説明

色コントラストが増大した光源

【課題】色コントラストが増大した蛍光ランプを提供する。
【解決手段】
色品質尺度が向上したランプが提供される。ランプは、光透過性エンベロープと、第1の蛍光体および第2の蛍光体を含む蛍光体層とを有し、第1の蛍光体は発光帯の最大値が590nm〜670nmの間にあり、第2の蛍光体は発光帯の最大値が520nm〜570nmの間にある。蛍光体層から発生する光は、ランプが作動したときに、デルタ・クロマ値が、色品質尺度の15の色見本に対して、選択したパラメータ内である。デルタ・クロマ値はCIEラボ色空間において測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国特許法120条の下で、先に出願された同時係属中の出願第11/873463号明細書(2007年10月17日出願)、発明の名称「色コントラストが増大した光源」の優先権を主張する一部継続出願である。なお先の明細書は、本明細書において参照によりその全体として取り入れられている。
【0002】
本発明は、ランプに関し、いくつかの実施形態においては、色コントラストが増大した蛍光ランプに関する。
【背景技術】
【0003】
蛍光照明は、一般的な白熱照明に代わるエネルギー効率の良い代替物である。しかし蛍光照明を採用することは、小売店の陳列における物品の照明などの特定の用途では遅れている。蛍光照明の下での物体色の品質は、光源の価値の重要な様相である。蛍光照明は、スペクトルの赤色領域における光が弱められ、黄色領域における光量が過度に強調された可視光を生成することができる。この照明は、冷光または殺菌光を、および一般的に、被照明物品の色を落とす光を生成することが認められている。
【0004】
白熱ランプは、蛍光ランプが生成するような可視スペクトルの黄色領域において著しい光を発生させることが知られている。解決方法の1つは、黄色光の一部を、希土類元素ネオジウムを含むガラス・エンベロープを用いて取り除くことである。ネオジウム・ドープされたガラスを用いた白熱電球は、REVEAL(商標)電球(GE製)である。これらの電球は、黄色領域における光が弱められており、そのため通常の白熱電球と比べて赤緑の色コントラストが大きい。その結果、消費者は、白熱REVEAL(商標)電球が生成する色コントラストの増大した光は魅力的であると感じている。したがって、ネオジウム・ガラスによってフィルタリングされた白熱光源を用いて実現できるものと同様の色コントラストが増大した光源を開発することは望ましいであろう。これは、非白熱ランプに対しては、これまで実現可能ではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,602,444号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ネオジウム・ガラスを用いたろ過は、白熱ランプが生成する光の量を減らす傾向もある。この不利点は、白熱ランプが十分に明るいため容認できるものである。しかし、蛍光照明などの他の照明源においてルーメン出力が低下することは、それほど容認できるものではない。白熱ランプ以外の光源であって、ネオジウム・ガラスを用いるなどのフィルタリング方法によって光出力が損失することを被ることなく色コントラストの増大をもたらす光源が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態の一態様においては、少なくとも第1の蛍光体と第2の蛍光体とを含む蛍光体組成物を有する蛍光体層を備える色品質尺度が向上したランプが提供される。第1の蛍光体は、酸化イットリウム:Eu(Y:Eu)(YEO);3.5MgO*0.5MgF*GeO:Mn4+(MfG);五ホウ酸ガドリニウム亜鉛マグネシウム:Ce,Mn(Gd(Zn,Mg)B10:Ce,Mn)(CBM);ストロンチウム・レッド(Sr,Mg)(PO:Snおよびバナジウム酸イットリウム(Y(V,P)O:Eu)、またはそれらの組み合わせから選択することができる。第2の蛍光体は、(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu2+,Mn2+(BAMn);リン酸セリウムランタン(LaPO:Ce,Tb)(LAP);ZnSiO:Mn;(Ce,Tb)MgAl1119(CAT)および(Ce,Tb)(Mg,Mn)Al1119、またはそれらの組み合わせから選択することができる。
【0008】
本発明の実施形態の別の態様においては、色品質尺度が向上したランプであって、蛍光体組成物を含む蛍光体層を備えるランプが提供される。組成物は、少なくとも第1の蛍光体と第2の蛍光体とを含み、第1の蛍光体は発光帯の最大値が約590nm〜約670nmの間にあり、第1の蛍光体は約10〜約90重量パーセントの量で存在する。第2の蛍光体は発光帯の最大値が約500nm〜約570nmの間にあり、第2の蛍光体は約5〜約50重量パーセントの量で存在する。ランプは、Q値が約60よりも大きく、相関色温度が約2000〜約3500ケルビンの間にある。
【0009】
さらに本発明の実施形態の別の態様においては、ランプであって、作動したときに、相関色温度として約2000ケルビン〜約3500ケルビンを示し、色品質尺度が向上したランプが提供される。ランプは、作動したときに光放射を伴う少なくとも1つの発光要素を備えているが、但しランプは白熱発光要素を備えていない。ランプが作動したとき、ランプから発生する光の総光放射のデルタ・クロマ値は、CQSのうちの少なくとも2つの色見本が、VS1に対して−2〜7、VS2に対して−3〜7、およびVS3に対して−7〜7のパラメータ内であり;CQSのうちの少なくとも1つの色見本が、VS4に対して−2〜8、およびVS5に対して−2〜14のパラメータ内であり;CQSのうちの少なくとも2つの色見本が、VS6に対して1〜25、VS7に対して4〜25、およびVS8に対して−1〜15のパラメータ内であり;CQSのうちの少なくとも2つの色見本が、VS9に対して−2〜7、VS10に対して−4〜6、およびVS11に対して−2〜8のパラメータ内であり;CQSのうちの少なくとも1つの色見本が、VS12に対して−1〜8、およびVS13に対して−1〜13のパラメータ内であり;CQSのうちの少なくとも1つの色見本が、VS14に対して−7〜13、およびVS15に対して−9〜12のパラメータ内である。デルタ・クロマ値はCIELAB空間において測定する。
【0010】
本発明の他の特徴および優位性は、以下の詳細な説明から、より良好に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態によるランプを概略的に、および部分的に断面で示す図である。
【図2】本発明の実施形態による電球形蛍光ランプを示す図である。
【図3】可視スペクトルの一部を与えるLED装置を有する電球形蛍光ランプに対する理論上の推定される発光スペクトルである。
