色処理装置およびその方法
【課題】 光源の、紫外域を含む分光放射輝度を取得する。
【解決手段】 光源の可視域における分光放射輝度の測定値、および、蛍光物質を含む複数の試料の、光源の光に対する反射光の可視域における分光放射輝度の測定値を入力する。そして、光源の分光放射輝度の測定値、複数の試料の分光放射輝度の測定値、および、複数の試料の二分光放射輝度率から、光源の紫外域における分光放射輝度を算出する。
【解決手段】 光源の可視域における分光放射輝度の測定値、および、蛍光物質を含む複数の試料の、光源の光に対する反射光の可視域における分光放射輝度の測定値を入力する。そして、光源の分光放射輝度の測定値、複数の試料の分光放射輝度の測定値、および、複数の試料の二分光放射輝度率から、光源の紫外域における分光放射輝度を算出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源の、紫外域を含む分光放射輝度を取得する色処理に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータの普及により、ディジタルカメラ、スキャナなどの入力機器によって画像データを取得し、液晶ディスプレイ(LCD)などの表示機器に画像を表示し、プリンタなどの出力機器によって画像を形成することが容易になった。このような状況に伴い、入力機器、表示機器、出力機器の間の色を一致させるカラーマッチング処理が重要である。カラーマッチング処理は、マッチング対象の機器の色再現特性を記述したプロファイルに基づき各機器の再現色を対応付ける。なお、色再現特性は、所定の色票を機器によって読み取ったデータ、あるいは、機器が出力した所定の色票を測色したデータとして取得される。
【0003】
図1により画像出力機器の色再現特性を取得する手順の一例を説明する。まず、画像出力機器により所定のメディアに色票を印刷したプリント出力22を形成する。そして、測色器の光源(測色光源)からプリント出力22の色票に光を照射し、色票が反射した光を分光器を通して受光器に受光することで、反射光の分光放射輝度を測定する。反射光の分光放射輝度を測色光源の分光放射輝度で除算すれば色票の分光反射率R(λ)が算出される(S23)。
【0004】
次に、出力画像を観察する環境の光源(観察光源)24の分光放射輝度S(λ)を測定する(S25)。これら、分光反射率R(λ)、観察光源24の分光放射輝度S(λ)および等色関数x(λ)y(λ)z(λ)から下式により三刺激値XYZ27を算出する(S26)。
X = k∫R(λ)S(λ)x(λ)dλ
Y = k∫R(λ)S(λ)y(λ)dλ …(1)
Z = k∫R(λ)S(λ)z(λ)dλ
ここで、k = 100/∫S(λ)y(λ)dλ、
積分範囲は例えば380〜780nm。
【0005】
つまり、画像出力機器によりメディアに多数の色の色票を印刷し、各色票の測色値(例えば三刺激値XYZ27)を取得すれば、色票を印刷する際に画像出力機器に入力した信号値(例えばRGB値)21と測色値の関係が得られる。この対応関係は、画像出力機器の色再現特性を表す。
【0006】
しかし、画像形成に使用するメディア(例えば記録紙)などの材量に蛍光を発する材料(例えば蛍光増白剤のような蛍光物質)が使用されている場合、上記の方法で測定した分光反射率R(λ)は、観察光源の下における分光反射率R(λ)と異なる場合がある。なお、蛍光物質は、照射光に含まれる励起波長域とは異なる波長域(蛍光波長域)の光を発する。一般に、蛍光波長は励起波長より長波長になる。
【0007】
図2により励起波長が紫外域にある蛍光物質を含む試料の分光反射率R(λ)を説明する。蛍光物質を含む試料に光を照射して、試料の放射光を測定すると、照射光に含まれる紫外域(図2(a)の41)の光に蛍光物質が反応し、蛍光波長域(図2(b)の42)の光が発光される。つまり、測色器は、測色光源の紫外域(励起波長域)41の光エネルギに依存した蛍光が加わった放射光を試料から受光する。その結果、分光反射率R(λ)も測色光源の紫外域41の光エネルギに依存することになる(図2(c))。測色光源と観察光源が同じ場合は、測定において、観察光源の励起波長域の光エネルギに対応する蛍光が得られるため、正しい測色値が算出される。他方、測色光源と観察光源が異なれば、測定において、観察光源の励起波長域の光エネルギに対応しない蛍光が得られるため、正しい三刺激値を算出することができない。
【0008】
蛍光物質を含むメディアに印刷された試料の三刺激値を取得する方法として、二分光放射輝度率を用いる方法がある。二分光放射輝度率は、波長μの入射光に対する試料の分光放射輝度率を表す二変数関数F(μ,λ)であり、照射光の波長域と異なる波長域で放射する蛍光量を表すことができる。二分光放射輝度率を用いれば、下式を用いて、蛍光を考慮したCIEXYZ値を算出することができる。
X = k∫λ{∫μF(μ,λ)S(μ)dμ・x(λ)}dλ
Y = k∫λ{∫μF(μ,λ)S(μ)dμ・y(λ)}dλ …(2)
Z = k∫λ{∫μF(μ,λ)S(μ)dμ・z(λ)}dλ
ここで、k = 100/∫S(λ)y(λ)dλ、
∫λの積分範囲は380〜780nm、
∫μの積分範囲は300〜780nm。
【0009】
図3により二分光放射輝度率データのデータ構造例を説明する。二分光放射輝度率データは、図3に示すように、ある単一波長の光(以下、単色光)をあるメディアに入射した場合に、例えば、380nmから780nmまで、20nm間隔の波長における、メディアからの放射輝度率が記述された二次元のデータである。
【0010】
二分光放射輝度率を用いれば、蛍光物質を含む試料の任意の観察光源の下における色を高精度に算出することができる。しかし、色の算出には、励起波長域を含む波長域(例えば300nmから780nm)における観察光源の分光放射輝度が必要になる。しかし、一般の分光放射輝度計は可視域が測定対象であり、紫外域を含む分光放射輝度を測定することはできない。
【0011】
紫外線量を推定する技術としてチャートを用いる技術が知られている(例えば、特許文献1)。このチャートは、紫外線の照射量に応じた蛍光を放射する蛍光体部、および、複数のリファレンス部を備える。ユーザは、蛍光体部が放射する蛍光の色に一致または最も近い色をもつリファレンス部を選択することで、蛍光体部に照射された紫外線量を知ることができる。
【0012】
特許文献1のチャートを用いれば、紫外線量が多いか少ないかを判定することができる。しかし、カラーマッチングに必要な光源の励起波長域の分光放射輝度を推定することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2003-042844公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、光源の、紫外域を含む分光放射輝度を取得することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、前記の目的を達成する一手段として、以下の構成を備える。
【0016】
本発明にかかる色処理装置は、蛍光物質を含む複数の試料の二分光放射輝度率が格納された記憶手段と、光源の可視域における分光放射輝度の測定値、および、前記複数の試料の、前記光源の光に対する反射光の前記可視域における分光放射輝度の測定値を入力する入力手段と、前記光源の分光放射輝度の測定値、前記複数の試料の分光放射輝度の測定値、および、前記複数の試料の二分光放射輝度率から、前記光源の紫外域における分光放射輝度を算出する算出手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、光源の、紫外域を含む分光放射輝度を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】画像出力機器の色再現特性を取得する手順の一例を説明する図。
