説明

色ずれ検知装置、画像形成装置及び色ずれ検知制御プログラム

【課題】画像の記録中に発生した色の変化を、当該画像を記録している間に検知することができるようにする。
【解決手段】入力画像データ102の中から同一色からなる所定の範囲を連続色ブロックとして検出する連続色ブロック検出モジュール202と、連続色ブロック検出モジュール202によって検出された連続色ブロックについて記録媒体に記録された画像を撮像するための位置情報を生成する連続色ブロックデータ生成モジュール203と、連続色ブロックデータ生成モジュール203によって生成された位置情報、及び撮像された前記連続色ブロックの画像の色情報の実測値を保持するメモリ204と、メモリ204に保持された位置情報と色情報の実測値に基づいて同一色の実測値を比較し、色ずれを判断する色ずれ判断部206と、を備え、画像記録中に色ずれを検知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色ずれ検知装置、画像形成装置及び色ずれ検知制御プログラムに係り、特に画像形成時の経時的な色ずれを検知する色ずれ検知装置を備えた複写機、プリンタ、ファクシミリ、デジタル複合機などの画像形成装置、及びこの色ずれ検知をコンピュータによって実行させるための色ずれ検知制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタなどの画像形成装置においては、温度変化あるいは湿度変化によるインクの状態変化によって記録媒体上に再現される色が経時的に変化する可能性がある。そこで色の変化を検知し、色補正することが行われている。この技術として、例えば特許文献1(特開2002−120388号公報)に記載の発明が公知である。この発明では、スキャナなどの入力機器を用い、複数の有彩色の色材の混合比率を変化させた複数の暗灰色の混合色パッチからなる2種類のテストパターンを印字し、これら印字された2種類のテストパターンから選択された2つの混合色パッチに基づいて記録装置の入出力信号の特性を推定し補正するようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、前記特許文献1記載の発明を含め、従来実施されている色補正では、テストパターンを記録媒体上に記録し、記録されたテストパターンを読み取って補正データを取得しているが、補正データの取得は記録が全て終了した後であった。そのため、実際に画像を記録している間に記録中の画像に生じる色の変化を検出し、あるいは色の変換の状態を監視することはできなかった。
【0004】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、画像の記録中に発生した色の変化を、当該画像を記録している間に検知することができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため、第1の手段は、入力画像データの中から同一色からなる所定の範囲を連続色ブロックとして検出する検出手段と、前記検出手段によって検出された前記連続色ブロックについて記録媒体に記録された画像を撮像するための位置情報を生成する生成手段と、前記生成手段によって生成された位置情報、及び撮像された前記連続色ブロックの画像の色情報の実測値を保持する保持手段と、前記保持手段に保持された前記位置情報と色情報の実測値に基づいて同一色の実測値を比較し、色ずれを判断する判断手段と、を備えた色ずれ検知装置を特徴とする。
【0006】
第2の手段は、第1の手段において、前記同一色からなる所定の範囲として、複数の色の範囲が検出され、前記位置情報が、同一色毎に付与された色番号と、主走査方向に沿って設定される撮像可能範囲を示す行番号と、撮像位置を示す座標と、を含むことを特徴とする。
【0007】
第3の手段は、第1又は第2の手段において、前記判断手段は、前記実測値を蓄積し、平均値化した値と比較し、印刷終了時に色ずれ量を検出することを特徴とする。
【0008】
第4の手段は、第1又は第2の手段において、前記判断手段は、前記連続色ブロックの最初の実測値を基準値とし、当該基準値と後の連続色ブロックの実測値との差分が予め設定した閾値より大きくなったとき色ずれと判断することを特徴とする。
【0009】
第5の手段は、第1又は第2の手段において、前記判断手段は、前記連続色ブロックの実測値を蓄積し、蓄積した実測値に基づいて設定した基準値と実測値との差分が予め設定した閾値を一定回数連続して超えたとき色ずれと判断することを特徴とする。
【0010】
第6の手段は、第1又は第2の手段において、前記判断手段は、前記連続色ブロックの実測値を蓄積し、蓄積した実測値に基づいて設定した基準値と実測値との差分が予め設定した閾値を超えたとき色ずれと判断することを特徴とする。
【0011】
第7の手段は、第1ないし第6のいずれかの手段において、前記記録媒体に記録する記録手段を備え、前記検出手段は、前記記録手段の移動速度に応じて連続色ブロックの長さを設定することを特徴とする。
【0012】
第8の手段は、第1ないし第6のいずれかの手段において、前記記録媒体に記録する記録手段を備え、前記検出手段は、前記記録手段の移動速度に応じて鮮明な読み取りが可能な最大の前記移動方向の長さを算出し、当該算出された長さ以上の範囲を連続色ブロックとして設定し、検出することを特徴とする。
【0013】
第9の手段は、第1ないし第6のいずれかの手段において、前記記録媒体に記録する記録手段を備え、前記検出手段は、前記記録手段の移動時における前記撮像手段の露光時間に応じて鮮明な読み取りが可能な最大の前記移動方向の長さを算出し、当該算出された長さ以上の範囲を連続色ブロックとして設定し、検出することを特徴とする。
【0014】
第10の手段は、第1ないし第6のいずれかの手段において、前記記録媒体に記録する液滴吐出方式の記録手段と、前記記録手段を搭載し、主走査方向に移動する移動手段と、前記移動手段に搭載された撮像手段と、を有し、前記撮像手段は、前記記録手段による画像記録中に連続色ブロックの液滴吐出を判断し、液滴吐出直後に連続色ブロックを撮像することを特徴とする。
【0015】
第11の手段は、第1ないし第6のいずれかの手段において、前記記録媒体に記録する液滴吐出方式の記録手段と、前記記録手段を搭載し、主走査方向に移動する移動手段と、前記移動手段に搭載された撮像手段と、前記移動手段の主走査方向の移動位置を検出する位置検出手段と、を有し、前記撮像手段は、前記記録手段による画像記録中に前記位置検出手段によって検出された移動位置から撮像位置を判断し、液滴吐出直後に連続色ブロックを撮像することを特徴とする。
【0016】