【図4】CCTが約2750Kである実施例1の多蛍光体ランプに対する発光スペクトルである。
【図5】CCTが約2750Kである実施例2の多蛍光体ランプに対する発光スペクトルである。
【図6】CCTが約2750Kである実施例5の多蛍光体ランプに対する発光スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書で用いる場合、用語「ランプ」および「光源」は、実質的に交換可能に用いられて、少なくとも1つの発光要素によって発生させることができる任意の可視光および/または紫外線光の供給源であって、少なくとも1つの発光要素は、作動したときに光放射を伴い、蛍光体、蒸気放電、高輝度放電、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される供給源を指す。用語「総光放射」は、上記で定義したように1つまたは複数の発光要素を有するランプから放出される合計光量を指す。ランプ(たとえば)が1つの発光要素(たとえば、白色発光要素)のみを備える場合でも、このような光放射は用語総光放射の定義に含まれる。ランプが複数の発光要素を備える場合、すべての要素から出る光の組み合わせも、総光放射を構成し得るものの例である。また総光放射は、上記で定義したように1つまたは複数の発光要素を有するランプから放出される合計光量を指しても良く、他のタイプの要素(たとえば、LEDおよび/またはOLED)から出た光をさらに含む。ランプが白熱発光要素を備えていないことは、本発明の好ましい実施形態である。用語「白熱発光要素」は、加熱に起因して光および/または熱放射を発する要素を意味するものと、当業者によって一般的に理解される。これらは、フィラメントを有する良く知られた発光要素を備え、フィラメントは、フィラメントを通る電流によって加熱が生じると白熱する。本発明の実施形態によれば、用語「ランプ」は(これらに限定されないが)蛍光ランプ、放電ランプ、およびそれらの組み合わせなどを含む。
【0013】
本発明の実施形態の一態様においては、第1の蛍光体と第2の蛍光体とを含む蛍光体組成物を有する蛍光体層を備える色品質尺度が向上したランプが提供される。第1の蛍光体は、酸化イットリウム:Eu(Y:Eu)(YEO);3.5MgO*0.5MgF*GeO:Mn4+(MfG);五ホウ酸ガドリニウム亜鉛マグネシウム:Ce,Mn(Gd(Zn,Mg)B10:Ce,Mn)(CBM);ストロンチウム・レッド(Sr,Mg)(PO:Snおよびバナジウム酸イットリウム(Y(V,P)O:Eu)、またはそれらの組み合わせなどから選択することができる。第2の蛍光体は、(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu2+,Mn2+(BAMn);リン酸セリウムランタン(LaPO:Ce,Tb)(LAP);ZnSiO:Mn;(Ce,Tb)MgAl1119(CAT)および(Ce,Tb)(Mg,Mn)Al1119、またはそれらの組み合わせなどから選択することができる。この実施形態によれば、発光要素は蛍光体である。
【0014】
なお前述の蛍光体において、コロンの後の要素は活性剤を表わす。本明細書に記載した任意の色の種々の蛍光体は、異なる要素が括弧内に入れられてコンマによって分離されている可能性がある。たとえば(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu2+,Mn2+蛍光体の場合である。当業者であれば分かるように、表記法(A,B,C)は(A)を示し、0≦x≦1および0≦y≦1および0≦z≦1およびx+y+z=1である。たとえば、(Sr,Ca,Ba)は(SrCaBa)を示し、0≦x≦1および0≦y≦1および0≦z≦1およびx+y+z=1である。通常、しかしいつもとは限らないが、x、y、およびzはすべて非ゼロである。表記法(A,B)は、(A)を示し、0≦x≦1および0≦y≦1およびx+y=1である。通常、しかしいつもとは限らないが、xおよびyは両方とも非ゼロである。
【0015】
一般的に、このような第1の蛍光体は、発光帯の最大値が約590〜約670nmの間にある可能性があり、このような第2の蛍光体は、発光帯の最大値が約500〜約570nmの間にある可能性がある。発光帯の最大値が約430〜約490nmの間にあるさらなる蛍光体を用いても良い。
【0016】
ある実施形態によれば、(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu2+;(Sr,Ba,Ca)(POCl:Eu;SrAl1425:Eu;YAl12:Ce;Ca10(POFCl:Sb,Mn;およびそれらの組み合わせなどからなる群から選択される第3の蛍光体を用いても良い。多くの場合、実施形態によるランプは、Y:Euを含む第1の蛍光体と、(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu2+,Mn2+を含む第2の蛍光体とを有する。このようなランプは、相関色温度として約2000〜約3500ケルビンを、色品質尺度Q値(後で十分に説明する)として約60以上を示す場合がある。
【0017】
本明細書で説明するあるランプは、蛍光体層を保持する内面を有する光透過性ガラス・エンベロープと、エンベロープの内部に密封された放電維持充填ガスとによって構成される場合がある。障壁層がエンベロープと蛍光体層との間に位置していても良い。このような障壁層は通常、アルミナ粒子を含んでいる。多くの場合、放電維持充填ガスは水銀などを含んでいる。
【0018】
本ランプの構造の1つの様式について、図1を参照して説明することができる。図1には、低圧水銀蒸気放電ランプ10を示す。このランプの多くのタイプが当該技術分野において一般的に良く知られている。ランプ10は、光透過性でおそらく直線状かつ円筒状のガラス管またはエンベロープ12を有する。これらは円形断面であっても良い。エンベロープ12の内面に反射性障壁コーティングまたは層14を設けて、光の柔らかさおよび明るさの向上の経時的な維持を図っても良い。障壁層14の内面に蛍光体層16を設けても良い。通常、このような障壁層14はエンベロープ12と蛍光体層16との間にある。本発明の実施形態によれば、ランプ10は、蛍光ランプ、たとえばT12、T10、またはT8ランプとすることができる。これらは、当該技術分野において一般的に知られており、公称上は、48インチまたは4フィートの長さであり、円筒状管であり、公称外径が少なくとも1インチであるか、または外径は1インチもしくは約1インチである。ランプ10を公称上、1.5、2、3、5、6または8フィート長とすることができる。あるいは、ランプ10を、非直線状たとえば円形状または他の場合には曲線状の形状とすることもできるし、公称外径が1インチ未満とすることもできる。たとえばT5、T4、またはT3ランプの公称外径がそれぞれ、約0.625(5/8)インチ、0.5(1/2)インチ、および0.375(3/8)インチである。この代替的な場合では、ランプ10はまた、公称上は1.5、2、3、4、5、6、または8フィート長とすることができ、または電球形蛍光ランプ(CFL)(図2に示す)であっても良い。このランプは、折り畳まれているかまたは巻きつけられたトポロジを有しているため、ランプの全長が、ガラス管の折り畳まれていない長さよりもはるかに短い。