【図2】励起波長が紫外域にある蛍光物質を含む試料の分光反射率を説明する図。
【図3】二分光放射輝度率データのデータ構造例を説明する図。
【図4】紫外域を含む分光放射輝度の推定に用いる複数の試料を説明する図。
【図5】観察光源の下における複数の試料の可視域の測定を説明する図。
【図6】色処理装置の構成例を説明するブロック図。
【図7】推定処理および算出処理の機能構成例を説明するブロック図。
【図8】推定処理および算出処理の一例を説明するフローチャート。
【図9】光源情報推定部の処理を説明するフローチャート。
【図10】実施例2の測定装置の構成例を説明するブロック図。
【図11】実施例3の色処理装置の推定処理および算出処理の機能構成例を説明するブロック図。
【図12】UI部が表示するUIの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明にかかる実施例の色処理を図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0020】
[測定の概要]
以下では、複数の試料の二分光放射輝度率、および、可視域の測定が可能な分光放射輝度計によって測定した観察光源Sの下における複数の試料の測定値に基づき、観察光源Sの、紫外域を含む分光放射輝度を推定する方法を説明する。そして、観察光源Sの下における任意の色票の測色値を算出する方法を説明する。
【0021】
図4により紫外域を含む分光放射輝度の推定に用いる複数の試料を説明する。試料A-Dの四種の試料の二分光放射輝度率は既知であり、それぞれFa(μ,λ)、Fb(μ,λ)、Fc(μ,λ)、Fd(μ,λ)である。これら試料A-Dは、互いに異なる発光特性を示す蛍光物質を含む。それら蛍光物質は、紫外域に励起波長域を有し、可視域に蛍光波長域を有する。
【0022】
図5により観察光源の下における複数の試料の可視域の測定を説明する。試料A-Dを観察光源Sの下に配置し、可視域の測定が可能な分光放射輝度計11を用いて試料A-Dからの反射光を測定する。そして、コンピュータ機器12によって測定結果Ia(λ)、Ib(λ)、Ic(λ)、Id(λ)を取得する。コンピュータ機器12は、試料A-Dの測定結果、および、試料A-Dそれぞれの二分光放射輝度率から、観察光源Sの、紫外域を含む分光放射輝度を推定する。なお、コンピュータ機器12は、観察光源Sの、紫外域を含む分光放射輝度を推定し、観察光源Sの下における任意の色票の測色値を算出する装置(以下、色処理装置)である。
【0023】
[装置の概要]
図6のブロック図により色処理装置12の構成例を説明する。
【0024】
図6に示すCPU101は、RAM102をワークメモリとして、ROM103やハードディスクドライブ(HDD)105などの不揮発性メモリに格納されたOSや各種プログラムを実行し、システムバス109を介して、後述する構成を制御する。
【0025】
汎用インタフェイス(I/F)104は、例えばUSBのようなシリアルバス111用のシリアルバスインタフェイスで、マウスやキーボードなどの入力デバイス107、分光放射輝度計11などが接続される。ビデオカード(VC)106は、ビデオインタフェイスで、LCDなどのモニタ108が接続される。
【0026】
CPU101は、モニタ108にユーザインタフェイス(UI)を表示する。ユーザは、入力デバイス107を操作して、UIに対して指示やデータや入力する。CPU101は、入力デバイス107からユーザ指示やデータを入力し、それら入力に従いプログラムを実行して各種処理を行う。
【0027】
ユーザは、観察光源Sの下に、分光放射輝度計11によって分光放射輝度が測定可能に、試料A-Dおよび完全白色板を配置する。そして、UIを操作して、観察光源Sの下における、任意の色票の測色値の算出を指示する。この指示に応じて、CPU101は、紫外域を含む分光放射輝度を算出する処理(以下、推定処理)、および、任意の色票の測色値を算出する処理(以下、算出処理)用のHDD105に格納されたプログラムを実行する。
【0028】
[推定処理および算出処理]
図7のブロック図により推定処理および算出処理の機能構成例を説明する。なお、図7に示す機能構成は、CPU101が推定処理および算出処理用のプログラムを実行することで実現される。
【0029】
図7において、測定値取得部201は、分光放射輝度計11から試料A-Dそれぞれの測定値、および、完全白色板16の測定値(分光放射輝度)を入力する。なお、分光放射輝度計11は、可視域(例えば380nmから780nm)の分光放射輝度を測定することができればどのようなものでもよい。
【0030】
光源情報推定部202は、完全白色板16および試料A-Dの測定値、および、試料情報記憶部206が記憶する試料A-Dの二分光放射輝度から、観察光源Sの分光放射輝度を算出する(推定処理)。なお、ここで算出する観察光源Sの分光放射輝度は、紫外域(例えば300nmから380nm)の分光放射輝度である。
【0031】
色票情報取得部203は、色票の二分光放射輝度率を記憶する色票情報記憶部207から測色値の算出対象である色票(以下、対象色票)の二分光放射輝度率を取得する。なお、対象色票は、UIを介して、ユーザが指定する。また、色票情報記憶部207が記憶する二分光放射輝度率に対応する色票に制限はなく、例えばプリンタなどが出力した色票がその一例である。また、色票情報取得部203は、例えば、シリアルバスやネットワークインタフェイスを介して、色処理装置12の外部の記憶装置やサーバ装置から色票の二分光放射輝度率を取得してもよい。
【0032】
分光放射輝度算出部204は、色票情報取得部203が取得した二分光放射輝度率、観察光源Sの、可視域の分光放射輝度(測定値)、紫外域の分光放射輝度(算出値または推定値)を入力する。そして、二分光放射輝度率、測定値および算出値から、観察光源Sの下における対象色票の分光放射輝度を算出する。測色値算出部205は、観察光源Sの下における対象色票の分光放射輝度を測色値(例えばCIE三刺激値XYZなど)に変換する。
【0033】
対象色票が複数ある場合、分光放射輝度算出部204および測色値算出部205は、色票の数分、上記の算出処理を繰り返す。
【0034】
図8のフローチャートにより推定処理および算出処理の一例を説明する。
【0035】
CPU101は、測定値取得部201を制御して、分光放射輝度計11から、観察光源Sの下における完全白色板16および試料A-Dの測定値(分光放射輝度)を入力する(S101)。
【0036】
次に、CPU101は、光源情報推定部202を制御して、詳細は後述するが、完全白色板16および試料A-Dの測定値、並びに、試料A-Dの二分光放射輝度率から、観察光源Sの紫外域の分光放射輝度を算出する(S102)。
【0037】
次に、CPU101は、色票情報取得部203を制御して、対象色票の二分光放射輝度率を取得する(S103)。そして、分光放射輝度算出部204を制御して、観察光源Sの、分光放射輝度の測定値および推定値、並びに、対象色票の二分光放射輝度率を用いて、下式により観察光源Sの下における対象色票の分光放射輝度を算出する(S104)。
I(λ) = ∫F(μ,λ)S(μ)dμ …(3)
ここで、F(μ,λ)は対象色票の二分光放射輝度率、
S(μ)は観察光源Sの分光放射輝度(測定値および推測値)、
I(λ)は観察光源Sの下における対象色票の分光放射輝度、
積分範囲は例えば300nmから780nm。
【0038】
次に、CPU101は、測色値算出部205を制御して、観察光源Sの下における対象色票の分光放射輝度I(λ)を、下式により、測色値(例えばCIE三刺激値XYZ)に変換する(S105)。