第12の手段は、第1ないし第6のいずれかの手段において、前記記録媒体に記録する液滴吐出方式の記録手段と、前記記録手段を搭載し、主走査方向に移動する移動手段と、前記移動手段に搭載された撮像手段と、を有し、前記撮像手段は、前記記録手段による画像記録中に撮像手段から取り込まれる撮像情報に基づいて撮像位置を判断し、液滴吐出直後に連続色ブロックを撮像することを特徴とする。
【0017】
第13の手段は、第1ないし第12の手段に係る色ずれ検知装置を備えた画像形成装置を特徴とする。
【0018】
第14の手段は、同一色の色ずれの状態を検知し、判断する制御をコンピュータによって実行させる色ずれ検知制御プログラムであって、印字前の入力画像データの中から同一色からなる所定の範囲を連続色ブロックとして検出する第1の手順と、前記第1の手順で検出された前記連続色ブロックについて記録媒体に記録された画像を撮像するための位置情報を生成する第2の手順と、前記第2の手順によって生成された位置情報と、撮像された前記連続色ブロックの画像の色情報の実測値を記憶手段に保持する第3の手順と、前記第3の手順で保持された前記位置情報と色情報の実測値に基づいて同一色の実測値を比較し、色ずれを判断する第4の手順と、を備えていることを特徴とする。
【0019】
なお、後述の実施形態では、入力画像データは符号102及びD1に、連続色ブロックは取得可能箇所G2内の同一色からなる所定の範囲に、検出手段は連続色ブロック検出モジュール202に、生成手段は連続色ブロックデータ生成モジュール203に、位置情報は色番号B1、行番号D1及び座標D4に、実測値はD5に、保持手段はメモリ204又は164に、判断手段は色ずれ判断部206に、色ずれ検知装置は色ずれ検知システム200に、記録手段は記録ヘッド22〜25に、液滴吐出方式の記録手段はインクジェットヘッドに、移動手段はキャリッジ5に、撮像手段は撮像ユニット30に、画像形成装置はプリンタ100に、それぞれ対応する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、画像の記録中に発生した色の変化を、当該画像を記録している間に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態に係るプリンタの印字部の概略構成を示す図である。
【図2】図1におけるキャリッジの要部を示す平面図である。
【図3】図2に示したキャリッジの斜視図である。
【図4】色ずれ検知システムを含むプリンタのハードウェア構成を示すブロック図である。
【図5】色ずれ検知システムのソフトウェア構成を示すブロック図である。
【図6】色ずれ検知システムで実行される検知処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】記録媒体に対する撮像可能範囲を示す説明図である。
【図8】画像データ中の連続色ブロック候補検出について示す説明図である。
【図9】図7の要部を画像とともに拡大し、撮像可能範囲を示す図である。
【図10】取得可能箇所の1つのブロックについての撮像画像有効範囲を示す図である。
【図11】キャリッジ移動速度とブロックの1辺の長さについての関係を表形式で示す図である。
【図12】連続色ブロック候補の蓄積状態を示す図である。
【図13】入力画像データの連続色ブロックの分布イメージを示す説明図である。
【図14】撮像後の連続色ブロックと実測値(RGB値)の分布イメージを示す説明図である。
【図15】連続色ブロック検出モジュールで実行される連続色ブロックの検出処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図16】画像記録中の記録画像取得処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図17】実測値と基準値に基づいて設定された閾値との比較によって色ずれ判断を行うときの処理手順を示すフローチャートである。
【図18】実測値をデータとして蓄積し、一定回数連続してずれが発生したときに色ずれと判断する処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、画像データから連続色ブロックを選び出し、その画像データを記録した画像から、連続色ブロックに対応する部分を複数検出して比較し、色ずれの有無を判定することが特徴になっている。
【0023】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置としてのプリンタ100の印字部の概略構成を示す図である。同図において、プリンタ100の印字部は、インクジェット方式(液滴吐出型)の記録ヘッド21,22,23,24,25を搭載したキャリッジ5を中心に構成されている。キャリッジ5は、左右の側板3,4間に掛け渡されたガイドロッド1及び副ガイド2に図示しない軸受け及び副ガイド受け部11を介してそれぞれ保持され、矢印X1,X2方向(主走査方向)に摺動可能となっている。キャリッジ5には黒(K)のインク滴を吐出する記録ヘッド21,22、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色のインク滴を吐出する記録ヘッド23,24,25が搭載されている。
【0024】
キャリッジ5を移動走査する主走査機構は、主走査方向の一方側に配置される主走査モータ8と、主走査モータ8によって回転駆動される駆動プーリ7と、主走査方向他方側に配置された従動プーリ15と、駆動プーリ7と従動プーリ15との間に掛け回されたタイミングベルト9とを備えている。なお、従動プーリ15は、図示しないテンションスプリングによって外方(駆動プーリ7に対して離れる方向)に張力が加えられている。タイミングベルト9は、キャリッジ5の背面側に設けたベルト保持部10に一部分が固定保持され、これによりキャリッジ5はタイミングベルト9の回転移動に伴って主走査方向に移動する。
【0025】
また、キャリッジ5の主走査方向に沿うようにエンコーダシート26が配置されており、キャリッジ5に設けたエンコーダセンサ27によって当該エンコーダシート26を読み取り、キャリッジ5の主走査位置を検知することができる。このキャリッジ5の主走査領域のうち、記録領域では、シート状記録媒体(以下、単に記録媒体と称する。)が図示しない送り機構によってキャリッジ5の主走査方向と直交する矢印Y1方向(副走査方向)に間欠的に搬送される。
【0026】