【0019】
別の実施形態においては、ランプは、蛍光またはCFLランプにLED(図には具体的には示さず)を組み合わせたものとすることができる。たとえば、LED発生光と蛍光体発生光との組み合わせを用いて、色コントラストが増大した可視光を生成しても良い。この場合、LEDを蛍光またはCFLランプの基部に取り付けて、可視スペクトルの選択した波長領域(たとえば赤色領域の一部)における光を、ランプのガラス・エンベロープ上にコーティングされた蛍光体組成物から発生する光に加えるかまたは補うことができる。たとえば、蛍光またはCFLランプの基部に取り付けたLEDから、赤色領域における光を発生させることができるため、蛍光体組成物として、赤色蛍光体を用いていないかまたは使用を最小限にしたものを選択することができる。このようなランプは、たとえば、蛍光体の混合物(たとえばYEO、LAP、BAM、およびBAMn)と、ピーク発光が615〜645nm、通常625〜635nm、または約625nm、630nm、もしくは635nmの範囲にある可視光を発生させるLEDとを備えていても良い。混合物における各蛍光体の重量パーセントは一般的に、約64wt%YEO、14wt%LAP、1wt%BAM、および21wt%BAMnとすることができる。蛍光体混合物の蛍光体の個々の重量パーセントは、選択した製造業者または供給業者および使用する具体的なロットに応じて、変化する可能性があることを理解されたい。たとえば、前述した蛍光体重量パーセントは、約±5wt%変化する可能性がある。LEDは、可視スペクトルの赤色領域において発光することが好ましい。たとえば、ゴールデン・ドラゴン(Golden Dragon)(商標)シンフィルム/シンGaN(Thinfilm/ThinGaN)(商標)LED(タイプLRW5SM)(供給元はオスラム(OSRAM)オプト・セミコンダクターズ(Opto Semiconductors))は、発光が約625nmで行なわれ、CFLランプの基部におけるLEDとして用いることができる。前述した蛍光体の混合物とLEDとを含むランプは構成しなかったが、このようなランプの発光スペクトルを計算および推定して、その色コントラストの向上を評価した。図3に、電球形蛍光ランプとして、約64wt%YEO、14wt%LAP、1wt%BAM、および21wt%BAMnの蛍光体混合物と、1つのオスラム・ゴールデン・ドラゴン(商標)LED、タイプLRW5SM(発光ピークは約635nm)とを有する蛍光ランプに対する計算した発光スペクトルを示す。
【0020】
本開示のさらに別の実施形態においては、ランプは蒸気放電または高輝度放電(HID)ランプとすることができる。このようなHIDランプは、たとえば、水銀蒸気、金属ハロゲン化物、低圧ナトリウムまたは高圧ナトリウム・ランプを備えていても良い。HIDランプによる光の発生は、一般的に溶融石英または溶融アルミナ管などの管の内部に配置された2つの電極間に電気アークを発生させることによって行なわれる。管には、一般的に当該技術分野で知られているように、ガスおよび金属が充填されている。ランプを作動させると金属から光が発生する。
【0021】
本開示のさらなる実施形態において、ランプを蒸気放電またはHIDランプとすることができるが、さらにランプ内の1つまたは複数のLEDおよび/またはOLED(有機エレクトロルミネセント装置)から出る光によって補うことができる。
【0022】
本開示の態様によれば、蛍光ランプ10を通常、図1の場合と同様に構成しても良い。ランプ10は、両端に取り付けた基部20によって密閉封止され、電極または電極構造18(アーク放電を起こすため)が、それぞれ基部20上に取り付けられている。放電維持充填物22が、密封されたガラス・エンベロープの内部に与えられている。充填物は、ランプ動作の低蒸気圧法に従って、低圧の不活性ガスまたは不活性ガスを混合したものを通常(いつもとは限らないが)少量の水銀と組み合わせたものであるかまたはそれを含む。
【0023】
充填物中の不活性ガスには、少なくとも1種の希ガス、たとえば(これらに限定されないが)アルゴン、クリプトン、キセノン、およびネオン、またはそれらの組み合わせが含まれる。充填物22(水銀蒸気および不活性ガスを含む)の全圧は、当該技術分野で知られる従来の充填物温度(たとえば25℃)において、0.4〜4トール(より狭くは1〜3、さらにより狭くは1.6〜2.8トール)の範囲であっても良い。
【0024】
一般的なコーティング構造は典型的には、米国特許第1,602,444号明細書に教示される通りである。このコーティング構造は当該技術分野において知られている。‘444特許に開示されるように、障壁層14はガンマおよびアルファ・アルミナ粒子の混合物を含んでおり、好ましくは、5〜80または10〜65または20〜40重量パーセントのガンマ・アルミナと、20〜95または35〜90または60〜80重量パーセントのアルファ・アルミナである。蛍光体層16は、障壁層14の内面上にコーティングされ、好ましくは、塗布量が1〜5または2〜4mg/cmであるか、または他の従来の塗布量である。
【0025】
蛍光体層16は通常、少なくとも2種の蛍光体を混合したものを有する蛍光体組成物を含んでいても良い。他の種類数の蛍光体を含む蛍光体混合物(たとえば3種以上の蛍光体を有する混合物)を、蛍光体層16において用いても良い。
【0026】
すでに述べたように、本発明の実施形態の別の態様においては、色品質尺度が向上したランプであって、蛍光体組成物を含む蛍光体層を備えるランプが提供される。組成物は、少なくとも第1の蛍光体と第2の蛍光体とを含み、第1の蛍光体は発光帯の最大値が約590nm〜約670nmの間にあり、第1の蛍光体は約10〜約90重量パーセントの量で存在する。第2の蛍光体は発光帯の最大値が約500nm〜約570nmの間にあり、第2の蛍光体は約5〜約50重量パーセントの量で存在する。ランプは、Q値が約60よりも大きく、相関色温度が約2000〜約3500ケルビンの間にある。
【0027】
この実施形態においては、第1および第2を、前述した第1および第2の蛍光体の同じリストから選択しても良い。同様に、第3の蛍光体(もしあれば)を、前述した第3の蛍光体の同じリストから選択しても良い。第1の蛍光体をY:Euとし、第2の蛍光体を(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu2+,Mn2+とすると、優位である場合がある。ある場合においては、このランプは、発光帯の最大値が約430〜約490nmの間にある蛍光体を含んでいても良い。最後に、このランプを、前述した蛍光体含有ランプのいずれかに従って構成しても良い。
