説明

色付けされた高Dk眼科用成形品及び同成形品の製造方法

【課題】眼科用成形配合物及び色付けされた高Dk眼科用成形品、また、色付けされた眼科用レンズ成形品を製造する方法に関し、色付けされた眼科用成形品、特に、改善された性質を有する端から端まで軟質で色付けされたコンタクトレンズを改善された効率で調製する。
【解決手段】この方法は、(a)架橋性又は重合性の基を有するポリマー前駆体を用意することと、(b)無機又は有機顔料及び分散剤を含む顔料分散系を用意することと、(c)顔料分散系をポリマー前駆体と混合して色付けされたプレポリマー混合物を形成することと、(d)色付けされたプレポリマー混合物を型に計量供給することと、(e)色付けされたプレポリマー混合物から、その中に捕らえられた顔料を有するポリマーマトリックスを含む色付けされた眼科用成形品を形成することとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、広くは、光学技術及び眼科技術に関する。より具体的には、本発明は、色付けされたポリマー材料、色付けされた眼科用成形品、及び色付けされた眼科用成形品を製造するのに有用な方法に関する。さらに具体的には、本発明は、高Dkの可視性(「全体」又は「端から端まで」)色付けされたコンタクトレンズを製造するための組成物及び方法に関する。
【0002】
発明の背景
1.高Dk眼科用成形品
眼科用成形品の分野、特にコンタクトレンズの分野で、生体適合性レンズとは、一般に、接触期間中、周囲の眼組織を及び眼性液を実質的に損傷しないレンズと定義することができる。“ophthalmically compatible”(「眼科用に適合性」)が、眼科用レンズの生体適合性要件をより適切に記述する。
【0003】
コンタクトレンズにとっての一つの眼科用適合性要件は、レンズが、長期的な角膜の健康にとって十分である量の酸素を角膜に到達させなければならないということである。角膜は、他の組織のように血液供給から酸素を受けることはないため、コンタクトレンズは、周囲の空気から酸素を角膜に到達させなければならない。十分な酸素が角膜に到達しないならば、角膜腫脹が起こる。長期間の酸素欠乏は、望ましくない、角膜中の血管の成長を引き起こす。「ソフト」コンタクトレンズは眼の形状に忠実に適合するため、酸素がレンズを避けて通ることは容易ではない。したがって、ソフトコンタクトレンズは、酸素をレンズ中に拡散させて角膜に到達させなければならない。
【0004】
高い酸素透過係数を有し、眼の上で動く剛性ガス透過性(「RGP」)コンタクトレンズが存在するが、RGPレンズは通常、消費者にとって非常に不快である。したがって、ソフトコンタクトレンズが、その快適さのため、多くの消費者によって好まれている。そのうえ、1日以上の期間連続装用することができる(就寝時間中の装用をも含む)コンタクトレンズは、ポピュラーな長期装用の候補としてRGPレンズを排除する快適さレベルを要求する。
【0005】
毎日装用するソフトコンタクトレンズを設計する際に眼科用適合性要件と消費者の快適さ要件とをバランスさせるため、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)のポリマー及びコポリマーが開発された。これらの親水性ポリマーは眼の上でよく動き、毎日装用するのに十分な酸素透過係数を提供する。特定のソフトコンタクトレンズは、約6夜7日までの長期装用期間がFDAによって認められている。しかし、これらのポリ(HEMA)レンズは、酸素透過係数が不十分であるため、消費者が7日以上の長期間、安全かつ快適に装用することはできない。これらのレンズの真の長期装用(すなわち7日以上)は、最低でも、角膜腫脹及び角膜中の表面血管の発達を生じさせるおそれがある。
【0006】
酸素透過係数を改善するため、シリコーン基を含有するポリマーが開発された。高い酸素透過係数(高Dk)を有するとして多様なシロキサン含有ポリマーが開示されている。たとえば、米国特許第3,228,741号、第3,341,490号、第3,996,187号及び第3,996,189号を参照されたい。
【0007】
2.色付けされた眼科用成形品
多数の染料が多様な理由で眼科用成形品、たとえばコンタクトレンズに組み込まれてきた。二つのポピュラーなタイプの染料は、紫外線(UV)吸収剤を含む。染料をコンタクトレンズに組み込む一つの一般的な理由は、装用者の虹彩の見かけの視認色を変化させるレンズを製造するためである。レンズを染めるもう一つの理由は、使用者が、レンズ貯蔵、消毒又は洗浄容器内の透明な液の中でもレンズを容易に見つけられるようにすることである。この目的でレンズを染めることは、レンズを「可視性色付け」するためである。
【0008】
可視性色付けは、表面の一部に染料を適用することにより、又はレンズの前面全体に染料を適用することにより、達成することができる。あるいはまた、色は、レンズのポリマーマトリックスの本体全体に組み込むこともできる。コンタクトレンズを色付けする、又は装用者の虹彩の色を変化させるコンタクトレンズを製造することに関する特許及び公開特許出願は数多くある。しかし、これらの方法は、たとえば色付けに使用されるレンズ材料のタイプ、生産効率及び/又は得られる製品の品質に関してまだ完全に満足であるとはいえない。
【0009】
したがって、眼組織及び涙液との短期間及び長期間の連続接触に適した、眼科用に適合性があり、可視性色付けされた透明なポリマーレンズ材料の要求が残る。加えて、改良された、可視性色付けされた、すなわち全体を端から端まで色付けされたコンタクトレンズを、インライン製造工程を最少にすることによって改善された効率で製造する方法の要求が未だ存在する。また、反応性染料の使用ならびに未結合の染料、活性剤及び反応副生成物を除去するために必要な対応する湿式処理を必要としない、レンズを色付け又は着色する方法に対する要求が残る。
【0010】
そのうえ、たとえば高い酸素透過係数、機械的強度の増大、レンズ材料からの染料又は顔料の滲出又は移染の減少及び光重合中にUV光に暴露される間の色保持に関して改善された性質を有する色付けされた眼科用レンズに対する要求がある。
【0011】
発明の概要
本発明の目的にしたがって、本明細書で具現化し、広く記載するように、本発明は、一つの態様で、高い酸素透過係数を有するポリマーマトリックス、好ましくは、ポリシロキサンを含み、高い酸素透過係数を有するポリマーマトリックスと、その中に組み込まれた顔料とを含む軟質で色付けされた眼科用成形品に関する。
【0012】
もう一つの態様では、本発明は、(i)高い酸素透過係数を有するポリマー又はコポリマーを形成することができる架橋性又は重合性材料と、(ii)顔料及び分散剤を含む顔料分散系との反応生成物を含む軟質で色付けされた眼科用レンズに関する。
【0013】
さらに別の態様では、本発明は、(i)高い酸素透過係数を有するポリマー又はコポリマーを形成することができる架橋性又は重合性材料、好ましくはシロキサン含有マクロマーを含む重合性材料と、(ii)顔料及び分散剤を含む顔料分散系とを含む軟質で色付けされた眼科用レンズを製造するための組成物に関する。
【0014】
もう一つの態様では、本発明は、(a)高い酸素透過係数を有するポリマー又はコポリマーを形成することができるポリマー前駆体、好ましくは、高い酸素透過係数を有するポリマー又はコポリマーを形成することができる、シロキサン含有マクロマーを含むポリマー前駆体を用意することと、(b)顔料及び分散剤を含む顔料分散系を用意することと、(c)顔料分散系とポリマー前駆体とを混合して色付けされたプレポリマー混合物を形成することと、(d)色付けされたプレポリマー混合物を型に計量供給することと、(e)色付けされたプレポリマー混合物を型の中で架橋又は重合させて、ポリマーマトリックス及びその中にとり込む顔料を含む、高い酸素透過係数を有する軟質で色付けされた眼科用成形品を形成することと
を含む軟質で色付けされた眼科用成形品を製造する方法に関する。
【0015】
本発明のさらなる利点は、一部は以下の詳細な説明で述べられ、一部はその詳細な説明から明らかになるか、本発明の実施によって学習することができる。本発明の利点は、請求の範囲で特に指摘する要素及び組み合わせによって実現され、達成される。前記概説及び以下の詳細な説明の双方は、本発明の好ましい実施態様を例示し、説明するものであり、請求項に係る本発明を限定するものではないことが理解されよう。
【0016】
発明の詳細な説明
本発明は、以下の発明の詳細な説明及びその中で提示される例を参照することによってより容易に理解することができる。ポリマー及びポリマー配合物を処理するための具体的な方法及び/又は方法条件ならびにパラメータはそれ自体、もちろん変化するため、本発明は、記載された特定の方法及び条件及びパラメータに限定されないということが理解されよう。また、本明細書で使用する術語は、特定の実施態様を説明するためだけに使用され、限定を加えることを意図しないということが理解されよう。さらに、請求の範囲を含む本明細書で使用される単数形は、文脈が明らかに他義を指図しない限り、複数の参照対象をも含むということが留意されなければならない。
【0017】
本明細書中、範囲は、ある特定の「約」又は「およその」数値から及び/又は別の特定の「約」又は「およその」数値までとして表すことができる。このような範囲で表されるとき、別の実施態様は、ある特定の数値から及び/又は他の特定の数値までを含む。同様に、先行する「約」の使用によって数値が概値として表される場合、特定の数値が別の実施態様を形成するということが理解されよう。
【0018】
本発明の一つの実施態様は、混和性の液状顔料分散系又は着色剤を液状重合性レンズ材料又は配合物と混合することを含む、眼科用成形品又はレンズを色付けする方法である。
【0019】
本発明のもう一つの実施態様は、眼組織及び涙液との連続接触に適した軟質で色付けされた眼科用に適合性がある透明レンズに関する。本発明の特に好ましい実施態様は、安全で快適な装用に適した軟質で色付けされた視力矯正用レンズである。本発明を正しく記載し、請求の範囲の境界を画定するため、はじめに、基本的な用語を定義する。