X = k∫I(λ)x(λ)dλ
Y = k∫I(λ)y(λ)dλ …(4)
Z = k∫I(λ)z(λ)dλ
ここで、x(λ)y(λ)z(λ)は等色関数、
積分範囲は例えば380〜780nm、
kは定数、例えば観察光源Sの可視域における分光放射輝度S(λ)に基づいて測色値を正規化する場合は下式によって計算する。
k = 100/∫S(λ)y(λ)d(λ) …(5)
ここで、積分範囲は例えば380〜780nm。
【0039】
なお、算出された対象色票の測色値は、例えば、HDD105に格納されて、色処理装置12のカラーマッチング処理に利用する。あるいは、算出された色票の測色値は、例えば、シリアルバスやネットワークインタフェイスを介して、他の画像処理装置や記憶装置に送信されて、カラーマッチング処理などに利用される。
【0040】
●紫外域の分光放射輝度の算出
図9のフローチャートにより光源情報推定部202の処理(S102)を説明する。
【0041】
光源情報推定部202は、観察光源Sの下における完全白色板16の測定値(分光放射輝度)を入力する(S201)。この測定値は、観察光源Sの可視域(例えば380nmから780nm)の分光放射輝度を示す。なお、完全白色板16の各波長における分光反射率が100%とは言えない。そのため、測定値を完全白色板16の既知の分光反射率で除算したデータを観察光源Sの可視域における分光放射輝度とすれば算出精度を高めることができる。
【0042】
次に、光源情報推定部202は、観察光源Sの下における試料A-Dの測定値(分光放射輝度)Ia(λ)、Ib(λ)、Ic(λ)、Id(λ)を入力する(S202)。そして、試料情報記憶部206から試料A-Dの二分光放射輝度率Fa(μ,λ)、Fb(μ,λ)、Fc(μ,λ)、Fd(μ,λ)を取得する(S203)。
【0043】
次に、光源情報推定部202は、出力波長λiを設定する(S204)。設定する出力波長は、試料が蛍光を発する波長が好ましく、一般的なプリンタ用のメディアでは400nmから480nm付近の波長域である。例えば、出力波長λi=440nmなどを設定する。なお、ユーザは、UIを操作して、出力波長λiを指定することができる。
【0044】
次に、光源情報推定部202は、試料A-Dの二分光放射輝度率から、出力波長λiにおける二分光放射輝度率を抽出し、変換行列を作成する(S205)。具体的には、まず、各試料の二分光放射輝度率Fa(μ,λ)、Fb(μ,λ)、Fc(μ,λ)、Fd(μ,λ)の出力は長λiの成分であるFa(μ,λi)、Fa(μ,λi)、Fc(μ,λi)、Fd(μ,λi)を抽出する。なお、λi=440nmであれば、Fa(μ,440)、Fa(μ,440)、Fc(μ,440)、Fd(μ,440)を抽出する。そして、各試料の成分を行ベクトルとして順に並べた下式に示す行列Tを作成する。
┌ ┐
│Fa(300,λi) Fa(320,λi) Fa(340,λi) … Fa(480,λi)│
T = │Fb(300,λi) Fb(320,λi) Fb(340,λi) … Fb(480,λi)│
│Fc(300,λi) Fc(320,λi) Fc(340,λi) … Fc(480,λi)│ …(6)
│Fd(300,λi) Fd(320,λi) Fd(340,λi) … Fd(480,λi)│
└ ┘
【0045】
行列Tと、観察光源S(λ)、観察光源Sの下における各試料の測定値Ia(λ)、Ib(λ)、Ic(λ)、Id(λ)の関係を下式に示す。
┌ ┐ ┌ ┐
│Ia(λi)│ │S(300)│
│Ib(λi)│ = T×│S(320)│
│Ic(λi)│ │S(340)│ …(7)
│Id(λi)│ │ : │
└ ┘ │S(480)│
└ ┘
【0046】
観察光源Sの可視域(例えば380nmから780nm)における分光放射輝度は、ステップS201で取得したため、右辺の定数項として分離することができ、式(7)を下式に変形することができる。
┌ ┐ ┌ ┐ ┌ ┐
│Ia(λi)│ │S(300)│ │Ca│
│Ib(λi)│ = T'×│S(320)│ + │Cb│
│Ic(λi)│ │S(340)│ │Cc│ …(8)
│Id(λi)│ │S(360)│ │Cd│
└ ┘ └ ┘ └ ┘
ここで、Ca、Cb、Cc、Cdはそれぞれ定数項、
T'は下式に示す4×4の正則行列。
┌ ┐
│Fa(300,λi) Fa(320,λi) Fa(340,λi) Fa(360,λi)│
T' = │Fb(300,λi) Fb(320,λi) Fb(340,λi) Fb(360,λi)│
│Fc(300,λi) Fc(320,λi) Fc(340,λi) Fc(360,λi)│ …(9)
│Fd(300,λi) Fd(320,λi) Fd(340,λi) Fd(360,λi)│
└ ┘
【0047】
以下、式(9)に示す行列T'を変換行列として説明する。
【0048】
次に、光源情報推定部202は、変換行列T'の逆行列T'-1を算出する(S206)。なお、逆行列の算出には既知の方法を用いればよい。そして、算出した逆行列T'-1を用いて、観察光源Sの紫外域(例えば300nmから360nm)における分光放射輝度の算出式を生成する(S207)。式(8)の右辺の定数項を左辺に移動し、両辺に逆行列T'-1を乗算すると下式が得られる。
┌ ┐ ┌┌ ┐ ┌ ┐┐
│S(300)│ ││Ia(λi)│ │Ca││
│S(320)│ = T'-1×││Ib(λi)│ - │Cb││
│S(340)│ ││Ic(λi)│ │Cc││ …(10)
│S(360)│ ││Id(λi)│ │Cd││
└ ┘ └└ ┘ └ ┘┘
【0049】
次に、光源情報推定部202は、式(10)を用いて、観察光源Sの紫外域における分光放射輝度を算出する(S208)。そして、観察光源Sの紫外域の分光放射輝度(算出値)とステップS201で入力した可視域の分光放射輝度(測定値)を合成して(S209)、処理を終了する。
【0050】
[算出した測色値のCMSにおける使用方法]
色処理装置12によって算出した色票の測色値は、例えば、カラーマネジメントシステム(CMS)において使用することができる。CMSは、デバイスごとに異なる色再現範囲の間の差を吸収して、異なるデバイスの間で可能な限り同等な色再現を実現するシステムである。一般的なCMSは、デバイス依存の色空間(例えばRGBやCMYKなど)と、デバイス非依存の色空間(例えばCIEXYZやCIELABなど)を相互に変換しながら異なるデバイスの間のカラーマッチングを実現する。デバイス依存の色空間とデバイス非依存の色空間の間の相互変換には、デバイスの色再現特性を格納したプロファイル(例えばICCプロファイルなど)を用いる。プロファイルは、変換式や変換テーブル(LUT)としてデバイスの色再現特性を格納し、プロファイルを参照することで色空間の間の相互変換が可能になる。
【0051】
つまり、プリンタなどの画像形成装置が形成した複数の色票の測定値を色処理装置12に入力して、測色値を算出し、デバイス依存のRGB値との対応関係を記述したプロファイルを作成すれば、算出した測色値は一般的なCMSで利用することが可能になる。なお、その際、色処理装置12に入力する測定値の数(色票の数)は、例えばRGB各9ステップ、計93=729色など、画像形成装置の色再現特性を取得するのに充分な数であればよい。
【0052】
このように、可視域の測定が可能な一般的な測定器による、二分光放射輝度率が既知の複数の試料A-Dの測定結果から、観察光源Sの、紫外域を含む分光放射輝度を推定することができる。従って、観察光源Sの、推定した分光放射輝度に基づきカラーマッチング処理を実行することで、蛍光物質を含むメディアを用いて形成された画像について高精度な色再現を実現することができる。つまり、光源の、紫外域を含む分光放射輝度を算出することができ、蛍光物質を含む試料に対する任意の観察環境の下における正確な色再現が可能になる。