また、キャリッジ5の主走査方向の移動方向に対して下流側の端部には(図1では右横)、撮像ユニット30が取り付けられ、キャリッジ5と一体に主走査方向に移動する。撮像ユニット30の中心は記録ヘッド22,23,24,25の中心とX軸方向(矢印X1,X2方向)で1つの直線上に組み付けられる。これにより記録ヘッド22,23,24,25により記録媒体に記録された直後の画像を主走査方向に移動しながら撮像することができる。なお、符号14は記録ヘッド21〜25のインク吐出作用を維持するための維持機構である。
【0027】
このように、本実施形態に係るプリンタ100では、キャリッジ5を主走査方向に移動し、図示しない記録媒体を間欠的に副走査方向に送りながら、記録ヘッド21〜25を画像情報に応じて駆動して液滴を吐出させ、記録媒体上に画像データに基づいたフルカラーの可視画像を形成することができる。
【0028】
図2は図1におけるキャリッジの要部を示す平面図、図3はその斜視図である。これらの図において、図2及び図3に示したキャリッジ5には記録ヘッド22,23,24,25が搭載され、後述の画像記録モジュール201からの指示により、画像データにしたがってノズル列22a,23a,24a,25aからそれぞれ各色のインクを吐出し、記録媒体に画像を記録する。なお、以下、キャリッジ5にはインクジェットヘッドとして色毎の記録ヘッド22,23,24,25が搭載され、これらの記録ヘッド22〜25により画像形成されるものとして説明する。
【0029】
撮像ユニット30はキャリッジ5に取り付けられ、記録ヘッド22〜25と共に主走査方向に往復動作し、画像記録と共に撮像を行う。撮像ユニット30はイメージセンサ31を備え、レンズ32を介して記録媒体上に記録された画像を撮像する。撮像ユニット30はキャリッジ5の前後左右いずれに取り付けても良いが、画像形成直後の画像を撮像することを意図すれば、前述の図2及び図3に示すように主走査方向下流側の面に設置することが望ましい。また、イメージセンサ31に代えてフォトダイオードを使用し、色味を比較して色ずれを検知するようにすることもできる。なお、撮像ユニット30の位置は、前述のようにエンコーダシート26をエンコーダセンサ27によって読み取り、取得したエンコーダ値で判断する。
【0030】
図4は色ずれ検知装置を含むプリンタのハードウェア構成を示すブロック図である。同図において、プリンタ100は、操作部110、モニタ120、コントローラ130、インターフェース140、画像処理部150、制御部160、記録部170、及び撮像部180から構成されている。操作部110はユーザが操作入力するためのものであり、モニタ120は入力のための表示及びシステムの状態の表示などを行い、両者でユーザI/Fを構成する。コントローラ130はプリンタ全体及び各部の制御を司り、CPU( Central Processing Unit)、ROM(Read-Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)などの制御要素を含む。外部のホストPC101とプリンタ100内の各部はインターフェース140によって接続される。CPUはROMに格納されたプログラムコードを読み出し、RAMに展開し、各部の制御を実行する。
【0031】
画像処理部150は、連続色ブロック検出部151及びメモリ152を含み、記録されるもののデータである画像データを処理する。ホストPC101より送られてきた画像データはインターフェース140を介して画像処理部150に送られ、連続色ブロック検出部151で画像データ内から連続色ブロックを検出する。検出方法については後述する。連続色ブロック検出部151で検出された連続色ブロックの情報はメモリ152に蓄積される。ここでは、連続色ブロックとは、限定された範囲内で、同一色からなる所定の範囲が複数箇所あるとき、その所定の範囲を意味している。
【0032】
制御部160は記録制御部161、色ずれ検知部162、撮像制御部163及びメモリ164を含み、記録制御、撮像制御、及び色ずれ検知が行われる。記録制御部161は画像処理部150で処理された画像データに基づいて画像記録を制御する。色ずれ検知部162は連続色ブロック検出部151で検出された連続色ブロックの情報を、メモリ152から読み出し、記録媒体上に記録された画像中の連続色ブロックを撮像した実測値を使用して、色ずれを検知若しくは判断する。検知方法については後述する。撮像制御部163は、記録画像の中にある連続色ブロックを撮像するための制御を行う。メモリ164は実測値を蓄積し、色ずれ検知部162によって前記実測値のデータが読み出される。また色ずれ検知後の結果が蓄積される。
【0033】
記録部170は記録ヘッド22〜25及び主走査エンコーダセンサ27を含み、記録媒体に対して画像記録を行う。画像記録は記録ヘッド22〜25からインクを吐出することによって行われる。その際の記録ヘッド22〜25の位置情報は、例えば、主走査エンコーダセンサ27により取得し、制御部160に渡される。
【0034】
撮像部58はイメージセンサ31を含み、記録媒体上に記録した画像の中の連続色ブロックをイメージセンサ31より撮像する。色ずれが発生したときの報告はモニタ120に表示される。
【0035】
図5は、色ずれ検知システムのソフトウェア構成を示すブロック図である。プリンタ100の色ずれ検知システム200は、画像記録モジュール201、連続色ブロック検出モジュール202、連続色ブロックデータ生成モジュール203、メモリ204、撮像モジュール205及び色ずれ判断部206を含み、ホストPC101から送られてくる画像データ102を処理し、画像形成と色ずれ検知を行う。色ずれ検知では、画像データ102から連続色ブロックを検出し、連続色ブロックを生成したデータについて色のデータとその色の座標をメモリに記憶しておく。他方、画像データ102に基づいて画像が形成され、その画像が撮像ユニット30によって撮像され、撮像データがメモリ204に実測データとして記憶される。そして、色ずれ検知は先に記憶した同一の座標の色のデータと比較することにより行われる。
【0036】
以下、各モジュールの機能について説明する。
画像データ102はホストPC101から送られてくる記録媒体に記録するデータである。画像記録モジュール201はホストPC101からの画像データ102を受け取り、キャリッジ5が主走査方向に移動しながら記録ヘッド22〜25によりインクを吐出させ、記録媒体上に画像を形成する。撮像ユニット30はキャリッジ5に取り付けられているため、キャリッジ5と一体に移動する。画像データ102自体は図8に示すように各ピクセルについて色が設定されたビットマップとして出力されるもので、画像記録モジュール201と連続色ブロック検出モジュールに同一の画像データ102が出力される。
【0037】
