サリシン、サリチル酸、カンナビクロメン、フラボノイドの形態、特にケルセチン、レスベラトロール及び/若しくはミリセチン、タンニン、テルペン、マルビイン及び/又はステロイド系抗炎症薬の形態、特に副腎皮質ステロイドの形態の1種又は複数である抗炎症物質
である使用。
【請求項2】
前記添加剤がクルクミンである、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記添加剤を、医療用インプラントの総重量に基づき、0.0001〜5重量%の量で使用する、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
前記添加剤を、医療用インプラントの総重量に基づき、0.001〜1重量%の量で使用する、請求項3に記載の使用。
【請求項5】
前記医療用インプラントが人工関節置換物である、請求項1から4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
UHMWPEと、添加剤としての1種又は複数の抗炎症物質とを含む、良好な身体応答特性を有するUHMWPE材料の形態のプレフォーム材料から作製された医療用インプラントであって、前記添加剤が、
クルクミン、ジンゲロール、ジンゲロン、ヘレナリン、サリシン、サリチル酸、カンナビクロメン、フラボノイドの形態、特にケルセチン、レスベラトロール及び/若しくはミリセチン、タンニン、テルペン、マルビイン又はステロイド系抗炎症薬の形態、特に副腎皮質ステロイドの形態の抗炎症物質の1種又は複数であり、
前記プレフォーム材料が、ガンマ線若しくは電子ビーム照射によって照射されていないか、又は前記プレフォーム材料が2Mrad未満の線量のガンマ線若しくは電子ビーム照射によって照射されている
医療用インプラント。
【請求項7】
前記添加剤がクルクミンである、請求項6に記載の医療用インプラント。
【請求項8】
前記添加剤が、医療用インプラントの総重量に基づき、0.0001〜5重量%の量で使用される、請求項6又は7に記載の医療用インプラント。
【請求項9】
前記添加剤が、医療用インプラントの総重量に基づき、0.001〜1重量%の量で使用される、請求項8に記載の医療用インプラント。
【請求項10】
前記プレフォーム材料が、空気中で照射されている、請求項6から9のいずれか一項に記載の医療用インプラント。
【請求項11】
前記プレフォーム材料が、照射後にアニールも更なる加熱も行われていない、請求項6から9のいずれか一項に記載の医療用インプラント。
【請求項12】
前記医療用インプラントが人工関節置換物である、請求項6から11のいずれか一項に記載の医療用インプラント。
【請求項13】
炎症性疾患の治療のための、請求項6から12のいずれか一項に記載の医療用インプラント。
【請求項14】
UHMWPEを含む材料と、抗炎症物質、抗微生物物質、抗腫瘍物質、抗ウイルス物質及び/若しくは骨刺激物質からなる群から選択される、ある分量の1種又は複数の添加剤とを混合するステップと、
前記混合物を、UHMWPEの融点より高い温度の適用によって成形して、プレフォームを作製し且つ任意選択で前記プレフォームから医療用インプラントを形成するステップと
を含むか、又は別法として、
UHMWPEを含む材料を用意して、UHMWPEの融点より高い温度の適用によって前記材料を成形して、プレフォームを作製し且つ任意選択で前記プレフォームから医療用インプラントを形成するステップと、
添加剤を拡散によって前記プレフォーム若しくは前記医療用インプラント中に組み入れ、前記拡散を、
a)前記プレフォーム若しくは前記医療用インプラントを純粋な添加剤若しく適切な溶媒中の添加剤溶液中に直接浸漬するか、
b)1種若しくは複数の超臨界ガス、特に超臨界二酸化炭素の助けを借りて、前記添加剤を前記プレフォーム若しくは前記医療用インプラント中に組み入れる
ことによって実施するステップと
を含む、良好な身体応答特性を有するUHMWPE材料の加工方法。
【請求項15】
前記添加剤が、
クルクミン、ジンゲロール、ジンゲロン、ヘレナリン、サリシン、サリチル酸、カンナビクロメン、フラボノイドの形態、特にケルセチン、レスベラトロール及び/若しくはミリセチン、タンニン、テルペン、マルビイン及び/若しくはステロイド系抗炎症薬の形態、特に副腎皮質ステロイドの形態の抗炎症物質、並びに/又は
抗微生物物質、例えば、ペプチド系物質、特にラクトフェリン、若しくは非ペプチド系物質、特にペニシリン及び/若しくは銀、並びに/又は
抗腫瘍物質、例えば、アントラサイクリン、クルクミン及び/若しくはヘレナリン、並びに/又は
抗ウイルス物質、例えば、タンニン、並びに/又は
骨刺激物質、例えば、ペプチド系物質、特にラクトフェリン、及び/若しくは非ペプチド系物質、特にケルセチン及び/若しくはジホスホン酸塩の形態のもの、及び/若しくは成長因子、特にBMPファミリー
のうちの1種又は複数である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
2〜20Mradの線量のガンマ線又は電子ビーム線のいずれかによって前記プレフォームの照射を行う更なるステップを含む、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
2Mrad未満の線量のガンマ線又は電子ビーム線のいずれかによって前記プレフォームの照射を行う更なるステップを含む、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項18】
前記プレフォームにアニールも更なる加熱も行わない、請求項14から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記プレフォームをインプラントに造形するステップと、
前記インプラントを包装し且つ2〜4Mradの間のガンマ線照射によって滅菌するか又は前記インプラントをエチレンオキシド若しくは気体プラズマへの暴露によって滅菌するステップ
の1つ又は複数を更に含む、請求項14から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
請求項6から12のいずれか一項に記載の医療用インプラントを施すことを特徴とする、動物及びヒトにおける炎症性疾患、微生物感染症、腫瘍性疾患、ウイルス感染症及び/又は骨分解性疾患の治療方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2012−517881(P2012−517881A)
【公表日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−551044(P2011−551044)
【出願日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際出願番号】PCT/US2009/034568
【国際公開番号】WO2010/096053
【国際公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(510059882)スミス・アンド・ネフュー・オルソペディクス・アーゲー (8)
【Fターム(参考)】