【実施例2】
【0053】
以下、本発明にかかる実施例2の色処理を説明する。なお、実施例2において、実施例1と略同様の構成については、同一符号を付して、その詳細説明を省略する。
【0054】
実施例1では、観察光源の、紫外域を含む分光放射輝度を推定し、任意の色票の観察光源の下における測色値を算出する色処理装置12を、アプリケーションプログラムによって実現する例を説明した。実施例2では、観察光源の、紫外域を含む分光放射輝度を出力する測定器として、本発明を実施する例を説明する。
【0055】
図10のブロック図により実施例2の測定装置14の構成例を説明する。
【0056】
図10において、測定部401は、試料A-Dおよび完全白色板16の可視域における分光放射輝度を測定する分光放射輝度計に相当する。測定値取得部102は、測定部401から試料A-Dそれぞれの測定値、および、完全白色板16の測定値を取得する。光源情報推定部202は、試料A-Dの測定値、および、試料情報記憶部206が記憶する試料A-Dの二分光放射輝度から、観察光源Sの、紫外域を含む分光放射輝度を推定する。
【0057】
出力部404は、観察光源Sの、分光放射輝度の推定値、または、測定値と推定値を合成した分光放射輝度を測定装置に接続された記憶装置17に出力するインタフェイス(例えばUSBインタフェイス)である。
【0058】
測定装置14は、測定部401により、可視域における試料A-Dおよび完全白色板16の分光放射輝度を測定する。そして、測定値取得部201もより測定値を取得し、光源情報推定部202において、観察光源Sの、紫外域を含む分光放射輝度を推定する。そして、観察光源Sの、推定した紫外域を含む分光放射輝度を出力部404から出力する。
【0059】
なお、測定値、推定値の出力先は、記憶装置17に限らず、例えば、シリアルバスを介して接続された画像処理装置や、ネットワークインタフェイスを介して接続された画像処理装置やサーバ装置でもよい。
【0060】
このように、可視域のみの分光放射輝度の測定が可能な測定装置においても、光源の、紫外域を含む分光放射輝度を推定し、出力することができる。
【実施例3】
【0061】
以下、本発明にかかる実施例3の色処理を説明する。なお、実施例3において、実施例1、2と略同様の構成については、同一符号を付して、その詳細説明を省略する。
【0062】
実施例1、2においては、観察光源Sの紫外域の分光放射輝度を推定する色処理装置、測定装置を説明した。しかし、色票が蛍光物質を含まない場合、色票の測色値を算出する際に、観察光源Sの紫外域の分光放射輝度は不要であり、従来のように可視域のみを使用して測色値を算出しても構わない。そこで、実施例3においては、ユーザがUIを操作して、観察光源Sの紫外域の分光放射輝度を推定する処理を実施するか否かを選択可能にした色処理装置を説明する。
【0063】
図11のブロック図により実施例3の色処理装置12の推定処理および算出処理の機能構成例を説明する。
【0064】
実施例3の色処理装置12は、実施例1の色処理装置12の構成に、モニタ106にUIを表示し、ユーザ指示を入力するUI部211が追加された構成を有する。図12によりUI部211が表示するUIの一例を示す。
【0065】
UI部211が提供するUIは、測色値の算出対象の色票が蛍光物質を含むか否かを選択するラジオボタン1001を有する。つまり、ユーザは、ラジオボタン1001を操作して、蛍光物質を含む色票の場合は「蛍光色票」を選択し、蛍光物質を含まない色票の場合は「非蛍光色票」を選択して、[OK]ボタン1002が押す。
【0066】
「蛍光色票」が選択された場合、UI部211は、測色値取得部201と光源情報推定部202を制御して、実施例1で説明した処理を実行させる。つまり、観察光源Sの、紫外域を含む分光放射輝度が推定され、推定された分光放射輝度から色票の測色値が計算される。
【0067】
一方、「非蛍光色票」が選択された場合、UI部211は、観察光源Sの、紫外域を含む分光放射輝度の推定を行わずに、可視域の分光放射輝度により色票の測色値を計算するように、測色値取得部201と光源情報推定部202を制御する。
【0068】
[変形例]
上記の実施例において、試料A-Dの二分光放射輝度率や、観察光源の分光放射輝度を20nm間隔で測定したデータに基づき処理を行う例を説明したが、例えば10nm間隔、5nm間隔、1nm間隔で測定したデータを使用してもよい。その場合、観察光源の紫外域の推定に使用する試料の数を増やす必要がある。例えば、10nm間隔の測定の場合、蛍光物質を含む九種類の試料を使用する。
【0069】
また、上記の実施例において、色票の測色値として、観察光源の下におけるCIE三刺激値XYZを算出する構成を説明した。しかし、CIEXYZ値を例えばCIELABやCIECAM02などのカラーアピアランス空間の値に変換し、カラーアピアランス値を出力してもよい。さらに、複数の色票の測色値を算出し、上述したカラープロファイルの形式として出力しても構わない。
【0070】
[その他の実施例]
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源の、紫外域を含む分光放射輝度を取得する色処理に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータの普及により、ディジタルカメラ、スキャナなどの入力機器によって画像データを取得し、液晶ディスプレイ(LCD)などの表示機器に画像を表示し、プリンタなどの出力機器によって画像を形成することが容易になった。このような状況に伴い、入力機器、表示機器、出力機器の間の色を一致させるカラーマッチング処理が重要である。カラーマッチング処理は、マッチング対象の機器の色再現特性を記述したプロファイルに基づき各機器の再現色を対応付ける。なお、色再現特性は、所定の色票を機器によって読み取ったデータ、あるいは、機器が出力した所定の色票を測色したデータとして取得される。
【0003】
図1により画像出力機器の色再現特性を取得する手順の一例を説明する。まず、画像出力機器により所定のメディアに色票を印刷したプリント出力22を形成する。そして、測色器の光源(測色光源)からプリント出力22の色票に光を照射し、色票が反射した光を分光器を通して受光器に受光することで、反射光の分光放射輝度を測定する。反射光の分光放射輝度を測色光源の分光放射輝度で除算すれば色票の分光反射率R(λ)が算出される(S23)。
【0004】
次に、出力画像を観察する環境の光源(観察光源)24の分光放射輝度S(λ)を測定する(S25)。これら、分光反射率R(λ)、観察光源24の分光放射輝度S(λ)および等色関数x(λ)y(λ)z(λ)から下式により三刺激値XYZ27を算出する(S26)。
X = k∫R(λ)S(λ)x(λ)dλ
Y = k∫R(λ)S(λ)y(λ)dλ …(1)
Z = k∫R(λ)S(λ)z(λ)dλ
ここで、k = 100/∫S(λ)y(λ)dλ、
積分範囲は例えば380〜780nm。
【0005】
つまり、画像出力機器によりメディアに多数の色の色票を印刷し、各色票の測色値(例えば三刺激値XYZ27)を取得すれば、色票を印刷する際に画像出力機器に入力した信号値(例えばRGB値)21と測色値の関係が得られる。この対応関係は、画像出力機器の色再現特性を表す。
【0006】
しかし、画像形成に使用するメディア(例えば記録紙)などの材量に蛍光を発する材料(例えば蛍光増白剤のような蛍光物質)が使用されている場合、上記の方法で測定した分光反射率R(λ)は、観察光源の下における分光反射率R(λ)と異なる場合がある。なお、蛍光物質は、照射光に含まれる励起波長域とは異なる波長域(蛍光波長域)の光を発する。一般に、蛍光波長は励起波長より長波長になる。