【0020】
I.用語の定義
本明細書で使用する「眼科用成形品」とは、眼又は涙液と密接して配置される成形品又はレンズ、たとえば視力矯正用コンタクトレンズ(たとえばスフェリカル、トーリック、バイフォーカルなど)、眼の色を変化させるためのコンタクトレンズ、眼科用薬物送出装置、眼の組織を保護する装置(たとえば眼科用治癒促進レンズ)などをいう。特に好ましい眼科用成形品は、色付けされたコンタクトレンズ、特に視力矯正用コンタクトレンズである。
【0021】
本明細書で使用する「ポリマー前駆体」及び「プレポリマー」とは、架橋性又は重合性の材料をいう。好ましくは、ポリマー前駆体は疎水性であり、より好ましくは、シリコーン含有マクロマー又はモノマーである。
【0022】
本明細書で使用する「重合すると高い酸素透過係数を有するポリマーを形成することができる重合性材料」とは、同種又は異種の重合性材料と重合して、比較的高い酸素拡散率を示すポリマーを形成することができるモノマー、オリゴマー、マクロマーなど及びそれらの混合物をいう。参照の便宜上、本明細書中、これらの材料を「酸素透過重合性材料」と呼び、得られるポリマーを「酸素透過ポリマー」と呼ぶ。
【0023】
本明細書で使用するレンズの「酸素透過率」とは、酸素が眼科用レンズを通過する速度である。酸素透過率Dk/tは、従来からbarrer/mmの単位で表されており、ここでtは、計測区域での材料の平均厚さ[mm単位]であり、「barrer」は、
((cm3酸素)(mm)/(cm2)(sec)(mm Hg))×10-9
と定義される。
【0024】
レンズ材料の「酸素透過係数」Dkは、レンズの厚さに依存しない。酸素透過係数は、酸素が材料を通過する速度である。酸素透過係数は、従来からbarrerの単位で表されている(「barrer」は、
((cm3酸素)(mm)/(cm2)(sec)(mm Hg))×10-10
と定義される)。これらは、当該技術で一般に使用される単位である。したがって、当該技術における使用とで統一するため、単位「barrer」は、上記で定義した意味を有する。たとえば、90barrer(「酸素透過係数barrer」)のDk及び90ミクロン(0.090mm)の厚さを有するレンズは、100barrer/mmのDk/t(「酸素透過率barrer」/mm)を有することになる。
【0025】
本明細書で使用する高い酸素透過係数を有するポリマーマトリックスとは、たとえば60barrer以上、好ましくは70barrer以上、より好ましくは80barrer以上のDkを有するポリマーマトリックスをいう。
【0026】
本明細書で使用する「重合すると高いイオン透過性を有するポリマーを形成することができる重合性材料」とは、同種又は異種の重合性材料と重合して、比較的高いイオン透過速度又は水透過速度を示すポリマーを形成することができるモノマー、オリゴマー、マクロマーなど及び/又はそれらの混合物をいう。参照の便宜上、本明細書中、これらの材料を「イオン透過重合性材料」と呼び、得られるポリマーを「イオン透過ポリマー」と呼ぶ。
【0027】
本明細書で使用する「マクロマー」とは、少なくとも約800グラム/モルの分子量を有する重合性材料をいう。本明細書で使用する「マクロマー」はまた、オリゴマーを包含する。
【0028】
本明細書で使用する「モノマー」とは、約800グラム/モル未満の分子量を有する重合性材料をいう。
【0029】
本明細書で使用する「顔料」とは、別の材料又は混合物に色を付与する物質をいう。顔料は、場合により「着色剤」と同義に使用されることもある。顔料は普通、乾燥粉体であり、無機でも有機でもよい。
【0030】
本明細書で使用する「分散あるいは分散された」とは、分散剤中の顔料粒子の多様なレベル又は程度の分離をいう。
【0031】
本明細書に使用する「眼科用に適合性がある」とは、長期間、眼の環境と密接しても眼の環境を有意に損傷せず、ユーザに有意な不快感を与えない材料又は材料表面に関していう。したがって、眼科用に適合性のあるコンタクトレンズは、有意な角膜腫脹を生じさせず、瞬きによって眼の上で十分に動いて十分な涙交換を促進し、実質的な量の脂質を吸着せず、規定された装用期間中、装用者に実質的な不快感を生じさせない。
【0032】
本明細書で使用する「眼の環境」とは、視力矯正、薬物送出、外傷治癒、眼の色の変化又は他の眼科用途に使用されるコンタクトレンズと密接することがある眼性流体(たとえば涙液)及び眼組織(たとえば角膜)をいう。
【0033】
本明細書で使用するレンズの「外面」とは、装用中、眼とは反対の方向に向くレンズ面をいう。通常は実質的に凸状である外面はまた、レンズのフロントカーブと呼ばれることもある。本明細書で使用するレンズの「内面」とは、装用中、眼の方向に向くレンズ面をいう。通常は実質的に凹状である内面はまた、レンズのベースカーブと呼ばれることもある。
【0034】
本明細書で使用する「TRIS」とは、3−メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シランをいう。「TRIS」はまた、3−メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シランの二量体、三量体などを含む。
【0035】
本明細書で使用するポリマー材料(モノマー又はマクロマー材料を含む)の「分子量」とは、特に他義に記されない限り、又は試験条件が他義を示さない限り、数平均分子量をいう。
【0036】
II.ポリマー前駆体及びポリマー材料
好ましい実施態様では、ポリマー前駆体は、少なくとも約300の数平均分子量を有するプレポリマー、たとえばマクロマーである。プレポリマーは、より好ましくは約300〜約30,000、より好ましくは約500〜約20,000、さらに好ましくは約800〜約20,000の数平均分子量を有する。もっとも好ましくは、プレポリマーは、約1,000〜約10,000の数平均分子量を有する。
【0037】
本発明に関して使用されるプレポリマーは、重合性の基又は架橋性の基を含む。「架橋性基」とは、当業者に周知である通例の架橋性基、たとえば光架橋性又は熱架橋性の基をいう。コンタクトレンズ材料としてすでに提案されているような架橋性基が適切である。これらは、炭素−炭素二重結合を含む基を含むが、これに限定されない。適切な架橋性基の大きな多様性を実証するため、単なる例として、以下の架橋機構―ラジカル重合、2+2シクロ付加、ディールスアルダー反応、ROMP(開環メタセシス重合)、加硫、カチオン架橋及びエポキシ硬化―が挙げられる。
【0038】
本発明に関して有用な重合性又は架橋性材料は、当該技術で公知の多様な材料を含む。好ましいポリマー材料は、透明であり、生体適合性、特に眼科用に適合性がある用途で使用することができる材料である。
【0039】
本発明に有用なプレポリマー及びポリマー材料の特に好ましいクラスは、米国特許第5,760,100号に開示されているもの、たとえばその中で開示されている材料「A」、「B」、「C」及び「D」である。
【0040】
A.酸素透過重合性材料
酸素透過重合性材料は、重合すると比較的高い酸素拡散速度を示すポリマーを形成することができる広い範囲の材料を含む。加えて、これらの材料は、比較的眼科用に適合性でなければならない。これらの酸素透過重合性材料は、シロキサン含有マクロマー及びモノマー、フッ素含有マクロマー及びモノマーならびに炭素−炭素三重結合含有マクロマー及びモノマーを含むが、これに限定されない。酸素透過マクロマー又はモノマーはまた、親水性基を含むことができる。
【0041】
好ましい酸素透過ポリマーは、シロキサン含有マクロマーから形成されるものである。ジアルキルシロキサン基、特にジメチルシロキサンを有するマクロマーが特に好ましい。これらのマクロマーは、ポリ(ジメチルシロキサン)(またPDMS)として広く参照されている。シロキサン含有マクロマーはまた、親水性基を含むことができる。適切なシロキサン含有マクロマーの例は、米国特許第5,760,100号に開示され、記載されているものを含むが、これに限定されない。
【0042】
レンズの酸素透過率(Dk/t)は、好ましくは少なくとも60barrer/mm、より好ましくは少なくとも65barrer/mm、もっとも好ましくは少なくとも70〜80barrer/mmである。レンズ中心厚さは、通常は約30ミクロンを超え、好ましくは約30〜約200ミクロン、より好ましくは約40〜約150ミクロン、さらに好ましくは約50〜約120ミクロン、もっとも好ましくは約60〜約100ミクロンである。
【0043】
長期装用レンズの、たとえば外面から内面までの酸素透過係数は、長期装用期間中に実質的な角膜腫脹を防ぐのに十分でなければならない。角膜は、就寝期間中、まぶたを閉じていると、酸素欠乏の結果として約3%〜4%腫脹する。また、典型的なコンタクトレンズ、たとえばACUVUE(Johnson & Johnson)を約8時間装用(夜通し装用)すると、約11%の角膜腫脹が起こるということが知られている。しかし、好ましい長期装用コンタクトレンズは、通常の就寝期間を含む約24時間の装用後でも、約8%未満、より好ましくは約6%未満、もっとも好ましくは約4%未満の角膜腫脹を生じさせるに過ぎない。好ましい長期装用コンタクトレンズは、通常の就寝期間を含む約7日間の装用後でも、約10%未満、より好ましくは約7%未満、もっとも好ましくは約5%未満の角膜腫脹を生じさせるに過ぎない。したがって、長期装用レンズは、角膜腫脹に関する上記性質を生じさせるのに十分である、レンズの外面から内面までの酸素拡散経路を作り出すのに十分な量の酸素透過ポリマーを有していなければならない。
【0044】
好ましくは、長期装用レンズは、レンズの外面から内面まで延びる酸素透過ポリマーの連続相を有する。
【0045】
B.イオン透過重合性材料
