説明

色素複合体及びその使用方法

【課題】光学的に活性なシアニン化合物、斯かる材料を含む組成物、それらを作製し及び使用する方法、及びそれらを組み込んだ物品を提供する。
【解決手段】シアニンは有用には、シアニンのアルキルアリール置換基上のアリール環に間接的に結合した1以上のカルボキシル基又はその誘導体を含む。更にシアニンと1以上の他の物質との複合体、シアニンの溶媒和物、溶液、及び誘導体形であり、シアニンは、直接的な単独標識の用途及びエネルギー転移形の様々なバイオアッセイに用途を見出す。標的の有無について試料を分析するための、シアニンを使用した方法、更にシアニンを含む検出複合体、並びに直接的な励起又はエネルギー転移により形成される励起状態のシアニンを含む組成物及び物品。シアニンは様々な状況で他の知られた光学的に活性な分子種の代替品として使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学的に活性なシアニン化合物、斯かる材料を含む組成物、それらを作製し及び使用する方法、及びそれらを組み込んだ物品に関する。
【背景技術】
【0002】
シアニン化合物は100年以上に亘って使用されてきた。歴史的には、シアニンは写真乳剤のための感光薬として、及び一部の場合においては織物染色に使用されてきた。より最近では、シアニンはCD−R及びDVD−R媒体において使用されてきた。
シアニンは最近、単一の標識として、又は複数の標識を使用したエネルギー転移スキームにおいて、バイオアッセイにおける蛍光標識としての特定の用途を見出した。過去10年間にわたるバイオインフォーマティクス、アレイ技術、及びゲノム計画の急激な進展は、生体分子の物理的配列についての情報、ポリヌクレオチド及びタンパク質のレベルでの遺伝子の発現についての情報、細胞内、組織内、及び器官内での生体分子の実際の位置についての情報を提供するフルオロフォア等、環境的に容認できる標識への大きな必要性を生じさせることとなった。蛍光標識はまた、細胞特異的なマーカーを検出し、サイトメトリーの方法を使用して特定の細胞集団や部分集団を特徴づけ及び分離するのに使用することができる。これらの技術は、典型的には、抗体又はヌクレオチド又はダイターミネーター等の生体分子に結合したシアニンのような蛍光分子を使用する。
エネルギー転移スキームはバイオアッセイにおいては頻繁に使用されており、多くの場合シアニンが採用される。エネルギー転移は、エネルギー源による1の分子種の励起と、励起した分子種から第二の分子種へのエネルギーの転移を含み、それは次いで、検出可能なエネルギーを放射するか、それを続く分子種に転移することができる。エネルギー転移スキームは、スペクトル的に特有な、それぞれの4つの終結ヌクレオチドに特異的な蛍光体(fluor)の組み合わせを含むダイターミネーターが、ポリヌクレオチドのそれぞれの残基について単一の反応によるシーケンシング情報を提供するのに使用される、特に蛍光シーケンシングに有用であることが示されている。一部のスキームにおいては、異なる蛍光体の組み合わせは、全てを同一のエネルギー源によりにより励起することができるものの、それぞれの異なる組み合わせについて特有の放射の波長をもたらす他の蛍光体又は他の蛍光体の組み合わせと結合している、最初の蛍光体を採用してもよい。斯かる方法は、単一の実験から提供されうる情報の種類と量を大いに拡大し、同様に単一の励起原を提供し、試薬と利用可能な試料とを効率的に使用しながらも大量の情報の獲得を許容する装置の使用を拡大できる。
本技術分野には、光学的に活性なシアニン、それらを作製し及び使用する方法、並びに斯かる化合物を含む組成物及び製品についての必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明はシアニン化合物、それらを含む組成物及び製品、及びそれらを作製し及び使用する方法に関する。シアニンは、有用には、アルキルアリールシアニン置換基上のアリール環に間接的に結合した1以上のカルボキシル基又はそれらの誘導体を含む。また、開示されたシアニンと1以上の他の物質との複合体も提供される。シアニンの溶媒和物、溶液、及び誘導体もまた提供される。シアニンは、直接的な単一標識の用途の及びエネルギー転移形式の、様々なバイオアッセイに用途を見出す。標的となる試料を分析するために開示されたシアニンを使用する方法が提供される。開示されたシアニンを含む検出複合体、及び直接的な励起又はエネルギー転移により形成された励起状態のシアニンを含む組成物及び物品がまた開示される。シアニンは、様々な場における光学的に活性な他の知られた分子種の代替品として使用することができる。本明細書において、他の実施態様が更に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1】シアニンNGy5及びGy5の吸収スペクトルを示す図面である。
【図2】フィコエリスリン(PE)に対して異なる比率のシアニンを反応させることにより形成されたPE−NGy5複合体の吸収スペクトルを示す図面である。
【図3】タンパク質に対してシアニンの異なる結合比率で形成されたPE−NGy5複合体(532nm励起)の発光スペクトルを示す図面である。
【図4】PE−NGy5及びPE−Gy5シアニン複合体(532nm励起)の発光スペクトルを示す図面である。
【図5】異なる結合比率のPE−NGy7複合体の吸収スペクトルを示す図面である。
【図6】異なる結合比率のPE−NGy7複合体の蛍光発光スペクトルを示す図面である。
【図7】ストレプトアビジン−NGy7複合体の励起スペクトル及び発光スペクトルを示す図面である。
【図8】ストレプトアビジン−Gy3複合体及びストレプトアビジン−NGy3複合体の発光スペクトルを示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本発明はシアニン化合物、それらを含む組成物、製品、並びにそれらを作製し及び使用する方法に関する。カルボキシル基によって置換されたアルキルアリール置換基を有する特定のシアニン類は、予想されない蛍光発光の欠如を示すことが見出された。本発明は、カルボキシル基をアリール環への直接の結合から変化させることによって、有用なカルボキシル基の官能性を保持しつつ、蛍光の特性が改善されることを示した実験に由来するものである。
本発明の化合物は様々な用途に使用することができる。化合物は光学的に活性であることが好ましく、吸収及び/又は発光特性を示すことが好ましい。それゆえ、化合物は、特定の波長のエネルギーの吸収が望まれる用途、エネルギーの放出が望まれる用途、及び吸収と放出の両方が望まれる用途において使用されてもよい。化合物は、化合物を特定の物質及び/又は部位に結合させ又は取り込む(recruiting)ことによって、生体分子を含む物質の標識として使用されてもよい。化合物は他の物質との複合体を形成するように使用されてもよい。化合物はエネルギー転移実験に使用されてもよく、転移複合体中に、又はエネルギー転移を示す他の光学的に活性な物質の部位に取り込まれうる形態の中に提供されてもよい。化合物は写真増感剤として、色素レーザー中に、受動Qスイッチレーザーのための飽和可能な吸収体として、及び膜電位の分子プローブとして使用することができる。化合物は、一次抗体、二次(又はそれに続く)抗体の標識、シーケンシング反応を含め標識されたポリヌクレオチドに組み込むことができる核酸の標識(例えば、標識されたヌクレオチドとダイターミネーター)、様々な状況において2つの光学的に活性な物質の近接度を決定するために使用される近接解析、アポトーシス解析、蛍光退色回復実験、蛍光相関分光法、マイクロアレイ実験、トランスクリプトミクス、及びプロテオミクスにおける用途を含め、生体分子の標識が使用される様々な用途に使用することができる。望ましくは、本発明の化合物は水性媒体に良好な溶解性を示す。
化合物は単離された化合物として、溶媒和物として、溶液として、複合体として、及び記載された他の形態で提供されてもよい。同様に、電磁波源を使用した直接的な励起、又はもう1つの励起された分子種からのエネルギー転移により得られる、励起状態の本発明のシアニンを含む組成物及び物品が提供される。これらの物品は、励起したシアニンを含む複合体を形成したセンサー及び検出複合体を含む。
本発明の実施態様は、本発明のシアニン類を使用する製品を含む。例えば、シアニン類を含む標識された複数のセンサーをアレイにおいて同時に試用することができる。多重化した実施態様では、本明細書に記載された1以上の実施態様を組み込んだ、2、3、4、5、10、15、20、25、50、100、200、400、1000、5000、10000、50000、又はそれを超える別個の物品を採用してもよい。本発明の他の側面は、本明細書において更に議論される。
【0006】
本発明が更に詳細に記載される前に、方法、物品、組成物、又は装置が多様であってもよいため、本発明が、記載された特定の方法論、物品、組成物、又は装置に限定されないことが理解されるべきである。また、本明細書で使用される専門用語は、特定の実施態様を記載する目的のみに使用され、本発明の範囲を限定することが意図されないことが理解されるべきである。
単数形「1つの」及び「前記」の使用は、文脈により異なるように明確に指示されない限り、複数形の参照を含む。従って、例えば、「(1つの)シアニン」への言及は複数のシアニン類も含み、「(1つの)溶媒」への言及はそのような複数の溶媒も含み、「(1つの)エステル」への言及は複数のエステルも含む等である。更に、「2つの」、「3つの」等、特定の複数の参照は、文脈により異なるように明確に指示されない限り、同じ対象のより大きな数とも解釈される。本明細書において単独の接続詞として用いられる場合、異なるように述べられない限り、「又は」なる用語は「及び/又は」を意味する。本明細書で使用される「を含んでいる」なる用語及び「を含む」等の関連する用語は、限定されるものではなく、及び具体的に言及されたものに加えた要素の存在を許容する。
「接続した」、「結合した」、及び「連結した」なる用語は、本明細書において交換可能に用いられ、文脈により異なるように明確に指示されない限り、直接及び間接の接続、結合、連結、又は結合を含む。
値の範囲が挙げられるとき、その範囲の挙げられた上限値と下限値の間のそれぞれの介在する整数値、及びそれらのそれぞれの分数もまた、そのような値の間の部分的な範囲と共に具体的に開示される。如何なる範囲の上限値及び下限値も、独立に、範囲に含まれていてもよく、範囲から除外されていてもよく、全ての斯かる範囲は本発明に含まれる。例えば、成分が0%から100%の濃度で存在してもよい場合、又は水溶液のpHが1から14の範囲であってもよい場合等、議論された値が固有の上下限を有する場合において、範囲はそれらの固有の上下限を基礎としているので、それらの固有の上下限は具体的に開示されている。ある値が明確に記載されている場合、記載された値とおおよそ同じ数量又は量を有する値、更にはその値と本明細書に記載された任意の値とに基づく範囲も本発明の範囲内であると解釈される。
範囲は本明細書に記載された如何なる他の値と同様、記載された値とおおよそ同じ数量又は量の値を基礎としているので、値が明確に記載されている場合、記載された値とおおよそ同じ数量又は量の値は本発明の範囲内に属すると理解される。
要素の組み合わせ又は群が開示されている場合、それらの要素のそれぞれの部分集合もまた具体的に開示され、及び本発明の範囲内に含まれる。反対に、異なる要素又は要素の群が開示されているとき、それらの組み合わせもまた開示されている。
【0007】
発明の任意の要素が複数の選択肢を有するものとして開示されているとき、それぞれの選択肢が単独で又は他の選択肢との任意の組み合わせで排除されたその発明の例もまた本明細書に開示される;発明の1以上の要素はそのような排除をしていてもよく、そのような排除がなされた要素の全ての組み合わせは本明細書に開示される。
異なるように定義されない限り、又は文脈が明確に異なるように指示しない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、この発明の属する分野の当業者が一般的に理解する意味と同じ意味を有する。本明細書に記載されたものと類似又は等価の任意の方法及び材料が本発明の実施及び試験に使用することができるが、好ましい方法及び材料がここに記載される。
本明細書で指摘される全ての刊行物は、参照文献が引用する特定の材料及び方法論を開示し及び記載する目的で参照されることにより本明細書の一部となる。本明細書で議論される刊行物は、本出願の出願日に先立つそれらの開示のみのために提供される。本明細書の如何なるものも、本発明が先行発明によるそのような開示に先行する資格を与えないと承認するものと解釈されるべきではない。
【0008】
[定義]
本発明の記載にあたって、以下の用語が採用され、以下に示唆されるように定義されることが意図される。
本明細書で使用される「活性化された」又は「活性化する」は、例えば「基」、「アルキル基」、及び「カルボン酸エステル」との関連で、(例えば、アミノ基、ヒドロキシル基、及び/又はスルフィドリル基等、利用可能な官能基を有する)他の分子に結合する上で有用な、少なくとも1つの反応性の部分を有する基を示す。例示的な反応性の部分は、イソチオシアネート、イソシアネート、モノクロロトリアジン、ジクロロトリアジン、モノ又はジハロゲン置換ピリジン、モノ又はジハロ置換ジアジン、マレイミド、アジリジン、スルホニルハライド、酸ハロゲン化物、酸無水物、ヒドロキシスクシンイミドエステル、ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル、イミドエステル、ヒドラジン、アジドニトロフェニル、アジド、3−(2−ピリジルジチオ)−プロピオンアミド、グリオキサール、アルデヒド、及び重合可能な基を含む基を含む。
「結合ペア」は反応して結合を形成することが可能な2つの化学的部分(chemical moieties)を示す。結合ペアの1つの又は両方の構成要素は活性化する基であってもよい。結合ペアの構成要素は興味のもたれる分子種中の官能基であってもよく、初めの合成で形成されてもよく、又は続いて導入されてもよい;例示的な官能基はカルボン酸及びスルホン酸、アミン、ヒドロキシル、チオール、アルデヒド、シアノ、並びにチロシンを含む。結合ペアが形成してもよい例示的な結合は、アミド、アミン、エステル、チオール、チオエステル、ジスルフィド、カルボニル、エーテル、及び重合性の連結部分を含む。