画像記録モジュール201では、図13に示すような連続色ブロックデータである色情報と位置情報がメモリ204に蓄積され、撮像モジュール205の準備ができたことを確認してから、記録ヘッド22〜25を駆動し、記録媒体に画像を記録させる。あるいはキャリッジ5の片道動作分のデータが準備できたら駆動させることもできる。
【0038】
連続色ブロック検出モジュール202では画像データ102を受け取り、図7に示すように記録ヘッド22〜25の副走査方向の記録範囲(ヘッド印字幅D2)から撮像ユニット30によって撮像できる撮像可能範囲D3を選び出し、その中から色ずれ検知に必要な取得可能箇所G2をさらに選び連続色ブロックを決定する。
【0039】
連続色ブロック検出モジュール202で検出された取得可能箇所G2のデータは連続色ブロックデータ生成モジュール203に入力される。この連続色ブロックデータ生成モジュール203では、連続色ブロック部分を記録媒体から撮像するための位置情報を生成する。また、生成された位置情報(D1,D4)、各色情報(B1)、及び記録媒体の画像を撮像して得られたデータである実測値D5の入るスペースをメモリ204に確保し、これらのデータをメモリ204に蓄積する。
【0040】
撮像モジュール205はメモリ204中の位置情報に基づいて記録媒体上に形成された記録画像の中の連続色ブロックを撮像する。そして撮像したデータである実測値D5(図14)をメモリ204に蓄積する。色ずれ判断部206は、蓄積されている実測値をつねに監視し、色ずれ検知を行い、色ずれの有無を判断する。色ずれ検知については後述する。報告部207は外部に色ずれがあることを報告する。
【0041】
図6は、色ずれ検知システムで実行される検知処理のメインルーチンを示すフローチャートである。色ずれ検知システムの色ずれ検知処理部200では、ホストPC101から記録媒体への画像記録要求を受けると色ずれ検知システムの検知処理が開始され、連続色ブロック検出処理(ステップS01)、画像記録処理(ステップS02)及び報告処理(ステップS03)が実行される。
【0042】
連続色ブロック検出処理(ステップS01)では、まず、画像処理部150の連続色ブロック検出部151で画像データを受け取り、画像データ中から連続色ブロックを検出し、図13に示す連続色ブロックの情報(連続色ブロックデータ)D0をメモリ152に蓄積する。連続色ブロックの検出は連続色ブロック検出モジュール202、連続色ブロックデータ生成モジュール203、メモリ204のモジュールにより処理される。
【0043】
以上が終了し、画像記録の準備が終了すると、記録媒体上に画像を記録し、画像記録処理(ステップS02)が実行される。画像記録処理では、記録ヘッド22〜25により記録媒体上に画像が形成され、これと並行して連続色ブロックの位置情報に基づいて記録された画像を撮像する。撮像したデータは各連続色ブロックの実測値D5としてメモリ204に蓄積される。画像記録は制御部160の記録制御部161により、記録部170の記録ヘッド22〜25を制御することにより行われる。画像記録中に行われる連続色ブロックの撮像の際に必要な位置情報は、連続色ブロックデータ生成モジュール203で生成されメモリ152に保存されている。
【0044】
連続色ブロック検出について詳しくは図7ないし図13を参照して後述する。また、連続色ブロック検出の処理手順については図15のフローチャートに、画像記録中の処理手順については図16のフローチャートにそれぞれ示す。
【0045】
報告処理(ステップS03)では、画像データの記録が終了した後、蓄積された実測値をもとに色ずれを判別し、色ずれに関する情報を報告する。報告手段としては、例えばモニタ120で報告することができる。その際はヒストグラムでの表示、ずれの有無のみの表示などが行われ、モニタ120で報告に代えて又は加えてホストPC101に報告するようにしても、アラーム等を使用しても良い。色ずれの報告は実測値がずれていることが判断できれば良いため、画像記録中に行うことができる。当然、画像記録終了後であっても良く、報告のタイミングは任意に設定できる。報告が終わることで、色ずれ検知システムの処理は終了する。なお、色ずれの検知自体は画像記録が終了いない間に実行され、報告はその結果報告であり、検知が終了した時点で可能である。実測値と色ずれ検知については図14を参照して後述する。
【0046】
図7は記録媒体に対する撮像可能範囲を示す説明図である。記録媒体上に画像を形成する場合、キャリッジ5が主走査方向に往復移動することによって記録ヘッド22〜25も主走査方向に移動し、インクを吐出する。1行の記録が終わると、副走査方向に記録媒体が動作し、次の行の記録に移る、という動作を繰り返す。
【0047】
D1はその際の行番号であり、連続色ブロックの位置情報はこの行番号も含んでいる。D2は記録ヘッドの印字幅である。D3は撮像可能範囲であり、連続色ブロック検出の際に限定される位置である。この撮像可能範囲とは、記録媒体上に形成された画像を撮像するための撮像ユニット30をキャリッジ5への取り付け位置に依存するが、図2及び図3に示したような位置に取り付けた場合、ヘッド印字幅D2の中央部に所定の幅で存在する。それはキャリッジに取り付けられた撮像ユニット30が通る軌跡に沿った帯状の範囲であり、その範囲を撮像可能範囲D3と称す。撮像できる範囲が限定されているため、連続色ブロックを選ぶ際にはこの撮像可能範囲D3以外の場所から選ぶことはできない。
【0048】
連続色ブロックについては、撮像可能範囲D3中の位置情報である行番号D1とその位置を表す座標D4からなる連続色ブロックデータD0に基づいて連続色ブロックデータ生成モジュール203が画像取得位置を割り出し、画像記録中に撮像ユニット30によって撮像を行い実測する。
【0049】
図8は、画像データ中の連続色ブロック候補検出について示す説明図である。同図は画像データの撮像可能範囲D3中で連続色ブロック候補になりうる部分を示したもので、図において横方向を主走査方向、縦方向を副走査方向としている。取得可能範囲D3の中に連続色の領域である取得可能箇所G2が存在している。連続色ブロック候補とは、連続色ブロックになる可能性のある箇所で、撮像可能範囲D3内に存在する取得可能箇所G2である。連続色ブロックにはいくつかの条件があるため、実際に撮像ユニット30によって撮像される場所であることが特定されるまでは連続色ブロック候補と称す。
【0050】
なお、撮像可能範囲D3はシステムの撮像ユニット30の構造に依存した、撮像できる範囲から限定される範囲であり、取得可能箇所G2は画像データ中の連続色の領域であり、画像データによって限定される箇所である。
【0051】