イオン透過重合性材料は、重合すると比較的高いイオン拡散速度を示すポリマーを形成することができる広い範囲の材料を含む。加えて、これらの材料は、比較的眼科用に適合性を有していなければならない。これらのイオン透過重合性材料は、アクリレート及びメタクリレート、たとえば2−ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド及びN,N−ジメチルアクリルアミド(DMA);ポリ(アルキレングリコール)、たとえばポリ(エチレングリコール)、N−ビニルピロリドン、たとえばN−ビニル−2−ピロリドンなどならびにそれらの混合物を含むが、これに限定されない。他のイオン透過材料は、米国特許第5,760,100号に開示され、記載されているものを含むが、これに限定されない。
【0046】
C.重量比
イオン透過重合性材料に対する酸素透過重合性材料の比は、成形されるポリマー製品の選択された最終使用のために選択される酸素透過係数とイオン透過性とのバランスに依存して実質的に変化する。好ましくは、完全に水和したレンズにおける酸素透過材料とイオン透過材料(水を含む)との容量比は、約40:約60〜約60:約40である。しかし、重量%がレンズ製造にはより好都合に利用されるため、レンズの全重量に基づく重量%が定義される。好ましくは、実質的にイオン透過材料及び酸素透過材料だけを有する長期装用コンタクトレンズは、予備重合混合物中、全重合性材料重量に基づいて約60〜約85重量%の酸素透過重合性材料及び約15〜約40重量%のイオン透過重合性材料を有する。より好ましくは、予備重合混合物は、全重合性材料重量に基づいて約70〜約82重量%の酸素透過重合性材料及び約18〜約30重量%のイオン透過重合性材料を含む。
【0047】
重合に先立って、多様なさらなる重合性材料を混合物中に含めてもよい。架橋剤、たとえばエチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)を加えて構造結着性及び機械的強度を改善してもよい。抗微生物性重合性材料、たとえばポリ(第四アンモニウム)塩を加えてレンズ材料における微生物増殖を抑止してもよい。また、さらなるイオン透過モノマーもしくはマクロマー及び/又は酸素透過重合性材料を加えて最終成形品の酸素透過係数及びイオン透過性を調節してもよい。
【0048】
特に有利な重合性材料は、酸素透過係数を高め、弾性率を改善するように作用することができるTRISである。
【0049】
好ましい予備重合混合物は、全レンズ重量に基づいて(a)酸素透過マクロマー約20〜60重量%、(b)イオン透過重合性材料約20〜40重量%及び(c)TRIS約1〜35重量%を含む。より好ましくは、TRISの量は、全重合混合物重量に基づいて約10〜33重量%である。
【0050】
好ましい実施態様では、予備重合混合物は、全予備重合混合物重量に基づいて約5重量%未満の架橋剤を含む。より好ましくは、予備重合混合物は、全予備重合混合物重量に基づいて約2重量%未満の架橋剤を含む。さらに好ましくは、予備重合混合物は実質的に架橋剤を含まない。
【0051】
酸素透過重合性材料、イオン透過重合性材料及びTRISに関する前記範囲は、読者が本発明をよりよく理解することができるように提示する。しかし、酸素透過及びイオン透過重合性材料の比重量又は容量%が、良好な眼科用レンズを調製する際に考慮すべきもっとも重要な要因ではないことに留意すべきである。より重要なことには、レンズは、良好な眼の上の動きに十分なイオン透過性及び長期装用期間中の良好な角膜の健康に十分な酸素透過係数を有しなければならない。
【0052】
D.酸素透過率及び透過係数
先に述べたように、角膜は、血流から酸素を受け取る他の組織とは対照的に、主に環境にさらされている角膜表面から酸素を受け取る。したがって、長時間眼に装用されるかもしれない眼科用レンズは、角膜の健康を支えるために、十分な酸素がレンズを透過して角膜に到達するようにしなければならない。角膜が不十分な量の酸素しか受け取れない一つの結果は、角膜が腫脹することである。好ましい実施態様では、本眼科用レンズの酸素透過率は、臨床的に重大な程度の角膜腫脹が起こることを防ぐのに十分である。
【0053】
好ましい眼科用レンズ材料は、少なくとも60(cm3酸素)(mm)/mm−cm2×(sec/mm Hg)×10-9又は[barrer/mm]、より好ましくは少なくとも65barrer/mm、もっとも好ましくは少なくとも70〜80barrer/mmの酸素透過率Dk/tを有する。
【0054】
レンズの酸素透過係数及びレンズ材料の酸素透過率は、以下の技法によって測定することができる。Dk1000計器(Applied Design and Development社、米ジョージア州Norcrossから市販)又は同様な分析機器を使用して、酸素流束(J)をウェットセル中34℃で(すなわち、気流を約100%相対湿度に維持して)計測する。既知の酸素含有率(たとえば21%)を有する気流をレンズの片側に約10〜20cm3/mmの速度で通し、窒素流をレンズの反対側に約10〜20cm3/mmの速度で通す。系を包囲する大気圧Pmeasuredを測定する。試験にさらされる区域のレンズ厚さ(t)は、MitotoyaマイクロメータVL-50又は同様な機器で約10カ所を計測し、測定値を平均することによって測定する。Dk1000計器を使用して、窒素流中の酸素濃度(すなわち、レンズ中に拡散した酸素)を測定する。レンズ材料の酸素透過係数Dkを以下の式から決定する。
【0055】
Dk=Jt/(Poxygen
J=酸素流束[マイクロリットルO2/cm2−分]、Poxygen=(Pmeasured−Pwater蒸気)=(気流中の%O2)[mm Hg]=気流中の酸素の分圧
measured=大気圧(mm Hg)
water蒸気=34℃で0mm Hg(ドライセル中)(mm Hg)
water蒸気=34℃で40mm Hg(ウェットセル中)(mm Hg)
t=さらされる試験区域のレンズの平均厚さ(mm)
Dkは、barrer単位、すなわち((cc酸素)(mm)/cm2)××(sec/mm Hg)××10−10で表される。
【0056】
材料の酸素透過率(Dk/t)は、酸素透過係数(Dk)をレンズの平均厚さ(t)で割ることによって計算することができる。
【0057】
E.適切なポリマーレンズ材料の例
適切なポリマーレンズ材料の例は、Nicolsonらに発行された米国特許第5,760,100号、Muellerらに発行された米国特許第4,136,250号、Deichertらに発行された米国特許第4,153,641号、Muellerらに発行された米国特許第4,605,712号、Harvey IIIに発行された米国特許第4,711,943号、Laiに発行された米国特許第5,158,717号、Nanduらに発行された米国特許第5,260,000号及びYokayamaらに発行された米国特許第5,346,946号(これらすべてを引用例として本明細書に含める)に開示され、記載されているものを含むが、これに限定されない。好ましくは、ポリマーマトリックスは、ポリシロキサン、フルオロシロキサン、フッ素含有モノマー、親水性モノマー、疎水性モノマーもしくはそれらのコポリマー又はそれらの混合物を含む。
【0058】
好ましくは、レンズ材料又は配合物は、(i)少なくとも一つのマクロマー、たとえばポリシロキサン、パーフルオロアルキルポリエーテル又は混合ポリシロキサン/パーフルオロアルキルポリエーテルマクロマー、(ii)TRIS、(iii)DMA、(iv)C1〜C4アルカノール、たとえばn−プロパノールもしくはイソプロパノール又は特にエタノール、及び(v)光開始剤を含む。より好ましくは、レンズ配合物は、配合物の重量に基づいて、マクロマー25.92%、DMA28.88%、TRIS19.25%、エタノール24.95%及び光開始剤(たとえばDAROCUR)1.00%を含む。
【0059】
III.コモノマー
本発明はさらに、上記で定義した本発明の少なくとも一つのポリマー前駆体又はマクロマーと、適切ならば、少なくとも一つのビニル性コモノマー(a)との重合生成物を含むポリマーマトリックスに関する。
【0060】
本発明のポリマーの好ましい組成は、本発明のマクロマーを、全ポリマーに対して100〜0.5%の範囲、特に80〜10%の範囲、好ましくは70〜30%の範囲の重量含有率で含む。
【0061】
一つの実施態様では、重合生成物が少なくとも一つの本発明のマクロマーを含み、コモノマーが存在せず、ポリマーが好ましくはホモポリマーである。好ましくは、重合生成物は、少なくとも一つの上記で定義した本発明のポリマー前駆体又はマクロマーと、少なくとも一つのビニル性コモノマー、特に少なくとも一つの親水性及び疎水性のコモノマーのそれぞれとを含む。
【0062】
本発明のポリマーに含まれるコモノマー(a)は、親水性又は疎水性又は両方の混合物であることができる。適切なコモノマーは、特に、コンタクトレンズ及び生体医学材料の調製に通常に使用されるものを含む。疎水性コモノマー(a)は、水不溶性であり、水を10重量%未満しか吸収できないポリマーをホモポリマーとして典型的に与えるモノマーをいうものと理解される。
【0063】
同様に、親水性コモノマー(a)は、水溶性である、すなわち水を少なくとも10重量%吸収することができるポリマーをホモポリマーとして典型的に与えるモノマーをいうものと理解される。
【0064】