「アルキル」は、1から24の炭素原子を有する分岐の、非分岐の、又は環状の飽和炭化水素基であって、必要に応じて1以上の部位で置換されており、ポリ環状化合物を含む。アルキル基の例としては、置換されていてもよいメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−デシル、ヘキシルオクチル、テトラデシル、ヘキサデシル、エイコシル、テトラコシル等、並びにシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、アダマンチル、及びノルボルニル等のシクロアルキル基を含む。「低級アルキル」なる用語は、1から6の炭素原子、好ましくは1から4の炭素原子を有するアルキル基を示す。置換されたアルキル基における例示的な置換基は、ヒドロキシル、シアノ、アルコキシ、=O、=S、−NO2、ハロゲン、ハロアルキル、ヘテロアルキル、カルボキシアルキル、アミン、アミド、チオエーテル、及び−SHを含む。
【0009】
「アルコキシ」は、アルキルが上記で定義されたとおりである「−Oアルキル」基を示す。「低級アルコキシ」基は1から6、より好ましくは1から4の炭素原子を含むアルコキシ基を意図する。
「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有し、必要に応じて1以上の位置で置換された2から24の炭素原子を有する不飽和の分岐、非分岐、又は環状の炭化水素基を示す。アルケニル基の例としては、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル(アリル)、1−メチルビニル、シクロプロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、イソブテニル、1,4−ブタジエニル、シクロブテニル、1−メチルブタ−2−エニル、2−ブメチルブタ−2−エン−4−イル、プレニル、ペンタ−1−エニル、ペンタ−3−エニル、1,1−ジメチルアリル、シクロペンテニル、ヘキサ−2−エニル、1−メチル−1−エチルアリル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニル、シクロオクテニル、デセニル、テトラデセニル、ヘキサデセニル、エイコセニル、テトラコセニル等を含む。本明細書において好ましいアルケニル基は2から12の炭素原子を含む。「低級アルケニル」なる用語は、2から6の炭素原子、好ましくは2から4の炭素原子のアルケニル基を意図する。「シクロアルケニル」なる用語は、3から8、好ましくは5から6の炭素原子の環状アルケニル基を意図する。置換されたアルケニル基上の例示的な置換基としては、ヒドロキシル、シアノ、アルコキシ、=O、=S、−NO2、ハロゲン、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アミン、チオエーテル、及び−SHを含む。
「アルケニロキシ」は、アルケニル基が上記で定義されたとおりである「−Oアルケニル」基を示す。
「アルキルアリール」はアリール基に共有結合したアルキル基を示す。好ましくは、アルキルは低級アルキルである。アルキルアリール基は、アルキル及びアリール要素のいずれか又は両者において、本明細書に記載した置換基で置換されていてもよい。例示的なアルキルアリール基はベンジル、フェネチル、フェノプロピル、1−ベンジルエチル、フェノブチル、2−ベンジルプロピル、3−ナフチルプロピル等を含む。
【0010】
「アルキルアリーロキシ」はアルキルアリール基が上記で定義されたとおりである「−Oアルキルアリール」基を示す。
「アルキニル」は、1以上の位置で置換されていてもよい、少なくとも1つの−C≡C−三重結合を有する2から24の炭素原子を有する不飽和の分岐又は非分岐の炭化水素基を示す。アルキニル基の例は、エチニル、n−プロピニル、イソプロピニル、プロパルギル、ブタ−2−イニル、3−メチルブタ−1−イニル、オクチニル、デシニル等を含む。本明細書における好ましいアルキニル基は2から12の炭素原子を含む。「低級アルキニル」なる用語は、2から6、好ましくは2から4の炭素原子、及び1つの−C≡C−三重結合を含むアルキニル基を意図する。置換されたアルキニル基の置換基の例は、ヒドロキシ、シアノ、アルコキシ、=O、=S、−NO2、ハロゲン、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アミン、チオエーテル、及び−SHを含む。
「アミド」は、−C(O)NR’R’’及び−S(O)2NR’R’’を示し、ここでR’及びR’’は水素原子、アルキル、アリール、及びアルキルアリールから独立に選択される。
「アミン」は、−N(R’)R’’基を示し、ここでR’及びR’’は水素原子、アルキル、アリール、及びアルキルアリールから独立に選択される。
【0011】
「アリール」は、ヒュッケル則を満たす非局在化したパイ電子を有する共役パイ電子系を有する少なくとも1つの芳香族環を有する基を指し、炭素環式芳香族基、複素環式芳香族基、架橋した及び/又は多環式の芳香族基を含み、これらは1以上の位置で置換されていてもよい。典型的な芳香族基は1から5の芳香族環を有し、それらは縮合していてもよく及び/又は連結されていてもよい。例示的なアリール基は、フェニル、フラニル、アゾリル、チオフラニル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、トリアジニル、ビフェニル、インデニル、ベンゾフラニル、インドーリル、ナフチル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、ピリドピリジニル、ピロロピリジニル、プリニル、テトラリニル等を含む。置換されていてもよいアリール基の例示的な置換基はアルキル、アルコキシ、アルキルカルボキシ、アルケニル、アルケニロキシ、アルケニルカルボキシ、アリール、アリーロキシ、アルキルアリール、アルキルアリーロキシ、縮合した飽和又は不飽和の、置換されていてもよい環、ハロゲン、ハロアルキル、ヘテロアルキル、−S(O)R、スルホニル、−SO3R、−SR、−NO2、−NRR’、−OH、−CN、−C(O)R、−OC(O)R、−NHC(O)R、−(CH2nCO2R、又は−(CH2nCONRR’であって、nは0から4であり、R及びR’は独立にH、アルキル、アリール、又はアルキルアリールであるものを含む。
「アリーロキシ」は、アリール基が上記で定義されたとおりである「−Oアリール」基を指す。
「炭素環式の」は、全ての環原子が炭素であり飽和でも不飽和でもよい少なくとも1つの環を有する、置換されていてもよい化合物を示す。
「炭素環式アリール」は、環原子が炭素である置換されていてもよいアリール基を示す。
「共役した」及び「共役系」は、原子の基又は原子の鎖が単一の結合の形成に関与せず、互いの挙動に影響を与える価電子を有する分子成分(molecular entity)を示す。共役した重合体は、そのような非局在化した結合を示す重合体である。典型的な共役系は交互に単結合と二重結合又は多重結合とを有する形式の共役系を含み、非結合性の価電子を含む原子(例えば、ヘテロ原子)が散在していてもよい。一部の実施態様においては、共役重合体は芳香族の繰り返し単位を含んでいてもよく、ヘテロ原子の架橋を含んでいてもよい。
【0012】
「ハロ」又は「ハロゲン」はフルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨードを示す。「ハライド」、「フルオライド」、「クロライド」等は、非共有結合したハロゲン陰イオンについての言及に使用される場合は、ハロゲンの陰イオン形を示し;「酸ハロゲン化物」等は、対応する酸のヒドロキシル基がハロゲンで置換され、典型的にはカップリング反応に有用な活性化された分子種を形成する部分を示す。
「ハロアルキル」は1以上の位置についてハロゲンで置換されたアルキル基を指し、1種のハロゲン原子のみにより置換されたアルキル基も、異なる種類のハロゲン原子が入り混じって置換されたアルキル基も含む。例示的なハロアルキル基は、例えばトリフルオロメチルのようなトリハロメチル基を含む。
「ヘテロアルキル」は、1以上の炭素原子及び結合する水素原子が、置換されていてもよいヘテロ原子により置換されたアルキル基を指し、1種のみのヘテロ原子により置換されたアルキル基も、異なる種類のヘテロ原子が入り混じって置換されたアルキル基も含む。ヘテロ原子には、酸素、硫黄、及び窒素を含む。本明細書で使用される窒素へテロ原子及び硫黄へテロ原子は、窒素及び硫黄の任意の酸化形態も含み、プロトン化された形態及びアルキル化された形態も含め、4つの共有結合を有する任意の窒素の形態も含む。置換されていてもよいヘテロ原子とは、結合した1以上の水素が、アルキル、アリール、アルキルアリール、及び/又はヒドロキシルにより置き換えられていてもよいヘテロ原子を示す。「低級ヘテロアルキル」なる用語は、1から6の炭素原子及びヘテロ原子、好ましくは1から4の炭素原子及びヘテロ原子を有するヘテロアルキル基を示す。
「ヘテロ環式」は、少なくとも1つのヘテロ原子を含み、1以上の位置において置換されていてもよい少なくとも1つの飽和環又は不飽和環を含む化合物を示す。典型的なヘテロ環式基は、1から5の環を有し、且つそれは縮合され及び/又は連結されていてもよく、それぞれの環が5又は6の原子を含む。ヘテロ環式基の例としては、ピペリジニル、モルフォリニル、及びピロリジニルを含む。必要に応じて置換されていてもよいヘテロ環式基の例示的な置換基は、アルキル及びアリールについては環炭素上であり、ヘテロアルキルについてはヘテロ原子上である。
【0013】
「ヘテロ環式アリール」は、少なくとも1つの芳香族環に少なくとも1つのヘテロ原子を有するアリール基を示す。例示的なヘテロ環式アリール基は、フラニル、チエニル、ピリジニル、ピリダジニル、ピロリル、N−低級アルキル−ピロロ、ピリミジル、ピラジニル、トリアジニル、テトラジニル、トリアゾーリル、テトラゾーリル、イミダゾリル、ビピリジル、トリピリジル、テトラピリジル、フェナジニル、フェナントロリニル、プリニル等を含む。
「ヒドロカルビル」は、1から20の炭素原子を有するヒドロカルビル基を示し、分岐、非分岐、及び環式の分子種、並びに飽和及び不飽和の分子種を含み、例えば、アルキル基、アルキルイデニル基、アルケニル基、アルキルアリール基、アリール基等を含む。「低級ヒドロカルビル」なる用語は、1から6の炭素原子、好ましくは1から4の炭素原子を有するヒドロカルビル基を意図する。
「置換基」は、炭素又は窒素に結合した1以上の水素原子を置き換える基を示す。例示的な置換基は、アルキル、アルキルイデニル、アルキルカルボキシ、アルコキシ、アルケニル、アルケニルカルボキシ、アルケニロキシ、アリール、アリーロキシ、アルキルアリール、アルキルアリーロキシ、−OH、アミド、カルボキシアミド、カルボキシ、スルホニル、=O、=S、−NO2、ハロゲン、ハロアルキル、縮合した飽和又は不飽和の、置換されていてもよい環、−S(O)R、−SO3R、−SR、−NRR’、−OH、−CN、−C(O)R、−OC(O)R、−NHC(O)R、−(CH2nCO2R、又は−(CH2nCONRR’であって、nが0から4であり、R及びR’が独立に、H,アルキル、アリール、又はアルキルアリールであるものを含む。置換基は、炭素原子及びこれに結合する1以上の水素原子が、置換されていてもよいヘテロ原子に置換されたものも含む。
「スルホニル」は、−S(O)2Rであって、ここでRがアルキル、アリール、−C(CN)=C−アリール、−CH2CN、又はアルキルアリールであるものを示す。
「チオアミド」は、−C(S)NR’R’’であって、R’及びR’’が、独立に水素、アルキル、アリール、及びアルキルアリールから選択されるものを示す。
「チオエーテル」は、−SRであって、Rがアルキル、アリール、又はアルキルアリールであるものを示す。
【0014】
本明細書で使用される「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」、「核酸」、及び「核酸分子」なる用語は、任意の長さのヌクレオチドの重合された形態を含み、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、それらの類似体、又はそれらの混合物を含んでいてもよい。この用語は、当該分子の一次構造のみを示す。従って、当該用語は、三本鎖、二本鎖、及び一本鎖のデオキシリボ核酸(「DNA」)、並びに三本鎖、二本鎖、及び一本鎖のリボ核酸(「RNA」)を含む。それは、例えばアルキル化及び/又はキャッピングにより修飾された形態のポリヌクレオチド、及び修飾されていない形態のポリヌクレオチドを含む。より具体的には、「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」、「核酸」、及び「核酸分子」なる用語は、ポリデオキシリボヌクレオチド(2−デオキシ−D−リボースを含むもの)、スプライスされているかスプライスされていないかに関わらず、tRNA、rRNA、hRNA、及びmRNAを含むポリリボヌクレオチド(D−リボースを含むもの)、プリン又はピリミジン塩基のN−又はC−グリコシドである任意の他の種のポリヌクレオチド、及び、当該重合体がDNA及びRNAに見られるような、塩基対形成及び塩基のスタッキングを許容する配置の核酸塩基を含むのであれば、例えばポリアミド(例えば、ペプチド核酸(PNA))及びポリモルフォリノ(Anti-Virals, Inc., Corvallis, OregonからNeugeneとして商業的に入手可能)の重合体、及び他の合成された配列特異的な核酸重合体等の非ヌクレオチド的骨格を含む他の重合体を含む。「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」、「核酸」、及び「核酸分子」なる用語の間で長さの区別は無く、これらの用語は本明細書において交換可能に用いられる。これらの用語は分子の一次構造のみを示す。従って、これらの用語は、例えば3’−デオキシ−2’,5’−DNA、オリゴデオキシリボヌクレオチド N3’P5’ ホスホラミデート、2’−O−アルキル置換RNA、二本鎖及び一本鎖DNA、及び二本鎖及び一本鎖RNA、並びに、例えばDNA及びRNAの間でのハイブリッド、又はPNA及びDNA若しくはRNAの間でのハイブリッドを含むそれらのハイブリッドを含み、また、例えば標識、アルキル化、「キャップ」、1以上のヌクレオチドの類似体への置換、例えば、非電荷の結合を有するもの(例えば、メチルホスホネート類、ホスホトリエステル類、ホスホルアミデート類、カルバメート類等)、陰性に荷電した結合を有するもの(例えば、ホスホロチオエート類、ホスホロジチオエート類等)、及び陽性に荷電した結合を有するもの(例えば、アミノアルキルホスホルアミデート類、アミノアルキルホスホトリエステル類)、例えば、タンパク質(酵素(例えばヌクレアーゼ)、毒、抗体、シグナルペプチド、ポリ−L−リジン等を含む)等のペンダント部分を含むもの、インターカレーション物質(例えば、アクリジン、ソラレン等)を伴ったもの、キレート(例えば、金属、放射性金属、ホウ素、酸化力のある金属等)を含むもの、アルキル化剤を含むもの、修飾された結合を有するもの(例えば、αアノマー核酸等)等のヌクレオチド間の修飾等知られた種類の修飾、並びに非修飾の形態のポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドを含む。