【0028】
すでに述べたように、本発明の実施形態のさらに別の広い態様においては、作動したときに相関色温度として約2000ケルビン〜約3500ケルビンを示し、色品質尺度が向上したランプが提供される。ランプは、作動したときに光放射を伴う少なくとも1つの発光要素を備えているが、但しランプは白熱発光要素を備えていない。ランプが作動したとき、ランプから発生する光の総光放射のデルタ・クロマ値は、CQSのうちの少なくとも2つの色見本が、VS1に対して−2〜7、VS2に対して−3〜7、およびVS3に対して−7〜7のパラメータ内であり;CQSのうちの少なくとも1つの色見本が、VS4に対して−2〜8、およびVS5に対して−2〜14のパラメータ内であり;CQSのうちの少なくとも2つの色見本が、VS6に対して1〜25、VS7に対して4〜25、およびVS8に対して−1〜15のパラメータ内であり;CQSのうちの少なくとも2つの色見本が、VS9に対して−2〜7、VS10に対して−4〜6、およびVS11に対して−2〜8のパラメータ内であり;CQSのうちの少なくとも1つの色見本が、VS12に対して−1〜8およびVS13に対して−1〜13のパラメータ内であり;CQSのうちの少なくとも1つの色見本が、VS14に対して−7〜13、およびVS15に対して−9〜12のパラメータ内である。デルタ・クロマ値はCIELAB空間において測定する。
【0029】
前述したVS値を有する光を形成することによって、REVEAL(商標)光電球の望ましいスペクトル特性を再現させることが、しかしろ過を行なう必要もろ過方法に付随してルーメン出力を低下させることもなく実現される場合がある。前述したようなランプから出る光は多くの場合に、黄色領域が低下して、赤緑の色コントラストが増大されている。赤緑の色コントラストは、物体が消費者に対して魅力的に見えるように物体を照明するのに有用である。
【0030】
説明として、ランプ自体(このようなランプによって照明される物体とは対照的に)の色の見えは、その色度座標または色座標によって記述される。これらの座標は、(当業者であれば分かるように)標準的な方法に従ってスペクトル・パワー分布から計算することができる。これは以下の文献に従って特定される。CIE、光源の演色特性を測定および特定する方法(Method of measuring and specifying color rendering properties of light sources)(第2版)、出版CIE第13.2(TC−3,2)、CIE中央局、パリ、1974年(CIEは、国際照明委員会、または、Commission Internationale d'Eclairageである)。CIE標準色度図は、xおよびy座標を有する2次元グラフである。この標準的な図表には、種々の温度における黒体放射器の色点が含まれている。x、y図表上での黒体色度の軌跡は、プランク軌跡として知られている。この軌跡上の点が示す任意の発光源を、色温度によって、ケルビン単位を用いて特定しても良い。このプランク軌跡の付近だがその上にはない点を、相関色温度(CCT)によって特徴付けることができる。なぜならば、このような点から線を引いてプランク軌跡と交差させることを、すべての点が平均的な人間の目に対してほぼ同じ色を有するように見える色温度において行なうことができるからである。したがって、要約して言えば、ランプを、少なくとも部分的には色座標およびCCTの観点から特徴付けることができる。
【0031】
開示の実施形態においては、前述したタイプのランプのいずれも、本発明のデルタ・クロマ値に従うように構成されるならば、色コントラストの増大または向上を示す。ランプにおいて発光要素を混合することによって、物体が魅力的に見えるように物体を照明するのに有用な光が得られる。本開示の実施形態によるランプは、1つの発光要素を備えていても良いし、発光要素の混合物を備えていても良い。どちらの場合でも、色コントラストが増大した光が発生する。
【0032】
特に、光の色コントラストを、そのデルタ・クロマ(Δクロマ)値(後述する)が、色品質尺度(CQS)において用いる色見本のそれぞれに対してあるパラメータ内に含まれるように特徴付ける。この尺度についても以下でさらに説明する。用語を本明細書で用いる場合、「クロマ」値はCIELAB空間において測定する。クロマ値は、従来の技術により、たとえばCIEラボ色空間において計算することができる。たとえば、CIE1976a、bクロマ値は、当業者に良く知られているように、C*ab=[(a*)+(b*)1/2として計算され、この分野における標準的なハンドブック、たとえば北米照明学会照明ハンドブック(ISBN−10:0−87995−150−8)に見られる場合がある。
【0033】
CQSは、米国標準技術局(NIST)によって開発されたものであり、15のマンセル色見本を用いて、光源によって照明される物体の色の様相を評価するものであり、たとえばより良く知られている演色評価数(CRI)を用いて同じ様に行なわれるものである。次に、より古いCRIシステムでは、14の標準色見本(R〜R14または一般的にRで示す)を用いて演色を評価する。通常、CRIによる演色の得点が報告されるとき、それは「平均演色評価数」(Raと呼ばれる)である。「平均演色評価数」は、最初の8つの見本のみに対するR値の平均値であり、8つの見本はすべて低〜中間の色調飽和度である。しかし、物体色を測定するCRIシステムはいくつかの不利を被る。たとえば、色空間の赤色領域は不均一であり、Raを計算するために用いる8つの色見本はそれほど飽和していない。飽和色の演色は、Ra値が高い場合であっても非常に不十分である可能性がある。言い換えれば、非常に高い値のRaに従ってランプのスペクトルを最適化する場合があるけれども、実際の演色ははるかにより不十分である。8つの色見本を単純に平均化してRa値を得るため、ランプは、1つまたは2つの色の表現が非常に不十分であっても、高得点を得る可能性がある。この問題が生じるのは、Raを計算するために用いる高い色調飽和度の見本の数が少なすぎるからである。
【0034】
CQSは、CRIシステムのこれらの不利を打開している。そのため、本開示の実施形態により、物体色の様相を評価するシステムとして用いている。CQSシステムでは、全部で15の色見本の色の見えを取り入れる全体的なQ値を用いる。色見本はすべて、色調飽和度が比較的高く、色空間において実質的に一様に分配されている。Q値は一般的に、15の色見本のそれぞれに対する個々のCQS値の平均値に対応する。Q値の計算は、以下の文献により十分に記載されている。W.デイビス(Davis)およびY.オオノ(Ohno)「演色計量の向上に向けて」SPIE第5回固体照明国際会議(SPIE Fifth International Conference on Solid State Lighting)会議記録、5941、2005年。なおこの文献の全体の内容は、本明細書において参照により取り入れられている。