適切な疎水性コモノマー(a)は、C1〜C18アルキル及びC3〜C18シクロアルキルアクリレート及びメタクリレート、C3〜C18アルキルアクリルアミド及びメタクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリルニトリル、ビニルC1〜C18アルカノエート、C2〜C18アルケン、C2〜C18ハロアルケン、スチレン、低級アルキルスチレン、低級アルキルビニルエーテル、C2〜C10パーフルオロアルキルアクリレート及びメタクリレート又は対応する部分的にフッ素化されたアクリレート及びメタクリレート、C3〜C12パーフルオロアルキル−エチル−チオカルボニルアミノエチルアクリレート及びメタクリレート、アクリルオキシ及びメタクリルオキシ−アルキルシロキサン、−ビニルカルバゾールならびにマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、メサコン酸などのC1〜C12アルキルエステルを含むが、これらに限定されない。好ましいコモノマーは、たとえば、アクリロニトリル、炭素原子3〜5個を有するビニル性不飽和カルボン酸のC1〜C4アルキルエステル又は炭素原子5個までを有するカルボン酸のビニルエステルである。
【0065】
適切な疎水性コモノマー(a)の例は、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、イソブチルアクリレート(IBA)、イソオクチルアクリレート(OA)、イソデシルアクリレート(DA)、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート(EHA)、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルバレレート、スチレン、クロロプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、1−ブテン、ブタジエン、メタクリロニトリル、ビニルトルエン、ビニルエチルエーテル、パーフルオロヘキシルエチルチオカルボニルアミノエチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、トリフルオロエチルメタクリレート、ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート、ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート(HFBMA及びHFBA)、TRIS、3−メタクリルオキシプロピルペンタメチルジシロキサン及びビス(メタクリルオキシアルキル)テトラメチルジシロキサンを含むが、これらに限定されない。疎水性コモノマー(a)の好ましい例は、メチルメタクリレート、IBA、HFBA、HFBMA、OA、EHA、DA、TRIS及びアクリロニトリルである。
【0066】
適切な親水性コモノマー(a)は、ヒドロキシル置換低級アルキルアクリレート及びメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、低級アルキルアクリルアミド及びメタクリルアミド、エトキシル化アクリレート及びメタクリレート、ヒドロキシル置換低級アルキルアクリルアミド及びメタクリルアミド、ヒドロキシル置換低級アルキルビニルエーテル、ビニルスルホン酸ナトリウム、スチレンスルホン酸ナトリウム、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、N−ビニルピロール、−ビニル−2−ピロリドン、2−ビニルオキサゾリン、2−ビニル−4,4′−ジアルキルオキサゾリン−5−オン、2−及び4−ビニルピリジン、合計3〜5個の炭素原子を有するビニル性不飽和カルボン酸、アミノ−低級アルキル(「アミノ」はまた第四アンモニウムを含む)、モノ−低級アルキルアミノ−低級アルキル及びジ低級アルキルアミノ−低級アルキルアクリレート及びメタクリレート、アリルアルコールなどを含むが、これらに限定されない。好ましいコモノマーは、たとえば、N−ビニル−2−ピロリドン、アクリルアミド、メタクリルアミド、ヒドロキシル置換低級アルキルアクリレート及びメタクリレート、ヒドロキシル置換低級アルキルアクリルアミド及びメタクリルアミドならびに合計3〜5個の炭素原子を有するビニル性不飽和カルボン酸である。
【0067】
適切な親水性コモノマー(a)の例は、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、トリメチルアンモニウム−2−ヒドロキシプロピルメタクリレートヒドロクロリド(たとえばNippon OilのBlemer(登録商標)QA)、ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)、ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMA)、アリルアルコール、ビニルピリジン、グリセロールメタクリレート、N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)アクリルアミド、−ビニル−2−ピロリドン(NVP)、アクリル酸、メタクリル酸などを含む。
【0068】
好ましい親水性コモノマー(a)は、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMA)、ジメチルアミノエチルメタクリレート、トリメチルアンモニウム−2−ヒドロキシプロピルメタクリレートヒドロクロリド及びN−ビニル−2−ピロリドンである。
【0069】
本発明のポリマーは、それ自体公知の方法で、本発明の対応するモノマー及び/又はマクロマーから当業者が周知である重合反応によって生成される。普通、上述のモノマーの混合物を加熱するとともに、フリーラジカルを形成する薬剤を添加する。フリーラジカルを形成するこのような薬剤は、たとえば、アゾイソブチロニトリル(AIBN)、ペルオキソ二硫酸カリウム、過酸化ジベンゾイル、過酸化水素又は過炭酸ナトリウムである。上述の化合物がたとえば加熱されるならば、ホモリシスによってフリーラジカルが形成し、このフリーラジカルがたとえば重合を開始することができる。
【0070】
重合は、溶媒の存在下又は非存在下で実施することができる。適切な溶媒は、原則として、使用されるモノマーを溶解させるすべての溶媒、たとえば水、アルコール、たとえば低級アルカノール、たとえばエタノール又はメタノール及びさらにはカルボン酸アミド、たとえばジメチルホルムアミド、極性非プロトン性溶媒、たとえばジメチルスルホキシド又はメチルエチルケトン、ケトン、たとえばアセトン又はシクロヘキサノン、炭化水素、たとえばトルエン、エーテル、たとえばTHF、ジメトキシエタン又はジオキサン及びハロゲン化炭化水素、たとえばトリクロロエタンならびに適切な溶媒の混合物、たとえば水とアルコールとの混合物、たとえば水/エタノール又は水/メタノール混合物である。
【0071】
適切ならば、いわゆる架橋剤、たとえばポリ不飽和コモノマー(b)の添加によってポリマーネットワークを強化することができる。本発明はさらに、本発明のマクロマーと、適切ならば、少なくとも一つのビニル性コモノマー(a)及び少なくとも一つのコモノマー(b)との重合生成物を含むポリマーに関する。
【0072】
典型的なコモノマー(b)の例は、たとえば、アリル(メタ)アクリレート、低級アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリ低級アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、低級アルキレンジ(メタ)アクリレート、ジビニルエーテル、ジビニルスルホン、ジもしくはトリビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、トリアリルフタレート又はジアリルフタレートである。使用されるコモノマー(b)の量は、全ポリマーに対する重量含有率で表され、20〜0.05%の範囲、特に10〜0.1%の範囲、好ましくは2〜0.1%の範囲である。
【0073】
IV.有機又は無機顔料
本発明に有用な放射線吸収添加物のクラスは、有機又は無機顔料又はそれらの誘導体である。有用な顔料は、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、酸化チタン(IV)、赤色酸化鉄、黄色酸化鉄、クロモフタルバイオレット及びクロモフタルオキシドグリーンを含むが、これらに限定されない。有機顔料、特にフタロシアニン顔料、より具体的には銅フタロシアニン顔料、さらに具体的には銅フタロシアニンブルー顔料(たとえばCIピグメントブルー15、構造No.74160)の使用が好ましい。
【0074】
特定の用途に必要な顔料の量は、一部には所望の最終製品の寸法ならびに所望の可視光線及び/又は紫外線の透過率に依存して、広い範囲で変化させることができる。たとえば、顔料の量は、最終成形品又はレンズの光透過率がたとえば80%を超える、好ましくは90%を超える、より好ましくは約92%〜約99.5%、もっとも好ましくは約93%〜約97%になるように選択される。上記透過率値は、レンズの中心厚さ100μm及び各顔料の吸収極大値の波長に当てはまる。光透過率を達成するために必要な顔料の量は、好都合には、顔料の重量%が、ポリマー前駆体と、工程(c)の予備重合混合物中に場合によっては存在するコモノマーとの全重量に基づいて約0.0001%〜約0.05%になるように選択される。好ましくは、顔料の重量%は、約0.0001%〜約0.02%である。より好ましくは、顔料の重量%は、約0.0001%〜約0.01%である。
【0075】
顔料の粒度は広い範囲で変化させることができる。一般に、粒度は、必要な着色力の程度にとって臨床的に有意である光の散乱を避けるのに十分な小ささであるべきである。約4μm以下、好ましくは約0.6μm以下、より好ましくは約0.05μm〜約1μm、さらに好ましくは約0.05μm〜約0.5μmの平均又はメジアン粒度(HORIBA LA-910粒度アナライザによって測定)が有利であることがわかった。
【0076】
一般に、顔料は、その顔料及び少なくとも一つの分散剤を含む分散系として用意される。また、驚くことに、上記ポリマー前駆体又はレンズ配合物が顔料粒子の分散を促進し、分散剤として作用することがわかった。
【0077】
V.分散剤