【0015】
当然のことながら、本明細書で使用される「ヌクレオシド」及び「ヌクレオチド」なる用語は、知られたプリン及びピリミジン塩基のみではなく、修飾された他のヘテロ環式塩基をも含むそれら部分を含む。そのような修飾は、メチル化プリン若しくはピリミジン、アシル化プリン若しくはピリミジン、又は他のヘテロ環式化合物を含む。修飾されたヌクレオシド又はヌクレオチドは、また、例えば1以上のヒドロキシル基がハロゲン若しくは脂肪族基で置換される、エステル若しくはアミン等として官能化される等、糖部分での修飾を含んでいてもよい。「ヌクレオチド単位」なる用語は、ヌクレオシド及びヌクレオチドを含むよう意図される。
更に、ヌクレオチド単位への修飾は、それぞれの相補的なピリミジン又はプリンと水素結合を形成する、プリン塩基又はピリミジン塩基上の官能基の再配置、付加、置き換え、又は他の変更を含む。結果として生じる修飾されたヌクレオチド単位は、A、T、C、G、又はUとではなく、他のそのように修飾されたヌクレオチド単位と塩基対を形成してもよい。ポリヌクレオチドの機能を阻害しない脱塩基部位を導入してもよい。ポリヌクレオチド中の一部の又は全ての残基は、1以上の方法により修飾されていてもよい。
【0016】
標準的なA−T及びG−C塩基対は、チミジンのN3−H及びC4−オキシと、それぞれアデノシンのN1及びC6−NH2との間、並びにシチジンのC2−オキシ、N3、及びC4−NH2と、それぞれグアノシンのC2−NH2、N’−H、及びC6−オキシとの間で水素結合の形成を許容する条件下で形成される。従って、例えば、グアノシン(2−アミノ−6−オキシ−9−β−D−リボフラノシル−プリン)はイソグアノシン(2−オキシ−6−アミノ−9−β−D−リボフラノシル−プリン)を形成するように修飾されてもよい。このような修飾は、もはやシトシンと効率的に標準的な塩基対を形成しないヌクレオシド塩基に帰着する。しかしながら、イソシトシン(1−β−D−リボフラノシル−2−アミノ−4−オキシ−ピリミジン)を形成するようなシトシン(1−β−D−リボフラノシル−2−オキシ−4−アミノ−ピリミジン)の修飾は、グアノシンとは効率的には塩基対を形成しないものの、イソグアノシンとは塩基対を形成する修飾されたヌクレオチドに帰着する。イソシトシンはSigma Chemical Co.(St. Louis, MO)から入手可能であり;イソシチジンはSwitzer et al. (1993) Biochemistry 32: 10489-10496及びそこに引用された引例に記載された方法により調製でき;2’−デオキシ−5−メチル−イソシチジンはTor et al. (1993) J. Am. Chem. Soc. 115: 4461-4467及びそこに引用された引例に記載された方法により調製でき;イソグアノシンヌクレオチドは上記のSwitzer et al. (1993)、及びMantsch et al. (1993) Biochem. 14: 5593-5601に記載された方法、又はCollins et al.の米国特許第5,780,610に記載された方法により調製できる。他の非天然の塩基対は、2,6−ジアミノピリミジン及びその相補体(1−メチルピラゾロ−[4,3]ピリミジン−5,7−(4H,6H)−ジオン)の合成について、Piccirilli et al. (1990) Nature 343: 33-37に記載された方法により合成することができる。Leach et al. (1992) J. Am. Chem. Soc. 114: 3675-3683及び上記のSwitzer et al. に記載されたもののような特有の塩基対を形成する他のそのような修飾されたヌクレオチド単位が知られている。
「核酸プローブ」及び「プローブ」は交換可能に用いられ、対応する検体に結合可能な核酸配列を含む、上記で定義されたようなポリヌクレオチドを含む構造を示す。プローブのポリヌクレオチド領域はDNA、及び/又はRNA、及び/又は合成ヌクレオチド類似体からなっていてもよい。
【0017】
「相補的な」又は「実質的に相補的な」は、例えば、2本の二本鎖DNA分子の間又はポリヌクレオチドプライマーとシーケンシングされる又は増幅される一本鎖核酸上のプライマー結合部位との間等、ヌクレオチド又は核酸の間でのハイブリッド形成又は塩基対形成を示す。相補的なヌクレオチドは、一般的に、A及びT(又はA及びU)、又はC及びGである。1の鎖のヌクレオチドが、好ましは整列され、比較され、及び適切なヌクレオチドの挿入及び欠失がなされて、他の鎖のヌクレオチドの少なくとも約80%、通常は約90%から95%、及びより好ましくは約98%から100%で対を形成する場合は、2つの一本鎖RNA又はDNA分子は実質的に相補的であると称される。
或いは、RNA又はDNAの鎖が選択的なハイブリッド形成条件の下でその相補体とハイブリッド形成するのであれば、実質的な相補性が存在する。典型的には選択的なハイブリッド形成は、少なくとも14から25ヌクレオチドの連続した領域に、少なくとも約65%、好ましくは少なくとも約75%、より好ましくは少なくとも約90%の相補性がある場合に起こる。M. Kanehisa Nucleic Acids Res. 12: 203(1984)を参照。
ストリンジェントなハイブリッド形成条件は典型的には約1M未満、より通常には約500mM未満、及び好ましくは約200mM未満の塩濃度を含む。ハイブリッド形成温度は5℃程度にまで低くてもよいが、典型的には22℃を超える温度であり、より典型的には約30℃を超える温度であり、好ましくは37℃を超える温度である。より長い断片は、特異的なハイブリッド形成のためにより高いハイブリッド形成温度を必要であってもよい。塩基の組成、相補鎖の長さ、有機溶媒の存在、及び塩基の不一致の範囲等を含む他の要素もハイブリッド形成の厳しさに影響を与えるかもしれず、使用されるパラメータの組み合わせが、任意の一つのみの完全な測定よりもより重要である。
【0018】
「アプタマー」(又は「核酸抗体」)は、本明細書において、その形態のために興味のもたれる分子を認識し、これに結合する一本鎖又は二本鎖ポリヌクレオチドを示すために使用される。例えば、PCT国際公開パンフレットWO92/14843、WO91/19813、及びWO92/05285を参照。
「ポリペプチド」及び「タンパク質」は、本明細書において交換可能に使用され、複数のアミノ酸がペプチド結合を介して結合した分子鎖を含む。当該用語は、生成物の特定の長さを示さない。従って、「ペプチド」、「オリゴペプチド」、及び「タンパク質」はポリペプチドの定義の中に含まれる。上記用語は、例えばグリコシル化、アセチル化、リン酸化、及び硫酸化等ポリペプチドの[翻訳後]修飾を含むポリペプチドを含む。更に、タンパク質断片、類似体(遺伝コードによりコードされていないアミノ酸、例えばホモシスティン、オルチニン、D−アミノ酸、及びクレアチンを含むもの)、天然の又は人工の突然変異、変異体、又はそれらの組み合わせ、融合タンパク質、誘導体化した残基(例えば、アミノ基のアルキル化、カルボキシル基のアセチル化又はエステル化)等はポリペプチドの意味の中に含まれる。タンパク質(抗体を含む)及び他の生体分子を指した「修飾された」なる用語により、例えばアミノ酸の任意の部位、糖又は他の炭水化物の構造及び/又は位置、又は他の生体分子の置換基等の1以上の官能基の修飾が意味され、化学的な修飾(例えば、スクシニル化、アシル化、ジスルフィド結合の構造及び/又は位置)及び非共有結合的結合(例えば、薬剤を含む小さい分子)が制限なく含まれる。
【0019】
「アミノ酸」は、天然アミノ酸及び置換されたアミノ酸の両方を含む。「天然アミノ酸」は、一般的にペプチドの技術分野において認められているよく見られる任意のアミノ酸を示し、特に別の指定がなければ、遺伝コードに直接コードされている標準的な20のアミノ酸、及びセレノシスティン、セレノメチオニン、及びオルニチンを含め、(グリシンのようなアキラルのアミノ酸を除き)L−アミノ酸を示す。「置換されたアミノ酸」は通常はアミノ酸の一部ではない1以上の追加の化学的構成単位を含むアミノ酸を示す。そのような置換は、選択された側鎖又は末端残基と反応することが可能な、標的を絞った誘導化剤により、及び当該技術分野において許容されている他の方法を使用して導入することができる。例えば、システィニル残基は、最も一般的にはクロロ酢酸又はクロロ酢酸アミドのようなα−ハロアセテート(及び対応するアミン)と反応し、カルボキシメチル又はカルボキシアミドメチル誘導体を与える。システィニル残基は、ブロモトリフルオロアセトン、α−ブロモ−β−(5−イミダゾイル)プロピオン酸、クロロアセチルリン酸、N−アルキルマレイミド、3−ニトロ−2−ピリジルジスルフィド、メチル2−ピリジルジスルフィド、p−クロロマーキュリベンゾエート、2−クロロマーキュリ−4−ニトロフェノール、又はクロロ−7−ニトロベンゾ−2−オキサ−1,3−ジアゾールとの反応によっても誘導体化できる。カルボキシル側鎖(アスパラチル又はグルタミル)は、1−シクロヘキシル−3−(2−モルフォリニル−(4−エチル))カルボジイミド、又は1−エチル−3−(4−アゾニア−4,4−ジメチルフェニル)カルボジイミド等カルボジイミド類との反応によって選択的に修飾できる。アスパルチル及びグルタミル残基は、アンモニウムイオンとの反応によってアルパラギニル及びグルタミニル残基に変換することができる。グルタミニル及びアスパラギニル残基は、対応するグルタミル及びアスパルチル残基に脱アミノ化できる。或いは、これらの残基は穏やかな酸性条件化で脱アミノ化できる。他の修飾は、プロリン及びリジンのヒドロキシル化、セリル又はスレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化、リジン、アルギニン、及びヒスチジン側鎖のα−アミノ基のメチル化(T. E. Creighton, Proteins: Structure and Molecule Properties, W. H. Freeman & Co., San Francisco, pp. 79-86(1983))、N末端アミンのアセチル化、及びC末端カルボン酸基のアミド化を含む。保護基及び/又は活性化基も導入することができる。
【0020】
本明細書で使用される「結合ペア」なる用語は、試料中の他の構成要素に結合するよりも、より強い親和性をもってお互いに特異的に結合する第一及び第二の分子を示す。結合ペアの構成要素間での結合は、典型的には1価である。例示的な結合ペアは、免疫的結合ペア(例えば、対応する抗体又はその結合部分又は断片と組み合わせられた任意のハプテン化合物又は抗原性化合物(例えば、ジゴキシゲニンと抗ジゴキシゲニン、フルオレセインと抗フルオレセイン、ジニトロフェノールと抗ジニトロフェノール、ブロモデオキシウリジンと抗ブロモデオキシウリジン、マウス免疫グロブリンとヤギ抗マウス免疫グロブリン))、IgGとタンパク質A、IgGとタンパク質G、IgGとタンパク質L、及び非免疫学的結合ペア(例えば、ビオチンとビオチン結合物質[アビジン、ストレプトアビジン、又はそれらいずれかの誘導体を含む]、ヌクレオチド及びヌクレオチド結合タンパク質、ホルモン[例えば、チロキシン及びコルチゾル]−ホルモン結合タンパク質、受容体−受容体のアゴニスト又はアンタゴニスト(例えば、アセチルコリン受容体−アセチルコリン又はその類似体)、IgG−タンパク質A、レクチン−カルボヒドレート、酵素−酵素補因子、酵素−阻害剤、有機分子又は無機分子と当該分子に結合する生体分子、及び核酸二本鎖及び/又はより高次の構造を形成可能な2本のポリヌクレオチド)等を含む。結合ペアの1又は両方の構成要素は、追加の分子と結合してもよい。
本明細書で使用される「抗体」なる用語は、ポリクローナルな調製及びモノクローナルな調製の両者により得られる抗体を含み、及び:ハイブリッド(キメラ)抗体分子(例えば、Winter et al. (1991) Nature 349: 293-299; 米国特許第4,816,567号参照);F(ab’)2及びF(ab)断片;Fv分子(非共有結合的ヘテロ2量体、例えば、Inbar et al. (1972) Proc Natl Acad Sci USA 69: 2659-2662;及びEhrlich et al. (1980) Biochem 19: 4091-4096参照);一本鎖Fv分子(sFv)(例えば、Huston et al. (1988) Proc Natl Acad Sci USA 85: 5879-5883);2量体又は3量体抗体断片構築物;ミニボディー(例えば、Pack et al. (1992) Biochem 31: 1579-1584; Cumber et al. (1992) Immunology 149B: 120-126);ヒト化抗体分子(例えば、Riechmann et al. (1988) Nature 332: 323-327; Verhoeyan et al. (1988) Science 239: 1534-1536; 及び1994年9月21日に発行された英国特許公報GB2,276,169参照);及びそのような分子から得られる任意の機能的断片であって、そのような断片が親の抗体分子の特異的結合特性を保持しているものを含む。
【0021】
本明細書で使用される、「モノクローナル抗体」なる用語は、均一な抗体の集団を有する抗体組成物を示す。当該用語は抗体の種類や供給源については限定されず、それが製造される方法により限定されることを意図しない。従って、上記用語はネズミのハイブリドーマから得られた抗体、及びヒトのハイブリドーマを使用して、又はヒトの免疫グロブリン鎖遺伝子又はその一部を発現するネズミから製造されたネズミのハイブリドーマから得られたヒトモノクローナル抗体を含む。例えば、Cote, et al. Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, 1985, p. 77参照。
本明細書の「マルチプレックス」は複数の検体が同時に分析できる分析又は他の分析的方法を示す。
「必要に応じた」又は「必要に応じて」は、後述される事象又は状況が起こってもよく起こらなくてもよいことを意味し、当該記載は上記事象又は状況が単独で又は複数重なって起こる場合、及び全く起こらない場合を含む。例えば、「必要に応じて置換されたアルキル」なる語句は、アルキル部分が置換されていてもされていなくてもよいことを意味し、当該記載は、未置換のアルキル、単独置換のアルキル、多置換のアルキルを含む。
【0022】
[光学的に活性なシアニン]
以下の一般式を有する光学的に活性なシアニン、又はその異性体、エステル、アミド、酸ハロゲン化物、及び/又は塩、又は任意のそれらの混合物が提供される。
【化1】