図8に示す画像データ102は、ピクセル単位で画像処理部150に送られてくる記録媒体上の画像の画像データであり、この画像データ102に対してステップS01において、連続色ブロック検出モジュール202によって連続色ブロックの検出が行われる。すなわち、画像データ102が連続色ブロック検出モジュール202に入ってきたと後、連続色ブロック検出モジュール202は連続色の検出によってある程度まとまった色の集合である取得可能箇所G2の検出を図10に示すようなブロック(G1)単位で行う。このブロックG1の検出によって取得可能箇所G2が検出され、連続色ブロック候補としてメモリ204に蓄積される。その連続色ブロック候補の蓄積状態若しくは蓄積結果を図12に示す。なお、図10は取得可能箇所G2の1つのブロックG1についての撮像画像有効範囲を示す図であり、図8における取得可能箇所1−1、2−1、3−1〜4の各ブロックの構成を示している。
【0052】
また、図8に示した撮像可能範囲D3は、図9に示すように1枚の記録媒体Pに対応する入力画像データの中から、図7に示す撮像可能範囲D3を拡大して示したもので、複数の撮像可能範囲D3に取得可能箇所G2が含まれ、1回の主走査方向の走査で複数個の取得可能箇所が含まれる可能性があることが分かる。なお、図8は図9の要部を拡大した図であり、図9は図7の要部を画像とともに拡大し、撮像可能範囲を示す図である。
【0053】
図12は連続色ブロック候補の分布例を示す図で、取得可能箇所G2(1−1、2−1、3−1〜4)の全ての色について出現頻度を蓄積した結果である。つまり、連続色ブロック候補は連続色のブロックG1単位での検出によって蓄積された連続色ブロックデータD0のまとまりである。ここでいうブロックG1単位とは、図8及び図10に示すように8×8のマトリクスを1つのブロックとする単位である。図12では、横軸に色分布、縦軸に個数をとっている。横軸の色分布は同じ色のブロックを出現頻度に分けて分類したもので、ブロックの色の種類(色番号:B1)を示し、右側から一番数の多い色のブロックを並べてあり、左側に行くほどブロックの数が少ないものが配置されている。ブロックの数が多いものは撮像可能範囲D3の中で多く使われている色であり、ブロックの数が少ないものは、撮像可能範囲D3の中に少ない色である。縦軸は検出されたブロックの数(頻度)を表している。
【0054】
連続色ブロック候補から切り捨てられる(B2)のはブロック(連続色ブロック候補)としては検出できるが、色ずれ検知ができない部分である。その条件は記録枚数が「一部」のみ記録と、「複数部」の記録のときとで変更する。「一部」の記録画像中で検知する必要があるときは、同じ色を表すブロックの数が最低2箇所以上あるときであり、複数部の記録時に下限はない。またこの切り捨てB2の範囲は、画像データによって変化させる。この例では「5」以下のものは全て切り捨てている。また、連続色ブロックのない画像や、記録箇所の少ない白黒データなどで色ずれ検知をしないことも判断する。つまり画像データから自動的に色ずれ検知が必要ないと判断し、実測しない状態も存在し得る。
【0055】
取得可能箇所G2は連続色ブロック候補として検出された部分であり、図12の分布イメージからもある程度まとまった色の集合が検出されているのがわかる。連続色ブロック候補は連続色ブロックデータとして図13に示すように行番号D1、座標D4、色番号B1を有する。
【0056】
実際の画像データ中のデータ取得は、ブロックG1単位の全域に対して行われるわけでなく、1単位のブロックを示す図10から分かるように、そのブロック内の撮像画像有効範囲C2に対して行われる。連続色の検出はブロックG1を1つの単位として検出し、取得可能箇所G2として特定しているため、ブロック1つ分のサイズが存在する領域が画像データ中に存在した場合、かつ撮像可能範囲C2内にある場合に取得可能箇所となり、その箇所が連続色ブロック候補としてメモリ204に保存される。
【0057】
1ブロック幅は画像イメージの解像度による。それはある程度の大きさが撮像するのに必要なためで、解像度が変わると、1ブロックG1を構成するピクセルC1の数が変わるからである。撮像画像有効範囲C2は1ブロックG1として撮像した範囲の一部である。このように1ブロックG1として撮像した範囲の一部として撮像画像有効範囲C2を設定するのは、撮像位置の誤差などによって光学的なノイズになり、その意図しないデータの取得を防止するためである。ブロック幅は、撮像位置のずれ量分のマージンをとって決定する。
【0058】
一般的に、露光中に撮像ユニット30が動くと、鮮明な読み取りを行うことができないという問題がある。そのときに読み取られた画像をぶれた画像と呼ぶ。しかしながら本システムでは、主走査方向に動きながらの撮像になる。そこで1ブロックG1の主走査方向の長さを、イメージセンサ31の露光時間内に進む距離よりも長く設定する。これにより、1ブロックG1内には一色しか存在しないことになるため、露光中に動きがあって撮像した画像がぶれてしまっても色の取得には全く問題がない。そこで、本実施形態では、キャリッジ5の移動速度に応じて連続色ブロックの長さを設定して検出する。例えばキャリッジ5の移動速度に応じて鮮明な読み取りが可能な最大の移動方向の長さ、あるいは、撮像手段の記録時の露光時間に応じて鮮明な読み取りが可能な最大の前記移動方向の長さを算出し、当該算出された長さ以上の範囲を連続色ブロックとして設定する。
【0059】
図11はキャリッジ移動速度とブロックG1の1辺の長さについての関係を表形式で示す図である。同図は、解像度1200dpiで撮像するときの例である。同図では、例えばキャリッジ移動速度が200[mm/s]、露光時間0.001[s]、シャッタースピード1000[f/s]の場合、1ブロックの最小撮像距離は0.2[mm]、1ブロックの最小幅は9[pixel]であり、同一の露光時間及びシャッタースピードでキャリッジの移動速度が1400[mm/s]の場合、1ブロックの最小撮像距離は1.4[mm]、1ブロックの最小幅は66[pixel]となる。このようにブロックG1の決定基準は、撮像センサ30のシャッタースピード、装置の撮像最大位置ずれ幅で決定する。したがって、このブロックG1が小さいほど、細かな検出を行うことができる。
【0060】
1ブロックG1の幅は最小の値であるため、どの程度の色ずれの検出幅を持たせるかをユーザが設定できるようにすると、ブロックの検出範囲を広げることが可能である。今、キャリッジ移動速度600mm/sで最小ブロック幅が28ピクセルだとする。ユーザが検出幅を2倍で行う設定にした場合は、56ピクセルの検出幅で1ブロックG1をメモリ204に記録した記録データ中から検索することになる。また、本実施形態では、ブロックG1の形状を8×8の正方形として説明しているが、撮像画像有効範囲の形は正方形でなく、長方形や楕円などの形でも良い。