【0035】
NISTが設定したように、CQSでは、表1に示す色相値およびクロマを有する15の飽和したマンセル色見本(しばしばカラー「チップ」と言われる)からなる標準的な組を用いる。
【0036】
【表1】


これらの値(色相値/クロマ)は、CQSの15のマンセル色見本にそれぞれ対応する。これらの色見本は、VS1からVS15(両端を含む)として標示される(すなわち、VS1〜VS15)。言い換えれば、VS1は第1の標準的なマンセル色見本に対応し、VS2は第2のマンセル色見本に対応する等である。色相ラベルの記述は以下の通りである。「P」は紫色、「PB」は紫青色、「B」は青色、「BG」は青緑色、「G」は緑、「GY」は緑黄色、「Y」は黄色、「YR」は黄赤色、「R」は赤色、および「RP」は赤紫色である。
【0037】
CQSは通常、以下の方法で用いる。ランプ(または他の光源)から発生する光は、各カラー・チップに対するクロマ値を、光に対するある特定の相関色温度(CCT)および特定の色点(または色度座標)において有する。これらのクロマ値を次に、基準供給源を用いて発生させた各カラー・チップに対するクロマ値の基準組と比較する。その基準供給源は、色温度および同じ色点(色度座標)が両方とも対象光源と同じであるプランクの黒体放射である。対象とするランプまたは光源による照明下での各カラー・チップに対するデルタ・クロマ(Δクロマ)値は、ランプまたは光源のクロマ値と基準供給源クロマ値との間の算術差である。
【0038】
実施形態によれば、望ましいデルタ・クロマ(Δクロマ)値が、本発明のランプが放出する光に対して存在する。デルタ・クロマ値は、色知覚を識別すること、および本明細書で説明するランプまたは光源の色コントラストの増大を評価することにとって有用である。デルタ・クロマ値を用いて、本開示の実施形態によるランプを選択し、作製し、および/または評価することができる。
【0039】
開示のより広い実施形態において、前述したランプのいずれかを、約2000K〜約3500KのCCTにおいて、表2に示す望ましいデルタ・クロマ値を示すように構成しても良い。なおCCTに対する他の可能な値には、約2000K〜約3000(または3250K)およびおそらく約2500〜約3000Kの範囲が含まれる。
【0040】
【表2】





開示のより狭い実施形態においては、前述のランプのいずれかを、約2000K〜約3500KのCCTにおいて、表3に示す望ましいデルタ・クロマ値を示すように構成しても良い。
【0041】
【表3】



前述のVS値を示す実施形態に対しては、ランプは、蛍光体層内に存在する発光要素(たとえば蛍光体または2種以上の蛍光体の混合物)を備えていても良い。2種以上の蛍光体を用いる場合、第1および第2を、前述した第1および第2の蛍光体の同じリストから選択しても良い。このような第1の蛍光体は、発光帯の最大値が約590nm〜約670nm(たとえば、600〜630nm、または605〜620nm)の間にあっても良く、このような前記第2の蛍光体は、発光帯の最大値が約500nm〜約570nm(たとえば、520〜560nm、または535〜555nm)の間にあっても良い。
【0042】
同様に、第3の蛍光体(もしあれば)を、前述した第3の蛍光体の同じリストから選択しても良い。第1の蛍光体をY:Euとし、第2の蛍光体を(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu2+,Mn2+とすると、優位である場合がある。ある場合には、このランプは、発光帯の最大値が約430〜約490nmの間にある蛍光体を含んでいても良い。最後に、このランプを、前述した蛍光体含有ランプのいずれかに従って構成しても良い。
【0043】
好ましくは、第1の蛍光体は、重量パーセントが約10〜約90wt%、好ましくは20〜80wt%、および好ましくは25〜75wt%である。好ましくは、第2の蛍光体は、重量パーセントが約5〜約50wt%、好ましくは10〜40wt%、および好ましくは15〜30wt%である。重量パーセントは、本明細書で用いる場合、蛍光体組成物の全重量に基づく。蛍光体混合物によって、特定の波長における放射(たとえばUV源から放出されるピークが約250〜500nmの放射)が、異なる波長の可視光に変換されることが理解される。図4、5、および6に、本発明のランプ10に対する典型的な発光スペクトルを示す。
【0044】
蛍光体層の蛍光体組成物において用いる個々の蛍光体材料量は、所望の色スペクトルおよび/または色温度に応じて変化する。蛍光体材料の相対量は、そのスペクトル重みによって記述することができる。すなわち、スペクトル重みは、各蛍光体材料から全体の発光スペクトルに供給される量である。同様の発光スペクトルを有する他の蛍光体化合物を、本明細書で説明した蛍光体組成物中で用いても良いことを当業者であれば分かることを理解されたい。蛍光体層16を構成する各蛍光体の重量パーセントは、所望の光出力の特性に応じて変化しても良い。
【0045】
本発明のさらなる理解を促進するために、以下の実施例を示す。これらの例は、例として示すものであり、限定ではない。
【実施例1】
【0046】
T8蛍光ランプを、以下のもの以外は従来の手順に従って構成した。すなわち蛍光体層が、酸化イットリウム:Eu(Y:Eu)(YEO);(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu2+(BAM)および(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu2+,Mn2+(BAMn)を含んでいた。蛍光体の重量パーセント(蛍光体の全重量に基づく)はそれぞれ、74.6wt%、0.9wt%、および24.5wt%であった。ランプは、ガラス・エンベロープと蛍光体層との間に障壁層を備えていた。図4に、この実施例のランプに対する発光スペクトルを示す。
【0047】
作動したとき、ランプから発生した光のデルタ・クロマ値は、CQSシステムの15の色見本のそれぞれに対して、以下の通りであった(デルタ・クロマ値/CQS色見本)。−1.1/VS1;3.7/VS2;−4.5/VS3;4.2/VS4;10.6/VS5;18.6/VS6;22/VS7;7.6/VS8;−1/VS9;2.5/VS10;1.4/VS11;4.7/VS12;8.1/VS13;−2.2/VS14および−5.6/VS15。ランプは、色度座標(x,y)として0.446および0.391、動作ルーメン/ワット(L/w)値として約76、Q値として66を、約2750のCCTにおいて示した。
【0048】