【0023】
式中、nは0、1、2又は3であり;
1及びR10は、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいヘテロアルキル、及び置換されていてもよいアルキルアリールからなる群から独立に選択され、ここでR1及びR10の少なくとも1つは、カルボン酸置換基を有する置換されたアルキル置換基、又はヘテロアルキル置換基をアリール要素上に有する置換されたアルキルアリールであり;
2及びR9は、H、−SO3H、置換されていてもよいアルキル、又は置換されていてもよいヘテロアルキルからなる群から独立に選択され、ここでR2からR9のうちの隣接する任意の2つの構成要素が一緒になって、1以上のヘテロ環原子を含んでいてもよい、置換されていてもよい5員から7員のモノ不飽和又はポリ不飽和縮合環を形成していてもよく;
1からR10のいずれかが更に結合ペアの構成要素により置換されていてもよく;
Rz、並びに各繰り返し中のRx及びRyは、H、アルキル、アルコキシ、ヘテロアルキル、ヘテロアルコキシ、−CNからなる群から独立に選択され、又はRx、Ry、及びRzのうちの隣接する任意の2つの構成要素が共有結合して、1以上の環ヘテロ原子を含んでいてもよい、置換されていてもよい4員から7員のモノ不飽和又はポリ不飽和環を形成していてもよい。
【0024】
上記分子は、光学的活性を示し、電磁気的エネルギーの吸収し及び/又は放出する。上記分子は好ましくは蛍光を発してもよく、及び様々な形式でエネルギー交換反応に関与してもよい。
本発明の化合物は、好ましくは、水性の又は主に水性の媒体への良好な溶解性、良好な精製特性、他の物質との複合体化の容易性、斯くして製造された複合体の良好な溶解及び精製特性を含む、様々な用途での有用な性質を示してもよい。
上記化合物の特定の異性体が示されるかも知れないが、記載された化合物の全ての異性体、及び斯かる異性体の混合物が本発明の範囲内のものであると理解される。
特に興味深いのは、R1及びR10のうちの1つ又は両者がアリール要素上に、カルボン酸置換基又はその誘導体を有する置換されたアルキル置換基又はヘテロアルキル置換基を有する置換されたアルキルアリールであるそれらの実施態様である。これまで、R1及びR10に対応する位置でのアルキルアリール置換基上のp−カルボキシ置換は、シアニンの発光を減少させうることが見出されていた。カルボキシル基は、これらの化合物に好ましい溶解性や結合特性を付与するので、実施態様ではカルボキシ基をアリール基への直接結合から変更するように合成し、それによってアリール環にカルボキシル部分を結合させることに由来する如何なる効果も生じさせないものとした。カルボキシル基をアリール環への直接結合から変更させることにより、カルボキシル基がアリール基に直接結合した場合の、蛍光に乏しい対応する構造に、蛍光の発光を付与することが見出された。
【0025】
従って、更に興味がもたれるのは、カルボン酸置換基が結合した置換されたアルキル又はアリール置換基が、置換された低級アルキル及び低級ヘテロアルキルから選択されるそれらの実施態様である。特に興味深いのは、C1−2アルキルである。
更に興味がもたれるのは、R1及び/又はR10における置換されたアルキルアリール基の1つ又は両者が、ベンジル、ヘネチル、又は3−ナフチルプロペニルである実施態様である。
置換されたアルキルアリール基は、それらのアルキル及びアリール要素の他の位置において置換されていてもよい。そのような基の置換されたアリール部分上の興味のもたれる他の置換基は、=O、=S、アシル、アシロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアミノ、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアリーロキシ、アジド、カルボン酸、(置換されていてもよいアルコキシ)カルボニル、(置換されていてもよいアミノ)カルボニル、シアノ、ハロゲン、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいヘテロアリーロキシ、置換されていてもよいヘテロシクリル、置換されていてもよいヘテロシクリロキシ、ヒドロキシ、ニトロ、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、スルホン酸、及び結合ペアの構成要素から選択される1から4の追加の基を含む。特に興味深いのは、アルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、アミノアルキル、ハロ、トリハロメチル、及び結合ペアの構成要素から選択されるそれらアリールの置換基である。
更に興味がもたれるのは、R2からR9のうち少なくとも1、又は少なくとも2が−SO3H、又はその誘導体である場合のそれらの実施態様である。興味のもたれる特定の実施態様では、R4及びR7の1つ又は両方が−SO3H又はそれらの誘導体である場合を含む。例示的な誘導体は、エステル、アミド、及び酸ハロゲン化物、並びに塩を含む。
【0026】
更に興味がもたれるのは、nが1、2、又は3であるそれらの実施態様である。
更に興味がもたれるのは、興味が持たれた上記実施態様の組み合わせ、又は部分的組み合わせ、及びそれらの誘導体、それらの混合物である。興味のもたれる実施態様の1つのそのような組み合わせは、以下のようなものである:
1及びR10が、それぞれ、アリール要素上に、カルボン酸置換基を有する置換された低級アルキル又は低級ヘテロアリール置換基を有する置換されたベンジル、又は置換されたフェネチルであり;
4及びR7がそれぞれスルホン酸であるもの;
又はそれらの異性体、エステル、アミド、酸ハロゲン化物、酸無水物、及び/又は塩であり;
又はそれらの混合物である。
更に興味がもたれるのは、本明細書に記載されnGy3、nGy5、及びnGy7の普通名称で示される特定の実施態様、及び、それらの誘導体であり、それらには特にこれらシアニンのいずれかについてのそれらの異性体、エステル、アミド、酸ハロゲン化物、酸無水物、及び/又は塩、及び、それらの混合物である。興味が持たれる特定の化合物は、以下のもの、及びそれら任意のエステル、アミド、酸ハロゲン化物、酸無水物、異性体、及び/又は塩を含む。
【化2】