【0007】
図2により励起波長が紫外域にある蛍光物質を含む試料の分光反射率R(λ)を説明する。蛍光物質を含む試料に光を照射して、試料の放射光を測定すると、照射光に含まれる紫外域(図2(a)の41)の光に蛍光物質が反応し、蛍光波長域(図2(b)の42)の光が発光される。つまり、測色器は、測色光源の紫外域(励起波長域)41の光エネルギに依存した蛍光が加わった放射光を試料から受光する。その結果、分光反射率R(λ)も測色光源の紫外域41の光エネルギに依存することになる(図2(c))。測色光源と観察光源が同じ場合は、測定において、観察光源の励起波長域の光エネルギに対応する蛍光が得られるため、正しい測色値が算出される。他方、測色光源と観察光源が異なれば、測定において、観察光源の励起波長域の光エネルギに対応しない蛍光が得られるため、正しい三刺激値を算出することができない。
【0008】
蛍光物質を含むメディアに印刷された試料の三刺激値を取得する方法として、二分光放射輝度率を用いる方法がある。二分光放射輝度率は、波長μの入射光に対する試料の分光放射輝度率を表す二変数関数F(μ,λ)であり、照射光の波長域と異なる波長域で放射する蛍光量を表すことができる。二分光放射輝度率を用いれば、下式を用いて、蛍光を考慮したCIEXYZ値を算出することができる。
X = k∫λ{∫μF(μ,λ)S(μ)dμ・x(λ)}dλ
Y = k∫λ{∫μF(μ,λ)S(μ)dμ・y(λ)}dλ …(2)
Z = k∫λ{∫μF(μ,λ)S(μ)dμ・z(λ)}dλ
ここで、k = 100/∫S(λ)y(λ)dλ、
∫λの積分範囲は380〜780nm、
∫μの積分範囲は300〜780nm。
【0009】
図3により二分光放射輝度率データのデータ構造例を説明する。二分光放射輝度率データは、図3に示すように、ある単一波長の光(以下、単色光)をあるメディアに入射した場合に、例えば、380nmから780nmまで、20nm間隔の波長における、メディアからの放射輝度率が記述された二次元のデータである。
【0010】
二分光放射輝度率を用いれば、蛍光物質を含む試料の任意の観察光源の下における色を高精度に算出することができる。しかし、色の算出には、励起波長域を含む波長域(例えば300nmから780nm)における観察光源の分光放射輝度が必要になる。しかし、一般の分光放射輝度計は可視域が測定対象であり、紫外域を含む分光放射輝度を測定することはできない。
【0011】
紫外線量を推定する技術としてチャートを用いる技術が知られている(例えば、特許文献1)。このチャートは、紫外線の照射量に応じた蛍光を放射する蛍光体部、および、複数のリファレンス部を備える。ユーザは、蛍光体部が放射する蛍光の色に一致または最も近い色をもつリファレンス部を選択することで、蛍光体部に照射された紫外線量を知ることができる。
【0012】
特許文献1のチャートを用いれば、紫外線量が多いか少ないかを判定することができる。しかし、カラーマッチングに必要な光源の励起波長域の分光放射輝度を推定することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2003-042844公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、光源の、紫外域を含む分光放射輝度を取得することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、前記の目的を達成する一手段として、以下の構成を備える。
【0016】
本発明にかかる色処理装置は、蛍光物質を含む複数の試料の二分光放射輝度率が格納された記憶手段と、光源の可視域における分光放射輝度の測定値、および、前記複数の試料の、前記光源の光に対する反射光の前記可視域における分光放射輝度の測定値を入力する入力手段と、前記光源の分光放射輝度の測定値、前記複数の試料の分光放射輝度の測定値、および、前記複数の試料の二分光放射輝度率から、前記光源の紫外域における分光放射輝度を算出する算出手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、光源の、紫外域を含む分光放射輝度を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】画像出力機器の色再現特性を取得する手順の一例を説明する図。
【図2】励起波長が紫外域にある蛍光物質を含む試料の分光反射率を説明する図。
【図3】二分光放射輝度率データのデータ構造例を説明する図。
【図4】紫外域を含む分光放射輝度の推定に用いる複数の試料を説明する図。
【図5】観察光源の下における複数の試料の可視域の測定を説明する図。
【図6】色処理装置の構成例を説明するブロック図。
【図7】推定処理および算出処理の機能構成例を説明するブロック図。
【図8】推定処理および算出処理の一例を説明するフローチャート。
【図9】光源情報推定部の処理を説明するフローチャート。
【図10】実施例2の測定装置の構成例を説明するブロック図。
【図11】実施例3の色処理装置の推定処理および算出処理の機能構成例を説明するブロック図。
【図12】UI部が表示するUIの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明にかかる実施例の色処理を図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0020】
[測定の概要]
以下では、複数の試料の二分光放射輝度率、および、可視域の測定が可能な分光放射輝度計によって測定した観察光源Sの下における複数の試料の測定値に基づき、観察光源Sの、紫外域を含む分光放射輝度を推定する方法を説明する。そして、観察光源Sの下における任意の色票の測色値を算出する方法を説明する。
【0021】
図4により紫外域を含む分光放射輝度の推定に用いる複数の試料を説明する。試料A-Dの四種の試料の二分光放射輝度率は既知であり、それぞれFa(μ,λ)、Fb(μ,λ)、Fc(μ,λ)、Fd(μ,λ)である。これら試料A-Dは、互いに異なる発光特性を示す蛍光物質を含む。それら蛍光物質は、紫外域に励起波長域を有し、可視域に蛍光波長域を有する。
【0022】
図5により観察光源の下における複数の試料の可視域の測定を説明する。試料A-Dを観察光源Sの下に配置し、可視域の測定が可能な分光放射輝度計11を用いて試料A-Dからの反射光を測定する。そして、コンピュータ機器12によって測定結果Ia(λ)、Ib(λ)、Ic(λ)、Id(λ)を取得する。コンピュータ機器12は、試料A-Dの測定結果、および、試料A-Dそれぞれの二分光放射輝度率から、観察光源Sの、紫外域を含む分光放射輝度を推定する。なお、コンピュータ機器12は、観察光源Sの、紫外域を含む分光放射輝度を推定し、観察光源Sの下における任意の色票の測色値を算出する装置(以下、色処理装置)である。
【0023】
[装置の概要]
図6のブロック図により色処理装置12の構成例を説明する。
【0024】
図6に示すCPU101は、RAM102をワークメモリとして、ROM103やハードディスクドライブ(HDD)105などの不揮発性メモリに格納されたOSや各種プログラムを実行し、システムバス109を介して、後述する構成を制御する。
【0025】
汎用インタフェイス(I/F)104は、例えばUSBのようなシリアルバス111用のシリアルバスインタフェイスで、マウスやキーボードなどの入力デバイス107、分光放射輝度計11などが接続される。ビデオカード(VC)106は、ビデオインタフェイスで、LCDなどのモニタ108が接続される。
【0026】