発生した光に対するクロマ値は、CIELAB空間において測定したときに、15の色見本のそれぞれに対して以下の通りであった。32.38/VS1;39.27/VS2;44.68/VS3;54.76/VS4;55.17/VS5;62.88/VS6;68.89/VS7;54.18/VS8;59.96/VS9;79.03/VS10;77.85/VS11;78.27/VS12;75.71/VS13;66.36/VS14および43.44/VS15。基準供給源に対するクロマ値は、CIELAB空間において測定したときに、15の色見本のそれぞれに対して、以下の通りであった。33.45/VS1;35.53/VS2;49.21/VS3;50.54/VS4;44.53/VS5;44.23/VS6;46.86/VS7;46.59/VS8;60.98/VS9;76.53/VS10;76.41/VS11;73.59/VS12;67.58/VS13;68.51/VS14および49.07/VS15。前記のデルタ・クロマ値は、基準供給源クロマ値と試験ランプに対して測定したクロマ値との間の差を表している。以下の実施例に関しては、デルタ・クロマ値をこの実施例の場合と同じ方法で計算した。
【実施例2】
【0049】
T8蛍光ランプを、以下のもの以外については従来の手順に従って構成した。すなわち蛍光体層が、3.5MgO*0.5MgF*GeO;Mn4+(MfG);酸化イットリウム:Eu(Y:Eu)(YEO);(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu2+(BAM);(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu2+,Mn2+(BAMn)およびリン酸セリウムランタン(LaPO:Ce,Tb)(LAP)を含んでいた。蛍光体の重量パーセントはそれぞれ、19.44wt%、52.24wt%、1.43wt%、12.37wt%、および14.52wt%であった。ランプは、ガラス・エンベロープと蛍光体層との間に障壁層を備えていた。図5に、この実施例のランプに対する発光スペクトルを示す。
【0050】
作動したとき、ランプから発生した光のデルタ・クロマ値は、CQSシステムの15の色見本のそれぞれに対して以下の通りであった(デルタ・クロマ値/CQS色見本)。2.8/VS1;4.2/VS2;−4.2/VS3;−1.3/VS4;3.1/VS5;9.1/VS6;13.8/VS7;8/VS8;4.3/VS9;4.6/VS10;0.6/VS11;2.5/VS12;5.7/VS13;2/VS14および−0.1/VS15。ランプは、色度座標(x,y)として0.444および0.396、動作ルーメン/ワット(L/w)値として約66、Q値として79を、約2840のCCTにおいて示した。
【実施例3】
【0051】
T8蛍光ランプを、以下のもの以外については従来の手順に従って構成した。すなわち蛍光体層が、3.5MgO*0.5MgF*GeO:Mn4+(MfG);酸化イットリウム:Eu(Y:Eu)(YEO);(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu2+(BAM)および(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu2+,Mn2+(BAMn)を含んでいた。蛍光体の重量パーセントはそれぞれ、23.88wt%、57.44wt%、1.13wt%、および17.56wt%であった。ランプは、ガラス・エンベロープと蛍光体層との間に障壁層を備えていた。
【0052】
作動したとき、ランプから発生した光のデルタ・クロマ値は、CQSシステムの15の色見本のそれぞれに対して以下の通りであった(デルタ・クロマ値/CQS色見本)。2/VS1;5.3/VS2;−3.2/VS3;6.4/VS4;13.1/VS5;21.9/VS6;27/VS7;11.9/VS8;3/VS9;10/VS10;7.8/VS11;9.4/VS12;11.7/VS13;5.6/VS14および0.2/VS15。ランプは、色度座標(x,y)として0.47および0.385、動作ルーメン/ワット(L/w)値として約65、Q値として65を、約2430のCCTにおいて示した。
【実施例4】
【0053】
T8蛍光ランプを、以下のもの以外については従来の手順に従って構成した。すなわち蛍光体層が、3.5MgO*0.5MgF*GeO:Mn4+(MfG);酸化イットリウム:Eu(Y:Eu)(YEO);(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu2+(BAM)および(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu2+,Mn2+(BAMn)を含んでいた。蛍光体の重量パーセントはそれぞれ、26.29wt%、54.41wt%、0.89wt%、および18.41wt%であった。ランプは、ガラス・エンベロープと蛍光体層との間に障壁層を備えていた。
【0054】
作動したとき、ランプから発生した光のデルタ・クロマ値は、CQSシステムの15の色見本のそれぞれに対して以下の通りであった(デルタ・クロマ値/CQS色見本)。4.4/VS1;3/VS2;−4.5/VS3;7.7/VS4;16/VS5;24.9/VS6;29.1/VS7;10.2/VS8;−2.7/VS9;1.4/VS10;2.2/VS11;6.6/VS12;11.6/VS13;10.2/VS14および6.4/VS15。ランプは、色度座標(x,y)として0.455および0.397、動作ルーメン/ワット(L/w)値として約58、Q値として63を、約2780のCCTにおいて示した。
【実施例5】
【0055】
T8蛍光ランプを、以下のもの以外については従来の手順に従って構成した。すなわち蛍光体層が、3.5MgO*0.5MgF*GeO:Mn4+(MfG);酸化イットリウム:Eu(Y:Eu)(YEO);五ホウ酸ガドリニウム亜鉛マグネシウム:Ce,Mn(Gd(Zn,Mg)B10:Ce,Mn(CBM)および(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu2+,Mn2+(BAMn)を含んでいた。蛍光体の重量パーセントはそれぞれ、14wt%、26wt%、40.5wt%、および19.5wt%であった。ランプは、ガラス・エンベロープと蛍光体層との間に障壁層を備えていた。図6に、この実施例のランプに対する発光スペクトルを示す。
【0056】
作動したとき、ランプから発生した光のデルタ・クロマ値は、CQSシステムの15の色見本のそれぞれに対して以下の通りであった(デルタ・クロマ値/CQS色見本)。4.6/VS1;3.5/VS2;−5.7/VS3;4.1/VS4;11.7/VS5;20.1/VS6;24.2/VS7;8.8/VS8;−1.8/VS9;0.4/VS10;−0.1/VS11;4.2/VS12;9/VS13;7.5/VS14および4.7/VS15。ランプは、色度座標(x,y)として0.448および0.397、動作ルーメン/ワット(L/w)値として約52、Q値として64を、約2760のCCTにおいて示した。
【実施例6】
【0057】