【0061】
図13は入力画像データの連続色ブロックの分布イメージを示す説明図である。すなわち、連続色ブロック生成モジュール203によって生成されたデータから図12の連続色ブロック候補の中から切り捨てB2のない色番号B1の連続色ブロックB3だけを取り出した図で、図12において色ずれ検知が可能であると判断されたものである。連続色ブロックの1つ1つはデータとして位置情報(行番号D1と座標D4)と記録する色情報(色番号B1)を持ち、連続色ブロックデータD0として前述のようにメモリ204に保存され、蓄積されている。
【0062】
メモリ204では、同じ色情報を持つ連続色ブロックが縦につみあがっている。これらの連続色ブロックの色を実測するために、撮像モジュール25は行番号D1と座標D4から記録媒体上の撮像位置を割り出す。本実施形態における色ずれ検知システムでは、同じ色情報を持つ連続色ブロックの実測値(RGB値)を比較し、色ずれを検出するので、連続色ブロックは記録する色毎の色番号B1を持つ。そして、撮像モジュール25は色番号B1、行番号D1及び座標D4のデータに基づいて撮像ユニット30に撮像を指示し、この指示に基づいて撮像された各連続色ブロックの実測値(RGB値)を記録ヘッド22〜25によってインクを吐出した直後の画像記録中に得ることができる。得られたデータはメモリ204に送られ、図14に示すように前記メモリ204に確保されたスペースにRGB値の実測値D5が書き込まれる。なお、図14は撮像後の連続色ブロックと実測値(RGB値)の分布イメージを示す説明図である。
【0063】
画像記録中の色ずれ判断は色ずれ判断部206で実行される。色ずれ判断を行う場合、まず、画像記録が開始されると、それにあわせて取得可能範囲G2の撮像が始まる、撮像された画像の中から各連続色ブロックのRGB値(ここでは255までの値とする。)を取得し、実測値D5としてブロックデータ(行番号D1、座標D4)とともにメモリ204に蓄積される。その実測したRGB値を比較していき、ある閾値を越えたところで色ずれと判断する。この場合の基準となる色は、取得画像の平均値を使用する。なお、この例では、RGBの実測値はRGBの値を合成して0〜255の値としているが、RGBの各色についての実測値としても良い。
【0064】
図14に示すように横軸色番号90の色の行番号D1がA、座標D4が(30,485)の位置をM1、行番号D1がC、座標D4が(22,162)の位置をM2、行番号D1がH、座標D4が(15,165)の位置をM3とすると、M1の実測値D5は095、M2の実測値D5は094、M3の実測値D5は103のときの色ずれ量は、閾値を平均値±5、横軸色番号90の実測したRGB値の平均値が全て96だったとすると、
M1:96−95=1
M2:96−94=2
M3:96−103=−7
となる。閾値が平均値±5であるから、M1,M2の位置は閾値以内であり、色ずれなしと判断され、M3の位置は閾値から外れているので、色ずれがあると判断される。すなわち、前記H行の(15,165)の座標に対応する色は色ずれしていると判断される。判断されたデータはメモリに蓄積される。このようにすることにより記録開始から記録終了までの間で色ずれを検知するための実測したRGB値が平均値化され、その平均値と対象となる座標の実測値との差で色ずれを判断する。
【0065】
以上の判断方法は、ずれが発生したときにそのつど色ずれと判断するパターンである。このほかに色ずれの判断方法は最初に取得した値を基準値として判断する方法や、統計学的な分散から判断することもできる。また、実測値をデータとして蓄積し、一定回数連続してずれが発生したときに色ずれと判断することもできる。
【0066】
図18は、例えば、実測値をデータとして蓄積し、一定回数連続してずれが発生したときに色ずれと判断する処理手順を示すフローチャートである。
【0067】
実測値をデータとして蓄積し、一定回数連続してずれが発生したときに色ずれと判断する処理は、まず、前述のようにして該当する色番号B1と座標D4の位置のRGB値を閾値と比較し(ステップS31)、基準値からの差分が閾値外である場合、色ずれカウントを1インクリメントし(ステップS32)、カウント数を確認する。この確認処理でカウント数が5回となれば、言い換えれば連続して5回基準値からの差分が閾値外であれば、色ずれと判断し(ステップS34:YES)、色ずれありの報告を行う。一方、ステップS31の判断で閾値外でなければ、色ずれカウントをリセットし(ステップS33)、カウント数をチェックした上で(ステップS34:NO)、色ずれなしの報告を行う(ステップS36)。それぞれの報告は図16のフローチャートのステップS24の報告ログ蓄積で処理される。
【0068】
なお、ステップS34及びS35では、色ずれが5回以上連続してされた場合に色ずれの報告を行うようになっているが、連続回数は単なる例示であり、適宜設定することができる。
【0069】
図15は連続色ブロック検出モジュールで実行される連続色ブロックの検出処理の処理手順を示すフローチャートであり、図6のルーチンの詳細を示す。同図において、連続色ブロックの検出が開始されると、D1の画像データはホストPC101より画像処理150の連続色ブロック検出部151に送られ、連続色ブロック検出モジュール202で受け取られる。連続色ブロック検出モジュール202では、図8を参照して説明したように入力画像データ102の中から連続色の算出を行う(ステップS11)。画像データD1(102)は1ピクセル行毎に連続色ブロック検出モジュール202に送られてくるが、連続色ブロック検出モジュール202では、撮像可能範囲D3になるまでは連続色の算出は行わない。
【0070】
撮像可能範囲D3にきたら、連続色を算出する。連続色の算出では、図8及び図10において1ブロックG2の主走査方向の長さが連続しているものを検知する。この検知を連続して実行し、同じ色が続く連続色が検知されたら、その行をn行目とし、その連続列の先頭をxとして位置情報(n行目のx列目)を蓄積する(連続列)。連続列だと判断された次の列から、また連続列の検出を続ける。n行目の検出が終了した(n+1)行目のデータの中で連続色の検出を行う。撮像可能範囲D3内の全ての行で検出が終了したら、連続色を蓄積した情報から連続行を算出する。
【0071】
連続行の算出を終了したら、連続色ブロックの検索を実行する(ステップS12)。連続色ブロックの検索では連続列と連続行の情報から連続色ブロック候補として、取得可能箇所G2を算出し、算出したデータをメモリ152に蓄積する。次の行番号の撮像可能範囲D3にきたら、連続色の算出を行う。これを撮像可能範囲D3の数だけ繰り返すことによって(ステップS12→S11→S12・・・)、全ての撮像可能範囲D3内の連続色ブロック候補を検出することができる。