CPU101は、モニタ108にユーザインタフェイス(UI)を表示する。ユーザは、入力デバイス107を操作して、UIに対して指示やデータや入力する。CPU101は、入力デバイス107からユーザ指示やデータを入力し、それら入力に従いプログラムを実行して各種処理を行う。
【0027】
ユーザは、観察光源Sの下に、分光放射輝度計11によって分光放射輝度が測定可能に、試料A-Dおよび完全白色板を配置する。そして、UIを操作して、観察光源Sの下における、任意の色票の測色値の算出を指示する。この指示に応じて、CPU101は、紫外域を含む分光放射輝度を算出する処理(以下、推定処理)、および、任意の色票の測色値を算出する処理(以下、算出処理)用のHDD105に格納されたプログラムを実行する。
【0028】
[推定処理および算出処理]
図7のブロック図により推定処理および算出処理の機能構成例を説明する。なお、図7に示す機能構成は、CPU101が推定処理および算出処理用のプログラムを実行することで実現される。
【0029】
図7において、測定値取得部201は、分光放射輝度計11から試料A-Dそれぞれの測定値、および、完全白色板16の測定値(分光放射輝度)を入力する。なお、分光放射輝度計11は、可視域(例えば380nmから780nm)の分光放射輝度を測定することができればどのようなものでもよい。
【0030】
光源情報推定部202は、完全白色板16および試料A-Dの測定値、および、試料情報記憶部206が記憶する試料A-Dの二分光放射輝度から、観察光源Sの分光放射輝度を算出する(推定処理)。なお、ここで算出する観察光源Sの分光放射輝度は、紫外域(例えば300nmから380nm)の分光放射輝度である。
【0031】
色票情報取得部203は、色票の二分光放射輝度率を記憶する色票情報記憶部207から測色値の算出対象である色票(以下、対象色票)の二分光放射輝度率を取得する。なお、対象色票は、UIを介して、ユーザが指定する。また、色票情報記憶部207が記憶する二分光放射輝度率に対応する色票に制限はなく、例えばプリンタなどが出力した色票がその一例である。また、色票情報取得部203は、例えば、シリアルバスやネットワークインタフェイスを介して、色処理装置12の外部の記憶装置やサーバ装置から色票の二分光放射輝度率を取得してもよい。
【0032】
分光放射輝度算出部204は、色票情報取得部203が取得した二分光放射輝度率、観察光源Sの、可視域の分光放射輝度(測定値)、紫外域の分光放射輝度(算出値または推定値)を入力する。そして、二分光放射輝度率、測定値および算出値から、観察光源Sの下における対象色票の分光放射輝度を算出する。測色値算出部205は、観察光源Sの下における対象色票の分光放射輝度を測色値(例えばCIE三刺激値XYZなど)に変換する。
【0033】
対象色票が複数ある場合、分光放射輝度算出部204および測色値算出部205は、色票の数分、上記の算出処理を繰り返す。
【0034】
図8のフローチャートにより推定処理および算出処理の一例を説明する。
【0035】
CPU101は、測定値取得部201を制御して、分光放射輝度計11から、観察光源Sの下における完全白色板16および試料A-Dの測定値(分光放射輝度)を入力する(S101)。
【0036】
次に、CPU101は、光源情報推定部202を制御して、詳細は後述するが、完全白色板16および試料A-Dの測定値、並びに、試料A-Dの二分光放射輝度率から、観察光源Sの紫外域の分光放射輝度を算出する(S102)。
【0037】
次に、CPU101は、色票情報取得部203を制御して、対象色票の二分光放射輝度率を取得する(S103)。そして、分光放射輝度算出部204を制御して、観察光源Sの、分光放射輝度の測定値および推定値、並びに、対象色票の二分光放射輝度率を用いて、下式により観察光源Sの下における対象色票の分光放射輝度を算出する(S104)。
I(λ) = ∫F(μ,λ)S(μ)dμ …(3)
ここで、F(μ,λ)は対象色票の二分光放射輝度率、
S(μ)は観察光源Sの分光放射輝度(測定値および推測値)、
I(λ)は観察光源Sの下における対象色票の分光放射輝度、
積分範囲は例えば300nmから780nm。
【0038】
次に、CPU101は、測色値算出部205を制御して、観察光源Sの下における対象色票の分光放射輝度I(λ)を、下式により、測色値(例えばCIE三刺激値XYZ)に変換する(S105)。
X = k∫I(λ)x(λ)dλ
Y = k∫I(λ)y(λ)dλ …(4)
Z = k∫I(λ)z(λ)dλ
ここで、x(λ)y(λ)z(λ)は等色関数、
積分範囲は例えば380〜780nm、
kは定数、例えば観察光源Sの可視域における分光放射輝度S(λ)に基づいて測色値を正規化する場合は下式によって計算する。
k = 100/∫S(λ)y(λ)d(λ) …(5)
ここで、積分範囲は例えば380〜780nm。
【0039】
なお、算出された対象色票の測色値は、例えば、HDD105に格納されて、色処理装置12のカラーマッチング処理に利用する。あるいは、算出された色票の測色値は、例えば、シリアルバスやネットワークインタフェイスを介して、他の画像処理装置や記憶装置に送信されて、カラーマッチング処理などに利用される。
【0040】
●紫外域の分光放射輝度の算出
図9のフローチャートにより光源情報推定部202の処理(S102)を説明する。
【0041】
光源情報推定部202は、観察光源Sの下における完全白色板16の測定値(分光放射輝度)を入力する(S201)。この測定値は、観察光源Sの可視域(例えば380nmから780nm)の分光放射輝度を示す。なお、完全白色板16の各波長における分光反射率が100%とは言えない。そのため、測定値を完全白色板16の既知の分光反射率で除算したデータを観察光源Sの可視域における分光放射輝度とすれば算出精度を高めることができる。
【0042】
次に、光源情報推定部202は、観察光源Sの下における試料A-Dの測定値(分光放射輝度)Ia(λ)、Ib(λ)、Ic(λ)、Id(λ)を入力する(S202)。そして、試料情報記憶部206から試料A-Dの二分光放射輝度率Fa(μ,λ)、Fb(μ,λ)、Fc(μ,λ)、Fd(μ,λ)を取得する(S203)。
【0043】
次に、光源情報推定部202は、出力波長λiを設定する(S204)。設定する出力波長は、試料が蛍光を発する波長が好ましく、一般的なプリンタ用のメディアでは400nmから480nm付近の波長域である。例えば、出力波長λi=440nmなどを設定する。なお、ユーザは、UIを操作して、出力波長λiを指定することができる。
【0044】
次に、光源情報推定部202は、試料A-Dの二分光放射輝度率から、出力波長λiにおける二分光放射輝度率を抽出し、変換行列を作成する(S205)。具体的には、まず、各試料の二分光放射輝度率Fa(μ,λ)、Fb(μ,λ)、Fc(μ,λ)、Fd(μ,λ)の出力は長λiの成分であるFa(μ,λi)、Fa(μ,λi)、Fc(μ,λi)、Fd(μ,λi)を抽出する。なお、λi=440nmであれば、Fa(μ,440)、Fa(μ,440)、Fc(μ,440)、Fd(μ,440)を抽出する。そして、各試料の成分を行ベクトルとして順に並べた下式に示す行列Tを作成する。
┌ ┐
│Fa(300,λi) Fa(320,λi) Fa(340,λi) … Fa(480,λi)│
T = │Fb(300,λi) Fb(320,λi) Fb(340,λi) … Fb(480,λi)│
│Fc(300,λi) Fc(320,λi) Fc(340,λi) … Fc(480,λi)│ …(6)
│Fd(300,λi) Fd(320,λi) Fd(340,λi) … Fd(480,λi)│
└ ┘
【0045】
行列Tと、観察光源S(λ)、観察光源Sの下における各試料の測定値Ia(λ)、Ib(λ)、Ic(λ)、Id(λ)の関係を下式に示す。