【化3】

【0027】
記載された化合物の塩は、当該技術分野に知られている技術により調製することができる。シアニンに結合する対イオンとの関係で「交換する」、「取り替える」、「置き換える」により、所望の位置に結合する対イオンの少なくとも80%が交換されることを意味する。好ましくは少なくとも85%の対イオンが交換され、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは95%以上の対イオンが交換される。一部の場合においては、化合物に結合していたもともとの対イオンが検出されない水準であってもよい。対イオンの結合は、例えばXPS分光法及び/又は質量分析法等適切な技術により決定することができる。対イオンは、当該技術分野に知られた、又は当該技術分野において見出されうる任意の適切な方法によって交換されてもよい。例示的なイオン交換法は、質量作用、透析法、クロマトグラフィー、及び電気泳動を含む。対イオンの交換の後、シアニンの新しい形態の塩は、精製され及び/又は単離されてもよい。興味がもたれている塩の精製及び/又は単離をさせる任意の適切な方法を使用することができる。例示的な方法は、結晶化、クロマトグラフィー(例えば、排除、HPLC、EPLC)、沈殿、及び抽出を含む。同様に、エステル、アミド、及び酸ハロゲン化物は、知られた技術を使用して、記載された化合物から形成でき、所望であれば精製及び/又は特徴づけされる。
更に興味がもたれるのは、本発明の化合物を溶媒又は溶媒混合物に溶解させることにより製造される溶媒和物及び溶液である。一部の実施態様では、本明細書に記載されたシアニンは水性溶液及び他の高度に極性な溶媒に溶解可能で、水に可溶でもある。「水に可溶」により、材料が主に水性の溶液に溶解性であることを示し、それは50体積%を超える水を含むものの、その溶液に、制限なく、緩衝液、ブロッキング剤、共溶媒、塩、金属イオン、及び界面活性剤を含む他の物質が含まれることを除外しない。溶液を調製するために使用されてもよい追加の溶媒は、単独で又は組み合わせてもよく、DMSO、DMF、及び低級アルコールを含む。溶液は任意の好適な形状の容器に収められて提供されてもよい。溶液は、溶液処理装置、例えばプリンターへ組み込まれるように設計された容器中に包装されてもよい。一部の実施態様では、溶液は印刷装置に使用されるように設計されたインクジェットカートリッジに入れられて提供されてもよい。
【0028】
[複合体]
本発明の1以上のシアニンを1以上の他の物質と組み合わせることにより形成された、開示されたシアニンの複合体が更に提供される。興味のもたれる例示的な複合体は、本発明のシアニン及び生体分子、基材、プローブ、リンカー、標的、低親和性擬似標的、低分子、結合ペアの1つの構成要素、重合体、及び/又は光学的に活性な分子種(特に、シアニンとエネルギーを交換できるもの)、又は任意のそれらの組み合わせを含むものを含む。
プローブと標的は、記載された結合ペアの構成要素を形成する。標的は細胞、細胞の断片、及び細胞の表面の分子、例えば免疫系分子、受容体、及び特定の細胞の集団又は部分集団を示すマーカーを含んでいてもよい。生体分子は、細胞又は細菌培養物を含む生きた組織から製造でき又は獲得できる任意の分子種、又は分子種の任意の混合物を含む;例示的な生体分子は、タンパク質、ペプチド、ポリヌクレオチド、多糖、抗体、トリグリセリド、リポタンパク質、及びレクチンを含む。
標的とする特定の分子種に結合する1以上のプローブを採用することができる。プローブ及び標的は結合ペアを形成してもよく、お互いに対し特異的に結合する。センサー生体分子は標的となる生体分子に結合可能なプローブとして使用することができる。センサーポリヌクレオチドは分岐していても、多量体のものであっても、環状のものであってもよいが、典型的には直鎖状で、非天然の塩基を含んでいてもよい。センサーはペプチド核酸であってもよく、その分子構造はよく知られている。
【0029】
重合体は、別個の成分として、又は、基材上又は基材への組み込みを含め、興味のもたれる他の材料に組み込まれて複合体を形成するのに使用されてもよい。興味のもたれる例示的な重合体は、炭化水素重合体(例えば、置換されていてもよいアルケン及び/又は置換されていてもよいアルキンから形成されるもの)、親水性重合体、ポリエチレンオキシド及びポリプロピレンオキシドを含むポリアルキレンオキシドを含むヘテロアルキル重合体、ポリアミン類、及びデンドリマーを含む。重合体は他の光学的に活性な活性分子種に含まれていても、これを含んでいてもよい。
ある場合には、重合体及び/又は生体分子は、本発明のシアニンのキャリアーとしての役目を果たしてもよく、生理学的な状況の下で使用されることによりその半減期を伸ばすことができる。例えば、シアニンは、血清アルブミン(例えば、ウシ、ウサギ、マウス、ヒト)、グロブリン(例えば、α、β、γ、又は免疫グロブリン)、又は親水性重合体(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、又はそれらの共重合体等のポリアルキレンオキシド)と結合していてもよい。
興味のもたれる光学的に活性な分子種は、直接的に又は中間分子種を介してのいずれかで、シアニンがエネルギーを交換できるものを含む。光学的に活性な分子種は、合成された染料、半導体単結晶、ランタニドのキレート、重合体、タンパク質、及び/又はそれらの光学的に活性な断片を含んでいてもよい。例示的なタンパク質は、緑色蛍光タンパク質(GFP)、代替的に着色されたそれらの誘導体、レニラルシフェラーゼ、フィコエリスリン(PE)、フィコエリスリンB、フィコエリスリR、B、又はY、フィコシアニン、及びアロフィコシアニン(APC)、及びそれらの誘導体を含む。興味のもたれる一部の特定の複合体は、PE−APC−NGy7、PE−NGy5、及びNGy3−APCを含む。複合体は1以上の追加の光学的に活性な分子種を含んでいてもよい。
複合体は、それらの要素上の部分の反応により形成されてもよく、要素を適切に結合させ、及び/又は間隔を取らせることに有用な連結基を含んでいてもよい。複合体の前駆体として使用される構成要素は、他の複合体の構成要素上の結合ペアの対応する構成要素と反応できる結合ペアの1以上の構成要素含むか、含むように誘導体化される。当該技術分野に知られているように、複合体の形成に使用されない官能基を保護するため、適切なブロッキング戦略が必要に応じて使用されてもよい。
【0030】
例示的な結合スキームは、アミンの結合、チオールの結合、アルデヒドの結合、チロシンの結合、重合性の結合、及び2官能性(又は多官能性)架橋剤を含む。アミンの結合は、1つの要素上のアミン基と、もう1つの要素(例えば、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル)上の活性化されたエステルとの反応により達成されうる。チオールの結合は、1つの要素上の活性化されたチオール基(例えば、2−ピリジニルジチオ部分)と、もう1つの要素上のチオール基との反応により達成されうる。或いは、1つの要素上のチオール基は、もう1つの要素上のマレイミド基又はヨードアセチル基と反応できる。アルデヒドの結合は1つの要素上のアルデヒド基ともう1つの要素上のヒドラジド基との反応により達成されうる。チロシン基はジアゾ基と結合できる。重合性の結合は、興味のもたれる要素に連結された誘導体化されたモノマー又は繰り返し単位を調製し、次いでその誘導体化されたモノマーを組み込む重合反応を行うことにより達成できる。結合の構成要素は結合されるべき分子種上に、そのままの形で存在していてもよく、又は組み込まれていてもよい;そのような基を導入するための化学的スキームは知られている。例えば、アルデヒド基はメタ過ヨウ素酸ナトリウムを用いた(糖類、多糖類、及び複合等質等を含む多くのポリオールに見出される)シス−ジオールの酸化により導入することができる。2官能性の又はヘテロ2官能性の架橋剤は、直接的に結合できない官能基を架橋するために使用することもできる;例えば、グルタルアルデヒドは2つのアミン基を架橋するのに使用されてもよく、マレイミドヒドラジドはチオール基及びフォルミル基を架橋するのに使用できる(Heindel et al., Bioconj. Chem. 2(6): 427-30, 1997, Nov.-Dec.)。
「架橋基」又は「リンカー」は、本発明のシアニンと複合化することができ、複合体の任意の分子種をお互いに結合するのに使用できる。特定の架橋性基の組成は重要ではない。例示的な架橋性基はアルキル、ヘテロアルキル(例えば、ポリエーテル、アルキルアミン、ポリアミン)、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリール、合成重合体、天然重合体、アミノ酸、炭水化物、ポリペプチド、又はそれらの組み合わせを含み、それぞれ架橋性基の構成要素について本明細書に記載されたように置換されていてもよい。一部の実施態様においては、架橋性基は対称の、剛性の、及び/又は立体障害のあるものであってもよく、又はこれらの特性を1以上有する領域を含んでいてもよい。リンカーは、結合する2つの分子種の間でエネルギー転移に好適な分離距離を与えるように設計されていてもよく、例えば約10Åから約100Åの分離を与える。リンカーは約100Å未満、約70Å未満、約30Å未満、又は約20Å未満の距離を与えるものであってもよい。連結基は結合ペアの1以上の異なる構成要素を含んでいてもよく、典型的には少なくとも2つの物質を結合することを許容する、結合ペアの少なくとも2つの構成要素を含む。
一部の実施態様では、シアニンは基材の上に沈着し、これに結合し、或いは連結していてもよい。基材は広い範囲の材料を含んでいてもよく、生物学的なものでも非生物学的なものでもよく、有機のものでも無機のものでもよく、又はこれらの任意の組み合わせでもよい。一部の実施態様では、基材は透明であってもよい。基材は、例えば剛性のプラスチック又は合成の無機酸化物等、剛性の材料であってもよい。基材は、例えばポリエチレンテレフタレート又は柔軟性のあるポリカーボネート等透明な有機重合体等、柔軟性のある材料であってもよい。基材は導電性のものでもよく、非導電性のものでもよい。
シアニンは、様々な形式のうちの任意の形式で基材上に沈着していてもよい。例えば、基材は重合されたラングミュアブロジェット膜(Langmuir Blodgett film)、官能化されたガラス、Si、Ge、GaAs、インジウムをドーピングしたGaN、GaP、SiC(Nature 430: 1009, 2004)、SiO2、SiN4、半導体ナノ結晶、修飾されたシリコン、又は、例えば(ポリ)テトラフルオロエチレン、(ポリ)ビニリデンジフルオライド、ポリスチレン、架橋されたポリスチレン、ポリアクリル酸、ポリ酪酸、ポリグリコール酸、ポリ(ラクチドコグリコライド)、ポリ無水物、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチレン−コ−ビニルアセテート)、ポリエチレンテレフタレート、ポリシロキサン、重合性シリカ、ラテックス、デキストラン重合体、エポキシ類、ポリカーボネート、アガロース、ポリ(アクリルアミド)、又はそれらの混合物等の様々なゲル又は重合体のうちの任意のものであってもよい。導電性重合体及び光導電性材料も使用することができる。基材は光ダイオード、光電子工学的半導体チップ若しくは光電子工学的薄層半導体等の光電子工学的センサー、又はバイオチップの形態をとっていてもよい。
【0031】
一部の実施態様では、基材は、均一ではない/不規則な形態の粒子であってもよい。当該粒子は、少なくとも2つの異なる(X−、Y−、及び/又はZ−)寸法を有していてもよく、3つの異なる(通常ではない形状の粒子の場合は、それ以上の)寸法を有していてもよい。それゆえ粒子は非球状であり、固体球の形状以外の形状を有する。一部の実施態様では、粒子は、球や同じ体積を占める他の個体形状よりも増大した表面積を示す。望ましくは、均一ではない粒子は、非常に増大した表面積を生み出す(巨視的及び/又は微視的スケールでの)不規則な表面を示す。粒子は、望ましくは表面積が少なくとも2倍に増加したものであり、少なくとも3倍、5倍、10倍、又は20倍に増大した表面積を示してもよい。粒子は、類似の大きさの滑らかな球状の粒子に対して、30倍まで、40倍まで、50倍まで、100倍まで、又は200倍までに増大した表面積を示す。粒子は、同様の大きさの球状の粒子に対して、増大した結合容量を示してもよく、これは表面積が増大した結果であり、及び/又は検体への結合に使用される捕捉部分(又は誘導体化可能な官能性)の密度が増加した結果である。望ましくは、粒子の少なくとも1つ、2つ、又は3つ(又は全て)の寸法は、フローサイトメトリー分析系に適合可能となるように、約30ミクロン未満又は40ミクロン未満であってもよく、並びに、そのような寸法において、約20ミクロン未満、約10ミクロン未満、又は約2ミクロン未満であってもよい。これらの寸法を参照する場合、そのような粒子は典型的には異なる大きさの分布として提供されること、及び集団中の平均的な粒子がそのような限定に合致するように、粒子はこの限定に合致する平均分布を示すことが理解される。均一な球状の表面を欠いてはいるが、粒子は一般的にはビーズ様のものであってもよく、多孔性のものでも、ミクロ多孔性のものでも、マクロ多孔性のものであってもよく、非多孔性のものであってもよい。試験試料との増大した接触性及び/又は高い結合容量につながる、改善された懸濁特性を示すため、2ミクロン未満の平均粒径を有する粒子が望ましい。
複合体は、シアニンに加えて1以上の追加の物質を含んでいてもよい。例えば、複合体はシアニン、シアニンがエネルギーを交換可能な光学的に活性な分子種、興味のもたれる標的に対するプローブ又はセンサーを含んでいてもよい。そのような複合体は、興味のもたれる標的の非存在下でプローブ/センサー要素をブロックし、標的よりも低い親和性で結合する低親和性擬似標的をも含んでいてもよく、それにより、標的の非存在下でプローブ/センサーの偽の結合により形成されるバックグラウンドのシグナルを減少させ、削減することができる。
【0032】
興味のもたれる特定のシアニン複合体は、以下の式を有する化合物、またはその異性体、エステル、アミド、酸ハロゲン化物、酸無水物、及び/又は塩を含むものを含み;
【化4】