好ましくは、上記で概説した顔料を分散剤に分散させて混和性の液状着色剤分散系を形成する。通常、顔料は、そのままではレンズ形成材料と十分に混合しない。顔料は凝集し、小さな斑点を形成し、得られるレンズの可視性能を損なう。分散剤の使用がこの問題を解消する。分散剤は、顔料粒子を、レンズ形成材料との混合の前に懸濁させ、分離させるように働く。
【0078】
適切な分散剤の例は、ジメチルアクリルアミド(DMA)、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、イソブチルアクリレート(IBA)、イソオクチルアクリレート(OA)、イソデシルアクリレート(DA)、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート(EHA)、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルバレレート、スチレン、クロロプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、1−ブテン、ブタジエン、メタクリロニトリル、ビニルトルエン、ビニルエチルエーテル、ぺルフルオロヘキシルエチルチオカルボニルアミノエチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、トリフルオロエチルメタクリレート、ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート、ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート(HFBMA及びHFBA)、HEMA、TRIS、3−メタクリルオキシプロピルペンタメチルジシロキサン及びビス(メタクリルオキシプロピル)テトラメチルジシロキサン又はそれらの混合物を含むが、これらに限定されない。
【0079】
同じく分散剤として適切なものは、アルキレントリス(トリメチルシロキシ)シランを含むモノマーである。
【0080】
もっとも好ましい分散剤はTRISである。好ましいことに、TRISはすでに好ましいレンズ材料の有意な成分であるため、顔料は、完全なレンズ形成材料に組み込む前にトリス中に分散させるならば、レンズ材料中でよりよく分離し、懸濁する。分散剤はまた、上記で概説したポリマー前駆体と同じ材料であってもよい。
【0081】
本発明で使用される顔料分散系の顔料量は、広い範囲で変化することができる。一般に、顔料は、全分散系の重量に基づいて約1〜約70重量%、好ましくは約1〜約30重量%、より好ましくは約4〜約10重量%を構成する。
【0082】
顔料分散系は、たとえば、顔料と分散剤とを適切な従来の混合装置、好ましくは磨粉機又はマイクロ流動化装置中で混和させるだけで調製することができる。また、着色剤分散原液は、まず分散剤中の顔料の濃縮分散系を形成し、次にさらなる分散剤を加えて濃縮分散系を稀釈し、着色剤原分散系又は原液を作ることによって製造することができる。場合によっては、前述の好ましい粒度を超える粒度を有する顔料粒子を排除するため、顔料分散系をさらに処理する前にろ過又は遠心分離することが適切であるかもしれない。
【0083】
VI.光開始剤
重合反応(光重合又は光架橋)は、特に、光開始剤を使用して実施することができる。光開始剤の例は当業者には周知であり、具体的に、適切な光開始剤は、ベンゾインメチルエーテル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンならびにCiba Specialty Chemicals(米ニューヨーク州Tarrytown)から市販されているDAROCUR及びIRGACURタイプ、好ましくはDAROCUR 1173(登録商標)及びDAROCUR 2959(登録商標)を含むが、これらに限定されない。たとえばマクロマーに組み込むことができるか、特別なコモノマー(a)として使用することができる反応性光開始剤もまた適切である。これらの例は、EP632329に見いだされる。
【0084】
光重合のためには、光の使用によってラジカル重合及び/又は架橋を開始させることができる光開始剤を加えることが適切である。ポリマー前駆体溶液中に光開始剤を実質的に均一に分布させるためには妥当な量の混合が好ましい。光開始剤の量は、広い範囲で選択することができる。ポリマー1gに対して0.05gまで、好ましくは0.003gまでの量が好ましい。
【0085】
光重合は、適切な波長の化学線、たとえば光、特にUV光によって誘発することができる。また、放射線源は、ガンマ線であってもX線であってもよい。所要スペクトルは、適切ならば、適切な光増感剤の添加によって相応に制御することができる。
【0086】
VII.眼科用に適合性がある面
本発明の眼科用レンズは、所望の長期接触期間中に眼組織及び眼性流体に対し生体適合性がある表面を有する。一つの好ましい実施態様では、本発明の眼科用レンズは、上記で定義したコア材料であって、少なくとも一部をそのコア材料よりも親水性かつ疎油性である面によって包囲されたコア材料を含む。眼組織及び涙液とのレンズの適合性を高めるためには親水性表面が望ましい。表面親水性が増すにつれ、脂質及びタンパク質系異物の望ましくない誘引及び付着が通常は減少する。表面親水性の他にも、レンズにおける付着物蓄積に寄与しうる要因、たとえば免疫学的反応がある。脂質及びタンパク質系異物の付着はレンズに曇りを生じさせ、それにより、可視透明度が低下する。タンパク質系付着物はまた、他の問題、たとえば眼への刺激感を生じさせるおそれがある。連続的又は断続的に長期装用したのち、レンズを清浄、すなわち付着物除去のために眼から取り出さなければならない。したがって、表面親水性の増大と、それに付随する生物学的異物の付着の減少が、装用時間を増大させる。
【0087】
本明細書で使用する「表面処理法」とは、蒸気もしくは液体との接触及び/又はエネルギー源の適用により、(1)物品の表面にコーティングを被着させる、(2)化学種を物品の表面に吸着させる、(3)物品の表面の化学基の化学的性質(たとえば静電荷)を変化させる、又は(4)物品の表面性質を他の方法で変化させる、表面をより眼科用に適合する方法をいう。
【0088】
材料の表面を親水性にするための多様な方法が当該技術で開示されている。たとえば、レンズを親水性ポリマー材料の層でコーティングしてもよい。あるいはまた、親水性基をレンズ表面にグラフトして、それにより、親水性材料の単分子層を製造してもよい。これらのコーティング又はグラフト法は、レンズをプラズマガスに暴露する方法又はレンズを適切な条件下でモノマー溶液に浸漬する方法を含む多数の方法によって実施することができるが、これに限定されない。
【0089】
レンズの表面性質を変化させるもう一組の方法は、レンズを形成するための重合の前の処理を含む。たとえば、型をプラズマ(すなわちイオン化ガス)、静電荷、照射又は他のエネルギー源で処理して、それにより、型表面にすぐ隣接する予備重合混合物の組成を予備重合混合物のコアの組成と異ならせてもよい。
【0090】
表面処理法の好ましいクラスは、イオン化ガスを物品の表面に適用するプラズマ法である。プラズマガス及び処理条件は、引用例として本明細書に取り込む米国特許第4,312,575号及び第4,632,844号でさらに十分に記載されている。プラズマガスは、好ましくは、低級アルカンと窒素、酸素又は不活性ガスとの混合物である。
【0091】
好ましい実施態様では、レンズを、(a)C1-6アルカンと、(b)窒素、アルゴン、酸素及びそれらの混合物からなる群より選択されるガスとの混合物の存在でプラズマ処理する。より好ましい実施態様では、レンズを、メタンと空気との混合物の存在でプラズマ処理する。
【0092】
VIII.用途
A.眼科用成形品
上記で概説したすべての情報は当然、コンタクトレンズだけでなく、本発明の他の成形品にも当てはまる。可視性色付けされた眼科用レンズが好ましい製品であるが、本発明は、半透明な自動車シールド又はガラス、フィルムもしくは膜、たとえば拡散制御のための膜、情報記憶もしくはフォトレジスト材料のための光構造化性フィルム及びプラスチック眼鏡を含む多様な半透明又は透明なポリマー製品の製造に用途を有することができるが、これに限定されない。本明細書で使用する眼科用レンズとは、コンタクトレンズ(ハード又はソフト)、眼内レンズ及び人工角膜をいう。本発明は、ユーザが、レンズを入れた容器の中でレンズを識別することができるように端から端まで色付けされた、軟質で色付けされた高Dkコンタクトレンズの製造に関して特別の用途がある。
【0093】
他の眼科用成形品の例は、眼の色を変えるためのコンタクトレンズ、眼科用薬物送達装置、眼科用外傷治癒装置などを含むが、これに限定されない。
【0094】
本発明の成形品の製造における種々の有利な態様の和が、量産品、たとえば短期間装用されたのち新品レンズと交換されるコンタクトレンズとして又は「長期装用」コンタクトレンズとして特に適切である本発明の成形品につながる。
【0095】
B.コンタクトレンズ
上記のように、本眼科用成形品は、コンタクトレンズとして特に用途がある。内面(ベースカーブ)から外面(フロントカーブ)までで十分な酸素及び水透過率を有するコンタクトレンズは、実質的な角膜腫脹又は装用者の不快感なしに、より長い期間連続装用することができる。装用方法は、(a)レンズを眼にはめて、(b)一定期間、角膜の健康又は装用者の快適さに実質的な悪影響を及ぼすことなくレンズを眼及び涙液と密接した状態に置くことを含む。
【0096】
好ましい方法は、(c)レンズを眼の環境から取り出すステップと、(d)レンズを処理する(すなわち、レンズを消毒又は清浄する)ステップと、(e)レンズを再び眼にはめるステップと、(f)一定期間、角膜の健康又は装用者の快適さに実質的な悪影響を及ぼすことなくレンズを眼及び涙液と密接した状態に置くステップとをさらに含む。
【0097】