【0072】
連続色ブロックの検索が終了し、全ての撮像可能範囲D3内の連続色ブロック候補を検出した後、ブロック選定処理を実行する(ステップS13)。ブロック選定処理では、連続色ブロック候補の中で実際に撮像する記録画像を選定する。ここでは同一色の連続色ブロック候補において一定以下のものは切り捨てる。この切り捨てるデータは図12に示したサンプリング箇所が少ないB2で示すデータである。
【0073】
ステップS13で連続色ブロックが選定されると、色毎に取得位置分析を実行する(ステップS14)。連続色ブロックの位置情報はメモリ152に蓄積されている。そのメモリ152に蓄積された連続色ブロックの位置情報から記録媒体上に記録された記録画像を撮像するために撮像制御部163が撮像箇所を特定する。そのための撮像位置分析を連続色ブロックデータ生成モジュール203によって行い、位置情報として行番号D3と撮像可能範囲内の座標D4を算出する。
【0074】
D2は色毎の取得位置分析の分析結果であり、連続色ブロックの色番号B1と行番号D1がメモリ152に蓄積される。図6に戻ると、ステップS01で連続色ブロックの検出が終了したらステップS02で画像記録を実行する。
【0075】
図16は、画像記録中の記録画像取得処理の処理手順を示すフローチャートで、ステップS02のルーチンの詳細を示す。同図において、前述のようにステップS01からステップS02に移行して、画像記録が開始されると、まず、画像取得位置を確認する(ステップS21)。画像取得位置確認判断は、連続色ブロックの位置情報(行番号D1、座標D4)と撮像装置の位置情報(主走査エンコーダ値)に基づいて行われる。撮像ユニット30の位置情報はキャリッジ5に取り付けられたエンコーダセンサ27によって、主走査方向に一直線に設置されたエンコーダシート26を読み取ることによって取得できる。また位置の判断としては画像記録モジュール201から記録ヘッド22〜25への指示を読み取り、連続色ブロックのインク吐出を撮像モジュール205が判断するようにすることもできる。
【0076】
画像取得位置が確認されると(ステップS21:YES)、記録画像取得処理を実行する(ステップS22)。記録画像取得処理では、撮像ユニット30の現在位置が画像取得位置である場合、記録画像をイメージセンサ31によって撮像する。そして、撮像によって取得した値を色情報に変換し、実測値(RGB値)D5としてメモリ164に蓄積する。
【0077】
次いで、記録画像比較処理に移行する(ステップS23)。記録画像比較処理では、メモリ164に蓄積されているデータ中に、今回取得した連続色ブロックと同じ色番号B1を持つ、撮像後の連続色ブロックデータが存在する場合に撮像前のRGB値と、撮像後のRGB値を比較する。比較方法は実測値(RGB値)D5を連続色ブロックの色番号B1毎に平均値化し、前述のようにその平均値との差で色ずれを判断する。また、最初に取得した値を基準値として保持しておき、この基準値と比較する方法、分散や標準偏差などを見て判断する方法をとることもできる。比較するデータがないときは、実測値D5をメモリ164に保存するのみの処理となる。詳細は図17のフローチャートに示す。
【0078】
ステップS23で記録画像比較処理が終了すると、画像比較結果を報告ログ用のデータとしてメモリ164に蓄積する(ステップS24)。その後、記録が終了したかどうか判断し(ステップS25)、記録終了でなければステップS21へ戻って、ステップS21からの処理を繰り返し、記録終了であれば、画像記録終了とする。画像記録終了となったら図6のフローチャートにおけるステップS03の報告処理に移行する。
【0079】
図17及び図18は、ステップS23の記録画像比較処理の詳細を示すフローチャートである。
【0080】
図17は図14に示した実測値と基準値に基づいて設定された閾値との比較によって色ずれ判断を行う例で、画像比較が開始されると、実測値D5と基準値との差分をとり、その差分値が予め設定した閾値外である場合(ステップS41:YES))、色ずれあり報告を行い(ステップS42)、差分値が閾値外でない場合(ステップS41:NO)、色ずれなし報告を行う(ステップS43)。それぞれの報告はステップS24の報告ログ蓄積で処理される。
【0081】
図18のフローチャートについては、既述したが、閾値を越えた回数をカウントし、連続して5回閾値を超えたときに、色ずれありと判断するようにした例である。
【0082】
以上のように、本実施形態によれば、入力画像データ102から同一色から所定の範囲を連続色ブロックとして選び出し、その連続色ブロックに関する位置情報、色情報を含む連続色ブロックデータD0を蓄積し、入力画像データ102に基づいて記録媒体に記録している際に、画像から連続色ブロックに対応する部分を複数検出し、読み取った画像の色情報の実測値D5を比較するので、記録開始から記録終了までに色の変化あるいは色ずれを検知することができる。
【0083】
また、本実施形態では、インクジェット方式の画像形成装置を例示しているが、画像形成直後に画像形成された画像を撮像できるような方式の画像形成装置であれば本発明の適用は可能である。
【0084】
なお、本発明は前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。前記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲により規定される範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0085】
5 キャリッジ
21〜25 記録ヘッド
30 撮像ユニット
100 プリンタ
102,D1 入力画像データ
164,204 メモリ
200 色ずれ検知システム
202 連続色ブロック検出モジュール
203 連続色ブロックデータ生成モジュール
206 色ずれ判断部
B1 色番号
D1 行番号
D4 座標
D5 実測値
G2 取得可能箇所
【先行技術文献】
【特許文献】
【0086】
【特許文献1】特開2002−120388号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印字前の入力画像データの中から、同一色からなる所定の範囲を連続色ブロックとして検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された前記連続色ブロックについて記録媒体に記録された画像を撮像するための位置情報を生成する生成手段と、