【0033】
式中、nは0、1、2、又は3であり;
1及びR10は、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいヘテロアルキル、及び置換されていてもよいアルキルアリールからなる群から独立に選択され、ここでR1及びR10の少なくとも1つは、カルボン酸置換基を有する置換されたアルキル置換基、又はヘテロアルキル置換基をアリール要素上に有する置換されたアルキルアリールであり;
2からR9は、H、−SO3H、置換されていてもよいアルキル、又は置換されていてもよいヘテロアルキルからなる群から独立に選択され、ここでR2からR9のうちの隣接する任意の2つの構成要素が一緒になって、1以上のヘテロ環原子を含んでいてもよい、置換されていてもよい5員から7員のモノ不飽和又はポリ不飽和縮合環を形成していてもよく;及び
Rz、並びに各繰り返し中のRx及びRyは、H、アルキル、アルコキシ、ヘテロアルキル、ヘテロアルキロキシ、−CNからなる群から独立に選択され、又はRx、Ry、及びRzのうちの隣接する任意の二つの構成要素が共有結合して、1以上のヘテロ環原子を含んでいてもよい、置換されていてもよい4員から7員のモノ不飽和又はポリ不飽和環を形成していてもよく、
ここで化合物は、R1からR10のいずれかでの結合ペアの構成要素を介してプローブ、リンカー、標的、重合体、生体分子、低親和性擬似標的、結合ペアの1の構成要素、光学的に活性な分子種、及び/又は基材から選択される第二の分子種に結合している。
興味のもたれる複合体は、シアニンがビーズを含む基材に結合したものを含む。シアニンは興味のもたれる任意の複合体を標識するために、単独で又は組み合わせて使用されてもよく、光学的標識及び/又はエネルギー転移を含むコーディングスキーム(coding scheme)に組み込まれていてもよい。一部の実施態様では、シアニンは不規則の形状をした粒子に結合している。
更に興味がもたれるのは、上記で記載された構造のシアニンを含むそれらの複合体であり:
1及びR10が、アリール要素上にカルボン酸置換基を有する置換された低級アルキル置換基、又は低級ヘテロアルキル置換基を有する置換されたベンジル又は置換されたフェネチルであり;
4及びR7がそれぞれスルホン酸であり;
又はその異性体、エステル、アミド、酸ハロゲン化物、酸無水物、及び/又は塩、
又は任意のそれらの混合物である。
【0034】
更に興味がもたれるのは、化合物が以下からなる群から選択される構造を有する化合物である複合体であって、示された化合物は、置換されたアルキルアリール上の少なくとも1つのカルボン酸基を介して、第二の分子種の少なくとも1つに結合するものである。
【化5】