本発明の具体的な実施態様は、新規な可視性色付けされたポリマーマトリックスを含むコンタクトレンズに関する。このようなコンタクトレンズは、ある範囲の通常と異なるきわめて有利な性質を有する。これらの性質には、たとえば、水分含量と水透過性とのバランスした比に基づく人の角膜(必要ならば、適切な表面処理(コーティング)ののち)及び涙液との優れた適合性、酸素透過係数ならびに機械的性質及び吸着性がある。この望ましい性質どうしのバランスが、高い快適さならびに刺激感及びアレルギー作用を引き起こさない。種々の塩、栄養素、水及び涙液の種々の他の成分ならびにガス(CO2及びO2)に関して好ましい透過性のおかげで、新規なコンタクトレンズは、角膜における自然な代謝過程に影響をまったく又は実質的に及ぼさない。多くの他のシロキサン含有コンタクトレンズとは対照的に、本レンズは、化学的性質及び機械的性質ならびに望ましくない結合効果を避けるのに十分なイオン透過性を有する。さらには、新規なコンタクトレンズは、高い寸法安定性及び貯蔵寿命を有する。
【0098】
高い酸素透過係数は、角膜腫脹を防止して、それにより、長期装用期間中の眼の損傷及び装用者の不快感のおそれを減らすために必要である。高いイオン透過性は、必要ならば眼組織及び眼性流体との長期連続接触期間中に角膜の健康が実質的に変化せず、装用者の快適さが許容しうるよう、レンズが眼の上で動くことを可能にする。
【0099】
レンズの色付けは、使用者が、レンズ貯蔵、消毒又は清浄容器内の透明な溶液の中でレンズを容易に見つけることを可能にする。一般に、本発明の色付けされたレンズは、レンズ全体で均一に色付けされる。そのうえ、レンズは抗漂白性であり、レンズマトリックスへの顔料の定量的な取り込みのおかげで、レンズの外への顔料の滲出及び移染を示さない。加えて、色付けされたレンズは、光学的に明澄かつ透明であり、色付けされていないレンズに等しい透過率値T%を有する。
【0100】
本発明の端から端まで色付けされたコンタクトレンズは、効率的な方法で製造することができる。これは、いくつかの要因の結果である。第一に、出発原料が廉価であり、入手又は調製しやすい。第二に、プレポリマーが驚くほど安定である。本方法及び組成物のさらなる有意な利点は、架橋又は重合工程中に顔料が失活しないことである。顔料、特に金属(たとえば銅)フタロシアニン顔料及びその等価物は、コンタクトレンズを形成するためのUV線の適用の際に実質的な色付け失活を受けないということが思いがけなくわかった。対照的に、非常に多くの染料は、レンズ製造法の重合又は成形工程で漂白を受ける。
【0101】
最後に、本発明の好ましいコンタクトレンズは、装用期間にわたって快適であるコンタクトレンズである。レンズ直径が小さすぎるならば、眼を開けているとき、まぶたがレンズのどの部分をも覆わない。したがって、まぶたを閉じるたび、まぶたがレンズのエッジと接触する。この繰り返し起こるまぶた−レンズの相互作用が一般に刺激感、装用者の不快感及びレンズのずれを生じさせる。したがって、好ましいコンタクトレンズ直径は、まぶた−レンズの相互作用及び対応する刺激感を最小限にするのに十分な大きさの直径である。好ましくは、コンタクトレンズは、直径が約12〜約16mm、より好ましくは約13〜15mm、もっとも好ましくは約13.5〜14.8mmである。
【0102】
IX.製造方法
本発明の色付けされた高Dk眼科用成形品又はレンズは、一般に、ポリマー前駆体(及びコモノマー)及び顔料分散系を含む重合性材料を徹底的に混合し、適量の混合物をレンズ型キャビティに適用し、重合を開始させることによって製造することができる。光開始剤、たとええば上記で開示した市販の光開始剤を予備重合混合物(ポリマー前駆体及び顔料分散系)に加えて重合の開始を支援してもよい。重合は、重合性材料に依存して放射線、たとえばマイクロ波、熱、電子ビーム及び紫外線の適用を含むことができる多数の周知の技法によって開始させることができる。好ましい重合開始方法は、紫外線の適用による方法である。予備重合混合物を型に入れるためには、それ自体公知の方法、たとえば、特に、たとえば滴下投入による従来の計量供給を使用することができる。適切な型又は型半は、ポリマー前駆体を架橋又は重合させるのに十分な選択された波長の放射線を透過させる使い捨て又はリサイクル可能なポリマー材料(たとえばポリプロピレン又はポリスチレン)から製造することができる。あるいはまた、再使用可能な型は、石英、サファイア又は金属のような材料から製造することもできる。
【0103】
製造される成形品がコンタクトレンズであるとき、それ自体公知の方法で、たとえば、たとえば米国特許第3,408,429号に記載されている従来の「スピンキャスト」型で製造することができる。しかし、引用例として取り込む米国特許第4,347,198号に記載されているような両面成形(DSM)法が好ましい。両面成形法は通常、凸(「オス」又は「後面」としても知られる)型半分と嵌合する凹(「メス」又は「前面」としても知られる)型半を使用する。通常、DSM法では、液状モノマー又はポリマー前駆体混合物をメス型半に計量供給し、オス型半をメス型半に固定し、光(たとえばUV)を適用して重合又は架橋を開始させ、固形レンズを形成する。
【0104】
本発明によると、重合又は架橋は、たとえば、60分以下、好ましくは40分以下で実施することができる。好ましい硬化時間は、たとえば約5分〜約35分である。型を開いて得られた成形品を取り出すことは、それ自体公知の方法で実施することができる。
【0105】
実質的に酸素を含まない雰囲気中で重合を開始させ、完了させることにより、前述したコア材料のいくつかのイオン及び/又は水透過性を増すことができることがわかった。市販品として入手しやすい適切なガスは、窒素及び二酸化炭素を含むが、これに限定されない。したがって、好ましい実施態様では、酸素透過及びイオン透過重合性材料は、酸素を約10000ppm未満しか有しない雰囲気中で重合させる。より好ましくは、重合性材料を包囲する雰囲気は、酸素を約1000ppm未満しか含有しない。さらに好ましくは、周囲の雰囲気は、酸素を約100ppm未満しか含有せず、もっとも好ましい酸素含有率は約20ppm未満である。
【0106】
前記実施態様では、プレポリマー混合物は、重合の前にガス抜きしなければならない。ガス抜きは、当該技術で公知の多数の技法によって達成することができる。プレポリマー混合物をガス抜きする一つの技法は、プレポリマー混合物中に適切なガス濃度レベルが達成されるまで繰り返される一連の凍結融解工程の使用を含む。この凍結融解法は、混合物が固化するまでプレポリマー混合物を冷却し、固化したプレポリマー混合物に真空を適用し、真空を停止し、再び液状形態になるまでプレポリマー混合物を融解することを含む。このガス抜き技法は実験室設定では有利であるが、工業的なレンズ製造法には、当該技術で公知の他のガス抜き技法がより有利であるかもしれない。
【0107】
あるいはまた、レンズ型を包囲する雰囲気は、特定の条件の下で酸素を含むこともできる。たとえば、レンズ型半が互いに十分に密封し、レンズ型材料が低い酸素透過率を有するならば(たとえばポリプロピレン)、最終的なレンズのイオン又は水透過性を実質的に減らすのに十分に高いプレポリマー酸素濃度に達することなく、周囲空気によって包囲された型の中でガス抜きしたプレポリマー混合物を重合させることが可能である。たとえば、両面成形のもう一つの好ましい実施態様では、レンズは、以下の工程:(1)プレポリマー混合物をガス抜きする工程、(2)レンズ型半にプレポリマー混合物を充填する工程、(3)型半を互いに密封する工程、及び(4)重合を開始させてレンズを形成する工程によって形成され、レンズ型半は、低い酸素透過係数を有する材料から形成され、工程(2)〜(4)は、酸素の存在又は非存在で実施することができる。この実施態様では、レンズ型は、使用前には、不活性で実質的に酸素を含まない雰囲気、たとえば窒素又は二酸化炭素中に貯蔵することが好ましい。
【0108】
X.例
前記開示は、当業者が本発明を実施することを可能にする。読者が特定の実施態様及びその利点をよりよく理解することができるよう、以下の例を参照することを提案する。しかし、以下の例は、本発明の範囲をいかなるふうにも限定するものと読まれるべきではない。以下の例のうち、例1A〜1Dは、全体を引用例として本明細書に取り込む、Nicolsonらに発行された米国特許第5,760,100号に開示され、記載されている材料にしたがって構成した。
【0109】
したがって、例1A(i)及び1A(ii)は、米国特許第5,760,100号に開示され、記載されているものとして材料「A」に関する。例1Bは、米国特許第5,760,100号に開示され、記載されているものとして材料「B」に関する。例1Cは、米国特許第5,760,100号に開示され、記載されているものとして材料「C」に関する。例1Dは、米国特許第5,760,100号に開示され、記載されているものとして材料「D」に関する。残りの例は、米国特許第5,760,100号には具体的に開示されてもいなし記載されてもいない。以下すべての例に関して、温度は、他義に指定しない限り、摂氏度(℃)で記す。
【0110】
例1A(i)
ヒドロキシエチルプロポキシ末端基を有するポリ(ジメチルシロキサン)ジアルカノール(Shin Etsu Chemical社、東京、日本)1モル当量(約100グラム)を、ジブチルスズジラウレート触媒(Pfaltz & Bauer社、米コネチカット州Waterbury)約0.2グラムの存在下で、イソホロンジイソシアネート(Aldrich Chemical社、米ウィスコンシン州Milwaukee)2モル当量(約21.2グラム)と、室温(約21℃)で反応させることにより、ポリシロキサンマクロマーを調製した。約48時間の反応時間ののち、ポリ(エチレングリコール)(「PEG」、約610g/mol Mn、Dow Chemical社、米ミシガン州Midland)2.02モル当量(約38.7グラム)及びジブチルスズジラウレート約0.17グラム(PEGの約0.43重量%)を前工程からの反応生成物80グラムに加えた。十分なクロロホルム(Aldrich Chemical社)を混合物に加えて混合物を均一にした。この混合物を室温で約15時間攪拌した。次に、混合物を、約44〜48℃の温度で約8時間、油浴で取り囲むことによって温度を実質的に一定に維持しながら攪拌した。次に、混合物を室温で約8時間攪拌することにより、クロロホルムを蒸発させて固形分約50重量%の最終濃度を達成した。次に、イソシアナトエチルメタクリレート(「IEM」、Monomer Polymer社、米ペンシルバニア州Feasterville)約2.14モル当量(約10.4グラム)を混合物に加えた。最後に、混合物をアルミニウム箔で覆い、室温で約17時間攪拌して、モルあたり約4000グラムの数平均分子量(Mn)を有するポリシロキサン含有マクロマーを得た。