T3らせん状の電球形蛍光ランプを、以下のもの以外については従来の手順に従って構成した。すなわち蛍光体層が、酸化イットリウム:Eu(Y:Eu)(YEO)および(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu2+,Mn2+(BAMn)を含んでいた。対応する蛍光体の重量パーセント(蛍光体の全重量に基づく)は、78.8wt%および21.2wt%であった。作動したとき、ランプから発生した光のデルタ・クロマ値は、CQSシステムの15の色見本のそれぞれに対して以下の通りであった(デルタ・クロマ値/CQS色見本)。0.3/VS1;5.0/VS2;−6.4/VS3;−0.5/VS4;4.9/VS5;12.4/VS6;16.8/VS7;7.2/VS8;1.5/VS9;3.4/VS10;0.1/VS11;2.5/VS12;5.5/VS13;−5.3/VS14および−7.8/VS15。ランプは、色度座標(x,y)として0.4572および0.4012、動作ルーメン/ワット(L/w)値として約65、Q値として69を、約2660のCCTにおいて示した。
【0058】
本明細書で用いる場合、近似言語を適用して、関連する基本機能に変化を起こすことなく変化し得る任意の定量的な表現を変更しても良い。したがって、「約」および「実質的に」などの用語によって変更される値を、場合によっては、特定される正確な値に限定しなくても良い。数量と関連して用いる修飾語「約」は、記載した値を含むものであり、文脈によって決定される意味を持つ(たとえば、特定の数量の測定値に付随する誤差の程度が含まれる)。「任意的な」または「任意的に」の意味は、その後に記載される事象もしくは状況が起きても起きなくても良いということ、またはその後に識別される材料が存在していてもいなくても良いということ、および記載には、事象もしくは状況が起こるかまたは材料が存在する場合と、事象もしくは状況が起こらないかまたは材料が存在しない場合とが含まれるということである。単数形「a」、「an」、および「the」には、他の場合に文脈によって明らかに決定される場合を除いて、複数の指示対象が含まれる。本明細書に開示した範囲はすべて、説明した端点を含み、独立に結合可能である。前述の説明において、好ましい範囲たとえば5から25(または5〜25)が与えられたとき、これは、好ましくは少なくとも5かつ、別個におよび独立に、好ましくは25以下を意味する。
【0059】
本発明を、限られた数の実施形態のみに関連して詳細に説明してきたが、本発明は、このような開示された実施形態に限定されないことが容易に理解されるはずである。むしろ本発明を変更して、これまで説明していないが本発明の趣旨および範囲に対応する任意の数の変形、変更、代用、または等価な配置を取り入れることができる。さらに、本発明の種々の実施形態について説明してきたが、本発明の態様には、説明した実施形態の一部のみが含まれる場合があることを理解されたい。したがって、本発明は、前述の説明によって限定されると考えるべきではなく、添付の請求項の範囲のみによって限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
色品質尺度が向上したランプであって、前記ランプは、蛍光体組成物を含む蛍光体層を備え、前記組成物は少なくとも第1の蛍光体と第2の蛍光体とを含み、前記第1の蛍光体は、Y:Eu;3.5MgO*0.5MgF*GeO:Mn4+;Gd(Zn,Mg)B10:Ce,Mn;(Sr,Mg)(PO:Sn;Y(V,P)O:Eu;およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、前記第2の蛍光体は、(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu2+,Mn2+;LaPO:Ce,Tb;ZnSiO:Mn;(Ce,Tb)MgAl1119;(Ce,Tb)(Mg,Mn)Al1119;およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるランプ。
【請求項2】
前記第1の蛍光体は、発光帯の最大値が約590〜約670nmの間にある請求項1に記載のランプ。
【請求項3】
前記第2の蛍光体は、発光帯の最大値が約500〜約570nmの間にある請求項1に記載のランプ。
【請求項4】
前記組成物は、発光帯の最大値が約430〜約490nmの間にある蛍光体をさらに含む請求項1に記載のランプ。
【請求項5】
前記蛍光体組成物は、(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu2+;(Sr,Ba,Ca)(POCl:Eu;SrAl1425:Eu;YAl12:Ce;Ca10(POFCl:Sb,Mn;およびそれらの組み合わせからなる群から選択される第3の蛍光体をさらに含む請求項1に記載のランプ。
【請求項6】
前記第1の蛍光体はY:Euであり、前記第2の蛍光体は(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu2+,Mn2+である請求項1に記載のランプ。
【請求項7】
前記ランプは、作動したときに、相関色温度として約2000〜約3500ケルビンを、色品質尺度Q値として約60以上を示す請求項1に記載のランプ。
【請求項8】
内面を有する光透過性ガラス・エンベロープ、前記エンベロープの内部に密封された放電維持充填ガス、および前記エンベロープと前記蛍光体層との間に位置する障壁層をさらに備え、前記障壁層はアルミナ粒子を含む請求項1に記載のランプ。
【請求項9】
放電維持充填ガスは水銀を含む請求項1に記載のランプ。
【請求項10】
色品質尺度が向上したランプであって、前記ランプは、蛍光体組成物を含む蛍光体層を備え、前記組成物は少なくとも第1の蛍光体と第2の蛍光体とを含み、前記第1の蛍光体は、発光帯の最大値が約590nm〜約670nmの間にあり、前記第1の蛍光体は、約10〜約90重量パーセントの量で存在し、前記第2の蛍光体は、発光帯の最大値が約500nm〜約570nmの間にあり、前記第2の蛍光体は、約5〜約50重量パーセントの量で存在し、前記ランプは、Q値が約60よりも大きく、相関色温度が約2000〜約3500ケルビンの間にあるランプ。
【請求項11】
前記第1の蛍光体は、Y:Eu;3.5MgO*0.5MgF*GeO:Mn4+;Gd(Zn,Mg)B10:Ce,Mn;(Sr,Mg)(PO:Sn;Y(V,P)O:Eu;およびそれらの組み合わせからなる群から選択される請求項10に記載のランプ。
【請求項12】
前記第2の蛍光体は、(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu2+,Mn2+;LaPO:Ce,Tb;ZnSiO:Mn;(Ce,Tb)MgAl1119;(Ce,Tb)(Mg,Mn)Al1119;およびそれらの組み合わせからなる群から選択される請求項10に記載のランプ。
【請求項13】