【化6】

【0035】
及びそれら任意のエステル、アミド、酸ハロゲン化物、酸無水物、異性体、及び/又は塩。
【0036】
[製品]
本発明のシアニンは本明細書に記載された製品、並びにシアニンがこれまで使用されてきた物品に組み込まれてもよい。例示的な製品は、誘導体化された粒子又はビーズ等のような複合体、結合ペアの誘導体化された構成要素、抗体複合体、誘導体化された小分子、バイオセンサー、色素を含み、アレイ又はマイクロアレイの形態で使用することもできる。シアニンは、例えばCD−R及びDVD−R媒体等の情報記録装置において、合成された重合体(例えば、ビニル重合体)と組み合わせて、ホログラフ回折格子に使用することもできる。
シアニンで標識された分子種(プローブ及び/または標的)は上記プローブ、その標的、及び1以上の結合したシアニンを組み込んだ検出複合体を形成できる。更に提供されるのは、電磁波源を用いた直接的な励起、又は1若しくは一連の異なる分子からのエネルギー転移により得られる励起状態にある本発明のシアニンを含む組成物及び物品である。これらの物品は結合されたセンサー及び励起されたシアニンを含む検出複合体を含む。
適切な場合、溶解処理方法は、シアニンを製品に組み込むのに使用することができる。特定の状況において、印刷技術(例えば、インクジェット印刷、オフセット印刷等)はシアニンを沈着させるために有利に使用することができる。望まれる場合、シアニンを含む溶液に沈着の後、溶媒を除去できる。任意の利用可能な方法又は方法の組み合わせは、溶媒を除去するために使用することができる。例示的な溶媒除去方法は、蒸発、加熱、抽出、溶液を真空に曝すこと、及びそれらの任意の組み合わせを含む。
【0037】
[使用方法]
本明細書に記載されたシアニンは、他のシアニン及び他の蛍光化合物について知られた様々な方法において使用することができる。シアニンは、興味のもたれる物質の直接標識、検出、及び/又は定量に使用することができる。シアニンは、結合ペアの1つの構成要素をシアニンで標識することにより、競合的結合アッセイを含む結合アッセイに使用することができる。シアニンは基材に直接結合することもできるし、1以上の中間分子種を介して結合することもできる。結合した粒子を含む結合した分子種は、標的となる検体の検出及び/又は定量に使用することができる。
例示的な使用方法は、サイトメトリーの設定、例えば単独で又は多重に標識されたヌクレオチド、及び/又はダイターミネーターを使用したポリヌクレオチドのシーケンシング、マイクロアレイ及びナノアレイの標識、コーディングスキーム(coding scheme)、及びエネルギー転移実験を含む。シアニンは、ビーズに基づくアッセイ及び/又は細胞アッセイに使用することができる。シアニンを使用することができる他の生物学的な用途は、比較ゲノムハイブリダイゼーション、トランスクリプトミクス、及びプロテオミクス、並びに顕微鏡的用途におけるマーカーとしての用途を含む。本発明のシアニンは、本発明のシアニンが1以上の要素を形成する多重のエネルギー転移スキームにおけるものを含め、ドナーとしても、アクセプターとしても、その両方としても役割を果たすことができる。
シアニンは興味のもたれる特性をスクリーニングする方法に使用することができる。例えば、材料は増加した蛍光の効率、吸収波長、発光波長、導電性特性、及び本明細書に記載された他の特性について試験されてもよい。シアニンは写真乳剤の感度範囲を増加させるために使用することができる。
一部の実施態様では、標的を含有することが疑われる試料を提供する工程、標的が存在する場合、プローブが標的に結合し検出複合体を形成することが可能な条件下で試料をシアニン及びプローブ又はセンサーを含む複合体と接触させる工程、検出複合体を含むことが疑われる試料又はその画分を、化合物に吸収され得る、又は化合物に転移されうるエネルギーに曝す工程、及びエネルギーが複合体に吸収され、又は複合体に転移されたか否かを決定する工程を含む標的を探索して試料を分析する方法が提供される。そのようなアッセイは、複合体中及び/又は検出複合体中に低親和性擬似標識も含み、複合体が実際の標的に結合することによって、それはプローブの領域から除去できる。
【0038】
そのようなアッセイにおいて標的となる検体は、例えばペプチド又はタンパク質、DNA又はRNAのようなヌクレオチド、抗体、糖類、オリゴ糖類、多糖類等の生体分子であってもよい。或いは、標的となる検体は低分子でもよく、有機のもの又は無機のものであってもよい。
一部の実施態様においては、検体を含むか含むことが疑われる試料又は試料の一部は、細胞、器官又は体液を含む流体、並びにウイルス、マイコプラズマ、及び化石を含むそのような組織に残された沈着物を含むいかなる生物学的材料に由来するものであってもよい。典型的には、試料は主に水性の媒体として得られ、又はそれに分散されている。試料の限定されない例には、血液、尿、精液、乳、唾液、粘液、口腔内のぬぐい液、洗浄液、膣ぬぐい液、直腸ぬぐい液、吸引物、針生体検査の検体、例えば手術又は解剖により得られた組織の部分、血漿、血清、脊髄液、脳脊髄液、羊水、リンパ液、皮膚の外分泌液、呼吸器管、腸管、及び泌尿器管、涙、唾液、腫瘍、臓器、in vitroの細胞培養構成物質の試料(限定されないが細胞培養培地中で細胞を増殖させることにより調製された培地、ウイルスが感染したことが疑われる細胞、組み換え体の細胞、及び限定されないが、ヒト又はネズミの抗体を製造するハイブリドーマの上清、及び抗体の断片又は修飾された形態の抗体、又は他の免疫タンパク質又は分泌タンパク質を製造する細胞からの上清を含む細胞成分を含む)、細胞溶解物、及びポリヌクレオチド配列を含む組み換えライブラリーを含む。
試料は検体が含まれることが知られた陽性対照試料であってもよい。検体が含まれていることが期待されないものの、それを含むことが疑われ、所定のアッセイで使用される試薬の標的となる検体の混入がないことを確認するための試験がなされ、更に所定のアッセイの条件で偽陽性(試料中に検体が存在しない条件でも生じる陽性シグナル)が生じるか否かが決定されるための試験がなされた陰性対照試料も使用できる。
試料は希釈され、溶解され、懸濁され、精製され、抽出されてもよく、或いは存在する任意の標的を溶解し又は再懸濁できるように処理されてもよく、又はそれを試薬に接近可能にするために処理されてもよい。
【0039】
[励起及び検出]
シアニン及び/又はシアニンがエネルギーを交換できる分子種を励起でき、検出される発光波長よりも短い波長を提供する任意の機器は、励起に使用することができる。商業的に利用可能な装置は好適な励起波長と好適な検出要素を提供する。生成され及び検出される任意の電磁気的励起波長は使用することができる。
例示的な励起源は、適切なフィルターを備えた重水素ランプ、所望の波長を抽出するための単色レンズを通過した後のキセノンランプ又は重水素ランプ等の白色光源の出力、連続波(cw)ガスレーザー、固体ダイオードレーザー、又は任意のパルス状レーザー等の広波長帯域のUV光源を含む。発光された光は所望の装置又は技術で検出することができ;多くの望ましいアプローチは当該技術分野に知られている。
励起に有用な入射光の波長は、300nmから1000nmの波長の光を含んでいてもよい。例示的な有用な入射光の波長は、限定されないが、少なくとも約300nm、350nm、400nm、450nm、500nm、550nm、600nm、700nm、800nm、又は900nmで、約1000nm、900nm、800nm、700nm、600nm、550nm、又は500nm未満の波長を含む。例示的な有用な入射光は、450nmから500nm、500nmから550nm、550nmから600nm、600nmから700nm、及び700nmから1000nmの範囲である。特定の実施態様では、約488nm、約532nm、約594nm、及び/又は約633nmの波長を含む入射光を照射されることにより複合体は励起状態を形成する。加えて、有用な入射光の波長は、限定されないが、488nm、532nm、594nm、及び633nmの波長の光を含んでいてもよい。
シアニン又はエネルギーが転移された分子種から生成する発光を検出できる装置が使用されてもよく、当該装置は、限定されないが、顕微鏡、分光光度計、流体力学的に焦点が合わせられていてもよいフローサイトメーター、画像システム、画像フローサイトメーター、及びプレート系画像システム(plate-based imaging system)を含む。本発明の方法に有用なシステムの限定されない例はGuava(登録商標)EasyCyte(商標)、Guava(登録商標)EasyCyte(商標)Mini、Guava(登録商標)PCA(商標)-96、Guava(登録商標)EasyCyte(商標)Plus、FACS(商標)Canto、Bechkman Coulter Quanta(商標)、Amnis ImageStream(商標)、Molecular Devices ImageXpress(商標)装置、及び類似の装置を含む。プレートローディング装置、プレート洗浄装置、プレート振動装置、及び任意のアッセイの要素を取り扱う上で有用な類似の装置を含む他の装置を使用してもよい。
【実施例】
【0040】
本発明を如何に作製し如何に使用するかについて、当業者に完全な記載を提供するために以下の実施例が記載されるが、本発明とみなされるものの範囲について限定することが意図されない。使用される数(例えば、量、温度等)については、正確性を確保するように努力がなされたが、一部の実験的な誤差や逸脱が考慮されるべきである。異なって示されない限り、部は質量部であり、温度は℃であり、圧力は大気圧又はその付近の圧力であり、全ての材料は商業的に入手可能である。
【0041】
[実験の項]
以下の実施例は、光学的に活性な化合物、結合のために活性化された分子種を含むその誘導体、光学的に活性な化合物を含む結合した化合物、及び製造された材料の特徴づけを含む本発明の特定の実施態様を説明する。一部の例では、反応は特定の形態の化合物を製造することが示されるものの、化合物は、1以上の塩として、又はそれらの任意の混合物として、1以上の酸性の位置においてプロトン化されてもよい。
【0042】
[実施例1:開始材料の合成]
【化7】

【0043】
手順:氷酢酸中の化合物1(10.02g)と化合物2(18mL)の混合物を加熱して3時間還流(125℃、油浴)した。この反応中、固体は溶解し濃赤色に変わった。反応混合物を放置して室温まで冷却し桃色の沈殿物を生成した。この沈殿をろ過して酢酸を除去し、高真空下で乾燥させて9.90gの淡桃色の固体を得た(収率67%)。この固体をメタノール(50mL)に部分的に溶解し、次いで混合物が塩基性になるまでKOH/イソプロピルアルコール(40mL)を複数回に分けてに加え、黄色の沈殿を得てこれをろ過により収集し高真空下で乾燥した。収率は9.15g、62.2%。
【0044】
[実施例2:ピリジニウム−1−スルホネートの加水分解によるグルタコンアルデヒドナトリウム塩の形成]
(2−ペンテンジアール、ION(i−)、ナトリウム)
【化8】

【0045】
手順:NaOH(4.3g)水溶液の混合物を−20℃にまで冷却し、ピリジニウム−1−スルホネート(20mL水中4.8g)の溶液を一度に添加した。混合物は−20℃から−5℃で50分間撹拌した。混合物を放置して室温まで温め、次いで50℃から60℃で1時間加熱した(濃橙色)。反応混合物を放置して室温まで冷却し、次いで−10℃から−5℃まで冷却して茶色の沈殿を生成した。茶色の沈殿は吸引ろ過してアセトン(3×30mL)で洗浄した。得られた黄褐色の固体を高真空下、50℃で終夜乾燥し、2.43gの所望の生成物を得た(Org. Syntheses Collective Volume 6, p.640)。
【0046】
[実施例3:ブロモメチルフェニル酢酸メチルエステルの合成]
【化9】

【0047】
手順:メタノール中のブロモメチルフェニル酢酸及びTsOHの混合物を室温で終夜撹拌した。薄層クロマトグラフィー(TLC)(20%酢酸エチル)を使用して新しいスポットの形成と開始物質の消失を示した。反応混合物は真空下で濃縮し、無色の濃厚な油である粗生成物5を得た。この粗生成物を更に精製することなく次の反応に使用した。
【0048】
[実施例4:置換されたアルカリール前駆体(AD-143-91)の合成]
【化10】

【0049】
手順:30mLジクロロベンゼン中の1.52gの化合物3と2.0gの粗化合物5との混合物を終夜130℃まで加熱した(油浴)。紫色の固体6(AD-143-91)が沈殿として生成し、これをろ過により収集して高真空下で乾燥した。
【0050】
[実施例5:NGy7−OMeの合成]
【化11】

【0051】
手順:無水酢酸5mLの還流している溶液に0.74gの化合物6と85mgの化合物4の固体混合物を一度に添加した。反応混合物を放置して室温まで冷却し、更に1.5時間撹拌した。80mLの酢酸エチルを添加し、生成物を濃緑色の固体としてろ過で収集した。カラムクロマトグラフィー(逆相H2O→30%アセトニトリルinH2O)により精製して所望の生成物7(NGyOMe)を得た。
【0052】
[実施例6:NGy5−OMeの合成]
【化12】

【0053】
手順:521mgの化合物6、566μlのAc2O、117μlのAcOH、2mLのN−メチル−2−ピロリジノン、及び165μlの1,1,3,3−テトラメトキシプロパンの混合物を50℃まで17時間加熱した。TLC(25%AcCN/H2O)を使用して所望の生成物の形成を示した。混合物を真空下で濃縮して粗生成物8を得た。粗生成物をprepTLC(1mmシリカゲルプレート、逆相25%アセトニトリル/H2O)により精製した。
【0054】
[実施例7:NGy7−OHの合成]
【化13】

【0055】
手順:イソプロパノール中の44mgの化合物7(AD-143-93)及び200μlの8M KOHの混合物を40℃まで1時間加熱した。TLC(25%アセトニトリル/H2O)を使用して所望の酸への加水分解の完了を示した。混合物を850μlのHCl(2N)で酸性化し、真空下で乾燥して所望の生成物9(AD-143-99、NGy7−OH)またはその塩又はその混合物を得た。
【0056】
[実施例8:NGy7−ビスNHSエステルの合成]
手順:1mLジメチルホルムアミド(DMF)中の80mgの9(AD-143-99、NGy7−OH)、90mgのDSC(ジ(N−スクシンイミジル)カルボジイミド)、及び50μlのピリジンの混合物を55℃まで終夜加熱して(湯浴)、NGy7のビス−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(10)を製造した。反応はTLC(逆相、25%アセトニトリルin水)で監視することができた;未反応の開始物質が残っている場合は、90mgの追加のDSCと50mLの追加のピリジンを添加して、続けて更に5時間加熱した。混合物を室温まで冷却し、乾燥させた酢酸エチルで2回、次いで乾燥させたジクロロメタンで洗浄した。生成物10は複数の小瓶に移した。
【0057】
[実施例9:NGy5−OHの合成]
手順:3mLの水中、227mgの化合物8(AD-143-97)(NGy5−OMe)及び0.625mLのKOH/イソプロパノールの混合物を40℃まで1時間加熱した。HClを添加して反応混合物を中和した。逆相TLCprep1mmプレート(25%AcCN/H2O)による粗生成物の精製により所望の化合物11、NGy5−OHを得た。
【0058】
[実施例10:NGy5−ビスNHSエステルの合成]
手順:75μLピリジン及び2mLDMF中の60mgの11(AD-155-5A、NGy5−OH)と121mgのDSCとの混合物を終夜55℃にまで加熱した。反応混合物を乾燥したジクロロメタンで2回洗浄し、乾燥させて所望の生成物12、NGy5−ビスNHSエステルを得た。
【0059】
[実施例11:NGy3−OMeの合成]
【化14】