【0111】
例1A(ii)
例1A(i)に記載された手順に実質的にしたがってポリシロキサンマクロマーを調製した。
【0112】
ポリシロキサン含有マクロマー約180グラム、3−メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン(Shin Etsu)約15グラム、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(「HEMA」)約4グラム、エチレングリコールジメタクリレート(「EDGMA」)約1グラム及びDAROCUR(登録商標)1173光開始剤約1グラムを室温で約16時間混合することにより、コポリマー前駆体溶液を調製した。
【0113】
そして、コポリマー前駆体溶液を重合させてコンタクトレンズを形成した。ポリプロピレンコンタクトレンズ型にコポリマー前駆体溶液を充填した。約3〜6mW/cm2の紫外線(約300〜400nm)を、室温で約3時間、型の中の溶液に適用した。このUV光が重合を生じさせ、それにより、溶液が、型の形状を有するコンタクトレンズを形成することを可能にした。レンズをイソプロパノールで抽出して、残留するクロロホルム溶媒及び未反応成分を除去した。得られた好ましいポリマーは、ポリシロキサンマクロマー約81.8重量%、TRIS約13.6%、2−ヒドロキシエチルメタクリレート約3.6%及びEDGMA約0.9%を含むものであった。
【0114】
例1B
1030g/molの平均分子量を有し、末端基滴定によるとヒドロキシル基1.96meq/gを含有するパーフルオロポリエーテルFomblin(登録商標)ZDOL(Ausimont社、Milan)51.5g(50mmol)をジブチルスズジラウレート50mgとともに三つ口フラスコに導入した。フラスコ内容物を攪拌しながら約20mbarまで減圧排気したのち、アルゴンで減圧を解除した。この操作を2回繰り返した。次に、アルゴン下に維持した蒸留したばかりのイソホロンジイソシアネート22.2g(0.1mol)をアルゴンの向流に加えた。水浴で冷却することにより、フラスコの温度を30℃未満に維持した。室温で一夜攪拌したのち、反応は完了した。イソシアネート滴定は、NCO含量1.40meq/g(理論値1.35meq/g)を示した。平均分子量2000g/mol(滴定によるとヒドロキシル基1.00meq/g)の、Shin-Etsuのα,ω−ヒドロキシプロピル末端ポリジメチルシロキサンKF-6001 202gをフラスコに導入した。フラスコ内容物を約0.1mbarまで減圧排気し、アルゴンで減圧を解除した。この操作を2回繰り返した。ガス抜きしたシロキサンを、アルゴン下に維持した蒸留したばかりのトルエン202mlに溶解し、ジブチルスズジラウレート(DBTDL)100mgを加えた。溶液を完全に均一化したのち、イソホロンジイソシアネート(IPDI)と反応したすべてのパーフルオロポリエーテルをアルゴン下に加えた。室温で一夜攪拌したのち、反応は完了した。高真空下、室温で溶媒を除去した。マイクロ滴定は、ヒドロキシル基0.36meq/g(理論値0.37meq/g)を示した。2−イソシアナトエチルメタクリレート(IEM)13.78g(88.9mmol)を、アルゴン下、α,ω−ヒドロキシプロピル末端ポリシロキサン−パーフルオロポリエーテル−ポリシロキサン3ブロックコポリマー(化学量論的平均で3ブロックコポリマー、ただし他のブロック長もまた存在する)247gに加えた。この混合物を室温で3日間攪拌した。すると、マイクロ滴定は、イソシアネート基をもはや示さなかった(検出限界0.01meq/g)。メタクリル基0.34meq/g(理論値0.34meq/g)が見出された。
【0115】
この方法で調製したマクロマーは完全に無色透明であった。これを、空気中、室温で数ヶ月間、光の非存在で貯蔵しても、分子量に何の変化もなかった。
【0116】
例1C
α,ω−ビス−アミノプロピル−ジメチルポリシロキサンとD(+)グルコン酸d−ラクトンとの反応
反応の前に、合成に使用するアミノ官能化ポリジメチルシロキサン(X-22-161-C、Shin Etsu、日本)をアセトニトリル中に微細に分散させ、抽出したのち、分子蒸留に付した。
【0117】
以下の反応は、H2Oを排除しながら実施した。無水THF200mlに溶解した精製アミノ官能化ポリジメチルシロキサン(NH2/g0.375meq、Mn(VPO)3400〜3900(VPO蒸気圧浸透圧法))200gを、無水THF50ml中D(+)グルコン酸d−ラクトン13.35g(75mmol)の懸濁液にゆっくりと滴下し、この混合物を、ラクトンが完全に反応するまで40℃で約24時間攪拌した(反応を薄層クロマトグラフィー(TLC)によってモニタ、シリカゲル、イソプロパノール/H2O酢酸エチル6:3:1、硫酸Ce(IV)/リンモリブデン酸溶液(CPS試薬)で染色)。反応ののち、反応溶液を乾燥状態まで濃縮し、残渣を3Pa(0.03mbar)で48時間乾燥させた。α,ω−ビス(3−グルコンアミドプロピル)−ポリ−ジメチルシロキサン213.3gを得た。過塩素酸によるアミノ基の滴定は、99.8%を超えるアミノ基の転換率を示した。
【0118】
例1D
窒素雰囲気下のドライボックス中、乾燥PDMSジプロポキシエタノール(Shin-Etsu)約200グラムを容器に加えた。PDMSジアルカノール1モルあたり約2モルに等しい量のイソシアナトエチルメタクリレート(IEM)を容器に加えた。PDMSジアルカノール重量に基づいて約0.1重量%のジブチルスズジラウレート(DBTL)触媒を攪拌棒とともに容器に加えた。容器を攪拌プレートの上で油浴に浸漬し、クランプで固定した。UPC気流を約2psigで混合物に通した。この混合物を室温(約22℃で)約24時間攪拌した。次に、イソシアネート含量に関して混合物を分析し、PDMSジアルコキシアルカノールが完全に反応していない場合は、IEMを加える反復手順を実施した。混合物を約24時間以上攪拌した。製造されたマクロマーは、シロキサン含有マクロマーであった。
【0119】
例2(顔料分散系の調製)
以下の例は、本発明の実施態様による、オルガノシロキサンモノマー、Shin-Etsu KF2801又はTRIS中の青顔料、銅フタロシアニンの分散系の調製を示す。この分散系をコンタクトレンズ配合物に使用した。これらの製品はFDAによって承認され、管理されているため、分散系は、GMP法及び条件にしたがって徹底的に清浄された器具を用いて調製されなければならない。
【0120】
5%銅フタロシアニン(CuP)の懸濁液500gをTRIS中に分散させた。H30Z(#6366)/G10Z(#6107)チャンバセットを具備したM-110EHマイクロ流動化装置を使用して分散系を調製した。処理時間は60分であり、処理圧は25,000psiであった。処理温度は30℃に維持した。攪拌機を準備して、分散工程を通じて再循環する分散系を液リザーバ中で攪拌することができるようにした。
【0121】
処理の前に、マイクロ流動化装置をまずエタノールで洗浄し、次に、高純度のTRISを十分に充填した。CuP/TRISの5%懸濁液をリザーバに分注し、攪拌した。M-110EH中のフローを開始した。数mlの青い分散系が出口ラインから排出されてはじめて、リザーバへの分散系の再循環を始動した。1時間再循環させたのち、機械を停止し、すべての分散系をサンプルリザーバから収集した。機械をすすぎ、そして清浄化するために、高純度のTRIS、次にエタノールで機械を洗い流す際、機械中に残る空隙容量が捨てられた。
【0122】
粒子の80%越えが0.45μm未満であり、すべての粒子が粒度2μm未満である平均粒度約0.35μmを達成した。分散系の収率は約80%であった。粒度は、溶媒としてエタノールを使用して、計測の前に3分間音波処理して、HORIBA LA-910又は920で分析した。好ましくは、音波処理の前後に粒度を計測する。
【0123】
例3(色付けされた予備重合混合物の調製)
本発明のレンズ配合物100%を使用するとき、成分の%(グラム(g)に換算)は次のとおりであった。
24.95%エタノール=24.95g
28.88%DMA=28.88g
19.25%TRIS=19.25g
25.92%マクロマー=25.92g
1.00%DAROCUR=1.00g
100.00%=100.00g
【0124】
最終レンズ配合物は、好ましくは、好ましい色合いを達成するために銅フタロシアニン(CuP)50ppmを有した。最終配合物はTRISを19.25%含有した。最終レンズ配合物中に所望の50ppmを計算するため、50ppmを0.1925で割り、これは259.74ppmに等しく、すなわちほぼ260ppmであった。これは、レンズ配合物に加えられる青に色付けされたTRIS(TRISブルー)19.25gごとに、銅フタロシアニン260ppmを含有することを意味する。
【0125】
レンズ材料のための青に色付けされたTRIS260ppmは、TRISブルーの5%原液を透明なTRISに加えることによって製造することができる。5%とは、TRISブルー1gあたり銅フタロシアニン0.05gを意味する。1.000000gを百万部とみなす(1,000,000を表すのに十分なゼロを加える)。すると、5%溶液とは、TRISブルー原液1グラムあたり銅フタロシアニンが0.050000gある、すなわち50,000ppmを意味する。50,000ppmTRISブルー原液を稀釈して、青に色付けされたTRIS260ppmを配合物のために得た。