┌ ┐ ┌ ┐
│Ia(λi)│ │S(300)│
│Ib(λi)│ = T×│S(320)│
│Ic(λi)│ │S(340)│ …(7)
│Id(λi)│ │ : │
└ ┘ │S(480)│
└ ┘
【0046】
観察光源Sの可視域(例えば380nmから780nm)における分光放射輝度は、ステップS201で取得したため、右辺の定数項として分離することができ、式(7)を下式に変形することができる。
┌ ┐ ┌ ┐ ┌ ┐
│Ia(λi)│ │S(300)│ │Ca│
│Ib(λi)│ = T'×│S(320)│ + │Cb│
│Ic(λi)│ │S(340)│ │Cc│ …(8)
│Id(λi)│ │S(360)│ │Cd│
└ ┘ └ ┘ └ ┘
ここで、Ca、Cb、Cc、Cdはそれぞれ定数項、
T'は下式に示す4×4の正則行列。
┌ ┐
│Fa(300,λi) Fa(320,λi) Fa(340,λi) Fa(360,λi)│
T' = │Fb(300,λi) Fb(320,λi) Fb(340,λi) Fb(360,λi)│
│Fc(300,λi) Fc(320,λi) Fc(340,λi) Fc(360,λi)│ …(9)
│Fd(300,λi) Fd(320,λi) Fd(340,λi) Fd(360,λi)│
└ ┘
【0047】
以下、式(9)に示す行列T'を変換行列として説明する。
【0048】
次に、光源情報推定部202は、変換行列T'の逆行列T'-1を算出する(S206)。なお、逆行列の算出には既知の方法を用いればよい。そして、算出した逆行列T'-1を用いて、観察光源Sの紫外域(例えば300nmから360nm)における分光放射輝度の算出式を生成する(S207)。式(8)の右辺の定数項を左辺に移動し、両辺に逆行列T'-1を乗算すると下式が得られる。
┌ ┐ ┌┌ ┐ ┌ ┐┐
│S(300)│ ││Ia(λi)│ │Ca││
│S(320)│ = T'-1×││Ib(λi)│ - │Cb││
│S(340)│ ││Ic(λi)│ │Cc││ …(10)
│S(360)│ ││Id(λi)│ │Cd││
└ ┘ └└ ┘ └ ┘┘
【0049】
次に、光源情報推定部202は、式(10)を用いて、観察光源Sの紫外域における分光放射輝度を算出する(S208)。そして、観察光源Sの紫外域の分光放射輝度(算出値)とステップS201で入力した可視域の分光放射輝度(測定値)を合成して(S209)、処理を終了する。
【0050】
[算出した測色値のCMSにおける使用方法]
色処理装置12によって算出した色票の測色値は、例えば、カラーマネジメントシステム(CMS)において使用することができる。CMSは、デバイスごとに異なる色再現範囲の間の差を吸収して、異なるデバイスの間で可能な限り同等な色再現を実現するシステムである。一般的なCMSは、デバイス依存の色空間(例えばRGBやCMYKなど)と、デバイス非依存の色空間(例えばCIEXYZやCIELABなど)を相互に変換しながら異なるデバイスの間のカラーマッチングを実現する。デバイス依存の色空間とデバイス非依存の色空間の間の相互変換には、デバイスの色再現特性を格納したプロファイル(例えばICCプロファイルなど)を用いる。プロファイルは、変換式や変換テーブル(LUT)としてデバイスの色再現特性を格納し、プロファイルを参照することで色空間の間の相互変換が可能になる。
【0051】
つまり、プリンタなどの画像形成装置が形成した複数の色票の測定値を色処理装置12に入力して、測色値を算出し、デバイス依存のRGB値との対応関係を記述したプロファイルを作成すれば、算出した測色値は一般的なCMSで利用することが可能になる。なお、その際、色処理装置12に入力する測定値の数(色票の数)は、例えばRGB各9ステップ、計93=729色など、画像形成装置の色再現特性を取得するのに充分な数であればよい。
【0052】
このように、可視域の測定が可能な一般的な測定器による、二分光放射輝度率が既知の複数の試料A-Dの測定結果から、観察光源Sの、紫外域を含む分光放射輝度を推定することができる。従って、観察光源Sの、推定した分光放射輝度に基づきカラーマッチング処理を実行することで、蛍光物質を含むメディアを用いて形成された画像について高精度な色再現を実現することができる。つまり、光源の、紫外域を含む分光放射輝度を算出することができ、蛍光物質を含む試料に対する任意の観察環境の下における正確な色再現が可能になる。
【実施例2】
【0053】
以下、本発明にかかる実施例2の色処理を説明する。なお、実施例2において、実施例1と略同様の構成については、同一符号を付して、その詳細説明を省略する。
【0054】
実施例1では、観察光源の、紫外域を含む分光放射輝度を推定し、任意の色票の観察光源の下における測色値を算出する色処理装置12を、アプリケーションプログラムによって実現する例を説明した。実施例2では、観察光源の、紫外域を含む分光放射輝度を出力する測定器として、本発明を実施する例を説明する。
【0055】
図10のブロック図により実施例2の測定装置14の構成例を説明する。
【0056】
図10において、測定部401は、試料A-Dおよび完全白色板16の可視域における分光放射輝度を測定する分光放射輝度計に相当する。測定値取得部102は、測定部401から試料A-Dそれぞれの測定値、および、完全白色板16の測定値を取得する。光源情報推定部202は、試料A-Dの測定値、および、試料情報記憶部206が記憶する試料A-Dの二分光放射輝度から、観察光源Sの、紫外域を含む分光放射輝度を推定する。
【0057】
出力部404は、観察光源Sの、分光放射輝度の推定値、または、測定値と推定値を合成した分光放射輝度を測定装置に接続された記憶装置17に出力するインタフェイス(例えばUSBインタフェイス)である。
【0058】
測定装置14は、測定部401により、可視域における試料A-Dおよび完全白色板16の分光放射輝度を測定する。そして、測定値取得部201もより測定値を取得し、光源情報推定部202において、観察光源Sの、紫外域を含む分光放射輝度を推定する。そして、観察光源Sの、推定した紫外域を含む分光放射輝度を出力部404から出力する。
【0059】
なお、測定値、推定値の出力先は、記憶装置17に限らず、例えば、シリアルバスを介して接続された画像処理装置や、ネットワークインタフェイスを介して接続された画像処理装置やサーバ装置でもよい。
【0060】
このように、可視域のみの分光放射輝度の測定が可能な測定装置においても、光源の、紫外域を含む分光放射輝度を推定し、出力することができる。
【実施例3】
【0061】
以下、本発明にかかる実施例3の色処理を説明する。なお、実施例3において、実施例1、2と略同様の構成については、同一符号を付して、その詳細説明を省略する。
【0062】
実施例1、2においては、観察光源Sの紫外域の分光放射輝度を推定する色処理装置、測定装置を説明した。しかし、色票が蛍光物質を含まない場合、色票の測色値を算出する際に、観察光源Sの紫外域の分光放射輝度は不要であり、従来のように可視域のみを使用して測色値を算出しても構わない。そこで、実施例3においては、ユーザがUIを操作して、観察光源Sの紫外域の分光放射輝度を推定する処理を実施するか否かを選択可能にした色処理装置を説明する。
【0063】
図11のブロック図により実施例3の色処理装置12の推定処理および算出処理の機能構成例を説明する。
【0064】
実施例3の色処理装置12は、実施例1の色処理装置12の構成に、モニタ106にUIを表示し、ユーザ指示を入力するUI部211が追加された構成を有する。図12によりUI部211が表示するUIの一例を示す。
【0065】