記第1の蛍光体はY:Euであり、前記第2の蛍光体は(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu2+,Mn2+である請求項10に記載のランプ。
【請求項14】
前記組成物は、発光帯の最大値が約430〜約490nmの間にある蛍光体をさらに含む請求項10に記載のランプ。
【請求項15】
前記組成物は、Y:Eu;3.5MgO*0.5MgF*GeO:Mn4+;Gd(Zn,Mg)B10:Ce,Mn;(Sr,Mg)(PO:Sn;Y(V,P)O:Eu;(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu2+,Mn2+;LaPO:Ce,Tb;ZnSiO:Mn;(Ce,Tb)MgAl1119;(Ce,Tb)(Mg,Mn)Al1119;(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu2+;(Sr,Ba,Ca)(POCl:Eu;SrAl1425:Eu;YAl12:Ce;Ca10(POFCl:Sb,Mn;およびそれらの組み合わせからなる群から選択される第3の蛍光体をさらに含む請求項10に記載のランプ。
【請求項16】
内面を有する光透過性ガラス・エンベロープ、前記エンベロープの内部に密封された放電維持充填ガス、および前記エンベロープと前記蛍光体層との間に位置する障壁層をさらに備え、前記障壁層はアルミナ粒子を含む請求項10に記載のランプ。
【請求項17】
作動したときに、相関色温度として約2000ケルビン〜約3500ケルビンを示し、色品質尺度が向上したランプであって、前記ランプは、作動したときに光放射を伴う少なくとも1つの発光要素を備え、前記ランプが作動したときに、前記ランプから発生する光の総光放射のデルタ・クロマ値は、CQSのうちの少なくとも2つの色見本が、VS1に対して−2〜7;VS2に対して−3〜7;VS3に対して−7〜7のパラメータ内であり、CQSのうちの少なくとも1つの色見本が、VS4に対して−2〜8;VS5に対して−2〜14のパラメータ内であり、CQSのうちの少なくとも2つの色見本が、VS6に対して1〜25;VS7に対して4〜25;VS8に対して−1〜15のパラメータ内であり、CQSのうちの少なくとも2つの色見本が、VS9に対して−2〜7;VS10に対して−4〜6;VS11に対して−2〜8のパラメータ内であり、CQSのうちの少なくとも1つの色見本が、VS12に対して−1〜8;VS13に対して−1〜13のパラメータ内であり、CQSのうちの少なくとも1つの色見本が、VS14に対して−7〜13;VS15に対して−9〜12のパラメータ内であり、前記デルタ・クロマ値はCIELAB空間において測定され、但しランプは白熱発光要素を備えていないランプ。
【請求項18】
前記少なくとも1つの発光要素は、蛍光体、蒸気放電、または高輝度放電のうちの1つである請求項17に記載のランプ。
【請求項19】
前記ランプは、OLEDおよびLEDの1つまたは複数によって補われる蛍光ランプ、蒸気放電ランプ、またはHIDランプの組み合わせである請求項17に記載のランプ。
【請求項20】
前記ランプは、光透過性エンベロープと、前記エンベロープの内部に密封された充填ガスとを備える蛍光またはCFLランプであり、前記発光要素のうちの少なくとも1つは蛍光体である請求項17に記載のランプ。
【請求項21】
前記ランプは、蛍光体組成物を含む蛍光体層を備え、前記組成物は少なくとも2種の異なる蛍光体を含む請求項20に記載のランプ。
【請求項22】
前記蛍光体組成物は少なくとも第1の蛍光体と第2の蛍光体とを含み、前記第1の蛍光体は、Y:Eu;3.5MgO*0.5MgF*GeO:Mn4+;Gd(Zn,Mg)B10:Ce,Mn;(Sr,Mg)(PO:Sn;Y(V,P)O:Eu、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、前記第2の蛍光体は、(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu2+,Mn2+;LaPO:Ce,Tb;ZnSiO:Mn;(Ce,Tb)MgAl1119;(Ce,Tb)(Mg,Mn)Al1119;およびそれらの組み合わせからなる群から選択される請求項21に記載のランプ。
【請求項23】
前記蛍光体混合物は、(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu2+;(Sr,Ba,Ca)(POCl:Eu;SrAl1425:Eu;YAl12:Ce;Ca10(POFCl:Sb,Mn、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される第3の蛍光体をさらに含む請求項22に記載のランプ。
【請求項24】
前記第1の蛍光体は、発光帯の最大値が約590nm〜約670nmの間にあり、前記第2の蛍光体は、発光帯の最大値が約500nm〜約570nmの間にある請求項22に記載のランプ。
【請求項25】
前記第1の蛍光体は、約10〜約90重量パーセントの量で存在し、前記第2の蛍光体は、約5〜約50重量パーセントの量で存在する請求項22に記載のランプ。
【請求項26】
前記ランプは、作動したときに、色品質尺度Q値として約60以上を示す請求項17に記載のランプ。
【請求項27】
前記発光要素のうちの少なくとも1つは蛍光体であり、前記ランプが作動したときに、前記ランプから発生する光の総光放射のデルタ・クロマ値は、CQSのうちの少なくとも2つの色見本が、VS1に対して0〜6;VS2に対して−1〜6;VS3に対して−5〜5のパラメータ内であり、CQSのうちの少なくとも1つの色見本が、VS4に対して0〜5;VS5に対して0〜10のパラメータ内であり、CQSのうちの少なくとも2つの色見本が、VS6に対して3〜20;VS7に対して6〜20;VS8に対して2〜10のパラメータ内であり、CQSのうちの少なくとも2つの色見本が、VS9に対して0〜5;VS10に対して0〜5;VS11に対して0〜5のパラメータ内であり、CQSのうちの少なくとも1つの色見本が、VS12に対して0〜6;VS13に対して0〜10のパラメータ内であり、CQSのうちの少なくとも1つの色見本が、VS14に対して−6〜10;VS15に対して−8〜10のパラメータ内である請求項17に記載のランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−501776(P2011−501776A)
【公表日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−530027(P2010−530027)
【出願日】平成20年10月7日(2008.10.7)
【国際出願番号】PCT/US2008/079034
【国際公開番号】WO2009/051983
【国際公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】