【0126】
例4(色付けされたコンタクトレンズの調製)
エタノール24.95g、DMA28.9g、例1Bのマクロマー25.92g、光開始剤(Darocur(登録商標)1173)1g及び銅フタロシアニンを260ppm含有するTRIS19.25gの分散系からレンズ形成配合物を調製した。完全な均一化及びそれに続くろ過ののち、配合物を2分割式ポリプロピレン型コンタクトレンズ型のフロントカーブ型半に計量供給した。型を閉じ、UV照射(1.8〜5.3mW/cm2、30〜35分)によって重合反応を実施し、同時に架橋させた。次に、型を開き、レンズを保持する型半を抽出トレーに入れた。イソプロパノールで約4時間抽出したのち、レンズを二つの別個の60分期間に水に浸すことによって平衡させた。
【0127】
レンズは、ボディ全体が均一に色付けされ、高い可視光透過性、良好な機械的性質及び高い酸素透過係数を有した。その後、レンズを表面処理、たとえばプラズマ処理又はWO99/35520に記載の一層ごとのコーティング処理に付すことができる。
【0128】
この明細書を通じて、種々の刊行物が参照される。本発明が関連する現在の技術水準をより十分に説明するため、これらの刊行物の開示内容全体を本出願への引用例として本明細書に取り込む。
【0129】
読者が過度の実験なしに本発明を実施することができるよう、特定の好ましい実施態様を具体的に参照しながら本発明をわかりやすく詳細に説明した。読者が本発明をよりよく理解することができるよう操作の理論を提供したが、そのような理論が本発明の範囲を限定することはない。加えて、当業者は、本発明の範囲及び本質を逸することなく、前記成分、組成物及びパラメータの多くを妥当な程度に変更又は改変することができることを容易に認識するであろう。
【0130】
さらには、さらには、標題、見出し、例示材料などは、本文書の読者の理解を高めるために設けたものであり、本発明の範囲を限定するものと読むべきではない。したがって、本発明は、請求の範囲ならびにその妥当な拡張及び等価物によって定義される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)ポリシロキサンを含み、高い酸素透過係数を有するポリマーマトリックスと、その中に組み込まれた
(ii)顔料と
を含む、軟質で色付けされた眼科用成形品。
【請求項2】
前記ポリマーマトリックスがコア材料であり、眼科用に適合する面によって少なくとも部分的に包囲されている、請求項1記載の軟質で色付けされた眼科用成形品。
【請求項3】
前記眼科用成形品が、視力矯正用のコンタクトレンズ、眼の色を変えるためのコンタクトレンズ、眼科用薬物送出装置及び眼科用外傷治癒装置からなる群より選択される、請求項1又は2記載の軟質で色付けされた眼科用成形品。
【請求項4】
前記眼科用成形品が、視力矯正用のコンタクトレンズである、請求項1〜3のいずれか1項記載の軟質で色付けされた眼科用成形品。
【請求項5】
前記ポリマーマトリックスが、少なくとも一つのポリシロキサン含有マクロマーと、少なくとも一つのビニル性コモノマーとの重合生成物を含む、請求項1〜4のいずれか1項記載の軟質で色付けされた眼科用成形品。
【請求項6】
前記ポリマーマトリックスが、
(i)ポリシロキサン含有マクロマーと、
(ii)メチルアクリレート、イソブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソデシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、アクリロニトリル及びTRISからなる群より選択される疎水性モノマーと、
(iii)2−ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリレート、トリメチルアンモニウム−2−ヒドロキシプロピルメタクリレートヒドロクロリド及びN−ビニル−2−ピロリドンからなる群より選択される親水性モノマーと、
の重合生成物を含む、請求項5記載の軟質で色付けされた眼科用成形品。
【請求項7】
前記顔料がフタロシアニン顔料である、請求項1〜6のいずれか1項記載の軟質で色付けされた眼科用成形品。
【請求項8】
前記顔料が銅フタロシアニンブルーである、請求項6又は7記載の軟質で色付けされた眼科用成形品。
【請求項9】
(a)高い酸素透過係数を有するポリマー又はコポリマーを形成することができる、シリコーン含有マクロマーを含むポリマー前駆体を用意することと、
(b)顔料及び分散剤を含む顔料分散系を用意することと、
(c)前記顔料分散系と前記ポリマー前駆体とを混合して色付けされたプレポリマー混合物を形成することと、
(d)前記色付けされたプレポリマー混合物を型に計量供給することと、
(e)前記色付けされたプレポリマー混合物を前記型の中で架橋又は重合させて、ポリマーマトリックス及びその中にとり込んだ前記顔料を含む、高い酸素透過係数を有する軟質で色付けされた眼科用成形品を形成することと
を含む、軟質で色付けされた眼科用成形品を製造する方法。
【請求項10】
前記軟質で色付けされた眼科用成形品が視力矯正用コンタクトレンズである、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記ポリマー前駆体が液状材料である、請求項9又は10記載の方法。
【請求項12】
前記ポリマー前駆体が、500〜20,000の数平均分子量を有するポリ(ジメチル)シロキサンマクロマーを含む、請求項9〜11のいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記顔料分散系が前記ポリマー前駆体との混和性を有する、請求項9〜12のいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
前記顔料が有機顔料、無機顔料又はそれらの混合物を含む、請求項9〜13のいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
前記顔料がフタロシアニン顔料である、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記分散剤が、工程(a)の前記ポリマー前駆体と同じ材料である、請求項9〜15のいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
前記分散剤がアクリル化又はメタクリル化シロキサンモノマーである、請求項9〜15のいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
前記分散剤が、アルキレントリス(トリメチルシロキシ)シランを含むいずれかのモノマーである、請求項9〜15のいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
前記分散剤が、メチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソデシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、HEMA、TRIS及びアクリロニトリル又はそれらの混合物からなる群より選択される、請求項項9〜15のいずれか1項記載の方法。
【請求項20】
工程(c)の前記色付けされたプレポリマー混合物が少なくとも一つの親水性ビニルモノマーをさらに含む、請求項項9〜19のいずれか1項記載の方法。
【請求項21】
顔料の重量%が、工程(c)の前記プレポリマー混合物の全重量に基づいて0超〜約0.05重量%である、請求項9〜20のいずれか1項記載の方法。
【請求項22】
工程(e)が40分以下で起こる、請求項9〜21のいずれか1項記載の方法。
【請求項23】
請求項9〜22のいずれか1項記載の方法によって製造された軟質で色付けされた眼科用成形品。
【請求項24】
(i)高い酸素透過係数を有するポリマー又はコポリマーを形成することができるシロキサン含有マクロマーを含む架橋性又は重合性材料と、
(ii)顔料及び分散剤を含む顔料分散系と
を含む、軟質で色付けされた眼科用レンズを製造するための組成物。
【請求項25】
前記分散剤が成分(i)と架橋性又は重合性を有する、請求項24記載の組成物。
【請求項26】
前記分散剤が、メチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソデシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、HEMA、TRIS及びアクリロニトリル又はそれらの混合物からなる群より選択される、請求項項24又は25記載の組成物。
【請求項27】
前記架橋性又は重合性材料が、ジアルキルシロキサン基を有するシロキサン含有マクロマーを含み、前記分散剤がTRISである、請求項項24又は25記載の組成物。
【請求項28】
前記架橋性又は重合性材料が親水性ビニルモノマーをさらに含む、請求項24〜27のいずれか1項記載の組成物。
【請求項29】
請求項24〜28のいずれか1項記載の組成物の反応生成物を含む、軟質で色付けされた眼科用レンズ。

【公開番号】特開2010−66774(P2010−66774A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−256104(P2009−256104)
【出願日】平成21年11月9日(2009.11.9)
【分割の表示】特願2002−554772(P2002−554772)の分割
【原出願日】平成14年1月3日(2002.1.3)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】