UI部211が提供するUIは、測色値の算出対象の色票が蛍光物質を含むか否かを選択するラジオボタン1001を有する。つまり、ユーザは、ラジオボタン1001を操作して、蛍光物質を含む色票の場合は「蛍光色票」を選択し、蛍光物質を含まない色票の場合は「非蛍光色票」を選択して、[OK]ボタン1002が押す。
【0066】
「蛍光色票」が選択された場合、UI部211は、測色値取得部201と光源情報推定部202を制御して、実施例1で説明した処理を実行させる。つまり、観察光源Sの、紫外域を含む分光放射輝度が推定され、推定された分光放射輝度から色票の測色値が計算される。
【0067】
一方、「非蛍光色票」が選択された場合、UI部211は、観察光源Sの、紫外域を含む分光放射輝度の推定を行わずに、可視域の分光放射輝度により色票の測色値を計算するように、測色値取得部201と光源情報推定部202を制御する。
【0068】
[変形例]
上記の実施例において、試料A-Dの二分光放射輝度率や、観察光源の分光放射輝度を20nm間隔で測定したデータに基づき処理を行う例を説明したが、例えば10nm間隔、5nm間隔、1nm間隔で測定したデータを使用してもよい。その場合、観察光源の紫外域の推定に使用する試料の数を増やす必要がある。例えば、10nm間隔の測定の場合、蛍光物質を含む九種類の試料を使用する。
【0069】
また、上記の実施例において、色票の測色値として、観察光源の下におけるCIE三刺激値XYZを算出する構成を説明した。しかし、CIEXYZ値を例えばCIELABやCIECAM02などのカラーアピアランス空間の値に変換し、カラーアピアランス値を出力してもよい。さらに、複数の色票の測色値を算出し、上述したカラープロファイルの形式として出力しても構わない。
【0070】
[その他の実施例]
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光物質を含む複数の試料の二分光放射輝度率が格納された記憶手段と、
光源の可視域における分光放射輝度の測定値、および、前記複数の試料の、前記光源の光に対する反射光の前記可視域における分光放射輝度の測定値を入力する入力手段と、
前記光源の分光放射輝度の測定値、前記複数の試料の分光放射輝度の測定値、および、前記複数の試料の二分光放射輝度率から、前記光源の紫外域における分光放射輝度を算出する算出手段とを有することを特徴とする色処理装置。
【請求項2】
さらに、前記光源の、前記可視域における分光放射輝度の測定値および前記紫外域における分光放射輝度の算出値を合成した分光放射輝度を出力する出力手段を有することを特徴とする請求項1に記載された色処理装置。
【請求項3】
さらに、測色値の算出対象の色票の二分光放射輝度率を取得する取得手段と、
前記色票の二分光放射輝度率、並びに、前記光源の、前記可視域における分光放射輝度の測定値および前記紫外域における分光放射輝度の算出値から、前記光源の下における前記色票の分光放射輝度を計算する計算手段と、
前記色票の分光放射輝度を前記測色値に変換する変換手段とを有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載された色処理装置。
【請求項4】
前記複数の試料は互いに、異なる発光特性を示す蛍光物質を含むことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載された色処理装置。
【請求項5】
前記蛍光物質は、前記紫外域に励起波長域を有し、前記可視域に蛍光波長域を有することを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載された色処理装置。
【請求項6】
蛍光物質を含む複数の試料の二分光放射輝度率が格納された記憶手段、入力手段、算出手段を有する色処理装置の色処理方法であって、
前記入力手段が、光源の可視域における分光放射輝度の測定値、および、前記複数の試料の、前記光源の光に対する反射光の前記可視域における分光放射輝度の測定値を入力し、
前記算出手段が、前記光源の分光放射輝度の測定値、前記複数の試料の分光放射輝度の測定値、および、前記複数の試料の二分光放射輝度率から、前記光源の紫外域における分光放射輝度を算出することを特徴とする色処理方法。
【請求項7】
コンピュータを請求項1から請求項5の何れか一項に記載された色処理装置の各手段として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項1】
蛍光物質を含む複数の試料の二分光放射輝度率が格納された記憶手段と、
光源の可視域における分光放射輝度の測定値、および、前記複数の試料の、前記光源の光に対する反射光の前記可視域における分光放射輝度の測定値を入力する入力手段と、
前記光源の分光放射輝度の測定値、前記複数の試料の分光放射輝度の測定値、および、前記複数の試料の二分光放射輝度率から、前記光源の紫外域における分光放射輝度を算出する算出手段とを有することを特徴とする色処理装置。
【請求項2】
さらに、前記光源の、前記可視域における分光放射輝度の測定値および前記紫外域における分光放射輝度の算出値を合成した分光放射輝度を出力する出力手段を有することを特徴とする請求項1に記載された色処理装置。
【請求項3】
さらに、測色値の算出対象の色票の二分光放射輝度率を取得する取得手段と、
前記色票の二分光放射輝度率、並びに、前記光源の、前記可視域における分光放射輝度の測定値および前記紫外域における分光放射輝度の算出値から、前記光源の下における前記色票の分光放射輝度を計算する計算手段と、
前記色票の分光放射輝度を前記測色値に変換する変換手段とを有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載された色処理装置。
【請求項4】
前記複数の試料は互いに、異なる発光特性を示す蛍光物質を含むことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載された色処理装置。
【請求項5】
前記蛍光物質は、前記紫外域に励起波長域を有し、前記可視域に蛍光波長域を有することを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載された色処理装置。
【請求項6】
蛍光物質を含む複数の試料の二分光放射輝度率が格納された記憶手段、入力手段、算出手段を有する色処理装置の色処理方法であって、
前記入力手段が、光源の可視域における分光放射輝度の測定値、および、前記複数の試料の、前記光源の光に対する反射光の前記可視域における分光放射輝度の測定値を入力し、
前記算出手段が、前記光源の分光放射輝度の測定値、前記複数の試料の分光放射輝度の測定値、および、前記複数の試料の二分光放射輝度率から、前記光源の紫外域における分光放射輝度を算出することを特徴とする色処理方法。
【請求項7】
コンピュータを請求項1から請求項5の何れか一項に記載された色処理装置の各手段として機能させることを特徴とするプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図8】
【図9】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図8】
【図9】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−127873(P2012−127873A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−281014(P2010−281014)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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