前記生成手段によって生成された位置情報と、撮像された前記連続色ブロックの画像の色情報の実測値を保持する保持手段と、
前記保持手段に保持された前記位置情報と色情報の実測値に基づいて同一色の実測値を比較し、色ずれを判断する判断手段と、
を備えた色ずれ検知装置。
【請求項2】
請求項1記載の色ずれ検知装置であって、
前記同一色からなる所定の範囲として、複数の色の範囲が検出され、
前記位置情報が、同一色毎に付与された色番号と、主走査方向に沿って設定される撮像可能範囲を示す行番号と、撮像位置を示す座標と、を含むこと
を特徴とする位置ずれ検知装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の色ずれ検知装置であって、
前記判断手段は、前記実測値を蓄積し、平均値化した値と比較し、印刷終了時に色ずれ量を検出すること
を特徴とする色ずれ検知装置。
【請求項4】
請求項1又2は記載の色ずれ検知装置であって、
前記判断手段は、前記連続色ブロックの最初の実測値を基準値とし、当該基準値と後の連続色ブロックの実測値との差分が予め設定した閾値より大きくなったとき色ずれと判断すること
を特徴とする色ずれ検知装置。
【請求項5】
請求項1又は2記載の色ずれ検知装置であって、
前記判断手段は、前記連続色ブロックの実測値を蓄積し、蓄積した実測値に基づいて設定した基準値と実測値との差分が予め設定した閾値を一定回数連続して超えたとき色ずれと判断すること
を特徴とする色ずれ検知装置。
【請求項6】
請求項1又は2記載の色ずれ検知装置であって、
前記判断手段は、前記連続色ブロックの実測値を蓄積し、蓄積した実測値に基づいて設定した基準値と実測値との差分が予め設定した閾値を超えたとき色ずれと判断すること
を特徴とする色ずれ検知装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の色ずれ検知装置であって、
前記記録媒体に記録する記録手段を備え、
前記検出手段は、前記記録手段の移動速度に応じて連続色ブロックの長さを設定すること
を特徴とする色ずれ検知装置。
【請求項8】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の色ずれ検知装置であって、
前記記録媒体に記録する記録手段を備え、
前記検出手段は、前記記録手段の移動速度に応じて鮮明な読み取りが可能な最大の前記移動方向の長さを算出し、当該算出された長さ以上の範囲を連続色ブロックとして設定し、検出すること
を特徴とする色ずれ検知装置。
【請求項9】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の色ずれ検知装置であって、
前記記録媒体に記録する記録手段を備え、
前記検出手段は、前記記録手段の移動時における前記撮像手段の露光時間に応じて鮮明な読み取りが可能な最大の前記移動方向の長さを算出し、当該算出された長さ以上の範囲を連続色ブロックとして設定し、検出すること
を特徴とする色ずれ検知装置。
【請求項10】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の色ずれ検知装置であって、
前記記録媒体に記録する液滴吐出方式の記録手段と、
前記記録手段を搭載し、主走査方向に移動する移動手段と、
前記移動手段に搭載された撮像手段と、
を有し、
前記撮像手段は、前記記録手段による画像記録中に連続色ブロックの液滴吐出を判断し、液滴吐出直後に連続色ブロックを撮像すること
を特徴とする色ずれ検知装置。
【請求項11】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の色ずれ検知装置であって、
前記記録媒体に記録する液滴吐出方式の記録手段と、
前記記録手段を搭載し、主走査方向に移動する移動手段と、
前記移動手段に搭載された撮像手段と、
前記移動手段の主走査方向の移動位置を検出する位置検出手段と、
を有し、
前記撮像手段は、前記記録手段による画像記録中に前記位置検出手段によって検出された移動位置から撮像位置を判断し、液滴吐出直後に連続色ブロックを撮像すること
を特徴とする色ずれ検知装置。
【請求項12】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の色ずれ検知装置であって、
前記記録媒体に記録する液滴吐出方式の記録手段と、
前記記録手段を搭載し、主走査方向に移動する移動手段と、
前記移動手段に搭載された撮像手段と、
を有し、
前記撮像手段は、前記記録手段による画像記録中に撮像手段から取り込まれる撮像情報に基づいて撮像位置を判断し、液滴吐出直後に連続色ブロックを撮像すること
を特徴とする色ずれ検知装置。
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれか1項に記載の色ずれ検知装置を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
同一色の色ずれの状態を検知し、判断する制御をコンピュータによって実行させる色ずれ検知制御プログラムであって、
印字前の入力画像データの中から同一色からなる所定の範囲を連続色ブロックとして検出する第1の手順と、
前記第1の手順で検出された前記連続色ブロックについて記録媒体に記録された画像を撮像するための位置情報を生成する第2の手順と、
前記第2の手順によって生成された位置情報と、撮像された前記連続色ブロックの画像の色情報の実測値を記憶手段に保持する第3の手順と、
前記第3の手順で保持された前記位置情報と色情報の実測値に基づいて同一色の実測値を比較し、色ずれを判断する第4の手順と、
を備えていることを特徴とする色ずれ検知制御プログラム。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図10】
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【図11】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図1】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−192683(P2012−192683A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59548(P2011−59548)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】