【0060】
手順:521mgの化合物6及び832μlのトリエチルオルト蟻酸エステルの混合物を、2mLピリジン中で還流するまで加熱して、所望の生成物13、NGy3−OMe(AD-155-9)を生成した。
【0061】
[実施例12:NGy3−OHの合成]
【化15】

【0062】
手順:2mLの水中、140mgの13(NGy3−OMe、AD-155-9)及び0.3mLの8M KOH/イソプロパノールの混合物を50℃まで1時間加熱した。加水分解が完全に進行していない場合は、追加のKOH/イソプロパノールを次いで添加した。HClを次いで混合物に添加し、次いで真空下で濃縮して所望の生成物14、NGy3−OH(AD-155-11C)を得た。更に精製することが望ましい。
【0063】
[実施例13:NGy3−ビスNHSエステルの合成]
手順:DMF/PY中の0.10mgの14(NGy3−OH、AD-155-11)及び150mgのDSCの混合物を55℃まで5時間加熱した。混合物を乾燥したジクロロメタンで洗浄して真空下で濃縮し、所望の生成物15、NGy3−ビスNHSエステルを得た。
【0064】
[実施例14:染料複合体の合成と特徴づけ]
((フィコエリスリン複合体))
NGy5、NGy7、及びGy5色素ストックを再懸濁し、その吸収を決定してその濃度を計算した。0.5M炭酸ナトリウム中、フィコエリスリン(PE)の一定分量(2nmol)を、pH9.0、1.5時間、室温で、以下のもので処理した:a)1:15、1:30、1:50、又は1:80倍モル過剰のNGy5;b)1:15又は1:30倍モル過剰のNGy7;又はc)1:30又は1:50モル過剰のGy5。結合の後、それぞれの反応混合物を、PD−10カラムに装てんしてPBSで溶出した。タンパク質を含む画分をそれぞれの混合物について一緒にまとめた。生成物の吸収及び蛍光スペクトルを得て、エネルギー転移効率を評価した。
((ストレプトアビジン複合体))
染料溶液の濃度を、適切な色素の希釈系統を用いて吸収を読むことにより決定した。ストレプトアビジンは、炭酸ナトリウム緩衝液(pH9.0)中でモル過剰(例えば、20倍過剰)の染料で1時間処理した。結合の後、混合物をPD−10カラム上、PBSを溶出緩衝液として使用して精製し、0.5mLの画分を収集した。ストレプトアビジン−色素複合体を含む主要な画分を一緒に集め、吸収及び発光スペクトルを取得した。
【0065】
(NGy5複合体)
NGy5はGy5(USPN7,091,348、Guava Technologies)及びCy5と非常に類似したスペクトルの特徴を示した。NGy5の吸収の最大は、Gy5の649.9nmに対して650.7nmであった(図1)。染料は非常に良好な溶解性を示し、それをタンパク質に結合させた後、複合体の沈殿は見られなかった。NGy5はフィコエリスリンに首尾よく結合させることができた。PD−10カラム上で精製する場合、遊離の未反応のNGy5はPE−NGy5複合体から良好な分離を示し、複合体は沈殿せず、タンパク質及び他の生体分子の誘導体化に有用な特性を示唆した。
((エネルギー転移複合体))
異なる比率のNGy5と結合させたときに646nmにおける吸収スペクトルが増加することからも分かるように(図2)、PEはNGy5との良好な結合性と誘導体化の性能を示した。同じPE−NGy5の複合体の蛍光スペクトルを観察した場合、概ね90%のエネルギー転移が起こっているという良好なエネルギー転移の特徴が観察された(図3)。結果として得られたPE−NGy5複合体は488nm又は532nmで励起され、エネルギー転移複合体に676nmまでの発光を生じさせた。最善の転移特性は88%までのエネルギー転移が観察される1:50以上の投入比率で観察され、1:80の比率では92%までのエネルギー転移が観察された。更にNGy5を投入した複合体ではいくらかの蛍光の減少が見られたが、蛍光の劇的な減少は無かった。
類似の色素/タンパク質比率で、PE−Gy5複合体では蛍光の減少が観察された(図4)。データはNGy5がGy5よりも輝度の高い染料であることを示唆した。
青色又は緑色のレーザーを使用可能で赤色を発光するエネルギー転移複合体を形成することに加えて、NGy5は、タンパク質、抗体、オリゴヌクレオチド及びオリゴ糖等の生体分子への直接的な結合にも使用することができ、そのように形成される複合体には赤色レーザーで励起できるものも含まれる。
【0066】
(NGy7複合体)
NGy7の吸収スペクトルをCy7と比較した。NGy7は752nmで吸収の最大を有し、これは751.8nmにおけるCy7の吸収の最大と類似していた。
((エネルギー転移複合体))
吸収スペクトルからも明らかなように、NGy7はPEと首尾よく結合した。NGy7はタンパク質との結合において、それが緩衝液に溶解するという点、その複合体が良好な溶解性を示すという点、及びそれがPD−10カラム上において、そのタンパク質複合体から非常に良好に分離可能であるという点において、良好な有用性を示した。図5に示すように、PE−NGy7の吸収スペクトルは量を増加させたNGy7が首尾よくPEに結合できることを示す。PE−NGy7複合体の蛍光スペクトルは、複合体が532nmで励起され、778nmで発光することを示し、エネルギー転移が起こっていることが示唆された。スペクトルはPEエネルギーの一部がNGy7に転移していることを示した(図6)。778nmでの蛍光強度を真に概算し、転移のパーセントを決定するためには、データは赤色に感受性の蛍光検出器で取得するべきである。NGy7との更なる結合は、NGy7の蛍光を減少させなかった。
【0067】
(NGy3複合体)
NGy3吸収及び蛍光スペクトルを取得し、次いでCy3と比較した。NGy3は556nmに吸収の最大を有し、572nmで最大に発光した。その特徴はCy3と非常に類似していた。
((ストレプトアビジン−NGy3複合体))
炭酸ナトリウム緩衝液(pH9.0)中、5nmoleのストレプトアビジンを1:20モル過剰のNGy3色素で1時間処理した。結合の後、反応混合物をPD−10カラムに装てんして、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で結合したタンパク質を溶出した。タンパク質を含む画分を一緒に集めた。ストレプトアビジン−NGy3複合体の吸収スペクトル(図7)及び蛍光スペクトルを得た(図8)。蛍光スペクトルは、ストレプトアビジン−NGy3のスペクトル特性はストレプトアビジン−Cy3に非常に類似していること、及び緑色レーザーで励起可能であることを明確に示した。
【0068】
本発明は好ましい実施態様を参照して詳細に記載されたが、当業者は、本明細書の開示を参照して、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく特定の変更及び改善を加えることができることを認識するであろう。従って、本発明は特許請求の範囲のみにより限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式の化合物、又はその異性体、エステル、アミド、酸ハロゲン化物、酸無水物、及び/若しくは塩を含む複合体であって:
前記化合物は、R1からR10のいずれかでの結合ペアの構成要素を介してプローブ、リンカー、標的、重合体、生体分子、低親和性擬似標的、結合ペアの1の構成要素、光学的に活性な分子種、及び/又は基材から選択される第二の分子種に結合する複合体。
【化1】

(式中、nは0、1、2又は3であり;
1及びR10は、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいヘテロアルキル、及び置換されていてもよいアルキルアリールからなる群から独立に選択され、ここでR1及びR10の少なくとも1つは、カルボン酸置換基を有する置換されたアルキル置換基、又はヘテロアルキル置換基をアリール要素上に有する置換されたアルキルアリールであり;
2からR9は、H、−SO3H、置換されていてもよいアルキル、又は置換されていてもよいヘテロアルキルからなる群から独立に選択され、ここでR2からR9のうちの隣接する任意の2つの構成要素が一緒になって、1以上のヘテロ環原子を含んでいてもよい、置換されていてもよい5員から7員のモノ不飽和又はポリ不飽和縮合環を形成していてもよく;及び
Rz、並びに各繰り返し中のRx及びRyは、H、アルキル、アルコキシ、ヘテロアルキル、ヘテロアルキロキシ、−CNからなる群から独立に選択され、又はRx、Ry、及びRzのうちの隣接する任意の2つの構成要素が共有結合して、1以上のヘテロ環原子を含んでいてもよい、置換されていてもよい4員から7員のモノ不飽和又はポリ不飽和環を形成していてもよい。)
【請求項2】
第二の分子種が、前記化合物とエネルギーを交換可能な光学的に活性な分子種である請求項1の複合体。
【請求項3】
第二の分子種が生体分子である請求項1の複合体。
【請求項4】
第二の分子種が合成色素である請求項1の複合体。
【請求項5】
第二の分子種が半導体ナノ結晶である請求項1の複合体。
【請求項6】
基材を含む請求項1の複合体。
【請求項7】
前記基材がビーズである請求項6の複合体。
【請求項8】
前記基材が不規則な形状の粒子である請求項6の複合体。
【請求項9】
重合体を含む請求項1の複合体。
【請求項10】
前記重合体がデンドリマーである請求項9の複合体。
【請求項11】
前記重合体がポリアルキレンオキシドである請求項9の複合体。
【請求項12】
プローブを含む請求項1の複合体。
【請求項13】
結合ペアの1の構成要素を含む請求項1の複合体。
【請求項14】
前記結合ペアの1の構成要素が抗体である請求項13の複合体。
【請求項15】
前記結合ペアの1の構成要素がポリヌクレオチドである請求項13の複合体。
【請求項16】
プローブ及び低親和性擬似標的を含む請求項1の複合体。
【請求項17】
1及びR10がそれぞれ、アリール要素上にカルボン酸置換基を有する置換された低級アルキル置換基、又は低級ヘテロアルキル置換基を有する置換されたベンジル又は置換されたフェネチルであり;
4及びR7がそれぞれスルホン酸である請求項1の複合体、又はその異性体、エステル、アミド、酸ハロゲン化物、酸無水物、及び/又は塩。
【請求項18】
下記の式からなる群から選択される構造を有する化合物、及びそれらいずれかのエステル、アミド、酸ハロゲン化物、酸無水物、異性体、及び/又は塩から形成される複合体であって、
示された前記化合物は、置換されたアルキルアリール上の少なくとも1つのカルボン酸基を介して、第二の分子種の少なくとも1つに結合する請求項1の複合体。
【化2】

【請求項19】
標的を探索して試料を分析する方法であって:
標的を含有することが疑われる試料を提供する工程;
標的が存在する場合、プローブが標的に結合し検出複合体を形成することが可能な条件下で前記試料を請求項12の複合体と接触させる工程;
前記検出複合体を含むことが疑われる前記試料又はその画分を、前記化合物に吸収され得る、又は前記化合物に転移され得るエネルギーに曝す工程;及び
エネルギーが前記複合体に吸収され、又は前記複合体に転移されたか否かを決定する工程を含む標的を探索して試料を分析する方法。
【請求項20】
前記複合体が更にプローブとして低親和性擬似標的を含み、標的が存在する場合、前記標的が、前記プローブから前記低親和性擬似標的を除去する請求項19の方法。
【請求項21】
請求項19の方法により形成された検出複合体。
【請求項22】
前記化合物を、前記化合物に吸収され、又は前記化合物に転移される放射線に曝すことにより前記化合物の励起状態を形成する請求項21の検出複合体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−280888(P2010−280888A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−126255(P2010−126255)
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(390019585)ミリポア・コーポレイション (212)
【氏名又は名称原語表記】MILLIPORE CORPORATION
【Fターム(参考)】